成形体又は積層体への別部材の取付け方法、及びその別部材が取り付けられた別部材付き成形体又は別部材付き積層体
【課題】 成形体又は積層体に別部材を取り付ける方法、及びその別部材が取り付けられた別部材付き成形体又は別部材付き積層体を提供することである。
【解決手段】 樹脂材よりなり、対向配置される第1及び第2のシート材3、4の間に多数の凸部8がエンボス状に形成されたパネル材1の一方のシート材3、4に開口9、10を設ける。支持台14に設置したパネル材1における開口9を覆うように、底面部にキャビティ17が開放された成形型16を押圧する。成形型16のキャビティ17に射出した溶融樹脂を、開口9、10からパネル材1の第2空間部6に注入させて固化し、第2空間部6に抜止め状態で保持されるアンカー部15と一体にストライカ2を形成する。
【解決手段】 樹脂材よりなり、対向配置される第1及び第2のシート材3、4の間に多数の凸部8がエンボス状に形成されたパネル材1の一方のシート材3、4に開口9、10を設ける。支持台14に設置したパネル材1における開口9を覆うように、底面部にキャビティ17が開放された成形型16を押圧する。成形型16のキャビティ17に射出した溶融樹脂を、開口9、10からパネル材1の第2空間部6に注入させて固化し、第2空間部6に抜止め状態で保持されるアンカー部15と一体にストライカ2を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に空間部を有する成形体又は積層体へ別部材を取り付ける方法、及びその別部材が取り付けられた別部材付き成形体又は別部材付き積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図15に示されるように、一部の車両(例えば自動車)の後部にバックドア91が設けられている。このバックドア91の内側にバックドアパネル92が取り付けられる。バックドアパネル92を取り付ける従来の方法は、バックドアパネル92においてバックドア91の挿通孔93と対応する位置に設けられた貫通孔94に、別体のクリップ95を差し込み、これをバックドア91の挿通孔93に係止させている。この場合、バックドアパネル92とクリップ95の2部品が必要となってコストアップになるとともに、作業効率も良くなかった。
【0003】
上記の不具合を解消するため、例えば特許文献1に開示される技術が存する。
【0004】
ここで、バックドアパネル92を軽量化するために、「プラスチック段ボール」と称されるパネル材が使用されることがある(例えば特許文献2を参照)。特許文献1に開示される技術は、内装部品に形成したクリップ(クリップ95)を車体パネル(バックドア91)側の孔(挿通孔93)に取り付けるときの構造に関するものであり、クリップをどのようにして内装部品に形成するのか、或いはその内装部品がどのようなものであるかについての言及はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−80944号公報
【特許文献2】特開2008−307688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑み、成形体又は積層体に別部材を取り付ける方法、及びその別部材が取り付けられた別部材付き成形体又は別部材付き積層体を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための第1の発明は、
内部に空間部を有する成形体又は積層体へ別部材を取り付ける方法であって、
前記成形体又は積層体は少なくとも一方の表面から内部の空間部へ連通する1箇所ないし複数箇所の開口を有し、前記別部材は前記成形体又は積層体に設けられた前記開口に対応する部分に直接溶融樹脂を射出成形することにより形成されるとともに、前記溶融樹脂が前記開口を介して前記空間部の少なくとも一部分を埋めるように射出注入されることにより、前記成形体又は積層体に前記別部材を取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明に係る方法は上記したようであって、成形体又は積層体に設けられた開口に直接的に溶融樹脂を射出して別部材を形成する。このとき、射出された溶融樹脂が成形体又は積層体の空間部に進入し、その空間部の少なくとも一部分を埋める(これにより、アンカー部が形成される。)ことによって別部材が抜止め状態となって両者が一体化される。この結果、従来は成形体又は積層体と別部材の2部品を使用していたものが1部品で済むようになり、その成形体又は積層体を相手部材に取り付ける作業が容易になる。そして、成形体又は積層体の空間部の一部分に溶融樹脂を注入することにより、注入された溶融樹脂の熱や、固化する際の収縮により成形体又は積層体の表面に歪みが生じるのを軽減できる。
【0009】
前記成形体又は積層体における重力方向の下方から上方に向けて直接溶融樹脂を射出成形することにより前記別部材を形成してもよい。
【0010】
これにより、成形体又は積層体の空間部に流入する溶融樹脂がその開口の周縁部に堆積した状態で固化されるため、アンカー部を確実に形成できるとともに、溶融樹脂の射出量も少なくて済む。
【0011】
上記した課題を解決するための第2の発明は、
内部に空間部を有する成形体又は積層体へ別部材を取り付ける方法であって、
前記成形体又は積層体は少なくとも一方の表面から内部の空間部へ連通する1箇所ないし複数箇所の開口を有し、かつ前記別部材には前記成形体又は積層体に設けられた開口に対応する部分に貫通孔が設けられており、
当該別部材の貫通孔と前記成形体又は積層体の表面から空間部へ連通する開口とを通して、当該別部材の貫通孔部分と、前記成形体又は積層体の空間部の少なくとも一部分を埋めるように溶融樹脂を射出注入することにより、前記成形体又は積層体に前記別部材を取り付けることを特徴とする。
【0012】
第2の発明に係る方法は上記したようであって、成形体又は積層体に設けられた開口に、別途成形された別部材に設けられた貫通孔を介して射出された溶融樹脂が成形体又は積層体の空間部の少なくとも一部分を埋める(これにより、アンカー部が形成される。)ことによって別部材が抜止め状態となって両者が一体化される。この結果、従来は成形体又は積層体と別部材の2部品を使用していたものが1部品で済むようになり、その成形体又は積層体を相手部材に取り付ける作業が容易になる。
【0013】
前記溶融樹脂を、前記別部材と前記成形体又は積層体とにおける重力方向の下方から上方に向けて射出注入することにより、前記成形体又は積層体に前記別部材を取り付けてもよい。
【0014】
これにより、成形体又は積層体の空間部に流入する溶融樹脂がその開口の周縁部に堆積した状態で固化されるため、アンカー部を確実に形成できるとともに、溶融樹脂の射出量も少なくて済む。
【0015】
そして、第3の発明は、上記のいずれかの方法によって成形体又は積層体に別部材が取り付けられたことを特徴とする別部材付き成形体又は別部材付き積層体である。
【0016】
前記成形体又は積層体は、少なくとも表面層もしくは裏面層と空間部を挟んで対向するその他の層とを有し、この2つの層を繋ぐ壁部が前記空間部に形成された構造のものを含んでいる。
【0017】
そして、前記成形体又は積層体が、紙、樹脂、木材又は金属材、或いはそれらのいずれか2種以上の材質を組み合わせてなるものであってもよい。
【0018】
具体的には、少なくとも1組の対向するシート材が中間補強部材を介して該シート材間に空間部が生じる形態で結合されたプラスチック段ボールパネル材からなるパネル材と、
そのパネル材の少なくとも一方の前記シート材の外表面に形成された開口から前記パネル材の空間部内に該開口より広い面積に拡がり、該開口から外方へ離脱不能な樹脂基部と、その樹脂基部と一体に形成され、その樹脂基部から前記開口より外方へ突出する樹脂突出部とを含む、前記パネル材と一体的なパネル材付属樹脂部と、
を備える複合プラスチック段ボールパネル材とすることができる。
【0019】
この複合プラスチック段ボールパネル材において、
前記樹脂基部は、前記パネル材の少なくとも一方の前記シート材の外表面に形成された開口から前記パネル材の空間部内に、該開口より広い面積でかつ該空間部内における流動状態での樹脂の外延の移動が実質的に規制されない状態で固化した不定形の外延形態で拡がり、その不定形な外延を有する該樹脂基部が前記開口から外方へ離脱不能とされ、その樹脂基部と一体に前記樹脂突出部が形成されているようにできる。
【0020】
また、前記パネル材付属樹脂部における樹脂突出部には、当該複合プラスチック段ボールパネル材に対向する他の対象物に形成された孔、突起、枠又は環状部その他の被係止部に係止又は連結される係止部が形成され、その係止部により該複合プラスチック段ボールパネル材と該対象物とが固定又は連結されるようにすることができる。
【0021】
また、前記パネル材付属樹脂部における樹脂突出部は、前記複合プラスチック段ボールパネル材に対向する他の対象物に形成された孔又は環状部に進入した後に該進入側とは反対側の開口縁に係止される段付状又は爪状の係止部を、前記樹脂突出部の前記樹脂基部側の部位に備えるようにすることができる。
【0022】
また、前記樹脂突出部における前記係止部は、当該樹脂突出部の自身の突出方向と直角その他交差する方向において弾性変形可能な弾性爪部を備え、該樹脂突出部は前記対象物の被係止部への進入において該弾性爪部をいったん縮形させる斜面その他のカム面を有し、該弾性爪部がいったん縮形した後、弾性復帰することにより前記対象物の被係止部に係止されるようにすることができる。
【0023】
