説明

情報監視装置、情報監視システム、情報監視方法、および情報管理プログラム

【課題】保護者の時間的拘束を抑制しつつ、被保護者の行動を監視することができる工夫が施された情報監視装置、情報監視システム、情報監視方法、および情報監視プログラムを提供する。
【解決手段】 上記目的を達成する本発明の情報処理装置は、予め設定された被保護者にとって安全な地域を表す安全地域情報と危険な地域を表す危険地域情報とを含む地域情報を記憶する地域情報記憶手段と、被保護者が有する位置情報取得装置から送信される現在位置を表す位置情報を受信する位置情報受信手段と、上記位置情報と上記地域情報とに基づいて、上記被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断する判断手段と、上記判断手段で得られた判断結果に応じて、上記被保護者の保護者の端末に判断結果を通知する位置情報通知手段と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、徘徊者や子供等の被保護者の位置を監視する情報監視装置、その情報監視装置を用いた情報監視方法、情報処理装置に組み込まれて動作する情報監視プログラム、および情報監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、徘徊者や子供等の被保護者が現在いる場所の位置情報を取得し提供する情報監視システムが商用化されている。
【0003】
図20は、従来における情報監視システムの一例を示すイメージ図である。この情報監視システムは、GPS(Global Positioning System)機能を搭載した携帯電話41、42、および43と、そのGPS機能により取得した位置情報をデータベース401で管理するサーバ装置400を有する管理センター40と、その管理センターのサーバ装置300に現在の位置情報を問い合わせる保護者用の端末として携帯電話44、45、および46と、で構成される。なお、保護者用の端末は携帯電話に限られず、保護者用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0004】
図20に示す情報監視システムによれば、GPS機能を搭載した携帯電話を徘徊者や子供等の被保護者に識別者番号を付与する。携帯電話41を携帯する被保護者には、Id−1の番号を付与し、同様にして、携帯電話42を携帯する被保護者には、Id−2の番号を付与し、携帯電話43を携帯する被保護者には、Id−3の番号を付与する。そして、これらの被保護者(Id−1〜Id−3)に上記携帯電話をそれぞれ携帯させることによって、これらの携帯電話41、42、43から定期的かつ自動的に被保護者の現在いる場所の位置情報が管理センター40のサーバ装置400に向けて送信される。サーバ装置400は、位置情報を受信し、このサーバ装置400内のデータベース401では、被保護者の識別番号ごとに、現在いる位置の緯度、経度と、その緯度および経度に基づいて得られる住所とを管理する。そして、保護者用の携帯電話にて、保護者が管理センター40に問い合わせをすると、現在いる場所の位置情報を知ることができる。このようなサービスでは、徘徊者を持つ家庭や都会の共働き家庭で幼い子供を一人で遊ばせておく時間が長い家庭にとっては非常に便利である。
【0005】
しかし、保護者の知らぬ間に徘徊者や子供が安全な場所から勝手にその場所を離れて危険な場所にいってしまう可能性があり、この危険性を回避しようとすると、保護者は、頻繁に管理センターに問い合わせをし続けなければならず、時間的な拘束が大きくなってしまうという問題が生じる。
【0006】
また、上記情報監視システムの技術とは別に、徘徊者や子供等の被保護者の位置情報を知るための装置、システムが提案されている(例えば、特許文献1から3)。
【0007】
特許文献1に開示された技術によれば、GPS機能を備えた携帯端末を被保護者に携帯させて、GPS機能により得られた位置情報がサーバ装置を有する管理センターに常時送信される。管理センターでは、予め定めた被保護者にとって危険地域に被保護者が近づくか否かをモニタしており、保護者は必要に応じて、管理センターのホームページに問い合わせることで、端末画面にて被保護者の行動軌跡を電子地図上に表示させることができる。この場合、被保護者危険地域に近づくと、画面上にアラームの警告表示が点滅し、保護者は、被保護者が危険地域に近づいたことを知ることができる。
【0008】
しかし、この技術においても、被保護者が危険地域に近づけないようにするためには、被保護者が管理センターのホームページの画面上で頻繁にチェックしなければならず、時間的拘束が大きすぎるという問題が生じる。
【0009】
また、特許文献2に開示された技術によれば、親機と子機からなる、近距離通信可能なブルートゥース機能を搭載した携帯電話を用いて、被保護者に子機を携帯させ、保護者に親機を携帯させる。この場合、親機と子機は常時無線交信し、互いの存在を確認している。そして、互いの距離が離れることにより交信が途絶えると、親機にアラーム情報が報知される。これにより、遊園地などで子供(被保護者)が親(保護者)から離れると、すぐに親は、気づくことができ、子供が迷子になることを防ぐことができる。
【0010】
しかし、この特許文献2に開示された技術では、遊園地のように多数の人がいる場所では有効であるが、例えば、徘徊者(被保護者)の行動を管理しようとすると、保護者が常に徘徊者の近くにいなければならず、時間的な拘束が大きすぎるという問題が生じる。
【0011】
また、特許文献3に開示された技術によれば、GPS機能を備えた携帯端末を被保護者に携帯させて、GPS機能により得られた位置情報がサーバ装置を有する管理センターに常時送信される。管理センターでは、被保護者が所定時間経過しても監視区域から外に出ない場合には、保護者に警告をする。
【0012】
例えば、スキー場(監視区域)でスキーヤ(被保護者)が怪我で倒れている場合には、管理者(保護者)がいち早く知って、対処することができる。
【0013】
しかし、監視区域から外に出て、身動きができないような場合、このシステムでは、警告の情報を管理者に知らせないという問題が生じる。
【0014】
【特許文献1】特開2002−329294号公報
【特許文献2】特開2003−233877号公報
【特許文献3】特開2006−221661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記事情に鑑み、保護者の時間的拘束を抑制しつつ、被保護者の行動を監視することができる工夫が施された情報監視装置、情報監視システム、情報監視方法、および情報監視プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成する本発明の情報監視装置は、
予め設定された位置情報を監視する情報監視装置であって、
上記被保護者にとって安全な地域を表す安全地域情報と危険な地域を表す危険地域情報とを含む地域情報を記憶する地域情報記憶手段と、
被保護者が有する位置情報取得装置から送信される現在位置を表す位置情報を受信する位置情報受信手段と、
上記位置情報と上記地域情報とに基づいて、上記被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断する判断手段と、
