説明

感光膜共重合体、感光膜共重合体の製造方法、感光膜、感光膜の製造方法、半導体装置の製造方法及び半導体装置

【課題】エッチング耐性と耐熱性及び接着力は勿論、現像液に容易に溶解しないArF感光膜樹脂及びその製造方法を提供することを目的とし、さらに、この新規のArF感光膜樹脂に用いる共重合体及び共重合体を製造する方法、及び、前記ArF感光膜樹脂を含む感光膜及び感光膜の製造方法を提供する。また、前記ArF感光膜樹脂を含むフォトレジストを利用した半導体装置及び半導体装置を製造する方法を提供する。
【解決手段】遠紫外線領域で用いることができる新規のフォトレジスト物質であり、ビシクロアルケン誘導体と無水マレイン酸、又はビニレンカルボネートを共重合させた3,000〜100,000分子量の共重合体であり、本発明の共重合体は優れたエッチング耐性と耐熱性及び接着性を有するだけでなく、現像液のTMAH溶液を用いて現像することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路の製造に係り、詳細には、半導体集積回路の製造工程における光リソグラフィにおいて、フォトレジストとして利用することが可能な感光膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の製造工程においては、特に微細な加工を行うために、光リソグラフィの際の感度が高いフォトレジストが求められている。そして、例えば科学増幅性を有するDUV(Deep Ultra Violet)フォトレジスト等が脚光を浴びている。
【0003】
このようなDUVフォトレジストは、光酸発生剤(photoacid generator)と、酸に敏感に反応する構造のマトリックス高分子を配合して製造され、このようなフォトレジストが作用する仕組みは次の通りである。
【0004】
即ち、光酸発生剤が光源から紫外線の光を受けることによって酸を発生させ、発生した酸によって、マトリクス状の高分子の主鎖、または側鎖が反応して分解され、或いは、架橋結合又は高分子の極性が大きく変化する。これらの分解、或いは変化した部分は、何れも現像液によって溶解される。一方で、光の照射を受けない部分は、本来の構造をそのまま保持しているので現像液に溶解されない。
【0005】
このようにして、基板表面を覆うマスクの像を、基板上にポジ画像(ポジ型レジストを用いた場合)として残すことができる。ところで、この光リソグラフィ工程での解像度は、光源の波長に依存する。即ち、光源の波長が小さくなるほど微細なパターンを基板上に形成させることができる。
【0006】
一般に、フォトレジストには、優れたエッチング耐性と耐熱性、及び、基板表面との接着力が求められ、さらにArFランプ光源に適用されるArF感光膜に用いられるフォトレジストは、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシサイド(TMAH)水溶液によって現像可能でなければならないが、これら全ての性質を満足する感光膜樹脂を合成することは非常に困難であった。
【0007】
例えば、主鎖がポリメチルメタアクリレート等で構成されるポリアクリレート系樹脂は、その合成が容易である反面、エッチング耐性の確保、及び、現像工程でのTMAHに対する適合性に問題があった。
【0008】
このようなエッチング耐性は、主鎖(main chain)に脂肪属環単量体を導入することによって増加させることができるが、主鎖を全て脂肪族環で構成させるのは非常に困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような問題を解決するための試みとして、主鎖がノボラン、アクリレート及び無水マレイン酸に置換された、式(12)で表されるような構造の樹脂が、AT&T社(ベル研究所)によって開発された。
【0010】
【化1】

【0011】
しかし、この式(12)で表される樹脂においては、脂肪族環オレフィン基を重合させるために用いられる無水マレイン酸部分Aが、露光していない場合にも、現像液である2.38%TMAH水溶液に非常によく溶解されてしまう。
【0012】
従って、溶解を抑制するために、t−ブチルが置換されたy部分の比率を増加させなければならないが、y部分の比率を増加させると、下端の基板層(substrate)との接着力を増加させるz部分の比率が相対的に低減してしまうので、パターニング時にフォトレジスト(感光膜)がシリコンウェハーから離脱し、パターン現像が不可能となる。
【0013】
前述のベル研究所では、上記のような欠点を解消するため、コレステロールを含む2成分系の溶解抑制剤を考案した。しかしながら、この溶解抑制剤は、重量比で樹脂の30%に相当する量が使用される。即ち、非常に多量の溶解抑制剤を用いなければならないため、実際にフォトレジスト樹脂として用いることは困難であった。
【0014】
この発明は、上記問題点を解決するため、エッチング耐性と耐熱性及び接着力は勿論、現像液に容易に溶解しないArF感光膜樹脂及びその製造方法を提供することを目的とし、さらに、この新規のArF感光膜樹脂に用いる共重合体及び共重合体を製造する方法を提供することにある。そして、本発明は、前記ArF感光膜樹脂を含む感光膜及び感光膜の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記ArF感光膜樹脂を含むフォトレジストを利用した半導体装置及び半導体装置を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の項1記載の発明は、一般式(1)で表されるビシクロアルケンを含み、式(2)で表される無水マレイン酸及び式(3)で表されるビニレンカルボネートの少なくともいずれか一方を含む混合物を共重合させて得られる感光膜共重合体である。
【0016】
【化2】

