説明

情報提供システム、データ処理装置、方法、プログラム及び記録媒体

【課題】車道有効幅員を算出する情報提供システム、データ処理装置、方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】ユーザ端末と、記憶装置と、画像データ入力装置と、データ処理装置と、がネットワークを介して接続され、データ処理装置は、画像データ入力装置から入力された画像データと、記憶装置から取得した地理情報と、に基づき、画像データに撮像されている道路の車道有効幅員を予め算出する車道有効幅員算出手段と、ユーザ端末から取得したユーザの位置情報と、ユーザの車両の車幅を含むユーザ情報と、車道有効幅員と、に基づき、車両通行判定を行う情報処理手段と、を備え、ユーザ端末は、自身の位置情報を取得する手段と、位置情報とユーザ情報とをデータ処理装置に送信する送信手段と、データ処置装置から提供された情報処理手段の判定結果を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム、データ処理装置、方法、プログラム及び記録媒体に関し、特に車道有効幅員を算出する情報提供システム、データ処理装置、方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在地から目的地までの経路や所要時間を運転者等の利用者に案内する経路案内システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる経路案内システムでは、気象情報、工事・規制情報(通行止め等)、交通量データなどの事象に基づいて適切な案内表示を行い、また、各種データを表示することで、経路や所要時間以外の様々な情報も合わせて一覧で案内できる。
【0003】
また、経路案内等の運転支援及び車両制御を安全・安心に行うための基礎情報として、道路地図の正確さが重要になってくる。そこで、道路を含む画像データから線分を抽出し、抽出した線分から道路エリアの線分を抽出し、道路の車道外側線を取得して道路データを生成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−58982号公報
【特許文献2】特開2008−170611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような技術には、以下の問題点がある。
【0006】
特許文献1記載の経路案内システムではサービスエリア、道の駅、観光地のような特定の地点に設置された情報提供用の端末をユーザが利用する形態をとっており、ユーザは端末設置地点に居る場合のみ情報提供を受けることができる。また、サービスを利用するために順番待ちなどによる待ち時間が発生する可能性がある。
【0007】
また、経路案内システムにおいて、経路や所要時間以外の様々な情報も表示され得るが、気象情報、工事・規制情報に特化しており、事故や渋滞の原因となりうる情報は殆ど提供されていなかった。特に、冬季の積雪地域においては積雪により車道有効幅員が減少する。車道有効幅員の減少により事故や渋滞が多発するが、車道有効幅員の情報は、現地に赴き測定するか、目視で判断するのみであった。
【0008】
なお、特許文献2記載の道路データ生成方法は、車道外側線など道路上にペイントされた実線を利用した車道有効幅員の取得方法であるため、道路上にペイントされた実線が覆われた状態の道路の車道有効幅員の取得は不可能である。従って、例えば雪に覆われ、車道有効幅員が減少した状態の道路や、土砂等の障害物によって通行困難な状態の道路の車道有効幅員の取得は不可能である。
【0009】
このように、車道有効幅員は天候によって変化するが、ドライバーは事前に車道有効幅員を知ることが出来ないため、安全な通行に支障のある道路に進入し、車両同士の接触事故や平均旅行速度の低下による交通渋滞が多発するという問題があった。また、降雪地域で車を運転する上で必要となる天気、路面状態、冬季閉鎖区間などの情報を、必要なときにまとめて入手することが出来ないという問題もあった。