上記判断手段で得られた判断結果に応じて、上記被保護者の保護者の端末にその判断結果を通知する位置情報通知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の情報監視装置によれば、まず、上記地域情報記憶手段に、上記被保護者にとって安全な地域を表す安全地域情報と危険な地域を表す危険地域情報とを含む地域情報を記憶している。そして、被保護者が有する位置情報取得装置自身の現在位置を表す位置情報を取得し、この位置情報を情報監視装置に送信する。すると、情報監視装置では、上記位置情報取得手段によって位置情報を受信する。そして、上記判断手段にて、上記位置情報と上記地域情報とに基づいて、上記被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断する。そして、位置情報通知手段にて、上記判断手段で得られた判断結果に応じて、上記被保護者の保護者の端末にその判断結果を通知する。なお、GPS機能付携帯電話が、本発明にいう位置情報取得装置の一例に相当する。
【0018】
したがって、保護者は、被保護者が、現在、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれかにいることがわかる。例えば、被保護者が危険な地域にいることを情報監視装置が判断した場合、その判断結果が保護者の端末に通知される。これにより、保護者は、常時観察する手間が省け、時間に拘束されずに済む。
【0019】
また、本発明では、保護者を監視する地域を、安全地域、危険地域、それ以外の地域の3通りに区分けしている。このような区分けをすることにより、様々なサービスを提供することができる。例えば、子供などの被保護者が自宅近くで遊ぶ場合、安全な場所として、学校、公園、広場などの場所が挙げられる。一方、危険な場所として、交通の激しい大通り、工場付近、建設中のマンション、立ち入り禁止の看板のある場所などが挙げられる。また、安全な場所や危険な場所に属さない場所もある。したがって、子供の遊ぶ場所の安全性を大きく場合分けすると、「危険」、「安全」、「どちらにも属さない」というように3通りとなる。この区分けは、遊ぶ場合に限らず、例えば、自宅から商店に買い物に行く場合についても、道順によって、「危険」、「安全」、「どちらにも属さない」となる。したがって、「安全」、「危険」という2者択一的な判断よりも柔軟な判断をすることができ、地域の特性に応じて被保護者を監視することができる。
【0020】
また、上記本発明の情報監視装置において、上記安全地域および上記危険地域は、被保護者ごとに予め定められた地域である、ことが好ましい。
【0021】
これにより、保護者にとっては、安全地域や危険地域を予め登録することができる。すると、安全地域や危険地域に属さない、それ以外の地域を自動的に登録したことになり、保護者は、それ以外の地域を選んで登録するという手間が省ける。
【0022】
また、上記本発明の情報監視装置において、上記位置情報は、上記被保護者のいる場所の経度、緯度を含む情報である、ことが好ましい。
【0023】
これにより、被保護者の位置をより正確に認識することができる。
【0024】
また、上記本発明の情報監視装置において、上記位置情報受信手段は、受信した上記被保護者の位置情報を記憶し、
時間的に前後する上記位置情報に基づいて、上記安全地域もしくは上記危険地域に対する前記被保護者の入出を管理する入出管理手段を、さらに備えることが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、入出管理手段にて、時間的に前後する位置情報に基づいて、被保護者が上記安全地域に出入りしたのか、それとも上記危険地域に出入りしたのか、についての情報を管理することができる。
【0026】
このようにすることで、例えば、被保護者が、安全地域を出てもすぐに保護者に通知せず、危険地域に入った場合に通知することができる。さらに、安全地域を出た後に、危険地域に向かっている場合、事前に通知することで、危険地域に侵入することを防ぐことができる。
【0027】
また、上記本発明の情報監視装置において、上記位置情報受信手段は、受信した上記被保護者の位置情報に日時情報を関連付けて記憶し、
上記被保護者の位置情報を受信するたびに、上記位置情報と前記日時情報とに基づいて上記被保護者が同一場所に滞在している滞在時間を算出する滞在時間算出手段と、
算出された滞在時間が予め定められた滞在可能時間を超えた場合に、その滞在可能時間を超えた被保護者の保護者の端末にその旨を通知する滞在時間超過手段と、をさらに備えることが好ましい。
【0028】
上記構成によれば、滞在状況記憶手段にて、上記被保護者の位置情報を受信して滞在開始日時を記憶する。続いて、滞在時間算出手段にて、該被保護者の位置情報を受信するたびに、同一場所に滞在している滞在時間を算出する。そして、滞在時間超過手段にて、該滞在可能時間を超えた被保護者の保護者にその旨を通知する。
【0029】
これにより、例えば、徘徊者が同一場所から一定時間動かない場合には、危険地域に限らず、安全地域にいても何か問題が発生したとして、保護者に通知がなされる。
【0030】
また、上記本発明の情報監視装置において、上記滞在可能時間は、情報監視装置に対する保護者からの入力に応じて、短縮もしくは延長の変更の設定がなされる、ことが好ましい。
【0031】
このようにすることで、被保護者の行動パターンに応じて、滞在可能時間を変えることができる。例えば、危険地域では滞在可能時間を短縮し、安全地域では滞在可能時間を延長することで、被保護者の安全性が高められる。
【0032】
ここで、上記目的を達成する本発明の情報監視システムは、ネットワークを介して接続された、被保護者が使用する携帯端末と、保護者が使用する端末と、位置情報を監視する情報監視装置と、を備え、
上記被保護者が使用する携帯端末は、
現在位置の位置情報を取得して上記情報監視装置に送信する位置情報取得手段を備え、
上記情報監視装置は、
上記被保護者にとって安全な地域を表す安全地域情報と危険な地域を表す危険地域情報とを含む地域情報を記憶する地域情報記憶手段と、
被保護者が有する携帯端末から送信される前記位置情報を受信する位置情報受信手段と、
上記位置情報と前記地域情報とに基づいて、上記被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断する判断手段と、
上記判断手段で得られた判断結果に応じて、前記被保護者の保護者の端末にその判断結果を通知する位置情報通知手段とを備え、
上記保護者が使用する端末は、
上記情報監視装置の上記位置情報通知手段から上記判断結果の通知を受ける位置情報受付部と、を備えたことを特徴とする。
【0033】
本発明の情報監視システムによれば、まず、上記情報監視装置は、地域情報記憶手段にて、上記被保護者にとって安全な地域を表す安全地域情報と危険な地域を表す危険地域情報とを含む地域情報を記憶する。
【0034】
ここで、上記被保護者が使用する携帯端末から、位置情報取得手段にて、現在位置の位置情報を取得して上記情報監視装置に送信する。そして、位置情報受信手段にて、被保護者が有する携帯端末から送信される現在位置を表す位置情報を受信する。すると、判断手段により、上記位置情報と前記地域情報とに基づいて、上記被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断する。そして、位置情報通知手段にて、上記判断手段で得られた判断結果に応じて、前記被保護者の保護者の端末にその判断結果を通知する。