【0017】
[式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜10の置換、又は非置換されたアルキル基を表す。また、nは1または2を表す。]
【0018】
【化3】

【0019】
項3記載の発明は、項1記載の感光膜共重合体において、前記ビシクロアルケンは、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、2−ヒドロキシエチル−ビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート及びビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボン酸のいずれかであることを特徴とする感光膜共重合体である。
【0020】
項4記載の発明は、項1記載の感光膜共重合体において、前記ビシクロアルケンにおいて、Rは水素原子、2−ヒドロキシエチル基またはt−ブチル基のいずれかであることを特徴とする感光膜共重合体である。
【0021】
項5記載の発明は、項1から4のいずれかに記載の感光膜共重合体において、分子量が3000〜100000の範囲に含まれることを特徴とする感光膜共重合体である。
【0022】
項6記載の発明は、項1記載の感光膜共重合体において、Rは水素原子、2−ヒドロキシエチル基またはt−ブチル基のいずれかであり、nは1である前記ビシクロアルケンと、ビニレンカルボネートと、を含む混合物を共重合させて得られることを特徴とする感光膜共重合体である。
【0023】
項7記載の発明は、項6記載の感光膜共重合体において、前記ビシクロアルケンは、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、2−ヒドロキシエチル−ビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート及びビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボン酸のいずれかであることを特徴とする感光膜共重合体である。
【0024】
項8記載の発明は、一般式(1)で表されるビシクロアルケンを含み、式(2)で表される無水マレイン酸及び式(3)で表されるビニレンカルボネートの少なくともいずれか一方を含む混合物を共重合させることを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0025】
【化4】

【0026】
[式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜10の置換、又は非置換されたアルキル基を表す。また、nは1または2を表す。]
【0027】
【化5】

