情報処理装置、位置記録方法、及びプログラム
【課題】消費電力を低減しながら位置情報を記録することができる情報処理装置、位置記録方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置10は、当該情報処理装置の主な機能を実現する通常動作モード、および上記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを切替えて動作する主機能部109と、現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部101と、上記主機能部が上記省電力モードに切替えられた状態で、上記位置取得部により取得された位置情報を、上記位置情報が取得された時刻と対応づけた移動軌跡情報を第1の記憶部に記録させるロギングコントローラ103と、を有する。
【解決手段】情報処理装置10は、当該情報処理装置の主な機能を実現する通常動作モード、および上記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを切替えて動作する主機能部109と、現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部101と、上記主機能部が上記省電力モードに切替えられた状態で、上記位置取得部により取得された位置情報を、上記位置情報が取得された時刻と対応づけた移動軌跡情報を第1の記憶部に記録させるロギングコントローラ103と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、位置記録方法、及びプログラムに関し、特に、消費電力を低減しながら位置を記録することのできる、情報処理装置、位置記録方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、主に携帯型デジタル機器において、位置情報を取得する機能を有する装置が普及している。例えば、ナビゲーション装置及び携帯電話などにおいては、取得した位置情報を用いて、目的地までの経路を案内することができる。また、デジタルカメラにおいては、取得した位置情報を用いて、映像を撮像した場所を知ることができる。
【0003】
また、位置情報を取得する機能が、携帯することのできる小型のデジタル機器に搭載されるようになり、位置情報の履歴は、ユーザの行動を把握するために重要な情報となってきている。このため、位置情報を時刻情報と対応づけて、移動軌跡情報として記録する装置が登場してきている。例えば、特許文献1には、位置情報を記録する機能を有するGPS(Global Positioning System)装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−091290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、移動軌跡情報の記録を定期的に長時間行おうとすると、消費電力量が増大するという問題があった。このため、上記特許文献1に記載のGPS装置は、位置記録専用の装置であった。ところが、移動軌跡情報の記録だけのために別途の装置を携帯することは、ユーザにとって煩わしい。このため、ナビゲーション装置、携帯電話、及びデジタルカメラ等、他にメインの機能を有する既存の装置の付加機能として、消費電力を低減しながら位置情報を記録するための手法が求められていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、消費電力を低減しながら位置情報を記録することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、位置記録方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、当該情報処理装置の主な機能を実現する通常動作モード、および上記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを切替えて動作する主機能部と、現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、上記主機能部が上記省電力モードに切替えられた状態で、上記位置取得部により取得された位置情報を、上記位置情報が取得された時刻と対応づけた移動軌跡情報を第1の記憶部に記録させるロギングコントローラと、を有する情報処理装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、主機能部が省電力モードである状態で、移動軌跡情報を記録することができる。このため、情報処理装置が移動軌跡情報を記録するときにかかる消費電力が低減される。つまり、所定の電力量で移動軌跡情報を記録することのできる記録時間が延長される。従って、バッテリ駆動の情報処理装置に適用すれば、主機能部により実現される機能を利用するための電力量への影響を低減しながら移動軌跡情報を記録することができる。
【0009】
また、当該情報処理装置の移動を検知するセンサである検知部をさらに有し、上記ロギングコントローラは、上記位置取得部の取得する位置情報に基づいて現在位置が所定時間以上変化していないことを検出すると、上記検知部が当該情報処理装置の移動を検知するまで、上記位置取得部の電源を落として上記移動軌跡情報の記録を中断してもよい。
【0010】
また、上記ロギングコントローラは、上記通常動作モード及び上記省電力モードを有し、上記移動軌跡情報の記録をしていないときに、当該ロギングコントローラを上記省電力モードに切替えてもよい。
【0011】
また、上記移動軌跡情報の記録頻度に応じた周期で点滅する発光部をさらに有してもよい。
【0012】
また、上記主機能部は、当該主機能部が上記省電力モードに切替わる前に、ユーザが通知を受けたい地点として設定した通知地点の情報を上記ロギングコントローラに設定し、上記ロギングコントローラは、当該情報処理装置の現在位置が上記通知地点から所定の範囲内に近づくと、上記主機能部を上記通常動作モードに切替えてもよい。
【0013】
また、上記主機能部は、上記ロギングコントローラが上記通知地点から所定の範囲内であることを検知して上記通常動作モードに切替えられると、上記通知地点に近づいたことを通知する通知部を有してもよい。
【0014】
また、上記主機能部は、上記省電力モードで上記ロギングコントローラが移動軌跡情報を記録した後、上記通常動作モードに切替えられると、上記第1の記憶部に記憶された移動軌跡情報の解析結果を含む画面を表示させてもよい。
【0015】
また、上記主機能部は、当該主機能部を上記省電力モードに切替える前に、上記第1の記憶部の空き容量が所定の閾値以下であるとき、上記第1の記憶部に記憶された移動軌跡情報を複製して第2の記憶部に記憶し、上記第1の記憶部に記憶された移動軌跡情報を消去してもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、通常動作モード及び上記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを有し、当該情報処理装置の主な機能の動作を実現する主機能部の有するメインコントローラが、ロギングコントローラに現在位置を示す位置情報と当該位置情報が取得された時刻とが対応づけられた移動軌跡情報の取得頻度を設定するステップと、上記メインコントローラが、上記主機能部を上記省電力モードに切替えるステップと、上記主機能部が上記省電力モードの状態で、上記ロギングコントローラが上記位置情報を取得させるステップと、上記ロギングコントローラが、取得された上記位置情報に基づいて、上記移動軌跡情報を記録させるステップとを含む、位置記録方法が提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、通常動作モード及び上記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを有し、当該情報処理装置の主な機能の動作を実現する主機能部と、現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、上記主機能部が上記省電力モードの状態で、上記位置取得部により取得された位置情報を、上記位置情報が取得された時刻と対応づけた移動軌跡情報を第1の記憶部に記録させるロギングコントローラとを有する、情報処理装置として機能させるための、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、消費電力を低減しながら移動軌跡情報を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態に係るPNDの外観図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るPNDの機能ブロック図である。
【図3】図2の機能ブロック図をより詳細に示したブロック図である。
【図4】同実施形態に係るPNDの状態遷移図である。
【図5】同実施形態に係るPNDの通常モードについての説明図である。
【図6】同実施形態に係るPNDのコマンドモードについての説明図である。
【図7】同実施形態に係るPNDのロギング専用モードについての説明図である。
【図8】同実施形態に係るPNDのロギング専用モードでのロギング開始時のPNDの動作の説明図である。
【図9】同実施形態に係るPNDのメインシステムのロギング開始準備動作を示すフローチャートである。
【図10】同実施形態に係るPNDのメインシステムのロギング開始処理の動作を示すフローチャートである。
【図11】同実施形態に係るPNDのロギング中の発光部の点滅についての説明図である。
【図12】同実施形態に係るPNDのロギングコントローラのロギング処理の動作を示すフローチャートである。
【図13】同実施形態に係るPNDのロギングコントローラの割込みハンドル処理の動作を示すフローチャートである。
【図14】同実施形態に係るPNDのロギング終了処理についての説明図である。
【図15】同実施形態に係るPNDのメインシステム復帰処理の動作を示すフローチャートである。
【図16】同実施形態に係るPNDのメインシステムの復帰後処理の動作を示すフローチャートである。
【図17】同実施形態に係るPNDの通知オプションの設定についての説明図である。
【図18】同実施形態に係るPNDの通知ポイントにおける通知方法についての説明図である。
【図19】同実施形態に係るPNDの通知オプションを設定する場合のメインシステムのロギング開始処理の動作を示すフローチャートである。
【図20】同実施形態に係るPNDの通知オプションが設定された場合のロギングコントローラの割込みハンドル処理の動作を示すフローチャートである。
【図21】同実施形態に係るPNDの通知オプションが設定された場合のメインシステムの復帰後処理の動作を示すフローチャートである。
【図22】本発明の第2の実施形態に係るPNDの機能構成を示すブロック図である。
【図23】同実施形態に係るPNDのオプション設定画面を示す説明図である。
【図24】同実施形態に係るPNDのオプション設定の概要を示す説明図である。
【図25】同実施形態に係るPNDのスタミナロギングモードについての説明図である。
【図26】同実施形態に係るPNDの静止モードについての説明図である。
【図27】同実施形態に係るPNDのメインシステムのロギング開始処理の動作を示すフローチャートである。
【図28】同実施形態に係るPNDのロギングコントローラの割込みハンドル処理の動作を示すフローチャートである。
【図29】従来のPNDの機能構成を示すブロック図である。
【図30】従来のロギング専用端末の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
1−1.構成
1−2.動作モード
1−3.第1の動作例
1−4.第2の動作例
2.第2の実施形態(ロギング専用モード中さらに省電力モードで動作する例)
2−1.構成
2−2.動作モード
2−3.動作例
3.使用コマンド例
【0022】
<1.第1の実施形態>
[1−1.構成]
まず、本発明の第1の実施形態に係るPND10aの構成について図1〜図3、及び図29〜図30を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1及び第2の実施形態に係るPNDの外観図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係るPNDの機能ブロック図である。図3は、図2の機能ブロック図をより詳細に示したブロック図である。図29は、従来のPNDの機能構成を示すブロック図である。図30は、従来のロギング専用端末の機能構成を示すブロック図である。
【0023】
なお、本明細書及び図面において、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態に係るPNDを特に区別する必要がない場合、及び第1の実施形態及び第2の実施形態に共通する要素を説明する場合には、PND10と記載される。また、第1の実施形態及び第2の実施形態のいずれかについて説明する場合には、必要に応じてPND10a、およびPND10bのように区別して記載される。
【0024】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の一例であるPND10の外観例が示される。PND10は、目的地までの経路を案内するナビゲーション機能、及び位置情報を記録するロギング機能を有し、位置情報に対応付けられた各種の情報をユーザに提供することができる。PND10は、その前面に各種の情報を提供する情報提供画面を含む画像を表示する表示部12を有し、車両のダッシュボード上に吸盤16を介して取付けられたクレードル14によってその筐体が保持される。PND10は、クレードル14に容易に取付けることができるとともに、取り外しすることも可能である。
【0025】
また、PND10は、押下することによってPND10自身の電源をON/OFFすることのできるスイッチ11と、各種の色及び点灯パターンで発光する発光部13とを有する。発光部13は、例えばPND10が通常動作モードで動作しているときには、緑色に点灯する。また、発光部13は、PND10がロギング専用モードで動作している間、移動軌跡情報の記録頻度に応じた周期で点滅する。
【0026】
次に図2を参照すると、本発明の第1の実施形態に係るPND10aの機能構成が示される。PND10aは、GPSモジュール101と、ロギングコントローラ103と、ロギング用記憶装置105と、メインシステム109とを主に有する。このPND10aの構成について説明するために、従来のPND80及び従来のロギング専用端末90の機能構成について、図29及び図30を参照しながら説明される。
【0027】
図29に示される従来のPND80は、GPSモジュール801とメインシステム809とを主に有する。位置情報と当該位置情報が取得された時刻とを対応づけて蓄積した移動軌跡情報は、近年、ユーザの行動範囲及びユーザの行動パターンを知る上で、重要な情報となっている。位置情報が頻繁に記録されるほど、詳細にユーザの行動範囲及びユーザの行動パターン等を知ることができる。ところが、同時に、位置情報が頻繁に記録されるほど、消費電力量は増大する。PND80は車両と取り外ししてバッテリ駆動にて動作することができる。例えばユーザの行動範囲及び行動パターンを詳細に知るためには、徒歩又は自転車等で移動しているバッテリ駆動時の位置情報も取得することが好ましい。ところが、従来のPND80は、位置情報を記録するためにメインシステムが駆動している必要がある。このため、PND80がバッテリ駆動している時は、位置情報を長時間記録することが困難であった。
【0028】
また、図30に示される従来のロギング専用端末90は、ロギング専用の端末装置である。例えば、ロギング専用端末90は、GPSモジュール901と、ロギングコントローラ903と、記憶装置905とを有する。ここで、「ロギング専用」とは、例えばナビゲーション装置又は携帯電話などの付加機能としてロギング機能を有する装置と区別するために用いられる用語である。すなわち、「ロギング専用」とは、ロギング機能が主な機能であることを意味する。この場合には、ユーザは、ロギング機能を利用するだけのためにロギング専用端末90を携帯する必要があった。つまり、ユーザが携帯電話又はナビゲーション装置の機能を利用したい場合には、携帯電話又はナビゲーション装置に加えて、ロギング専用端末90を携帯する必要があった。
【0029】
これに対し、本実施形態に係るPND10は、位置情報を取得するGPSモジュール101とメインシステム109との間に、独立した記憶領域であるロギング用記憶装置105を用いるロギングコントローラ103を有する。このため、PND10は、メインシステム109がスリープ状態であっても、ロギングコントローラ103がGPSモジュール101を制御して移動軌跡情報の記録を行うことができる。メインシステム109は、表示部12の制御やナビゲーション機能等多くの機能を扱うため、動作するために多くの電力を消費する。これに対し、ロギングコントローラ103は、移動軌跡情報の記録に特化した機能を有する。このため、メインシステム109が直接GPSモジュール101を制御して位置情報を記録する場合と比較して、ロギングコントローラ103がGPSモジュール101を制御して位置情報を記録する方が消費電力は小さい。メインシステム109がスリープ状態で位置情報を記録するロギング専用モードで動作することにより、PND10は、移動軌跡情報の記録にかかる消費電力を低減することができ、位置情報を長時間記録することが可能となる。
【0030】
ここで、図3を参照して、PND10aの詳細な構成の一例について説明する。PND10aは、GPSモジュール101と、ロギングコントローラ103と、ロギング用記憶装置105と、メインシステム109とを主に有する。
【0031】
GPSモジュール101は、現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部の一例であるGPS受信機の機能を有する。具体的には、GPSモジュール101は、GPSアンテナ112とGPS処理部132とを主に有する。
