説明

成膜方法及び発光装置の作製方法

【課題】材料の利用効率が高く、膜厚及び膜質の均一性が高い膜を形成する成膜方法を提供する。
【解決手段】蒸着源基板の一主表面上に蒸着材料を含むバインダ材料層を形成し、該バインダ材料層と一主表面が対向するように被成膜基板を配置し、蒸着源基板の裏面を加熱処理することでバインダ材料層中の蒸着材料を加熱して昇華等させることで、被成膜基板に蒸着材料の層を形成する。蒸着材料を低分子材料とし、バインダ材料を高分子材料とすることで、粘度の調整が容易であり、従来よりも高いスループットで成膜することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に膜を形成する成膜方法に関する。また、該成膜方法により作製した有機化合物を含む層を発光層とする発光装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイに関する技術の進歩が目覚ましい。代表的なフラットパネルディスプレイとして、液晶表示装置と発光装置が挙げられる。
【0003】
液晶表示装置は、マトリクス状に配置された液晶素子によりバックライトからの光の透過率を画素毎に制御して動作する。発光装置は、マトリクス状に配置された自発光型の発光素子の点灯又は非点灯を画素毎に制御して動作する。発光装置は液晶表示装置と比較して数々のメリットがある。まず、発光装置に設けられた発光素子は自ら発光するために視認性が高く、バックライトが不要なため薄型化に最適であり、視野角に制限がない。更には光の利用効率が高いため消費電力が低く、応答速度も高い。そのため発光素子を用いた発光装置は、陰極線管を用いた表示装置や液晶表示装置に代わる表示装置として注目されている。このようなメリットを有する発光装置は、携帯電話やデジタルスチルカメラ等の電子機器に搭載され、徐々に実用化され始めている。
【0004】
発光装置は、パッシブマトリクス型(単純マトリクス型)とアクティブマトリクス型(アクティブマトリクス型)に大別できる。アクティブマトリクス型はビデオ信号の入力後も発光素子への電流の供給をある程度維持することができるので、パネルの大型化及び高精細化に柔軟に対応することができ、主流となりつつある。アクティブマトリクス型発光装置における画素の構成は様々なものがあり、それぞれに特色のある技術的工夫が凝らされているが、少なくとも、発光素子へのビデオ信号の入力を制御する薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)、及び該発光素子に電流を供給するためのTFTが各画素に設けられている。
【0005】
発光素子は、一対の電極間に有機化合物を含む層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子及び陽極から注入された正孔が有機化合物を含む層の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光すると考えられている。励起状態には、一重項励起と三重項励起が知られており、どちらの励起状態を経ても発光は可能であると考えられている。
【0006】
有機化合物を含む層は、代表的には「正孔輸送層、発光層、電子輸送層」の積層構造を有している。また、有機化合物を含む層を形成するEL(Electro Luminescence)材料は低分子(モノマー系)材料と高分子(ポリマー系)材料に大別される。高分子材料は湿式成膜法であるスピンコート法、印刷法又はインクジェット法等により成膜されることが多く、低分子材料は乾式成膜法である真空蒸着法により成膜されることが多い。低分子材料は精製が容易であるため不純物が混入しにくい。そのため、低分子材料のEL材料を用いることで、寿命が長く、且つ信頼性の高い発光装置を作製することができる。
【0007】
しかし、低分子材料を真空蒸着法により成膜すると、EL材料の利用効率が約1%以下と極めて低く、EL材料は非常に高価であるため、発光装置の製造コストの削減を図る上で阻害要因となる。そこで低分子材料の利用効率を向上させる技術は非常に注目されている。このような技術として、例えば非特許文献1が挙げられる。
【非特許文献1】Changhun Chriss Hwang,Plane Source and In−line Deposition System for OLED Manufacturing,SID 06 DIGEST,p1567−p1570
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、膜を形成するに際して、材料の利用効率の向上により製造コストを抑えつつ膜厚及び膜質が均一な膜を形成する、スループットに優れた成膜方法を提供するものである。特に、成膜の均一性は、膜厚のバラツキの範囲を3%未満とすることを課題とする。
【0009】
有機化合物を含む層の成膜に用いる従来の蒸着装置は、回転可能な基板ホルダと、蒸着するEL材料を封入した坩堝(又は蒸着ボート)と、蒸発又は昇華するEL材料の上昇を防止するシャッターと、坩堝内のEL材料を加熱するヒーターと、を有する。蒸着によるEL材料の成膜は真空中(多くの場合、高真空中)で行い、まず基板ホルダに基板を設置し、ヒーターによりEL材料を加熱して蒸発又は昇華させることで、回転する基板にEL材料を成膜することにより行う。このとき、均一に成膜するためには、基板と坩堝の間隔を大きくする必要があった。基板と坩堝の間隔は、例えば、第1世代である300mm×360mmのガラス基板を用いる場合であっても1m以上必要であり、基板サイズが大きくなるにつれ、この間隔も大きくする必要がある。このように基板と坩堝の間隔を大きくすると、成膜速度が低下する。また、成膜室が広くなるため、成膜室内の排気に要する時間も長くなるという問題がある。
【0010】
また、従来の蒸着装置を用いた有機化合物を含む層の成膜方法では、蒸発又は昇華したEL材料の多くが蒸着装置の成膜室内の内壁、シャッター、又は防着シールドに付着してしまっていた。ここで、防着シールドとは、蒸着材料が成膜室の内壁に付着することを防ぐための保護板である。そのため、成膜室内の内壁、シャッター、及び防着シールドの付着物を除去するためにクリーニング等のメンテナンスが定期的に必要である。このようなメンテナンス時には、製造ラインの一部を停止しなければならないため、製造効率を低下させる原因となっていた。
【0011】
また、従来の蒸着装置を用いた有機化合物を含む層の成膜方法では、蒸着材料が蒸発又は昇華を開始してすぐに成膜を行うのではなく、厚さが均一な膜を得るために、蒸着速度が安定した後にシャッターを開けて基板への蒸着を開始する。ここで、蒸着速度が安定したか否かは膜厚モニタを用いて測定する。従って、蒸着速度が安定するまでに要する時間及び蒸着材料の双方にロスが生じ、製造効率の低下を招いている。
【0012】
加えて、従来の蒸着装置を用いた有機化合物を含む層の成膜方法では、基板の中央部と周縁部で蒸着源からの距離が異なるため、基板の中央部と周縁部で成膜された膜の厚さが異なるという問題がある。これは、基板と蒸着源(坩堝)の間隔が大きくなり、基板サイズが大きくなるほど顕著である。
【0013】
さらに、従来の蒸着装置を用いた有機化合物を含む層の成膜方法では、基板を回転させるため、大面積基板の処理には不向きである。
【0014】
また、有機化合物を含む層の成膜に用いる従来の蒸着装置では成膜室が広くなってしまうため、一のチャンバーを成膜室として用いてEL層の積層成膜を行おうとする場合、第1のEL層を成膜した後、第2のEL層の成膜を行うと、第2のEL層内に第1のEL層の材料が混入する恐れがある。
【0015】
本発明は、有機化合物を含む層の成膜に際して、製造コストを抑えつつ基板の処理時間を短縮し、蒸着材料の利用効率を向上させ、有機化合物を含む層を積層して成膜するに際して材料が混入する問題を解決することを課題とする。
【0016】
更に、本発明は、大面積基板を用いるに際しても膜厚及び膜質が均一な成膜を行うことをも課題とする。本発明を適用する基板のサイズとしては、例えば、320mm×400mm、370mm×470mm、550mm×650mm、600mm×720mm、680mm×880mm、1000mm×1200mm、1100mm×1250mm、1150mm×1300mm、1500mm×1800mm、1900mm×2200mm、2160mm×2460mm、2400mm×2800mm、又は2850mm×3050mm等を用いればよい。
【0017】
また、本発明は発光装置の作製方法の提供も課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一は、蒸着材料と、該蒸着材料よりも分子量の大きい材料との混合物を作製し、この混合物と一主表面が対向するように基板を配置し、混合物に対して加熱処理することで基板の表面に蒸着材料を含む層を形成する成膜方法である。
【0019】
なお、本明細書中において、「蒸着材料よりも分子量の大きい材料」の「分子量」とは、成膜後におけるものをいう。分子量は、例えば、飛行時間型の質量分析法を用いて計測することができる。
【0020】
本発明の一は、第1の基板の一主表面上に蒸着材料を有するバインダ材料層を形成し、該バインダ材料層と一主表面が対向するように第2の基板を配置し、第1の基板の該主表面の裏面を加熱処理することでバインダ材料層中の蒸着材料を蒸発又は昇華し、該第2の基板に蒸着材料層を形成する成膜方法である。なお、1回の成膜処理で加熱する面積は第1の基板の面積と同程度とする。
【0021】
なお、蒸着材料の成膜時には蒸着材料は必ずしも液体又は気体の状態を経ることなく、固体の状態で成膜されていてもよい。従って、成膜に際して、蒸着材料は必ずしも蒸発又は昇華されていなくともよい。本明細書中において、蒸着材料が蒸発又は昇華する場合、又は蒸着材料が蒸発又は昇華される場合には、このような固体の状態で成膜される場合を含むものとする。
【0022】
本発明の一は、第1の基板の一主表面上に蒸着材料を有するバインダ材料層を選択的に形成し、該バインダ材料層と一主表面が対向するように第2の基板を配置し、第1の基板の該主表面の裏面を加熱処理することでバインダ材料層中の蒸着材料を蒸発又は昇華し、該第2の基板に蒸着材料層を選択的に形成する成膜方法である。なお、1回の成膜処理で加熱する面積は第1の基板の面積と同程度とする。
【0023】
本発明の一は、第1の基板の一主表面上に熱伝導層を選択的に形成し、該熱伝導層上に蒸着材料を有するバインダ材料層を形成し、第1の基板の該主表面と対向するように第2の基板の一主表面を配置し、第1の基板の該主表面の裏面を加熱処理することでバインダ材料層中の蒸着材料が蒸発又は昇華し、該第2の基板上に蒸着材料の材料層を選択的に形成する成膜方法である。なお、1回の成膜処理で加熱する面積は第1の基板の面積と同程度とする。
【0024】
本発明の一は、第1の基板の一主表面上に蒸着材料を有するバインダ材料層を形成し、該バインダ材料層と一主表面が対向するように第2の基板を配置し、所望のパターンを有する開口部が設けられたマスクを第1の基板と第2の基板の間に配置し、第1の基板の裏面を加熱処理することでバインダ材料層中の蒸着材料を蒸発又は昇華し、第2の基板上に蒸着材料層を選択的に形成する成膜方法である。なお、1回の成膜処理で加熱する面積は第1の基板の面積と同程度とする。
【0025】
上記構成の本発明において、第1の基板と第2の基板は各々の一主表面が対向していればよく、これらの水平面に対する角度は特に限定されない。そのため、本発明に用いる成膜装置はフェイスアップ方式でもよいし、フェイスダウン方式でもよいが、好ましくは基板縦置き方式とする。基板縦置き方式とは、第1の基板の一主表面とこれに対向して配置される第2の基板の一主表面を、水平面に対して概ね垂直に配置する方式である。ここで、概ね垂直とは、70°以上110°以下をいう。
【0026】
上記構成の本発明において、蒸着材料とバインダ材料との混合層表面と、被成膜基板である第2の基板の被成膜面は互いに平行となるように配置することが好ましい。
【0027】
本発明に用いる成膜装置は、第1の基板表面に設けられた蒸着材料とバインダ材料との混合層の表面と、被成膜基板である第2の基板の被成膜面との間隔を表す距離dは、0mm以上100mm以下とすることが好ましく、より好ましくは0mm以上10mm以下とする。
【0028】
なお、距離dは、第1の基板上の蒸着材料とバインダ材料との混合層の表面と、第2の基板の表面との距離で定義するものとする。ただし、第2の基板上に何らかの膜(例えば、電極として機能する導電膜又は隔壁等)が形成され、第2の基板表面に凹凸を有する場合、距離dは、第1の基板上の蒸着材料とバインダ材料との混合層の表面と、第2の基板に形成された層の最表面、即ち、これらの膜(導電膜又は隔壁等)の表面との距離で定義するものとする。
