説明

成膜用基板および成膜方法

【課題】材料の利用効率が高い成膜用基板を提供する。また、前記成膜用基板を利用して材料の利用効率が高い成膜方法を提供する。
【解決手段】異なる成膜特性を有する複数の領域を支持基板100の第1の面に形成した成膜用基板150を用意し、前記成膜用基板150の第1の面に成膜可能な材料を成膜し、前記材料が成膜された成膜用基板150の第1の面と被成膜基板を対峙して配置し、前記異なる成膜特性に応じた複数の成膜方法を順次用いて、1枚の成膜用基板150から複数の被成膜基板に前記材料を成膜すれば良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に成膜可能な材料の成膜に用いる成膜用基板、および当該成膜用基板を用いた成膜方法に関する。また、成膜用基板を用いる成膜装置および、成膜用基板を用いて作製した薄膜に関する。
【背景技術】
【0002】
電極間に発光物質である有機化合物を含む発光層を挟持した単純な構造を有する発光素子は、薄く、軽量であり、入力信号に高速に応答でき、また、低電圧な直流電流により駆動できるなどの特性から、次世代のフラットパネルディスプレイ用の発光素子として注目されている。また、この発光素子をマトリクス状に配置した表示装置は、コントラストや画質に優れ、視野角が広く視認性が優れているという特徴も有している。
【0003】
また、Red(R)、Green(G)、Blue(B)に発光する有機化合物を発光物質とした発光素子をマトリクス状に配置すれば、フルカラー表示装置を作製できる。
【0004】
発光色が異なる有機化合物を発光物質とした発光素子をマトリクス状に配置する方法として、シャドーマスク法などが知られている。
【0005】
シャドーマスク法は、孔をあけた金属薄板(シャドーマスク)を被成膜基板に密着して、シャドーマスク側から材料を蒸着する方法である。孔を通過させることで、材料を被成膜基板に選択的に成膜できる。
【0006】
シャドーマスク法の他には、光を選択的に熱に変換し成膜用基板上の材料を選択的に加熱して被成膜基板に蒸着もしくは転写を行う方法(以下、光熱成膜法という)や、選択的な接触により成膜を行う方法(以下、接触成膜法という)が知られている。
【0007】
光熱成膜法の一例としては、透光性を有する支持基板の上に、光を吸収して熱に変換する高吸収領域と光を反射する低吸収領域を設けた成膜用基板を用いる方法が考案されている(特許文献1)。また接触成膜法の一例としては、成膜したいパターンに従って表面に凸部を設けた成膜用基板を用いる方法も考案されている(特許文献2乃至特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−309995号公報
【特許文献2】特開2001−143866号公報
【特許文献3】特開2005−78941号公報
【特許文献4】特開2003−215323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
成膜工程においては、材料の無駄を省き、高い効率で利用できることが好ましい。本発明の一態様は、材料の利用効率が高い成膜用基板を提供することを課題とする。また、前記成膜用基板を利用して材料の利用効率が高い成膜方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
異なる成膜特性を有する複数の領域を支持基板の第1の面に形成した成膜用基板を用意し、前記成膜用基板の第1の面に成膜可能な材料を成膜し、前記材料が成膜された成膜用基板の第1の面と被成膜基板を対峙して配置し、前記異なる成膜特性に応じた複数の成膜方法を順次用いて、1枚の成膜用基板から複数の被成膜基板に前記材料を成膜すれば良い。
【0011】
すなわち、本発明の一態様は、基板の第1の面に、互いに独立した第1の領域と、第2の領域と、第3の領域を少なくとも有し、前記第1の領域は他の領域より凸であり、前記第2の領域は第2の面から照射した光を吸収する光吸収層を有し、前記第3の領域は光反射層と重畳する成膜用基板である。
【0012】
また、本発明の一態様は、第1の領域が光反射層と重畳する前記成膜用基板である。
【0013】
また、本発明の一態様は、光反射層上に光吸収層を積層してなる第1の領域を有する前記成膜用基板である。
【0014】
また、本発明の一態様は、基板より低い熱伝導率を有し、照射した光を透過する断熱層上に光吸収層を積層してなる第2の領域を有する前記成膜用基板である。
【0015】
また、本発明の一態様は、基板の第1の面に、互いに独立した第1の領域と、第2の領域と、第3の領域を少なくとも有し、前記第1の領域は他の領域より凸であり、前記第2の領域は第2の面から照射した光を吸収する光吸収層を有し、前記第3の領域は光反射層と重畳する成膜用基板の第1の面に成膜可能な成膜材料を成膜し、前記成膜材料が成膜された前記成膜用基板の第1の面と第1の被成膜基板の被成膜面を互いに向かい合わせて圧着し、前記成膜用基板と前記第1の被成膜基板を引きはがして、前記第1の領域に成膜された前記成膜材料を前記第1の被成膜基板に成膜し、前記成膜用基板の第1の面と第2の被成膜基板の被成膜面を互いに向かい合わせて近接して配置した状態で、前記成膜用基板の第2の面の側から光を照射し、前記第2の領域に成膜された前記成膜材料を前記第2の被成膜基板に成膜し、前記成膜用基板の第1の面と第3の被成膜基板の被成膜面を互いに向かい合わせて近接して配置した状態で、前記成膜用基板を加熱し、前記第3の領域に成膜された前記成膜材料を前記第3の被成膜基板に成膜する成膜方法である。