【0035】
そして、上記保護者が使用する端末では、位置情報受付部にて上記情報監視装置の上記位置情報通知手段から上記判断結果の通知を受ける。
【0036】
こうすると、保護者の時間的拘束を抑制しつつ、被保護者の行動を監視する工夫が施された情報監視システムが提供される。
【0037】
ここで、上記目的を達成する本発明の情報監視システムは、上記携帯端末が、
手動着信もしくは自動着信の設定を切り替える着信切替設定部と、
着呼が発生したときに前記着信切替設定部の設定が自動着信の場合には、着信処理を自動的に行う着信自動受付部と、を備えることが好ましい。
【0038】
上記構成によれば、上記携帯端末の着信切替設定部が、手動着信もしくは自動着信の設定を切り替える機能を有し、これにより、着信自動受付部では、着呼が発生したときに前記着信切替設定部の設定が自動着信の場合には、着信処理を自動的に行う。
【0039】
こうすると、徘徊者がパニックに陥って、携帯端末の着信の操作を忘れてしまっても、すぐに保護者と会話することができる。
【0040】
ここで、上記目的を達成する本発明の情報監視方法は、コンピュータが、位置情報を監視する情報監視方法であって、
被保護者が有する位置情報取得装置から送信される現在位置を表す位置情報を受信する位置情報受信工程と、
上記位置情報と、予め設定され記憶された上記被保護者にとって安全な地域を表す安全地域情報と危険な地域を表す危険地域情報とを含む地域情報とに基づいて、上記被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断する判断工程と、
上記判断工程で得られた判断結果に応じて、上記被保護者の保護者の端末にその判断結果を通知する位置情報通知工程と、を備えたことを特徴とする。
【0041】
本発明の情報監視方法によれば、位置情報受信工程にて、被保護者が有する位置情報取得装置から送信される現在位置を表す位置情報を受信する。続いて、判断工程にて、予め設定され記憶された上記被保護者にとって安全な地域を表す安全地域情報と危険な地域を表す危険地域情報とを含む地域情報とに基づいて、上記被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断する。そして、位置情報通知工程にて、上記判断手段で得られた判断結果に応じて、上記被保護者の保護者の端末にその判断結果を通知する。
【0042】
こうすると、保護者の時間的拘束を抑制しつつ、被保護者の行動を監視する工夫が施された情報監視方法が提供される。
【0043】
ここで、上記目的を達成する本発明の情報監視プログラムは、情報監視装置に、被保護者が有する位置情報取得装置から送信される現在位置を表す位置情報を受信する位置情報受信手段と、
上記位置情報と、予め設定され記憶された上記被保護者にとって安全な地域を表す安全地域情報と危険な地域を表す危険地域情報とを含む地域情報とに基づいて、上記被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断する判断手段と、
上記判断手段で得られた判断結果に応じて、上記被保護者の保護者の端末にその判断結果を通知する位置情報通知手段と、を実現する。
【0044】
こうすると、保護者の時間的拘束を抑制しつつ、被保護者の行動を監視する工夫が施された情報監視プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、保護者の時間的拘束を抑制しつつ、被保護者の行動を監視することができる工夫が施された情報監視装置、情報監視システム、情報監視方法、および情報監視プログラムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ここでは、本発明の情報監視プログラムに基づいて動作する情報監視装置、その情報処理装置で実行される本発明の情報管理方法、および情報監視システムについて説明する。なお、以下では、本発明の情報監視装置として、インターネットに接続されて、子供や徘徊者などの被保護者の現在の位置情報を主に管理するサーバ装置を例に挙げて説明する。
【実施例1】
【0047】
[構成]
図1は、システムの全体構成を示す図である。本実施例における情報監視システム100は、サーバ装置1、1a、被保護者用携帯電話2、保護者用携帯電話3、保護者用パーソナルコンピュータ4、基地局5とで構成されており、インターネット6で接続されている。ここで、被保護者用携帯電話2が、本発明にいう携帯端末の一例に相当する。また、保護者用携帯電話3や保護者用コンピュータ4が、本発明にいう端末の一例に相当する。また、基地局5およびインターネット6が本発明にいうネットワークの一例に相当する。
【0048】
<サーバ装置>
図2は、図1に示すサーバ装置の内部構成を示す図である。このサーバ装置1には、主な構成要素として、サーバ装置用CPU(Central processing Unit)10、サーバ装置用記憶部11が設けられている。このサーバ装置用CPU10は、このサーバ装置1の動作を総合的に制御するものである。そして、このサーバ装置用CPU10には、本発明の一実施形態である情報監視プログラムが組み込まれることによって、位置情報受信部100、地域情報記憶部101、入出管理部102、判断部103、位置情報通知部104、滞在時間算出部105、および滞在時間超過通知部106が構築される。なお、図1において、サーバ装置1aも描かれているが、サーバ装置1aは、サーバ装置1と同様の構成であり、地域ごとに分散して設けられていることを表している。すなわち、サーバ装置を管理する管理会社は、複数のサーバ装置を所有しているが、以下の実施例では、サーバ装置1を用いて説明をする。
【0049】
また、サーバ装置用記憶部11には、被保護者管理DB(Database)110と、安全・危険地域管理DB111と、被保護者滞在状況管理DB112と、電子地図情報DB113といった4種類のデータベースが形成される。
【0050】
上記位置情報受信部100は、被保護者が有する携帯電話2からネットワークを介して、被保護者の現在位置を表す位置情報(緯度、経度)を受信し、上述した被保護者管理DB111に記憶するものである(位置情報受信手段)。
【0051】
図3は、被保護者管理DB内の情報の一例を示す図である。図3に示すように、被保護者管理DB110は、被保護者ごとに、被保護者ID(Identification)と、保護者連絡先と、安全地域移動事象と、危険地域移動事象と、現在位置(経度、緯度)といった5つの項目のデータが管理される。ここで、被保護者IDは、被保護者を識別するための識別情報であり、被保護者管理DB110によって付与されて被保護者IDの項目に登録される。
【0052】