【0029】
上記構成の本発明において、加熱処理は、熱源を第1の基板に接近させる方法、又はランプにより第1の基板に光を照射する方法により行う。
【0030】
上記構成の本発明において、加熱処理の温度は、蒸着材料の蒸発温度又は昇華温度を超えて、蒸着材料の蒸発温度又は昇華温度より50℃を超えない範囲でできるだけ高く設定することが好ましい。加熱処理の温度を蒸着材料の蒸発温度又は昇華温度を超える温度とすることで、蒸着材料を蒸発させ、又は昇華させることができる。また、加熱処理の温度を蒸着材料の蒸発温度又は昇華温度より50℃を超えない範囲に設定することで、加熱により分解しやすい材料であっても、分解させることなく蒸着させることができる。加熱処理の温度が蒸着材料の蒸発温度又は昇華温度より50℃を超えると、蒸着材料が分解してしまうおそれがある。また、第1の基板と第2の基板との距離、又は被成膜基板である第2の基板の材質と厚さによっては、熱源の輻射熱の影響を緩和するために、上記の温度範囲内で低めに設定してもよい。なお、ここで加熱処理の温度は、第1の基板表面において計測したものである。
【0031】
また、蒸着材料が二種以上の物質の混合物である場合には、複数の蒸発温度又は昇華温度のうち、最も高い蒸発温度又は昇華温度以上の温度となるように加熱処理を行うことが好ましい。この場合、最も高い蒸発温度又は昇華温度を超えて50℃までの温度範囲内で高めの温度に設定することが好ましいが、蒸発温度又は昇華温度が低い方の蒸着材料の分解温度(蒸発温度又は昇華温度を含む)、被成膜基板との距離、並びに被成膜基板の材質及び厚さを考慮して、上記の温度範囲内で低め(ただし、蒸発温度又は昇華温度が最も高い物質の蒸発温度又は昇華温度以上とする)に設定してもよい。
【0032】
上記構成の本発明において、第1の基板及び第2の基板の一方又は双方は、必要に応じて冷却されていてもよい。該基板を必要に応じて冷却することで、プラスチック基板等の可撓性基板を用いることができる。更には、蒸着材料として蒸発温度又は昇華温度の異なる材料を用いることができる。冷却するためには、用いる成膜装置に冷却手段を設ければよい。
【0033】
上記構成の本発明は、真空の成膜室にて実施されることが好ましい。より具体的には、成膜室内の気圧が0.665Pa以下の成膜室にて実施することが好ましく、更に好ましくは、気圧が10−6Pa以上10−4Pa以下の成膜室にて実施される。成膜室に連結して設けられる真空排気手段は、大気圧から1Pa程度までをオイルフリーのドライポンプによる真空排気にて達成し、更に真空度を高めるためには、磁気浮上型のターボ分子ポンプ又は複合分子ポンプにより真空排気することが好ましい。成膜室には水分を除去するためにクライオポンプを併設しても良い。成膜室の内壁面は、電解研磨により鏡面処理されることで表面積が減らされ、ガスの放出量が低減されていることが好ましい。
【0034】
上記構成の本発明における第1の基板としては、石英、セラミック、サファイヤ等の酸化物基板を用いてもよいし、金、白金、銅、銀、タングステン、タンタル、チタン若しくはアルミニウム、又はこれらの合金材料からなる導電性基板を用いても良い。または、酸化物基板上に上記の導電性材料を成膜した基板等を用いても良い。または、シリコンやゲルマニウム等の半導体材料を成膜した導電性基板を用いても良い。また、透光性を有する基板(ガラス基板、石英基板、無機材料を含むプラスチック基板等)上にアモルファスシリコン膜又は微結晶シリコン膜を形成したものを第1の基板として用いてもよい。
【0035】
蒸着材料とバインダ材料との混合層を第1の基板上に形成する方法としては、蒸着法、スパッタ法、スピンコート法、印刷法、液滴吐出法(インクジェット法)、スプレー法、滴下法、又はディスペンス法等を用いる。なお、液滴吐出法とは噴出も含むものとする。
【0036】
上記構成の本発明において、混合層は蒸着材料と、蒸着材料より分子量の大きい物質とにより形成される。好ましくは蒸着材料に低分子材料を用い、バインダ材料に高分子材料を用いる。
【0037】
上記構成の本発明において、バインダ材料層を形成するバインダ材料としては、湿式法により成膜が可能なものであれば、特定の材料に限定されない。バインダ材料としては、例えば、アクリル又はポリイミド等でもよいし、高分子材料のEL材料であってもよい。高分子材料のEL材料としては、例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)やポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)が挙げられる。
【0038】
上記構成の本発明において、蒸着材料としては、銅フタロシアニン(CuPc)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(DNTPD)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、又は3−(2−ベンゾシアゾール)−7−(ジエチルアミノ)クマリン(略称:クマリン6)等を用いることができる。
【0039】
上記構成の本発明において、二種以上の蒸着材料を用いて共蒸着を行うことも可能である。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸着源から同時に蒸発又は昇華させる蒸着法である。
【0040】
また、蒸着材料とバインダ材料との混合層が形成された第1の基板と、被成膜基板である第2の基板の間に、所望のパターンの開口部が設けられたマスクを配置しても良い。このようなマスクを用いることによって、成膜を選択的に行うことができる。特に、本発明では、第1の基板上に設けられた蒸着材料とバインダ材料との混合層と、被成膜基板である第2の基板との間隔が狭いため、蒸着方向の広がりが抑えられ、マスクの回り込み蒸着を抑えることができる。なお、マスクの回り込み蒸着とは、被成膜基板の成膜領域がマスクの開口領域よりも広くなってしまうことをいう。
【0041】
また、蒸着材料とバインダ材料との混合層が設けられた第1の基板においては、導電性基板上に形成した導電性の材料層又は酸化物基板上に形成した導電性の材料層を選択的に除去することで、これらの材料層のパターンを形成していても良い。
【0042】
本発明は、基板に対して広い面積で均一な加熱を行い、1回の加熱で1枚の基板への成膜処理を行うことが好ましい。また、第1の基板の面積を大きくすることも可能である。また、第1の基板の面積を拡大する場合には、それに従って加熱範囲も拡大させる。
【0043】
本発明の一は、第1の基板の一主表面に、EL材料と該EL材料よりも分子量の大きい材料との混合層を形成し、混合層と対向するように第1の電極を有する第2の基板を配置し、該第1の基板の他方の表面を加熱して該EL材料を蒸発又は昇華させ、該第1の電極上にEL材料層を形成し、該EL材料層上に第2の電極を形成する発光装置の作製方法である。
【0044】
なお、本発明は、様々な膜の形成に適用することができる。例えば、有機トランジスタを作製するに際して、有機トランジスタの活性層となるペンタセンの形成に本発明の成膜方法を適用しても良い。
【発明の効果】
【0045】
本発明を用いることで、蒸着源と被成膜基板の距離を小さくすることができる。そのため、膜を形成するに際して、材料の飛散を抑制し、材料の利用効率が劇的に向上し、加えてメンテナンス間隔を長くとることができる。更には成膜速度が向上するため、材料の消費量と処理時間を抑えることができる。これにより、スループットを向上させ、且つコストを削減することができる。
【0046】
本発明を用いることで、大面積基板を用いた場合であっても、基板の中央部と周縁部で蒸着源からの距離が概ね等しくなるため、成膜される膜の厚さ及び膜質を均一にすることができる。
【0047】
また、本発明を用いることで、蒸着材料が低分子材料であっても蒸着源の作製を真空中で行う必要がなくなり、蒸着源の作製を大気中でも行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明の実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されるものではない。本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解されるからである。したがって、本発明は以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容のみに限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて本発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。
【0049】
(実施の形態1)
本発明の成膜方法の一形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の成膜方法についての概念を示す斜視図である。
【0050】
まず、第1の基板101の一主表面上に蒸着材料103を含む第1の材料層102を形成する(図1(A)を参照。)。ここで、第1の基板101は蒸着源基板であり、第1の材料層102は蒸着材料103とバインダ材料との混合物を有する層である。バインダ材料は蒸着材料103よりも分子量の大きい物質である。
【0051】
次に、第1の基板101と対向するように、第2の基板104を配置する(図1(B)を参照。)。ここで、第2の基板104は被成膜基板である。第2の基板104は、第1の基板101上に形成された第1の材料層102と対向して配置される。第1の材料層102の表面と第2の基板104の表面は、距離dだけの間隔をとって配置される。ここで、距離dは、0mm以上100mm以下とすることが好ましく、より好ましくは0mm以上10mm以下とする。
【0052】
なお、距離dは、第1の基板上の蒸着材料を含んだバインダ材料層の表面と、第2の基板の表面との距離で定義するものとする。ただし、第2の基板上に何らかの膜(例えば、電極として機能する導電膜又は隔壁等)が形成され、第2の基板表面に凹凸を有する場合、距離dは、第1の基板上の蒸着材料を含んだバインダ材料層の表面と、第2の基板に形成された層の最表面、即ち、これらの膜(導電膜又は隔壁等)の表面との距離で定義するものとする。
【0053】
第1の材料層102の表面と、被成膜基板である第2の基板104の被成膜面は互いに平行となるように配置することが好ましい。第1の基板101がフラットであり、第1の材料層102の膜厚が均一であれば、蒸着源基板である第1の基板101と被成膜基板である第2の基板104を互いに平行となるように配置すればよい。
【0054】
第1の基板101と第2の基板104は各々の一主表面が対向していればよく、これらの基板の水平面に対する角度は特に限定されない。即ち、本発明に用いる成膜装置はフェイスダウン方式でもよいし、フェイスアップ方式でもよいし、基板縦置き方式でもよい。
【0055】
なお、フェイスダウン方式とは、被成膜基板の一主表面である被成膜面が水平面を基準として下方を向くように配置される方式である(図2(A)及び図3(A)を参照。)。フェイスアップ方式とは、フェイスダウン方式とは逆に、被成膜基板の一主表面である被成膜面が水平面を基準として上方を向くように配置される方式である(図2(B)及び図3(B)を参照。)。基板縦置き方式とは、蒸着源基板の一主表面とこれに対向して配置される被成膜基板の一主表面を、水平面に対して概ね垂直に配置する方式である(図2(C)及び図3(C)を参照。)。ここで、概ね垂直とは、70°以上110°以下の角度をいう。
【0056】
フェイスアップ方式では、被成膜基板をフラットな台に載せ、或いは複数のピンで支持するため、主に基板の自重によって生じる基板の撓みを低減し、又はなくすことができる。従って、基板の中央部と周縁部における膜厚のばらつきを低減し、又はなくすことができ、基板全面において均一な膜厚を得ることができる。
【0057】
基板縦置き方式では、被成膜基板を水平面に対して垂直に配置する。該基板の自重が一主表面の面内方向に作用し、主に基板の自重によって生じる基板の撓みを低減し、又はなくすことができる。従って、基板の中央部と周縁部における膜厚のばらつきを低減し、又はなくすことができ、基板全面において均一な膜厚を得ることができる。
【0058】
従って、本発明はフェイスアップ方式又は基板縦置き方式を用いることが好ましい。
【0059】