【0028】
項9記載の発明は、項8記載の感光膜共重合体の製造方法において、前記ビシクロアルケンは、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、2−ヒドロキシエチル−ビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート及びビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボン酸のいずれかであることを特徴とする感光膜共重合体である。
【0029】
項10記載の発明は、項8記載の感光膜共重合体の製造方法において、前記ビシクロアルケンにおいて、Rは水素原子、2−ヒドロキシエチル基またはt−ブチル基のいずれかであることを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0030】
項11記載の発明は、項8から10のいずれかに記載の感光膜共重合体の製造方法において、分子量が3000〜100000の範囲に含まれることを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0031】
項12記載の発明は、項8から11のいずれかに記載の感光膜共重合体の製造方法において、前記混合物を、ラジカル重合開始剤を用いて共重合させることを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0032】
項13記載の発明は、項8記載の感光膜共重合体の製造方法において、Rは水素原子、2−ヒドロキシエチル基またはt−ブチル基のいずれかであり、nは1である前記ビシクロアルケンと、ビニレンカルボネートと、を含む混合物を共重合させて得られることを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0033】
項14記載の発明は、項13記載の感光膜共重合体の製造方法において、前記混合物を、ラジカル重合開始剤を用いて共重合させることを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0034】
項15記載の発明は、前記12または14記載の感光膜共重合体の製造方法において、前記ラジカル重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN:azobisisobutyronitrile)、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド及びt−ブチルパーアセテートのいずれかであることを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0035】
項16記載の発明は、項8または13に記載の感光膜共重合体の製造方法において、前記混合物を、バルク重合または溶液重合によって共重合させることを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0036】
項17記載の発明は、項16記載の感光膜共重合体の製造方法において、前記バルク重合または前記溶液重合においては、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフランのうちの少なくとも1種類以上を溶媒として用いることを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0037】
項18記載の発明は、項1記載の感光膜共重合体を含むことを特徴とする感光膜である。
【0038】
項19記載の発明は、項3記載の感光膜共重合体を含むことを特徴とする感光膜である。
【0039】
項20記載の発明は、項4記載の感光膜共重合体を含むことを特徴とする感光膜である。
【0040】
項21記載の発明は、項5記載の感光膜共重合体を含むことを特徴とする感光膜である。
【0041】
項22記載の発明は、項6記載の感光膜共重合体を含むことを特徴とする感光膜である。
【0042】
項23記載の発明は、項7記載の感光膜共重合体を含むことを特徴とする感光膜である。
【0043】
項24記載の発明は、項1記載の感光膜共重合体を含ませることを特徴とする感光膜の製造方法である。
【0044】
項25記載の発明は、項3記載の感光膜共重合体を含ませることを特徴とする感光膜の製造方法である。
【0045】
項26記載の発明は、項4記載の感光膜共重合体を含ませることを特徴とする感光膜の製造方法である。
【0046】
項27記載の発明は、項5記載の感光膜共重合体を含ませることを特徴とする感光膜の製造方法である。
【0047】
項28記載の発明は、項24から27のいずれかに記載の感光膜の製造方法において、前記感光膜共重合体は、前記混合物をラジカル重合開始剤を用いて共重合させて得られることを特徴とする感光膜の製造方法である。
【0048】
項29記載の発明は、項6記載の感光膜共重合体を含ませることを特徴とする感光膜の製造方法である。
【0049】
項30記載の発明は、項29記載の感光膜の製造方法において、前記感光膜共重合体は、前記混合物をラジカル重合開始剤を用いて共重合させて得られることを特徴とする感光膜の製造方法である。
【0050】
項31記載の発明は、前記28または30に記載の感光膜の製造方法において、前記ラジカル重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN:azobisisobutyronitrile)、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド及びt−ブチルパーアセテートのいずれかであることを特徴とする感光膜の製造方法である。
【0051】
項32記載の発明は、項24から32に記載の感光膜の製造方法において、前記感光膜共重合体は、前記混合物をバルク重合または溶液重合によって共重合させて得られることを特徴とする感光膜の製造方法である。
【0052】
項33記載の発明は、項24から32に記載の感光膜の製造方法において、前記感光膜共重合体と増感剤とを有機溶媒中で混合させて得られる感光膜溶液を用いることを特徴とする感光膜の製造方法である。
【0053】
項34記載の発明は、項33に記載の感光膜の製造方法において、前記有機溶媒は、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフランのうちの少なくとも1種類であることを特徴とする感光膜の製造方法である。
【0054】
項35記載の発明は、項33に記載の感光膜の製造方法において、前記増感剤は、オニウム塩または有機スルホン酸であることを特徴とする感光膜の製造方法である。
【0055】
項36記載の発明は、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、無水マレイン酸と、を含む共重合体9〜11gを、メチルオキシプロピオネート溶媒39〜42gに溶解させる第1段階と、
この第1段階の反応物に、トリフェニルスルホニウムトリフレート及びジブチルナフチルスルホニウムトリフレートの少なくともいずれか一方の光酸発生剤を0.02〜1g加える第2段階と、
この第2段階の反応生成物を撹拌した後、濾過を行って感光膜を形成する第3段階と、
を含むことを特徴とする感光膜の製造方法である。
【0056】
本発明の参考例36の発明は、反応容器にシクロペンタジエンを加えてテトラヒドロフラン溶媒と混合させる第1段階と、
この第1段階の反応物にt−ブチルアクリレートを加える第2段階と、
この第2段階の反応物を撹拌して反応させる第3段階と、
この第3段階の反応後にロータリーエヴァポレーターで前記溶媒を除去する第4段階と、
この第4段階の後に減圧及び蒸留を行い、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートを製造する第5段階と、
を含むことを特徴とする単量体の合成方法である。
【0057】
参考例37の発明は、参考例36記載の単量体の合成方法において、シクロペンタジエン約66gと、テトラヒドロフラン溶媒約500gと、t−ブチルアクリレート約128gと、を用いることを特徴とする単量体の合成方法である。
【0058】
参考例38の発明は、参考例36または37記載の単量体の合成方法において、前記第3段階において、約−30℃〜約70℃の温度下で約9〜11時間撹拌を行うことを特徴とする単量体の合成である。
【0059】
参考例39の発明は、参考例36または37記載の単量体の合成方法において、前記第3段階において、約−30℃〜約60℃の温度下で約10時間撹拌を行うことを特徴とする単量体の合成である。
【0060】
参考例40の発明は、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン溶媒に、式(4)で表されるシクロペンタジエンと、式(5)で表される2−ヒドロキシエチルアクリレートと、を同一比率で溶解させる第1段階と、
この第1段階の反応物を24時間、約−30℃〜60℃の温度下で反応させる第2段階と、
この第2段階の反応後にロータリーエヴァポレーターで前記溶媒を除去する第3段階と、
この第3段階の後に減圧及び蒸留を行い、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートを製造する第4段階と、
を含むことを特徴とする単量体の合成方法である。
【0061】
【化6】

【0062】
【化7】

【0063】
参考例41の発明は、参考例40記載の単量体の合成方法において、前記シクロペンタジエンは、約120℃〜約170℃の温度下で、式(6)で表されるジシクロペンタジエンを分解蒸留(cracking)して得られることを特徴とする単量体の合成方法である。
【0064】
【化8】

