説明

情報処理装置および経路処理方法

【課題】交通機関を利用する個人レベルでカーボンオフセットを希望する利用者が煩雑な処理を行うことなくカーボンオフセットに参加できる情報処理装置および経路処理方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、経路を利用した場合に排出される排出量を当該経路ごとに算出し、算出された排出量を償却するのに必要な排出権購入金額を計算し、計算された排出権購入金額を利用者に対し課金し、プリペイド方式の場合、残高表示を交通機関ごとの利用可能距離で表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および経路処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温室効果ガスによる地球温暖化問題に対して、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出を相殺するための方策として、カーボンオフセットと言われる手法が始まっている。カーボンオフセットの基本は、二酸化炭素の排出量に対し排出権を購入し、その排出権に相当する資金が自然エネルギー開発や植林等に投資され、二酸化炭素の排出量を相殺するものである。
【0003】
ここで、温室効果ガスの排出権に関する売買システムの一例を以下に示す。
【0004】
例えば、特許文献1には、国家間で排出権そのものの売買を行うシステムが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、高速道路利用者に二酸化炭素排出権を与えて、ETCの利用促進を図るシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−149978号公報
【特許文献2】特開2006−209228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術(特許文献1および特許文献2等)においては、カーボンオフセットを希望する利用者が、交通機関のある経路を移動した場合に生じる温室効果ガスの排出量やその排出量を相殺するのに必要な排出権を把握できないという問題点を有していた。すなわち、従来技術においては、個人レベルで交通機関の利用により生じる二酸化炭素のカーボンオフセットに参加できないという問題点を有していた。
【0008】
例えば、特許文献1に記載の技術は、国家間での排出権取引を意図したシステムであるため排出権の取引量が巨大であり、個人利用者が利用できないという問題点を有していた。また、特許文献1に記載の技術は、排出権自体を取引しているに過ぎず、交通機関の経路探索と連動させて排出権の量を算出していないため、交通機関の利用者がカーボンオフセットに必要な排出権の量を把握できず、カーボンオフセットに参加できないという問題点を有していた。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術は、高速道路の料金所渋滞により自動車から不必要に生じる二酸化炭素の排出量を軽減するため、ETCの利用促進の効果をねらったものであるが、高速道路で排出される二酸化炭素のカーボンオフセットを実現するものではないという問題点を有していた。具体的には、特許文献2の記載の技術では、一般道と高速道路の排出量の差分を排出権に相当するものとしており、高速道路を走行する分はカーボンオフセットできていないという問題点を有していた。また、特許文献2に記載の技術では、カーボンオフセットの参加者が高速道路利用者に限定されてしまい、その他の交通機関に適用することができず、汎用性において問題点を有していた。
【0010】
ここで、何らかの交通手段を利用すると二酸化炭素が排出されるため、経路探索を行うナビゲーションシステムにおいては、経路探索と同時にその経路を利用する場合に生じる二酸化炭素の排出量を算出することが望ましい。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、交通機関を対象とした個人レベルでのカーボンオフセットを実現するためには、個人が各交通機関にて排出権を決済するよりも、個人が利用する情報処理端末と経路探索装置とから構成されるナビゲーションシステムにおいて、ある経路を利用した場合に生じる温室効果ガスの排出量を算出し、この排出量を相殺する排出権を決済するほうが、多様な交通手段に対応でき、また課金システムも利用可能であるという点に着目し、交通機関を利用する個人レベルで、カーボンオフセットを希望する利用者が、煩雑な処理を行うことなく、カーボンオフセットに参加することができる経路探索装置および経路探索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するため、本発明の情報処理装置および経路処理方法は、カーボンオフセットを希望する利用者が所持する入力部と表示部とを少なくとも備える情報処理端末に、ネットワークを介して通信可能に接続された制御部と記憶部とを少なくとも備え、交通機関を用いた出発地から目的地までの経路を処理する情報処理装置および当該情報処理装置において実行される経路処理方法であって、上記記憶部は、上記交通機関ごとに一定距離あたりの温室効果ガスの排出量の算定基準を記憶した排出量算定基準記憶手段を備え、上記制御部は、上記排出量算定基準記憶手段に記憶された上記算定基準を用いて、上記経路を利用した場合に排出される上記排出量を当該経路ごとに算出する排出量算出手段(排出量算出ステップ)と、上記排出量算出手段(上記排出量算出ステップ)にて算出された上記排出量を償却するのに必要な排出権購入金額を計算する排出権購入金額計算手段(排出権購入金額計算ステップ)と、上記排出権購入金額計算手段(上記排出権購入金額計算ステップ)にて計算された上記排出権購入金額を上記利用者に対し課金する課金手段(課金ステップ)と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の情報処理装置および経路処理方法は、上記記載の情報処理装置および経路処理方法において、上記課金手段(上記課金ステップ)は、プリペイド方式の場合、残高表示を交通機関ごとの利用可能距離で上記表示部に表示することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の経路探索装置および経