なお、図2(B)又は(C)においては、基板支持手段124又は基板支持手段134が第1の基板101を支持している。基板支持手段124及び基板支持手段134は第1の材料層102に接しているが、これに限定されるものではない。基板支持手段124又は基板支持手段134が接する箇所に存在する第1の材料層102を除去することが好ましい。第1の材料層102の除去は、ドライエッチング(例えばOプラズマによるエッチング)若しくはウエットエッチング等のエッチング工程、又は有機溶媒による拭取りによって行えばよい。また、第1の材料層102の形成にスピンコート法を用いた場合には、第1の基板101の裏面又は側面等に第1の材料層102が付着している場合があるため、この工程でともに拭取りにより除去することが好ましい。
【0060】
そして、第1の基板101を加熱処理することにより、第1の基板101の一主表面上に設けられた第1の材料層102から蒸着材料103を蒸発又は昇華させる。蒸発又は昇華した蒸着材料103により、第2の基板104上に第2の材料層105が形成される(図1(C)を参照。)。加熱処理は、第1の基板101の全面を加熱するように行う。なお、第2の材料層105は、第1の材料層102の厚さよりも薄く形成される。
【0061】
上記構成の本発明において、加熱処理の温度は、蒸着材料の蒸発温度又は昇華温度を超えて、蒸着材料の蒸発温度又は昇華温度より50℃を超えない範囲で高く設定することが好ましい。また、第1の基板と第2の基板との距離、又は被成膜基板である第2の基板の材質と厚さによっては、熱源の輻射熱の影響を緩和するために、上記の温度範囲内で低めに設定してもよい。
【0062】
また、蒸着材料が二種以上の物質の混合物である場合は、複数の物質の蒸発温度又は昇華温度のうち、最も高い蒸発温度又は昇華温度以上の温度となるよう、加熱処理を行うことが好ましい。この場合、蒸発温度又は昇華温度が最も高い物質の蒸発温度又は昇華温度を超えて50℃までの温度範囲内で高めの温度に設定することが好ましいが、蒸発温度又は昇華温度が低い物質の分解温度(蒸発温度又は昇華温度を含む)、被成膜基板との距離、被成膜基板の材質及び厚さを考慮して、上記温度範囲内で低めの温度(ただし、蒸発温度又は昇華温度が最も高い物質の蒸発温度又は昇華温度以上とする)に設定してもよい。
【0063】
加熱処理は、熱源を第1の基板101に接近させる方法、又はランプにより第1の基板101に光を照射する方法により行う。これらについて以下に説明する。
【0064】
まず、熱源を第1の基板101の裏面に接近させて加熱処理を行う場合について説明する。ここで、第1の基板101の裏面とは、第1の基板101の一主表面であって、第1の材料層102が形成されていない面をいう。この場合には、第1の基板101が均一に加熱されるように、熱源と第1の基板101は広い面積で接することが好ましい。熱源は基本的には所定の温度で一定となるように設定する。しかし、タクト時間に影響のない範囲での温度の上げ、下げを含む温度制御をしてもよい。
【0065】
熱源を第1の基板101に近接させると、直接的な熱伝導により短時間で第1の基板101上の第1の材料層102を加熱して蒸発又は昇華させることができ、対向して配置された第2の基板104の一主表面である被成膜面に蒸着材料が成膜され、第2の材料層105が形成される。このとき、第2の材料層105の膜厚均一性は3%未満とすることができる。第1の材料層102の膜厚が均一であり、且つ蒸着材料103が第1の材料層102中に均一に分散していれば、膜厚モニタを設置しなくとも、第2の材料層105は厚さ及び膜質を均一に形成することができる。
【0066】
また、従来の成膜方法では成膜中に被成膜基板を回転させていたため、回転に起因した基板の損傷が生じる恐れがあった。しかし、本発明では被成膜基板である第2の基板104を回転させないため、第2の基板104として、ガラス基板等の損傷しやすい基板を用いても歩留まりが低下しないという利点がある。
【0067】
また、待機時の熱源の輻射による第1の基板101及び第1の材料層102への熱の影響を緩和するために、熱源は第1の基板101から十分に離し、更には熱源と第1の基板101の間に開閉式のシャッターを設け、加熱処理時のみ第1の基板101に近接する構成とすることが好ましい。熱源と第1の基板101を隔離するためにシャッターを用いることで、成膜装置を小型化することができる。
【0068】
また、加熱処理は熱源を第1の基板101に接近させる方法のみならず、ランプを用いて第1の基板101に光を照射する方法によって行っても良い。この場合には、第1の基板101の裏面に光を照射するようにランプを設置すればよい。ここで、第1の基板101の裏面とは、第1の基板101の一主表面であって、第1の材料層102が形成されていない面をいう。
【0069】
ランプとしては、フラッシュランプ(キセノンフラッシュランプ、クリプトンフラッシュランプ等)、キセノンランプ、メタルハライドランプに代表される放電灯、ハロゲンランプ、タングステンランプに代表される発熱灯を用いることができる。フラッシュランプは短時間(0.1ミリ秒以上10ミリ秒以下)で非常に強度の高い光を繰り返し、大面積に照射することができるため、第1の基板101の面積にかかわらず、効率よく均一に加熱することができる。また、発光させる時間の間隔を変えることによって第1の基板101の加熱の制御もできる。また、フラッシュランプは寿命が長く、発光待機時の消費電力が低いため、ランニングコストを低く抑えることができる。また、フラッシュランプを用いることにより急加熱が容易となり、ヒーター等を用いた場合の上下機構やシャッター等を簡略化できる。従って、成膜装置を更に小型化できる。ただし、第1の基板101の材料応じて加熱温度を調整できるように、フラッシュランプが上下移動できるような機構としても良い。
【0070】
ここで、本発明の成膜方法を実現することのできる成膜室について、図2乃至図4を参照して説明する。図2は、熱源がヒーター等である場合の成膜室の断面を示す。
【0071】
図2(A)はフェイスダウン方式の成膜室の断面を示す。熱源116を有する成膜室111は、第1のゲート弁112及び第2のゲート弁113を介して、隣接する搬送室又はロード室等に連結される。第1の材料層102が形成された第1の基板101は第1の基板支持手段114により支持されている。なお、図示していないが第1の材料層102は蒸着材料103を有する。被成膜基板である第2の基板104は、第2の基板支持手段115により、第1の材料層102の表面からの間隔距離がdとなるように保持される。熱源116は第1の基板101に接近することで加熱処理を行う構成であっても良いし、熱源116と第1の基板101の間に断熱可能なシャッターを設け、該シャッターの開閉により加熱の制御を行っても良い。このようなシャッターを設けることで、成膜室111の更なる小型化が可能となり、真空排気に要する時間が削減され、消費エネルギーも削減されるため、スループットの更なる向上とコストの削減が可能になる。
【0072】
図2(B)はフェイスアップ方式の成膜室の断面を示す。熱源126を有する成膜室121は、第1のゲート弁122及び第2のゲート弁123を介して、隣接する搬送室又はロード室等に連結される。第1の材料層102が形成された第1の基板101は第1の基板支持手段124により支持されている。なお、図2(A)と同様、第1の材料層102は蒸着材料103を有する。被成膜基板である第2の基板104は、第2の基板支持手段125により、第1の材料層102の表面からの間隔距離がdとなるように保持される。熱源126と第1の基板101の間には、図2(A)にて説明したようにシャッターを設けることが好ましい。このようにシャッターを設ける構成にすることで、スループットの更なる向上とコストの削減が可能になる。
【0073】
図2(C)は基板縦置き方式の成膜室の断面を示す。熱源136を有する成膜室131は、図示されていないが、図2(A)及び図2(B)と同様にゲート弁を介して、隣接する搬送室又はロード室等に連結される。第1の材料層102が形成された第1の基板101は第1の基板支持手段134により支持されている。なお、図2(A)及び(B)と同様、第1の材料層102は蒸着材料103を有する。被成膜基板である第2の基板104は、第2の基板支持手段135により、第1の材料層102の表面からの間隔距離がdとなるように保持される。熱源136と第1の基板101の間には、図2(A)にて説明したようにシャッターを設けることが好ましい。このようにシャッターを設ける構成にすることで、スループットの更なる向上とコストの削減が可能になる。
【0074】
図3は、熱源がランプである場合の成膜室の断面を示す。熱源がランプであることを除いて、図2と同様であるので詳しい説明は省略する。図3(A)に示す成膜室118は、熱源としてランプ110を有し、図3(B)に示す成膜室128は、熱源としてランプ120を有し、図3(C)に示す成膜室138は、熱源としてランプ130を有している。熱源としてランプを用いることで、シャッターを設けずとも成膜室の小型化が可能になり、スループットの更なる向上とコストの削減が可能になる。
【0075】
また、第1の基板101及び第2の基板104は、必要に応じて冷却されてもよい。これらの基板を必要に応じて冷却することで、プラスチック基板等の可撓性基板を用いることができる。更には、蒸着材料として、蒸発温度又は昇華温度の異なる材料を用いることができる。つまり、共蒸着する場合にも本発明を用いることができる。基板を冷却するためには、図4に示すように、成膜装置に冷却手段140を設ければよい。
【0076】
蒸着材料として二種以上の材料を共蒸着する場合には、共蒸着する材料の蒸発温度又は昇華温度のうち、最も高い温度以上の温度となるよう、加熱処理を行うことが好ましい。この場合、最も高い温度を超えて50℃の温度範囲内で高めの温度に設定することが好ましいが、蒸発温度又は昇華温度の低い材料の分解温度や、被成膜基板との距離や、被成膜基板の材質及び厚さを考慮して、上記温度範囲内で低めの温度(ただし、最も高い蒸発温度又は昇華温度以上)に設定してもよい。例えば、第2の材料層105が有機EL素子の発光層である場合、共蒸着を用いることで、該発光層を、有機化合物でなる発光材料と、ホスト材料と、を含む層のように複数の化合物を混合した層とすることができる。また、共蒸着を行う場合、複数の蒸着材料の比率の調整は、バインダ材料の前駆体となる溶液中における各蒸着材料の濃度を調整することにより行うことができる。そのため、真空で行う共蒸着により濃度の調整を行う従来の場合と比較して、濃度の調整が非常に容易になるという利点がある。
【0077】
また、図2乃至図4に示す成膜室内は真空排気されている。より具体的には、成膜室内の気圧が0.665Pa以下の成膜室にて実施されることが好ましく、更に好ましくは、気圧が10−6Pa以上10−4Pa以下の成膜室にて実施される。成膜室に連結して設けられる真空排気手段は、大気圧から1Pa程度までをオイルフリーのドライポンプによる真空排気にて達成し、更に真空度を高めるためには、磁気浮上型のターボ分子ポンプ又は複合分子ポンプにより真空排気する。成膜室には水分を除去するためにクライオポンプを併設しても良い。こうして排気手段からの有機物(油等)による汚染を防止することができる。成膜室の内壁面は、電解研磨により鏡面処理されることで表面積が減らされ、ガスの放出量が低減されていることが好ましい。
【0078】
ここで、本実施の形態にて用いた、蒸着源基板である第1の基板101、バインダ材料層である第1の材料層102、蒸着材料103、被成膜基板である第2の基板104、及び第2の材料層105について説明する。
【0079】
蒸着源基板である第1の基板101としては、石英、セラミック、サファイヤ等の酸化物基板を用いてもよいし、金、白金、銅、銀、タングステン、タンタル、チタン若しくはアルミニウム又はこれらの合金材料からなる導電性基板を用いても良い。または、酸化物基板上に上記の導電性材料を成膜した基板等も用いることができる。または、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)等の半導体材料を成膜した導電性基板も用いることができる。加熱処理に必要な耐熱性等を有していればよく、特定のものに限定されない。
【0080】
また、透光性を有する基板(ガラス基板、石英基板、無機材料を含むプラスチック基板等)上にアモルファスシリコン膜又は微結晶シリコン膜を形成したものを第1の基板として用いてもよい。アモルファスシリコン膜又は微結晶シリコン膜を形成すると、フラッシュランプ等を用いた加熱処理により光が効率よく吸収されるため、第1の基板101上の第1の材料層102を均一に加熱することができる。
【0081】