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、車道有効幅員を算出して事前にユーザに提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る情報提供システムは、ユーザ端末と、記憶装置と、画像データ入力装置と、データ処理装置と、がネットワークを介して接続され、前記データ処理装置は、前記画像データ入力装置から入力された画像データと、前記記憶装置から取得した地理情報と、に基づき、前記画像データに撮像されている道路の車道有効幅員を予め算出する車道有効幅員算出手段と、前記ユーザ端末から取得したユーザの位置情報と、前記ユーザの車両の車幅を含むユーザ情報と、前記車道有効幅員と、に基づき、車両通行判定を行う情報処理手段と、を備え、前記ユーザ端末は、自身の位置情報を取得する手段と、前記位置情報と前記ユーザ情報とを前記データ処理装置に送信する送信手段と、前記データ処置装置から提供された前記情報処理手段の判定結果を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るデータ処理装置は、ユーザ端末と、記憶装置と、画像データ入力装置と、データ処理装置と、がネットワークを介して接続された情報提供システムにおける前記データ処理装置であって、前記画像データ入力装置から入力された画像データと、前記記憶装置から取得した地理情報と、に基づき、前記画像データに撮像されている道路の車道有効幅員を予め算出する車道有効幅員算出手段と、前記ユーザ端末から取得したユーザの位置情報と、前記ユーザの車両の車幅を含むユーザ情報と、前記車道有効幅員と、に基づき、車両通行判定を行う情報処理手段と、を備え、前記車両通行判定の結果は、前記ユーザ端末に提供されることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るデータ処理方法は、ユーザ端末と、記憶装置と、画像データ入力装置と、データ処理装置と、がネットワークを介して接続された情報提供システムにおける前記データ処理装置のデータ処理方法であって、前記画像データ入力装置から入力された画像データと、前記記憶装置から取得した地理情報と、に基づき、前記画像データに撮像されている道路の車道有効幅員を予め算出するステップと、前記ユーザ端末から取得したユーザの位置情報と、前記ユーザの車両の車幅を含むユーザ情報と、前記車道有効幅員と、に基づき、車両通行判定を行うステップと、を備え、前記車両通行判定の結果は、前記ユーザ端末に提供されることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るデータ処理プログラムは、ユーザ端末と、記憶装置と、画像データ入力装置と、データ処理装置と、がネットワークを介して接続された情報提供システムにおける前記データ処理装置のデータ処理プログラムであって、前記画像データ入力装置から入力された画像データと、前記記憶装置から取得した地理情報と、に基づき、前記画像データに撮像されている道路の車道有効幅員を予め算出する処理と、前記ユーザ端末から取得したユーザの位置情報と、前記ユーザの車両の車幅を含むユーザ情報と、前記車道有効幅員と、に基づき、車両通行判定を行う処理と、をコンピュータに実行させ、前記車両通行判定の結果は、前記ユーザ端末に提供されることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る記録媒体は、上記本発明に係るデータ処理プログラムの処理を記録するコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車道有効幅員を算出して事前にユーザに提示することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る情報提供システムの全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車道有効幅員を算出する際の動作処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る情報提供システムの動作処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0019】
本明細書において、車道有効幅員情報とは、画像データから算出された、実際に車両が通行可能な車道の幅である。本実施形態は、車道有効幅員情報や、関連する地理情報の提供を行う。
【0020】
(構成)
図1は、本実施形態に係る情報提供システムの全体構成図である。画像データ入力装置1と、プログラムによって動作するデータ処理装置2と、情報を記憶する記憶装置3と、ユーザが利用するユーザ端末4と、から構成される。
【0021】
本実施形態に係る情報提供システムにおいては、少なくとも、画像データ入力装置1 ― データ処理装置2間、データ処理装置2 ― 記憶装置3間、データ処理装置2― ユーザ端末4間について、インターネット等のネットワークで相互に接続される。また、データの送受信もネットワークを利用して行われる。
【0022】
記憶装置3は、地理情報記憶部31と、車道有効幅員情報記憶部32と、道路交通情報記憶部33と、気象情報記憶部34と、を備えている。
【0023】
