感光体支持構造および画像形成装置
【課題】 本発明は感光体支持構造および画像形成装置に関し、感光体の軸方向の位置決めを行なうとともに感光体の交換を可能ならしめる。
【解決手段】 円形外面を有する2つの枠体に両端が支持された円筒形の感光体211と、感光体211の2つの枠体の中央を貫通する回転軸28と、回転軸28の前端部外周を回転自在に支持し回転軸28を垂線とする向きに広がる前支持板221と、2つの枠体のうちの前端側に位置する第1の枠体211_2aの前面に当接する当接部材223と、前支持板221と当接部材223との間に介在し当接部材223を第1の枠体211_2aに弾性的に押し当てるコイルバネ225とを有する。
【解決手段】 円形外面を有する2つの枠体に両端が支持された円筒形の感光体211と、感光体211の2つの枠体の中央を貫通する回転軸28と、回転軸28の前端部外周を回転自在に支持し回転軸28を垂線とする向きに広がる前支持板221と、2つの枠体のうちの前端側に位置する第1の枠体211_2aの前面に当接する当接部材223と、前支持板221と当接部材223との間に介在し当接部材223を第1の枠体211_2aに弾性的に押し当てるコイルバネ225とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光体支持構造および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高画質が要求される画像形成装置の場合、感光体の位置決めを行なうにあたり、円筒形の感光体を貫通する貫通軸を背面側支持板から前面側まで渡し、軸受で貫通軸と交わる方向の位置を決める構成をとる。このとき、感光体の貫通軸と交わる方向の位置は貫通軸と軸受とのはめ合いで決まる。
【0003】
一方、感光体の貫通軸方向の位置決めに関しては、以下の構造が知られている。
【0004】
特許文献1では、円形外面を有し感光体の前後端を支持する枠体のうちの前面側の枠体の開口部に楔形の部材を押し込むことで感光体の軸方向の位置を決めている。
【0005】
また、特許文献2では、感光体の枠体に錐形状の凹部を形成し、円錐形先端を有する軸を感光体枠体の凹部に押し当てることで感光体の軸方向の位置を決めている。
【特許文献1】特開2001−042587号公報
【特許文献2】特開2002−206754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、感光体の軸方向の位置決めを行なうとともに感光体の交換が可能な感光体支持構造およびその感光体支持構造を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の感光体支持構造は、円形外面を有する2つの枠体に両端が支持された円筒形の感光体と、
前記2つの枠体それぞれの中央を貫通し前記感光体を回転させる回転軸と、
前記回転軸前端部外周を回転自在に支持し該回転軸を垂線とする向きに広がる前支持板と、
前記2つの枠体のうちの前端側に位置する第1の枠体の前面に当接する当接部材と、
前記前支持板と前記当接部材との間に介在し該当接部材を前記第1の枠体に弾性的に押し当てる押当部材とを有する感光体支持構造である。
【0008】
また、請求項2の感光体支持構造は、請求項1記載の感光体支持構造において、前記前支持板前面に配置され該前支持板に接離自在な操作部と、該操作部から該前支持板を貫通して該前支持板背面側に延び、該操作部を該前支持板から引き離す方向への第1の操作を受けたときに前記当接部材を該前支持板側に引き寄せることによって該当接部材と前記第1の枠体とを引き離す引寄軸とを有する第1の操作部材をさらに有する感光体支持構造である。
【0009】
さらに、請求項3の感光体支持構造は、請求項2記載の感光体支持構造において、前記前支持板が、前記操作部を該前支持板から引き離した状態のまま前記引寄軸を支持する軸支持構造を有する感光体支持構造である。
【0010】
また、請求項4の画像形成装置は、請求項1から3のうちのいずれか1項記載の感光体支持構造を有し、前記感光体上にトナー像を形成し該トナー像を用紙上に転写および定着することにより該用紙上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置である。
【0011】
また請求項5の画像形成装置は、請求項4の画像形成装置において、前記前支持板が、前記感光体支持構造のうちの前記回転軸を除く要素を伴って当該画像形成装置の筐体から引出自在に構成された画像形成装置である。
【0012】
さらに、請求項6の画像形成装置は、請求項5記載の画像形成装置であって、
前記感光体に接して配置され該感光体上に形成されたトナー像の転写を受けて該トナー像を用紙上に再転写する中間転写体と、
前記中間転写体を前記感光体から離間させる第2の操作を受ける第2の操作部材とを有し、
前記第2の操作部材が、前記第2の操作を受ける前の状態において前記前支持板前面に位置し、該第2の操作前における該前支持板の引出操作を禁止する操作禁止片を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1によれば、感光体の軸方向の位置決めが行なわれ、感光体の交換も可能な感光体支持構造が実現する。
【0014】
また、請求項2によれば、上記の第1の操作部材を有しない構造と比べ、感光体の交換が容易な感光体支持構造が実現する。
【0015】
さらに、請求項3によれば、上記の軸支持構造を有しない場合と比べ、感光体の交換がさらに容易な感光体支持構造が実現する。
【0016】
また、請求項4によれば、感光体の軸方向の位置決めが行なわれて高画質の画像形成に資するとともに、感光体摩耗時には感光体の交換が可能な画像形成装置が実現する。
【0017】
また、請求項5によれば、引出自在ではない構成と比べ、感光体の交換が容易となる。
【0018】
さらに、請求項6によれば、感光体交換時に中間転写体に傷が付くのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
図1は、画像形成装置の概要を示す原理構成図である。
【0021】
この図1には、用紙搬送部10と、画像形成部20と、用紙収容部30を有する画像形成装置1が示されている。
【0022】
画像形成部20は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に対応する各画像形成ユニット21Y、21M、21C、21Kと、中間転写体22と、二次転写部24と、定着器25とを有する。尚、ここでは、図示の煩雑化を避けるために、画像形成ユニット21Yを構成する構成要素のみに符号を付して説明するが、残りの画像形成ユニット21M、21C、21Kの構成についても、取扱うトナーの色が異なること以外、画像形成ユニット21Yの構成と同じである。
【0023】
画像形成ユニット21Yは、電子写真方式によりトナー像を形成する。この画像形成ユニット21Yは、感光体211、帯電器212、露光器213、現像器214、および一次転写器215等を有する。画像形成ユニット21Yおよび画像形成ユニット21M、21C、21Kは、中間転写体22上にY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を転写(一次転写)する。
【0024】
代表的に画像形成ユニット21Yを取り挙げて説明を続ける。
【0025】
尚、以下では、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kを代表させて画像形成ユニット21と表記することがある。
【0026】