また、前記樹脂突出部における係止部としての弾性爪部は片持ち状に形成されて、前記樹脂基部側の端部が自由端部とされ、その弾性爪部の自由端部近傍には、その弾性爪部を前記縮形方向へ弾性変形させるために操作される係止解除操作部が、該自由端部近傍から交差する方向へ延びるように該弾性爪部と一体的に形成されているようにすることができる。
【0024】
また、前記複合プラスチック段ボールパネル材は、主に車両内部に組み込まれる車両内装用パネル材として利用でき、前記パネル材付属樹脂部の樹脂突出部に形成された係止部が、車両のバックドアに形成された被係止孔に挿入されて該車両内装パネル材がバックドアに固定されるものとすることができる。
【0025】
そして、少なくとも1組の対向するシート材が中間補強部材を介して該シート材間に空間部が生じる形態で結合されたプラスチック段ボールパネル材からなるパネル材の前記少なくとも一方の前記シート材の外表面に前記空間部に連通する開口が形成されたパネル材を準備するパネル材準備工程と、
前記パネル材の前記シート材に形成された前記開口及びその周囲のシート材面に対向する開放キャビティを有し、その開放キャビティと前記シート材面により画成されかつ前記開口を介して前記パネル材の空間部に連通する、パネル材付属樹脂部を成形するための樹脂部成形キャビティを生じさせる開放成形型の開放側を、前記シート材の開口を内包するようにその開口の周囲の前記シート材面に押し付ける成形型押圧工程と、
該開放成形型の前記樹脂部成形キャビティに流動可能な樹脂料を供給することにより、一方では流動樹脂を前記シート材の前記開口を経て前記パネル材の前記空間部へ進入させて該開口より広い面積に拡散させるとともに、他方では前記開放成形型の開放キャビティに充満させる樹脂供給工程と、
前記空間部内に前記開口より広い面積で入り込んだ流動樹脂を固化させることにより該開口から離脱不要な樹脂基部を形成し、前記開口の外側において前記開放キャビティに充満した流動樹脂を固化させることにより該樹脂基部に連続して前記開口より外側へ突出する樹脂突出部を形成する樹脂固化工程と、
前記開放成形型を前記シート材の開口及びその周囲から相対的に離間させるとともに、前記固化により生じた前記樹脂突出部を前記開放キャビティから離型させる離型工程と、
を含むことを特徴とするプラスチック段ボールパネル材と一体的なパネル材付属樹脂部を備えた複合プラスチック段ボールパネル材の製造方法である。
【0026】
そして、前記開放成形型の前記樹脂部成形キャビティに流動可能な樹脂料を供給することにより、一方では流動樹脂を前記シート材の前記開口を経て前記パネル材の前記空間部へ進入させて該開口より広い面積にかつ該空間部内における流動樹脂の外延の移動が実質的に規制されない不定形な状態で拡散させ、他方では前記流動樹脂を前記開放成形型の開放キャビティに充満させる樹脂供給工程と、
前記空間部内に前記開口より広い面積で入り込み前記不定形な状態で拡散した流動樹脂を固化させることにより該開口から離脱不要な不定形の樹脂基部を形成し、前記開口の外側において前記開放キャビティに充満した流動樹脂を固化させることにより前記樹脂基部に連続して前記開口より外側へ突出する定形の樹脂突出部を形成する樹脂固化工程と、
を含むこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ストライカ一体型パネル100の斜視図である。
【図2】(a)はパネル材1の一部分の斜視図、(b)は(a)のX−X線拡大断面図である。
【図3】(a)はストライカ一体型パネル100の正面断面図、(b)はストライカ一体型パネル100の製造方法を示す図である。
【図4】(a)、(b)はストライカ一体型パネル100の製造方法を示す図である。
【図5】(a)、(b)はストライカ一体型パネル100の別の製造方法を示す図である。
【図6】(a)は別体のストライカ21の斜視図、(b)はストライカ一体型パネル200の製造方法を示す図である。
【図7】(a)、(b)は第2実施例のストライカ一体型パネル200の製造方法を示す図である。
【図8】クリップ一体型パネル300の斜視図である。
【図9】(a)はクリップ一体型パネル300の正面図、(b)は同じく正面断面図である。
【図10】(a)はクリップ一体型パネル300の側面図、(b)は同じく平面図である。
【図11】(a)、(b)はクリップ一体型パネル300の作用説明図である。
【図12】(a)は重ねパネル400の正面断面図、(b)は重ねパネル400の製造方法を示す図である。
【図13】(a)は重ねパネル400の製造方法を示す図、(b)は別実施例の重ねパネル400の正面断面図である。
【図14】(a)〜(c)は各種形態の開口55を示す図である。
【図15】従来のバックドアパネル92をバックドア91に取り付ける状態の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1はストライカ一体型パネル100の斜視図、図2の(a)はパネル材1の一部分の斜視図、(b)は(a)のX−X線拡大断面図、図4及び図5はストライカ一体型パネル100の製造方法を示す図である。
【実施例1】
【0029】
第1実施例の「別部材付き積層体」であるストライカ一体型パネル100について説明する。図1に示されるように、本発明の実施例のストライカ一体型パネル100は、平板で積層形状のパネル材1(積層体)に樹脂よりなるストライカ2(別部材)が一体に固定されてなる。このストライカ一体型パネル100が車両のバックドアパネル92として使用されるものである場合、パネル材1の周縁部に複数個のストライカ2が、横方向及び縦方向にそれぞれ所定間隔をおいて設けられている。
【0030】
最初に、パネル材1について説明する。本実施例のパネル材1は樹脂(例えばポリプロピレン)よりなり、図2に示されるように、一定間隔をおいて対向配置される一対のシート材(上側の第1シート材3と下側の第2シート材4)と、それらの間に空間部(後述する第1空間部5と第2空間部6)を形成するように波状、格子状等の形で配置される中間補強部材7とを備えるものであり、「プラスチック段ボール」(略して「プラ段」)や「段ボールプラスチック」(略して「段プラ」)などと称されている。簡単に言えば、樹脂(プラスチック)で形成した段ボールである。
【0031】
本実施例のパネル材1の中間補強部材7は、薄い樹脂(例えばポリプロピレン)よりなる平板を、その厚み方向に多数の凸部8をエンボス状に突出させたものである。各凸部8はその天井部8aが閉塞された円筒形状であり、中間補強部材7の底板部7aと第1シート材3とで挟まれた部分に側面方向が開放された第1空間部5が形成されているとともに、凸部8と第2シート材4とによって囲まれた部分に密閉状態の第2空間部6が形成されている。各凸部8の周壁部(縦壁部)は高さ方向(パネル材1の厚み方向)に一定の剛性を有しているため、このパネル材1は厚み方向に一定の剛性を有していて、自重で折れ曲がったり、重量物を載せたときに各凸部8がつぶれてパネル材1の厚みが薄くなったりすることはない。また、第1シート材3及び/又は第2シート材4の表面(外面)に不織布等を貼り付けることによりその意匠性を向上させることができる。
【0032】
そして、第1シート材3と凸部8の天井部8aを貫通する開口9、10(第1シート材3の開口9と凸部8の天井部8aの開口10)が設けられ、これらの開口9によって外部と第2空間部6とが連通している。この実施例のパネル材1では、第1シート材3における隣接する凸部8の軸心の部分に、それぞれ円形の開口9が設けられている。これらの開口9の大きさ(内径)は、凸部8の内径よりも小さい。第1実施例のパネル材1では、外部と第2空間部6とを連通する形で開口9、10が設けられているが、後述するように第1空間部5と連通する形又は各空間部5、6の双方と連通する形で開口9、10を設けてもよい。また、開口の形状はいかなるものであってもよい。
【0033】
次に、ストライカ2について説明する。図1に示されるように、本実施例のストライカ2は樹脂材よりなり、平面視におけるベース材11のほぼ中央部に突起部が突出された形態である。突起部は、先端部(上端部)に近づくにつれて連続的に細くなる柱部12と、柱部12の先端部に連続して設けられ、該先端部よりも大きな水平断面を有し、その垂直断面が楕円形状で全体として紡錘形状を呈するストライカ部13とを備えている。このストライカ部13が相手部材の挿通孔(例えばバックドア91の挿通孔93)に挿通されることにより相手部材と連結する。相手部材の挿通孔には、図示しない固定機構が設けられていて、この固定機構によりストライカ2の抜止めが図られている。
【0034】
図3の(a)に示されるように、ストライカ一体型パネル100は、ストライカ2を形成する溶融樹脂が、パネル材1の第1シート材3の2箇所に設けられた開口9、10から第2空間部6に入り込んで固化することにより、ストライカ2をパネル材1の表面に固着した形態である。しかもこの溶融樹脂は、パネル材1の第2空間部6内で開口9、10の断面積以上に拡がって固化されていて、ベース材11とで第1シート材3及び凸部8の天井部8aを挟み込んでいる。これにより、ストライカ2がパネル材1から離脱することはない。パネル材1の第2空間部6に入り込んで固化した溶融樹脂は、ストライカ2を抜けなくするアンカーとしての機能を有しているため、以下この部分を「アンカー部15」と記載する。
【0035】
次に、ストライカ一体型パネル100の製造方法について説明する。ここで、パネル材1と一体にストライカ2を形成する製造方法として、パネル材1にストライカ2を直接的に射出成形する方法(第1実施例、第2実施例)と、予め形成したストライカ2を成形型にインサートしてアンカー部15を射出成形する方法(第3実施例)とがある。最初に、パネル材1にストライカ2を直接的に射出成形することによりストライカ一体型パネル100を製造する製造方法について説明する。
【0036】