被成膜基板である第2の基板104は、必要な耐熱性を有していて表面に絶縁性を有する基板であれば特定のものに限定されない。例えば、ガラス基板、石英基板、絶縁膜を形成したステンレス基板等が挙げられる。また、加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有するプラスチック基板を用いても良い。
【0082】
蒸着材料とバインダ材料との混合層である第1の材料層102を第1の基板101上に形成する方法としては、蒸着法、スパッタ法、スピンコート法、印刷法、液滴吐出法(インクジェット法)、スプレー法、滴下法、又はディスペンス法等を用いる。なお、液滴吐出法とは噴出も含むものとする。
【0083】
なお、蒸着源基板の作製工程(第1の基板101表面に第1の材料層102を形成する工程)は真空中で行う必要がなく、蒸着材料が低分子材料であっても高分子材料と同様に蒸着源を作製でき、蒸着源の作製を大気中でも行うことができる。
【0084】
なお、本実施の形態において、第1の材料層102は蒸着材料と蒸着材料よりも分子量の大きい材料であるバインダ材料との混合物により形成する。好ましくは、蒸着材料には低分子材料を用い、バインダ材料には高分子材料を用いる。高分子材料は粘度の調整が容易であるため、用途に応じてバインダ材料の前駆体となる溶液の粘度を自由に調整できる。例えば、液滴吐出法により第1の材料層102が形成される場合、バインダ材料の前駆体となる溶液の粘度を高めることで、被成膜面上にバインダ材料が拡がらず、微細なパターンを形成することができる。そのため、蒸着源基板を湿式法によって作製することができる。
【0085】
バインダ材料の粘度の調整は、高分子材料の分子量を調整する、又はバインダ材料である高分子材料と蒸着材料である低分子材料の比率を変えることで実現することができる。一般に、高分子材料の比率が高くなると、混合物の粘度が高くなる。
【0086】
バインダ材料としては、湿式法により成膜が可能なものであれば、特に限定されない。例えば、アクリル又はポリイミド等を用いてもよいし、高分子材料のEL材料を用いてもよい。高分子材料のEL材料としては、例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)やポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)が挙げられる。
【0087】
蒸着材料としては、銅フタロシアニン(CuPc)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(DNTPD)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、又は3−(2−ベンゾシアゾール)−7−(ジエチルアミノ)クマリン(略称:クマリン6)等を用いることができる。
【0088】
また、本実施の形態では第1の材料層102が第1の基板101の全面に形成された場合について説明したが、第1の材料層102は選択的に形成されても良い。この場合には、蒸着に際して、蒸着源基板である第1の基板101と、被成膜基板である第2の基板104の間に、所望のパターンの開口部が設けられたマスクを配置すればよい。特に、本発明では、第1の基板上に設けられた蒸着材料とバインダ材料との混合層と、被成膜基板である第2の基板との間隔を狭くすることができるため、蒸着方向の広がりが抑えられ、マスクの回り込み蒸着を抑えることができる。なお、マスクの回り込み蒸着とは、被成膜基板の成膜領域がマスクの開口領域よりも広くなってしまうことをいう。従来の蒸着装置を用いた成膜方法では、蒸着源と被成膜基板との間隔が1m以上であったためマスクの回り込み蒸着が生じやすく、微細なパターンの成膜が困難であったが、本発明ではこのような問題を生じることなくパターンを形成することができる。
【0089】
また、本実施の形態では被成膜基板が一である場合について説明したが、一の蒸着源基板に対向するように複数の被成膜基板を並べて配置しても良い。この場合には複数の被成膜基板と一の蒸着源基板の面積を同じ程度にする。一の蒸着源基板に対して複数の被成膜基板を設けることで、複数の被成膜基板を同時に処理することができる。
【0090】
なお、本実施の形態では、材料の利用効率を向上させるために、第1の基板と第2の基板の間隔を狭くしている(距離dを小さくなるように配置している)が、本発明はこれに限定されるものではない。材料の利用効率を考慮しないのであれば、第1の基板と第2の基板の間隔である距離dは100mmより大きくてもよい。
【0091】
なお、本実施の形態では、蒸着源として蒸着材料と蒸着材料より分子量の大きい材料(ここではバインダ材料)との混合層が形成された、被成膜基板と同程度の面積を有する基板を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、被成膜基板と同程度の面積を有する蒸着源でなくとも良い。膜厚の均一性が特に重要でない場合には、例えば、蒸着材料と、蒸着材料よりも分子量の大きい材料との混合物を坩堝又は蒸着ボート等に入れ、これを蒸着源として用いてもよい。
【0092】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0093】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の形態の一例であって、実施の形態1とは異なるものについて図面を参照して説明する。具体的には、混合層を蒸着源基板上に選択的に形成する場合について述べる。
【0094】
図5には、混合層を選択的に形成する場合の一例を示している。ここでは、蒸着源基板である第1の基板201上に混合層である第1の材料層202を、インクジェット法により形成する。まず、蒸着材料203と、蒸着材料203よりも分子量の大きい材料との混合層をヘッド200から吐出することで、第1の基板201の一主表面上に第1の材料層202を選択的に形成する(図5(A)を参照。)。ここで、第1の基板201は蒸着源基板として機能する。
【0095】
次に、第1の基板201と対向するように、第2の基板204を配置する(図5(B)を参照。)。ここで、第2の基板204は被成膜基板である。第2の基板204は、第1の基板201上に形成された第1の材料層202と対向して配置される。第1の材料層202の表面と第2の基板204の表面は、距離dだけの間隔をとって配置される。ここで、距離dは、0mm以上100mm以下とすることが好ましく、より好ましくは0mm以上10mm以下とする。
【0096】
なお、距離dは、第1の基板上の蒸着材料を含んだバインダ材料層の表面と、第2の基板の表面との距離で定義するものとする。ただし、第2の基板上に何らかの膜(例えば、電極として機能する導電膜又は隔壁等)が形成され、第2の基板表面に凹凸を有する場合、距離dは、第1の基板上の蒸着材料を含んだバインダ材料層の表面と、第2の基板に形成された層の最表面、即ち、これらの膜(導電膜又は隔壁等)の表面との距離で定義するものとする。
【0097】
そして、第1の基板201を加熱処理することにより、第1の基板201の一主表面上に設けられた第1の材料層202から蒸着材料203を蒸発又は昇華させる。蒸発又は昇華した蒸着材料203により、第2の基板204の一主表面上に第2の材料層205が選択的に形成される(図5(C)を参照。)。加熱処理は、第1の基板201の全面を加熱するように行う。
【0098】
また、第1の材料層202の形成方法は、液滴吐出法に限定されるものではない。例えば、スピンコーティング法により第1の材料層202を第1の基板201上の全面に形成した後に、フォトリソグラフィ法によりパターンを形成しても良い。
【0099】
なお、本実施の形態はバインダ材料層を蒸着源基板上に選択的に形成する点を除いて、実施の形態1と同様の構成である。そのため、本実施の形態は、実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0100】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の形態の一例であって、実施の形態1とは異なるものについて図面を参照して説明する。具体的には、蒸着源基板上に熱伝導層を選択的に形成し、該蒸着源基板及び該熱伝導層上にバインダ材料層を形成する場合について述べる。
【0101】
図6には、熱伝導層を選択的に形成する場合の一例を示している。ここでは、第1の基板301上に熱伝導層302を、インクジェット法により形成する。まず、熱伝導層302を形成する材料をヘッド300から吐出することで、第1の基板301の一主表面上に熱伝導層302を選択的に形成する(図6(A)を参照。)。ここで、第1の基板301は蒸着源基板として機能する。
【0102】
熱伝導層は、熱の伝導度が高い材料であれば、特に限定されない。例えば、アルミニウム等の金属を用いればよい。
【0103】
次に、熱伝導層302が形成された第1の基板301上に第1の材料層303を形成する。第1の材料層303は、蒸着材料304を含むバインダ材料層である。
【0104】
次に、第1の基板301と対向するように、第2の基板305を配置する(図6(C)を参照。)。ここで、第2の基板305は被成膜基板である。第2の基板305は、第1の基板301上に形成された第1の材料層303と対向して配置される。第1の材料層303の表面と第2の基板305の表面は、距離dだけの間隔をとって配置される。ここで、距離dは、0mm以上100mm以下とすることが好ましく、より好ましくは0mm以上10mm以下とする。
【0105】
なお、距離dは、第1の基板上の蒸着材料を含んだバインダ材料層の表面と、第2の基板の表面との距離で定義するものとする。ただし、第2の基板上に何らかの膜(例えば、電極として機能する導電膜又は隔壁等)が形成され、第2の基板表面に凹凸を有する場合、距離dは、第1の基板上の蒸着材料を含んだバインダ材料層の表面と、第2の基板に形成された層の最表面、即ち、これらの膜(導電膜又は隔壁等)の表面との距離で定義するものとする。
【0106】
そして、第1の基板301を加熱処理することにより、第1の基板301の一主表面上に設けられた第1の材料層303から蒸着材料304を蒸発又は昇華させる。蒸発又は昇華した蒸着材料304により、第2の基板305の一主表面に第2の材料層306が選択的に形成される(図6(D)を参照。)。加熱処理は、第1の基板301の全面を加熱するように行う。
【0107】
また、熱伝導層302の形成方法は、液滴吐出法に限定されるものではない。例えば、スピンコーティング法により熱伝導層302を第1の基板301上の全面に形成した後に、フォトリソグラフィ法によりパターンを形成しても良い。
【0108】
なお、熱伝導層302は、導電性基板上に形成した導電性の材料層又は酸化物基板上に形成した導電性の材料層を選択的に除去することにより形成しても良い。
【0109】
以上説明したように、第1の基板上に選択的に熱伝導層を形成し、該熱伝導層上に蒸着材料とバインダ材料との混合層を形成した場合、蒸着材料とバインダ材料との混合層を局所的に加熱して部分的な成膜を行うことが可能となる。つまり、混合層を選択的に形成することなく、蒸着材料を選択的に形成することができる。この点からも、第1の基板上に設けられた蒸着材料とバインダ材料との混合層の表面と、被成膜基板である第2の基板の被成膜面との間隔を表す距離dは小さい方が好ましい。
【0110】
なお、本実施の形態は選択的に形成される熱伝導層を蒸着源基板上に設ける点を除いて、実施の形態1と同様の構成である。そのため、本実施の形態は、実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【実施例1】
【0111】
本実施例では、本発明を実施することのできる、全自動化したマルチチャンバー方式の製造装置の例を図7及び図8に示す。
【0112】
図7は、マルチチャンバー方式の製造装置の上面図を示しており、鎖線A−Bで切断した断面が図8に相当する。
【0113】
まず、製造装置の配置について、図7を用いて説明する。第1の基板(蒸着源基板)をセットする第1ロード室401は、第1成膜室402に連結されている。また、第1成膜室402は、第1ゲート弁403を介して第1ストック室405と、第2ゲート弁404を介して第2ストック室406との両方に連結されている。また、第1ストック室405は、第3ゲート弁407を介して搬送室409と連結している。また、第2ストック室406は、第4ゲート弁408を介して搬送室409と連結している。
【0114】
