説明

成形機の状態監視装置及び成形機の状態監視方法

【課題】成形機の状態を容易に、かつ、正確に監視することができるようにする。
【解決手段】成形機を運転するために駆動される駆動部と、該駆動部の駆動に伴い、第1の変量m1を検出する第1の検出部P1と、前記駆動部の駆動に伴い、第2の変量m2を検出する第2の検出部P2と、前記第1、第2の変量m1、m2に基づいて、第1、第2の検出部P1、P2間の伝達経路Rtにおける伝達特性を判定する伝達特性判定処理手段とを有する。第1、第2の変量m1、m2に基づいて、第1、第2の検出部P1、P2間の伝達経路Rtにおける伝達特性が判定されるので、成形機ごとの機差があっても、各成形機ごとに使用状況が異なっても、成形機の状態を容易に、かつ、正確に監視することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形機の状態監視装置及び成形機の状態監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、成形機、例えば、射出成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた樹脂を、高圧で射出して金型装置のキャビティ空間に充填し、該キャビティ空間内において冷却して固化させた後、成形品を取り出すようになっている。
【0003】
前記射出成形機は金型装置、型締装置及び射出装置を有し、前記金型装置は固定金型及び可動金型から成る金型を備え、型締装置は、固定プラテン、可動プラテン、型締用の駆動部としての型締用モータ、トグル機構等を備える。そして、前記型締用モータを駆動し、ボールねじを作動させてクロスヘッドを進退させると、トグル機構が作動して、可動プラテンを進退させ、型閉じ、型締め及び型開きを行う。また、前記射出装置は、ホッパから供給された樹脂を加熱して溶融させる前記加熱シリンダ、及び溶融させられた樹脂を射出する射出ノズルを備え、前記加熱シリンダ内にスクリューが回転自在に、かつ、進退自在に配設される。そして、計量用モータを駆動し、前記スクリューを回転させることによって、スクリューの前方に樹脂を溜め、射出用モータを駆動し、前記スクリューを前進させることによって、射出ノズルから樹脂を射出する。
【0004】
ところで、射出成形機を継続して運転していると、所定の箇所、例えば、ボールねじ、ベアリング等の要素に損傷が発生することがある。そこで、射出成形機の使用を開始してからの成形のショット数に基づいて、射出成形機の状態を監視するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の射出成形機においては、射出成形機ごとの差、すなわち、機差があるだけでなく、各射出成形機ごとに使用状況が異なるので、射出成形機の状態を正確に監視することができない。
【0006】
したがって、射出成形機の運転を安定させて行うことができなくなってしまう。
【0007】
本発明は、前記従来の射出成形機の問題点を解決して、成形機の状態を容易に、かつ、正確に監視することができる成形機の状態監視装置及び成形機の状態監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の成形機の状態監視装置においては、成形機を運転するために駆動される駆動部と、該駆動部の駆動に伴い、第1の変量を検出する第1の検出部と、前記駆動部の駆動に伴い、第2の変量を検出する第2の検出部と、前記第1、第2の変量に基づいて、第1、第2の検出部間の伝達経路における伝達特性を判定する伝達特性判定処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、成形機の状態監視装置においては、成形機を運転するために駆動される駆動部と、該駆動部の駆動に伴い、第1の変量を検出する第1の検出部と、前記駆動部の駆動に伴い、第2の変量を検出する第2の検出部と、前記第1、第2の変量に基づいて、第1、第2の検出部間の伝達経路における伝達特性を判定する伝達特性判定処理手段とを有する。
【0010】
この場合、前記第1、第2の変量に基づいて、第1、第2の検出部間の伝達経路における伝達特性が判定されるので、成形機ごとの機差があっても、各成形機ごとに使用状況が異なっても、成形機の状態を容易に、かつ、正確に監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、成形機としての射出成形機について説明する。
【0012】
図2は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【0013】
図において、51は射出装置、52は第1の金型としての固定金型11及び第2の金型としての可動金型12から成る金型装置、53は前記射出装置51と対向させて配設された型締装置、54は前記射出装置51を進退自在に支持する可塑化移動装置、55はエジェクタ装置、60はトグル調整装置として機能する型厚調整装置、fr1は前記射出装置51、型締装置53、可塑化移動装置54等を支持する成形機フレームである。
【0014】
