説明

情報処理装置、データ処理方法およびプログラム

【課題】複数のメモリカードを簡易に管理する技術を提供すること。
【解決手段】本発明は、記録媒体を着脱可能なインターフェースと、前記インターフェースを介して接続された記録媒体に記録されたデータを、その記録媒体のデータ構造で抽出するデータ抽出手段と、データを記憶するデータ記憶手段と、前記データ抽出手段により抽出されたデータを、抽出されたデータ構造で、前記記録媒体を特定する識別子とともに前記データ記憶手段に記憶させる制御手段とを有する情報処理装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体を着脱可能な情報処理装置においてデータを処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータや音響映像機器等において、メモリカードのように各種のデータを記録する記録媒体が様々な状況で用いられている。このような記録媒体は可搬性を有するため、複数の装置の間でデータのやり取りを簡単に行うことが出来る。そのため、1人の使用者が複数の記録媒体を用いることが多くなっている。
【0003】
複数の記録媒体の取り扱いを容易にする技術として、例えば特許文献1に記載の技術がある。特許文献1のメモリカード管理装置は、複数のメモリカードを装着することができる。このメモリカード管理装置は、メモリカードを交換する事なく、記録されているデータを把握できる。
【0004】
【特許文献1】特開2002−222391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のメモリカード管理装置においては、メモリカードを固定して電気的に接続するメモリカードスロットが複数必要であった。そのため、メモリカード管理装置を小型化することは難しかった。さらに、メモリカードスロットの数を超えてメモリカードを所有する場合、メモリカード管理装置に装着できないメモリカードについては、従来と同様の取り扱いが必要であった。すなわち、使用者は、必要に応じてメモリカードスロットに装着されるメモリカードを交換する必要があった。したがって、メモリカードが大量に存在する場合、これらに記録されたデータを管理するのは煩雑であった。
これに対し、本発明は、複数のメモリカードを簡易に管理する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、記録媒体を着脱可能なインターフェースと、データを記憶するデータ記憶手段と、前記インターフェースを介して接続された前記記録媒体に記録されたデータを、前記記録媒体のデータ構造で抽出するデータ抽出手段と、前記データ抽出手段により抽出されたデータを、抽出されたデータ構造で、前記記録媒体を特定する識別子とともに前記データ記憶手段に記憶させる制御手段とを有する情報処理装置を提供する。この情報処理装置によれば、複数の記憶媒体を簡易に管理することができる。
【0007】
好ましい態様において、この情報処理装置は、前記インターフェースを介して接続されている前記記録媒体のデータの少なくとも一部を、前記データ記憶手段に記憶されたデータのうち前記記憶媒体に対応するデータの少なくとも一部に一致させるデータ同期手段を有してもよい。あるいは、この情報処理装置は、前記データ記憶手段に記憶されたデータのうち前記記憶媒体に対応するデータの少なくとも一部を、前記インターフェースを介して接続されている前記記録媒体のデータの少なくとも一部に一致させるデータ同期手段を有してもよい。これらの情報処理装置によれば、記憶媒体に記憶されたデータと、情報処理装置のデータ記憶手段に記憶されたデータとを同期させることができる。
【0008】
別の好ましい態様において、この情報処理装置は、前記制御手段により前記データ記憶手段に記憶された、前記抽出されたデータおよび前記記録媒体を特定する前記識別子が結びつく画像データを記憶する画像記憶手段と、前記画像記憶手段に記憶された画像データを表示する表示手段とを有してもよい。この情報処理装置によれば、使用者に対し、データ記憶手段に記憶された前記抽出されたデータおよび前記記録媒体が使用可能であることを示すことができる。
【0009】
さらに別の好ましい態様において、この情報処理装置は、前記データ記憶手段が、複数の記録媒体に対応するデータを記憶し、前記画像記憶手段に記憶された画像データのうち、前記インターフェースを介して接続されている記録媒体に対応する画像データを、その記録媒体が装着状態にあることを示す画像に変更する画像変更手段をさらに有してもよい。この情報処理装置によれば、使用者に対し、データ記憶手段に記憶された前記抽出されたデータおよび前記記録媒体が使用可能であることを示すことができる。