【0032】
GPSアンテナ112は、複数のGPS衛星からのGPS信号を受信するアンテナである。GPSアンテナ112は、受信したGPS信号をGPS処理部132に入力する。なお、ここで受信されるGPS信号には、当該GPS信号を送信したGPS衛星の軌道を示す軌道データと、GPS信号の送信時刻などの情報が含まれている。
【0033】
また、GPS処理部132は、GPSアンテナ112から入力された複数のGPS信号に基づいて、当該PND10aの現在位置を示す位置情報を算出する。具体的には、GPS処理部132は、複数のGPS信号をそれぞれ復調することにより得られる軌道データに基づいて各GPS衛星の位置を算出する。そして、GPS処理部132は、GPS信号の送信時刻と受信時刻との差分に基づいて、各GPS衛星から当該PND10aまでの距離を算出する。そして、GPS処理部132は、算出された各GPS衛星の位置と、各GPS衛星から当該PND10aまでの距離とに基づいて、PND10aの現在の3次元位置を算出する。
【0034】
なお、このGPSモジュール101は、設定された頻度で位置情報を取得してロギングコントローラ103に位置情報を伝えることができる。なお、GPSモジュール101とロギングコントローラ103とは、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、I2C(Inter−Integrated Circuit)、USB(Universal Serial Bus)、SPI(Serial Peripheral Interface)、Bluetooth(登録商標)などにより接続される。以下、UARTを用いた例について説明する。
【0035】
ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101とメインシステム109との間に配置され、ロギング専用モードにおけるPND10aの移動軌跡情報の記録を制御する機能を有する。PND10aがロギング専用モードで動作するとき、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101を制御することにより、所望の周期で位置情報を取得する。そして、ロギングコントローラ103は、取得した位置情報を、当該位置情報を取得した時刻と対応付けてロギング用記憶装置105に記憶する。なお、以下の説明中において、位置情報を当該位置情報が取得された時刻と対応づけた情報を移動軌跡情報と称する。また、PND10aが通常モードで動作するとき、ロギングコントローラ103は透過的に振舞う。すなわち、ロギングコントローラ103は、メインシステム109からの位置情報取得要求を受信すると、受信した位置情報取得要求をそのままGPSモジュール101に入力する。また、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101から位置情報を受信すると、受信した位置情報をそのままメインシステム109に入力する。
【0036】
ロギング用記憶装置105は、ロギングコントローラ105により制御されて動作する第1の記憶装置の一例である。ロギング用記憶装置104は、メインシステム109とは独立した記憶領域を有する。ロギング用記憶装置105は、例えば、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置、および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含むことができる。ここで記憶媒体は、例えばFlash ROM(又はFlash Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、などの不揮発性メモリ、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスク、CD(Compact Disc)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))などの光ディスク、並びに、MO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。
【0037】
メインシステム109は、PND10aの主な機能を動作するための主機能部の一例である。メインシステム109は、表示部12と、記憶部102と、操作部104と、音声出力部106と、ナビゲーション部150とを主に有する。なお、メインシステム109とロギングコントローラ103とは、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、I2C(Inter−Integrated Circuit)、USB(Universal Serial Bus)、SPI(Serial Peripheral Interface)、Bluetooth(登録商標)などにより接続される。以下、UARTを用いた例について説明する。
【0038】
表示部12は、PND10aの前面に設けられる表示装置である。表示部12は、例えば、地図データに現在位置を示す情報を重畳した画面を出力する。この表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置であってもよい。
【0039】
記憶部102は、PND10aが動作するためのプログラムや、地図データなどを記憶する第2の記憶装置の一例である。記憶部102は、例えば、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置、および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含むことができる。ここで記憶媒体は、例えばFlash ROM(又はFlash Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、などの不揮発性メモリ、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスク、CD(Compact Disc)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))などの光ディスク、並びに、MO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。
【0040】
記憶部102は、移動軌跡情報を記憶することもできる。この移動軌跡情報は、例えば、PND10aが通常モードで動作しているときには、ナビゲーション部150の有するロギング制御機能がGPSモジュール101から取得した位置情報と取得時刻とを対応づけたものである。また、記憶部102に記憶される移動軌跡情報は、ロギング専用モードにおいて、ロギング用記憶装置105に記憶された移動軌跡情報をナビゲーション部150のロギング制御機能により取得したものであってもよい。
【0041】
操作部104は、ユーザによる操作指示を受付け、その操作内容をナビゲーション部150に出力する。ユーザによる操作指示としては、例えば、目的地の設定、地図の拡大および縮小、音声案内設定、画面表示設定などが挙げられる。この操作部104は、表示部12と一体的に設けられるタッチスクリーンであってもよい。或いは、操作部104は、ボタン、スイッチ、およびレバーなど、表示部12と分離して設けられる物理的構成であってもよい。また、操作部104は、リモートコントローラから送信されたユーザによる操作指示を示す信号を検出する信号受信部であってもよい。
【0042】
音声出力部106は、音声データを出力する出力装置であり、例えば、スピーカなどである。この音声出力部106は、例えば、ナビゲーションにかかる音声ガイダンスを出力する。ユーザは、この音声ガイダンスを聞くことにより表示部12を見なくても進むべき経路を知ることができる。
【0043】
ナビゲーション部150は、メインシステム109全体の機能を制御する機能を有する。ナビゲーション部150は、例えば、表示部12の表示画面を制御する表示制御部、操作部104による操作情報に基づいて設定された目的地への経路を案内するナビゲーション処理部、通常モードにおいてPND10aの移動軌跡情報の記録を制御するロギング制御部の機能を主に有する。
【0044】
このメインシステム109は、標準の消費電力で動作する通常状態(通常動作モード)と、通常状態より低い消費電力で動作するスリープ状態(省電力モード)とを有する。例えば、スリープ状態は、メモリの内容を保持したままハードウェアの電源が切られた状態である。シャットダウンされた状態から起動する場合には、PND10aが動作するためのプログラムを改めて読み出す必要があるため利用状態に復帰するまでに時間がかかる。一方、スリープ状態は、シャットダウンされた状態とは異なり、通常状態に戻るときにプログラムを改めて読み出す必要がないため、利用状態に復帰するまでの時間が短い。また、メインシステム109は、スリープ状態において、ロギングコントローラ103の制御に従って通常状態に切替えることができる。
【0045】
以上、本実施形態に係るPND10aの機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0046】
なお、上述のような本実施形態に係るPND10a各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0047】
[1−2.動作モード]
次に、PND10aの動作モードについて図4〜図7を参照しながら説明する。図4は、同実施形態に係るPNDの状態遷移図である。図5は、同実施形態に係るPNDの通常モードについての説明図である。図6は、同実施形態に係るPNDのコマンドモードについての説明図である。図7は、同実施形態に係るPNDのロギング専用モードについての説明図である。
【0048】
PND10aのメインシステム109が通常状態とスリープ状態とを有することは上述したが、PND10aは、次に説明する動作モードを有する。各モード間の遷移の様子が図4に示される。
【0049】
PND10aは、通常モードと、ロギング専用モード、及びコマンドモードを主に有する。コマンドモードは、ロギング用記憶装置105に記憶された移動軌跡情報を読込むためにもちられる読込みコマンドモードと、メインシステム109がロギングコントローラ103に指示するために用いられる書込みコマンドモードと、をさらに有する。また、ロギング専用モードから通常モードに遷移するときには、PND10aは、GPSロガー割込み処理中のステータスで動作することもできる。
【0050】
上記動作モードのうち、ロギング専用モードは、メインシステム109がスリープ状態である動作モードである。通常モード、コマンドモード、及びGPSロガー割込み処理中においては、メインシステム109は通常状態である。
【0051】
PND10aは、通常モードからロギング専用モードに遷移する前に、例えばロギング用記憶装置105に十分な空き容量があるか否かを確認する。そして、空き容量が不足している場合には、PND10aは、通常モードから読込コマンドモードに遷移して、ロギング用記憶装置105に記憶された移動軌跡情報を吸出す。即ち、メインシステム109は、ロギング用記憶装置105に記憶された移動軌跡情報を読込んでメインシステム109内の記憶部102に記憶させる。PND10aは、データの移行が済むと通常モードに遷移する。
【0052】
そして、メインシステム109は、メインシステム109をスリープ状態に切替える前に、ロギングコントローラ103に割込み条件を設定する。このときPND10aは、通常モードから書込コマンドモードに遷移する。書込コマンドモードの状態でPND10aはロギングコントローラ103にメインシステム109が復帰するための条件等を設定すると、メインシステム109は、メインシステム109をスリープ状態に切替える。そしてPND10aは、書込コマンドモードからロギング専用モードに遷移する。
【0053】
なお、PND10aの状態が事前に設定された条件に合致した場合には、ロギングコントローラ103は、メインシステム109を通常状態に切替えて、割込み処理を行う。このGPSロガー割込み処理中のステータスにおいて、本当にロギング専用モードから通常モードに戻るか、或いは、再びロギング専用モードに戻るかが判断される。
【0054】
以上説明したようにPND10aの動作モードは遷移する。ここで、各動作モードの特徴について改めて説明する。
【0055】
(通常モード)
通常モードは、PND10aの標準的な動作モードである。PND10aが通常モードで動作しているとき、メインシステム109は通常状態である。図5を参照すると、通常モードにおいてPND10aは、GPSモジュール101、ロギングコントローラ103、及びメインシステム109に電力が供給されている。一方、通常モードにおいてロギング用記憶装置105は使用されないため、ロギング用記憶装置105には電力が供給されなくてもよい。PND10aが通常モードで動作するとき、ロギングコントローラ103は、透過的に振舞う。すなわち、PND10aが通常モードで動作するときに移動軌跡情報を生成するためには、GPSモジュール101により取得された位置情報は、ロギングコントローラ103を介してメインシステム109に入力される。
【0056】
(コマンドモード)
コマンドモードは、PND10aのメインシステム109がロギングコントローラに対して指示コマンドを入力するための動作モードである。図6を参照すると、コマンドモードにおいてPND10aは、GPSモジュール101、ロギングコントローラ103、ロギング用記憶装置105、及びメインシステム109の全てに電力が供給されている。コマンドモードは、読込コマンドモードと書込コマンドモードとを有する。読込コマンドモードは、ロギング用記憶装置105に記憶されたデータを読込むための動作モードである。メインシステム109は、ロギングコントローラ103に対して移動軌跡情報の読込み指示を与えるためのコマンドを入力することによって、ロギング用記憶装置105に記憶された移動軌跡情報を取得することができる。また、書込コマンドモードは、メインシステム109がロギングコントローラ103に各種の条件を設定するための動作モードである。例えば書込コマンドモードにおいて、メインシステム109は、ロギング専用モードに遷移した後に、メインシステム109が通常状態に復帰する条件を、ロギングコントローラ103に設定することができる。
【0057】
(ロギング専用モード)
ロギング専用モードは、PND10aが移動軌跡情報の生成を長時間行うときに、ユーザの選択により使用される動作モードである。ロギング専用モードにおいては、PND10aは、例えばナビゲーション機能を使用することができない。その代わりに、PND10aは、ロギング専用モードで動作することによって、消費電力を抑えながら長時間の移動軌跡情報の記録を行うことができる。図7を参照すると、PND10aがロギング専用モードで動作しているとき、GPSモジュール101、ロギングコントローラ103、及びロギング用記憶装置105に電力が供給される。一方、PND10aがロギング専用モードで動作しているとき、メインシステム109はスリープ状態である。
【0058】
[1−3.第1の動作例]
次に、PND10aの第1の動作例について図8〜図16を参照しながら説明する。図8は、同実施形態に係るPNDのロギング専用モードでのロギング開始時のPNDの動作の説明図である。図9は、同実施形態に係るPNDのメインシステムのロギング開始準備動作を示すフローチャートである。図10は、同実施形態に係るPNDのメインシステムのロギング開始処理の動作を示すフローチャートである。図11は、同実施形態に係るPNDのロギング中の発光部の点滅についての説明図である。図12は、同実施形態に係るPNDのロギングコントローラのロギング処理の動作を示すフローチャートである。図13は、同実施形態に係るPNDのロギングコントローラの割込みハンドル処理の動作を示すフローチャートである。図14は、同実施形態に係るPNDのロギング終了処理についての説明図である。図15は、同実施形態に係るPNDのメインシステム復帰処理の動作を示すフローチャートである。図16は、同実施形態に係るPNDのメインシステムの復帰後処理の動作を示すフローチャートである。
【0059】
(ロギング開始)
まず、ロギングが開始されるときのPND10aの動作について説明する。まず、図8を参照すると、ロギング専用モードで移動軌跡情報の記録を開始するときのロギング開始画面1201が示される。ロギング開始画面1201は、ロギング専用モードの説明文章と、記録可能時間の目安時間とが示される。また、ロギング開始画面1201は、ロギング開始ボタン201とオプション設定ボタン203とを含む。なお、ロギング開始画面1201における「スタミナ・ロギングモード」という名称は、ロギング専用モードと同義である。
【0060】
このロギング開始画面1201において、ユーザがロギング開始ボタン201を選択すると、PND10aは、符号301で示されるように、メインシステムがスリープ状態に切替えられる。このとき、PND10aは、表示画面の電力供給も停止される。この後、ロギング専用モードでPND10aが動作している間は、符号303で示されるように、表示部12は黒表示のままである。そして、発光部13は、点滅する。
【0061】
ここで、図9を参照すると、PND10aのロギング開始準備処理が示される。まず、メインシステム109は、設定情報を取得する(S101)。そして、メインシステム109は、記録可能時間を概算する(S103)。メインシステム109の表示制御部は、概算した記録可能時間の目安を含むロギング開始画面1201を表示部12に表示させる。
【0062】
