説明

成膜方法

処理容器内で成膜温度に加熱された半導体ウエハにTiClガスおよびNHガスを供給してCVDによりTiNからなる膜を形成する第1ステップと、TiClガスを停止してNHガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、半導体ウエハ上に所定厚さのTiN膜を成膜するにあたり、成膜の際における半導体ウエハの温度を450℃未満とし、処理容器内の全圧を100Pa超とし、第1ステップにおける処理容器内のNHガスの分圧を30pa以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CVDによる成膜方法に関し、特に、半導体装置において例えばバリア層、キャパシタ上部電極、ゲート電極、コンタクト部等として用いられるTiN系薄膜のような金属窒化膜を成膜する成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造においては、最近の高密度化および高集積化の要請に対応して、回路構成を多層配線構造にする傾向にあり、このため、下層の半導体デバイスと上層の配線層との接続部であるコンタクトホールや、上下の配線層同士の接続部であるビアホールなどの層間の電気的接続のための埋め込み技術が重要になっている。また、高集積化にともない、例えばDRAMメモリー部のキャパシタ材としてTa、HfO等の高誘電率材に対応した上部電極を高カバレージで成膜する技術が重要となっている。
【0003】
近時、上述したようなコンタクトホール、ビアホールの埋め込み金属のバリア層や、キャパシタの上部電極としてTiN膜が用いられつつある。
【0004】
このような、TiN膜は従来PVDにより成膜されていたが、最近のようにデバイスの微細化および高集積化に伴って、より良質の膜を高カバレージで成膜可能なCVDが多用されるようになってきた。
【0005】
CVDのTiN膜を成膜する際には、反応ガスとしてTiClと窒素含有還元ガスであるNHまたはMMH(モノメチルヒドラジン)とを用いて、500〜600℃の温度で成膜される。また、成膜の際の下地への影響を回避すべく、反応ガスおよび還元ガスを供給する工程と、還元ガスのみを供給する工程とを交互に繰り返し、450℃程度の低温成膜を可能にした技術が提案されている(特許文献1)。
【0006】
しかしながら、TaやHfO等の高誘電率材は温度に敏感であり、その上にTiN膜を上部電極として成膜する場合、下地層の熱的ダメージを防止するためには450℃未満というより低温での成膜が要求されるが、上述の特許文献1に開示された技術を用いてこのような低温で実用的な成膜を行おうとすると、金属窒化膜の成膜時に異常成長が起こって膜質が劣化し、比抵抗値が増大してしまう、という不都合がある。
【0007】
また、コンタクト材料としてNiSi等を用いる場合、NiSiは耐熱性が低く、このNiSiを下地として金属窒化膜を成膜する場合も、450℃以下の低温成膜が望まれている。
【0008】
さらに、最近の高密度化および高集積化の要請に対応して、より良好なステップカバレージが要求されている。
【特許文献1】特開2003−77864号公報
【発明の開示】
【0009】
本発明の目的は、CVD法において、450℃未満の低い成膜温度で良質の金属窒化膜を高ステップカバレージで成膜することが可能な成膜方法を提供することにある。
【0010】
本発明の第1の観点によれば、処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜する方法であって、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下とする成膜方法が提供される。
【0011】
本発明の第2の観点によれば、処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板にTi化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDによりTiNからなる膜を形成する第1ステップと、前記Ti化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さのTiN膜を成膜する方法であって、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下とする成膜方法が提供される。
【0012】
本発明の第3の観点によれば、処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に第1の厚さで初期金属窒化膜を成膜し、その後被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給して連続的なCVDにより第2の厚さで残余の金属窒化膜を成膜する方法であって、前記初期金属窒化膜の成膜は、前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下として行う成膜方法が提供される。
【0013】
本発明の第4の観点によれば、処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返して前記被処理基板上に第1の厚さの初期金属窒化膜し、その上に前記第1ステップと前記第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返して第2の厚さの残余の金属窒化膜を成膜する方法であって、前記初期金属窒化膜を成膜する際に、前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下として行い、前記残余の金属窒化膜を成膜する際に、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa超として行う成膜方法が提供される。
【0014】
本発明の第5の観点によれば、処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜する方法であって、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、かつ前記第1ステップにおける処理容器内の前記窒素含有還元ガスの分圧をP(Pa)、1サイクル当たりの膜厚をThk(nm)としたとき、以下の(A)式で計算される金属窒化膜の比抵抗値Rが800μΩ−cm以下となるようにする成膜方法が提供される。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P)+
418.8 ‥‥‥(A)
【0015】
本発明の第6の観点によれば、処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜する方法であって、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、かつ前記第1ステップにおける処理容器内の前記窒素含有還元ガスの分圧をP(Pa)、1サイクル当たりの膜厚をThk(nm)、前記第1ステップにおける前記窒素含有還元ガスの流量をF(mL/分)としたとき、以下の(B)式で計算される金属窒化膜の比抵抗値Rが800μΩ−cm以下となるようにする成膜方法が提供される。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P
−57.685×Ln(F)+614 ‥‥‥(B)
【0016】
本発明の第7の観点によれば、処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜する方法であって、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、かつ前記第1ステップにおける処理容器内の前記窒素含有還元ガスの分圧をP(Pa)、1サイクル当たりの膜厚をThk(nm)、前記第1ステップにおける前記窒素含有還元ガスの流量をF(mL/分)、被処理基板の温度をT(℃)としたとき、以下の(C)式で計算される金属窒化膜の比抵抗値Rが800μΩ−cm以下となるようにする成膜方法が提供される。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P
