説明

感光性組成物、転写材料、遮光膜及びその製造方法、表示装置用カラーフィルタ、表示装置用基板、表示装置

本発明は、合金部分を含む微粒子及びモノマーを含有し、膜形成後の乾燥膜厚1μm当りの光学濃度が2.0以上である感光性組成物、該感光性組成物を適用した、転写材料、遮光膜及びその製造方法、表示装置用カラーフィルタ、表示装置用基板、並びに表示装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置など表示装置の内部に設けられる遮光用の膜(遮光膜)を作製するのに好適な感光性組成物、該感光性組成物を用いた転写材料、遮光膜及びその製造方法、表示装置用カラーフィルタ、表示装置用基板、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置用途の遮光膜は、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの装置内部に、黒色の縁や画素周囲の格子状、ストライプ状の黒色の縁部(いわゆるブラックマトリックス)、薄膜トランジスター(TFT)遮光のためのドット状、線状の黒色パターンなどとして設けられている。
【0003】
例えば、ブラックマトリックスは、液晶表示装置等を構成する遮光膜の例である。該ブラックマトリックは、一般に、液晶表示装置の内部に備えられたカラーフィルタの各着色画素(赤、緑、青)を取り囲むように設けられており、各画素間の光漏れによるコントラストの低下を防止するものである。また、他の例として、TFTを用いたアクティブマトリックス駆動方式の液晶表示素子において、光によるTFTの電流リークに伴なう画質低下を防ぐためにTFT上に設ける遮光膜がある。
これらの遮光膜には、一般に、光学濃度2以上の遮光性が要求されており、遮光膜の色調は表示装置の表示品位の点からは、黒色であることが好ましい。
【0004】
高い遮光性を有する表示装置用の遮光膜の作製に金属を用いることについては、従来より提案されている。例えば、蒸着法やスパッタリング法により金属薄膜を作製し、該金属薄膜の上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜を形成した後、遮光膜を形成するためのパターンマスク(フォトマスク)を用いてフォトレジスト膜を露光、現像し、更に、露出した金属薄膜をエッチングし、その後に金属薄膜上のフォトレジスト膜を剥離して形成する方法がある(例えば、「カラーTFT液晶ディスプレイ」第218〜220頁(共立出版(株)発行、1997年4月10日)参照)。
【0005】
反射率の低い遮光膜を得るために、カーボンブラックを用いて遮光膜を形成する技術がある(例えば、特開昭62−9301号公報参照)。これは、カーボンブラックを含有する感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、乾燥させて形成した感光性層を露光、現像するものである。ところが、カーボンブラックは、金属に比べて単位塗布量当りの光学濃度が低いため、高い遮光性、光学濃度を確保しようとすると必然的に膜厚が厚くなる。したがって、遮光膜の形成後に赤、青、緑の着色画素を形成する場合に、気泡が発生したり、均一な画素が得られにくい。
【0006】
また、無電解メッキ技術を用いて、ニッケル微粒子を含有するブラックマトリックスを形成する方法も知られている(例えば、特開平7−218715号公報参照)。この方法では、平均粒径30nm以下の粒径の小さい微粒子しか得られないため、完全な黒色の色調が得られにくく、0.5μm以下の薄膜にすることも困難である。また、製造工程でメッキ液を使用するため環境負荷も大きい。
【0007】
上記の方法や技術に鑑み、金属微粒子を含有する組成物や転写材料を用いて遮光膜を形成する技術が提案されている(例えば、特開2004−240039号公報参照)。この技術では、既述のような気泡の発生、あるいは均一画素が得られにくい、黒色調が悪い、環境負荷がある等を解消することができ、薄層/高濃度で反射率も低い遮光膜を得ることできる。
【0008】
しかしながら、上記した蒸着法等を用いた方法では、金属薄膜を用いるため、膜厚が薄くても高い遮光効果が得られる反面、蒸着法やスパッタリング法という真空成膜工程やエッチング工程が必要であり、コスト高になる。また、形成された金属薄膜は金属膜であるため、反射率が高く、外光下では表示コントラストが低くなってしまう。
【0009】
これに対し、低反射クロム膜(金属クロムと酸化クロムの2層からなるもの等)を用いる技術があるが、更にコストアップとなることは否めない。このような膜には、クロムが最もよく用いられるが、環境負荷が大きいという課題もある。
【0010】
また、金属微粒子を含有する組成物や転写材料を用いる場合には、得られた遮光膜は一般に高温下で反射率が上昇する特質を有している。カラーフィルタを作製する場合には、工程上ベーク処理と呼ばれる高温処理が施されるのが通常であることから、近年の高画質が要求されるカラーフィルタにおいては、ベーク処理に起因して反射率が上昇しない遮光膜が求められている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、合金部分を含む微粒子及びモノマーを含有し、膜形成後の乾燥膜厚1μm当りの光学濃度が2.0以上である感光性組成物を提供することである。
【0012】
本発明の第2の態様は、仮支持体と、該仮支持体上に前記第1の態様における感光性組成物を含む感光性層と、を有することを特徴とする転写材料を提供することである。
【0013】
本発明の第3の態様は、前記第1の態様における感光性組成物を基板上に付与することにより形成されたことを特徴とする遮光膜を提供することである。
本発明の第4の態様は、前記第2の態様における転写材料における感光性層を基板上へ転写することにより形成されたことを特徴とする遮光膜を提供することである。
【0014】
本発明の第5の態様は、前記第3又は第4の態様における遮光膜を備えた表示装置用基板を提供することである。
【0015】
本発明の第6の態様は、前記第5の態様における表示装置用基板を備えた表示装置用カラーフィルタを提供することである。
【0016】
本発明の第7の態様は、前記第6の態様tにおける表示装置用カラーフィルタを備えた表示装置を提供することである。
【0017】
本発明の第8の態様は、前記第1の態様における感光性組成物を基板上に塗布した後、該塗布された感光性組成物を乾燥させて感光性層を形成する工程と、形成された感光性層をパターン状に露光した後、該露光された感光層を現像してパターン像を形成する工程と、形成されたパターン像を150℃以上の温度で5分間以上の条件で熱処理する工程とを有する遮光膜の製造方法を提供することである。
【0018】
本発明の第9の態様は、第2の態様における転写材料を基板上に転写する工程と、転写された感光性層をパターン状に露光した後、該露光された感光層を現像してパターン像を形成する工程と、形成されたパターン像を150℃以上の温度で5分間以上の条件で熱処理する工程とを有する遮光膜の製造方法を提供することである。
【0019】
本発明の第10の態様は、前記第8の態様における製造方法により製造されたことを特徴とする遮光膜を提供することである。
本発明の第11の態様は、前記第9の態様における製造方法により製造されたことを特徴とする遮光膜を提供することである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、薄膜で優れた遮光性能(高い光学濃度)が得られ、熱に伴なう反射率の増加が小さく、環境負荷を低く抑えた感光性組成物、転写材料、遮光膜及びその製造方法、及び表示装置用基板、並びに、高コントラストで鮮やかな画像表示が可能な表示装置用カラーフィルタ、表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の感光性組成物について詳細に説明すると共に、該説明を通じて本発明の転写材料、遮光膜及びその製造方法、表示装置用カラーフィルタ、表示装置用基板、表示装置の詳細についても詳述する。
【0022】
<感光性組成物>
本発明の感光性組成物は、合金部分を含む微粒子とモノマーとを少なくとも含有してなり、膜形成して乾燥させた後の乾燥膜厚1μm当りの光学濃度が2.0以上になるように構成したものである。また、本発明の感光性組成物は、必要に応じて更に、バインダーポリマー、光重合開始剤、分散剤、分散媒などの他の成分を用いて好適に構成することができる。
【0023】
ここで、乾燥膜厚とは、本発明の感光性組成物を基板上に塗布して乾燥させた後の膜厚であり、以下のようにして測定する。
基板(例えば、PETやガラス基板)上に感光性組成物を塗布して、熱風100℃以下の条件で残留溶媒が2質量%以下となるように乾燥させた感光性樹脂層を有する感光材料を得る。この感光材料の厚みを、接触式表面粗さ計P−1(TENKOR社製)などの測定器を用いて測定する。次に、基板上の感光性樹脂層を完全に除去したときの厚みを測定し、これらの測定値の差を乾燥膜厚とする。残留溶媒量は、ガスクロマトグラフ−マススペクトル分析することにより測定できる。
【0024】
本発明の感光性組成物においては、着色剤として合金部分を含む微粒子を用いた構成とするので、高い光学濃度の薄膜が得られる。この薄膜は色相が良好(特に黒色相が良好)であると共に、熱処理が施された場合の熱に伴なう反射率の増加も小さい。さらに、本発明の感光性組成物は、環境負荷も小さく、環境適性に優れている。
【0025】
本発明の感光性組成物は、膜形成して乾燥させた後の乾燥膜厚1μm当りの光学濃度が2.0以上となるように構成されるので、薄膜としつつ、高い光学濃度を確保できる。
上記のうち、乾燥膜厚1μm当りの光学濃度は、高いほど望ましく、3.0以上であるのが好ましく、4.0以上であるのがより好ましい。光学濃度が前記範囲内であると、コントラストが高く良好な表示品質を確保するのに有効である。
【0026】
合金部分を含む微粒子
本発明の感光性組成物は、合金部分を含む微粒子の少なくとも一種(以下、「本発明に係る合金含有微粒子」ということがある。)を含有する。合金を含む金属系の微粒子を着色剤として用いることで、薄膜で高濃度の像形性が可能である。特に、本発明の感光性組成物は、遮光画像(ブラックマトリクスを含む。)などの黒色像の形成に有効である。
【0027】
