説明

情報処理システム、情報処理装置、および情報送信装置

【課題】情報処理システムを構成する情報処理装置にて通信手段を送信される信号による消費電力の増加を抑制する。
【解決手段】端末装置と画像形成装置3とがネットワーク4を介して接続された情報処理システムにおいて、画像形成装置3では、情報を処理する制御部30への電力供給を停止した場合に、ネットワーク4を介して端末装置から情報の受信を行う通信部31は電力供給部38からの電力が供給状態と停止状態とに交互に切換制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、および情報送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、情報処理システムを構成する例えばプリンタや複写機等の情報処理装置では、例えばネットワーク等の通信手段からの画像データの受信状況等に応じて、消費電力を低く抑える省電力状態が設定される。しかし、通信手段から画像データ等が送信されるタイミングを予測することは困難であることから、情報処理装置が省電力状態に移行しても、通信手段から信号を受信する通信機能部は稼働状態が維持される。
例えば特許文献1には、メインCPUよりも消費電力の小さなサブCPUを設け、省エネモード(省電力状態)ではサブCPUのみに通電し、ネットワークやファクシミリインターフェースからのデータ受信に応じてサブCPUからメインCPUに復帰トリガーを発行する技術が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−5029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで一般に、情報処理システムを構成する情報処理装置には、ネットワーク等の通信手段を介して種々の信号が送信される。そのため、通信手段から送信される信号を解析するため、情報処理装置内の例えばCPUを信号が受信される度毎に起動する必要が生じる。それにより、受信した信号の多くが情報処理装置にて処理の必要のないものであった場合には、情報処理装置にて無駄に消費される電力が増加する。
本発明は、情報処理システムを構成する情報処理装置にて通信手段を送信される信号による消費電力の増加を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、情報を処理する情報処理装置と、前記情報処理装置にて処理される情報を送信する情報送信装置と、前記情報処理装置と前記情報送信装置との間で情報の通信を行う通信手段とを有し、前記情報処理装置は、前記通信手段を介して前記情報送信装置から情報の受信を行う受信部と、前記受信部が受信した情報を処理する情報処理部と、前記受信部および前記情報処理部に電力を供給する電力供給部と、前記電力供給部が前記情報処理部への電力供給を停止した場合に、当該電力供給部から前記受信部への電力を供給状態と停止状態とに交互に切換制御する電力制御部とを備えたことを特徴とする情報処理システムである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記情報処理装置は、前記電力制御部が前記受信部への電力を供給状態から停止状態に切り換えた場合および停止状態から供給状態に切り換えた場合に、前記情報送信装置に対して当該供給状態および当該停止状態の切換えに関する切換情報を通知する情報通知部をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の情報処理システムである。
請求項3に記載の発明は、前記情報処理装置は、前記切換情報の通知要求を行った前記情報送信装置の識別情報を記憶する識別情報記憶部をさらに備え、前記情報通知部は、当該切換情報を当該識別情報記憶部に識別情報が記憶された当該情報送信装置に通知することを特徴とする請求項2記載の情報処理システムである。
請求項4に記載の発明は、前記情報送信装置は、前記情報処理装置から前記受信部への電力の停止状態から供給状態への切換えに関する前記切換情報の通知を受けた場合に、当該情報処理装置に前記情報を送信することを特徴とする請求項2または3に記載の情報処理システムである。
請求項5に記載の発明は、前記情報処理装置の前記電力制御部は、前記受信部にて受信される情報の受信頻度に応じて、当該受信部への電力を供給状態に設定する時間および停止状態に設定する時間の何れか一方または双方を変更することを特徴とする請求項1記載の情報処理システムである。
請求項6に記載の発明は、前記情報処理装置の前記電力制御部は、前記情報処理部への電力供給が停止される頻度に応じて、前記受信部への電力を供給状態に設定する時間および停止状態に設定する時間の何れか一方または双方を変更することを特徴とする請求項1記載の情報処理システムである。
請求項7に記載の発明は、前記情報処理装置の前記電力制御部は、前記電力供給部が前記情報処理部への電力を供給している場合に、当該電力供給部から前記受信部への電力を供給状態に設定することを特徴とする請求項1記載の情報処理システムである。
【0007】
請求項8に記載の発明は、外部装置から送信される情報を受信する受信部と、前記受信部が受信した情報を処理する情報処理部と、前記受信部および前記情報処理部に電力を供給する電力供給部と、前記電力供給部が前記情報処理部への電力供給を停止した場合に、当該電力供給部から前記受信部への電力を供給状態と停止状態とに交互に切換制御する電力制御部とを備えたことを特徴とする情報処理装置である。
【0008】
請求項9に記載の発明は、前記電力制御部が前記受信部への電力を供給状態から停止状態に切り換えた場合および停止状態から供給状態に切り換えた場合に、前記外部装置に対して当該供給状態および当該停止状態の切換えに関する切換情報を通知する情報通知部をさらに備えたことを特徴とする請求項8記載の情報処理装置である。
請求項10に記載の発明は、前記切換情報の通知要求を行った前記外部装置の識別情報を記憶する識別情報記憶部をさらに備え、前記情報通知部は、前記切換情報を前記識別情報記憶部に識別情報が記憶された前記外部装置に通知することを特徴とする請求項9記載の情報処理装置である。
請求項11に記載の発明は、前記電力制御部は、前記受信部にて受信される情報の受信頻度または前記情報処理部への電力供給が停止される頻度に応じて、当該受信部への電力を供給状態に設定する時間および停止状態に設定する時間の何れか一方または双方を変更することを特徴とする請求項8記載の情報処理装置である。