−57.685×Ln(F)−2844.6Ln(T
+17658.3 ‥‥‥(C)
【0017】
本発明の第8の観点によれば、処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜するにあたり、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下とするように、コンピュータが成膜装置を制御するソフトウエアを含む、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0018】
本発明の第9の観点によれば、処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板にTi化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDによりTiNからなる膜を形成する第1ステップと、前記Ti化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さのTiN膜を成膜するにあたり、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下とするように、コンピュータが成膜装置を制御するソフトウエアを含む、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0019】
本発明の第10の観点によれば、処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜するにあたり、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、かつ前記第1ステップにおける処理容器内の前記窒素含有還元ガスの分圧をP(Pa)、1サイクル当たりの膜厚をThk(nm)としたとき、以下の(A)式で計算される金属窒化膜の比抵抗値Rが800μΩ−cm以下となるように、コンピュータが成膜装置を制御するソフトウエアを含む、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体が提供される。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P)+
418.8 ‥‥‥(A)
【0020】
本発明の第11の観点によれば、処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜するにあたり、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、かつ前記第1ステップにおける処理容器内の前記窒素含有還元ガスの分圧をP(Pa)、1サイクル当たりの膜厚をThk(nm)、前記第1ステップにおける前記窒素含有還元ガスの流量をF(mL/分)としたとき、以下の(B)式で計算される金属窒化膜の比抵抗値Rが800μΩ−cm以下となるように、コンピュータが成膜装置を制御するソフトウエアを含む、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体が提供される。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P
−57.685×Ln(F)+614 ‥‥‥(B)
【0021】
本発明の第12の観点によれば、処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜するにあたり、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、かつ前記第1ステップにおける処理容器内の前記窒素含有還元ガスの分圧をP(Pa)、1サイクル当たりの膜厚をThk(nm)、前記第1ステップにおける前記窒素含有還元ガスの流量をF(mL/分)、被処理基板の温度をT(℃)としたとき、以下の(C)式で計算される金属窒化膜の比抵抗値Rが800μΩ−cm以下となるように、コンピュータが成膜装置を制御するソフトウエアを含む、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体が提供される。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P
−57.685×Ln(F)−2844.6Ln(T
+17658.3 ‥‥‥(C)
【0022】
上記した本発明の第1および第2の観点によれば、窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下とすることにより成膜速度を下げ、金属化合物ガスと窒素含有還元ガスとの反応時間を長くすることができ、金属化合物ガスを窒素含有還元ガスによって十分に還元することができる。また、全圧を100Pa超とすることにより、高ステップカバレージを実現することができる。このため、450℃未満の低い成膜温度でも、比抵抗値が低く、異常成長の少ない良質のTiN膜等の金属窒化膜を高ステップカバレージで成膜することができる。従来から、金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを用いて金属窒化膜を成膜する場合、窒素含有還元ガスの分圧を高くして成膜速度の大きい成膜が指向されていたが、本発明では、このように窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下に下げることにより、低温成膜において良質の金属窒化膜を成膜することに成功した。
【0023】
また、本発明の第3および第4の観点によれば、それぞれ上記第1および第2の観点の方法により第1の厚さで初期金属窒化膜を成膜し、その後高スループットの成膜が可能な方法により第2の厚さで残余の金属窒化膜を成膜するので、下地に影響を与える初期金属窒化膜を低温成膜による比抵抗値の低い良質の膜とし、下地に影響を与えない残余の膜を高スループットで成膜することができ、低温成膜による比抵抗値の低い良質の金属窒化膜の形成と、当該金属窒化膜の成膜のスループットの向上とを両立させることが可能になる。
【0024】
本発明の第5の観点によれば、金属窒化膜の膜質に与える、窒素含有還元ガスの分圧、および間欠的供給のサイクル数の双方の影響を考慮して、双方の最適な組み合わせとすることができ、かつ全圧を100Pa超とするので、必要以上にサイクル数を増大させることなく、450℃未満の低い成膜温度下において、良質のTiN膜等の金属窒化膜を高ステップカバレージで成膜することができる。従来から、金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを間欠的に供給して金属窒化膜を成膜する場合、間欠的供給の反復(サイクル)数を増大させれば金属窒化膜の比抵抗値は減少し、金属窒化膜の膜質が向上することが知られていたが、スループットが極端に低下する。本発明では、このように窒素含有還元ガスの分圧、および間欠的供給のサイクル数を最適化することにより、スループットを極端に低下させることなく低温成膜により良質の金属窒化膜を成膜することに成功した。
【0025】
本発明の第6,7の観点によれば、窒素含有還元ガスの分圧、および間欠的供給のサイクル数の他、膜質に影響を及ぼす他のパラメータである窒素含有還元ガスの流量や被処理基板の温度をも考慮して、最適な組み合わせで金属窒化膜を成膜することができるので、450℃未満の低い成膜温度下において、より確実に良質のTiN膜等の金属窒化膜を高ステップカバレージで成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る成膜方法に用いられる成膜装置の構成の一例を示す略断面図。
