説明

情報処理装置、画像処理システム、及びプログラム

【課題】ある画像形成装置における画質と別の画像形成装置における画質とを、出力したものを読み取って近付けるための情報を、精度よく生成する。
【解決手段】ターゲット装置30a及びハンドリング装置30bでは、画像形成部50がテストパターンを出力し、画像読取部60が出力されたテストパターン及び予め用意されたテストパターンを読み取る。端末装置10では、読取画像受付部25がこれらの読取画像を受け付け、デバイス特性算出部27が、出力されたテストパターンの読取画像に基づき、かつ、予め用意されたテストパターンの読取画像に基づく読取デバイス特性データにより修正された出力デバイス特性データを生成し、画質ターゲット情報生成部28が出力デバイス特性データに基づいて画質ターゲット情報を生成してハンドリング装置30b内の画質ターゲット情報記憶部74に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像処理システム、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタのカラースペースが変わってもユーザが望んだ通りのカラーでプリントアウトできるようにする技術は知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の技術では、ユーザが、テストパターンのプリントアウトとマスタシートとをイメージスキャナに一回のイメージスキャニング動作で読み取らせると、センタサーバマシンが、イメージスキャナからアップロードされた読取イメージデータから、テストパターンのプリントアウトとマスタシートとの間のカラーの違いを検出し、その検出結果に基づいて、調査対象のプリンタの現在のカラースペースを表した新しいプリンタICCプロファイルを作成し、プリンタICCプロファイルデータベース内の対応するプリンタICCプロファイルを更新している。
【0003】
また、特殊な環境なしに、安価なスキャナを利用して複数のプリンタ(デバイス)間でカラーマッチングの補正を行う技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2の技術では、ホストコンピュータが、複数のプリンタがそれぞれ出力したカラーチャートをスキャナが読取ったカラーチャートデータを受信し、基準デバイスのカラーチャートデータと他のプリンタのカラーチャートデータから相対色差をそれぞれ算出し、算出した相対色差データを各々のプリンタに送出し、各プリンタが、ホストコンピュータから送信された相対色差に基づいて、LUT補正量を算出しこれに基づいてLUTを補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−122542号公報
【特許文献2】特開2006−19911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ある画像形成装置における画質と別の画像形成装置における画質とを、出力したものを読み取って近付けるための情報を生成する際に、画像読取装置を加味しない場合に比して、精度よく生成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、検査見本の印刷を指示する印刷指示情報に基づいて第1の画像形成装置で形成された画像を読み取って得られた第1の読取画像と、当該検査見本の印刷を指示する印刷指示情報に基づいて第2の画像形成装置で形成された画像を読み取って得られた第2の読取画像とを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記第1の読取画像と、当該第1の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記第1の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第1の特性情報を生成し、前記取得手段により取得された前記第2の読取画像と、当該第2の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記第2の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第2の特性情報を生成する特性情報生成手段と、前記特性情報生成手段により生成された前記第1の特性情報と前記第2の特性情報とを用いて、前記第1の画像形成装置で形成される画像の画質特性と前記第2の画像形成装置で形成される画像の画質特性とを近付けるための画質特性変更情報を生成する変更情報生成手段とを備えたことを特徴とする情報処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記取得手段により取得された前記第1の読取画像に基づいて、前記第1の特性情報の信頼性を示す第1の信頼性情報を生成し、前記取得手段により取得された前記第2の読取画像に基づいて、前記第2の特性情報の信頼性を示す第2の信頼性情報を生成する信頼性情報生成手段を更に備え、前記変更情報生成手段は、前記信頼性情報生成手段により生成された前記第1の信頼性情報と前記第2の信頼性情報とを更に用いて、前記画質特性変更情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記信頼性情報生成手段は、前記第1の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取の安定性に更に基づいて、前記第1の信頼性情報を生成し、前記第2の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取の安定性に更に基づいて、前記第2の信頼性情報を生成することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記取得手段は、前記第1の読取画像を得るために用いられた画像読取装置で前記検査見本を読み取って得られた第3の読取画像と、前記第2の読取画像を得るために用いられた画像読取装置で当該検査見本を読み取って得られた第4の読取画像とを更に取得し、前記特性情報生成手段は、前記第1の読取画像の画質特性を前記第3の読取画像の画質特性で修正して得られた画質特性と、前記検査見本の画質特性とを対応付けた前記第1の特性情報を生成し、前記第2の読取画像の画質特性を前記第4の読取画像の画質特性で修正して得られた画質特性と、前記検査見本の画質特性とを対応付けた前記第2の特性情報を生成することを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記変更情報生成手段は、前記第1の特性情報のうち、前記第1の信頼性情報によって信頼性が低いとされる画質特性に関する部分を、前記第1の信頼性情報によって信頼性が高いとされる画質特性に関する部分に基づく予測値で置き換えて得られた特性情報と、前記第2の特性情報のうち、前記第2の信頼性情報によって信頼性が低いとされる画質特性に関する部分を、前記第2の信頼性情報によって信頼性が高いとされる画質特性に関する部分に基づく予測値で置き換えて得られた特性情報とを用いて、前記画質特性変更情報を生成することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記変更情報生成手段は、前記第1の特性情報のうち、前記第1の信頼性情報によって信頼性が低いとされる画質特性に関する部分を除外して得られた特性情報と、前記第2の特性情報のうち、前記第2の信頼性情報によって信頼性が低いとされる画質特性に関する部分を除外して得られた特性情報とを用いて、前記画質特性変更情報を生成することを特徴とする請求項4又は5に記載の情報処理装置である。
請求項7に記載の発明は、検査見本の印刷を指示する印刷指示情報を送信する情報送信装置と、前記情報送信装置により送信された前記印刷指示情報に基づいて媒体に画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置により媒体に形成された画像を読み取る画像読取装置とを備え、前記情報送信装置は、前記画像形成装置及び当該画像形成装置とは異なる他の画像形成装置に前記印刷指示情報を送信する送信手段と、前記送信手段により送信された前記印刷指示情報に基づいて前記画像形成装置で形成された画像を前記画像読取装置で読み取って得られた第1の読取画像と、前記送信手段により送信された前記印刷指示情報に基づいて前記他の画像形成装置で形成された画像を読み取って得られた第2の読取画像とを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記第1の読取画像と、前記画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第1の特性情報を生成し、前記取得手段により取得された前記第2の読取画像と、当該第2の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記他の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第2の特性情報を生成する特性情報生成手段と、前記特性情報生成手段により生成された前記第1の特性情報と前記第2の特性情報とを用いて、前記画像形成装置で形成される画像の画質特性と前記他の画像形成装置で形成される画像の画質特性とを近付けるための画質特性変更情報を生成する変更情報生成手段とを備えたことを特徴とする画像処理システムである。