【0065】
項37記載の発明は、反応容器に、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、ビニレンカルボネートと、を加える第1段階と、
この第1段階の反応物を、窒素雰囲気下に維持する第2段階と、
この第2段階の反応物を、30〜230気圧において、約50〜140℃の温度下で5〜7時間反応させる第3段階と、
この第3段階の反応後にロータリーエヴァポレーターで前記溶媒の一部分を除去する第4段階と、
この第4段階の反応後に残渣をジエチルエーテルに沈澱させる第5段階と、
この第5段階の沈澱物を濾過及び乾燥させて感光膜共重合体を製造する第6段階と、
を含むことを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0066】
項38記載の発明は、項37記載の感光膜共重合体の製造方法において、前記第1段階において、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート91gと、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート97gと、ビニレンカルボネート86gと、を用い、
前記第3段階において、第2段階の反応物を50〜200気圧において、約65〜120℃の温度下で6時間反応させること、
を特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0067】
項39記載の発明は、反応容器に、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、無水マレイン酸と、を加える第1段階と、
この第1段階の反応物を窒素雰囲気下において維持する第2段階と、
この第2段階の反応物を30〜230気圧において、約50〜140℃の温度下で5〜7時間反応させる第3段階と、
この第3段階の反応後にロータリーエヴァポレーターで前記溶媒の一部分を除去する第4段階と、
この第4段階の反応後に残渣をジエチルエーテルに沈澱させる第5段階と、
この第5段階の沈澱物を濾過及び乾燥させて感光膜共重合体を製造する第6段階と、
を含むことを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0068】
項40記載の発明は、項39記載の感光膜共重合体の製造方法において、前記第1段階において、2−ヒドロキシブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート91gと、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート97gと、無水マレイン酸98gと、を用い、
前記第3段階においては、50〜200気圧において、約65〜120℃の温度下で6時間撹拌を行うこと、
を特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0069】
項41記載の発明は、反応容器に、2−ヒドロキシエチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート(2-hydroxyethyl bicyclo(2,2,2)oct-5-ene-2-carboxylate)と、t−ブチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート(t-butyl bicyclo(2,2,2)oct-5-ene-2-carboxylate)と、ビニレンカルボネートと、を加える第1段階と、
この第1段階の反応物にテトラヒドロフラン溶媒を加える第2段階と、
この第2段階の反応物にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え、反応容器を窒素雰囲気下に維持する第3段階と、
この第3段階の反応物を約50〜80℃の温度下で5〜8時間反応させる第4段階と、
この第4段階の反応後にロータリーエヴァポレーターで前記溶媒の一部分を除去する第5段階と、
この第5段階の反応後に残渣をジエチルエーテルに沈澱させる第6段階と、
この第6段階の沈澱物を濾過及び乾燥させて感光膜共重合体を製造する第7段階と、
を含むことを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0070】
項42記載の発明は、項41記載の感光膜共重合体の製造方法において、前記第1段階において、2−ヒドロキシエチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート(2-hydroxyethyl bicyclo(2,2,2)oct-5-ene-2-carboxylate)98gと、t−ブチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート(t-butyl bicyclo(2,2,2)oct-5-ene-2-carboxylate)104gと、ビニレンカルボネート86gと、を用い、
前記第2段階において、テトラヒドロフラン溶媒2リットルを用い、
前記第3段階において、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.5gを用い、
前記第4段階において、前記第3段階の反応物を約65℃の温度下で6時間反応させること、
を特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0071】
項43記載の発明は、反応容器に、2−ヒドロキシエチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート(2-hydroxyethyl bicyclo(2,2,2)oct-5-ene-2-carboxylate)と、t−ブチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート(t-butyl bicyclo(2,2,2)oct-5-ene-2-carboxylate)と、無水マレイン酸と、を加える第1段階と、
この第1段階の反応物にテトラヒドロフラン溶媒を加える第2段階と、
この第2段階の反応物にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え、反応容器を窒素雰囲気下に維持する第3段階と、
この第3段階の反応物を約50〜80℃の温度下で5〜8時間反応させる第4段階と、
この第4段階の反応後にロータリーエヴァポレーターで前記溶媒の一部分を除去する第5段階と、
この第5段階後に残渣をジエチルエーテルに沈澱させる第6段階と、
この第6段階の沈澱物を濾過及び乾燥させ、感光膜共重合体を製造する第7段階と、
を含むことを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0072】
項44記載の発明は、項43記載の感光膜共重合体の製造方法において、前記第1段階において、2−ヒドロキシエチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート(2-hydroxyethyl bicyclo(2,2,2)oct-5-ene-2-carboxylate)98gと、t−ブチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート(t-butyl bicyclo(2,2,2)oct-5-ene-2-carboxylate)104gと、無水マレイン酸98gと、を用い、
前記第2段階において、テトラヒドロフラン溶媒2リットルを用い、
前記第3段階において、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.5gを用い、
前記第4段階において、前記第3段階の反応物を約65℃の温度下で6時間反応させること、
を特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0073】
項45記載の発明は、式(2)で表される無水マレイン酸(maleic anhydride)1モルと、式(7)で表される2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート(2-hydroxyethyl-5-norbornene-2-carboxylate)0.05〜0.8モルと、式(8)で表されるt−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート(t-butyl-5-norbornene-2-carboxylate)0.5〜0.95モルと、式(9)で表される5−ノルボルネン−2−カルボン酸(5-norbornene-2-carboxylic acid)0.01〜0.2モルと、をテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)或いはトルエン溶媒に溶解させる第1段階と、
この第1段階の反応物に、開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5〜1.0gを加える第2段階と、
この第2段階の反応物を窒素又はアルゴン雰囲気下において、約65〜70℃の温度下で4〜24時間反応させる第3段階と、
この第3段階の反応生成物を沈澱させて濾過及び乾燥させ、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、5−ノルボルネン−2−カルボン酸と、無水マレイン酸とを含む混合物を共重合させる第4段階と、
を含むことを特徴とする感光膜共重合体の製造方法である。
【0074】
【化9】