前記射出装置51は、シリンダ部材としての加熱シリンダ56、該加熱シリンダ56内において、回転自在に、かつ、進退自在に配設された射出部材としてのスクリュー57、前記加熱シリンダ56の前端に取り付けられた射出ノズル58、前記加熱シリンダ56の後端の近傍に配設されたホッパ59、前記スクリュー57の後端に突出させて形成されたスクリュー軸61、荷重検出部としてのロードセル70を介して連結された前側支持部71及び後側支持部72を備えるとともに、進退自在に配設され、前記スクリュー軸61を回転自在に支持するプレッシャプレート62、前記前側支持部71に取り付けられ、プーリ・ベルト式の回転伝達系(駆動要素としての駆動プーリ、従動要素としての従動プーリ、及び駆動プーリと従動プーリとの間に張設された伝動部材としてのタイミングベルトから成る。)65を介してスクリュー軸61と連結された計量用の駆動部としての計量用モータ66、前記成形機フレームfr1に取り付けられ、プーリ・ベルト式の回転伝達系(駆動要素としての駆動プーリ、従動要素としての従動プーリ、及び駆動プーリと従動プーリとの間に張設された伝動部材としてのタイミングベルトから成る。)68を介して運動方向変換部としてのボールねじ75と連結された、射出用の駆動部としての射出用モータ69等を備える。前記ボールねじ75は、回転運動を直進運動に変換する運動方向変換部として機能し、回転伝達系68と連結された第1の変換要素としてのボールねじ軸73、及び後側支持部72に取り付けられ、前記ボールねじ軸73と螺合させられる第2の変換要素としてのボールナット74を備える。
【0015】
また、前記可塑化移動装置54は、ガイドユニットfr2、該ガイドユニットfr2に取り付けられ、可塑化移動用の駆動部としての可塑化移動用モータ77、前記ガイドユニットfr2の長手方向に沿って配設され、前側支持部71及び後側支持部72を案内するガイド78、ガイドユニットfr2に対して回転自在に配設され、可塑化移動用モータ77を駆動することによって回転させられる第1の変換要素としてのボールねじ軸81、該ボールねじ軸81と螺合させられる第2の変換要素としてのボールナット82、前記加熱シリンダ56の後端に取り付けられたブラケット83、前記ボールナット82とブラケット83との間に配設される付勢部材としてのスプリング84等を備える。なお、前記ボールねじ軸81及びボールナット82によってボールねじ86が構成され、該ボールねじ86は、回転運動を直進運動に変換する運動方向変換部として機能する。
【0016】
また、前記型締装置53は、成形機フレームfr1に取り付けられた第1のプラテンとしての固定プラテン91、ベースプレートとしてのトグルサポート92、前記固定プラテン91とトグルサポート92との間に架設されたタイバー93、固定プラテン91と対向させて、かつ、タイバー93に沿って進退自在に配設された第2のプラテンとしての可動プラテン94、及び該可動プラテン94とトグルサポート92との間に配設されたトグル機構95、型締用の駆動部としての型締用モータ96、該型締用モータ96を駆動することによって発生させられた回転をトグル機構95に伝達するプーリ・ベルト式の回転伝達系(駆動要素としての駆動プーリ、従動要素としての従動プーリ、及び駆動プーリと従動プーリとの間に張設された伝動部材としてのタイミングベルトから成る。)97、該回転伝達系97と連結された運動方向変換部としてのボールねじ98、該ボールねじ98と連結されたクロスヘッド99等を備える。そして、前記固定プラテン91及び可動プラテン94に、互いに対向させて固定金型11及び可動金型12がそれぞれ取り付けられる。
【0017】
前記ボールねじ98は、回転運動を直進運動に変換する運動方向変換部として機能し、回転伝達系97と連結された第1の変換要素としてのボールねじ軸101、及びクロスヘッド99に取り付けられ、前記ボールねじ軸101と螺合させられる第2の変換要素としてのボールナット102を備える。
【0018】
また、前記トグル機構95は、クロスヘッド99に対して揺動自在に支持されたトグルレバー105、トグルサポート92に対して揺動自在に支持されたトグルレバー106、及び可動プラテン94に対して揺動自在に支持されたトグルアーム107を備え、トグルレバー105、106間、及びトグルレバー106とトグルアーム107との間がそれぞれリンク結合される。
【0019】
前記トグル機構95は、図示されないサーボモータによってクロスヘッド99をトグルサポート92と可動プラテン94との間で進退させることによって可動プラテン94をタイバー93に沿って進退させ、可動金型12を固定金型11に対して接離させて、型閉じ、型締め及び型開きを行う。
【0020】
また、前記エジェクタ装置55は、可動プラテン94の後端面に配設され、可動プラテン94に対して進退自在に配設されたクロスヘッド111、突出用の駆動部としての突出し用モータ112、前記クロスヘッド111に対して回転自在に配設された第1の変換要素としてのボールねじ軸113、前記クロスヘッド111に取り付けられ、前記ボールねじ軸113と螺合させられる第2の変換要素としてのボールナット114、前記突出し用モータ112を駆動することによって発生させられた回転をボールねじ軸113に伝達するプーリ・ベルト式の回転伝達系(駆動要素としての駆動プーリ、従動要素としての従動プーリ、及び駆動プーリと従動プーリとの間に張設された伝動部材としてのタイミングベルトから成る。)116、前記クロスヘッド111の進退に伴って進退させられる図示されないエジェクタロッド及びエジェクタピン等を備える。なお、前記ボールねじ軸113及びボールナット114によってボールねじ115が構成され、該ボールねじ115は、回転運動を直進運動に変換する運動方向変換部として機能する。
