説明

患者異常通知システムおよび集中監視装置

【課題】患者にカメラ装置により監視されているという不安を与えることを抑制することが可能な患者異常通知システムを提供する。
【解決手段】この患者異常通知システム100は、患者を撮像するためのカメラ装置4と、カメラ装置4に通信可能に接続された集中監視装置5とを備えている。また、カメラ装置4は、患者を撮像するためのカメラ4bと、カメラ4bを患者から遮蔽する遮蔽位置と、カメラを露出する露出位置とに移動可能な遮蔽板4cと、遮蔽板4cを駆動するステッピングモータ4dとを含み、集中監視装置5は、患者に異常が発生した場合に、遮蔽板4cを遮蔽位置から露出位置に移動させ、且つカメラ4bに撮像を開始させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、患者異常通知システムおよび集中監視装置に関し、特に、患者を撮像するためのカメラ装置を備えた患者異常通知システムおよび患者を撮像するためのカメラ装置に通信可能に接続された集中監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者を撮像するためのカメラ装置を備えた異常事態報知システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、ユーザに異常事態が発生した場合に、ユーザが所持する携帯情報端末によりユーザの画像が撮影される。また、携帯情報端末がユーザの被服などにより遮蔽されていることに起因して撮影不能である場合には、外部のカメラ装置により撮影が行われる。携帯情報端末または外部のカメラ装置により撮像されたユーザの画像は、所定の連絡先などに送信される。これにより、その連絡先の人間がユーザの状態を画像により確認することが可能である。
【0004】
また、外部のカメラ装置は、街路灯などの路上構造物に設置された屋外監視カメラおよび店舗などの建物内に設置された屋内監視カメラである。監視カメラは、その存在自体を知らせることにより犯罪を回避するなどの役割を担っているので、通常、設置されていることが容易に視認可能に設置されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−328333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の構成を病院などの施設に対して適用した場合には、カメラ装置が患者に視認可能な状態で設置されるので、病院の病室内などに設置されたカメラ装置(監視カメラ)により、常に監視されているという不安を患者に与えてしまうという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、患者にカメラ装置により監視されているという不安を与えることを抑制することが可能な患者異常通知システムおよび集中監視装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
この発明の第1の局面による患者異常通知システムは、患者を撮像するためのカメラ装置と、患者に装着され、患者の生体情報を検出し、検出した生体情報を送信する生体センサと、カメラ装置および生体センサの出力データを受信可能な集中監視装置とを備え、カメラ装置は、患者を撮像するためのカメラと、カメラを患者から遮蔽する遮蔽位置と、カメラを露出する露出位置とに移動可能な遮蔽部材と、遮蔽部材を駆動する駆動機構とを含み、集中監視装置は、生体センサによって検出された生体情報に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定結果に基づいてカメラ装置を制御する制御手段と、カメラ装置による撮像画像を表示する表示部とを含み、制御手段は、判定手段によって患者に異常が発生したと判定された場合に、遮蔽部材を遮蔽位置から露出位置に移動させることによってカメラを露出させ、且つカメラに撮像を開始させるように構成されている。このように、判定手段によって患者に異常が発生したと判定された場合に、遮蔽部材を露出位置に移動させることによってカメラを露出させ、且つカメラに撮像を開始させることによって、患者に異常が発生した場合に、カメラにより撮像した撮像画像を集中監視装置の表示部に自動的に表示させることができる。この表示部に表示された撮像画像により、異常が発生した患者の状態を確認することができる。
【0009】
上記第1の局面による患者異常通知システムにおいて、好ましくは、集中監視装置は、撮像停止指示を使用者から受け付ける受付手段をさらに含み、制御手段は、受付手段によって撮像停止指示が受け付けられた時に、遮蔽部材を遮蔽位置に位置させることによって患者からカメラを遮蔽させ、且つカメラを停止させるように構成されている。このように構成すれば、使用者が患者の撮像画像を見ない場合には、使用者が撮像停止指示を集中監視装置に指示することによって、患者からカメラを遮蔽することができる。これにより、カメラが露出している状態を必要最小限に抑えることができるので、カメラ装置により常に監視されているという不安を患者に与えてしまうのを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による患者異常通知システムにおいて、制御手段は、判定手段によって患者に異常が発生していないと判定された場合に、遮蔽部材を遮蔽位置に位置させることによって患者からカメラを遮蔽させ、且つカメラを停止させるように構成されていてもよい。このように、判定手段によって患者に異常が発生したと判定された場合に、遮蔽部材を遮蔽位置から露出位置に移動させることによって、判定手段によって患者に異常が発生していないと判定された場合には、遮蔽位置に位置する遮蔽部材によって患者からカメラを遮蔽させることができる。したがって、患者に異常が発生していない時には、遮蔽部材によりカメラが患者から遮蔽されるので、患者はカメラの存在を意識することなく生活することができる。これにより、カメラ装置により常に監視されているという不安を患者に与えてしまうのを抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による患者異常通知システムにおいて、好ましくは、制御手段は、判定手段によって患者に異常が発生していないと判定された場合に、遮蔽部材を遮蔽位置に位置させることによって患者からカメラを遮蔽させ、且つカメラを停止させるように構成されている。このように構成すれば、患者に異常が発生していない時には、自動的に患者からカメラを遮蔽させることができる。これにより、カメラが露出している状態を必要最小限に抑えることができるので、カメラ装置により常に監視されているという不安を患者に与えてしまうのを抑制することができる。
【0012】
上記第1の局面による患者異常通知システムにおいて、好ましくは、カメラは、天井の壁面の上方に設置され、遮蔽部材は、遮蔽位置において天井の一部を構成するように設置された遮蔽板を含む。このように構成すれば、患者に異常が発生していない状態では、遮蔽位置に位置する遮蔽板が天井の一部を構成しているので、カメラ装置を患者からより目立たなくすることができる。
【0013】
上記第1の局面による患者異常通知システムにおいて、好ましくは、患者に装着され、患者の加速度を検出する加速度センサと、加速度センサによって検出された加速度情報に基づいて、患者の姿勢および動静を検出する患者挙動検出手段とをさらに備え、判定手段は、患者挙動検出手段により検出された患者の姿勢および動静の少なくとも一方に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判断することが可能に構成されている。このように構成すれば、患者の生体情報のみならず、患者の姿勢および動静についても異常が発生したか否かを判断することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、患者挙動検出手段は、集中監視装置に設けられていてもよい。
【0015】
上記加速度センサを備える構成において、好ましくは、カメラ装置は、複数設けられており、集中監視装置は、加速度センサによって検出された加速度情報に基づいて、患者の位置を検出する位置検出手段をさらに備え、制御手段は、位置検出手段によって検出された患者の位置に基づいて、患者に最も近いカメラ装置により患者を撮像するようにカメラ装置を制御する。このように構成すれば、カメラ装置の撮像範囲外に患者が移動した場合にも、他のカメラ装置により異常が発生した患者を撮像することができる。
【0016】
上記第1の局面による患者異常通知システムにおいて、好ましくは、集中監視装置は、使用者による撮像の指示を受け付けるための受付部を含み、受付部が使用者から撮像の指示を受け付けた場合、集中監視装置の制御手段は、遮蔽部材を露出位置に移動させることによってカメラを露出させ、且つカメラに撮像を開始させるように構成されている。このように構成すれば、患者に異常が発生した場合のみならず、使用者が撮像を指示した場合にも、患者の撮像を行うとともに、撮像した患者の画像を集中監視装置の表示部において確認することができる。
【0017】
この場合、好ましくは、カメラ装置は、複数設けられており、使用者からの指示により撮像された患者の撮像画像が表示部に表示されているときに、判定手段によって患者に異常が発生したと判定された場合、制御手段は、判定手段によって異常が発生したと判定された患者の撮像画像を表示部に表示するように構成されている。このように構成すれば、使用者からの指示により撮像された撮像画像を確認している時に、患者に異常が発生した場合に、その患者の撮像画像を集中監視装置の表示部に自動的に表示させることができる。