【0010】
さらに別の好ましい態様において、この情報処理装置は、前記記録媒体が、カード型記録媒体であってもよい。この情報処理装置によれば、複数のカード型記憶媒体を簡易に管理することができる。
【0011】
また、本発明は、記録媒体を着脱可能なインターフェースおよびデータを記憶するデータ記憶手段を有する情報処理装置におけるデータ処理方法であって、前記インターフェースを介して接続された前記記録媒体に記録されたデータを、前記記録媒体のデータ構造で抽出するデータ抽出ステップと、前記抽出されたデータを、抽出されたデータ構造で、前記記録媒体を特定する識別子とともに前記データ記憶手段に記憶させる制御ステップとを有するデータ処理方法を提供する。この情報処理装置によれば、複数の記憶媒体を簡易に管理することができる。
【0012】
さらに、本発明は、記録媒体を着脱可能なインターフェースおよびデータを記憶するデータ記憶手段を有する情報処理装置に、前記インターフェースを介して接続された前記記録媒体に記録されたデータを、前記記録媒体のデータ構造で抽出するデータ抽出ステップと、前記抽出されたデータを、抽出されたデータ構造で、前記記録媒体を特定する識別子とともに前記データ記憶手段に記憶させる制御ステップとを実行させるプログラムを提供する。この情報処理装置によれば、複数の記憶媒体を簡易に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
1.情報処理装置1の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置1は、記録媒体としてメモリカードを用いることができる。情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)10と、ROM(Read Only Memory)14と、RAM(Random Access Memory)16と、記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)12と、グラフィックコントローラ18と、入出力I/F(Interface)22とを有する。これらのハードウェアは、バス28を介して信号を授受可能なように接続されている。なお、これらのハードウェアは、基本ソフトウェアであるBIOS(Basic Input Output System)やWINDOWS(登録商標)のようなオペレーティングシステム(OS)により管理される。これらの管理下で、CPU10が、ROM14やHDD12に記憶されたドライバを含む種々のソフトウェアを実行することにより、以下で説明する機能が実現される。なお、情報処理装置1に用いられる記憶装置はHDDに限定されない。フラッシュメモリ等、他の記憶装置が用いられてもよい。
【0014】
CPU10は、情報処理装置1の各部を制御する制御装置である。HDD12は、データやプログラムを記憶する記憶装置である。ROM14は、情報処理装置1の起動に必要なプログラムやデータを記憶した記憶装置である。RAM16は、CPU10がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する記憶装置である。ディスプレイ20は、文字や画像を表示する表示装置である。CPU10は、基本ソフトウェア、接続された周辺機器のデバイスドライバなどの各種プログラム、および各種のデータをROM14やHDD12から読み込む。CPU10は、読み込んだプログラムやデータをRAM16内に設けられるメインメモリ領域に展開して実行する。グラフィックコントローラ18は、CPU10の指示に従って、ディスプレイ20に画像を表示させる。
【0015】
入出力I/F22には、入力装置24と、メモリカードコントローラ26と、その他の周辺機器(図示略)が接続されている。これらの装置は、USB(Universal Serial Bus)規格やIEEE1394規格などの所定の規格に従って接続される。入力装置24は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、またはボタンを含む。メモリカードコントローラ26は、物理メモリカード30と情報処理装置1との間におけるデータの授受を制御する。物理メモリカード30は、情報処理装置1に着脱可能である。メモリカードコントローラ26は、物理メモリカード30を情報処理装置1に物理的に着脱可能にするインターフェースを含む。メモリカードコントローラ26は、物理メモリカード30が情報処理装置1に装着されているかを示す信号を出力してもよい。物理メモリカード30は、ID(Identification)番号のような識別符号を有している。物理メモリカード30は、個体識別が可能な記録媒体であれば、どのような方式のものでも良い。具体的には、SDメモリカード(登録商標)や、ID機能を具備したスマートメディア等が物理メモリカード30として用いられてもよい。