【図2】本発明に係る成膜方法の一実施形態におけるガス供給制御の一例を示す線図。
【図3】本発明に係る成膜方法の第1の実施形態を実施した際の効果を示すグラフ。
【図4】第1ステップのNHガス分圧と成膜されたTiN膜の比抵抗との関係を示す図。
【図5】1サイクル当たりのTiNからなる膜の膜厚と成膜されたTiN膜の比抵抗との関係を示す図。
【図6】第1ステップのNH3ガス流量と成膜されたTiN膜の比抵抗との関係を示す図。
【図7】成膜の際の半導体ウエハの温度と成膜されたTiN膜の比抵抗との関係を示す図。
【図8】1サイクル当たりの膜厚Thkを横軸にとり、(8)式により計算したTiN膜の比抵抗Rを縦軸にとって、これらの関係を示すグラフ。
【図9】(8)式により計算したTiN膜の比抵抗Rと実際の比抵抗の値の関係を示すグラフ。本発明の一実施の形態である成膜方法の変形例の作用の一例を示す線図。
【図10】本発明に係る成膜方法によるTiN薄膜をメタル配線層のコンタクト部に用いた例を示す断面図。
【図11】本発明に係る成膜方法によるTiN薄膜をDRAM等のキャパシタ構造に用いた例を示す断面図。
【図12】本発明に係る成膜方法によるTiN薄膜をDRAM等のキャパシタ構造に用いた他の例を示す断面図。
【図13】本発明に係る成膜方法によるTiN薄膜をDRAM等のキャパシタ構造に用いたさらに他の例を示す断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。
ここでは、金属化合物ガスとしてTiClガスを用い、窒素含有還元ガスとしてNHガスを用いて、熱CVDで窒化チタン(TiN)の薄膜を成膜する場合を例にとって説明する。
【0028】
図1は、本発明の成膜方法の実施に用いられる成膜装置の一例を示す概略構成図である。
【0029】
成膜装置40は、気密に構成された略円筒状のチャンバー51を有しており、その中には被処理体であるウエハWを水平に支持するためのサセプタ52がその中央下部に設けられた円筒状の支持部材53により支持された状態で配置されている。このサセプタ52はAlN等のセラミックスからなり、その外縁部にはウエハWをガイドするためのガイドリング54が設けられている。また、サセプタ52にはヒーター55が埋め込まれており、このヒーター55はヒーター電源56から給電されることにより被処理基板であるウエハWを所定の温度に加熱する。サセプタ52には、下部電極として機能する電極58がヒーター55の上に埋設されている。
【0030】
チャンバー51の側面部には搬入出口92が開口され、この搬入出口92は、ゲートバルブGを介して外部の図示しない真空状態のウエハ搬送室から図示しないウエハ搬送装置によりサセプタ52との間におけるウエハWの搬入出が行われる構成となっている。
【0031】
サセプタ52のウエハWの載置領域には、図示しない前記ウエハ搬送装置との間におけるウエハWの受け渡しを行う際に、当該ウエハWを昇降させるための複数の昇降ピン89が貫通して設けられ、これらの昇降ピン89は、駆動アーム90を介して昇降機構91にて昇降駆動される。
【0032】
チャンバー51の底部には、排気室86が設けられ、排気管87を介して排気装置88に接続されており、チャンバー51の内部を所望の真空度に均一に排気することが可能になっている。
【0033】
チャンバー51の天壁51aには、シャワーヘッド60が設けられている。このシャワーヘッド60は、上段ブロック体60a、中段ブロック体60b、下段ブロック体60cで構成されている。
【0034】
下段ブロック体60cにはガスを吐出する吐出孔67と68とが交互に形成されている。上段ブロック体60aの上面には、第1のガス導入口61と、第2のガス導入口62とが形成されている。上段ブロック体60aの中では、第1のガス導入口61から多数のガス通路63が分岐している。中段ブロック体60bにはガス通路65が形成されており、上記ガス通路63が水平に延びる連通路63aを介してこれらガス通路65に連通している。さらにこのガス通路65が下段ブロック体60cの吐出孔67に連通している。また、上段ブロック体60aの中では、第2のガス導入口62から多数のガス通路64が分岐している。中段ブロック体60bにはガス通路66が形成されており、上記ガス通路64がこれらガス通路66に連通している。さらにこのガス通路66が中段ブロック体60b内に水平に延びる連通路66aに接続されており、この連通路66aが下段ブロック体60cの多数の吐出孔68に連通している。そして、上記第1および第2のガス導入口61,62は、それぞれ後述するガス供給機構110に接続されている。
【0035】
ガス供給機構110は、クリーニングガスであるClFガスを供給するClFガス供給源111、Ti含有ガスであるTiClガスを供給するTiClガス供給源112、Nガスを供給する第1のNガス供給源113、窒化ガスであるNHガスを供給するNHガス供給源114、Nガスを供給する第2のNガス供給源115を有している。そして、ClFガス供給源111にはClFガス供給ライン116が、TiClガス供給源112にはTiClガス供給ライン117が、第1のNガス供給源113には第1のNガス供給ライン118が、NHガス供給源114にはNHガス供給ライン119が、第2のNガス供給源115には第2のNガス供給ライン120が、それぞれ接続されている。また、図示しないがArガス供給源も有している。そして、各ガス供給ラインにはマスフローコントローラ122およびマスフローコントローラ122を挟んで2つのバルブ121が設けられている。
【0036】
シャワーヘッド60の第1のガス導入口61にはTiClガス供給源112から延びるTiClガス供給ライン117が接続されており、このTiClガス供給ライン117にはClFガス供給源111から延びるClFガス供給ライン116および第1のNガス供給源113から延びる第1のNガス供給ライン118が接続されている。また、第2のガス導入口62にはNHガス供給源114から延びるNHガス供給ライン119が接続されており、このNHガス供給ライン119には、第2のNガス供給源115から延びる第2のNガス供給ライン120が接続されている。
【0037】
したがって、プロセス時には、TiClガス供給源112からのTiClガスが第1のNガス供給源113からのNガスとともにTiClガス供給ライン117を介してシャワーヘッド60の第1のガス導入口61からシャワーヘッド60内に至り、ガス通路63,65を経て吐出孔67からチャンバー51内へ吐出される一方、NHガス供給源114からの窒素含有還元ガスであるNHガスが第2のNガス供給源115からのNガスとともにNHガス供給ライン119を介してシャワーヘッド60の第2のガス導入口62からシャワーヘッド60内に至り、ガス通路64,66を経て吐出孔68からチャンバー51内へ吐出される。
【0038】
すなわち、シャワーヘッド60は、TiClガスとNHガスとが全く独立してチャンバー51内に供給されるポストミックスタイプとなっており、これらは吐出後に混合され熱エネルギーによって反応が生じる。
【0039】
なお、バルブ121およびマスフローコントローラ122はコントローラ123によって制御される。
【0040】
成膜装置40の各構成部は、プロセスコントローラ130に接続されて制御される構成となっている。プロセスコントローラ130には、工程管理者が成膜装置40を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、成膜装置40の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース131が接続されている。
【0041】
また、プロセスコントローラ130には、成膜装置40で実行される各種処理をプロセスコントローラ130の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じてプラズマエッチング装置の各構成部に処理を実行させるためのプログラムすなわちレシピが格納された記憶部132が接続されている。レシピはハードディスクや半導体メモリに記憶されていてもよいし、CDROM、DVD等の可搬性の記憶媒体に収容された状態で記憶部132の所定位置にセットするようになっていてもよい。さらに、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい
【0042】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース131からの指示等にて任意のレシピを記憶部132から呼び出してプロセスコントローラ130に実行させることで、プロセスコントローラ130の制御下で、成膜装置40での所望の処理が行われる。
【0043】
次に、このような装置を用いた成膜方法の第1の実施形態について説明する。
まず、チャンバー51内を排気装置88により引き切り状態とし、第1のNガス供給源113および第2のNガス供給源115からNガスをシャワーヘッド60を介してチャンバー51内に導入しつつ、ヒーター55によりチャンバー51内を予備加熱する。温度が安定した時点で、第1のNガス供給源113、NHガス供給源114およびTiClガス供給源112からそれぞれNガス、NHガスおよびTiClガスを流し、シャワーヘッド60を介して所定流量で導入し、チャンバー内圧力を所定値に維持する。TiClガスについては、最初にプリフローライン(図示せず)を介して排気して流量を安定化させてからシャワーヘッド60側に切り換えてチャンバー51内に導入する。ヒーター55による加熱によりチャンバー51内壁、サセプタ52、ガイドリング54およびシャワーヘッド60等のチャンバー内部材表面にTiN膜をプリコートする。
【0044】
プリコート処理が終了後、NHガスおよびTiClガスを停止し、第1および第2のNガス供給源113および115からNガスをパージガスとしてチャンバー51内に供給してチャンバー51内のパージを行い、その後、必要に応じて、NガスおよびNHガスを流し、プリコートしたTiN薄膜の表面の窒化処理を行い、プリコート膜を安定化させる。
【0045】
その後、排気装置88によりチャンバー51内を急激に真空排気して引き切り状態とし、ゲートバルブGを開にして、搬入出口92を介してウエハWをチャンバー51内へ搬入する。そして、チャンバー51内にNガスを供給してウエハWを予備加熱する。ウエハの温度が成膜温度にほぼ安定した時点で、TiN膜の成膜を開始する。
【0046】
TiN膜を成膜する際には、ヒーター55によりウエハ温度を450℃未満、好ましくは400℃未満、さらに好ましくは350℃以下にする。これにより、下地膜としてキャパシタ材として用いられる例えばTa、HfO、HfSiO、PZT、BST、RuO、ReOやコンタクト材料として用いられる例えばNiSiのような熱的影響を受けやすい膜が形成されていても、下地にダメージを与えることなく成膜可能となる。
【0047】
ウエハ温度をこのように設定した状態で、図2のタイミングチャートに示すようにしてTiN成膜を行う。最初に、TiClガス供給源112、NHガス供給源114から、TiClガスG1、NHガスG2を、第1および第2のNガス供給源113,115からのNガスG3にキャリアさせてチャンバー51内に供給し、熱CVDによりTiNからなる薄い膜を成膜する第1ステップを行い、次いで、TiClガスG1、NHガスG2を停止し、図示しないパージガスラインからパージガスとしてNガスG3をチャンバー51内に導入し、チャンバー51内のパージを行い、その後、NHガス供給源114からNHガスG2を、第2のNガス供給源115からのNガスG3にキャリアさせてチャンバー51内に供給してアニールを行う第2ステップを行う。引き続き、NHガスG2を停止し、図示しないパージガスラインからパージガスとしてNガスG3をチャンバー51内に導入し、チャンバー51内のパージを行う。
【0048】
以上の工程を1サイクルとして1サイクル以上、好ましくは複数サイクル、より好ましくは3サイクル以上、例えば12〜24回程度繰り返す。このときのガスの切替は、コントローラ123によりバルブを切り替えることにより行われる。
【0049】
このように以上の工程を1サイクル以上行うことにより、目的の厚さのTiN膜をウエハW上に成膜する。このTiN膜の膜厚は、たとえば、5〜100nm、好ましくは10〜50nmである。
【0050】
なお、TiN膜を成膜する前に、窒素原子または水素原子を含むガスを導入し、絶縁膜表面を軽く窒化してもよい。
【0051】
ところで、このような450℃未満の低温成膜において、従来のTiN膜を成膜する際と同様の高いNH分圧で成膜を行うと、異常成長が起こって膜質が低下し、比抵抗が増大してしまう。
【0052】
このため、本実施形態では、このようなTiN成膜の際の第1ステップにおけるNH分圧を30Pa以下とする。これにより、実用的な成膜操作において異常成長が少なく、比抵抗の低い良質のTiN膜を成膜することができる。なお、NH分圧は希釈ガスとして導入されるNガスの流量によって調整することができる。
【0053】
従来は、TiN膜の成膜において、成膜速度が還元ガスであるNHのガス分圧に比例することから、有害な粉状の副生成物が生じない範囲で可能な限りNH分圧を大きくして高スループットの成膜が指向されていたが、本実施形態では、従来の技術常識に反して、成膜の際のNH分圧を30Pa以下と低くする。これにより、TiClとNHとの反応時間を長くして成膜速度を下げることができ、TiClをNHによって十分に還元することができる。したがって、上述のような低温成膜が可能となる。
【0054】
異常成長の少ない、比抵抗の低い良質のTiN膜を成膜するためのプロセスマージンをより広くする観点からは、成膜の際のNH分圧を20Pa以下にすることが望ましい。さらに望ましくは15Pa以下である。
【0055】
また、このようなTiN成膜処理の際には、第1ステップおよび第2ステップともチャンバー51内の全圧を100Paより大きくする。これによりステップカバレージを良好にすることができる。チャンバー51内の全圧の上限は特に決める必要はないが、1300Pa程度が装置的に事実上の上限となる。好ましくは100Pa超667Pa以下である。
【0056】
従来のTiN膜の成膜処理においては、TiN膜の異常成長を抑制して表面モホロジーの良好な膜を成膜するために、成膜の際のチャンバー51内の全圧を100Pa以下の低い値にして成膜していたが、ステップカバレージが悪いという問題を抱えていた。これに対して、本実施形態では、NH分圧を低下させることにより異常成長の小さい良質の膜を形成可能としているため、チャンバー51内の全圧を100Paより大きくすることにより、膜質とステップカバレージとを両立させることができる。
【0057】
なお、1サイクルあたりの膜厚は、例えば、0.25〜2.50nmが例示される。
【0058】
以上のことを実験によって確認した結果を図3に示す。この図3は、図2に例示されるような間欠的なガス供給による成膜において、成膜対象のウエハWの温度(成膜温度)が380℃の場合におけるNHガスG2の分圧(Pa)と、得られるTiN膜の比抵抗値(μΩ−cm)との関係を示している。なお、チャンバー内の全圧は、260Paとした。
【0059】
この図3から明らかなように、1サイクルで形成される膜厚が大きいほど、必要なサイクル数は少なくなる。たとえば、最終膜厚が16nmのTiN膜を形成する場合、1サイクルで形成される膜厚Thkが2.00nm、1.00nm、0.50nm、0.25nmでは、それぞれ、8、16、32、64サイクル反復する必要がある。そして、1サイクルで形成される膜厚が大きくサイクル数が少ないほど高スループットとなるが、異常成長や比抵抗の増大も起こりやすくなる。
【0060】
この図から、NHガスG2の分圧が30Pa以下であれば、1サイクル当たりの膜厚が実用的な膜厚である0.50nm(32サイクル)において、上部電極として適正な比抵抗値の目安であり、異常成長が生じにくい800μΩ−cm以下となることが確認される。また、NHガスG2の分圧が、20Pa以下であれば、1サイクル当たりの膜厚がさらに厚い1.00nm(16サイクル)や2.00nm(8サイクル)においても低比抵抗値で異常成長のない膜が成膜されることが確認される。