【0021】
そして、前記型厚調整装置60は、各タイバー93の後端に形成されたねじ部と螺合させられ、トグル調整部材としての、かつ、型厚調整部材としての調整ナット121、トグル調整用の、かつ、型厚調整用の駆動部としての型厚モータ122、該型厚モータ122を駆動することによって発生させられた回転を各調整ナット121に伝達する伝動部材としてのタイミングベルト123等を備え、トグルサポート92を固定プラテン91に対して進退させて型厚調整を行う。
【0022】
次に、射出成形機の動作について説明する。
【0023】
まず、前記射出装置51において、可塑化移動用モータ77を駆動すると、該可塑化移動用モータ77の回転はボールねじ軸81に伝達され、ボールナット82が進退させられる。そして、ボールナット82の推力がスプリング84を介してブラケット83に伝達され、射出装置51が進退させられる。
【0024】
次に、計量工程において、計量用モータ66を駆動すると、該計量用モータ66の回転は、回転伝達系65を介してスクリュー軸61に伝達され、スクリュー57が回転させられる。そして、ホッパ59から供給された成形材料としての樹脂は、加熱シリンダ56内において加熱されて溶融させられ、前方に移動して、スクリュー57の前方に溜められる。これに伴って、スクリュー57は、所定の位置まで後退させられる。
【0025】
そして、射出工程において、射出ノズル58を固定金型11に押し付け、射出用モータ69を駆動すると、該射出用モータ69の回転は、回転伝達系68を介してボールねじ軸73に伝達され、ボールねじ軸73が回転させられる。このとき、ロードセル70はボールねじ軸73の回転に伴って移動し、スクリュー57を前進させるので、スクリュー57の前方に溜っている樹脂は、射出ノズル58から射出され、固定金型11と可動金型12との間に形成されたキャビティ空間に充填される。そのときの反力は、前記ロードセル70によって受けられ、荷重として検出される。
【0026】
次に、前記型締装置53及びエジェクタ装置55において、型締用モータ96を駆動すると、該型締用モータ96の回転は、回転伝達系97を介してボールねじ軸101に伝達され、ボールナット102が進退させられ、クロスヘッド99も進退させられる。そして、該クロスヘッド99の前進に伴って、トグル機構95が伸展させられ、可動プラテン94が前進させられて型閉じが行われ、固定金型11に可動金型12が当接させられる。続いて、型締用モータ96を更に駆動すると、トグル機構95において型締力が発生させられ、該型締力で固定金型11に可動金型12が押し付けられ、固定金型11と可動金型12との間にキャビティ空間が形成される。また、クロスヘッド99の後退に伴って、トグル機構95が屈曲させられると、可動プラテン94が後退させられ、型開きが行われる。
【0027】
続いて、突出し用モータ112を駆動すると、該突出し用モータ112の回転は、回転伝達系116を介してボールねじ軸113に伝達され、クロスヘッド111が進退させられ、前記エジェクタロッドが進退させられる。そして、型開きが行われるのに伴って、更に突出し用モータ112を駆動してクロスヘッド111を前進させると、前記エジェクタピンが前進させられ、成形品が突き出される。
【0028】
次に、前記型厚調整装置60において、型厚モータ122を駆動すると、該型厚モータ122の回転は、タイミングベルト123を介して各調整ナット121に伝達され、該各調整ナット121は、回転させられるのに伴ってタイバー93に対して進退させられ、トグルサポート92を進退させる。その結果、型厚が調整されるとともに、トグル機構95の基準位置が調整される。
【0029】
次に、前記構成の射出成形機の制御回路について説明する。
【0030】
図3は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の制御回路を示すブロック図である。
【0031】
図において、201は制御部、66は計量用モータ、69は射出用モータ、77は可塑化移動用モータ、96は型締用モータ、112は突出し用モータ、122は型厚モータであり、計量用モータ66、射出用モータ69、可塑化移動用モータ77、型締用モータ96、突出し用モータ112及び型厚モータ122に、それぞれ回転角度検出部としてのエンコーダ211〜216が配設され、該各エンコーダ211〜216によって回転角度が検出される。また、計量用モータ66、射出用モータ69、可塑化移動用モータ77、型締用モータ96、突出し用モータ112及び型厚モータ122に、それぞれ電流検出部としての電流センサ221〜226が配設され、該各電流センサ221〜226によって電流が検出される。なお、計量用モータ66、射出用モータ69、可塑化移動用モータ77、型締用モータ96、突出し用モータ112及び型厚モータ122の各モータによって、射出成形機の所定の箇所に設定された信号入力部が構成され、各モータのコイルに駆動用の電流が信号として入力される。
【0032】
また、gi(i=1、2、…、n)は所定の回転体を支持するベアリングに配設された歪検出部としての歪ゲージであり、該各歪ゲージgiは、各ベアリングに発生した歪みを検出する。そして、h1〜h4は、ボールねじ軸73(図2)、81、101、113に配設された歪検出部としての歪ゲージであり、該各歪ゲージh1〜h4は、各ボールねじ軸73、81、101、113に発生したトルクを検出する。また、h5〜h8は、ボールナット74、82、102、114に配設された歪検出部としての歪ゲージであり、該各歪ゲージh5〜h8は、各ボールナット74、82、102、114に発生した歪みを検出する。