本発明に係る「合金部分を含む微粒子」には、合金部分を含む金属微粒子、合金部分を含む金属化合物微粒子等が含まれる。合金部分を含む微粒子としては、合金部分と金属部分とからなる微粒子であることが好ましい。
【0028】
合金とは、「岩波理化学辞典(第5版)」(1998年、岩波書店発行)の「合金」(447ページ)に記載されたものであり、2種以上の金属で組織される固溶体、共晶、化合物、金属間化合物などが含まれる。
また、金属微粒子における「金属」とは、「岩波理化学辞典(第5版)」(1998年、岩波書店発行)に記載の「金属」(352頁)による。また、「金属化合物」とは、「金属と金属以外の元素との化合物」であり、ここでの金属も前記金属微粒子における金属と同義である。
【0029】
本発明に係る「合金部分を含む微粒子」において、少なくとも一部が合金で構成されていることは、例えば、(株)日立製作所製のHD−2300とノーラン(Noran)社製のEDS(エネルギー分散型X線分析装置)を用いて、加速電圧200kVによる各々の粒子の中心15nm□エリアのスペクトル測定により確認することができる。
【0030】
金属の中でも、長周期型周期表の第3族〜第14族の金属が好ましく、特に、金、銀、銅、パラジウム、タングステン、チタン、錫が好ましい。中でも、安全性、コストなどを点で、銀、錫が特に好ましい。合金部分を含む微粒子における合金部分としては、これらの金属から選ばれる2種以上の金属からなることが好ましい。
【0031】
前記「金属と金属以外の元素との化合物」の例としては、金属の酸化物、硫化物、硫酸塩、炭酸塩などがある。このうち、色調や微粒子形成のしやすさの点で、硫化物が特に好ましい。
前記金属化合物の例としては、酸化銅(II)、硫化鉄、硫化銀、硫化銅(II)、チタンブラックなどがある。このうち、色調、微粒子形成のしやすさ、安定性の点で、硫化銀が特に好ましい。
【0032】
前記「金属化合物微粒子」には次の微粒子が含まれる。
(1)金属化合物からなる微粒子
(2)2種類以上の金属化合物からなる微粒子が複合して1つの粒子となった微粒子
(3)金属微粒子と金属化合物からなる微粒子とからなる微粒子
【0033】
2種類以上の金属化合物からなる微粒子が複合して1つの粒子となった微粒子については、具体例として、硫化銅と硫化銀との複合微粒子、硫化鉄と硫化銀との複合微粒子、酸化銅(II)と硫化鉄との複合微粒子などがある。
また、金属微粒子と金属化合物からなる微粒子とからなる微粒子については、具体例として、銀と硫化銀との複合微粒子、銀と酸化銅(II)との複合微粒子、パラジウムと硫化パラジウムとの複合微粒子などがある。
複合微粒子の場合、粒子の形態に特に制限はなく、例えば、粒子の内部と表面で組成の異なるもの、2種類の粒子が合一したもの等を挙げることができる。
【0034】
本発明に係る合金含有微粒子の粒径には、特に制限はなく、数平均粒径で60〜3000nmの範囲が好ましく、70〜2000nmの範囲がより好ましく、更に好ましくは80〜200nm程度のものである。
数平均粒径が前記範囲内であると、良好な色調(特に黒色調)、分散性が得られる。特に、金属化合物からなる微粒子(複合微粒子でないもの)では、数平均粒径が60nm以上であるものが色調の点で好ましい。なお、粒径分布については特に制約はない。
【0035】
前記数平均粒径は、透過型電子顕微鏡JEM−2010(日本電子(株)製)により撮影した写真を用いて、次のようにして測定されるものである。
粒子100個を選び、それぞれの粒子像と同じ面積の円の直径を粒子径とし、100個の粒子の粒子径の平均を数平均粒子サイズとする。なお、写真は、倍率10万倍、加速電圧200kVで撮影したものを用いる。
【0036】
本発明に係る合金含有微粒子は、必要な光学濃度を得る観点から有色であり、有色であるとは、400〜700nmの波長領域に光学吸収を持つことをいう。
例えば、有色の金属化合物の好ましい例として、硫化銀、硫化銅、硫化鉄、硫化パラジウム、酸化銀、チタンブラックなどが挙げられる。
【0037】
本発明に係る合金含有微粒子の形状には、特に制限はなく、球形、不定形、板状、立方体、正八面体、柱状などの任意の形状で使用できる。
また、本発明に係る合金含有微粒子は、一種単独で用いる以外に、必要に応じて2種類以上を混合して使用することができる。
【0038】
本発明に係る合金含有微粒子の製造方法については、特に制限はなく、蒸発凝縮法、気相還元法などの気相法、液相還元法のような液相法などの公知の方法が挙げられ、例えば「超微粒子の技術と応用における最新動向II(住ペテクノリサーチ(株)発行、2002年)に記載がある。
【0039】
還元による場合は、還元剤を用いる方法、電解により還元する方法、等を好ましい還元方法として挙げることができる。中でも、還元剤を用いた方法が、微細な粒子が得られる点で好ましい。前記還元剤としては、ハイドロキノン、カテコール、パラアミノフェノール、パラフェニレンジアミン、ヒドロキシアセトンなどが挙げられる。中でも、揮発しやすく、表示装置に悪影響を与えにくい点で、ヒドロキシアセトンが特に好ましい。
【0040】
合金部分を含む微粒子(本発明に係る合金含有微粒子)の感光性組成物中における含有量としては、体積分率で5〜70%が好ましく、10〜50%がより好ましい。体積分率が前記範囲内であると、感光性組成物中における微粒子の分散安定性が良好であると共に、薄膜で高い光学濃度が得られる。本発明の感光性組成物は、充分な光学濃度を有する膜厚1μm以下の膜形成に有効である。
なお、体積分率は、感光性組成物又は膜形成した際の膜の全体積に占める微粒子の全体積の割合である。
【0041】
モノマー
本発明の感光性組成物は、モノマーの少なくとも一種を含有する。モノマーは、重合したときに樹脂(高分子化合物)を構成する成分である。モノマー以外に、オリゴマー成分を用いてもよい。
本発明の感光性組成物は、膜形成等した際のモノマーの重合により形成された高分子中に本発明に係る合金含有微粒子が分散されるように構成されている。
【0042】
モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を含み光で付加重合するモノマーであり、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能アクリルモノマーが好適である。さらに、これらが一部重合したオリゴマーでもよい。
【0043】
本発明の感光性組成物は、感光性の重合性組成物に構成されるのが好ましく、例えば、モノマー(及び必要に応じてオリゴマー)と共に、光重合開始剤及びバインダー(ポリマー)を含有する感光性樹脂組成物が好適である。さらに、他の成分を含んでもよい。
感光性樹脂組成物には、アルカリ水溶液で現像可能なものと、有機溶剤で現像可能なものとがある。安全性と現像液のコストとの点からは、アルカリ水溶液で現像可能なものが好ましい。
【0044】
光重合開始剤
光重合開始剤としては、前記モノマーを重合させ得るものであれば特に制限はなく、例えば、特開2004−347831号公報の段落番号[0024]に記載の化合物、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」などが挙げられる。
【0045】
特に、ビス[4−[N−[4−(4,6−ビストリクロロメチル−S−トリアジン−2−イル)フェニル]カルバモイル]フェニル]セバケート等のハロメチル−S−トリアジン系化合物が好ましい。これらを光重合開始剤として用いることにより、本発明の感光性組成物を光重合系に好適に構成することができる。
【0046】
光重合開始剤を含有する場合の感光性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
【0047】
バインダー
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース等のセルロース系高分子、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ベンジルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン等が重合したアクリル系又はスチレンアクリル系高分子が挙げられる。中でも、アクリル酸、メタクリル酸が重合した高分子が好ましく、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有するアルカリ可溶なアクリル系、スチレンアクリル系の高分子は、アルカリ現像によりパターニングが可能であるので好ましい。
【0048】
アクリル系、スチレンアクリル系の高分子の場合、アクリル酸とメタクリル酸の高分子中における割合は、両者の合計で10〜60質量%が好ましく、より好ましくは20〜50質量%である。
【0049】
アクリル系、スチレンアクリル系の高分子としては、具体例として、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=60/40[質量比;以下同様])共重合体、メチルメタクリレート/スチレン/メタクリル酸(=10/60/30)共重合体、メチルメタクリレート/スチレン/アクリル酸/メタクリル酸(=20/50/15/15)共重合体、ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸(=38/37/25)共重合体、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸(=60/20/20)共重合体、等が挙げられる。
【0050】
バインダーを含有する場合、バインダーの感光性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分(質量)に対して、20〜50質量%が好ましく、25〜45質量%がより好ましい。
【0051】
他の成分
本発明の感光性組成物は、上記以外に必要に応じて、下記に示すような、公知の分散剤、分散安定剤、分散媒、顔料、界面活性剤、等の他の成分を用いて好適に構成することができる。
【0052】
分散剤
本発明の感光性組成物の調製には、微粒子の分散安定性を向上させる目的で、分散剤を添加してもよい。