感光体211は、矢印A方向に回転するドラム状の部材である。帯電器212は、感光体211の表面を帯電させる。露光器213は、帯電した感光体211にビーム(図中の符号Bm)を照射して静電潜像を形成する。現像器214は、感光体211に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。一次転写器215は、感光体211に形成されたトナー像を中間転写体22に転写する。この一次転写器215には、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加されるようになっており、各画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kを構成する各感光体211上のトナー像が中間転写体22に順次静電吸引され、中間転写体22上に各色のトナー像が重ねられたカラーのトナー像が形成される。
【0027】
中間転写体22は、複数のロールによって張架され図に示す矢印B方向に回転可能に構成されたベルト状の部材である。ここで、中間転写体22を張架しているロールには、図示しないモータにより駆動されて中間転写体22を回転させる駆動ロール291、中間転写体22に対して一定の張力を与えると共に中間転写体22の蛇行を防止する機能を備えたテンションロール292、中間転写体22を支持するアイドルロール293、およびバックアップロール242が有る。
【0028】
用紙搬送部10には、用紙収容部30に収容された用紙Pを繰り出して搬送するピックアップロール11、ピックアップロール11により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール12、搬送ロール12により搬送されてきた用紙Pを二次転写部24による二次転写位置へと送り込む案内部材234、および二次転写後の用紙Pを定着器25へと搬送する搬送ベルト235が備えられている。
【0029】
二次転写部24には、中間転写体22のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール241と、中間転写体22の裏面側に配置されて二次転写ロール241の対向電極をなすバックアップロール242が備えられている。また、この二次転写部24には、この二次転写ロール241に付着した汚れを除去するブラシロール244が二次転写ロール241に接触して配置されている。さらに、バックアップロール242に接触して二次転写バイアスを印加する金属製の給電ロール243が配置されている。
【0030】
また、中間転写体22の回転方向についての二次転写ロール241の下流側には、二次転写後の中間転写体22の表面をクリーニングするベルトクリーナ294が設けられている。一方、二次転写ロール241の上流側には、画質調整を行なうための、中間転写体22上の画像の濃度を測定する画像濃度センサ295が配設されている。
【0031】
さらに、画像形成ユニット21Yの上流側には、各画像形成ユニット21における画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)296が配置されている。この基準センサ296は、中間転写体22の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生する。各画像形成ユニット21は、その基準信号を基にした各タイミングで画像形成を開始する。
【0032】
定着器25には、用紙Pを加熱及び加圧するためのロール部材が備えられており、用紙Pに転写されたトナー像をその用紙P上に定着させる。定着器25でトナー像の定着を受けた用紙Pは、この画像形成装置1の外部に送り出される。
【0033】
図2は、図1に原理構成を示した画像形成装置の外観斜視図である。但し、ここでは、内部構造の図示のために、前面を覆う前面パネルを取り外した状態が示されており、また、本実施形態における主要要素の図示のために他の要素の図示が一部省略されている。
【0034】
この図2に示す画像形成装置の下部には、引き出し式の用紙収容部30が備えられており、また上部には、4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kが配置されている。またそれら4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの下部には、それらの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kに接して延在する無端状の中間転写体22が配置されている。
【0035】
さらに、それら4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの前面下方には、それら4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kを横切るように配置された操作バー41が備えられている。この操作レバー41は、人手による操作により回動し図2に示す矢印A方向に倒れる。この操作レバー41が矢印A方向に倒れると、この操作レバー41の動きにより中間転写体22が下方に少し移動し、4つの画像形成ユニット21のそれぞれに備えられた感光体211(図1参照)から少し離れる。感光体211は使用している間に少しずつ摩耗するため交換する必要があり、感光体211の交換の際に感光体211が中間転写体22と擦れるのを防ぐための措置である。この操作レバー41は、本発明にいう第2の操作部材の一例に相当する。
【0036】
図3は、図2に示す画像形成装置と同じ画像形成装置であって、画像形成ユニットを引き出した状態を示した外観斜視図、図4は、画像形成ユニットを引き出した状態の拡大斜視図である。
【0037】
4つの画像形成ユニット21は、それぞれ独立に引き出すことができる。図3では、操作レバー41は、操作後の状態(倒れた状態)にある。
【0038】
操作レバー41が図2に示す立てた状態にあるときは、中間転写体22は各画像形成ユニット21を構成する感光体211に接触している。画像形成ユニット21を引き出す際に中間転写体22が感光体211に接触したままでは感光体211が中間転写体22に擦れて中間転写体22に傷を付けるおそれがある。そこで、ここでは操作レバー41が図2に示す立てた状態にあるときは、その操作レバー41が邪魔になって画像形成ユニット21を引き出せないようになっている。操作レバー41を図3に示すように倒すと、画像形成ユニット21の前面が開放され、各画像形成ユニット21をそれぞれ独立に引き出すことができる。
【0039】
図5、図6は、1つの画像形成ユニットの前端部分をそれぞれ前側、後側から示す各斜視図である。これら図5、図6では、感光体211は、回転軸方向に位置決めされた状態(以下、「位置決め状態」と称する)にある。
【0040】
また、図7は位置決め状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含み垂直に広がる平面で断面したときの断面側面図、図8は、図7の断面を示した断面斜視図である。
【0041】
さらに図9は、位置決め状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含む水平面で断面したときの断面平面図、図10は、図9の断面を示した断面斜視図である。
【0042】
画像形成ユニット21は、図1に示すように、感光体211のほか現像器214やその他の部品から構成されているが、本実施形態の特徴は感光体の支持構造にあり、ここでは一部要素を省略して図示してあり、感光体の支持構造を中心に説明する。
【0043】
以下では、主に図7を参照し、必要に応じて他の図も合わせて参照しながら説明する。
【0044】
