説明

情報処理装置及び情報処理方法、無線通信装置及び無線通信方法、コンピューター・プログラム、並びに無線通信システム

【課題】基地局又はアクセスポイントを介してネットワーク接続されるクライアント端末との間で情報伝送並びに同期処理を好適に行なう。
【解決手段】サーバーは通信予測アルゴリズムによってクライアント端末の移動経路上にオフライン・エリアがあるか否かを予測することができる。クライアント端末側では、この予測結果に基づいて、オフライン状態になる前に必要なデータを転送・同期し、オフライン状態においても必要なデータの参照、編集、削除が可能となる。また、クライアント端末は、オンライン・エリアに復帰したらデータを削除することで、情報漏洩の問題も低減させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局又はアクセスポイントを介してネットワーク接続されるクライアント端末との間で情報転送並びに同期処理を行なう情報処理装置及び情報処理方法、基地局又はアクセスポイントを介してネットワーク接続してサーバーとの間で情報転送並びに同期処理を行なう無線通信装置及び無線通信方法、コンピューター・プログラム、並びに無線通信システムに係り、特に、移動などに伴って任意のタイミングでオフライン状態に移行するクライアント端末との間で必要な情報の転送・同期処理を高いセキュリティで行なう情報処理装置及び情報処理方法、移動に伴って任意のタイミングでオフライン状態に移行しながら、基地局又はアクセスポイントを介してネットワーク接続してサーバーとの間で必要な情報の転送・同期処理を高いセキュリティで行なう無線通信装置及び無線通信方法、コンピューター・プログラム、並びに無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信は、旧来の有線通信における配線作業の負担を解消し、さらには移動体通信を実現する技術として利用に供されている。例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11などの標準的な規格を利用した無線LAN(Local Area Network)は既に広く普及している。さらに最近では、「ホットスポット(登録商標)」に代表される無線LANを用いたブロードバンド・インターネット接続サービスが普及してきている。すなわち、カフェやホテル、ファーストフード、駅、空港などに基地局若しくはアクセスポイントが設置され、インターネットが利用可能なサービス・エリアが提供されている。
【0003】
この種の無線通信サービスを利用すると、ユーザーは、外出先でもIP(Internet Protocol)電話やWWW(World Wide Web)情報空間へのアクセスなどのサービスを享受することができる。すなわち、クライアント端末は、さまざまな場所で、最寄りの基地局又はアクセスポイントを経由して、サーバーに接続して、必要なデータの転送・同期処理を行なうことができる。このため、クライアント端末となる多くの情報機器に無線LAN機能を搭載することが多くなってきている。
【0004】
最近では、屋外での無線LANサービスが急速に普及しており、公共の場所でのアクセスポイントの設置台数が増加し、サービス・エリアも拡大し続けている。しかしながら、サービス・エリアはすべての場所をカバーするには至っておらず、例えばクライアント端末が移動の途中でいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続できないオフライン状態に陥るという事態が起こり得る。オフライン状態では、クライアント端末は、サーバーとの間で情報転送・同期処理を行なうことができない。
【0005】
オフライン状態に移行する際に、クライアント端末とサーバー間の情報転送・同期処理をユーザーの手動操作で前以って行なうようにすれば、ユーザーはオフライン状態のクライアント端末上でも最新の情報を利用することができる。しかしながら、オフライン状態に移行する度にユーザーが手動操作を行なうのは煩わしく、実現性に乏しい。
【0006】
あるいは、クライアント端末とサーバー間の情報転送・同期処理を定期的に行なうようにすれば、ユーザーを手動操作の手間から解放することができる。しかしながら、クライアント端末がオフライン状態に移行する前に必要なデータの転送・同期処理が行なわれるとは限らないため、クライアント端末がオフライン状態に移行した時点で、ユーザーが必要なデータを参照、編集、削除などの処理が行なえなくなるという事態が想定される。
【0007】
また、オフライン状態に備えて、必要な情報を常にクライアント端末側で保持しておくと、クライアント端末が第3者に渡ったときや長く放置して置いたときに、個人情報に関わるデータなど秘匿性の高い情報が漏洩する可能性があり、セキュリティ性の低下の問題が生じる。
【0008】
例えば、電話番号やメール・アドレスなどの個人情報を携帯電話に置かず、強固なセキュリティでガードされたサーバーに格納する携帯電話総合管理システムが知られている(例えば、非特許文献1を参照のこと)。同システムを利用すれば、サーバーと接続すると携帯電話で電話帳を利用することができる。また、携帯電話がたとえ紛失や盗難にあっても、貴重なデータは安全に保護される。また、オフライン対応では、アプリとして電話帳をダウンロードすることが可能であるが、ダウンロードした電話帳の遠隔操作による強制削除機能や、認証の失敗回数による自動削除機能も用意されている。しかしながら、オフライン状態の携帯電話で電話帳を使用するには、オフライン状態に移行する前に、ユーザーがアプリをダウンロードする必要がある。また、ダウンロードした電話帳アプリは常に携帯電話内で保持されるので、サーバー側でのみ格納する場合と比較すると、セキュリティ性は低下する。ここで、ダウンロードした電話帳アプリの使用をオフライン状態のみに制限するには、オフライン状態に移行する前に電話帳アプリをダウンロードし、その後オンライン状態に復帰したら削除する必要があり、ユーザーにとって煩わしい手動操作となる。
【0009】
また、Google Sync、Mobile Me、My Phoneなどで使用されている、サーバー又はクライアント端末上でデータに変更が加えられる度に同期処理を実行する方式や、手動、定期的、又はログインする度にクライアント端末がサーバーに同期の有無をリクエストする方式が知られている。しかし、これらの方式では、クライアント端末の通信状態と同期タイミングに相関がないので、クライアント端末がオフライン状態になる際に必要な情報を同期することはできない。
【0010】
また、同期化処理中に相手との電波の強度が低下するとユーザーに警告を発して同期化処理が中断しないようにする情報端末装置について提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0011】
また、電波で受信したデータを記録媒体に記録可能で、且つ、電波状態が悪化したときに、記録媒体へのデータ書込み動作を中止したり、ユーザーに警告音発生したりして、データの消失や一部のみが記録されるような事態を防止する記憶装置について提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。
【0012】
しかしながら、これら情報端末並びに記憶装置のいずれも、現在の電波強度に基づいて同期処理の判定を行なうため、同期処理が間に合わず、オフライン状態に移行する前に必要な情報を同期できない事態も生じ得る。
【0013】
また、サーバーとローカル記憶装置上での同期処理の際に、資源毎に同期処理を実行する日時又は曜日を同期スケジュールとして指定し、このスケジュールに従って資源毎の同期処理を実行する同期処理方法について提案がなされている(例えば、特許文献3を参照のこと)。しかし、この同期処理方法では、資源毎の同期スケジュールを設定する必要がある。また、スケジュール設定にはクライアント端末の通信状態と同期スケジューリングに相関がないので、同期処理が間に合わず、オフライン状態に移行する前に必要な情報を同期できない事態も生じ得る。
【0014】
また、電話帳を使用するときに個人電話帳の情報を認証サーバーからダウンロードして使用する携帯電話機能付き端末について提案がなされている(例えば、特許文献4を参照のこと)。この端末でオフライン状態において個人電話帳を使用するには、オフライン状態になる前に個人電話帳をダウンロードする必要がある。また、電話帳の情報漏えいを防ぐには、端末がオンライン状態に復帰したら削除するという操作が必要になり、実用性に乏しい。
【0015】
また、携帯通信装置には情報識別IDと所有者が認識する情報のみをメモリ上に確保し、これらの情報を情報管理サーバーと一致させることにより、情報管理サーバー上で管理する情報蓄積方法について提案がなされている(例えば、特許文献5を参照のこと)。しかしながら、この方法によると、クライアント端末がオフライン状態になると、これらの情報を確認できない問題があると資料される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004−94577号公報
【特許文献2】特開2003−309791号公報
【特許文献3】特開2000−155710号公報
【特許文献4】特開2007−96746号公報
【特許文献5】特開2007−81517号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】http://houjin.kcs.ne.jp/solution/secure_top.html(平成21年7月23日現在)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、基地局又はアクセスポイントを介してネットワーク接続されるクライアント端末との間で情報転送並びに同期処理を好適に行なうことができる、優れた情報処理装置及び情報処理方法、コンピューター・プログラムを提供することにある。
【0019】
本発明のさらなる目的は、移動などに伴って任意のタイミングでオフライン状態に移行するクライアント端末との間で必要な情報の転送・同期処理を高いセキュリティで行なうことができる、優れた情報処理装置及び情報処理方法、コンピューター・プログラムを提供することにある。
【0020】
また、本発明の目的は、基地局又はアクセスポイントを介してネットワーク接続してサーバーとの間で情報転送並びに同期処理を好適に行なうことができる、優れた無線通信装置及び無線通信方法、コンピューター・プログラム、並びに無線通信システムを提供することにある。
【0021】
本発明のさらなる目的は、移動に伴って任意のタイミングでオフライン状態に移行しながら、基地局又はアクセスポイントを介してネットワーク接続してサーバーとの間で必要な情報の転送・同期処理を高いセキュリティで行なうことができる、優れた無線通信装置及び無線通信方法、コンピューター・プログラム、並びに無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の発明は、
クライアント端末と接続して通信を行なう通信部と、
クライアント端末を所持するユーザーの目的地を推定する内容解析部と、
前記クライアント端末の現在位置を推定するとともに、前記現在位置から前記目的地までの移動経路を予測する移動予測部と、
予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知する通信予測部と、
前記予測された通信状況に基づいて、前記クライアント端末との情報転送並びに同期処理を制御する同期制御部と、
を具備することを特徴とする情報処理装置である。
【0023】
本願の請求項2に記載の発明によれば、請求項1に係る情報処理装置は、ユーザーのプライベート・コンテンツを保持するプライベート・コンテンツ・データベースをさらに備えている。そして、前記内容解析部は、前記プライベート・コンテンツ・データベースに保持されているユーザーのプライベート・コンテンツの内容を解析し、得られた行動予定に基づいてユーザーの目的地を推定するように構成されている。
【0024】
ここで言うプライベート・コンテンツは、本願の請求項3に記載の発明によれば、ユーザーが作成又は編集した予定表、電子メール、メモ帳である。
【0025】
また、本願の請求項4に記載の発明によれば、プライベート・コンテンツには、ユーザーの行動履歴が含まれる。行動履歴は、本願の請求項5に記載の発明によれば、ユーザーのログインID、ログイン日時、ログイン場所、ログオフ日時、ログオフ場所、交通系履歴、各種商品の購入履歴、放送番組その他のコンテンツの視聴履歴、各種情報機器の操作履歴などである。
【0026】
本願の請求項6に記載の発明によれば、請求項1に記載の情報処理装置の移動予測部は、前記クライアント端末から取得したセンサー情報に基づいて前記現在位置を推定するように構成されている。
【0027】
ここで言うセンサー情報は、本願の請求項7に記載の発明によれば、前記クライアント端末において測定した、GPS(Global Posiioning System)受信電波情報、WiFi基地局の受信信号強度情報(RSSI:Receiving Signal Strength Indicator)、加速度センサーにより測定された加速度情報などの、クライアント端末の位置情報を推定する際に使用することができるセンサー情報である。
【0028】
あるいは、センサー情報は、本願の請求項8に記載の発明によれば、加速度センサーにより測定された加速度情報、画像認識装置による画像認識結果などの、クライアントの移動状態を推定する際に使用することができるセンサー情報である。
