説明

情報処理装置、画像形成システムおよびプログラム

【課題】低コストで部屋の内観を変更すること。
【解決手段】情報処理装置は、部屋の壁に設けられ、光の反射率が可変に構成された窓と、前記部屋の中から前記窓の枠を通して見える位置に画像を形成する画像形成装置とを対応させる対応情報を取得する対応情報取得手段と、第1の画像を示す画像データを取得する第1の画像取得手段と、前記窓の反射率を変化させる制御信号を出力する制御信号出力手段と、前記窓の反射率が所定のしきい値よりも高い状態にある場合、前記対応情報により特定された、前記窓に対応する画像形成装置に前記第1の画像を示す画像データを出力する画像出力手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像形成システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
レストランのような飲食店やパチンコ店のような遊技場において、内装の改装は新たな顧客を吸引する効果がある。しかし一方で改装にはコストがかかるという問題があった。そこで、改装する代わりに壁にかける絵を変更することが行われている。
ここで、例えば特許文献1には、3次元仮想空間内で任意の画像を抽出するシステムが、特許文献2には、スクリーンに全体画像を投影する際に複数の部分画像に分けて投影する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−212686号公報
【特許文献2】特開2004−349984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および2に記載された技術によっても、店舗等における部屋の内観を変更することはできなかった。
これに対し本発明は、より低コストで部屋の内観を変更する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、部屋の壁に設けられ、光の反射率が可変に構成された窓と、前記部屋の中から前記窓の枠を通して見える位置に画像を形成する画像形成装置とを対応させる対応情報を取得する対応情報取得手段と、第1の画像を示す画像データを取得する第1の画像取得手段と、前記窓の反射率を変化させる制御信号を出力する制御信号出力手段と、前記窓の反射率が所定のしきい値よりも高い状態にある場合、前記対応情報により特定された、前記窓に対応する画像形成装置に前記第1の画像を示す画像データを出力する画像出力手段とを有する情報処理装置を提供する。
この情報処理装置によれば、窓の反射率がしきい値よりも高い状態にある場合、第1の画像が窓に形成される。
【0006】
好ましい態様において、この情報処理装置は、前記部屋の中から前記窓の枠を通して見える風景を示す第2の画像を示す画像データを取得する第2の画像取得手段と、前記第1の画像と前記第2の画像とを合成した画像を示す画像データを生成する合成画像生成手段とを有し、前記画像出力手段は、前記窓の反射率が前記しきい値よりも高い状態にある場合、前記合成画像生成手段により生成された画像データを出力してもよい。
この情報処理装置によれば、窓の反射率がしきい値よりも高い状態にある場合、第1の画像と第2の画像を合成した画像が窓に形成される。
【0007】
別の好ましい態様において、この情報処理装置は、前記第2の画像の中から、所定の条件を満たす領域を特定する領域特定手段を有し、前記合成画像生成手段は、前記領域特定手段により特定された領域の上に前記第1の画像が重なるように、前記合成した画像を示す画像データを生成してもよい。
この情報処理装置によれば、特定の領域の上に第1の画像が重なるように画像が合成される。
【0008】
さらに別の好ましい態様において、この情報処理装置は、前記風景の明度を示す明度情報を取得する明度取得手段を有し、前記明度取得手段により取得された明度が所定のしきい値を下回った場合、前記制御信号出力手段が前記制御信号を出力してもよい。
この情報処理装置によれば、窓の外の明度がしきい値を下回った場合、窓の反射率が切り替えられる。
【0009】
また、本発明は、部屋の壁に設けられ、光の反射率が可変に構成された窓と、前記部屋の中から前記窓の枠を通して見える位置に画像を形成する画像形成装置と、情報処理装置とを有し、前記情報処理装置は、前記窓と前記画像形成装置とを対応させる対応情報を取得する対応情報取得手段と、第1の画像を示す画像データを取得する第1の画像取得手段と、前記窓の反射率を変化させる制御信号を出力する制御信号出力手段と、前記窓の反射率が所定のしきい値よりも高い状態にある場合、前記対応情報により特定された、前記窓に対応する画像形成装置に前記第1の画像を示す画像データを出力する画像出力手段とを有する画像形成システムを提供する。