路探索方法は、カーボンオフセットを希望する利用者が所持する入力部と表示部とを少なくとも備える情報処理端末に、ネットワークを介して通信可能に接続された制御部と記憶部とを少なくとも備える経路探索装置および当該経路探索装置において実行される経路探索方法であって、上記記憶部は、交通機関の時刻表データと道路網データとを含む経路探索情報を記憶する経路探索情報記憶手段と、上記交通機関ごとに一定距離あたりの温室効果ガスの排出量の算定基準を記憶した排出量算定基準記憶手段と、上記利用者ごとに上記温室効果ガスの排出権量を記憶する排出権量記憶手段と、を備え、上記制御部は、上記利用者により上記入力部を介して入力された経路探索条件を上記情報処理端末から受信し、受信した当該経路探索条件を満たす少なくとも1つの経路を、上記経路探索情報記憶手段に記憶された上記経路探索情報を用いて作成する経路作成手段(経路作成ステップ)と、上記排出量算定基準記憶手段に記憶された上記算定基準を用いて、上記経路作成手段(上記経路作成ステップ)にて作成された少なくとも1つの上記経路を利用した場合に排出される上記排出量を当該経路ごとに算出する排出量算出手段(排出量算出ステップ)と、上記排出量算出手段(上記排出量算出ステップ)にて算出された上記排出量を償却するのに必要な排出権購入金額を計算する排出権購入金額計算手段(排出権購入金額計算ステップ)と、上記経路作成手段(上記経路作成ステップ)にて作成された少なくとも1つの上記経路と、上記排出量算出手段(上記排出量算出ステップ)にて算出された上記排出量と、上記排出権購入金額計算手段(上記排出権購入金額計算ステップ)にて計算された上記排出権購入金額とを含む経路探索結果を、上記情報処理端末に送信することにより上記表示部に表示させる経路探索結果表示手段(経路探索結果表示ステップ)と、上記経路探索結果表示手段(上記経路探索結果表示ステップ)にて表示された上記経路探索結果に基づいて、上記利用者により上記入力部を介して選択された上記経路に対応する上記排出権購入金額に対する排出権購入要求を上記情報処理端末から受信し、受信した当該排出権購入金額に相当する上記排出量分を、上記排出権量記憶手段に記憶された上記排出権量から差し引くことにより、上記排出量の償却を行う排出量償却手段(排出量償却ステップ)と、上記排出量償却手段(上記排出量償却ステップ)にて償却された上記排出量と、当該排出量に相当する上記排出権購入金額とを少なくとも含む償却結果を、上記情報処理端末に送信することにより上記表示部に表示させる償却結果表示手段(償却結果表示ステップ)と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の経路探索装置および経路探索方法は、上記記載の経路探索装置および経路探索方法において、上記制御部は、上記排出権購入金額計算手段(上記排出権購入金額計算ステップ)にて計算された上記排出権購入金額を上記利用者に対し課金する課金手段(課金ステップ)を更に備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の経路探索装置および経路探索方法は、上記記載の経路探索装置および経路探索方法において、上記記憶部は、上記利用者ごとに、上記経路探索結果および上記償却結果の少なくとも一部を関連付けた履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段を更に備え、上記経路探索結果表示手段(上記経路探索結果表示ステップ)は、上記経路探索結果の少なくとも一部を上記利用者ごとに上記履歴情報記憶手段に格納し、上記償却結果表示手段(上記償却結果表示ステップ)は、上記償却結果の少なくとも一部を上記利用者ごとに上記履歴情報記憶手段に格納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、交通機関を利用する個人レベルで、カーボンオフセットを希望する利用者が、煩雑な処理を行うことなく、カーボンオフセットに参加することができるという効果を奏する。具体的には、この発明によれば、利用者がナビゲーションシステムを用いて経路探索をする場合に、経路と共に温室効果ガスの排出権量を把握することができ、カーボンオフセットを考慮した経路選択をすることができるという効果を奏する。また、この発明によれば、カーボンオフセットを希望する利用者からの経路検索要求に対して求めた経路に基づく二酸化炭素排出量を、利用者の排出権から償却することができる。これにより、本発明は、利用者が排出権市場での大規模な排出権取引に直接参加しなくとも、経路探索装置が提供する経路に従って行った移動によって発生した二酸化炭素に対して、個人が簡単にカーボンオフセットを実行できるという効果を奏する。
【0018】
また、この発明によれば、既存の会員制ナビゲーションシステムや携帯キャリア等が提供する課金システムを用いて排出権購入金額を利用者に対し課金することができるので、利用者は簡易に排出権の購入を行うことができ、さらに、排出権を事前購入するか、事後購入するか等を必要に応じて選択することもできる。これにより、本発明は、利用者の資金力や事業計画に従って排出権の購入を選択できるという効果を奏する。
【0019】
また、この発明によれば、利用者ごとに、経路探索結果および償却結果の少なくとも一部を関連付けた履歴情報を記憶することができるので、カーボンオフセットを希望する利用者の履歴情報から二酸化炭素排出量や排出権量や排出権購入金額の積算などを容易に行うことができる。これにより、本発明は、利用者がカーボンオフセットする排出量やこの排出量を相殺するのに必要な排出権の量や金額等を容易に把握できるので、排出権の管理をしやすくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の経路探索装置100の論理構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の経路探索装置100の基本処理の一例を示す図である。
【図3】経路探索結果および償却結果を表示する情報処理端末10の表示画面の一例を示す図である。