請求項12に記載の発明は、前記電力制御部は、前記電力供給部が前記情報処理部に電力が供給している場合に、当該電力供給部から前記受信部への電力を供給状態に設定することを特徴とする請求項8記載の情報処理装置である。
【0009】
請求項13に記載の発明は、情報を処理する情報処理装置にて処理される情報を作成する情報作成部と、前記情報処理装置から当該情報処理装置が通信可能であるか否かの情報を取得する取得部と、前記取得部が前記情報処理装置から当該情報処理装置が通信可能であるとの情報を取得した場合に、前記情報作成部にて作成された前記情報を送信する情報送信部とを備えたことを特徴とする情報送信装置である。
【0010】
請求項14に記載の発明は、前記取得部が前記情報処理装置から当該情報処理装置が通信不能であるとの情報を取得した場合に、前記情報作成部にて作成された前記情報を記憶する情報記憶部をさらに備えたことを特徴とする請求項13記載の情報送信装置である。
請求項15に記載の発明は、前記情報送信部は、前記情報記憶部に前記情報が記憶された場合に、前記取得部が前記情報処理装置から当該情報処理装置が通信可能であるとの情報を取得した後に当該情報を当該情報処理装置に送信することを特徴とする請求項14記載の情報送信装置である。
請求項16に記載の発明は、前記情報処理装置が通信可能であるか否かの情報を通知する対象装置として前記情報送信装置を当該情報処理装置に登録する登録部をさらに備えたことを特徴とする請求項14記載の情報送信装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1によれば、本発明を採用しない場合に比べ、情報処理システムを構成する情報処理装置にて通信手段を送信される信号による消費電力の増加を抑制することができる。
本発明の請求項2によれば、情報処理システムを構成する情報送信装置にて情報処理装置への情報の送信を行うタイミングが認識でき、本発明を採用しない場合に比べ、情報送信装置からの情報の送信を円滑に行うことができる。
本発明の請求項3によれば、情報処理システムを構成する情報処理装置を使用できる情報送信装置が制限され、本発明を採用しない場合に比べ、通信手段を介して送信される信号による情報処理装置で消費される電力をさらに低減することができる。
本発明の請求項4によれば、本発明を採用しない場合に比べ、情報処理システムを構成する情報送信装置から情報処理装置への情報の送信時に通信エラーが生じることを低減することができる。
本発明の請求項5によれば、情報処理システムを構成する情報処理装置への情報の通信状況に応じて、情報処理装置での情報受付能力を機動的に変動させることができる。
本発明の請求項6によれば、情報処理システムを構成する情報処理装置の動作状況に応じて、情報処理装置での情報受付能力を機動的に変動させることができる。
本発明の請求項7によれば、情報処理システムを構成する情報処理装置が稼動状態にある場合には、情報の受信を行うことができる。
【0012】
本発明の請求項8によれば、本発明を採用しない場合に比べ、情報処理装置にて通信手段を送信される信号による消費電力の増加を抑制することができる。
本発明の請求項9によれば、情報処理システムを構成する情報送信装置にて情報処理装置への情報の送信を行うタイミングが認識でき、本発明を採用しない場合に比べ、情報送信装置からの情報の送信を円滑に行うことができる。
本発明の請求項10によれば、情報処理システムを構成する情報処理装置を使用できる情報送信装置が制限され、本発明を採用しない場合に比べ、通信手段を介して送信される信号による情報処理装置で消費される電力をさらに低減することができる。
本発明の請求項11によれば、情報処理システムを構成する情報処理装置への情報の通信状況や情報処理装置の動作状況に応じて、情報処理装置での情報受付能力を機動的に変動させることができる。
本発明の請求項12によれば、情報処理システムを構成する情報処理装置が稼動状態にある場合には、情報の受信を行うことができる。
【0013】
本発明の請求項13によれば、本発明を採用しない場合に比べ、情報送信装置とともに情報処理システムを構成する情報処理装置にて通信手段を送信される信号による消費電力の増加を抑制することができる。
本発明の請求項14によれば、本発明を採用しない場合に比べ、情報送信装置から情報処理装置への情報の送信時に通信エラーが生じることを抑制することができる。
本発明の請求項15によれば、情報送信装置にて情報処理装置が情報の受信を行うタイミングに対応させて、情報の送信を行うことができる。
本発明の請求項16によれば、本発明を採用しない場合に比べ、情報送信装置にて情報処理装置が情報の受信を行うタイミングをより確実に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<情報処理システムの説明>
図1は、本実施の形態の情報処理システム1の構成例を示す図である。図1に例示した情報処理システム1では、例えばユーザの作業スペース(例えば、デスク)等に設置された情報送信装置および外部装置の一例である端末装置2と、端末装置2にて作成・保存等された画像データに基づき用紙上に画像を形成する情報処理装置の一例としての画像形成装置3とが、通信手段の一例であるLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等のネットワーク4を介して双方向に通信可能に接続されている。通信手段としては、電話回線や衛星通信回線(例えば、デジタル衛星放送における空間伝送路)等の通信回線を含んでもよい。
なお、ネットワーク4上には通常、複数の端末装置2と複数の画像形成装置3とが接続可能であるが、図1では、その一部として、それぞれ1台の端末装置2と1台の画像形成装置3とが接続された構成を示している。
【0015】
<端末装置の説明>
端末装置2について説明する。
ネットワーク4に接続される端末装置2は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)が用いられ、文書や図形、グラフィック、写真等からなる画像データを作成・保存する。
