説明

感光性有機物及びその塗布方法並びにこれを用いた有機膜パターンの形成方法及びこの有機膜を有する表示装置

【課題】大型基板上への塗布に適しており、塗布均一度が向上する他、スジムラやモヤムラなどのムラの発生を防ぐと共に、スピンレスコートにより塗布速度が高速になり、しかも、最終品の品質を高めることのできる感光性有機物を提供する。
【解決手段】ポリシロキサン樹脂の混合高分子樹脂と、感光性化合物と、有機溶媒とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性有機物及びその塗布方法並びにこれを用いた有機膜パターンの形成方法及びこの有機膜を有する表示装置に関し、さらに詳しくは、大型基板上への塗布に適するように塗布均一度が向上すると共に、ムラの発生を防ぐことのできる感光性有機物及びその塗布方法並びにこれを用いた有機膜パターンの形成方法及びこの有機膜を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)は、現在汎用されているフラット表示装置の1種であり、画素電極が設けられた薄膜トランジスタ基板と共通電極が設けられたカラーフィルタ基板とが互いに対向しており、これらの間に液晶層が挿置されてなる。この種の液晶表示装置は、画素電極と共通電極に電圧をかけることで液晶層の液晶分子の配向を変更し液晶層への透過光量を調節することにより画像を表示している。
【0003】
最近、大掛かりな液晶表示装置への需要が高くなるに伴い、基板の大型化が必須で求められており、このような傾向に伴い、大型基板への形成に適した、塗布均一性に優れた新規な感光性有機物の開発が望まれている。
塗布均一度とは、基板上に塗布された有機膜の膜厚の均一度のことであり、これは、後続する工程における開口率、解像度、回路線幅などに影響を及ぼす。微細な膜厚差による反射率の違いにより有機膜に欠陥ができ、この欠陥は最終品にそのまま現れるといった不都合がある。
【0004】
また、大掛かりな液晶表示装置の製造に際し、ロールコート、スピンコート、スリット&スピンコートなどの従来の感光性有機物の塗布方法は大型基板を塗布する上では不足感があり、特に、スピンコートにおいては、スピンモーターの耐久性から、塗布自体が不可能であると言える。
大型基板のための塗布装置として、スリットノズルコート装置が提案されている。この装置を用いる場合、既存のスピン方式とは異なり、感光性有機物の消費量を低減させることができ、基板の稜角に生じる感光性有機物の凝集を除去するために行われるEBR(Edge Bead Removing)が不要になるというメリットはあるが、既存のスピンコートには見られなかったスジムラやモヤムラなどが引き起こされるという問題点がある。
【0005】
スジムラは、ノズルから吐き出される感光性有機物の塗布が行われ始める基板の基端部において、感光性有機物の基板への進入の不均一性または吐出量の不均一性などにより引き起こされる小ムラと、塗布が行われる方向の中心において、塗布の始点から終点までに生じる大ムラとに大別できる。
モヤムラは、基板の全面的に亘って生じるものであり、主として膜厚の不均一により引き起こされる。
【0006】
これらのムラは、工程全体に亘っての不良率を高めると共に、最終品の品質を低下させるという問題がある。この理由から、大型基板の塗布に適していると共に、高透過率と高感度の特性を併せ持つ新規な感光性有機物が求められるが、従来より採用されているポリアクリラート系の樹脂はこのような高透過率と高感度の特性については材料的な限界を有している。そこで、これに代えうる新規な組成の感光性有機物が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記従来の感光性有機物における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、大型基板上への塗布に適しており、塗布均一度が向上する他、スジムラやモヤムラなどのムラの発生を防ぐと共に、スピンレスコートにより塗布速度が高速になり、しかも、最終品の品質を高めることのできる感光性有機物及びその塗布方法並びにこれを用いた有機膜パターンの形成方法及びこの有機膜を有する表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明による感光性有機物は、ポリシロキサン樹脂の混合高分子樹脂と、感光性化合物と、有機溶媒とを有することを特徴とする。
【0009】
前記混合高分子樹脂は、重量平均分子量が500以上、20000以下であることが好ましい。
前記混合高分子樹脂の含量は、10〜30重量%であることが好ましい。
前記感光性有機物の粘度は、1〜25cps(常温:25±10℃)であることが好ましい。
【0010】
前記ポリシロキサン樹脂は、下記の一般式1又は2で表されることが好ましい。
【化1】

(式中、R、R、R及びRのうち少なくとも1つ以上は、アルキル基(C2n+1、nは1〜5)である。)
【化2】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11のうち少なくとも1つ以上は、H、C2m+1、−OH、−OC2m+1、アクリル系官能基、下記に示す構造式(1)の官能基及び下記に示す構造式(2)の官能基のうちのいずれか1種であり、ここで、mは1〜5である。)
【化3】

(但し、nは正数である。)

【化4】

【0011】
前記感光性化合物は、ジアジド系のものであることが好ましい。
前記ジアジド系の感光性化合物の含量は、1〜10重量%あることが好ましい。
前記ジアジド系の感光性化合物の含量は、5重量%以下であることが好ましい。
前記ジアジド系の感光性化合物は、テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ジアゾ−1−ナフトール−5−スルホン酸、ポリヒドロキシベンゾフェノン、及び1,2−ナフトキノンジアジドよりなる群から選ばれる少なくとも2種以上を反応させて得られるものであることが好ましい。
前記ジアジド系の感光性化合物は、テトラヒドロキシベンゾフェノンと2−ジアゾ−1−ナフトール−5−スルホン酸とをエステル化反応させて得られるものであることが好ましい。
前記ジアジド系の感光性化合物は、2,3,4,4’テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホナート、ジアゾナフトキノンスルホニックエステル、及び2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホナートよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むものであることが好ましい。
【0012】
前記ジアジド系の感光性化合物は、下記の一般式3で表される物質、あるいは、下記の一般式4で表される物質であることが好ましい。
【化5】