【0018】
上記第1の局面による患者異常通知システムにおいて、好ましくは、生体情報は、少なくとも患者の脈波情報を含み、集中監視装置の判定手段は、少なくとも脈波情報に基づいて、患者の心拍数、血圧および血中酸素飽和度を取得し、患者の心拍数、血圧および血中酸素飽和度に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判定する。このように構成すれば、患者の心拍数、血圧および血中酸素飽和度の少なくとも一つに異常があった場合に、カメラ装置により患者を自動的に撮像して、集中監視装置の表示部に撮像画像を表示することができる。これにより、患者の心拍数、血圧および血中酸素飽和度の少なくとも一つに異常があった場合に、その患者の状態を集中監視装置の表示部により確認することができる。
【0019】
この発明の第2の局面による集中監視装置は、患者を撮像するためのカメラおよびカメラを遮蔽するための遮蔽部材を備えるカメラ装置と、患者に装着され、患者の生体情報を検出し、検出した生体情報を送信する生体センサとから、それぞれ出力データを受信可能な通信部と、通信部によって受信された生体情報に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定結果に基づいて、カメラ装置を制御する制御手段と、通信部によって受信したカメラ装置の撮像画像を表示する表示部とを備え、制御手段は、判定手段によって患者に異常が発生したと判定された場合に、カメラを患者から遮蔽する遮蔽位置からカメラを露出する露出位置に遮蔽部材を移動させ、且つカメラに撮像を開始させるようカメラ装置を制御する。
【0020】
この第2の局面による集中監視装置では、上記のように、判定手段によって患者に異常が発生したと判定された場合に、遮蔽位置から露出位置に遮蔽部材を移動させることによって、判定手段によって患者に異常が発生していないと判定された場合には、遮蔽位置に位置する遮蔽部材によって患者からカメラを遮蔽させることができる。したがって、患者に異常が発生していない時には、遮蔽部材によりカメラが患者から遮蔽されるので、患者はカメラの存在を意識することなく生活することができる。これにより、カメラ装置により常に監視されているという不安を患者に与えてしまうのを抑制することができる。また、判定手段によって患者に異常が発生したと判定された場合に、カメラを露出する露出位置に遮蔽部材を移動させ、且つカメラに撮像を開始させるようカメラ装置を制御することによって、患者に異常が発生した場合に、カメラにより撮像した撮像画像を集中監視装置の表示部に自動的に表示させることができる。この表示部に表示された撮像画像により、異常が発生した患者の状態を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による患者異常通知システムの全体構成を示す概略図である。図2〜図11は、図1に示した患者異常通知システムの各部の構造を説明するための図である。まず、図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態による患者異常通知システム100の構成を説明する。
【0023】
本実施形態による患者異常通知システム100は、病院などにおいて使用され、患者に異常が発生した場合に、自動的に警告を発するように構成されている。図1に示すように、この患者異常通知システム100は、各患者に装着される第1携帯型発信機1および第2携帯型発信機2と、病棟内の複数箇所に設置される受信機3およびカメラ装置4と、各階のナースセンターに設置される集中監視装置5と、受信機3およびカメラ装置4と集中監視装置5とをLANケーブル(図示せず)を介して通信可能に接続するハブ6とを備えている。ハブ6は、接続された受信機3およびカメラ装置4にLANケーブルを介して電源を供給することが可能である。
【0024】
第1携帯型発信機1は、患者の物理的状態(患者の動静および姿勢)および患者の体温を検出するために患者に装着される。図2に示すように、第1携帯型発信機1は、概ね500円玉程度の大きさの円盤形状であり、患者の胴体の動脈近傍の皮膚(胸部など)にテープ200などを用いて貼り付けることにより装着される。図3に示すように、この第1携帯型発信機1は、加速度センサ1aと、体温センサ1bと、CPUおよびメモリなどからなる制御部1cと、無線通信部1dとを含んでいる。また、第1携帯型発信機1は、電池を内蔵しており、この電池により制御部1cなどに電力を供給するように構成されている。
【0025】
加速度センサ1aは、3軸方向(X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向)の加速度を検出し、加速度を示す電気信号を出力するように構成されている。この加速度センサ1aとしては、たとえば、日立金属株式会社製のピエゾ抵抗型3軸加速度センサーH34CまたはH48Cなどを使用することができる。また、各第1携帯型発信機1には、固有の第1ID情報が割り当てられており、制御部1cのメモリに第1ID情報が格納されている。制御部1cは、加速度センサ1aおよび体温センサ1bの検出結果を第1ID情報とともに無線通信部1dを介して定期的に発信するように構成されている。この第1ID情報により、発信したデータがどの第1携帯型発信機1から発信されたデータであるかを集中監視装置5が認識することが可能である。
【0026】
第2携帯型発信機2は、患者の生体的状態(脈波、心拍、血圧および血中酸素飽和度(SpO)を検出するために患者に装着される。第2携帯型発信機2は、患者の循環器の状態(脈波、心拍および血圧)と、患者の呼吸器の状態(血中酸素飽和度)とを検出することが可能である。図2に示すように、第2携帯型発信機2は、患者の腕部に装着される本体部2aと、患者の指に装着されるセンサ部2bとからなり、本体部2aとセンサ部2bとが信号ケーブル2cにより接続されている。また、図4に示すように、本体部2aは、CPUおよびメモリなどからなる制御部2dと、無線通信部2eとを含んでいる。また、センサ部2bは、脈波センサ2fおよびSpOセンサ2gを含んでいる。
【0027】
脈波センサ2fおよびSpOセンサ2gは、反射型の光学式センサであり、発光素子と受光素子とが隣接して設けられていることにより、発光素子から発せられた光が体表面体付近の動脈において反射および散乱するとともに、その反射光および散乱光が受光素子に受光される。このような構成により、公知の手法により脈波およびSpO(血中酸素飽和度)を検出することが可能である。また、第2携帯型発信機2には、上記第1携帯型発信機1と同様に、固有の第2ID情報が割り当てられており、制御部2dのメモリに第2ID情報が格納されている。制御部2dは、脈波センサ2fおよびSpOセンサ2gの検出結果を第2ID情報とともに無線通信部2eを介して定期的に発信するように構成されている。この第2ID情報により、発信したデータがどの第2携帯型発信機2から発信されたデータであるかを集中監視装置5が認識することが可能である。
【0028】
また、受信機3は、病室、トイレおよび廊下などの天井にカメラ装置4とともに取り付けられている。図5に示すように、受信機3は、CPUおよびメモリなどからなる制御部3aと無線通信部3bと有線通信部3cとを含んでいる。無線通信部3bは、所定の通信方式に従って無線信号を受信するように構成されている。この無線通信部3bにより、第1携帯型発信機1および第2携帯型発信機2から発信された無線信号(物理的情報信号、第1ID情報信号、生体的情報信号および第2ID情報信号)を受信することが可能である。また、有線通信部3cは、Ethernet(登録商標)通信インタフェースであり、所定の通信プロトコルに従って、ハブ6を介して集中監視装置5との間でデータ通信を行うことが可能である。すなわち、無線通信部3bにより受信した物理的情報および生体的情報が集中監視装置5に送信される。
【0029】
また、図6〜図9に示すように、カメラ装置4は、天井300に埋め込まれており、天井300の壁面に埋め込まれるケース板4aと、ケース板4aの上方に設置されるカメラ4bと、カメラ4bを遮蔽および露出するための遮蔽板4cと、遮蔽板4cを駆動するためのステッピングモータ4dとを含んでいる。
【0030】
ケース板4aおよび遮蔽板4cは、天井300の一部を構成するように設置されており、天井300の材質と実質的に同一または外見が天井300に類似した材料により形成されている。また、ケース板4aおよび遮蔽板4cの色および模様も天井300の色および模様に合わせて塗装されている。また、ケース板4aは、カメラ4bを露出するための円形状の穴4eを有している。
【0031】
また、図8に示すように、遮蔽板4cは、ケース板4aの穴4eの大きさに対応する大きさの円形状の穴4fが設けられた露出部4gと、ケース板4aの穴4eを覆うことが可能な遮蔽部4hと、回動軸4iとを含んでいる。また、回動軸4iはステッピングモータ4dに接続されており、ステッピングモータ4dの駆動により、遮蔽板4cが回動軸4iを中心に回動するように構成されている。すなわち、ステッピングモータ4dの駆動により、遮蔽板4cは、遮蔽部4hがケース板4aの穴4eを覆って遮蔽する遮蔽位置と、露出部4gの穴4fがケース板4aの穴4eと重なる露出位置とに移動されるように構成されている。
【0032】