【0075】
【化10】

【0076】
【化11】

【0077】
【化12】

【0078】
参考例51の発明は、式(10)で表される2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートの単量体を含んでなることを特徴とする感光膜共重合体である。
【0079】
【化13】

【0080】
参考例52の発明は、参考例51記載の感光膜共重合体において、前記単量体は、シクロペンタジエンと、2−ヒドロキシエチルアクリレートとから合成されることを特徴とする感光膜共重合体である。
【0081】
参考例53の発明は、参考例51記載の感光膜共重合体において、式(7)で表される2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート(2-hydroxyethyl-5-norbornene-2-carboxylate)と、式(8)で表されるt−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート(t-butyl-5-norbornene-2-carboxylate)と、式(9)で表される5−ノルボルネン−2−カルボン酸(5-norbornene-2-carboxylic acid)と、式(2)で表される無水マレイン酸(maleic anhydride)と、前記単量体と、を重合させて得られることを特徴とする感光膜共重合体である。
【0082】
【化14】

【0083】
【化15】

【0084】
【化16】

【0085】
【化17】

【0086】
参考例54の発明は、参考例51記載の感光膜共重合体において、式(11)で表される、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、5−ノルボルネン−2−カルボン酸と、無水マレイン酸と、を含む混合物を共重合させて得られる感光膜共重合体を含むことを特徴とする感光膜共重合体である。
【0087】
【化18】

【0088】
項46記載の発明は、半導体基板を供給する工程と、
項1記載の感光膜共重合体を含む感光膜を前記半導体基板上に塗布する工程と、
電磁波の照射を利用して前記感光膜部分を露光させる工程と、
この露光された前記感光膜の部分に対応する前記半導体基板の部分が露出されるよう前記感光膜を現像し、前記半導体基板の露出された部分上に半導体装置の製造工程を行う工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0089】
項47記載の発明は、項46記載の半導体装置の製造方法において、前記感光膜は、項3記載の感光膜共重合体を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0090】
項48記載の発明は、項46記載の半導体装置の製造方法において、前記感光膜は、項4記載の感光膜共重合体を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0091】
項49記載の発明は、項46記載の半導体装置の製造方法において、前記感光膜は、項5記載の感光膜共重合体を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0092】
項50記載の発明は、項46から49のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、前記感光膜共重合体は、前記混合物をラジカル重合開始剤を用いて共重合させることによって得られることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0093】
項51記載の発明は、項46記載の半導体装置の製造方法において、前記感光膜共重合体は、Rは水素原子、2−ヒドロキシエチル基またはt−ブチル基であり、nは1であるビシクロアルケンと、ビニレンカルボネートと、を含む混合物を、ラジカル重合開始剤を用いて共重合させて得られることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0094】
項52記載の発明は、項50または51に記載の半導体装置の製造方法において、前記ラジカル重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド及びt−ブチルパーアセテートのいずれかであることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0095】
項53記載の発明は、半導体基板上に、項1記載の感光膜共重合体で構成される感光膜が塗布されていることを特徴とする半導体装置である。
【0096】
項54記載の発明は、半導体基板上に、項3記載の感光膜共重合体で構成される感光膜が塗布されていることを特徴とする半導体装置である。
【0097】
項55記載の発明は、半導体基板上に、項4記載の感光膜共重合体で構成される感光膜が塗布されていることを特徴とする半導体装置である。
【0098】
項56記載の発明は、半導体基板上に、項5記載の感光膜共重合体で構成される感光膜が塗布されていることを特徴とする半導体装置である。
【0099】
項57記載の発明は、半導体基板上に、項6記載の感光膜共重合体で構成される感光膜が塗布されていることを特徴とする半導体装置である。
【0100】
項58記載の発明は、半導体基板上に、項7記載の感光膜共重合体で構成される感光膜が塗布されていることを特徴とする半導体装置である。
【0101】
項59記載の発明は、項1〜7のいずれかに記載の感光膜共重合体と増感剤とを有機溶媒中で混合させて得られる感光膜溶液である。
【0102】
項60記載の発明は、項59に記載の感光膜溶液において、前記有機溶媒は、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフランのうち少なくとも1種類であることを特徴とする感光膜溶液である。
【0103】
項61記載の発明は、項59に記載の感光膜溶液において、前記増感剤は、オニウム塩または有機スルホン酸であることを特徴とする感光膜溶液である。
【0104】
本発明に係る感光膜共重合体は、一般式(1)で表されるビシクロアルケン化合物を含み、式(2)で表される無水マレイン酸及び式(3)で表されるビニレンカルボネートの少なくともいずれか一方を含む混合物を共重合させて得られる感光膜共重合体である。
【0105】
【化19】