分散剤の例としては、ポリビニルアルコール、アクリルアミド/アクリル酸の共重合物、スチレン/無水マレイン酸共重合物、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。分散剤については、例えば、顔料分散技術(技術情報協会(株)、発行人:高薄一弘、1999年発行)に記載されている。中でも、疎水的なものが特に好ましい。
【0053】
分散安定剤
本発明の感光性組成物には、分散安定剤を用いることができ、分散安定剤については、例えば、「顔料分散技術」(技術情報協会(株)、1999年発行)に記載のものを使用できる。
【0054】
分散媒
本発明の感光性組成物の調製には、一般に分散媒を用いることができる。分散媒には、特に制限はなく、水でもよいし有機溶剤でもよい。
好ましい有機溶剤の例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、1−プロピルアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレン、ジメチルアミノエタノール、ジブチルアミノエタノールなどが挙げられる。
【0055】
顔料
顔料としては、カーボンブラックなどの黒色顔料を用いることができる。
顔料の添加量は、既述の合金部分を含む微粒子に対して、50質量%以下が好ましく、特に30質量%以下が好ましい。顔料の添加量が50質量%を越えると、必要な光学濃度を得るために必要な遮光膜の厚みが増大し、遮光膜上に形成される赤、青、緑の画素品位が低下することがある。
【0056】
また、色味調整のため、黒色以外に青色その他の顔料を含んでもよい。黒色以外の顔料を添加する場合の添加量は、既述の合金部分を含む微粒子に対して、40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。該添加量が40質量%を越えると、膜形成した際の膜の色味が悪化することがある。
【0057】
界面活性剤
本発明の感光性組成物には、塗布性、微粒子の分散安定性の改良などの目的で、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤を特に制限なく使用可能である。中でも、液の安定性の観点から、アニオン界面活性剤が特に好ましい。また、フッ素系界面活性剤は好ましい界面活性剤である。
【0058】
界面活性剤の好ましい例としては、C817SO2N(C25)(C24O)14H、C817SO3Li、C715COONH4、C817SO2N(C25)C24OPO(OH)2等が挙げられる。更に市販品として、F110、F113、F120、F150、F176PF、F177、F780(いずれも大日本インキ化学工業(株)製、オリゴマータイプフッ素系界面活性剤)などを挙げることができる。
【0059】
感光性組成物の調製
本発明の感光性組成物は、合金部分を含む微粒子及びモノマーと、必要に応じて添加可能なバインダー、光重合開始剤その他の成分とを(好ましくは分散媒を加えて)混合分散することにより調製できる。好ましくは、予め合金部分を含む微粒子、モノマー、及びバインダーと共に分散媒に分散した微粒子分散液を調製後、これに光重合開始剤と必要に応じ他の成分とを添加混合することにより調製することができる。
【0060】
本発明の感光性組成物は、合金部分を含む微粒子とモノマーと(好ましくはバインダーと分散媒と)を混合した混合液を、超音波分散機、ペイントシェーカー、ボールミル、アイガーミルなどの公知の分散機を用いて分散処理することにより調製することができる。分散機の中でも、超音波分散機が好ましい。
【0061】
本発明の感光性組成物は、合金部分を含む微粒子を分散して含む用途に好適であり、(好ましくは黒色の)着色膜形成用インク、遮光膜(ブラックマトリクス等のカラーフィルタの黒色画像を含む。)等の用途に好適に用いることができる。
【0062】
遮光膜及びその製造方法
本発明の遮光膜は、既述の本発明の感光性組成物、あるいは後述の本発明の転写材料を用いて形成されるものである。この遮光膜は、本発明の感光性組成物を用いて構成されるので、薄膜で高い光学濃度が得られ、色相が良好(特に黒色相が良好)であると共に、熱処理が施された場合の熱に伴なう反射率の増加も小さい。さらに、環境負荷も小さく、環境適性に優れている。また、乾燥膜厚1μm当り2.0以上の光学濃度が得られるので、薄膜で高い光学濃度を確保できる。
【0063】
本発明の遮光膜は、既述の本発明の感光性組成物を所望の基板に塗布し、乾燥させる方法(塗布法)、又は仮支持体上に既述の本発明の感光性組成物を塗布し、乾燥させて設けられた感光性層(以下、遮光性層ともいう。)を有する転写材料を用い、前記感光性層を所望の基板に転写する方法(転写法)等を利用して作製することができる。
【0064】
本発明の遮光膜が所望のパターンにパターン化されてなるものである場合、該パターン化された遮光膜は上記の塗布法又は転写法により設けられた感光性の遮光性層をパターニングして形成される。
パターニングする方法としては、露光・現像による方法、レーザーの熱により不要部分を除去する方法(アブレーション法)、基板上に設けられた遮光性層の上に感光性レジスト膜を塗布し、これを露光・現像してパターニングした後、感光性レジスト膜を除去する方法などが挙げられる。本発明では、これらの方法のいずれも使用できるが、下記方法(1)〜(3)は工程の簡便さやパターニングの解像度などの点で好ましい。
【0065】
(1)基板上に感光性組成物を塗布、乾燥して遮光性層を形成し、この遮光性層上にフォトレジストを塗布し、塗布形成されたフォトレジスト膜を露光現像によりパターニングした後、フォトレジスト膜と共にその下層となる遮光性層を溶解除去する方法;
(2)基板上に感光性組成物を塗布、乾燥して感光性の遮光性層を形成し、形成された感光性の遮光性層を露光、現像(未硬化部分を除去)してパターニングする方法;
(3)仮支持体の上に感光性組成物を塗布、乾燥して感光性の遮光性層を予め形成して積層体(感光性転写材料)としておき、この積層体を所望の基板上にラミネートした後に仮支持体を除去して感光性の遮光性層を基板に転写した後、基板上に転写形成された感光性の遮光性層を露光、現像(未硬化部分を除去)してパターニングする方法;
【0066】
上記の方法(1)〜(3)はいずれも、蒸着法やスパッタリング法を用いた従来の方法に比べて簡単な工程で遮光性層を形成することができ、所望のパターンに遮光膜を形成することができる。
【0067】
本発明の遮光膜は、下記(I)又は(II)に示す本発明の遮光膜の製造方法により最も好適に作製することができる。
(I)既述の本発明の感光性組成物を基板上に塗布し、乾燥させて感光性層を形成し(層形成工程)、形成された感光性層をパターン状に露光、現像してパターン像を形成し(パターニング工程)、その後、形成されたパターン像を150℃以上の温度で5分間以上の条件で熱処理する(加熱工程)ことにより作製する方法。
(II)既述の本発明の転写材料を用いて基板上に感光性層を転写形成し(層形成工程)、転写形成された感光性層をパターン状に露光、現像してパターン像を形成し(パターニング工程)、その後、形成されたパターン像を150℃以上の温度で5分間以上の条件で熱処理する(加熱工程)ことにより作製する方法。
【0068】
感光性組成物の付与(塗布等)
感光性組成物を基板又は仮支持体に付与する方法としては、塗布方法が好適であり、該塗布方法としては特に制限はなく、例えば、特開2004−89851号公報や、特開2004−17043号公報に記載のスリットコート法、特開平5−224011号公報に記載のスピンコート法、特開平9−323472号公報に記載のダイコート法などを用いることができる。
【0069】
仮支持体に付与する場合、後述するように、仮支持体と感光性組成物からなる遮光性層と必要に応じて熱可塑性樹脂層及び中間層とで構成された転写材料とすることができる。
【0070】
パターニング
パターニング工程では、層形成工程で形成された感光性層をパターン状に露光した後、現像処理してパターン像を形成する。
露光は、公知の光源を用いて所望のパターンにて行なうことができる。光源は、フォトレジスト膜又は感光性の遮光性層の感光性状に応じて選択すればよい。例えば、超高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、アルゴンレーザーや、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等の公知の光源を使用することができる。また、特開平6−59119号公報に記載の、400nm以上の波長の光透過率が2%以下である光学フィルター等を併用してもよい。
【0071】
露光は、被露光面の全面を1回の露光により露光する一括露光でもよいし、被露光面を分割して複数回に分けて露光する分割露光としてもよい。さらに、レーザーを用いて被露光面をスキャンしながら行なう露光方法を適用してもよい。
【0072】
露光後の現像は、現像液を用いて行なうことができる。現像液としては、アルカリ性物質の希薄水溶液が好適であり、水と混和性の有機溶剤を少量添加したものを用いることもできる。
【0073】
前記アルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、又は燐酸三ナトリウム等が適当である。アルカリ性物質の濃度は、0.01〜30質量%が好ましく、pHは8〜14が好ましい。感光性の遮光性層の酸化等の性質に応じて例えば、現像液のpH等を変化させて、膜状脱離による現像が行えるように調整することができる。
【0074】
前記水と混和性の有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が適当である。水と混和性の有機溶剤の濃度は、0.1〜30質量%が一般的である。
【0075】
現像液には、さらに公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤を添加する場合の濃度は、0.01〜10質量%が好ましい。
【0076】
現像液は、浴液として用いてもよいし、あるいは噴射液として用いるようにしてもよい。感光性の遮光性層等の未硬化部分を固形状(好ましくは膜状)で除去することもでき、この場合には、現像液中で回転ブラシで擦るか、湿潤スポンジで擦るなどの方法、あるいは現像液を噴射した際の噴射圧を利用する方法が好ましい。現像液の温度は、通常室温付近から40℃の範囲が好ましい。
【0077】
