説明

情報提供システム、情報提供装置、車載装置および情報提供方法

【課題】各車載装置(つまり、車両)の状況に対応した各種情報を提供すること。
【解決手段】車載装置1は、無線通信部11と、制御部21とを有する。制御部21は、車速センサ14により得られた車速データに応じたデータ量の車両側データを、無線通信部11を介して送信する。また、情報提供装置2は、路側器2の設けられた無線通信手段31を介して車載装置1から車両側データを受信し、その車両側データに応じた情報を、無線通信手段31を介して車載装置1へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム、情報提供装置、車載装置および情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路に設置された路側器と道路上の車両に搭載された車載装置との間で通信を行う方式としては、専用狭域通信DSRC(Dedicated Short Range Communications)、光ビーコンを使用するものなどがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
路側器の光ビーコンと車載装置との間では双方向通信が可能であり、路側器から車載装置へVICS(Vehicle Information and Communication System)情報が伝送されたり、車載装置から路側器へ車両に関する情報が伝送されたりしている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−241419号公報(明細書段落0014等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光ビーコンによる双方向通信の場合、予め定められた固定のサイズのデータしか送受されず、車載装置から路側器側へ転送可能なデータ量が少ないため、路側器が車載装置側(つまり車両側)のデータを十分に得られず、各車載装置(つまり、車両)の状況に対応した情報の提供が困難である。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、各車載装置(つまり、車両)の状況に対応した情報を提供することができる情報提供システムおよび情報提供方法、並びに、それらで使用可能な情報提供装置および車載装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0008】
本発明に係る情報提供システムは、車載装置と、路側器に設けられた無線通信手段と、情報提供装置を備える。その車載装置は、無線通信部と、車速センサにより得られた車速データに応じたデータ量の車両側データを、無線通信部を介して送信する制御部とを有する。また、その情報提供装置は、無線通信手段を介して車載装置から車両側データを受信し、無線通信手段を介してその車両側データに応じた情報を車載装置へ送信する。
【0009】
また、本発明に係る情報提供システムは、上記の情報提供システムに加え、次のようにしてもよい。つまり、その場合、情報提供装置は、無線通信手段を介して車載装置へ車速データ要求を送信し、無線通信手段を介して車載装置から車速データを受信し、その車速データに基づく車載装置から受信可能なデータ量を示す受信可能データ量情報を、無線通信手段を介して車載装置へ送信する。一方、車載装置の制御部は、無線通信部を介して車速データ要求を受信すると、無線通信部を介して車速データを送信し、無線通信部を介して受信可能データ量情報を受信すると、無線通信部を介してその受信可能データ量情報に応じたデータ量の車両側データを送信する。
【0010】
また、本発明に係る情報提供システムは、車載装置と、路側器に設けられた無線通信手段と、情報提供装置を備える。その車載装置は、無線通信部と、車速センサと、無線通信部を介して車速データ要求を受信すると、車速センサにより得られた車速データを、無線通信部を介して送信する制御部とを有する。また、その情報提供装置は、無線通信手段を介して車載装置の無線通信部へ車速データ要求を送信し、無線通信手段を介して車載装置から車速データを受信し、無線通信手段を介してその車速データに応じたデータ量の情報を車載装置の無線通信部へ送信する。
【0011】
本発明に係る情報提供装置は、無線通信手段を介して車載装置へ車速データ要求を送信し、無線通信手段を介して車載装置から車速データを受信し、その車速データに基づく車載装置から受信可能なデータ量を示す受信可能データ量情報を、無線通信手段を介して車載装置へ送信する。
【0012】
また、本発明に係る情報提供装置は、無線通信手段を介して車載装置へ車速データ要求を送信し、無線通信手段を介して車載装置から車速データを受信し、無線通信手段を介してその車速データに応じたデータ量の提供すべき情報を車載装置の無線通信部へ送信する。
【0013】