【0016】
図2は、情報処理装置1の機能構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、データ授受部38と、メモリ属性取得部32と、仮想メモリ生成部34と、データ入出力部36と、データベース40と、データ同期部46と、仮想メモリ検索部48と、画像関連付け部50とを備える。
【0017】
データ授受部38は、物理メモリカード30との間でデータを授受する。メモリ属性取得部32は、データ授受部38が受けたデータの中から、物理メモリカード30の属性に関する属性情報を取得する。属性情報は、例えば、物理メモリカード30のブロックサイズ、最大ブロック数、最大容量、ベンダID、プロダクトID、カードID、プロダクトリビジョンおよびファイル情報テーブル等のデータを含む。メモリ属性取得部32は、取得された属性情報を仮想メモリ生成部34に送る。仮想メモリ生成部34は、属性情報に基づいて仮想メモリカード42を生成する。「仮想メモリカード」とは、HDD12に設定された記憶領域であって、物理メモリカード30と同一の記憶容量およびデータ構造を有するものをいう。なお、物理メモリカードと仮想メモリカードの双方についてあてはまる事項を説明するときは、単に「メモリカード」と記載する。メモリ属性取得部32は、データ授受部38を介して物理メモリカード30のIDを取得する。物理メモリカード30のIDとしては、物理メモリカード30を一意に特定できるものであればどのような情報が用いられてもよい。仮想メモリ生成部34はこのIDを利用して仮想メモリカードを生成する。すなわち、HDD12には、仮想メモリカード42および物理メモリカード30のIDとが、一対一に対応可能な態様で記憶される。これにより、情報処理装置1は、物理メモリカードと仮想メモリカードを一意に対応させることができる。
【0018】
仮想メモリ生成部34は、メモリ属性取得部32から送られた属性情報に基いて、この属性とほぼ同一な属性を有する記憶領域、すなわち仮想メモリカードを生成する。仮想メモリカードは、対応する物理メモリカードと同一のデータ構造を有する。「データ構造」とは、階層構造、例えばフォルダとフォルダの関係やフォルダの中のファイルの関係を含む概念である。仮想メモリカード42は、HDD12内に構築されたデータベース40の所定の領域に生成される。仮想メモリカード42は、各物理メモリカード30に対応して生成される。すなわち、データベース40は、複数の物理メモリカード30に対応する仮想メモリカード42を含んでもよい。例えば、物理メモリカード30a、30b、30c、…に対応する仮想メモリとして、仮想メモリカード42a、42b、42c、…が生成される。以下の説明において、複数の物理メモリカードをのうち特定の一のメモリカードを区別するときは物理メモリカード30a、30b、30c、…のように添字を用いて表す。特に区別の必要のないときは単に物理メモリカード30と表す。仮想メモリカードについても同様である。なお、使用者の指示により、指定された物理メモリカード30に対しては、仮想メモリカード42を作成しないようにしてもよい。
【0019】
データ入出力部36は、物理メモリカード30がマウント状態にあるときは、物理メモリカード30との間でデータを入出力する。「マウント状態」とは、物理メモリカード30が情報処理装置1に装着されており、情報処理装置1が物理メモリカード30にアクセス可能な状態をいう。データ入出力部36は、物理メモリカード30がアンマウント状態にあるときは、仮想メモリカード42との間でデータを入出力する。「アンマウント状態」とは、物理メモリカード30が情報処理装置1に装着されておらず、情報処理装置1が物理メモリカード30にアクセスできない状態をいう。また、物理メモリカード30および仮想メモリカード42は、それぞれ使用可否フラグを有する。使用可否フラグは、情報処理装置1がそのメモリカードにアクセスすることが可能であるか否かを示すフラグである。例えば、仮想メモリカード42の使用可否フラグが「否」であった場合、情報処理装置1は、その仮想メモリカードにデータの入出力を行うことはできない。使用可否フラグは、例えばHDD12に記憶される。
【0020】
