説明

感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、レジスト膜、及びそれを用いたパターン形成方法

【課題】超微細領域での、特に、電子線、X線又はEUV光リソグラフィーにおける、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネス及びアウトガス低減を同時に満足する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、レジスト膜、及びそれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】繰り返し単位(A)〜(C)を含有する樹脂(P)及び沸点150℃以下の溶媒を含有することを特徴とする感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、レジスト膜、及びそれを用いたパターン形成方法。
(A)活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生成する基を含有する繰り返し単位
(B)酸の作用により分解してカルボン酸を生成する基を含有する繰り返し単位
(C)炭素−炭素不飽和結合を含有する繰り返し単位

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、該組成物により形成されるレジスト膜、及びそれを用いたパターン形成方法に関し、更に詳しくは電子線、X線又はEUV光用ポジ型レジスト組成物、それを用いたパターン形成方法及びポジ型レジスト組成物に用いられる樹脂に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、更にKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られる。更には、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線やX線、又はEUV光を用いたリソグラフィーも開発が進んでいる。
【0003】
特に電子線リソグラフィーは、次世代若しくは次々世代のパターン形成技術として位置付けられ、高感度、高解像性のポジ型レジストが望まれている。特にウェハー処理時間の短縮化のために高感度化は非常に重要な課題であるが、電子線用ポジ型レジストにおいては、高感度化を追求しようとすると、解像力の低下のみならず、ラインエッジラフネスの悪化が起こり、これらの特性を同時に満足するレジストの開発が強く望まれている。ここで、ラインエッジラフネスとは、レジストのパターンと基板界面のエッジがレジストの特性に起因して、ライン方向と垂直な方向に不規則に変動するために、パターンを真上から見たときにエッジが凹凸に見えることを言う。この凹凸がレジストをマスクとするエッチング工程により転写され、電気特性を劣化させるため、歩留りを低下させる。特に0.25μm以下の超微細領域ではラインエッジラフネスは極めて重要な改良課題となっている。高感度と、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネスはトレードオフの関係にあり、これを如何にして同時に満足させるかが非常に重要である。
【0004】
また、X線やEUV光を用いるリソグラフィーにおいても同様に高感度と、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネスを同時に満足させることが重要な課題となっており、これらの解決が必要である。
【0005】
これらの問題を解決する一つの方法として、ポリマー主鎖、又は側鎖に光酸発生剤を有する樹脂の使用が検討されている(特許文献1〜8及び非特許文献1)。しかし、特許文献1における検討では、光酸発生剤を有する樹脂と酸分解によりアルカリ現像液への溶解性が増大する溶解阻止化合物との混合系であるため、これらの素材の不均一混合性に起因して良好なパターン形状やラインエッジラフネスを得るのが困難であった。
一方、特許文献2〜6では、光酸発生基及び酸分解によりアルカリ現像液への溶解性が増大する基を同一分子内に有する樹脂が開示されているが、電子線、X線又はEUV光に対する感度について十分とはいい難かった。
また、特許文献7や非特許文献1にはヒドロキシスチレン、アダマンチル基含有アクリレート及び光酸発生剤含有アクリレートの3元共重合体が記載されている。特許文献8は、高解像性、疎密依存性、露光マージンを向上させるべく、高エネルギー線又は熱に感応し、側鎖のフッ素含有末端にスルホン酸を生じる繰り返し単位を含有する樹脂を含有するレジストを開示している。
一方、電子線、X線又はEUV光リソグラフィーにおいては、露光時のレジスト膜中からの揮発成分は、アウトガスとして非常に高価な露光機の汚染の原因となっているが、レジスト溶媒として高沸点溶媒を大量に用いると膜中に該溶媒が残留してアウトガスの要因となるため、できるだけ沸点の低い汎用溶媒に溶かして塗布することができる樹脂成分の開発が望まれている。
このように、現在知られている公知技術の組み合わせでは、電子線、X線又はEUV光リソグラフィーにおいて、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネス及びアウトガス性能等を同時に十分に満足できないのが現状である。
また、レジスト組成物による微細加工は、直接に集積回路の製造に用いられるだけでなく、近年ではいわゆるインプリント用モールド構造体の作製等にも適用されている(例えば、特許文献9、10、及び非特許文献2を参照)。そのため、X線、軟X線、電子線を露光光源として使用する場合においても、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネス及びアウトガス性能を同時に満足させることが重要な課題となっており、これらの解決が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−325497号公報
【特許文献2】特開平10−221852号公報
【特許文献3】特開2006−178317号公報
【特許文献4】特開2007−197718号公報
【特許文献5】国際公開第06/121096号
【特許文献6】米国特許出願公開第2006/121390号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2007/117043号明細書
【特許文献8】特開2008−133448号公報
【特許文献9】特開2004−158287号公報
【特許文献10】特開2008−162101号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Proc. of SPIE Vol. 6923, 692312, 2008
【非特許文献2】ナノインプリントの基礎と技術開発・応用展開−ナノインプリントの基板技術と最新の技術展開―編集:平井義彦 フロンティア出版(2006年6月発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、超微細領域での、特に、電子線、X線又はEUV光リソグラフィーにおける、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネス及びアウトガス低減を同時に満足する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の構成により達成されることを見出した。
<1> 繰り返し単位(A)〜(C)を含有する樹脂(P)及び沸点150℃以下の溶媒を含有することを特徴とする感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
(A)活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生成する基を含有する繰り返し単位
(B)酸の作用により分解してカルボン酸を生成する基を含有する繰り返し単位
(C)炭素−炭素不飽和結合を含有する繰り返し単位
<2> 前記繰り返し単位(B)が下記一般式(I)で表される繰り返し単位であり、前記繰り返し単位(C)が下記一般式(II)で表される繰り返し単位であることを特徴とする上記<1>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【0010】
【化1】

【0011】
式中、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。またR03は、アルキレン基を表し、L又はQと結合して5員若しくは6員環を形成していても良い。Lは単結合又は2価(但し、R03と結合して5員若しくは6員環を形成する場合は3価)の連結基を表す。Rはアルキル基を表し、R及びRは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。R及びRは互いに結合して環を形成してもよい。但し、RとRが同時に水素原子であることはない。Qは炭素−炭素不飽和結合を含有する基を表す。
【0012】
<3> 前記樹脂(P)において、前記繰り返し単位(B)と前記繰り返し単位(C)の組成量(モル)が、繰り返し単位(B)≦繰り返し単位(C)であることを特徴とする上記<1>又は<2>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【0013】
<4> 前記樹脂(P)が、更に、アルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基を有する、下記一般式(AII)で表される繰り返し単位(D)を含有することを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【0014】
【化2】

【0015】
一般式(AII)中、
Rbは、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Abは、単結合、アルキレン基、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表す。
Vは、アルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基を表す。
<5> 前記一般式(II)中のQが芳香環を含有する基であることを特徴とする上記<2>〜<4>のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<6> 前記一般式(II)中のQがベンゼン環を含有する基であることを特徴とする上記<5>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<7> 前記樹脂(P)が、前記繰り返し単位(C)としてヒドロキシスチレン及びその誘導体由来の繰り返し単位を含むことを特徴とする上記<1>〜<6>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<8> 前記(A)成分が、活性光線又は放射線の照射により樹脂の側鎖に酸アニオンを生じる構造であることを特徴とする、上記<1>〜<7>のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【0016】
<9> 溶媒全量に対して沸点150℃以下の溶媒を65質量%以上含有することを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<10> 溶媒全量に対して沸点150℃以下の溶媒を75質量%以上含有することを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<11> 溶媒全量に対して沸点150℃以下の溶媒を90質量%以上含有することを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<12> 前記樹脂(P)が前記繰り返し単位(A)〜(C)又は(A)〜(D)のみからなり、かつ繰り返し単位(C)のすべてが下記一般式(II−1)で表される繰り返し単位であることを特徴とする上記<1>〜<11>のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【0017】
【化3】