【図4】排出量算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】排出権購入金額計算処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】排出権差引処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】課金処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施形態において複数のサーバ装置から構成される経路探索装置100の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明にかかる経路探索装置および経路探索方法並びにプログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0022】
[本発明の概要]
以下、本発明の概要において、本発明の経路探索装置の構成および基本処理ついて図1〜図3を参照して説明し、その後、本発明の経路探索装置の各処理について詳細に説明する。ここで、図1は、本発明の経路探索装置100の論理構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。また、図2は、本発明の経路探索装置100の基本処理の一例を示す図である。また、図3は、経路探索結果および償却結果を表示する情報処理端末10の表示画面の一例を示す図である。
【0023】
[経路探索装置100の構成]
まず、本経路探索装置100の構成について図1を参照して説明する。
【0024】
図1に示すように、本経路探索装置100は、概略的に、カーボンオフセットを希望する利用者が所持する入力部(図示せず)と表示部(図示せず)とを備える情報処理端末10−1〜3に、通信制御インターフェース部104を介してネットワーク300を通じて通信可能に接続され、記憶部106と制御部102とを備えて構成される。これら経路探索装置100の各部は任意の通信路を介して通信可能に接続される。
【0025】
ここで、図1において、情報処理端末10−1〜3は、経路探索装置100にアクセスし経路探索や周辺情報の検索等を行う機能を有し、例えば、一般に市販されるデスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置や、携帯電話やPHSやPDA等の携帯端末装置などである。また、情報処理端末10−1〜3は、経路探索装置100から受信した経路探索結果や償却結果を表示する表示部(例えば、液晶や有機EL等から構成されるディスプレイやモニタ等)と、経路探索装置100へ送信する経路探索条件の入力や購入金額要求の選択を行う入力部(例えば、キー入力部、タッチパネル、キーボード、マイク等)とを備えている。また、情報処置端末10−1〜3は、例えば、GPS機能を有する位置検出部(図示せず)を備えていてもよく、経路探索装置100からリアルタイムにナビゲーション案内を行えるよう、位置検出部により検出された現在位置を示す位置情報を経路探索装置100へ送信してもよい。
【0026】
また、図1において、通信制御インターフェース部104は、通信制御インターフェース部104は、通信回線や電話回線等に接続されるルータ等の通信装置(図示せず)に接続されるインターフェースであり、経路探索装置100とネットワーク300との間における通信制御を行う機能を有する。すなわち、通信制御インターフェース部104は、情報処理端末10−1〜3や他のサーバ等の外部機器(図示せず)と通信回線を介してデータを通信する機能を有している。また、ネットワーク300は、経路探索装置100と情報処理端末10−1〜3や他のサーバ等の等の外部機器とを相互に接続する機能を有し、例えば、インターネット、電話回線網(携帯端末回線網、一般電話回線網を含む。)、イントラネット等であってもよい。
【0027】
また、図1において、記憶部106は、固定ディスク装置や外付けハードディスク等のストレージ手段であり、各種のデータベースやテーブル(経路探索情報ファイル106a〜履歴情報ファイル106e等)を格納する。例えば、記憶部106は、各種処理に用いる各種のプログラムやテーブルやファイルやデータベースやウェブページ等を格納する。
【0028】
これら記憶部106の各構成要素のうち、経路探索情報ファイル106aは、制御部102が、情報処理端末10−1〜3から受信した経路探索条件(例えば、出発地、目的地、出発時刻、到着時刻、利用交通機関等)を満たす少なくとも1つの経路を作成する際に用いる、交通機関の時刻表データと道路網データとを含む経路探索情報を記憶する経路探索情報記憶手段である。ここで、経路探索情報ファイル106aに記憶される時刻表データは、例えば、電車、飛行機、バス、市電、ロープウェイ、モノレール、ケーブルカー、船等の各交通機関の時刻表を表す数値情報等である。また、経路探索情報ファイル106aに記憶される道路網データは、徒歩、自転車、自動車、オートバイ等で移動する場合の経路作成に用いる各種の道路等のマップの緯度経度情報や位置情報等である。これら時刻表データと道路網データは、経路探索情報ファイル106aに予め記憶されており、経路探索装置100の制御部102は、定期的にネットワークを介して最新のデータをダウンロードして経路探索情報ファイル106aに記憶された経路探索情報をアップデートしてもよい。
【0029】
また、排出量算定基準ファイル106bは、制御部102が、作成された少なくとも1つの経路を利用した場合に排出される温室効果ガスの排出量を経路ごとに算出する際に用いる、交通機関ごとに一定距離あたりの温室効果ガスの排出量の算定基準を記憶した排出量算定基準記憶手段である。ここで、排出量算定基準ファイル106bに記憶される排出量の算定基準は、移動距離に乗じて交通機関ごとに算出される1人あたりの二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量の標準的な数値である。
【0030】
一例として、「運用・交通と環境2007年版」[監修]国土交通省総合政策局環境・海洋課[発行]交通エコロジー・モビリティ財団によると、各交通機関の二酸化炭素排出量は、1人あたり、例えば、自家用自動車の場合、173(g/km)であり、飛行機の場合、111(g/km)であり、バスの場合、51(g/km)であり、鉄道の場合、19(g/km)である。なお、徒歩については二酸化炭素の排出量はないものとしている。また、実際に利用する交通機関と差異があるとしても、多くの利用者が様々な経路を利用すると、総合的にはこの数値を用いて計算したものに近づくものとしている。
【0031】