物理メモリカード30や仮想メモリカード42に記録されているデータは、例えば使用者が所定の操作を行うことにより、ディスプレイ20に表示される。また、使用者は、マウスやキーボード(入力装置24)を介して、データの入力や、他のデバイスからのデータの移動等を情報処理装置1に指示することができる。
【0021】
仮想メモリ検索部48は、物理メモリカード30が装着されると、データベース40の中から、装着された物理メモリカード30に対応する仮想メモリカード42を検索する。あるいは、仮想メモリ検索部48は、データ授受部38を介してデータ授受可能になったことを確認すると、物理メモリカード30に対応する仮想メモリカード42を検索してもよい。ここで、物理メモリカード30と仮想メモリカード42との対応関係は、両者のIDに基づいて判断される。例えば、両者のIDが一致すると、物理メモリカード30と仮想メモリカード42とが対応すると判断される。物理メモリカード30に対応する仮想メモリカード42が発見できた場合は、その旨を示す情報がデータ同期部46に送られる。
【0022】
データ同期部は、仮想メモリ検索部48からの情報に基づいて、物理メモリカード30に記録されたデータと、仮想メモリカード42に記録されたデータとを同期させる。ここで、ブロックサイズやアドレスなど物理メモリカードに依存した情報は、同期する際に適切に変換される。なお、「同期」とは、物理メモリカード30および仮想メモリカード42のいずれか一方(以下、「同期元」という)の少なくとも一部の記憶内容を、他方(以下、「同期先」という)の記憶内容に一致させることをいう。同期の方法としては、種々の方法が用いられる。例えば、物理メモリと仮想メモリのどちらを同期元とし、どちらを同期先とするかは、あらかじめ決められていてもよい。あるいは、より新しいタイムスタンプが付加されたデータを記憶している装置を同期元とし、より古いタイムスタンプが付加されたデータを記憶している装置を同期先としてもよい。さらにあるいは、使用者の指示に基づいて、同期元および同期先が決定されてもよい。なお、同期の対象となるのは、メモリカードに記憶されたデータすべてではなく、その一部であってもよい。
【0023】
画像関連付け部50は、仮想メモリカード42に対応する画像データを決定する。画像データは、仮想メモリカードおよび物理メモリカードを特定する識別子が結びつく画像データである。例えば、仮想メモリカード42に対応する画像データは、HDD12などにあらかじめ記憶された複数の画像データの中から選択される。選択は使用者により行われる。あるいは、情報処理装置1があらかじめ決められたアルゴリズムに従って自動的に画像データを選択してもよい。選択された画像データは、仮想メモリカード42の所定の領域に画像データ44として記憶される。あるいは、画像データは、仮想メモリカード42以外の領域に、仮想メモリカードと一対一に対応可能なように記憶されてもよい。仮想メモリカードと画像データとは、物理的に同一の記憶装置(例えばHDD12)に記憶されていてもよい。あるいは物理的に異なる記憶装置(例えばHDD12とROM14)に記憶されていてもよい。
以上、情報処理装置1の各機能構成要素を説明したが、これらの機能は、前記したハードウェア資源と、ソフトウェアとが有機的に協働することで実現される。
【0024】
2.情報処理装置1の動作
2−1.メイン処理フロー
図3は、情報処理装置1を駆動する情報処理プログラムの全体の処理を示す図である。ステップS100において、CPU10は、データベース40の中から、使用可否フラグが「可」である仮想メモリカード42を検索する。データベース40の中に、使用可否フラグが「可」である仮想メモリカード42が複数登録されている場合、CPU10は、1つずつ順番に処理対象の仮想メモリカードを特定する。CPU10は、処理対象の仮想メモリカードに対して以下で説明する処理を行う。ここでは、仮想メモリカード42aが処理対象のメモリカードである例について説明する。
【0025】
次に、CPU10は、仮想メモリカード42aに対応する画像データ44aが登録されているか判断する(ステップS102)。対応する画像データ44aが登録されている場合(S102:Yes)、CPU10は、画像データ44aにより示される画像をディスプレイ20上に表示させる(ステップS106)。こうして、仮想メモリカード42aが使用可能であることが使用者に伝えられる。
【0026】