【0018】
Qは炭素−炭素不飽和結合を含有する基を表す。
【0019】
<13> 前記樹脂(P)において、主鎖に環状構造を有する繰り返し単位の割合が30モル%以下であることを特徴とする上記<1>〜<12>のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<14> 前記樹脂(P)において、主鎖に環状構造を有する繰り返し単位がないことを特徴とする上記<1>〜<13>のいずれに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<15> 前記樹脂(P)の重量平均分子量が、1000〜100000の範囲であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<16> 更に、塩基性化合物を含有することを特徴とする<1>〜<15>のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<17> 電子線、X線又はEUV光により露光されることを特徴とする上記<1>〜<16>のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【0020】
<18> 上記<1>〜<17>のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
<19> 請求項18に記載のレジスト膜を、露光、現像する工程を有することを特徴とするパターン形成方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、超微細領域での、特に、電子線、X線又はEUV光リソグラフィーにおける、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネス、及びアウトガス低減を同時に満足し、特にポジ型レジスト組成物として好適な、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、該組成物を用いたパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
なお、本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
また、本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表され遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
【0023】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、下記繰り返し単位(A)〜(C)を含有する樹脂(P)及び沸点150℃以下の溶媒を含有する。
(A)活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生成する基を含有する繰り返し単位
(B)酸の作用により分解してカルボン酸を生成する基を含有する繰り返し単位
(C)炭素−炭素不飽和結合を含有する繰り返し単位
なお、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生成する基を含有するとともに、炭素−炭素不飽和結合を含有する繰り返し単位は、繰り返し単位(A)に含めるものとする。
【0024】
繰り返し単位(A)としては、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位であれば、いずれでも用いることができるが、活性光線又は放射線の照射により樹脂の側鎖に酸アニオンを生じる構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。
【0025】
繰り返し単位(A)としては、例えば、下記一般式(III)〜(V)のいずれかで表わされる繰り返し単位が好ましい。
【0026】
【化4】

【0027】
ここで、R04、R05及びR07〜R09は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
06は、水素原子、シアノ基、カルボキシル基、−CO−OR25又は−CO−N(R26)(R27)を表す。R26とR27が結合して窒素原子とともに環を形成してもよい。
〜Xは、各々独立に、単結合、アリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、−O−、−SO−、−CO−、−N(R33)−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を表す。
25は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
26、R27及びR33は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、
アリール基又はアラルキル基を表す。
Aは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生じる構造部位を表す。
【0028】
前記一般式(III)〜(V)における、R04〜R05、R07〜R09のアルキル基としては、好ましくは置換基を有していても良いメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよいシクロアルキル基が挙げられる。好ましくは置換基を有していても良いシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R04〜R05、R07〜R09におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
【0029】
25〜R27、R33のアルキル基としては、好ましくは置換基を有していても良いメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよいシクロアルキル基が挙げられる。好ましくは置換基を有していても良いシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
アルケニル基としては、好ましくは置換基を有していても良いビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基の様な炭素数2〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、置換基を有していても良い炭素数6〜14個の単環、多環の芳香族基が好ましく、具体的にはフェニル基、トリル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。またアリール基同士が結合して、複環を形成していてもよい。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等の置換基を有していても良い炭素数7〜15個のものが挙げられる。
26とR27が結合して窒素原子とともに形成する環としては、5〜8員環を形成するものが好ましいが、具体的にはピロリジン、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
【0030】
〜Xのアリーレン基は、置換基を有していても良い炭素数6〜14個のものが好ましく、具体的にはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
アルキレン基としては、直鎖でも分岐でもよい。直鎖のアルキレン基の炭素数としては2〜20が好ましく、3〜18がより好ましく、4〜16が更に好ましい。分岐のアルキレン基の炭素数としては4〜20が好ましく、5〜18がより好ましい。具体例としてはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等が挙げられる。
シクロアルキレン基としては、好ましくは置換基を有していても良いシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の炭素数5〜8個のものが挙げられる。
【0031】
前記一般式(III)〜(V)における各基が有していても良い置換基の好ましい例としては、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、R04〜R09、R25〜R27、R33で挙げたアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、カルボキシ基が挙げられ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
【0032】
Aは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生じる構造部位を表し、具体的には光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光により酸を発生する化合物が有する構造部位が挙げられる。
活性光線又は放射線の照射により酸アニオンを発生する構造部位としては、例えば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム構造部位を挙げることができる。
【0033】
Aとしては、スルホニウム塩あるいはヨードニウム塩を含むイオン性構造部位がより好ましい。より具体的には、活性光線又は放射線の照射により、側鎖にアニオンを生じるAとして、下記一般式(ZI)又は(ZII)で表される基が好ましい。なお、式中、Zから左方向に伸びる直線は、繰り返し単位(A)の主鎖に向けて伸びる結合手を表す。
【0034】
【化5】

【0035】
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する酸アニオンを示し、非求核性アニオンが好ましい。非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、りん酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これにより樹脂の経時安定性が向上し、レジストの経時安定性も向上する。
【0036】
201、R202及びR203の有機基としては、アリール基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、インドリル基などが挙げられる。ここで、シクロアルキル基及びシクロアルケニル基は、環を形成する炭素原子の少なくとも1つがカルボニル炭素であっても良い。
201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、三つ全てがアリール基であることがより好ましい。
201、R202及びR203におけるアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
201、R202及びR203におけるアルキル基、シクロアルキル基及びシクロアルケニル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)、炭素数3〜10のシクロアルケニル基(例えば、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基)を挙げることができる。
【0037】
201、R202及びR203としての、アリール基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、インドリル基などの有機基は更に置換基を有していてもよい。その置換基としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜14)、ヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルカルボニル基(好ましくは炭素数2〜15)、シクロアルキルカルボニル基(好ましくは炭素数4〜15)、アリールカルボニル基(好ましくは炭素数7〜14)、シクロアルケニルオキシ基(好ましくは炭素数3〜15)、シクロアルケニルアルキル基(好ましくは炭素数4〜20)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
201、R202及びR203の各基が有していても良い置換基としてのシクロアルキル基及びシクロアルケニル基は、環を形成する炭素原子の少なくとも1つがカルボニル炭素であっても良い。
【0038】
201、R202及びR203の各基が有していても良い置換基は、更に置換基を有していてもよく、このような更なる置換基の例としては、R201、R202及びR203の各基が有していても良い置換基の上記例と同じものを挙げることができるが、アルキル基、シクロアルキル基が好ましい。
【0039】
201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基でない場合の好ましい構造としては、特開2004−233661号公報の段落0046,0047、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046、米国特許出願公開第2003/0224288号明細書に式(I−1)〜(I−70)として例示されている化合物、米国特許出願公開第2003/0077540号明細書に式(IA−1)〜(IA−54)、式(IB−1)〜(IB−24)として例示されている化合物等のカチオン構造を挙げることができる。
【0040】
前記一般式(ZII)中、R204〜R205は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。これらアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、前述の一般式(ZI)で表される基におけるR201〜R203としてのアリール基、アルキル基、シクロアルキル基として説明した基と同様である。
204〜R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基としては、例えば、ピロール残基(ピロールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、フラン残基(フランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、チオフェン残基(チオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)、インドール残基(インドールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾフラン残基(ベンゾフランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾチオフェン残基(ベンゾチオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)等を挙げることができる。
204〜R205のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としても、前述の一般式(ZI)におけるR201〜R203としてのアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよいものが挙げられる。
【0041】
は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する酸アニオンを示し、非求核性アニオンが好ましく、一般式(ZI)に於けるZと同様のものを挙げることができる。
【0042】
活性光線又は放射線の照射により、側鎖にカチオンが生じるAとしては、下記一般式(ZCI)又は(ZCII)で表される基も好ましい例として挙げられる。なお、式中、S及びIから左方向に伸びる直線は、繰り返し単位(A)の主鎖に向けて伸びる結合手を表す。
【0043】
【化6】