【0033】
そして、231はスクリュー57とスクリュー軸61とを連結する図示されないカップリングに配設された加速度検出部としての加速度センサであり、該加速度センサ231はカップリングの加速度を検出する。また、232は前記加熱シリンダ56内の前端部に配設された圧力検出部としての樹脂圧センサであり、該樹脂圧センサ232は加熱シリンダ56内の樹脂の圧力、すなわち、樹脂圧を検出する。さらに、h11はガイド78に配設された歪検出部としての歪ゲージであり、各歪ゲージh11はガイド78の歪みを検出する。また、70はロードセル、235は表示部、236は警報装置である。そして、241〜244はスクリュー軸61及びボールねじ軸73、101、113に臨ませて配設された回転速度検出部としての回転速度センサであり、該回転速度センサ241〜244は、スクリュー軸61及びボールねじ軸73、101、113の回転速度を検出する。
【0034】
前記構成の射出成形機を運転するに当たり、計量用モータ66、射出用モータ69、可塑化移動用モータ77、型締用モータ96、突出し用モータ112及び型厚モータ122の各モータを駆動すると、スクリュー57が回転させられたり、スクリュー57、射出装置51、可動プラテン94、トグルサポート92、エジェクタピン等が進退させられたりする。
【0035】
そして、各モータ、例えば、射出用モータ69を駆動すると、射出成形機の各種の箇所、例えば、ボールねじ75におけるボールねじ軸73とボールナット74との間に摩擦力及び接触力が発生したり、シリンダ部分、筐体部分等の他の要素間にも摩擦力及び接触力が発生したりする。
【0036】
したがって、射出成形機の所定の箇所において、状態が変化し、例えば、ボールねじ75に損傷が発生すると、摩擦特性及び接触特性が変化し、前記摩擦力及び接触力における振動成分が変化する。
【0037】
そこで、本実施の形態においては、前記摩擦特性及び接触特性の変化を検出し、摩擦特性及び接触特性の変化に基づいて射出成形機の状態を監視するようにしている。
【0038】
図1は本発明の第1の実施の形態における状態監視装置の概念図、図4は本発明の第1の実施の形態における入力信号及び出力信号の波形図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるボード線図位相曲線を示す図である。なお、図4において、横軸に時間を、縦軸に入力信号ip及び出力信号opを、図5において、横軸に周波数を、縦軸に位相差を採ってある。
【0039】
この場合、あらかじめ選択された二つの部位に配設されたセンサ類が第1、第2の検出部P1、P2として設定され、第1、第2の検出部P1、P2間が機械的な接続、及び電気的な接続のうちの少なくとも一方の形態で互いに接続される。そして、第1、第2の検出部P1、P2間には、機械的に又は電気的に第1、第2の検出部P1、P2を接続する伝達経路Rtが設定される。そして、前記第1の検出部P1によって検出された変量が第1の変量m1とされ、第2の検出部P2によって検出された変量が第2の変量m2とされ、第1、第2の変量m1、m2に基づいて摩擦特性及び接触特性の変化が検出される。
【0040】
前記第1、第2の検出部P1、P2としては、所定のモータを駆動するのに伴ってセンサ出力が変化する任意のセンサ類を選択し、設定することができる。すなわち、エンコーダ211(図3)〜216、電流センサ221〜226、歪ゲージgi、h1〜h8、h11、加速度センサ231、樹脂圧センサ232、ロードセル70、回転速度センサ241〜244のうちの所定の二つのセンサ類を第1、第2の検出部P1、P2として設定し、各エンコーダ211〜216によって検出される回転角度、電流センサ221〜226によって検出される電流、歪ゲージgi、h5〜h8、h11によって検出される歪み量、歪ゲージh1〜h4によって検出されるトルク、加速度センサ231によって検出される加速度、樹脂圧センサ232によって検出される樹脂圧、ロードセル70によって検出される荷重、及び回転速度センサ241〜244によって検出される回転速度のうちの、第1の検出部P1によって検出される変量を第1の変量m1として、第2の検出部P2によって検出される変量を第2の変量m2として設定することができる。
【0041】
ところで、射出成形機において状態を監視する箇所(以下「監視箇所」という。)、及び状態を監視する内容(以下「監視内容」という。)が決まると、監視箇所及び監視内容によっては、摩擦特性及び接触特性の変化が生じやすい変量と、生じにくい変量とが存在する。そこで、本実施の形態においては、監視箇所及び監視内容に応じて第1、第2の検出部P1、P2を設定し、該第1、第2の検出部P1、P2の変量を第1、第2の変量m1、m2として設定するようにしている。
【0042】
すなわち、本実施の形態においては、計量用モータ66の性能を監視する場合、電流センサ221が第1の検出部P1に、エンコーダ211が第2の検出部P2に、電流が第1の変量m1に、回転角度が第2の変量m2にされる。同様に、射出用モータ69、可塑化移動用モータ77、型締用モータ96、突出し用モータ112及び型厚モータ122の性能を監視する場合、電流センサ222〜226が第1の検出部P1に、エンコーダ212〜216が第2の検出部P2に、電流が第1の変量m1に、回転角度が第2の変量m2にされる。