地理情報記憶部31は、道路座標などの情報を有する数値地図を記憶する。この情報は、国土交通省国土地理院や財団法人地図協会などが提供する情報を利用し、定期的に地理情報記憶部31の情報を更新して最新の状態を維持する。
【0024】
車道有効幅員情報記憶部32は、後述するデータ処理装置2が備える車道有効幅員算出部22によって算出された車道有効幅員情報を記憶する。この情報は、画像データが入力されるたびに車道有効幅員が算出され、算出結果を車道有効幅員情報記憶部32に蓄積する。
【0025】
道路交通情報記憶部33は、路面状態、冬季閉鎖区間、渋滞などの情報を有する道路交通情報を記憶する。この情報は、日本道路交通情報センター(JARTIC)などが提供する情報を利用し、定期的(JARTIC の場合は五分間隔)に道路交通情報記憶部33の情報を更新して最新の状態を維持する。
【0026】
気象情報記憶部34は、天気、降雪量、積雪量などの情報を有する気象情報を記憶する。この情報は、財団法人日本気象協会や株式会社ウェザーニュースなどが提供する情報を利
用し、定期的に気象情報記憶部34の情報を更新して最新の状態を維持する。
【0027】
画像データ入力装置1は、画像データ提供者が画像データを入力する画像データ入力部11と、入力された画像データをデータ処理装置2が備える道路座標取得部21にネットワークを介して提供する画像データ提供部12とを備えている。
【0028】
画像データ入力装置1に入力される画像データは、交通事故等の緊急事態の場合は、発生時直後の画像データが必要になる。降雪地域の道路幅員を測定するという用途であれば、一週間または二週間に一度の更新頻度でも良い。数日で道路有効幅員が数十センチ増加ないし減少することはあまり想定できないためである。
【0029】
画像データは、衛星画像を利用しても良い。衛星の場合、同じ地点をどれくらいの間隔で撮像できるか(画像データの更新頻度)は、衛星の周回軌道に左右される。例えばIKONOSの場合、同じ地点を撮影するのは最高で一日一回である。静止軌道衛星(ひまわりなど)であれば、地球の自転と同じ周期で公転するため同じ地点の画像を取り続けることができるが、静止軌道上は衛星が多く、過密地帯となっているため新規打ち上げは難しい。そこで、衛星を複数あげることで同じ地点を一日に数回撮影することも可能である。いずれにしても、本実施形態においては、画像データ入力装置1に最新の画像データが定期的に、さらには緊急事態発生時に、入力されていれば良い。
【0030】
データ処理装置2は、道路座標取得部21と、車道有効幅員算出部22と、情報検索部23と、情報処理部24と、を備えている。
【0031】
道路座標取得部21は、画像データ入力装置1から取得した画像データを基にして、車道有効幅員を算出する画像データ上の位置を特定できる道路座標および住所等の関連情報を、記憶装置3が備える地理情報記憶部31が有する数値地図から取得する。
【0032】
車道有効幅員算出部22は、道路座標取得部21で特定した道路座標を基に、画像データから、雪や土砂などの障害物を判別し、車両が通行可能である車道有効幅員を算出する。
【0033】
また、算出結果および住所等の関連情報を記憶装置2が備える車道有効幅員情報記憶部32に記憶する。
【0034】
情報検索部23は、後述するユーザ端末4から座標や地域などの位置情報を取得し、位置情報をキーにして、記憶装置3が備える車道有効幅員情報記憶部32、道路交通情報記憶部33、気象情報記憶部34から各種情報を検索する。
【0035】
情報処理部24は、情報検索部23にて検索した情報を基に、車両通行判定や渋滞予測などを行い、車道有効幅員、周辺の道路交通情報、気象情報と併せて、ユーザ端末4へ送信する。
【0036】
車道有効幅員情報・道路交通情報・気象情報は、それぞれ情報の提供元や情報の更新頻度が異なるため、時間的なずれが生じる場合がある。時間のずれをユーザに認識してもらうために、各種情報を出力する際に、情報取得時刻を明記しても良い。
【0037】
ユーザ端末4は、位置情報及びユーザ情報をデータ処理装置2に送信する機能と、データ処理装置2から提供された処理結果(車両通行判定結果など)を表示部等の画面に表示する機能を備えている。位置情報とは、ユーザによって指定された地域または、GPS(Global Positioning Systems)機能を用いて特定したユーザ端末4自身の位置座標である。
【0038】
(動作処理)
次に、本実施形態に係る情報提供システムの動作処理について図2及び図3を用いて説明する。図2及び図3は、本実施形態の動作処理を示すフローチャートである。本実施形態では、例として、北海道の衛星画像データから車道有効幅員を算出し、北海道札幌市の車道有効幅員等の情報をユーザ端末4に出力する場合について説明する。なお、本実施形態で画像データとして利用する衛星画像は、同じ地点の画像を最大で一日に一度撮影でき、撮影周期は衛星の周回軌道に左右されるものである。また、本実施形態に係る情報提供システムは、カーナビゲーション等の経路案内システムに適用しても良い。