【0044】
上記一般式(ZCI)及び(ZCII)において、
301、R302は、各々独立に、有機基を表す。
301、R302としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R301及びR302が結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
301、R302の有機基として具体的には、例えば前記一般式(ZI)におけるR201〜R203の例として挙げたアリール基、アルキル基、シクロアルキル基等を挙げることができる。
は非求核性のアニオン含有化合物を表し、例えば、スルホン酸アニオン含有化合物、カルボン酸アニオン含有化合物、りん酸アニオン含有化合物、スルホニルイミドアニオン含有化合物、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン含有化合物、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン含有化合物等を挙げることができる。
303は有機基を表す。R303としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。R303の有機基として具体的には、例えば前記一般式(ZII)におけるR204,R205の具体例として挙げたアリール基、アルキル基、シクロアルキル基等を挙げることができる。
【0045】
繰り返し単位(A)は、活性光線又は放射線の照射により樹脂の側鎖に酸アニオンを生じる構造であることがより好ましい。このような構造を選択すると、発生した酸アニオンの拡散が抑制され、解像度向上ラインエッジラフネス良化などの観点で有効である。
【0046】
Aの好ましい具体例を以下に挙げるが、特にこれらに限定されない。
【0047】
【化7】

【0048】
【化8】

【0049】
【化9】

【0050】
【化10】

【0051】
【化11】

【0052】
本発明の樹脂(P)中の繰り返し単位(A)の含有量は、全繰り返し単位に対して、0.5〜80モル%の範囲で含有することが好ましく、1〜60モル%の範囲で含有することがより好ましく、2〜40モル%の範囲で含有することが特に好ましい。繰り返し単位(A)は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
繰り返し単位(A)に相当するモノマーの合成方法としては、特に限定されないが、例えば、前記繰り返し単位に対応する重合性不飽和結合を有する酸アニオンと既知のオニウム塩のハライドを交換して合成する方法が挙げられる。
より具体的には、前記繰り返し単位に対応する重合性不飽和結合を有する酸の金属イオン塩(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)あるいはアンモニウム塩(アンモニウム、トリエチルアンモニウム塩等)と、ハロゲンイオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)を有するオニウム塩を、水あるいはメタノールの存在下で攪拌し、アニオン交換反応を行い、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロキシフラン等の有機溶媒と水で分液・洗浄操作をすることにより、目的とする繰り返し単位(A)に相当するモノマーを合成することができる。
また、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロキシフラン等の水との分離が可能な有機溶媒と水の存在下で攪拌してアニオン交換反応を行った後に、水で分液・洗浄操作をすることによって合成することもできる。
【0053】
以下に繰り返し単位(A)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
【化12】

【0055】
【化13】

【0056】
【化14】

【0057】
【化15】

【0058】
【化16】

【0059】
【化17】

【0060】
【化18】

【0061】
また、繰り返し単位(A)は、例えば特開平10−221852号公報中の例示化合物(a31)〜(a126)及び(a145)〜(a196)のように、非イオン性の酸発生部位を有するものであってもよい。
【0062】
繰り返し単位(B)としては、酸の作用により分解してカルボン酸を生成する基を含有する繰り返し単位であれば、いずれでも用いることができる。
繰り返し単位(B)としては、下記一般式(I)で表わされる繰り返し単位が好ましい。
【0063】
【化19】

【0064】
式中、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。またR03は、アルキレン基を表し、Lと結合して5員若しくは6員環を形成していても良い。Lは単結合又は2価(但し、R03と結合して5員若しくは6員環を形成する場合は3価)の連結基を表す。Rはアルキル基を表し、R及びRは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。R及びRは互いに結合して環を形成してもよい。但し、RとRが同時に水素原子であることはない。
【0065】
01〜R03のアルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子及びアルコキシカルボニル基は前記R04〜R05、R07〜R09で説明したものと同様のものを挙げることができる。
Lで表される2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、−COO−L−、−O−L−、これらの2つ以上を組み合わせて形成される基等が挙げられる。ここで、Lはアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基を表す。
【0066】
Lは、単結合、−COO−L−(Lは炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、メチレン、プロピレン基がより好ましい。)又はアリーレン基で表される基が好ましい。
〜Rのアルキル基としては炭素数1〜20のものが好ましく、より好ましくは炭素数1〜10のものであり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが特に好ましい。
【0067】
及びRで表されるシクロアルキル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環性のものであってもよいし、ノルボニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等の多環性のものであってもよいが、レジスト溶媒への溶解性の観点で単環性のものがより好ましい。
また、RとRが互いに結合して形成される環としては、炭素数3〜20のものが好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環性のものであってもよいし、ノルボニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等の多環性のものであってもよいが、レジスト溶媒への溶解性の観点で単環性のものがより好ましい。RとRが互いに結合して環を形成する場合、Rは炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
【0068】
及びRで表されるアリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。R、Rのどちらか一方が水素原子の場合、他方はアリール基であることが好ましい。
【0069】
樹脂(P)中の繰り返し単位(B)の含有量は、全繰り返し単位に対して、5〜90モル%の範囲で含有することが好ましく、より好ましくは10〜80モル%の範囲であり、更に好ましくは20〜70モル%の範囲である。繰り返し単位(B)は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
繰り返し単位(B)に相当するモノマーの合成方法としては、一般的な重合性基含有エステルの合成法を適用することが可能であり、特に限定されることはない。
【0070】
以下に、樹脂(P)中の繰り返し単位(B)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0071】
【化20】

【0072】
【化21】

【0073】
【化22】

【0074】
【化23】

【0075】
【化24】

【0076】
【化25】

【0077】
繰り返し単位(C)としては、炭素−炭素不飽和結合を含有する繰り返し単位であれば、いずれでも用いることができる。なお、繰り返し単位(A)は、炭素−炭素不飽和結合を含有する場合でも、繰り返し単位(C)に含めない。繰り返し単位(C)としては、下記一般式(II)で表わされる繰り返し単位が好ましい。
【0078】
【化26】

【0079】
式中、R01、R02及びR03は、一般式(I)で説明したものと同義であり、Qは炭素−炭素不飽和結合を含有する基を表す。一般式(II)において、R01、R02及びR03は好ましくは水素原子であり、Qは、好ましくは芳香環を含有する基であり、より好ましくは炭素数1〜20の置換又は無置換の芳香族基である。ここで、芳香族基としては例えば以下のものが挙げられる。
フェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、フルオレニル、トリフェニレニル、ナフタセニル、ビフェニル、ピロリニル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジル、インドリジル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェンニル、イソベンゾフラニル、キノリジル、キノリニル、フタラジル、ナフチリジル、キノキサリル、キノキサゾリル、イソキノリニル、カルバゾリル、アクリジル、フェナントロリル、チアントレニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチリル、フェノチアジル、フェナジル。これらの中で、好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましいものとしては、フェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリルであり、更に好ましくはフェニル(ベンゼン環)である。
樹脂(P)が、繰り返し単位(A)〜(C)のみからなる場合など、繰り返し単位(C)として、下記一般式(II−1)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0080】
【化27】