図2は、本実施の形態の端末装置2の構成を説明するブロック図である。図2に示したように、端末装置2は、端末装置2全体の動作を制御する制御部20、予め定めたアプリケーションソフトに従って画像データ(情報)を作成する情報作成部の一例としての画像データ作成部21、ユーザからの指示入力の受付やユーザへの各種情報の表示を行うユーザインタフェース(UI)部22を備えている。また、端末装置2は、画像データやプログラム等が記憶される外部記憶部23、ネットワーク4との通信を行い、画像形成装置3から送信される情報を取得する取得部の一例であり、画像データ(情報)を画像形成装置3に送信する情報送信部の一例でもある通信部24を備えている。さらに、端末装置2は、端末装置2の各構成部に対し電力線27を介して電力を供給する電力供給部25を備えている。
この制御部20、画像データ作成部21、UI部22、外部記憶部23、通信部24、および電力供給部25は、PCI(Peripheral Components Interconnect bus)バス26に接続されている。それにより、これらの各構成部は、PCIバス26を介して相互に信号の送受信を行う。
【0016】
ここで、端末装置2の上記した構成部は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、端末装置2の図示しないCPUが、予め定めたプログラムを外部記憶部23から主記憶装置(例えば、RAM)に読み込み、制御部20、画像データ作成部21、および通信部24等の各機能を実現する処理を行う。
【0017】
端末装置2の外部記憶部23には、端末装置2の各構成部を制御するためのオペレーティングシステム、オペレーティングシステムと協働して特定の機能を実行するアプリケーションソフト、さらには、画像データ作成部21にて作成された画像データや外部記憶部23に記憶された画像データ等に関する画像形成装置3への印刷命令(以下、「印刷ジョブ」)を生成するプリンタドライバプログラム等が含まれる。
そして、ユーザによりUI部22に印刷指示が入力されると、制御部20は、外部記憶部23からプリンタドライバプログラムを読み込み、印刷ジョブの生成処理を実行する。生成された印刷ジョブは、通信部24に送られ、通信部24がネットワーク4を介して画像形成装置3に送信する。
【0018】
<端末装置の通信部の説明>
端末装置2の通信部24は、制御部20とネットワーク4との間のデータ通信を制御する通信制御部211、通信制御部211とネットワーク4との間のデータの送受信を行うネットワークインターフェース(NET_I/F)部212、通信制御部211とPCIバス26との間のデータの送受信を行うPCIインターフェース(PCI_I/F)部213を備えている。
また、通信部24は、ネットワーク4を介して画像形成装置3から通知される画像形成装置3の通信部31(後段の図3参照)の電源状態に関する情報に基づいて、画像形成装置3が通信可能状態にあるか否かを判定する通信状態判定部214、制御部20にて生成された印刷ジョブを記憶する情報記憶部の一例としての印刷ジョブ記憶部215を備えている。
なお、ここでの画像形成装置3の通信部31の「電源状態」とは、通信部31が通信可能となるように通信部31に電力が供給された状態と、通信部31が通信不能となるように通信部31への電力供給が停止された状態との何れかの状態をいう。以下の記載においても同様である。
【0019】
端末装置2では、例えばネットワーク4に画像形成装置3が接続された際に、またはネットワーク4に端末装置2自身が接続された際に、登録部としても機能する制御部20が通信部24を介して画像形成装置3に対し、画像形成装置3の通信部31(後段の図3参照)の電源状態が変動した際の通知要求を行う。それにより、画像形成装置3は、自身の通信部31の電源状態の変動を通知する対象装置として、通知要求を行った端末装置2の識別情報の一例としてのアドレス情報を通知先記憶部315(後段の図3参照)に予め記憶(登録)する。そして、画像形成装置3は、自身の通信部31の電源状態に変動が生じた場合には、通知先記憶部315に記憶した端末装置2に対して、通信部31の電源状態に変動が生じたことを通知する切換情報の一例としての「電源状態に関する情報(電源状態情報)」を送信する。
【0020】
端末装置2の通信部24においては、画像形成装置3から電源状態情報を取得すると、通信制御部211は取得した電源状態情報を通信状態判定部214に送る。通信状態判定部214は、取得した電源状態情報に基づいて送信元の画像形成装置3の通信部31の電源状態を判定し、通信制御部211にその判定結果を通知する。通信制御部211は、通信状態判定部214での判定結果に応じて、制御部20にて生成された印刷ジョブや外部記憶部23に記憶された印刷ジョブをNET_I/F部212から画像形成装置3に送信するか、または印刷ジョブ記憶部215に一旦記憶するように制御する。
すなわち、通信制御部211は、通信状態判定部214が画像形成装置3の通信部31が通信可能な状態にあると判定した場合には、制御部20にて生成された印刷ジョブや外部記憶部23に記憶された印刷ジョブをNET_I/F部212から画像形成装置3に送信する。
【0021】
一方、通信制御部211は、通信状態判定部214が画像形成装置3の通信部31が通信不能な状態にあると判定した場合には、印刷ジョブを印刷ジョブ記憶部215に一旦記憶する。そして、通信制御部211は、その後に通信状態判定部214が画像形成装置3の通信部31が通信可能な状態にあると判定した際に、印刷ジョブを印刷ジョブ記憶部215から読み出し、NET_I/F部212から画像形成装置3に印刷ジョブを送信する。
なお、送信対象が外部記憶部23に記憶された印刷ジョブである場合には、通信状態判定部214が画像形成装置3の通信部31が通信不能な状態にあると判定した場合に、印刷ジョブをそのまま外部記憶部23に記憶しておくように設定してもよい。
【0022】
<画像形成装置の説明>
次に、画像形成装置3について説明する。
図3は、本実施の形態の画像形成装置3の構成を説明するブロック図である。図3に示したように、画像形成装置3は、画像形成装置3全体の動作制御を行うに際して各種の情報を処理する情報処理部の一例としての制御部30、ネットワーク4との通信を行う受信部の一例としての通信部31、ユーザからの指示入力の受付やユーザへの各種情報の表示を行うユーザインタフェース(UI)部33を備えている。また、ネットワーク4を介して端末装置2から送信される印刷ジョブ(画像データ)に画像処理を施す画像処理部34、画像処理部34にて画像処理等を行う際の作業用メモリとして用いられる画像処理用記憶部35、画像処理部34にて画像処理が施された画像データに基づき用紙上に画像を形成する画像出力部36を備えている。画像出力部36としては、例えば電子写真方式の画像形成エンジンが用いられる。