【0061】
その他の条件としては以下の通りである。第1ステップのTiClガスG1の分圧としては、1〜100Paが例示され、ステップカバレージをより良好にする観点からは、10Pa超100Pa以下の範囲にすることが好ましい。また、第2ステップのNHガスG2の分圧は10〜1300Paが例示され、40Pa以上が好ましく、100Pa超がより好ましい。すなわち、ガス圧のほとんどNHガス圧になるようにすることが好ましい。各ガスの供給流量については、TiClガスG1は5〜200mL/分が例示され、NHガスG2は、第1ステップの成膜時は5〜300mL/分、第2ステップのアニール時30〜5000mL/分が例示される。また、パージ用のNガスG3は、50〜5000mL/分、望ましくは50〜1000mL/分が例示される。
【0062】
より異常成長の少ない良質の膜を得る観点からは、第1ステップにおけるNHガスG2の流量を20mL/分以上とすることが好ましい。上限は特に存在しないが、実用上20〜300mL/分が採用される。
【0063】
第1ステップのNHガス分圧および全圧以外の条件を加味した、好ましい条件は以下のようになる。
全圧:100Pa超
第1ステップのNH分圧:30Pa以下
(好ましくは20Pa以下、より好ましくは15Pa)
TiClガス分圧:10Pa超100Pa以下
第1ステップにおけるNHガス流量:20mL/分以上
1サイクルの膜厚:NH分圧が30Pa以下のとき0.50nm以下、20Pa以下のとき2.00nm以下
【0064】
そして、TiN膜の成膜に際し、図2に示す第1ステップの時間としては2〜8秒間が例示され、その後のパージの時間としては0.5〜20秒間が例示され、第2ステップの時間としては0.5〜8秒間が例示され、その後のパージの時間としては0.5〜20秒間が例示される。
【0065】
TiN成膜工程が終了後、NHガスおよびTiClガスを停止し、図示しないパージガスラインからNガスをパージガスとして好ましくはそれぞれ0.5〜10L/minの流量で流して、チャンバー51内のパージを行い、その後、NガスおよびNHガスを流し、ウエハWに成膜したTiN薄膜の表面のナイトライド処理を行う。この際のNガスの供給は、第1および第2のNガス供給源113および115のいずれか、または両方から行われる。なお、このナイトライド処理は必須なものではない。
【0066】
所定時間経過後、NガスおよびNHガスを徐々に停止し、これらのガスの供給が完全に停止された時点でプロセスを終了する。
【0067】
このように、本第1の実施形態では、450℃未満、好ましくは400℃未満、例えば380℃の成膜温度下において、前後にパージをはさんだ第1ステップおよび第2ステップという交互的なガスフローを行うことにより成膜する場合において、窒素含有還元ガスであるNHガスG2の分圧を30Pa以下、好ましくは20Pa以下、より好ましくは15Pa未満としているので、第1ステップで成膜速度を抑制して、十分な時間をかけて成膜されたTiN膜が第2ステップのアニールにより効率的に脱Clされ、膜中の残留塩素を著しく低くすることができ、低温成膜であっても残留塩素の少ない低比抵抗値の良質のTiN膜を成膜することができ、かつ、全圧を100Pa超と高くしているのでステップカバレージを良好にすることができる。
【0068】
すなわち、DRAMメモリー部のキャパシタ材として用いられる例えばTa、HfO、HfSiO、PZT、BST、RuO、ReOのような高誘電率膜や、コンタクト材料として用いられるNiSi膜に代表される熱的に不安定な下地膜上に形成する場合でも問題のない450℃未満、さらには400℃未満の低温で、比抵抗値が低く、異常成長のない良質のTiN膜を高ステップカバレージで成膜することが可能となる。
【0069】
なお、TiN薄膜の成膜初期のみ、上述のNH分圧を30Pa以下にした交互的成膜を450℃未満の低温で行い(第1成膜工程)、下地に対して影響を与えない厚さまで成膜後、連続して、温度450℃以上で通常の連続的なCVD−TiN成膜(連続成膜)、またはNH分圧を30Pa以上で図2のサイクルを実施する成膜(第2成膜工程)を行ってもよい。これにより、スループットを向上させることができる。
【0070】
この場合に、第1成膜工程のTiN膜の膜厚よりも第2成膜工程のTiN膜の膜厚のほうが大きい方が好ましい。ただし、第1成膜工程のTiN膜の膜厚のほうが厚くてもよい。第1成膜工程によるTiN膜の膜厚は、例えば5〜50nmであり、第2成膜工程によるTiN膜の膜厚は、例えば5〜95nmである。
【0071】
次に第2の実施形態について説明する。
上述の、図3からも読み取れるように、1サイクルあたりの膜厚を小さくしてサイクル数を増やせば、スループットは低下するものの、NHガスG2の分圧が30Paを超えても良質なTiN膜を形成することは可能である。そこで、本実施形態では、まず、NHガスの分圧およびの膜質に対する相互作用を考慮して製造条件を設定する。
【0072】
上述したように、形成された膜の膜質は比抵抗で把握することができ、比抵抗が800μΩ−cm以下であれば異常成長がほとんど存在しない良好な膜であることが把握されていることから、ここでは比抵抗が800μΩ−cm以下になるようにNHガス分圧および1サイクルあたりの膜厚を決定する。
【0073】
図4は、NHガス分圧PとTiN膜の比抵抗との関係を示すグラフである。ここでは、1サイクル当たりの膜厚Thkを0.5nm、NHガスの流量Fを30mL/min、ウエハ温度Tを400℃としている。図4に示すように、NHガス分圧Pが上昇するに従って比抵抗が上昇する曲線が描かれ、TiN膜の比抵抗をRとしてこの曲線の式を計算すると以下の(1)式となる。
R=71.576Ln(P)+338.88 ‥‥‥(1)
【0074】
図5は、1サイクル当たりの膜厚ThkとTiN膜の比抵抗との関係を示すグラフである。ここでは、NHガス分圧Pを30Pa、NHガスの流量Fを30mL/min、ウエハ温度Tを400℃としている。図5に示すように、1サイクル当たりの膜厚Thkが大きくなるに従って比抵抗が上昇する曲線が描かれ、TiN膜の比抵抗をRとしてこの曲線の式を計算すると以下の(2)式となる。
R=115.75Ln(Thk)+662.55 ‥‥‥(2)
【0075】
これら図4および図5の関係から、NHガス分圧PNHおよび1サイクル当たりの膜厚ThkのTiN膜の比抵抗Rへの影響を示す式を求めると、以下の(3)式となる。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P)+
418.8 ‥‥‥(3)
【0076】
したがって、上記(3)式のTiN膜の比抵抗Rが800μΩ−cmを超えないように、NHガス分圧Pおよび1サイクル当たりの膜厚Thkを決定する。これにより、異常成長のほとんど存在しない良質の膜を得ることができる。また、本実施形態においても第1の実施形態と同様、高ステップカバレージを得る観点から、成膜の際のチャンバー51内の全圧を100Pa超とする。なお、NHガス分圧Pは、希釈ガスとして流入されるNガスの流量により調整することができる。
【0077】
ところで、TiN膜の比抵抗はNHガス流量Fとも相関があり、これらの関係は図6のようになる。ここでは、NHガス分圧Pを30Pa、1サイクル当たりの膜厚Thkを0.5nm、ウエハ温度Tを400℃としている。図6に示すように、NHガス流量Fが大きくなるに従って比抵抗が低下する曲線が描かれ、TiN膜の比抵抗をRとしてこの曲線の式を計算すると以下の(4)式となる。
R=−57.685Ln(F)+778.92 ‥‥‥(4)
【0078】
この図6の関係と、上記図4および図5の関係とから、上記NHガス分圧Pおよび1サイクル当たりの膜厚Thkに加えてNHガス流量Fを考慮した場合のTiN膜の比抵抗を示す式を求めると、以下の(5)式となる。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P