また、カメラ4bは、レンズ4j(図6参照)がケース板4aの穴4eの上方に配置されるように設置される。遮蔽板4cが露出位置にある時には、カメラ4bは遮蔽板4cの穴4f(図8参照)およびケース板4aの穴4eを介して患者を含む画像を撮像可能となり、遮蔽板4cが遮蔽位置にある時には、カメラ4bは、遮蔽板4cの遮蔽部4hにより患者から遮蔽される。
【0033】
また、図10に示すように、カメラ装置4は、カメラ4bに接続される有線通信部4kと、ステッピングモータ4dを制御する制御部4lと、制御部4lと接続される有線通信部4mとをさらに含んでいる。有線通信部4kおよび有線通信部4mは、Ethernet(登録商標)通信インタフェースであり、所定の通信プロトコルに従って、ハブ6を介して集中監視装置5との間でデータ通信を行うことが可能である。すなわち、カメラ4bが撮像したカメラ画像のデータを集中監視装置5に送信することが可能であるとともに、集中監視装置5による制御信号をカメラ4bおよび制御部4lに送信することにより、集中監視装置5によりカメラ4bおよびステッピングモータ4dの制御を行うことが可能である。さらに詳しく説明すると、集中監視装置5は、カメラ装置4に撮像を開始させる場合には、撮像開始信号を送信し、カメラ装置4に撮像を停止させる場合には、撮像停止信号を送信する。カメラ装置4は、集中監視装置5から撮像開始指示信号を受信した場合には撮像を開始し、撮像停止指示信号を受信した場合には撮像を停止する。
【0034】
また、患者を撮像する場合には、集中監視装置5は遮蔽板4cを露出位置に移動させるようにステッピングモータ4dを制御するとともにカメラ4bに撮像を開始させ、患者を撮像しない場合には、集中監視装置5は遮蔽板4cを遮蔽位置に移動させるようにステッピングモータ4dを制御するとともにカメラ4bによる撮像を停止させる。つまり、カメラ装置4は、集中監視装置5から撮像開始指示信号を受信した場合には、遮蔽板4cを遮蔽位置から露出位置へと移動させてカメラ4bを露出させ、カメラ4bによる撮像を開始する。また、カメラ装置4は、撮像停止指示信号を受信した場合には、遮蔽板4cを露出位置から遮蔽位置へと移動させてカメラ4bを遮蔽させ、カメラ4bによる撮像を停止する。
【0035】
また、患者がいる病室の形、大きさなどにより複数のカメラ装置4が病室に配置される。また、トイレおよび廊下などの病院の各場所にもカメラ装置4が設置される。これにより、患者に異常が発生した場合に、患者がどこにいても患者の最も近くに位置するカメラ装置4により患者の様子を撮像することが可能である。
【0036】
次に、集中監視装置5の構成について詳細に説明する。集中監視装置5は、システムの全体的な制御を行うとともに、本システムが適用されている患者の状態を常に監視している。また、集中監視装置5は、監視している患者に異常が生じたか否かを判断する機能を有する。具体的には、集中監視装置5は、患者の姿勢が「転倒」または「落下」となった場合、または、患者の生体情報(脈拍、血圧、SpOおよび体温)の値の少なくとも一つの値が、設定された正常範囲から逸脱した場合に、患者に異常が発生したと判断する。また、後述する患者情報の設定により、「転倒」および「落下」以外の他の姿勢を患者の異常として判定させるようにすることが可能である。また、集中監視装置5は、患者に異常が発生したと判断した場合には警告を行うとともに、患者の状態(患者の画像など)を表示するように構成されている。以下、具体的な構成を説明する。
【0037】
集中監視装置5は、図11に示すように、制御部5aと、表示部5bと、キーボード5cとから主として構成されたコンピュータ501によって構成されている。また、制御部5aは、CPU501aと、ROM501bと、RAM501cと、ハードディスク501dと、読出装置501eと、入出力インタフェース501fと、通信インタフェース501gと、画像出力インタフェース501hとから主として構成されている。CPU501a、ROM501b、RAM501c、ハードディスク501d、読出装置501e、入出力インタフェース501f、通信インタフェース501g、および画像出力インタフェース501hは、バス501iによって接続されている。
【0038】
CPU501aは、ROM501bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM501cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム504aをCPU501aが実行することにより、コンピュータ501が集中監視装置5として機能する。
【0039】
ROM501bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU501aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。たとえば、ROM501bには、受信した加速度情報から患者の位置および姿勢を判定するプログラム、および、患者の加速度が異常であるか否かを判断するための閾値などが記録されている。
【0040】
RAM501cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM501cは、ROM501bおよびハードディスク501dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM501cは、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU501aの作業領域として利用される。
【0041】
ハードディスク501dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU501aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。また、ハードディスク501dには、2つのテーブルT1およびT2が記憶されている。テーブルT1には、第1携帯型発信機1に個別に割り当てられている第1ID情報および第2携帯型発信機2に個別に割り当てられている第2ID情報と、個々の患者を特定するための情報(患者氏名および患者IDなど)とが対応付けられて記憶されている。また、テーブルT2には、それぞれの受信機3およびカメラ装置4に割り当てられている第3ID情報と、受信機3およびカメラ装置4が設置されている位置情報(病室、トイレ、または廊下などの位置を特定する情報)とが対応付けられて記憶されている。
【0042】
また、ハードディスク501dには、患者の生体情報および加速度情報に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判断するための閾値などの患者情報が患者IDと対応付けられて記憶されている。この患者情報は、個々の患者について別々に設定することが可能である。患者情報の設定については、後に詳細に説明する。
【0043】
読出装置501eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体504に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体504には、本実施形態に係るアプリケーションプログラム504aが格納されており、コンピュータ501がその可搬型記録媒体504からアプリケーションプログラム504aを読み出し、そのアプリケーションプログラム504aをハードディスク501dにインストールすることが可能である。
【0044】
なお、上記アプリケーションプログラム504aは、可搬型記録媒体504によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ501と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム504aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ501がアクセスして、そのアプリケーションプログラム504aをダウンロードし、これをハードディスク501dにインストールすることも可能である。
【0045】
また、ハードディスク501dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施形態に係るアプリケーションプログラム504aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0046】
入出力インタフェース501fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース501fには、キーボード5cおよびマウス(図示せず)が接続されており、ユーザがそのキーボード5cまたはマウスを使用することにより、コンピュータ501へのデータの入力および画面上のアイコンの選択などを行うことが可能である。
【0047】
通信インタフェース501gは、Ethernet(登録商標)インタフェースであり、コンピュータ501は、その通信インタフェース501gにより、所定の通信プロトコルを使用してハブ6およびLANケーブルを介して通信ネットワークに接続された受信機3およびカメラ装置4との間でデータの送受信が可能である。
【0048】