次に、図10を参照すると、メインシステム109は、設定情報を取得し(S111)、ロギングコントローラ103のロギング用記憶装置105に十分な空きがあるか否かを判断する(S113)。ステップS113の判断は、例えば、ロギング用記憶装置105の空き容量が所定の閾値以下であるか否かに基づいて行われてもよい。或いは、ステップS113の判断は、バッテリ残量に基づいて概算された記録可能時間分の移動軌跡情報を記録するために必要な容量と、ロギング用記憶装置105の空き容量とを比較することによって行われてもよい。ステップS113の判断によって、空き容量が十分ないと判断された場合には、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に読込コマンドを送る。そして、この読込コマンドに応じてロギング用記憶装置105は、記憶された移動軌跡情報をメインシステム109に送った後、移動軌跡情報を消去する(S115)。かかる構成により、PND10aは、記憶容量不足により移動軌跡情報の記録が中断されることを回避することができる。
【0063】
一方、ステップS113の判断においてロギング用記憶装置105に十分な空き容量があると判断された場合には、ステップS115の処理は省略される。そして、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に記録条件を設定する(S117)。このとき設定される記録条件は、例えば移動軌跡情報の記録頻度などである。そして、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に割込み条件を設定する(S119)。ここで設定される割込み条件は、例えば、ロギングコントローラ103がロギング処理を中止して、メインシステム109をスリープ状態から通常状態に切替えるためのトリガとなる条件である。具体的には、割込み条件は、電圧値であってもよい。この場合、ロギングコントローラ103は、バッテリ容量が所定の閾値以下であることを電圧値により検知してメインシステム109をスリープ状態から通常状態に切替える。
【0064】
次に、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に記録開始コマンドを送る(S121)。そして、メインシステム109は、動作モードを通常状態からスリープ状態に切替える(S123)。以上の処理により、ロギング処理が開始される。
【0065】
(ロギング中)
次に、ロギング中であることを効果的に示す方法の一例について、説明する。図11を参照すると、PND10aのロギング処理中の外観が示されている。PND10aは、ロギング専用モードで動作している間は、表示部の電力供給は止められた状態である。また、発光部13は、移動軌跡情報の記録頻度に応じた周期で点滅する。例えば、移動軌跡情報の記録頻度が5秒に一回である場合には、発光部13は、4.5秒間消灯した状態である。そして、発光部13は、その後の0.5秒間点灯する。かかる構成により、ユーザは、発光部13の点灯する周期を見ることによって、直感的に記録頻度を把握することができる。
【0066】
図12を参照すると、まず、ロギングコントローラ103は、設定情報を取得する(S131)。ここで取得する設定情報は、例えばメインシステム109により設定された記録頻度などの設定情報である。次に、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101の設定を実行する(S133)。例えば、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101に移動軌跡情報の記録頻度(即ち、GPSモジュール101の位置情報取得頻度)を設定する。すると、GPSモジュール101は、設定された頻度で位置情報を取得してロギングコントローラ103に入力することができる。
【0067】
次に、ロギングコントローラ103は、割込み条件の設定を実行する(S135)。ここで言う割込み条件は、ロギングコントローラ103がスリープ状態から通常状態に切替えるための条件である。例えば、割込み条件は、GPSモジュール101からのUART割込みを受信したこと、又は、設定されたタイマー時間が経過したこと、であってよい。
【0068】
ロギングコントローラ103は、割込み条件を設定すると、ロギングコントローラ103をスリープ状態に切替える(S137)。そして、割込みがあるか否かが判断される(S139)。割込みが発生した場合には、次にロギングコントローラ103は、割込みハンドル処理を実行する(S140)。割込みハンドル処理の詳細については、図13を用いて後述される。割込みハンドル処理が終わると、ロギングコントローラ103は、ロギングを終了するか否かを判断する(S160)。ロギングを終了しない場合には、ステップS137に再び戻る。
【0069】
次に、割込みハンドル処理の詳細について、図13を参照しながら説明する。割込みを受信して割込みハンドル処理が開始されると、まず、ロギングコントローラ103は、復帰処理を実行する(S141)。すなわち、ロギングコントローラ103は、ロギングコントローラ103をスリープ状態から通常状態に切替える。そして、ロギングコントローラ103は、割込み要因を確認する(S143)。ここで、ロギングコントローラ103は、割込み要因が、GPSモジュール101からの位置情報の受信であるか否かを判断する(S145)。そして、ロギングコントローラ103は、割込み要因がGPSモジュール101からの位置情報の受信であった場合には、次に位置情報の受信処理を実行する(S147)。
【0070】
そして、ロギングコントローラ103は、LED(発光部13)を点灯すると、ロギング用記憶装置105に位置情報と、当該位置情報の取得時刻とを対応付けた移動軌跡情報を記録する(S151)。ロギングコントローラ103は、移動軌跡情報の記録が終わるとLEDを消灯する(S153)。
【0071】
(ロギング終了)
なお、図12のステップS160に示したロギング終了か否かの判断は、例えば、図14に示すような基準で行われてもよい。ここでは、ロギング終了のトリガとして2つの例が挙げられる。
【0072】
1つ目の例は、ユーザがPND10aのスイッチ11を押下したことを検知することによりロギングを終了する例である。また、2つ目の例は、ロギングコントローラ103が電池残量の低下を検知することにより自動的にロギングを終了する例である。
【0073】
いずれかを検知することによりロギングが終了されて、メインシステム109がスリープ状態から通常状態に切替えられると、ロギング終了画面1203が表示されてもよい。メインシステム109は、ロギング終了画面1203中において、例えばログデータの保存ファイル名、ロギング期間中の統計データ、必要に応じて電池残量低下の注意喚起メッセージを表示することできる。
【0074】
ここで、メインシステムの復帰処理について図15を参照しながら説明する。図15の処理フローは、ユーザによるスイッチ11の押下、又は電池残量の低下が検知されたことをトリガとして実行される。
【0075】
まず、復帰条件を検知したのはロギングコントローラ103か否かが判断される(S161)。そして、ロギングコントローラ103が復帰条件を検知した場合には、ロギングコントローラ103がメインシステム109に割込みを入れる(S163)。そして、メインシステム109の復帰処理が実行される(S165)。すなわち、メインシステム109は、メインシステム109をスリープ状態から通常状態に切替える。
【0076】
このようにして、メインシステム109が復帰した後、図16に示される復帰後処理がメインシステム109において実行される。まず、メインシステム109は、メインシステム109の復帰前はロギング中だったか否かを判断する(S171)。そして、復帰前にロギング中であった場合には、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に読込コマンドを送り、ロギング用記憶装置105に記憶された移動軌跡情報を読み込み、メインシステム109内の記憶部102に記憶させる(S173)。
【0077】
メインシステム109は、ステップS173において取得した移動軌跡情報を解析してもよい(S175)。メインシステム109は、次に、記録されていた移動軌跡情報の解析結果を表示する(S177)。そして、メインシステム109は、電池残量が危険な水準であるか否かを判断する(S179)。電池残量が低下している場合には、メインシステム109は、電池残量についての警告メッセージを表示させる(S181)。
【0078】
以上、第1の動作例の一連の流れについて説明してきた。本実施形態に係るPND10aの第1の動作例によれば、メインシステム109をスリープ状態としたまま移動軌跡情報の生成を行う。このため、移動軌跡情報の生成、すなわち位置情報のロギングにかかる消費電力を低減することができる。また、移動軌跡情報を記録している間、発光部13は、記録頻度に応じた周期で点滅する。このため、ユーザはこの発光部13の点滅周期を見ることによって、直感的に記録頻度を把握することができる。
【0079】
また、ロギング中において、PND10aは、GPSモジュール101からUART割込みが入るまでの間、さらにロギングコントローラ103をスリープ状態にすることができる。このため、さらなる消費電力の低減を図ることができる。なお、ユーザがスイッチ11を押下した場合には、ユーザがロギング以外の機能を使用したい場合であると考えられる。このため、PND10aは、ユーザがスイッチ11を押下した場合には、ロギングを終了して、メインシステム109をスリープ状態から通常状態に切替える。なお、ここでは、スイッチ11の押下に応じてロギング処理を終了することとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、スイッチ11が押下されても、ロギング処理は終了しなくてもよい。この場合には、メインシステム109がスリープ状態から通常状態に切替えられると、バックグラウンド処理によってロギング処理が実行されてもよい。
【0080】
[1−4.第2の動作例]
次に、PND10aの第2の動作例について図17〜図21を参照しながら説明する。図17は、同実施形態に係るPNDの通知オプションの設定についての説明図である。図18は、同実施形態に係るPNDの通知ポイントにおける通知方法についての説明図である。図19は、同実施形態に係るPNDの通知オプションを設定する場合のメインシステムのロギング開始処理の動作を示すフローチャートである。図20は、同実施形態に係るPNDの通知オプションが設定された場合のロギングコントローラの割込みハンドル処理の動作を示すフローチャートである。図21は、同実施形態に係るPNDの通知オプションが設定された場合のメインシステムの復帰後処理の動作を示すフローチャートである。
【0081】
第2の動作例において、ユーザは、ロギング専用モードで移動軌跡情報の記録を開始する前に、通知オプションを設定する。通知オプションは、ロギング専用モードでPND10aが動作している間であっても、周囲のポイントについて知りたい場合に用いる機能である。
【0082】
例えば、通知オプションは、図17に示されるように、ロギング開始画面1201からオプション設定ボタン203を押下することによって遷移することのできるオプション設定画面1205に対する操作によって設定される。例えば、ロギング開始前に、オプション設定画面1205の通知ポイント設定領域205において、ユーザが、通知したい場所を選択する。すると、ロギングコントローラ103は、選択された通知場所の位置情報をロギング用記憶装置105に記憶する。ロギングコントローラ103は、ロギング専用モードで動作している間、選択された通知場所の位置と、GPSモジュール101が取得する位置情報とを比較することによって、ユーザの現在位置が通知場所付近であるか否かを判断する。そして、ユーザの現在位置が通知場所付近であると判断された場合には、ロギングコントローラ103は、メインシステム109をスリープ状態から通常状態に切替えて表示部12及び音声出力部106により通知場所付近であることをユーザに通知する。
【0083】
例えば、通知の様子が図18に示される。ユーザがM1及びM2の地点にいるときには、PND10aは、ロギング専用モードで動作する。そして、ロギングコントローラ103が、現在位置が、通知場所として設定された山小屋P1付近であることを検知すると、PND10aは、メインシステム109をスリープ状態から通常状態に切替えて、表示画面及び音声出力によって通知場所付近であることをユーザに通知する。
【0084】
以下、第1の動作例と動作が異なる箇所のみ、フローチャートを用いて第2の動作例におけるPND10aの処理について説明する。図19を参照すると、ロギング開始処理の流れが示される。図19のステップS211〜ステップS217は、図10のステップS111〜ステップS117と同様であるため、ここでは説明が省略される。ステップS219において、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に割込み条件を設定する。このとき設定される割込み条件は、第1の動作例においては電圧値であったが、第2の動作例においては、これに加えて通知場所が設定される。以下、ステップS221及びステップS223の処理は、図10のステップS121及びステップS123と同様であるため、ここでは説明が省略される。
【0085】
次に、図20に第2の動作例における割込みハンドル処理の流れが示される。図20のステップS241〜ステップS247は、図13のステップS141〜ステップS147と同様であるため、ここでは説明が省略される。ステップS247において位置情報の受信処理が実行された後、ロギングコントローラ103は、現在位置が通知場所付近であるか否かを判断する(S249)。そして、現在位置が通知場所付近であることが検知されると、ロギングコントローラ103は、メインシステム109に割込みを入れる(S251)。一方、現在位置が通知場所付近でない場合には、ステップS251の処理は省略される。以下、ステップS253〜ステップS257の処理は、図13のステップS149〜ステップS153の処理と同様であるため、ここでは説明が省略される。
【0086】
また、図21にメインシステムの復帰後処理が示される。メインシステム109がスリープ状態から通常状態に切替えられた後、メインシステム109は、割込み要因が通知場所であるか否かを判断する(S261)。割込み要因が通知場所である場合には、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に読込コマンドを送り、ロギング用記憶装置105内の移動軌跡情報を取得する(S263)。そして、メインシステム109は、取得した移動軌跡情報を、メインシステム109内部の記憶部102に記憶させる(S265)。
【0087】
次に、メインシステム109は、事前に設定された通知場所に近づいたことをユーザに通知する。このとき、メインシステム109は、例えば表示部12及び音声出力部106を用いることにより、表示画面及び音声出力によってユーザに通知場所に近づいたことを通知することができる。すなわち、表示部12及び音声出力部106は、通知地点に近づいたことを通知する通知部の一例である。
【0088】
そして、メインシステム109は、通知後の動作が継続ロギングであるか否かを判断する(S269)。かかる判断は、例えば、事前の設定情報を確認することによって行われてもよい。通知後の動作が継続ロギングである場合には、メインシステム109は、メインシステム109を通常状態からスリープ状態に切替える。
【0089】
以上、本発明の第1の実施形態に係るPND10aの第2の動作例について説明してきた。第2の動作例によれば、PND10aは、予め登録した通知場所付近にユーザが居ることを検知すると、ユーザにその旨を通知することができる。ロギング専用モードでは、PND10aは、通常のナビゲーション機能を利用することはできない。しかし、通知オプションを利用することによって、ユーザは、予め設定した特定の場所に近づいたことを知ることができる。
【0090】
上記にて、登山の場合を例に挙げたが、ナビゲーション機能を利用するユーザは、逐一現在位置と、選択するべき道を知りたいユーザだけではない。例えば、大まかな行き方は知っているものの、詳細な場所は知らないため、目的地付近でのみ詳細な道路情報等を知りたいユーザもいる。後者のユーザにとって、この通知オプションの機能は有効である。
【0091】
<2.第2の実施形態>
[2−1.構成]
次に、本発明の第2の実施形態に係るPND10bの構成について、図22を参照しながら説明する。図22は、本発明の第2の実施形態に係るPNDの機能構成を示すブロック図である。
【0092】
PND10bは、GPSモジュール101と、ロギングコントローラ103と、ロギング用記憶装置105と、センサ部107と、メインシステム109とを主に有する。すなわち、第1の実施形態に係るPND10aの構成に加えて、PND10bは、センサ部107をさらに有する。
【0093】
センサ部107は、例えば加速度センサ、振動センサなどであり、PND10bの移動を検知する検知部の一例である。PND10bは、センサ部107を有することにより、ロギング専用モードでPND10bが動作しているときに、さらに省電力なスーパースタミナモードで動作することができる。
【0094】
ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101の取得する位置情報に基づいて現在位置が所定時間以上変化していないことを検出すると、GPSモジュール101の電源を落として移動軌跡情報の記録を中断する。また、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101の電源を落としている間、センサ部107からの割り込みを受付ける。センサ部107は、PND10bの移動を検知する。このため、ロギングコントローラ103がセンサ部からの割込みを受けてGPSモジュール101に再び電力を供給することによって、PND10bが静止している間だけGPSモジュール101への電力供給を中断し、さらに消費電力が低減される。
【0095】