また、本発明に係る情報提供装置は、上記の情報提供装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。つまり、その場合、情報として、交通情報および/または地域情報を含むテキストデータ、音声データおよび画像データの少なくとも1つを有するデータ群から選択したデータが、車載装置へ送信される。
【0014】
本発明に係る車載装置は、路側器との間で無線通信を行う無線通信部と、車速センサにより得られた車速データに応じたデータ量の車両側データを、無線通信部を介して路側器へ送信する制御部とを備える。
【0015】
また、本発明に係る車載装置は、上記の車載装置に加え、次のようにしてもよい。つまり、その場合、制御部は、無線通信部を介して情報提供装置からの車速データ要求を受信すると無線通信部を介して車速データを送信し、無線通信部を介して情報提供装置の受信可能データ量情報を受信すると、無線通信部を介してその受信可能データ量情報に応じたデータ量の車両側データを情報提供装置へ送信する。
【0016】
また、本発明に係る車載装置は、上記の車載装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。つまり、その場合、制御部は、予め設定されているデータサイズの異なる複数のデータセットから、受信可能データ量情報の示すデータ量に応じて車両側データを選択し、無線通信部を介して路側器へ送信する。
【0017】
また、本発明に係る車載装置は、上記の車載装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。つまり、その場合、制御部は、現在位置情報、目的地情報および走行履歴情報の少なくとも1つをそれぞれ含む複数のデータセットから車両側データを選択し、無線通信部を介して路側器へ送信する。
【0018】
本発明に係る情報提供方法は、車載装置により、車速センサにより得られた車速データに応じたデータ量の車両側データを無線通信手段へ送信するステップと、路側器に設けられた無線通信手段を介して車載装置から車両側データを受信するステップと、路側器に設けられた無線通信手段を介してその車両側データに応じた情報を車載装置へ送信するステップとを備える。
【0019】
本発明に係る情報提供方法は、路側器に設けられた無線通信手段を介して車載装置へ車速データ要求を送信するステップと、車載装置により、車速センサにより得られた車速データを無線通信手段へ送信するステップと、路側器に設けられた無線通信手段を介して車載装置へ車速データに応じたデータ量の提供すべき情報を送信するステップとを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、各車載装置(つまり、車両)の状況に対応した情報を提供することができる情報提供システムおよび情報提供方法、並びに、それらで使用可能な情報提供装置および車載装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る情報提供システムの構成を示すブロック図である。図1において、車載装置1は、車両に搭載される装置である。実施の形態1の車載装置1は、車載ナビゲーション装置である。路側器2は、車両の走行する道路の側方や上方や地中に設置され、その道路を通行する車両に対して短距離通信方式にて各種情報(コンテンツ)を提供する装置である。路側器2により提供される情報としては、VICS情報などの交通情報、道路の注意情報といった道路情報、付近の地域情報などがある。また、外部サーバ3は、外部データベースを有するとともに、有線または無線の通信路を介して路側器2に接続され、路側器2からの要求に応じた各種情報(コンテンツ)を送信する装置である。
【0023】
車載装置1において、無線通信部11は、所定の無線通信方式で路側器2の無線通信部31と双方向通信を実行する無線通信回路である。無線通信部11の無線通信方式としては、双方向のDSRC、光ビーコンなどが使用可能である。また、方位センサ12は、車両の向きを検出し、方位データとして出力するセンサである。また、ジャイロセンサ13は、車両の向きの角速度を検出し、角速度データとして出力するセンサである。また、車速センサ14は、車両の速度を検出し、車速データとして出力するセンサである。また、GPS受信部15は、GPS(Global Positioning System )衛星からの電波を受信し、緯度情報および経度情報を含む現在位置データを出力する受信装置である。また、地図データベース16は、車両ナビゲーションに使用する地図データや経路探索に使用する道路データなどを格納する記録媒体である。地図データベース16には、光ディスクおよびその駆動装置、ハードディスクドライブなどが使用される。また、演算処理部17は、地図データベース16内の道路データ、センサ12〜14およびGPS受信部15の出力などに基づいて、経路探索、ナビゲーション時に使用する画像データおよび/または音声データの生成などを実行する演算処理回路である。
【0024】