画像出力インタフェース501hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部5bに接続されており、CPU501aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部5bに出力するようになっている。表示部5bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。使用者は、この表示部5bにおいて、患者の状態(患者の姿勢、位置、カメラ画像)を確認することが可能である。
【0049】
図12〜図19は、本発明の一実施形態による患者異常通知システムの集中監視装置の表示部に表示される画面を示している。次に、図12〜図19を参照して、本実施形態による患者異常通知システム100の集中監視装置5の表示部5bに表示される画面の構成について説明する。
【0050】
本実施形態では、待ち受け状態において、図12に示すように、病室選択画面600が表示される。この病室選択画面600では、病院の各病室を示すアイコン601が病室番号とともに選択可能に表示されている。病室選択画面600においては、本実施形態による患者異常通知システム100が適用されている患者(以下、看まもり対象の患者)が室内にいる病室に対応するアイコン601aは、他の病室に対応するアイコン601bに対して識別可能に表示される。本実施形態では、看まもり対象の患者が室内にいる病室に対応するアイコン601a(図12では、201号室)は、青色に表示されることにより、白色に表示される他の病室に対応するアイコン601bと識別可能に表示されている。図12では、201号室に看まもり対象の患者がいることがわかる。また、病室選択画面600には、患者設定ボタン602が設けられている。この患者設定ボタン602については、後に詳細に説明する。
【0051】
また、病室選択画面600において、病室に対応するアイコン601を選択することにより、図13に示すように、患者選択ダイアログ610が表示される。患者選択ダイアログ610では、その病室に入院している患者に対応するアイコン611が患者名および患者IDとともに表示される。この患者選択ダイアログ610においても、看まもり対象の患者を示すアイコン611aは、看まもり対象でない患者のアイコン611bに対して識別可能に表示される。
【0052】
また、患者選択ダイアログ610において、患者を選択した場合には、図14〜図16に示すように、患者状態表示画面700が表示される。患者状態表示画面700では、選択した患者の姿勢、病室における位置、生体情報などの患者の状態を確認することが可能である。具体的には、患者状態表示画面700は、患者情報を表示する患者情報表示領域710と、患者の姿勢を簡易表示する姿勢表示領域720と、患者の病室における位置を表示する位置表示領域730と、患者の生体情報を表示する生体情報表示領域740と、患者の状態を切換表示する切換表示領域750と、切換表示領域750の表示を選択するための切換ボタン表示領域760とを含んでいる。
【0053】
患者情報表示領域710には、個々の患者を特定する情報(「患者の病室」、「ベッド」、「患者ID」および「患者氏名」)が表示される。
【0054】
姿勢表示領域720には、患者の姿勢(立位、座位、歩行中、背臥位、腹臥位、右臥位および左臥位)の各イラスト721が表示されるとともに、実際の患者の現在の姿勢を示すイラスト721aが他のイラスト721bに対して視認可能に色分け表示される。使用者は、姿勢表示領域720により、患者の現在の姿勢を確認することが可能である。
【0055】
また、位置表示領域730には、ベッドが表示されるとともに病室を模した構成となっており、患者を示すイラスト731が配置される。この位置表示領域730における患者のイラスト731の位置は、実際の病室における患者の位置と対応している。使用者は、位置表示領域730により、患者の病室における位置を確認することが可能である。
【0056】
また、生体情報表示領域740には、患者の現在の脈拍、血圧、SpO(血中酸素飽和度)および体温がリアルタイムで表示される。
【0057】
また、切換表示領域750には、切換ボタン表示領域760の「姿勢」ボタン761を選択することにより、図14に示すように、患者の現在の姿勢および位置が立体的にアニメーション表示される。また、切換ボタン表示領域760の「バイタル」ボタン762を選択することにより、図15に示すように、患者の脈拍および血圧の現在から30分前までのグラフが表示される。また、切換ボタン表示領域760の「カメラ」ボタン763を選択することにより、図16に示すように、カメラ装置4による現在の患者の撮像画像が表示される。すなわち、集中監視装置5は、「カメラ」ボタン763により使用者による患者の撮像の指示を受け付けるとともに、撮像開始指示信号を所定のカメラ装置4に送信する。また、撮像された撮像画像データをカメラ装置4から受信するとともに、その受信した患者の撮像画像を切換表示領域750に表示する。また、図16のスライドバー751および752を操作することにより、カメラ4bのレンズ4j(図6参照)を左右および上下に移動させて撮像範囲を移動させることが可能である。また、スライドバー753を操作することにより、撮像画像の拡大および縮小を行うことが可能である。また、「戻る」ボタン764を選択することにより、病室選択画面600が表示されるように構成されている。
【0058】
また、切換表示領域750にカメラ画像が表示されている状態において、切換ボタン表示領域760の「姿勢」ボタン761、「バイタル」ボタン762、または、「戻る」ボタン764が選択された場合には、集中監視装置5はカメラ装置4による撮像の停止が指示されたと判断する(撮像の停止の指示を受け付ける)とともに、撮像中のカメラ装置4に撮像停止指示信号を送信する。
【0059】
また、本実施形態による患者異常通知システム100は、患者に異常が発生したと判断された場合には、集中監視装置5が所定の警告音を発するとともに、図17に示すように、異常が発生した患者の状態を表示する異常警告画面800が自動的に表示される。この異常警告画面800においては、所定の警告表示がなされるとともに、患者の撮像画像が自動的に表示されるように構成されている。集中監視装置5は、上記のように、患者の姿勢が「転倒」または「落下」となった場合、または、患者の生体情報(脈拍、血圧、SpOおよび体温)の値の少なくとも一つの値が、設定された正常範囲から逸脱した場合に、患者に異常が発生したと判断する。以下、図17を参照して、患者の姿勢が「転倒」となった場合の異常警告画面800の構成について説明する。
【0060】
異常警告画面800は、患者情報を表示する患者情報表示領域810と、患者の姿勢を簡易表示する姿勢表示領域820と、患者の病室における位置を表示する位置表示領域830と、患者の生体情報を表示する生体情報表示領域840と、患者の状態を切換表示する切換表示領域850と、切換表示領域850の表示を選択するための切換ボタン表示領域860とを含んでいる。患者情報表示領域810、位置表示領域830および生体情報表示領域840の構成は、それぞれ、上記した患者情報表示領域710、位置表示領域730および生体情報表示領域740の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0061】
図17に示すように、患者の姿勢が「転倒」となった場合には、姿勢表示領域820に「転倒」の文字821および「転倒」を示すイラスト822が強調して表示される。本実施形態では、「転倒」の文字821の周りおよび「転倒」を示すイラスト822の周りが赤色で表示され、かつ、点滅することにより、患者が転倒したことが使用者が容易に視認できるように表示が行われる。また、姿勢表示領域820には、現在の患者の姿勢を示すイラスト823も合わせて表示される。
【0062】
また、異常警告画面800においては、切換ボタン表示領域860に、上記切換ボタン表示領域760のボタンと同様の機能を有する「姿勢」ボタン861、「バイタル」ボタン862、「カメラ」ボタン863および「戻る」ボタン864に加えて、「アラーム停止」ボタン865が追加される。「アラーム停止」ボタン865を選択することにより、警告音が停止されるように構成されている。また、「戻る」ボタン864が選択された場合、「アラーム停止」ボタン865が選択された場合、および、異常警告画面800が表示されてから1分が経過した場合には、警告状態が解除されるとともに、病室選択画面600が表示される。
【0063】
また、異常警告画面800では、切換表示領域850に最初にカメラ画像が表示されるように構成されている。これにより、使用者は、異常が発生した患者の状態をカメラ画像により確認することが可能である。また、異常警告画面800においても、切換ボタン表示領域860の各ボタンを選択することにより、切換表示領域850の表示を切り換えることが可能である。また、異常警告画面800においても、患者状態表示画面700と同様に、切換表示領域850にカメラ画像が表示されている状態において、切換ボタン表示領域860の「姿勢」ボタン861、「バイタル」ボタン862、または、「戻る」ボタン864が選択された場合には、集中監視装置5はカメラ装置4による撮像の停止が指示されたと判断する(撮像の停止の指示を受け付ける)とともに、撮像中のカメラ装置4に撮像停止指示信号を送信する。また、「アラーム停止」ボタン865が選択された場合、および、異常警告画面800が表示されてから1分が経過した場合にも、集中監視装置5は、撮像中のカメラ装置4に撮像停止指示信号を送信する。
【0064】
