説明

情報処理装置

【課題】大きな電源装置を必要とすることなく、これにより低コスト化及び低消費電力化を図り得る。
【解決手段】情報信号を記憶するメモリ部と、このメモリ部に対する信号処理を実行する信号処理部と、起動時にメモリ部及び信号処理部に対し電源を供給する電源供給部とを有する複数のストレージ部と、これら複数のストレージ部それぞれの信号処理を統括的に制御する制御部と、複数のストレージ部それぞれの起動時からの電源供給タイミングをストレージ部毎に異ならせる電源供給制御手段とを備えた情報処理装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばNANDフラッシュメモリを用いた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、放送局にあっては、放送番組の送出素材を予め格納しておき、自動番組送出制御装置(APC)からの指示に従って該当する素材を再生するビデオサーバが使用されている。このビデオサーバには、複数のNANDフラッシュメモリが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−11657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電源投入時、NANDフラッシュメモリは自己イニシャライズ時に通常時より数倍から10倍の電流(数十mA)が短時間に流れる。ストレージメモリでは多数のNANDフラッシュメモリを搭載するので、100個を超えるものでは数A(アンペア)が短時間で流れ、大きな突入電流となる。このストレージメモリを多数実装する装置では電源部の負荷が大きくなる。
【0005】
本発明の目的は、大きな電源装置を必要とすることなく、これにより低コスト化及び低消費電力化を図り得る情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、情報信号を記憶するメモリ部と、このメモリ部に対する信号処理を実行する信号処理部と、起動時にメモリ部及び信号処理部に対し電源を供給する電源供給部とを有する複数のストレージ部と、これら複数のストレージ部それぞれの信号処理を統括的に制御する制御部と、複数のストレージ部それぞれの起動時からの電源供給タイミングをストレージ部毎に異ならせる電源供給制御手段とを備えた情報処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本第1の実施形態とする情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記図1に示した起動順序発生部の具体的構成を示すブロック図である。
【図3】以前の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】同第1の実施形態における複数のストレージ部への電源供給タイミングを説明するために示す図である。
【図5】本第2の実施形態とする情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図6】上記図5に示した電源イネーブル部の具体的構成を示すブロック図である。
【図7】同第2の実施形態における複数のストレージ部への電源供給タイミングを説明するために示す図である。
【図8】本第3の実施形態とする情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本第1の実施形態とする情報処理装置の構成を示すブロック図である。ここでは、情報処理装置をビデオサーバとして使用でき、また他のコンピュータ装置としても使用できる。
【0010】
図1において、情報処理装置は、n個のストレージ部11−1〜11−nを備え、これらストレージ部11−1〜11−nを電源装置2に並列に接続している。ストレージ部11−1〜11−nは、メモリ部111−1〜111−nと、コントローラ112−1〜112−nと、電源部113−1〜113−nとを備えている。
【0011】
メモリ部111−1〜111−nは、データやファイルといった情報信号を格納するものである。コントローラ112−1〜112−nは、例えば3.3[v]、2.5[v]、1.2[v]のうちのいずれか1つのモードでメモリ部111−1〜111−nに対する信号処理を実行させるものである。この信号処理としては、メモリ部111−1〜111−nへの情報信号の書き込みや読み出し等も含まれる。
【0012】
電源部113−1〜113−nは、電源装置2から送られてくる電流x[A]に基づいてメモリ部111−1〜111−n及びコントローラ112−1〜112−nに対し電源を投入するものである。
【0013】
また、ストレージ部11−1〜11−nには、メモリコントローラ3が接続される。メモリコントローラ3は、ホストコントローラ31と、起動順序発生部32とを備えている。ホストコントローラ31は、コントローラ112−1〜112−nによる信号処理を統括的に制御する。
【0014】
起動順序発生部32は、図2に示すように、カウンタ321及びデコーダ322を使用して、ストレージ部11−1〜11−nそれぞれの起動時からの電源供給タイミングをストレージ部毎に異ならせる。
【0015】
次に、上記構成における運用について説明する。
従来は、図3に示すように、装置の電源投入時、ストレージ部1−1〜1−nの電源投入が同時であるため、各ストレージ部1−1〜1−nの自己イニシャライズによる電流をxとするとx*n[A]となり、電源部の負荷が大きくなる。