図6(a)および図6(b)は、情報処理装置1にマウントされた機器を示す画面を例示する図である。図6(a)の例では、HDD12を示すイメージ(アイコン)60aと、装着された物理メモリカード30aを示すイメージ65aとが表示されている。また、図6(b)の例では、HDD12を示すイメージ60bと、仮想メモリカード42aを示すイメージ65bとが表示されている。仮想メモリカード42aを示すイメージ65bは、例えば、物理メモリカード30aを示すイメージ65aの背景色を変えたイメージである。イメージ65bは、仮想メモリカード42aに関連付けられた画像データ44aとして記憶されている。使用可否フラグが「可」である仮想メモリカード42が複数登録されている場合、複数のイメージが表示される。複数のイメージは、それぞれ、メモリカードを一意に特定できる情報を含む。また、各イメージは、そのメモリカードが仮想メモリカードであるか物理メモリカードであるかを示す情報を含んでもよい。
【0027】
再び図3を参照して説明する。対応する画像データ44aが登録されていない場合(S102:No)、CPU10は、OSの機能によってあらかじめ用意されているアイコン等をディスプレイ20に表示させる(ステップS104)。こうして、仮想メモリカードが使用可能であることが使用者に伝えられる。
【0028】
ステップS108において、CPU10は、OSの機能に基づいて送られるイベントメッセージを受信する。このプログラムは、OSから送られるイベントメッセージに従い、対応する処理を実行するメッセージ駆動型のプログラムである。
【0029】
イベントメッセージを受信した場合、CPU10は、受信したイベントメッセージの内容を解読する(ステップS110)。例えば、イベントメッセージの内容が、物理メモリカード30のマウントを示すメッセージであった場合(S110:1)、CPU10は、メモリカードマウント処理(ステップS120)を行う。CPU10は、メモリカードマウント処理を完了すると、処理を再びステップS100に移行する。なお、メモリカードマウント処理の詳細は後述する。メモリカードのマウントを示すイベントメッセージは、例えば、物理メモリカード30が情報処理装置1に物理的に装着されたことを契機として生成されてもよい。あるいは、メモリカードのマウントを示すイベントメッセージは、使用者の指示に基づいて生成されてもよい。
【0030】
イベントメッセージの内容が、物理メモリカード30のアンマウントを示すメッセージであった場合(S110:2)、CPU10は、メモリカードアンマウント処理(ステップS140)を実行する。メモリカードアンマウント処理を実行すると、CPU10は、処理を再びステップS100に移行する。なお、メモリカードアンマウント処理の詳細は後述する。メモリカードのアンマウントを示すイベントメッセージは、例えば、物理メモリカード30が情報処理装置1から取り外されたことを契機として生成されてもよい。あるいは、メモリカードのアンマウントを示すイベントメッセージは、使用者の指示に基づいて生成されてもよい。
【0031】
イベントメッセージの内容が、メモリカードに対するデータの入出力を示すメッセージであった場合(S110:3)、CPU10は、指定されたメモリカードに対し、データの読み出しまたはデータの書き込みを行う(ステップS160)。データの入出力が行われると、メモリカードを示す画像は、データが変更されたことを示すものに変更されてもよい。
【0032】
イベントメッセージの内容が、プログラムの終了を示すメッセージであった場合(ステップS110:4)、CPU10は、図3に示される処理を終了する。イベントメッセージの内容が、上記何れの内容(ステップS110の1〜4)にも該当しない場合、CPU10は、処理をステップS108に移行する。
【0033】
図6(a)および図6(b)では、物理メモリカードの画像と仮想メモリカードの画像のいずれか一方と、HDD12を示すイメージが同一の領域に表示された。図6(a)においては、物理メモリカードとHDD12は、ともに実存する記憶装置が情報処理装置に接続され使用可能な状態にあり、従来の方法と一致する。また、図6(b)においては、仮想メモリカードの画像の背景色を物理メモリカードとは異なる画像を用いて表示することで、物理メモリカードとの差異を明確に表示した上で、仮想メモリカードの画像とHDD12を示すイメージを同一の領域に表示した。しかし、図6(c)に示されるように、実存する記憶装置に直接アクセスできる物理メモリカードおよびHDD12と、実存する記憶装置には間接的アクセスする仮想メモリカードを区分して表示してもよい。図6(c)の例では、画像は、実存するドライブ領域(Mounted Volumes)と、仮想のドライブ領域(Virtual Volumes)とに区分して表示される。HDD12を示すイメージ60cと、物理メモリカード(ID:A)を示すイメージ65cとが、実存するドライブ領域に表示される。仮想メモリカードを示すメモリカード(ID:B)のイメージ68cが仮想のドライブ領域に表示される。情報処理装置1は、使用者の操作に応じて、各デバイスに記録されているデータの詳細な情報を表示することができる。例えば、使用者は、図6(a)〜(c)に表示された種々のデバイスのイメージ(60,65,68)をマウス等で選択することにより、選択したデバイスに記録されているデータの詳細な情報を表示させることができる。