図3の(b)に示されるように、支持台14にパネル材1が設置されている(パネル材準備工程)。パネル材1は、第1シート材3の開口9が設けられている側が上に向くように設置される。パネル材1の上方からストライカ2を成形するための成形型16が下降する。この成形型16には、ストライカ2を成形するためのキャビティ17が形成されているとともに、キャビティ17に溶融樹脂を射出するためのノズル18が設けられている。成形型16の底面(第1シート材3と対向する面)には、キャビティ17の開口面17aが設けられている。図4の(a)に示されるように、成形型16がパネル材1を押圧し、キャビティ17の開口面17aがパネル材1の2つの開口9を内包するように覆う(成形型押圧工程)。
【0037】
ノズル18から成形型16のキャビティ17に向かって溶融樹脂が射出される(樹脂供給工程)。この溶融樹脂は例えばポリアセタールであり、キャビティ17に充填されるとともに、キャビティ17の開口面17aから開口9、10を通って第2空間部6に注入される。溶融樹脂は、その外延の移動が実質的に規制されない不定形の外延形状で第2空間部6内を拡がりながら流動する。このため、溶融樹脂は開口9、10よりも大きな面積となって固化されて第2空間部6の一部分を占有し、アンカー部15を形成する(樹脂固化工程)。このアンカー部15がパネル材1の開口周縁部9aと凸部8の開口周縁部10aに引っ掛かるため、アンカー部15の抜止めが図られ、パネル材1とストライカ2とが強固に固着され、両者が分離するおそれはない。
【0038】
ここで、ストライカ2及びアンカー部15を形成する樹脂材とパネル材1の第1シート材3を構成する樹脂材との組合せが、それらの相溶性に関して良好なものである場合、ストライカ2及びアンカー部15とパネル材1の第1シート材3とが互いに固着する。これにより、ストライカ2はいっそう強固にパネル材1に固着される。そして、溶融樹脂とパネル材1の第1シート材3を構成する樹脂材との組合せが、それらの相溶性に関して良好なものでない場合(例えば、ポリアセタールとポリプロピレンとの組合せ)であっても、本実施例のストライカ一体型パネル100の場合、ストライカ2のベース材11とアンカー部15とが、第1シート材3及び凸部8とを挟み込んでいるため、ストライカ2ががたつくおそれはない。
【0039】
成形型16のキャビティ17に射出された溶融樹脂と、パネル材1の第2空間部6に注入された溶融樹脂が固化すると、図4の(b)に示されるように、成形型16が上昇し、ストライカ2が離型される(離型工程)。
【0040】
上記した第1実施例のストライカ一体型パネル100は、上方から下降した成形型16がパネル材1を押圧して溶融樹脂を射出することによって製造される。このストライカ一体型パネル200を、成形型16を下方から上昇させてパネル材1を押圧し、重力方向の下方から溶融樹脂を射出して製造してもよい。次に、その製造方法について説明する。図5の(a)に示されるように、パネル材1は、その第2シート材4が上側となり、第1シート材3の開口9を下側に向けて支持台14に設置される。また、パネル材1の上面は、押え板19によって押さえられる。
【0041】
図5の(b)に示されるように、成形型16がパネル材1を下方から押圧し、ノズル18からキャビティ17及びパネル材1の第2空間部6に溶融樹脂を射出注入する。成形型16のキャビティ17に射出された溶融樹脂は、自重に抗してキャビティ17に充填される。そして、第1シート材3の開口9及び凸部8の開口10を介してパネル材1の第2空間部6に流入する。第2空間部6に流入した溶融樹脂は、自重により凸部8の開口10の周縁部10aに堆積した状態で固化されるため、パネル材1とアンカー部15との密着度合いが高くなり、ストライカ2ががたつくおそれが小さくなる。また、溶融樹脂の射出量も少なくて済む。
【実施例2】
【0042】
次に、第2実施例の「別部材付き積層体」であるストライカ一体型パネル200について説明する。上記した第1実施例のストライカ一体型パネル100は、パネル材1にストライカ2を直接的に成形することによって製造される。これに対して、第2実施例のストライカ一体型パネル200は、別体のストライカ21をパネル材1に固着することによって製造される。図6の(a)に示されるように、別体のストライカ21は前述したストライカ一体型パネル100におけるストライカ2と同形状のものであり、ベース材11に2つの貫通孔22が設けられている。
【0043】
図6の(b)に示されるように、支持台14にパネル材1が、第1シート材3の開口9を上側に向けて設置されている。ストライカ21がインサートされた成形型23が下降し、支持台14に設置されたパネル材1の上面を押圧する。成形型23には、ストライカ21のベース材11の貫通孔22と対応する位置に各ノズル24が設けられている。
【0044】
図7の(a)に示されるように、成形型23に設けられた各ノズル24から溶融樹脂が射出される。射出された溶融樹脂は、ストライカ21のベース材11の貫通孔22からパネル材1の第1シート材3の開口9及び凸部8の開口10を通り、第2空間部6に流入する。そして、貫通孔22の部分を樹脂で充填するとともに、第2空間部6内でその溶融樹脂の外延が実質的に規制されない不定形な形で拡がってアンカー部25を形成する。このアンカー部25が開口9、10よりも大きな断面積を有するため、ストライカ21とパネル材1とが一体に固着される。図7の(b)に示されるように、所定時間経過後に成形型23が上昇して離型され、ストライカ21を一体に固着したストライカ一体型パネル200が形成される。
【0045】
ストライカ21のベース部材11の各貫通孔22を、上面部の内径よりも底面部の内径が小さくなるような断面逆テーパ形状とすることが望ましい。これにより、射出された溶融樹脂が固化されたときのストライカ21の抜止め効果が、いっそう確実に発揮される。
【0046】
前述した第1実施例のストライカ一体型パネル100のように、重力方向の下方から溶融樹脂を射出することによって、ストライカ一体型パネル200を製造することもできる。
【実施例3】
【0047】
上記した第1及び第2実施例の「別部材付き積層体」は、ストライカ2、21を一体に形成したストライカ一体型パネル100、200である。しかし、「別部材」がストライカ2、21ではなく、クリップ26であるクリップ一体型パネル300であってもよい。次に、クリップ一体型パネル300について説明する。
【0048】
図8ないし図10に示されるように、本実施例のクリップ一体型パネル300を構成するクリップ26は、パネル材1の第1シート材3から厚み方向に突出し、パネル材1と一体(少なくともパネル材1から分離不能)に取り付けられている。クリップ26の本体部27は略円筒形状で、その先端部27aは本体部27から連続的に細くなる先細り形状を呈している。本体部27の下端部には、本体部27の外径よりも大きな外径を有する円板形状の座部28が設けられている。この座部28がパネル材1の第1シート材3に当接しているため、クリップ26のすわり(装着姿勢)が良好になって傾きにくくなり、クリップ26を相手部材(例えば車両のバックドア91の挿通孔93)に挿入させるときの作業が容易になる。
【0049】
本体部27の軸線29の部分には、本体部27の頂上部分から座部28にまで達する通し穴31が設けられている。また、本体部27の側面部には、本体部27の外周面から軸直角方向に突出する爪部32が設けられているとともに、作業者が爪部32を軸線29に接近させるように押し込むための操作突起部33が、爪部32と連続して設けられている。爪部32は、その基端部34のみがクリップ26の本体部27と連結されていて、基端部34を除く爪部32と操作突起部33の側面部には抜き溝部35が設けられ、操作突起部33の底面部には抜き穴部36が設けられている。これにより、爪部32と操作突起部33は、爪部32の基端部34を支点として矢印37の方向に回動自在である。
【0050】
爪部32の頂部38は、クリップ26の本体部27の外周面から所定長さeだけ軸直角方向に突出していて、基端部34と頂部38とは本体部27の軸線29に対して緩やかな角度(例えば約15度)を有する第1傾斜面39で接続されている。また、爪部32の頂部38と操作突起部33とは、本体部27の軸線29に対して急な角度(例えば約45度)を有する第2傾斜面40で接続されていて、爪部32と操作突起部33との接続部41における外径D1は、本体部27の外径D2とほぼ等しい。
【0051】
そして、操作突起部33の直下における座部28の部分は切除されていて、操作突起部33とパネル材1の第1シート材3との間に隙間42が形成されている。この隙間43は抜き穴部36を介して、本体部27に設けられた通し穴31と連通している。なお、図8において座部28の切除部分を符号28aで示す。
【0052】
図9の(b)に示されるように、このクリップ26は、パネル材1の第1シート材3に設けられ、パネル材1の第1空間部5と連通する開口43を介してパネル材1の第1空間部5に射出注入された溶融樹脂が第1シート材3の開口43よりも大きな断面積を有する状態で固化することにより、パネル材1の開口43から抜止め状態となり、パネル材1と一体に形成される。即ち、第1空間部5に射出注入された溶融樹脂は、第1空間部5が側面方向に開放されているためにその溶融樹脂の外延が実質的に規制されない不定形な形で拡がり、そのまま固化される。このため、固化状態の樹脂の外延は、開口43よりも大きなアンカー部44となり、開口43から離脱不能となる(アンカー効果)。
【0053】
また、第1シート材3の開口43の直上部分には、開口43よりも大きな断面積を有するフランジ部45が形成されている。このフランジ部45とアンカー部44とが、パネル材1の第1シート材3における開口43の周縁部43aを挟み込む。これにより、クリップ26が軸方向にがたつくおそれが少なくなる。