【0016】
また、本発明の一態様は、基板の第1の面に、互いに独立した第1の領域と、第2の領域と、第3の領域を少なくとも有し、前記第1の領域は他の領域より凸であり、前記第2の領域は第2の面から照射した光を吸収する光吸収層を有し、前記第3の領域は光反射層と重畳する成膜用基板の第1の面に成膜可能な成膜材料を成膜し、前記成膜材料が成膜された前記成膜用基板の第1の面と第2の被成膜基板の被成膜面を互いに向かい合わせて近接して配置した状態で、前記成膜用基板の第2の面の側から光を照射し、前記第2の領域に成膜された前記成膜材料を前記第2の被成膜基板に成膜し、前記成膜用基板の第1の面と第1の被成膜基板の被成膜面を互いに向かい合わせて圧着し、前記成膜用基板と前記第1の被成膜基板を引きはがして、前記第1の領域に成膜された前記成膜材料を前記第1の被成膜基板に成膜し、前記成膜用基板の第1の面と第3の被成膜基板の被成膜面を互いに向かい合わせて近接して配置した状態で、前記成膜用基板を加熱し、前記第3の領域に成膜された前記成膜材料を前記第3の被成膜基板に成膜する成膜方法である。
【0017】
なお、本明細書において、EL層とは発光素子の一対の電極間に設けられた層を示すものとする。従って、電極間に挟まれた発光物質である有機化合物を含む発光層はEL層の一態様である。
【0018】
また、本明細書において、物質Aを他の物質Bからなるマトリクス中に分散する場合、マトリクスを構成する物質Bをホスト材料と呼び、マトリクス中に分散される物質Aをゲスト材料と呼ぶものとする。なお、物質A並びに物質Bは、それぞれ単一の物質であっても良いし、2種類以上の物質の混合物であっても良いものとする。
【0019】
なお、本明細書中において、発光装置とは画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子が形成された基板にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、材料の利用効率が高い成膜用基板を提供できる。また、前記成膜用基板に成膜された材料を被成膜基板に効率良く成膜する方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態に係わる成膜用基板を説明する図。
【図2】実施の形態に係わる工程を説明する図。
【図3】実施の形態に係わる成膜方法を説明する図。
【図4】実施の形態に係わる成膜方法を説明する図。
【図5】実施の形態に係わる成膜方法を説明する図。
【図6】実施の形態に係わる成膜方法を説明する図。
【図7】実施の形態に係わる成膜方法を説明する図。
【図8】実施の形態に係わる成膜装置を説明する図。
【図9】実施の形態に係わる成膜装置を説明する図。
【図10】実施の形態に係わる成膜装置を説明する図。
【図11】実施の形態に係わる成膜用基板を用いて作製する発光素子。
【図12】実施の形態に係わる成膜用基板を用いて作製する発光素子。
【図13】実施の形態に係わる成膜用基板を用いて作製する表示素子。
【図14】実施の形態に係わる成膜用基板を用いて作製する表示素子。
【図15】実施の形態に係わる成膜用基板を用いて作製する表示素子。
【図16】実施の形態に係わる成膜用基板を用いて作製する表示素子。
【図17】実施の形態に係わる成膜用基板を用いて作製する発光装置を搭載した電子機器。
【図18】実施の形態に係わる成膜用基板を用いて作製する発光装置を搭載した電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態では、成膜用基板およびそれを用いた成膜方法について説明する。
【0024】
図1に本実施の形態の成膜用基板150の一態様を示す。図1(A)は大型の成膜用基板150の一部を示す平面図であり、図1(B)は図1(A)のP−Sで切断した断面図である。
【0025】
成膜用基板150は、透光性を有する支持基板100に少なくとも第1の領域151と、第2の領域152と、第3の領域153を設けてある。前記第1の領域151乃至第3の領域153は、それぞれ被成膜基板へ成膜するパターンと概略同じ大きさで形成される。例えば、図1(A)に例示した成膜用基板150では、被成膜基板に成膜するパターンの幅と概略等しい幅を有する第1の領域151乃至第3の領域153が、ストライプ状に配置されている。なお、必要に応じて余白154を設けてもよい。
【0026】
図1(B)を用いて、成膜用基板150の断面の構成を説明する。第1の領域乃至第3の領域を破線で囲って示す。第1の領域151は、他の領域より凸であり、突出している。そのため、成膜用基板150の第1の面と被成膜基板を重ね合わせると、両者は第1の領域151で接触し、第2の領域および第3の領域では接しない。
【0027】
第1の領域151は、支持基板100上に薄膜を積層して他の領域より凸に形成しても良いし、支持基板100の不要な部分をエッチングして他の領域より凸に形成してもよい。なお、光反射層111と断熱層112と剥離層114を積層して第1の領域151を形成する例を図1(B)に示すが、剥離層114の代わりに光吸収層113を光反射層111に重畳して積層して、第1の領域151を形成しても良い。この場合、光反射層111が第2の面の側から第1の面に向けて照射した光を遮光するため、光吸収層113は発熱しない。