この画像形成システムによれば、窓の反射率がしきい値よりも高い状態にある場合、第1の画像が窓に形成される。
【0010】
さらに、本発明は、コンピュータ装置に、部屋の壁に設けられ、光の反射率が可変に構成された窓と、前記部屋の中から前記窓の枠を通して見える位置に画像を形成する画像形成装置とを対応させる対応情報を取得するステップと、第1の画像を示す画像データを取得するステップと、前記窓の反射率を変化させる制御信号を出力するステップと、前記窓の反射率が所定のしきい値よりも高い状態にある場合、前記対応情報により特定された、前記窓に対応する画像形成装置に前記第1の画像を示す画像データを出力するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
このプログラムによれば、窓の反射率がしきい値よりも高い状態にある場合、第1の画像が窓に形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
1.構成
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システム1の構成を示すブロック図である。画像形成システム1は、いわゆるデジタルサイネージシステムである。画像形成システム1は、店舗等の所定の部屋内に画像を形成する。ここで、画像を「形成する」とは、スクリーンに画像を表示する等、人間の視覚で認識できるように画像を作ることをいう。画像形成システム1は、複数の画像形成装置40(画像形成装置40−1、画像形成装置40−2、画像形成装置40−3)と、スクリーンとして機能する複数の窓50(窓50−1、窓50−2、窓50−3)と、情報処理装置10と、サーバ20とを有する。
【0012】
窓50は、レストランの店舗等、所定の部屋の壁に設けられている。詳細は後述するが、窓50は、情報処理装置10の制御下で光の反射率が可変に構成されている。画像形成装置40は、その部屋の中から窓の枠を通して見える位置に画像を形成する。n個(nは、n≧1を満たす自然数)の画像形成装置40が、1つの窓50に対応している。情報処理装置10とサーバ20とは、ネットワーク30(例えばインターネット)を介して接続されている。
【0013】
1−1.情報処理装置10
図2は、情報処理装置10の機能構成を示す図である。情報処理装置10は、複数の画像形成装置40を制御する、画像処理装置の一例である。記憶手段S1は、プログラムやデータを記憶する。対応情報取得手段11は、記憶手段S1から対応情報を取得する。「対応情報」とは、窓50と画像形成装置40とを対応させる情報である。画像取得手段12は、記憶手段S1から付加画像(第1の画像)を示す画像データを取得する。「付加画像」とは、背景となる画像に重ねて(または単独で)前景として表示される画像をいう。制御信号出力手段13は、窓50の反射率を変化させる制御信号を、窓50に出力する。画像出力手段14は、窓50の反射率が所定のしきい値よりも高い状態にある場合、窓50に対応する画像形成装置40に、付加画像を示す画像データを出力する。窓50と画像形成装置40の対応関係は対応情報により特定される。
【0014】
画像取得手段15は、記憶手段S1から、背景画像(第2の画像)を示す画像データを取得する。この例で「背景画像」とは、部屋の中から窓50の枠を通して見える風景を示す画像をいう。合成画像生成手段16は、付加画像と背景画像とを合成した画像を示す画像データを生成する。以下、付加画像と背景画像を合成した画像を「合成画像」といい、合成画像を示すデータを「合成画像データ」という。この例で、画像出力手段14は、窓50の反射率が所定のしきい値よりも高い状態にある場合、合成画像生成手段16により生成された画像データを出力する。
【0015】
領域特定手段17は、背景画像の中から、所定の条件を満たす領域を特定する。「所定の条件」とは、例えば、対象物の輪郭が基準となる輪郭と一致する、というものである。この例で、合成画像生成手段16は、領域特定手段17により特定された領域の上に付加画像が重なるように、合成画像データを生成する。
【0016】