【0029】
本願の請求項9に記載の発明によれば、請求項1に記載の情報処理装置の移動予測部は、推定された現在位置から目的地までの移動経路を、隠れマルコフ・モデルを用いた学習アルゴリズムによって予測するように構成されている。
【0030】
本願の請求項10に記載の発明によれば、請求項1に記載の情報処理装置は、各地点における基地局又はアクセスポイントの通信情報を保持する通信情報データベースをさらに備えている。そして、通信予測部は、前記通信情報データベースに基づいて、前記移動経路上における前記クライアント端末と基地局又はアクセスポイントとの接続状態を予測するように構成されている。
【0031】
ここで言う通信情報は、本願の請求項11に記載の発明によれば、各地点における基地局又はアクセスポイントの転送レート又は受信電波強度などである。
【0032】
本願の請求項12に記載の発明によれば、請求項1に記載の情報処理装置の通信予測部は、前記移動経路上で前記クライアント端末がいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続不能なオフライン・エリアに到達するオフライン予測位置又はオフライン予測時間、及び、前記クライアント端末がいずれかの基地局又はアクセスポイントと接続可能なオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を予測するように構成されている。
【0033】
本願の請求項13に記載の発明によれば、請求項1に記載の情報処理装置の同期制御部は、前記通信予測部が前記移動経路上に前記クライアント端末がいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続不能なオフライン・エリアがあると予測したことに応じて、前記クライアント端末がオフライン状態で必要な情報を、前記クライアント端末が前記オフライン・エリアに到達する前に優先して送信するように構成されている。
【0034】
また、本願の請求項14に記載の発明によれば、請求項13に記載の情報処理装置の同期制御部は、前記クライアント端末がいずれかの基地局又はアクセスポイントと接続可能なオンライン・エリアに復帰すると、前記クライアント端末に対して前記オフライン状態で必要な情報の削除を要求するように構成されている。
【0035】
本願の請求項15に記載の発明によれば、請求項1に記載の情報処理装置は、前記クライアント端末がオフライン状態で必要な情報を暗号化して前記クライアント端末にあらかじめ供給しておき、同期制御部は、前記通信予測部が前記移動経路上に前記クライアント端末がいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続不能なオフライン・エリアがあると予測したことに応じて、前記暗号化した情報の復号用の鍵を、前記クライアント端末が前記オフライン・エリアに到達する前に送信するように構成されている。
【0036】
また、本願の請求項16に記載の発明によれば、請求項15に記載の情報処理装置の同期制御部は、前記クライアント端末がいずれかの基地局又はアクセスポイントと接続可能なオンライン・エリアに復帰すると、前記クライアント端末に対して前記復号した情報の暗号化と前記復号用の鍵の削除を要求するように構成されている。
【0037】
ここで、クライアント端末がオフライン状態で必要な前記の情報とは、本願の請求項17によれば、クライアント端末を利用するユーザーの個人情報である。
【0038】
また、本願の請求項18によれば、クライアント端末がオフライン状態で必要な前記の情報は、前記クライアント端末を利用するユーザーが事前に設定したデータ、又は、データのうちユーザーが事前に設定した部分である。
【0039】
本願の請求項19によれば、請求項13に記載の情報処理装置は、クライアント端末が前記オフライン・エリアに到達する前に優先して送信する前記の情報を、所定のデータ量以下となるように、事前に設定するように構成されている。
【0040】
あるいは、本願の請求項20によれば、請求項13に記載の情報処理装置の同期処理部は、前記クライアント端末がオフライン状態で必要な前記の情報のデータ量に基づいて、前記クライアント端末がオフライン状態になる予測時間から遡って送信開始時間を決定するように構成されている。
【0041】
また、本願の請求項21に記載の発明は、
クライアント端末を所持するユーザーの目的地を推定する内容解析ステップと、
前記クライアント端末の現在位置を推定するとともに、前記現在位置から前記目的地までの移動経路を予測する移動予測ステップと、
予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知する通信予測ステップと、
前記予測された通信状況に基づいて、前記クライアント端末との情報転送並びに同期処理を制御する同期制御ステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法である。
【0042】
また、本願の請求項22に記載の発明は、サーバーとクライアント端末が無線通信により互いに情報転送、同期をする無線通信システムにおいてサーバーとして動作するための処理をコンピューター上で実行するためのコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
クライアント端末と接続して通信を行なう通信部、
クライアント端末を所持するユーザーの目的地を推定する内容解析部、
前記クライアント端末の現在位置を推定するとともに、前記現在位置から前記目的地までの移動経路を予測する移動予測部、
予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知する通信予測部、
前記予測された通信状況に基づいて、前記クライアント端末との情報転送並びに同期処理を制御する同期制御部、
として機能させるためのコンピューター・プログラムである。
【0043】
本願の請求項22に係るコンピューター・プログラムは、コンピューター上で所定の処理を実現するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムを定義したものである。換言すれば、本願の請求項22に係るコンピューター・プログラムをコンピューターにインストールすることによって、コンピューター上では協働的作用が発揮され、本願の請求項1に係る情報処理装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
また、本願の請求項23に記載の発明は、
基地局又はアクセスポイントと無線通信を行なう通信部と、
情報を格納する情報格納部と、
基地局又はアクセスポイントを経由したサーバーとの接続動作、前記通信部の動作、及び、前記情報格納部の格納動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記サーバーとの通信状況に基づいて、前記情報格納部の格納動作を制御する、
ことを特徴とする無線通信装置である。
【0045】
本願の請求項24に記載の発明によれば、請求項23に記載の無線通信装置の制御部は、当該装置がいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続不能なオフライン・エリアに到達する前に前記サーバーから受け取った情報を前記情報格納部に保存し、当該装置がいずれかの基地局又はアクセスポイントに接続可能なオンライン・エリアに到達したときに前記サーバーからの消去要求に応じて前記情報を前記情報格納部から消去するように構成されている。
【0046】
本願の請求項25に記載の発明によれば、請求項23に記載の無線通信装置は、オフライン状態で必要な情報を暗号化したデータを前記情報格納部に格納しておく。そして、制御部は、当該装置がいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続不能なオフライン・エリアに到達する前に前記サーバーから受け取った復号用の鍵を用いて、前記情報格納部に保存されている前記の暗号化データを復号し、当該装置がいずれかの基地局又はアクセスポイントに接続可能なオンライン・エリアに到達したときに前記サーバーからの要求に応じて、前記のデータを再暗号化するとともに前記復号用の鍵を消去するように構成されている。
【0047】
また、本願の請求項26に記載の発明は、
基地局又はアクセスポイントとの無線通信を経由してサーバーと接続するステップと、
前記サーバーとの通信状況に基づいて、情報格納部に情報を格納する動作を制御するステップと、
を有することを特徴とする無線通信方法である。
【0048】
また、本願の請求項27に記載の発明は、サーバーとクライアント端末が無線通信により互いに情報転送、同期をする無線通信システムにおいてクライアント端末として動作するための処理をコンピューター上で実行するためのコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
基地局又はアクセスポイントと無線通信を行なう通信部、
情報を格納する情報格納部、
基地局又はアクセスポイントを経由したサーバーとの接続動作、前記通信部の動作、及び、前記情報格納部の格納動作を制御する制御部、
として機能させ、
前記制御部は、前記サーバーとの通信状況に基づいて、前記情報格納部の格納動作を制御する、
ことを特徴とするコンピューター・プログラムである。
【0049】
本願の請求項27に係るコンピューター・プログラムは、コンピューター上で所定の処理を実現するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムを定義したものである。換言すれば、本願の請求項27に係るコンピューター・プログラムをコンピューターにインストールすることによって、コンピューター上では協働的作用が発揮され、本願の請求項23に係る無線通信装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
また、本願の請求項28に記載の発明は、
クライアント端末を所持するユーザーのプライベート・コンテンツに基づいてユーザーの目的地を推定し、前記クライアント端末の現在位置から前記目的地までの移動経路を予測し、予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測し、前記予測された通信状況に基づいて、前記クライアント端末との情報転送並びに同期処理を制御するサーバーと、
前記サーバーによって情報転送並びに同期処理される情報を利用する前記クライアント端末と、
で構成されることを特徴とする無線通信システムである。
【0051】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、移動などに伴って任意のタイミングでオフライン状態に移行するクライアント端末との間で必要な情報の転送・同期処理を高いセキュリティで行なうことができる、優れた情報処理装置及び情報処理方法、コンピューター・プログラムを提供することができる。
【0053】
また、本発明によれば、移動に伴って任意のタイミングでオフライン状態に移行しながら、基地局又はアクセスポイントを介してネットワーク接続してサーバーとの間で必要な情報の転送・同期処理を高いセキュリティで行なうことができる、優れた無線通信装置及び無線通信方法、コンピューター・プログラム、並びに無線通信システムを提供することができる。
【0054】
本願の請求項1、21、22、23、26、27、28に記載の発明によれば、クライアント端末がこれから移動する目的地を予測し、クライアント端末の現在位置から目的地への移動経路を予測し、さらにこの移動経路上におけるクライアント端末の通信状況を予測して、クライアント端末との間で通信状況に応じた情報転送、同期処理を実行することができる。
【0055】
本願の請求項2乃至5に記載の発明によれば、ユーザーのプライベート・コンテンツに書かれている内容を解析して、例えば移動中のクライアント端末の目的地を予測することができる。
【0056】
本願の請求項6乃至8に記載の発明によれば、クライアント端末のセンサー情報を基に、クライアント端末の現在位置を特定又は推定することができる。
【0057】
本願の請求項9に記載の発明によれば、現在位置から目的地までの移動経路を、隠れマルコフ・モデルを用いた学習アルゴリズムによって予測することができる。
【0058】
本願の請求項10、11に記載の発明によれば、予測された移動経路と、通信情報データベースに保存されている各地点の通信情報を比較することによって、時間又は場所に対する複数の無線システムの通信状態することができる。すなわち、散在する各アクセスポイントのサービス・エリア内における転送レートや電波強度などを把握して、移動経路上におけるクライアント端末の基地局又はアクセスポイントとの接続状態を予測することができる。
【0059】
本願の請求項12に記載の発明によれば、クライアント端末が前記オフライン・エリアに到達するオフライン予測位置又はオフライン予測時間、並びに、クライアント端末がオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を予測することができる。
【0060】
本願の請求項13、15、17、18、19、20、24、25に記載の発明によれば、クライアント端末の移動経路上におけるオフライン・エリアの予測結果に基づいて、クライアント端末がオフライン状態になる前に、個人情報などの必要なデータを情報転送、同期処理することができる。よって、クライアント端末上では、オフライン状態においても必要なデータの参照、編集、削除が可能となる。