【0016】
そこで、本第1の実施形態では、メモリコントローラ3に設けられる起動順序発生部32により、ストレージ部11−1〜11−nそれぞれの起動時からの電源供給タイミングをストレージ部毎に異ならせるようにした。
【0017】
電源装置2をONすると、起動順序発生部32が図4に示すタイミングでL1〜Lnの信号を発生させ、それぞれ対応したストレージ部11−1〜11−nに伝わる。ストレージ部11−1はL1信号の信号レベルがL→Hに上がると自己イニシャライズを開始し、自己イニシャライズ期間taより長いt秒後にL2信号の信号レベルがL→Hに上がり、ストレージ部11−2の自己イニシャライズが開始される。以降同様にLnまで繰り返される。
【0018】
このとき、カウンタ321は、taまでカウントし、カウンタ値がtaになった時点でデコーダ322によりL1信号を生成してストレージ部11−1に出力する。そして、デコーダ322がLn信号を出力すると、Ln信号はストレージ11−nに供給されるとともに、OR回路323に供給される。すると、OR回路323は、カウンタ321を停止させた状態を保持する。
【0019】
上記のように、ストレージ部11−1が自己イニシャライズ中に以降のストレージ部11−2〜11−nが自己イニシャライズされないことにより、ta秒間はストレージ部11−1に自己イニシャライズ用の電流X[A]しか流れず、以降も同様に、各ストレージ部11−2〜11−nが順々にX[A]ずつ流れるので、これを超えることはない。
【0020】
以上のように上記第1の実施形態では、電源投入時に、メモリコントローラ3に設けられる起動順序発生部32により、複数のストレージ部11−1〜11−nに対する電源投入を順番に行うようにしているので、自己イニシャライズによる電流はx[A]で済むことになる。このため、電源装置2の負荷を低減でき、大きな電源装置を必要としないので、低コスト化と低消費電力化が図れる。
【0021】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、ストレージ部がカード実装のとき、バックプレーンのスロット番号に対応したスロットIDを電源イネーブル部に入力し、電源イネーブル部ではスロットIDをカウンタのロード値とすると、スロットIDがユニークであるため、カウンタの終了タイミングがそれぞれ異なることを利用する。
【0022】
図5は、本第2の実施形態とする情報処理装置の構成を示すブロック図である。なお、図5において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0023】
電源装置2には、n個のストレージ部51−1〜51−nを並列に接続している。ストレージ部51−1〜51−nは、メモリ部511−1〜511−nと、コントローラ512−1〜512−nと、電源部513−1〜513−nと、電源イネーブル部514−1〜514−nとを備えている。また、n個のストレージ部51−1〜51−nは、メモリコントローラ6のホストコントローラ61によりn個のストレージ部51−1〜51−nの信号処理を統括的に制御する。
【0024】
電源イネーブル部514−1〜514−nは、図6に示すように、カウンタ71とイネーブル信号発生部72とにより構成される。カウンタ71は、ストレージ部51−1に割り当てられるスロットID81−1をロード値としてカウントする。イネーブル信号発生部72は、このロード値に基づいて電源部513−1を制御する。
【0025】
次に、上記構成における動作について説明する。
電源イネーブル部514−1〜514−nは、図7に示すように、上記カウンタ71の終了タイミングをイネーブル信号E1〜Enとして、ストレージ部51−1〜51−n内の電源部513−1〜513−nに出力する。この信号を受信すると電源部513−1〜513−nが動作する。
【0026】
このように、すべてのストレージ部51−1〜51−nの自己イニシャライズ期間が同時になることはなく、順々に自己イニシャライズできるので、電流地はX[A]を越えることはない。
【0027】
なお、電源イネーブル部514−1〜514−nには独立した電源を持たせ、電源装置2がONしたときに起動するようにしておく。
【0028】
以上のように上記第2の実施形態では、各ストレージ部51−1〜51−nに割り当てられるスロットID81−1〜81−nを利用して、複数のストレージ部51−1〜51−nに対する電源供給タイミングを異ならせることができるので、メモリコントローラ6の処理負荷が軽減される。
【0029】
(第3の実施形態)
図8は、本第3の実施形態とする情報処理装置の構成を示すブロック図である。なお、図8において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0030】
電源装置2には、n個のストレージ部91−1〜91−nを並列に接続している。ストレージ部91−1〜91−nは、メモリ部911−1〜911−nと、コントローラ912−1〜912−nと、第1の電源部913−1〜913−nと、第2の電源部914−1〜914−nと、CPU915−1〜915−nとを備えている。
【0031】