図3は、情報処理装置10のハードウェア構成を示す図である。この例で、情報処理装置10はいわゆるパーソナルコンピュータである。CPU(Central Processing Unit)110は、情報処理装置10の構成要素を制御する制御装置である。ROM(Read Only Memory)120は、情報処理装置10の起動や動作に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶装置である。RAM(Random Access Memory)130は、CPU110がプログラムを実行する際の作業領域として機能する記憶装置である。I/F(Interface)140は、種々の入出力装置や記憶装置との間でデータおよび制御信号の入出力をするインターフェースである。HDD(Hard Disk Drive)150は、各種プログラムおよびデータを記憶する記憶装置である。キーボード・マウス160は、ユーザが情報処理装置10に対して指示入力を行うのに用いられる入力装置である。ディスプレイ170は、データの内容あるいは処理の状況などを表示する出力装置である。ネットワークIF180は、ネットワーク30を介して接続された他の装置との間でデータの送受信を行うためのインターフェースである。USB(Universal Serial Bus)−IF185は、USB規格に従ったインターフェースである。バス190は、データの伝送路である。CPU110、ROM120、RAM130、およびI/F140は、バス190を介して接続されている。
【0017】
情報処理装置10は、USB−IF185を介して画像形成装置40と接続されている。情報処理装置10は、USB−IF185を介して、画像形成装置40にデータおよび制御信号を出力する。
【0018】
HDD150は、情報処理装置10を制御する制御プログラムを記憶している。CPU110が制御プログラムを実行することにより、図2に示される機能が情報処理装置10に実装される。この例で、制御プログラムを実行しているCPU110は、対応情報取得手段11、画像取得手段12、画像取得手段15、合成画像生成手段16および領域特定手段17の一例である。制御プログラムは複数のプログラムモジュールまたはサブルーチンを有し、各プログラムモジュールまたはサブルーチンが、各機能構成要素に対応する。CPU110と共働しているUSB−IF185は、制御信号出力手段13および画像出力手段14の一例である。ROM120、RAM130、およびHDD150は、記憶手段S1の一例である。ネットワークIF180は、通信手段の一例である。
【0019】
1−2.サーバ20
図4は、サーバ20の機能構成を示す図である。記憶手段S2は、背景画像の画像データおよび付加画像の画像データを記憶している。選択手段22は、あらかじめ決められたアルゴリズムに従って、記憶手段S2に記憶されているデータの中から、情報処理装置10に出力するデータを選択する。このアルゴリズムは、例えば、情報処理装置10のリクエストに応じてデータを選択するものである。あるいは、このアルゴリズムは、情報処理装置10の属性(情報処理装置10が設置されている場所、設置されている部屋の大きさまたは用途、情報処理装置10が設置されている場所の時刻など)に応じてデータを選択するものである。出力手段23は、選択手段22により選択されたデータを情報処理装置10に出力する。情報処理装置10は、必要に応じてサーバ20から画像データを取得する。
【0020】
図5は、サーバ20のハードウェア構成を示す図である。CPU210は、サーバ20の構成要素を制御する制御装置である。ROM220は、サーバ20の起動に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶装置である。RAM230は、CPU210がプログラムを実行する際の作業領域として機能する記憶装置である。I/F240は、種々の入出力装置や記憶装置との間でデータおよび制御信号の入出力をするインターフェースである。HDD250は、各種プログラムおよびデータを記憶する記憶装置である。キーボード・マウス260は、ユーザがサーバ20に対して指示入力を行うのに用いられる入力装置である。ディスプレイ270は、データの内容あるいは処理の状況などを表示する出力装置である。ネットワークIF280は、ネットワーク30を介して接続された他の装置との間でデータの送受信を行うためのインターフェースである。バス290は、データの伝送路である。CPU210、ROM220、RAM230、およびI/F240は、バス290を介して接続されている。
【0021】
HDD250は、サーバ20を制御する制御プログラムを記憶している。CPU210が制御プログラムを実行することにより、図4に示される機能がサーバ20に実装される。この例で、制御プログラムを実行しているCPU210は、選択手段22、および出力手段23の一例である。ROM220、RAM230、およびHDD250は、記憶手段S2の一例である。制御プログラムは複数のプログラムモジュールまたはサブルーチンを有し、各プログラムモジュールまたはサブルーチンが、各機能構成要素に対応する。
【0022】