また、保護者連絡先の項目は、保護者の電子メールアドレスを登録する項目である。また、安全地域移動事象の項目は、被保護者が安全地域を出た場合の通知の有無を登録する項目であり、危険地域移動事象の項目は、被保護者が危険地域を入った場合の通知の有無を登録する項目である。これらの保護者連絡先の項目、安全地域移動事象の項目、危険地域移動事象の項目は、保護者がサーバ装置1を管理する管理会社のホームページにアクセスして登録する。また、現在位置の項目は、被保護者が携帯電話2の電源をONして行動を開始後に送信されてくる位置情報(経度、緯度)を記録する項目である。なお、図3では、現在位置の項目が空白になっているが、この図は、保護者によって、はじめに現在位置の項目以外の他の項目が設定された状態を表している。
【0053】
また、地域情報記憶部101は、被保護者にとって安全な地域を表す安全地域情報と危険な地域を表す危険地域情報とを含む地域情報を被保護者ごとに安全・危険地域管理DB111に記憶する。本実施例では、保護者がインターネットを介して、サーバ装置1にアクセスして電子地図情報DB113から、被保護者を管理したい地域を検索し、安全地域、危険地域を設定する。すると、安全・危険地域管理DB111に登録される(地域情報記憶手段)。具体的には以下の通りである。
【0054】
図4は、安全地域、危険地域を表す電子地図情報の一例を示す図である。保護者は、保護者用携帯電話3や保護者用パーソナルコンピュータ4の表示画面に現れた、電子地図情報DB113の電子地図20を参照して、安全地域や危険地域に指定したいエリアを四角形で囲んで設定する。この指定の仕方として、例えば、図中、矢印で示すように、四角形の左上、右下の場所を指定することで、破線で囲んだエリアが安全地域や危険地域に指定される。なお、この安全地域、危険地域を指定する仕方は一例であって、このやり方に限られるものではなく、例えば、電子地図上の一点を選択すると半径何メートル以内の範囲を安全地域や危険地域に指定してもよい。また、電子地図上で、学校、公園、広場などの場所を安全地域にしたり、交通の激しい大通り、工場付近、建設中のマンション、立ち入り禁止の看板のある場所を危険地域としてもよい。
【0055】
図5は、安全・危険地域管理DB内の情報の一例を示す図である。図5に示すように、安全・危険地域管理DB111は、被保護者ごとに、被保護者IDと、第1の座標と、第2の座標と、地域種類と、検出結果といった5つの項目で構成される。第1の座標は、図4に示した破線で囲んだ安全地域や危険地域を区画する長方形のA点(左上)の座標を表し、第2の座標は、A点と対角線上にあるB点(右下)の座標を表す。第1の座標と第2の座標とから安全地域や危険地域の区画が特定される。地域種類の項目は、被保護者IDごとに、第1の座標と第2の座標とから導かれる地域を安全もしくは危険に設定する項目である。検出結果の項目は、被保護者の移動の有無を表す項目であって、実際に情報監視プログラムが動作しているときに記録される項目である。詳細は動作の説明の際に詳述する。
【0056】
また、図2に示す入出管理部102は、時間的に前後する、被保護者の位置情報に基づいて、安全地域もしくは危険地域に対する被保護者の入出を管理するものである(入出管理手段)。入出の管理として、被保護者の位置情報(経度、緯度)を電子地図上のXY座標の位置情報に変換し、被保護者が、安全地域に入った場合、出た場合の移動や、危険地域に入った場合や出た場合について、電子地図上のXY座標の位置情報の変化で検出する。そして、検出結果が図5に示す安全・危険地域DB111の検出結果の項目に記録される。
【0057】
また、判断部103は、入出管理部102にて記録された、安全・危険地域DB111の検出結果と被保護者管理DB(Database)110内の被保護者の現在の位置情報とから、被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断するものである(判断手段)。そして、位置情報通知部104は、判断結果として被保護者が危険地域にいる場合、その旨を保護者の携帯電話3、コンピュータ4に電子メールで通知するものである(位置情報通知手段)。なお、電子メールで通知するのは、一例であって、電子メールに限定されるものではない。
【0058】
また、滞在時間算出部105は、被保護者滞在状況管理DB112に受信した被保護者の位置情報に日時情報を関連付けて記憶し、被保護者の位置情報を受信するたびに、その位置情報と日時情報とに基づいて被保護者が同一場所に滞在している滞在時間を算出して、被保護者滞在状況管理DB112に記録するものである(滞在時間算出手段)。以下、図6を参照して具体的に説明する。
【0059】
図6は、被保護者滞在状況管理DB内の情報の一例を示す図である。被保護者ごとに、被保護者ID、現在位置情報(経度、緯度)と、最長滞在可能時間と、現在位置滞在開始時刻と、滞在継続時間といった5つの項目で構成される。最長滞在可能時間の項目は、予め被保護者が同一の場所に滞在可能な時間を設定する項目である。また、現在位置滞在開始時刻の項目は、被保護者ごとに、所定の場所で滞在を開始し始めた開始時刻を表し、滞在継続時間の項目は、被保護者が同一場所に滞在している時間を表す。なお、図6では、現在位置情報(経度、緯度)、現在位置滞在開始時刻、および滞在継続時間の項目が空白になっているが、この図は、保護者によって、はじめに最長滞在時間可能時間が設定された状態を表している。
【0060】
ここで、滞在時間算出部105は、被保護者の位置情報から被保護者が同一場所にいる場合、現在位置滞在開始時刻と今回受信した日時情報の時刻とから滞在時間を算出して、滞在継続時間の項目に記録する。
【0061】
また、図2に示す滞在時間超過通知部106は、図6に示す、滞在継続時間が予め定めた最長滞在可能時間を超過した場合、その旨を保護者の携帯電話3やコンピュータ4に通知するものである(滞在時間超過通知手段)。
【0062】
<被保護者用携帯電話>
図1に示す被保護者用携帯電話は、本発明の一実施形態である情報監視プログラムをサーバ装置1を有する管理会社のホームページからダウンロードして入手する機能を有する。
【0063】
図7は、被保護者用携帯電話のCPUに情報監視プログラムが組み込まれたときの内部構成である。ここでは、CPU20に情報監視プログラムが組み込まれることによって、位置情報取得部200、着信切替設定部201、および着信自動設定部202が構築される。
【0064】
この携帯電話2は、GPS機能を有しており、位置情報取得部200は、GPS機能にて取得した位置情報をネットワークを介してサーバ装置1に通知するものである(位置情報取得手段)。また、着信切替設定部201は、手動着信もしくは自動着信の設定を切り替えるものである。そして、着信自動設定部202は、着呼が発生したときに着信切替設定部201の設定が自動着信の場合には、着信処理を自動的に実行するものである。このような着信切替設定部201および着信自動設定部202を設けると、たとえ徘徊者が道に迷ってパニックに陥って携帯端末の着信の操作を忘れてしまっても、着信切替設定部201の設定を自動着信にしておけば、すぐに保護者と会話することができる。
【0065】
<保護者用携帯電話>
図1に示す保護者用携帯電話3は、本発明の一実施形態である情報監視プログラムをサーバ装置1を有する管理会社のホームページからダウンロードして入手する機能を有する。
【0066】