−57.685×Ln(F)+614 ‥‥‥(5)
【0079】
したがって、NHガス分圧Pおよび1サイクル当たりの膜厚Thkに加えてNHガス流量Fを考慮する場合には、上記(5)式のTiN膜の比抵抗Rが800μΩ−cmを超えないように、NHガス分圧P、1サイクル当たりの膜厚Thk、およびNHガス流量Fを決定すればよい。
【0080】
本実施形態は、成膜温度450℃未満の低温成膜が前提であり、このような低温成膜においても比抵抗の低い良好な膜質のTiN膜を得ようとするものであるが、TiN膜の比抵抗は成膜の際のウエハ温度Tとも相関があり、これらの関係は図7のようになる。ここでは、NHガス分圧Pを30Pa、1サイクル当たりの膜厚Thkを0.5nm、NHガス流量Fを30mL/minとしている。図7に示すように、ウエハ温度が高くなるに従って比抵抗が低下する曲線が描かれ、TiN膜の比抵抗をRとしてこの曲線の式を計算すると以下の(6)式となる。
R=−2844.6Ln(T)+17568 ‥‥‥(6)
【0081】
この図7の関係と、上記図4、図5および図6の関係とから、上記NHガス分圧P、1サイクル当たりの膜厚Thk、およびNHガス流量Fに加えて、ウエハ温度Tを考慮した場合のTiN膜の比抵抗を示す式を求めると、以下の(7)式となる。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P
−57.685×Ln(F)−2844.6Ln(T
+17658.3 ‥‥‥(7)
【0082】
したがって、NHガス分圧P、1サイクル当たりの膜厚Thk、およびNHガス流量Fに加えてウエハ温度Tを考慮する場合には、上記(8)式のTiN膜の比抵抗Rが800μΩ−cmを超えないように、NHガス分圧P、1サイクル当たりの膜厚Thk、NHガス流量F、およびウエハ温度Tを決定すればよい。
【0083】
上記複数のパラメータを変化させた場合において、1サイクル当たりの膜厚Thkを横軸にとり、上記(7)式で計算したTiN膜の比抵抗Rを縦軸にとって、これらの関係を示すグラフを図8に示し、このような比抵抗の計算値と実際の比抵抗の値の関係を図9に示す。図9に示すように、TiN膜の比抵抗の値が800μΩ−cmまでは、実際の値と計算値がほぼ一致しているのがわかる。比抵抗の値が800μΩ−cmを超えると、計算値よりも実際の値のほうが上昇する傾向にあるが、これは、800μΩ−cmまでは比抵抗上昇の要因のほとんどが膜中のCl濃度の上昇によるものであるのに対し、800μΩ−cmを超えると異常成長により急激に膜が粗雑となり、このことによる比抵抗上昇分が加わるためである。逆に、このような計算上の比抵抗と実際の比抵抗との間のずれが、800μΩ−cmを超えた際における異常成長の証左となる。いずれにしても、上記計算式は比抵抗の値が800μΩ−cmまでは実際の値とほぼ一致していることから、上記計算式で計算したTiN膜の比抵抗Rが800μΩ−cm以下であれば、実際にも異常成長がほとんど生じていないと言える。
【0084】
本実施形態においては、上記(3)式、(5)式、(7)式のいずれかを満たし、かつチャンバー51内の全圧を100Pa超にすればよいが、第1ステップのNHガス分圧、NHガス流量、1サイクルの膜厚、ウエハ温度の好ましい範囲は、以下のとおりである。
第1ステップのNH分圧:70Pa以下
第1ステップのNHガス流量:10mL/分以上
1サイクルの膜厚:2.5nm以下
ウエハ温度:300〜450℃
【0085】
その他、第1の実施形態と同様、TiClガス分圧が10Pa超100Pa以下であることが好ましい。その他の条件は第1の実施形態に例示した条件を採用することができる。
【0086】
このように本実施形態においては、上記(3)式、(5)式、(7)式のいずれかを満たし、かつ全圧を100Pa超とすることにより、DRAMメモリー部のキャパシタ材として用いられる例えばTa、HfO、HfSiO、PZT、BST、RuO、ReOのような高誘電率膜や、コンタクト材料として用いられるNiSi膜に代表される熱的に不安定な下地膜上に形成する場合でも問題のない450℃未満、さらには400℃未満の低温で、比抵抗値が低く、異常成長のない良質のTiN膜を高ステップカバレージで成膜することが可能となる。
【0087】
なお、本実施形態においても、TiN薄膜の成膜初期のみ、成膜ガスおよび還元ガスを用いた、上記条件を満たす交互的成膜を450℃未満の低温で行い(第1成膜工程)、下地に対して影響を与えない厚さまで成膜後、連続して、温度450℃以上で通常の連続的なCVD−TiN成膜(連続成膜)(第2成膜工程)を行ってもよい。これにより、スループットを向上させることができる。この場合にも第1の実施形態の場合と同様、上記第1の実施形態の場合と同様、第1成膜工程のTiN膜の膜厚よりも第2成膜工程のTiN膜の膜厚のほうが大きい方が好ましい。ただし、第1成膜工程のTiN膜の膜厚のほうが厚くてもよい。また、この場合の膜厚も、第1の実施形態と同様、第1成膜工程では、例えば5〜50nmであり、第2成膜工程では、例えば5〜95nmである。
【0088】
次に、本発明に係る成膜方法によって成膜されたTiN薄膜をメタル配線層のコンタクト部の形成工程に用いた例について図10を参照しながら説明する。この図10の例では、Si基板上に形成された配線層等のNiSi膜10上に層間絶縁膜11が形成されており、層間絶縁膜11にはNiSi膜10に達するコンタクトホール12が形成されている。層間絶縁膜11およびコンタクトホール12にはTi薄膜13が形成され、Ti薄膜13とNiSi膜10の接合部には、Ti薄膜13側からのTiと、NiSi膜10側からのSiが相互に拡散し合うことでTiSi部10aが形成されている。Ti薄膜13の上には本発明の方法で低温形成されたTiN薄膜14が積層されている。
【0089】
TiN薄膜14の下地となるNiSi膜10は耐熱性が低く熱に敏感であるが、本発明ではTiN薄膜14を450℃未満の低温で形成するため、NiSi膜10は熱的なダメージを受けることがなく、良好なコンタクトを形成することができる。
【0090】
このTiN薄膜14の上には例えばCuまたはWからなるメタル配線層16が形成されている。このメタル配線層16はコンタクトホール12内にも充填され、TiSi部10aを介してNiSi膜10とメタル配線層16とが導通される。上述のようにTiSi部10aの低抵抗値を維持しつつ、TiN薄膜14が形成できるため、TiSi部10aを介したメタル配線層16とNiSi膜10との良好な電気的導通が達成される。なお、下地がCoSi膜の場合にも適用可能である。
【0091】
次に、本発明に係るTiN薄膜をDRAM等のキャパシタ構造に用いた例について図11を参照しながら説明する。この図11の例では、Si基板20の不純物拡散領域20aには、表面が凹凸をなすことで大きな表面積(すなわちキャパシタの大きな電荷蓄積量)を実現するHSG(hemispherical grained)多結晶シリコンからなる下部電極層21が接続されており、この下部電極層21の上部は、RTN(Rapid Thermal Nitrization)処理を施すことにより極薄いSiNバリア層22が形成され、その上にTaからなる誘電体層23が形成され、さらに、その上には本発明の成膜方法で形成されたTiN薄膜からなる上部電極層24が誘電体層23の凹部内を含み高カバレージで形成されている。そして、上部電極層24の上にはメタル配線層(図示せず)が形成される。
【0092】
TiN薄膜からなる上部電極層24の成膜に際して下地となるTaからなる誘電体層23は、熱的に不安定でダメージを受けやすいが、本発明では、上部電極層24を構成するTiN膜の成膜の際に450℃未満の低温成膜が可能であるため、熱に敏感なTaからなる絶縁層23がダメージを受けることがなく、良好なキャパシタンスを維持することができ、キャパシタ部、延いてはメモリ素子全体の歩留りが向上する。
【0093】