さらに、画像形成装置3は、各種のプログラムや画像データ等の各種のデータが記憶される外部記憶部39を備えている。
【0023】
また、画像形成装置3は、商用電源から供給される例えば100Vの電力を予め定めた電圧(例えば、24V,12V,5V,3V)に変換して各構成部に供給する電力供給部の一例としての電力供給部38を備えている。電力供給部38には、制御部30等への例えば電圧5Vや3Vの制御系電力を供給する第1電力線381と、画像出力部36等への例えば電圧24Vや12Vの駆動系電力を供給する第2電力線382と、通信部31への制御系電力を供給する第3電力線383と、電源状態制御部32への制御系電力を供給する第4電力線384とが接続されている。また、第3電力線383には第3電力線383での制御系電力の供給をオンオフ切換するスイッチSWが配置されている。
そして、電力供給部38は、制御部30にて設定される画像形成装置3の動作モード(動作状態)に応じて、第1電力線381への制御系電力の供給や停止を行い、第2電力線382への駆動系電力の供給や停止を行う。
一方、電力供給部38は、第3電力線383および第4電力線384への制御系電力は常時供給する。それにより、電源状態制御部32には制御系電力が常時供給される。また、通信部31に対しては、第3電力線383に配置されたスイッチSWがオンに設定された場合に制御系電力が供給される。
【0024】
また、本実施の形態の画像形成装置3は、画像形成装置3の動作モードがスリープモード(後段参照)に設定された状態において通信部31の電源状態を時間により制御する電力制御部の一例としての電源状態制御部32を備えている。すなわち、電源状態制御部32は、内部に時間計測手段の一例としてのタイマ321を備えている。そして、電源状態制御部32は、第3電力線383に配置されたスイッチSWをタイマ321により計測された予め定めた時間間隔毎にオンオフすることで、電力供給部38から通信部31への制御系電力の供給(電源状態)を制御する。それにより、電源状態制御部32は、通信部31を予め定めた時間間隔毎に通信可能な状態と通信不能な状態とを交互に設定する。
【0025】
ところで、画像形成装置3に配置された上記の制御部30、通信部31、電源状態制御部32、UI部33、画像処理部34、および外部記憶部39は、PCIバス37に接続されている。それにより、これらの各構成部は、PCIバス37を介して相互に信号の送受信を行う。
また、画像形成装置3の上記した構成部は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、画像形成装置3の図示しないCPUが、予め定めたプログラムを外部記憶部39から主記憶装置(例えば、RAM)に読み込み、制御部30、通信部31、電源状態制御部32、および画像処理部34等の各機能を実現する処理を行う。
【0026】
<画像形成装置の制御部の機能の説明>
次に、画像形成装置3の制御部30の機能について説明する。
画像形成装置3の制御部30は、まず、ネットワーク4を介して画像形成装置3自身に向けて送信された信号(以下、パケットという)を処理する機能を有する。すなわち、制御部30は、ネットワーク4を介して送信されたパケットが処理の必要があるものか否かを判別し、次のように処理する。例えば、通信部31にて受信したパケットが印刷ジョブである場合には、これを画像処理部34に送る処理を行う。また、受信したパケットが送信元に対する応答が必要なものである場合には、制御部30はそのパケットに対する応答パケットを生成して、通信部31から応答パケットを送信する処理を行う。また、受信したパケットが制御部30にて処理の必要のないものである場合には、制御部30はそのパケットを廃棄する等の処理を行う。
【0027】
加えて、制御部30は、画像形成装置3の動作モード(動作状態)を制御する機能を有する。図4は、本実施の形態の画像形成装置3にて設定される動作モードを説明する図である。図4に示したように、各画像形成装置3には、省電力効果を高めるために、動作モードとして「画像形成動作モード」と「スタンバイモード」と「低電力モード」と「スリープモード」とが選択的に設定される。
画像形成動作モードは、画像出力部36にて画像データに関する用紙上への画像形成動作を実行している動作状態である。またスタンバイモードは、画像データの入力に対してオンデマンドに対応可能な動作状態であって、画像データの入力に応じて直ちに画像形成動作モードに移行する。画像形成動作モードやそれに準ずるスタンバイモードでは、電力供給部38から第2電力線382を介して画像形成装置3内の画像形成動作を行う構成部に駆動系電力が供給される。
【0028】
低電力モードは、例えば第1の時間が経過しても印刷ジョブ等の入力がない場合に設定される動作状態である。低電力モードでは、電力供給部38から画像出力部36の少なくとも画像形成エンジン(例えば定着器等を含む画像形成動作を行う構成部)への駆動系電力の供給が停止される。その一方で、制御部30や通信部31等といった画像出力部36の画像形成エンジン以外の構成部への制御系電力の供給は継続される。それにより、画像形成装置3内での消費電力が低減される。
また、スリープモードは、第1の時間よりも長い時間である第2の時間が経過しても印刷ジョブ等の入力がない場合に設定される動作状態である。スリープモードでは、電力供給部38から制御系電力が常時供給される電源状態制御部32と、電源状態制御部32によりスイッチSWがオンされて制御系電力が供給された電源状態にある通信部31だけが動作(稼働)し、制御部30(図3参照)のCPU(不図示)を含めたその他の構成部は動作を停止する。それにより、スリープモードでは低電力モードよりも高い省電力効果が得られる。
【0029】
制御部30は、上記の動作モードを移行(変動)させる場合には、動作モードを移行する制御信号(以下、「動作モード移行信号」)を生成する。特に、制御部30は、動作モードをスリープモードに移行させる場合には、動作モード移行信号としてスリープモードに移行することを指示するスリープモード移行信号を生成する。また、制御部30は、動作モードをスリープモードから画像形成動作モードやスタンバイモードや低電力モードに復帰させる場合には、動作モード移行信号としてスリープモードから復帰することを指示するスリープモード復帰信号を生成する。