1−3.画像形成装置40
画像形成装置40は、窓50に画像を形成する装置である。この例で、画像形成装置40は、窓50に映像を投射するプロジェクタである。画像形成装置40はUSB−IF185を介して情報処理装置10に接続されている。情報処理装置10は、形成する画像を示すデータを、USB−IF185を介して画像形成装置40に供給する。
【0023】
1−4.窓50
窓50は、光の反射率(または透過率)が可変に構成されている。この例で窓50は、液晶層を2枚のガラス板で挟んだ構造を有している。液晶層に印加される電圧に応じて液晶層内の液晶分子の配向が変わり、窓50の反射率が変化する。すなわち、窓50は、液晶層に印加される電圧を制御することにより、透明、不透明が切り替わる。窓50が透明な状態にあるときは、部屋の中からは、窓50を通して外の風景が見える。窓50が不透明な状態にあるときは、部屋の中からは外の風景が見えない。この状態で画像形成装置40が窓50に映像を投射すると、窓50に映像が映し出される。
【0024】
窓50は、液晶層への電圧の印加に用いられる電源ユニットを有する。電源ユニットは、画像形成装置40からの制御信号を受け付ける入力部を有する。入力部は、USB規格に従ったインターフェースを有しており、USB−IF185を介して情報処理装置10に接続されている。電源ユニットは、さらに、入力部を介して入力された制御信号に応じて液晶層に印加される電圧を制御する制御部を有する。
【0025】
2.動作
続いて、画像形成システム1の動作を説明する。ここでは、部屋がレストランの店舗内にあり、店舗内の窓に映像を投影する例について説明する。さらにこの例において、部屋は高層ビルの一角にあり、窓を通して東京タワーを含む風景が見える。
【0026】
2−1.全体動作
図6は、画像形成システム1のうち、特に情報処理装置10の動作を示すフローチャートである。図6のフローは、例えばユーザが情報処理装置10に対し制御プログラムの実行を指示したことを契機として開始される。CPU110が制御プログラムを実行することにより、以下の処理が行われる。
【0027】
ステップS100において、CPU110は、窓50を透明にさせる制御信号を、窓50に出力する。この制御信号を受信すると、窓50の制御部は、液晶層に印加する電圧を調整し、窓50を透明にする。レストランの室内にいる客は、窓を通して外の風景を見ることができる。窓50を透明にさせる制御信号を出力すると、CPU110は、窓50の状態が「透明」であることを示すフラグを、RAM130に記憶する。窓50が複数ある場合、CPU110は、フラグを、窓を特定する識別子(以下「窓ID」という)とともにRAM130に記憶する。
【0028】
ステップS110において、CPU110は、所定のイベントが発生したか判断する。ここで、「所定のイベント」とは、窓50の反射率の切り替えをトリガするイベントである。この例では、「窓50の外の明度があらかじめ決められたしきい値を下回ったことが検出された」というイベントが、窓50の反射率の切り替えをトリガするイベントとして用いられる。画像形成システム1は、窓50の外(すなわち、ビルの外)の明度を測定するセンサを有している。情報処理装置10は、このセンサから出力される信号を定期的に取得しており、この信号に基づいて外の明度を取得する。所定のイベントが発生したと判断された場合(S110:YES)、CPU110は、処理をステップS120に移行する。所定のイベントが発生していないと判断された場合(S110:NO)、CPU110は、イベントが発生するまで待機する。
【0029】
ステップS120において、CPU110は、窓50を不透明にさせる制御信号を、窓50に出力する。この制御信号を受信すると、窓50の制御部は、液晶層に印加する電圧を調整し、窓50を不透明にする。この状態で窓50は、画像形成装置40のスクリーンとして機能することができる。窓50を不透明にさせる制御信号を出力すると、CPU110は、RAM130に記憶されているフラグを、窓50の状態が「不透明」であることを示すものに書き換える。フラグを書き換えると、CPU110は、処理をステップS130に移行する。
【0030】
ステップS130において、CPU110は、HDD150から合成画像データを読み出す。後述するように、合成画像データは、この処理よりも前のタイミングで生成され、HDD150に記憶されている。合成画像は、背景画像と付加画像とを合成したものである。この例で、背景画像は、部屋の中から窓50を通して見える風景、具体的には東京タワーを含む風景である。付加画像は、東京タワーの上に重ねられたイルミネーションの画像である。すなわち、合成画像は、イルミネーションが輝く東京タワーの画像である。