感光体211は、感光体層を有する感光体フィルム211_1の両端が円形外面を有する2つの枠体211_2a,211_2b(図5参照)に支持されて円筒形を形成している。また、ここには、それら2つの枠体211_2a,211_2bの中央を貫通する回転軸28が設けられている。この回転軸28は、その後端部が、回転自在、かつ回転以外は固定的に支持されており、その後端部で回転駆動力を受けるように構成されている。この回転軸28には駆動受渡し部材28_1が固定されており、回転軸28は駆動受渡し部材28_1を介して前側の枠体211_2aと連結され、回転軸28が回転するとその回転が枠体211_2aに伝達され、枠体211_2aとその枠体211_2aに支持されている感光体フィルム211_1も回転軸28と一体に回転する。
【0045】
また、この感光体211の前面には、回転軸28を垂線とする向きに広がる前支持板221が備えられている。この前支持板221には支持開口221_1(図7参照)が形成され、その支持開口221_1には、ボールベアリングによる軸受け222が配置され、感光体211の回転軸前端部がその軸受け222に挿入されて支持されている。感光体211の、回転軸方向(前後方向)を除く左右および上下の方向の位置精度は、軸受け222の位置精度に依存し、その軸受け222により、左右および上下の位置決めがなされている。
【0046】
前側の枠体211_2aの前端部211_21aは筒状に延びており、その前端面211_22aには当接部材223の背面が当接している。この当接部材223は、前面が開いた円筒形状に形成されており、同じく円筒形状に形成され後面が開いた案内部材224に案内されて前後に移動する構造となっている。また、この当接部材223および案内部材224で囲まれた内部空間にはコイルバネ225が配置されている。当接部材223はこのコイルバネ225に押されて枠体211_2aの前端面211_22aを後方に押圧している。この当接部材223による枠体211_2aの押圧により枠体211_2aが駆動受渡し部材28_1に押し当てられ、これにより感光体211の前後方向(回転軸方向)の位置が決められている。
【0047】
また、ここには、操作部材226が備えられており、前支持板221の前面には、その操作部材226を構成する円盤形状の操作部226_1が配置されている。
【0048】
また、この操作部材226は、操作部226_1から前支持板221を貫通して前支持板221の背面側に延びる2本の引寄軸226_2が設けられている(図9参照)。また、前支持板221と操作部226_1との間には、引寄軸226_2を取り巻いて弱めのコイルバネ226_3が配置されている。この引寄軸226_2の後端部(前支持板221の背面側に延びた先端部分)は、環状部材229を介して当接部材223に係止している。このため、操作部材226は、引寄軸226_2がコイルバネ225の作用により後方に引き込まれて操作部226_1が前支持板221にほぼ接する状態に配置されている。またこの引寄軸226_2には、その途中に細径に形成された窪み部226_21を有する。この窪み部226_21の作用については後述する。
【0049】
この操作部材226は、感光体211を交換する際に操作される操作部材であり、本発明にいう第1の操作部材の一例に相当する。
【0050】
前支持板221の前面には、取っ手227(図5参照)が備えられており、この取っ手227を手で持って画像形成ユニット21を図3に示す状態にまで引き出し、また、図2に示す状態にまで押し込むことができる。
【0051】
また、図5に示すように、前支持板221の前面には案内軸228が固定されている。また、この前支持板221には、異形の穴221_2が形成されている。例えば図5などは、帯電器212(図1参照)などを取り外した状態の画像形成ユニット21を示した図であるが、異形の穴221_2および案内軸228は、帯電器212(図1参照)をこの画像形成ユニット21に組み立てるときに帯電器212を通す穴およびその際に帯電器212を案内するための案内軸である。
【0052】
尚、感光体211の回転軸28の前端面には窪み28_2が形成されているが、この窪み28_2はメンテナンス時等において感光体211の回転速度測定用の回転計を取り付けるためのものであり、本実施形態における感光体支持構造とは無関係である。
【0053】
図11、図12は、以下において説明する退避状態における、1つの画像形成ユニットの前端部分のそれぞれ前面側、背面側を示す各斜視図である。
【0054】
また、図13は、退避状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含み垂直に広がる平面で断面したときの断面側面図、図14は、図13の断面を示した断面斜視図である。
【0055】
さらに、図15は、退避状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含む水平面で断面したときの断面平面図、図16は、図15の断面を示した断面斜視図である。
【0056】
ここでは、主に図15を参照し、必要に応じて他の図面も合わせて参照しながら説明する。
【0057】
操作部材226の引寄軸226_2が貫通している前支持板221の穴221_1(例えば図11参照)は、円形の2つの穴が連なった形状を有しており、操作部材226の操作部226_1を前支持板221から引き離す方向に手前に引いて少し回すと、引寄軸226_2の窪み部226_21(例えば図9参照)が前支持板221の穴222_1に係止され、操作部226_1を前支持板221から引き離した状態のまま、操作部材226を前支持板221に支持させることができる。前述したように、操作部材226を構成する引寄軸226_2はその前端部が環状部材229を介して当接部材223に係止しており、操作部226_1を前支持板221から引き離す方向に手前に引くと当接部材223が引寄軸226_2により前方に引かれる。すると、当接部材223は、コイルバネ225を縮めながら案内部材224に案内されて前方(前支持板221側)に移動して案内部材224と重なった状態となり、当接部材223と感光体221の枠体211_2aの前端211_22aとの間に隙き間230を形成する。この状態のまま操作部226_1を少し回すと、前述の通り、引寄軸226_2の窪み部226_21が前支持板221に係止され、操作部材226はその状態のまま前支持板221に固定される。ここでは、この当接部材223が枠体211_2aから退避した状態を退避状態と称している。
【0058】
感光体211を交換するにあたっては、先ず、前支持板221および感光体211を含む画像形成ユニット21を、図3に示すように画像形成装置1の筐体から引き出す。ここで、回転軸28は、その後端が画像形成装置1の筐体側に固定されているので、画像形成ユニット21を筐体から引き出すと、感光体211から回転軸28が引き抜かれる。そこで、さらに操作部226_1を操作して退避状態とし、隙き間230を利用して感光体211を取り外す。感光体211を取り外した後、新たな感光体211を取り付け、操作部226_1を逆向きに少し回すと引寄軸226_2の窪み部226_21が前支持板221から外れ、コイルバネ225の作用により操作部材226が後方に引かれ、感光体221の枠体221_2aの前端面221_22aに当接部材223の背面が当接して感光体211を後方に押す。これにより、感光体211の後端側の枠体211_2b(図5参照)が、その引き出された画像形成ユニット21を構成する後方の支持板(図示せず)に当接する。その後、画像形成ユニット21を画像形成装置1の筐体に押し込むと、回転軸28が感光体211を貫通し、図7等に示す位置決め状態となる。この図7に示す最終位置決め状態となる直前に、回転軸28に固定された駆動受渡し部材28_1が前端側の枠体211_2aに突き当たり、画像形成ユニット21全体はその後も若干押し込まれるため、感光体211の後端側の枠体211_2aは後方の支持板(図示せず)からは浮いた状態となり、感光体211は、前端側の枠体211_2aが駆動受渡し部材28_1に押し当てられた位置に位置決めされる。