そして、制御部30は、PCIバス37を介して電力供給部38および電源状態制御部32に動作モード移行信号を送信する。制御部30から動作モード移行信号を取得した電力供給部38は、設定された動作モードに応じて第1電力線381を介した制御系電力の供給や停止を設定し、第2電力線382を介した駆動系電力の供給や停止を設定する。また、制御部30から動作モード移行信号を取得した電源状態制御部32は、設定された動作モードに応じて後段で述べる通信部31の電源状態の制御処理を実行する。
【0030】
<画像形成装置の通信部の説明>
続いて、画像形成装置3の通信部31について説明する。
画像形成装置3の通信部31は、ネットワーク4との間でデータ通信を行う。通信部31は、上記の図3に示したように、制御部30とネットワーク4との間のデータ通信を制御する通信制御部311、通信制御部311とネットワーク4との間のデータの送受信を行うネットワークインターフェース(NET_I/F)部312、通信制御部311とPCIバス37との間のデータの送受信を行うPCIインターフェース(PCI_I/F)部313を備えている。
また、通信部31は、ネットワーク4を介して送信される送信される信号(パケット)を判定するパケット判定部314、電源状態情報の通知要求を行った端末装置2の識別情報の一例であるアドレス情報を記憶する識別情報記憶部の一例としての通知先記憶部315を備えている。
【0031】
パケット判定部314は、NET_I/F部312にて受信したパケットの例えばMAC(Media Access Control)ヘッダに含まれる宛先MACアドレス等のアドレス情報を判定する。そして、このアドレス情報の一例である宛先MACアドレスに基づき、受信したパケットが制御部30に転送する必要のあるパケットか否かを判定する。すなわち、パケット判定部314は、画像形成装置3自身の宛先MACアドレスが記述されたパケットか否かに基づいて、制御部30に転送する必要のあるパケットか否かを判定する。そして、制御部30に転送する必要のあるパケットか否かに関する判定結果を通信制御部311に送る。
通信制御部311は、パケット判定部314にて制御部30に転送する必要のあるパケットと判定されたパケットを、PCI_I/F部313からPCIバス37を介して制御部30に転送する。一方、通信制御部311は、パケット判定部314にて制御部30に転送する必要のないパケットと判定されたパケットを廃棄する。
【0032】
通知先記憶部315は、電源状態情報の通知要求を行った端末装置2のアドレス情報を記憶する。そして、情報通知部としても機能する通信制御部311は、電源状態制御部32からの指示に基づき、通知先記憶部315に記憶されたアドレス情報を有する端末装置2に対して、通信部31の電源状態に変動が生じたことを通知する切換情報の一例としての電源状態情報を送信する。
【0033】
<画像形成装置の電源状態制御部の説明>
次に、画像形成装置3の電源状態制御部32の動作について説明する。
電源状態制御部32は、上記したように、画像形成装置3の動作モードがスリープモードに設定された場合に通信部31の電源状態を時間により制御する。すなわち、電源状態制御部32は、第3電力線383に配置されたスイッチSWをタイマ321により計測された予め定めた時間間隔毎にオンオフする。それにより、電源状態制御部32は、通信部31において予め定めた時間間隔毎に通信可能な状態と通信不能な状態とを交互に設定する。
【0034】
画像形成装置3には、スリープモードが設定された場合においても、ネットワーク4から画像形成装置3自身への印刷ジョブ以外の様々なパケットも送信される。例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて画像形成装置3に通信をしたいか否かの問い合わせメッセージを順番に送り、返答があれば送信権を与えて送信させるポーリングパケットや、PING(Packet INternet Groper)を用いてネットワーク疎通を確認したい画像形成装置3から返答が行われるかを確認するためのパケット等が送信される。
そのため、従来は、画像形成装置3にスリープモードが設定された場合においても、制御部30内のCPUが印刷ジョブ以外の処理の必要のないポーリングパケット等が送られる度に起動されていた。そのため、処理の必要のないパケットの送信頻度が高いネットワーク環境下では、スリープモードを設定しても画像形成装置3での消費電力の削減量が限定的なものとなり、消費電力の削減が促進されにくい状況にある。
【0035】
そこで、本実施の形態の画像形成装置3では、画像形成装置3の動作モードがスリープモードに設定された場合には予め定めた時間間隔毎に通信部31への電力供給状態と電力停止状態とを交互に設定する電源状態制御部32を設け、通信部31がネットワーク4と通信可能な時間と通信不能な時間とを交互に設定している。
そして、画像形成装置3は、通信部31がネットワーク4と通信可能な状態に設定された場合には、通信部31が通信可能な状態に設定されたことを上記した電源状態情報として通知先記憶部315に予め記憶(登録)された端末装置2に通知する。それにより、端末装置2は、画像形成装置3が通信可能状態にあることを認識し、画像形成装置3へ送信する印刷ジョブ等があれば、通信部31が通信可能な状態に設定された時間内に印刷ジョブを画像形成装置3に送信する。また、通信部31が通信不能な状態に設定された場合には、通信部31が通信不能な状態に設定されたことを電源状態情報として通知先記憶部315に予め記憶された端末装置2に通知する。それにより、端末装置2は、画像形成装置3が通信不能状態にあることを認識し、画像形成装置3へ送信する印刷ジョブ等があれば、印刷ジョブを一旦記憶し、画像形成装置3への送信を行わない。そして、その後に、通信部31が通信可能な状態に設定された旨の電源状態情報を取得した際に、記憶された印刷ジョブ、さらにはその他の送信が必要な印刷ジョブを画像形成装置3に送信する。
【0036】
そのため、画像形成装置3にスリープモードが設定された場合には、画像形成装置3がネットワーク4からパケットを受信する時間が限定される。すなわち、スリープモード設定時の通信部31が通信不能な状態に設定された期間においては、通信部31はネットワーク4上を送信されるパケットを受信しない。それにより、制御部30内のCPUが起動される頻度が減り、スリープモード設定時の画像形成装置3の消費電力が低減される。また、端末装置2は、スリープモード設定時の通信部31が通信可能な状態に設定された期間を認識するので、その通信可能な期間に印刷ジョブ等を送信することとなり、印刷ジョブ等の処理が円滑に行われる。