また、患者の姿勢が「落下」となった場合の異常警告画面(図示せず)にも、「転倒」の場合の異常警告画面800と同様に、姿勢表示領域に「落下」を示すイラストが強調して表示される。また、生体情報(脈拍、血圧、SpO2および体温)が異常となった場合の異常警告画面(図示せず)では、生体情報表示領域において、異常となった生体情報(脈拍、血圧、SpO2および体温の少なくとも一つ)を表示する部分が強調表示される。たとえば、脈拍が正常範囲から逸脱した場合には、生体情報表示領域の「脈拍」を表示する部分が赤色で表示され、かつ、点滅することにより、患者の脈拍が異常であることが使用者が容易に視認できるように表示が行われる。このように、本実施形態による患者異常通知システム100では、患者に異常が発生した場合に、患者の異常な部分を使用者が容易に視認できるように異常な項目を表示する領域が強調して表示が行われる。
【0065】
次に、図12、図18および図19を参照して、本実施形態による患者異常通知システム100における患者の異常判定を行う際の患者情報の設定について説明する。
【0066】
本実施形態による患者異常通知システム100では、個々の患者について患者情報を予め設定することによって、個々の患者のそれぞれに合わせて、異なる基準により患者が異常状態にあるか否かを判定することが可能である。個々の患者の患者情報は、図18に示す患者設定確認画面900により確認および変更することが可能である。また、患者情報は、図19に示す個別患者設定入力画面950により個別に設定および変更することが可能である。以下、詳細に説明する。
【0067】
患者設定確認画面900は、図12に示した「患者設定」ボタン602を選択することにより表示される。図18に示すように、患者設定確認画面900では、患者情報が設定されている患者の患者情報がリスト表示される。患者情報の項目としては、「病室名」、「ベッド番号」、「患者ID」、「患者名」、「入院」、「看まもり」、「寝返可」および「離床可」が含まれる。「入院」では、その患者が入院しているか、退院しているかを設定することが可能である。また、「看まもり」では、本実施形態による患者異常通知システム100により患者の看まもりを行うか否かを設定することが可能である。また、「寝返可」では、患者の寝返動作を異常として検出するか否かを設定することが可能である。また、「離床可」では、患者が離床動作を異常として検出するか否かを設定することが可能である。
【0068】
また、患者情報の項目には、さらに、「脈拍上限」、「脈拍下限」、「SpO下限」、「最高血圧上限」、「最低血圧下限」、「体温上限」および「体温下限」が含まれる。これらの項目の数値を患者の生体情報の正常範囲の閾値として設定することにより、患者の生体情報が設定した正常範囲内にない場合に、患者に異常が発生したと判定するとともに、患者の異常の発生について患者異常通知システム100が警告を行うことが可能である。
【0069】
また、「新規登録」ボタン901を選択することにより、図19に示す個別患者設定入力画面950により、患者情報を新規に設定することが可能である。また、患者を選択した状態で「設定変更」ボタン902を選択することにより、その患者の患者情報を変更することが可能である。また、「設定完了」ボタン903が選択されることにより、患者情報の変更が有効になる(設定した数値などがハードディスク501dに記憶される)とともに、病室選択画面600に画面が切り替えられる。また、「キャンセル」ボタン904が選択されることにより、患者情報の変更が取り消されるとともに、病室選択画面600に画面が切り替えられる。
【0070】
また、個別患者設定入力画面950においては、「設定完了」ボタン951を選択することにより、入力した数値などを患者設定確認画面900に反映して、患者設定確認画面900に戻るように構成されている。また、「キャンセル」ボタン952を選択することにより、入力した数値などを患者設定確認画面900に反映せずに患者設定確認画面900に戻るように構成されている。
【0071】
図20〜図22は、本実施形態による患者異常通知システムの表示部に表示される画面の表示処理を説明するためのフローチャートである。次に、図12〜図16および図20〜図22を参照して、本実施形態による患者異常通知システムの表示部に表示される画面の表示処理を説明する。
【0072】
まず、集中監視装置5の電源(図示しない)を入れると、集中監視装置5の制御部5aにおいては、ステップS1において、制御部5aの初期化(プログラムの初期化)が行われる。また、集中監視装置5の電源が入れられることにより、カメラ装置4および受信機3にもLANケーブルおよびハブ6を介して電源が供給される。そして、初期化が終了すると、ステップS2において、待ち受け画面として、図12に示すように、病室選択画面600が表示される。また、患者に装着された第1携帯型発信機1は、第1ID情報とともに、患者の加速度情報および体温情報を定期的に発信している。また、患者に装着された第2携帯型発信機2は、第2ID情報とともに、患者の生体的情報を定期的に発信している。また、受信機3は、それらの情報を受信するとともに、集中監視装置5にLANケーブルおよびハブ6を介して送信する。
【0073】
次に、ステップS3において、集中監視装置5の制御部5aが、第1ID情報、加速度情報および体温情報を受信したか否かが判断される。これらの情報を受信していない場合には、この判断が繰り返される。また、これらの情報を受信した場合には、ステップS4において、制御部5aは、加速度情報に基づいて、患者の位置を算出する。また、ステップS5において、制御部5aは、加速度情報に基づいて、患者の姿勢を判定する。また、制御部5aは、加速度情報と、予め設定された閾値とを比較することにより、加速度が異常であるか否かを判断する。
【0074】
また、ステップS6において、集中監視装置5の制御部5aが、第2ID情報、心拍情報、血圧情報およびSpO情報を受信したか否かが判断される。これらの情報を受信していない場合には、この判断が繰り返される。また、これらの情報を受信した場合には、ステップS7において、制御部5aは、患者に異常が発生しているか否かを判定する異常判定処理を行う。この異常判定処理については、後に詳細に説明する。
【0075】
そして、ステップS8において、患者に異常が発生したか否かが判断される。上記異常判定処理により患者に異常が発生したと判定された場合には、ステップS9において、医者や看護婦などに患者の異常を通知する異常警告処理が行われる。この異常警告処理については、後に詳細に説明する。この後、ステップS3〜ステップS9の処理が繰り返される。
【0076】
また、患者に異常が発生していないと判定された場合には、ステップS10において、患者の選択を受け付けたか否かが判断される。すなわち、病室選択画面600(図12参照)において病室が選択されることにより表示される患者選択ダイアログ610(図13参照)において、患者が選択されたか否かが判断される。患者の選択を受け付けていない場合には、図21のステップS12に進む。また、患者の選択を受け付けた場合には、ステップS11において、選択された患者の患者状態画面700(図14参照)が表示されるとともに、患者状態画面700の切換表示領域750に患者の姿勢状態が表示される。
【0077】
その後、図21のステップS12において、患者状態画面700の切換表示領域750に患者の姿勢状態が表示されているか否かが判断される。図14に示すように、切換表示領域750に患者の姿勢状態が表示されている場合には、ステップS13において、上記ステップS3において得た体温情報、上記ステップS4において算出した患者の位置、上記ステップS5において判定した患者の姿勢、および、上記ステップS6において得た生体情報(心拍、血圧およびSpO)に基づいて、表示されている画面(患者状態画面)が更新される。この後、ステップS18に進む。
【0078】
また、ステップS12において、切換表示領域750に患者の姿勢状態が表示されていない場合(切換表示領域750に、バイタル情報またはカメラ画像が表示されている場合、もしくは、病室選択画面600が表示されている場合)には、ステップS14において、切換表示領域750に姿勢状態を表示する指示を受け付けた(「姿勢」ボタン761が使用者により選択された)か否かが判断される。この指示を受け付けない場合には、ステップS13において、表示されている画面(患者状態画面700または病室選択画面600)が更新される。また、姿勢状態を表示する指示を受け付けた場合には、ステップS15において、カメラ装置4が動作中であるか否かが判断される。カメラ装置4が動作中でない場合には、ステップS17に進む。また、カメラ装置4が動作中である場合には、ステップS16において、動作中のカメラ装置4に撮像停止指示信号を送信する。この後、ステップS17において、切換表示領域750に患者の姿勢状態が表示される。
【0079】
また、ステップS18においては、患者状態画面700の切換表示領域750に患者の生体情報が表示されているか否かが判断される。切換表示領域750に患者の生体情報が表示されている場合には、ステップS19において、上記ステップS13と同様に、表示されている画面(患者状態画面700)が更新される。この後、図22のステップS24に進む。
【0080】