【0043】
また、前記ベアリングの性能を監視する場合、前記各モータのうちの前記回転体を回転させるために駆動されているモータが特定される。そして、仮に、計量用モータ66が駆動されていて、前記ベアリングに配設された歪ゲージがg1である場合、電流センサ221が第1の検出部P1に、歪ゲージg1が第2の検出部P2に、電流が第1の変量m1に、歪み量が第2の変量m2にされる。
【0044】
また、ボールねじ軸73、81、101、113に発生したトルク伝達レベルを監視する場合、前記電流センサ222〜223が第1の検出部P1に、歪ゲージh1〜h4が第2の検出部P2に、電流が第1の変量m1に、歪み量が第2の変量m2にされる。そして、ボールねじ75、86、98、115に発生した摩耗を監視する場合、前記電流センサ222〜223が第1の検出部P1に、歪ゲージh5〜h8が第2の検出部P2に、電流が第1の変量m1に、歪み量が第2の変量m2にされる。
【0045】
また、加熱シリンダ56内の樹脂の状態を監視する場合、加速度センサ231が第1の検出部P1に、樹脂圧センサ232が第2の検出部P2に、加速度が第1の変量m1に、樹脂圧が第2の変量m2にされる。そして、加熱シリンダ56の状態を監視する場合、樹脂圧センサ232が第1の検出部P1に、歪ゲージh11が第2の検出部P2に、樹脂圧が第1の変量m1に、歪み量が第2の変量m2にされる。さらに、ロードセル70の検出値を監視する場合、歪ゲージh11が第1の検出部P1に、ロードセル70が第2の検出部P2に、歪み量が第1の変量m1に、荷重が第2の変量m2にされる。
【0046】
また、回転伝達系65、68、97、116の状態を監視する場合、エンコーダ211、212、214、215が第1の検出部P1に、回転速度センサ241〜244が第2の検出部P2に、回転角度が第1の変量m1に、回転速度が第2の変量m2にされる。そして、成形状態を監視する場合、電流センサ222が第1の検出部P1に、ロードセル70が第2の検出部P2に、電流が第1の変量m1に、荷重が第2の変量m2にされる。
【0047】
このようにして第1、第2の検出部P1、P2及び第1、第2の変量m1、m2が設定されると、制御部201の図示されない振動変量取得処理手段(振動変量取得処理部)は、振動変量取得処理を行い、第1、第2の変量m1、m2を時系列に読み込み、取得する。第1、第2の変量m1、m2は、図4に示されるような、時系列データから成り、第1、第2の検出部P1、P2間の伝達経路Rtにおける入力信号ip及び出力信号opを構成する。
【0048】
本実施の形態においては、加速度センサ231及び回転速度センサ241〜244以外のセンサ類を使用した場合、入力信号ip及び出力信号opは、振動成分の変位を表す第1、第2の変量m1、m2自体で構成されるが、回転速度センサ241〜244によって検出される回転速度のような、振動成分の速度を表す振動速度、又は加速度センサ231によって検出される加速度のような、振動成分の加速度を表す振動加速度を入力信号ip及び出力信号opにすることができる。
【0049】
その場合、前記制御部201の図示されない振動速度算出処理手段(振動速度算出処理部)は、振動速度算出処理を行い、第1、第2の変量m1、m2を読み込み、微分することによって、振動速度を入力信号ip及び出力信号opとして算出し、取得する。又は、制御部201の図示されない振動加速度算出処理手段(振動加速度算出処理部)は、振動加速度算出処理を行い、第1、第2の変量m1、m2を読み込み、2回微分することによって、振動加速度を入力信号ip及び出力信号opとして算出し、取得する。
【0050】
そして、前記制御部201の図示されない時間・周波数領域変換処理手段(時間・周波数領域変換処理部)は、時間・周波数領域変換処理を行い、図4の時系列データを時間領域から周波数領域に変換し、図5に示されるような、ボード線図位相曲線L1、L2を得る。該ボード線図位相曲線L1、L2は、伝達経路Rtにおける伝達特性を表し、入力信号ip及び出力信号opをFFT、DFT等の計算手法によってフーリエ変換することにより求めることができる。すなわち、入力信号ip及び出力信号opをそれぞれフーリエ変換し、各周波数ごとの入力信号ipと出力信号opとの位相差を算出すると、ボード線図位相曲線L1、L2で表されるような周波数と位相差との関係が得られる。
【0051】
ところで、射出成形機を設置して運転を開始した初期動作時のように、射出成形機を正常に運転することができる場合の入力信号ip及び出力信号opに基づいて得られるボード線図位相曲線をL1とし、その後、運転を継続し、射出成形機の状態の監視を開始した後の入力信号ip及び出力信号opに基づいて得られるボード線図位相曲線をL2とすると、図5に示されるように、ボード線図位相曲線L1、L2は乖離する。なお、前記ボード線図位相曲線L1は伝達特性の基準値を、前記ボード線図位相曲線L2は伝達特性の実績値を表す。
【0052】
そこで、前記制御部201の図示されない伝達特性判定処理手段(伝達特性判定処理部)は、伝達特性判定処理を行い、ボード線図位相曲線L1、L2を比較することによって伝達特性を判定し、周波数の変化に基づいてボード線図位相曲線L1、L2の乖離量を算出し、乖離量が閾値より大きくなると、射出成形機に異常が発生したと判断する。