以上、本実施形態に係るPND10bの機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0096】
なお、上述のような本実施形態に係るPND10bの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0097】
[2−2.動作モード]
次に、PND10bの動作モードについて図23〜図26を参照しながら説明する。図23は、同実施形態に係るPNDのオプション設定画面を示す説明図である。図24は、同実施形態に係るPNDのオプション設定の概要を示す説明図である。図25は、同実施形態に係るPNDのスタミナロギングモードについての説明図である。図26は、同実施形態に係るPNDの静止モードについての説明図である。
【0098】
(スーパースタミナモード)
例えば図23に示されるオプション設定画面1207の超スタミナオプション設定領域207において、スーパースタミナモードを選択することにより、PND10bは、スーパースタミナモードで動作する。このスーパースタミナモードは、ロギング専用モードにおいてさらに選択されるオプションモードである。
【0099】
スーパースタミナモードで動作するPND10bは、スタミナロギングモードと、静止モードの2つの動作状態を有する。例えばPND10bを携帯するユーザMが、喫茶店P2に滞在している間は、位置情報はほとんど変化しない。このため、スーパースタミナモードにおいては、この休憩中の期間、移動履歴情報の記録を中止する。
【0100】
(スタミナロギングモード)
ここで、スタミナロギングモードについて図25を参照しながら説明する。スタミナロギングモードは、スーパースタミナモードの1つの状態である。GPSモジュール101の取得する位置情報に基づいて、PND10bが移動していることが検出されている間は、PND10bは、スタミナロギングモードで動作する。このとき、PND10bは、GPSモジュール101、ロギングコントローラ103、ロギング用記憶装置105、及びセンサ部107に電力が供給されている。このときメインシステム109は、スリープ状態である。
【0101】
(静止モード)
また、静止モードについて図26を参照しながら説明する。静止モードは、スーパースタミナモードの1つの状態である。GPSモジュール101の取得する位置情報に基づいて、PND10bが静止したことが検出されると、PND10bは、スタミナロギングモードから静止モードに切替える。静止モードにおいて、PND10bは、GPSモジュール及びロギング用記憶装置105への電力供給を停止する。PND10bは、センサ部107から、PND10bが移動したことを検出するまで静止モードで動作する。静止モードは、GPSモジュール101の動作を停止するため、より省電力に動作することができる。
【0102】
[2−3.動作例]
次に、PND10bの動作例について図27及び図28を参照しながら説明する。図27は、同実施形態に係るPNDのメインシステムのロギング開始処理の動作を示すフローチャートである。図28は、同実施形態に係るPNDのロギングコントローラの割込みハンドル処理の動作を示すフローチャートである。
【0103】
図27を参照すると、本発明の第2の実施形態に係るPND10bのロギング開始処理の流れが示される。なお、ここでは、第1の実施形態に係るPND10aの第1の動作例との差異点について主に説明し、同様の箇所については説明が省略される。
【0104】
図27のステップS311〜ステップS323の各処理は、図10のステップS111〜ステップS123の各処理と比較すると、ステップS317の処理のみ相違する。ステップS317において、PND10bのメインシステム109は、ロギングコントローラに記録条件を設定する。このとき、メインシステム109は、記録条件として、スーパースタミナモードで動作することをロギングコントローラに設定する。ステップS317以外の各処理は、図10と同様であるため、ここでは説明が省略される。
【0105】
なお、PND10bのロギング中の動作については、図12と同様であり、割込みハンドル処理が相違するため、図28を参照しながら割込みハンドル処理について説明する。
【0106】
まず、ロギングコントローラ103は、ロギングコントローラ103をスリープ状態から通常状態へ切替える復帰処理を実行する(S341)。そして、ロギングコントローラ103は、割込み要因を確認する(S343)。割込み要因がGPSモジュール101からの位置情報の受信であるか否かが判断され(S345)、GPSモジュール101からの位置情報の受信による割込みであった場合には、ロギングコントローラ103は、位置情報の受信処理を実行する(S347)。
【0107】
次に、ロギングコントローラ103は、しばらく静止しているか否かを判断する(S349)。かかる判断は、例えば、GPSモジュール101から取得される位置情報が所定の時間以上の間、大きく変化していない状態を検知したか否かに基づいて実行されてもよい。ステップS349の判断において、所定時間以上PND10bが静止していることが検知されなかった場合には、通常通りの移動軌跡情報記録処理が行われる。すなわち、ロギングコントローラ103は、LEDを点灯させ(S351)た後、ロギング用記憶装置105に移動軌跡情報を記録して(S353)、LEDを消灯する(S355)。
【0108】
一方、ステップS349の判断において、所定時間以上PND10bが静止していることが検知されると、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101の電源をオフにする(S357)。そして、ロギングコントローラ103は、ロギングコントローラ103に対する割込み条件にセンサを追加する(S359)。そして、ロギングコントローラ103は、動作モードをスタミナロギングモードから静止モードに切替えてセンサからの割込みを待機する(S361)。
【0109】
以上のように、静止モードに設定された後には、センサ部107がロギングコントローラ103に割込みを入れる場合がある。ステップS345において、割込み要因がGPSモジュール101からの位置情報の受信でないと判断された場合に、ロギングコントローラ103は、次に、割込み要因がセンサの割込みであるか否かを判断する(S363)。
【0110】
ステップS363の判断において、センサの割込みであると判断された場合には、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101の電源をオンにして、記録頻度などを再設定する(S365)。そして、GPSモジュール101に位置情報を取得させる(S367)。ロギングコントローラ103は、取得された位置情報に基づいて、移動が開始されたか否かを判断する(S369)。例えば、振動を検知してセンサ部107が割込みを入れた場合であっても、ユーザがPND10bを触っただけであって、実質的な移動は開始されていない場合もある。このため、ステップS369において、位置情報に基づいて実際に移動が開始されているか否かが判断される。
【0111】
ステップS369の判断において、実際には移動が開始されていなかった場合には、ステップS357に戻り、PND10bは、再び静止モードに切替えられる。一方、実際に移動が開始された場合には、次に、PND10bは、静止モードからスタミナロギングモードに切替えられる(S371)。そして、ロギングコントローラ103は、ロギングコントローラ103に対する割込み条件を再設定する。すなわち、ロギングコントローラ103は、割込み条件からセンサを削除してGPSモジュール101からのUART割込みを追加する。
【0112】
以上、説明してきた第2の実施形態に係るPND10bによれば、ロギング専用モードのスーパースタミナモードオプションをユーザが選択することにより、さらなる省電力を図ることができるようになる。例えば、ユーザが喫茶店などで休憩している期間は、位置情報に変化がない。このため、位置情報に変化がない間、GPSモジュール101による位置情報の取得と移動軌跡情報の記録を中断することによって、記録を中断している期間中の消費電力をさらに低減することができる。このため、PND10bはPND10bの移動を検知するセンサを有する。GPSモジュール101は、複数のGPS衛星からのGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて、現在位置を算出する機能を有するため、単純にPND10bの振動等を検知するセンサと比較して消費電力が高い。このため、移動軌跡情報の記録が必要ない期間中(すなわち、PND10bの位置が移動していないとき)は、GPSモジュール101の電源をオフにすることで、さらなる省電力化が図られる。
【0113】
<3.使用コマンド例>
次に、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態に係るPND10のメインシステム109がロギングコントローラ103に所望の処理を行わせるためのコマンドの一例について説明する。以下に示すコマンドを用いることによって、メインシステム109は、ロギングコントローラ103の動作を制御することができる。
【0114】
【表1】
【0115】
例えば、メインシステム109は、表1の「SET_MODE」コマンドを用いることにより、ロギングコントローラ103の動作モードを切替えることができる。ここでは、GPSモジュール101とメインシステム109との通信を透過的に仲介するためのトランスペアレントモードと、ロギングコントローラ103の設定を実行するためのコマンドモードとが準備されている。コマンドは、データと組合わせて用いられる。例えばメインシステム109がロギングコントローラ103をトランスペアレントモードに設定したい場合には、メインシステム109は、「SET_MODE transparent_mode」をロギングコントローラ103に入力する。
【0116】
「CTRL_CMD」コマンドの使い方も同様である。例えば、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に「CTRL_CMD START_LOGGING」と入力する。すると、ロギングコントローラ103は、移動履歴情報の記録を開始する。また、「READ」コマンド、又は「WRITE」コマンドを、次に示す別表の項目名に記載された文字列と組合わせて用いることによって、メインシステム109は、項目名に記載された文字列と対応づけれたデータの読込み、又は書込みを実行することができる。各項目が書込みの対象であるか否か、及び各項目が読込みの対象であるか否かは、下表に示される。例えば、「記録容量の空き」は、読込み対象であるが、書込み対象ではない。記録容量の空きを調べたいときには、メインシステム109は、「READ num_of_points_empty」をロギングコントローラ103に入力する。
【0117】
【表2】
【0118】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0119】
例えば、上記実施形態では、PNDは、位置情報を取得する構成として、GPS受信機の機能を有するGPSモジュールを有するものとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、PNDは、複数の基地局からのWiFi電波を受信する受信機と、受信したWiFi電波に基づいて現在位置を算出する現在位置算出部とを含む位置情報取得部を有してもよい。ここで現在位置算出部は、受信したWiFi電波の受信強度に基づいて、受信機と各基地局との間の距離を推定する。そして現在位置算出部は、推定した各基地局との距離および各基地局の位置の情報を利用し、三角測量の原理に基づいて現在位置を算出する。
【0120】
また、PNDは、各種のセンサの検出値に基づいて相対位置を取得する相対位置情報取得部をさらに有してもよい。例えば、相対位置情報取得部は、角速度を検出するジャイロセンサと、加速度を検出する加速度センサと、地磁気を検出する地磁気センサとを含んでもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、測位衛星の一例として、GPSが挙げられた。しかし、測位衛星は、GPSに限られない。測位衛星は、ガリレオ、GLONASS、北斗、みちびきなど各種の測位衛星であってよい。このとき、測位衛星は、1つの種類の衛星が用いられてもよいし、複数の種類の衛星による測位信号が組合わせて用いられてもよい。実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、位置情報取得のために利用する構成を変更することが可能である。
【0122】
また、上記実施形態では、情報処理装置の具体例として、PNDが挙げられた。しかし、本発明はかかる例に限定されない。情報処理装置は、位置情報を取得する構成を有し、バッテリで駆動する各種の電子機器であってよい。例えば、情報処理装置は、携帯電話、携帯音楽再生装置、携帯用映像処理装置、携帯用ゲーム機器、PDA(Personal Digital Assistants)、ノートPC(Personal Computer)などの情報処理装置であってよい。
【0123】
また、上記実施形態では、情報処理装置のバッテリについては特に言及しなかったが、GPSモジュール101、ロギングコントローラ103、およびロギング用記憶装置105と、メインシステム109とが同じバッテリを共用してもよい。或いは、GPSモジュール101、ロギングコントローラ103、およびロギング用記憶装置105と、メインシステム109とはそれぞれ異なる独立したバッテリを用いるものであってもよい。
【0124】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0125】
10 PND
11 スイッチ
12 表示部
13 発光部
14 クレードル
16 吸盤
101 GPSモジュール
103 ロギングコントローラ
105 ロギング用記憶装置105
107 センサ部
109 メインシステム
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、位置記録方法、及びプログラムに関し、特に、消費電力を低減しながら位置を記録することのできる、情報処理装置、位置記録方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、主に携帯型デジタル機器において、位置情報を取得する機能を有する装置が普及している。例えば、ナビゲーション装置及び携帯電話などにおいては、取得した位置情報を用いて、目的地までの経路を案内することができる。また、デジタルカメラにおいては、取得した位置情報を用いて、映像を撮像した場所を知ることができる。
【0003】
また、位置情報を取得する機能が、携帯することのできる小型のデジタル機器に搭載されるようになり、位置情報の履歴は、ユーザの行動を把握するために重要な情報となってきている。このため、位置情報を時刻情報と対応づけて、移動軌跡情報として記録する装置が登場してきている。例えば、特許文献1には、位置情報を記録する機能を有するGPS(Global Positioning System)装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−091290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、移動軌跡情報の記録を定期的に長時間行おうとすると、消費電力量が増大するという問題があった。このため、上記特許文献1に記載のGPS装置は、位置記録専用の装置であった。ところが、移動軌跡情報の記録だけのために別途の装置を携帯することは、ユーザにとって煩わしい。このため、ナビゲーション装置、携帯電話、及びデジタルカメラ等、他にメインの機能を有する既存の装置の付加機能として、消費電力を低減しながら位置情報を記録するための手法が求められていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、消費電力を低減しながら位置情報を記録することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、位置記録方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、当該情報処理装置の主な機能を実現する通常動作モード、および上記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを切替えて動作する主機能部と、現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、上記主機能部が上記省電力モードに切替えられた状態で、上記位置取得部により取得された位置情報を、上記位置情報が取得された時刻と対応づけた移動軌跡情報を第1の記憶部に記録させるロギングコントローラと、を有する情報処理装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、主機能部が省電力モードである状態で、移動軌跡情報を記録することができる。このため、情報処理装置が移動軌跡情報を記録するときにかかる消費電力が低減される。つまり、所定の電力量で移動軌跡情報を記録することのできる記録時間が延長される。従って、バッテリ駆動の情報処理装置に適用すれば、主機能部により実現される機能を利用するための電力量への影響を低減しながら移動軌跡情報を記録することができる。
【0009】
また、当該情報処理装置の移動を検知するセンサである検知部をさらに有し、上記ロギングコントローラは、上記位置取得部の取得する位置情報に基づいて現在位置が所定時間以上変化していないことを検出すると、上記検知部が当該情報処理装置の移動を検知するまで、上記位置取得部の電源を落として上記移動軌跡情報の記録を中断してもよい。
【0010】
また、上記ロギングコントローラは、上記通常動作モード及び上記省電力モードを有し、上記移動軌跡情報の記録をしていないときに、当該ロギングコントローラを上記省電力モードに切替えてもよい。
【0011】