次に、本発明に係るTiN薄膜をDRAM等のキャパシタ構造に用いた他の例について図12を参照しながら説明する。この図12の例では、大きな表面積(すなわちキャパシタの大きな電荷蓄積量)を実現できるように高アスペクト比のフィン状をなす多結晶シリコンからなる下部電極21′がSi基板の不純物拡散領域(図示せず)上に形成されている。このフィン状の下部電極21′のアスペクト比は12以上であり、好ましくは15〜100である。この下部電極層21′の上部は、RTN(Rapid Thermal Nitrization)処理を施すことにより極薄いSiNバリア層22′が形成され、その上にTaからなる誘電体層23′が形成され、さらに、その上には本発明の成膜方法で形成されたTiN薄膜からなる上部電極層24′が誘電体層23′の凹部内を含み高カバレージで形成されている。そして、上部電極層24′の上にはメタル配線層(図示せず)が形成される。
【0094】
この構造の場合にも、上部電極層24′を構成するTiN膜の成膜の際に450℃未満の低温成膜が可能であるため、熱に敏感なTaからなる誘電体層23′がダメージを受けることがなく、良好なキャパシタンスを維持することができ、キャパシタ部、延いてはメモリ素子全体の歩留りが向上する。
【0095】
次に、本発明に係るTiN薄膜をDRAM等のキャパシタ構造に用いたさらに他の例について図13を参照しながら説明する。この図13の例では、Si基板30の不純物拡散領域30aには、アモルファスSiからなる下部電極層31が接続されており、この下部電極層31の上には、シリコンにRTN(Rapid Thermal Nitrization)処理を施して形成されたSiNバリア層32を介してTaからなる誘電体層33が形成され、その上には本発明のTiN系薄膜からなる上部電極層34が形成されている。そして、上部電極層34の上にはメタル配線層(図示せず)が形成されている。
【0096】
この構造の場合にも、上部電極層34を構成するTiN膜の成膜の際に450℃未満の低温成膜が可能であるため、熱に敏感なTaからなる誘電体層33がダメージを受けることがなく、良好なキャパシタンスを維持することができ、キャパシタ部、延いてはメモリ素子全体の歩留りが向上する。
【0097】
なお、本発明は、上記実施の形態に限らず種々変形可能である。例えば、上記実施の形態ではTi含有化合物ガスとしてTiClを用いたが、例えば有機Ti化合物等、他のガスを用いても良い。また窒素含有還元ガスとしてNHを用いたが、MMH等の他のガスを用いても良い。さらに、上記実施の形態では、TiNの成膜に適用した場合について示したが、TaNやWN等の一般の金属窒化膜にも適用することができる。さらにまた、被処理基板として半導体ウエハを用いた例を示したが、液晶表示装置用基板等の他の基板であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜する方法であって、
成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下とする成膜方法。
【請求項2】
請求項1の成膜方法において、前記1サイクルでの成膜厚さが0.50nm以下である。
【請求項3】
請求項1の成膜方法において、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧は20Pa以下である。
【請求項4】
請求項3の成膜方法において、前記1サイクルでの成膜厚さが2.0nm以下である。
【請求項5】
請求項1の成膜方法において、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧は15Pa以下である。
【請求項6】
請求項1の成膜方法において、成膜の際における前記被処理基板の温度は400℃以下である。
【請求項7】
処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板にTi化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDによりTiNからなる膜を形成する第1ステップと、前記Ti化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さのTiN膜を成膜する方法であって、
成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下とする成膜方法。
【請求項8】
請求項7の成膜方法において、前記Ti化合物ガスはTiClであり、前記窒素含有還元ガスはNHである。
【請求項9】
請求項7の成膜方法において、前記1サイクルでの成膜厚さが0.50nm以下である。
【請求項10】
請求項7の成膜方法において、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧は20Pa以下である。
【請求項11】
請求項10の成膜方法において、前記1サイクルでの成膜厚さが2.0nm以下である。
【請求項12】
請求項7の成膜方法において、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧は15Pa以下である。
【請求項13】
請求項7の成膜方法において、成膜の際における前記被処理基板の温度は400℃以下である。
【請求項14】
請求項7の成膜方法において、前記第1ステップにおける窒素含有還元ガスの流量は20mL/分以上である。
【請求項15】
請求項7の成膜方法において、前記第1ステップにおける前記Ti化合物ガスの分圧は、10Pa超50Pa以下である。
【請求項16】
請求項7の成膜方法において、TiN膜の比抵抗が800μΩ−cm以下である。
【請求項17】
処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に第1の厚さで初期金属窒化膜を成膜し、その後被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給して連続的なCVDにより第2の厚さで残余の金属窒化膜を成膜する方法であって、
前記初期金属窒化膜の成膜は、前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下として行う成膜方法。
【請求項18】
請求項17の成膜方法において、前記第1の厚さは、前記第2の厚さよりも小さい。
【請求項19】
請求項17の成膜方法において、前記残余の金属窒化膜を成膜する際の成膜温度は450℃以上である。
【請求項20】
請求項17の成膜方法において、前記第1の厚さは5〜50nmであり、前記第2の厚さは5〜95nmである。
【請求項21】
処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返して前記被処理基板上に第1の厚さの初期金属窒化膜し、その上に前記第1ステップと前記第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返して第2の厚さの残余の金属窒化膜を成膜する方法であって、
前記初期金属窒化膜を成膜する際に、前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下として行い、前記残余の金属窒化膜を成膜する際に、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa超として行う成膜方法。
【請求項22】
請求項21の成膜方法において、前記残余の金属窒化膜を成膜する際の成膜温度は450℃以上である。
【請求項23】
請求項21の成膜方法において、前記第1の厚さは5〜50nmであり、前記第2の厚さは5〜95nmである。
【請求項24】
処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜する方法であって、