また、例えば、電車でも路線や車両タイプ(普通または新幹線等)によって詳細な分類を行ってもよく、この分類に従って最適な数値を用いて修正して算出してもよい。また、例えば、過疎路線では乗客1人あたりのCO2排出量が高くなることもあるため、過疎路線に対して最適な数値を用いて修正して算出してもよい。
【0032】
また、算定基準は、排出量算定基準ファイル106bに予め記憶されており、経路探索装置100の制御部102は、定期的にネットワークを介して最新のデータをダウンロードして排出量算定基準ファイル106bに記憶された算定基準をアップデートしてもよい。
【0033】
また、排出権量ファイル106cは、制御部102が、利用者により入力部を介して選択された経路に対応する排出権購入金額に対する排出権購入要求を情報処理端末10−1〜3から受信し、受信した当該排出権購入金額に相当する排出量分を、排出権量ファイル106cに記憶された排出権量から差し引くことにより、排出量の償却を行う際に用いる、利用者ごとに温室効果ガスの排出権量を記憶する排出権量記憶手段である。ここで、排出権量ファイル106cに記憶される排出権量は、利用者(情報処理端末10−1〜3のエンドユーザ、および、経路探索装置100のナビゲーション事業者等を含む)の購入済または購入予定(利用者の排出量がまとまってから排出権を購入する場合)の排出権の量を表す数値情報である。また、排出権量ファイル106cは、排出権が、その出所や時期によっても単価が異なるので、排出権の識別コード、総排出量、排出権の単価などを記憶してもよい。なお、本実施形態において、この排出権の識別コードや単価等の情報は、制御部102が、算出された排出量を償却するのに必要な排出権購入金額を計算する際に用いる。
【0034】
また、課金情報ファイル106dは、制御部102が、計算された排出権購入金額をカーボンオフセットを希望した利用者に対し課金する際に用いる、排出権購入金額の課金状況等に関する課金情報を利用者ごとに記憶する課金情報記憶手段である。本実施形態において、一例として、制御部102は、課金情報ファイル106dに予め記憶された、利用者の購入済または購入予定の排出権(例えば、排出権に相当する金額を示す数値情報等)に関する課金情報を、例えば、携帯電話キャリア(例えば、携帯電話の通信サービス提供会社や携帯電話のメーカー等)に送信し、代行課金させることにより決済してもよい。
【0035】
また、履歴情報ファイル106eは、制御部102が、情報処理端末10−1〜3へ送信する経路探索結果や償却結果等を利用者ごとに格納することで、利用者と、経路探索結果(経路と排出量と排出権購入金額等)と、償却結果(償却された排出量とその排出量に相当する排出権購入金額等)と、を関連付けた履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段である。一例として、履歴情報ファイル106eは、予め取得した排出権(購入済みまたは購入予定を含む)ごとに少なくとも利用者の情報処理端末10−1〜3のIDと償却された排出量とを関連付けて記憶してもよく、また、上記IDごとに少なくとも経路と排出権購入金額とを関連付けて記憶してもよい。
【0036】
また、図1において、制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部102は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部102は、機能概念的に、経路作成部102a、排出量算出部102b、排出権購入金額計算部102c、経路探索結果表示部102d、排出量償却部102e、償却結果表示部102f、および、課金部102gを備えて構成される。
【0037】
このうち、経路作成部102aは、利用者により入力部を介して入力された経路探索条件を情報処理端末10−1〜3から受信し、受信した当該経路探索条件を満たす少なくとも1つの経路を、経路探索情報ファイル106aに記憶された経路探索情報を用いて作成する経路作成手段である。
【0038】
また、排出量算出部102bは、排出量算定基準ファイル106bに記憶された算定基準を用いて、経路作成部102aにて作成された少なくとも1つの経路を利用した場合に排出される排出量を当該経路ごとに算出する排出量算出手段である。
【0039】
また、排出権購入金額計算部102cは、排出権量ファイル106cに記憶された排出権の識別コードや単価等に基づいて、排出量算出部102bにて算出された排出量を償却するのに必要な排出権購入金額を計算する排出権購入金額計算手段である。例えば、排出権の購入金額は、もともと排出権プロバイダー等が発行した排出権証書毎になる場合があるので、排出権購入金額計算部102cは、排出権量ファイル106c(または、ネットワークを介して通信可能に接続された外部の排出権管理サーバ等)に償却可能な排出権の単価を問い合わせて、排出権購入金額を見積もってもよい。
【0040】
具体的には、一例として、償却可能な単価が「¥4200/トン」である場合は、排出権購入金額計算部102cは、例えば「182g」の排出量を償却するのに必要な排出権を、「4200/1000000*182=0.7644(¥)」であると見積もる。なお、1円未満は処理の都合上切り上げるものとする。このように、排出権購入金額計算部102cは、排出量「182g」をカーボンオフセット(償却)するのに必要な排出権購入金額を「¥1」と計算する。このように、電車を利用する場合は、排出量が少ないので、このカーボンオフセットは、1円の購入費用で実現することになる。また、後述する経路探索結果表示部102dにより、排出量とこの排出量に相当する排出権購入金額とが表示されるので、利用者は容易にカーボンオフセットを実現する費用を把握することができる。
【0041】
続いて、別の一例として、「羽田−長崎(片道)」間を、航空機を利用して移動する場合は、排出量算出部102bにより排出量が「175779g」と算出され、排出権購入金額計算部102cは、上記単価に基づき、この排出量をカーボンオフセット(償却)するために必要な排出権購入金額を「¥739」と計算する。このように、航空機を利用すると膨大な二酸化炭素を消費することになるが、個人レベルでは十分にカーボンオフセットに参加できる金額となる。
【0042】