【0061】
また、本願の請求項14、16、24、25に記載の発明によれば、クライアント端末が、オンライン・エリアに復帰したときに、オフライン状態の前に送信したデータを削除することで、情報漏洩の問題も低減することができる。
【0062】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、発明の一実施形態に係る通信システムの構成を模式的に示した図である。
【図2】図2は、図1に示した通信システムにおける、サーバーとクライアント端末間でのデータ交換の手順を説明するための図である。
【図3】図3は、図1に示した通信システムにおける、サーバーとクライアント端末間でのデータ交換の手順を説明するための図である。
【図4】図4は、図1に示した通信システムにおける、サーバーとクライアント端末間でのデータ交換の手順を説明するための図である。
【図5】図5は、図1に示した通信システムにおける、サーバーとクライアント端末間でのデータ交換の手順を説明するための図である。
【図6】図6は、情報転送・同期リストの構成例を示した図である。
【図7】図7は、情報転送・同期リストの構成例を示した図である。
【図8】図8は、情報転送・同期リストの構成例を示した図である。
【図9】図9は、図2〜図5に示したデータ交換手順を実現するためのサーバー並びにクライアント端末がそれぞれ実行する処理手順を示したフローチャートである。
【図10】図10は、図1に示した通信システムにおいて、サーバーとクライアント端末間で行なうデータ交換手順の他の例を説明するための図である。
【図11】図11は、図1に示した通信システムにおいて、サーバーとクライアント端末間で行なうデータ交換手順の他の例を説明するための図である。
【図12】図12は、図1に示した通信システムにおいて、サーバーとクライアント端末間で行なうデータ交換手順の他の例を説明するための図である。
【図13】図13は、図1に示した通信システムにおいて、サーバーとクライアント端末間で行なうデータ交換手順の他の例を説明するための図である。
【図14A】図14Aは、図10〜図13に示したデータ交換手順を実現するためのサーバー並びにクライアント端末がそれぞれ実行する処理手順を示したフローチャート(前半)である。
【図14B】図14Bは、図10〜図13に示したデータ交換手順を実現するためのサーバー並びにクライアント端末がそれぞれ実行する処理手順を示したフローチャート(後半)である。
【図15】図15は、オンライン状態のクライアント端末での個人情報の表示例を示した図である。
【図16】図16は、オフライン状態のクライアント端末での個人情報の表示例を示した図である。
【図17】図17は、ユーザーのクライアント端末として動作する情報機器の構成例を示した図である。
【図18】図18は、クライアント端末がプライベート・コンテンツやセンサー情報を送信するための機能的構成を模式的に示した図である。
【図19】図19は、サーバーとして動作する情報機器の構成例を示した図である。
【図20】図20は、サーバーが、クライアント端末との協働的動作によって通信予測情報を提供するための機能的構成を模式的に示した図である。
【図21】図21は、移動予測アルゴリズム演算部1306によるクライアント端末の移動経路の予測結果の一例を示した図である。
【図22】図22は、通信予測アルゴリズム演算部1307が、図21に示したクライアント端末の移動経路上で判定したオフライン・エリアを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0065】
図1には、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成を模式的に示している。図示の通信システムでは、サーバーとクライアント端末間で互いに情報転送、同期が行なわれる。
【0066】
図示の通信システムのネットワークは、有線ケーブルを用いて接続される有線通信部と、電波通信により接続される無線通信部からなる。有線通信部は、例えば、光ファイバーやADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称ディジタル加入者回線)などの有線ネットワークで構成される。また、無線通信部は、WiFi、W−CDMA(Wideband−Code Division Multiple Access)、LTE(Long Term Evolution)、WiMAX(Worldwide interoperability for Microwave Access)などの無線ネットワークで構成される。無線通信部には、基地局若しくはアクセスポイントを介して接続することができる。
【0067】
有線通信部にはサーバーが設置されている。図1では、図面の簡素化のため1台のサーバーしか描いていないが、複数台のサーバーを設置することが可能である。サーバーは、複数のユーザーのすべてのデータを保持し、複数のクライアント端末との間で情報転送、同期などの処理を行なう。
【0068】
クライアント端末は、有線通信部又は無線通信部のいずれかを用いて通信システムに接続される。図1に示す例では、ユーザーBが所有するクライアント端末B、並びに、ユーザーCが所有するクライアント端末Cは、それぞれ有線通信部で通信システムに接続される。
【0069】
また、ユーザーAが所有するクライアント端末A、並びに、ユーザーDが所有するクライアント端末Dは、それぞれ最寄りの基地局若しくはアクセスポイント(AP)を介して無線通信部に接続されている。各基地局若しくはアクセスポイントのサービス・エリアは、クライアント端末A、Dがオンライン状態となる「オンライン・エリア」である。また、いずれの基地局若しくはアクセスポイントのサービス・エリアでもないエリアでは、クライアント端末A、Dはオフライン状態となり、「オフライン・エリア」に相当する。
【0070】
各クライアント端末A〜Dは、例えば、アプリケーションやファイルなどの資源管理をサーバーに委ねた「シンクライアント(thin client)」である。各クライアント端末A〜Dには、サーバーから新たな情報が転送される。又は、各クライアント端末A〜Dは、サーバーとの間で同期処理を行なって、必要なデータを自分のローカル・ディスクなどの記憶装置に保存する。本実施形態では、ユーザーのすべてのデータがサーバーに保存されていることから、ユーザーはどのクライアント端末にログインしても、同様に所持するデータを確認することができる。
【0071】
従来、この種の通信システムでは、ユーザーの手動操作によってサーバーとクライアント端末間で情報転送、同期を行ない、又は、サーバーとクライアント間の情報転送、同期処理を定期的に起動することが多かった。しかしながら、クライアント端末が任意のタイミングでオフライン・エリアに移動するような使用環境下では、クライアント端末がオフライン状態に移行する前にユーザーが情報転送・同期の手動操作を逐次行なうのは実現性に乏しい。また、定期的な情報転送、同期処理では、オフライン状態に移行する際に必要な情報の同期が行なわれているとは限らない(前述)。
【0072】
これに対し、本実施形態では、サーバーは、通信予測アルゴリズムによってクライアント端末の移動経路上にオフライン・エリアがあるか否かを予測するようになっている。そして、クライアント端末側では、サーバーによる通信予測結果に基づいて、オフライン状態になる前に必要なデータを転送・同期するので、オフライン状態においても必要なデータの参照、編集、削除が可能である。また、クライアント端末は、オンライン・エリアに復帰したらデータを削除することで、情報漏洩の問題も低減させることが可能である。
【0073】
続いて、図1に示した通信システムにおける、サーバーとクライアント端末間でのデータ交換の手順について、図2〜図5を参照しながら説明する。但し、サーバーに接続されるクライアント端末は、基地局又はアクセスポイント経由で無線通信部に接続されるものとする。
【0074】
ユーザーがクライアント端末にログインすると、クライアント端末は、搭載しているセンサーから抽出した位置認識に使用するセンサー情報を、サーバーに送信する(図2を参照のこと)。センサー情報として、GPS(Global Posiioning System)受信電波に基づいて測定された位置情報、WiFi基地局の受信信号強度情報(RSSI:Receiving Signal Strength Indicator)、加速度センサーにより測定された加速度情報など、クライアント端末の位置情報を推定するためのセンサー情報、あるいは、加速度センサーや画像認識装置などクライアント端末の移動状態を推定するためのセンサー情報を挙げることができる。
【0075】
クライアント端末上では、ログインに成功してサーバーに接続してオンライン状態になると、サーバー側に保持されているユーザーの各種情報に対する参照、編集、削除などの操作をオンラインにより行なうことができる。図2に示す例では、サーバー側に保持されている、音楽、写真、ビデオ、店舗情報、割引情報、地図などのユーザー情報がクライアント端末上で利用可能となっている。
【0076】
サーバーは、過去に複数クライアント端末から送信された通信情報を保存する通信情報データベースを持ち、時間、場所に対する、複数の無線システムの通信状態、すなわち、散在する各アクセスポイントのサービス・エリアの位置登録マップや、各サービス・エリア内における転送レートや電波強度などを通信情報として把握している。また、サーバーは、内容解析アルゴリズムと、移動予測アルゴリズムと、通信予測アルゴリズムと、同期アルゴリズムを備えている。
【0077】
サーバーは、クライアント端末から受け取ったセンサー情報に基づいてクライアント端末の現在位置若しくは移動状態を推定する。続いて、サーバーは、データベースとして内部で保存しているクライアント端末のプライベート・コンテンツ(予定表、メール、メモ帳などのテキスト情報や、撮影した画像情報など)の内容を内容解析アルゴリズムに基づいて解析すると、この解析結果を推定したクライアント端末の現在位置若しくは移動状態と比較することにより、クライアント端末の行動予測、すなわち、クライアント端末がこれから移動する目的地の予測を行なう。次いで、サーバーは、移動予測アルゴリズムに基づいて、現在位置から目的地までのクライアント端末の移動経路を算出する。
【0078】
そして、サーバーは、通信予測アルゴリズムに基づいて、予測された移動予測情報(目的地、移動ルート)と各アクセスポイントの受信電波強度などの通信情報を比較することにより、クライアント端末の今後の通信情報、すなわち、クライアント端末の移動経路上にオフライン・エリアが存在するか否かを判定する。
【0079】
サーバーは、クライアント端末の移動経路上にオフライン・エリアが存在すると判定した場合には、クライアント端末がオフライン・エリアに到達するオフライン予測位置又はオフライン予測時間、並びに、クライアント端末がオフライン・エリアを通り抜けてオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を算出する。
【0080】
オフライン予測位置は、クライアント端末の移動経路上でオフライン・エリアに到達すると予測される位置のことであり、予測したクライアント端末の移動経路と、通信情報データベースに保存されている基地局又はアクセスポイントの位置登録マップを比較した結果から算出される。オフライン予測時間は、移動経路に従って移動中のクライアント端末がオフライン・エリアに到達すると予測される時刻のことであり、オフライン予測位置と現在位置からの移動経路から算出される距離及びクライアント端末の移動速度から算出される。他方、オンライン復帰予測位置は、クライアント端末の移動経路上で再びオンライン・エリアに到達すると予測される位置のことであり、予測したクライアント端末の移動経路と、通信情報データベースに保存されている基地局又はアクセスポイントの位置登録マップを比較した結果から算出される。オンライン復帰予測時間は、移動経路に従って移動中のクライアント端末がオンライン・エリアに到達すると予測される時刻のことであり、オンライン復帰予測位置と現在位置からの移動経路から算出される距離及びクライアント端末の移動速度から算出される。
【0081】
また、サーバーは、クライアント端末がオフライン状態に移行する前に、情報転送、同期のための情報を送信し、クライアント端末は受信した情報を保存する(図3を参照のこと)。その際、クライアント端末がオフライン状態において必要となる情報が優先的に転送、同期される。また、サーバーは、接続不能状態にあると予測したクライアント端末とは、接続条件を満たすまでは、接続を停止する。
【0082】
ここで、クライアント端末がオフライン状態において必要となる情報とは、例えば、電話帳、口座情報、家計簿といった個人情報などである。オフライン状態に移行する前に優先的に送信すべき情報は、例えば、事前に指定されている。また、優先的に送信すべき情報を、ユーザーが指定するようにしてもよい。
【0083】
このように、サーバーが、クライアント端末がオフライン・エリアに到達することを事前に予測して、情報の転送、同期処理を自動的に行なう。したがって、ユーザーは、オフライン状態のクライアント端末上でも、電話帳、口座情報、家計簿といったユーザー情報に対して、参照、編集、削除などの処理を行なうことができる(図4を参照のこと)。また、事前に転送、同期する情報を制限することで、オフライン状態のクライアント端末が紛失したとしても、情報漏洩の危険性を低減することができる。
【0084】