【0034】
2−2.メモリカードマウント処理
図4は、メモリカードマウント処理の詳細を示すフローチャートである。ここでは、物理メモリカード30aが装着されている例について説明する。ステップS122において、CPU10は、物理メモリカード30aのIDを取得する。詳細には、CPU10は、物理メモリカード30aの属性情報を取得する。CPU10は、取得した属性情報から、物理メモリカード30aのIDを抽出する。
【0035】
次に、CPU10は、データベース40において、物理メモリカード30aと同一のIDを有する仮想メモリカード(仮想メモリカード42a)が存在するか判断する(ステップS124)。
【0036】
同一のIDを有する仮想メモリカードが存在すると判断された場合(S124:Yes)、CPU10は、物理メモリカード30aの記録データと、仮想メモリカード42aの記録データとを同期する(ステップS126)。次に、CPU10は、仮想メモリカード42aを使用不可状態に遷移させる(ステップS128)。すなわち、CPU10は、仮想メモリカード42aの使用可否フラグを、「否」に書き換える。この結果、図6(b)のイメージ65bは、表示されなくなる。また、仮想メモリカード42aへのデータの入出力すなわちアクセスも不可能になる。続いて、CPU10は、物理メモリカード30aを使用可能状態に遷移させる(ステップS136)。すなわち、CPU10は、物理メモリカード30aの使用可否フラグを、「可」に書き換える。また、CPU10は、物理メモリカード30aが使用可能であることを示すイメージを、ディスプレイ20に表示させる。物理メモリカード30aが使用可能になると、CPU10は、図4の処理を終了する。この結果、図6(a)のように、物理メモリカード30aを示すイメージ65aがディスプレイ20上に表示される。こうして、物理メモリカード30aに対してデータの入出力が可能になる。
【0037】
同一のIDを有する仮想メモリカードが存在しないと判断された場合(S124:No)、CPU10は、新たな仮想メモリカード(仮想メモリカード42a)を生成する(ステップS132)。仮想メモリカード42aは、IDを含め、物理メモリカード30aの属性とほぼ同一な属性、つまり同一のデータ構造を有する。続いて、CPU10は、物理メモリカード30aに記録されたデータを、仮想メモリカード42aにコピーする(ステップS134)。次に、CPU10は、物理メモリカード30aを使用可能状態に遷移させる(ステップS136)。すなわち、CPU10は、物理メモリカード30aの使用可否フラグを、「可」に書き換える。物理メモリカード30aが使用可能になると、CPU10は、図4の処理を終了する。
【0038】
2−3.メモリカードアンマウント処理
図5は、メモリカードアンマウント処理の詳細を示すフローチャートである。ここでは、物理メモリカード30aが装着されている例について説明する。ステップS142において、CPU10は、物理メモリカード30aの情報を、対応する仮想メモリカード42aにコピーする(ステップS142)。すなわち、物理メモリカード30aの情報は、データベース40に反映される。
【0039】
次に、CPU10は、物理メモリカード30aを、使用不可状態に遷移させる(ステップS144)。すなわち、CPU10は、物理メモリカード30aの使用可否フラグを、「否」に書き換える。CPU10は、使用者に対して、物理メモリカード30aの装着を解除できる旨のメッセージをディスプレイ20に表示させる。使用者は、このメッセージを受けて、物理メモリカード30aを情報処理装置1から取り外す。使用可否フラグが「否」になると、または、物理メモリカード30aが情報処理装置1から物理的に取り外されると、物理メモリカード30aを示すメモリカードのイメージ65a(図6(a))は、ディスプレイ20に表示されなくなる。
【0040】
続いて、CPU10は、データベース40において、使用不可状態に変更された物理メモリカード30aに対応する仮想メモリカード42、すなわち、物理メモリカード30aと同一のIDを有する仮想メモリカード42aを検索する(ステップS146)。
【0041】