また、経路探索結果表示部102dは、経路作成部102aにて作成された少なくとも1つの経路と、排出量算出部102bにて算出された排出量と、排出権購入金額計算部102cにて計算された排出権購入金額とを含む経路探索結果を、情報処理端末10−1〜3に送信することにより表示部に表示させる経路探索結果表示手段である。ここで、経路探索結果表示部102dは、経路探索結果の少なくとも一部を利用者ごとに履歴情報ファイル106eに格納してもよい。
【0043】
また、排出量償却部102eは、経路探索結果表示部102dにて表示された経路探索結果に基づいて、利用者により入力部を介して選択された排出権購入金額に対する排出権購入要求を情報処理端末10−1〜3から受信し、受信した当該排出権購入金額に相当する排出量分を、排出権量ファイル106cに記憶された排出権量から差し引くことにより、排出量の償却を行う排出量償却手段である。
【0044】
また、償却結果表示部102fは、排出量償却部102eにて償却された排出量と、当該排出量に相当する排出権購入金額とを含む償却結果を、情報処理端末10−1〜3に送信することにより表示部に表示させる償却結果表示手段である。ここで、償却結果表示部102fは、償却結果の少なくとも一部を利用者ごとに履歴情報ファイル106eに格納してもよい。
【0045】
また、課金部102gは、排出権購入金額計算部102cにて計算された排出権購入金額を利用者に対し課金する課金手段である。本実施形態において、一例として、課金部102gは、課金情報ファイル106dに予め記憶された、利用者の購入済または購入予定の排出権(例えば、排出権に相当する金額を示す数値情報等)に関する課金情報を、例えば、携帯電話キャリア(例えば、携帯電話の通信サービス提供会社や携帯電話のメーカー等)に送信し、代行課金させることにより決済してもよい。
【0046】
以上で、本経路探索装置100の構成の説明を終える。
【0047】
[経路探索装置100の基本処理]
続いて、図2および図3を参照し、本発明の基本処理について以下に説明する。
【0048】
本発明において、情報処理端末10は、経路探索装置100にログイン可能なID(例えば、携帯電話やPHSやPDA等の機体識別番号などの情報処理端末識別IDや、ナビゲーションシステムの利用者識別ID等を含む)を有しており、経路探索を必要とする場合に、経路探索装置100へログインして、経路探索条件を付けて経路探索要求を送信する。
【0049】
そして、図2に示すように、経路作成部102aは、カーボンオフセットを希望する利用者により情報処理端末10の入力部を介して入力された経路探索条件を情報処理端末10から受信する(ステップSA−1)。
【0050】
ここで、経路探索条件とは、出発地および目的地を少なくとも含み、日付、時刻、表示順序(所用時間順、運賃順、乗換回数順、CO2排出量順など)、徒歩速度(標準、ゆっくり、急ぎなど)、使用路線(飛行機、新幹線、特急線、路線バス、その他有料路線など)等に関する条件を含んでもよい。
【0051】
そして、経路作成部102aは、情報処理端末10から受信した当該経路探索条件を満たす少なくとも1つの経路を、経路探索情報ファイル106aに記憶された経路探索情報を用いて作成する。そして、排出量算出部102bは、経路作成部102aの処理により作成された少なくとも1つの経路を利用した場合に排出される排出量を、排出量算定基準ファイル106bに記憶された算定基準を用いて当該経路ごとに算出する。そして、排出権購入金額計算部102cは、排出量算出部102bの処理により算出された排出量を償却するのに必要な排出権購入金額を計算する(ステップSA−2)。なお、ステップSA−2において実行される各処理(排出量算出処理および排出権購入計算処理)の詳細については後述する。
【0052】
そして、経路探索結果表示部102dは、ステップSA−2において、経路作成部102aの処理により作成された少なくとも1つの経路と、排出量算出部102bの処理により算出された排出量と、排出権購入金額計算部102cの処理により計算された排出権購入金額とを含む経路探索結果を、情報処理端末10に送信することにより情報処理端末10の表示部に表示させる(ステップSA−3)。ここで、経路探索結果表示部102dは、経路探索結果の少なくとも一部を利用者ごとに履歴情報ファイル106eに格納してもよい。
【0053】
ここで、図3(a)および(b)を参照し、ステップSA−3において、経路探索結果表示部102dの処理により情報処理端末10の表示部に表示された経路探索結果の一例について以下に説明する。
【0054】
図3(a)および(b)に示すように、経路探索結果表示部102dは、利用者により入力された経路探索条件を満たす経路と、その経路を利用した場合に生じる温室効果ガスの排出量と、その排出量を償却するのに必要な排出権購入金額とを含む経路探索結果を表示させている。
【0055】
一例として、図3(a)の表示画面には、経路探索結果のうち「経路」(例えば、乗換回数、運賃、所要時間、徒歩距離、乗換駅、最適乗車車両、最適改札口等に関する情報を含む)と、「排出量」(CO2排出量(g))とが表示される。具体的には、図3(a)の表示画面には、経路探索結果の経路として、「第1経路」が表示されており、この第1の経路(電車ルート)は、現在地から目的地までが「徒歩→電車→電車→徒歩」となっている。なお、図3(a)において、画面上端に、1)電車マークM1、2)自動車マークM2、3)電車マークM3が表示されており、これらのマークM1〜M3は、第1経路および第3経路が「電車ルート」であり、第2経路が「自動車ルート」であることを意味している。また、図3(a)の表示画面の下方に、経路探索結果の「排出量」として、CO2排出量が「約182g」であることと、この排出量を「カーボンオフセットする(購入する)」ボタンB1が表示される。そして、利用者がこのボタンB1をクリックすると、右の図3(b)のページに移行する。
【0056】
続いて、図3(b)の表示画面には、経路の探索日時や経路の情報を表示した上で、画面下方に、さらに二酸化炭素の排出量とそれに相当する排出権の購入金額とが表示される。すなわち、図3(b)の表示画面には、経路探索結果の「排出権購入金額」(CO2排出権(¥))として、CO2排出権購入金額が「¥1」であることとが表示される。そして、利用者が排出権購入金額を確認した上で、画面下方にある「排出権を購入してカーボンオフセットする」ボタンB2を選択してクリックすると、「第1の経路」を利用した場合に生じる「排出量」を償却するのに必要な「排出権購入金額(¥1)」に対する「排出権購入要求」が経路探索装置100へ送信される。一方、利用者が、画面の下方にある「排出権を購入しない」ボタンB3を選択してクリックした場合、左の図3(a)のページに戻る。