現像液を収容した現像槽中にローラーコンベアなどを設置し、基板を水平に移動させるようにすることができる。ローラーコンベアでの傷を防止する意味で、感光性樹脂は基板の上面に形成されるのが好ましい。基板サイズが1メートルを超える場合は、基板を水平に搬送すると、基板中央付近に現像液が滞留し、基板中央と周辺部分での現像性に差異が生じて問題となり得ることから、これを回避するために、基板を斜めに傾斜させることが望ましい。傾斜角度は、5°から30°が好ましい。
また、現像前に純水を噴霧し、感光性樹脂層を湿らせておくと均一な現像結果が得られるので望ましい。
【0078】
現像後に水洗工程を設けることも可能である。現像後は、基板にエアを軽く吹きつけ、余分な液を略除去した上で、シャワー水洗を実施すると、より均一な現像結果が得られる。また、水洗の前に、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて3〜10MPaの圧力で噴射して残渣除去を行なうと、残渣の無い高品質の像が得られる。さらに、基板に水滴が付着したままの状態で後工程へ搬送すると、工程を汚したり、基板にシミが残ることがあるので、エアーナイフにて水切りを行ない、余分な水や水滴を除去することが好ましい。
【0079】
加熱その他
本発明の遮光膜は、現像後に加熱処理を施すのが好ましく、前記本発明の遮光膜の製造方法により遮光膜を作製する場合には、パターニング工程の後に加熱処理が施される。加熱工程では、前記パターニング工程で形成されたパターン像を150℃以上の温度で5分間以上の熱処理を施す。
【0080】
加熱処理により、露光により硬化した感光性の遮光性層の硬化を促進し、耐溶剤性や耐アルカリ性をより高めることができる。加熱方法は、現像後の基板を電気炉、乾燥器等の中に入れて加熱する方法、赤外線ランプで加熱する方法などを適用できる。
【0081】
加熱処理は、遮光膜の組成、厚みにもよるが、150〜250℃で5〜300分間行なうのが好ましく、170〜240℃で10〜200分間行なうのがより好ましい。加熱温度及び加熱時間が前記範囲であると、硬化が良好に行なわれ、遮光膜の分解を招来することもない。
また、現像後、加熱処理をする前に、硬化促進のために更に露光を行なってもよく、この場合の露光も既述の露光の場合と同様の方法により行なうことができる。
【0082】
上記以外に更に、感光性の遮光性層を形成する場合には、遮光性層の形成後、パターン状に露光する前に遮光性層の上に更に保護層を設ける工程を設けてもよい。
保護層は、パターン露光時に酸素を遮断して感光性の遮光性層の露光感度を高めるための酸素遮断層として機能するものであり、酸素遮断性の樹脂、例えばポリビニルアルコールを主成分に含む層が好ましい。なお、この層は、遮光膜(遮光画像)形成後は不要であるので、現像により除去される。
【0083】
本発明の遮光膜の厚みは、0.2〜1.5μmが好ましく、0.3〜1.0μmがより好ましい。該厚みが前記範囲内であると、必要な光学濃度を確保して表示コントラストが良好であると共に、基板表面の凹凸(遮光膜の設けられた部分と設けられていない部分の格差)が大きくなりすぎて後工程でRGBの画素をこの上に形成する際に不都合を来すこともない。
【0084】
本発明の遮光膜の透過濃度(光学濃度)としては、2.0以上14.0以下が好ましく、3.5以上13.0以下がより好ましく、特に好ましくは6.0以上12.0以下である。光学濃度が前記範囲内であると、コントラストが高く良好な表示品質を確保することができる。なお、ここでの光学濃度は、300〜650nmにおける光学濃度(透過)の平均値である。
【0085】
基板
前記基板としては、表示装置に一般に用いられるガラス基板が好ましい。
ガラス基板としては、例えば、ソーダガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス等の公知のガラスを用いたガラス基板が好適である。ガラス基板については、例えば、「液晶ディスプレイ工学入門」(鈴木ハナエ著、日刊工業新聞社発行(1998年))に記載がある。その他の基板として、シリコンウエハやポリオレフィン系などの透明プラスチックも用いることができる。さらに、TFT素子が配されたTFT素子基板を用いることもできる。
【0086】
前記基板の厚みとしては、0.5〜3mmの範囲が好ましく、0.6〜2mmの範囲がより好ましい。
【0087】
本発明の遮光膜は、表示画像のコントラスト、視認性の観点から、より黒色であることが好ましい。より黒色であることは、遮光膜の色度をxyz表色系の(x,y)値で表すとき、理想的な黒色の目標色度からの色差として評価することができる。すなわち、色差の値が小さいほど理想的な黒色に近づき、遠いほど黒色から外れることになる。具体的には、理想的な黒色の目標色度(x,y)値を(0.33,0.33)としたときの該目標色度との差を、XY表色系のΔE値で表すことにより評価することができる。
【0088】
転写材料
本発明の転写材料は、遮光膜の形成、好ましくは表示装置用の遮光膜の形成に用いられる材料である。本発明の転写材料は、仮支持体上に既述の本発明の感光性組成物を用いてなる少なくとも一層の感光性層を有してなり、必要に応じて更に、熱可塑性樹脂層、中間層、及び最表層を覆う保護フィルム等を設けて構成することができる。
【0089】
本発明の転写材料における感光性層は、合金部分を含む微粒子とモノマーとを少なくとも含み、好ましくは光重合開始剤、バインダーを更に含み、乾燥後の乾燥膜厚1μm当りの光学濃度が2.0以上となるように感光性に構成された層である。また、必要に応じて他の成分を用いて構成することができる。
【0090】
なお、感光性層において、合金部分を含む微粒子、モノマー、及びバインダー、光重合開始剤、並びに着色剤など他の成分の詳細については、既述の本発明の感光性組成物における場合と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0091】
以下、本発明の転写材料について詳細に説明する。
本発明の転写材料は、既述の遮光膜の形成に好適な方法の一つとして挙げた方法(3)に好適な感光性転写材料に構成されるのが好ましい。この感光性転写材料は、仮支持体と、該仮支持体に直接もしくは他の層を介して本発明の感光性組成物を塗布、乾燥させて形成された感光性層とで構成することができる。
【0092】
感光性層の層厚としては、0.2〜1.5μmが好ましく、0.3〜1.0μmがより好ましい。感光性層の厚みが前記範囲内であると、必要な光学濃度を確保して表示コントラストが良好であると共に、基板表面の凹凸(遮光膜の設けられた部分と設けられていない部分の格差)が大きくなりすぎて後工程でRGBの画素をこの上に形成する際に不都合を来すこともない。
【0093】
感光性転写材料には、仮支持体と感光性層との間に熱可塑性樹脂層を設けた形態が好ましく、更に熱可塑性樹脂層と感光性層との間にアルカリ可溶性の中間層を設けた形態がより好ましい。また、感光性層の露出面には保護フィルムを設けてもよい。
【0094】
仮支持体は、化学的及び熱的に安定であって、可撓性の物質で構成されたものが好ましい。具体的には、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄いシート又はこれらの積層物が好ましい。また、後述の熱可塑性樹脂層を設ける場合には、該層との剥離性が良好なものが好ましい。仮支持体の厚さとしては、5〜300μmが適当であり、特に20〜150μmが好ましい。
【0095】
熱可塑性樹脂層
熱可塑性樹脂層は、熱可塑性を有する樹脂を少なくとも含んでなり、一般には溶剤を用いて調製された熱可塑性樹脂含有の調製液を用いて形成することができる。
【0096】
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ゴム系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びこれらの共重合体等を挙げることができる。熱可塑性樹脂層を構成する樹脂は、アルカリ可溶であることが望ましい。
【0097】
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂は、具体例として、エチレン/アクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル3元共重合体、ビニルトルエン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等との(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのケン化物、並びに、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチックエ業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25目発行)による有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なもの、等から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。
【0098】
これらの樹脂は、以下のように2種類を混合して用いることが好ましい。すなわち、これら樹脂の1種として、(A)重量平均分子量が5万〜50万であって且つガラス転移温度(Tg)が0〜140℃の範囲の樹脂〔以下、樹脂(A)ともいう。〕が好適であり、この更に好ましくは、重量平均分子量が6万〜20万であって且つTgが30〜110℃の範囲内の樹脂である。
【0099】
前記樹脂の具体例としては、特公昭54−34327号、特公昭55−38961号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭61−134756号、特公昭59−44615号、特開昭54−92723号、特開昭54−99418号、特開昭54−137085号、特開昭57−20732号、特開昭58−93046号、特開昭59−97135号、特開昭60−159743号、OLS3504254号、特開昭60−247638号、特開昭60−208748号、特開昭60−214354号、特開昭60−230135号、特開昭60−258539号、特開昭61−169829号、特開昭61−213213号、特開昭63−147159号、特開昭63−213837号、特開昭63−266448号、特開昭64−55551号、特開昭64一55550号、特開平2−191955号、特開平2−199403号、特開平2−199404号、特開平2−208602号等の各公報、並びに特願平4−39653号明細書に記載の、アルカリ水溶液に可溶な樹脂を挙げることができる。