また、ステップS18において、切換表示領域750に患者の生体情報が表示されていない場合(切換表示領域750に、姿勢状態またはカメラ画像が表示されている場合、もしくは、病室選択画面600が表示されている場合)には、ステップS20において、切換表示領域750に生体情報を表示する指示を受け付けた(「バイタル」ボタン762が使用者により選択された)か否かが判断される。この指示を受け付けない場合には、ステップS19において、表示されている画面(患者状態画面700または病室選択画面600)が更新される。また、生体情報を表示する指示を受け付けた場合には、ステップS21およびステップS22において、上記ステップS15およびステップS16と同様の処理が行われる。この後、ステップS23において、切換表示領域750に患者の生体情報が表示される。
【0081】
この後、図22のステップS24においては、切換表示領域750にカメラ画像を表示中であるか否かが判断される。切換表示領域750にカメラ画像を表示中である場合には、ステップS29に進む。また、切換表示領域750にカメラ画像を表示中でない場合(切換表示領域750に、姿勢状態またはバイタル情報が表示されている場合、もしくは、病室選択画面600が表示されている場合)には、ステップS25において、切換表示領域750にカメラ画像を表示する指示を受け付けた(「カメラ」ボタン763が使用者により選択された)か否かが判断される。カメラ画像を表示する指示を受け付けない場合には、ステップS32において、表示している画面を更新する。
【0082】
また、カメラ画像を表示する指示を受け付けた場合には、ステップS26において、図20のステップS4において算出した患者の位置と、複数のカメラ装置4のそれぞれの位置とを比較することにより、患者に最も近い位置にあるカメラ装置4を特定する。この後、ステップS27において、特定したカメラ装置4に撮像開始指示信号を送信するとともに、ステップS28において、切換表示領域750の表示をカメラ画像に切り換える。
【0083】
また、撮像開始指示信号を受信したカメラ装置4では、カメラ装置4の遮蔽板4cが露出位置に移動するとともに、露出したカメラ4bにより患者の撮像が開始される。また、患者の映像を含むカメラ画像データは、集中監視装置5に順次送信される。また、集中監視装置5では、ステップS29において、カメラ画像データを受信したか否かが判断される。カメラ画像データを受信しない場合には、この判断が繰り返される。また、カメラ画像データを受信した場合には、ステップS30において、カメラ操作を受け付けたか否かが判断される。すなわち、使用者によりスライドバー751〜753(図16参照)が操作されることによって、カメラの撮像範囲の変更および倍率の変更が指示されたか否かが判断される。
【0084】
カメラ操作を受け付けない場合には、ステップS32に進む。また、カメラ操作を受け付けた場合には、ステップS31において、撮像中のカメラ装置4に使用者に指示された動作を指示する信号を送信する。カメラ装置4は、その信号を受けて、カメラの撮像範囲の変更および倍率の変更を行う。
【0085】
そして、ステップS32において、カメラ装置4から送信されたカメラ画像データに基づいて表示されている画面(患者状態画面700)の更新が行われる。
【0086】
この後、ステップS33において、病室選択画面600が表示されているか否かが判断される。病室選択画面600が表示されている場合には、図20のステップS3に進む。また、病室選択画面600が表示されていない場合(患者状態画面700が表示されている場合)には、ステップS34において、病室選択画面600の表示の指示を受け付けたか否かが判断される。すなわち、患者状態画面700の「戻る」ボタン764が選択されたか否かが判断される。病室選択画面600の表示の指示を受け付けない場合には、図20のステップS3に進む。
【0087】
また、病室選択画面600の表示の指示を受け付けた場合には、ステップS35およびステップS36において、上記ステップS15およびステップS16と同様の処理が行われるとともに、ステップS37において、病室選択画面600が表示される。この後、ステップS3に進む。この後、ステップS3〜ステップS37が繰り返される。
【0088】
本実施形態による患者異常通知システム100では、ステップS3〜ステップS37が繰り返されることにより、患者状態画面700の表示が随時更新されるので、使用者が患者の状態をリアルタイムで確認することが可能である。
【0089】
図23は、図20に示したステップS7の異常判定処理の詳細を説明するためのフローチャートである。次に、図23を参照して、異常判定処理を説明する。
【0090】
異常判定処理では、まず、ステップS40において、異常の判定を行う患者の正常範囲情報が読み出される。すなわち、ハードディスク501dに記憶されている患者情報を参照して、生体情報(心拍、血圧、SpOおよび体温)の閾値が読み込まれる。
【0091】
そして、読み出された正常範囲情報と、上記ステップS3において得た加速度情報および上記ステップS6において得た生体情報に異常があるか否かを判断する。具体的には、ステップS41において、加速度が正常範囲を逸脱したか否かが判断される。また、加速度が正常範囲を逸脱しない場合(加速度が正常範囲内である場合)には、ステップS44に進む。また、ステップS41において、加速度が正常範囲を逸脱した場合には、加速度の異常が転倒によるものかベッドなどからの転落によるものかが判定される。この場合、患者の姿勢が立位および歩行中から臥位に変化した場合に転倒と判定され、患者がベッド上にいる状態からベッドの下にいる状態に変化した場合に、転落と判定される。そして、転倒と判定された場合には、ステップS42において、異常状態「転倒」が記憶される。また、転落と判定された場合には、ステップS43において、異常状態「転落」が記憶される。
【0092】
この後、ステップS44において、体温が正常範囲を逸脱するか否かが判断される。体温が正常範囲を逸脱しない場合(正常範囲内である場合)には、ステップS46に進む。また、体温が正常範囲を逸脱した場合には、ステップS45において、異常状態「体温」が記憶される。
【0093】
この後、ステップS46において、心拍が正常範囲を逸脱するか否かが判断される。心拍が正常範囲を逸脱しない場合(正常範囲内である場合)には、ステップS48に進む。また、心拍が正常範囲を逸脱した場合には、ステップS47において、異常状態「心拍」が記憶される。
【0094】
この後、ステップS48において、血圧が正常範囲を逸脱するか否かが判断される。血圧が正常範囲を逸脱しない場合(正常範囲内である場合)には、ステップS50に進む。また、血圧が正常範囲を逸脱した場合には、ステップS49において、異常状態「血圧」が記憶される。
【0095】
この後、ステップS50において、SpOが正常範囲を逸脱するか否かが判断される。SpOが正常範囲を逸脱しない場合(正常範囲内である場合)には、異常判定処理が終了する。また、SpOが正常範囲を逸脱した場合には、ステップS51において、異常状態「SpO」が記憶されて、異常判定処理が終了する。
【0096】
このように、異常判定処理では、加速度、体温、心拍、血圧およびSpOのそれぞれの項目について、設定された正常状態の値と比較することにより、それぞれの項目が異常であるか否かが判定されるとともに、異常と判定された項目が記憶される。
【0097】
図24および図25は、図20のステップS9の異常警告処理の詳細を説明するためのフローチャートである。次に、図17、図24および図25を参照して、異常警告処理の詳細を説明する。
【0098】
異常警告処理では、まず、図24のステップS60において、上記した異常判定処理において異常が生じたと判定されたデータ(加速度情報、体温情報など)に対応する第1ID情報および第2ID情報から、異常が生じた患者が特定される。すなわち、ハードディスク501dに格納されたテーブルT1を参照することにより、その第1ID情報に対応する第1携帯型発信機1および第2ID情報に対応する第2携帯型発信機2を装着している患者(患者ID)を特定する。
【0099】
そして、ステップS61において、図20のステップS4において算出した患者の位置と、複数のカメラ装置4のそれぞれの位置とを比較することにより、患者に最も近い位置にあるカメラ装置4を特定する。この後、ステップS62において、特定したカメラ装置4に撮像開始指示信号を送信する。その後、ステップS63において、異常警告画面800(図17参照)を表示するとともに、「カメラ」ボタン863が選択された状態とすることにより、切換表示領域850にカメラ画像が表示されるように画面が切り換えられる。また、この異常警告画面800では、上記した異常判定処理で異常と判定された項目が他の項目と識別可能に強調表示される。
【0100】
また、撮像開始指示信号を受信したカメラ装置4では、カメラ装置4の遮蔽板4cが露出位置に移動するとともに、露出したカメラ4bにより患者の撮像が開始される。また、患者の映像を含むカメラ画像データは、集中監視装置5に順次送信される。また、集中監視装置5では、ステップS64において、カメラ画像データを受信したか否かが判断される。カメラ画像データを受信しない場合には、この判断が繰り返される。また、カメラ画像データを受信した場合には、ステップS65において、受信したカメラ画像データに基づいて、異常警告画面800が更新される。
【0101】
この後、図25のステップS66において、異常警告画面800の切換表示領域850に患者の姿勢状態が表示されているか否かが判断される。切換表示領域850に患者の姿勢状態が表示されている場合には、ステップS67において、上記ステップS3において得た体温情報、上記ステップS4において算出した患者の位置、上記ステップS5において判定した患者の姿勢、および、上記ステップS6において得た生体情報(心拍、血圧およびSpO)に基づいて、表示されている画面(異常警告画面800)が更新される。この後、ステップS70に進む。