請求項8に記載の発明は、検査見本の印刷を指示する印刷指示情報を送信する情報送信装置と、前記情報送信装置により送信された前記印刷指示情報に基づいて媒体に画像を形成する第1の画像形成装置と、前記第1の画像形成装置により媒体に形成された画像を読み取る第1の画像読取装置と、前記情報送信装置により送信された前記印刷指示情報に基づいて媒体に画像を形成する第2の画像形成装置と、前記第2の画像形成装置により媒体に形成された画像を読み取る第2の画像読取装置とを備え、前記情報送信装置は、前記第1の画像形成装置及び前記第2の画像形成装置に前記印刷指示情報を送信する送信手段と、前記送信手段により送信された前記印刷指示情報に基づいて前記第1の画像形成装置で形成された画像を前記第1の画像読取装置で読み取って得られた第1の読取画像と、前記送信手段により送信された前記印刷指示情報に基づいて前記第2の画像形成装置で形成された画像を前記第2の画像読取装置で読み取って得られた第2の読取画像とを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記第1の読取画像と、前記第1の画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記第1の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第1の特性情報を生成し、前記取得手段により取得された前記第2の読取画像と、前記第2の画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記第2の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第2の特性情報を生成する特性情報生成手段と、前記特性情報生成手段により生成された前記第1の特性情報と前記第2の特性情報とを用いて、前記第1の画像形成装置で形成される画像の画質特性と前記第2の画像形成装置で形成される画像の画質特性とを近付けるための画質特性変更情報を生成する変更情報生成手段とを備えたことを特徴とする画像処理システムである。
請求項9に記載の発明は、コンピュータに、検査見本の印刷を指示する印刷指示情報に基づいて第1の画像形成装置で形成された画像を読み取って得られた第1の読取画像と、当該検査見本の印刷を指示する印刷指示情報に基づいて第2の画像形成装置で形成された画像を読み取って得られた第2の読取画像とを取得する機能と、取得された前記第1の読取画像と、当該第1の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記第1の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第1の特性情報を生成し、取得された前記第2の読取画像と、当該第2の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記第2の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第2の特性情報を生成する機能と、生成された前記第1の特性情報と前記第2の特性情報とを用いて、前記第1の画像形成装置で形成される画像の画質特性と前記第2の画像形成装置で形成される画像の画質特性とを近付けるための画質特性変更情報を生成する機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、ある画像形成装置における画質と別の画像形成装置における画質とを、出力したものを読み取って近付けるための情報を生成する際に、画像読取装置を加味しない場合に比して、精度よく生成することができる。
請求項2の発明によれば、ある画像形成装置における画質と別の画像形成装置における画質とを、出力したものを読み取って近付けるための情報を生成する際に、これらの画像形成装置の信頼性を加味しない場合に比して、精度よく生成することができる。
請求項3の発明によれば、ある画像形成装置における画質と別の画像形成装置における画質とを、出力したものを読み取って近付けるための情報を生成する際に、画像読取装置における画像読取の安定性を加味しない場合に比して、精度よく生成することができる。
請求項4の発明によれば、ある画像形成装置における画質と別の画像形成装置における画質とを、出力したものを読み取って近付けるための情報を生成する際に、画像形成装置で形成された画像を画像読取装置で読み取って得られた画像を画像読取装置の特性で修正しない場合に比して、精度よく生成することができる。
請求項5の発明によれば、ある画像形成装置における画質と別の画像形成装置における画質とを、出力したものを読み取って近付けるための情報を生成する際に、画像形成装置の特性に信頼性が低い部分があったとしても、本構成を有していない場合に比較して、精度よく生成することができる。
請求項6の発明によれば、ある画像形成装置における画質と別の画像形成装置における画質とを、出力したものを読み取って近付けるための情報を生成する際に、画像形成装置の特性に信頼性が低い部分があったとしても、本構成を有していない場合に比較して、その影響を抑えることができる。
請求項7の発明によれば、ある画像形成装置における画質と別の画像形成装置における画質とを近付けるための情報を、出力したものを読み取って近付けるための情報を生成する際に、画像読取装置を加味しない場合に比して、精度よく生成することができる。
請求項8の発明によれば、ある画像形成装置における画質と別の画像形成装置における画質とを近付けるための情報を、出力したものを読み取って近付けるための情報を生成する際に、画像読取装置を加味しない場合に比して、精度よく生成することができる。
請求項9の発明によれば、ある画像形成装置における画質と別の画像形成装置における画質とを近付けるための情報を、出力したものを読み取って近付けるための情報を生成する際に、画像読取装置を加味しない場合に比して、精度よく生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態における画像ハンドリングシステムの全体構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態の画像ハンドリングシステムにおける各装置の機能構成例を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態の画像ハンドリングシステムにおける画像ハンドリングユーティリティの動作例を示したフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態における画像ハンドリングシステムで送信される画質指示の例を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態における画像ハンドリングシステムで送信される描画コマンドの例を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態における画像ハンドリングシステムで生成される画質ターゲット情報の例を示した図である。
【図7】本発明の実施の形態の画像ハンドリングシステムにおける画像ハンドリングユーティリティのテストパターン出力時の動作例を示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態における画像ハンドリングシステムで用いられるテストパターンの例を示した図である。
【図9】本発明の実施の形態の画像ハンドリングシステムにおける読取デバイス特性データ算出時の流れについて示した図である。
【図10】本発明の実施の形態における画像ハンドリングシステムで算出される読取デバイス特性データの例を示した図である。
【図11】本発明の実施の形態の画像ハンドリングシステムにおける出力デバイス特性データ算出時の流れについて示した図である。
【図12】本発明の実施の形態における画像ハンドリングシステムで算出される出力デバイス特性データの例を示した図である。
【図13】本発明の実施の形態における画像ハンドリングシステムにおける画質ターゲット情報の生成方法を説明するための図である。
【図14】本発明の実施の形態における画像ハンドリングシステムで算出される出力デバイス特性データとこれらから生成される画質ターゲット情報の例を示した図である。
【図15】本発明の実施の形態の画像ハンドリングシステムにおける画像ハンドリング部の動作例を示したフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態の画像ハンドリングシステムにおける端末装置のハードウェア構成図である。
【図17】本発明の実施の形態の画像ハンドリングシステムにおける画像処理装置の構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像ハンドリングシステムの構成例を示したものである。
図示するように、この画像ハンドリングシステムは、端末装置10と、ターゲット画像処理装置(以下、「ターゲット装置」という)30aと、ハンドリング画像処理装置(以下、「ハンドリング装置」という)30bとがネットワーク80を介して接続されることにより、構成されている。
【0010】
端末装置10は、ターゲット装置30a及びハンドリング装置30bに対して印刷を指示するデータ(以下、印刷を指示するデータを「印刷指示データ」という)を送信するコンピュータ装置である。ここで、端末装置10としては、例えばPC(Personal Computer)を用いればよく、この場合、PCは、クライアントPCとして動作するものであってもサーバPCとして動作するものであってもよい。本実施の形態では、情報処理装置、情報送信装置の一例として、端末装置10を設けている。
【0011】
ターゲット装置30aは、紙等の媒体から画像を読み取る画像読取機能、紙等の媒体に画像を形成する画像形成機能等を有し、出力される画像の画質特性に関して他の画像処理装置の目標となる画像処理装置である。ここで、画質特性とは、色再現性、線再現性等の画質に関する項目(以下、画質に関する項目を「画質項目」という)ごとの特性や、色、オブジェクト等の描画内容に関する特性を意味している。
ハンドリング装置30bは、紙等の媒体から画像を読み取る画像読取機能、紙等の媒体に画像を形成する画像形成機能等を有し、出力される画像の画質特性をターゲット装置30aの画質特性に近付くように変化させる対象となる画像処理装置である。
【0012】
ネットワーク80は、端末装置10とターゲット装置30a及びハンドリング装置30bとの間で情報通信を行うために用いられる通信回線網である。ここで、ネットワーク80としては、LAN(Local Area Network)やインターネットを用いるとよい。
【0013】
次に、図1の画像ハンドリングシステムにおける各装置の機能構成について説明する。
図2は、画像ハンドリングシステムにおける各装置の機能構成例を示したブロック図である。
まず、端末装置10の機能構成について説明する。