図8は、保護者用携帯電話のCPUに情報監視プログラムが組み込まれたときの内部構成である。ここでは、CPU30に情報監視プログラムが組み込まれることによって、位置情報受付部300が構築される。この位置情報受付部300は、位置情報通知部104から被保護者が危険地域にいる旨の通知を受信したり、滞在時間超過通知部106から被保護者が、同一場所の滞在時間が予め設定した時間を超過した旨の通知を電子メールにて受ける。これらの通知を受け付けた後、保護者用携帯電話3では、着信音がなるなどして警告を報知する。そして、保護者は、ネットワークを介してサーバ装置のホームページにアクセスすると、被保護者の現在位置が表示画面の電子地図上に現れる。これにより、保護者は、被保護者が危険な状態にあることを知ることができ、その後の対応をすることができる。
【0067】
<保護者用コンピュータ>
図1に示す保護者用コンピュータ4も保護者用携帯電話3と同様、本発明の一実施形態である情報監視プログラムをサーバ装置1を有する管理会社のホームページからダウンロードして入手する機能を有する。保護者用コンピュータ4もCPUに情報監視プログラムが組み込まれることによって、位置情報受付部(不図示)が構築される。この位置情報受付部では、保護者用携帯電話同様、位置情報通知部104や滞在時間超過通知部106から通知を電子メールで受け付けると、コンピュータからアラーム音が鳴り、保護者に報知する。そして、保護者は、保護者用携帯電話3と同様にして、ネットワークを介してサーバ装置のホームページにアクセスすると、被保護者の現在位置が表示画面の電子地図上に現れる。これにより、保護者は、被保護者が危険な状態にあることを知ることができ、その後の対応をすることができる。
[動作]
次に上記情報監視システムの動作について説明する。
【0068】
図9は、システム全体の動作の一例を示すシーケンス図である。ここでは、被保護者用携帯電話2(以下、単に「携帯電話2」と称する。)を使用している被保護者からサーバ装置1に位置情報が送信され、その位置情報がサーバ装置1で処理され、判断結果が保護者用携帯電話3(以下、単に「携帯電話3」と称する。)に送信されるシーケンスについて説明する。また、話をわかりやすくするため、シーケンス上では、携帯電話2から位置情報がサーバ装置1に時間間隔をおいて2回通知されるものとする。
【0069】
まず、被保護者が携帯電話2の電源をオンにして使用を開始すると、この携帯電話2は、GPS機能が起動し、人工衛星(不図示)から被保護者が現在いる場所の位置情報(経度、緯度)を取得する(ステップS100)。そして、この位置情報を基地局5およびインターネット経由でサーバ装置1に自動的に送信する(ステップS101)。このステップS100およびステップS101の処理が本発明にいう、位置情報取得工程に相当する。なお、位置情報には被保護者IDの情報も含まれており、予め定めた時間間隔で自動的に送信される。すると、サーバ装置1は、図2に示す位置情報受信部100が位置情報を受信する(ステップS102、位置情報受信工程)。そして、サーバ装置1は、図3に示す被保護者管理DB110内の現在位置情報の項目に位置情報(経度、緯度)を記録する(ステップS103)。
【0070】
続いて、予め定めた時間が経過すると、携帯電話2は、被保護者が現在いる場所の位置情報(経度、緯度)を取得し(ステップS104)、この位置情報をサーバ装置1に自動的に送信する(ステップS105)。サーバ装置1は、ステップS102、ステップS103と同様、位置情報受信部100が位置情報を受信し(ステップS106、位置情報受信工程)、被保護者管理DB110内の現在位置情報の項目に位置情報(経度、緯度)を記録する(ステップS107)。次に、図2に示す入出管理部102が安全地域入出管理を行う(ステップS108)。具体的には以下の手順によって行われる。
【0071】
図10は、入出管理部の安全・危険地域入出管理を行う処理の一例を説明するための図である。図10(a)は、図9に示したステップS103の処理が行われた後の被保護者管理DB内の情報と安全・危険地域管理DB内の情報とを表している。また、図10(b)は、図9に示したステップS107の処理が行われた後の被保護者管理DB内の情報と安全・危険地域管理DBの情報とを表している。
【0072】
図11は、安全・危険地域管理DBで管理されている安全地域、危険地域を電子地図上に表示したイメージ図である。図12は、入出管理部が安全地域入出管理を行う処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。この入出管理部が安全地域入出管理を行う処理ルーチンは、被保護者管理DB内に位置情報が登録されると開始される。図10(a)の被保護者管理DBでは、まず、被保護者ごとに、現在位置が記録される。
【0073】
現在位置が記録されると、入出管理部102では、被保護者管理DB110の各列のレコードを参照する(ステップS200)。次に、安全地域移動事象の項目において、通知設定の有無を判定する(ステップS201)。通知設定がなされていない場合には(ステップS201:No)、この処理ルーチンは何もせずに終了する。これは、安全地域の移動についてはチェックを行わないことを意味する。通知設定がなされている場合には(ステップS201:Yes)、以下に示す処理が行われる。ここでは、図10(a)に示す通り、被保護者IDの項目中Id−1の被保護者が通知の設定になっているので、Id−1の被保護者のレコードが選択される。続いて、安全・危険地域管理DB111内のId−1の被保護者のレコードを参照する(ステップS202)。この場合、Id−1の被保護者のレコードが3つ選択される。
【0074】
次に、安全・危険地域管理DB111内のId−1の被保護者の地域種類が安全地域になっているレコードを1つ選択する。そして、被保護者管理DB110の現在の位置情報と安全地域情報に基づいて、図11に示す安全地域A((x11、y11)と(x12、y12)とから導かれる安全地域)の範囲内に被保護者の位置情報(経度、緯度)が存在するか否かのチェックを行う(ステップS203)。被保護者の位置情報(経度、緯度)が安全地域内に存在しない旨の判定結果の場合には(ステップS204:Yes)、検出結果の欄に“偽”を書き込む。一方、被保護者の位置情報(経度、緯度)が安全地域内に存在している旨の判定結果の場合には(ステップS204:No)、検出結果の欄に“真”を書き込む(ステップS207)。ここで、検出結果“真”は、被保護者が安全地域Aにいることを意味し、検出結果“偽”は、安全地域Aにいないことを意味する。
【0075】
そして、安全・危険地域管理DB111内のId−1の被保護者のレコードの地域種類が安全になっている項目すべてのレコードについて、Id−1の被保護者の位置情報が安全地域内に存在しているか否かの判定処理が行われたかのチェックを行い、すべてチェックが終了していない場合には(ステップS206:Yes)、ステップS202に戻る。すべてチェックが終了した場合には(ステップS206:No)、図2に示す入出管理部102が安全地域入出管理を行う処理ルーチンを終了する。
【0076】
引き続き、図10(b)において、図9に示したステップS108の処理が行われた後の被保護者管理DB内の情報および安全・危険地域管理DBの情報についても、入出管理部102が安全地域入出管理を行う処理ルーチンを実行する。このステップS200からステップS207までの処理が図9に示す安全地域入出管理の処理のステップS108に相当する。ここでシーケンス図では示していないが、安全地域移動事象が通知に設定されている場合、安全地域を被保護者が出ると、図2に示す位置情報通知部104は、保護者の携帯電話3に、安全地域を出た旨の情報を電子メールにて通知する。