第1成膜室402は、必要に応じてオゾン数をコントロールした大気環境に、あるいは酸素濃度及び露点管理された窒素雰囲気環境にできる。さらに、ホットプレートあるいはオーブンを有しており、塗布後の乾燥等を行う。また必要に応じてUVランプ等により表面洗浄や濡れ性の改善を図れる機能を有していることが好ましい。第1成膜室402は、大気圧環境で蒸着源基板上に成膜を行う成膜装置であり、第1ストック室405は、大気圧環境で成膜された蒸着源基板を格納するとともに、真空下に減圧された第2成膜室412に受け渡す室である。この構成においては所定の枚数の蒸着源基板を処理後、その都度、真空に減圧しなければならない。つまり第1ストック室405内をベント、排気に要する時間が、そのまま製造装置のスループットに影響する。そこで、図7に示すように、2系統の搬送経路を設けている。2系統の搬送経路を設けることで、効率よく複数の基板を処理して、基板一枚当りの処理時間を短縮することができる。例えば、第1ストック室405内をベント、排気している間に第1成膜室402で成膜した蒸着源基板を第2ストック室406に格納することができる。また、2系統の搬送経路に限定されず、3系統以上の搬送経路を設けてもよい。
【0115】
また、搬送室409は第5ゲート弁410を介して第2成膜室412と連結している。また、第2の基板をセットする第2ロード室411は、第5ゲート弁413を介して第2成膜室412と連結している。また、第2成膜室412は、第6ゲート弁414を介してアンロード室415と連結している。
【0116】
以下、第1の基板となる蒸着源基板を製造装置に搬入し、予め薄膜トランジスタと、陽極(第1の電極)、該陽極の端部を覆う絶縁物とが設けられた第2の基板を図7に示す製造装置に搬入し、発光装置を作製する手順を示す。
【0117】
まず、第1ロード室401に第1の基板となる蒸着源基板をセットする。複数枚の蒸着源基板を収納したカセット416を設置できるようにする。
【0118】
次いで、蒸着源基板を第1成膜室402内のステージ418上に搬送ロボット417で搬送する。第1成膜室402では、スピンコート法を用いた塗布装置により、蒸着源基板上に材料層を形成する。なお、スピンコート法を用いた塗布装置に限定されず、スプレー法、インクジェット法等を用いた塗布装置を用いることができる。また、必要に応じて蒸着源基板表面をUV処理する。また、焼成する必要がある場合は、ホットプレート422で行う。図8に第1成膜室402の様子を見ることができる。ノズル419から材料液が滴下されてステージ418上に設置された蒸着源基板420上に材料層421が形成されている断面が示されている。ここでは、高分子材料中に発光有機材料を分散した材料液を滴下し、焼成して材料層421を形成する。
【0119】
次いで、第1ストック室405内に搬送するため、第2ゲート弁403を開けて搬送ロボット423で蒸着源基板を搬送する。搬送された後は、第1ストック室405内を減圧とする。図8に示すように第1ストック室405内に蒸着源基板を複数枚格納できるような構成、ここでは上下方向に移動できるストックホルダ424とすることが好ましい。また、第1ストック室で蒸着源基板を加熱できる機構を備えてもよい。第1ストック室405は、真空排気処理室と連結されており、真空排気した後、不活性ガスを導入して大気圧にしておくことが好ましい。
【0120】
次いで、第1ストック室405内を減圧した後、第3ゲート弁407を開けて搬送室409に蒸着源基板を搬入し、第5ゲート弁410を開けて第2成膜室412に搬入する。搬送室409は、真空排気処理室と連結し、搬送室409内には極力水分や酸素が存在しないよう、予め、真空排気して真空を維持しておくことが好ましい。搬送室409内に設けられた搬送ロボット425を用いて蒸着源基板の搬入を行う。
【0121】
ここまでの手順によって材料層が形成された蒸着源基板が第2の成膜室412にセットされる。一方、予め薄膜トランジスタと、陽極(第1の電極)、該陽極の端部を覆う絶縁物とが設けられた第2の基板439を第2の成膜室412内にセットするまでの手順をここで説明する。まず、複数枚の第2の基板が収納されたカセット426を第2ロード室411にセットする。第2ロード室411は、真空排気処理室と連結されており、真空排気した後、第5ゲート弁413を開けて第2の基板を搬送ロボット427で第2の成膜室412内に搬送する。
【0122】
以上の手順で第2の成膜室412内に蒸着源基板420と第2の基板439がセットされる。第2の成膜室412は、図2乃至図4に示す成膜装置に対応している。
【0123】
第2の成膜室412内には、第1の基板支持手段である蒸着源基板支持台434と、第2の基板支持手段である第2の基板支持台435と、熱源436として上下移動可能なヒーターとを少なくとも有している。また、選択的に成膜を行うためのマスク433が第2の基板439と重なるように配置されている。予め、マスク433と第2の基板439は位置合わせを行っておくことが好ましい。
【0124】
また、蒸着源基板420における材料層421の形成されている面と、第2の基板439の被成膜面とが、対向するように基板支持機構に固定する。次いで、第2の基板支持台435を移動させて、材料層421と第2の基板439の基板間隔dとなる位置まで近づける。基板間隔dは、0mm以上100mm以下とすることが好ましく、より好ましくは0mm以上10mm以下とする。の距離範囲とする。なお、第2の基板439はガラス基板であるため、歪みや撓みを考慮すると基板間隔dの下限は、0.5mmである。本実施例では、マスクを挟むため、5mmとする。少なくともマスク433と第2の基板439が接しない距離とする。基板間隔dが狭ければ狭いほど、蒸着方向の広がりが抑えられ、マスクの回り込み蒸着を抑えることができる。
【0125】
次いで、図8に示すように基板間隔dを保持した状態で、熱源436を蒸着源基板420に近づける。熱源436としては、蒸着源基板の下方で上下移動可能なヒーターを用いている。ヒーターは基本的には所定の温度で一定となるように設定しているが、タクト時間に影響のない範囲での温度の上げ、下げを含む温度制御をしてもよい。
【0126】
熱源436を蒸着源基板420に近接させると、直接的な熱伝導により短時間に蒸着源基板上の材料層421を加熱して蒸着材料を蒸発又は昇華させ、対向して配置された第2の基板439の被成膜面(即ち、下平面)に蒸着材料が成膜される。なお、本実施例では、材料層421中に分散された発光有機材料が蒸発又は昇華して第2の基板439に成膜され、高分子材料が蒸着源基板上に残る。マスク433の開口を通過した領域のみが選択的に成膜される。また、第2の基板439の下平面への成膜の膜厚均一性は3%未満とすることができる。
【0127】
こうして、第2の基板上の陽極(第1の電極)上に発光層を形成することができる。また、発光層を形成するまえに、ホール注入層、又はホール輸送層を第2の成膜室で同様の成膜を行い、積層してもよい。また、発光層を形成した後、電子輸送層、又は電子注入層を第2の成膜室で同様の成膜を行い、積層してもよい。また、発光層を形成した後、第2の成膜室で同様の成膜を行い、陰極(第2の電極)を積層する。以上の工程で、薄膜トランジスタと、陽極(第1の電極)と、発光層と、陰極(第2の電極)とを少なくとも有する発光素子が第2の基板上に形成できる。
【0128】
効率よく発光装置を作製するため、複数の異なる材料層が形成された蒸着源基板をストックホルダ424に格納して、第2の基板を第2の基板支持台435にセットしたまま、蒸着源基板を順次交換して積層を行ってもよい。例えば、ホール注入層となる材料層を設けた第1蒸着源基板、ホール輸送層となる材料層を設けた第2蒸着源基板、発光層となる材料層を設けた第3蒸着源基板、電子輸送層となる材料層を設けた第4蒸着源基板、電子注入層となる材料層を設けた第5蒸着源基板、陰極となるアルミニウムを主成分とする層を設けた第6蒸着源基板を用意して、第2の成膜室412内に設置する蒸着源基板を順次交換して積層を行ってもよい。このように、異なる材料層を同一成膜室内で積層させても、基板間隔dが狭いため、蒸着の広がりが抑えられ、互いの材料の混入を防ぐことができる。
【0129】
また、フルカラーの発光装置を作製するため、赤色発光層を設けた第1蒸着源基板、青色発光層を設けた第2蒸着源基板、緑色発光層を設けた第3蒸着源基板を用意して、第2の成膜室412内に設置する蒸着源基板を順次交換して積層を行ってもよい。ただし、マスクを交換する必要がある。このように、異なる発光層を同一成膜室内で積層させても、基板間隔dが狭いため、蒸着の広がりが抑えられ、互いの材料の混入を防ぐことができ、それぞれの発光素子の色純度を得ることができる。
【0130】
第2の基板439への成膜が終了した後、第6ゲート弁414を開けて、アンロード室415に第2の基板439を搬送する。アンロード室415にも真空排気処理室と連結されており、第2の基板439の搬送時にはアンロード室内を減圧としておく。第2の基板439は搬送ロボット428を用いてカセット430に収納する。なお、成膜された面が下面となるようにカセット430にセットして塵等の不純物の付着を防止する。また、第2の基板439と同じサイズ、厚さであれば、蒸着源基板420も搬送ロボット428を用いてカセット430に収納することができる。また、アンロード室415にマスクストックホルダ429を設けてもよい。発光層の塗り分け等を行う場合、発光色毎にマスクを用意することが好ましく、必要な複数のマスクをマスクストックホルダ429に格納しておくことができる。
【0131】
また、アンロード室415に発光素子を封止するための封止室を連結してもよい。封止室では、封止缶や封止基板を搬入するロード室を連結し、封止室内で第2の基板と封止基板とを貼り合わせる。その際、第2の基板を反転するほうが好ましい場合には、搬送ロボット428に基板反転機構を備えておくことが好ましい。
【0132】
また、上記の真空排気処理室としては、磁気浮上型のターボ分子ポンプ、クライオポンプ、又はドライポンプが備えられている。これにより仕込室と連結された搬送室の到達真空度を10−5〜10−6Paにすることが可能であり、さらにポンプ側及び排気系からの不純物の逆拡散を制御することができる。装置内部に不純物が導入されるのを防ぐため、導入するガスとしては、窒素や希ガス等の不活性ガスを用いる。装置内部に導入されるこれらのガスは、装置内に導入される前にガス精製機により高純度化されたものを用いる。従って、ガスが高純度化された後に蒸着装置に導入されるようにガス精製機を備えておく必要がある。これにより、ガス中に含まれる酸素や水、その他の不純物を予め除去することができるため、装置内部にこれらの不純物が導入されるのを防ぐことができる。
【0133】
また、蒸着源基板や被成膜基板の搬送として搬送ロボットを例として挙げたが搬送手段は特に限定されず、ローラ等を用いてもよい。また、搬送ロボットを設ける位置は図7及び図8の配置に特に限定されず、所望の位置に適宜設置すればよい。
【0134】
本実施例では、スピンコート法を用いた成膜装置を例に説明したが、スピンコート法を用いた成膜装置に代えて、インクジェット法を用いた液滴吐出装置を成膜室に備えてもよい。
【0135】
液滴吐出装置について図9を用いて簡単に説明する。複数のノズルが一軸方向に配列されたヘッドを具備する液滴吐出手段525、該液滴吐出手段525を制御する制御部503、基板524を固定しXYθ方向に移動するステージ522等が挙げられる。このステージ522は、基板524を真空チャック等の手法で固定する機能も有する。そして、液滴吐出手段525が有する各ノズルの吐出口から基板524の方向に組成物が吐出されて、パターンが形成される。
【0136】
ステージ522と液滴吐出手段525は、制御部503により制御される。制御部503は、ステージ位置制御部501を有している。また、CCDカメラなどの撮像手段520も制御部503により制御される。撮像手段520は、マーカーの位置を検出して、その検出した情報を制御部503に供給する。また、検出した情報をモニタ502に表示することもできる。制御部503は、アライメント位置制御部500を有している。また、液滴吐出手段525にはインクボトル523より組成物が供給される。
【0137】
なお、パターンの作製に際し、液滴吐出手段525を移動してもよいし、液滴吐出手段525を固定してステージ522を移動させてもよい。但し、液滴吐出手段525を移動する場合には、組成物の加速度や、液滴吐出手段525に具備されたノズルと被処理物との距離、その環境を考慮して行う必要がある。
【0138】