【0053】
各ボード線図位相曲線L1、L2において、fp1、fp2は、入力信号ip及び出力信号opをそれぞれフーリエ変換したときの、伝達関数がピーク値になる周波数、すなわち、ピーク値周波数である。したがって、例えば、周波数の変化をピーク値周波数fp1、fp2の変化量Δfp
Δfp=fp2−fp1
で表すことができ、該変化量Δfpを前記乖離量とすることができる。その結果、前記伝達特性判定処理手段は、変化量Δfpが閾値Δfpthより大きい場合、乖離量が閾値より大きいと判断し、射出成形機に異常が発生したと判断する。
【0054】
そして、制御部201の図示されない報知処理手段(報知処理部)は、報知処理を行い、表示部235に異常が発生した旨の表示を行うとともに、警報装置236を作動させ、警報を鳴らし、操作者に異常が発生した旨を報知する。さらに、制御部201の図示されない停止処理手段(停止処理部)は、停止処理を行い、表示部235に異常が発生した場合に、射出成形機の運転を停止させることができる。
【0055】
また、射出成形機の操作者に異常の発生を予告することができる。この場合、あらかじめ複数の閾値を設定し、変化量Δfpが各閾値のうちのレベルの低い閾値に達すると、制御部201の図示されない異常発生予告処理手段は、異常発生予告処理を行い、操作者に異常の発生を予告する。したがって、操作者は、損傷しそうな部品を損傷する前に把握することができるので、あらかじめ部品を備蓄しておくことができ、異常が発生したときに、生産工程に大きな影響を与えることなく、部品を交換することができる。
【0056】
さらに、LAN、電話回線、無線通信回線等の通信回線によって射出成形機と外部機器とを接続し、部品製造メーカ、射出成形機メーカ等の射出成形機の保守・管理に関わる人に異常が発生した旨を報知することができる。この場合も、生産工程に大きな影響を与えることなく、部品を交換することができる。
【0057】
なお、周波数の変化をピーク値周波数fp1、fp2の変化率γp
γp=fp2/fp1
で表すことができ、該変化率γpを前記乖離量とすることができる。その場合、前記伝達特性判定処理手段は、変化率γpが閾値γpthより大きい場合に、乖離量が閾値より大きいと判断し、射出成形機に異常が発生したと判断する。
【0058】
本実施の形態においては、周波数の変化に基づいてボード線図位相曲線L1、L2の乖離量を算出するようになっているが、位相差の変化に基づいてボード線図位相曲線L1、L2の乖離量を算出することもできる。
【0059】
すなわち、ピーク値周波数fp1、fp2の間の所定の周波数fuをあらかじめ設定し、該周波数fuにおける位相差φ1、φ2の変化量Δφ
Δφ=φ2−φ1
を算出し、変化量Δφが閾値Δφthより大きい場合に、乖離量が閾値より大きいと判断し、射出成形機に異常が発生したと判断することができる。
【0060】
また、前記周波数fuにおける位相差φ1、φ2の変化率γφ
γφ=φ2/φ1
を算出し、変化率γφが閾値γφthより大きい場合、乖離量が閾値より大きいと判断し、射出成形機に異常が発生したと判断することができる。
【0061】
本実施の形態においては、一つの周波数fuにおける位相差φ1、φ2の変化量Δφを算出するようになっているが、二つ以上の周波数における位相差の変化量を加算し、加算された変化量が閾値より大きい場合に、乖離量が閾値より大きいと判断することができる。
【0062】
このように、第1、第2の検出部P1、P2における第1、第2の変量m1、m2に基づいて射出成形機の状態を監視するようになっているので、射出成形機ごとの機差があっても、各射出成形機ごとに使用状況が異なっても、射出成形機の状態を容易に、かつ、正確に監視することができる。
【0063】
なお、本実施の形態においては、第1、第2の変量m1、m2の振動成分が大きくなるタイミングで、第1、第2の変量m1、m2を読み込むのが好ましく、例えば、計量用モータ66の駆動が開始され、計量が開始された直後、射出用モータ69の駆動が開始され、射出が開始された直後、型締用モータ96の駆動が開始され、型閉じ又は型開きが開始された直後に第1、第2の変量m1、m2が読み込まれる。
【0064】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0065】
図6は本発明の第2の実施の形態における周波数応答を示す波形図、図7は本発明の第2の実施の形態におけるボード線図ゲイン曲線を示す図である。なお、図6において、横軸に周波数を、縦軸に振幅を、図7において、横軸に周波数を、縦軸にゲインを採ってある。
【0066】
この場合、まず、制御部201(図1)の前記振動変量取得処理手段は、第1、第2の変量m1、m2を時系列に読み込み、取得する。第1、第2の変量m1、m2は、図4に示されるような、時系列データから成り、第1、第2の検出部P1、P2間の伝達経路Rtにおける入力信号ip及び出力信号opを構成する。
【0067】
そして、前記時間・周波数領域変換処理手段は、図4の時系列データを時間領域から周波数領域に変換し、図6に示されるような、周波数応答曲線Lip、Lopを得る。
【0068】
該周波数応答曲線Lip、Lopは、入力信号ip及び出力信号opをFFT、DFT等の計算手法によってフーリエ変換することにより求めることができる。すなわち、入力信号ip及び出力信号opをそれぞれフーリエ変換し、各周波数ごとの入力信号ip及び出力信号opの振幅を算出すると、周波数応答曲線Lip、Lopで表されるような周波数と振幅との関係が得られる。