その後、クライアント端末がオフライン・エリアを通り抜けてオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間に到達すると、サーバーは、クライアント端末との接続を試みる。そして、接続に成功すると、クライアント端末に対し、オフライン状態に移行する前に送信した情報の消去を要求する。
【0085】
クライアント端末側では、サーバーからの要求に応答して、オンライン状態に移行する際に、サーバーから事前に受信した情報を消去する。その後は、サーバー側に保持されているユーザーの各種情報に対する参照、編集、削除などの操作をオンラインにより行なうことができるようになる(図5を参照のこと)、
【0086】
サーバー側では、ユーザー毎のプライベート・コンテンツを保管するプライベート・コンテンツ・データベース(後述)を備えている。プライベート・コンテンツには、各ユーザーが所有する音楽、写真、ビデオなどの再生コンテンツの他、電話帳、口座情報、家計簿といった個人情報も含まれる。電話帳、口座情報、家計簿などの個人情報は、クライアント端末がオフライン状態において必要であり、オフライン状態に移行する前に優先的に送信すべき情報である。これらのプライベート・コンテンツは、ユーザーがいずれかのクライアント端末からサーバーにログインしてオンライン状態となっている期間中は、情報転送、同期処理の対象となる。
【0087】
サーバー側では、ユーザー毎の情報転送、同期処理の対象となるプライベート・コンテンツを、情報転送・同期リスト上で管理している。図6には、情報転送・同期リストの構成例を示している。図示の情報転送・同期リストには、プライベート・コンテンツ毎に管理用のエントリーが登録される。各エントリーには、コンテンツを識別するID情報、コンテンツ名、コンテンツのデータ容量、コンテンツの項目(種別)、更新番号、並びに、オフライン状態に移行する前に優先的に送信すべきか否かを示す「オフライン対応」の各情報が記録される。オフライン対応か否かは、事前に指定されている。コンテンツの項目に応じて自動的に指定するようにしてもよいし、ユーザーが手動で指定するようにしてもよい。
【0088】
サーバーは、この情報転送・同期リストを参照して、ユーザーのクライアント端末に対して情報転送、同期処理すべきコンテンツの優先順位を決定する。オンライン状態若しくはサーバー側でクライアント端末のオフライン状態を判定する前では、更新番号を参照して、更新されたばかりのコンテンツを次の情報転送、同期処理の対象とする。図6に示した例では、図7に示すように、最近更新されたばかりのコンテンツIDが118、119、120のコンテンツが転送、同期予定のコンテンツに決定される。また、データ容量に余裕があることから、コンテンツID117のコンテンツも、転送、同期予定に決定される。
【0089】
一方、クライアントがオフライン状態に移行すると判定した場合には、更新番号ではなく、オフライン対応に基づいて、優先送信すべきコンテンツを決定する。図示の例では、コンテンツIDが111、112、113の電話帳、口座情報、家計簿といった個人情報のコンテンツがオフライン対応として事前に設定されており、これらが優先送信すべきコンテンツに決定される。また、データ容量に余裕がある場合には、コンテンツIDが118、119のプライベート・コンテンツも、優先送信に併せて転送、同期予定のコンテンツに決定される(図8を参照のこと)。
【0090】
オフライン対応のコンテンツは、ユーザーがオフライン状態のクライアント端末上で必要とする度合いに応じて、自動若しくはユーザーの手動操作により設定される。例えば、ユーザーが過去にオフライン状態で操作した履歴などのユーザーの履歴情報を参照して、オフライン対応のコンテンツを設定することもできる。
【0091】
また、事前に転送、同期すべき情報は、クライアント端末がオフライン状態に移行する前に送信処理が完了するデータ量に抑える必要がある。例えば、優先送信すべきと決定されたデータ全体を送信するのではなく、データのうち前回から更新された部分のみ、部分同期を行なうようにしてもよい。あるいは、事前にクライアントに送信すべき情報のデータ量に基づいて送信の所要時間を算出し、オフライン予測時間から遡った時刻から情報転送、同期処理を開始するようにしてもよい。
【0092】
図9には、図2〜図5に示したデータ交換手順を実現するためのサーバー並びにクライアント端末がそれぞれ実行する処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0093】
ユーザーがクライアント端末にログインすると(ステップS11)、クライアント端末は、搭載しているセンサーから抽出した位置認識に使用するセンサー情報を、サーバーに送信する(ステップS12)。
【0094】
サーバーは、クライアント端末から上記のセンサー情報を受信すると、センサー情報データベースに保存されているセンサー情報を基に、各クライアント端末の現在位置を特定又は推定する(ステップS1)。
【0095】
次いで、サーバーは、プライベート・コンテンツ・データベース(後述)に保存しているクライアント端末のプライベート・コンテンツ(予定表、メール、メモ帳などのテキスト情報や、撮影した画像情報など)の内容を内容解析アルゴリズムに基づいて解析して、クライアント端末がこれから移動する目的地の予測を行なう(ステップS2)。
【0096】
次いで、サーバーは、移動予測アルゴリズムに基づいて、センサー情報から特定又は推定される現在位置から上記の予測した目的地までのクライアント端末の移動経路を算出する(ステップS3)。
【0097】
サーバーは、過去に複数クライアント端末から送信された通信情報を保存する通信情報データベースを持ち、時間、場所に対する、複数の無線システムの通信状態、すなわち、散在する各アクセスポイントのサービス・エリア内における転送レートや電波強度などを把握している(前述)。サーバーは、ステップS3によりクライアント端末の移動経路を得ると、さらに通信予測アルゴリズムに基づいて、クライアント端末の今後の通信情報を予測する。すなわち、サーバーは、予測された移動予測情報(目的地、移動ルート)と各アクセスポイントの受信電波強度などの通信情報を比較することにより、予測された移動経路上にオフライン・エリアがあるか否かを判定する(ステップS4)。
【0098】
サーバーは、クライアント端末がオフライン・エリアにあると判定した場合(ステップS4のYes)、プライベート・コンテンツ・データベース内で該当するユーザーの情報転送・同期リスト(図6を参照のこと)が管理されているか否かをさらにチェックする(ステップS5)。そして、該当する情報転送・同期リストがある場合には(ステップS5のYes)、各エントリーが「オンライン対応」か否かに応じて情報転送・同期リストを変更する(ステップS6)。
【0099】
次いで、サーバーは、当該情報転送・同期リストなどに基づいて、クライアント端末がオフライン状態に移行する前に優先して転送、同期すべき情報を決定して、クライアント端末に事前に送信する(ステップS7)。事前に転送、同期すべき情報は、クライアント端末がオフライン状態に移行する前に送信処理が完了するデータ量に抑える必要がある。あるいは、サーバーは、オフライン状態に移行する前に送信処理が完了するように、オフライン予測時間から遡って送信開始時刻を設定するようにする。そして、サーバーは、オフライン状態にあると予測したクライアント端末との接続を停止する。
【0100】
これに対し、クライアント端末側では、サーバーから受信した情報に基づいて、保持しているデータを更新する(ステップS13)。したがって、ユーザーは、オフライン状態のクライアント端末上でも、電話帳、口座情報、家計簿といったユーザー情報に対して、参照、編集、削除などの処理を行なうことができる(図4を参照のこと)。
【0101】
また、サーバーは、予測された移動予測情報(目的地、移動ルート)と各アクセスポイントの受信電波強度などの通信情報を比較して、オンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を算出する。そして、サーバーは、クライアント端末がオンライン状態に復帰すると予測したら(ステップS8のYes)、クライアントとの接続を再開して、クライアント端末に対してセンサー情報の送信と、オフライン状態移行前に送信したデータの消去を要求する(ステップS9)。
【0102】
これに対し、クライアント端末は、オンライン状態に復帰すると、サーバーとの接続を再開させる。そして、サーバーからセンサー情報の送信とデータ消去の要求を受信すると、該当するデータの消去を行なった後(ステップS14)、ステップS12に復帰して、センサー情報を送信する。その後は、サーバーとクライアントの各々に置いて、上述と同様の処理が繰り返し実施される。
【0103】
また、図10〜図13には、図1に示した通信システムにおける、サーバーとクライアント端末間でのデータ交換の手順の他の例を図解している。但し、サーバーに接続されるクライアント端末は、基地局又はアクセスポイント経由で無線通信部に接続されるものとする(同上)。
【0104】
図2〜図4に示した手順では、オフライン状態で必要な情報をサーバーからクライアント端末に送信するものである。これに対し、図10〜図13に示す手順では、クライアント端末上にオフライン状態で必要な情報を暗号化した状態で保持し、サーバーがオフライン状態となる前にクライアント端末に復号用の共通鍵を提供し、オフライン状態でクライアント端末が情報を利用できるようにしている。
【0105】
ユーザーがクライアント端末にログインすると、クライアント端末は、搭載しているセンサーから抽出した位置認識に使用するセンサー情報を、サーバーに送信する(図10を参照のこと)。
【0106】
また、クライアント端末上には、電話帳、スケジューラー、メモ帳といった、オフライン状態において必要となる個人情報が、暗号化された状態で保持されている(図7を参照のこと)。但し、オンライン状態では、サーバー側から復号用の共通鍵が提供されていないので、クライアント端末に保持されているこれらの個人情報を利用することはできない。オンライン状態では、サーバー側に格納されているこれら個人情報をクライアント端末から操作することになる。
【0107】
サーバーは、クライアント端末から受け取ったセンサー情報に基づいてクライアント端末の現在位置若しくは移動状態を推定する。続いて、サーバーは、データベースとして内部で保存しているクライアント端末のプライベート・コンテンツの内容を内容解析アルゴリズムに基づいて解析して、クライアント端末がこれから移動する目的地の予測を行なう。次いで、サーバーは、移動予測アルゴリズムに基づいて、現在位置から目的地までのクライアント端末の移動経路を算出する。そして、サーバーは、通信予測アルゴリズムに基づいて、予測された移動予測情報(目的地、移動ルート)と各アクセスポイントの受信電波強度などの通信情報を比較することにより、クライアント端末の移動経路上にオフライン・エリアが存在するか否かを判定する。
【0108】
サーバーは、クライアント端末の移動経路上にオフライン・エリアが存在すると判定した場合には、クライアント端末がオフライン・エリアに到達するオフライン予測位置又はオフライン予測時間、並びに、クライアント端末がオフライン・エリアを通り抜けてオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を算出する。また、サーバーは、クライアント端末がオフライン状態に移行する前に、暗号化された個人情報の復号用の共通鍵を送信する(図11を参照のこと)。
【0109】
クライアント端末は、オフライン・エリアに到達すると、受信した共通鍵を用いて、暗号化された状態で保持している個人情報を復号化する。したがって、ユーザーは、オフライン状態のクライアント端末上でも、電話帳、スケジューラー、メモ帳といったユーザー情報に対して、参照、編集、削除などの処理を行なうことができる(図12を参照のこと)。また、クライアント端末がオフライン状態で必要な情報を利用できるようにするために、サーバーは共通鍵を送信するだけでよいので、図2〜図4に示した手順のように情報そのものを送信する場合と比較して、情報伝送量を小さくすることができる。
【0110】
その後、クライアント端末がオフライン・エリアを通り抜けてオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間に到達すると、サーバーは、クライアント端末との接続を試みる。そして、接続に成功すると、クライアント端末に対し、個人情報の再暗号化と、オフライン状態に移行する前に送信した共通鍵の消去を要求する。
【0111】
クライアント端末側では、サーバーからの要求に応答して、オンライン状態に移行する際に、個人情報を共通鍵で再暗号化してから、共通鍵を消去する(図13を参照のこと)。その後は、サーバー側に保持されているユーザーの各種情報に対する参照、編集、削除などの操作をオンラインにより行なうことができるようになる。
【0112】
図10〜図13に示したデータ交換手順において、サーバーからクライアント端末へ、共通鍵を安全に転送するために、公開鍵暗号方式を適用した方法を一例として挙げることができる。
【0113】
まず、サーバーが共通鍵で個人情報を暗号化し、クライアント端末へあらかじめ転送しておく(図10を参照のこと)。また、クライアント端末側では、事前に、サーバーが転送する共通鍵を暗号化及び復号化するための公開鍵と秘密鍵の組を生成する。
【0114】