【0037】
<通信部の電源状態の制御処理を実行する際の処理の説明>
次の図5は、電源状態制御部32が通信部31の電源状態を制御する際の処理内容の一例を示したフローチャートである。
図5に示したように、電源状態制御部32は、制御部30からPCIバス37を介して送信される動作モード移行信号を監視する(S101)。そして、電源状態制御部32は動作モード移行信号を受信すると(S101でYes)、受信した動作モード移行信号がスリープモード移行信号であるか否かを判定する(S102)。そして、動作モード移行信号がスリープモード移行信号である場合には(S102でYes)、電源状態制御部32は、通信部31に対して、通信部31が通信不能な状態に設定されることを示す電源状態情報を通知先記憶部315に記憶された端末装置2に送信するように指示する(S103)。そして、その後、電源状態制御部32は、通信部31の電源状態の制御処理を実行する(S104)。
【0038】
一方、電源状態制御部32は、送信された動作モード移行信号がスリープモード復帰信号である場合には(S105でYes)、電源状態制御部32は、通信部31の電源状態の制御処理を終了する(S106)。そして、電源状態制御部32は、スイッチSWがオンに設定されているか否かを判定し(S107)、スイッチSWがオフに設定されている場合には(S107でNo)、スイッチSWをオンに設定する(S108)。その後、電源状態制御部32は、通信部31に対して、通信部31が通信可能な状態に設定されたことを示す電源状態情報を通知先記憶部315に記憶された端末装置2に送信するように指示する(S109)。
また、ステップ107において、スイッチSWがオンに設定されている場合には(S107でYes)、ステップ101に戻り、動作モード移行信号を監視する。この場合には、電源状態制御部32は、ステップ104にて実行された通信部31の電源状態の制御処理にて、ステップ109における通信部31に対する電源状態情報の端末装置2への送信指示がすでに行われているので、直ちにステップ101の動作モード移行信号の監視を開始する。
また、ステップ105において、送信された動作モード移行信号がスリープモード復帰信号でもない場合には(S105でNo)、ステップ101に戻り、動作モード移行信号を監視する。
【0039】
<通信部の電源状態の制御処理の説明>
次の図6は、図5のステップ104にて電源状態制御部32が実行する通信部31の電源状態の制御処理の内容の一例を示したフローチャートである。
図6に示したように、電源状態制御部32は、通信部31の電源状態の制御を開始すると、まず、タイマ321による時間計測を開始する(S201)。それとともに、電源状態制御部32は、電力供給部38に接続された第3電力線383に配置されたスイッチSWをオフする(S202)。それにより、通信部31の通信機能を停止させる。
電源状態制御部32は、タイマ321で計測される時間を監視する(S203)。そして、タイマ321での計測時間が予め定めた第1の時間に到達した時点で(S203でYes)、スイッチSWをオンする(S204)。それにより、通信部31は、通信機能を再開させる。
そして、電源状態制御部32は、通信部31に対して、通信部31が通信可能な状態に設定されることを示す電源状態情報を通知先記憶部315に記憶された端末装置2に送信するように指示する(S205)。それにより、通信部31の通信制御部311は、通信部31が通信可能な状態に設定されることを示す電源状態情報をNET_I/F部312から通知先記憶部315に記憶された端末装置2に送信する。
さらには、電源状態制御部32は、タイマ321をリセットして、新たに時間計測を開始する(S206)。
【0040】
その後引き続いて、電源状態制御部32は、タイマ321で計測される時間を監視する(S207)。そして、タイマ321での計測時間が予め定めた第2の時間に到達した時点で(S207でYes)、電源状態制御部32は、通信部31に対して通信部31が通信不能な状態に設定されることを示す電源状態情報を通知先記憶部315に記憶された端末装置2に送信するように指示する(S208)。それにより、通信部31の通信制御部311は、通信部31が通信不能な状態に設定されることを示す電源状態情報をNET_I/F部312から通知先記憶部315に記憶された端末装置2に送信する。
それに続いて、電源状態制御部32は、スイッチSWをオフする(S209)。それにより、通信部31の通信機能を停止させる。それとともに、タイマ321をリセットして、新たに時間計測を開始する(S210)。
ステップ210の後は、図5のステップ106にて電源状態制御部32が通信部31の電源状態の制御処理を終了するまで、電源状態制御部32は、ステップ203からステップ210までの処理を繰り返し実行する。
【0041】
ここで、図6に例示したフローチャートでは、ステップ202にてまずスイッチSWをオフし、その後の第1の時間の到達時点であるステップ204にてスイッチSWをオンし、そして、その後の第2の時間が到達時点であるステップ209にてスイッチSWをオフするというサイクルを経る処理について示した。
その他に、まずスイッチSWをオンしておき、その後の第1の時間の到達時点でスイッチSWをオフし、そして、その後の第2の時間が到達時点でスイッチSWをオンするというサイクルを経る処理を用いてもよい。
【0042】
また、電源状態制御部32において、図6に例示したフローチャートでの第1の時間と第2の時間とを同じ時間長に設定してもよいし、異なる時間長に設定してもよい。
さらに、電源状態制御部32が設定する第1の時間および第2の時間の何れか一方または双方を、ユーザがUI部33から変更できるように構成してもよい。
さらにまた、電源状態制御部32が設定する第1の時間および第2の時間の何れか一方または双方を、曜日、時間帯に応じて異なる時間長に変更するように構成してもよい。
【0043】
また、電源状態制御部32において、第1の時間および第2の時間の何れか一方または双方が通信部31での自身宛の印刷ジョブの受信状況に応じて機動的に変更されるように構成してもよい。例えば、電源状態制御部32がスイッチSWをオンに設定し、通信部31が通信機能を動作させた際に、自身宛の印刷ジョブの受信頻度が予め定めた度数よりも多い場合には、スイッチSWをオフに設定する第1の時間を短く、スイッチSWをオンに設定する第2の時間を長く変更するように構成してもよい。