(式中、RはH、炭化水素基、下記の構造式(3)で表されるDNQ(ジアゾナフトキノン:diazonaphthoquinone)よりなる群から選ばれるいずれか1種であり、ここで、m及びnはそれぞれ1〜3である。)
【化6】

【化7】

(式中、Dは、上記構造式(3)で表されるDNQである。)
【0013】
前記有機溶媒の含量は、60重量%以上、90重量%以下であることが好ましい。
前記有機溶媒は、アセタート系、ラクタート系、プロピオナート系及びエーテル系よりなる群から選ばれるいずれか1種以上であることが好ましい。
前記有機溶媒は、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、プロピレングリコールメチルエーテル、エチルアセトアセタート、エチルアセトラクタート、エチルセロソルブ−アセタート、γ−ブチロラクトン、2−メトキシエチルアセタート、エチルβ−エトキシプロピオナート、ノーマルプロピルアセタート、ノーマルブチルアセタートよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
前記有機溶媒は、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、プロピレングリコールメチルエーテル、及びエチルアセトアセタートの混合物であることが好ましい。
【0014】
前記感光性有機物に、着色剤、染料、傷付き防止剤、可塑剤、接着促進剤、及び界面活性剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の添加剤がさらに含まれていることが好ましい。
前記添加剤は、前記混合高分子樹脂よりも低分子量であることが好ましい。
前記界面活性剤は、Si系又はF系のものであることが好ましい。
前記界面活性剤の含量は、500ppm以上、4000ppm以下であることが好ましい。
【0015】
上記目的を達成するためになされた本発明による感光性有機物の塗布方法は、ポリシロキサン樹脂の混合高分子樹脂と、感光性化合物と、有機溶媒とを有する感光性有機物を基板上にスピンレスコート法により塗布することを特徴とする。
【0016】
また、上記目的を達成するためになされた本発明による感光性有機物の塗布方法は、ポリシロキサン樹脂の混合高分子樹脂と、感光性化合物と、有機溶媒とを有する感光性有機物を塗布装置の貯留部に貯留するステップと、前記貯留された感光性有機物を前記塗布装置のノズルを介して基板のある一方の辺から吐出するステップと、前記吐出される感光性有機物を前記基板の一方の辺からこれと対向する他方の辺まで走査しながら連続して吐出塗布するステップとを有することを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するためになされた本発明による有機膜パターンの形成方法は、ポリシロキサン樹脂の混合高分子樹脂と、感光性化合物と、有機溶媒とを有する感光性有機物を基板上に塗布するステップと、前記基板上に塗布された前記感光性有機物をパターニングするステップとを有することを特徴とする。
【0018】
前記基板は、薄膜トランジスタ基板であることが好ましい。
前記パターニングするステップは、前記基板に形成された前記感光性有機物を減圧乾燥するステップと、前記減圧乾燥された感光性有機物をプリベーク(prebake)するステップと、前記プリベークされた前記感光性有機物を選択的に露光するステップと、前記選択的に露光された感光性有機物を現像するステップと、前記現像された感光性有機物を硬化させる(ポストベーク:postbake)ステップとを含むことが好ましい。
前記現像するステップは、前記露光された感光性有機物が塗布された前記基板をアルカリ水酸化物、水酸化アンモニウム、及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ性現像水溶液に浸漬するステップを含むことが好ましい。
【0019】
上記目的を達成するためになされた本発明による表示装置は、ポリシロキサン樹脂の混合高分子樹脂と、感光性化合物と、有機溶媒とを有する感光性有機物を塗布して形成される有機膜を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る感光性有機物及びその塗布方法並びにこれを用いた有機膜パターンの形成方法及びこの有機膜を有する表示装置によれば、大型基板上への塗布に適しており、塗布均一度が向上すると共に、モヤムラやスジムラなどのムラの発生を防ぐことができるという効果がある。
また、スピンレスコート法等で塗布することにより塗布速度が高速になり、しかも、最終品の品質を高めることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明に係る感光性有機物及びその塗布方法並びにこれを用いた有機膜パターンの形成方法及びこの有機膜を有する表示装置を実施するための最良の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0022】
本発明の実施形態による感光性有機物は、ポリシロキサン樹脂の混合高分子樹脂と、感光性化合物と、有機溶媒とを含む。
感光性有機物に含まれるポリシロキサン樹脂の混合高分子樹脂は、重量平均分子量500〜20000のものであり、感光性有機物に10〜30重量%の含量にて添加され、混合高分子樹脂の添加による感光性有機物の粘度は1〜25cps(常温:25±10℃)に維持する。
【0023】
粘度が1cps未満である場合には、必要となる粘度よりも低くて側方向に流動する側流動現像が優勢であり、結果として、所望の膜厚の感光性有機物を塗布することができず、その一方、25cpsを超える場合には、粘度が高過ぎて側流動運動が阻害されるために均一度が低下してしまう。
【0024】
このような混合高分子樹脂としてはポリシロキサン樹脂が使用でき、下記の一般式1で表されるポリシロキサン樹脂の一例としては、シロキサン基が付加重合され、且つ、一方の末端にヒドロキシが連結された有機物を挙げることができる。
【化8】