その他、図示しないが、付随する構成要素として、吐出した組成物の着弾精度を向上させるために、ヘッド521が上下に動く移動機構とその制御手段等を設けてもよい。そうすると、吐出する組成物の特性に応じて、ヘッドと基板524の距離を変えることができる。またガス供給手段とシャワーヘッドを設けてもよく、そうすると、組成物の溶媒と同じ気体の雰囲気下に置換することができるため、乾燥をある程度防止することができる。さらに、清浄な空気を供給し、作業領域の埃を低減するクリーンユニット等を設けてもよい。また、図示しないが、基板を加熱する手段、加えて温度、圧力等、種々の物性値を測定する手段を、必要に応じて設置しても良く、これら手段も、筐体の外部に設置した制御手段によって一括制御することが可能である。さらに制御手段をLANケーブル、無線LAN、光ファイバ等で生産管理システム等に接続すれば、工程を外部から一律管理することが可能となり、生産性を向上させることに繋がる。なお、着弾した組成物の乾燥を早め、また組成物の溶媒成分を除去するために、真空排気を行って、減圧下で動作させてもよい。
【0139】
本実施例の製造装置において、被成膜基板と蒸着源基板との間隔距離は0mm以上100mm以下とすることが好ましく、より好ましくは0mm以上10mm以下の距離範囲に狭めることによって、真空チャンバー内への材料の飛散を抑えることができる。従って、成膜室内のクリーニング等のメンテナンス間隔を長くすることができる。また、本実施例の製造装置において、第1の成膜室402をフェイスアップ方式の成膜装置とし、第2の成膜室412をフェイスダウン方式の成膜室としているため、基板搬送途中で蒸着源基板や被成膜基板を反転させずにスムーズな成膜処理を行える構造となっている。
【0140】
マルチチャンバー方式の製造装置において、少なくとも第2の成膜室412を一室有していれば、本発明の効果が十分得られる。従って、公知の成膜方法、例えば蒸着法を用いる成膜室を第2の成膜室412に連結して設けてもよい。
【0141】
なお、本実施例に示す製造装置は、実施の形態1にて説明した成膜方法を自由に適用して実施することが可能である。
【0142】
例えば、第2の成膜室412をフェイスアップ方式の成膜装置とする場合には、第1の成膜室402から第2の成膜室412の搬送の途中で蒸着源基板の表裏を反転させる機構を設ける。また、第1の成膜室402として蒸着法を用いたフェイスダウン方式の成膜装置を用いれば、第2の成膜室412をフェイスアップ方式の成膜装置とした場合にスムーズな成膜処理を行える構造とすることができる。
【0143】
また、第2の成膜室412を基板縦置き方式の成膜装置とする場合には、第1の成膜室402から第2の成膜室412の搬送の途中で蒸着源基板面を水平面に対して垂直にする機構を設ける。また、被成膜基板も第2ロード室411から第2の成膜室412の搬送の途中で被成膜面を水平面に対して垂直にする機構を設ける。
【0144】
本実施例は、実施の形態1乃至3に記載した内容と適宜自由に組み合わせて実施することができる。
【実施例2】
【0145】
本実施例では、本発明を適用したパッシブマトリクス型の発光装置の作製方法の一例について図面を参照して説明する。
【0146】
パッシブマトリクス型(単純マトリクス型)発光装置は、ストライプ状(帯状)に並列された複数の陽極と、ストライプ状に並列された複数の陰極が互いに直交するように設けられており、その交差部に発光層或いは蛍光層が挟まれた構造となっている。従って、選択された(電圧が印加された)陽極と選択された陰極との交点にあたる画素が点灯することになる。
【0147】
図10(A)は、封止前における画素部の上面図を示し、図10(A)中の鎖線A−A’における断面図が図10(B)であり、鎖線B−B’における断面図が図10(C)である。
【0148】
まず、第1の基板601上に、下地膜として絶縁膜604を形成する。なお、下地膜が特に必要でない場合には形成しなくともよい。絶縁膜604上には、ストライプ状に複数の第1の電極613が等間隔で配置されている。また、第1の電極613上には、各画素に対応して開口部を有する隔壁614が設けられ、開口部を有する隔壁614は絶縁材料(感光性又は非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン)、又はSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜))で構成されている。なお、各画素に対応する開口部が発光領域621となる。
【0149】
開口部を有する隔壁614上に、第1の電極613と交差する互いに平行な複数の逆テーパ形状の隔壁622が設けられる。逆テーパ形状の隔壁622はフォトリソグラフィ法に従い、未露光部分がパターンとしてポジ型感光性樹脂を用い、パターンの下部がより多くエッチングされるように露光量又は現像時間を調節することによって形成する。
【0150】
また、平行な複数の逆テーパ形状の隔壁622を形成した直後における斜視図を図11に示す。なお、図10と同一の部分には同一の符号を用いている。
【0151】
逆テーパ形状の隔壁622の高さは、発光層を含む積層膜及び導電膜の膜厚より大きく設定する。図11に示す構成を有する第1の基板601に対して発光層を含む積層膜と、導電膜とを積層形成すると、図10に示すように電気的に独立した複数の領域に分離され、発光層を含む積層膜615R、積層膜615G、積層膜615Bと、第2の電極616とが形成される。第2の電極616は、第1の電極613と交差する方向に伸長する互いに平行なストライプ状の電極である。なお、逆テーパ形状の隔壁622上にも発光層を含む積層膜及び導電膜が形成されるが、発光層を含む積層膜615R、615G、615B及び第2の電極616とは分断されている。
【0152】
ここでは、発光層を含む積層膜615R、615G、615Bを選択的に形成し、3種類(R、G、B)の発光が得られるフルカラー表示可能な発光装置を形成する例を示している。発光層を含む積層膜615R、615G、615Bはそれぞれ互いに平行なストライプパターンで形成されている。
【0153】
本実施例では、実施例1に示したマルチチャンバー方式の製造装置が有する第2の成膜室を用いて、発光層を含む積層膜を順次形成する。赤色の発光が得られる発光層を形成した第1の蒸着源基板、緑色の発光が得られる発光層を形成した第2の蒸着源基板、及び青色の発光が得られる発光層を形成した第3の蒸着源基板をそれぞれ用意して、実施例1に示した製造装置の第2の成膜室に搬入する。そして、第1の電極613が設けられた基板も第2の成膜室に搬入する。そして、基板と同じ又は基板より広い面積で加熱する熱源により第1の蒸着源基板面を加熱して蒸着を行う。次いで、第2の蒸着源基板、第3の蒸着源基板と適宜、蒸着を選択的に行う。実施例1に示した第2の成膜室を用いることでマスクの回り込みを防ぐことができるため、逆テーパ形状の隔壁622を不要とすることができる。また、本発明を適用して第2の成膜室にて成膜することで、膜厚のばらつきが3%未満に抑えられた、所望の膜厚の発光層を得ることができ、発光装置の色ムラを低減することができる。
【0154】
また、全面に同じ発光色を発光する発光層を含む積層膜を形成し、単色の発光素子を設けてもよく、モノクロ表示可能な発光装置、或いはエリアカラー表示可能な発光装置としてもよい。また、白色発光が得られる発光装置にカラーフィルタを搭載することによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
【0155】
また、必要であれば、封止缶や封止のためのガラス基板等の封止材を用いて封止してもよい。ここでは、封止基板としてガラス基板を用い、シール材等の接着材を用いて被成膜基板と封止基板とを貼り合わせ、シール材等の接着材で囲まれた空間を密閉している。密閉された空間には、充填材や、乾燥した不活性ガスを充填する。また、発光装置の信頼性を向上させるために、被成膜基板と封止基板との間に乾燥材等を封入してもよい。乾燥材によって微量な水分が除去されて十分に乾燥されるため、水分に弱い発光装置の信頼性を向上させることができる。ここで、乾燥材としては、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)に代表される、化学吸着によって水分を吸収する物質を用いればよい。なお、ゼオライトやシリカゲル等の物理吸着によって水分を吸着する物質を乾燥材として用いてもよい。
【0156】
ただし、発光素子を覆って接する封止材が設けられ、十分に外気と遮断されている場合には、乾燥材は、特に設けなくともよい。
【0157】
次いで、FPC等を実装した発光モジュールの上面図を図12に示す。
【0158】
なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、又は光源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、又は発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(Integrated Circuit)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0159】
図12に示すように画像表示を構成する画素部は、走査線群とデータ線群が互いに直交するように交差している。
【0160】
図10における第1の電極613が図12における走査線703に相当し、第2の電極616がデータ線702に相当し、逆テーパ形状の隔壁622が隔壁704に相当する。データ線702と走査線703の間には発光層が挟まれており、領域705で示される交差部が画素1つ分となる。
【0161】
なお、走査線703は配線端で接続配線708と電気的に接続され、接続配線708が入力端子707を介してFPC709bに接続される。また、データ線は入力端子706を介してFPC709aに接続される。
【0162】
また、必要であれば、射出面に偏光板、円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、又はカラーフィルタ等の光学フィルムを適宜設けてもよい。偏光板又は円偏光板には反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0163】
以上説明したようにパッシブマトリクス型の発光装置を作製することができる。
【0164】
また、図12では、駆動回路を基板上に設けない例を示したが、駆動回路を有するICチップを実装させてもよい。
【0165】
ICチップを実装させる場合には、画素部の周辺(外側)の領域に、画素部へ各信号を伝送する駆動回路が形成されたデータ線側IC、走査線側ICをCOG方式によりそれぞれ実装する。COG方式以外の実装技術としてTCPやワイヤボンディング方式を用いて実装してもよい。TCPはTABテープにICを実装したものであり、TABテープを素子形成基板上の配線に接続してICを実装する。データ線側IC及び走査線側ICは、シリコン基板上に形成したトランジスタを用いてもよいし、ガラス基板、石英基板又はプラスチック基板上に形成されたTFTを用いても良い。また、片側に複数個に分割したICを設けてもよい。
【0166】
本実施例は、実施の形態1乃至3、及び他の実施例にて記載した内容と適宜自由に組み合わせて実施することができる。
【実施例3】
【0167】
本実施例では、本発明を適用したアクティブマトリクス型の発光装置の作製方法の一例について図面を参照して説明する。
【0168】
図13(A)は発光装置の上面図を示す。図13(B)は図13(A)における一点鎖線A−A’における断面図である。発光装置の素子基板810は、ソース側駆動回路部801、画素部802、ゲート側駆動回路部803、封止基板804、シール材805、FPC809を有する。シール材805で囲まれた内側には空間807を有する。なお、素子基板810は、被成膜基板に相当する。
【0169】
なお、配線808はソース側駆動回路部801及びゲート側駆動回路部803に入力される信号を伝送し、外部入力端子となるFPC809からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、及びリセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはPWB(プリント配線基板)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPC又はPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0170】
次に、発光装置の断面構造について図13(B)を参照して説明する。素子基板810上には駆動回路部及び画素部が設けられている。ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路部801と、画素部802が示されている。