【0077】
次に、図2に示す入出管理部102が危険地域入出管理を行う(図9のステップS109)。具体的には以下の手順によって行われる。
【0078】
図13は、入出管理部が危険地域入出管理を行う処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。入出管理部102が危険地域入出管理を行う処理ルーチンは、入出管理部102が安全地域入出管理を行う処理ルーチンを終了すると開始される。
【0079】
入出管理部102では、被保護者管理DB110の各列のレコードを参照する(ステップS300)。次に、危険地域移動事象の項目において、通知設定の有無を判定する(ステップS301)。
【0080】
通知設定がなされていない場合には(ステップS301:No)、この処理ルーチンは何もせずに終了する。この場合、危険地域の移動についてはチェックを行わないことを意味する。例えば、保護者が付き添いで被保護者と行動する場合は、危険地域の移動についても、保護者の管理下で行われるので、あえて通知しないでもよいことを意味する。
【0081】
一方、通知設定がなされている場合には(ステップS301:Yes)、以下に示す処理が行われる。ここでは、図10(a)に示す通り、被保護者IDの項目中、Id−1およびId−2の被保護者が通知の設定になっているので、Id−1およびId−2の被保護者のレコードが選択される。なお、Id−2の被保護者の処理の仕方については、Id−1の被保護者の処理の仕方と同様であるので説明を省略する。
【0082】
続いて、安全・危険地域管理DB111内のId−1の被保護者のレコードを参照する(ステップS302)。この場合、Id−1の被保護者のレコードが3つ選択される。
【0083】
次に、安全・危険地域管理DB111内のId−1の被保護者の地域種類が危険地域になっているレコードを1つ選択する。そして、被保護者管理DB110の現在の位置情報と安全地域情報に基づいて、図11に示す電子地図21上の危険地域C((x31、y31)と(x32、y32)とから区画される危険地域)の範囲内に被保護者の位置情報(経度、緯度)が存在しているか否かのチェックを行う(ステップS303)。そして、被保護者の位置情報(経度、緯度)が危険地域に含まれている旨の判定結果の場合には(ステップS304:Yes)、検出結果の欄に“真”を書き込む。一方、被保護者の位置情報(経度、緯度)が危険地域にない旨の判定結果の場合には(ステップS304:No)、検出結果の欄に“偽”を書き込む(ステップS307)。ここで、検出結果“真”は、被保護者が危険地域Cにいることを意味し、検出結果“偽”は、危険地域Cにいないことを意味する。
【0084】
そして、安全・危険地域管理DB111内のId−1の被保護者のレコードの地域種類が危険になっている項目すべてのレコードについて、Id−1の被保護者が危険地域にいるか否かの判定処理が行われたかのチェックを行い、すべてチェックが終了していない場合には(ステップS306:Yes)、ステップS302に戻る。すべてチェックが終了した場合には(ステップS306:No)、図2に示す入出管理部102が危険地域入出管理を行う処理ルーチンを終了する。
【0085】
引き続き、図10(b)において、図9に示したステップS109の処理が行われた後の被保護者管理DB内の情報および安全・危険地域管理DB内の情報についても、入出管理部102が危険地域入出管理を行う処理ルーチンを実行する。このステップS300からステップS307までの処理が図9に示す危険地域入出管理の処理のステップS109に相当する。以上、安全地域入出管理の処理のステップS108および危険地域入出管理の処理のステップS109が実行されることにより、時間的に前後する位置情報に基づいて、安全地域もしくは危険地域に対する被保護者の入出を管理することができ、最終的に図10に示す通り、被保護者管理DB110内の情報および安全・危険地域管理DB111の情報が得られる。
【0086】
次に、図2に示す判断部103の処理が行われる(図9のステップS110)。判断部103の処理は、上述した通り、被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断するものである。この判断手法として、判断部103では、安全・危険地域管理DB111において、時間的に前後する同一のレコードの検出結果の項目の値について論理和の演算を実行することで判断する。
【0087】
本実施例においては、安全・危険地域管理DB111の検出結果の‘真’が、検出対象の地域(安全地域もしくは危険地域)に存在していることを表し、検出結果の‘偽’が、検出対象の地域(安全地域もしくは危険地域)に存在していないことを表す。以下に説明する論理和の演算をすると、被保護者が安全地域から危険地域に移動したか、あるいは、安全地域は出たものの危険地域にはいない等といった、柔軟な判断をすることができ、地域の特性に応じて被保護者を監視することができる。以下、具体的に説明する。
【0088】
図14は、論理和の演算を表した図である。論理和とは、与えられた複数の命題のいずれかの少なくとも一つが真であることを示す論理演算である。
【0089】
図15は、論理和の演算の結果、被保護者が安全地域から危険地域へ移動したことがわかることを示す説明図である。図15(a)では、時刻Xにおいて、電子地図22上の安全地域A内に被保護者(Id−1)がいることを表しており(検出結果は“真”である)、安全地域B、危険地域Cには、被保護者がいないことを表している(検出結果は、安全地域B、危険地域Cともに“偽”である)。図15(b)では、時刻Yにおいて、電子地図22上の危険地域C内に被保護者(Id−1)がいることを表しており(検出結果は“真”である)、安全地域A、Bには、被保護者がいないことを表している(検出結果は、安全地域A、Bともに“偽”である)。
【0090】
図16は、図15で示した検出結果の値についての論理和の演算の結果を表した図である。安全地域Aの項目では、論理和の演算の結果が、“真”であり、安全地域を移動したことを表す。これは、時刻Xに安全地域Aに被保護者(Id−1)がいたのであるから、時刻Yにおいて安全地域Aから外の領域に被保護者(Id−1)が出たことを意味する。
【0091】
また、安全地域Bの項目では、論理和の演算の結果が、“偽”であり、もともと、安全地域Bにはいなかったことを表す。さらに、危険領域Cの項目では、論理和の結果が、“真”であり、危険地域を移動したことを表す。これは、時刻Xに危険地域Cに被保護者(Id−1)がいなかったのであるから、時刻Yにおいて危険地域Cに被保護者(Id−1)が移動してきたことを意味する。もし、危険地域Cの項目で、論理和の結果が“偽”であるとすると、これは、被保護者(Id−1)が安全地域Aから外の領域に出たものの、危険地域Cにはいないことを表しており、安全地域でも危険地域でもない、それ以外の地域にいることを意味する。
【0092】
以上、論理和の演算によって、被保護者が危険地域にいるかいないかの判断等ができることを例示したので、話をもとに戻して、図10、図11を参照しながら、図9のステップS110の判断部の処理について説明を続ける。
【0093】