そして、サーバーは、クライアント端末がオフライン・エリアに到達すると判定したら、公開鍵で共通鍵を暗号化して、クライアント端末に転送する(図11を参照のこと)。クライアント端末側では、暗号化された共通鍵を秘密鍵で復号化し、共通鍵を用いて暗号化されたデータを復号化する(図12を参照のこと)。
【0115】
このように、サーバーは事前にオフライン・エリアと予測するとクライアント端末へ自動的に共通鍵を転送するので、オフライン状態のクライアント端末においてデータを参照、編集、削除することが可能となる。さらに、サーバーとクライアント端末間では鍵の転送しか行なわないので、データそのものを送るよりも情報量は小さいものとなる。
【0116】
その後、クライアント端末がオフライン・エリアを通り抜けてオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間に到達すると、サーバーは、クライアント端末との接続を試みる。そして、接続に成功すると、クライアント端末に対し、個人情報の再暗号化と、オフライン状態に移行する前に送信した共通鍵の消去を要求する。
【0117】
クライアント端末側では、サーバーからの要求に応答して、オンライン状態に移行する際に、個人情報を共通鍵で再暗号化してから、共通鍵を消去する(図13を参照のこと)。その後は、サーバー側に保持されているユーザーの各種情報に対する参照、編集、削除などの操作をオンラインにより行なうことができるようになる。オンライン状態のクライアント端末上では、サーバー側の個人情報を操作することはできるが、自分が保持している個人情報は暗号化され操作できない。クライアント端末はオフライン状態で必要な個人情報を暗号化して保持しているので、クライアント端末の紛失などによる情報漏洩の危険性を低減させることができる。
【0118】
なお、公開鍵暗号方式の詳細な仕組みについては、米国特許4405829号明細書を始め数多の文献に開示されているので、本明細書では説明を省略する。
【0119】
図14A及び図14Bには、図10〜図13に示したデータ交換手順を実現するためのサーバー並びにクライアント端末がそれぞれ実行する処理手順をフローチャートの形式で示している。但し、図示の処理手順では、共通鍵を安全に転送するために、公開鍵暗号方式を適用するものとする。
【0120】
まず、サーバーは、プライベート・コンテンツ・データベースを参照して、対象とするユーザーがオフライン時に必要なデータがあるか否かをチェックする(ステップS21)。オフライン時に必要なデータとは、例えば、電話帳やスケジューラー、メモ帳などのユーザーの個人情報である(前述)。
【0121】
ここで、ユーザーがオフライン時に必要なデータがある場合には(ステップS21のYes)、サーバーは、これらのデータを所定の共通鍵で暗号化し(ステップS22)、当該ユーザーがログインしたクライアント端末に暗号化したデータを転送する(ステップS23)。
【0122】
一方、クライアント端末は、サーバーから暗号化したデータを受信すると、サーバーが転送する共通鍵を暗号化及び復号化するための公開鍵と秘密鍵の組を生成し、このうち公開鍵をサーバーに転送しておく(ステップS41)。
【0123】
また、クライアント端末は、搭載しているセンサーから抽出した位置認識に使用するセンサー情報を、所定の頻度でサーバーに送信する(ステップS42)。
【0124】
サーバーは、クライアント端末から上記のセンサー情報を受信すると、センサー情報データベースに保存されているセンサー情報を基に、各クライアント端末の現在位置を特定又は推定する(ステップS24)。
【0125】
次いで、サーバーは、プライベート・コンテンツ・データベース(後述)に保存しているクライアント端末のプライベート・コンテンツ(予定表、メール、メモ帳などのテキスト情報や、撮影した画像情報など)の内容を内容解析アルゴリズムに基づいて解析して、クライアント端末がこれから移動する目的地の予測を行なう(ステップS25)。
【0126】
次いで、サーバーは、移動予測アルゴリズムに基づいて、センサー情報から特定又は推定される現在位置から上記の予測した目的地までのクライアント端末の移動経路を算出する(ステップS26)。
【0127】
サーバーは、過去に複数クライアント端末から送信された通信情報を保存する通信情報データベースを持ち、時間、場所に対する、複数の無線システムの通信状態、すなわち、散在する各アクセスポイントのサービス・エリア内における転送レートや電波強度などを把握している(前述)。サーバーは、ステップS3によりクライアント端末の移動経路を得ると、さらに通信予測アルゴリズムに基づいて、クライアント端末の今後の通信情報を予測する。すなわち、サーバーは、予測された移動予測情報(目的地、移動ルート)と各アクセスポイントの受信電波強度などの通信情報を比較することにより、予測された移動経路上にオフライン・エリアがあるか否かを判定する(ステップS27)。
【0128】
サーバーは、クライアント端末がオフライン・エリアにあると判定した場合(ステップS27のYes)、ステップS22で生成した共通鍵を、クライアント端末から受け取った公開鍵を用いて暗号化して、クライアント端末に転送する(ステップS30)。そして、サーバーは、オフライン状態にあると予測したクライアント端末との接続を停止する。
【0129】
これに対し、クライアント端末側では、サーバーから受信した共通鍵を、ステップS41で生成した自分の秘密鍵で復号化し(ステップS43)、この復号化した共通鍵を用いて、サーバーから事前に送られた暗号化データを復号化する(ステップS44)。したがって、ユーザーは、オフライン状態のクライアント端末上でも、電話帳、スケジューラー、メモ帳といったユーザー情報に対して、参照、編集、削除などの処理を行なうことができる(図12を参照のこと)。
【0130】
また、サーバーは、予測された移動予測情報(目的地、移動ルート)と各アクセスポイントの受信電波強度などの通信情報を比較して、オンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を算出する。そして、サーバーは、クライアント端末がオンライン状態に復帰すると予測したら(ステップS31のYes)、クライアントとの接続を再開して、クライアント端末に対してセンサー情報の送信と、オフライン状態移行前に送信した共通鍵の消去を要求する(ステップS32)。
【0131】
これに対し、クライアント端末は、オンライン状態に復帰すると、サーバーとの接続を再開させる。そして、サーバーからセンサー情報の送信とデータ消去の要求を受信すると、該当するデータの消去を行なった後(ステップS45)、ステップS42に復帰して、センサー情報を送信する。その後は、サーバーとクライアントの各々に置いて、上述と同様の処理が繰り返し実施される。
【0132】
上述したように、図9、並びに、図14A及び図14Bにそれぞれ示した処理手順によると、ユーザーは、オフライン状態でも必要な情報をオフライン時のクライアント端末上で操作することができる。また、クライアントがオンライン状態に復帰すると、オフライン時に使用したこれらの個人情報を削除し、又は、これらの情報を再暗号化した上で暗号鍵を削除するので、オフライン状態で紛失したクライアント端末から個人情報が漏洩する危険性を低減することができる。
【0133】
また、オフライン状態での情報漏洩の危険をさらに抑制するために、オフライン状態での個人情報の表示を、オンライン時よりも制限するようにしてもよい。図15には、オンライン状態のクライアント端末での個人情報の表示例を示している。図示の例では、個人情報は電話帳であり、登録者の氏名、電話番号、メール・アドレスに加え、住所が表示される。また、図16には、オフライン状態のクライアント端末での個人情報の表示例を示している。図示の例では、登録者の氏名、電話番号、メール・アドレスは表示されるものの、住所は表示されない。例えば、図9に示したフローチャート中のステップS7において、優先して転送、同期処理すべきと決定されたデータをすべて送信するのではなく、図16に示したように表示が許容された範囲の部分に限定して転送、同期処理を行なうようにしてもよい。
【0134】
図17には、携帯電話機など、ユーザーのクライアント端末として動作する情報機器の構成例を示している。
【0135】
CPU(Central Processing Unit)1001は、ROM(Read Only Memory)1002に記憶されているプログラム、又は記憶部1004からRAM(Random Access Memory)1003にロードされたプログラムに従って、各部の動作を制御し、各種の処理を実行する。RAM1003には、CPU1001が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0136】
CPU1001、ROM1002、及びRAM1003は、バス1005を介して相互に接続されている。また、バス1005には、記憶部1004、携帯電話送受信部1006、無線LAN通信部1007、操作部1008、LED1009、バイブレーター1010−1、1010−2、センサー群1010、音声入出力制御部1011、マイクロフォン1012音声入出力制御部1013、ディスプレイ1014、撮像部1015、センサー群1016、内部時計部1017、及び、非接触ICモジュール1018が接続されている。当該情報機器では、撮像部1011を用いて動画や静止画を撮影することができる。
【0137】
携帯電話送受信部1006は、完全に機能するセルラー無線送受信機として、例えばW−CDMA、LTEなどの標準規格を含む任意の既知の標準規格に従って動作することができる。
【0138】
無線LAN通信部1007は、WiFi、WiMAXなどの標準的な無線LAN規格に従って動作することができる。本実施形態では、無線LAN通信部1007は、パッシブ・スキャン時のパワーセーブ・モード下で間欠受信動作を行なう他、CPU1001からの指令に従って通信機能を完全に停止させることができるものとする。
【0139】
操作部1008は、ボタン類やジョグダイヤルなどにより構成され、ユーザーからの操作を受け付ける。ユーザー操作としては、電話番号入力や各種設定の他、メール作成やスケジュール記入などの文字入力を挙げることができる。LED1009は、例えば、ユーザーに情報を提示する際、当該情報機器にユーザーの注意を向けさせるために発光する。また、バイブレーター1010−1、1010−2は、例えば着信時などにユーザーの注意を向けさせるための振動を当該機器本体に加える。
【0140】
マイクロフォン1012は、ユーザーの音声を電気オーディオ信号に変換し、スピーカー1013は、オーディオ信号を、ユーザーが聴くことのできる可聴信号に変換する。音声入出力制御部1011は、基本的なアナログ出力信号をスピーカー1013に供給するとともに、マイクロフォン1012からアナログ・オーディオ入力を受け入れる。
【0141】
ディスプレイ1014は、通常の携帯電話として使用するときには、オペレータがダイヤルされた数字やイメージ、呼出し状況、メニュー・オプション、及び他のサービス情報を見ることを可能にする。また、撮像部1015による撮影時には、スルー画像や撮影画像の表示再生出力に利用することができる。
【0142】
撮像部1015は、光学系と、イメージ・センサと、イメージ・プロセッサ(いずれも図示しない)を備えている。光学系は単一レンズ又は複数のレンズからなり、イメージ・センサは、光学系によって結像されたイメージを取り込む。イメージ・プロセッサは、イメージ・センサによって取り込まれた圧縮画像データ又はRAW画像データを、記憶部1004への保管、ディスプレイ1014の出力、又は携帯電話送受信部1006、無線LAN通信部1007による送信のために処理する。撮像部1015による撮像画像は、プライベート・コンテンツである。また、撮像部1015による撮像画像を画像認識して、当該クライアント端末の移動状態を推定するためのセンサー情報にもなり得る。
【0143】
本実施形態では、センサー群1016には、位置認識に使用することができるセンサー情報を取得することができるセンサーを1以上含んでいるものとする。この種のセンサーとして、GPSモジュール、加速度センサー・モジュール、地磁気センサー・モジュールを挙げることができる。
【0144】
内部時計部1017は、現在時刻などの時刻情報をシステムに供給する。内部時計部1017で計時する時刻情報に基づいて、オフライン予測時間並びにオンライン復帰予測時間の到来を推定することができる。
【0145】
非接触ICモジュール1018は、例えばFeliCa(フェリカ)(登録商標)などのISO/IEC14443に準拠する近接型のICモジュールであり、認証処理や課金処理に使用することができる。非接触ICモジュール1018からは、交通履歴や購入履歴を取得することができる。
【0146】
本実施形態では、情報機器(図17を参照のこと)がクライアント端末として動作する際に、図9、並びに、図14A及び図14Bに示したようなサーバーとの協働的動作を実現するために、サーバーに対して、プライベート・コンテンツやセンサー情報を送信する機能を備えている。図18には、クライアント端末がプライベート・コンテンツやセンサー情報を送信するための機能的構成を模式的に示している。
【0147】
プライベート・コンテンツは、例えば、CPU1001で実行するメール・ソフト、スケジューラー、メモ帳などのアプリケーションを通じて処理された、メール履歴、スケジュール履歴、メモ履歴などである。その他、ユーザーのログインID、ログイン日時、ログイン場所、ログオフ日時、ログオフ場所、交通系履歴、撮像部1015で撮影した画像情報や、非接触ICモジュール1018によって行なわれた購入履歴や交通系履歴などの課金情報、各種機器の操作履歴といった行動履歴をプライベート・コンテンツに含めることもできる。これらのプライベート・コンテンツは、記憶部1004内で保管され、クライアント端末のオンライン状態となる任意のタイミングでサーバーへ転送される。