【0031】
ステップS140において、CPU110は、読み出した合成画像データを画像形成装置40に出力する。合成画像データを受信すると、画像形成装置40は、窓50に合成画像を投射する。窓50には、合成画像が形成される。この例で、合成画像は動画であり、イルミネーションが点滅する様子が映し出される。
【0032】
画像形成装置40が複数存在する場合、情報処理装置10は、複数の画像形成装置40に対して異なる合成画像データを出力する。合成画像データは、対応する窓50の窓IDを含んでいる。あるいは、合成画像データは、窓IDと対応付けられて記憶されている。CPU110は、合成画像データと画像形成装置40との対応関係を、対応情報に基づいて特定する。CPU110は、対応情報により特定された画像形成装置40に対して、合成画像データを出力する。
【0033】
図7は、対応情報を例示する図である。この例で、対応情報は、窓IDと、その窓に画像を形成する画像形成装置40の識別子(画像形成装置ID)とを含む。すなわち、対応情報は、複数の画像形成装置40と複数の窓とを一対一に対応させる情報を含む。
【0034】
図8は、画像形成システム1により窓50から見える映像を示す図である。図8(a)は、窓50の反射率がしきい値より低い場合、すなわち、窓50が透明な場合の例である。この場合、部屋の中から窓50を通して実際の風景、すなわち東京タワーの風景が見える。図8(b)は、窓50の反射率がしきい値より高い場合、すなわち、窓50が不透明な場合の例である。この場合、窓50には、画像形成装置40により投射された映像として、東京タワーのイルミネーションが点滅する画像が映し出される。この例で、窓50の反射率の切り替えは外の明度に基づいて行われるので、外が明るいうち、すなわち昼は、窓50から現実の風景が見える。外が暗くなった後、すなわち夜は、画像形成装置40により形成された画像が窓50をスクリーンとして映し出される。これにより、例えば現実には東京タワーでイルミネーションが行われていなくても、イルミネーションで飾られた東京タワーの映像を映し出すことができる。
【0035】
2−2.合成画像の生成
図9は、合成画像の生成処理を示すフローチャートである。合成画像の生成は、図6のステップS130よりも前のタイミングで完了していれば、いつ、いかなるイベントをトリガとして行われてもよい。
【0036】
ステップS200において、CPU110は、背景画像の画像データを取得する。この例で、窓50の外にカメラが設置されている。カメラは窓の外の風景を撮影し、撮影した風景を示す画像データを情報処理装置10に出力する。CPU110は、カメラから取得した画像データを、背景画像の画像データとしてHDD150に記憶する。
【0037】
ステップS210において、CPU110は、背景画像の中から、所定の条件を満たす領域を特定する。この例で用いられる条件は、「対象物の輪郭が基準となる輪郭と一致する」というものである。HDD150には、基準となる輪郭を示す情報が記憶されている。この例で、基準となる輪郭は、東京タワーの輪郭である。CPU110は、HDD150から、基準となる輪郭を示す情報を読み出す。CPU110は、読み出した情報により特定される輪郭を有する対象物が存在するか、背景画像の中を検索する。すなわち、CPU110は、エッジ検出技術を用いて、背景画像における輪郭を検出する。CPU110は、検出した輪郭と、基準となる輪郭とのマッチングを行う。輪郭の一致が検出されると、CPU110は、検出した輪郭の位置を特定する情報を、RAM130に記憶する。
【0038】
ステップS220において、CPU110は、付加画像を取得する。この例で、付加画像は、HDD150にあらかじめ記憶されている、東京タワーのイルミネーションの画像である。CPU110は、HDD150から付加画像を読み出すことにより、付加画像を取得する。
【0039】
ステップS230において、CPU110は、背景画像と付加画像とを合成する。すなわち、CPU110は、合成画像データを生成する。合成の際、CPU110は、ステップS210において特定された輪郭の位置と一致する位置において、背景画像の上に重なるように、付加画像を合成する。CPU110は、こうして生成された合成画像データをHDD150に記憶する。
【0040】
3.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、これ以外の態様でも実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。以下において、上述の実施形態と共通する事項については説明を省略し、また、共通する要素には共通の参照符号を用いて説明する。