【0081】
Qは炭素−炭素不飽和結合を含有する基を表す。
【0082】
樹脂(P)中の繰り返し単位(C)の含有量は、全繰り返し単位に対して、5〜90モル%の範囲で含有することが好ましく、より好ましくは10〜80モル%の範囲であり、更に好ましくは20〜70モル%の範囲である。繰り返し単位(C)は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよいが、少なくとも1種類のヒドロキシスチレン(好ましくはp−ヒドロキシスチレン)及びその誘導体由来の繰り返し単位を含むことが好ましい。ヒドロキシスチレン誘導体としては例えば、フッ素置換アルコール置換基を含むヒドロキシスチレンが挙げられる。
本発明においては、繰り返し単位(C)の組成量(モル)は繰り返し単位(B)の組成量と同等又はそれ以上であることが好ましい。ここで、繰り返し単位(B)のうち、炭素−炭素不飽和結合を有するものについては繰り返し単位(C)としても数えることとする。
繰り返し単位(C)に相当するモノマーの合成方法としては、特に限定されることはないが、例えばJ.Med.Chem., vol.34(5), 1675−1692(1991)、同vol.35(25), 4665−4675(1992)、J.Org.Chem. vol.45(18), 3657−3664(1980)、Adv.Synth.Catal. vol.349(1−2), 152−156(2007)、J.Org.Chem. vol.28, 1921−1922(1963)、Synth.Commun. vol.28(15), 2677−2682(1989)及びこれらに引用されている文献等に記載の重合性炭素−炭素二重結合含有芳香族化合物の合成法を参考に合成することができる。
【0083】
以下に、樹脂(P)中の繰り返し単位(C)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。式中、aは0〜2の整数表す。
【0084】
【化28】

【0085】
【化29】

【0086】
【化30】

【0087】
本発明の樹脂は、更に、アルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基を有する、下記一般式(AII)で表される繰り返し単位(D)を含有することが好ましい。
【0088】
【化31】

【0089】
一般式(AII)中、
Rbは、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。
Rbのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Rbのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Abは、単結合、アルキレン基、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表す。好ましくは、単結合、−Ab−CO−で表される2価の連結基である。
Abは、直鎖、分岐アルキレン基、単環又は多環のシクロアルキレン基であり、好ましくはメチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基である。
Vは、アルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基を表す。好ましくはエステル結合を有する基であり、中でもラクトン構造を有する基がより好ましい。
【0090】
ラクトン構造を有する基としては、ラクトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)、(LC1−17)である。
【0091】
【化32】

【0092】
ラクトン構造部分は、置換基(Rb)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基である。nは、0〜4の整数を表す。nが2以上の時、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
【0093】
ラクトン基を有する繰り返し単位は、通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90%以上のものが好ましく、より好ましくは95%以上である。
樹脂(P)中の繰り返し単位(D)の含有量は、全繰り返し単位に対して、0.5〜80モル%の範囲で含有することが好ましく、より好ましくは1〜60モル%の範囲であり、更に好ましくは2〜40モル%の範囲である。繰り返し単位(D)は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。特定のラクトン構造を用いることでラインエッジラフネス、現像欠陥が良好になる。
【0094】
以下に、樹脂(P)中の繰り返し単位(D)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。式中、Rxは、H,CH,CHOH,又はCFを表す。
【0095】
【化33】

【0096】
【化34】

【0097】
本発明の樹脂(P)の形態としては、ランダム型、ブロック型、クシ型、スター型のいずれの形態でもよい。
上述の繰り返し単位(A)〜(C)又は(A)〜(D)を含有する本発明に係わる樹脂(P)は、例えば、各構造に対応する不飽和モノマーのラジカル、カチオン、又はアニオン重合により合成することができる。また各構造の前駆体に相当する不飽和モノマーを用いて重合した後に、高分子反応を行うことにより目的とする樹脂を得ることも可能である。
【0098】
本発明に係わる樹脂(P)の分子量は、特に制限されないが、重量平均分子量が1000〜100000の範囲であることが好ましく、1500〜20000の範囲であることがより好ましく、2000〜10000の範囲であることが特に好ましい。ここで、樹脂の重量平均分子量は、GPC(キャリア:THFあるいはN−メチル−2−ピロリドン(NMP))によって測定したポリスチレン換算分子量を示す。
また分散度(Mw/Mn)は、好ましくは1.00〜5.00、より好ましくは1.03〜3.50であり、更に好ましくは、1.05〜2.50である。
【0099】
また本発明に係わる樹脂の性能を向上させる目的で、耐ドライエッチング性を著しく損なわない範囲で、更に他の重合性モノマー由来の繰り返し単位を有していても良い。
その他の重合性モノマー由来の繰り返し単位の樹脂中含有量としては、全繰り返し単位に対して、一般的に50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。使用することができるその他の重合性モノマーとしては、以下に示すものが含まれる。例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などから選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物である。
具体的には、(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−t−オクチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、炭素原子数1〜10のもの、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシエチル基、ベンジル基などがある。)、N−アリール(メタ)アクリルアミド(アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基などがある。)、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、炭素原子数1〜10のもの、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基などがある。)、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド(アリール基としては、例えばフェニル基などがある。)、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0100】
アリル化合物としては、例えば、アリルエステル類(例えば、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなどが挙げられる。
ビニルエーテル類としては、例えば、アルキルビニルエーテル(例えば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど)、ビニルアリールエーテル(例えばビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテルなど)が挙げられる。
ビニルエステル類としては、例えば、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、安息香酸ビニル、サルチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニルなどが挙げられる。
クロトン酸エステル類としては、例えば、クロトン酸アルキル(例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、グリセリンモノクロトネートなど)が挙げられる。
イタコン酸ジアルキル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
マレイン酸あるいはフマール酸のジアルキルエステル類としては、例えば、ジメチルマレレート、ジブチルフマレートなどが挙げられる。
その他にも、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等をあげることができる。また一般に前記本発明にかかわる繰り返し単位と共重合可能である付加重合性不飽和化合物であれば、特に制限されず用いることができる。
【0101】
本発明の樹脂(P)は、1種類単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。樹脂(P)の含量は、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の全固形分を基準にして、30〜100質量%が好ましく、50〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%が特に好ましい。
【0102】
樹脂(P)の具体例としては、例えば、前記一般式(III)〜(V)の具体例から選択される1種以上の繰り返し単位/前記一般式(I)の具体例から選択される1種以上の繰り返し単位/前記一般式(II)の具体例から選択される1種以上の繰り返し単位を有する樹脂から選択される1種以上の繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。
特に、樹脂(P)が、繰り返し単位(A)〜(C)又は(A)〜(D)のみからなり、かつ繰り返し単位(C)のすべてが前記一般式(II−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。繰り返し単位(C)は、一般式(II−1)で表される繰り返し単位の1種以上からなっていてもよい。
また、樹脂(P)において、主鎖に環状構造を有する繰り返し単位の割合が30モル%以下であることが好ましく、含有しないことがより好ましい。
より好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0103】
【化35】