また、入力部18は、ユーザインタフェースの一部とされ、その操作量に応じた情報を出力する電子部品を含む部分である。入力部18は、ナビゲーション時の目的地の設定などの際に使用される。入力部18としては、ボタンスイッチ、タッチパネルシステム、音声入力システムなどが使用される。また、表示部19は、ユーザインタフェースの一部とされ、地図、道路情報、案内情報などの他、路側器2から提供される情報を表示する部分である。表示部19としては、液晶ディスプレイなどの薄型ディスプレイが使用される。また、音声出力部20は、ユーザインタフェースの一部とされ、D/A変換部、アンプ、スピーカなどを含み、道路情報、案内情報などの他、路側器2から提供される情報の音声データに対応する音声を出力する部分である。また、制御部21は、無線通信部11、入力部18、センサ12〜14、GPS受信部15などからの情報に基づいて、各部を制御する部分である。
【0025】
なお、演算処理部17および制御部21は、それぞれ、専用の集積回路で構成されるようにしてもよいし、プログラムをプロセッサで実行して実現するようにしてもよい。
【0026】
また、路側器2において、無線通信部31は、所定の無線通信方式で車載装置1の無線通信部11と双方向通信を実行する無線通信回路である。また、データ処理部32は、車載装置1より送信されてくるデータに応じて、その車載装置1へ送信する情報(コンテンツ)の種類を特定する処理を実行する処理部である。また、データサイズ計算部33は、車載装置1により取得された車速データの値に基づいて、その車載装置1から路側器2へ転送可能なデータ量を計算する処理部である。
【0027】
また、データベース部34は、要求に応じて複数種類の提供すべき情報のデータを出力する装置である。データベース部34において、外部データベース通信部41は、図示せぬ外部データベースの設けられた外部サーバ3へ情報送信要求を送信し、外部サーバ3からその要求に係る情報を受信する通信装置である。データ格納部42は、地域情報を含む地域データ51、付近の道路情報を含む道路情報データ52などを格納する記録媒体である。データ格納部42には、光ディスクおよびその駆動装置、ハードディスクドライブなどが使用される。データ選択部43は、要求に係る情報を、外部データベース通信部41を介して外部サーバ3から、あるいはデータ格納部42から読み出す処理部である。
【0028】
車載装置1に提供される情報としては、地域情報、道路情報などがあり、それらが地域データ51、道路情報データ52などとしてデータ格納部42または外部サーバ3に格納される。その他の情報として、ITS(Intelligent Transport System)で提案されているものを提供するようにしてもよい。なお、ITSについては、例えば国土交通省道路局のウェブサイトに詳しく開示されている。
【0029】
地域データ51は、その付近の地域情報を含むデータであり、同一対象の情報として、音声データ、テキストデータ、画像データなどのデータサイズの異なる複数種別のデータを含む。例えば、情報がある観光地の紹介の場合、観光地の名称、説明などのテキストデータおよび音声データ、その観光地の名物の画像を含む画像データが、地域データ51に含まれる。
【0030】
また、道路情報データ52は、VICSのレベル1〜3の交通情報、注意情報などを含むデータである。道路情報データ52は、同一対象の情報として、音声データ、テキストデータ、画像データなどのデータサイズの異なる複数種別のデータを含む。音声データは、TTS(Text To Speech)用のテキストデータ、その他各種フォーマットのデータであり、画像データは、例えばJPEG(Joint Picture Experts Group )フォーマットのデータである。交通情報の画像データは、渋滞箇所の画像、積雪状況を示す画像などを含む。その他、道路情報データ52は、静止画データおよび動画データを同一対象の情報として含むようにしてもよい。動画データは、例えば各種符号化方式の画像データファイル、Flash形式のファイルなどとされる。例えば、ある箇所の渋滞情報について、その渋滞状況を説明するテキストデータおよび音声データ、その渋滞箇所の静止画を含む静止画像データ、渋滞箇所の現在あるいは直近の状況を示す動画を含む動画像データなどが道路情報データ52に含められる。また、静止画データや動画データとしては、同一対象の情報について圧縮率(ひいてはファイルサイズ)のみ異なる複数のデータを道路情報データ52に含めるようにしてもよい。
【0031】
また、インターネットなどの広域ネットワークに接続された外部サーバ3などの別の装置に交通情報、注意情報、地域情報などを格納しておき、その情報のURL(Universal Resource Locator)を道路情報データ52に含めるようにしてもよい。車載装置1がインターネットなどの広域ネットワークに接続可能である場合には、車載装置1は、その広域ネットワークを介して情報の提供を受けることが可能である。車載装置1がインターネットなどの広域ネットワークに接続可能であるか否かの情報は、車両側データに含めるようにしてもよい。