【0041】
3−1.変形例1
窓50の反射率がしきい値よりも高い状態、すなわち窓50が不透明なときに映し出される画像は、合成画像に限定されない。付加画像または背景画像が単独で映し出されてもよい。この場合、情報処理装置10は、画像の合成に用いられる構成を有していなくてもよい。
【0042】
3−2.変形例2
背景画像と付加画像とを合成する態様は、実施形態で説明したものに限定されない。例えば、付加画像は、背景画像上のある決められた位置に重なるように合成されてもよい。あるいは、付加画像は、背景画像上のランダムな位置に重なるように合成されてもよい。
【0043】
3−3.変形例3
窓50の構成は、実施形態で説明したものに限定されない。要は、光の反射率(または透過率)が可変のものであれば、窓50はどのような構成を有していてもよい。例えば、窓50は、可動式のスクリーンが、外部からの制御信号により窓ガラスに重なるように降りてくるものであってもよい。
【0044】
3−4.変形例4
対応情報の取得元は記憶手段S1に限定されない。例えば、CPU110は、ネットワーク30を介してサーバ20から対応情報を取得してもよい。あるいは、CPU110は、ユーザのキーボード・マウス160の操作に応じて対応情報を取得してもよい。
【0045】
3−5.変形例5
背景画像の画像データおよび付加画像の画像データの取得元は実施形態で説明したものに限定されない。例えば、CPU110は、ネットワーク30を介してサーバ20から画像データを取得してもよい。
【0046】
3−6.変形例6
窓50の反射率を切り替えさせる制御信号の出力をトリガするイベントは、実施形態で説明したものに限定されない。例えば、ユーザによる指示入力をトリガとして、窓50の反射率が切り替えられてもよい。あるいは、室内の状態(明度、温度、湿度、音量等)を検出するセンサを設け、このセンサにより検出される室内の状態が所定の条件を満たしたことをトリガとして、窓50の反射率が切り替えられてもよい。
【0047】
3−7.変形例7
背景画像において付加画像を重ねる位置として特定される領域は、輪郭のマッチングにより特定されるものに限定されない。例えば、明度が所定の範囲内にある、所定のしきい値以上の面積を有する領域が、付加画像を重ねる位置として特定されてもよい。
【0048】
3−8.変形例8
画像形成装置40はプロジェクタに限定されない。窓50に画像を形成できるのであれば、どのような装置であってもよい。
【0049】
3−9.他の変形例
情報処理装置10のハードウェア構成は図3で示されるものに限定されない。必要な機能構成を実現できるものであれば、どのようなハードウェア構成を有する装置が用いられてもよい。また、情報処理装置10の機能構成とハードウェア構成の対応関係は、実施形態で説明したものに限定されない。例えば上述の実施形態では、制御プログラムを実行しているCPU110が、画像取得手段12、対応情報取得手段13、対応情報取得手段13、特定点情報取得手段14、画像抽出手段15、および画像生成手段17としての機能を兼ね備えていたが、これらのうち1つ以上の機能が、CPU110以外のプロセッサにより実装されてもよい。また、各機能構成要素は、汎用プロセッサとプログラムの協働により実装されてもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のように特定の機能を有するプロセッサとして実装されてもよい。あるいは、物理的に別体の複数のプロセッサが協働して、これらの要素として機能してもよい。サーバ20についても同様である。
【0050】
画像形成装置40が、情報処理装置10としての機能を兼ね備えていてもよい。
【0051】
実施形態では部屋の中に複数の窓が存在する例について説明したが、部屋の中の窓の数はひとつであってもよい。
【0052】
上述の実施形態においてCPU110またはCPU210によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリ(フラッシュROMなど)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】一実施形態に係る画像形成システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】情報処理装置10の機能構成を示す図である。
【図3】情報処理装置10のハードウェア構成を示す図である。
【図4】サーバ20の機能構成を示す図である。
【図5】サーバ20のハードウェア構成を示す図である。
【図6】画像形成システム1の動作を示すフローチャートである。
【図7】対応情報を例示する図である。