【0057】
図2に戻り、排出量償却部102eは、情報処理端末10の表示部に表示された経路探索結果に基づいて、カーボンオフセットを希望する利用者により入力部を介して選択(ステップSA−4)された経路に対応する排出権購入金額に対する排出権購入要求を情報処理端末10から受信する(ステップSA−5)。
【0058】
そして、排出量償却部102eは、受信した当該排出権購入金額に相当する排出量分を、排出権量ファイル106cに記憶された排出権量から差し引くことにより、排出量の償却を行う(ステップSA−6)。ここで、課金部102gは、排出権購入金額計算部102cの処理により計算された排出権購入金額を利用者に対し課金してもよい。なお、ステップSA−6において実行される各処理(排出権差引処理および課金処理)の詳細については後述する。
【0059】
ここで、図3(a)および(c)を参照し、ステップSA−6において、課金部102gの処理より実行される課金処理の一例について以下に説明する。
【0060】
一例として、図3(a)に示した「カーボンオフセットをする」ボタンB1を利用者がクリックするだけでなく、実際に経路探索装置100の制御部102がナビゲーションを行った場合に、課金部102gが、課金処理を行うようにしてもよい。具体的には、図3(a)および(c)に示すように、「音声ナビ開始」リンクL1を利用者がクリックしたときに、課金部102gは、その情報処理端末10の利用者を課金対象として認識し、課金処理を行ってもよい。このタイミングは、「音声ナビ開始」により開始されるナビゲーションの出発地側でも目的地側でもよい。また、経路探索装置100によるナビゲーションが目的地周辺まで到達し、スピーカ等の出力部(図示せず)により、例えば、「おつかれさまでした!」等の終了案内が出力された時点で、課金を行ってもよい。
【0061】
図2に戻り、償却結果表示部102fは、排出量償却部102eの処理により償却された排出量と、当該排出量に相当する排出権購入金額とを少なくとも含む償却結果を、情報処理端末10に送信することにより情報処理端末10の表示部に表示させる(ステップSA−7)。ここで、償却結果表示部102fは、償却結果の少なくとも一部を利用者ごとに履歴情報ファイル106eに格納してもよい。
【0062】
ここで、図3(c)および(d)を参照し、ステップSA−7において、償却結果表示部102fの処理により情報処理端末10の表示部に表示された償却結果の一例について以下に説明する。
【0063】
図3(c)および(d)に示すように、償却結果表示部102fは、償却された排出量と、当該排出量に相当する償却された排出権購入金額とともに、経路や排出量も表示させている。
【0064】
一例として、図3(c)の表示画面には、図3(a)の経路探索結果に加えて、画面下方に、「償却された排出量」と「償却された排出権購入金額」とが表示される。すなわち、図3(b)の表画面にてボタンB2がクリックされると、償却結果表示部102fは、受信した排出権購入要求に従って、「第1の経路」に対し、図3(a)の「カーボンオフセットする」ボタンB1を非表示にした上で、例えば、この利用者の「今月のカーボンオフセット」を表示する。具体的には、図3(c)の表示画面の「今月のカーボンオフセット」には、排出量償却部102eの処理により償却された排出量の今月の合計として「5896g」と、この償却された排出量に相当する排出権購入金額の今月の合計として「¥25」とが表示される。この表示は、経路探索装置100が履歴情報ファイル106eに、利用者と経路探索結果と償却結果とを関連付けた履歴情報を記憶しているため、具体的には、予め取得した排出権(購入済みまたは購入予定を含む)ごとに少なくとも利用者の情報処理端末10のIDと償却された排出量(償却量)とを関連付けて記憶しているため、例えば、図3(c)に示した「今月のカーボンオフセット」のように、月単位で集計して償却結果を表示することができる。
【0065】
続いて、図3(d)の表示画面は、図3(c)の表示画面上のカーボンオフセットを象徴する「ロゴマーク(eco)」ボタンB4が利用者によりクリックされると表示される。図3(d)の表示画面には、一例として、今月の実績の詳細が、例えば、利用日、出発地、目的地、交通機関種別、排出量、排出権金額などが表示される。具体的には、図3(d)の表示画面には、利用日時が2008年4月3日の過去の履歴情報(例えば、自動車ルートで、排出量が「約5714g」、排出権が「¥24」など)と、図3(b)に示した4月17日の情報(例えば、電車ルートで、排出量が「約182g」、排出権が「¥1」など)とを表示しており、償却された排出量の今月の合計「5896g」と、この償却された排出量に相当する排出権購入金額の今月の合計「¥25」の内訳が表示されている。この表示は、経路探索装置100が履歴情報ファイル106eに、利用者と経路探索結果と償却結果とを関連付けた履歴情報を関連付けて記憶しているため、具体的には、上記IDごとに少なくとも経路と排出権購入金額とを関連付けて記憶しているため、例えば、図3(d)に示した「今月のカーボンオフセット」の詳細のように内訳とともに償却結果を表示することができる。
【0066】
以上で、本経路探索装置100の基本処理の説明を終える。
【0067】
これにて、本発明の概要の説明を終える。
【0068】
[経路探索装置100の各処理]
次に、このように構成された本実施の形態における本経路探索装置100の各処理(排出量算出処理〜課金処理)の一例について、以下に図4〜図7を参照して詳細に説明する。ここで、図4は、排出量算出処理の一例を示すフローチャートである。また、図5は、排出権購入金額計算処理の一例を示すフローチャートである。また、図6は、排出権差引処理の一例を示すフローチャートである。また、図7は、課金処理の一例を示すフローチャートである。
【0069】
[排出量算出処理]
まず、上記図2のステップSA−2において実行される排出量算出処理の一例について、図4を参照して以下に説明する。
【0070】
図4に示すように、排出量算出部102bは、経路作成部102aの処理により作成された少なくとも1つの経路から、その経路を利用する際に用いる交通機関(例えば、自家用自動車、飛行機、バス、鉄道等)と、その経路を利用した場合の移動距離(km)と、を抽出する(ステップSB−1)。