【0039】
〔車道有効幅員の算出〕
北海道を撮影した衛星画像が、予め画像データ提供者によって画像データ入力装置1に入力される。
【0040】
車道有効幅員を算出するための情報は、道路座標取得部21が備える地理情報記憶部31から取得する。
【0041】
まず、データ処理装置2が備える道路座標取得部21は、画像データ入力装置1から画像データを取得する(図2のステップA1)。
【0042】
次に、画像データの撮影範囲を特定し、座標を算出する(ステップA2)。これにより、入力された画像データは北緯42度〜44度、東経140度〜145度を撮影したものであると特定される。
【0043】
ステップA2で求めた座標をもとに、地理情報記憶部31が有する数値地図から、画像範囲内に存在する道路座標ならびに住所を取得する(ステップA3)。
【0044】
画像の座標とステップA3で取得した道路座標が一致する地点の画像を分析し、車道有効幅員算出部22は、画像に写された道路の車道有効幅員を算出する(ステップA4)。これにより、入力した画像(北緯42度〜44度、東経140度〜145度)に写された道路の車道有効幅員が求まる。
【0045】
ステップA4で算出された車道有効幅員、座標、住所を車道有効幅員記憶部32に記憶する(ステップA5)。
【0046】
なお、車道有効幅員は、衛星画像等の画像データと道路座標とから算出するが、さらに気象データによる積雪情報や、道路工事、交通事故等の道路交通情報に基づいて、車道有効幅員を算出しても良い。
【0047】
〔車両通行判定等〕
次に、車幅1.7mの乗用車に乗るユーザが、ユーザ端末4から、北海道札幌市の情報を要求したとする。情報検索部23は、ユーザ端末4から取得した位置座標またはキーワードなどの位置情報に基づき、記憶装置3の各記憶部を検索する。
【0048】
データ処理装置2は、ユーザ端末4から位置情報ならびにユーザ情報を取得する(図3のステップB1)。ユーザ情報は、ユーザが運転する車の車幅の情報等を含む。
【0049】
次に、車道有効幅員記憶部32から車道有効幅員ならびに住所を検索する(ステップB2)。「住所」とは、車道が通っている地点の住所である。ユーザ端末4から取得する位置情報は、座標やキーワード等であり、正確な住所ではないため、ここで住所を取得することにより、後に車両通行判定結果等をユーザ端末に表示する際に、判定した車道の住所を表示することが可能となる。
【0050】
次に、道路交通情報記憶部33から路面状態、冬季閉鎖区間、渋滞情報などの情報を検索する(ステップB3)。
【0051】
さらに、気象情報記憶部34から、天気、降雪量、積雪量などの情報を検索する(ステップB4)。
【0052】
情報検索部23は、上述したように、車道有効幅員や、道路交通情報、気象情報の検索を行うが、例えば、ユーザ情報に含まれている目的地情報やユーザ位置情報を参照し、現在のユーザ位置周辺の他、目的地までの経路周辺の車道有効幅員や、道路交通情報、気象情報を検索することも可能である。
【0053】
情報処理部24は、ユーザ端末4から取得したユーザ情報と情報検索部23から得た検索結果とに基づき、車両通行判定や渋滞予測などの追加情報の作成、ならびにデータ送信を行う。
【0054】
車両通行判定(ステップB5)は、ユーザが運転する車の車幅の情報と、車道有効幅員情報とに基づき、「通行可能」「通行に注意が必要」「通行不可」などの判定を行う。したがって、車幅1.7mの車両に対しては「通行可能」、2.1mの車両に対しては「通行不可」というように、同じ時間であってもユーザが運転する車種によって、判定結果が異なる。
【0055】
渋滞予測(ステップB6)は、情報検索部23が受信した要求の受信数と、要求内容と、渋滞情報を用いて交通量の増加量を推測し、推測値と、交通量や旅行速度などの情報を用いて渋滞予測を行う。
【0056】
ステップB5やB6の処理結果をユーザ端末4に送信する(ステップB7)。ユーザ端末4は受信した情報を画面に出力する。
【0057】
これにより、ユーザはユーザ端末4を利用することによって、北海道札幌市内の車道有効幅員、車両通行可否および渋滞予測情報をはじめとした道路交通情報、気象情報を得ることができる。
【0058】
上記実施形態により、冬季の積雪地域での交通事故件数の減少および交通渋滞の緩和が期待できる。車道有効幅員ならびに車両通行可否の情報を提供することにより、ドライバー(ユーザ)は車幅と車道有効幅員を考慮して通行が困難である道路を含む道程を避けることが出来るからである。
【0059】