【0104】
【化36】

【0105】
【化37】

【0106】
【化38】

【0107】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、常圧(760mmHg)で、沸点が150℃以下の溶媒を含有する。
上記溶媒を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、常圧で、沸点が150℃を越える溶媒を併用してもよい。本発明の組成物に於いては、沸点が150℃以下の溶媒の含有量が溶媒全量に対して50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましい。更に好ましくは70質量%〜100質量%であり、特に好ましくは75質量%以上であり、最も好ましくは90質量%以上である。
沸点が150℃以下の溶媒は、沸点が50〜150℃が好ましく、沸点が80〜150℃がより好ましい。
沸点が150℃以下の溶媒は、好ましくは有機溶剤であり、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン、環を含有しても良いモノケトン化合物、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤から選択することができる。
例えば、以下に示すような溶剤から、常圧で、沸点が150℃以下の溶媒を選択し、単独又は2種以上、更には、常圧で、沸点が150℃を越える溶媒を併用して用いることができる。なお、以下に例示の溶剤に関し、圧力を特に記載しないものは、760mmHgにおける沸点を表す。また、760mmHg以外の圧力値における沸点が記載されている溶剤は、高沸点溶剤であり、760mmHgにおいては、いずれも150℃より高い沸点を示す。
【0108】
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)(b.p.=146℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(b.p.=164−165℃)、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート(b.p.=173−174℃/740mmHg)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(b.p.=143℃)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(b.p.=156℃)、が好ましく挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;1−メトキシ−2−プロパノール)(b.p.=119℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(b.p.=130−131℃)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(b.p.=148℃)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(b.p.=169−170℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(b.p.=124−125℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(b.p.=134−135℃)、を好ましく挙げられる。
【0109】
乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル(b.p.=145℃)、乳酸エチル(b.p.=154℃)、乳酸プロピル(b.p.=169−172℃)、乳酸ブチル(b.p.=185−187℃)を好ましく挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル(b.p.=169−170℃)、3−エトキシプロピオン酸メチル(b.p.=138−141℃)、3−メトキシプロピオン酸エチル(b.p.=156−158℃)を好ましく挙げられる。
環状ラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン(b.p.=162℃)、β−ブチロラクトン(b.p.=71−73℃/29mmHg)、γ−ブチロラクトン(b.p.=204−205℃)、α−メチル−γ−ブチロラクトン(b.p.=78−81℃/10mmHg)、β−メチル−γ−ブチロラクトン(b.p.=87−88℃/10mmHg)、γ−バレロラクトン(b.p.=82−85℃/10mmHg)、γ−カプロラクトン(b.p.=219℃)、γ−オクタノイックラクトン(b.p.=234℃)、α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン(b.p.=133℃/10mmHg)が好ましく挙げられる。
【0110】
環を含有しても良いモノケトン化合物としては、例えば、2−ブタノン(b.p.=80℃)、3−メチルブタノン(b.p.=94−95℃)、ピナコロン(b.p.=106℃)、2−ペンタノン(b.p.=101−105℃)、3−ペンタノン(b.p.=102℃)、3−メチル−2−ペンタノン(b.p.=118℃)、4−メチル−2−ペンタノン(b.p.=117−118℃)、2−メチル−3−ペンタノン(b.p.=113℃)、4,4−ジメチル−2−ペンタノン(b.p.=125−130℃)、2,4−ジメチル−3−ペンタノン(b.p.=124℃)、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン(b.p.=152−153℃)、2−ヘキサノン(b.p.=127℃)、3−ヘキサノン(b.p.=123℃)、5−メチル−2−ヘキサノン(b.p.=145℃)、2−ヘプタノン(b.p.=149−150℃)、3−ヘプタノン(b.p.=146−148℃)、4−ヘプタノン(b.p.=145℃)、2−メチル−3−ヘプタノン(b.p.=158−160℃)、5−メチル−3−ヘプタノン(b.p.=161−162℃)、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン(b.p.=165−170℃)、2−オクタノン(b.p.=173℃)、3−オクタノン(b.p.=167−168℃)、2−ノナノン(b.p.=192℃/743mmHg)、3−ノナノン(b.p.=187−188℃)、5−ノナノン(b.p.=186−187℃)、2−デカノン(b.p.=211℃)、3−デカノン(b.p.=204−205℃)、4−デカノン(b.p.=206−207℃)、5−ヘキセン−2−オン(b.p.=128−129℃)、3−ペンテン−2−オン(b.p.=121−124℃)、シクロペンタノン(b.p.=130−131℃)、2−メチルシクロペンタノン(b.p.=139℃)、3−メチルシクロペンタノン(b.p.=145℃)、2,2−ジメチルシクロペンタノン(b.p.=143−145℃)、2,4,4−トリメチルシクロペンタノン(b.p.=160℃)、シクロヘキサノン(b.p.=157℃)、3−メチルシクロヘキサノン(b.p.=169−170℃)、4−メチルシクロヘキサノン(b.p.=169−171℃)、4−エチルシクロヘキサノン(b.p.=192−194℃)、2,2−ジメチルシクロヘキサノン(b.p.=169−170℃)、2,6−ジメチルシクロヘキサノン(b.p.=174−176℃)、2,2,6−トリメチルシクロヘキサノン(b.p.=178−179℃)、シクロヘプタノン(b.p.=179℃)、2−メチルシクロヘプタノン(b.p.=182−185℃)、3−メチルシクロヘプタノン(b.p.=100℃/40mmHg)が好ましく挙げられる。
【0111】
アルキレンカーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート(b.p.=240℃)、ビニレンカーボネート(b.p.=162℃)、エチレンカーボネート(b.p.=243−244℃/740mmHg)、ブチレンカーボネート(b.p.=88℃/0.8mmHg)が好ましく挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸−2−メトキシエチル(b.p.=145℃)、酢酸−2−エトキシエチル(b.p.=155−156℃)、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル(b.p.=219℃)、酢酸−1−メトキシ−2−プロピル(b.p.=145−146℃)が好ましく挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル(b.p.=134−137℃)、ピルビン酸エチル(b.p.=144℃)、ピルビン酸プロピル(b.p.=166℃)が好ましく挙げられる。
【0112】
好ましく使用できる溶剤としては、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、プロピレンカーボネートが挙げられるが、アウトガス低減の観点から2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル等、常圧での沸点が150℃以下の溶媒が特に好ましい。
本発明の組成物全量中における溶媒(沸点が150℃以上のものも、そうでないものも全て含む)の使用量は、所望の膜厚等に応じて適宜調整可能であるが、一般的には組成物の全固形分濃度が0.5〜30質量%、好ましくは1.0〜20質量%、より好ましくは1.5〜10質量%となるように調製される。
【0113】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて更に、塩基性化合物、酸の作用により分解してアルカリ水溶性に対する溶解速度が増大する樹脂、従来型の光酸発生剤、界面活性剤、酸分解性溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解促進性化合物、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物等を含有させることができる。
【0114】
<塩基性化合物>
本願発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、更に、塩基性化合物を含有することが好ましい。
塩基性化合物は、含窒素有機塩基性化合物であることが好ましい。
【0115】
使用可能な化合物は特に限定されないが、例えば以下の(1)〜(4)に分類される化合物が好ましく用いられる。
【0116】
(1)下記一般式(BS−1)で表される化合物
【0117】
【化39】