次に、CPU10は、検出された仮想メモリカード42aに対応する画像データ44aが登録されているか判断する(ステップS148)。画像データ44aが登録されていると判断された場合(S148:Yes)、CPU10は、登録されている画像データに従って、ディスプレイ20に画像を表示させる(ステップS152および図6(b))。また、CPU10は、仮想メモリカード42aの使用可否フラグを「可」に書き換える。こうして、仮想メモリカード42aが使用可能であることが使用者に伝えられる。登録されている画像がディスプレイ20上に表示されると、CPU10は、図5に示される処理を終了する。
【0042】
画像データ44aが登録されていないと判断された場合(S148:No)は、CPU10は、OSに標準添付されたアイコン等を、仮想メモリカードを示す画像としてディスプレイ20に表示させる(ステップS150)。また、CPU10は、仮想メモリカード42の使用可否フラグを「可」に書き換える。こうして、仮想メモリカード42aが使用可能であることが使用者に伝えられる。画像がディスプレイ20上に表示されると、CPU10は、図5に示される処理を終了する。
【0043】
以上述べた情報処理プログラムの処理により、物理メモリカード30が装着されていない際に授受されたデータは、物理メモリカード30が装着された際に、所定の規則に従い同期される。同期は、使用者の操作によらずに開始される。したがって、使用者は、物理メモリカード30の装着の有無に関係無く、情報処理装置1に対して、常に物理メモリカード30が装着されているようにデータを使用することができる。
【0044】
3.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
【0045】
(1)画像関連付け部50で仮想メモリカード42に対して関連付けられる画像は、あらかじめ情報処理装置1に記憶されている画像に限定されない。例えば、この画像は、物理メモリカード30の外観から生成されても良い。即ち、スキャナやCCDカメラにより取り込んだ、物理メモリカード30のラベル等の画像が、メモリカードを示す画像として採用されてもよい。
【0046】
(2)上述の実施形態においては、単一の装置が図1に示されるハードウェア構成および図2に示される機能構成を有していた。しかし、複数の装置を含むシステムが、全体として、図1に示されるハードウェア構成および図2に示される機能構成を有してもよい。例えば、情報処理装置と、情報通信端末に接続された携帯情報端末とを含むシステムが、上記の機能を有してもよい。この場合、例えば、物理メモリカード30の情報を授受する機能は、携帯情報端末が有していてもよい。
【0047】
(3)記録媒体と情報処理装置との間のデータの授受は、電気的な接触による方式に限定されない。光や電波等の電磁波や音波を媒体とした方法が用いられてもよい。あるいは、電磁誘導を利用した非接触な情報の授受方式が用いられてもよい。
【0048】
(4)上述の実施形態においては、記録媒体として物理メモリカード30が用いられた。また、情報処理装置1は、物理メモリカード30を制御するため、メモリカードコントローラ26を有していた。しかし、記録媒体は、入出力I/F22に直接接続される記録媒体であってもよい。例えば、フラッシュメモリ、フラッシュメモリコントローラおよびUSBインターフェースを有するUSBメモリが、記録媒体として用いられてもよい。この場合、記録媒体のIDとして、製品の製造番号(シリアルナンバー)が用いられてもよい。
【0049】
(5)上述の実施形態においては、ディスプレイ20に、物理メモリカードまたは仮想メモリカードを示す画像が表示された。これらの画像は、物理メモリカードまたは仮想メモリカードの状態に応じて変化されてもよい。例えば、物理メモリカードがアンマウントされ、仮想メモリカードがマウントされている状態で、仮想メモリカードに対して書き込みが行われた場合を想定する。この場合、物理メモリカードのデータと、仮想メモリカードのデータとが一致しない可能性が高い。このように、ある条件が満たされたとき、CPU10は、物理メモリカードのデータと仮想メモリカードのデータとが一致しない可能性があることを示す画像をディスプレイ20に表示してもよい。例えば、あらかじめ記憶されている画像が、メモリカードを示す画像に重畳して表示されてもよい。
【0050】
(6)上述の実施形態において、情報処理装置1は、1枚の物理メモリカードを装着可能なインターフェースを有していた。しかし、情報処理装置1は、複数枚の物理メモリカードを装着可能なインターフェースを有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】一実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成を示す図である。
【図2】情報処理装置1の機能構成を示すブロック図である。