【0171】
なお、ソース側駆動回路部801はn型TFT823とp型TFT824を組み合わせたCMOS回路により構成される。CMOS回路は公知のものを用いればよい。また、駆動回路を構成する回路は、PMOS回路又はNMOS回路により構成しても良い。また、本実施例では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、これに限定されず、基板の外部に駆動回路を設けても良い。
【0172】
また、画素部802はスイッチング用TFT811と、電流制御用TFT812と、そのドレインに電気的に接続された電極813と、を有する複数の画素により構成される。なお、電極813の端部を覆って絶縁層814が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0173】
また、膜の被覆性を良好にするため、絶縁層814の上端部又は下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁層814の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合には、絶縁層814の上端部に曲率半径が0.2μm以上3μm以下となる曲面を形成することが好ましい。また、絶縁層814として、感光性の光によりエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができ、有機化合物に限らず無機化合物、例えば、酸化珪素、酸窒化珪素等を使用することができる。
【0174】
電極813上には、発光素子815及び電極816がそれぞれ形成されている。ここで、電極813に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料が好ましい。例えば、ITO(インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide))膜、ITSO(Indium Tin Silicon Oxide)膜、IZO(インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide))膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、亜鉛膜、若しくは白金(Pt)膜等の単層膜、又は窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜の積層膜、若しくは窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との積層膜等を用いることができる。また、電極813をITO膜とし、電極813と接続される電流制御用TFT812の配線を、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層膜、又は窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との積層膜とすると、配線としての抵抗も低く、且つITO膜とオーミックコンタクトがとれ、さらには電極813を陽極として機能させることができる。また、電極813は、発光素子815における第1の陽極と同一の物質で形成されていても良い。または、電極813は発光素子815の第1の陽極と接して積層されていても良い。
【0175】
また、発光素子815は、電極813と、有機化合物を含む層800と、電極816と、を積層した構成であり、具体的には、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、又は電子注入層を適宜、積層して形成する。本実施例では、実施例1に示す製造装置を用いてこれらの層を形成する。本発明を用いることで、膜厚のばらつきが3%未満となるため、均一性に優れた所望の膜厚で成膜することができ、発光装置の輝度のばらつきを低減することができる。
【0176】
さらに、電極816に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料であるアルミニウム、銀、リチウム、カルシウム、若しくはこれらの合金であるMgAg、MgIn、AlLi、CaF、又は窒化カルシウム等を用いればよいが、これらに限定されるものではない。適切な電子注入材料を選択することにより、多様な導電膜を適用することができる。なお、発光素子815にて発光した光を電極816で透過させる場合には、電極816として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜であるITO(インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide))膜、ITSO(Indium Tin Silicon Oxide)膜、IZO(インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide))膜、又は酸化亜鉛膜との積層を用いればよい。また、電極816は、発光素子815における陰極である第2の電極と同一の物質で形成されていても良い。または、電極816は発光素子815の第2の電極と接して積層されていても良い。
【0177】
更に、シール材805で封止基板804を素子基板810と貼り合わせることにより、素子基板810、封止基板804、及びシール材805で囲まれた空間807に発光素子815が備えられた構造となる。なお、空間807には、不活性気体(窒素やアルゴン等)で充填されていてもよいし、シール材805で充填されていてもよい。
【0178】
シール材805にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが好ましい。また、封止基板804にはガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル又はアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0179】
以上のように、本発明を適用してアクティブマトリクス型の発光装置を作製することができる。アクティブマトリクス型の発光装置はTFTを有するため、素子基板一枚あたりの製造コストが高いが、本発明を適用することにより製造コストを削減することができる。更には、実施例1にて説明した製造装置を用いて、基板として大面積基板を用いることで、基板一枚当りの成膜処理時間を大幅に短縮し、発光装置1つあたりのコストを大幅に削減することができる。従って、本発明の成膜方法を適用し、実施例1にて説明した製造装置を用いて、アクティブマトリクス型の発光装置を作製することは極めて有効であるといえる。
【0180】
なお、本実施例に示す発光装置は、必要に応じてカラーフィルタ等の色度変換膜を搭載していても良い。
【0181】
本実施例は、実施の形態1乃至3、及び他の実施例にて記載した内容と適宜自由に組み合わせて実施することができる。
【実施例4】
【0182】
本実施例では、実施の形態1にて説明した方法により成膜した結果について説明する。
【0183】
蒸着源基板には、50mm角の銅基板を用いた。銅基板上に、蒸着材料を含むバインダ材料層をスピンコート法により形成した。スピンコート法の溶液としては、クロロホルム10g中にPVKを0.3g、Alqを0.04g溶解させたものを用いた。銅基板上に該溶液を垂らし、150rpmで3秒間、1500rpmで30秒間の処理を行うことで、成膜を行った。このような処理を行うことで、蒸着材料を含むバインダ材料層を約2〜3μmの厚さで形成することができた。
【0184】
蒸着材料を含むバインダ材料層が形成された蒸着源基板を、図2(A)に示す成膜室にセットし、蒸着材料を含むバインダ材料層の表面より2mm上に被成膜基板を配置した。ここで、被成膜基板としてはガラス基板を用いた。
【0185】
上記のように蒸着源基板と被成膜基板を配置し、熱源が400℃になるまで加熱し、400℃で30分間保持した。以上の処理により、蒸着源基板上のバインダ材料層中のAlqが蒸発又は昇華させ、被成膜基板にAlqを有する膜を形成することができた。被成膜基板に形成されたAlqを有する膜は約60mm角であった。
【0186】
このようにして被成膜基板上に形成したAlqを有する膜の膜厚について測定した。測定はAlqを有する膜の中心及び対角点の2点(計3点)で行い、中心から対角点までの距離は30mmとした。上記の測定を行った測定点における膜厚は、105.4nm、101.8nm、104.0nmとなり、膜厚分布は±1.7%であった。このように、本発明を適用して成膜した、Alqを有する膜についての膜厚分布は3%未満に抑えられた。
【0187】
また、被成膜基板にAlqを有する膜を蒸着後のPL(Photoluminescence)発光を確認したところ、被成膜基板のPL発光は緑色であり、蒸着源基板のPL発光は青色であった。これにより、バインダ材料層には蒸着材料であるAlqが残存することなく、被成膜基板上に蒸着材料層が形成されたことが確認できた。
【実施例5】
【0188】
本実施例では、実施の形態1にて説明した方法により成膜した結果であって、実施例4とは異なるものについて説明する。
【0189】
蒸着源基板には、サイズが50mm角の銅基板を用いた。銅基板上に、蒸着材料を含むバインダ材料層をスピンコート法により形成した。スピンコート法の溶液としては、クロロホルム10g中にPVKを0.3g、NPBを0.04g溶解させたものを用いた。銅基板上に該溶液を垂らし、150rpmで3秒間、1500rpmで30秒間の処理を行うことで、成膜を行った。このような処理を行うことで、蒸着材料を含むバインダ材料層を約2〜3μmの厚さで形成することができた。
【0190】
蒸着材料を含むバインダ材料層が形成された蒸着源基板を、図2(A)に示す成膜室にセットし、蒸着材料を含むバインダ材料層の表面より2mm上に被成膜基板を配置した。ここで、被成膜基板としてはガラス基板を用いた。
【0191】
上記のように蒸着源基板と被成膜基板を配置し、熱源が400℃になるまで加熱し、400℃で30分保持した。以上の処理により、蒸着源基板上のバインダ材料層中のNPBが蒸発又は昇華させ、被成膜基板にNPBを有する膜を形成することができた。被成膜基板に形成されたNPBを有する膜のサイズは約100mm角であった。
【0192】
このようにして被成膜基板上に形成したNPBを有する膜の膜厚について測定した。測定はNPBを有する膜の中心及び対角点の2点にて行い、中心から対角点までの距離は30mmとした。このようにして測定したNPBを有する膜についての膜厚分布は3%未満に抑えられた。
【0193】
また、被成膜基板にNPBを有する膜を蒸着後のPL(Photoluminescence)発光を確認したところ、被成膜基板のPL発光は青色であった。PVKはNPBよりも分子量が大きいため、被成膜基板に形成された膜はNPBを含む膜であると考えられる。
【0194】
このように本発明はAlqを有する膜の形成のみならず、NPBを有する膜の形成にも適用することができる。
【実施例6】
【0195】
本実施例では、本発明を適用して作製された発光素子を有する発光装置を用いて完成させた様々な電気器具について、図14を用いて説明する。
【0196】
本発明を適用して作製された発光装置を有する電気器具として、テレビジョン、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機又は電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)、照明器具等が挙げられる。これらの電気器具の具体例を図14に示す。
【0197】
図14(A)は表示装置であり、筐体901、支持台902、表示部903、スピーカー部904、ビデオ入力端子905等を含む。本発明を用いて形成される発光装置をその表示部903に用いることにより作製される。なお、表示装置は、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用等の全ての情報表示用装置が含まれる。本発明により大幅な製造コストの低減を図ることができ、安価な表示装置を提供することができる。また、本発明を用いることで、膜厚のばらつきが3%未満とすることができるため、所望の膜厚の発光素子を得ることができ、表示部903の表示むらを低減することができる。
【0198】