図示するように、端末装置10では、アプリケーションプログラム(以下、「アプリケーション」という)18と、プリンタドライバ19と、画像ハンドリングユーティリティ20とが動作する。
このうち、アプリケーション18は、ユーザの操作に応じて、原稿データを作成したり、作成済の原稿データを取り込んだりするプログラムである。また、アプリケーション18は、ユーザの操作に応じて、テストパターンの電子データであるテストパターンデータの作成や取り込みも行う。
プリンタドライバ19は、アプリケーション18から原稿データに基づく印刷の要求があると、ターゲット装置30a又はハンドリング装置30bに印刷指示データを送信することにより、これらの装置における原稿の出力を制御するプログラムである。ここで、印刷指示データとは、例えばPDL(Page Description Language)で記述されたPDLデータである。また、印刷指示データには、解像度、階調情報、スクリーン等の画質に関する指示である画質指示と、文字、図形、イメージ等の描画命令である描画コマンドとが含まれる。また、プリンタドライバ19は、アプリケーション18からテストパターンデータに基づく印刷の要求があると、ターゲット装置30a又はハンドリング装置30bにテストパターンの印刷を指示する印刷指示データを送信する。本実施の形態では、検査見本の一例として、線幅の異なる数種類の線が書かれたテストパターンを用いる。尚、テストパターンには線幅だけでなく、複数の色、字体等が書かれたものが利用でき、ユーザが任意の合わせたい項目をテストパターンに入れてもよい。そして、検査見本の印刷を指示する印刷指示情報の一例として、印刷指示データを用いている。また、印刷指示情報を送信する送信手段の一例として、プリンタドライバ19を設けている。
【0014】
画像ハンドリングユーティリティ20は、ハンドリング装置30bで出力される画像の画質特性をターゲット装置30aで出力される画像の画質特性に近付けるための情報を生成する処理(以下、「ターゲットマッチング処理」という)を行うユーティリティプログラムである。尚、本実施の形態では、画像ハンドリングユーティリティ20を、端末装置10で実現されるものとして説明するが、例えば、ハンドリング装置30bで実現されるものであってもよいし、独立した装置で実現されるものであってもよい。また、本実施の形態では、ターゲット装置30aの画質特性を基準としてハンドリング装置30bの画質特性をこれに近付ける例を述べるが、ターゲット装置30aの画質特性とハンドリング装置30bの画質特性の間の画質特性を採用することにより、これらの画質特性を近付けるようにしてもよい。
【0015】
そして、端末装置10は、この画像ハンドリングユーティリティ20の機能として、画質特性抽出部21と、抽象化原稿生成部22と、描画オブジェクト記憶部23と、出力指示部24と、読取画像受付部25と、画質特性比較部26と、デバイス特性算出部27と、画質ターゲット情報生成部28とを備える。
【0016】
画質特性抽出部21は、プリンタドライバ19から印刷指示データを受け取り、この印刷指示データから画質特性を抽出する。
抽象化原稿生成部22は、画質特性抽出部21が抽出した画質特性のうち描画内容に関する特性に基づいて、抽象化した原稿データ(以下、「抽象化原稿データ」という)を生成する。具体的には、画質特性抽出部21が抽出した画質特性に関するターゲットマッチング処理が行い易いように、その画質特性に着目した抽象化原稿データを生成する。
描画オブジェクト記憶部23は、抽象化原稿データを生成するために必要な描画オブジェクトを描画コマンドの形式で記憶したデータベースである。
出力指示部24は、抽象化原稿データをプリンタドライバ19に受け渡すことにより、プリンタドライバ19に対して抽象化原稿の出力指示を行う。
【0017】
読取画像受付部25は、後述するように、出力された画像をターゲット装置30aの画像読取部60a及びハンドリング装置30bの画像読取部60bで読み取ることで得られた画像(以下、画像読取部で読み取ることで得られた画像を「読取画像」という)をネットワーク80を通じて受け付ける。また、読取画像受付部25は、後述するように、出力されたテストパターンをターゲット装置30aの画像読取部60a及びハンドリング装置30bの画像読取部60bで読み取ることで得られた読取画像や、予め用意されたテストパターンをターゲット装置30aの画像読取部60a及びハンドリング装置30bの画像読取部60bで読み取ることで得られた読取画像もネットワーク80を通じて受け付ける。本実施の形態では、第1の画像形成装置で形成された画像を読み取って得られた第1の読取画像の一例として、出力されたテストパターンをハンドリング装置30bで読み取ることで得られた読取画像を用いており、第2の画像形成装置で形成された画像を読み取って得られた第2の読取画像の一例として、出力されたテストパターンをターゲット装置30aで読み取ることで得られた読取画像を用いている。また、第1の読取画像と第2の読取画像とを取得する取得手段の一例として、読取画像受付部25を設けている。ここで、読取画像受付部25は、例えば、端末装置10のCPU11(図16参照)が読取画像を受け付けるプログラム部分をメインメモリ12(図16参照)に読み込むことによって実現される機能である。更に、本実施の形態では、検査見本を読み取って得られた第3の読取画像の一例として、予め用意されたテストパターンをハンドリング装置30bで読み取ることで得られた読取画像を用いており、検査見本を読み取って得られた第4の読取画像の一例として、予め用意されたテストパターンをターゲット装置30aで読み取ることで得られた読取画像を用いている。
【0018】
画質特性比較部26は、読取画像受付部25がターゲット装置30aから受け付けた読取画像と、読取画像受付部25がハンドリング装置30bから受け付けた読取画像とを比較する。そして、画質特性抽出部21が抽出した画質特性のうち描画内容に関する特性と、これらの読取画像とを対応付ける。また、画質特性比較部26は、ターゲット装置30a及びハンドリング装置30bでテストパターンが読み取られた場合には、画質特性抽出部21が抽出した画質特性と、読取画像受付部25が受け付けた読取画像から得られた画質特性とを比較する。
【0019】
デバイス特性算出部27は、ターゲット装置30a及びハンドリング装置30bでテストパターンが読み取られた場合に、デバイス特性データを算出する。具体的には、ターゲット装置30aについては、画質特性抽出部21が抽出した画質特性と、予め用意されたテストパターンを画像読取部60aで読み取って得られた読取画像における画質特性とを対応付けた読取デバイス特性データ、及び、画質特性抽出部21が抽出した画質特性と、画像形成部50aで出力されたテストパターンを画像読取部60aで読み取って得られた読取画像における画質特性とを対応付け、読取デバイス特性データで修正した出力デバイス特性データを算出する。また、ハンドリング装置30bについては、画質特性抽出部21が抽出した画質特性と、予め用意されたテストパターンを画像読取部60bで読み取って得られた読取画像における画質特性とを対応付けた読取デバイス特性データ、及び、画質特性抽出部21が抽出した画質特性と、画像形成部50bで出力されたテストパターンを画像読取部60bで読み取って得られた読取画像における画質特性とを対応付け、読取デバイス特性データで修正した出力デバイス特性データを算出する。本実施の形態では、第1の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第1の特性情報の一例として、ハンドリング装置30bの出力デバイス特性データを用いており、第2の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第2の特性情報の一例として、ターゲット装置30aの出力デバイス特性データを用いている。ここで、出力デバイス特性データは、画像形成部50a,50bにおける画像形成に関する特性を示すデータであり、例えば、画像形成により線幅がどのように変化するかや、色の濃度がどのように変化するかといった特性を示すデータを含む。また、本実施の形態では、第1の特性情報と第2の特性情報とを生成する特性情報生成手段の一例として、デバイス特性算出部27を設けている。ここで、デバイス特性算出部27は、例えば、端末装置10のCPU11(図16参照)がデバイス特性を算出するプログラム部分をメインメモリ12(図16参照)に読み込むことによって実現される機能である。更に、本実施の形態では、第1の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取に関する特性の一例として、ハンドリング装置30bの読取デバイス特性データを用いており、第2の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取に関する特性の一例として、ターゲット装置30aの読取デバイス特性データを用いている。ここで、読取デバイス特性データは、画像読取部60a,60bにおける画像読取に関する特性を示すデータであり、例えば、画像読取により線幅がどのように変化するかや、色の濃度がどのように変化するかといった特性を示すデータを含む。
【0020】
画質ターゲット情報生成部28は、画質特性比較部26による読取画像の比較結果に基づいて、ハンドリング装置30bで出力される画像の画質特性をターゲット装置30aで出力される画像の画質特性に近付けるための情報(以下、「画質ターゲット情報」という)を生成する。また、画質ターゲット情報生成部28は、ターゲット装置30a及びハンドリング装置30bでテストパターンが読み取られた場合には、デバイス特性算出部27が算出した出力デバイス特性データに基づいて、画質ターゲット情報を生成する。本実施の形態では、画質特性変更情報の一例として、画質ターゲット情報を用いている。また、画質特性変更情報を生成する変更情報生成手段の一例として、画質ターゲット情報生成部28を設けている。ここで、画質ターゲット情報生成部28は、例えば、端末装置10のCPU11(図16参照)が画質ターゲット情報を生成するプログラム部分をメインメモリ12(図16参照)に読み込むことによって実現される機能である。
【0021】
次に、ターゲット装置30aの機能構成について説明する。