【0118】
一般式(BS−1)中、
Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基(直鎖又は分岐)、シクロアルキル基(単環又は多環)、アリール基、アラルキル基の何れかを表す。但し、三つのRの全てが水素原子とはならない。
Rとしてのアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1〜20、好ましくは1〜12である。
Rとしてのシクロアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常3〜20、好ましくは5〜15である。
Rとしてのアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常6〜20、好ましくは6〜10である。具体的にはフェニル基やナフチル基などが挙げられる。
Rとしてのアラルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常7〜20、好ましくは7〜11である。具体的にはベンジル基等が挙げられる。
Rとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基は、水素原子が置換基により置換されていてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
一般式(BS−1)で表される化合物は、3つのRの1つのみが水素原子、あるいは全てのRが水素原子でないことが好ましい。
【0119】
一般式(BS−1)の化合物の具体例としては、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリイソデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ジデシルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、メチルジオクタデシルアミン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジヘキシルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、2,4,6−トリ(t−ブチル)アニリンなどが挙げられる。
また、一般式(BS−1)において、少なくとも1つのRが、ヒドロキシル基で置換されたアルキル基である化合物が、好ましい態様の1つとして挙げられる。具体的化合物としては、トリエタノールアミン、N,N−ジヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
【0120】
また、Rとしてのアルキル基は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン鎖が形成されていてもよい。オキシアルキレン鎖としては−CHCHO−が好ましい。具体的例としては、トリス(メトキシエトキシエチル)アミンや、US6040112号明細書のカラム3、60行目以降に例示の化合物などが挙げられる。
【0121】
(2)含窒素複素環構造を有する化合物
複素環構造としては、芳香族性を有していてもいなくてもよい。また、窒素原子を複数有していてもよく、更に、窒素以外のヘテロ原子を含有していてもよい。具体的には、イミダゾール構造を有する化合物(2−フェニルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾールなど)、ピペリジン構造を有する化合物(N−ヒドロキシエチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートなど)、ピリジン構造を有する化合物(4−ジメチルアミノピリジンなど)、アンチピリン構造を有する化合物(アンチピリン、ヒドロキシアンチピリンなど)が挙げられる。
また、環構造を2つ以上有する化合物も好適に用いられる。具体的には1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−ウンデカ−7−エンなどが挙げられる。
【0122】
(3)フェノキシ基を有するアミン化合物
フェノキシ基を有するアミン化合物とは、アミン化合物のアルキル基の窒素原子と反対側の末端にフェノキシ基を有するものである。フェノキシ基は、例えば、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシロキシ基、アリールオキシ基等の置換基を有していてもよい。
より好ましくは、フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのオキシアルキレン鎖を有する化合物である。1分子中のオキシアルキレン鎖の数は、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン鎖の中でも−CHCHO−が好ましい。
具体例としては、2−[2−{2―(2,2―ジメトキシ−フェノキシエトキシ)エチル}−ビス−(2−メトキシエチル)]−アミンや、米国特許出願公開第2007/0224539号明細書の段落[0066]に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)などが挙げられる。
【0123】
(4)アンモニウム塩
アンモニウム塩も適宜用いられる。好ましくはヒドロキシド又はカルボキシレートである。より具体的にはテトラブチルアンモニウムヒドロキシドに代表されるテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
【0124】
その他、特開2002−363146号公報の実施例で合成されている化合物、特開2007−298569号公報の段落0108に記載の化合物なども使用可能である。
【0125】
塩基性化合物は、単独であるいは2種以上併用して用いられる。
塩基性化合物の使用量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分を基準として、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。
【0126】
酸発生剤/塩基性化合物のモル比は、2.5〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比が2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。このモル比としてより好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
なお、上記モル比における酸発生剤とは、樹脂(P)に含まれる繰返し単位(a)と、後述する樹脂(P)以外の酸発生剤の合計の量である。
【0127】
<酸の作用により分解してアルカリ水溶性に対する溶解速度が増大する樹脂>
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、樹脂(P)以外に、酸の作用により分解してアルカリ水溶性に対する溶解速度が増大する樹脂を含有していてもよい。
【0128】
酸の作用により分解してアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」ともいう)は、樹脂の主鎖又は側鎖、或いは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(酸分解性基)を有する樹脂である。この内、酸分解性基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
【0129】
酸分解性樹脂は、欧州特許254853号、特開平2−25850号、同3−223860号、同4−251259号等に開示されているように、アルカリ可溶性樹脂に酸で分解し得る基の前駆体を反応させる、若しくは、酸で分解し得る基の結合したアルカリ可溶性樹脂モノマーを種々のモノマーと共重合して得ることができる。
酸分解性基としては、例えば、−COOH基、−OH基などのアルカリ可溶性基を有する樹脂において、左記のアルカリ可溶性基の水素原子を酸の作用により脱離する基で置換した基が好ましい。
酸分解性基として具体的には、前述した本発明の樹脂で説明した酸分解性基(例えば、樹脂(P)における繰り返し単位(B)として説明した酸分解性基)と同様の基を好ましい例として挙げることができる。
【0130】
前記アルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリ(o−ヒドロキシスチレン)、ポリ(m−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)及びこれらの共重合体、水素化ポリ(ヒドロキシスチレン)、下記構造で表される置換基を有するポリ(ヒドロキシスチレン)類、及びフェノール性水酸基を有する樹脂、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、水素化ノボラック樹脂等のヒドロキシスチレン構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂、(メタ)アクリル酸、ノルボルネンカルボン酸などのカルボキシル基を有する繰り返し単位を含有するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
【0131】
【化40】