【図3】情報処理装置1の動作を示すフローチャートである。
【図4】メモリカードマウント処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】メモリカードアンマウント処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】ディスプレイ20に表示される画面を例示する図である。
【符号の説明】
【0052】
1…情報処理装置、10…CPU、12…HDD、14…ROM、16…RAM、18…グラフィックコントローラ、20…ディスプレイ、22…入出力I/F、24…入力装置、26…メモリカードコントローラ、28…バス、30…メモリカード、32…メモリ属性取得部、34…仮想メモリ生成部、36…データ入出力部、38…データ授受部、40…データベース、42…仮想メモリカード、44…画像データ、46…データ同期部、48…仮想メモリ検索部、50…画像関連付け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を着脱可能なインターフェースと、
データを記憶するデータ記憶手段と、
前記インターフェースを介して接続された前記記録媒体に記録されたデータを、前記記録媒体のデータ構造で抽出するデータ抽出手段と、
前記データ抽出手段により抽出されたデータを、抽出されたデータ構造で、前記記録媒体を特定する識別子とともに前記データ記憶手段に記憶させる制御手段と
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記インターフェースを介して接続されている前記記録媒体のデータの少なくとも一部を、前記データ記憶手段に記憶されたデータのうち前記記憶媒体に対応するデータの少なくとも一部に一致させるデータ同期手段
を有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記データ記憶手段に記憶されたデータのうち前記記憶媒体に対応するデータの少なくとも一部を、前記インターフェースを介して接続されている前記記録媒体のデータの少なくとも一部に一致させるデータ同期手段
を有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段により前記データ記憶手段に記憶された、前記抽出されたデータおよび前記記録媒体を特定する前記識別子が結びつく画像データを記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段に記憶された画像データを表示する表示手段と
を有する請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記データ記憶手段が、複数の記録媒体に対応するデータを記憶し、
前記画像記憶手段に記憶された画像データのうち、前記インターフェースを介して接続されている記録媒体に対応する画像データを、その記録媒体が装着状態にあることを示す画像に変更する画像変更手段を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記録媒体が、カード型記録媒体であることを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
記録媒体を着脱可能なインターフェースおよびデータを記憶するデータ記憶手段を有する情報処理装置におけるデータ処理方法であって、
前記インターフェースを介して接続された前記記録媒体に記録されたデータを、前記記録媒体のデータ構造で抽出するデータ抽出ステップと、
前記抽出されたデータを、抽出されたデータ構造で、前記記録媒体を特定する識別子とともに前記データ記憶手段に記憶させる制御ステップと
を有するデータ処理方法。
【請求項8】
記録媒体を着脱可能なインターフェースおよびデータを記憶するデータ記憶手段を有する情報処理装置に、
前記インターフェースを介して接続された前記記録媒体に記録されたデータを、前記記録媒体のデータ構造で抽出するデータ抽出ステップと、
前記抽出されたデータを、抽出されたデータ構造で、前記記録媒体を特定する識別子とともに前記データ記憶手段に記憶させる制御ステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−66296(P2007−66296A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192675(P2006−192675)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】