また、ドライバーが必要とする情報を入手するためにかかる時間の削減が期待できる。車道幅員情報、道路交通情報ならびに気象情報等の情報を一括して提供することにより、ドライバーは情報の検索を一度行えば必要とする情報をすべて入手することができるからである。
【0060】
また、ユーザが個々に所持して使用するGPS機能を備えた情報提供用のユーザ端末で、本実施形態に係る車道有効幅員等の情報を提供するため、ユーザは移動中や任意の地点でも情報提供を受けることができる。さらに、個人所有の端末を利用するため、特許文献1記載の経路案内システムとは異なり、サービスを利用するための待ち時間が発生しない。なお、ユーザ端末として携帯電話機やカーナビゲーションシステムなど既存の製品を利用しても良い。
【0061】
以上説明したように、本実施形態は、画像データから降雪などにより動的に変化する車道有効幅員を算出し、ユーザが要求する位置情報を基に周辺の道路交通情報および気象情報の検索と、検索した情報やユーザ固有の情報(車の車幅など)を基に車両通行判定などを行い、それらの情報をユーザに提供する。これによって、特に冬季積雪地域においてユーザはより安全な車両運転を行うことが出来るようになり、積雪が原因の車道有効幅員減少によって起こる事故や交通渋滞を緩和することができるようになる。
【0062】
(他の実施形態)
上記実施形態では、車両が通行可能である車道有効幅員を算出することを目的としているが、その他、データ処理装置2が備える車道幅員算出部22では、車道、歩道、車道と歩道を含めた道路の幅員および有効幅員の算出も可能である。
【0063】
また、本発明は、衛星写真から車道有効幅員を算出し、車道有効幅員を含む情報(以下、情報と称す)を提供する用途に適用できる。特に、降雪地域における、冬季の車道有効幅員の算出と情報の提供、および災害発生地域における道路有効幅員の算出と関連情報の提供に適用できる。
【0064】
なお、上述した各実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記各実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において当業者が上記各実施形態の修正や代用を行い、種々の変更を施した形態を構築することが可能である。
【0065】
例えば、上述した実施形態における制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0066】
なお、ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムが格納されているROMから、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリ(RAM)にプログラムを読み込んで実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0067】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気ディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスク、MO(Magneto optical)ディスク等の光磁気ディスクなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。
【0068】
このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。
【0069】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送したりし、コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【0070】
また、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【0071】
また、上記実施形態で説明したシステムは、複数の装置の論理的集合構成にしたり、各装置の機能を混在させたりするように構築することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 画像データ入力装置
2 データ処理装置
3 記憶装置
4 ユーザ端末
11 画像データ入力部
12 画像データ提供部
31 地理情報記憶部
32 車道有効幅員情報記憶部
33 道路交通情報記憶部
34 気象情報記憶部
21 道路座標取得部
22 車道有効幅員算出部
23 情報検索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末と、記憶装置と、画像データ入力装置と、データ処理装置と、がネットワークを介して接続され、