特に好ましいのは、特開昭63−147159号公報に記載のメタクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体である。
【0100】
さらに、上記した種々の樹脂(A)に更に下記樹脂(B)を併用することが好ましい。すなわち他の1種として、(B)重量平均分子量が3千〜3万であって且つガラス転移温度(Tg)が30〜170℃の範囲内の樹脂〔以下、樹脂(B)ともいう。〕が好適であり、この更に好ましくは、重量平均分子量が4千〜2万であって且つTgが60〜140℃の範囲内の樹脂である。
好ましい具体例は、上記の公報等に記載のものの中から選択することができるが、特に好ましくは、特公昭55−38961号公報、特開平5−241340号公報に記載のスチレン/(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0101】
前記樹脂(A)について、樹脂(A)の重量平均分子量が5万未満、又はガラス転移温度(Tg)が0℃未満であると、レチキュレーションの発生や、転写中に熱可塑性樹脂が周囲にはみ出して永久支持体を汚染することがある。また、樹脂(A)の重量平均分子量が50万を越え、又はガラス転移温度(Tg)が140℃を越えると、転写時に画素間に気泡が入ったり、熱可塑性樹脂のアルカリ水溶液除去性が低下することがある。
【0102】
熱可塑性樹脂層の厚みは、1μm以上が好ましい。熱可塑性樹脂の厚みが前記範囲内であると、1μm以上の被転写体(下地)面の凹凸を完全に吸収することが可能である。また、上限については、アルカリ水溶液除去性、製造適性から約100μm以下が好ましく、より好ましくは約50μm以下である。
【0103】
熱可塑性樹脂層を形成するための熱可塑性樹脂含有の調製液は、この層を構成する樹脂を溶解し得るものであれば、特に制限はなく、例えば、メチルエチルケトン、n−プロパノール、i−プロパノール等を選択することができる。
【0104】
中間層
熱可塑性樹脂層を設ける場合、熱可塑性樹脂層と感光性層との間には、調製液塗布時の両層の層混合を防止する、あるいは酸素遮断の目的で、さらに中間層を設けることが好ましい。
【0105】
中間層は、少なくとも樹脂を用いて構成でき、一般には熱可塑性樹脂層や感光性層の形成に用いる溶剤と相溶性の小さい水系溶媒を用いて調製された樹脂含有の調製液を用いて形成することができる。
【0106】
中間層を構成する樹脂としては、アルカリ可溶のものが好ましく、樹脂の例として、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂およびこれらの共重合体を挙げることができる。また、ポリエステルのように通常はアルカリ可溶性でない樹脂にカルボキシル基やスルホン酸基を持つモノマーを共重合してアルカリ可溶性を付与した樹脂も用いることができる。
これらの中で好ましいものは、ポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールとしては、鹸化度が80%以上のものが好ましく、83〜98%のものがさらに好ましい。
【0107】
中間層を構成する樹脂は、2種類以上を混合して用いることが好ましく、特には、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとを混合して用いることが好ましい。混合する場合の両者の質量比は、ポリビニルピロリドン/ポリビニルアルコール=1/99〜75/25が好ましく、より好ましくは10/90〜50/50の範囲内である。該質量比が前記範囲内であると、酸素遮断機能に伴なう感度低下が抑えられると共に、面状の良好な中間層を形成でき、中間層上に塗設する感光性樹脂層との密着性も良好になる。
【0108】
中間層の厚みは、0.1〜5μmの範囲が好ましく、0.5〜3μmの範囲がより好ましい。中間層の厚みが前記範囲内であると、酸素遮断性に優れると共に、現像時の中間層除去を短時間に行なうことができる。
【0109】
中間層形成用の塗布液の調整するには、溶媒を用いることができる。溶媒としては、前記樹脂を溶解し得るものであれば特に制限はなく、水を用いるのが好ましく、水に既述した水混和性の有機溶剤を混合した混合溶媒も好ましい。溶媒の好ましい具体例として、例えば、水並びに、水/メタノール=90/10、水/メタノール70/30、水/メタノール=55/45、水/エタノール=70/30、水/1−プロパノール=70/30、水/アセトン=90/10、水/メチルエチルケトン=95/5等の混合溶媒が挙げられる。これらの比は質量比である。
【0110】
感光性転写材料を構成する感光性層は、合金部分を含む微粒子とモノマーとを(好ましくは溶媒を用いて)調製された調製液を例えば塗布等して形成されるので、薄膜で高い光学濃度が得られ、色相が良好(特に黒色相が良好)であると共に、熱処理が施された場合の熱に伴なう反射率の増加も小さい。さらに、環境負荷も小さく、環境適性に優れている。
【0111】
次に、感光性転写材料を用いて感光性層を基板に転写形成する方法を中心に述べる。
転写は、最表層である感光性層の表面と基板表面とを密着させてラミネートし、仮支持体を剥離して転写する方法が好ましい。
ラミネートの方法としては、従来公知のラミネーター、真空ラミネーターなどを用いることができる。また、摩擦性を高めるため、オートカットラミネーターを使用することもできる。
【0112】
ラミネートの際の基板の加熱温度は、60〜150℃程度が好ましく、ゴムローラ温度は、80〜140℃程度が好ましく、加圧圧力(線圧)は50〜200N/cm程度が好ましい。本発明では、ラミネートは基板のライン速度が搬送速度1〜5m/分程度である範囲で行なうことが好ましい。ゴムローラは140℃超えると、転写材料にシワが入りやすくなることがあり、80℃未満であると感光性樹脂層の密着が弱くなることがある。
【0113】
感光性転写材料を用いて遮光膜を形成する場合、感光性転写材料と基板とのラミネーションの後、仮支持体を剥離し、感光性層の露光、現像を順次行ない、露光及び現像後にさらに加熱処理を施す。露光と現像、及び加熱処理条件については既述の方法を適用することができる。
【0114】
表示装置用基板
本発明の表示装置用基板は、基板上に、既述の本発明の遮光膜を設けて構成されたものである。該遮光膜は、既述の本発明の感光性組成物、又は既述の本発明の転写材料を用いて形成されるので、薄膜で光学濃度が高く、色相が良好(特に黒色相が良好)であると共に、熱処理が施された場合の熱に伴なう反射率の増加も小さく、表示画像のコントラスト及び配線の遮蔽性に優れる。さらに、環境負荷も小さく、環境適性に優れている。
【0115】
遮光膜の形成は、既述の本発明の遮光膜を形成するのに好適な方法(1)〜(3)により行なえ、方法(3)によるのがより好ましい。
【0116】
なお、感光性組成物、及び転写材料を構成する各成分は、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。また、遮光膜の厚み、透過濃度(光学濃度)については、既述の遮光膜における場合と同様である。
【0117】
表示装置用カラーフィルタ
本発明の表示装置用カラーフィルタは、既述の本発明の表示装置用基板、つまり既述の本発明の遮光膜を設けて構成されたものである。該遮光膜は、既述の本発明の感光性組成物、又は既述の本発明の転写材料を用いて形成されるので、薄膜で光学濃度が高く、色相が良好(特に黒色相が良好)であると共に、熱処理が施された場合の熱に伴なう反射率の増加も小さく、表示画像のコントラスト及び配線の遮蔽性に優れる。さらに、環境負荷も小さく、環境適性に優れている。
【0118】
本発明のカラーフィルタは、例えば、光透過性の基板上に、互いに異なる色相を呈する複数の画素を含む画素群と、画素群を構成する各画素を離隔する遮光画像(いわゆるブラックマトリックス)として既述の本発明の遮光膜とを設けて構成することができる。
【0119】
光透過性の基板としては、既述した基板、TFT素子等が設けられた駆動基板(TFT素子基板等)などを用いることができる。
ここで、光透過性とは、基板が光を透過する性質を有することをいい、好ましくは光源からの光量の90%以上を透過する性質をいう。
【0120】
TFT素子基板を用いて構成する場合には、TFT素子基板上に、画素群とこれを構成する各画素を離隔する表示装置用遮光膜とを設けた構成であってもよい。
上記のほか、本発明のカラーフィルタは、TFT素子基板を用い、TFT素子基板の上に、画素群を設けずに、表示装置用遮光膜(ブラックマトリックス)のみを設けた構成であってもよい。この場合は、このTFT素子基板とは別の光透過性の基板上に画素群を形成し、画素群が形成された基板を前記TFT素子基板に対向配置して用いる。これにより、TFTアレイの開口率が良好となる。
【0121】
画素群は、互いに異なる色相を呈する複数の画素を含んでなり、画素形成用の着色感光性樹脂組成物や感光性転写材料の複数種を用いた常法により形成することができる。画素群を形成した後は、熱処理を行なうことが好ましい。
着色感光性樹脂組成物、感光性転写材料については、例えば、特開2005−3861号公報や、特開2004−361448号公報を参照できる。
【0122】
表示装置
本発明の表示装置は、既述の本発明のカラーフィルタを用いて構成されたものである。本発明のカラーフィルタ、詳細には、既述した本発明の感光性組成物又は転写材料を用いてなる遮光膜で構成されるので、薄膜で光学濃度が高く、良好(特に黒色相が良好)な色相を有しており、熱処理が施された場合の熱に伴なう反射率の増加も小さく、高コントラストで表示品質の高い画像表示が可能である。さらに、環境負荷も小さく、環境適性に優れている。
【0123】
表示装置は、本発明のカラーフィルタを備えた表示装置であれば、特に限定されるものではなく、公知の表示装置の構成要素を更に用いて構成することができる。例えば、カラーフィルタ基板及びこれと対向配置された光透過性の基板と、これら基板間に設けられた液晶層と、液晶層の液晶を駆動する液晶駆動手段(単純マトリックス駆動方式及びアクティブマトリックス駆動方式を含む。)とを備え、カラーフィルタ基板として既述の本発明のカラーフィルタを用いた構成とすることができる。