さらには、電源状態制御部32において、第1の時間および第2の時間の何れか一方または双方が画像形成装置3の稼働状況に応じて機動的に変更されるように構成してもよい。例えば、画像形成装置3に設定されるスリープモードの設定頻度が予め定めた度数よりも多い場合には、スイッチSWをオフに設定する第1の時間を長く、スイッチSWをオンに設定する第2の時間を短く変更するように構成してもよい。
【0044】
また、通信部31において、通信可能/不能な状態に設定されることを示す電源状態情報を通知先記憶部315に予め記憶された端末装置2に送信するに際して、電源状態情報とともに、スイッチSWをオフに設定する第1の時間およびスイッチSWをオンに設定する第2の時間の何れか一方または双方を通知するように構成してもよい。そして、端末装置2は、印刷ジョブを送信できる時間を予測し、それに対応させて印刷ジョブを送信する準備を行うように構成してもよい。
【0045】
このように、本実施の形態の画像形成装置3においては、スリープモードが設定された場合には、端末装置2から画像形成装置3に印刷ジョブ等が送信される時間が限定して設定される。そのため、画像形成装置3でのスリープモード設定時の通信部31が通信不能な状態に設定された期間においては、通信部31はネットワーク4上を送信されるパケットを受信しない。それにより、制御部30内のCPUが起動される頻度が減り、スリープモード設定時の画像形成装置3の消費電力が低減される。
【0046】
<端末装置の処理の説明>
次に、画像形成装置3から電源状態情報を取得した端末装置2での印刷ジョブの送信処理について述べる。図7は、端末装置2の通信部24が行う印刷ジョブの送信処理の内容の一例を示したフローチャートである。
図7に示したように、端末装置2の通信部24は、画像形成装置3から電源状態情報を取得すると(S301)、通信制御部211がこの電源状態情報を通信状態判定部214に送る。通信状態判定部214は、取得した電源状態情報に基づいて送信元の画像形成装置3の通信部31の電源状態を判定する(S302)。そして、通信状態判定部214は、通信制御部211にその判定結果を通知する。通信制御部211は、通信状態判定部214での判定結果が画像形成装置3の通信部31の電源状態が通信可能な状態にあることを示すものであった場合には(S303でYes)、制御部20にて生成された印刷ジョブ、さらには、印刷ジョブ記憶部215に記憶された印刷ジョブが存在すれば印刷ジョブ記憶部215に記憶された印刷ジョブをNET_I/F部212から画像形成装置3に送信する(S304)。
一方、通信制御部211は、通信状態判定部214での判定結果が画像形成装置3の通信部31の電源状態が通信不能な状態にあることを示すものであった場合には(S303でNo)、印刷ジョブを印刷ジョブ記憶部215に一旦記憶する(S305)。
そして、通信部24は、ステップ301からステップ305の処理を繰り返し実行する。
【0047】
このように、本実施の形態の端末装置2においては、画像形成装置3にスリープモードが設定された場合には、画像形成装置3に印刷ジョブ等を送信できる時間を認識する。そのため、画像形成装置3にスリープモードが設定された期間においては、端末装置2は、画像形成装置3の通信部31が通信可能な状態に設定された期間に印刷ジョブ等を送信するので、印刷ジョブ等の処理が円滑に行われる。
ここで、端末装置2では、UI部22に画像形成装置3に印刷ジョブ等を送信できる時間を表示するように構成してもよい。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態の情報処理システム1に接続される画像形成装置3では、画像形成装置3の動作モードがスリープモードに設定された場合には通信部31がネットワーク4と通信可能な時間と通信不能な時間とを交互に設定している。それにより、制御部30内のCPUが起動される頻度が減り、スリープモード設定時の画像形成装置3の消費電力が低減される。
【0049】
また、画像形成装置3は、通信部31がネットワーク4と通信可能な状態に設定された場合には、通信部31が通信可能な状態に設定されたことを電源状態情報としてネットワーク4上の予め登録された端末装置2に通知する。それにより、端末装置2は、画像形成装置3が通信可能状態にあることを認識し、画像形成装置3へ送信する印刷ジョブ等があれば、通信部31が通信可能な状態に設定された時間内に印刷ジョブを画像形成装置3に送信する。また、通信部31が通信不能な状態に設定された場合には、通信部31が通信不能な状態に設定されたことを電源状態情報としてネットワーク4上の予め登録された端末装置2に通知する。それにより、端末装置2は、画像形成装置3が通信不能状態にあることを認識し、画像形成装置3へ送信する印刷ジョブ等があれば、印刷ジョブを一旦記憶し、画像形成装置3への送信を行わない。そして、その後に、通信部31が通信可能な状態に設定された旨の電源状態情報を取得した際に、記憶された印刷ジョブ、さらにはその他の送信が必要な印刷ジョブを画像形成装置3に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施の形態の情報処理システムの構成例を示す図である。
【図2】本実施の形態の端末装置の構成を説明するブロック図である。
【図3】本実施の形態の画像形成装置の構成を説明するブロック図である。
【図4】本実施の形態の画像形成装置にて設定される動作モードを説明する図である。
【図5】電源状態制御部が通信部の電源状態を制御する際の処理内容の一例を示したフローチャートである。
【図6】電源状態制御部が実行する通信部の電源状態の制御処理の内容の一例を示したフローチャートである。
【図7】端末装置の通信部が行う印刷ジョブの送信処理の内容の一例を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1…情報処理システム、2…端末装置、3…画像形成装置、4…ネットワーク、20…制御部、21…画像データ作成部、24…通信部、30…制御部、31…通信部、32…電源状態制御部、38…電力供給部、211,311…通信制御部、214…通信状態判定部、215…印刷ジョブ記憶部、321…タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を処理する情報処理装置と、