【0132】
これらアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して170Å/秒以上が好ましい。特に好ましくは330Å/秒以上である。より具体的には、上記アルカリ溶解速度は、アルカリ可溶性樹脂のみをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等の溶剤に溶解して固形分濃度4質量%とした組成物をシリコンウエハ上に塗布して塗膜(膜厚100nm)を形成し、この塗膜がTMAH水溶液に完全に溶解するまでの時間(秒)を測定することにより得ることができる。
【0133】
酸で分解し得る基の含有率は、樹脂中の酸で分解し得る基を有する繰り返し単位の数(X)と酸で脱離する基で保護されていないアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の数(Y)をもって、X/(X+Y)で表される。含有率は、好ましくは0.01〜0.7、より好ましくは0.05〜0.50、更に好ましくは0.05〜0.40である。
【0134】
酸分解性樹脂の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、50,000以下が好ましく、より好ましくは1,000〜20000、特に好ましくは、1,000〜10,000である。
酸分解性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0が好ましく、より好ましくは1.05〜2.0であり、更に好ましくは1.1〜1.7である。
酸分解性樹脂は、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0135】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物において、樹脂(P)を除く酸分解性樹脂の組成物中の配合量は、組成物の全固形分中0〜70質量%が好ましく、より好ましくは0〜50質量%、更により好ましくは0〜30質量%である。
【0136】
<酸発生剤>
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物では、光酸発生構造を有する樹脂(P)を含有しているが、該樹脂(P)以外に、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する低分子の化合物(以下、「酸発生剤」ともいう)を含有してもよい。
そのような酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0137】
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。これらの具体例としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0241737A1号明細書の〔0164〕〜〔0248〕に説明されているものを挙げることができる。
【0138】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物において、光酸発生構造を有する樹脂(P)以外に、酸発生剤を用いる場合には、酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。酸発生剤の組成物中の含量は、レジスト組成物の全固形分を基準として、0〜20質量%が好ましく、より好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜7質量%である。酸発生剤は、本発明において必須成分ではないが、添加の効果を得る上では、通常0.01質量%以上で使用される。
【0139】
<界面活性剤>
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、更に界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が好ましい。
これらに該当する界面活性剤としては、大日本インキ化学工業(株)製のメガファックF176、メガファックR08、OMNOVA社製のPF656、PF6320、トロイケミカル(株)製のトロイゾルS−366、住友スリーエム(株)製のフロラードFC430、信越化学工業(株)製のポリシロキサンポリマーKP−341などが挙げられる。
また、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類などが挙げられる。
【0140】
その他、公知の界面活性剤が適宜使用可能である。使用可能な界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0273]以降に記載の界面活性剤が挙げられる。
【0141】
界面活性剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分に対し、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0142】
<酸分解性溶解阻止化合物>
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、酸の作用により分解してアルカリ現像液中への溶解速度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物(以下、「溶解阻止化合物」ともいう)を含有することができる。
溶解阻止化合物としては、Proceeding of SPIE,2724, 355 (1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。酸分解性基、脂環式構造としては、前記酸分解性樹脂のところで説明したものと同様のものが挙げられる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を、電子線又はEUV光で照射する場合には、フェノール化合物のフェノール性水酸基を酸分解基で置換した構造を含有するものが好ましい。フェノール化合物としてはフェノール骨格を1〜9個含有するものが好ましく、更に好ましくは2〜6個含有するものである。
【0143】
本発明における溶解阻止化合物の分子量は、3000以下であり、好ましくは300〜3000、更に好ましくは500〜2500である。
【0144】
<その他の成分>
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、染料を含有しても良い。好適な染料としては油性染料及び塩基性染料がある。
【0145】
また、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、露光による酸発生効率を向上させるため、更に、光増感剤を添加することができる。
【0146】
本発明で使用できる現像液に対する溶解促進性化合物は、フェノール性水酸基を2個以上、又はカルボキシ基を1個以上有する分子量1,000以下の低分子化合物である。カルボキシ基を有する場合は脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号、特開平2−28531号、米国特許第4916210号、欧州特許第219294号に記載のものを挙げることができる。
【0147】
また、特開2006−208781号公報や、特開2007−286574号公報等に記載の、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物も、本願組成物に対して好適に用いることができる。
【0148】
<パターン形成方法>
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、基板など支持体上に塗布され、レジスト膜を形成する。このレジスト膜の膜厚は、0.02〜0.1μmが好ましい。
基板上に塗布する方法としては、スピン塗布が好ましく、その回転数は1000〜3000rpmが好ましい。
【0149】
例えば、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布、乾燥し、レジスト膜を形成する。なお、予め公知の反射防止膜を塗設することもできる。
当該レジスト膜に、通常はマスクを通して、露光を行い(好ましくは、電子線(EB)、X線又はEUV光を照射し)、好ましくはベーク(加熱)を行い、現像する。これにより良好なパターンを得ることができる。
【0150】
現像工程では、アルカリ現像液を次のように用いる。レジスト組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
【実施例】
【0151】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0152】
合成例1:ポリマー(P−1)の合成
(1)4−スチレンスルホン酸トリフェニルスルホニウム塩の合成
トリフェニルスルホニウムBr塩50gをメタノール65mlに溶解させた。この液に、4−スチレンスルホン酸Na塩30gとメタノール65mlとイオン交換水130mlの混合液を室温で攪拌下、滴下した。この溶液にイオン交換水とクロロホルムを加えて抽出・洗浄を行った。有機層を濃縮後、析出した固体をヘキサン/酢酸エチル中でリスラリー化した後、ろ過することで、4−スチレンスルホン酸トリフェニルスルホニウム塩48gを得た。
【0153】
(2)ポリマー(P−1)の合成
1−メトキシー2−プロパノール10mlを窒素気流下、80℃に加熱した。この液を攪拌しながら、4−ヒドロキシスチレン3.0g(25mmol)、4−メチルスチレン1.2g(10mmol)、t−ブチルメタクリレート6.4g(45mmol)、4−スチレンスルホン酸トリフェニルスルホニウム塩1.1g(2.5mmol)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601、和光純薬工業(株)製)1.2g(5.2mmol)及び1−メトキシー2−プロパノール20mlの混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で更に3時間攪拌した。反応液を放冷後、多量のヘキサン/酢酸エチルで再沈殿・真空乾燥を行うことで、本発明の樹脂(P−1)を7.0g得た。得られた樹脂のH−NMRを測定したところ、9.0ppm付近に4−ヒドロキシスチレンのOH基に由来すると考えられるピーク、2.3ppm付近に4−メチルスチレンのメチル基に由来すると考えられるピーク、1.4ppm付近にt−ブチルメタクリレートのt−ブチル基に由来すると考えられるピーク、7.8ppm付近に4−スチレンスルホン酸トリフェニルスルホニウム塩のカチオン部のフェニル基に由来すると考えられるピークを観測し、樹脂(P−1)の構造であることを確認した。またこれらのピーク面積比から、樹脂の組成比(先に示した樹脂(P−1)の構造式における繰り返し単位の左からの順として35/15/45/5/モル比)を算出した。また、GPC(キャリア:N−メチル−2−ピロリドン(NMP))から求めた重量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算)は、Mw=4500、Mw/Mn=1.7であった。
【0154】
合成例2:ポリマー(P−2)の合成
(1)3,4,4−トリフルオロ−4−スルホブチルメタクリレートトリフェニルスルホニウム塩の合成トリフェニルスルホニウムBr塩50gをメタノール65mlに溶解させた。この液に、文献(Solid State Ionics 1999, 123,233)記載の方法によって合成した1,1,2−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−1−ブタンスルホネートリチウム塩39gとメタノール65mlとイオン交換水130mlの混合液を室温で攪拌下、滴下した。この溶液にイオン交換水とクロロホルムを加えて抽出・洗浄を行った。有機層を濃縮後、析出した固体をヘキサン/酢酸エチル中でリスラリー化した後、ろ過することで、3,4,4−トリフルオロ−4−スルホブチルメタクリレートトリフェニルスルホニウム塩31g(40%)を得た。
【0155】
(2)ポリマー(P−2)の合成
1−メトキシー2−プロパノール10mlを窒素気流下、80℃に加熱した。この液を攪拌しながら、4−ヒドロキシスチレン3.0g(25mmol)、4−メトキシスチレン1.3g(9.7mmol)、t−ブチルメタクリレート6.4g(45mmol)、3,4,4−トリフルオロ−4−スルホブチルメタクリレートトリフェニルスルホニウム塩1.3g(2.4mmol)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601、和光純薬工業(株)製)1.2g(5.2mmol)及び1−メトキシー2−プロパノール20mlの混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で更に3時間攪拌した。反応液を放冷後、多量のヘキサン/酢酸エチルで再沈殿・真空乾燥を行うことで、本発明の樹脂(P−2)を6.6g得た。得られた樹脂のH−NMRを測定したところ、9.0ppm付近に4−ヒドロキシスチレンのOH基に由来すると考えられるピーク、3.7ppm付近に4−メトキシスチレンのメトキシ基に由来すると考えられるピーク、1.4ppm付近にt−ブチルメタクリレートのt−ブチル基に由来すると考えられるピーク、7.8ppm付近に3,4,4−トリフルオロ−4−スルホブチルメタクリレートトリフェニルスルホニウム塩のカチオン部のフェニル基に由来すると考えられるピークを観測し、樹脂(P−2)の構造であることを確認した。またこれらのピーク面積比から、樹脂の組成比(先に示した樹脂(P−2)の構造式における繰り返し単位の左からの順として34/16/44/6/モル比)を算出した。また、GPC(キャリア:N−メチル−2−ピロリドン(NMP))から求めた重量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算)は、Mw=4700、Mw/Mn=1.75であった。
【0156】
合成例3:ポリマー(P−3)の合成
1−メトキシ−2−プロパノール17.5mlを窒素気流下、80℃に加熱した。この液を攪拌しながら、4−ヒドロキシスチレン10.3g(85.4mmol)、2−シクロヘキシル−2−プロピルメタクリレート8.0g(38.2mmol)、4−スチレンスルホン酸トリフェエニルスルホニウム塩1.7g(3.8mmol)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601、和光純薬工業(株)製)5.9g(25.5mmol)及び1−メトキシ−2−プロパノール70mlの混合溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で更に2時間攪拌した。反応液を放冷後、多量のヘキサン/酢酸エチルで再沈殿・真空乾燥を行うことで、本発明のポリマー(P−3)17.1gを得た。
得られたポリマーのH−NMRを測定したところ、9.0ppm付近に4−ヒドロキシスチレンのOH基に由来すると考えられるピーク、7.8ppm付近に4−スチレンスルホン酸トリフェエニルスルホニウム塩のカチオン部のフェニル基に由来すると考えられるピークを観測した。また、0.0〜2.0ppm付近に、4−ヒドロキシスチレン及び4−スチレンスルホン酸トリフェエニルスルホニウム塩のメチレン基、メチン基に由来すると考えられるピークとともに2−シクロヘキシル−2−プロピルメタクリレートに由来するピークを観測した。これらより、ポリマー(P−3)の構造であることを確認した。これらのピーク面積比からポリマーの組成比(先に示した樹脂(P−3)の構造式における繰り返し単位の左からの順として60/37/3/モル比)を算出した。またGPCから求めた重量平均分子量は、Mw=5000、Mw/Mn=1.6であった。
その他の樹脂も同様にして合成した。
【0157】
〔実施例1〜35及び比較例1〜5〕
<レジスト評価(EB)>
下記表1に示した成分を、表1に示した混合溶剤に溶解させ、固形分濃度が5.0質量%の溶液を調整した。この溶液を0.1μmのポアサイズを有するポリテトラフルオロエチレンフィルターでろ過してポジ型レジスト溶液を得た。調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、110℃で90秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成させた。
このレジスト膜を、電子線照射装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50keV)を用いて電子線照射を行った。照射後直ぐに130℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。更に濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液を用いて23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインアンドスペースパターンを形成し、得られたパターンを下記方法で評価した。
【0158】
〔感度〕
得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて観察した。100nmライン(ライン:スペース=1:1)を解像する時の最小照射エネルギーを感度とした。
〔解像力〕
上記の感度を示す照射量における限界解像力(ラインとスペースが分離解像する最小の線幅)を解像力とした。
〔ラインエッジラフネス(LER)〕
上記の感度を示す照射量における100nmラインパターンの長さ方向50μmにおける任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いてエッジがあるべき基準線からの距離を測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。
〔パターン形状〕
上記の感度を示す照射量における100nmラインパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察し、矩形、ややテーパー、テーパーの3段階評価を行った。
〔アウトガス〕
100nmライン(ライン:スペース=1:1)を解像する時の最小照射エネルギーを照射した時の膜厚の変動率(Z)で評価を行った。
Z=[(露光前の膜厚)−(露光後の膜厚)]/(露光前の膜厚)]×100(%)
ここで、露光後の膜厚とは、露光直後の膜厚を示し、PEB、アルカリ現像工程へ入る以前の膜厚である。この値が小さい程、良好な性能であることを意味する。
【0159】
【表1】