【0124】
液晶の表示方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定でき、例えば、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、TN(Twisted Nematic)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、STN(Supper Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、GH(Guest Host)、FLC(強誘電性液晶)、AFLC(反強誘電性液晶)、PDLC(高分子分散型液晶)などの表示方式に適用可能である。
【実施例】
【0125】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0126】
実施例1
銀/パラジウム合金と銀とからなる微粒子分散液(分散液A1)の調製
純水1000mlに、酢酸銀(I)51.7g、酢酸パラジウム(II)34.8g、グルコン酸54g、ピロリン酸ナトリウム45g、ポリエチレングリコール(分子量3,000)2g、及びE735(アイエスピー・ジャパン(株)製;ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー)5gを溶解し、溶液1を得た。
別途、純水500mlにヒドロキシアセトン40.8gを溶解して、溶液2を得た。
【0127】
上記より得た溶液1を25℃に保ちつつ激しく攪拌しながら、これに上記の溶液2を10分間かけて添加し、緩やかに6時間攪拌を継続した。すると、混合液が黒色に変化し、銀/パラジウム合金部を有する金属粒子(以下、「粒子1」と称する。)を得た。次いで、この混合液を遠心分離して粒子1を沈殿させた。遠心分離は、混合液を150mlの液量に小分けし、卓上遠心分離機H−103n〔(株)コクサン製〕により回転数2,000r.p.m.にて30分間行なった。そして、上澄みを捨て全液量を150mlにし、これに純水1350mlを加えて15分間攪拌し、粒子1を再び分散させた。この操作を2回繰り返して水相の可溶性物質を除去した。
【0128】
その後、この液に対して更に遠心分離を行ない、粒子1を再び沈殿させた。遠心分離は、前記同様の条件にて行なった。遠心分離した後、前記同様に上澄みを捨て全液量を150mlにし、これに純水850ml及びアセトン500mlを加え、さらに15分間攪拌して粒子1を再び分散させた。
その後再び、前記同様にして遠心分離を行ない、粒子1を沈殿させた後、前記同様に上澄みを捨て液量を150mlにし、これに純水150ml及びアセトン1200mlを加えて更に15分間攪拌し、粒子1を再び分散させた。そして、再び遠心分離を行なった。このときの遠心分離の条件は、時間を90分に延ばしたこと以外は前記同様である。その後、上澄みを捨て全液量を70mlにし、これにアセトン30mlを加えたものをアイガーミル(アイガーミルM−50型(メディア:直径0.65mmのジルコニアビーズ130g)、アイガー・ジャパン(株)製)を用いて6時間分散し、粒子1の微粒子分散液(分散液A1)を得た。
【0129】
感光性遮光層用塗布液の調製
得られた分散液A−1に下記組成の化合物を加え、感光性遮光層用塗布液を調製した。
〔組成〕
・上記の分散液A−1 …40.0ml
・ポリマーP−1 … 6.0g
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=60/40[質量比])共重合体、重量平均分子量35000)
・下記界面活性剤1 … 0.1g
・ヒドロキノンモノメチルエーテル … 0.001g
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート … 6.0g
・ビス[4−[N−[4−(4,6−ビストリクロロメチル−s−トリアジン−2−イル)フェニル]カルバモイル]フェニル]セバケート … 0.1g
【0130】
*界面活性剤1
前記界面活性剤1の組成は、下記の通りである。
・下記構造物1 …30部
・メチルエチルケトン …70部
【0131】
【化1】

【0132】
保護層用塗布液の調製
下記処方Pの化合物を混合し、保護層用塗布液を調製した。
〔保護層用塗布液の処方P1〕
・PVA−205 … 32.2部
(鹸化度=88%、重合度550、(株)クラレ製;ポリビニルアルコール)
・ポリビニルピロリドン … 14.9部
(K−30、アイエスピー・ジャパン(株)製)
・蒸留水 …524部
・メタノール …429部
【0133】
遮光膜の作製
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。洗浄後の基板を120℃で3分間熱処理し、表面状態を安定化させた。続いて、この基板を冷却し、更に23℃に温調後、スリット状ノズルを備えたガラス基板用コーター(平田機工(株)製)を用いて、上記より得た感光性遮光層用塗布液を光学濃度が4.0になるように塗布し、感光性遮光層を形成した。
引き続き、真空乾燥装置VCD(東京応化工業(株)製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布膜の流動性をなくした後、120℃で3分間プリベークして光学濃度4.0、膜厚0.87μmの感光性遮光層を形成した。
【0134】
次いで、この感光性遮光層上に、該感光性樹脂層の形成と同様の方法で、上記の保護層用塗布液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布し、100℃で5分間乾燥させた。続いて、超高圧水銀灯を用いて基板の塗布面側から70mJ/cm2にて露光を行なった。続いて、現像処理液TCD(富士写真フイルム(株)製;アルカリ現像液)を5倍希釈したもの(使用時のpHは10.2)を用いて、現像処理(33℃、20秒;現像工程)し、その後さらに220℃で30分間熱処理して、遮光膜を作製した。
【0135】
実施例2
実施例1において、酢酸パラジウム(II)と酢酸銀(I)との量をそれぞれ70.0gと26.0gとに変更したこと以外、実施例1と同様にして、微粒子分散液(分散液A2)を調製し、分散液1を分散液A2に代えて遮光膜を作製した。
【0136】
実施例3
実施例1において、分散液A1を下記微粒子分散液(分散液A3)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、遮光膜を作製した。
【0137】
銀/金合金と銀とからなる微粒子分散液(分散液A3)の調製
純水500mlに、テトラクロロ金(III)酸・4水和物49.8g、グルコン酸20g、ピロリン酸ナトリウム24g、ポリエチレングリコール(分子量3,000)1.5g、及びE735(アイエスピー・ジャパン(株)製;ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー)2.5gを溶解し、溶液3を得た。
別途、純水500mlに、酢酸銀(I)40.4g、グルコン酸35g、ピロリン酸ナトリウム24g、ポリエチレングリコール(分子量3,000)1.5g、及びE735(アイエスピー・ジャパン(株)製;ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー)2.5gを溶解し、溶液4を得た。
更に、純水500mlにヒドロキシアセトン28.0gを溶解して、溶液5を得た。
【0138】
上記より得た溶液5を25℃に保ちつつ激しく攪拌しながら、これに上記の溶液3と溶液4とを10分間かけて同時に添加し、緩やかに6時間攪拌を継続した。すると、混合液が黒色に変化し、金/銀合金部を有する金属粒子(以下、「粒子3」と称する。)を得た。続いて、この混合液を遠心分離し、粒子3を沈殿させた。遠心分離は、混合液を150mlの液量に小分けして、卓上遠心分離機H−103n〔(株)コクサン製〕により回転数2,000r.p.m.にて30分間行なった。そして、上澄みを捨て全液量を150mlにし、これに純水1350mlを加えて15分間攪拌し、粒子3を再び分散させた。この操作を2回繰り返して、水相の可溶性物質を除去した。
【0139】
その後、この液に対して更に遠心分離を行ない、粒子3を再び沈殿させた。遠心分離は、前記同様の条件にて行なった。遠心分離した後、前記同様に上澄みを捨て全液量を150mlにし、これに純水850ml及びアセトン500mlを加え、さらに15分間攪拌して粒子3を再び分散させた。
【0140】
再び前記同様にして遠心分離を行ない、粒子3を沈殿させた後、前記同様に上澄みを捨て液量を150mlにし、これに純水150ml及びアセトン1200mlを加えて更に15分間攪拌し、粒子3を再び分散させた。そして再び、遠心分離を行なった。このときの遠心分離の条件は、時間を90分に延ばしたこと以外は前記同様とした。その後、上澄みを捨て全液量を70mlにし、これにアセトン30mlを加えたものをアイガーミル(アイガーミルM−50型(メディア:直径0.65mmのジルコニアビーズ130g)、アイガー・ジャパン(株)製)を用いて6時間分散し、粒子3の微粒子分散液(分散液A3)を得た。
【0141】
実施例4
実施例1において、分散液A1を下記微粒子分散液(分散液A4)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、遮光膜を作製した。
【0142】
銀/錫合金と錫とからなる微粒子分散液(分散液A4)の調製
純水1000mlに、酢酸銀(I)23.1g、酢酸スズ(II)65.1g、グルコン酸54g、ピロリン酸ナトリウム45g、ポリエチレングリコール(分子量3,000)2g、及びE735(アイエスピー・ジャパン(株)製;ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー)5gを溶解し、溶液6を得た。
別途、純水500mlにヒドロキシアセトン36.1gを溶解して、溶液7を得た。
【0143】