【0054】
第3実施例のクリップ一体型パネル300は、第1及び第2実施例のストライカ一体型パネル100、200と同様の製造方法によって製造される。即ち、成形型を重力方向の上方から下降させる製造方法、同じく下方から上昇させる方法、別体のクリップを成形型にインサートして成形する製造方法のいずれであっても可能である。
【0055】
第3実施例のクリップ一体型パネル300の作用について説明する。図11の(a)に示されるように、本実施例のクリップ一体型パネル300が取り付けられるバックドア91には、予め挿通孔93が設けられている。挿通孔93の内径D3は、クリップ26の本体部27の外径D2よりも少し大きい(D3>D2)。作業者は、クリップ26の本体部27の先端部11aをバックドア91の挿通孔93に挿入する。クリップ26の本体部27の先端部27aが先細形状となっているため、クリップ26を挿入させる作業が容易である。クリップ26の本体部27をバックドア91の挿通孔93に挿入すると、爪部32の第1傾斜面39が挿通孔93の内周縁に当接する。このままクリップ26の本体部27を挿入すると、爪部32がその基端部34を支点として矢印の方向(軸線29に接近する方向)に押し込まれる(弾性変形)。更にクリップ26の本体部27を挿入し、爪部32の頂部38がバックドア91の挿通孔93を通過すると、爪部32の第2傾斜面40が挿通挿通孔93の内周縁に当接する。これにより、爪部32はその基端部34を支点として矢印の反対方向(軸線29から離隔する方向)に戻される(弾性復帰)。そして、図11の(b)に示されるように、バックドア91の挿通孔93は、爪部32と操作突起部33との間の接続部42に配置される。この状態で、バックドア91の挿通孔93は、爪部32と操作突起部33とで挟み込まれ、軸方向のいずれにも移動不能に保持される。
【0056】
クリップ26の本体部27がバックドア91の挿通孔93に挿通されることによってバックドア91に取り付けられたクリップ一体型パネル300を該バックドア91から取り外すためには、作業者が指で操作突起部33を軸線29に接近する方向に押し込み、爪部32を弾性変形させる。このため、図1及び図11の(b)に示されるように、パネル材1において操作突起部33と対応する部分には、作業者が指Fを入り込ませるための切欠き部46が設けられている。作業者は、この切欠き部46に指Fを入れて操作突起部33を軸線29に接近する方向に押し込み、爪部32をその基端部34を支点として回動させる(弾性変形)。これにより、爪部32の頂部38がバックドア91の挿通孔93の内周縁よりも内方に配置されるので、バックドア91の挿通孔93からクリップ26の本体部27をそのまま抜き取ることができる。
【実施例4】
【0057】
次に、第4実施例の「別部材付き積層体」である重ねパネル400について説明する。図12の(a)に示されるように、重ねパネル400は、2段に重ねたパネル材1、47を溶融樹脂で連結して固着したものである。重ねパネル400の製造方法について説明する。
【0058】
図12の(b)に示されるように、支持台14に設置されたパネル材1の上面に別のパネル材47が設置される。下側のパネル材1の第1シート材3には、第1空間部5と連通する開口43が設けられている。また、上側のパネル材47には、第1空間部5を貫通する上下の開口48、49が設けられている。パネル材1の開口43とパネル材47の上下の開口48、49がほぼ同軸上に配置されるように両パネル材1、47が重ねられて設置される。
【0059】
上方から成形型51が下降し、パネル材47の上面(第1シート材3)を押圧する。図13の(a)に示されるように、ノズル52から射出された溶融樹脂は、上側のパネル材47の上側開口48から第1空間部5に進入する。この溶融樹脂は、上側のパネル材47の第1空間部5を充填した後、上側のパネル材47の下側開口49及び下側のパネル材1の開口43から、下側のパネル材1の第1空間部5に進入し、第1空間部5内でその溶融樹脂の外延が実質的に規制されない不定形な形で拡がってアンカー部53を形成する。このアンカー部53は、下側のパネル材1の開口43よりも大きな断面積を有する。また、上側のパネル材47の上側開口48の上部に、該開口48よりも大きな断面積でフランジ部54が形成される。これにより、2枚のパネル材1、47が一体に固着される。
【0060】
なお、図13の(b)に示されるように、上側のパネル材47の第1空間部5に充填される溶融樹脂が第1空間部5の一部を覆うもので、フランジ部54が形成されないものであってもよい。この場合、上側パネル47の第1シート材3の上面がフラットになるという利点がある。
【0061】
上記した第3実施例のクリップ一体型パネル300及び第4実施例の重ねパネル400において、パネル材1、47に設けられた開口43、48、49は、第1シート材3における凸部8どうしの間に設けられていて、外部と第1空間部5とを連通する形態のものである。しかし、図14の(a)に示されるように、複数の開口55が設けられていてもよい。また、図14の(b)に示されるように、これらの開口55が四角形で、かつ第2空間部6と連通する形態のもの、更に図14の(c)に示されるように、三角形の開口55が外部と第1及び第2の空間部5、6と連通する形態のものであってもよい。このため、パネル材1においてアンカー部15、25、44、53が形成される部分は、第1及び第2の空間部5、6のいずれか一方であっても、両方であってもよい。また、開口55の形状は、不定形なものであってもよい。
【0062】
上記した各実施例の「別部材付き積層体」では、パネル材1、47が、対向配置される2枚のシート材3、4の間に中間補強部材7を積層して設けられた形態(積層体)のものである場合について説明した。しかし、パネル材1、47が積層体でなくてもよい。例えば、樹脂材よりなるシート状のもの(成形体)であってもよい。また、3層以上に積層されたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の「別部材付き積層体」であるストライカ一体型パネル100、200又はクリップ一体型パネル300は、車両のバックドアに取り付けられるバックドアパネル、サイドパネル、天井パネルやトランクボード、ラゲージボード等に利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
100、200 ストライカ一体型パネル材(別部材付き成形体、別部材付き積層体、複合プラスチック段ボールパネル材)
300 クリップ一体型パネル材(別部材付き成形体、別部材付き積層体、複合プラスチック段ボールパネル材)
400 重ねパネル(別部材付き成形体、別部材付き積層体、複合プラスチック段ボールパネル材)
1、47 パネル材(積層体)
2、21 ストライカ(別部材、樹脂突出部、パネル材付属樹脂部)
3 第1シート材(シート材)
4 第2シート材(シート材)
5 第1空間部(空間部)
6 第2空間部(空間部)
7 中間補強部材
9、10、43、48、49、55 開口
15、25、44、53 アンカー部(樹脂基部)
26 クリップ(別部材、樹脂突出部、パネル材付属樹脂部)
27 本体部(樹脂突出部)
31 通し穴(貫通孔)
32 爪部(係止部)
91 バックドア(対象物)
93 挿通孔(被係止部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に空間部を有する成形体又は積層体へ別部材を取り付ける方法、及びその別部材が取り付けられた別部材付き成形体又は別部材付き積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図15に示されるように、一部の車両(例えば自動車)の後部にバックドア91が設けられている。このバックドア91の内側にバックドアパネル92が取り付けられる。バックドアパネル92を取り付ける従来の方法は、バックドアパネル92においてバックドア91の挿通孔93と対応する位置に設けられた貫通孔94に、別体のクリップ95を差し込み、これをバックドア91の挿通孔93に係止させている。この場合、バックドアパネル92とクリップ95の2部品が必要となってコストアップになるとともに、作業効率も良くなかった。
【0003】
上記の不具合を解消するため、例えば特許文献1に開示される技術が存する。
【0004】
ここで、バックドアパネル92を軽量化するために、「プラスチック段ボール」と称されるパネル材が使用されることがある(例えば特許文献2を参照)。特許文献1に開示される技術は、内装部品に形成したクリップ(クリップ95)を車体パネル(バックドア91)側の孔(挿通孔93)に取り付けるときの構造に関するものであり、クリップをどのようにして内装部品に形成するのか、或いはその内装部品がどのようなものであるかについての言及はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−80944号公報
【特許文献2】特開2008−307688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑み、成形体又は積層体に別部材を取り付ける方法、及びその別部材が取り付けられた別部材付き成形体又は別部材付き積層体を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための第1の発明は、
内部に空間部を有する成形体又は積層体へ別部材を取り付ける方法であって、