【0059】
図17は、位置決め状態における、複数の画像形成ユニットと操作レバーとの位置関係を示す斜視図、図18は、位置決め状態における複数の画像形成ユニットと操作レバーとの位置関係を示す側面断面図である。
【0060】
また図19は、少しだけ倒した状態の操作レバーを示す側面断面図である。さらに、図20は、退避状態における、複数の画像形成ユニットを示す斜視図、図21は、退避状態における複数の画像形成ユニットを示す側面断面図である。
【0061】
操作レバー41は、前述したように横に並ぶ4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの前面下方に配置されてそれら4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kに跨って左右に延びている。
【0062】
この操作レバー41には、各画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kのそれぞれに対応して上方に広がる操作禁止片411が設けられている。また操作部材226には、その操作部226_1の下部に係止舌片226_4が設けられている。
【0063】
図17、図18に示す位置決め状態では、操作レバー41は立てた状態にあり、操作レバー41の操作禁止片411は操作部材226の係止舌片216_4と上下方向に重なる位置まで上に広がっている。
【0064】
この状態のまま、画像形成ユニット21を引き出そうとしたり操作部226_1を引き出そうとすると係止舌片226_4が操作禁止片411に当たり引き出すことができないようになっている。
【0065】
そこで、操作レバー41を図19に示す矢印A方向(図2に示す矢印A方向と同じ)に回動させる。すると、操作禁止片411が係止舌片226_4の前面から退避し、画像形成ユニット21や操作部226_1を引き出すことができる状態となる。操作レバー41は、本来は図3に示すように横向きになるまで操作され、中間転写体22が感光体211から離されるが、図20、図21では、分かり易さのため操作レバーは少しだけ回動させた状態に示してある。
【0066】
このように、操作レバー41を操作してからでないと画像形成ユニット21の引き出しや操作部材226の操作を不能としておくことにより操作の順番が一義的に定められ、中間転写体22が感光体211と擦れて傷が付くおそれをなくしている。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】画像形成装置の概要を示す原理構成図である。
【図2】画像形成装置の外観斜視図である。
【図3】画像形成ユニットを引き出した状態を示した外観斜視図である。
【図4】画像形成ユニットを引き出した状態の拡大斜視図である。
【図5】画像形成ユニットの前端部分を前側から示す斜視図である。
【図6】画像形成ユニットの前端部分を後側から示す斜視図である。
【図7】位置決め状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含み垂直に広がる平面で断面したときの断面側面図である。
【図8】図7の断面を示した断面斜視図である。
【図9】位置決め状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含む水平面で断面したときの断面平面図である。
【図10】図9の断面を示した断面斜視図である。
【図11】画像形成ユニットの前端部分の、退避状態における前面側を示す斜視図である。
【図12】画像形成ユニットの前端部分の、退避状態における背面側を示す斜視図である。
【図13】退避状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含み垂直に広がる平面で断面したときの断面側面図である。
【図14】図13の断面を示した断面斜視図である。
【図15】退避状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含む水平面で断面したときの断面平面図である。
【図16】図15の断面を示した断面斜視図である。
【図17】位置決め状態における、複数の画像形成ユニットと操作レバーとの位置関係を示す斜視図である。
【図18】位置決め状態における、複数の画像形成ユニットと操作レバーとの位置関係を示す側面断面図である。
【図19】少しだけ倒した状態の操作レバーを示す側面断面図である。
【図20】退避状態における複数の画像形成ユニットを示す斜視図である。
【図21】退避状態における複数の画像形成ユニットを示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置
10 用紙搬送部
11 ピックアップロール
12 搬送ロール
20 画像形成部
21Y,21M,21C,21K 画像形成ユニット
22 中間転写体
24 二次転写部
25 定着器
28 回転軸
28_1 駆動受渡し部材
30 用紙収容部
41 操作レバー
211 感光体
211_1 感光体フイルム
211_2a,211_2b 枠体
211_3 回転軸
211_21a 前端部
211_22a 前端面
211_31 窪み
212 帯電器
213 露光器
214 現像器
215 一次転写器
221 前支持板
221_1 支持開口
222 軸受け
223 当接部材
224 案内部材
225 コイルバネ
225_4 係止舌片
226 第1の操作部材
226_1 操作部
226_2 引寄軸
226_21 窪み部
227 取っ手
229 環状部材
230 隙き間
411 操作禁止片
【技術分野】
【0001】
本発明は感光体支持構造および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高画質が要求される画像形成装置の場合、感光体の位置決めを行なうにあたり、円筒形の感光体を貫通する貫通軸を背面側支持板から前面側まで渡し、軸受で貫通軸と交わる方向の位置を決める構成をとる。このとき、感光体の貫通軸と交わる方向の位置は貫通軸と軸受とのはめ合いで決まる。
【0003】
一方、感光体の貫通軸方向の位置決めに関しては、以下の構造が知られている。
【0004】
特許文献1では、円形外面を有し感光体の前後端を支持する枠体のうちの前面側の枠体の開口部に楔形の部材を押し込むことで感光体の軸方向の位置を決めている。
【0005】
また、特許文献2では、感光体の枠体に錐形状の凹部を形成し、円錐形先端を有する軸を感光体枠体の凹部に押し当てることで感光体の軸方向の位置を決めている。
【特許文献1】特開2001−042587号公報
【特許文献2】特開2002−206754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、感光体の軸方向の位置決めを行なうとともに感光体の交換が可能な感光体支持構造およびその感光体支持構造を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の感光体支持構造は、円形外面を有する2つの枠体に両端が支持された円筒形の感光体と、
前記2つの枠体それぞれの中央を貫通し前記感光体を回転させる回転軸と、
前記回転軸前端部外周を回転自在に支持し該回転軸を垂線とする向きに広がる前支持板と、
前記2つの枠体のうちの前端側に位置する第1の枠体の前面に当接する当接部材と、
前記前支持板と前記当接部材との間に介在し該当接部材を前記第1の枠体に弾性的に押し当てる押当部材とを有する感光体支持構造である。