【0106】
[式中、Rは、水素原子、または炭素原子数1〜10の置換、または非置換されたアルキル基を表す。
【0107】
また、nは1または2を表す。]
【0108】
【化20】

【0109】
上記の感光膜共重合体において好ましいビシクロアルケン化合物は、Rが水素原子、2−ヒドロキシエチル基またはt−ブチル基のいずれかである。
【0110】
即ち、上記のビシクロアルケン化合物としては、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、2−ヒドロキシエチル−ビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−カルボキシレート、t−ブチル−ビシクロロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレートまたはビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボン酸が好ましい。
【0111】
また、本発明においては、感光膜共重合体の分子量は3000〜100000であることが好ましい。
【0112】
本発明の感光膜共重合体は、Rは水素原子、2−ヒドロキシエチル基またはt−ブチル基であり、nが1のビシクロアルケン、即ち、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸のいずれかと、ビニレンカルボネートとを含む混合物を共重合させて得られるものが最も好ましい。
【0113】
そして、本発明の感光膜共重合体は、前記一般式(1)で表されるビシクロアルケン化合物を含み、前記式(2)で表される無水マレイン酸及び前記式(3)で表されるビニレンカルボネートの少なくともいずれかを含む混合物を、通常のラジカル重合開始剤を用いて、通常のラジカル重合をさせることにより、容易に製造することができる。
【0114】
また、前記混合物は、バルク重合及び溶液重合等によって重合させることが可能であり、重合溶媒としてはシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)等の単独溶媒またはこれ等の混合溶媒を用いることができる。
【0115】
さらに、重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーアセテート等を用いることができる。
【0116】
本発明の感光膜共重合体は、通常のフォトレジスト組成物と同一の方法により、有機溶媒に溶解させて通常の光酸発生剤と混合させ、フォトレジスト溶液を調製することにより、半導体基板上における光リソグラフィによるポジティブ微細画像形成に用いることができる。
【0117】
なお、本発明の感光膜共重合体の使用量は、有機溶媒及び光酸発生剤の種類や光リソグラフィの条件等に従って変化することもあるが、一般に、フォトレジスト製造時に用いる有機溶媒に対し約10〜30重量%を用いることができる。
【0118】
本発明に係る感光膜共重合体を、感光膜に適用する方法をより具体的に説明すれば、次の通りである。
【0119】
シクロヘキサノン溶媒に対し、本発明の感光膜共重合体10〜30重量%を溶解し、光酸発生剤のオニウム塩又は有機スルホン酸を、前記感光膜共重合体に対し0.1〜10重量%配合した後、超微細フィルターで濾過することによってフォトレジスト溶液を製造する。
【0120】
その後、シリコンウェハーを回転させながら前記フォトレジスト溶液をスピン塗布して薄膜を形成させた後、80℃〜150℃のオーブン又は熱板で1から5分間、ソフトべークを行う。
【0121】
次いで、遠紫外線露光装置又はエキシマレーザ露光装置を利用して露光した後、100〜200℃の温度において露光後ベークを行う。
【0122】
このように露光したシリコンウェハーを2.38%TMAH水溶液に1分30秒間浸漬して現像を行うことにより、超微細ポジティブレジスト画像を得ることが可能である。
【発明の効果】
【0123】
以上、説明したように、本発明の感光膜共重合体、感光膜共重合体の製造方法、感光膜、単量体の製造方法、半導体装置の製造方法及び半導体装置によれば、以下に述べるような効果が得られる。
【0124】
即ち、本発明に係る新規の共重合体を用いた感光膜は、エッチング耐性及び耐熱性が優れているだけでなく、2.38%TMAH水溶液を現像液に用いることが可能である。
【0125】
また、接着力が優れ、レジストの厚さを0.7μmとして、0.15μmの解像度でL/Sパターンを得ることができ、焦点深度でも満足な結果を得ることができた。
【0126】
そして、本発明のような方法により、樹脂に2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートを導入すれば、接着力の優れた感光膜を合成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0127】
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0128】
(参考例1)
2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートの合成
式(6)で表されるジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene)を、約120℃〜170℃の温度において分解蒸留(cracking)し、式(4)で表されるシクロペンタジエンを得た。
【0129】
【化21】