【0160】
【表2】

【0161】
【表3】

【0162】
なお、比較例1及び4では、100nmライン(ライン:スペース=1:1)のパターン形成ができなかった。
表1から、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネス及びアウトガス低減を同時に満足することが明らかである。
【0163】
実施例、比較例で用いた素材(その他の樹脂、従来の酸発生剤、塩基性化合物)の構造を以下に示す。
【0164】
【化41】

【0165】
【化42】

【0166】
実施例、比較例で用いた界面活性剤、溶剤を以下に示す。
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマー(信越化学工業(株)製、シリコン系)
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA, b.p.=146℃)
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME, b.p.=120℃)
S3:乳酸メチル(b.p.=145℃)
S4:5−メチル−2−ヘキサノン(b.p.=145℃)
S5:プロピレングリコールモノエチルエーテル(b.p.=130−131℃)
S6:シクロヘキサノン(b.p.=157℃)
【0167】
〔実施例36〜38〕
<レジスト評価(EUV光)>
下記表2に示した成分を、表2に示した混合溶剤に溶解させ、固形分濃度が5.0質量%の溶液を調製した。この溶液を0.1μmのポアサイズを有するポリテトラフルオロエチレンフィルターでろ過してポジ型レジスト溶液を得た。なお、表2中に記載の化合物の記号は、表1におけるものと同様である。
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成させた。
レジスト膜を、EUV露光装置(波長13nm)で照射し、照射後直ぐに130℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。更に濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液を用いて23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインアンドスペースパターン(ライン:スペース=1:1)を形成し、得られたパターンを下記方法で評価した。
〔感度〕
得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて観察した。100nmライン(ライン:スペース=1:1)を解像する時の最小照射エネルギーを感度とした。
〔パターン形状〕
上記の感度を示す照射量における100nmラインパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察し、矩形、ややテーパー、テーパーの3段階評価を行った。
【0168】
【表4】

【0169】
表2の結果より、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、EUV露光によっても、良好な感度を示し、良好な形状のパターンを形成できることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返し単位(A)〜(C)を含有する樹脂(P)及び沸点150℃以下の溶媒を含有することを特徴とする感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
(A)活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生成する基を含有する繰り返し単位
(B)酸の作用により分解してカルボン酸を生成する基を含有する繰り返し単位
(C)炭素−炭素不飽和結合を含有する繰り返し単位
【請求項2】
前記繰り返し単位(B)が下記一般式(I)で表される繰り返し単位であり、前記繰り返し単位(C)が下記一般式(II)で表される繰り返し単位であることを特徴とする請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【化1】


式中、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。またR03は、アルキレン基を表し、L又はQと結合して5員若しくは6員環を形成していても良い。Lは単結合又は2価(但し、R03と結合して5員若しくは6員環を形成する場合は3価)の連結基を表す。Rはアルキル基を表し、R及びRは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。R及びRは互いに結合して環を形成してもよい。但し、RとRが同時に水素原子であることはない。Qは炭素−炭素不飽和結合を含有する基を表す。
【請求項3】
前記樹脂(P)において、前記繰り返し単位(B)と前記繰り返し単位(C)の組成量(モル)が、繰り返し単位(B)≦繰り返し単位(C)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
前記樹脂(P)が、更に、アルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基を有する、下記一般式(AII)で表される繰り返し単位(D)を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【化2】


一般式(AII)中、Rbは、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Abは、単結合、アルキレン基、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表す。
Vは、アルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基を表す。
【請求項5】
前記一般式(II)中のQが芳香環を含有する基であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項6】
前記一般式(II)中のQがベンゼン環を含有する基であることを特徴とする請求項5に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂(P)が、繰り返し単位(C)としてヒドロキシスチレン及びその誘導体由来の繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜6に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項8】
繰り返し単位(A)が、活性光線又は放射線の照射により樹脂の側鎖に酸アニオンを生じる構造を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項9】
溶媒全量に対して沸点150℃以下の溶媒を65質量%以上含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項10】
溶媒全量に対して沸点150℃以下の溶媒を75質量%以上含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項11】
溶媒全量に対して沸点150℃以下の溶媒を90質量%以上含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項12】
前記樹脂(P)が前記繰り返し単位(A)〜(C)又は(A)〜(D)のみからなり、かつ繰り返し単位(C)のすべてが下記一般式(II−1)で表される繰り返し単位であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【化3】


Qは炭素−炭素不飽和結合を含有する基を表す。
【請求項13】
前記樹脂(P)において、主鎖に環状構造を有する繰り返し単位の割合が30モル%以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項14】
前記樹脂(P)において、主鎖に環状構造を有する繰り返し単位がないことを特徴とする請求項1〜13のいずれに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項15】
前記樹脂(P)の重量平均分子量が、1000〜100000の範囲であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項16】
更に、塩基性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項17】
電子線、X線又はEUV光により露光されることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
【請求項19】
請求項18に記載のレジスト膜を、露光、現像する工程を有することを特徴とするパターン形成方法。

【公開番号】特開2010−256856(P2010−256856A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13681(P2010−13681)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】