【0032】
また、送受信処理部35は、無線通信部31を介して自律的に情報を送信する処理、並びに車載装置1からのデータを受信しそれに応じてデータ処理部32、データサイズ計算部33およびデータベース部34を制御して適当な情報(コンテンツ)をデータベース部34から取得し無線通信部31を介して送信する処理を実行する処理部である。
【0033】
なお、データ処理部32、データサイズ計算部33、送受信処理部35およびデータ選択部43は、それぞれ、専用の集積回路で構成されるようにしてもよいし、プログラムをプロセッサで実行して実現するようにしてもよい。
【0034】
次に、上記装置の動作について説明する。図2は、実施の形態1に係る情報提供システムにおける情報提供方法を示す図である。
【0035】
路側器2の送受信処理部35は、無線通信部31を介して車速データ要求を定期的に送出させる。路側器2の通信エリアに入ると、車載装置1の無線通信部11は、その車速データ要求を受信し、制御部21に出力する(ステップS1)。車載装置1の制御部21は、車速データ要求を受け取ると、車速センサ14からその時点の車速データを取得し(ステップS2)、無線通信部11を介して送信する(ステップS3)。
【0036】
路側器2の送受信処理部35は、無線通信部31を介してその車速データを受信すると、データサイズ計算部33に供給し、車載装置1から受信可能なデータ量を計算させる。データサイズ計算部33は、その車速データに基づいて、車載装置1から路側器2へ転送可能なデータ量を計算し、受信可能データ量情報として送受信処理部35に供給する(ステップS4)。
【0037】
その際、データサイズ計算部33は、車速データの値が大きいほど受信可能なデータ量の値を小さく計算する。また、データサイズ計算部33は、路側器2の通信エリアの広さに応じて、受信可能なデータ量の値を計算する。また、データサイズ計算部33は、無線通信部31と無線通信部11との間の無線通信のアップリンクの転送速度に応じて、受信可能なデータ量の値を計算する。例えば、データサイズ計算部33は、(路側器2のエリア内での車両の道路走行距離)/(車速)×(アップリンク転送速度)なる計算式の値あるいはそれに基づく値を、受信可能なデータ量とする。また、車速データの値(つまり、車速の即値)の代わりに、車速データの値に対応するエリア内での平均車速を上記計算に使用してもよい。
【0038】
そして、路側器2の送受信処理部35は、データサイズ計算部33から受信可能データ量情報を受け取ると、無線通信部31を介して車載装置1へ送信する。車載装置1の無線通信部11は、その受信可能データ量情報を受信すると、制御部21に出力する(ステップS5)。
【0039】
車載装置1の制御部21は、受信可能データ量情報を受信すると、GPS受信部15による得られる現在位置情報、車両ナビゲーションで設定されている目的地情報、および車両ナビゲーションで蓄積されている走行履歴情報を含むデータから、所定の優先順位で、その受信可能データ量情報の示すデータ量以下でデータ量が最大となるようにデータを選択し、車両側データとして無線通信部11を介して送信する(ステップS7)。優先順位としては、例えば、現在位置情報、目的地情報、走行履歴情報という順番が考えられる。また、車両側データに含めるデータとしては、上記の情報の他に、センサなどで取得可能な車両自体の情報、例えば、総走行距離、燃料残量などを含めるようにしてもよい。また、これらのデータは、データの詳細度、種別数などが異なる、つまりデータサイズが異なる複数のデータセットとして、制御部21または図示せぬメモリなどの記録媒体に予め保持され、受信可能データ量情報の値に応じたデータサイズのデータセットが、車両側データとして即座に選択され送信されるようにしてもよい。
【0040】
路側器2の送受信処理部35は、無線通信部31を介してその車両側データを受信し、データ処理部32に供給する。データ処理部32は、その車両側データに対応して、提供する情報を特定し、送受信処理部35に通知する(ステップS8)。例えば、車両側データに現在位置情報が含まれている場合には、データ処理部32は、現在位置の道路前方の地点に関する注意情報を、提供する情報として選択する。また、例えば、車両側データに目的地情報が含まれている場合には、データ処理部32は、目的地の地域情報を、提供する情報として選択する。
【0041】
送受信処理部35は、データ処理部32から通知された情報をデータベース部34のデータ選択部43に要求する。データ選択部43は、要求された情報をデータ格納部42から、または外部データベース通信部41を介して外部サーバ3から読み出し、送受信処理部35に供給する。送受信処理部35は、読み出された情報を、無線通信部31を介して車載装置1へ送信する車載装置1の無線通信部11は、その情報を受信すると、制御部21に出力する(ステップS9)。
【0042】
