説明

情報処理装置

【課題】 タイムシェアリングを行う非リアルタイム系OSを採用した情報処理装置においても、電源投入から処理開始可能となるまでの時間を短縮する。
【解決手段】 電源OFF時に初期操作部画面に必要な画面の構成情報を保持しておき、次回起動時にその情報を基に初期操作部画面の表示に必要なプログラムを他のプログラムに先立って処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置起動時の操作部画面構成情報取得の仕方に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、マルチファンクション・プリンタ(以下MFPと呼ぶ)等の情報処理装置は高機能化が図られ、そのために、電源ONからシステムの立ち上げが完了して実際に使用出来るようになるまでの時間が長くなる傾向がある。
【0003】
以下に従来の技術として、MFPのコントローラの詳細を説明する。
【0004】
図2は、従来例、及び本発明を適用したMFP(マルチ・ファンクション・プリンタ)のコントローラの概要を示すものである。
【0005】
図2において、100はMFPコントローラであり、ホストコンピュータ101から受信した印刷データをビットマップデータに展開してプリンタエンジン111に出力する、或いはスキャナ103で読み取ったスキャンデータ画像データをプリンタエンジン111に出力するなどの様に、コントローラ全体の主要な処理を行う。
【0006】
102はホストI/F部で、ホストコンピュータ101との通信を行ない、プリンタ固有の言語で記述された印刷コードデータやイメージデータを受信する。
【0007】
104はスキャナI/F部で、スキャナ103から入力されるスキャン画像データを受信するブロックである。
【0008】
106は書き換え可能なROM(Flash ROM)であり、CPU105はROM106に格納されたプログラムをROMコントローラ107を介して読み出し、読み出したプログラムに従ってコントローラ全体の制御を行っている。
【0009】
108はRAMであり、CPU105が各種処理をする際のワークメモリとして利用したり、あるいは画像データを格納するためのバッファ等として利用される。RAM108へのアクセスはRAMコントローラ109を介して行われる。
【0010】
110はエンジンI/F部で、プリンタエンジン111に対して印刷画像データを出力するブロックである。
【0011】
112はコントローラの内部バスである
113は不揮発性メモリであり、電源OFFしても保持しなければならないMFPの各種設定情報を格納している。
【0012】
118はHDDであり、印刷データを一時的に保管したり、ユーザデータを格納するために使用する。
【0013】
119は操作部であり、MFPの各種操作指示を行うと共に、MFPの状態を表示するLCD表示部を持つ。
【0014】
以上に述べたようなコントローラの構成により、ホストコンピュータ101から受信した画像データや、スキャナ103でスキャンした画像データを、印刷出力したりすることが可能となっている。
【0015】
上記構成を持つMFPの操作部画面の表示例を図3に示す。
【0016】
ユーザはこの操作部を介してMFPに様々な指示を与えることが出来る。
【0017】
例えば「コピー」動作の場合であれば、「コピー」機能タブ301を押すことでコピー機能操作部画面が表示される。
【0018】
コピー機能操作部画面からは用紙サイズ選択や、ステイプル綴じの有無、などが指定可能である。ユーザが「用紙選択」キーを押した際に用紙サイズ一覧を表示させるためには、MFPコントローラは、用紙デッキモジュールと通信して、どのサイズの用紙カセットが装着されているかという情報を取得しなければならない。
【0019】
また、ユーザが「仕上げ」キーを押した際にステイプル綴じ位置を表示させるためには、MFPコントローラは、ステイプル機能モジュールと通信して、ステイプル機能が使用可能かどうかという情報を取得しなければならない。
【0020】
次に「ボックス」動作の場合、「ボックス」機能タブ302を押すことでボックス機能操作部画面が表示される。
【0021】
ボックス内にどの様な文書が保存されているのかを表示するために、MFPコントローラはHDDに格納されている全文書ファイルを確認し、どのボックスにどの文書ファイルが格納されているかという情報を取得しなければならない。
【0022】
「送信/ファックス」動作についても同様に、「送信/ファックス」機能タブ303を押すことで送信/ファックス機能操作部画面が表示される。