前記情報処理装置にて処理される情報を送信する情報送信装置と、
前記情報処理装置と前記情報送信装置との間で情報の通信を行う通信手段とを有し、
前記情報処理装置は、
前記通信手段を介して前記情報送信装置から情報の受信を行う受信部と、
前記受信部が受信した情報を処理する情報処理部と、
前記受信部および前記情報処理部に電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部が前記情報処理部への電力供給を停止した場合に、当該電力供給部から前記受信部への電力を供給状態と停止状態とに交互に切換制御する電力制御部と
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記電力制御部が前記受信部への電力を供給状態から停止状態に切り換えた場合および停止状態から供給状態に切り換えた場合に、前記情報送信装置に対して当該供給状態および当該停止状態の切換えに関する切換情報を通知する情報通知部をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記切換情報の通知要求を行った前記情報送信装置の識別情報を記憶する識別情報記憶部をさらに備え、前記情報通知部は、当該切換情報を当該識別情報記憶部に識別情報が記憶された当該情報送信装置に通知することを特徴とする請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報送信装置は、前記情報処理装置から前記受信部への電力の停止状態から供給状態への切換えに関する前記切換情報の通知を受けた場合に、当該情報処理装置に前記情報を送信することを特徴とする請求項2または3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記情報処理装置の前記電力制御部は、前記受信部にて受信される情報の受信頻度に応じて、当該受信部への電力を供給状態に設定する時間および停止状態に設定する時間の何れか一方または双方を変更することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記情報処理装置の前記電力制御部は、前記情報処理部への電力供給が停止される頻度に応じて、前記受信部への電力を供給状態に設定する時間および停止状態に設定する時間の何れか一方または双方を変更することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記情報処理装置の前記電力制御部は、前記電力供給部が前記情報処理部への電力を供給している場合に、当該電力供給部から前記受信部への電力を供給状態に設定することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項8】
外部装置から送信される情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した情報を処理する情報処理部と、
前記受信部および前記情報処理部に電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部が前記情報処理部への電力供給を停止した場合に、当該電力供給部から前記受信部への電力を供給状態と停止状態とに交互に切換制御する電力制御部と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
前記電力制御部が前記受信部への電力を供給状態から停止状態に切り換えた場合および停止状態から供給状態に切り換えた場合に、前記外部装置に対して当該供給状態および当該停止状態の切換えに関する切換情報を通知する情報通知部をさらに備えたことを特徴とする請求項8記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記切換情報の通知要求を行った前記外部装置の識別情報を記憶する識別情報記憶部をさらに備え、
前記情報通知部は、前記切換情報を前記識別情報記憶部に識別情報が記憶された前記外部装置に通知することを特徴とする請求項9記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記電力制御部は、前記受信部にて受信される情報の受信頻度または前記情報処理部への電力供給が停止される頻度に応じて、当該受信部への電力を供給状態に設定する時間および停止状態に設定する時間の何れか一方または双方を変更することを特徴とする請求項8記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記電力制御部は、前記電力供給部が前記情報処理部に電力が供給している場合に、当該電力供給部から前記受信部への電力を供給状態に設定することを特徴とする請求項8記載の情報処理装置。
【請求項13】
情報を処理する情報処理装置にて処理される情報を作成する情報作成部と、
前記情報処理装置から当該情報処理装置が通信可能であるか否かの情報を取得する取得部と、
前記取得部が前記情報処理装置から当該情報処理装置が通信可能であるとの情報を取得した場合に、前記情報作成部にて作成された前記情報を送信する情報送信部と
を備えたことを特徴とする情報送信装置。
【請求項14】
前記取得部が前記情報処理装置から当該情報処理装置が通信不能であるとの情報を取得した場合に、前記情報作成部にて作成された前記情報を記憶する情報記憶部をさらに備えたことを特徴とする請求項13記載の情報送信装置。
【請求項15】
前記情報送信部は、前記情報記憶部に前記情報が記憶された場合に、前記取得部が前記情報処理装置から当該情報処理装置が通信可能であるとの情報を取得した後に当該情報を当該情報処理装置に送信することを特徴とする請求項14記載の情報送信装置。
【請求項16】
前記情報処理装置が通信可能であるか否かの情報を通知する対象装置として前記情報送信装置を当該情報処理装置に登録する登録部をさらに備えたことを特徴とする請求項14記載の情報送信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−97481(P2010−97481A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268745(P2008−268745)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】