第1の電源部913−1〜913−nは、電源装置2から送られてくる電流x[A]に基づいてコントローラ912−1〜912−n及びCPU915−1〜915−nに対し電源を投入するものである。第2の電源部914−1〜914−nは、電源装置2から送られてくる電流x[A]に基づいてメモリ部911−1〜911−nに対し電源を投入するものである。
【0032】
また、第2の電源部914−1〜914−nは、起動順序発生部32により電源供給タイミングが制御される。
【0033】
次に、上記構成における動作について説明する。
電源装置2をONすると、起動順序発生部32がL1〜Lnの信号を発生させ、それぞれ対応したストレージ部91−1〜91−nに伝わる。ストレージ部91−1はL1信号の信号レベルがL→Hに上がると自己イニシャライズを開始し、自己イニシャライズ期間taより長いt秒後にL2信号の信号レベルがL→Hに上がり、ストレージ部91−2の自己イニシャライズが開始される。以降同様にLnまで繰り返される。
【0034】
このとき、カウンタ321は、taまでカウントし、カウンタ値がtaになった時点でデコーダ322によりL1信号を生成してストレージ部91−1に出力する。そして、デコーダ322がLn信号を出力すると、Ln信号はストレージ91−nに供給されるとともに、OR回路323に供給される。すると、OR回路323は、カウンタ321を停止させた状態を保持する。
【0035】
以上のように上記第3の実施形態では、メモリコントローラ3の起動順序発生部32により、ストレージ部91−1〜91−nのメモリ部911−1〜911−nのみ電源の供給制御を行うようにしているので、コントローラ912−1〜912−n及びCPU915−1〜015−nに対しては第1の電源供給部913−1〜913−nにより電源を供給したままにしておくことにより、装置全体の起動立ち上げを短くできる。
【0036】
(その他の実施形態)
上記第2の実施形態において、上記第3の実施形態の構成としてもよい。
【0037】
その他、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0038】
2…電源装置、3…メモリコントローラ、11−1〜11−n…ストレージ部、31…ホストコントローラ、32…起動順序発生部、111−1〜111−n…メモリ部、112−1〜112−n…コントローラ、113−1〜113−n…電源部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報信号を記憶するメモリ部と、このメモリ部に対し信号処理を実行する信号処理部と、起動時に前記メモリ部及び前記信号処理部に対し電源を供給する電源供給部とを有する複数のストレージ部と、
これら複数のストレージ部それぞれの信号処理を統括的に制御する制御部と、
前記複数のストレージ部それぞれの起動時からの電源供給タイミングを前記ストレージ部毎に異ならせる電源供給制御手段とを具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記電源供給制御手段は、前記制御部に設けられ、前記複数のストレージ部のうち第1のストレージ部の電源供給部を制御して前記メモリ部及び前記信号処理部に対し電源を供給させた後、前記第2のストレージ部の電源供給部を制御して前記メモリ部及び前記信号処理部に対し電源を供給させることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記電源供給制御手段は、前記複数のストレージ部それぞれに設けられるカウンタから成り、前記複数のストレージ部それぞれに割り当てられ互いに異なるスロットIDをカウンタのロード値とし、このロード値に基づいて前記電源供給部を制御することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報信号を記憶するメモリ部と、このメモリ部に対する信号処理を実行する信号処理部と、起動時に前記メモリ部に対し電源を供給する第1の電源供給部と、前記信号処理部に対し電源を供給する第2の電源供給部とを有する複数のストレージ部と、
これら複数のストレージ部それぞれの信号処理を統括的に制御する制御部と、
前記複数のストレージ部それぞれの前記第1の電源供給部による電源供給タイミングを前記ストレージ部毎に異ならせる電源供給制御手段とを具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
前記電源供給制御手段は、前記制御部に設けられ、前記複数のストレージ部のうち第1のストレージ部の第1の電源供給部を制御して前記メモリ部に対し電源を供給させた後、前記第2のストレージ部の第1の電源供給部を制御して前記メモリ部に対し電源を供給させることを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記電源供給制御手段は、前記複数のストレージ部それぞれに設けられるカウンタから成り、前記複数のストレージ部それぞれに割り当てられ互いに異なるスロットIDをカウンタのロード値とし、このロード値に基づいて前記第1の電源供給部を制御することを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−64056(P2012−64056A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208605(P2010−208605)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】