図示するように、ターゲット装置30aは、画像処理部40aと、画像形成部50aと、画像読取部60aとを含んでいる。
このうち、画像処理部40aは、プリンタドライバ19からネットワーク80を通じて送信された印刷指示データに基づいて、画像処理を行い、画像データを出力する。
画像形成部50aは、画像処理部40aが出力した画像データに基づいて紙等の媒体に画像を形成し、原稿やテストパターンを出力する。本実施の形態では、他の画像形成装置、第2の画像形成装置の一例として、画像形成部50aを設けている。
画像読取部60aは、画像形成部50aが出力した原稿やテストパターンを読み取り、読取画像をネットワーク80を通じて読取画像受付部25に送信する。尚、この画像読取部60aは、画像形成部50aが出力した原稿やテストパターンを人手を介することなく読み取るインラインスキャナであってもよい。また、画像形成部50aとは別のスキャナ単体であってもよく、本実施の形態では2台の画像処理装置30の調整に関して記載しているが、例えば画像処理装置30が3台ある場合に、そのうち2台の画像処理装置30の画像形成部50の出力を1つのスキャナを用いて読み取ってもよい。本実施の形態では、第2の画像読取装置の一例として、画像読取部60aを設けている。
【0022】
ここで、画像処理部40aについて更に詳しく説明すると、画像処理部40aは、入力情報通知部41aと、描画処理部42aと、色再現処理部43aと、中間調処理部44aとを備える。
入力情報通知部41aは、プリンタドライバ19からネットワーク80を通じて入力された印刷指示データを描画処理部42aに通知する。
描画処理部42aは、入力情報通知部41aから通知された印刷指示データに含まれる描画コマンドに基づいて画像データを描画する。
色再現処理部43aは、描画処理部42aにより描画された画像データに対して各種の色再現処理を施す。ここで、色再現処理としては、描画コマンドにおける特定の色空間の色信号をトナーの色を成分とする別の色空間の色信号に変換する処理、色信号を色再現範囲内の別の色信号へ変換する処理、色信号の階調を補正する処理等がある。
中間調処理部44aは、スクリーン処理等により擬似中間調の画像を生成する。
【0023】
次いで、ハンドリング装置30bの機能構成について説明する。
図示するように、ハンドリング装置30bは、画像処理部40bと、画像形成部50bと、画像読取部60bと、画像ハンドリング部70とを含んでいる。
このうち、画像処理部40bは、プリンタドライバ19からネットワーク80を通じて送信された印刷指示データに基づいて、画像処理を行い、画像データを出力する。
画像形成部50bは、画像処理部40bが出力した画像データに基づいて紙等の媒体に画像を形成し、原稿やテストパターンを出力する。本実施の形態では、画像形成装置、第1の画像形成装置の一例として、画像形成部50bを設けている。
画像読取部60bは、画像形成部50bが出力した原稿やテストパターンを読み取り、読取画像をネットワーク80を通じて読取画像受付部25に送信する。尚、この画像読取部60bは、画像形成部50bが出力した原稿やテストパターンを人手を介することなく読み取るインラインスキャナであってもよい。また、画像形成部50bとは別のスキャナ単体であってもよく、本実施の形態では2台の画像処理装置30の調整に関して記載しているが、例えば画像処理装置30が3台ある場合に、そのうち2台の画像処理装置30の画像形成部50の出力を1つのスキャナを用いて読み取ってもよい。本実施の形態では、画像読取装置、第1の画像読取装置の一例として、画像読取部60bを設けている。
画像ハンドリング部70は、ターゲット装置30aで出力される画像の画質特性に近い画質特性で画像を出力するための処理(以下、「画像ハンドリング処理」という)を行う。
【0024】
ここで、画像処理部40bについて更に詳しく説明すると、画像処理部40bは、入力情報通知部41bと、描画処理部42bと、色再現処理部43bと、中間調処理部44bとを備える。
入力情報通知部41bは、プリンタドライバ19からネットワーク80を通じて入力された印刷指示データを描画処理部42b及び画像ハンドリング部70に通知する。
描画処理部42bは、入力情報通知部41bから通知された印刷指示データに含まれる描画コマンドに基づいて画像データを描画する。その際、画像ハンドリング部70による決定に基づく描画処理を行う。
色再現処理部43bは、描画処理部42bにより描画された画像データに対して各種の色再現処理を施す。ここで、色再現処理としては、描画コマンドにおける特定の色空間の色信号をトナーの色を成分とする別の色空間の色信号に変換する処理、色信号を色再現範囲内の別の色信号へ変換する処理、色信号の階調を補正する処理等がある。その際、画像ハンドリング部70による決定に基づく色再現処理を行う。
中間調処理部44bは、スクリーン処理等により擬似中間調の画像を生成する。その際、画像ハンドリング部70による決定に基づく中間調処理を行う。
【0025】
また、画像ハンドリング部70について更に詳しく説明すると、画像ハンドリング部70は、指示判定部71と、描画判定部72と、画像ハンドリングターゲット決定部73と、画質ターゲット情報記憶部74と、画像ハンドリングパラメータ記憶部75とを備える。
指示判定部71は、入力情報通知部41bから通知された印刷指示データに含まれる画質指示の内容を判定する。
描画判定部72は、入力情報通知部41bから通知された印刷指示データに含まれる描画コマンドの内容を判定する。
画像ハンドリングターゲット決定部73は、指示判定部71が内容を判定した画質指示と、画質ターゲット情報記憶部74に記憶された画質ターゲット情報とに基づいて、画像ハンドリング処理の目標となる画質特性を決定する。
画質ターゲット情報記憶部74は、画像ハンドリングユーティリティ20の画質ターゲット情報生成部28により生成された画質ターゲット情報を記憶する。
画像ハンドリングパラメータ記憶部75は、画像ハンドリングターゲット決定部73により決定された画質特性で画像を出力する画像ハンドリング処理で用いられる画像ハンドリングパラメータを記憶する。
【0026】
次に、本実施の形態における画像ハンドリングシステムの動作について説明する。
まず、画像ハンドリングシステムにおけるターゲットマッチング処理時の動作について説明する。
図3は、このときの画像ハンドリングユーティリティ20の動作例を示したフローチャートである。
ユーザは、アプリケーション18上で、画質特性を合わせたい原稿データと、画質特性を合わせる目標となるターゲット装置30aと、画質特性をその目標に合わせる対象であるハンドリング装置30bとを指定する。これにより、プリンタドライバ19が原稿データに基づく印刷を指示する印刷指示データを生成すると、画像ハンドリングユーティリティ20の動作が開始する。
【0027】
画像ハンドリングユーティリティ20では、まず、画質特性抽出部21が、指定された原稿データに基づく印刷を指示する印刷指示データをプリンタドライバ19から取得する(ステップ201)。そして、その印刷指示データから画質特性を抽出する(ステップ202)。具体的には、印刷指示データにおける描画コマンドから、文字、イメージ、図形といった描画内容に関する特性を抽出する。例えば、原稿データが名刺である場合、名前部分を文字として、顔写真部分をイメージとして、コーポレートロゴ部分を図形として抽出する。
【0028】
次に、抽象化原稿生成部22が、ステップ201で画質特性抽出部21が抽出した描画内容に関する特性を重視しつつ原稿データを抽象化した抽象化原稿データを生成する(ステップ203)。尚、このとき、抽象化原稿データは、描画オブジェクト記憶部23に記憶された描画オブジェクトを用いて生成される。
そして、出力指示部24が、ステップ203で抽象化原稿生成部22が生成した抽象化原稿データをプリンタドライバ19に渡すことにより、ターゲット装置30a及びハンドリング装置30bでの抽象化原稿の出力を指示する(ステップ204)。すると、プリンタドライバ19は、抽象化原稿データに基づく印刷を指示する印刷指示データをターゲット装置30a及びハンドリング装置30bに出力し、これにより、ターゲット装置30aは画像形成部50aで、ハンドリング装置30bは画像形成部50bで、それぞれ抽象化原稿を出力することになる。
【0029】
その後、画像形成部50aで出力された抽象化原稿は画像読取部60aで、画像形成部50bで出力された抽象化原稿は画像読取部60bでそれぞれ読み取られ、ネットワーク80を通じて画像ハンドリングユーティリティ20に渡される。
すると、画像ハンドリングユーティリティ20では、まず、読取画像受付部25がこれらの読取画像を受け付ける(ステップ205)。
次に、画質特性比較部26が、読取画像受付部25から読取画像を受け取り、これらの読取画像に基づいて、ターゲット装置30aの画質特性とハンドリング装置30bの画質特性とを比較する。具体的には、画質特性抽出部21が抽出した描画内容に関する特性に対して、読取画像受付部25が受け付けたターゲット装置30aでの読取画像から得られる画質特性と、読取画像受付部25が受け付けたハンドリング装置30bでの読取画像から得られる画質特性との対応付けを行う(ステップ206)。
【0030】
そして、画質特性比較部26は、全ての画質特性について対応付けが終了したかどうかを判定する(ステップ207)。
その結果、全ての画質特性について対応付けが終了していないと判定すれば、画質特性比較部26は、ステップ206に戻り、描画内容に関する特性に対して、ターゲット装置30aでの読取画像から得られる画質特性と、ハンドリング装置30bでの読取画像から得られる画質特性との対応付けを繰り返す。
一方、全ての画質特性について対応付けが終了したと判定すれば、画質特性比較部26は、対応付けの結果を画質ターゲット情報生成部28に渡し、画質ターゲット情報生成部28が、画質ターゲット情報を生成してファイルに保存する(ステップ208)。そして、画質ターゲット情報をネットワーク80を通じてハンドリング装置30bの画像ハンドリング部70に送信する(ステップ209)。これにより、画像ハンドリング部70では、画質ターゲット情報が画質ターゲット情報記憶部74に記憶される。
【0031】
ここで、図3のステップ201でプリンタドライバ19から取得する印刷指示データについて説明する。