(式中、R、R、R及びRのうち少なくとも1つ以上は、アルキル基(C2n+1、このとき、nは1〜5)であり、−OHやHまたはアクリル系の官能基であってもよい。)
【0025】
さらに詳しくは、ポリシロキサン樹脂は、下記の一般式2の構造を有していてもよい。
【化9】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11のうち少なくとも1つ以上はH、C2m+1、−OH、−OC2m+1、アクリル系の官能基、下記の構造式(1)の官能基及び下記の構造式(2)の官能基のうちいずれか1種であってもよく、好ましくは、R、R、及びRはHまたはC2m+1、R及びRは−OH、−OC2m+1、Rは下記の構造式(1)の官能基、または、下記の構造式(2)の官能基、R、R、R、R10、及びR11はH、C2m+1または−OC2m+1である。このとき、mは1〜5である。)
【化10】

(但し、nは正数である。)

【化11】

【0026】
上記構造式(1)または構造式(2)で表されるポリシロキサン樹脂は重量平均分子量が500〜20000であり、感光性有機物に10〜30重量%の含量にて添加されるときに、感光性有機物の粘度を1〜25cps(常温:25±10℃)に維持することができる。
ポリシロキサン樹脂は、通常汎用されるアクリラート系の樹脂よりも残膜率がさらに高く、かつ、透過率がさらに高いというメリットがある。
【0027】
下記の表1に、感光性有機物に添加される高分子樹脂の種類に応じた残膜率、感度及び透過率を示す。ポリシロキサン樹脂が添加される感光性有機物は本発明の実施形態によるものであり、ポリアクリラート樹脂が添加される感光性有機物は市販品の物性を示すものである。
【表1】

【0028】
表1に示すように、感光性有機物にポリシロキサン樹脂が添加される場合、ポリアクリラート樹脂が添加される場合よりも残膜率及び透過率がさらに高く、感度についてはほぼ2倍程度の違いが出るため、これを添加して感光性有機物として使用するときに一層優れた物性を有する。
【0029】
感光性化合物(または、感光剤)としてはジアジド系の化合物が用いられ、このジアジド系の化合物は感光性有機物に1〜10重量%の含量にて添加され、好ましくは、5重量%以下にて添加される。
ジアジド系の感光性化合物の含量が1重量%未満であれば、感光速度が遅鈍になって工程時間が過度にかかり、その一方、含量が10重量%を超えると、感光速度が速過ぎて残膜率の激しい低下が見られ、結果として、以後の工程における歩留まりに問題が出る。より安定した工程と歩留まりとの折衝を考慮すると、ジアジド系の感光性化合物は、5重量%以下にて添加されることが好ましい。
【0030】
このようなジアジド系の感光性化合物は、テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ジアゾ−1−ナフトール−5−スルホン酸、ポリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ナフトキノンジアジドよりなる群から選ばれる少なくとも2種以上を反応させて得ることができる。
このようにして得られた感光性化合物は、2,3,4,4’テトラヒドロキシベンゾフェノン−1、2−ナフトキノンジアジド−5−スルホナート、ジアゾナフトキノンスルホニックエステル、及び2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1、2−ナフトキノンジアジド−5−スルホナートよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含んでいてもよい。
【0031】
好ましくは、テトラヒドロキシベンゾフェノンと2−ジアゾ−1−ナフトール−5−スルホン酸とをエステル化反応させて得られた2,3,4,4’テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホナートを感光性化合物として用いる。
上記ジアゾナフトキノンスルホニックエステルは、2,1−ジアゾナフトキノン−5−スルホニッククロリドと種々のポリフェノール化合物又は種々のヒドロキシ化合物との反応による部分的なエステル化反応、または全てのヒドロキシと反応しうる完全なるエステル化反応により得ることができる。このようなエステル化反応は、トリアルキルアミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、又はソジウムカーボネート又はソジウムビカーボネートなどの塩基触媒の存在下で、アセトン、ジオキサン、N−メチルピロリドン、またはこれらの混合溶媒を用いて効率よく行うことができる。
【0032】
また、感光性化合物の一例として、下記の一般式3で表される有機物が使用できる。
【化12】

(式中、RはH、炭化水素基、又は下記の構造式(3)で表されるDNQよりなる群から選ばれるいずれか1種であり、ここで、m及びnはそれぞれ1〜3である。)
【化13】

上記の構造式(3)で表されるジアゾナフトキノン(DNQ;Diazonaphtoquinone)は感光性効果を持つ化合物であり、後述する露光段階における光反応により、後続する現像段階において溶解可能な可溶性樹脂にする。
【0033】
また、感光性化合物の他の例として、下記の一般式4で表される有機物が挙げられる。
【化14】