【0130】
【化22】

【0131】
この式(4)で表されるシクロペンタジエンと、式(5)で表される2−ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate)と、同じモル比で、ジエチルエーテルまたはテトラハイドロフラン溶媒に溶解して、この溶液を約−30℃〜60℃の温度下で24時間反応させた。その後、ロータリーエヴァポレーターによって溶媒を除去した後、減圧蒸留を行って、式(10)で表される2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートを、endo-体とexo-体との混合物として得た。
【0132】
【化23】

【0133】
【化24】

【0134】
(参考例2)
t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートの合成
反応容器に、シクロペンタジエン66gと、テトラヒドロフラン溶媒500gとを投入して混合し、さらにt−ブチルアクリレート128gを投入した。この混合物を−30℃〜60℃で撹拌しながら10時間程度反応させて、反応完了後にロータリーエヴァポレーターによって溶媒を除去した後、減圧蒸留を行って、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートを得た。収率は90%であった。
【0135】
(実施例1)
共重合体の合成
反応容器内を窒素雰囲気下に保ち、この反応容器内に、上記参考例1で合成した2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート91gと、参考例2で合成したt−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート97gと、ビニレンカーボネート86gとを反応容器に投入した。その後、65℃〜120℃の温度下において、50〜200気圧で6時間反応させた。反応完了後、ロータリーエヴァポレーターによって溶媒の一部を除去した。その後、残渣にジエチルエーテルを加えて沈澱させ、沈澱物を濾過して真空オーブンで乾燥させることにより、共重合体を得た。
【0136】
(実施例2)
共重合体の合成
反応容器内を窒素雰囲気下に保ち、この反応容器内に、上記参考例1において合成した2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート91gと、上記参考例2で合成したt−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート97gと、無水マレイン酸98gとを投入した。その後、65℃〜120℃の温度下において、50〜200気圧で6時間反応させた。反応完了後、ロータリーエヴァポレーターによって溶媒の一部を除去した。その後、残渣にジエチルエーテルを加えて沈澱させ、沈澱物を濾過して真空オーブンで乾燥させることにより、共重合体を得た。
【0137】
(実施例3)
共重合体の合成
2−ヒドロキシエチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート98gと、t−ブチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート104gと、ビニレンカルボネート86gとを反応容器に投入後、テトラヒドロフラン溶媒2リットルを加えた。これに、AIBN1.5gを投入後、反応容器内を窒素雰囲気下に変更して、65℃で6時間反応させる。反応完了後、ロータリーエヴァポレーターによってテトラヒドロフラン溶媒の一部を除去し、残渣にジエチルエーテルを加えて沈澱させた後、沈澱物を濾過して真空オーブンで乾燥させ、共重合体を得た。
【0138】
(実施例4)
共重合体の合成
2−ヒドロキシエチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート98gと、t−ブチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート104gと、無水マレイン酸98gとを反応容器に投入後、テトラヒドロフラン溶媒2リットルを加えた。これに、AIBN1.5gを投入した後、反応容器内を窒素雰囲気下に変更して、65℃で6時間反応させる。反応完了後、ロータリーエヴァポレーターによってテトラヒドロフラン溶媒の一部を除去し、残渣にジエチルエーテルを加えて沈澱させる。沈澱物を濾過して真空オーブンで乾燥させ、共重合体を得た。
【0139】
(実施例5)
ArF感光膜樹脂(2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、5−ノルボルネン−2−カルボン酸と、無水マレイン酸とを含む共重合体)の合成。
【0140】
式(2)で表される無水マレイン酸1モルと、式(7)で表される2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート0.05〜0.8モルと、式(8)で表されるt−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート0.5〜0.95モルと、式(9)で表される5−ノルボルネン−2−カルボン酸0.01〜0.2モルとを、テトラヒドロフラン或いはトルエンに溶解した。
【0141】
続いて、この溶液にラジカル重合開始剤のAIBN(azobisisobutyronitrile)0.5〜10gを投入して、窒素或いはアルゴン雰囲気下において、約60℃〜70℃の温度下で4〜24時間反応させた。
【0142】
このようにして生成した樹脂をジエチルエーテル或いはヘキサン中において沈澱させ、この沈澱物を回収して乾燥させて、式(11)で表されるポリ[2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート/t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート/5−ノルボルネン−2−カルボン酸/無水マレイン酸]樹脂を得た。
【0143】
【化25】