【0008】
また、請求項2の感光体支持構造は、請求項1記載の感光体支持構造において、前記前支持板前面に配置され該前支持板に接離自在な操作部と、該操作部から該前支持板を貫通して該前支持板背面側に延び、該操作部を該前支持板から引き離す方向への第1の操作を受けたときに前記当接部材を該前支持板側に引き寄せることによって該当接部材と前記第1の枠体とを引き離す引寄軸とを有する第1の操作部材をさらに有する感光体支持構造である。
【0009】
さらに、請求項3の感光体支持構造は、請求項2記載の感光体支持構造において、前記前支持板が、前記操作部を該前支持板から引き離した状態のまま前記引寄軸を支持する軸支持構造を有する感光体支持構造である。
【0010】
また、請求項4の画像形成装置は、請求項1から3のうちのいずれか1項記載の感光体支持構造を有し、前記感光体上にトナー像を形成し該トナー像を用紙上に転写および定着することにより該用紙上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置である。
【0011】
また請求項5の画像形成装置は、請求項4の画像形成装置において、前記前支持板が、前記感光体支持構造のうちの前記回転軸を除く要素を伴って当該画像形成装置の筐体から引出自在に構成された画像形成装置である。
【0012】
さらに、請求項6の画像形成装置は、請求項5記載の画像形成装置であって、
前記感光体に接して配置され該感光体上に形成されたトナー像の転写を受けて該トナー像を用紙上に再転写する中間転写体と、
前記中間転写体を前記感光体から離間させる第2の操作を受ける第2の操作部材とを有し、
前記第2の操作部材が、前記第2の操作を受ける前の状態において前記前支持板前面に位置し、該第2の操作前における該前支持板の引出操作を禁止する操作禁止片を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1によれば、感光体の軸方向の位置決めが行なわれ、感光体の交換も可能な感光体支持構造が実現する。
【0014】
また、請求項2によれば、上記の第1の操作部材を有しない構造と比べ、感光体の交換が容易な感光体支持構造が実現する。
【0015】
さらに、請求項3によれば、上記の軸支持構造を有しない場合と比べ、感光体の交換がさらに容易な感光体支持構造が実現する。
【0016】
また、請求項4によれば、感光体の軸方向の位置決めが行なわれて高画質の画像形成に資するとともに、感光体摩耗時には感光体の交換が可能な画像形成装置が実現する。
【0017】
また、請求項5によれば、引出自在ではない構成と比べ、感光体の交換が容易となる。
【0018】
さらに、請求項6によれば、感光体交換時に中間転写体に傷が付くのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
図1は、画像形成装置の概要を示す原理構成図である。
【0021】
この図1には、用紙搬送部10と、画像形成部20と、用紙収容部30を有する画像形成装置1が示されている。
【0022】
画像形成部20は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に対応する各画像形成ユニット21Y、21M、21C、21Kと、中間転写体22と、二次転写部24と、定着器25とを有する。尚、ここでは、図示の煩雑化を避けるために、画像形成ユニット21Yを構成する構成要素のみに符号を付して説明するが、残りの画像形成ユニット21M、21C、21Kの構成についても、取扱うトナーの色が異なること以外、画像形成ユニット21Yの構成と同じである。
【0023】
画像形成ユニット21Yは、電子写真方式によりトナー像を形成する。この画像形成ユニット21Yは、感光体211、帯電器212、露光器213、現像器214、および一次転写器215等を有する。画像形成ユニット21Yおよび画像形成ユニット21M、21C、21Kは、中間転写体22上にY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を転写(一次転写)する。
【0024】
代表的に画像形成ユニット21Yを取り挙げて説明を続ける。
【0025】
尚、以下では、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kを代表させて画像形成ユニット21と表記することがある。
【0026】
感光体211は、矢印A方向に回転するドラム状の部材である。帯電器212は、感光体211の表面を帯電させる。露光器213は、帯電した感光体211にビーム(図中の符号Bm)を照射して静電潜像を形成する。現像器214は、感光体211に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。一次転写器215は、感光体211に形成されたトナー像を中間転写体22に転写する。この一次転写器215には、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加されるようになっており、各画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kを構成する各感光体211上のトナー像が中間転写体22に順次静電吸引され、中間転写体22上に各色のトナー像が重ねられたカラーのトナー像が形成される。
【0027】
中間転写体22は、複数のロールによって張架され図に示す矢印B方向に回転可能に構成されたベルト状の部材である。ここで、中間転写体22を張架しているロールには、図示しないモータにより駆動されて中間転写体22を回転させる駆動ロール291、中間転写体22に対して一定の張力を与えると共に中間転写体22の蛇行を防止する機能を備えたテンションロール292、中間転写体22を支持するアイドルロール293、およびバックアップロール242が有る。
【0028】
用紙搬送部10には、用紙収容部30に収容された用紙Pを繰り出して搬送するピックアップロール11、ピックアップロール11により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール12、搬送ロール12により搬送されてきた用紙Pを二次転写部24による二次転写位置へと送り込む案内部材234、および二次転写後の用紙Pを定着器25へと搬送する搬送ベルト235が備えられている。
【0029】
二次転写部24には、中間転写体22のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール241と、中間転写体22の裏面側に配置されて二次転写ロール241の対向電極をなすバックアップロール242が備えられている。また、この二次転写部24には、この二次転写ロール241に付着した汚れを除去するブラシロール244が二次転写ロール241に接触して配置されている。さらに、バックアップロール242に接触して二次転写バイアスを印加する金属製の給電ロール243が配置されている。
【0030】
また、中間転写体22の回転方向についての二次転写ロール241の下流側には、二次転写後の中間転写体22の表面をクリーニングするベルトクリーナ294が設けられている。一方、二次転写ロール241の上流側には、画質調整を行なうための、中間転写体22上の画像の濃度を測定する画像濃度センサ295が配設されている。
【0031】
さらに、画像形成ユニット21Yの上流側には、各画像形成ユニット21における画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)296が配置されている。この基準センサ296は、中間転写体22の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生する。各画像形成ユニット21は、その基準信号を基にした各タイミングで画像形成を開始する。