(式中、Dは、構造式(3)で表されるDNQである。)
【0034】
有機溶媒は、感光性有機物に60以上90以下の重量%にて添加され、アセタート系、ラクタート系、プロピオナート系及びエーテル系のもののうちいずれか1種以上よりなってもよい。
また、有機溶媒として形成可能な物質は、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(DAA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、エチルアセトアセタート(ACAC)、エチルアセトラクタート(EL)、エチルセロソルブ−アセタート(EDM)、γ−ブチロラクトン(GBL)、2−メトキシエチルアセタート(MMP)、エチルβ−エトキシプロピオナート(EEP)、ノーマルプロピルアセタート(nPAC)、ノーマルブチルアセタート(nBA)よりなる群から選ばれる少なくとも1種以上であってもよく、好ましくは、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(DAA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)及びエチルアセトアセタート(ACAC)の混合物である。
【0035】
ここで、ノーマルプロピルアセタート(nPAC)、ノーマルブチルアセタート(nBA)、エチルアセトアセタート(ACAC)、及びエチルセロソルブ−アセタート(EDM)はアセタート系のものであり、エチルアセトラクタート(EL)はラクタート系のものであり、2−メトキシエチルアセタート(MMP)及びエチルβ−エトキシプロピオナート(EEP)はプロピオナート系のものであり、また、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)はエーテル系のものである。
【0036】
上記の如き種々の有機溶媒を互いに混合するときに、一方の有機溶媒は5〜95の重量比にて混合され、他方の有機溶媒は残りの重量比にて混合可能である。
このような有機溶媒または混合された有機溶媒が60重量%未満にて混合されるときには粘度が高くて感光性有機物の均一な塗布に難点があり、90重量%を超えるときには粘度が低くて塗布特性、特に、膜厚を達成することが困難になる。
【0037】
本発明の実施形態による感光性有機物は、これらの他に、必要に応じて、有機高分子樹脂よりも低分子量の着色剤、染料、傷付き防止剤、可塑剤、接着促進剤、界面活性剤などの添加剤をさらに含んでもよい。このような感光性有機物が基板にコートされることにより、個別工程の特性に応じた性能向上を図ることができる。
【0038】
上記の如き添加剤のうち界面活性剤は、感光性有機物の塗布時に発生するムラを最小化させ、かつ、塗布特性を向上させる。
この界面活性剤としては、F系またはSi系の界面活性剤が使用でき、Si系の界面活性剤の一例として、ポリオキシアルキレンジメチルポリシロキサン共重合体(polyoxyalkyrene dimethylpolysiloxane copolymer)がある。
【0039】
Si系の界面活性剤を用いる場合には、SiNなどの下部膜との接着力が弱くなることがあるため、好ましくは、F系の界面活性剤を用いる。
このような界面活性剤は、感光性有機物に500〜4000ppmの含量にて添加されるが、500ppm未満である場合には感光性有機物の接着力が低下して塗布された感光性有機物が剥がれ易くなることがあり、4000ppmを超えると、接着力が高すぎてコスト高となるため、上記の如き含量に納めることが好ましい。
【0040】
次に、図面に基づき、本発明の実施形態による感光性有機物の塗布方法、有機膜パターンの形成方法、この有機膜を有する表示装置、特に、液晶表示装置及びその製造方法を説明する。
図1は、本発明の実施形態による感光性有機物の塗布方法に用いられるスピンレスコート装置の一例を示す斜視図である。
【0041】
図1を参照すると、スピンレスコート装置は、基板101が載置されるステージ100と、ステージ100の上部に位置して基板101に感光性有機物を塗布するノズル部200と、ノズル部200を駆動させる駆動部300とを備える。
ここで、基板101は特に限定されるものではないが、表示装置において、第5世代級、すなわち、1100×1200mm以上の基板が用いられることが本発明の趣旨に合致する。
【0042】
ステージ100はガラス基板などの被処理物を載置させ、通常、基板101のサイズに見合う形状を呈する。ステージ100の内部には基板101をステージ100から持ち上げるための多数のリフトピン(図示せず)が設けられ、これにより、基板101が搬入及び搬出されるときに、基板101をステージ100に載置させたりそこから持ち上げたりする。
【0043】
また、ステージ100の内部にはリフトピンと干渉しないように真空ホール(図示せず)が設けられていてもよく、真空ホールには基板101を吸着するためにポンプなどの真空引き手段(図示せず)が接続されていてもよい。このため、基板101がステージ100に載置されると、真空引き手段により基板101がステージ100から離脱しないようにステージ100に吸着固定させることが好ましい。
【0044】
ノズル部200は、基板101が載置されるステージ100の上部に設けられる。ノズル部200は基板101を向くようにして設置され、貯留部220とノズル210を有して基板101に感光性有機物を塗布する。
好ましくは、基板101の上に塗布される前に、ノズル部200に感光性有機物が収められて濃度及び温度が高精度にて調整される。
【0045】
駆動部300はノズル部200の両端に接続されて、ノズル部200を垂直、すなわち、上下方向に移動させる一対のZ軸駆動ユニット310と、ノズル部200を水平、すなわち、基板101の前後方向に一定の速度にて移動させる一対のY軸駆動ユニット320とを備える。このとき、Y軸駆動ユニット320は、モーターと移動レールやガイドレールなどの移動手段とにより構成でき、モーターとしては、非接触タイプのリニアモーターを用いることができる。
【0046】