図17は、危険地域入出管理のステップの終了を受けて開始される判断部の処理ルーチンである。まず、安全・危険地域管理DB111において、時間的に前後する同一のレコードの検出結果の項目の値を抽出し(ステップS400)、その検出結果の項目の値について論理和の演算を実行する(ステップS401)。
【0094】
次に、論理和の演算結果から、判断部103では、被保護者が危険地域に移動したかの判断を行う(ステップS402)。本実施例では、図10において、被保護者(Id−1)の論理演算の結果は図16に示した結果と同じである。したがって、被保護者(Id−1)は、危険地域に移動している旨の判断結果が得られるので(ステップS401:Yes)、ステップS403に進み、図2に示す位置情報通知部104は、保護者の携帯電話3に、危険地域に移動した旨の情報を電子メールにて通知する(位置情報通知工程)。そして、この処理ルーチンを終了する。
【0095】
また、図10において、被保護者(Id−2)の論理演算の結果は、図11に示す電子地図21上の安全地域D((x41、y41)と(x42、y42)とから区画される安全地域)を出たものの(論理演算の結果は、“真”)、危険地域E((x51、y51)と(x52、y52)とから区画される危険地域)には移動していないため、論理演算の結果は、“偽”であり(ステップS402:No)、保護者には何も通知せず、この処理ルーチンを終了する。この場合、被保護者(Id−2)は、安全地域Dから外の領域に出たものの、安全地域でも危険地域でもない、それ以外の地域にいることを意味する。
【0096】
また、図10において、被保護者(Id−3)の論理演算の結果は、“偽”となり、少なくとも、被保護者(Id−3)は、図11に示す危険地域F((x61、y61)と(x62、y62)とから区画される危険地域)には、いないことがわかり(ステップS402:No)、保護者には何も通知せず、この処理ルーチンを終了する。
【0097】
なお、被保護者(Id−3)保護者の携帯電話3に、危険地域に移動した旨の情報を電子メールが通知されると、携帯電話3の表示画面には、被保護者(Id−3)が危険な地域に移動した旨の表示がなされる(図9のステップS112)。こうすることにより、保護者は、常時、保護者は被保護者を監視せずに済み、時間的な拘束が抑制される。
【実施例2】
【0098】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。なお、実施例1と異なる構成について詳細に説明する。第2の実施例では、図2に示す位置情報受信部100が、受信した被保護者の位置情報に日時情報を関連付けて記憶し、図2に示す滞在時間算出部105が、被保護者の位置情報を受信するたびに、位置情報と日時情報とに基づいて被保護者が同一場所に滞在している滞在時間を算出する。この場合、時間的に前後する位置情報が同一である場合に、前回、位置情報を受信したときの日時情報と今回、受信したときの日時情報の差分の時間を算出し、その差分の時間を滞在時間に加算する。そして、算出された滞在時間が予め定められた滞在可能時間を超えた場合に、滞在時間超過通知部106が、滞在可能時間を超えた被保護者の保護者の端末にその旨を通知する。以下、具体的に説明する。
【0099】
まず、被保護者が携帯電話2の電源をオンにして使用を開始すると、実施例1同様、この携帯電話2は、GPS機能が起動し、人工衛星(不図示)から被保護者が現在いる場所の位置情報(経度、緯度)を取得する。そして、この位置情報を基地局5およびインターネット経由でサーバ装置1に自動的に送信する。なお、位置情報には被保護者IDや位置情報の送信日時の情報も含まれており、予め定めた時間間隔で自動的に送信される。すると、サーバ装置1では、図2に示す位置情報受信部100が位置情報を受信する。
【0100】
図18は、位置情報受信部が位置情報を受信して開始される処理ルーチンのフローチャートである。図19は、被保護者滞在状況管理DBの情報の一例を示す図である。
【0101】
まず、図2に示す位置情報受信部100は、被保護者IDごとに、位置情報(経度、緯度)、現在位置滞在開始時刻を被保護者滞在状況管理DB112に記録する。すると、滞在継続時間の算出がスタートする(ステップS500)。次に、所定時間経過後、位置情報受信部100が、位置情報を受信すると、受信した位置情報にいる被保護者について、時間的に前後する位置情報を比較する(ステップS501)。ここで、位置情報から被保護者が同一場所に滞在している場合には(ステップS502:Yes)、現在位置滞在開始時刻と今回受信した日時情報の時刻とから滞在時間を算出して、滞在継続時間の項目に記録する(ステップS503)。
【0102】
次に、その滞在継続時間が最長滞在可能時間を超えたか否かが判定される(ステップS504)。滞在継続時間が最長滞在可能時間を超えていた場合には(ステップS504:Yes)、図2に示す滞在時間超過通知部106は、保護者の携帯電話3に、最長滞在可能時間を超えた旨の情報を電子メールにて通知する。そして、この処理ルーチンを終了する。一方、滞在継続時間が最長滞在可能時間を超えていなかった場合には(ステップS504:No)、この処理ルーチンを終了する。
【0103】
また、上記ステップS502の判定にて、位置情報から被保護者が同一場所に滞在していなかった場合には(ステップS502:No)、被保護者滞在状況管理DB112内の現在位置を新たに移動した位置情報に書き換え、現在位置滞在開始時刻を新たに移動した場所の時刻にセットする。さらに滞在継続時間をリセットする(ステップS506)。
【0104】
こうすることで、被保護者が同一場所に最長滞在可能時間を超えて滞在していると、保護者に通知がなされるので、保護者は、被保護者の身に何かあった場合にも対応することができる。
【0105】
以上より、保護者の時間的拘束を抑制しつつ、被保護者の行動を監視することができる工夫が施された情報監視装置、情報監視システム、情報監視方法、および情報監視プログラムが提供される。
【0106】
なお、本発明においては、実施例1と実施例2を分けて説明したが、実施例1に、実施例2の機能を加えて保護者の危険地域の出入りや最長滞在可能時間を監視してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、保護者の時間的拘束を抑制しつつ、被保護者の行動を監視することができる工夫が施された情報監視装置に利用することができ、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示すサーバ装置の内部構成を示す図である。
【図3】被保護者管理DB内の情報の一例を示す図である。
【図4】安全地域、危険地域を表す電子地図情報の一例を示す図である。
【図5】安全・危険地域管理DB内の情報の一例を示す図である。
【図6】被保護者滞在状況管理DB内の情報の一例を示す図である。
【図7】被保護者用携帯電話のCPUに情報監視プログラムが組み込まれたときの内部構成である。
【図8】保護者用携帯電話のCPUに情報監視プログラムが組み込まれたときの内部構成である。
【図9】システム全体の動作の一例を示すシーケンス図である。
【図10】入出管理部の安全・危険地域入出管理を行う処理の一例を説明するための図である。
【図11】安全・危険地域管理DBで管理されている安全地域、危険地域を電子地図上に表示したイメージ図である。