また、上記移動軌跡情報の記録頻度に応じた周期で点滅する発光部をさらに有してもよい。
【0012】
また、上記主機能部は、当該主機能部が上記省電力モードに切替わる前に、ユーザが通知を受けたい地点として設定した通知地点の情報を上記ロギングコントローラに設定し、上記ロギングコントローラは、当該情報処理装置の現在位置が上記通知地点から所定の範囲内に近づくと、上記主機能部を上記通常動作モードに切替えてもよい。
【0013】
また、上記主機能部は、上記ロギングコントローラが上記通知地点から所定の範囲内であることを検知して上記通常動作モードに切替えられると、上記通知地点に近づいたことを通知する通知部を有してもよい。
【0014】
また、上記主機能部は、上記省電力モードで上記ロギングコントローラが移動軌跡情報を記録した後、上記通常動作モードに切替えられると、上記第1の記憶部に記憶された移動軌跡情報の解析結果を含む画面を表示させてもよい。
【0015】
また、上記主機能部は、当該主機能部を上記省電力モードに切替える前に、上記第1の記憶部の空き容量が所定の閾値以下であるとき、上記第1の記憶部に記憶された移動軌跡情報を複製して第2の記憶部に記憶し、上記第1の記憶部に記憶された移動軌跡情報を消去してもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、通常動作モード及び上記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを有し、当該情報処理装置の主な機能の動作を実現する主機能部の有するメインコントローラが、ロギングコントローラに現在位置を示す位置情報と当該位置情報が取得された時刻とが対応づけられた移動軌跡情報の取得頻度を設定するステップと、上記メインコントローラが、上記主機能部を上記省電力モードに切替えるステップと、上記主機能部が上記省電力モードの状態で、上記ロギングコントローラが上記位置情報を取得させるステップと、上記ロギングコントローラが、取得された上記位置情報に基づいて、上記移動軌跡情報を記録させるステップとを含む、位置記録方法が提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、通常動作モード及び上記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを有し、当該情報処理装置の主な機能の動作を実現する主機能部と、現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、上記主機能部が上記省電力モードの状態で、上記位置取得部により取得された位置情報を、上記位置情報が取得された時刻と対応づけた移動軌跡情報を第1の記憶部に記録させるロギングコントローラとを有する、情報処理装置として機能させるための、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、消費電力を低減しながら移動軌跡情報を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態に係るPNDの外観図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るPNDの機能ブロック図である。
【図3】図2の機能ブロック図をより詳細に示したブロック図である。
【図4】同実施形態に係るPNDの状態遷移図である。
【図5】同実施形態に係るPNDの通常モードについての説明図である。
【図6】同実施形態に係るPNDのコマンドモードについての説明図である。
【図7】同実施形態に係るPNDのロギング専用モードについての説明図である。
【図8】同実施形態に係るPNDのロギング専用モードでのロギング開始時のPNDの動作の説明図である。
【図9】同実施形態に係るPNDのメインシステムのロギング開始準備動作を示すフローチャートである。
【図10】同実施形態に係るPNDのメインシステムのロギング開始処理の動作を示すフローチャートである。
【図11】同実施形態に係るPNDのロギング中の発光部の点滅についての説明図である。
【図12】同実施形態に係るPNDのロギングコントローラのロギング処理の動作を示すフローチャートである。
【図13】同実施形態に係るPNDのロギングコントローラの割込みハンドル処理の動作を示すフローチャートである。
【図14】同実施形態に係るPNDのロギング終了処理についての説明図である。
【図15】同実施形態に係るPNDのメインシステム復帰処理の動作を示すフローチャートである。
【図16】同実施形態に係るPNDのメインシステムの復帰後処理の動作を示すフローチャートである。
【図17】同実施形態に係るPNDの通知オプションの設定についての説明図である。
【図18】同実施形態に係るPNDの通知ポイントにおける通知方法についての説明図である。
【図19】同実施形態に係るPNDの通知オプションを設定する場合のメインシステムのロギング開始処理の動作を示すフローチャートである。
【図20】同実施形態に係るPNDの通知オプションが設定された場合のロギングコントローラの割込みハンドル処理の動作を示すフローチャートである。
【図21】同実施形態に係るPNDの通知オプションが設定された場合のメインシステムの復帰後処理の動作を示すフローチャートである。
【図22】本発明の第2の実施形態に係るPNDの機能構成を示すブロック図である。
【図23】同実施形態に係るPNDのオプション設定画面を示す説明図である。
【図24】同実施形態に係るPNDのオプション設定の概要を示す説明図である。
【図25】同実施形態に係るPNDのスタミナロギングモードについての説明図である。
【図26】同実施形態に係るPNDの静止モードについての説明図である。
【図27】同実施形態に係るPNDのメインシステムのロギング開始処理の動作を示すフローチャートである。
【図28】同実施形態に係るPNDのロギングコントローラの割込みハンドル処理の動作を示すフローチャートである。
【図29】従来のPNDの機能構成を示すブロック図である。
【図30】従来のロギング専用端末の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
1−1.構成
1−2.動作モード
1−3.第1の動作例
1−4.第2の動作例
2.第2の実施形態(ロギング専用モード中さらに省電力モードで動作する例)
2−1.構成
2−2.動作モード
2−3.動作例
3.使用コマンド例
【0022】
<1.第1の実施形態>
[1−1.構成]
まず、本発明の第1の実施形態に係るPND10aの構成について図1〜図3、及び図29〜図30を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1及び第2の実施形態に係るPNDの外観図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係るPNDの機能ブロック図である。図3は、図2の機能ブロック図をより詳細に示したブロック図である。図29は、従来のPNDの機能構成を示すブロック図である。図30は、従来のロギング専用端末の機能構成を示すブロック図である。
【0023】
なお、本明細書及び図面において、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態に係るPNDを特に区別する必要がない場合、及び第1の実施形態及び第2の実施形態に共通する要素を説明する場合には、PND10と記載される。また、第1の実施形態及び第2の実施形態のいずれかについて説明する場合には、必要に応じてPND10a、およびPND10bのように区別して記載される。
【0024】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の一例であるPND10の外観例が示される。PND10は、目的地までの経路を案内するナビゲーション機能、及び位置情報を記録するロギング機能を有し、位置情報に対応付けられた各種の情報をユーザに提供することができる。PND10は、その前面に各種の情報を提供する情報提供画面を含む画像を表示する表示部12を有し、車両のダッシュボード上に吸盤16を介して取付けられたクレードル14によってその筐体が保持される。PND10は、クレードル14に容易に取付けることができるとともに、取り外しすることも可能である。
【0025】
また、PND10は、押下することによってPND10自身の電源をON/OFFすることのできるスイッチ11と、各種の色及び点灯パターンで発光する発光部13とを有する。発光部13は、例えばPND10が通常動作モードで動作しているときには、緑色に点灯する。また、発光部13は、PND10がロギング専用モードで動作している間、移動軌跡情報の記録頻度に応じた周期で点滅する。
【0026】
次に図2を参照すると、本発明の第1の実施形態に係るPND10aの機能構成が示される。PND10aは、GPSモジュール101と、ロギングコントローラ103と、ロギング用記憶装置105と、メインシステム109とを主に有する。このPND10aの構成について説明するために、従来のPND80及び従来のロギング専用端末90の機能構成について、図29及び図30を参照しながら説明される。
【0027】
図29に示される従来のPND80は、GPSモジュール801とメインシステム809とを主に有する。位置情報と当該位置情報が取得された時刻とを対応づけて蓄積した移動軌跡情報は、近年、ユーザの行動範囲及びユーザの行動パターンを知る上で、重要な情報となっている。位置情報が頻繁に記録されるほど、詳細にユーザの行動範囲及びユーザの行動パターン等を知ることができる。ところが、同時に、位置情報が頻繁に記録されるほど、消費電力量は増大する。PND80は車両と取り外ししてバッテリ駆動にて動作することができる。例えばユーザの行動範囲及び行動パターンを詳細に知るためには、徒歩又は自転車等で移動しているバッテリ駆動時の位置情報も取得することが好ましい。ところが、従来のPND80は、位置情報を記録するためにメインシステムが駆動している必要がある。このため、PND80がバッテリ駆動している時は、位置情報を長時間記録することが困難であった。
【0028】
また、図30に示される従来のロギング専用端末90は、ロギング専用の端末装置である。例えば、ロギング専用端末90は、GPSモジュール901と、ロギングコントローラ903と、記憶装置905とを有する。ここで、「ロギング専用」とは、例えばナビゲーション装置又は携帯電話などの付加機能としてロギング機能を有する装置と区別するために用いられる用語である。すなわち、「ロギング専用」とは、ロギング機能が主な機能であることを意味する。この場合には、ユーザは、ロギング機能を利用するだけのためにロギング専用端末90を携帯する必要があった。つまり、ユーザが携帯電話又はナビゲーション装置の機能を利用したい場合には、携帯電話又はナビゲーション装置に加えて、ロギング専用端末90を携帯する必要があった。
【0029】
これに対し、本実施形態に係るPND10は、位置情報を取得するGPSモジュール101とメインシステム109との間に、独立した記憶領域であるロギング用記憶装置105を用いるロギングコントローラ103を有する。このため、PND10は、メインシステム109がスリープ状態であっても、ロギングコントローラ103がGPSモジュール101を制御して移動軌跡情報の記録を行うことができる。メインシステム109は、表示部12の制御やナビゲーション機能等多くの機能を扱うため、動作するために多くの電力を消費する。これに対し、ロギングコントローラ103は、移動軌跡情報の記録に特化した機能を有する。このため、メインシステム109が直接GPSモジュール101を制御して位置情報を記録する場合と比較して、ロギングコントローラ103がGPSモジュール101を制御して位置情報を記録する方が消費電力は小さい。メインシステム109がスリープ状態で位置情報を記録するロギング専用モードで動作することにより、PND10は、移動軌跡情報の記録にかかる消費電力を低減することができ、位置情報を長時間記録することが可能となる。
【0030】
ここで、図3を参照して、PND10aの詳細な構成の一例について説明する。PND10aは、GPSモジュール101と、ロギングコントローラ103と、ロギング用記憶装置105と、メインシステム109とを主に有する。
【0031】
GPSモジュール101は、現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部の一例であるGPS受信機の機能を有する。具体的には、GPSモジュール101は、GPSアンテナ112とGPS処理部132とを主に有する。
【0032】
GPSアンテナ112は、複数のGPS衛星からのGPS信号を受信するアンテナである。GPSアンテナ112は、受信したGPS信号をGPS処理部132に入力する。なお、ここで受信されるGPS信号には、当該GPS信号を送信したGPS衛星の軌道を示す軌道データと、GPS信号の送信時刻などの情報が含まれている。
【0033】
また、GPS処理部132は、GPSアンテナ112から入力された複数のGPS信号に基づいて、当該PND10aの現在位置を示す位置情報を算出する。具体的には、GPS処理部132は、複数のGPS信号をそれぞれ復調することにより得られる軌道データに基づいて各GPS衛星の位置を算出する。そして、GPS処理部132は、GPS信号の送信時刻と受信時刻との差分に基づいて、各GPS衛星から当該PND10aまでの距離を算出する。そして、GPS処理部132は、算出された各GPS衛星の位置と、各GPS衛星から当該PND10aまでの距離とに基づいて、PND10aの現在の3次元位置を算出する。
【0034】
なお、このGPSモジュール101は、設定された頻度で位置情報を取得してロギングコントローラ103に位置情報を伝えることができる。なお、GPSモジュール101とロギングコントローラ103とは、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、I2C(Inter−Integrated Circuit)、USB(Universal Serial Bus)、SPI(Serial Peripheral Interface)、Bluetooth(登録商標)などにより接続される。以下、UARTを用いた例について説明する。
【0035】
ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101とメインシステム109との間に配置され、ロギング専用モードにおけるPND10aの移動軌跡情報の記録を制御する機能を有する。PND10aがロギング専用モードで動作するとき、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101を制御することにより、所望の周期で位置情報を取得する。そして、ロギングコントローラ103は、取得した位置情報を、当該位置情報を取得した時刻と対応付けてロギング用記憶装置105に記憶する。なお、以下の説明中において、位置情報を当該位置情報が取得された時刻と対応づけた情報を移動軌跡情報と称する。また、PND10aが通常モードで動作するとき、ロギングコントローラ103は透過的に振舞う。すなわち、ロギングコントローラ103は、メインシステム109からの位置情報取得要求を受信すると、受信した位置情報取得要求をそのままGPSモジュール101に入力する。また、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101から位置情報を受信すると、受信した位置情報をそのままメインシステム109に入力する。
【0036】
ロギング用記憶装置105は、ロギングコントローラ105により制御されて動作する第1の記憶装置の一例である。ロギング用記憶装置104は、メインシステム109とは独立した記憶領域を有する。ロギング用記憶装置105は、例えば、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置、および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含むことができる。ここで記憶媒体は、例えばFlash ROM(又はFlash Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、などの不揮発性メモリ、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスク、CD(Compact Disc)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))などの光ディスク、並びに、MO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。
【0037】
メインシステム109は、PND10aの主な機能を動作するための主機能部の一例である。メインシステム109は、表示部12と、記憶部102と、操作部104と、音声出力部106と、ナビゲーション部150とを主に有する。なお、メインシステム109とロギングコントローラ103とは、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、I2C(Inter−Integrated Circuit)、USB(Universal Serial Bus)、SPI(Serial Peripheral Interface)、Bluetooth(登録商標)などにより接続される。以下、UARTを用いた例について説明する。
【0038】
表示部12は、PND10aの前面に設けられる表示装置である。表示部12は、例えば、地図データに現在位置を示す情報を重畳した画面を出力する。この表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置であってもよい。
【0039】