このため、ノズル部200は、Y軸駆動ユニット320を介して基板101の一側から他側に向かって移動及び走査しながら感光性有機物を吐出して基板101の表面に一様に感光性有機物を塗布する。また、これとは異なり、ノズル部200を固定させた状態で、基板101を一方向に水平移動させ、上記の如き方法により塗布工程を行うことも可能であることは言うまでもない。
【0047】
また、図には示していないが、ノズル部200には、基板101に塗布されるべき感光性有機物を供給する供給部(図示せず)がさらに設けられ、ステージ100の一側には予備吐出装置(図示せず)が設けられていてもよい。
すなわち、工程の初期段階において、ノズル部200には供給部から感光性有機物が供給され、感光性有機物を供給されたノズル部200は予備吐出装置に対して予備吐出を行うことで、基板101に感光性有機物が一様に塗布されるように準備する。このとき、予備吐出は、基板101に塗布される前に、感光性有機物の初期の吐出の均一度などを制御するために行われる。
【0048】
大画面化した表示装置、特に、液晶表示装置の第5世代から第7世代以上に至る1100×1200mm以上のガラス基板のサイズに見合うように感光性有機物を塗布するためには、単一回の走査により均一な塗布を行った方が、生成された有機膜の均一度や歩留まりの面から好ましい。
このため、基板101上の感光性有機物の塗布面積に見合うような長さにノズル210が形成され、これにより、基板101上に感光性有機物を塗布するときに、1回の走査だけで塗布工程が完了することが好ましい。
【0049】
図1に基づく本発明の実施形態による感光性有機物の塗布方法においては、走査方式のスピンレスコート装置のみを開示しているが、本発明の実施形態による他のスピンレスコート装置においても、本発明の実施形態による感光性有機物が塗布可能である。
上述の如き感光性有機物及びこの塗布方法は、表示装置、特に、液晶表示装置の有機膜パターンを形成する上で有効である。
【0050】
図2は、本発明の実施形態による感光性有機物を用いた有機膜パターンが形成される薄膜トランジスタの単位セルの平面図であり、図3は、図2のA−A’線に沿って切断した断面図である。
図2に示すように、ゲート線401は横方向に配置されており、これと平行に所定の間隔だけ離れた個所にストレージ電極線402が配置されている。データ線403は、ゲート線401及びストレージ電極線402と交差して直交して通るように配置されている。
【0051】
そして、ゲート線401とデータ線403との交差点に隣り合うゲート線401の上にはパターン状に半導体層404が形成されている。データ線403から引き出されたドレイン電極405aと、データ線403の形成時に一緒に形成されたソース電極405bとが半導体層404の上に相対向して所定の部分だけ重なるように配置されている。
また、ゲート線401とデータ線403とにより限定された画素領域には、透明電導膜、例えば、ITOよりなる画素電極406が配置されている。このとき、画素電極406は、ドレイン電極405aと接触することはもとより、データ線403及びゲート線402の一部と重なるように画素領域の全体に亘って配置されている。
【0052】
図3を参照すると、下部基板501の上にゲート電極401a及びこれから所定の間隔だけ離れた個所にストレージ電極402aが形成され、この下部基板501の全面にはゲート絶縁膜502が形成される。そして、ゲート電極401aの上部に位置するゲート絶縁膜502上にはパターン状に半導体層404が形成される。この半導体層404の上にはデータ線403の形成時に一緒に形成されたドレイン電極405a及びソース電極405bが互いに離れて形成される。
【0053】
上記の如き構造物が形成された下部基板501の全面上に本発明の実施形態による感光性有機物を塗布してなる有機膜パターン503が形成される。有機膜パターン503は、ドレイン電極405aを露出させるコンタクトホールを備える。有機膜パターン503の上にコンタクトホールを介してドレイン電極405aと接触すると共に、ゲート電極401a及びデータ線403と一部重なる画素電極406が形成される。
【0054】
ここで、有機膜パターン503は、パッシベーション膜として機能すると共に、画素電極406とデータ線403との間の絶縁膜としても機能する。
有機膜パターン503は、上述の如きスピンレスコート方法により本発明の実施形態による感光性有機物を表示素子の基板上にコートして有機膜を形成した後、これをパターニングして形成することができる。
【0055】
感光性有機物は、ゲート絶縁膜502、データ線403、半導体層404、ドレイン電極405a及びソース電極405b等が形成された基板101の上に塗布される。このため、感光性有機物(有機膜フォトレジスト組成物)はシリコン酸化物(SiO)、シリコン窒化物、ドープされたシリコン酸化物、シリコン、アルミニウム、インジウムチンオキシド(ITO)、インジウムジンクオキシド(IZO)、モリブデン、タンタル、銅、ポリシリコン、セラミック、アルミニウム−銅の混合物など、種々の材質の上にコート可能である。
【0056】
上述のように、基板101にスピンレスコート方法により感光性有機物が塗布されて有機膜を形成する。続けて、有機膜パターン503を形成するが、これは、基板に形成された有機膜を減圧乾燥するステップと、減圧乾燥された有機膜をプリベーク(prebake)するステップと、プリベークされた有機膜を選択的に露光するステップと、選択的に露光された有機膜を現像するステップと、現像された有機膜を硬化させるステップとを含む。
【0057】
次に、有機膜パターンを形成するステップを詳細に説明する。
図4〜8は、有機膜パターンを形成するステップを説明するための工程断面図である。
先ず、図4に示すように、基板101の各種の素子構造が設けられた下部構造物102の上に有機膜503”をスピンレスコート方法により形成する。
【0058】
この後、図5に示すように、下部構造物102上に形成された有機膜503”を減圧乾燥する。減圧乾燥中に、乾燥された有機膜503’内の溶媒の大部分、例えば、約80〜90%程度の溶媒が蒸発される。