図14(B)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体911、筐体912、表示部913、キーボード914、外部接続ポート915、ポインティングデバイス916等を含む。本発明を用いて形成された発光素子を有する発光装置をその表示部913に用いることにより作製される。本発明により大幅な製造コストの低減を図ることができ、安価なノート型パーソナルコンピュータを提供することができる。また、本発明を用いることで、膜厚のばらつきが3%未満とすることができるため、所望の膜厚の発光素子を得ることができ、表示部913の表示むらを低減することができる。
【0199】
図14(C)はビデオカメラであり、本体921、表示部922、筐体923、外部接続ポート924、リモコン受信部925、受像部926、バッテリー927、音声入力部928、操作キー929、接眼部920等を含む。本発明を用いて形成された発光素子を有する発光装置をその表示部922に用いることにより作製される。本発明の製造装置により大幅な製造コストの低減を図ることができ、安価なビデオカメラを提供することができる。また、本発明を用いることで、膜厚のばらつきが3%未満とすることができるため、所望の膜厚の発光素子を得ることができ、表示部922の表示むらを低減することができる。
【0200】
図14(D)は卓上照明器具であり、照明部931、傘932、可変アーム933、支柱934、台935、電源936を含む。本発明を用いて形成される発光装置を照明部931に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固定型の照明器具又は壁掛け型の照明器具等も含まれる。本発明により大幅な製造コストの低減を図ることができ、安価な卓上照明器具を提供することができる。また、本発明を用いることで、膜厚のばらつきが3%未満とすることができるため、所望の膜厚の発光素子を得ることができ、照明部931の照度のむらを低減することができる。
【0201】
図14(E)は携帯電話であり、本体941、筐体942、表示部943、音声入力部944、音声出力部945、操作キー946、外部接続ポート947、アンテナ948等を含む。本発明を用いて形成された発光素子を有する発光装置をその表示部943に用いることにより作製される。本発明により大幅な製造コストの低減を図ることができ、安価な携帯電話を提供することができる。また、本発明を用いることで、膜厚のばらつきが3%未満とすることができるため、所望の膜厚の発光素子を得ることができ、表示部943の表示むらを低減することができる。
【0202】
以上のようにして、本発明を用いて形成された発光素子を用いた電気器具(電子機器又は照明器具等)を得ることができる。本発明を用いて形成された発光素子を有する発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をここに示した以外のあらゆる分野の電気器具に適用することが可能である。
【0203】
本実施例は、実施の形態1乃至3、及び他の実施例にて記載した内容と適宜自由に組み合わせて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】本発明の成膜方法を説明する図。
【図2】本発明の成膜方法に用いる成膜装置を説明する図。
【図3】本発明の成膜方法に用いる成膜装置を説明する図。
【図4】本発明の成膜方法に用いる成膜装置を説明する図。
【図5】本発明の成膜方法を説明する図。
【図6】本発明の成膜方法を説明する図。
【図7】実施例1の製造装置を説明する上面図。
【図8】実施例1の製造装置を説明する断面図。
【図9】実施例1の製造装置を説明する断面図。
【図10】本発明を適用したパッシブマトリクス型発光装置の上面図及び断面図。
【図11】本発明を適用したパッシブマトリクス型発光装置の斜視図。
【図12】本発明を適用したパッシブマトリクス型発光装置の上面図。
【図13】本発明を適用したアクティブマトリクス型発光装置の上面図及び断面図。
【図14】本発明を適用して作製した発光装置を搭載した電気器具の例を示す図。
【符号の説明】
【0205】
101 基板
102 第1の材料層
103 蒸着材料
104 基板
105 材料層
110 ランプ
111 成膜室
112 ゲート弁
113 ゲート弁
114 基板支持手段
115 基板支持手段
116 熱源
118 成膜室
120 ランプ
121 成膜室
122 ゲート弁
123 ゲート弁
124 基板支持手段
125 基板支持手段
126 熱源
128 成膜室
130 ランプ
131 成膜室
134 基板支持手段
135 基板支持手段
136 熱源
138 成膜室
140 冷却手段
200 ヘッド
201 基板
202 第1の材料層
203 蒸着材料
204 基板
205 材料層
300 ヘッド
301 基板
302 熱伝導層
303 第1の材料層
304 蒸着材料
305 基板
306 材料層
401 ロード室
402 成膜室
403 ゲート弁
404 ゲート弁
405 ストック室
406 ストック室
407 ゲート弁
408 ゲート弁
409 搬送室
410 ゲート弁
411 ロード室
412 成膜室
413 ゲート弁
414 ゲート弁
415 アンロード室
416 カセット
417 搬送ロボット
418 ステージ
419 ノズル
420 蒸着源基板
421 材料層
422 ホットプレート
423 搬送ロボット
424 ストックホルダ
425 搬送ロボット
426 カセット
427 搬送ロボット
428 搬送ロボット
429 マスクストックホルダ
430 カセット
433 マスク
434 蒸着源基板支持台
435 基板支持台
436 熱源
439 基板
500 アライメント位置制御部
501 ステージ位置制御部
502 モニタ
503 制御部
520 撮像手段
521 ヘッド
522 ステージ
523 インクボトル
524 基板
525 液滴吐出手段
601 基板
604 絶縁膜
613 電極
614 隔壁
616 電極
621 発光領域
622 隔壁
702 データ線
703 走査線
704 隔壁
705 領域
706 入力端子
707 入力端子
708 接続配線
800 層
801 ソース側駆動回路部
802 画素部
803 ゲート側駆動回路部
804 封止基板
805 シール材
807 空間
808 配線
809 FPC
810 素子基板
811 スイッチング用TFT
812 電流制御用TFT
813 電極
814 絶縁層
815 発光素子
816 電極
823 n型TFT
824 p型TFT
901 筐体
902 支持台
903 表示部
904 スピーカー部
905 ビデオ入力端子
911 本体
912 筐体
913 表示部
914 キーボード
915 外部接続ポート
916 ポインティングデバイス
920 接眼部
921 本体
922 表示部
923 筐体
924 外部接続ポート
925 リモコン受信部
926 受像部
927 バッテリー
928 音声入力部
929 操作キー
931 照明部
932 傘
933 可変アーム
934 支柱
935 台
936 電源
941 本体
942 筐体
943 表示部
944 音声入力部
945 音声出力部
946 操作キー
947 外部接続ポート
948 アンテナ
615R 積層膜
615G 積層膜
615B 積層膜
709a FPC
709b FPC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着材料と、該蒸着材料よりも分子量の大きい材料との混合物を作製し、
前記混合物と一主表面が対向するように基板を配置し、
前記混合物を加熱処理することで前記基板の前記主表面に前記蒸着材料を含む層を形成することを特徴とする成膜方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記加熱処理は、前記蒸着材料の蒸発温度又は昇華温度を超えて、前記蒸着材料の蒸発温度又は昇華温度より50℃を超えない温度で行うことを特徴とする成膜方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記加熱処理は、熱源を前記混合物に接近させる方法、又はランプにより前記混合物に光を照射する方法により行うことを特徴とする成膜方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記蒸着材料は、銅フタロシアニン、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル、バソフェナントロリン、バソキュプロイン、及び3−(2−ベンゾシアゾール)−7−(ジエチルアミノ)クマリンから選ばれたいずれか一又は複数であることを特徴とする成膜方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記蒸着材料よりも分子量の大きい材料は、アクリル、ポリイミド、ポリ(N−ビニルカルバゾール)及びポリ(p−フェニレンビニレン)から選ばれたいずれか一又は複数を有することを特徴とする成膜方法。
【請求項6】
第1の基板の一主表面に、蒸着材料とバインダ材料との混合層を形成し、
前記混合層と一主表面が対向するように第2の基板を配置し、
前記第1の基板の前記主表面の裏面を加熱処理することで前記第2の基板の前記主表面に前記蒸着材料を含む層を形成する成膜方法。
【請求項7】
第1の基板の一主表面に、蒸着材料とバインダ材料との混合層を選択的に形成し、
前記混合層と一主表面が対向するように第2の基板を配置し、
前記第1の基板の前記主表面の裏面を加熱処理することで前記第2の基板の前記主表面に前記蒸着材料を含む層を選択的に形成する成膜方法。
【請求項8】
第1の基板の一主表面に熱伝導層を選択的に形成し、
前記熱伝導層上に蒸着材料とバインダ材料との混合層を形成し、
前記混合層と一主表面が対向するように第2の基板を配置し、
前記第1の基板の前記主表面の裏面を加熱処理することで前記第2の基板の前記主表面に前記蒸着材料を含む層を選択的に形成する成膜方法。
【請求項9】
第1の基板の一主表面に蒸着材料とバインダ材料との混合層を形成し、
前記混合層と一主表面が対向するように第2の基板を配置し、且つ前記第1の基板と前記第2の基板の間に開口部が設けられたマスクを配置し、
前記第1の基板の前記主表面の裏面を加熱処理することで前記第2の基板の前記主表面に前記蒸着材料を含む層を選択的に形成する成膜方法。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれか一において、
前記バインダ材料は前記蒸着材料よりも分子量の大きい物質からなることを特徴とする成膜方法。
【請求項11】
請求項6乃至請求項10のいずれか一において、
前記混合層の表面と前記第2の基板の前記主表面は、互いに平行となるように配置することを特徴とする成膜方法。
【請求項12】
請求項6乃至請求項11のいずれか一において、
前記加熱処理は、前記蒸着材料の蒸発温度又は昇華温度を超えて、前記蒸着材料の蒸発温度又は昇華温度より50℃を超えない温度で行うことを特徴とする成膜方法。
【請求項13】
請求項6乃至請求項12のいずれか一において、
前記加熱処理は、熱源を前記第1の基板に接近させる方法、又はランプにより前記第1の基板に光を照射する方法により行うことを特徴とする成膜方法。
【請求項14】
請求項6乃至請求項13のいずれか一において、
前記蒸着材料は、銅フタロシアニン、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル、バソフェナントロリン、バソキュプロイン、及び3−(2−ベンゾシアゾール)−7−(ジエチルアミノ)クマリンから選ばれたいずれか一又は複数であることを特徴とする成膜方法。
【請求項15】
請求項6乃至請求項14のいずれか一において、
前記バインダ材料は、アクリル、ポリイミド、ポリ(N−ビニルカルバゾール)及びポリ(p−フェニレンビニレン)から選ばれたいずれか一又は複数を有することを特徴とする成膜方法。
【請求項16】
請求項6乃至請求項15のいずれか一において、
前記混合層は、蒸着法、スパッタ法、スピンコート法、印刷法、液滴吐出法、スプレー法、滴下法、又はディスペンス法により前記第1の基板上に形成されることを特徴とする成膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−291352(P2008−291352A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114220(P2008−114220)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】