【0071】
そして、排出量算出部102bは、抽出された交通機関ごとに異なる排出量の算定基準(例えば、自家用自動車の場合、173(g/km)であり、飛行機の場合、111(g/km)であり、バスの場合、51(g/km)であり、鉄道の場合、19(g/km))を、排出量算定基準ファイル106bに問い合わせる(ステップSB−2)。
【0072】
そして、排出量算出部102bは、問合せた算定基準に、ステップSB−1において抽出された、交通機関(例えば、鉄道)と移動距離(例えば、約9.6km)を当てはめて計算することにより、排出量(例えば、約182g)を算出する(ステップSB−3)。
【0073】
[排出権購入金額計算処理]
続いて、上記図2のステップSA−2において実行される排出権購入金額計算処理について、図5を参照して以下に説明する。
【0074】
図5に示すように、排出権購入金額計算部102cは、排出権の単価(例えば、¥4200/トン)を、排出権量ファイル106cに問い合わせる(ステップSC−1)。
【0075】
そして、排出権購入金額計算部102cは、問い合わせた排出権の単価に基づいて、排出量算出部102bの処理により算出された排出量分(例えば、約182g)の排出権購入量(例えば、1円)を計算する(ステップSC−2)。
【0076】
[排出権差引処理]
続いて、上記図2のステップSA−6において実行される排出権差引処理の一例について、図6を参照して以下に説明する。
【0077】
図6に示すように、排出量償却部102eは、情報処理端末10から送信した排出権購入金額に対する排出権購入要求(例えば、1円分排出権の購入要求)を受信する(ステップSD−1)。
【0078】
そして、排出量償却部102eは、排出権購入要求された排出権購入金額分(例えば、1円)を、排出権量ファイル106cに利用者ごとに記憶された排出権量の合計(例えば、1000円)から差し引くよう排出権量ファイル106cに指示する(例えば、1000円−1円)(ステップSD−2)。
【0079】
そして、排出量償却部102eは、差し引かれた排出権量の残量等(例えば、1000円−1円=999円)を示す排出権量ファイル106cの更新データを受信する(ステップSD−3)。
【0080】
[課金処理]
続いて、上記図2のステップSA−6において実行される課金処理の一例について、図7を参照して以下に説明する。
【0081】
図7に示すように、課金部102gは、排出権購入金額計算部102cの処理により計算され、利用者により排出権購入要求され、排出権償却部102eの処理により排出権量ファイル106cより差し引かれた分(例えば、1円)の数値情報を課金情報ファイル106dに送信する(ステップSE−1)。すなわち、課金部102gは、予め利用者により委託された代行課金用の仮想口座に相当する課金情報を記憶する課金情報ファイル106dから排出権に相当する金額分(例えば、1円)を差し引くよう指示するとともに、例えば、携帯電話キャリア(例えば、携帯電話の通信サービス提供会社や携帯電話のメーカー等)にこの課金情報を送信し、代行課金させることにより決済してもよい。
【0082】
ここで、課金部102gは、課金処理(決済)を、排出量償却部102eの処理により排出量の償却を行った際にその都度行ってもよく、定期的に(例えば、週単位や月単位ごと等)排出権購入金額の合計を集計してから行ってもよく、所定金額に達したところで行ってもよく、別途購入手続きがあるプリペイド方式にて行ってもよい。なお、プリペイド方式の場合は、残高表示を交通機関ごとの利用可能距離で表示してもよい。
【0083】
そして、課金部102gは、課金処理(決済)された利用者の預金金額等の残高等(例えば、5000円−1円=4999円)を示す課金情報ファイル106dの更新データを受信する(ステップSE−2)。
【0084】
以上で、本経路探索装置100の各処理の説明を終える。
【0085】
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。
【0086】
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0087】
例えば、経路探索装置100は、本実施形態において、単一のサーバ装置として構成した一例について説明したが、複数のサーバ装置を連動して構成してもよい。ここで、図8は、本発明の他の実施形態において複数のサーバ装置から構成される経路探索装置100の一例を示す図である。具体的には、図8に示すように、経路探索サーバ100−1は、経路探索情報ファイル106aと履歴情報ファイル106eとを備えており、上述の制御部102のうち経路作成部102a、経路探索結果表示部102d、および、償却結果表示部102fに対応する機能を有する。また、排出権管理サーバ100−2は、排出権量算定基準ファイル106bと排出権量ファイル106cとを備えており、上述の制御部102のうち排出量算出部102b、排出権購入金額計算部102c、および、排出量償却部102eに対応する機能を有する。また、課金処理サーバ100−3は、課金情報ファイル106dを備えており、上述の制御部102のうち課金部102gに対応する機能を有する。ここで、経路探索サーバ100−1と、排出権管理サーバ100−2と、課金処理サーバ100−3は、ネットワークを介して通信可能に接続されており、データ連携を行っているため、これら複数のサーバ100−1〜3を本発明の経路探索装置100として機能させることができる。
【0088】
このほか、文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0089】
また、経路探索装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0090】
例えば、経路探索装置100の各装置が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じて経路探索装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDなどの記憶部106などは、OS(Operating System)として協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部102を構成する。
【0091】