減圧乾燥は、順次に行われる予備排気段階と本排気段階とを含む。予備排気は徐々に行われ、減圧乾燥装置を略10−5Pa程度の圧力に排気し、本排気は予備排気よりも高速にて行われ、減圧乾燥装置の圧力が予備排気段階の圧力よりも低圧になるように排気する。
【0059】
このため、予備排気段階においては相対的に低い蒸気圧を持つ有機溶媒が先に蒸発され、本排気段階においては相対的に高い蒸気圧を持つ有機溶媒が蒸発される。この場合、蒸気圧の異なる異種の有機溶媒を用いるときに、単一の有機溶媒を用いる場合よりも有機溶媒の蒸発をより一層促すことができる。
【0060】
その後、減圧乾燥された有機膜503’をプリベーク(prebake)する。プリベークは、減圧乾燥時に除去し切れずに有機膜503’内に残留する溶媒を有機膜503’の固体成分を熱分解させないようにして除去し、有機膜503’を固化させる。プリベークは、80〜130℃の温度下で、有機膜503’が4μm以下の膜厚にて基板上に残留するまで行うことが好ましい。
さらに好ましくは、プリベークは、基板上に塗布された有機膜503’から有機溶媒がすべて蒸発するまで行う。
【0061】
その後、プリベークされた有機膜503’を露光する。図6に示すように、基板101に形成された有機膜503’を適当なマスクまたは型板601等を用いて光、例えば、紫外線602により選択的に露光させることにより、有機膜503’の露光領域ER中の感光性化合物が光反応して、以降の現像工程において溶解するような可溶性樹脂となる。
【0062】
続けて、図7に示すように、選択的に露光された有機膜503’が形成された基板101をアルカリ性の現像水溶液に浸漬させた後、有機膜503’の露光された部分が全部又はほとんど、好ましくは、95%以上溶解されるまで放置する。本発明の実施形態において用いる現像水溶液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アルカリ水酸化物、または水酸化アンモニウムを含有する水溶液などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0063】
続けて、図8に示すように、現像された有機膜を露光して可視光領域における吸光作用基を分解して、いわゆるポストベーク(postbake)と呼ばれる熱処理を行うことにより、熱架橋による有機膜の接着性及び耐化学性の向上が得られる。この過程で、有機高分子樹脂と感光剤が架橋反応にあずかり、非溶解性の堅い有機膜パターン503が形成される。これを通常硬化工程と呼び、全面露光及びポストベーク段階を含む。
【0064】
このような熱処理は、有機膜503’の軟化点以下の温度下で行われ、例えば、150〜250℃の温度下で行うことができる。熱処理を完了すると、所望の形状の有機膜パターン503を形成する。
このように有機膜パターン503が形成された基板101を腐食溶液または気体プラズマにより処理して、有機膜パターン503により露出された基板101の部位を処理する。このとき、基板101の未露出部位は有機膜パターン503により保護される。
【0065】
このようにして基板101を処理した後、基板101上に所望のデザインを持つ薄膜トランジスタなどの微細回路パターンが形成された表示素子の製造を完了する。
また、パターンの異常が発生した場合、ストリッパーを用いて有機膜パターン503を除去し、いわゆるリワークを通じて工程を再び行うことができる。
【0066】
上記のような方法により第5世代級(1100×1200mm)以上のサイズのガラス基板上に微細回路パターンを形成することにより、薄膜トランジスタ基板が完成され、この薄膜トランジスタ基板はカラーフィルタ基板と液晶を挟んだ状態で組み合わされて液晶表示装置が製造される。
【0067】
以下、実験例及び比較実験例を示して本発明をより一層詳細に説明する。但し、下記の実験例は本発明を例示するためのものであり、本発明が下記の実験例により限定されるものではないことは周知のことである。
【0068】
〔実験例1〕
感光剤1.0g、ポリシロキサン樹脂17.0gに、有機溶媒としてのDAA:PGME:ACAC:=45:25:30の混合物を82g(DAA:36.9g、PGME:20.5g、ACAC:24.6g)を入れた後、常温(25±10℃)下で40rpmにて撹はんして液晶表示装置回路用の感光性有機物を製造した。
【0069】
ここで、感光剤としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホナートと、2,3,4,4’テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホナートとが50:50の割合にて混合された混合物を使用し、界面活性剤としては、F系の界面活性剤を加えた。
また、感光性有機物をスリットコーター用の粘度である4.7cpsにして製造した。
このようにして製造された液晶表示装置回路用の感光性有機物を0.7mmのガラス基板にスピンレスコートの一種であるスリットコート法により塗布して(図1参照)減圧乾燥した後、100℃の温度下で150秒間加熱乾燥して3.5μmの膜厚の有機膜を形成した。このような方法により形成された有機膜の膜厚を測定し、露光量と透過率を測定した。
【0070】
〔実験例2〕
有機溶媒としてDAA:PGMEA=70:30の混合物(DAA:57.4g、PGMEA:24.6g)を用いた以外は、上記実験例1の方法と同様にして液晶表示装置回路用の感光性有機物を製造した。
【0071】
〔実験例3〕
有機溶媒としてDAA:CP=65:35の混合物(DAA:53.3g、CP:28.7g)を用いた以外は、上記実験例1の方法と同様にして、液晶表示装置回路用の感光性有機物を製造した。
【0072】
〔比較実験例1〕
下記の一般式5で表される高分子樹脂20.7g、エチルセロソルブ−アセタート(EDM)有機溶媒76g及びSi系の界面活性剤500〜5000ppmを入れ、一般式6で表される感光剤3.3gを加えた後、常温(25±10℃)下で40rpmにて撹はんして、粘度9cpsを持つ液晶表示装置回路用の感光性有機物を製造した。
【化15】