【0148】
センサー情報は、センサー群1016で計測されるセンサー情報であり、位置認識に使用することができる情報を1以上含むものとする。例えば、GPSモジュールで取得される位置情報、加速度センサー・モジュールで取得される加速度情報、地磁気センサー・モジュールで取得される地磁気情報などである。さらに、ユーザーが操作部1008に対して行なった操作履歴や、内部時計部1017で計時した時刻情報をセンサー情報に含めることができる。また、あるいは、加速度センサーや撮像部1015による撮像画像の画像認識結果などクライアント端末の移動状態を推定するためのセンサー情報を含めることができる。
【0149】
また、転送レートや受信電波強度などの通信情報を位置認識に使用できることが当業界で知られている。そこで、携帯電話送受信部1006や無線LAN通信部1007などからなるアンテナ・モジュールで取得された転送レートや、基地局又はアクセスポイントの受信電波強度を、センサー情報に含めてもよい。
【0150】
これらのセンサー情報は、記憶部1004内で保管され、ユーザーがクライアント端末にログインした後、オンライン状態において所定の頻度でサーバーへ転送される。
【0151】
図19には、サーバーとして動作する情報機器の構成例を示している。サーバーは、例えば、パーソナル・コンピューターのような一般的な計算機システム上で所定のサーバー・アプリケーションを起動するという形態で構築することができる。
【0152】
CPU1201は、オペレーティング・システムが提供する実行環境下で、各種のアプリケーション・プログラムを実行する。オペレーティング・システム(OS:Operating System))は、例えば、マイクロソフト社のいわゆるウィンドウズ(登録商標)XP、又はアップルコンピュータ社のいわゆるMac OS(登録商標)などに代表される、コンピューターの基本的な動作を制御するプログラムである。
【0153】
CPU1201はフロント・サイド・バス(FSB)1202に接続され、FSB1202はさらにノース・ブリッジ1203が接続されている。ノース・ブリッジ1203は、AGP(Accelerated Graphics Port)1204、並びに、ハブ・インターフェース1210を有している。
【0154】
ノース・ブリッジ1203は、キャッシュ・メモリ1208や、メインメモリであるRAM1209に接続されこれらのメモリ・デバイスへのアクセス動作を制御する。RAM1209は、例えばDRAM(Dynamic RAM)で構成され、CPU1201が実行するプログラム、又はCPU1201の動作に必要な作業データを記憶する。キャッシュメモリ1208は、SRAM(Static RAM)など、より高速な書き込み又は読み出しの動作を実行できるメモリ・デバイスで構成され、CPU1201が使用するプログラム又はデータをキャッシュすなわち一時的に記憶する。
【0155】
また、ノース・ブリッジ1203は、AGP1204を介して、ビデオ・コントローラー205を接続している。ビデオコントローラー1205は、CPU1201から受信したデータに対応するイメージ・データを生成するか、又は、CPU1201から受信したイメージ・データをそのまま内蔵するビデオメモリ(図示しない)に記憶するとともに、ビデオメモリ内のイメージ・データに対応する画像をLCD1206又はVGAコントローラー1207に表示させる。LCD1206又はVGAコントローラー1207は、ビデオ・コントローラー1205から供給されたデータを基に、画像又は文字などを表示する。ここで、VGAコントローラー1207は、VGA(Video Graphics Array)方式のディスプレイのことである。
【0156】
また、ノース・ブリッジ1203は、ハブ・インターフェース210を介して、サウス・ブリッジ1211と相互接続されている。サウス・ブリッジ1211は、ACリンク・インターフェース1211A、USB(Universal Serial Bus)インターフェース1211B、IDE(Integrated Drive Electronics)インターフェース1211C、PCI(Peripheral Component Interconnect)インターフェース1211D、LPC(Low Pin Count)インターフェース1211E、及び、LANインターフェース1211Fなどを内蔵し、ACリンクバス1212、USBバス1217、IDEバス1222に接続されるデバイスを介して接続される各種デバイスの入出力動作などを制御する。
【0157】
ACリンクバス1212には、モデム1213、サウンド・コントローラー1214などが接続される。サウンド・コントローラー1214は、マイクロフォン1215から音声を取り込み、その音声に対応するデータを生成して、RAM1209に出力する。またサウンド・コントローラー1214は、スピーカー1216を駆動して、スピーカー1216に音声を出力させる。
【0158】
USBバス1217には、USBコネクタ1218が接続され、各種USBデバイスが接続可能である。USBインターフェース1221Bは、USBバス1217を介して接続されているUSBデバイス(図示しない)にデータを送信するとともにデバイスからデータを受信する。
【0159】
IDEインターフェース1211Cは、プライマリーIDEコントローラーとセカンダリーIDEコントローラーとの2つのIDEコントローラー、及び、コンフィギュレーション・レジスタ(configuration register)などから構成されている(いずれも図示しない)。プライマリーIDEコントローラーには、IDEバス1222を介して、HDD(Hard Disk Drive)1223が接続されている。また、セカンダリーIDEコントローラーには、CD−ROMドライブ1224又はHDD(図示しない)などのIDEデバイスが装着される。
【0160】
HDD1223には、CPU1201で実行する各種アプリケーション・プログラムがインストールされている。また、さまざまなデータやコンテンツをHDD1223に保存することができる。本実施形態では、通信情報データベースや、センサー情報データベース、プライベート・コンテンツ・データベースがHDD1223を用いて構築される。
【0161】
無線LAN通信部1225は、例えばIEEE802.11a/bなどの無線LAN通信により、ネットワークに接続される。LANインターフェース211Fは、無線LAN通信部1225に接続されたネットワークにデータを送信するとともに、データを受信する。サーバーとして動作する当該計算機システムは、無線LAN経由でクライアント端末との情報転送、同期などの処理を行なうようにしてもよい。
【0162】
LPCバス1251には、ROM1252、I/O(Input/Output)インターフェース1253、コントローラー1256が接続されている。ROM(Read Only Memory)1252には、BIOS(Basic Input Output System)などが記憶されている。ここで、BIOSは、基本入出力命令群からなり、OS又はアプリケーション・プログラムと周辺機器との間でのデータの入出力を制御する。
【0163】
I/Oインターフェース1253には、シリアル端子1254とパラレル端子1255が接続されており、それぞれの端子に接続された機器とのデータのシリアル入出力並びにパラレル入出力を行なう。コントローラー1256には、キーボード1258、マウス1257などのユーザー入力装置が接続可能である。
【0164】
PCIバス1226には、カード・インターフェース1229、IEEE1394インターフェース1227、その他の図示しないPCIデバイスが接続されている。カード・インターフェース1229は、カード・スロット(図示しない)に接続された拡張カードから供給されたデータをCPU1201又はRAM1209に供給するとともに、CPU1201から供給されたデータを上記スロットに接続されている拡張カードに出力する。拡張カードの一例は、有線LANカード1230である。図示の情報機器がサーバーとして動作している場合、有線LANカード1230を介してクライアント端末との情報転送、同期などの処理が行なわれる。また、IEEE1394インターフェース1227は、IEEE1394ポート1228を介して、IEEE1394の規格に準拠するデータ(パケットに格納されているデータ)を送受信する。
【0165】
本実施形態では、情報機器(図12を参照のこと)がサーバーとして動作する際に、クライアント端末から通信情報、プライベート・コンテンツ、並びに、センサー情報を受け取り、移動中のクライアント端末に対して通信予測情報を送信する。図20には、サーバーが、クライアント端末との協働的動作によって通信予測情報を提供するための機能的構成を模式的に示している。
【0166】
サーバーは、通信情報データベース1301と、センサー情報データベース1302と、プライベート・コンテンツ・データベース1303と、商用コンテンツ・データベース1304を備えている。これらのデータベースは、HDD1223を用いて構築されている。
【0167】
通信情報データベース1301は、過去に複数クライアント端末から送信された、転送レートや受信電波強度などの通信情報を保存している。但し、本発明の要旨は、複数のクライアント端末から収集した通信情報に基づいて通信情報データベースを構築する方法に限定されるものではなく、他の方法によって通信情報データベースを構築するようにしてもよい。サーバーは、通信情報データベース1301を基に、時間、場所に対する、複数の無線システムの通信状態、すなわち、散在する各アクセスポイントのサービス・エリア内における転送レートや電波強度などを把握することができる。
【0168】
センサー情報データベース1302は、過去に複数クライアント端末から送信されたセンサー情報を保存している。ここでいうセンサー情報には、クライアント端末が搭載する、GPS)受信電波に基づいて測定された位置情報、WiFi基地局の受信信号強度情報(RSSI)、加速度センサーにより測定された加速度情報など、位置認識に使用することができるセンサー情報が含まれる。サーバーは、センサー情報データベース1302に保存されているセンサー情報を基に、各クライアント端末の現在位置を特定又は推定することができる。
【0169】
プライベート・コンテンツ・データベース1303は、過去に複数クライアント端末から送信されたプライベート・コンテンツ(予定表、メール、メモ帳などのテキスト情報や、撮影した画像情報、購入履歴、交通系履歴など)を保存している。サーバーは、当該データベースに保存されているプライベート・コンテンツの内容を解析して、例えば移動中のクライアント端末の目的地を予測することができる。但し、プライベート・コンテンツ・データベースの用途は、目的地予測に限定されるものではない。
【0170】
商用コンテンツ・データベース1304には、音楽、写真、ビデオなど、商用ベースにて有償又は無償で各ユーザーに提供されるコンテンツが保存されている。商用コンテンツは、プライベート・コンテンツと同様に、クライアント端末へ情報転送又は同期処理の対象となる。
【0171】
クライアント端末側で記憶部1004内にセンサー情報並びにプライベート・コンテンツが保存されることは既に述べた通りである。アップロード・コントローラー1310は、例えばCPU1001が所定のアプリケーション・プログラムを実行することにより実現される機能モジュールである。アップロード・コントローラー1310は、受信電波強度や転送レートなどの通信情報をサーバー側の通信情報データベース1301にアップロードし、位置情報、加速度情報、地磁気情報、購入履歴/交通系履歴などのセンサー情報をセンサー情報データベース1302にアップロードし、メール履歴、スケジュール履歴、メモ履歴、購入履歴/交通系履歴などのプライベート・コンテンツをプライベート・コンテンツ・データベース1303にアップロードする。
【0172】
また、サーバーは、各クライアント端末に対し、オンライン時並びにオフライン時を通じて情報転送、同期サービスを提供するために、内容解析アルゴリズム演算部1305と、移動予測アルゴリズム演算部1306と、通信予測アルゴリズム演算部1307と、同期アルゴリズム演算部1308を備えている。
【0173】
内容解析アルゴリズム演算部1305は、プライベート・コンテンツ・データベース1303で保存しているクライアント端末のプライベート・コンテンツに書かれている内容を解析して、クライアント端末がこれから移動する目的地を、内容解析アルゴリズムを用いて予測し、この目的地予測情報を移動予測アルゴリズム演算部1306に供給する。
【0174】
移動予測アルゴリズム演算部1306は、センサー情報に基づいて特定又は推定されるクライアント端末の現在位置から、内容解析アルゴリズム演算部1307で予測された目的地への移動ルートを、移動予測アルゴリズムを用いて予測し、この移動予測情報を通信予測アルゴリズム演算部1308に供給する。
【0175】