【0102】
また、ステップS66において、切換表示領域850に患者の姿勢状態が表示されていない場合(切換表示領域850に、バイタル情報またはカメラ画像が表示されている場合、もしくは、病室選択画面600が表示されている場合)には、ステップS68において、切換表示領域850に姿勢状態を表示する指示を受け付けた(「姿勢」ボタン861(図17参照)が使用者により選択された)か否かが判断される。この指示を受け付けない場合には、ステップS67において、表示されている画面(異常警告画面800または病室選択画面600)が更新される。また、姿勢状態を表示する指示を受け付けた場合には、ステップS69において、切換表示領域850に異常が生じた患者の姿勢状態が表示される。
【0103】
また、ステップS70においては、患者状態画面の切換表示領域850に患者の生体情報が表示されているか否かが判断される。切換表示領域850に患者の生体情報が表示されている場合には、ステップS71において、上記ステップS67と同様に、表示されている画面(異常警告画面800)が更新される。この後、ステップS74に進む。
【0104】
また、ステップS70において、切換表示領域850に患者の生体情報が表示されていない場合(切換表示領域850に、姿勢状態またはカメラ画像が表示されている場合、もしくは、病室選択画面600が表示されている場合)には、ステップS72において、切換表示領域850に生体情報を表示する指示を受け付けた(「バイタル」ボタン862が使用者により選択された)か否かが判断される。この指示を受け付けない場合には、ステップS71において、表示されている画面(異常警告画面800または病室選択画面600)が更新される。また、生体情報を表示する指示を受け付けた場合には、ステップS73において、切換表示領域850に異常が生じた患者の生体情報が表示される。
【0105】
この後、ステップS74においては、切換表示領域850にカメラ画像を表示中であるか否かが判断される。切換表示領域850にカメラ画像を表示中である場合には、ステップS75に進む。また、切換表示領域850にカメラ画像を表示中でない場合(切換表示領域850に、姿勢状態またはバイタル情報が表示されている場合、もしくは、病室選択画面600が表示されている場合)には、ステップS76において、切換表示領域850にカメラ画像を表示する指示を受け付けた(「カメラ」ボタン863が使用者により選択された)か否かが判断される。カメラ画像を表示する指示を受け付けない場合には、ステップS75において、表示している画面が更新される。また、カメラ画像を表示する指示を受け付けた場合には、ステップS77において、切換表示領域850に異常が生じた患者のカメラ画像が表示される。
【0106】
この後、ステップS78において、警告表示の停止の指示が使用者によりなされたか否かが判断される。すなわち、異常警告画面800の「戻る」ボタン864が選択されたか否か、もしくは、「アラーム停止」ボタン865が選択されたか否か、もしくは、異常警告画面800が表示されてから1分が経過したか否かが判断される。警告表示の停止の指示がない場合には、図24のステップS64に進む。また、警告表示停止の指示があった場合には、ステップS79において、動作中(撮像中)のカメラ装置4に撮像停止指示信号を送信する。また、撮像停止指示信号を受信したカメラ装置4では、カメラ装置4の遮蔽板4cが遮蔽位置に移動されるとともに、カメラ4bによる撮像が停止される。そして、ステップS80において、待ち受け画面である病室選択画面600が表示されて、異常警告処理が終了する。
【0107】
本実施形態では、上記のように、患者に異常が発生していないと判定された場合に、遮蔽部板4cを遮蔽位置に移動させることによって患者からカメラ4bを遮蔽させ、且つカメラ4bを停止させることによって、患者に異常が発生していない時には、遮蔽板4cによりカメラ4bが患者から遮蔽されるので、患者はカメラ4bの存在を意識することなく生活することができる。これにより、カメラ4bにより常に監視されているという不安を患者に与えてしまうのを抑制することができる。また、患者に異常が発生したと判定された場合に、遮蔽板4cを露出位置に移動させることによってカメラ4bを露出させ、且つカメラ4bに撮像を開始させることによって、患者に異常が発生した場合に、カメラ4bにより撮像した撮像画像を集中監視装置5の表示部5bに自動的に表示させることができる。この表示部5bに表示された撮像画像により、異常が発生した患者の状態を確認することができる。
【0108】
また、本実施形態では、上記のように、カメラ装置4を天井300に埋め込むことによって、カメラ装置4を患者から目立たなくすることができるので、患者は、カメラ4bの存在を意識することなく生活することができる。
【0109】
また、本実施形態では、上記のように、ケース板4aおよび遮蔽板4cを、天井300の一部を構成するように設置することによって、カメラ装置4を患者からより目立たなくすることができる。
【0110】
また、本実施形態では、上記のように、カメラ装置4を複数設けるとともに、患者に最も近いカメラ装置4により患者を撮像することによって、カメラ装置4の撮像範囲外に患者が移動した場合にも、他のカメラ装置4により異常が発生した患者を撮像することができる。
【0111】
また、本実施形態では、上記のように、使用者からの撮像の指示によってカメラ装置4に撮像を開始させるように構成することによって、患者に異常が発生した場合のみならず、使用者が望んだ時に、患者の画像を集中監視装置5の表示部5bにおいて確認することができる。
【0112】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0113】
たとえば、上記実施形態では、遮蔽板4cによりカメラ4bを患者から遮蔽するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、遮蔽を行う部材は板状でなくともよい。
【0114】
また、上記実施形態では、カメラ装置4および受信機3を天井300に設置した例を示したが、本発明はこれに限らず、側壁に設置してもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、患者の姿勢が転倒または落下した場合に警告を行う例を示したが、本発明はこれに限らず、患者によって、寝返りをした場合または起床した場合などに警告を行うようにしてもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、脈波センサ2fおよびSpOセンサ2gの検出結果に基づいて生体情報(心拍、血圧およびSpO)を算出した例を示したが、本発明はこれに限らず、脈波センサの検出結果のみから生体情報(心拍、血圧およびSpO)を算出してもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、第2携帯型発信機2のセンサ部を指部に装着する構成を示したが、本発明はこれに限らず、センサ部を本体部に設けることにより、腕部において脈波およびSpOを検出してもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、加速度情報により患者の位置を算出する例を示したが、本発明はこれに限らず、GPSにより患者の位置を特定してもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、加速度情報により患者の位置を算出するとともに、患者の位置と複数のカメラ装置とのそれぞれの位置を比較することにより、患者に最も近いカメラ装置により撮像を行う例を示したが、本発明はこれに限らず、受信機とカメラ装置とを互いに近傍に設置するとともに、携帯型発信機からの無線情報を最も強く受信した受信機の近傍にあるカメラ装置により患者の撮像を行うように構成してもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、使用者による撮像の停止指示を受け付けることによりカメラ装置4による撮像を停止する例を示したが、本発明はこれに限らず、集中監視装置5により患者に異常が発生していないと判断された場合に、自動的にカメラ装置4による撮像を停止するように構成してもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、病院において本システムを適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、独居老人の在宅介護に本システムを適用してもよい。たとえば、独居老人に携帯型発信機を装着するとともに、独居老人の家屋内に受信機およびカメラ装置を配置する。受信機およびカメラ装置は、遠隔地にある介護センターなどの施設内または介護者の家屋内に配置された集中監視装置とインターネットなどを介して接続される。これにより、独居老人に異常が検出された場合には、異常が発生したことが介護者に警告されるとともに、介護者は、独居老人の画像を即座に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の一実施形態による患者異常通知システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】患者に装着される第1携帯型発信機および第2携帯型発信機を示す模式図である。