(式中、XはHまたはメチル基であり、Yは炭素原子数2〜16のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、Yは下記の構造式(4)で表される化合物である。)
【化16】

(式中、Rは、H又はメチル基である。)
【化17】

(式中、RはH、OH、及び−CHのうちいずれか1種であり、Rは上記構造式(3)で表されるDNQであり、m及びnは1〜4である。)
【0073】
〔比較実験例2〕
高分子樹脂18.7g及び有機溶媒78gを用い、粘度を7cpsにした以外は、上記比較実験例1の方法と同様にして製造した。
実験例及び比較実験例の方法と同様にして製造された液晶表示装置回路用の感光性有機物を0.7mmのガラス基板に塗布して減圧乾燥した後、100℃の温度下で150秒間加熱乾燥して3.5μmの膜厚の有機膜を形成した。このような方法により形成された有機膜の膜厚を測定して露光量と透過率を測定した。
【0074】
この結果を下記の表2に示す。表2においては、基板として1100×1300mmのサイズのガラス基板を使用し、100mm当たりに1線に細分化しており、MD(Machine Direction)はノズルが形成された長手方向を示し、TD(Traveling Direction)は走査方向であって、ノズルが走査される方向を示す。
ここで、基板上のムラをさらに詳細に観察するために、Crが蒸着されたガラス基板を使用した。
【0075】
【表2】

【0076】
表2に示すように、実験例1と比較実験例1及び比較実験例2のモヤムラの結果は、同じくきわめて良好なレベルであり、実験例2及び3もまた良好な結果を示している。
しかしながら、スジムラについては、実験例1が最も優れた特性を示し、比較実験例1及び比較実験例2においては良好ではない結果を示している。
また、均一度については、膜厚偏差の結果を対比してみると、比較実験例1及び比較実験例2よりも実験例の方がさらに優れており、特に、実験例1における均一度が最も優れていることが分かる。
【0077】
本発明の実施形態をはじめとする明細書の全般にわたって、液晶表示装置のみを例示しているが、本発明の技術的な思想の範疇に含まれる範囲内において液晶表示装置以外の表示装置、例えば、有機発光表示装置などにもまた本発明による感光性有機物、この塗布方法、これを用いた有機膜パターンの形成方法が適用可能であることはもちろんである。
【0078】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施形態による感光性有機物の塗布方法に用いられるスピンレスコート装置の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態による感光性有機物を用いた有機膜パターンが形成される薄膜トランジスタの単位セルを示す平面図である。
【図3】図2のA−A’線に沿って切断した断面図である。
【図4】有機膜パターンを形成するステップを説明するための工程断面図であり、有機膜形成段階の構造物の断面図である。
【図5】有機膜パターンを形成するステップを説明するための工程断面図であり、有機溶媒蒸発段階の構造物の断面図である。
【図6】有機膜パターンを形成するステップを説明するための工程断面図であり、露光段階の構造物の断面図である。
【図7】有機膜パターンを形成するステップを説明するための工程断面図であり、現像段階の構造物の断面図である。
【図8】有機膜パターンを形成するステップを説明するための工程断面図であり、硬化段階の構造物の断面図である。
【符号の説明】
【0080】
100 ステージ
101 基板
102 下部構造物
200 ノズル部
210 ノズル
220 貯留部
300 駆動部
310 Z軸駆動ユニット
320 Y軸駆動ユニット
401a ゲート電極
402a ストレージ電極
403 データ線
404 半導体層
405a ドレイン電極
405b ソース電極
406 画素電極
501 下部基板
502 ゲート絶縁膜
503 有機膜パターン
503’、503” 有機膜
601 マスクまたは型板
602 光(紫外線)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリシロキサン樹脂の混合高分子樹脂と、
感光性化合物と、
有機溶媒とを有することを特徴とする感光性有機物。
【請求項2】
前記混合高分子樹脂は、重量平均分子量が500以上、20000以下であることを特徴とする請求項1に記載の感光性有機物。
【請求項3】
前記混合高分子樹脂の含量は、10〜30重量%であることを特徴とする請求項1に記載の感光性有機物。
【請求項4】
前記感光性有機物の粘度は、1〜25cps(常温:25±10℃)であることを特徴とする請求項1に記載の感光性有機物。
【請求項5】
前記ポリシロキサン樹脂は、下記の一般式1又は2で表されることを特徴とする請求項1に記載の感光性有機物。
【化1】

(式中、R、R、R及びRのうち少なくとも1つ以上は、アルキル基(C2n+1、nは1〜5)である。)
【化2】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11のうち少なくとも1つ以上は、H、C2m+1、−OH、−OC2m+1、アクリル系官能基、下記に示す構造式(1)の官能基及び下記に示す構造式(2)の官能基のうちのいずれか1種であり、ここで、mは1〜5である。)
【化3】