前記成形体又は積層体は少なくとも一方の表面から内部の空間部へ連通する1箇所ないし複数箇所の開口を有し、前記別部材は前記成形体又は積層体に設けられた前記開口に対応する部分に直接溶融樹脂を射出成形することにより形成されるとともに、前記溶融樹脂が前記開口を介して前記空間部の少なくとも一部分を埋めるように射出注入されることにより、前記成形体又は積層体に前記別部材を取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明に係る方法は上記したようであって、成形体又は積層体に設けられた開口に直接的に溶融樹脂を射出して別部材を形成する。このとき、射出された溶融樹脂が成形体又は積層体の空間部に進入し、その空間部の少なくとも一部分を埋める(これにより、アンカー部が形成される。)ことによって別部材が抜止め状態となって両者が一体化される。この結果、従来は成形体又は積層体と別部材の2部品を使用していたものが1部品で済むようになり、その成形体又は積層体を相手部材に取り付ける作業が容易になる。そして、成形体又は積層体の空間部の一部分に溶融樹脂を注入することにより、注入された溶融樹脂の熱や、固化する際の収縮により成形体又は積層体の表面に歪みが生じるのを軽減できる。
【0009】
前記成形体又は積層体における重力方向の下方から上方に向けて直接溶融樹脂を射出成形することにより前記別部材を形成してもよい。
【0010】
これにより、成形体又は積層体の空間部に流入する溶融樹脂がその開口の周縁部に堆積した状態で固化されるため、アンカー部を確実に形成できるとともに、溶融樹脂の射出量も少なくて済む。
【0011】
上記した課題を解決するための第2の発明は、
内部に空間部を有する成形体又は積層体へ別部材を取り付ける方法であって、
前記成形体又は積層体は少なくとも一方の表面から内部の空間部へ連通する1箇所ないし複数箇所の開口を有し、かつ前記別部材には前記成形体又は積層体に設けられた開口に対応する部分に貫通孔が設けられており、
当該別部材の貫通孔と前記成形体又は積層体の表面から空間部へ連通する開口とを通して、当該別部材の貫通孔部分と、前記成形体又は積層体の空間部の少なくとも一部分を埋めるように溶融樹脂を射出注入することにより、前記成形体又は積層体に前記別部材を取り付けることを特徴とする。
【0012】
第2の発明に係る方法は上記したようであって、成形体又は積層体に設けられた開口に、別途成形された別部材に設けられた貫通孔を介して射出された溶融樹脂が成形体又は積層体の空間部の少なくとも一部分を埋める(これにより、アンカー部が形成される。)ことによって別部材が抜止め状態となって両者が一体化される。この結果、従来は成形体又は積層体と別部材の2部品を使用していたものが1部品で済むようになり、その成形体又は積層体を相手部材に取り付ける作業が容易になる。
【0013】
前記溶融樹脂を、前記別部材と前記成形体又は積層体とにおける重力方向の下方から上方に向けて射出注入することにより、前記成形体又は積層体に前記別部材を取り付けてもよい。
【0014】
これにより、成形体又は積層体の空間部に流入する溶融樹脂がその開口の周縁部に堆積した状態で固化されるため、アンカー部を確実に形成できるとともに、溶融樹脂の射出量も少なくて済む。
【0015】
そして、第3の発明は、上記のいずれかの方法によって成形体又は積層体に別部材が取り付けられたことを特徴とする別部材付き成形体又は別部材付き積層体である。
【0016】
前記成形体又は積層体は、少なくとも表面層もしくは裏面層と空間部を挟んで対向するその他の層とを有し、この2つの層を繋ぐ壁部が前記空間部に形成された構造のものを含んでいる。
【0017】
そして、前記成形体又は積層体が、紙、樹脂、木材又は金属材、或いはそれらのいずれか2種以上の材質を組み合わせてなるものであってもよい。
【0018】
具体的には、少なくとも1組の対向するシート材が中間補強部材を介して該シート材間に空間部が生じる形態で結合されたプラスチック段ボールパネル材からなるパネル材と、
そのパネル材の少なくとも一方の前記シート材の外表面に形成された開口から前記パネル材の空間部内に該開口より広い面積に拡がり、該開口から外方へ離脱不能な樹脂基部と、その樹脂基部と一体に形成され、その樹脂基部から前記開口より外方へ突出する樹脂突出部とを含む、前記パネル材と一体的なパネル材付属樹脂部と、
を備える複合プラスチック段ボールパネル材とすることができる。
【0019】
この複合プラスチック段ボールパネル材において、
前記樹脂基部は、前記パネル材の少なくとも一方の前記シート材の外表面に形成された開口から前記パネル材の空間部内に、該開口より広い面積でかつ該空間部内における流動状態での樹脂の外延の移動が実質的に規制されない状態で固化した不定形の外延形態で拡がり、その不定形な外延を有する該樹脂基部が前記開口から外方へ離脱不能とされ、その樹脂基部と一体に前記樹脂突出部が形成されているようにできる。
【0020】
また、前記パネル材付属樹脂部における樹脂突出部には、当該複合プラスチック段ボールパネル材に対向する他の対象物に形成された孔、突起、枠又は環状部その他の被係止部に係止又は連結される係止部が形成され、その係止部により該複合プラスチック段ボールパネル材と該対象物とが固定又は連結されるようにすることができる。
【0021】
また、前記パネル材付属樹脂部における樹脂突出部は、前記複合プラスチック段ボールパネル材に対向する他の対象物に形成された孔又は環状部に進入した後に該進入側とは反対側の開口縁に係止される段付状又は爪状の係止部を、前記樹脂突出部の前記樹脂基部側の部位に備えるようにすることができる。
【0022】
また、前記樹脂突出部における前記係止部は、当該樹脂突出部の自身の突出方向と直角その他交差する方向において弾性変形可能な弾性爪部を備え、該樹脂突出部は前記対象物の被係止部への進入において該弾性爪部をいったん縮形させる斜面その他のカム面を有し、該弾性爪部がいったん縮形した後、弾性復帰することにより前記対象物の被係止部に係止されるようにすることができる。
【0023】
また、前記樹脂突出部における係止部としての弾性爪部は片持ち状に形成されて、前記樹脂基部側の端部が自由端部とされ、その弾性爪部の自由端部近傍には、その弾性爪部を前記縮形方向へ弾性変形させるために操作される係止解除操作部が、該自由端部近傍から交差する方向へ延びるように該弾性爪部と一体的に形成されているようにすることができる。
【0024】
また、前記複合プラスチック段ボールパネル材は、主に車両内部に組み込まれる車両内装用パネル材として利用でき、前記パネル材付属樹脂部の樹脂突出部に形成された係止部が、車両のバックドアに形成された被係止孔に挿入されて該車両内装パネル材がバックドアに固定されるものとすることができる。
【0025】
そして、少なくとも1組の対向するシート材が中間補強部材を介して該シート材間に空間部が生じる形態で結合されたプラスチック段ボールパネル材からなるパネル材の前記少なくとも一方の前記シート材の外表面に前記空間部に連通する開口が形成されたパネル材を準備するパネル材準備工程と、
前記パネル材の前記シート材に形成された前記開口及びその周囲のシート材面に対向する開放キャビティを有し、その開放キャビティと前記シート材面により画成されかつ前記開口を介して前記パネル材の空間部に連通する、パネル材付属樹脂部を成形するための樹脂部成形キャビティを生じさせる開放成形型の開放側を、前記シート材の開口を内包するようにその開口の周囲の前記シート材面に押し付ける成形型押圧工程と、
該開放成形型の前記樹脂部成形キャビティに流動可能な樹脂料を供給することにより、一方では流動樹脂を前記シート材の前記開口を経て前記パネル材の前記空間部へ進入させて該開口より広い面積に拡散させるとともに、他方では前記開放成形型の開放キャビティに充満させる樹脂供給工程と、
前記空間部内に前記開口より広い面積で入り込んだ流動樹脂を固化させることにより該開口から離脱不要な樹脂基部を形成し、前記開口の外側において前記開放キャビティに充満した流動樹脂を固化させることにより該樹脂基部に連続して前記開口より外側へ突出する樹脂突出部を形成する樹脂固化工程と、
前記開放成形型を前記シート材の開口及びその周囲から相対的に離間させるとともに、前記固化により生じた前記樹脂突出部を前記開放キャビティから離型させる離型工程と、
を含むことを特徴とするプラスチック段ボールパネル材と一体的なパネル材付属樹脂部を備えた複合プラスチック段ボールパネル材の製造方法である。
【0026】
そして、前記開放成形型の前記樹脂部成形キャビティに流動可能な樹脂料を供給することにより、一方では流動樹脂を前記シート材の前記開口を経て前記パネル材の前記空間部へ進入させて該開口より広い面積にかつ該空間部内における流動樹脂の外延の移動が実質的に規制されない不定形な状態で拡散させ、他方では前記流動樹脂を前記開放成形型の開放キャビティに充満させる樹脂供給工程と、
前記空間部内に前記開口より広い面積で入り込み前記不定形な状態で拡散した流動樹脂を固化させることにより該開口から離脱不要な不定形の樹脂基部を形成し、前記開口の外側において前記開放キャビティに充満した流動樹脂を固化させることにより前記樹脂基部に連続して前記開口より外側へ突出する定形の樹脂突出部を形成する樹脂固化工程と、
を含むこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ストライカ一体型パネル100の斜視図である。
【図2】(a)はパネル材1の一部分の斜視図、(b)は(a)のX−X線拡大断面図である。
【図3】(a)はストライカ一体型パネル100の正面断面図、(b)はストライカ一体型パネル100の製造方法を示す図である。
【図4】(a)、(b)はストライカ一体型パネル100の製造方法を示す図である。
【図5】(a)、(b)はストライカ一体型パネル100の別の製造方法を示す図である。