【0032】
定着器25には、用紙Pを加熱及び加圧するためのロール部材が備えられており、用紙Pに転写されたトナー像をその用紙P上に定着させる。定着器25でトナー像の定着を受けた用紙Pは、この画像形成装置1の外部に送り出される。
【0033】
図2は、図1に原理構成を示した画像形成装置の外観斜視図である。但し、ここでは、内部構造の図示のために、前面を覆う前面パネルを取り外した状態が示されており、また、本実施形態における主要要素の図示のために他の要素の図示が一部省略されている。
【0034】
この図2に示す画像形成装置の下部には、引き出し式の用紙収容部30が備えられており、また上部には、4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kが配置されている。またそれら4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの下部には、それらの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kに接して延在する無端状の中間転写体22が配置されている。
【0035】
さらに、それら4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの前面下方には、それら4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kを横切るように配置された操作バー41が備えられている。この操作レバー41は、人手による操作により回動し図2に示す矢印A方向に倒れる。この操作レバー41が矢印A方向に倒れると、この操作レバー41の動きにより中間転写体22が下方に少し移動し、4つの画像形成ユニット21のそれぞれに備えられた感光体211(図1参照)から少し離れる。感光体211は使用している間に少しずつ摩耗するため交換する必要があり、感光体211の交換の際に感光体211が中間転写体22と擦れるのを防ぐための措置である。この操作レバー41は、本発明にいう第2の操作部材の一例に相当する。
【0036】
図3は、図2に示す画像形成装置と同じ画像形成装置であって、画像形成ユニットを引き出した状態を示した外観斜視図、図4は、画像形成ユニットを引き出した状態の拡大斜視図である。
【0037】
4つの画像形成ユニット21は、それぞれ独立に引き出すことができる。図3では、操作レバー41は、操作後の状態(倒れた状態)にある。
【0038】
操作レバー41が図2に示す立てた状態にあるときは、中間転写体22は各画像形成ユニット21を構成する感光体211に接触している。画像形成ユニット21を引き出す際に中間転写体22が感光体211に接触したままでは感光体211が中間転写体22に擦れて中間転写体22に傷を付けるおそれがある。そこで、ここでは操作レバー41が図2に示す立てた状態にあるときは、その操作レバー41が邪魔になって画像形成ユニット21を引き出せないようになっている。操作レバー41を図3に示すように倒すと、画像形成ユニット21の前面が開放され、各画像形成ユニット21をそれぞれ独立に引き出すことができる。
【0039】
図5、図6は、1つの画像形成ユニットの前端部分をそれぞれ前側、後側から示す各斜視図である。これら図5、図6では、感光体211は、回転軸方向に位置決めされた状態(以下、「位置決め状態」と称する)にある。
【0040】
また、図7は位置決め状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含み垂直に広がる平面で断面したときの断面側面図、図8は、図7の断面を示した断面斜視図である。
【0041】
さらに図9は、位置決め状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含む水平面で断面したときの断面平面図、図10は、図9の断面を示した断面斜視図である。
【0042】
画像形成ユニット21は、図1に示すように、感光体211のほか現像器214やその他の部品から構成されているが、本実施形態の特徴は感光体の支持構造にあり、ここでは一部要素を省略して図示してあり、感光体の支持構造を中心に説明する。
【0043】
以下では、主に図7を参照し、必要に応じて他の図も合わせて参照しながら説明する。
【0044】
感光体211は、感光体層を有する感光体フィルム211_1の両端が円形外面を有する2つの枠体211_2a,211_2b(図5参照)に支持されて円筒形を形成している。また、ここには、それら2つの枠体211_2a,211_2bの中央を貫通する回転軸28が設けられている。この回転軸28は、その後端部が、回転自在、かつ回転以外は固定的に支持されており、その後端部で回転駆動力を受けるように構成されている。この回転軸28には駆動受渡し部材28_1が固定されており、回転軸28は駆動受渡し部材28_1を介して前側の枠体211_2aと連結され、回転軸28が回転するとその回転が枠体211_2aに伝達され、枠体211_2aとその枠体211_2aに支持されている感光体フィルム211_1も回転軸28と一体に回転する。
【0045】
また、この感光体211の前面には、回転軸28を垂線とする向きに広がる前支持板221が備えられている。この前支持板221には支持開口221_1(図7参照)が形成され、その支持開口221_1には、ボールベアリングによる軸受け222が配置され、感光体211の回転軸前端部がその軸受け222に挿入されて支持されている。感光体211の、回転軸方向(前後方向)を除く左右および上下の方向の位置精度は、軸受け222の位置精度に依存し、その軸受け222により、左右および上下の位置決めがなされている。
【0046】
前側の枠体211_2aの前端部211_21aは筒状に延びており、その前端面211_22aには当接部材223の背面が当接している。この当接部材223は、前面が開いた円筒形状に形成されており、同じく円筒形状に形成され後面が開いた案内部材224に案内されて前後に移動する構造となっている。また、この当接部材223および案内部材224で囲まれた内部空間にはコイルバネ225が配置されている。当接部材223はこのコイルバネ225に押されて枠体211_2aの前端面211_22aを後方に押圧している。この当接部材223による枠体211_2aの押圧により枠体211_2aが駆動受渡し部材28_1に押し当てられ、これにより感光体211の前後方向(回転軸方向)の位置が決められている。
【0047】
また、ここには、操作部材226が備えられており、前支持板221の前面には、その操作部材226を構成する円盤形状の操作部226_1が配置されている。
【0048】
また、この操作部材226は、操作部226_1から前支持板221を貫通して前支持板221の背面側に延びる2本の引寄軸226_2が設けられている(図9参照)。また、前支持板221と操作部226_1との間には、引寄軸226_2を取り巻いて弱めのコイルバネ226_3が配置されている。この引寄軸226_2の後端部(前支持板221の背面側に延びた先端部分)は、環状部材229を介して当接部材223に係止している。このため、操作部材226は、引寄軸226_2がコイルバネ225の作用により後方に引き込まれて操作部226_1が前支持板221にほぼ接する状態に配置されている。またこの引寄軸226_2には、その途中に細径に形成された窪み部226_21を有する。この窪み部226_21の作用については後述する。
【0049】
この操作部材226は、感光体211を交換する際に操作される操作部材であり、本発明にいう第1の操作部材の一例に相当する。
【0050】