(但し、nは正数である。)
【化4】

【請求項6】
前記感光性化合物は、ジアジド系のものであることを特徴とする請求項1に記載の感光性有機物。
【請求項7】
前記ジアジド系の感光性化合物の含量は、1〜10重量%あることを特徴とする請求項6に記載の感光性有機物。
【請求項8】
前記ジアジド系の感光性化合物の含量は、5重量%以下であることを特徴とする請求項7に記載の感光性有機物。
【請求項9】
前記ジアジド系の感光性化合物は、テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ジアゾ−1−ナフトール−5−スルホン酸、ポリヒドロキシベンゾフェノン、及び1,2−ナフトキノンジアジドよりなる群から選ばれる少なくとも2種以上を反応させて得られるものであることを特徴とする請求項6に記載の感光性有機物。
【請求項10】
前記ジアジド系の感光性化合物は、テトラヒドロキシベンゾフェノンと2−ジアゾ−1−ナフトール−5−スルホン酸とをエステル化反応させて得られるものであることを特徴とする請求項9に記載の感光性有機物。
【請求項11】
前記ジアジド系の感光性化合物は、2,3,4,4’テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホナート、ジアゾナフトキノンスルホニックエステル、及び2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホナートよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むものであることを特徴とする請求項6に記載の感光性有機物。
【請求項12】
前記ジアジド系の感光性化合物は、下記の一般式3で表される物質、あるいは、下記の一般式4で表される物質であることを特徴とする請求項6に記載の感光性有機物。
【化5】

(式中、RはH、炭化水素基、下記の構造式(3)で表されるDNQ(ジアゾナフトキノン:diazonaphthoquinone)よりなる群から選ばれるいずれか1種であり、ここで、m及びnはそれぞれ1〜3である。)
【化6】

【化7】

(式中、Dは、上記構造式(3)で表されるDNQである。)
【請求項13】
前記有機溶媒の含量は、60重量%以上、90重量%以下であることを特徴とする請求項1又は7に記載の感光性有機物。
【請求項14】
前記有機溶媒は、アセタート系、ラクタート系、プロピオナート系及びエーテル系よりなる群から選ばれるいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の感光性有機物。
【請求項15】
前記有機溶媒は、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、プロピレングリコールメチルエーテル、エチルアセトアセタート、エチルアセトラクタート、エチルセロソルブ−アセタート、γ−ブチロラクトン、2−メトキシエチルアセタート、エチルβ−エトキシプロピオナート、ノーマルプロピルアセタート、ノーマルブチルアセタートよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の感光性有機物。
【請求項16】
前記有機溶媒は、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、プロピレングリコールメチルエーテル、及びエチルアセトアセタートの混合物であることを特徴とする請求項15に記載の感光性有機物。
【請求項17】
前記感光性有機物に、着色剤、染料、傷付き防止剤、可塑剤、接着促進剤、及び界面活性剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の添加剤がさらに含まれていることを特徴とする請求項1に記載の感光性有機物。
【請求項18】
前記添加剤は、前記混合高分子樹脂よりも低分子量であることを特徴とする請求項17に記載の感光性有機物。
【請求項19】
前記界面活性剤は、Si系又はF系のものであることを特徴とする請求項17に記載の感光性有機物。
【請求項20】
前記界面活性剤の含量は、500ppm以上、4000ppm以下であることを特徴とする請求項17に記載の感光性有機物。
【請求項21】
ポリシロキサン樹脂の混合高分子樹脂と、感光性化合物と、有機溶媒とを有する感光性有機物を基板の上にスピンレスコート法により塗布することを特徴とする感光性有機物の塗布方法。
【請求項22】
ポリシロキサン樹脂の混合高分子樹脂と、感光性化合物と、有機溶媒とを有する感光性有機物を塗布装置の貯留部に貯留するステップと、
前記貯留された感光性有機物を前記塗布装置のノズルを介して基板のある一方の辺から吐出するステップと、
前記吐出される感光性有機物を前記基板の一方の辺からこれと対向する他方の辺まで走査しながら連続して吐出塗布するステップとを有することを特徴とする感光性有機物の塗布方法。
【請求項23】
ポリシロキサン樹脂の混合高分子樹脂と、感光性化合物と、有機溶媒とを有する感光性有機物を基板上に塗布するステップと、
前記基板上に塗布された前記感光性有機物をパターニングするステップとを有することを特徴とする有機膜パターンの形成方法。
【請求項24】
前記基板は、薄膜トランジスタ基板であることを特徴とする請求項23に記載の有機膜パターンの形成方法。
【請求項25】
前記パターニングするステップは、前記基板に形成された前記感光性有機物を減圧乾燥するステップと、
前記減圧乾燥された感光性有機物をプリベーク(prebake)するステップと、
前記プリベークされた前記感光性有機物を選択的に露光するステップと、
前記選択的に露光された感光性有機物を現像するステップと、
前記現像された感光性有機物を硬化させる(ポストベーク:postbake)ステップとを含むことを特徴とする請求項23に記載の有機膜パターンの形成方法。
【請求項26】
前記現像するステップは、前記露光された感光性有機物が塗布された前記基板をアルカリ水酸化物、水酸化アンモニウム、及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ性現像水溶液に浸漬するステップを含むことを特徴とする請求項25に記載の有機膜パターンの形成方法。
【請求項27】
ポリシロキサン樹脂の混合高分子樹脂と、感光性化合物と、有機溶媒とを有する感光性有機物を塗布して形成される有機膜を備えることを特徴とする表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−191636(P2008−191636A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214290(P2007−214290)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】