上記より得た溶液6を25℃に保ちつつ激しく攪拌しながら、これに上記の溶液7を2分間かけて添加し、緩やかに6時間攪拌を継続した。すると、混合液が黒色に変化し、銀錫合金部を有する金属粒子(以下、「粒子4」と称する。)を得た。続いて、この混合液を遠心分離し、粒子4を沈殿させた。遠心分離は、この混合液を150mlの液量に小分けして、卓上遠心分離機H−103n〔(株)コクサン製〕により回転数2,000r.p.m.にて30分間行なった。そして、上澄みを捨て全液量を150mlにし、これに純水1350mlを加え、15分間攪拌して粒子4を再び分散させた。この操作を2回繰り返して水相の可溶性物質を除去した。
【0144】
その後、この液に対して更に遠心分離を行ない、粒子4を再び沈殿させた。遠心分離は、前記同様の条件にて行なった。遠心分離した後、前記同様に上澄みを捨て全液量を150mlにし、これに純水850ml及びアセトン500mlを加え、さらに15分間攪拌して粒子4を再び分散させた。
【0145】
再び前記同様にして遠心分離を行ない、粒子4を沈殿させた後、前記同様に上澄みを捨て液量を150mlにし、これに純水150ml及びアセトン1200mlを加えて更に15分間攪拌し、粒子4を再び分散させた。そして再び、遠心分離を行なった。このときの遠心分離の条件は、時間を90分に延ばしたこと以外は前記同様とした。その後、上澄みを捨て全液量を70mlにし、これにアセトン30mlを加えたものをアイガーミル(アイガーミルM−50型(メディア:直径0.65mmのジルコニアビーズ130g)、アイガー・ジャパン(株)製)を用いて6時間分散し、粒子4の微粒子分散液(分散液A4)を作製した。
【0146】
実施例5
転写材料の作成
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート仮支持体(PET仮支持体)の表面に、スリット状ノズルを用いて、乾燥厚みが14.6μmになるように下記の処方H1で調製された熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布し、100℃で3分間乾燥させ、熱可塑性樹脂層を形成した。この熱可塑性樹脂層上に、前記処方P1で調製された中間層用塗布液をスリットコーターを用いて乾燥膜厚が1.6μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥させて、中間層(酸素遮断膜)を積層した。この中間層上に、実施例1で調製した感光性遮光層用塗布液(分散液A−1含有)を、光学濃度が4.0となるようにスリットコーターを用いて塗布し、100℃で3分間乾燥させて感光性遮光層を形成した。
以上のようにして、PET仮支持体上に熱可塑性樹脂層、中間層、及び感光性遮光層が順次積層されたフィルムを作製し、更に遮光層の上に保護フィルムとして、厚さ12μmのポリプロピレンフィルムを圧着し、感光性転写材料とした。
【0147】
熱可塑性樹脂層用塗布液の処方H1
・メタノール …11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 6.36部
・メチルエチルケトン …52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合比[モル比]=55/11.7/4.5/28.8、重量平均分子量=9万、Tg≒70℃) … 5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合比[モル比]=63/37、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃) …13.6部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン
(新中村化学工業(株)製;ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリートを2当量脱水縮合した化合物) … 9.1部
・前記界面活性剤1 … 0.54部
【0148】
転写による遮光画像付き基板の作製(転写法)
無アルカリガラス基板に、25℃に調温したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水でシャワー洗浄した後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランの0.3%水溶液;商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、その後、純水でシャワー洗浄した。さらに、この基板を基板予備加熱装置を用いて100℃下で2分間加熱した。
【0149】
続いて、上記より得た感光性転写材料の保護フィルムを剥離後、露出した感光性遮光層が、加熱後のガラス基板の表面と接するように重ね合わせ、ラミネーターLamicII型〔(株)日立インダストリイズ製〕を用いて、ゴムローラ温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件で貼り合わせた(ラミネート工程)。次いで、PET仮支持体を剥離した(転写工程)。
【0150】
続いて、超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー型露光機(日立電子エンジニアリング社製)を用い、基板の感光性遮光層が転写された側から70mJ/cm2でパターン露光した(露光工程)。
【0151】
露光後、トリエタノールアミン系現像液T−PD1(2.5%のトリエタノールアミン、ノニオン界面活性剤、及びポリプロピレン系消泡剤含有、富士写真フイルム(株)製)を純水で12倍(T−PD1を1質量部と純水を11質量部の割合で混合)に希釈した液をフラットノズルから30℃、ノズル圧力0.04MPaにて、熱可塑性樹脂層上から50秒間噴射してシャワー現像を行ない、熱可塑性樹脂層及び中間層を現像除去した。引き続き、炭酸Na系現像液T−CD1(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5質量%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有、富士写真フイルム(株)製)を5倍希釈したもの(使用時のpHは10.2)をコーン型ノズルから29℃、ノズル圧力0.15MPaにて30秒間噴射して感光性遮光層をシャワー現像し(現像工程)、パターン像を得た。続いて、洗浄剤T−SD1(燐酸塩、珪酸塩、ノニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;富士写真フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液を用い、コーン型ノズルから33℃、圧力0.02MPaにて20秒間シャワーとナイロン毛を有する回転ブラシにより残渣除去を行ない、遮光膜を得た。
【0152】
その後さらに、ガラス基板の画像が形成された側から超高圧水銀灯で500mJ/cm2の光でポスト露光した後、220℃で15分間熱処理した。
【0153】
実施例6〜8
実施例5において、感光性遮光層用塗布液の調製に用いた分散液A1を分散液A2(実施例6)、分散液A3(実施例7)、分散液A4(実施例8)に代えたこと以外、実施例5と同様にして、遮光膜を作製した。
【0154】
比較例1
実施例1において、感光性遮光層用塗布液の調製に用いた分散液A1を下記カーボンブラック分散液B−1に代えたこと以外、実施例1と同様にして、遮光膜を作製した。
【0155】
カーボンブラック分散液B−1の調製
カーボンブラック(リーガル400、リーガル(株)製)3.8gとソルスパース20000(アビシア(株)製;分散剤)0.38gとメチルエチルケトン50mlとを混合し、この混合液に3mmガラスビーズ40gを加えてペイントシェーカーで6時間分散した。次いで、ガラスビーズを除去し、カーボンブラック分散液B−1を調製した。

【0156】
比較例2
実施例1において、感光性遮光層用塗布液の調製に用いた分散液A1を下記の銀微粒子分散液B−2に代えたこと以外、実施例1と同様にして、遮光膜を作製した。
【0157】
銀微粒子分散液B−2の調製
銀分散スラリーの調製
ゼラチン112gに蒸留水3,488gを添加し、得られた混合物を約47℃に加熱してゼラチンを溶解した。これに酢酸カルシウム4.0g及びホウ化水素カリウム2.0gを添加し、その直後、蒸留水1.0L(リットル)に溶解した硝酸銀6.0gを、急速に攪拌しながら添加した。さらに蒸留水を添加し、最終重量を5.0kgに調整した。次いで、生成物をゲル化温度近くまで冷却した後、小さな穴を通過させて冷却した水の中へ入れ、微細なヌードルを形成した。このヌードルを、青色銀を生成するための増幅触媒として供給した。便宜上及びヌードルが溶融塊を形成するのを防ぐために、水を用いてヌードルを希釈し、水1対ヌードル3に調整した(ヌードルスラリー)。
【0158】
次に、ホウ化水素還元銀核650gに、蒸留水81gに溶解したモノスルホン酸ヒドロキノンカリウム6.5g及びKCl0.29gを添加したものを、前記ヌードルスラリーに添加し、約6℃まで冷却した。また、別々の容器に、以下に示す2種の溶液A、Bを調製した。
溶液A:亜硫酸ナトリウム(無水)…19.5g
重亜硫酸ナトリウム(無水)…0.98g
蒸留水…122.0g
溶液B:硝酸銀…9.75g
蒸留水溶液…122.0g
【0159】
前記溶液A及びBを混合して攪拌を続けると、消失する白色沈殿を形成させた。その後直ちに、この混合物を短時間で(5分間以内)急速に攪拌しながらヌードルスラリーに添加した。温度を10℃に維持し、全ての可溶性銀塩が核の上に還元されるまで約80分間増幅を進行させ、青色スラリー粒子を得た。続いて、得られた青色スラリー粒子を、ナイロンメッシュバック中でスラリーを介して水道水を通過させ、約30分間洗浄水がバックを通過するようにして洗浄し、全ての塩を洗い流した。ゲルスラリーに分散させた洗浄後の青色銀を、溶融した場合に1.5%濃度の銀を有する青色銀分散体が得られるように、生成物量が412gになるまで水気を切って、銀分散スラリーを調製した。このとき、透過電子顕微鏡で写真撮影したところ、この青色銀はエッジ長さ約20〜30nmで厚さ約7nmの明確な平板状粒子からなることを確認した。
【0160】
銀微粒子の作製