【図8】画像形成システム1により窓50から見える映像を示す図である。
【図9】合成画像の生成処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1…記憶手段S、1…画像形成システム、2…記憶手段S、10…情報処理装置、11…対応情報取得手段、12…画像取得手段、13…制御信号出力手段、14…画像出力手段、15…画像取得手段、16…合成画像生成手段、17…領域特定手段、20…サーバ、22…選択手段、23…出力手段、30…ネットワーク、40…画像形成装置、50…窓、110…CPU、120…ROM、130…RAM、140…I/F、150…HDD、160…キーボード・マウス、170…ディスプレイ、180…ネットワークIF、185…USB−IF、190…バス、210…CPU、220…ROM、230…RAM、240…I/F、250…HDD、260…キーボード・マウス、270…ディスプレイ、280…ネットワークIF、290…バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の壁に設けられ、光の反射率が可変に構成された窓と、前記部屋の中から前記窓の枠を通して見える位置に画像を形成する画像形成装置とを対応させる対応情報を取得する対応情報取得手段と、
第1の画像を示す画像データを取得する第1の画像取得手段と、
前記窓の反射率を変化させる制御信号を出力する制御信号出力手段と、
前記窓の反射率が所定のしきい値よりも高い状態にある場合、前記対応情報により特定された、前記窓に対応する画像形成装置に前記第1の画像を示す画像データを出力する画像出力手段と
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記部屋の中から前記窓の枠を通して見える風景を示す第2の画像を示す画像データを取得する第2の画像取得手段と、
前記第1の画像と前記第2の画像とを合成した画像を示す画像データを生成する合成画像生成手段と
を有し、
前記画像出力手段は、前記窓の反射率が前記しきい値よりも高い状態にある場合、前記合成画像生成手段により生成された画像データを出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2の画像の中から、所定の条件を満たす領域を特定する領域特定手段を有し、
前記合成画像生成手段は、前記領域特定手段により特定された領域の上に前記第1の画像が重なるように、前記合成した画像を示す画像データを生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記風景の明度を示す明度情報を取得する明度取得手段を有し、
前記明度取得手段により取得された明度が所定のしきい値を下回った場合、前記制御信号出力手段が前記制御信号を出力する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
部屋の壁に設けられ、光の反射率が可変に構成された窓と、
前記部屋の中から前記窓の枠を通して見える位置に画像を形成する画像形成装置と、
情報処理装置と
を有し、
前記情報処理装置は、
前記窓と前記画像形成装置とを対応させる対応情報を取得する対応情報取得手段と、
第1の画像を示す画像データを取得する第1の画像取得手段と、
前記窓の反射率を変化させる制御信号を出力する制御信号出力手段と、
前記窓の反射率が所定のしきい値よりも高い状態にある場合、前記対応情報により特定された、前記窓に対応する画像形成装置に前記第1の画像を示す画像データを出力する画像出力手段と
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
コンピュータ装置に、
部屋の壁に設けられ、光の反射率が可変に構成された窓と、前記部屋の中から前記窓の枠を通して見える位置に画像を形成する画像形成装置とを対応させる対応情報を取得するステップと、
第1の画像を示す画像データを取得するステップと、
前記窓の反射率を変化させる制御信号を出力するステップと、
前記窓の反射率が所定のしきい値よりも高い状態にある場合、前記対応情報により特定された、前記窓に対応する画像形成装置に前記第1の画像を示す画像データを出力するステップと
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−93321(P2010−93321A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258220(P2008−258220)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】