図4は、印刷指示データに含まれる画質指示について示した図である。
画質ターゲット情報が生成された後であれば、画質指示として、画質ターゲット情報を指定する情報や、画質ターゲット情報を保存したファイルが含まれることもあるが、ここでは、プリンタドライバ19上での画質に関する印刷設定のみを示している。具体的には、解像度、階調情報、スクリーン、色味等の画質項目ごとの印刷設定が示されており、「Index」によって印刷設定のセットが識別できるようになっている。
尚、ここで示した画質項目はあくまで一例であり、これら以外にも、入力色信号(例えば、CMYK、RGB)に対する色再現、入力線幅指定(例えば、mm、pixel)に対する細線再現、オブジェクトごとの画像処理ポリシー(OOR/OOH)、スクリーン角度、オブジェクトの描画方法(ラスタかベクタか)等が考えられる。
【0032】
図5は、印刷指示データに含まれる描画コマンドについて示した図である。
図では、描画コマンドに対して、その描画コマンドによる実際の描画の内容を示している。ここで、例えば文字描画1と文字描画2のように、同じ原稿データに対して、実際の描画内容が異なる場合がある。このような場合、ハンドリング装置30bの画質特性をターゲット装置30aの画質特性に合わせることが困難になることがある。そのため、ターゲット装置30aにおける描画内容を出力結果から予測し、これをハンドリング装置30bにも反映することで、出力結果をより近付ける。
【0033】
また、図3のステップ208で生成される画質ターゲット情報について説明する。
図6は、画質ターゲット情報の具体例を示した図である。
図中、「Image/」の部分は、色やスクリーンに関する目標を記述する部分である。そして、「Color/」の部分において、「Intent=Perceptual」は、色域マッピングを知覚重視で行うことを、「Gray=Normal」は、通常の方法でK版を生成することを、それぞれ示しており、全体的な色再現に関する目標記述の例である。一方、「RGB」、「CMYK」等は、特定の色に対する目標記述の例である。
また、「Other/」の部分は、画像処理のポリシーに関する目標を記述する部分である。「Policy/」の部分において、「OOR=OFF」は、オブジェクトごとにレンダリング処理を変えないことを、「OOH=OFF」は、オブジェクトごとにスクリーン処理を変えないことを、それぞれ示している。
尚、ここでは、画質ターゲット情報を構造型文書の形式で示したが、これはあくまで一例であって、これに限られるものではない。
また、このような画質ターゲット情報は、複数の画像ハンドリングシステムで共有してもよい。
ここまで、画像ハンドリングシステムにおけるターゲットマッチング処理時の動作について説明してきた。
【0034】
ところで、上記ターゲットマッチング処理では、画像形成部50a,50bで抽象化原稿を出力し、画像読取部60a,60bで抽象化原稿を読み取っている。従って、最終的に生成される画質ターゲット情報が、画像形成部50a,50bの出力性能や、画像読取部60a,60bの読取性能の影響を受ける場合がある。
そこで、本実施の形態では、画像形成部50a,50bの出力性能と、画像読取部60a,60bの読取性能とを評価し、その評価結果を考慮して、画質ターゲット情報を生成するようにした。
【0035】
以下、このような性能を考慮したターゲットマッチング処理について説明する。
図7は、このときの画像ハンドリングユーティリティ20の動作例を示したフローチャートである。
ユーザは、アプリケーション18上で、テストパターンデータと、画質特性を合わせる目標となるターゲット装置30aと、画質特性をその目標に合わせる対象であるハンドリング装置30bとを指定する。これにより、プリンタドライバ19がテストパターンデータに基づく印刷を指示する印刷指示データを生成すると、画像ハンドリングユーティリティ20の動作が開始する。
【0036】
画像ハンドリングユーティリティ20では、まず、画質特性抽出部21が、指定されたテストパターンデータに基づく印刷を指示する印刷指示データをプリンタドライバ19から取得する(ステップ251)。そして、その印刷指示データから画質特性を抽出する(ステップ252)。具体的には、印刷指示データにおける描画コマンドから、線幅を表す文字、その線幅の線及びその描画位置、色の濃度を表す文字、その濃度の色で塗りつぶされた矩形領域及びその描画位置といった描画内容に関する特性を抽出する。
【0037】
一方で、プリンタドライバ19は、テストパターンデータに基づく印刷を指示する印刷指示データをターゲット装置30a及びハンドリング装置30bに出力し、これにより、ターゲット装置30aは画像形成部50aで、ハンドリング装置30bは画像形成部50bで、それぞれテストパターンを出力することになる。
【0038】
その後、画像形成部50aで出力されたテストパターンは画像読取部60aで、画像形成部50bで出力されたテストパターンは画像読取部60bでそれぞれ読み取られ、ネットワーク80を通じて画像ハンドリングユーティリティ20に渡される。また、このとき、画像形成部50a,50bで出力されたテストパターン以外の予め用意されたテストパターンも、ユーザの操作により画像読取部60a,60bで読み取られ、ネットワーク80を通じて画像ハンドリングユーティリティ20に渡される。
すると、画像ハンドリングユーティリティ20では、まず、読取画像受付部25がこれらの読取画像を受け付ける(ステップ253)。
【0039】
次に、画質特性比較部26が、読取画像受付部25から読取画像を受け取り、ステップ252で画質特性抽出部21が抽出した画質特性と、読取画像における画質特性とを比較する(ステップ254)。具体的には、画質特性抽出部21が抽出した描画内容に関する特性に対して、予め用意されたテストパターンを画像読取部60aで読み取って得られた読取画像における画質特性と、予め用意されたテストパターンを画像読取部60bで読み取って得られた読取画像における画質特性と、画像形成部50aで出力されたテストパターンを画像読取部60aで読み取って得られた読取画像における画質特性と、画像形成部50bで出力されたテストパターンを画像読取部60bで読み取って得られた読取画像における画質特性との対応付けを行う。ここで、画質特性の対応付けは、例えば、画質特性抽出部21が抽出した各線幅の線の描画位置と、読取画像における各線幅の線の印刷位置とを比較することにより行えばよい。
【0040】
そして、デバイス特性算出部27は、この対応付けの結果に基づいて、デバイス特性データを算出する(ステップ255)。具体的には、画質特性抽出部21が抽出した画質特性と、予め用意されたテストパターンを読み取って得られた読取画像における画質特性とを対応付けた読取デバイス特性データを、ターゲット装置30a及びハンドリング装置30bのそれぞれについて算出する。また、画質特性抽出部21が抽出した画質特性と、画像出力されたテストパターンを読み取って得られた読取画像における画質特性とを対応付け、読取デバイス特性データによる修正を加えた出力デバイス特性データを、ターゲット装置30a及びハンドリング装置30bのそれぞれについて算出する。
その後、デバイス特性算出部27は、出力デバイス特性データを画質ターゲット情報生成部28に渡し、画質ターゲット情報生成部28が、画質ターゲット情報を生成してファイルに保存する(ステップ256)。そして、画質ターゲット情報をネットワーク80を通じてハンドリング装置30bの画像ハンドリング部70に送信する(ステップ257)。これにより、画像ハンドリング部70では、画質ターゲット情報が画質ターゲット情報記憶部74に記憶される。
【0041】
次に、図7に示した動作例を、具体例を用いて説明する。
まず、この動作例で用いるテストパターンについて説明する。
図8は、このようなテストパターンの例を示した図である。尚、ステップ251で取得する印刷指示データに対応するテストパターンと、ステップ253で受け付ける読取画像の元となる予め用意されたテストパターンとは、同じとしたので、図では1つのテストパターンを例示している。
図示するように、このテストパターンは、出力性能や読取性能を評価するための複数の画質特性(例えば、線幅や色の濃度)を含んでいる。そして、ステップ251でこのテストパターンに対応する印刷指示データが取得されると、ステップ252でこれらの画質特性が抽出される。例えば、「1pt」、「2pt」、「3pt」等の線幅を表す文字や、1pt、2pt、3pt等の線幅の線及びその描画位置、「100%」、「80%」、「60%」等の色の濃度を表す文字や、100%、80%、60%等の濃度の色で塗られた矩形領域及びその描画位置が抽出される。
尚、本実施の形態では、印刷指示データに対応するテストパターンと予め用意したテストパターンとして全く同じものを用いたが、多少は異なっても構わない。例えば、印刷指示データに対応するテストパターンが、予め用意したテストパターンの一部が欠けているものであっても、その時にターゲット装置30aとハンドリング装置30bで合わせたい項目が入っていればよい。理想は、両テストパターン同士の位置関係も同じ方がよい。異なっている場合には、位置によらない読取特性の差が分かる。また、ターゲット装置30aとハンドリング装置30bで用意したテストパターンが同じであることが理想であるが、特に両者で合わせたい要素が網羅されていれば、他の部分は異なっていてもよい。
【0042】
次に、ステップ255における読取デバイス特性データの算出について説明する。尚、ここでは、ターゲット装置30a及びハンドリング装置30bの一方について説明するので、画像読取部60a,60bは画像読取部60と表記する。
図9は、読取デバイス特性データを算出する際の流れについて示した図である。
図において、(a)は、予め用意された1枚のテストパターンを示している。ユーザは、このテストパターンを同一条件で複数回、画像読取部60に読み取らせる。
(b)は、(a)のテストパターンを右に90度回転した状態を示している。ユーザは、このテストパターンをこの状態で複数回、画像読取部60に読み取らせる。