車載装置1の制御部21は、その情報を取得すると、その情報に基づく画像や文字を表示部19に表示させたり、その情報に基づく音声を音声出力部20に出力させたりする。
【0043】
以上のように、上記実施の形態1によれば、車載装置1の制御部21は、車速センサ14により得られた車速データに応じたデータ量の車両側データを無線通信部11を介して送信する。また、情報提供装置としての路側器2は、無線通信手段としての無線通信部31を介して車載装置1から車両側データを受信し、無線通信部31を介してその車両側データに応じた情報を車載装置1へ送信する。
【0044】
これにより、情報の提供先である車両の車両側データに応じて、提供される情報が選択されるため、各車載装置(つまり、車両)の状況に対応した情報を提供することができ、また、車載装置1が路側器2からの情報を受信しそこなう可能性を低くすることができる。
【0045】
また、上記実施の形態1によれば、情報提供装置としての路側器2は、車載装置1へ車速データ要求を送信し、車載装置1から車速データを受信するとその車速データに基づく受信可能データ量情報を車載装置1へ送信する。一方、車載装置1の制御部21は、車速データ要求を受信すると車速データを送信し、受信可能データ量情報を受信するとその受信可能データ量情報に応じたデータ量の車両側データを送信する。
【0046】
これにより、情報の提供先である車両の速度に応じて車両側データが可能な限り多く路側器2へ転送され、その車両側データに応じて、提供される情報が選択されるため、各車載装置(つまり、車両)の状況に対応した情報を提供することができ、また、車載装置1が路側器2からの情報を受信しそこなう可能性を低くすることができる。
【0047】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る情報提供システムは、車載装置1の車速データに基づいて、路側器2から車載装置1へ提供する情報についての送信可能なデータ量を計算し、そのデータ量以下の情報を路側器2から車載装置1へ提供する。
【0048】
図3は、本発明の実施の形態2に係る情報提供システムの構成を示すブロック図である。図3に示す路側器2において、データ処理部32aは、送信可能なデータ量に基づいて、提供する情報を選択する処理部である。また、データサイズ計算部33aは、車速データに基づいて、路側器2から車載装置1へ送信可能なデータ量を計算する処理部である。
【0049】
なお、図3におけるその他の構成要素については実施の形態1(図1)のものと同様であるので、その説明を省略する。
【0050】
次に、上記装置の動作について説明する。図4は、実施の形態2に係る情報提供システムにおける情報提供方法を示す図である。
【0051】
路側器2の送受信処理部35は、無線通信部31を介して車速データ要求を定期的に送出させる。路側器2の通信エリアに入ると、車載装置1の無線通信部11は、その車速データ要求を受信し、制御部21に出力する(ステップS1)。車載装置1の制御部21は、車速データ要求を受け取ると、車速センサ14からその時点での車速データを取得し(ステップS2)、無線通信部11を介して送信する(ステップS3)。
【0052】
路側器2の送受信処理部35は、無線通信部31を介してその車速データを受信すると、データサイズ計算部33aに供給し、車載装置1へ送信可能なデータ量を計算させる。データサイズ計算部33aは、その車速データに基づいて、路側器2から車載装置1へ転送可能なデータ量を計算し、送信可能データ量情報として送受信処理部35に供給する(ステップS11)。
【0053】
その際、データサイズ計算部33aは、車速データの値が大きいほど送信可能なデータ量の値を小さく計算する。また、データサイズ計算部33aは、路側器2の通信エリアの広さに応じて、送信可能なデータ量の値を計算する。また、データサイズ計算部33aは、無線通信部31と無線通信部11との間の無線通信のダウンリンクの転送速度に応じて、送信可能なデータ量の値を計算する。例えば、データサイズ計算部33aは、(路側器2のエリア内での車両の道路走行距離)/(車速)×(ダウンリンク転送速度)なる計算式の値あるいはそれに基づく値を、送信可能なデータ量とする。また、車速データの値(つまり、車速の即値)の代わりに、車速データの値に対応するエリア内での平均車速を上記計算に使用してもよい。
【0054】
そして、路側器2の送受信処理部35は、送信可能データ量情報を受け取ると、データ処理部32aに供給する。データ処理部32aは、その送信可能データ量情報が示すデータ量以下でデータ量が最大となるように、提供する情報を特定し、送受信処理部35に通知する(ステップS12)。データ処理部32aは、予め、提供可能な各種情報のデータサイズ情報を格納しており、そのデータサイズ情報に基づいて、所定の優先順位で、提供可能な各種情報から、提供する情報を選択する。なお、データ処理部32aは、外部サーバ3内の情報などデータサイズが未知である情報については、データサイズ計算部33aにデータサイズを計算させるようにしてもよい。路側器2から車載装置1へ提供される情報は、データ格納部42、外部サーバ3などにおける、交通情報および/または地域情報を含むテキストデータ、音声データおよび画像データなどのデータセットから選択され、提供されるデータの種別や数は、送信可能データ量情報の値に応じて決定される。