【0023】
MFPコントローラはNetWork送信モジュールやファックスモジュールと通信し、NetWork送信モジュールやファックスモジュールが使用可能な状態にあるかどうかという情報を取得している。
【0024】
この様に、MFPコントローラは、本体やMFPコントローラ内に装着されている様々な機能モジュールと通信を行い、またそれらの初期化を行うことで全ての機能が使用可能な状態となっている。
【0025】
通常、これらの処理は本体電源投入時に一括して行われる。
【0026】
電源投入時のコントローラのブートアップ処理シーケンスを図4に示す。
【0027】
コントローラに電源が投入されると、まず最初にBIOSの内容がCPUによりロードされる。続いてBIOSのプログラムに従ってOSのカーネルがロードされ、カーネル、及び各種デバイスドライバ類が初期化される。この時点でOSが立ち上がり、OS上で動作する各種アプリケーションプログラムのロード、初期化、並びに各種アクセサリ(MFPの給紙カセット、排紙フィニッシャー、FAXユニットなど)の情報取得や初期化が行われる。
【0028】
以上述べたように、必要なアプリケーションアプリケーションプログラムのロード、初期化、並びに各種アクセサリ(MFPの給紙カセット、排紙フィニッシャー、FAXユニットなど)の情報取得や初期化が完了して、初めてコピーやFAX等の機能が使用可能となる。
【0029】
従って例えば電源投入処理時間完了時に、操作部に「コピー」機能画面が表示される場合に、「コピー」機能画面を表示するのために必要な処理が「コピー機能のロード&初期化」及び「アクセサリ構成情報の取得&アクセサリ初期化」だけであったとしても、FAXやSEND、ボックス等、他の機能に関するプログラムのロード&初期化、及び「コピー」に関係しない機能モジュールの情報取得なども含め、全ての初期化処理が完了するまでは「コピー」機能の使用は出来なかった。
【0030】
これに類似の先行技術として、複数のプログラムと、複数のプログラムの順序を示す順序情報を持ち、順序情報に基づいてプログラムを読み込み、順序情報を変更した場合は、変更後の順序を順序情報として更新し、記録媒体に格納する構成を持つ装置が提案されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2000-021139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
特許文献1では、プログラムの読み込み順序は、記録媒体に記憶された順序情報に従って決められてしまうため、処理の順序が厳密に規定できるリアルタイム系のOSを採用した情報処理装置においてプログラムの実行順序を厳密に制御する用途には適している。
【0032】
一方、各プログラム(タスク)に対してCPUの処理時間を時分割(タイムシェアリング)して与え、同時に複数のタスクを実行可能な非リアルタイム系OSの場合、処理を行わなければならないタスクのみを指定すれば、タスクの実行順序を厳密に指定する必要が無い。
【0033】
このような非リアルタイム系OSにおいて、他のタスクに先立って実行しなければならないタスクのみ指定し、その順序までは指定しない構成について、先願では触れられていない。
【0034】
本発明では、順序情報は記録するのではなく、初期UI画面に必要な画面の構成情報を記録することでタイムシェアリングを行う非リアルタイム系OSを採用した情報処理装置においても最適な効果が得られるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を持つ。即ち
情報処理装置であって、
電源OFF時に前記操作部画面の構成情報をメモリに保持する手段と、
次回起動時は、前記メモリに保持された操作部画面の構成情報を基に前回電源OFF時直前の操作部画面表示と同じ操作部画面を表示する上で必要となる機能モジュールを、他の機能モジュールに先立って初期化する手段と、
次回起動時は、前記保持された操作部画面の構成情報を基に前回電源OFF時直前の操作部画面表示と同じ操作部画面を表示する上で必要となるアクセサリ情報を、他のアクセサリ情報に先立って取得する手段と、
を持つ。
【発明の効果】
【0036】
かかる構成において、本発明によれば、
タイムシェアリングを行う非リアルタイム系OSを採用した情報処理装置においても、電源投入から処理開始可能となるまでの時間を短縮出来る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0038】