また、このコンピュータプログラムは、経路探索装置100に対して任意のネットワーク300を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0092】
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD等の任意の「可搬用の物理媒体」、あるいは、LAN、WAN、インターネットに代表されるネットワークを介してプログラムを送信する場合の通信回線や搬送波のように、短期にプログラムを保持する「通信媒体」を含むものとする。
【0093】
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0094】
記憶部106に格納される各種のデータベース等(経路探索情報ファイル106a〜履歴情報ファイル106e等)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラムやテーブルやデータベースやウェブページ用ファイル等を格納する。
【0095】
また、経路探索装置100は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置を接続し、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0096】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上詳述に説明したように、本発明によれば、交通機関を利用する個人レベルで、煩雑な処理を行うことなく、カーボンオフセットに参加可能にすることができる経路探索装置および経路探索方法を提供することができるので、人間が移動する際に複数の交通機関を利用しても、本発明のナビゲーションシステムは、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量を算出でき、個人レベルでもカーボンオフセットに参加できるようになる。また多くのカーボンオフセット参加者が排出権を購入することから、自然エネルギーの利用や植林事業に潤沢に資金が流れて、その方面の産業も活性化され、地球温暖化に貢献できるので、カーボンオフセットや経路探索などを支援する情報機器や情報処理分野、また、植林事業分野などの様々な分野において極めて有用である。
【0098】
なお、本出願人においては、2007年5月よりナビゲーションサービスの提供に使用する全てのサーバ機器の使用電力を、グリーン電力証書を購入して自然エネルギー発電に相当する電力に切り替えており、本発明の実施により総合的に環境保全に取り組むことができるようになる。
【符号の説明】
【0099】
100 経路探索装置
102 制御部
102a 経路作成部
102b 排出量算出部
102c 排出権購入金額計算部
102d 経路探索結果表示部
102e 排出量償却部
102f 償却結果表示部
102g 課金部
104 通信制御インターフェース部
106 記憶部
106a 経路探索情報ファイル
106b 排出量算定基準ファイル
106c 排出権量ファイル
106d 課金情報ファイル
106e 履歴情報ファイル
10−1〜3 情報処理端末
300 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンオフセットを希望する利用者が所持する入力部と表示部とを少なくとも備える情報処理端末に、ネットワークを介して通信可能に接続された制御部と記憶部とを少なくとも備え、交通機関を用いた出発地から目的地までの経路を処理する情報処理装置であって、
上記記憶部は、
上記交通機関ごとに一定距離あたりの温室効果ガスの排出量の算定基準を記憶した排出量算定基準記憶手段
を備え、
上記制御部は、
上記排出量算定基準記憶手段に記憶された上記算定基準を用いて、上記経路を利用した場合に排出される上記排出量を当該経路ごとに算出する排出量算出手段と、
上記排出量算出手段にて算出された上記排出量を償却するのに必要な排出権購入金額を計算する排出権購入金額計算手段と、
上記排出権購入金額計算手段にて計算された上記排出権購入金額を上記利用者に対し課金する課金手段と、
を備えたことを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
上記課金手段は、
プリペイド方式の場合、残高表示を交通機関ごとの利用可能距離で上記表示部に表示することを特徴とする、情報処理装置。
【請求項3】
カーボンオフセットを希望する利用者が所持する入力部と表示部とを少なくとも備える情報処理端末に、ネットワークを介して通信可能に接続された制御部と記憶部とを少なくとも備え、交通機関を用いた出発地から目的地までの経路を処理する情報処理装置において実行される経路処理方法であって、
上記記憶部は、
上記交通機関ごとに一定距離あたりの温室効果ガスの排出量の算定基準を記憶した排出量算定基準記憶手段
を備えており、
上記制御部において実行される、
上記排出量算定基準記憶手段に記憶された上記算定基準を用いて、上記経路を利用した場合に排出される上記排出量を当該経路ごとに算出する排出量算出ステップと、
上記排出量算出ステップにて算出された上記排出量を償却するのに必要な排出権購入金額を計算する排出権購入金額計算ステップと、
上記排出権購入金額計算ステップにて計算された上記排出権購入金額を上記利用者に対し課金する課金ステップと、
を備えたことを特徴とする、経路処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の経路処理方法において、
上記課金ステップにおいて、
プリペイド方式の場合、残高表示を交通機関ごとの利用可能距離で上記表示部に表示することを特徴とする、経路処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−55648(P2010−55648A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278635(P2009−278635)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【分割の表示】特願2008−166482(P2008−166482)の分割
【原出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】