【0055】
送受信処理部35は、データ処理部32aから通知された情報(コンテンツ)をデータベース部34のデータ選択部43に要求する。データ選択部43は、要求された情報をデータ格納部42から、または外部データベース通信部41を介して外部サーバ3から読み出し、送受信処理部35に供給する。送受信処理部35は、読み出された情報を、無線通信部31を介して車載装置1へ送信する。車載装置1の無線通信部11は、その情報を受信すると、制御部21に出力する(ステップS13)。
【0056】
車載装置1の制御部21は、その情報を取得すると、データ種別に応じて、その情報に基づく画像や文字を表示部19に表示させたり、その情報に基づく音声を音声出力部20に出力させたりする。
【0057】
以上のように、上記実施の形態2によれば、情報提供装置としての路側器2は、無線通信手段としての無線通信部31を介して車載装置1の無線通信部11へ車速データ要求を送信し、無線通信部31を介して車載装置1から車速データを受信し、無線通信部31を介してその車速データに応じたデータ量の情報を車載装置1の無線通信部11へ送信する。
【0058】
これにより、情報の提供先である車両の速度に応じて、転送されるデータ量が調節されるため、各車載装置(つまり、車両)の状況に対応したサイズの情報を提供することができ、平均的に、車載装置へ提供する情報の量を多くすることができるとともに車載装置1が情報を受信しそこなう可能性を低くすることができる。
【0059】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0060】
例えば、上記各実施の形態では、路側器2が情報を格納し車載装置1へ適宜提供しているが、データ処理部32,32a、データサイズ計算部33,33aおよびデータベース部34を、路側器2に無線通信または有線通信を介して接続される別の装置としてもよい。その場合にはその別の装置が情報提供装置となる。
【0061】
また、上記各実施の形態では、車載装置1が車載ナビゲーション装置とされているが、その代わりに、車載ナビゲーション装置に接続される別の装置としてもよい。その場合、その別の装置には、少なくとも、上述の無線通信部11および制御部21に相当する通信処理部が設けられる。そして、車載ナビゲーション装置の車速センサ14、表示部19および音声出力部20が適宜使用される。また、車載装置1は、ナビゲーション機能のない装置であってもよいが、少なくとも無線通信部11、車速センサ14および制御部21を有するものとされる。
【0062】
また、上記実施の形態1において、路側器2から車載装置1へ情報を送信する際に、実施の形態2の場合と同様に、車速データに応じて設定される送信可能データ量以下となるように、提供する情報を選択して送信するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、例えば、車載ナビゲーション装置での情報提供に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1に係る情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る情報提供システムにおける情報提供方法を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態2に係る情報提供システムにおける情報提供方法を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 車載装置
2 路側器(情報提供装置)
11 無線通信部
14 車速センサ
21 制御部
31 無線通信部(無線通信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信部と、車速センサにより得られた車速データに応じたデータ量の車両側データを、上記無線通信部を介して送信する制御部とを有する車載装置と、
路側器に設けられた無線通信手段と、
上記無線通信手段を介して上記車載装置から上記車両側データを受信し、上記無線通信手段を介してその車両側データに応じた情報を上記車載装置へ送信する情報提供装置と、
を備えることを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
前記情報提供装置は、前記無線通信手段を介して上記車載装置へ車速データ要求を送信し、上記無線通信手段を介して上記車載装置から車速データを受信し、その車速データに基づく上記車載装置から受信可能なデータ量を示す受信可能データ量情報を、上記無線通信手段を介して上記車載装置へ送信し、