本発明を適用した好適な実施例として、以下にコントローラ起動時のシーケンス図図1を参照しながら従来例のMFPと本発明との特徴的な差分について説明する。
【0039】
コントローラのハードウエア構成は、先に図2で述べた従来例のMFPと同じ構成であるため、各構成要素の説明はここでは省略する。
【0040】
また、操作部画面の表示例についても従来例と同じく図3に示す通りである。
【0041】
本発明における本体電源投入時のコントローラのブートアップ処理の概要を図2に示す。
【0042】
コントローラに電源が投入されると、まず最初にBIOSの内容がCPUによりロードされる。続いてBIOSのプログラムに従ってOSのカーネルがロードされ、カーネル、及び各種デバイスドライバ類が初期化される。この時点でOSが立ち上がり、OS上で動作する各種アプリケーションプログラムのロード、初期化、並びに各種アクセサリ(MFPの給紙カセット、排紙フィニッシャー、FAXユニットなど)の情報取得や初期化が行われる。
【0043】
ここまでの処理は従来例と同様であるが、本発明において特長的な構成は、初期操作部画面の表示に必要なアプリケーションプログラムのロード、初期化、並びに各種アクセサリ(MFPの給紙カセット、排紙フィニッシャー、FAXユニットなど)の情報取得や初期化を、他のアプリケーションプログラムのロード、初期化、並びに各種アクセサリ(MFPの給紙カセット、排紙フィニッシャー、FAXユニットなど)の情報取得や初期化に先立って行う点にある。
【0044】
例えば電源投入処理時間完了時に、操作部に「コピー」機能画面が表示される場合に、「コピー」機能画面を表示するのために必要な処理が「コピー機能のロード&初期化」及び「アクセサリ構成情報の取得&アクセサリ初期化」だけであれば、FAXやSEND、ボックス等、他の機能に関するプログラムのロード&初期化、及び「コピー」に関係しない機能モジュールの情報取得などは後回しにされる。
【0045】
この様に初期操作部画面の表示が「コピー」機能であった場合は、「コピー」機能の画面表示に必要なプログラムのロード&初期化、アクセサリ類の情報取得等を他の処理に先立って行うことで、「コピー」機能が開始できる時期、すなわち「コピー」機能に関するコントローラスタンバイ完了状態になるまでの時間を短縮することが可能となる。
【0046】
[産業上の利用可能性]
本発明は、情報処理装置起動時の操作部画面構成情報取得の仕方に関するものであり、MFPに限らず操作部表示画面を持つあらゆる情報処理装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明におけるコントローラのブートアップシーケンスの概要を示した図である。
【図2】従来例、及び本発明を適用したMFPのコントローラブロック図である。
【図3】従来例、及び本発明を適用したMFPの操作部画面の例である。
【図4】従来のコントローラのブートアップシーケンスの概要を示した図である。
【符号の説明】
【0048】
100 コントローラ
101 ホストコンピュータ
102 ホストI/F部
103 スキャナ
104 スキャナI/F部
105 CPU
106 ROM
107 ROMコントローラ
108 RAM
109 RAMコントローラ
110 エンジンI/F部
111 プリンタエンジン
112 内部バス
113 不揮発性メモリ
118 HDD
119 操作部
301 「コピー」機能タブ
302 「ボックス」機能タブ
303 「送信/FAX」機能タブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源OFF時に前記操作部画面の構成情報をメモリに保持する手段と、
次回起動時は、前記メモリに保持された操作部画面の構成情報を基に前回電源OFF時直前の操作部画面表示と同じ操作部画面を表示する上で必要となる機能モジュールを、他の機能モジュールに先立って初期化する手段と、
次回起動時は、前記保持された操作部画面の構成情報を基に前回電源OFF時直前の操作部画面表示と同じ操作部画面を表示する上で必要となるアクセサリ情報を、他のアクセサリ情報に先立って取得する手段と
を持つことを特徴とした情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−278245(P2009−278245A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125967(P2008−125967)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】