【0069】
続いて、前記制御部201の図示されない伝達関数算出処理手段(伝達関数算出処理部)は、伝達関数算出処理を行い、各周波数ごとに出力信号opの振幅を入力信号ipの振幅で除算し、前記伝達経路Rtのゲインを伝達関数として算出する。その結果、図7に示されるように、ボード線図ゲイン曲線L11、L12を得ることができる。該ボード線図位相曲線L11、L12は、伝達経路Rtにおける伝達特性を表す。
【0070】
ところで、前述されたように、射出成形機を正常に運転することができる場合の入力信号ip及び出力信号opに基づいて得られるボード線図ゲイン曲線をL11とし、その後、運転を継続し、射出成形機の状態の監視を開始した後の入力信号ip及び出力信号opに基づいて得られるボード線図ゲイン曲線をL12とすると、図7に示されるように、ボード線図位相曲線L11、L12は乖離する。
【0071】
そこで、前記伝達特性判定処理手段は、ボード線図ゲイン曲線L11、L12を比較することによって伝達特性を判定し、周波数の変化に基づいてボード線図ゲイン曲線L11、L12の乖離量を算出し、乖離量が閾値より大きくなると、射出成形機に異常が発生したと判断する。
【0072】
各ボード線図ゲイン曲線L11、L12において、fp1、fp2はピーク値周波数である。したがって、周波数の変化をピーク値周波数fp1、fp2の変化量Δfp
Δfp=fp2−fp1
で表すことができ、該変化量Δfpを前記乖離量とすることができる。その結果、前記伝達特性判定処理手段は、変化量Δfpが閾値Δfpthより大きい場合、乖離量が閾値より大きいと判断し、射出成形機に異常が発生したと判断する。
【0073】
そして、前記報知処理手段は、表示部235(図3)に異常が発生した旨の表示を行うとともに、警報装置236を作動させ、警報を鳴らし、操作者に異常が発生した旨を報知する。
【0074】
なお、周波数の変化をピーク値周波数fp1、fp2の変化率γp
γp=fp2/fp1
で表すことができ、該変化率γpを前記乖離量とすることができる。その場合、前記伝達特性判定処理手段は、変化率γpが閾値γpthより大きい場合に、乖離量が閾値より大きいと判断し、射出成形機に異常が発生したと判断する。
【0075】
本実施の形態においては、周波数の変化に基づいてボード線図ゲイン曲線L11、L12の乖離量を算出するようになっているが、ゲインの変化に基づいてボード線図ゲイン曲線L11、L12の乖離量を算出することもできる。
【0076】
すなわち、ピーク値周波数fp1、fp2の間の、ピーク値周波数fp2の所定の周波数fvをあらかじめ設定し、該周波数fvにおけるゲインg1、g2の変化量Δg
Δg=g2−g1
を算出し、変化量Δgが閾値Δgthより大きい場合に、乖離量が閾値より大きいと判断し、射出成形機に異常が発生したと判断することができる。
【0077】
また、前記周波数fvにおけるゲインg1、g2の変化率γg
γg=g2/g1
を算出し、変化率γgが閾値γgthより大きい場合、乖離量が閾値より大きいと判断し、射出成形機に異常が発生したと判断することができる。
【0078】
本実施の形態においては、一つの周波数fvにおけるゲインg1、g2の変化量Δgを算出するようになっているが、二つ以上の周波数におけるゲインの変化量を加算し、加算された変化量が閾値より大きい場合に、乖離量が閾値より大きいと判断することができる。
【0079】
また、伝達特性を周波数ごとのゲインで表すほかに、時間ごとのゲインで表すこともできる。この場合、各駆動部に入力される入力信号と、被駆動部から出力される出力信号との時間遅れ等が射出成形機に異常が発生したかどうかの判断の対象になる。
【0080】
さらに、長い時間中における第1、第2の変量m1、m2の変動に基づいて射出成形機に異常が発生したかどうかを判断する場合は、成形ショットごとのゲインで伝達特性を表すことができる。
【0081】
なお、前記各実施の形態において、第1、第2の変量m1、m2の検出条件を一定にするために、初期動作時において、射出成形機をあらかじめ設定されたパターンで動作させ、そのときの時系列データを収集し、その後、あらかじめ設定された間隔ごとに、定期的に同じ動作を行い、同じパターンで射出成形機を運転し、その都度、時系列データを収集すると、第1、第2の変量m1、m2の検出精度を高くすることができる。
【0082】
また、初期動作時及び定期的に、射出成形機を複数回繰り返して動作させ、時系列データを複数回収集した後、平均化処理を行うと、第1、第2の変量m1、m2の検出精度を一層高くすることができる。
【0083】
なお、前記加速度センサ231及び回転速度センサ241〜244以外のセンサ類においては、振動成分の変位を表す第1、第2の変量m1、m2が発生させられるようになっているが、回転速度センサ241〜244のような、振動成分の速度を表す第1、第2の変量m1、m2を発生させるセンサ類を使用したり、加速度センサ231のような、振動成分の加速度を表す第1、第2の変量m1、m2を発生させるセンサ類を使用したりすることができる。
【0084】