【図3】図2に示した第1携帯型発信機の構成を示すブロック図である。
【図4】図2に示した第2携帯型発信機の構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示した受信機の構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示したカメラ装置の露出状態を説明するための斜視図である。
【図7】図1に示したカメラ装置の遮蔽状態を説明するための斜視図である。
【図8】図1に示したカメラ装置の分解斜視図である。
【図9】図1に示したカメラ装置の部分断面図である。
【図10】図1に示したカメラ装置の構成を示すブロック図である。
【図11】図1に示した集中監視装置の構成を示すブロック図である。
【図12】集中監視装置の表示部に表示される病室選択画面である。
【図13】集中監視装置の表示部に表示される患者選択ダイアログである。
【図14】集中監視装置の表示部に表示される姿勢状態を表示中の患者状態画面である。
【図15】集中監視装置の表示部に表示される生体情報を表示中の患者状態画面である。
【図16】集中監視装置の表示部に表示されるカメラ画像を表示中の患者状態画面である。
【図17】集中監視装置の表示部に表示される警告表示中の患者状態画面である。
【図18】集中監視装置の表示部に表示される患者設定確認画面である。
【図19】集中監視装置の表示部に表示される患者設定入力画面である。
【図20】図1に示した患者異常通知システムの画面の表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図21】図1に示した患者異常通知システムの画面の表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図22】図1に示した患者異常通知システムの画面の表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図23】図20に示した異常判定処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図24】図20に示した異常警告処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図25】図20に示した異常警告処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0123】
1a 加速度センサ
1b 体温センサ(生体センサ)
2f 脈波センサ(生体センサ)
2g SpOセンサ(生体センサ)
3 受信機
4 カメラ装置
4b カメラ
4c 遮蔽板(遮蔽部材)
4d ステッピングモータ(駆動機構)
5 集中監視装置
5b 表示部
100 患者異常通知システム
300 天井
501g 通信インタフェース(通信部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を撮像するためのカメラ装置と、
患者に装着され、患者の生体情報を検出し、検出した生体情報を送信する生体センサと、
前記カメラ装置及び前記生体センサの出力データを受信可能な集中監視装置とを備え、
前記カメラ装置は、
患者を撮像するためのカメラと、
前記カメラを患者から遮蔽する遮蔽位置と、前記カメラを露出する露出位置とに移動可能な遮蔽部材と、
前記遮蔽部材を駆動する駆動機構とを含み、
前記集中監視装置は、
前記生体センサによって検出された生体情報に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて前記カメラ装置を制御する制御手段と、
前記カメラ装置による撮像画像を表示する表示部とを含み、
前記制御手段は、
前記判定手段によって患者に異常が発生したと判定された場合に、前記遮蔽部材を前記遮蔽位置から前記露出位置に移動させることによって前記カメラを露出させ、且つ前記カメラに撮像を開始させるように構成されている、患者異常通知システム。
【請求項2】
前記集中監視装置は、撮像停止指示を使用者から受け付ける撮像停止指示受付手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記撮像停止指示受付手段によって撮像停止指示が受け付けられた時に、前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に位置させることによって患者から前記カメラを遮蔽させ、且つ前記カメラを停止させるように構成されている、請求項1に記載の患者異常通知システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記判定手段によって患者に異常が発生していないと判定された場合に、前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に位置させることによって患者から前記カメラを遮蔽させ、且つ前記カメラを停止させるように構成されている、請求項1に記載の患者異常通知システム。
【請求項4】
前記カメラは、天井の壁面の上方に設置され、
前記遮蔽部材は、前記遮蔽位置において天井の一部を構成するように設置された遮蔽板を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の患者異常通知システム。
【請求項5】
患者に装着され、患者の加速度を検出する加速度センサと、
前記加速度センサによって検出された前記加速度情報に基づいて、患者の姿勢および動静を検出する患者挙動検出手段とをさらに備え、
前記判定手段は、前記患者挙動検出手段により検出された患者の姿勢および動静の少なくとも一方に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判断することが可能に構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の患者異常通知システム。
【請求項6】
前記患者挙動検出手段は、前記集中監視装置に設けられている、請求項5に記載の患者異常通知システム。
【請求項7】
前記カメラ装置は、複数設けられており、
前記集中監視装置は、前記加速度センサによって検出された前記加速度情報に基づいて、患者の位置を検出する位置検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記位置検出手段によって検出された患者の位置に基づいて、患者に最も近い前記カメラ装置により患者を撮像するように前記カメラ装置を制御する、請求項5又は6に記載の患者異常通知システム。
【請求項8】
前記集中監視装置は、使用者による撮像の指示を受け付ける撮像指示受付手段を含み、
前記撮像指示受付手段が使用者から撮像の指示を受け付けた場合、前記集中監視装置の制御手段は、前記遮蔽部材を前記露出位置に移動させることによって前記カメラを露出させ、且つ前記カメラに撮像を開始させるように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の患者異常通知システム。
【請求項9】
前記カメラ装置は、複数設けられており、
使用者からの指示により撮像された患者の撮像画像が前記表示部に表示されているときに、前記判定手段によって患者に異常が発生したと判定された場合、前記制御手段は、前記判定手段によって異常が発生したと判定された患者の撮像画像を前記表示部に表示するように構成されている、請求項8に記載の患者異常通知システム。
【請求項10】
前記生体情報は、少なくとも患者の脈波情報を含み、
前記集中監視装置の判定手段は、少なくとも前記脈波情報に基づいて、患者の心拍数、血圧および血中酸素飽和度を取得し、前記患者の心拍数、前記血圧および前記血中酸素飽和度に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判定する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の患者異常通知システム。
【請求項11】
患者を撮像するためのカメラおよび前記カメラを遮蔽するための遮蔽部材を備えるカメラ装置と、患者に装着され、患者の生体情報を検出し、検出した生体情報を送信する生体センサとから、それぞれ出力データを受信可能な通信部と、
前記通信部によって受信された生体情報に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記カメラ装置を制御する制御手段と、
前記通信部によって受信した前記カメラ装置の撮像画像を表示する表示部とを備え、
前記制御手段は、
前記判定手段によって患者に異常が発生したと判定された場合に、前記カメラを患者から遮蔽する遮蔽位置から前記カメラを露出する露出位置に前記遮蔽部材を移動させ、且つ前記カメラに撮像を開始させるよう前記カメラ装置を制御する、集中監視装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−3486(P2009−3486A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148103(P2007−148103)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【出願人】(502204931)シスメックスRA株式会社 (7)
【Fターム(参考)】