記憶部102は、PND10aが動作するためのプログラムや、地図データなどを記憶する第2の記憶装置の一例である。記憶部102は、例えば、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置、および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含むことができる。ここで記憶媒体は、例えばFlash ROM(又はFlash Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、などの不揮発性メモリ、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスク、CD(Compact Disc)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))などの光ディスク、並びに、MO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。
【0040】
記憶部102は、移動軌跡情報を記憶することもできる。この移動軌跡情報は、例えば、PND10aが通常モードで動作しているときには、ナビゲーション部150の有するロギング制御機能がGPSモジュール101から取得した位置情報と取得時刻とを対応づけたものである。また、記憶部102に記憶される移動軌跡情報は、ロギング専用モードにおいて、ロギング用記憶装置105に記憶された移動軌跡情報をナビゲーション部150のロギング制御機能により取得したものであってもよい。
【0041】
操作部104は、ユーザによる操作指示を受付け、その操作内容をナビゲーション部150に出力する。ユーザによる操作指示としては、例えば、目的地の設定、地図の拡大および縮小、音声案内設定、画面表示設定などが挙げられる。この操作部104は、表示部12と一体的に設けられるタッチスクリーンであってもよい。或いは、操作部104は、ボタン、スイッチ、およびレバーなど、表示部12と分離して設けられる物理的構成であってもよい。また、操作部104は、リモートコントローラから送信されたユーザによる操作指示を示す信号を検出する信号受信部であってもよい。
【0042】
音声出力部106は、音声データを出力する出力装置であり、例えば、スピーカなどである。この音声出力部106は、例えば、ナビゲーションにかかる音声ガイダンスを出力する。ユーザは、この音声ガイダンスを聞くことにより表示部12を見なくても進むべき経路を知ることができる。
【0043】
ナビゲーション部150は、メインシステム109全体の機能を制御する機能を有する。ナビゲーション部150は、例えば、表示部12の表示画面を制御する表示制御部、操作部104による操作情報に基づいて設定された目的地への経路を案内するナビゲーション処理部、通常モードにおいてPND10aの移動軌跡情報の記録を制御するロギング制御部の機能を主に有する。
【0044】
このメインシステム109は、標準の消費電力で動作する通常状態(通常動作モード)と、通常状態より低い消費電力で動作するスリープ状態(省電力モード)とを有する。例えば、スリープ状態は、メモリの内容を保持したままハードウェアの電源が切られた状態である。シャットダウンされた状態から起動する場合には、PND10aが動作するためのプログラムを改めて読み出す必要があるため利用状態に復帰するまでに時間がかかる。一方、スリープ状態は、シャットダウンされた状態とは異なり、通常状態に戻るときにプログラムを改めて読み出す必要がないため、利用状態に復帰するまでの時間が短い。また、メインシステム109は、スリープ状態において、ロギングコントローラ103の制御に従って通常状態に切替えることができる。
【0045】
以上、本実施形態に係るPND10aの機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0046】
なお、上述のような本実施形態に係るPND10a各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0047】
[1−2.動作モード]
次に、PND10aの動作モードについて図4〜図7を参照しながら説明する。図4は、同実施形態に係るPNDの状態遷移図である。図5は、同実施形態に係るPNDの通常モードについての説明図である。図6は、同実施形態に係るPNDのコマンドモードについての説明図である。図7は、同実施形態に係るPNDのロギング専用モードについての説明図である。
【0048】
PND10aのメインシステム109が通常状態とスリープ状態とを有することは上述したが、PND10aは、次に説明する動作モードを有する。各モード間の遷移の様子が図4に示される。
【0049】
PND10aは、通常モードと、ロギング専用モード、及びコマンドモードを主に有する。コマンドモードは、ロギング用記憶装置105に記憶された移動軌跡情報を読込むためにもちられる読込みコマンドモードと、メインシステム109がロギングコントローラ103に指示するために用いられる書込みコマンドモードと、をさらに有する。また、ロギング専用モードから通常モードに遷移するときには、PND10aは、GPSロガー割込み処理中のステータスで動作することもできる。
【0050】
上記動作モードのうち、ロギング専用モードは、メインシステム109がスリープ状態である動作モードである。通常モード、コマンドモード、及びGPSロガー割込み処理中においては、メインシステム109は通常状態である。
【0051】
PND10aは、通常モードからロギング専用モードに遷移する前に、例えばロギング用記憶装置105に十分な空き容量があるか否かを確認する。そして、空き容量が不足している場合には、PND10aは、通常モードから読込コマンドモードに遷移して、ロギング用記憶装置105に記憶された移動軌跡情報を吸出す。即ち、メインシステム109は、ロギング用記憶装置105に記憶された移動軌跡情報を読込んでメインシステム109内の記憶部102に記憶させる。PND10aは、データの移行が済むと通常モードに遷移する。
【0052】
そして、メインシステム109は、メインシステム109をスリープ状態に切替える前に、ロギングコントローラ103に割込み条件を設定する。このときPND10aは、通常モードから書込コマンドモードに遷移する。書込コマンドモードの状態でPND10aはロギングコントローラ103にメインシステム109が復帰するための条件等を設定すると、メインシステム109は、メインシステム109をスリープ状態に切替える。そしてPND10aは、書込コマンドモードからロギング専用モードに遷移する。
【0053】
なお、PND10aの状態が事前に設定された条件に合致した場合には、ロギングコントローラ103は、メインシステム109を通常状態に切替えて、割込み処理を行う。このGPSロガー割込み処理中のステータスにおいて、本当にロギング専用モードから通常モードに戻るか、或いは、再びロギング専用モードに戻るかが判断される。
【0054】
以上説明したようにPND10aの動作モードは遷移する。ここで、各動作モードの特徴について改めて説明する。
【0055】
(通常モード)
通常モードは、PND10aの標準的な動作モードである。PND10aが通常モードで動作しているとき、メインシステム109は通常状態である。図5を参照すると、通常モードにおいてPND10aは、GPSモジュール101、ロギングコントローラ103、及びメインシステム109に電力が供給されている。一方、通常モードにおいてロギング用記憶装置105は使用されないため、ロギング用記憶装置105には電力が供給されなくてもよい。PND10aが通常モードで動作するとき、ロギングコントローラ103は、透過的に振舞う。すなわち、PND10aが通常モードで動作するときに移動軌跡情報を生成するためには、GPSモジュール101により取得された位置情報は、ロギングコントローラ103を介してメインシステム109に入力される。
【0056】
(コマンドモード)
コマンドモードは、PND10aのメインシステム109がロギングコントローラに対して指示コマンドを入力するための動作モードである。図6を参照すると、コマンドモードにおいてPND10aは、GPSモジュール101、ロギングコントローラ103、ロギング用記憶装置105、及びメインシステム109の全てに電力が供給されている。コマンドモードは、読込コマンドモードと書込コマンドモードとを有する。読込コマンドモードは、ロギング用記憶装置105に記憶されたデータを読込むための動作モードである。メインシステム109は、ロギングコントローラ103に対して移動軌跡情報の読込み指示を与えるためのコマンドを入力することによって、ロギング用記憶装置105に記憶された移動軌跡情報を取得することができる。また、書込コマンドモードは、メインシステム109がロギングコントローラ103に各種の条件を設定するための動作モードである。例えば書込コマンドモードにおいて、メインシステム109は、ロギング専用モードに遷移した後に、メインシステム109が通常状態に復帰する条件を、ロギングコントローラ103に設定することができる。
【0057】
(ロギング専用モード)
ロギング専用モードは、PND10aが移動軌跡情報の生成を長時間行うときに、ユーザの選択により使用される動作モードである。ロギング専用モードにおいては、PND10aは、例えばナビゲーション機能を使用することができない。その代わりに、PND10aは、ロギング専用モードで動作することによって、消費電力を抑えながら長時間の移動軌跡情報の記録を行うことができる。図7を参照すると、PND10aがロギング専用モードで動作しているとき、GPSモジュール101、ロギングコントローラ103、及びロギング用記憶装置105に電力が供給される。一方、PND10aがロギング専用モードで動作しているとき、メインシステム109はスリープ状態である。
【0058】
[1−3.第1の動作例]
次に、PND10aの第1の動作例について図8〜図16を参照しながら説明する。図8は、同実施形態に係るPNDのロギング専用モードでのロギング開始時のPNDの動作の説明図である。図9は、同実施形態に係るPNDのメインシステムのロギング開始準備動作を示すフローチャートである。図10は、同実施形態に係るPNDのメインシステムのロギング開始処理の動作を示すフローチャートである。図11は、同実施形態に係るPNDのロギング中の発光部の点滅についての説明図である。図12は、同実施形態に係るPNDのロギングコントローラのロギング処理の動作を示すフローチャートである。図13は、同実施形態に係るPNDのロギングコントローラの割込みハンドル処理の動作を示すフローチャートである。図14は、同実施形態に係るPNDのロギング終了処理についての説明図である。図15は、同実施形態に係るPNDのメインシステム復帰処理の動作を示すフローチャートである。図16は、同実施形態に係るPNDのメインシステムの復帰後処理の動作を示すフローチャートである。
【0059】
(ロギング開始)
まず、ロギングが開始されるときのPND10aの動作について説明する。まず、図8を参照すると、ロギング専用モードで移動軌跡情報の記録を開始するときのロギング開始画面1201が示される。ロギング開始画面1201は、ロギング専用モードの説明文章と、記録可能時間の目安時間とが示される。また、ロギング開始画面1201は、ロギング開始ボタン201とオプション設定ボタン203とを含む。なお、ロギング開始画面1201における「スタミナ・ロギングモード」という名称は、ロギング専用モードと同義である。
【0060】
このロギング開始画面1201において、ユーザがロギング開始ボタン201を選択すると、PND10aは、符号301で示されるように、メインシステムがスリープ状態に切替えられる。このとき、PND10aは、表示画面の電力供給も停止される。この後、ロギング専用モードでPND10aが動作している間は、符号303で示されるように、表示部12は黒表示のままである。そして、発光部13は、点滅する。
【0061】
ここで、図9を参照すると、PND10aのロギング開始準備処理が示される。まず、メインシステム109は、設定情報を取得する(S101)。そして、メインシステム109は、記録可能時間を概算する(S103)。メインシステム109の表示制御部は、概算した記録可能時間の目安を含むロギング開始画面1201を表示部12に表示させる。
【0062】
次に、図10を参照すると、メインシステム109は、設定情報を取得し(S111)、ロギングコントローラ103のロギング用記憶装置105に十分な空きがあるか否かを判断する(S113)。ステップS113の判断は、例えば、ロギング用記憶装置105の空き容量が所定の閾値以下であるか否かに基づいて行われてもよい。或いは、ステップS113の判断は、バッテリ残量に基づいて概算された記録可能時間分の移動軌跡情報を記録するために必要な容量と、ロギング用記憶装置105の空き容量とを比較することによって行われてもよい。ステップS113の判断によって、空き容量が十分ないと判断された場合には、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に読込コマンドを送る。そして、この読込コマンドに応じてロギング用記憶装置105は、記憶された移動軌跡情報をメインシステム109に送った後、移動軌跡情報を消去する(S115)。かかる構成により、PND10aは、記憶容量不足により移動軌跡情報の記録が中断されることを回避することができる。
【0063】
一方、ステップS113の判断においてロギング用記憶装置105に十分な空き容量があると判断された場合には、ステップS115の処理は省略される。そして、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に記録条件を設定する(S117)。このとき設定される記録条件は、例えば移動軌跡情報の記録頻度などである。そして、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に割込み条件を設定する(S119)。ここで設定される割込み条件は、例えば、ロギングコントローラ103がロギング処理を中止して、メインシステム109をスリープ状態から通常状態に切替えるためのトリガとなる条件である。具体的には、割込み条件は、電圧値であってもよい。この場合、ロギングコントローラ103は、バッテリ容量が所定の閾値以下であることを電圧値により検知してメインシステム109をスリープ状態から通常状態に切替える。
【0064】
次に、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に記録開始コマンドを送る(S121)。そして、メインシステム109は、動作モードを通常状態からスリープ状態に切替える(S123)。以上の処理により、ロギング処理が開始される。
【0065】
(ロギング中)
次に、ロギング中であることを効果的に示す方法の一例について、説明する。図11を参照すると、PND10aのロギング処理中の外観が示されている。PND10aは、ロギング専用モードで動作している間は、表示部の電力供給は止められた状態である。また、発光部13は、移動軌跡情報の記録頻度に応じた周期で点滅する。例えば、移動軌跡情報の記録頻度が5秒に一回である場合には、発光部13は、4.5秒間消灯した状態である。そして、発光部13は、その後の0.5秒間点灯する。かかる構成により、ユーザは、発光部13の点灯する周期を見ることによって、直感的に記録頻度を把握することができる。
【0066】
図12を参照すると、まず、ロギングコントローラ103は、設定情報を取得する(S131)。ここで取得する設定情報は、例えばメインシステム109により設定された記録頻度などの設定情報である。次に、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101の設定を実行する(S133)。例えば、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101に移動軌跡情報の記録頻度(即ち、GPSモジュール101の位置情報取得頻度)を設定する。すると、GPSモジュール101は、設定された頻度で位置情報を取得してロギングコントローラ103に入力することができる。
【0067】
次に、ロギングコントローラ103は、割込み条件の設定を実行する(S135)。ここで言う割込み条件は、ロギングコントローラ103がスリープ状態から通常状態に切替えるための条件である。例えば、割込み条件は、GPSモジュール101からのUART割込みを受信したこと、又は、設定されたタイマー時間が経過したこと、であってよい。
【0068】
ロギングコントローラ103は、割込み条件を設定すると、ロギングコントローラ103をスリープ状態に切替える(S137)。そして、割込みがあるか否かが判断される(S139)。割込みが発生した場合には、次にロギングコントローラ103は、割込みハンドル処理を実行する(S140)。割込みハンドル処理の詳細については、図13を用いて後述される。割込みハンドル処理が終わると、ロギングコントローラ103は、ロギングを終了するか否かを判断する(S160)。ロギングを終了しない場合には、ステップS137に再び戻る。
【0069】
次に、割込みハンドル処理の詳細について、図13を参照しながら説明する。割込みを受信して割込みハンドル処理が開始されると、まず、ロギングコントローラ103は、復帰処理を実行する(S141)。すなわち、ロギングコントローラ103は、ロギングコントローラ103をスリープ状態から通常状態に切替える。そして、ロギングコントローラ103は、割込み要因を確認する(S143)。ここで、ロギングコントローラ103は、割込み要因が、GPSモジュール101からの位置情報の受信であるか否かを判断する(S145)。そして、ロギングコントローラ103は、割込み要因がGPSモジュール101からの位置情報の受信であった場合には、次に位置情報の受信処理を実行する(S147)。
【0070】
そして、ロギングコントローラ103は、LED(発光部13)を点灯すると、ロギング用記憶装置105に位置情報と、当該位置情報の取得時刻とを対応付けた移動軌跡情報を記録する(S151)。ロギングコントローラ103は、移動軌跡情報の記録が終わるとLEDを消灯する(S153)。