その結果、(c)のようなグラフが得られる。ここで、横軸は、読み取ったテストパターンにおける線幅を示し、縦軸は、読取画像における線幅を示す。つまり、(c)は、(a),(b)のテストパターン上で1pt〜5ptの線幅であった線が、画像読取部60で読み取ることにより、如何なる線幅になったかを示している。尚、(a),(b)のテストパターンには100%〜20%の濃度の色で塗られた矩形領域も含まれているので、色の濃度についても(c)のようなグラフが得られるが、図では省略している。
【0043】
図10は、図9の結果から得られた読取デバイス特性データについて示した図である。
図において、「入力」欄には、図9(c)の横軸の1pt〜5ptが記述されている。また、「読取結果」欄には、図9(c)の横軸の1pt〜5ptのそれぞれに対する縦方向の線幅の平均値が記述されている。更に、「安定性評価」欄には、図9(c)の横軸の1pt〜5ptのそれぞれに対する縦方向の線幅のバラツキ度合いを示す記号が記述されている。例えば、縦方向の線幅の分散又は偏差が閾値を超えていれば「×」が、閾値を超えていなければ「○」が記述される。図では、読み取ったテストパターンにおける線幅が1ptである場合に、読取画像における線幅にバラツキがあることが示されている。
【0044】
次に、ステップ255における出力デバイス特性データの算出について説明する。尚、ここでは、ターゲット装置30a及びハンドリング装置30bの一方について説明するので、画像形成部50a,50bは画像形成部50と表記し、画像読取部60a,60bは画像読取部60と表記する。
図11は、出力デバイス特性データを算出する際の流れについて示した図である。
図において、(a)は、アプリケーション18が保持するテストパターンデータを示している。ユーザは、このテストパターンデータに基づいて、複数枚のテストパターンの印刷を指示する。
(b)は、このような印刷指示に応じて出力された複数枚のテストパターンを示している。ユーザは、これらのテストパターンのそれぞれを同一条件で画像読取部60に読み取らせる。
その結果、(c)のようなグラフが得られる。ここで、横軸は、印刷の元となるテストパターンデータにおける線幅を示し、縦軸は、読取画像における線幅を示す。つまり、(c)は、(a)のテストパターンデータ上で1pt〜5ptの線幅であった線が、画像形成部50で(b)を出力し、画像読取部60で(b)を読み取ることにより、如何なる線幅になったかを示している。尚、(a),(b)のテストパターンには100%〜20%の濃度の色で塗られた矩形領域も含まれているので、色の濃度についても(c)のようなグラフが得られるが、図では省略している。
【0045】
図12は、図11の結果から得られた出力デバイス特性データについて示した図である。
図において、「入力」欄には、図11(c)の横軸の1pt〜5ptが記述されている。また、「出力結果」欄には、図11(c)の横軸の1pt〜5ptのそれぞれに対する縦方向の線幅の平均値を、図10の読取デバイス特性データの「読取結果」により補正された値が記述されている。更に、「安定性評価」欄には、図11(c)の横軸の1pt〜5ptのそれぞれに対する縦方向の線幅のバラツキ度合いを示す記号が記述されている。例えば、縦方向の線幅の分散又は偏差が閾値を超えていれば「×」が、閾値を超えていなければ「○」が記述される。図では、テストパターンデータにおける線幅が3ptである場合に、読取画像における線幅にバラツキがあることが示されている。尚、テストパターンデータにおける線幅が1ptである場合、図11(c)では、読取画像における線幅にバラツキがあるとは判定されない。しかしながら、画像の読み取り自体にバラツキがあり、読取性能に対する信頼性が不足しているため、図12の「安定性評価」欄には「×」が記述されている。即ち、図12における「安定性評価」欄の記述は、特性情報の信頼性を示す信頼性情報の一例である。ここで、図12における「安定性評価」欄の記述は、対応する出力デバイス特性データが信頼できるかどうかの評価指標である。また、デバイス特性算出部27の安定性評価の情報を生成する部分は、第1の読取画像に基づいて第1の信頼性情報を生成し、第2の読取画像に基づいて第2の信頼性情報を生成する信頼性情報生成手段の一例である。ここで、デバイス特性算出部27の安定性評価の情報を生成する部分は、例えば、端末装置10のCPU11(図16参照)が安定性評価の情報を生成するプログラム部分をメインメモリ12(図16参照)に読み込むことによって実現される機能である。
【0046】
次いで、ステップ256における画質ターゲット情報の生成について説明する。
図13は、ターゲット装置30aの出力デバイス特性データ及びハンドリング装置30bの出力デバイス特性データから画質ターゲット情報を生成する際の考え方を示した図である。
まず、破線内に示したように、複数の画像処理装置30で同じ印刷指示データに基づく印刷を行う場合について述べる。
図示するように、例えば、3ptの線を含むテストパターンデータ181に基づく印刷指示データを、ターゲット装置30a及びハンドリング装置30bに送信したとする。すると、ターゲット装置30aは、5ptの線を含むテストパターン182を出力し、ハンドリング装置30bは、4ptの線を含むテストパターン183を出力している。即ち、ターゲット装置30aは、入力された3ptの線を5ptの線として出力する特性を有し、ハンドリング装置30bは、入力された3ptの線を4ptの線として出力する特性を有する。
このように、ターゲット装置30aの出力デバイス特性と、ハンドリング装置30bの出力デバイス特性とが異なる場合、これらの装置から出力される線の線幅は一致しない。
【0047】
そこで、本実施の形態では、ハンドリング装置30bで出力される線の線幅を、ターゲット装置30aで出力される線の線幅に近付けるので、その場合の考え方について述べる。
まず、ターゲット装置30aの出力デバイス特性から、3ptの線が入力されると5ptの線が出力されることを予測する。そして、ハンドリング装置30bの出力デバイス特性から、何ptの線を入力すれば、5ptの線が出力されるかを求める。
ここで、4ptの線を入力すれば、5ptの線が出力されることが分かったとする。すると、3ptの線を含むテストパターンデータ181を、4ptの線を含むテストパターンデータ184に変換し、テストパターンデータ184に基づく印刷指示データをハンドリング装置30bに送信する。これにより、ハンドリング装置30bは、5ptの線を含むテストパターン185を出力する。
このように、ターゲット装置30aの出力デバイス特性とハンドリング装置30bの出力デバイス特性とを用いてテストパターンデータ181を補正すると、これらの装置から出力される線幅は一致するようになる。
【0048】
図14は、このような考え方に基づき、ターゲット装置30aの出力デバイス特性データ及びハンドリング装置30bの出力デバイス特性データから画質ターゲット情報を生成する具体例を示した図である。
(a)は、ターゲット装置30aの出力デバイス特性データの例であり、(b)は、ハンドリング装置30bの出力デバイス特性データの例である。ここでは、図12の出力デバイス特性データの例に「予測結果」欄を追加している。「入力」欄のある値に対応する「安定性評価」欄の記述が「×」である場合、「入力」欄のその値に対応する「出力結果」欄の値は、信頼性が低いので、画質ターゲット情報を生成するのに用いないようにしてもよい。しかしながら、ここでは、「入力」欄のその値に対応する「出力結果」欄の値を、前後の値に基づいて予測し、予測値を「予測結果」欄に記述している。尚、「安定性評価」欄の記述が「○」である場合は、「出力結果」欄の値をそのまま「予測結果」欄に記述している。
【0049】
(c)は、(a)の出力デバイス特性データと(b)の出力デバイス特性データとから生成される画質ターゲット情報の例である。
例えば、ハンドリング装置30bに2ptの線が入力される場合を考える。この場合、(a)の出力デバイス特性データより、ターゲット装置30aは、2ptの線が入力されると、4ptの線を出力することが分かる。また、(b)の出力デバイス特性データより、ハンドリング装置30bから4ptの線が出力されるようにするためには、ハンドリング装置30bに3ptの線を入力すべきことが分かる。従って、(c)では、「入力」欄が2ptである場合に、「目標」欄を3ptとしている。
【0050】
また、ハンドリング装置30bに3ptの線が入力される場合を考える。この場合、(a)の出力デバイス特性データより、ターゲット装置30aは、3ptの線が入力されると、5ptの線を出力することが分かる。また、(b)の出力デバイス特性データより、ハンドリング装置30bから5ptの線が出力されるようにするためには、ハンドリング装置30bに4ptの線を入力すべきことが分かる。従って、(c)では、「入力」欄が3ptである場合に、「目標」欄を4ptとしている。
【0051】
更に、ハンドリング装置30bに4ptの線が入力される場合を考える。この場合、(a)の出力デバイス特性データより、ターゲット装置30aは、4ptの線が入力されると、5ptの線を出力することが分かる。また、(b)の出力デバイス特性データより、ハンドリング装置30bも、4ptの線が入力されると、5ptの線を出力することが分かる。従って、(c)では、「入力」欄が4ptである場合に、「目標」欄は4ptのままとしている。
また、ハンドリング装置30bに5ptの線が入力される場合も同様であり、(c)では、「入力」欄が5ptである場合に、「目標」欄は5ptのままとしている。
更に、「入力」欄が1ptである場合については、「目標」欄の他の値に基づいて、「目標」欄を2ptとしている。
ここまで、性能を考慮したターゲットマッチング処理について説明してきた。
【0052】
次に、画像ハンドリングシステムにおける画像ハンドリング処理時の動作について説明する。
図15は、このときの画像ハンドリング部70の動作例を示したフローチャートである。
ユーザは、アプリケーション18上で、画質特性を合わせたい原稿データと、原稿を出力したいハンドリング装置30bとを指定する。これにより、プリンタドライバ19が原稿データに基づく印刷を指示する印刷指示データを生成して入力情報通知部41bに送信し、入力情報通知部41bがこれを受信すると、画像ハンドリング部70の動作が開始する。尚、この動作例では、図3のステップ209でハンドリング装置30b内に記憶した画質ターゲット情報を読み出して利用する第1のケース、図3のステップ208で端末装置10内に保存した画質ターゲット情報を添付して利用する第2のケース、画質ターゲット情報を利用しない第3のケースを想定している。