前支持板221の前面には、取っ手227(図5参照)が備えられており、この取っ手227を手で持って画像形成ユニット21を図3に示す状態にまで引き出し、また、図2に示す状態にまで押し込むことができる。
【0051】
また、図5に示すように、前支持板221の前面には案内軸228が固定されている。また、この前支持板221には、異形の穴221_2が形成されている。例えば図5などは、帯電器212(図1参照)などを取り外した状態の画像形成ユニット21を示した図であるが、異形の穴221_2および案内軸228は、帯電器212(図1参照)をこの画像形成ユニット21に組み立てるときに帯電器212を通す穴およびその際に帯電器212を案内するための案内軸である。
【0052】
尚、感光体211の回転軸28の前端面には窪み28_2が形成されているが、この窪み28_2はメンテナンス時等において感光体211の回転速度測定用の回転計を取り付けるためのものであり、本実施形態における感光体支持構造とは無関係である。
【0053】
図11、図12は、以下において説明する退避状態における、1つの画像形成ユニットの前端部分のそれぞれ前面側、背面側を示す各斜視図である。
【0054】
また、図13は、退避状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含み垂直に広がる平面で断面したときの断面側面図、図14は、図13の断面を示した断面斜視図である。
【0055】
さらに、図15は、退避状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含む水平面で断面したときの断面平面図、図16は、図15の断面を示した断面斜視図である。
【0056】
ここでは、主に図15を参照し、必要に応じて他の図面も合わせて参照しながら説明する。
【0057】
操作部材226の引寄軸226_2が貫通している前支持板221の穴221_1(例えば図11参照)は、円形の2つの穴が連なった形状を有しており、操作部材226の操作部226_1を前支持板221から引き離す方向に手前に引いて少し回すと、引寄軸226_2の窪み部226_21(例えば図9参照)が前支持板221の穴222_1に係止され、操作部226_1を前支持板221から引き離した状態のまま、操作部材226を前支持板221に支持させることができる。前述したように、操作部材226を構成する引寄軸226_2はその前端部が環状部材229を介して当接部材223に係止しており、操作部226_1を前支持板221から引き離す方向に手前に引くと当接部材223が引寄軸226_2により前方に引かれる。すると、当接部材223は、コイルバネ225を縮めながら案内部材224に案内されて前方(前支持板221側)に移動して案内部材224と重なった状態となり、当接部材223と感光体221の枠体211_2aの前端211_22aとの間に隙き間230を形成する。この状態のまま操作部226_1を少し回すと、前述の通り、引寄軸226_2の窪み部226_21が前支持板221に係止され、操作部材226はその状態のまま前支持板221に固定される。ここでは、この当接部材223が枠体211_2aから退避した状態を退避状態と称している。
【0058】
感光体211を交換するにあたっては、先ず、前支持板221および感光体211を含む画像形成ユニット21を、図3に示すように画像形成装置1の筐体から引き出す。ここで、回転軸28は、その後端が画像形成装置1の筐体側に固定されているので、画像形成ユニット21を筐体から引き出すと、感光体211から回転軸28が引き抜かれる。そこで、さらに操作部226_1を操作して退避状態とし、隙き間230を利用して感光体211を取り外す。感光体211を取り外した後、新たな感光体211を取り付け、操作部226_1を逆向きに少し回すと引寄軸226_2の窪み部226_21が前支持板221から外れ、コイルバネ225の作用により操作部材226が後方に引かれ、感光体221の枠体221_2aの前端面221_22aに当接部材223の背面が当接して感光体211を後方に押す。これにより、感光体211の後端側の枠体211_2b(図5参照)が、その引き出された画像形成ユニット21を構成する後方の支持板(図示せず)に当接する。その後、画像形成ユニット21を画像形成装置1の筐体に押し込むと、回転軸28が感光体211を貫通し、図7等に示す位置決め状態となる。この図7に示す最終位置決め状態となる直前に、回転軸28に固定された駆動受渡し部材28_1が前端側の枠体211_2aに突き当たり、画像形成ユニット21全体はその後も若干押し込まれるため、感光体211の後端側の枠体211_2aは後方の支持板(図示せず)からは浮いた状態となり、感光体211は、前端側の枠体211_2aが駆動受渡し部材28_1に押し当てられた位置に位置決めされる。
【0059】
図17は、位置決め状態における、複数の画像形成ユニットと操作レバーとの位置関係を示す斜視図、図18は、位置決め状態における複数の画像形成ユニットと操作レバーとの位置関係を示す側面断面図である。
【0060】
また図19は、少しだけ倒した状態の操作レバーを示す側面断面図である。さらに、図20は、退避状態における、複数の画像形成ユニットを示す斜視図、図21は、退避状態における複数の画像形成ユニットを示す側面断面図である。
【0061】
操作レバー41は、前述したように横に並ぶ4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの前面下方に配置されてそれら4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kに跨って左右に延びている。
【0062】
この操作レバー41には、各画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kのそれぞれに対応して上方に広がる操作禁止片411が設けられている。また操作部材226には、その操作部226_1の下部に係止舌片226_4が設けられている。
【0063】
図17、図18に示す位置決め状態では、操作レバー41は立てた状態にあり、操作レバー41の操作禁止片411は操作部材226の係止舌片216_4と上下方向に重なる位置まで上に広がっている。
【0064】
この状態のまま、画像形成ユニット21を引き出そうとしたり操作部226_1を引き出そうとすると係止舌片226_4が操作禁止片411に当たり引き出すことができないようになっている。
【0065】
そこで、操作レバー41を図19に示す矢印A方向(図2に示す矢印A方向と同じ)に回動させる。すると、操作禁止片411が係止舌片226_4の前面から退避し、画像形成ユニット21や操作部226_1を引き出すことができる状態となる。操作レバー41は、本来は図3に示すように横向きになるまで操作され、中間転写体22が感光体211から離されるが、図20、図21では、分かり易さのため操作レバーは少しだけ回動させた状態に示してある。
【0066】
このように、操作レバー41を操作してからでないと画像形成ユニット21の引き出しや操作部材226の操作を不能としておくことにより操作の順番が一義的に定められ、中間転写体22が感光体211と擦れて傷が付くおそれをなくしている。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】画像形成装置の概要を示す原理構成図である。
【図2】画像形成装置の外観斜視図である。
【図3】画像形成ユニットを引き出した状態を示した外観斜視図である。
【図4】画像形成ユニットを引き出した状態の拡大斜視図である。
【図5】画像形成ユニットの前端部分を前側から示す斜視図である。
【図6】画像形成ユニットの前端部分を後側から示す斜視図である。