また、振動成分の変位を表す第1、第2の変量m1、m2を発生させるセンサ類としては、圧電式、静電容量式、サーボ式、歪ゲージ式、レーザドップラー式、超音波式、レーザ干渉式、電磁誘導式、エンコーダ式等の変位計を使用することができる。振動成分の速度を表す第1、第2の変量m1、m2を発生させるセンサ類としては、圧電式、静電容量式、サーボ式、歪ゲージ式、レーザドップラー式等の速度計を、振動成分の加速度を表す第1、第2の変量m1、m2を発生させるセンサ類としては、圧電式、静電容量式、サーボ式、歪ゲージ式等の加速度計を使用することができる。
【0085】
このように、第1、第2の変量m1、m2を発生させるために、各種のセンサ類を使用することができる。そのために、機械的計測方法、電気的計測方法、磁気的計測方法、光学的計測方法、音波式計測方法等の各種の計測方法が使用される。
【0086】
また、本実施の形態においては、駆動部を駆動した状態で第1、第2の変量m1、m2を発生させるようにしているが、射出成形機が停止している状態で、ハンマー等によって射出成形機の所定の箇所に衝撃を与えた際の、第1、第2の検出部により第1、第2の変量を発生させることができ、その場合、該第1、第2の変量に基づいて伝達特性を判定することができる。その結果、不要な外乱を最も少なくすることができるので、最も精度よく伝達特性を判定することができる。この場合、衝撃を与える箇所によって信号入力部が、衝撃によって信号が構成される。
【0087】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施の形態における状態監視装置の概念図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における射出成形機の制御回路を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における入力信号及び出力信号の波形図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるボード線図位相曲線を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における周波数応答を示す波形図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるボード線図ゲイン曲線を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
69 射出用モータ
77 可塑化移動用モータ
96 型締用モータ
112 突出し用モータ
122 型厚モータ
201 制御部
m1、m2 第1、第2の変量
P1、P2 第1、第2の検出部
Rt 伝達経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)成形機を運転するために駆動される駆動部と、
(b)該駆動部の駆動に伴い、第1の変量を検出する第1の検出部と、
(c)前記駆動部の駆動に伴い、第2の変量を検出する第2の検出部と、
(d)前記第1、第2の変量に基づいて、第1、第2の検出部間の伝達経路における伝達特性を判定する伝達特性判定処理手段とを有することを特徴とする成形機の状態監視装置。
【請求項2】
(a)成形機の所定の箇所にあらかじめ設定され、信号が入力される信号入力部と、
(b)該信号入力部への信号の入力に伴い、第1の変量を検出する第1の検出部と、
(c)前記信号入力部への信号の入力に伴い、第2の変量を検出する第2の検出部と、
(d)前記第1、第2の変量に基づいて、第1、第2の検出部間の伝達経路における伝達特性を判定する伝達特性判定処理手段とを有することを特徴とする成形機の状態監視装置。
【請求項3】
前記第1、第2の検出部は、機械的な接続、及び電気的な接続のうちの少なくとも一方の形態で互いに接続される請求項1又は2に記載の成形機の状態監視装置。
【請求項4】
前記伝達特性は、周波数ごとの位相差で表される請求項1又は2に記載の成形機の状態監視装置。
【請求項5】
前記伝達特性は、周波数ごと、時間ごと、又は成形ショットごとのゲインで表される請求項1又は2に記載の成形機の状態監視装置。
【請求項6】
前記第1、第2の検出部は、機械的計測方法、電気的計測方法、磁気的計測方法、光学的計測方法及び音波式計測方法のうちの少なくとも一つの計測方法を使用することによって、前記第1、第2の変量を検出する請求項1又は2に記載の成形機の状態監視装置。
【請求項7】
前記伝達特性の基準値及び実績値に基づいて成形機に異常が発生したかどうかを判断する異常監視処理手段を有する請求項1又は2に記載の成形機の状態監視装置。
【請求項8】
あらかじめ設定された間隔ごとに同じ動作が行われることによって、前記伝達特性が判定される請求項1又は2に記載の成形機の状態監視装置。
【請求項9】
(a)成形機を運転するために駆動部を駆動し、
(b)該駆動部の駆動に伴い、第1の変量を検出し、
(c)前記駆動部の駆動に伴い、第2の変量を検出し、
(d)前記第1、第2の変量に基づいて第1、第2の検出部間の伝達経路における伝達特性を判定することを特徴とする成形機の状態監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−272560(P2006−272560A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90513(P2005−90513)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】