上記のようにして得た銀分散スラリー4000gに、分散剤(ラピゾールB−90、日本油脂(株)製)6gとパパイン5%水溶液2000gとを添加し、37℃で24時間保存した。保存後の液を2000r.p.m.で5分間遠心分離し、銀微粒子を沈降させた。上澄みを棄てた後、蒸留水で洗浄して酵素で分解されたゼラチン分解物を除去し、銀微粒子沈降物を得た。次いで、得られた銀微粒子沈降物をメチルアルコールで洗浄し、乾燥させて約60gの銀微粒子の凝集物を得た。この凝集物53gと分散剤(ソルスパース20000、アビシア(株)製)5gとメチルエチルケトン22gとを混合し、これに2mmガラスビーズ100gを混合して、ペイントシェーカーで3時間分散し、銀微粒子分散液B−2を得た。
【0161】
評価1
各実施例及び比較例で作製した遮光膜について、下記測定を行なった。測定結果は下記表1に示す。
1.膜厚
各遮光膜の乾燥膜厚(露光工程の前)を接触式表面粗さ計P−1(TENKOR社製)を用いて測定した。
【0162】
2.光学濃度
各遮光膜の光学濃度を下記方法により測定した。
各実施例及び比較例においてブラックマトリクスを形成した感光性遮光層用塗布液を用い、透明基板上に透過光学濃度が3.0以下になるような薄膜の層を形成し、パターン状に露光しない以外は各実施例及び比較例と同様の工程を経て、透明基板上に薄膜を形成した透過光学濃度測定用のサンプルを得た。このサンプルの光学濃度(OD)を、ガラス基板と共にマクベス濃度計TD−904(マクベス社製)を用いて測定した。これとは別に、用いたガラス基板の光学濃度(OD)を同様の方法で測定した。そして、ODからODを差し引いた値(OD−OD)をサンプル上に形成された薄膜の光学濃度とした。
接触式表面粗さ計P−10(ケーエルエー・テンコール(株)製)を用いて、測定用サンプル基板上に形成された薄膜の膜厚を測定した。測定結果の透過光学濃度と膜厚の関係から、実施例及び比較例で作成した膜厚のブラックマトリクスの光学濃度(OD)を算出した。
【0163】
【表1】

【0164】
表1に示すように、実施例では、薄膜で高い光学濃度が得られ、加熱(ベーク)による反射率の増加も抑えることができた。また、遮光膜の黒色相も良好であった。これに対し、カーボンブラックを着色剤として用いた比較例1では、厚膜になってしまい、また、銀微粒子で構成した比較例2では、薄膜で高い光学濃度が得られたものの、加熱による反射率の増加を抑えることはできなかった。

【0165】
実施例9〜12
実施例5〜8で得た感光性転写材料を用い、それぞれ実施例5と同様にして、洗浄・加熱した無アルカリガラス基板に対してラミネート工程、転写工程、及び露光工程を施した。露光工程での露光は、仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離後、超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー型露光機(日立電子エンジニアリング(株)製)にて、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)とを垂直に立てた状態で、マスク面と熱可塑性樹脂層の表面との間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2でパターン状に行なった。この後、次のようにして現像工程を施した。
【0166】
1)現像1:現像処理液T−PD2(富士写真フィルム(株)製のアルカリ現像液)を10倍希釈したもの(使用時のpHは11)を用いて現像処理(33℃、20秒;現像工程)
2)現像2:現像処理液T−CD1(富士写真フィルム(株)製のアルカリ現像液)を5倍希釈したもの(使用時のpHは10.2)を用いて現像処理(33℃、20秒;現像工程)
3)水洗:25℃にて20秒間
4)乾燥:40℃にて60秒間
【0167】
続いて、220℃の乾燥機内で40分間加熱処理を行なった。以上のようにして、3種の遮光膜付きの基板を作製した。得られた遮光膜はいずれも、縦横とも線幅15μmの格子状で、窓部は縦270μm、横80μmの長方形に構成されている。そして、この基板の各々に、以下の方法により赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の着色画素を設け、カラーフィルタを作製した。
【0168】
特開平5−34517号公報の実施例−1に記載の、赤、青又は緑の層(それぞれR層、G層、又はB層)を有する転写材料を用い、まず赤色転写材料の感光性樹脂層の表面が、遮光膜付きの基板の遮光膜が形成されている側の表面と密着するように重ね合わせ、ラミネーターLamicII型〔(株)日立インダストリイズ製〕を用いて、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件でラミネートした(ラミネート工程)。次いで、PET仮支持体を剥離した(転写工程)。
【0169】
次に、マスクを介して高圧水銀灯により、遮光膜付きの基板の感光性樹脂層が転写された側から200mJ/cm2にて露光を行なった。露光後、前記遮光膜付きの基板の作製時における現像工程(現像1、現像2、水洗、及び乾燥)と同様にして現像処理を行ない、その後さらに前記遮光膜付きの基板の作製時と同様にして加熱処理を行なった。以上により、遮光膜付きの基板上に赤色の着色画素(R画素)を形成した。次いで、青色及び緑色の転写材料を用い、前記R画素の形成と同様にして青色、緑色の着色画素(G画素、B画素)を形成し、RGB3色の着色画素と各着色画素を離隔する遮光膜とで構成されたカラーフィルタを作製した。

【0170】
評価2
上記で得た各カラーフィルタについて以下の評価を行なった。
【0171】
4.色調の評価
遮光膜つき基板における遮光膜の色調を目視観察した。各遮光膜は、黒色で良好な黒色調を有していた。
【0172】
5.気泡の評価
各カラーフィルタについて、赤色画素100個を光学顕微鏡(倍率200倍)を用いて観察し、画素内の気泡の有無を確認した。各カラーフィルタはいずれも、気泡は0個であった。
【0173】
日本出願2005−270872の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本発明の例示的実施形態についての以上の記載は例示および説明の目的でされたものであり、網羅的であることあるいは発明を開示されている形態そのものに限定することを意図するものではない。明らかなことではあるが、多くの改変あるいは変更が当業者には自明である。上記実施形態は発明の原理及び実用的応用を最もうまく説明し、想定される特定の用途に適するような種々の実施形態や種々の改変と共に他の当業者が発明を理解できるようにするために選択され、記載された。本発明の範囲の範囲は以下の請求項およびその均等物によって規定されることが意図されている。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合金部分を含む微粒子及びモノマーを含有し、膜形成後の乾燥膜厚1μm当りの光学濃度が2.0以上である感光性組成物。
【請求項2】
前記微粒子が、合金部分と金属部分とからなる微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記合金部分が、金、銀、銅、パラジウム、タングステン、錫、及びチタンから選ばれる2種以上の金属からなることを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記微粒子の数平均粒径が60〜3000nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記微粒子を組成物中に体積分率で5〜70%含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項6】
仮支持体と、該仮支持体上に請求項1に記載の感光性組成物を含む感光性層と、を有することを特徴とする転写材料。
【請求項7】
請求項1に記載の感光性組成物を基板上に付与することにより形成されたことを特徴とする遮光膜。
【請求項8】
請求項6に記載の転写材料における感光性層を基板上へ転写することにより形成されたことを特徴とする遮光膜。
【請求項9】
請求項7に記載の遮光膜を備えた表示装置用基板。
【請求項10】
請求項8に記載の遮光膜を備えた表示装置用基板。
【請求項11】
請求項9に記載の表示装置用基板を備えた表示装置用カラーフィルタ。
【請求項12】
請求項10に記載の表示装置用基板を備えた表示装置用カラーフィルタ。
【請求項13】
請求項11に記載の表示装置用カラーフィルタを備えた表示装置。
【請求項14】
請求項12に記載の表示装置用カラーフィルタを備えた表示装置。
【請求項15】
請求項1に記載の感光性組成物を基板上に塗布した後、該塗布された感光性組成物を乾燥させて感光性層を形成する工程と、形成された感光性層をパターン状に露光した後、該露光された感光層を現像してパターン像を形成する工程と、形成されたパターン像を150℃以上の温度で5分間以上の条件で熱処理する工程とを有する遮光膜の製造方法。
【請求項16】
前記熱処理は、170℃で10分間以上の条件にて行なうことを特徴とする請求項15に記載の遮光膜の製造方法。
【請求項17】
請求項6に記載の転写材料における感光性層を基板上に転写する工程と、転写された感光性層をパターン状に露光した後、該露光された感光層を現像してパターン像を形成する工程と、形成されたパターン像を150℃以上の温度で5分間以上の条件で熱処理する工程とを有する遮光膜の製造方法。
【請求項18】
前記熱処理は、170℃で10分間以上の条件にて行なうことを特徴とする請求項17に記載の遮光膜の製造方法。
【請求項19】
請求項15に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする遮光膜。
【請求項20】
請求項17に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする遮光膜。

【公表番号】特表2009−509176(P2009−509176A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514838(P2008−514838)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際出願番号】PCT/JP2006/318669
【国際公開番号】WO2007/032552
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】