【0071】
(ロギング終了)
なお、図12のステップS160に示したロギング終了か否かの判断は、例えば、図14に示すような基準で行われてもよい。ここでは、ロギング終了のトリガとして2つの例が挙げられる。
【0072】
1つ目の例は、ユーザがPND10aのスイッチ11を押下したことを検知することによりロギングを終了する例である。また、2つ目の例は、ロギングコントローラ103が電池残量の低下を検知することにより自動的にロギングを終了する例である。
【0073】
いずれかを検知することによりロギングが終了されて、メインシステム109がスリープ状態から通常状態に切替えられると、ロギング終了画面1203が表示されてもよい。メインシステム109は、ロギング終了画面1203中において、例えばログデータの保存ファイル名、ロギング期間中の統計データ、必要に応じて電池残量低下の注意喚起メッセージを表示することできる。
【0074】
ここで、メインシステムの復帰処理について図15を参照しながら説明する。図15の処理フローは、ユーザによるスイッチ11の押下、又は電池残量の低下が検知されたことをトリガとして実行される。
【0075】
まず、復帰条件を検知したのはロギングコントローラ103か否かが判断される(S161)。そして、ロギングコントローラ103が復帰条件を検知した場合には、ロギングコントローラ103がメインシステム109に割込みを入れる(S163)。そして、メインシステム109の復帰処理が実行される(S165)。すなわち、メインシステム109は、メインシステム109をスリープ状態から通常状態に切替える。
【0076】
このようにして、メインシステム109が復帰した後、図16に示される復帰後処理がメインシステム109において実行される。まず、メインシステム109は、メインシステム109の復帰前はロギング中だったか否かを判断する(S171)。そして、復帰前にロギング中であった場合には、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に読込コマンドを送り、ロギング用記憶装置105に記憶された移動軌跡情報を読み込み、メインシステム109内の記憶部102に記憶させる(S173)。
【0077】
メインシステム109は、ステップS173において取得した移動軌跡情報を解析してもよい(S175)。メインシステム109は、次に、記録されていた移動軌跡情報の解析結果を表示する(S177)。そして、メインシステム109は、電池残量が危険な水準であるか否かを判断する(S179)。電池残量が低下している場合には、メインシステム109は、電池残量についての警告メッセージを表示させる(S181)。
【0078】
以上、第1の動作例の一連の流れについて説明してきた。本実施形態に係るPND10aの第1の動作例によれば、メインシステム109をスリープ状態としたまま移動軌跡情報の生成を行う。このため、移動軌跡情報の生成、すなわち位置情報のロギングにかかる消費電力を低減することができる。また、移動軌跡情報を記録している間、発光部13は、記録頻度に応じた周期で点滅する。このため、ユーザはこの発光部13の点滅周期を見ることによって、直感的に記録頻度を把握することができる。
【0079】
また、ロギング中において、PND10aは、GPSモジュール101からUART割込みが入るまでの間、さらにロギングコントローラ103をスリープ状態にすることができる。このため、さらなる消費電力の低減を図ることができる。なお、ユーザがスイッチ11を押下した場合には、ユーザがロギング以外の機能を使用したい場合であると考えられる。このため、PND10aは、ユーザがスイッチ11を押下した場合には、ロギングを終了して、メインシステム109をスリープ状態から通常状態に切替える。なお、ここでは、スイッチ11の押下に応じてロギング処理を終了することとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、スイッチ11が押下されても、ロギング処理は終了しなくてもよい。この場合には、メインシステム109がスリープ状態から通常状態に切替えられると、バックグラウンド処理によってロギング処理が実行されてもよい。
【0080】
[1−4.第2の動作例]
次に、PND10aの第2の動作例について図17〜図21を参照しながら説明する。図17は、同実施形態に係るPNDの通知オプションの設定についての説明図である。図18は、同実施形態に係るPNDの通知ポイントにおける通知方法についての説明図である。図19は、同実施形態に係るPNDの通知オプションを設定する場合のメインシステムのロギング開始処理の動作を示すフローチャートである。図20は、同実施形態に係るPNDの通知オプションが設定された場合のロギングコントローラの割込みハンドル処理の動作を示すフローチャートである。図21は、同実施形態に係るPNDの通知オプションが設定された場合のメインシステムの復帰後処理の動作を示すフローチャートである。
【0081】
第2の動作例において、ユーザは、ロギング専用モードで移動軌跡情報の記録を開始する前に、通知オプションを設定する。通知オプションは、ロギング専用モードでPND10aが動作している間であっても、周囲のポイントについて知りたい場合に用いる機能である。
【0082】
例えば、通知オプションは、図17に示されるように、ロギング開始画面1201からオプション設定ボタン203を押下することによって遷移することのできるオプション設定画面1205に対する操作によって設定される。例えば、ロギング開始前に、オプション設定画面1205の通知ポイント設定領域205において、ユーザが、通知したい場所を選択する。すると、ロギングコントローラ103は、選択された通知場所の位置情報をロギング用記憶装置105に記憶する。ロギングコントローラ103は、ロギング専用モードで動作している間、選択された通知場所の位置と、GPSモジュール101が取得する位置情報とを比較することによって、ユーザの現在位置が通知場所付近であるか否かを判断する。そして、ユーザの現在位置が通知場所付近であると判断された場合には、ロギングコントローラ103は、メインシステム109をスリープ状態から通常状態に切替えて表示部12及び音声出力部106により通知場所付近であることをユーザに通知する。
【0083】
例えば、通知の様子が図18に示される。ユーザがM1及びM2の地点にいるときには、PND10aは、ロギング専用モードで動作する。そして、ロギングコントローラ103が、現在位置が、通知場所として設定された山小屋P1付近であることを検知すると、PND10aは、メインシステム109をスリープ状態から通常状態に切替えて、表示画面及び音声出力によって通知場所付近であることをユーザに通知する。
【0084】
以下、第1の動作例と動作が異なる箇所のみ、フローチャートを用いて第2の動作例におけるPND10aの処理について説明する。図19を参照すると、ロギング開始処理の流れが示される。図19のステップS211〜ステップS217は、図10のステップS111〜ステップS117と同様であるため、ここでは説明が省略される。ステップS219において、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に割込み条件を設定する。このとき設定される割込み条件は、第1の動作例においては電圧値であったが、第2の動作例においては、これに加えて通知場所が設定される。以下、ステップS221及びステップS223の処理は、図10のステップS121及びステップS123と同様であるため、ここでは説明が省略される。
【0085】
次に、図20に第2の動作例における割込みハンドル処理の流れが示される。図20のステップS241〜ステップS247は、図13のステップS141〜ステップS147と同様であるため、ここでは説明が省略される。ステップS247において位置情報の受信処理が実行された後、ロギングコントローラ103は、現在位置が通知場所付近であるか否かを判断する(S249)。そして、現在位置が通知場所付近であることが検知されると、ロギングコントローラ103は、メインシステム109に割込みを入れる(S251)。一方、現在位置が通知場所付近でない場合には、ステップS251の処理は省略される。以下、ステップS253〜ステップS257の処理は、図13のステップS149〜ステップS153の処理と同様であるため、ここでは説明が省略される。
【0086】
また、図21にメインシステムの復帰後処理が示される。メインシステム109がスリープ状態から通常状態に切替えられた後、メインシステム109は、割込み要因が通知場所であるか否かを判断する(S261)。割込み要因が通知場所である場合には、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に読込コマンドを送り、ロギング用記憶装置105内の移動軌跡情報を取得する(S263)。そして、メインシステム109は、取得した移動軌跡情報を、メインシステム109内部の記憶部102に記憶させる(S265)。
【0087】
次に、メインシステム109は、事前に設定された通知場所に近づいたことをユーザに通知する。このとき、メインシステム109は、例えば表示部12及び音声出力部106を用いることにより、表示画面及び音声出力によってユーザに通知場所に近づいたことを通知することができる。すなわち、表示部12及び音声出力部106は、通知地点に近づいたことを通知する通知部の一例である。
【0088】
そして、メインシステム109は、通知後の動作が継続ロギングであるか否かを判断する(S269)。かかる判断は、例えば、事前の設定情報を確認することによって行われてもよい。通知後の動作が継続ロギングである場合には、メインシステム109は、メインシステム109を通常状態からスリープ状態に切替える。
【0089】
以上、本発明の第1の実施形態に係るPND10aの第2の動作例について説明してきた。第2の動作例によれば、PND10aは、予め登録した通知場所付近にユーザが居ることを検知すると、ユーザにその旨を通知することができる。ロギング専用モードでは、PND10aは、通常のナビゲーション機能を利用することはできない。しかし、通知オプションを利用することによって、ユーザは、予め設定した特定の場所に近づいたことを知ることができる。
【0090】
上記にて、登山の場合を例に挙げたが、ナビゲーション機能を利用するユーザは、逐一現在位置と、選択するべき道を知りたいユーザだけではない。例えば、大まかな行き方は知っているものの、詳細な場所は知らないため、目的地付近でのみ詳細な道路情報等を知りたいユーザもいる。後者のユーザにとって、この通知オプションの機能は有効である。
【0091】
<2.第2の実施形態>
[2−1.構成]
次に、本発明の第2の実施形態に係るPND10bの構成について、図22を参照しながら説明する。図22は、本発明の第2の実施形態に係るPNDの機能構成を示すブロック図である。
【0092】
PND10bは、GPSモジュール101と、ロギングコントローラ103と、ロギング用記憶装置105と、センサ部107と、メインシステム109とを主に有する。すなわち、第1の実施形態に係るPND10aの構成に加えて、PND10bは、センサ部107をさらに有する。
【0093】
センサ部107は、例えば加速度センサ、振動センサなどであり、PND10bの移動を検知する検知部の一例である。PND10bは、センサ部107を有することにより、ロギング専用モードでPND10bが動作しているときに、さらに省電力なスーパースタミナモードで動作することができる。
【0094】
ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101の取得する位置情報に基づいて現在位置が所定時間以上変化していないことを検出すると、GPSモジュール101の電源を落として移動軌跡情報の記録を中断する。また、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101の電源を落としている間、センサ部107からの割り込みを受付ける。センサ部107は、PND10bの移動を検知する。このため、ロギングコントローラ103がセンサ部からの割込みを受けてGPSモジュール101に再び電力を供給することによって、PND10bが静止している間だけGPSモジュール101への電力供給を中断し、さらに消費電力が低減される。
【0095】
以上、本実施形態に係るPND10bの機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0096】
なお、上述のような本実施形態に係るPND10bの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0097】
[2−2.動作モード]
次に、PND10bの動作モードについて図23〜図26を参照しながら説明する。図23は、同実施形態に係るPNDのオプション設定画面を示す説明図である。図24は、同実施形態に係るPNDのオプション設定の概要を示す説明図である。図25は、同実施形態に係るPNDのスタミナロギングモードについての説明図である。図26は、同実施形態に係るPNDの静止モードについての説明図である。
【0098】
(スーパースタミナモード)
例えば図23に示されるオプション設定画面1207の超スタミナオプション設定領域207において、スーパースタミナモードを選択することにより、PND10bは、スーパースタミナモードで動作する。このスーパースタミナモードは、ロギング専用モードにおいてさらに選択されるオプションモードである。
【0099】
スーパースタミナモードで動作するPND10bは、スタミナロギングモードと、静止モードの2つの動作状態を有する。例えばPND10bを携帯するユーザMが、喫茶店P2に滞在している間は、位置情報はほとんど変化しない。このため、スーパースタミナモードにおいては、この休憩中の期間、移動履歴情報の記録を中止する。
【0100】
(スタミナロギングモード)
ここで、スタミナロギングモードについて図25を参照しながら説明する。スタミナロギングモードは、スーパースタミナモードの1つの状態である。GPSモジュール101の取得する位置情報に基づいて、PND10bが移動していることが検出されている間は、PND10bは、スタミナロギングモードで動作する。このとき、PND10bは、GPSモジュール101、ロギングコントローラ103、ロギング用記憶装置105、及びセンサ部107に電力が供給されている。このときメインシステム109は、スリープ状態である。
【0101】
(静止モード)
また、静止モードについて図26を参照しながら説明する。静止モードは、スーパースタミナモードの1つの状態である。GPSモジュール101の取得する位置情報に基づいて、PND10bが静止したことが検出されると、PND10bは、スタミナロギングモードから静止モードに切替える。静止モードにおいて、PND10bは、GPSモジュール及びロギング用記憶装置105への電力供給を停止する。PND10bは、センサ部107から、PND10bが移動したことを検出するまで静止モードで動作する。静止モードは、GPSモジュール101の動作を停止するため、より省電力に動作することができる。
【0102】
[2−3.動作例]
次に、PND10bの動作例について図27及び図28を参照しながら説明する。図27は、同実施形態に係るPNDのメインシステムのロギング開始処理の動作を示すフローチャートである。図28は、同実施形態に係るPNDのロギングコントローラの割込みハンドル処理の動作を示すフローチャートである。
【0103】
図27を参照すると、本発明の第2の実施形態に係るPND10bのロギング開始処理の流れが示される。なお、ここでは、第1の実施形態に係るPND10aの第1の動作例との差異点について主に説明し、同様の箇所については説明が省略される。
【0104】
図27のステップS311〜ステップS323の各処理は、図10のステップS111〜ステップS123の各処理と比較すると、ステップS317の処理のみ相違する。ステップS317において、PND10bのメインシステム109は、ロギングコントローラに記録条件を設定する。このとき、メインシステム109は、記録条件として、スーパースタミナモードで動作することをロギングコントローラに設定する。ステップS317以外の各処理は、図10と同様であるため、ここでは説明が省略される。
【0105】
なお、PND10bのロギング中の動作については、図12と同様であり、割込みハンドル処理が相違するため、図28を参照しながら割込みハンドル処理について説明する。
【0106】
まず、ロギングコントローラ103は、ロギングコントローラ103をスリープ状態から通常状態へ切替える復帰処理を実行する(S341)。そして、ロギングコントローラ103は、割込み要因を確認する(S343)。割込み要因がGPSモジュール101からの位置情報の受信であるか否かが判断され(S345)、GPSモジュール101からの位置情報の受信による割込みであった場合には、ロギングコントローラ103は、位置情報の受信処理を実行する(S347)。
【0107】
次に、ロギングコントローラ103は、しばらく静止しているか否かを判断する(S349)。かかる判断は、例えば、GPSモジュール101から取得される位置情報が所定の時間以上の間、大きく変化していない状態を検知したか否かに基づいて実行されてもよい。ステップS349の判断において、所定時間以上PND10bが静止していることが検知されなかった場合には、通常通りの移動軌跡情報記録処理が行われる。すなわち、ロギングコントローラ103は、LEDを点灯させ(S351)た後、ロギング用記憶装置105に移動軌跡情報を記録して(S353)、LEDを消灯する(S355)。
【0108】
一方、ステップS349の判断において、所定時間以上PND10bが静止していることが検知されると、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101の電源をオフにする(S357)。そして、ロギングコントローラ103は、ロギングコントローラ103に対する割込み条件にセンサを追加する(S359)。そして、ロギングコントローラ103は、動作モードをスタミナロギングモードから静止モードに切替えてセンサからの割込みを待機する(S361)。