前記データ処理装置は、
前記画像データ入力装置から入力された画像データと、前記記憶装置から取得した地理情報と、に基づき、前記画像データに撮像されている道路の車道有効幅員を予め算出する車道有効幅員算出手段と、
前記ユーザ端末から取得したユーザの位置情報と、前記ユーザの車両の車幅を含むユーザ情報と、前記車道有効幅員と、に基づき、車両通行判定を行う情報処理手段と、を備え、
前記ユーザ端末は、
自身の位置情報を取得する手段と、
前記位置情報と前記ユーザ情報とを前記データ処理装置に送信する送信手段と、
前記データ処置装置から提供された前記情報処理手段の判定結果を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
前記記憶装置は、前記車道有効幅員算出手段が予め算出した車道有効幅員情報を記憶し、
前記データ処理装置は、前記ユーザの位置情報に基づき、前記車両通行判定を行うための車道有効幅員情報を前記記憶装置から検索して取得する車道有効幅員情報検索手段を備えることを特徴とする請求項1記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記記憶装置は、道路交通情報を記憶し、
前記データ処理装置は、前記記憶装置から前記位置情報周辺の道路交通情報を検索する道路交通情報検索手段を備え、
前記ユーザ端末が備える表示手段は、前記データ処理装置から提供された、前記検索した道路交通情報を表示することを特徴とする請求項1又は2記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記記憶装置は、気象情報を記憶し、
前記データ処理装置は、前記記憶装置から前記位置情報周辺の気象情報を検索する気象情報検索手段を備え、
前記ユーザ端末が備える表示手段は、前記データ処理装置から提供された、前記検索した気象情報を表示することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の情報提供システム。
【請求項5】
ユーザ端末と、記憶装置と、画像データ入力装置と、データ処理装置と、がネットワークを介して接続された情報提供システムにおける前記データ処理装置であって、
前記画像データ入力装置から入力された画像データと、前記記憶装置から取得した地理情報と、に基づき、前記画像データに撮像されている道路の車道有効幅員を予め算出する車道有効幅員算出手段と、
前記ユーザ端末から取得したユーザの位置情報と、前記ユーザの車両の車幅を含むユーザ情報と、前記車道有効幅員と、に基づき、車両通行判定を行う情報処理手段と、を備え、
前記車両通行判定の結果は、前記ユーザ端末に提供されることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
ユーザ端末と、記憶装置と、画像データ入力装置と、データ処理装置と、がネットワークを介して接続された情報提供システムにおける前記データ処理装置のデータ処理方法であって、
前記画像データ入力装置から入力された画像データと、前記記憶装置から取得した地理情報と、に基づき、前記画像データに撮像されている道路の車道有効幅員を予め算出するステップと、
前記ユーザ端末から取得したユーザの位置情報と、前記ユーザの車両の車幅を含むユーザ情報と、前記車道有効幅員と、に基づき、車両通行判定を行うステップと、を備え、
前記車両通行判定の結果は、前記ユーザ端末に提供されることを特徴とするデータ処理方法。
【請求項7】
ユーザ端末と、記憶装置と、画像データ入力装置と、データ処理装置と、がネットワークを介して接続された情報提供システムにおける前記データ処理装置のデータ処理プログラムであって、
前記画像データ入力装置から入力された画像データと、前記記憶装置から取得した地理情報と、に基づき、前記画像データに撮像されている道路の車道有効幅員を予め算出する処理と、
前記ユーザ端末から取得したユーザの位置情報と、前記ユーザの車両の車幅を含むユーザ情報と、前記車道有効幅員と、に基づき、車両通行判定を行う処理と、をコンピュータに実行させ、
前記車両通行判定の結果は、前記ユーザ端末に提供されることを特徴とするデータ処理プログラム。
【請求項8】
請求項7記載のデータ処理プログラムの処理を記録するコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−224970(P2010−224970A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72722(P2009−72722)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】