【図7】位置決め状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含み垂直に広がる平面で断面したときの断面側面図である。
【図8】図7の断面を示した断面斜視図である。
【図9】位置決め状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含む水平面で断面したときの断面平面図である。
【図10】図9の断面を示した断面斜視図である。
【図11】画像形成ユニットの前端部分の、退避状態における前面側を示す斜視図である。
【図12】画像形成ユニットの前端部分の、退避状態における背面側を示す斜視図である。
【図13】退避状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含み垂直に広がる平面で断面したときの断面側面図である。
【図14】図13の断面を示した断面斜視図である。
【図15】退避状態にある画像形成ユニットを、感光体の回転軸を含む水平面で断面したときの断面平面図である。
【図16】図15の断面を示した断面斜視図である。
【図17】位置決め状態における、複数の画像形成ユニットと操作レバーとの位置関係を示す斜視図である。
【図18】位置決め状態における、複数の画像形成ユニットと操作レバーとの位置関係を示す側面断面図である。
【図19】少しだけ倒した状態の操作レバーを示す側面断面図である。
【図20】退避状態における複数の画像形成ユニットを示す斜視図である。
【図21】退避状態における複数の画像形成ユニットを示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置
10 用紙搬送部
11 ピックアップロール
12 搬送ロール
20 画像形成部
21Y,21M,21C,21K 画像形成ユニット
22 中間転写体
24 二次転写部
25 定着器
28 回転軸
28_1 駆動受渡し部材
30 用紙収容部
41 操作レバー
211 感光体
211_1 感光体フイルム
211_2a,211_2b 枠体
211_3 回転軸
211_21a 前端部
211_22a 前端面
211_31 窪み
212 帯電器
213 露光器
214 現像器
215 一次転写器
221 前支持板
221_1 支持開口
222 軸受け
223 当接部材
224 案内部材
225 コイルバネ
225_4 係止舌片
226 第1の操作部材
226_1 操作部
226_2 引寄軸
226_21 窪み部
227 取っ手
229 環状部材
230 隙き間
411 操作禁止片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形外面を有する2つの枠体に両端が支持された円筒形の感光体と、
前記2つの枠体それぞれの中央を貫通し前記感光体を回転させる回転軸と、
前記回転軸前端部外周を回転自在に支持し該回転軸を垂線とする向きに広がる前支持板と、
前記2つの枠体のうちの前端側に位置する第1の枠体の前面に当接する当接部材と、
前記前支持板と前記当接部材との間に介在し該当接部材を前記第1の枠体に弾性的に押し当てる押当部材とを有することを特徴とする感光体支持構造。
【請求項2】
前記前支持板前面に配置され該前支持板に接離自在な操作部と、該操作部から該前支持板を貫通して該前支持板背面側に延び、該操作部を該前支持板から引き離す方向への第1の操作を受けたときに前記当接部材を該前支持板側に引き寄せることによって該当接部材と前記第1の枠体とを引き離す引寄軸とを有する第1の操作部材をさらに有することを特徴とする請求項1記載の感光体支持構造。
【請求項3】
前記前支持板が、前記操作部を該前支持板から引き離した状態のまま前記引寄軸を支持する軸支持構造を有することを特徴とする請求項2記載の感光体支持構造。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか1項記載の感光体支持構造を有し、前記感光体上にトナー像を形成し該トナー像を用紙上に転写および定着することにより該用紙上に定着トナー像からなる画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記前支持板が、前記感光体支持構造のうちの前記回転軸を除く要素を伴って当該画像形成装置の筐体から引出自在に構成されたものであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光体に接して配置され該感光体上に形成されたトナー像の転写を受けて該トナー像を用紙上に再転写する中間転写体と、
前記中間転写体を前記感光体から離間させる第2の操作を受ける第2の操作部材とを有し、
前記第2の操作部材が、前記第2の操作を受ける前の状態において前記前支持板前面に位置し、該第2の操作前における該前支持板の引出操作を禁止する操作禁止片を有することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項1】
円形外面を有する2つの枠体に両端が支持された円筒形の感光体と、
前記2つの枠体それぞれの中央を貫通し前記感光体を回転させる回転軸と、
前記回転軸前端部外周を回転自在に支持し該回転軸を垂線とする向きに広がる前支持板と、
前記2つの枠体のうちの前端側に位置する第1の枠体の前面に当接する当接部材と、
前記前支持板と前記当接部材との間に介在し該当接部材を前記第1の枠体に弾性的に押し当てる押当部材とを有することを特徴とする感光体支持構造。
【請求項2】
前記前支持板前面に配置され該前支持板に接離自在な操作部と、該操作部から該前支持板を貫通して該前支持板背面側に延び、該操作部を該前支持板から引き離す方向への第1の操作を受けたときに前記当接部材を該前支持板側に引き寄せることによって該当接部材と前記第1の枠体とを引き離す引寄軸とを有する第1の操作部材をさらに有することを特徴とする請求項1記載の感光体支持構造。
【請求項3】
前記前支持板が、前記操作部を該前支持板から引き離した状態のまま前記引寄軸を支持する軸支持構造を有することを特徴とする請求項2記載の感光体支持構造。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか1項記載の感光体支持構造を有し、前記感光体上にトナー像を形成し該トナー像を用紙上に転写および定着することにより該用紙上に定着トナー像からなる画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記前支持板が、前記感光体支持構造のうちの前記回転軸を除く要素を伴って当該画像形成装置の筐体から引出自在に構成されたものであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光体に接して配置され該感光体上に形成されたトナー像の転写を受けて該トナー像を用紙上に再転写する中間転写体と、
前記中間転写体を前記感光体から離間させる第2の操作を受ける第2の操作部材とを有し、
前記第2の操作部材が、前記第2の操作を受ける前の状態において前記前支持板前面に位置し、該第2の操作前における該前支持板の引出操作を禁止する操作禁止片を有することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−145748(P2010−145748A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322844(P2008−322844)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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