【0109】
以上のように、静止モードに設定された後には、センサ部107がロギングコントローラ103に割込みを入れる場合がある。ステップS345において、割込み要因がGPSモジュール101からの位置情報の受信でないと判断された場合に、ロギングコントローラ103は、次に、割込み要因がセンサの割込みであるか否かを判断する(S363)。
【0110】
ステップS363の判断において、センサの割込みであると判断された場合には、ロギングコントローラ103は、GPSモジュール101の電源をオンにして、記録頻度などを再設定する(S365)。そして、GPSモジュール101に位置情報を取得させる(S367)。ロギングコントローラ103は、取得された位置情報に基づいて、移動が開始されたか否かを判断する(S369)。例えば、振動を検知してセンサ部107が割込みを入れた場合であっても、ユーザがPND10bを触っただけであって、実質的な移動は開始されていない場合もある。このため、ステップS369において、位置情報に基づいて実際に移動が開始されているか否かが判断される。
【0111】
ステップS369の判断において、実際には移動が開始されていなかった場合には、ステップS357に戻り、PND10bは、再び静止モードに切替えられる。一方、実際に移動が開始された場合には、次に、PND10bは、静止モードからスタミナロギングモードに切替えられる(S371)。そして、ロギングコントローラ103は、ロギングコントローラ103に対する割込み条件を再設定する。すなわち、ロギングコントローラ103は、割込み条件からセンサを削除してGPSモジュール101からのUART割込みを追加する。
【0112】
以上、説明してきた第2の実施形態に係るPND10bによれば、ロギング専用モードのスーパースタミナモードオプションをユーザが選択することにより、さらなる省電力を図ることができるようになる。例えば、ユーザが喫茶店などで休憩している期間は、位置情報に変化がない。このため、位置情報に変化がない間、GPSモジュール101による位置情報の取得と移動軌跡情報の記録を中断することによって、記録を中断している期間中の消費電力をさらに低減することができる。このため、PND10bはPND10bの移動を検知するセンサを有する。GPSモジュール101は、複数のGPS衛星からのGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて、現在位置を算出する機能を有するため、単純にPND10bの振動等を検知するセンサと比較して消費電力が高い。このため、移動軌跡情報の記録が必要ない期間中(すなわち、PND10bの位置が移動していないとき)は、GPSモジュール101の電源をオフにすることで、さらなる省電力化が図られる。
【0113】
<3.使用コマンド例>
次に、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態に係るPND10のメインシステム109がロギングコントローラ103に所望の処理を行わせるためのコマンドの一例について説明する。以下に示すコマンドを用いることによって、メインシステム109は、ロギングコントローラ103の動作を制御することができる。
【0114】
【表1】
【0115】
例えば、メインシステム109は、表1の「SET_MODE」コマンドを用いることにより、ロギングコントローラ103の動作モードを切替えることができる。ここでは、GPSモジュール101とメインシステム109との通信を透過的に仲介するためのトランスペアレントモードと、ロギングコントローラ103の設定を実行するためのコマンドモードとが準備されている。コマンドは、データと組合わせて用いられる。例えばメインシステム109がロギングコントローラ103をトランスペアレントモードに設定したい場合には、メインシステム109は、「SET_MODE transparent_mode」をロギングコントローラ103に入力する。
【0116】
「CTRL_CMD」コマンドの使い方も同様である。例えば、メインシステム109は、ロギングコントローラ103に「CTRL_CMD START_LOGGING」と入力する。すると、ロギングコントローラ103は、移動履歴情報の記録を開始する。また、「READ」コマンド、又は「WRITE」コマンドを、次に示す別表の項目名に記載された文字列と組合わせて用いることによって、メインシステム109は、項目名に記載された文字列と対応づけれたデータの読込み、又は書込みを実行することができる。各項目が書込みの対象であるか否か、及び各項目が読込みの対象であるか否かは、下表に示される。例えば、「記録容量の空き」は、読込み対象であるが、書込み対象ではない。記録容量の空きを調べたいときには、メインシステム109は、「READ num_of_points_empty」をロギングコントローラ103に入力する。
【0117】
【表2】
【0118】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0119】
例えば、上記実施形態では、PNDは、位置情報を取得する構成として、GPS受信機の機能を有するGPSモジュールを有するものとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、PNDは、複数の基地局からのWiFi電波を受信する受信機と、受信したWiFi電波に基づいて現在位置を算出する現在位置算出部とを含む位置情報取得部を有してもよい。ここで現在位置算出部は、受信したWiFi電波の受信強度に基づいて、受信機と各基地局との間の距離を推定する。そして現在位置算出部は、推定した各基地局との距離および各基地局の位置の情報を利用し、三角測量の原理に基づいて現在位置を算出する。
【0120】
また、PNDは、各種のセンサの検出値に基づいて相対位置を取得する相対位置情報取得部をさらに有してもよい。例えば、相対位置情報取得部は、角速度を検出するジャイロセンサと、加速度を検出する加速度センサと、地磁気を検出する地磁気センサとを含んでもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、測位衛星の一例として、GPSが挙げられた。しかし、測位衛星は、GPSに限られない。測位衛星は、ガリレオ、GLONASS、北斗、みちびきなど各種の測位衛星であってよい。このとき、測位衛星は、1つの種類の衛星が用いられてもよいし、複数の種類の衛星による測位信号が組合わせて用いられてもよい。実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、位置情報取得のために利用する構成を変更することが可能である。
【0122】
また、上記実施形態では、情報処理装置の具体例として、PNDが挙げられた。しかし、本発明はかかる例に限定されない。情報処理装置は、位置情報を取得する構成を有し、バッテリで駆動する各種の電子機器であってよい。例えば、情報処理装置は、携帯電話、携帯音楽再生装置、携帯用映像処理装置、携帯用ゲーム機器、PDA(Personal Digital Assistants)、ノートPC(Personal Computer)などの情報処理装置であってよい。
【0123】
また、上記実施形態では、情報処理装置のバッテリについては特に言及しなかったが、GPSモジュール101、ロギングコントローラ103、およびロギング用記憶装置105と、メインシステム109とが同じバッテリを共用してもよい。或いは、GPSモジュール101、ロギングコントローラ103、およびロギング用記憶装置105と、メインシステム109とはそれぞれ異なる独立したバッテリを用いるものであってもよい。
【0124】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0125】
10 PND
11 スイッチ
12 表示部
13 発光部
14 クレードル
16 吸盤
101 GPSモジュール
103 ロギングコントローラ
105 ロギング用記憶装置105
107 センサ部
109 メインシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該情報処理装置の主な機能を実現する通常動作モード、および前記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを切替えて動作する主機能部と、
現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、
前記主機能部が前記省電力モードに切替えられた状態で、前記位置取得部により取得された位置情報を、前記位置情報が取得された時刻と対応づけた移動軌跡情報を第1の記憶部に記録させるロギングコントローラと、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
当該情報処理装置の移動を検知するセンサである検知部、
をさらに備え、
前記ロギングコントローラは、前記位置取得部の取得する位置情報に基づいて現在位置が所定時間以上変化していないことを検出すると、前記検知部が当該情報処理装置の移動を検知するまで、前記位置取得部の電源を落として前記移動軌跡情報の記録を中断する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ロギングコントローラは、前記移動軌跡情報の記録を実行する第1の動作モードと、前記第1の動作モードよりも消費電力が低く、前記移動軌跡情報の記録をしていないときに用いられる第2の動作モードとを切替えて動作する、請求項1又は2のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記移動軌跡情報の記録頻度に応じた周期で点滅する発光部、
をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記主機能部は、当該主機能部を前記省電力モードに切替える前に、通知地点の情報を前記ロギングコントローラに設定し、
前記ロギングコントローラは、当該情報処理装置の現在位置が前記通知地点から所定の範囲内に近づくと、前記主機能部を前記通常動作モードに切替える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記主機能部は、前記ロギングコントローラが前記通知地点から所定の範囲内であることを検知して前記通常動作モードに切替えられると、前記通知地点に近づいたことを通知する通知部を有する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記主機能部は、前記省電力モードで前記ロギングコントローラが移動軌跡情報を記録した後、前記通常動作モードに切替えられると、前記第1の記憶部に記憶された移動軌跡情報の解析結果を含む画面を表示させる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記主機能部は、当該主機能部を前記省電力モードに切替える前に、前記第1の記憶部の空き容量が所定の閾値以下であるとき、前記第1の記憶部に記憶された移動軌跡情報を複製して第2の記憶部に記憶し、前記第1の記憶部に記憶された移動軌跡情報を消去する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
当該情報処理装置の主な機能を実現する通常動作モード、および前記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを切替えて動作する主機能部の有するメインコントローラが、ロギングコントローラに現在位置を示す位置情報と当該位置情報が取得された時刻とが対応づけられた移動軌跡情報の取得頻度を設定するステップと、
前記メインコントローラが、前記主機能部を前記省電力モードに切替えるステップと、
前記主機能部が前記省電力モードに切替えられた状態で、前記ロギングコントローラが前記位置情報を取得させるステップと、
前記ロギングコントローラが、取得された前記位置情報に基づいて、前記移動軌跡情報を記録させるステップと、
を含む、位置記録方法。
【請求項10】
コンピュータを、
当該情報処理装置の主な機能を実現する通常動作モード、および前記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを切替えて動作する主機能部と、
現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、
前記主機能部が前記省電力モードに切替えられた状態で、前記位置取得部により取得された位置情報を、前記位置情報が取得された時刻と対応づけた移動軌跡情報を第1の記憶部に記録させるロギングコントローラと、
を備える、情報処理装置として機能させるための、プログラム。
【請求項1】
当該情報処理装置の主な機能を実現する通常動作モード、および前記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを切替えて動作する主機能部と、
現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、
前記主機能部が前記省電力モードに切替えられた状態で、前記位置取得部により取得された位置情報を、前記位置情報が取得された時刻と対応づけた移動軌跡情報を第1の記憶部に記録させるロギングコントローラと、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
当該情報処理装置の移動を検知するセンサである検知部、
をさらに備え、
前記ロギングコントローラは、前記位置取得部の取得する位置情報に基づいて現在位置が所定時間以上変化していないことを検出すると、前記検知部が当該情報処理装置の移動を検知するまで、前記位置取得部の電源を落として前記移動軌跡情報の記録を中断する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ロギングコントローラは、前記移動軌跡情報の記録を実行する第1の動作モードと、前記第1の動作モードよりも消費電力が低く、前記移動軌跡情報の記録をしていないときに用いられる第2の動作モードとを切替えて動作する、請求項1又は2のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記移動軌跡情報の記録頻度に応じた周期で点滅する発光部、
をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記主機能部は、当該主機能部を前記省電力モードに切替える前に、通知地点の情報を前記ロギングコントローラに設定し、
前記ロギングコントローラは、当該情報処理装置の現在位置が前記通知地点から所定の範囲内に近づくと、前記主機能部を前記通常動作モードに切替える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記主機能部は、前記ロギングコントローラが前記通知地点から所定の範囲内であることを検知して前記通常動作モードに切替えられると、前記通知地点に近づいたことを通知する通知部を有する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記主機能部は、前記省電力モードで前記ロギングコントローラが移動軌跡情報を記録した後、前記通常動作モードに切替えられると、前記第1の記憶部に記憶された移動軌跡情報の解析結果を含む画面を表示させる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記主機能部は、当該主機能部を前記省電力モードに切替える前に、前記第1の記憶部の空き容量が所定の閾値以下であるとき、前記第1の記憶部に記憶された移動軌跡情報を複製して第2の記憶部に記憶し、前記第1の記憶部に記憶された移動軌跡情報を消去する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
当該情報処理装置の主な機能を実現する通常動作モード、および前記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを切替えて動作する主機能部の有するメインコントローラが、ロギングコントローラに現在位置を示す位置情報と当該位置情報が取得された時刻とが対応づけられた移動軌跡情報の取得頻度を設定するステップと、
前記メインコントローラが、前記主機能部を前記省電力モードに切替えるステップと、
前記主機能部が前記省電力モードに切替えられた状態で、前記ロギングコントローラが前記位置情報を取得させるステップと、
前記ロギングコントローラが、取得された前記位置情報に基づいて、前記移動軌跡情報を記録させるステップと、
を含む、位置記録方法。
【請求項10】
コンピュータを、
当該情報処理装置の主な機能を実現する通常動作モード、および前記通常動作モードより消費電力の低い省電力モードを切替えて動作する主機能部と、
現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、
前記主機能部が前記省電力モードに切替えられた状態で、前記位置取得部により取得された位置情報を、前記位置情報が取得された時刻と対応づけた移動軌跡情報を第1の記憶部に記録させるロギングコントローラと、
を備える、情報処理装置として機能させるための、プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−108001(P2012−108001A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257242(P2010−257242)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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