移動予測アルゴリズム演算部1306は、当該クライアント端末を使用しているユーザーのこれまでの移動履歴、若しくは該当するユーザーだけでなく他のユーザの移動履歴を用いて、現在地と現在時刻の場合に、今後どのように移動するかを予測する。予測方法としては、移動履歴を用いて、この時刻、この曜日の場合の移動ルートの確率を求めて、最も高い移動経路を選び出す。あるいは、隠れマルコフ・モデル(Hidden Markov Model:HMM)を用いた学習アルゴリズムを用いて、移動履歴から求められる移動経路の候補の中から、移動経路を予測する。隠れマルコフ・モデルによれば、移動経路すなわち地点間のつながりを標準的な確率状態遷移機械で表現される。センサー情報から抽出されるユーザーの移動履歴に基づいて確率状態遷移機械を事前学習しておき、通信予測サービスを行なう際には、ユーザーの現在の位置情報をこの確率状態遷移機械に投入することで、移動経路予測を得ることができる。
【0176】
また、移動予測アルゴリズム演算部1306は、移動履歴のみ用いて移動経路並びに目的地を予測する方法の他に、予定表、メール、メモ帳のようなプライベート・コンテンツを解析することで、これからの予定を割り出し、目的地を予測する方法も用いる。これにより、現在位置及び現在時刻に対して、今後どのように移動していくかを予測することができる。
【0177】
通信予測アルゴリズム演算部1307は、移動予測アルゴリズム演算部1306によって予測された移動予測情報(目的地、移動ルート)と、通信情報データベース1301に保存されている通信情報を比較することにより、クライアント端末の今後の通信情報を予測する。通信予測アルゴリズム演算部1307は、通信予測アルゴリズムを用いることにより、クライアント端末の移動経路上において、クライアント端末がオフライン状態になるオフライン予測位置又はオフライン予測時間、並びに、オンラインに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を予測し、この通信予測情報を同期コントローラー1309に出力する。
【0178】
通信情報データベース1301に保存されている通信情報は、上述したように、各ユーザーの通信履歴や電波強度測定履歴、複数のユーザーから集めた通信履歴や電波強度履歴、携帯電話のキャリア会社やWiFiのアクセスポイントを管理する会社が持つ基地局の配置情報や位置に対する電波環境の情報などである。通信予測アルゴリズム演算部1307は、これらの通信情報に基づいて、WiFiや携帯電話の通信エリア、伝送レートなどの電波環境情報を知ることができる。そして、通信予測アルゴリズム演算部1307は、この電波環境情報と移動経路の予測を照らし合わせることで、予測されたクライアント端末の移動経路上において、いつ、どの位置で、何の通信キャリアがオフラインになるのか、すなわち通信キャリア毎のオフライン・エリアを判定する。
【0179】
同期アルゴリズム演算部1308は、クライアント端末に情報転送、同期処理すべきデータの情報を決定し、同期対象データ情報として同期コントローラー1309に供給する。
【0180】
同期アルゴリズム演算部1308は、例えば図6に示した情報転送・同期リストを利用して、プライベート・コンテンツ・データベース1303に保存されているユーザーのプライベート・コンテンツの中から、クライアント端末に情報転送、同期処理すべきデータの情報を決定することができる。クライアント端末がオンライン状態では、更新されたばかりのデータが情報転送、同期処理の対象となる(図7を参照のこと)。また、クライアント端末がオフライン状態に移行する際には、電話帳、口座情報、家計簿といった個人情報のように、オフライン対応として事前に設定された(若しくは、オフライン状態でクライアント端末が必要となる)データが情報転送、同期処理の対象となる(図8を参照のこと)。また、同期アルゴリズム演算部1308は、オフライン状態で必要となるデータを決定する際に、ユーザーが過去にオフライン状態で操作した履歴などのユーザーの履歴情報を参照するようにしてもよい。
【0181】
同期コントローラー1309は、通信予測アルゴリズム演算部1307から供給される通信予測情報に従い、同期アルゴリズム演算部1308によって決定された情報転送、同期対象となるデータをクライアント端末に送信する。
【0182】
具体的には、同期コントローラー1309は、クライアント端末がオフライン状態になる際に事前に送信し、また、オンライン状態に復帰したときにクライアント端末に当該データの削除を要求する(図9を参照のこと)。ここで、情報転送、同期対象となるデータ全体を送信する必要はなく、例えば、更新された部分に限定して情報転送、同期処理を行なうようにしてもよい。あるいは、同期コントローラー1309は、同期対象となるデータを共通鍵で暗号化した暗号化データをクライアント端末にあらかじめ送信しておき、クライアント端末がオフライン状態になる際にデータ復号化のために共通鍵を事前に送信し、また、オンライン状態に復帰したときにクライアント端末に共通鍵の削除を要求する(図14A及び図14Bを参照のこと)。
【0183】
クライアント端末側では、同期コントローラー1309からの転送、同期データを受信して、保持しているプライベート・コンテンツを更新する。また、同期コントローラー1309からのデータ削除要求に応じて、プライベート・コンテンツ中の該当するデータを削除する。
【0184】
あるいは、クライアント端末側では、同期コントローラー1309から暗号化データを受信してプライベート・コンテンツとして保持し、オフライン状態に移行した際には事前に送られてきた共通鍵を用いて暗号化データを復号するとともに、同期コントローラー1309からの要求に応じてデータの際暗号化並びに共通鍵の削除が行なわれる。
【0185】
図21には、移動予測アルゴリズム演算部1306によるクライアント端末の移動経路の予測結果の一例を示している。
【0186】
クライアント端末のセンサー情報がサーバーにアップロードされることで、サーバー内の移動予測アルゴリズム演算部1306は、まず、クライアント端末の現在地と現在時刻を把握する。そして、移動予測アルゴリズム演算部1306は、このクライアント端末を使用しているユーザーのこれまでの移動履歴、若しくは当該ユーザーだけでなく他のユーザーの移動履歴に基づいて、現在位置及び現在時刻から、今後どのように移動するかを予測する。
【0187】
移動予測アルゴリズム演算部1306は、移動予測アルゴリズムとして、移動履歴を用いて、この時刻、この曜日の場合の移動ルートの確率を求めて、最も高い移動ルートを選び出す。若しくは、移動予測アルゴリズム演算部1306は、移動予測アルゴリズムとして、隠れマルコフ・モデルを適用した学習アルゴリズムを用い、移動履歴から算出される1以上の移動経路の候補の中から、移動経路を予測する。
【0188】
また、移動予測アルゴリズム演算部1306は、クライアント端末の移動経路を予測する際に、移動履歴のみ用いてクライアント端末の目的地、並びに、目的地までの移動経路を予測する。あるいは、移動予測アルゴリズム演算部1306は、予定表、メール、メモ帳といった、プライベート・コンテンツ・データベース1303に保存されているユーザーのプライベート・コンテンツを解析することで、該当するユーザーの予定を割り出し、目的地を予測するようにしてもよい。
【0189】
図22には、通信予測アルゴリズム演算部1307が、図21に示したクライアント端末の移動経路上で判定したオフライン・エリアを例示している。同図は、通信キャリアとしてWiFiのオフライン・エリアの判定結果であり、移動経路上で、WiFi_1、WiFi_2、…、WiFi_10という10箇所のオンライン・エリアが予測されている。したがって、移動経路上で、各オンライン・エリアから外れる場所が、オフライン・エリアということになる。
【0190】
通信予測アルゴリズム演算部1307は、各オフライン・エリアについてのオフライン予測位置又はオフライン予測時間、並びに、オンライン復帰予測位置又は時間を含んだ通信予測情報を、同期コントローラー1309に通知する。
【0191】
同期コントローラー1309は、通信予測アルゴリズム演算部1307から供給される通信予測情報に従って、クライアント端末に対する情報転送、同期処理を制御する。
【0192】
すなわち、同期コントローラー1309は、クライアント端末の移動経路上にオフライン・エリアが存在する場合には、オフライン状態のクライアント端末上で必要となる情報を、クライアント端末がオフライン予測位置又はオフライン予測時間に到達する前に送信する。また、同期コントローラー1309は、クライアント端末がオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間に到達すると、オフライン状態での使用のために送信した情報の削除をクライアントに要求する。
【0193】
あるいは、サーバーは、オフライン状態のクライアント端末上で必要となる情報を共通鍵で暗号化し、あらかじめクライアント端末に転送しておく。そして、同期コントローラー1309は、クライアント端末がオフライン予測位置又はオフライン予測時間に到達する前に共通鍵を送信する。したがって、オフライン状態のクライアント端末では、必要な情報を共通鍵で復号化して、使用することが可能となる。同期コントローラー1309は、クライアント端末がオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間に到達すると、オフライン時に復号化した情報の再暗号化と、共通鍵の削除を、クライアント端末に要求する。
【0194】
サーバーとクライアント間において、オフライン状態になる前に手動で情報転送、同期処理を行なうのは実現性に乏しい。また、サーバーとクライアント間において、定期的に情報転送、同期処理を行なう場合、クライアント端末がオフライン状態に移行する前に必要なデータの情報転送、同期を行なえない可能性がある。クライアント端末がオフライン状態で必要なデータがないと、データを参照、編集、削除などを行なうことができない。また、必要なデータをクライアント端末上で常に保持しておくと、個人情報に関わるデータなどの情報漏洩の問題が生じる。
【0195】
これに対し、本実施形態に係る通信システムでは、サーバーは通信予測によってクライアント端末の移動経路上にオフライン・エリアがあるか否かを予測するが可能である。そして、サーバーは、かかる予測結果に基づいて、クライアント端末がオフライン状態になる前に、個人情報などの必要なデータを情報転送、同期処理することができる。よって、クライアント端末上では、オフライン状態においても必要なデータの参照、編集、削除が可能となる。また、クライアント端末が、オンライン・エリアに復帰したときに、オフライン状態の前に送信したデータを削除することで、情報漏洩の問題も低減する。
【産業上の利用可能性】
【0196】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳細に説明してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0197】
本明細書では、無線通信部としてWiFi、W−CDMA、LTE、WiMAXを有する通信システムに関する実施形態を中心に説明してきたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。さまざまな通信キャリアが提供する無線通信サービスを無線通信部に含めても、同様に本発明を適用することができる。
【0198】
また、本明細書では、内容解析アルゴリズム、移動予測アルゴリズム、通信予測アルゴリズム、プライベート・コンテンツ・データベース、センサー情報データベース、通信情報データベースをすべてサーバー側に装備した実施形態を中心に説明してきたが、これらのアルゴリズム並びにデータベースのうち少なくとも一部をクライアント側に装備しても、同様に本発明を実現することが可能である。
【0199】
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0200】
1001…CPU
1002…ROM
1003…RAM
1004…記憶部
1005…バス
1006…携帯電話送受信部
1007…無線LAN通信部
1008…操作部
1009…LED
1010…バイブレーター
1011…音声入出力制御部
1012…マイクロフォン
1013…音声入出力制御部
1014…ディスプレイ
1015…撮像部
1016…センサー群
1017…内部時計部
1018…非接触ICモジュール
1201…CPU
1202…フロント・サイド・バス(FSB)
1203…ノース・ブリッジ
1204…AGPバス、
1205…ビデオ・コントローラー
1206…LCD
1207…VGAコントローラー
1208…キャッシュ・メモリ
1209…RAM
1210…ハブ・インターフェース
1211…サウス・ブリッジ
1211A…ACリンク・インターフェース
1211B…USBインターフェース
1211C…IDEインターフェース
1211D…PCIインターフェース
1211E…LPCBインターフェース
1211F…LANインターフェース
1212…ACリンク・バス
1213…モデム
1214…サウンド・コントローラー
1216…スピーカー
1221…USBインターナショナル
1222…IDEバス
1223…HDD
1224…CD−ROMドライブ
1225…無線LAN通信部
1226…PCIバス
1229…カード・インターフェース
1230…有線LANカード
1251…LPCバス
1252…ROM
1253…I/Oインターフェース
1254…コントローラー
1260…バッテリー
1301…通信情報データベース
1302…センサー情報データベース
1303…プライベート・コンテンツ・データベース
1304…商用コンテンツ・データベース
1305…内容解析アルゴリズム演算部
1306…移動予測アルゴリズム演算部