【図12】入出管理部が安全地域入出管理を行う処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。
【図13】入出管理部が危険地域入出管理を行う処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。
【図14】論理和の演算を表した図である。
【図15】論理和の演算をすることにより、被保護者が危険地域へ移動したことがわかることを示す説明図である。
【図16】図15で示した検出結果の値についての論理和の演算の結果を表した図である。
【図17】危険地域入出管理のステップの終了を受けて開始される判断部の処理ルーチンである。
【図18】位置情報受信部が位置情報を受信して開始される処理ルーチンのフローチャートである。
【図19】被保護者滞在状況管理DBの情報の一例を示す図である。
【図20】従来における情報監視システムの一例を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0109】
1、1a、400 サーバ装置
2 被保護者用携帯電話
3 保護者用携帯電話
4 保護者用コンピュータ
5 基地局
6 インターネット
10 サーバ装置用CPU
11 サーバ装置用記憶部
12 データベース
20、30 CPU
20、21、22 電子地図
40 管理センター
41、42、43 携帯電話
100 位置情報受信部
101 地域情報記憶部
102 入出管理部
103 判断部
104 位置情報通知部
105 滞在時間算出部
106 滞在時間超過通知部
110 被保護者管理DB
111 安全・危険地域管理DB
112 被保護者滞在状況管理DB
113 電子地図情報DB
200 位置情報取得部
201 着信切替設定部
202 着信自動設定部
300 位置情報受付部
401 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を監視する情報監視装置であって、
予め設定された被保護者にとって安全な地域を表す安全地域情報と危険な地域を表す危険地域情報とを含む地域情報を記憶する地域情報記憶手段と、
被保護者が有する位置情報取得装置から送信される現在位置を表す位置情報を受信する位置情報受信手段と、
前記位置情報と前記地域情報とに基づいて、前記被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断する判断手段と、
前記判断手段で得られた判断結果に応じて、前記被保護者の保護者の端末に該判断結果を通知する位置情報通知手段と、を備えたことを特徴とする情報監視装置。
【請求項2】
前記安全地域および前記危険地域は、被保護者ごとに予め定められた地域である、ことを特徴とする請求項1記載の情報監視装置。
【請求項3】
前記位置情報は、前記被保護者のいる場所の経度、緯度を含む情報である、ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報監視装置。
【請求項4】
前記位置情報受信手段は、受信した前記被保護者の位置情報を記憶し、
時間的に前後する前記位置情報に基づいて、前記安全地域もしくは前記危険地域に対する前記被保護者の入出を管理する入出管理手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の情報監視装置。
【請求項5】
前記位置情報受信手段は、受信した前記被保護者の位置情報に日時情報を関連付けて記憶し、
前記被保護者の位置情報を受信するたびに、前記位置情報と前記日時情報とに基づいて前記被保護者が同一場所に滞在している滞在時間を算出する滞在時間算出手段と、
算出された滞在時間が予め定められた滞在可能時間を超えた場合に、該滞在可能時間を超えた被保護者の保護者の端末にその旨を通知する滞在時間超過通知手段と、をさらに備えた、ことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の情報監視装置。
【請求項6】
前記滞在可能時間は、情報監視装置に対する保護者からの入力に応じて、短縮もしくは延長の変更の設定がなされる、ことを特徴とする請求項5記載の情報監視装置。
【請求項7】
ネットワークを介して接続された、被保護者が使用する携帯端末と、保護者が使用する端末と、位置情報を監視する情報監視装置と、を備え、
前記被保護者が使用する携帯端末は、
現在位置の位置情報を取得して前記情報監視装置に送信する位置情報取得手段を備え、
前記情報監視装置は、
前記被保護者にとって安全な地域を表す安全地域情報と危険な地域を表す危険地域情報とを含む地域情報を記憶する地域情報記憶手段と、
被保護者が有する携帯端末から送信される前記位置情報を受信する位置情報受信手段と、
前記位置情報と前記地域情報とに基づいて、前記被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断する判断手段と、
前記判断手段で得られた判断結果に応じて、前記被保護者の保護者の端末に該判断結果を通知する位置情報通知手段とを備え、
前記保護者が使用する端末は、
前記情報監視装置の前記位置情報通知手段から前記判断結果の通知を受ける位置情報受付部と、を備えたことを特徴とする情報監視システム。
【請求項8】
前記携帯端末は、
手動着信もしくは自動着信の設定を切り替える着信切替設定部と、
着呼が発生したときに前記着信切替設定部の設定が自動着信の場合には、着信処理を自動的に行う着信自動受付部と、を備えたことを特徴とする請求項7記載の情報監視システム。
【請求項9】
コンピュータが、位置情報を監視する情報監視方法であって、
被保護者が有する位置情報取得装置から送信される現在位置を表す位置情報を受信する位置情報受信工程と、
前記位置情報と、予め設定され記憶された前記被保護者にとって安全な地域を表す安全地域情報と危険な地域を表す危険地域情報とを含む地域情報とに基づいて、前記被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断する判断工程と、
前記判断工程で得られた判断結果に応じて、前記被保護者の保護者の端末に該判断結果を通知する位置情報通知工程と、を備えたことを特徴とする情報監視方法。
【請求項10】
情報監視装置に、被保護者が有する位置情報取得装置から送信される現在位置を表す位置情報を受信する位置情報受信手段と、
前記位置情報と、予め設定され記憶された前記被保護者にとって安全な地域を表す安全地域情報と危険な地域を表す危険地域情報とを含む地域情報とに基づいて、前記被保護者が、安全地域、危険地域、それ以外の地域のいずれにいるかを判断する判断手段と、
前記判断手段で得られた判断結果に応じて、前記被保護者の保護者の端末に該判断結果を通知する位置情報通知手段と、を実現するための情報監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−192096(P2008−192096A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28720(P2007−28720)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】