【図6】(a)は別体のストライカ21の斜視図、(b)はストライカ一体型パネル200の製造方法を示す図である。
【図7】(a)、(b)は第2実施例のストライカ一体型パネル200の製造方法を示す図である。
【図8】クリップ一体型パネル300の斜視図である。
【図9】(a)はクリップ一体型パネル300の正面図、(b)は同じく正面断面図である。
【図10】(a)はクリップ一体型パネル300の側面図、(b)は同じく平面図である。
【図11】(a)、(b)はクリップ一体型パネル300の作用説明図である。
【図12】(a)は重ねパネル400の正面断面図、(b)は重ねパネル400の製造方法を示す図である。
【図13】(a)は重ねパネル400の製造方法を示す図、(b)は別実施例の重ねパネル400の正面断面図である。
【図14】(a)〜(c)は各種形態の開口55を示す図である。
【図15】従来のバックドアパネル92をバックドア91に取り付ける状態の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1はストライカ一体型パネル100の斜視図、図2の(a)はパネル材1の一部分の斜視図、(b)は(a)のX−X線拡大断面図、図4及び図5はストライカ一体型パネル100の製造方法を示す図である。
【実施例1】
【0029】
第1実施例の「別部材付き積層体」であるストライカ一体型パネル100について説明する。図1に示されるように、本発明の実施例のストライカ一体型パネル100は、平板で積層形状のパネル材1(積層体)に樹脂よりなるストライカ2(別部材)が一体に固定されてなる。このストライカ一体型パネル100が車両のバックドアパネル92として使用されるものである場合、パネル材1の周縁部に複数個のストライカ2が、横方向及び縦方向にそれぞれ所定間隔をおいて設けられている。
【0030】
最初に、パネル材1について説明する。本実施例のパネル材1は樹脂(例えばポリプロピレン)よりなり、図2に示されるように、一定間隔をおいて対向配置される一対のシート材(上側の第1シート材3と下側の第2シート材4)と、それらの間に空間部(後述する第1空間部5と第2空間部6)を形成するように波状、格子状等の形で配置される中間補強部材7とを備えるものであり、「プラスチック段ボール」(略して「プラ段」)や「段ボールプラスチック」(略して「段プラ」)などと称されている。簡単に言えば、樹脂(プラスチック)で形成した段ボールである。
【0031】
本実施例のパネル材1の中間補強部材7は、薄い樹脂(例えばポリプロピレン)よりなる平板を、その厚み方向に多数の凸部8をエンボス状に突出させたものである。各凸部8はその天井部8aが閉塞された円筒形状であり、中間補強部材7の底板部7aと第1シート材3とで挟まれた部分に側面方向が開放された第1空間部5が形成されているとともに、凸部8と第2シート材4とによって囲まれた部分に密閉状態の第2空間部6が形成されている。各凸部8の周壁部(縦壁部)は高さ方向(パネル材1の厚み方向)に一定の剛性を有しているため、このパネル材1は厚み方向に一定の剛性を有していて、自重で折れ曲がったり、重量物を載せたときに各凸部8がつぶれてパネル材1の厚みが薄くなったりすることはない。また、第1シート材3及び/又は第2シート材4の表面(外面)に不織布等を貼り付けることによりその意匠性を向上させることができる。
【0032】
そして、第1シート材3と凸部8の天井部8aを貫通する開口9、10(第1シート材3の開口9と凸部8の天井部8aの開口10)が設けられ、これらの開口9によって外部と第2空間部6とが連通している。この実施例のパネル材1では、第1シート材3における隣接する凸部8の軸心の部分に、それぞれ円形の開口9が設けられている。これらの開口9の大きさ(内径)は、凸部8の内径よりも小さい。第1実施例のパネル材1では、外部と第2空間部6とを連通する形で開口9、10が設けられているが、後述するように第1空間部5と連通する形又は各空間部5、6の双方と連通する形で開口9、10を設けてもよい。また、開口の形状はいかなるものであってもよい。
【0033】
次に、ストライカ2について説明する。図1に示されるように、本実施例のストライカ2は樹脂材よりなり、平面視におけるベース材11のほぼ中央部に突起部が突出された形態である。突起部は、先端部(上端部)に近づくにつれて連続的に細くなる柱部12と、柱部12の先端部に連続して設けられ、該先端部よりも大きな水平断面を有し、その垂直断面が楕円形状で全体として紡錘形状を呈するストライカ部13とを備えている。このストライカ部13が相手部材の挿通孔(例えばバックドア91の挿通孔93)に挿通されることにより相手部材と連結する。相手部材の挿通孔には、図示しない固定機構が設けられていて、この固定機構によりストライカ2の抜止めが図られている。
【0034】
図3の(a)に示されるように、ストライカ一体型パネル100は、ストライカ2を形成する溶融樹脂が、パネル材1の第1シート材3の2箇所に設けられた開口9、10から第2空間部6に入り込んで固化することにより、ストライカ2をパネル材1の表面に固着した形態である。しかもこの溶融樹脂は、パネル材1の第2空間部6内で開口9、10の断面積以上に拡がって固化されていて、ベース材11とで第1シート材3及び凸部8の天井部8aを挟み込んでいる。これにより、ストライカ2がパネル材1から離脱することはない。パネル材1の第2空間部6に入り込んで固化した溶融樹脂は、ストライカ2を抜けなくするアンカーとしての機能を有しているため、以下この部分を「アンカー部15」と記載する。
【0035】
次に、ストライカ一体型パネル100の製造方法について説明する。ここで、パネル材1と一体にストライカ2を形成する製造方法として、パネル材1にストライカ2を直接的に射出成形する方法(第1実施例、第2実施例)と、予め形成したストライカ2を成形型にインサートしてアンカー部15を射出成形する方法(第3実施例)とがある。最初に、パネル材1にストライカ2を直接的に射出成形することによりストライカ一体型パネル100を製造する製造方法について説明する。
【0036】
図3の(b)に示されるように、支持台14にパネル材1が設置されている(パネル材準備工程)。パネル材1は、第1シート材3の開口9が設けられている側が上に向くように設置される。パネル材1の上方からストライカ2を成形するための成形型16が下降する。この成形型16には、ストライカ2を成形するためのキャビティ17が形成されているとともに、キャビティ17に溶融樹脂を射出するためのノズル18が設けられている。成形型16の底面(第1シート材3と対向する面)には、キャビティ17の開口面17aが設けられている。図4の(a)に示されるように、成形型16がパネル材1を押圧し、キャビティ17の開口面17aがパネル材1の2つの開口9を内包するように覆う(成形型押圧工程)。
【0037】
ノズル18から成形型16のキャビティ17に向かって溶融樹脂が射出される(樹脂供給工程)。この溶融樹脂は例えばポリアセタールであり、キャビティ17に充填されるとともに、キャビティ17の開口面17aから開口9、10を通って第2空間部6に注入される。溶融樹脂は、その外延の移動が実質的に規制されない不定形の外延形状で第2空間部6内を拡がりながら流動する。このため、溶融樹脂は開口9、10よりも大きな面積となって固化されて第2空間部6の一部分を占有し、アンカー部15を形成する(樹脂固化工程)。このアンカー部15がパネル材1の開口周縁部9aと凸部8の開口周縁部10aに引っ掛かるため、アンカー部15の抜止めが図られ、パネル材1とストライカ2とが強固に固着され、両者が分離するおそれはない。
【0038】
ここで、ストライカ2及びアンカー部15を形成する樹脂材とパネル材1の第1シート材3を構成する樹脂材との組合せが、それらの相溶性に関して良好なものである場合、ストライカ2及びアンカー部15とパネル材1の第1シート材3とが互いに固着する。これにより、ストライカ2はいっそう強固にパネル材1に固着される。そして、溶融樹脂とパネル材1の第1シート材3を構成する樹脂材との組合せが、それらの相溶性に関して良好なものでない場合(例えば、ポリアセタールとポリプロピレンとの組合せ)であっても、本実施例のストライカ一体型パネル100の場合、ストライカ2のベース材11とアンカー部15とが、第1シート材3及び凸部8とを挟み込んでいるため、ストライカ2ががたつくおそれはない。
【0039】
成形型16のキャビティ17に射出された溶融樹脂と、パネル材1の第2空間部6に注入された溶融樹脂が固化すると、図4の(b)に示されるように、成形型16が上昇し、ストライカ2が離型される(離型工程)。
【0040】
上記した第1実施例のストライカ一体型パネル100は、上方から下降した成形型16がパネル材1を押圧して溶融樹脂を射出することによって製造される。このストライカ一体型パネル200を、成形型16を下方から上昇させてパネル材1を押圧し、重力方向の下方から溶融樹脂を射出して製造してもよい。次に、その製造方法について説明する。図5の(a)に示されるように、パネル材1は、その第2シート材4が上側となり、第1シート材3の開口9を下側に向けて支持台14に設置される。また、パネル材1の上面は、押え板19によって押さえられる。
【0041】
図5の(b)に示されるように、成形型16がパネル材1を下方から押圧し、ノズル18からキャビティ17及びパネル材1の第2空間部6に溶融樹脂を射出注入する。成形型16のキャビティ17に射出された溶融樹脂は、自重に抗してキャビティ17に充填される。そして、第1シート材3の開口9及び凸部8の開口10を介してパネル材1の第2空間部6に流入する。第2空間部6に流入した溶融樹脂は、自重により凸部8の開口10の周縁部10aに堆積した状態で固化されるため、パネル材1とアンカー部15との密着度合いが高くなり、ストライカ2ががたつくおそれが小さくなる。また、溶融樹脂の射出量も少なくて済む。