成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、かつ前記第1ステップにおける処理容器内の前記窒素含有還元ガスの分圧をP(Pa)、1サイクル当たりの膜厚をThk(nm)としたとき、以下の(A)式で計算される金属窒化膜の比抵抗値Rが800μΩ−cm以下となるようにする成膜方法。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P)+
418.8 ‥‥‥(A)
【請求項25】
請求項24の成膜方法において、前記金属化合物ガスはTi化合物ガスであり、前記金属窒化膜はTiN膜である。
【請求項26】
請求項25の成膜方法において、前記Ti化合物ガスはTiClであり、前記窒素含有還元ガスはNHである。
【請求項27】
処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜する方法であって、
成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、かつ前記第1ステップにおける処理容器内の前記窒素含有還元ガスの分圧をP(Pa)、1サイクル当たりの膜厚をThk(nm)、前記第1ステップにおける前記窒素含有還元ガスの流量をF(mL/分)としたとき、以下の(B)式で計算される金属窒化膜の比抵抗値Rが800μΩ−cm以下となるようにする成膜方法。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P
−57.685×Ln(F)+614 ‥‥‥(B)
【請求項28】
請求項27の成膜方法において、前記金属化合物ガスはTi化合物ガスであり、前記金属窒化膜はTiN膜である。
【請求項29】
請求項28の成膜方法において、前記Ti化合物ガスはTiClであり、前記窒素含有還元ガスはNHである。
【請求項30】
処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜する方法であって、
成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、かつ前記第1ステップにおける処理容器内の前記窒素含有還元ガスの分圧をP(Pa)、1サイクル当たりの膜厚をThk(nm)、前記第1ステップにおける前記窒素含有還元ガスの流量をF(mL/分)、被処理基板の温度をT(℃)としたとき、以下の(C)式で計算される金属窒化膜の比抵抗値Rが800μΩ−cm以下となるようにする成膜方法。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P
−57.685×Ln(F)−2844.6Ln(T
+17658.3 ‥‥‥(C)
【請求項31】
請求項30の成膜方法において、前記金属化合物ガスはTi化合物ガスであり、前記金属窒化膜はTiN膜である。
【請求項32】
請求項31の成膜方法において、前記Ti化合物ガスはTiClであり、前記窒素含有還元ガスはNHである。
【請求項33】
処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜するにあたり、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下とするように、コンピュータが成膜装置を制御するソフトウエアを含む、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体。
【請求項34】
処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板にTi化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDによりTiNからなる膜を形成する第1ステップと、前記Ti化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さのTiN膜を成膜するにあたり、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、前記第1ステップにおける前記処理容器内の窒素含有還元ガスの分圧を30pa以下とするように、コンピュータが成膜装置を制御するソフトウエアを含む、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体。
【請求項35】
処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜するにあたり、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、かつ前記第1ステップにおける処理容器内の前記窒素含有還元ガスの分圧をP(Pa)、1サイクル当たりの膜厚をThk(nm)としたとき、以下の(A)式で計算される金属窒化膜の比抵抗値Rが800μΩ−cm以下となるように、コンピュータが成膜装置を制御するソフトウエアを含む、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P)+
418.8 ‥‥‥(A)
【請求項36】
請求項35の記録媒体において、前記金属化合物ガスはTi化合物ガスであり、前記金属窒化膜はTiN膜である。
【請求項37】
処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜するにあたり、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、かつ前記第1ステップにおける処理容器内の前記窒素含有還元ガスの分圧をP(Pa)、1サイクル当たりの膜厚をThk(nm)、前記第1ステップにおける前記窒素含有還元ガスの流量をF(mL/分)としたとき、以下の(B)式で計算される金属窒化膜の比抵抗値Rが800μΩ−cm以下となるように、コンピュータが成膜装置を制御するソフトウエアを含む、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P
−57.685×Ln(F)+614 ‥‥‥(B)
【請求項38】
請求項37の記録媒体において、前記金属化合物ガスはTi化合物ガスであり、前記金属窒化膜はTiN膜である。
【請求項39】
処理容器内で成膜温度に加熱された被処理基板に金属化合物ガスおよび窒素含有還元ガスを供給してCVDにより金属窒化物からなる膜を形成する第1ステップと、前記金属化合物ガスを停止して前記窒素含有還元ガスを供給する第2ステップとからなるサイクルを1サイクル以上繰り返し、前記被処理基板上に所定厚さの金属窒化膜を成膜するにあたり、成膜の際における前記被処理基板の温度を450℃未満とし、前記処理容器内の全圧を100Pa超とし、かつ前記第1ステップにおける処理容器内の前記窒素含有還元ガスの分圧をP(Pa)、1サイクル当たりの膜厚をThk(nm)、前記第1ステップにおける前記窒素含有還元ガスの流量をF(mL/分)、被処理基板の温度をT(℃)としたとき、以下の(C)式で計算される金属窒化膜の比抵抗値Rが800μΩ−cm以下となるように、コンピュータが成膜装置を制御するソフトウエアを含む、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体。
R=115.75×Ln(Thk)+71.576×Ln(P
−57.685×Ln(F)−2844.6Ln(T
+17658.3 ‥‥‥(C)
【請求項40】
請求項39の記録媒体において、前記金属化合物ガスはTi化合物ガスであり、前記金属窒化膜はTiN膜である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【国際公開番号】WO2005/069358
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517080(P2005−517080)
【国際出願番号】PCT/JP2005/000384
【国際出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】