【0144】
【化26】

【0145】
【化27】

【0146】
【化28】

【0147】
【化29】

【0148】
(実施例6)
感光膜の製造及びパターン形成
上記実施例7において得られたポリ[2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート/t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート/5−ノルボルネン−2−カルボン酸/無水マレイン酸]10gを、3−メトキシメチルプロピオネート(3-metoxymethyl propionate)溶媒40gに溶解して、光酸発生剤のトリフェニルス
ルホニウムトリフレート(triphenyl sulfonium triflate)、或いはジブチルナフチルスルホニウムトリフレート(dibutylnaphthyl sulfonium triflate)又はこれら二つの光酸発生剤の混合物を約0.02〜1g投入後、撹拌した。
【0149】
反応後、0.10μmのフィルターを用いて濾過を行って樹脂を得た。この樹脂をウェハーの表面に塗布して、パターンの形成を行った。このとき、塗布した感光膜の厚さは約0.6μmであり、0.14μmの解像度で垂直(vertical)L/Sパターンを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるビシクロアルケンを含み、式(2)で表される無水マレイン酸及び式(3)で表されるビニレンカルボネートの少なくともいずれか一方を含む混合物を共重合させて得られる感光膜共重合体。
【化1】

[式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜10の置換、又は非置換されたアルキル基を示す。また、nは1または2を表す。]
【化2】

【請求項2】
一般式(1)で表されるビシクロアルケン及び式(2)で表される無水マレインを含む混合物を共重合させて得られる、請求項1に記載の感光膜共重合体。
【化3】

[式中、Rは水素原子、2−ヒドロキシエチル基またはt−ブチル基のいずれかを示す。nは1を表す。]
【化4】

【請求項3】
一般式(1)で表されるビシクロアルケン及び式(3)で表されるビニレンカルボネートを含む混合物を共重合させて得られる、請求項1に記載の感光膜共重合体。
【化5】

[式中、Rは水素原子、2−ヒドロキシエチル基またはt−ブチル基のいずれかを示す。nは1を表す。]
【化6】

【請求項4】
前記ビシクロアルケンは、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、2−ヒドロキシエチル−ビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート及びビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボン酸のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の感光膜共重合体。
【請求項5】
分子量が3000〜100000の範囲に含まれることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の感光膜共重合体。
【請求項6】
前記ビシクロアルケンは、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、2−ヒドロキシエチル−ビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボキシレート及びビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2−カルボン酸のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の感光膜共重合体。
【請求項7】
ポリ(2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート/t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート/ビニレンカーボネート)、
ポリ(2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート/t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート/無水マレイン酸)、
ポリ(ビシクロ[2,2,2]−オクト−5−エン−2−ヒドロキシエチル/ビシクロ[2,2,2]−オクト−5エン−t−ブチルアクリレート/ビニレンカーボネート)、
ポリ(ビシクロ[2,2,2]−オクト−5−エン−2−ヒドロキシエチル/ビシクロ[2,2,2]−オクト−5エン−t−ブチルアクリレート/無水マレイン酸)、及び
ポリ(2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート/t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート/5−ノルボルネン−2−カルボン酸/無水マレイン酸)からなる群から選択される1種である、請求項1記載の感光膜共重合体。
【請求項8】
式(11)で表される、2−ヒドロキシエチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、t−ブチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレートと、5−ノルボルネン−2−カルボン酸と、無水マレイン酸と、を含む混合物を共重合させて得られる感光膜共重合体を含むことを特徴とする請求項1記載の感光膜共重合体。
【化7】

[式中、xは0.05〜0.8、yは0.5〜0.95、zは0.01〜0.2を示す。]
【請求項9】
一般式(1)で表されるビシクロアルケンを含み、式(2)で表される無水マレイン酸及び式(3)で表されるビニレンカルボネートの少なくともいずれか一方を含む混合物を共重合させることを特徴とする感光膜共重合体の製造方法。
【化8】

[式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜10の置換、又は非置換されたアルキル基を示す。また、nは1または2を表す。]
【化9】

【請求項10】
半導体基板上に、一般式(1)で表されるビシクロアルケンを含み、式(2)で表される無水マレイン酸及び式(3)で表されるビニレンカルボネートの少なくともいずれか一方を含む混合物を共重合させてなる感光膜共重合体で構成される感光膜が塗布されていることを特徴とする半導体装置。
【化10】

[式中、Rは、水素原子、炭素数1〜10の置換、又は非置換されたアルキル基を表す。 また、nは1又は2を表す。]
【化11】

【請求項11】
請求項1〜8のいずれかに記載の感光膜共重合体と増感剤とを有機溶媒中で混合させて得られる感光膜溶液。
【請求項12】
前記有機溶媒は、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフランのうち少なくとも1種類であることを特徴とする請求項11に記載の感光膜溶液。
【請求項13】
前記増感剤は、オニウム塩または有機スルホン酸であることを特徴とする請求項11に記載の感光膜溶液。

【公開番号】特開2007−146182(P2007−146182A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56463(P2007−56463)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【分割の表示】特願2001−138884(P2001−138884)の分割
【原出願日】平成9年12月27日(1997.12.27)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】