【実施例2】
【0042】
次に、第2実施例の「別部材付き積層体」であるストライカ一体型パネル200について説明する。上記した第1実施例のストライカ一体型パネル100は、パネル材1にストライカ2を直接的に成形することによって製造される。これに対して、第2実施例のストライカ一体型パネル200は、別体のストライカ21をパネル材1に固着することによって製造される。図6の(a)に示されるように、別体のストライカ21は前述したストライカ一体型パネル100におけるストライカ2と同形状のものであり、ベース材11に2つの貫通孔22が設けられている。
【0043】
図6の(b)に示されるように、支持台14にパネル材1が、第1シート材3の開口9を上側に向けて設置されている。ストライカ21がインサートされた成形型23が下降し、支持台14に設置されたパネル材1の上面を押圧する。成形型23には、ストライカ21のベース材11の貫通孔22と対応する位置に各ノズル24が設けられている。
【0044】
図7の(a)に示されるように、成形型23に設けられた各ノズル24から溶融樹脂が射出される。射出された溶融樹脂は、ストライカ21のベース材11の貫通孔22からパネル材1の第1シート材3の開口9及び凸部8の開口10を通り、第2空間部6に流入する。そして、貫通孔22の部分を樹脂で充填するとともに、第2空間部6内でその溶融樹脂の外延が実質的に規制されない不定形な形で拡がってアンカー部25を形成する。このアンカー部25が開口9、10よりも大きな断面積を有するため、ストライカ21とパネル材1とが一体に固着される。図7の(b)に示されるように、所定時間経過後に成形型23が上昇して離型され、ストライカ21を一体に固着したストライカ一体型パネル200が形成される。
【0045】
ストライカ21のベース部材11の各貫通孔22を、上面部の内径よりも底面部の内径が小さくなるような断面逆テーパ形状とすることが望ましい。これにより、射出された溶融樹脂が固化されたときのストライカ21の抜止め効果が、いっそう確実に発揮される。
【0046】
前述した第1実施例のストライカ一体型パネル100のように、重力方向の下方から溶融樹脂を射出することによって、ストライカ一体型パネル200を製造することもできる。
【実施例3】
【0047】
上記した第1及び第2実施例の「別部材付き積層体」は、ストライカ2、21を一体に形成したストライカ一体型パネル100、200である。しかし、「別部材」がストライカ2、21ではなく、クリップ26であるクリップ一体型パネル300であってもよい。次に、クリップ一体型パネル300について説明する。
【0048】
図8ないし図10に示されるように、本実施例のクリップ一体型パネル300を構成するクリップ26は、パネル材1の第1シート材3から厚み方向に突出し、パネル材1と一体(少なくともパネル材1から分離不能)に取り付けられている。クリップ26の本体部27は略円筒形状で、その先端部27aは本体部27から連続的に細くなる先細り形状を呈している。本体部27の下端部には、本体部27の外径よりも大きな外径を有する円板形状の座部28が設けられている。この座部28がパネル材1の第1シート材3に当接しているため、クリップ26のすわり(装着姿勢)が良好になって傾きにくくなり、クリップ26を相手部材(例えば車両のバックドア91の挿通孔93)に挿入させるときの作業が容易になる。
【0049】
本体部27の軸線29の部分には、本体部27の頂上部分から座部28にまで達する通し穴31が設けられている。また、本体部27の側面部には、本体部27の外周面から軸直角方向に突出する爪部32が設けられているとともに、作業者が爪部32を軸線29に接近させるように押し込むための操作突起部33が、爪部32と連続して設けられている。爪部32は、その基端部34のみがクリップ26の本体部27と連結されていて、基端部34を除く爪部32と操作突起部33の側面部には抜き溝部35が設けられ、操作突起部33の底面部には抜き穴部36が設けられている。これにより、爪部32と操作突起部33は、爪部32の基端部34を支点として矢印37の方向に回動自在である。
【0050】
爪部32の頂部38は、クリップ26の本体部27の外周面から所定長さeだけ軸直角方向に突出していて、基端部34と頂部38とは本体部27の軸線29に対して緩やかな角度(例えば約15度)を有する第1傾斜面39で接続されている。また、爪部32の頂部38と操作突起部33とは、本体部27の軸線29に対して急な角度(例えば約45度)を有する第2傾斜面40で接続されていて、爪部32と操作突起部33との接続部41における外径D1は、本体部27の外径D2とほぼ等しい。
【0051】
そして、操作突起部33の直下における座部28の部分は切除されていて、操作突起部33とパネル材1の第1シート材3との間に隙間42が形成されている。この隙間43は抜き穴部36を介して、本体部27に設けられた通し穴31と連通している。なお、図8において座部28の切除部分を符号28aで示す。
【0052】
図9の(b)に示されるように、このクリップ26は、パネル材1の第1シート材3に設けられ、パネル材1の第1空間部5と連通する開口43を介してパネル材1の第1空間部5に射出注入された溶融樹脂が第1シート材3の開口43よりも大きな断面積を有する状態で固化することにより、パネル材1の開口43から抜止め状態となり、パネル材1と一体に形成される。即ち、第1空間部5に射出注入された溶融樹脂は、第1空間部5が側面方向に開放されているためにその溶融樹脂の外延が実質的に規制されない不定形な形で拡がり、そのまま固化される。このため、固化状態の樹脂の外延は、開口43よりも大きなアンカー部44となり、開口43から離脱不能となる(アンカー効果)。
【0053】
また、第1シート材3の開口43の直上部分には、開口43よりも大きな断面積を有するフランジ部45が形成されている。このフランジ部45とアンカー部44とが、パネル材1の第1シート材3における開口43の周縁部43aを挟み込む。これにより、クリップ26が軸方向にがたつくおそれが少なくなる。
【0054】
第3実施例のクリップ一体型パネル300は、第1及び第2実施例のストライカ一体型パネル100、200と同様の製造方法によって製造される。即ち、成形型を重力方向の上方から下降させる製造方法、同じく下方から上昇させる方法、別体のクリップを成形型にインサートして成形する製造方法のいずれであっても可能である。
【0055】
第3実施例のクリップ一体型パネル300の作用について説明する。図11の(a)に示されるように、本実施例のクリップ一体型パネル300が取り付けられるバックドア91には、予め挿通孔93が設けられている。挿通孔93の内径D3は、クリップ26の本体部27の外径D2よりも少し大きい(D3>D2)。作業者は、クリップ26の本体部27の先端部11aをバックドア91の挿通孔93に挿入する。クリップ26の本体部27の先端部27aが先細形状となっているため、クリップ26を挿入させる作業が容易である。クリップ26の本体部27をバックドア91の挿通孔93に挿入すると、爪部32の第1傾斜面39が挿通孔93の内周縁に当接する。このままクリップ26の本体部27を挿入すると、爪部32がその基端部34を支点として矢印の方向(軸線29に接近する方向)に押し込まれる(弾性変形)。更にクリップ26の本体部27を挿入し、爪部32の頂部38がバックドア91の挿通孔93を通過すると、爪部32の第2傾斜面40が挿通挿通孔93の内周縁に当接する。これにより、爪部32はその基端部34を支点として矢印の反対方向(軸線29から離隔する方向)に戻される(弾性復帰)。そして、図11の(b)に示されるように、バックドア91の挿通孔93は、爪部32と操作突起部33との間の接続部42に配置される。この状態で、バックドア91の挿通孔93は、爪部32と操作突起部33とで挟み込まれ、軸方向のいずれにも移動不能に保持される。
【0056】
クリップ26の本体部27がバックドア91の挿通孔93に挿通されることによってバックドア91に取り付けられたクリップ一体型パネル300を該バックドア91から取り外すためには、作業者が指で操作突起部33を軸線29に接近する方向に押し込み、爪部32を弾性変形させる。このため、図1及び図11の(b)に示されるように、パネル材1において操作突起部33と対応する部分には、作業者が指Fを入り込ませるための切欠き部46が設けられている。作業者は、この切欠き部46に指Fを入れて操作突起部33を軸線29に接近する方向に押し込み、爪部32をその基端部34を支点として回動させる(弾性変形)。これにより、爪部32の頂部38がバックドア91の挿通孔93の内周縁よりも内方に配置されるので、バックドア91の挿通孔93からクリップ26の本体部27をそのまま抜き取ることができる。
【実施例4】
【0057】
次に、第4実施例の「別部材付き積層体」である重ねパネル400について説明する。図12の(a)に示されるように、重ねパネル400は、2段に重ねたパネル材1、47を溶融樹脂で連結して固着したものである。重ねパネル400の製造方法について説明する。
【0058】
図12の(b)に示されるように、支持台14に設置されたパネル材1の上面に別のパネル材47が設置される。下側のパネル材1の第1シート材3には、第1空間部5と連通する開口43が設けられている。また、上側のパネル材47には、第1空間部5を貫通する上下の開口48、49が設けられている。パネル材1の開口43とパネル材47の上下の開口48、49がほぼ同軸上に配置されるように両パネル材1、47が重ねられて設置される。
【0059】