【0053】
画像ハンドリング部70では、まず、指示判定部71及び描画判定部72が、指定された原稿データに基づく印刷を指示する印刷指示データを入力情報通知部41bから取得する(ステップ701)。
そして、指示判定部71が、印刷指示データに含まれる画質指示の内容を判定し、描画判定部72が、印刷指示データに含まれる描画コマンドの内容を判定し、これらの判定結果を画像ハンドリングターゲット決定部73に伝える(ステップ702)。ここで、画質指示は、上記第1のケースでは、画質ターゲット情報を指定する情報と画質に関する印刷設定とを含み、上記第2のケースでは、画質ターゲット情報を保存したファイルと画質に関する印刷設定とを含み、上記第3のケースでは、画質に関する印刷設定のみを含む。そこで、画質指示の内容の判定では、画質指示がこれらの何れに該当するかも判定する。
【0054】
次に、画像ハンドリングターゲット決定部73は、指示判定部71から伝えられた判定結果によって、画質指示が画質ターゲット情報を指定する情報を含むことが示されているかどうかを判定する(ステップ703)。その結果、画質指示が画質ターゲット情報を指定する情報を含むことが示されていれば、既に画質ターゲット情報記憶部74に記憶されている画質ターゲット情報の中から指定された画質ターゲット情報を選択する(ステップ704)。そして、画質ターゲット情報と、印刷設定とに基づいて、画像ハンドリングの目標を決定する(ステップ707)。
【0055】
また、画質指示が画質ターゲット情報を指定する情報を含むことが示されていなければ、画像ハンドリングターゲット決定部73は、指示判定部71から伝えられた判定結果によって、画質指示が画質ターゲット情報を保存したファイルを含むことが示されているかどうかを判定する(ステップ705)。その結果、画質指示が画質ターゲット情報を保存したファイルを含むことが示されていれば、そのファイルに保存された画質ターゲット情報を一時的にその印刷指示データのみに適用する画質ターゲット情報として取得する(ステップ706)。そして、画質ターゲット情報と、印刷設定とに基づいて、画像ハンドリングの目標を決定する(ステップ707)。
【0056】
更に、画質指示が画質ターゲット情報を保存したファイルを含むことが示されていなければ、画像ハンドリングターゲット決定部73は、印刷設定のみに基づいて、画像ハンドリングの目標を決定する(ステップ708)。
その後、画像ハンドリングターゲット決定部73は、ハンドリング装置30bで出力される画像の画質特性をステップ707又はステップ708で決定された目標に近付けるためのデータを、描画処理部42b、色再現処理部43b、中間調処理部44bの各処理部に供給する(ステップ709)。尚、この場合、ハンドリング装置30bで出力される画像の画質特性を目標に近付けるために、描画コマンドの書き換えが必要であれば、描画判定部72で内容の判定が行われた描画コマンドを書き換えて描画処理部42bに供給する。また、画像ハンドリングターゲット決定部73が各処理部に供給するデータを生成する際には、画像ハンドリングパラメータ記憶部75に記憶された画像ハンドリングパラメータも用いられる。
【0057】
次に、端末装置10のハードウェア構成について説明する。
図16は、端末装置10のハードウェア構成を示した図である。
図示するように、端末装置10は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)11と、記憶手段であるメインメモリ12及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)13とを備える。ここで、CPU11は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ12は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置13は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
更に、端末装置10は、外部との通信を行うための通信I/F14と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構15と、キーボードやマウス等の入力デバイス16とを備える。
【0058】
最後に、ターゲット装置30a及びハンドリング装置30bとして機能する画像処理装置30の機構について説明する。
図17は、画像処理装置30の構成例を示した図である。この画像処理装置30は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部50と、画像処理装置30全体の動作を制御する主制御部31とを備えている。更には、例えばPC等との通信を行って印刷指示データを受信する通信部32と、原稿から画像を読み取って読取画像を生成する画像読取部60と、通信部32で受信した印刷指示データや画像読取部60で生成した読取画像等に対し予め定めた画像処理を施すことで画像データを取得して画像形成部50に転送する画像処理部40と、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェース(UI)部33とを備えている。
【0059】
画像形成部50は、例えば電子写真方式により画像を形成する構成部であって、並列して配置される4つの画像形成ユニット51Y,51M,51C,51K(以下、「画像形成ユニット51」という)を備えている。各画像形成ユニット51は、機能部材として、例えば、矢印A方向に回転しながら静電潜像が形成され、その後にトナー像が形成される感光体ドラム52と、感光体ドラム52の表面を予め定められた電位で帯電する帯電器53と、帯電器53により帯電された感光体ドラム52を画像データに基づいて露光する露光器54と、感光体ドラム52上に形成された静電潜像を各色トナーにより現像する現像器55と、転写後の感光体ドラム52表面を清掃するドラムクリーナ56とを備えている。
画像形成ユニット51各々は、現像器55に収容されるトナーを除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0060】
また、画像形成部50は、各画像形成ユニット51の感光体ドラム52にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト61と、各画像形成ユニット51にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト61に順次転写(一次転写)する一次転写ロール62とを備えている。更に、中間転写ベルト61上に重畳して転写された各色トナー像を記録媒体(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ロール63と、二次転写された各色トナー像を用紙P上に定着させる定着器65とを備えている。
【0061】
画像形成部50の画像形成ユニット51各々は、上記の機能部材を用いた電子写真プロセスによりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナー像を形成する。各画像形成ユニット51にて形成された各色トナー像は、一次転写ロール62により中間転写ベルト61上に順に静電転写され、各色トナーが重畳された合成トナー像を形成する。中間転写ベルト61上の合成トナー像は、中間転写ベルト61の移動(矢印B方向)に伴って二次転写ロール63が配置された二次転写領域Trに搬送され、用紙収容容器35から供給される用紙P上に一括して静電転写される。その後、用紙P上に静電転写された合成トナー像は、定着器65によって定着処理を受けて用紙P上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙Pは、画像処理装置30の排出部に設けられた用紙積載部36に搬送され集積される。
【0062】
一方、一次転写後に感光体ドラム52に付着しているトナー(一次転写残トナー)、及び、二次転写後に中間転写ベルト61に付着しているトナー(二次転写残トナー)は、それぞれドラムクリーナ56及びベルトクリーナ64によって除去される。
このようにして、画像処理装置30での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
【0063】
ここで、この画像処理装置30において、画像形成部50及び画像読取部60は、それぞれの基準の特性に近付けるためにキャリブレーションされていることが望ましい。
【0064】
尚、本実施の形態では、画像形成部50a,50bの出力性能や画像読取部60a,60bの読取性能を考慮しないターゲットマッチング処理を行うことを前提に、画像形成部50a,50bの出力性能や画像読取部60a,60bの読取性能を考慮したターゲットマッチング処理を行うこととしたが、出力性能や読取性能を考慮しないターゲットマッチング処理を行うことを前提としなくてもよい。即ち、「画像ハンドリングシステムにおけるターゲットマッチング処理時の動作」として説明した動作を行うことなく、「性能を考慮したターゲットマッチング処理」として説明した動作を行うものでもよい。その場合、図2に示した各機能部は、図2を参照して説明した機能のうち、ターゲット装置30a及びハンドリング装置30bでテストパターンが読み取られた場合の機能として述べられている機能を少なくとも有するものであればよい。
【0065】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