前記車載装置の制御部は、前記無線通信部を介して上記車速データ要求を受信すると、前記無線通信部を介して上記車速データを送信し、前記無線通信部を介して上記受信可能データ量情報を受信すると、前記無線通信部を介してその受信可能データ量情報に応じたデータ量の車両側データを送信すること、
を特徴とする請求項1記載の情報提供システム。
【請求項3】
無線通信部と、上記無線通信部を介して車速データ要求を受信すると、車速センサにより得られた車速データを、上記無線通信部を介して送信する制御部とを有する車載装置と、
路側器に設けられた無線通信手段と、
上記無線通信手段を介して上記車載装置の無線通信部へ車速データ要求を送信し、上記無線通信手段を介して上記車載装置から車速データを受信し、上記無線通信手段を介してその車速データに応じたデータ量の情報を上記車載装置の無線通信部へ送信する情報提供装置と、
を備えることを特徴とする情報提供システム。
【請求項4】
路側器に設けられた無線通信手段を使用して車載装置へ情報を提供する情報提供装置において、
上記無線通信手段を介して上記車載装置へ車速データ要求を送信し、上記無線通信手段を介して上記車載装置から車速データを受信し、その車速データに基づく上記車載装置から受信可能なデータ量を示す受信可能データ量情報を、上記無線通信手段を介して上記車載装置へ送信すること、
を特徴とする情報提供装置。
【請求項5】
路側器に設けられた無線通信手段を使用して車載装置へ情報を提供する情報提供装置において、
上記無線通信手段を介して上記車載装置へ車速データ要求を送信し、上記無線通信手段を介して上記車載装置から車速データを受信し、その車速データに応じたデータ量の上記情報を、上記無線通信手段を介して上記車載装置の無線通信部へ送信すること、
を特徴とする情報提供装置。
【請求項6】
前記情報として、交通情報および/または地域情報を含むテキストデータ、音声データおよび画像データの少なくとも1つを有するデータ群から選択したデータを、前記車載装置へ送信することを特徴とする請求項4または請求項5記載の情報提供装置。
【請求項7】
路側器との間で無線通信を行う無線通信部と、
車速センサにより得られた車速データに応じたデータ量の車両側データを、上記無線通信部を介して上記路側器へ送信し、上記無線通信部を介して上記路側器から上記車両側データに応じた情報を受信する制御部と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記無線通信部を介して情報提供装置からの車速データ要求を受信すると前記無線通信部を介して前記車速データを送信し、前記無線通信部を介して上記情報提供装置の受信可能データ量情報を受信すると、前記無線通信部を介してその受信可能データ量情報に応じたデータ量の車両側データを上記情報提供装置へ送信することを特徴とする請求項7記載の車載装置。
【請求項9】
前記制御部は、予め設定されているデータサイズの異なる複数のデータセットから、前記受信可能データ量情報の示すデータ量に応じて前記車両側データを選択し、前記無線通信部を介して前記路側器へ送信することを特徴とする請求項8記載の車載装置。
【請求項10】
前記制御部は、現在位置情報、目的地情報および走行履歴情報の少なくとも1つをそれぞれ含む複数のデータセットから前記車両側データを選択し、前記無線通信部を介して前記路側器へ送信することを特徴とする請求項7から請求項9のうちのいずれか1項記載の車載装置。
【請求項11】
路側器に設けられた無線通信手段を介して車載装置へ情報を提供する情報提供方法において、
上記車載装置により、上記車速センサにより得られた車速データに応じたデータ量の車両側データを上記無線通信手段へ送信するステップと、
上記路側器に設けられた無線通信手段を介して上記車載装置から上記車両側データを受信するステップと、
上記路側器に設けられた無線通信手段を介してその車両側データに応じた上記情報を上記車載装置へ送信するステップと、
を備えることを特徴とする情報提供方法。
【請求項12】
路側器に設けられた無線通信手段を介して車載装置へ情報を提供する情報提供方法において、
上記路側器に設けられた無線通信手段を介して上記車載装置へ車速データ要求を送信するステップと、
上記車載装置により、上記車速センサにより得られた車速データを上記無線通信手段へ送信するステップと、
上記路側器に設けられた無線通信手段を介して上記車載装置へ車速データに応じたデータ量の上記情報を送信するステップと、
を備えることを特徴とする情報提供方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−264825(P2007−264825A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86437(P2006−86437)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】