上方から成形型51が下降し、パネル材47の上面(第1シート材3)を押圧する。図13の(a)に示されるように、ノズル52から射出された溶融樹脂は、上側のパネル材47の上側開口48から第1空間部5に進入する。この溶融樹脂は、上側のパネル材47の第1空間部5を充填した後、上側のパネル材47の下側開口49及び下側のパネル材1の開口43から、下側のパネル材1の第1空間部5に進入し、第1空間部5内でその溶融樹脂の外延が実質的に規制されない不定形な形で拡がってアンカー部53を形成する。このアンカー部53は、下側のパネル材1の開口43よりも大きな断面積を有する。また、上側のパネル材47の上側開口48の上部に、該開口48よりも大きな断面積でフランジ部54が形成される。これにより、2枚のパネル材1、47が一体に固着される。
【0060】
なお、図13の(b)に示されるように、上側のパネル材47の第1空間部5に充填される溶融樹脂が第1空間部5の一部を覆うもので、フランジ部54が形成されないものであってもよい。この場合、上側パネル47の第1シート材3の上面がフラットになるという利点がある。
【0061】
上記した第3実施例のクリップ一体型パネル300及び第4実施例の重ねパネル400において、パネル材1、47に設けられた開口43、48、49は、第1シート材3における凸部8どうしの間に設けられていて、外部と第1空間部5とを連通する形態のものである。しかし、図14の(a)に示されるように、複数の開口55が設けられていてもよい。また、図14の(b)に示されるように、これらの開口55が四角形で、かつ第2空間部6と連通する形態のもの、更に図14の(c)に示されるように、三角形の開口55が外部と第1及び第2の空間部5、6と連通する形態のものであってもよい。このため、パネル材1においてアンカー部15、25、44、53が形成される部分は、第1及び第2の空間部5、6のいずれか一方であっても、両方であってもよい。また、開口55の形状は、不定形なものであってもよい。
【0062】
上記した各実施例の「別部材付き積層体」では、パネル材1、47が、対向配置される2枚のシート材3、4の間に中間補強部材7を積層して設けられた形態(積層体)のものである場合について説明した。しかし、パネル材1、47が積層体でなくてもよい。例えば、樹脂材よりなるシート状のもの(成形体)であってもよい。また、3層以上に積層されたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の「別部材付き積層体」であるストライカ一体型パネル100、200又はクリップ一体型パネル300は、車両のバックドアに取り付けられるバックドアパネル、サイドパネル、天井パネルやトランクボード、ラゲージボード等に利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
100、200 ストライカ一体型パネル材(別部材付き成形体、別部材付き積層体、複合プラスチック段ボールパネル材)
300 クリップ一体型パネル材(別部材付き成形体、別部材付き積層体、複合プラスチック段ボールパネル材)
400 重ねパネル(別部材付き成形体、別部材付き積層体、複合プラスチック段ボールパネル材)
1、47 パネル材(積層体)
2、21 ストライカ(別部材、樹脂突出部、パネル材付属樹脂部)
3 第1シート材(シート材)
4 第2シート材(シート材)
5 第1空間部(空間部)
6 第2空間部(空間部)
7 中間補強部材
9、10、43、48、49、55 開口
15、25、44、53 アンカー部(樹脂基部)
26 クリップ(別部材、樹脂突出部、パネル材付属樹脂部)
27 本体部(樹脂突出部)
31 通し穴(貫通孔)
32 爪部(係止部)
91 バックドア(対象物)
93 挿通孔(被係止部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間部を有する成形体又は積層体へ別部材を取り付ける方法であって、
前記成形体又は積層体は少なくとも一方の表面から内部の空間部へ連通する1箇所ないし複数箇所の開口を有し、前記別部材は前記成形体又は積層体に設けられた前記開口に対応する部分に直接溶融樹脂を射出成形することにより形成されるとともに、前記溶融樹脂が前記開口を介して前記空間部の少なくとも一部分を埋めるように射出注入されることにより、前記成形体又は積層体に前記別部材を取り付けることを特徴とする成形体又は積層体への別部材の取付け方法。
【請求項2】
前記成形体又は積層体における重力方向の下方から上方に向けて直接溶融樹脂を射出成形することにより前記別部材を形成したことを特徴とする請求項1に記載の成形体又は積層体への別部材の取付け方法。
【請求項3】
内部に空間部を有する成形体又は積層体へ別部材を取り付ける方法であって、
前記成形体又は積層体は少なくとも一方の表面から内部の空間部へ連通する1箇所ないし複数箇所の開口を有し、かつ前記別部材には前記成形体又は積層体に設けられた開口に対応する部分に貫通孔が設けられており、
当該別部材の貫通孔と前記成形体又は積層体の表面から空間部へ連通する開口とを通して、当該別部材の貫通孔部分と、前記成形体又は積層体の空間部の少なくとも一部分を埋めるように溶融樹脂を射出注入することにより、前記成形体又は積層体に前記別部材を取り付けることを特徴とする成形体又は積層体への別部材の取付け方法。
【請求項4】
前記溶融樹脂を、前記別部材と前記成形体又は積層体とにおける重力方向の下方から上方に向けて射出注入することにより、前記成形体又は積層体に前記別部材を取り付けることを特徴とする請求項3に記載の成形体又は積層体への別部材の取付け方法。
【請求項5】
請求項1ないし4に記載のいずれかの方法によって成形体又は積層体に別部材が取り付けられたことを特徴とする別部材付き成形体又は別部材付き積層体。
【請求項6】
前記成形体又は積層体は、少なくとも表面層もしくは裏面層と空間部を挟んで対向するその他の層とを有し、この2つの層を繋ぐ壁部が前記空間部に形成された構造のものを含むことを特徴とする請求項5に記載の別部材付き成形体又は別部材付き積層体。
【請求項7】
前記成形体又は積層体は、紙、樹脂、木材又は金属材、或いはそれらのいずれか2種以上の材質を組み合わせてなることを特徴とする請求項5又は6に記載の別部材付き成形体又は別部材付き積層体。
【請求項1】
内部に空間部を有する成形体又は積層体へ別部材を取り付ける方法であって、
前記成形体又は積層体は少なくとも一方の表面から内部の空間部へ連通する1箇所ないし複数箇所の開口を有し、前記別部材は前記成形体又は積層体に設けられた前記開口に対応する部分に直接溶融樹脂を射出成形することにより形成されるとともに、前記溶融樹脂が前記開口を介して前記空間部の少なくとも一部分を埋めるように射出注入されることにより、前記成形体又は積層体に前記別部材を取り付けることを特徴とする成形体又は積層体への別部材の取付け方法。
【請求項2】
前記成形体又は積層体における重力方向の下方から上方に向けて直接溶融樹脂を射出成形することにより前記別部材を形成したことを特徴とする請求項1に記載の成形体又は積層体への別部材の取付け方法。
【請求項3】
内部に空間部を有する成形体又は積層体へ別部材を取り付ける方法であって、
前記成形体又は積層体は少なくとも一方の表面から内部の空間部へ連通する1箇所ないし複数箇所の開口を有し、かつ前記別部材には前記成形体又は積層体に設けられた開口に対応する部分に貫通孔が設けられており、
当該別部材の貫通孔と前記成形体又は積層体の表面から空間部へ連通する開口とを通して、当該別部材の貫通孔部分と、前記成形体又は積層体の空間部の少なくとも一部分を埋めるように溶融樹脂を射出注入することにより、前記成形体又は積層体に前記別部材を取り付けることを特徴とする成形体又は積層体への別部材の取付け方法。
【請求項4】
前記溶融樹脂を、前記別部材と前記成形体又は積層体とにおける重力方向の下方から上方に向けて射出注入することにより、前記成形体又は積層体に前記別部材を取り付けることを特徴とする請求項3に記載の成形体又は積層体への別部材の取付け方法。
【請求項5】
請求項1ないし4に記載のいずれかの方法によって成形体又は積層体に別部材が取り付けられたことを特徴とする別部材付き成形体又は別部材付き積層体。
【請求項6】
前記成形体又は積層体は、少なくとも表面層もしくは裏面層と空間部を挟んで対向するその他の層とを有し、この2つの層を繋ぐ壁部が前記空間部に形成された構造のものを含むことを特徴とする請求項5に記載の別部材付き成形体又は別部材付き積層体。
【請求項7】
前記成形体又は積層体は、紙、樹脂、木材又は金属材、或いはそれらのいずれか2種以上の材質を組み合わせてなることを特徴とする請求項5又は6に記載の別部材付き成形体又は別部材付き積層体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−183585(P2011−183585A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48892(P2010−48892)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(308011351)大和化成工業株式会社 (66)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000244280)盟和産業株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(308011351)大和化成工業株式会社 (66)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000244280)盟和産業株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]