10…端末装置、18…アプリケーション、19…プリンタドライバ、20…画像ハンドリングユーティリティ、21…画質特性抽出部、22…抽象化原稿生成部、23…描画オブジェクト記憶部、24…出力指示部、25…読取画像受付部、26…画質特性比較部、27…デバイス特性算出部、28…画質ターゲット情報生成部、30a…ターゲット装置、30b…ハンドリング装置、40a,40b…画像処理部、50a,50b…画像形成部、60a,60b…画像読取部、70…画像ハンドリング部、71…指示判定部、72…描画判定部、73…画像ハンドリングターゲット決定部、74…画質ターゲット情報記憶部、75…画像ハンドリングパラメータ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査見本の印刷を指示する印刷指示情報に基づいて第1の画像形成装置で形成された画像を読み取って得られた第1の読取画像と、当該検査見本の印刷を指示する印刷指示情報に基づいて第2の画像形成装置で形成された画像を読み取って得られた第2の読取画像とを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記第1の読取画像と、当該第1の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記第1の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第1の特性情報を生成し、前記取得手段により取得された前記第2の読取画像と、当該第2の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記第2の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第2の特性情報を生成する特性情報生成手段と、
前記特性情報生成手段により生成された前記第1の特性情報と前記第2の特性情報とを用いて、前記第1の画像形成装置で形成される画像の画質特性と前記第2の画像形成装置で形成される画像の画質特性とを近付けるための画質特性変更情報を生成する変更情報生成手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記取得手段により取得された前記第1の読取画像に基づいて、前記第1の特性情報の信頼性を示す第1の信頼性情報を生成し、前記取得手段により取得された前記第2の読取画像に基づいて、前記第2の特性情報の信頼性を示す第2の信頼性情報を生成する信頼性情報生成手段を更に備え、
前記変更情報生成手段は、前記信頼性情報生成手段により生成された前記第1の信頼性情報と前記第2の信頼性情報とを更に用いて、前記画質特性変更情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記信頼性情報生成手段は、前記第1の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取の安定性に更に基づいて、前記第1の信頼性情報を生成し、前記第2の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取の安定性に更に基づいて、前記第2の信頼性情報を生成することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記第1の読取画像を得るために用いられた画像読取装置で前記検査見本を読み取って得られた第3の読取画像と、前記第2の読取画像を得るために用いられた画像読取装置で当該検査見本を読み取って得られた第4の読取画像とを更に取得し、
前記特性情報生成手段は、前記第1の読取画像の画質特性を前記第3の読取画像の画質特性で修正して得られた画質特性と、前記検査見本の画質特性とを対応付けた前記第1の特性情報を生成し、前記第2の読取画像の画質特性を前記第4の読取画像の画質特性で修正して得られた画質特性と、前記検査見本の画質特性とを対応付けた前記第2の特性情報を生成することを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記変更情報生成手段は、前記第1の特性情報のうち、前記第1の信頼性情報によって信頼性が低いとされる画質特性に関する部分を、前記第1の信頼性情報によって信頼性が高いとされる画質特性に関する部分に基づく予測値で置き換えて得られた特性情報と、前記第2の特性情報のうち、前記第2の信頼性情報によって信頼性が低いとされる画質特性に関する部分を、前記第2の信頼性情報によって信頼性が高いとされる画質特性に関する部分に基づく予測値で置き換えて得られた特性情報とを用いて、前記画質特性変更情報を生成することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記変更情報生成手段は、前記第1の特性情報のうち、前記第1の信頼性情報によって信頼性が低いとされる画質特性に関する部分を除外して得られた特性情報と、前記第2の特性情報のうち、前記第2の信頼性情報によって信頼性が低いとされる画質特性に関する部分を除外して得られた特性情報とを用いて、前記画質特性変更情報を生成することを特徴とする請求項4又は5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
検査見本の印刷を指示する印刷指示情報を送信する情報送信装置と、
前記情報送信装置により送信された前記印刷指示情報に基づいて媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置により媒体に形成された画像を読み取る画像読取装置と
を備え、
前記情報送信装置は、
前記画像形成装置及び当該画像形成装置とは異なる他の画像形成装置に前記印刷指示情報を送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された前記印刷指示情報に基づいて前記画像形成装置で形成された画像を前記画像読取装置で読み取って得られた第1の読取画像と、前記送信手段により送信された前記印刷指示情報に基づいて前記他の画像形成装置で形成された画像を読み取って得られた第2の読取画像とを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記第1の読取画像と、前記画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第1の特性情報を生成し、前記取得手段により取得された前記第2の読取画像と、当該第2の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記他の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第2の特性情報を生成する特性情報生成手段と、
前記特性情報生成手段により生成された前記第1の特性情報と前記第2の特性情報とを用いて、前記画像形成装置で形成される画像の画質特性と前記他の画像形成装置で形成される画像の画質特性とを近付けるための画質特性変更情報を生成する変更情報生成手段と
を備えたことを特徴とする画像処理システム。
【請求項8】
検査見本の印刷を指示する印刷指示情報を送信する情報送信装置と、
前記情報送信装置により送信された前記印刷指示情報に基づいて媒体に画像を形成する第1の画像形成装置と、
前記第1の画像形成装置により媒体に形成された画像を読み取る第1の画像読取装置と、
前記情報送信装置により送信された前記印刷指示情報に基づいて媒体に画像を形成する第2の画像形成装置と、
前記第2の画像形成装置により媒体に形成された画像を読み取る第2の画像読取装置と
を備え、
前記情報送信装置は、
前記第1の画像形成装置及び前記第2の画像形成装置に前記印刷指示情報を送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された前記印刷指示情報に基づいて前記第1の画像形成装置で形成された画像を前記第1の画像読取装置で読み取って得られた第1の読取画像と、前記送信手段により送信された前記印刷指示情報に基づいて前記第2の画像形成装置で形成された画像を前記第2の画像読取装置で読み取って得られた第2の読取画像とを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記第1の読取画像と、前記第1の画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記第1の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第1の特性情報を生成し、前記取得手段により取得された前記第2の読取画像と、前記第2の画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記第2の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第2の特性情報を生成する特性情報生成手段と、
前記特性情報生成手段により生成された前記第1の特性情報と前記第2の特性情報とを用いて、前記第1の画像形成装置で形成される画像の画質特性と前記第2の画像形成装置で形成される画像の画質特性とを近付けるための画質特性変更情報を生成する変更情報生成手段と
を備えたことを特徴とする画像処理システム。
【請求項9】
コンピュータに、
検査見本の印刷を指示する印刷指示情報に基づいて第1の画像形成装置で形成された画像を読み取って得られた第1の読取画像と、当該検査見本の印刷を指示する印刷指示情報に基づいて第2の画像形成装置で形成された画像を読み取って得られた第2の読取画像とを取得する機能と、
取得された前記第1の読取画像と、当該第1の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記第1の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第1の特性情報を生成し、取得された前記第2の読取画像と、当該第2の読取画像を得るために用いられた画像読取装置における画像読取に関する特性とに基づいて、前記第2の画像形成装置における画像形成に関する特性を示す第2の特性情報を生成する機能と、
生成された前記第1の特性情報と前記第2の特性情報とを用いて、前記第1の画像形成装置で形成される画像の画質特性と前記第2の画像形成装置で形成される画像の画質特性とを近付けるための画質特性変更情報を生成する機能と
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−197812(P2011−197812A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61474(P2010−61474)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】