1307…通信予測アルゴリズム演算部
1308…同期アルゴリズム演算部
1309…同期コントローラー
1310…アップロード・コントローラー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末と接続して通信を行なう通信部と、
クライアント端末を所持するユーザーの目的地を推定する内容解析部と、
前記クライアント端末の現在位置を推定するとともに、前記現在位置から前記目的地までの移動経路を予測する移動予測部と、
予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知する通信予測部と、
前記予測された通信状況に基づいて、前記クライアント端末との情報転送並びに同期処理を制御する同期制御部と、
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
ユーザーのプライベート・コンテンツを保持するプライベート・コンテンツ・データベースを備え、
前記内容解析部は、前記プライベート・コンテンツ・データベースに保持されているユーザーのプライベート・コンテンツの内容を解析し、得られた行動予定に基づいてユーザーの目的地を推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プライベート・コンテンツ・データベースに保持されるプライベート・コンテンツは、ユーザーが作成又は編集した予定表、電子メール、メモ帳のうち少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プライベート・コンテンツ・データベースに保持されるプライベート・コンテンツは、ユーザーの行動履歴を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記行動履歴は、ユーザーのログインID、ログイン日時、ログイン場所、ログオフ日時、ログオフ場所、交通系履歴、各種商品の購入履歴、放送番組その他のコンテンツの視聴履歴、各種情報機器の操作履歴のうち少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記移動予測部は、前記クライアント端末から取得したセンサー情報に基づいて前記現在位置を推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記センサー情報は、前記クライアント端末において測定した、GPS(Global Posiioning System)受信電波情報、WiFi基地局の受信信号強度情報(RSSI:Receiving Signal Strength Indicator)、加速度センサーにより測定された加速度情報、又は、前記クライアント端末の位置情報を推定するためのその他のセンサー情報のうち少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記センサー情報は、加速度センサーにより測定された加速度情報、又は、画像認識装置による画像認識結果、前記クライアントの移動状態を推定するためのその他のセンサー情報のうち少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記移動予測部は、推定された現在位置から目的地までの移動経路を、隠れマルコフ・モデルを用いた学習アルゴリズムによって予測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
各地点における基地局又はアクセスポイントの通信情報を保持する通信情報データベースを備え、
前記通信予測部は、前記通信情報データベースに基づいて、前記移動経路上における前記クライアント端末と基地局又はアクセスポイントとの接続状態を予測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記通信情報は、各地点における基地局又はアクセスポイントの伝送レート又は受信電波強度のうち少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記通信予測部は、前記移動経路上で前記クライアント端末がいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続不能なオフライン・エリアに到達するオフライン予測位置又はオフライン予測時間、及び、前記クライアント端末がいずれかの基地局又はアクセスポイントと接続可能なオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を予測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記同期制御部は、前記通信予測部が前記移動経路上に前記クライアント端末がいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続不能なオフライン・エリアがあると予測したことに応じて、前記クライアント端末がオフライン状態で必要な情報を、前記クライアント端末が前記オフライン・エリアに到達する前に優先して送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記同期制御部は、前記クライアント端末がいずれかの基地局又はアクセスポイントと接続可能なオンライン・エリアに復帰すると、前記クライアント端末に対して前記オフライン状態で必要な情報の削除を要求する、
ことを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記クライアント端末がオフライン状態で必要な情報を暗号化して前記クライアント端末にあらかじめ供給しておき、
前記同期制御部は、前記通信予測部が前記移動経路上に前記クライアント端末がいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続不能なオフライン・エリアがあると予測したことに応じて、前記暗号化した情報の復号用の鍵を、前記クライアント端末が前記オフライン・エリアに到達する前に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記同期制御部は、前記クライアント端末がいずれかの基地局又はアクセスポイントと接続可能なオンライン・エリアに復帰すると、前記クライアント端末に対して前記復号した情報の暗号化と前記復号用の鍵の削除を要求する、
ことを特徴とする請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記クライアント端末がオフライン状態で必要な前記の情報は、前記クライアント端末を利用するユーザーの個人情報である、
ことを特徴とする請求項13又は15のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記クライアント端末がオフライン状態で必要な前記の情報は、前記クライアント端末を利用するユーザーが事前に設定したデータ、又は、データのうちユーザーが事前に設定した部分である、
ことを特徴とする請求項13又は15のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記クライアント端末が前記オフライン・エリアに到達する前に優先して送信する前記の情報を、所定のデータ量以下となるように、事前に設定する、
ことを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記同期処理部は、前記クライアント端末がオフライン状態で必要な前記の情報のデータ量に基づいて、前記クライアント端末がオフライン状態になる予測時間から遡って送信開始時間を決定する、
ことを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項21】
クライアント端末を所持するユーザーの目的地を推定する内容解析ステップと、
前記クライアント端末の現在位置を推定するとともに、前記現在位置から前記目的地までの移動経路を予測する移動予測ステップと、
予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知する通信予測ステップと、
前記予測された通信状況に基づいて、前記クライアント端末との情報転送並びに同期処理を制御する同期制御ステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項22】
サーバーとクライアント端末が無線通信により互いに情報転送、同期をする無線通信システムにおいてサーバーとして動作するための処理をコンピューター上で実行するためのコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
クライアント端末と接続して通信を行なう通信部、
クライアント端末を所持するユーザーの目的地を推定する内容解析部、
前記クライアント端末の現在位置を推定するとともに、前記現在位置から前記目的地までの移動経路を予測する移動予測部、
予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知する通信予測部、
前記予測された通信状況に基づいて、前記クライアント端末との情報転送並びに同期処理を制御する同期制御部、
として機能させるためのコンピューター・プログラム。
【請求項23】
基地局又はアクセスポイントと無線通信を行なう通信部と、
情報を格納する情報格納部と、
基地局又はアクセスポイントを経由したサーバーとの接続動作、前記通信部の動作、及び、前記情報格納部の格納動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記サーバーとの通信状況に基づいて、前記情報格納部の格納動作を制御する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項24】
前記制御部は、
当該装置がいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続不能なオフライン・エリアに到達する前に前記サーバーから受け取った情報を前記情報格納部に保存し、
当該装置がいずれかの基地局又はアクセスポイントに接続可能なオンライン・エリアに到達したときに前記サーバーからの消去要求に応じて前記情報を前記情報格納部から消去する、
ことを特徴とする請求項23に記載の無線通信装置。
【請求項25】
オフライン状態で必要な情報を暗号化したデータを前記情報格納部に格納しておき、
前記制御部は、
当該装置がいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続不能なオフライン・エリアに到達する前に前記サーバーから受け取った復号用の鍵を用いて、前記情報格納部に保存されている前記の暗号化データを復号し、当該装置がいずれかの基地局又はアクセスポイントに接続可能なオンライン・エリアに到達したときに前記サーバーからの要求に応じて、前記のデータを再暗号化するとともに前記復号用の鍵を消去する、
ことを特徴とする請求項23に記載の無線通信装置。
【請求項26】
基地局又はアクセスポイントとの無線通信を経由してサーバーと接続するステップと、
前記サーバーとの通信状況に基づいて、情報格納部に情報を格納する動作を制御するステップと、
を有することを特徴とする無線通信方法。
【請求項27】
サーバーとクライアント端末が無線通信により互いに情報転送、同期をする無線通信システムにおいてクライアント端末として動作するための処理をコンピューター上で実行するためのコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
基地局又はアクセスポイントと無線通信を行なう通信部、
情報を格納する情報格納部、
基地局又はアクセスポイントを経由したサーバーとの接続動作、前記通信部の動作、及び、前記情報格納部の格納動作を制御する制御部、
として機能させ、
前記制御部は、前記サーバーとの通信状況に基づいて、前記情報格納部の格納動作を制御する、
ことを特徴とするコンピューター・プログラム。
【請求項28】
クライアント端末を所持するユーザーのプライベート・コンテンツに基づいてユーザーの目的地を推定し、前記クライアント端末の現在位置から前記目的地までの移動経路を予測し、予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測し、前記予測された通信状況に基づいて、前記クライアント端末との情報転送並びに同期処理を制御するサーバーと、
前記サーバーによって情報転送並びに同期処理される情報を利用する前記クライアント端末と、
で構成されることを特徴とする無線通信システム。


【図6】
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【図9】
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【図14A】
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【図14B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−61714(P2011−61714A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212083(P2009−212083)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】