【0028】
第2の領域152は第2の面から照射した光を吸収する光吸収層113を有する。なお、第2の領域152の光吸収層113は断熱層112を介して支持基板の第1の面に積層する構造が好ましい。断熱層112は熱が光吸収層113から支持基板100に散逸する現象を抑制するため、材料層を効果的に加熱できる。
【0029】
第3の領域153は光反射層111と重畳する領域であって、光反射層111は、支持基板100の第2の面の側から照射した光が第3の領域153を加熱するのを防いでいる。なお、光反射層111は支持基板100の第1の面または第2の面の側に設けてあればよい。
【0030】
また、第3の領域153は断熱層112と重畳していてもよく、光を照射する第2の面の側から順に光反射層111と断熱層112を設けた構造が好ましい。なお、光反射層111と断熱層112は必ずしも接していなくてもよい。
【0031】
図1(B)に例示した成膜用基板150の第3の領域153は、支持基板100の第1の面上に光反射層111と、前記光反射層111上に断熱層112を有している。光反射層111は照射光が第3の領域を加熱することを防ぎ、断熱層112は第3の領域153へ熱を伝わり難くしている。
【0032】
余白154は好ましくは光反射層111を有する。本実施の形態では光反射層111を有する。
【0033】
なお、図1(C)に図1(B)とは異なる構成を有する成膜用基板の形態を示す。
【0034】
次に、成膜用基板150を構成する支持基板100と、光反射層111と、断熱層112と、光吸収層113、及び剥離層114について説明する。
【0035】
支持基板100は光を透過する必要があることから、光の透過率の高い基板であることが好ましい。具体的には、光源にランプ光やレーザ光を用いる場合、それらの光を透過する基板を用いることが好ましい。また、熱伝導率の低い材料であることが好ましい。熱伝導率が低いことにより、照射された光から得られる熱を効率よく材料層160に伝えることができるためである。支持基板100としては、例えば、ガラス基板、石英基板、無機材料を含むプラスチック基板などを用いることができる。
【0036】
支持基板100がマザーガラスの場合、基板の大きさは、第1世代(320mm×400mm)、第2世代(400mm×500mm)、第3世代(550mm×650mm)、第4世代(680mm×880mm、または730mm×920mm)、第5世代(1000mm×1200mmまたは1100mm×1250mm)、第6世代1500mm×1800mm)、第7世代(1900mm×2200mm)、第8世代(2160mm×2460mm)、第9世代(2400mm×2800mm、2450mm×3050mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等を用いることができる。
【0037】
光反射層111は、照射する光のピーク波長に対して反射率が85%以上、さらに好ましくは、90%以上の高い反射率を有する材料で形成されていることが好ましい。
【0038】
光反射層111に用いることができる材料としては、波長300nm乃至2500nmの光を照射する場合、例えば、銀、金、白金、銅、アルミニウム、アルミニウムを含む合金、または、銀を含む合金などを用いることができる。特に、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−ネオジム合金、銀−ネオジム合金は、赤外領域の光(波長800nm以上)に対して高い反射率を有しているため、光反射層111として好適に用いることができる。例えば、アルミニウム−チタン合金膜は、膜厚が400nmの場合、赤外領域(波長800nm以上2500nm以下)にわたって、85%以上の反射率を示し、特に、波長が900nm以上2500nm以下の範囲については90%以上の反射率を示す。なお、支持基板100に照射する光の波長により、光反射層111に好適な材料の種類は変化する。
【0039】
また、光反射層は一層に限らず複数の層により構成されていてもよい。さらに好ましくは、光反射層111は、熱伝導率の低い材料で形成されていることが好ましい。熱伝導率の低い材料を用いることにより、被成膜基板へ微細なパターンの成膜が可能となる。
【0040】
光反射層111は、種々の方法を用いて形成できる。例えば、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法などにより形成できる。また、光反射層の膜厚は、材料により異なるが、概ね100nm以上2μm以下であることが好ましい。100nm以上であることにより、照射した光が光反射層を透過することを抑制できる。
【0041】
また、光反射層111に開口部を形成する際には種々の方法を用いることができるが、ドライエッチングを用いることが好ましい。ドライエッチングを用いることにより、開口部の側壁が垂直に近い形状となり、微細なパターンを形成できる。
【0042】
断熱層112を形成する材料は、光吸収層113、光反射層111および基板100よりも熱伝導率が低い材料を用いる。断熱層112の熱伝導率が低いと、光吸収層113が照射された光から得る熱を逸散することなく、成膜に効率よく用いることができる。また、光反射層111が反射しきれずに吸収してしまった熱を材料層に伝わるのを抑制できる。
【0043】
また、断熱層112を透過した光を光吸収層113に照射する場合、断熱層112は透光性を有する必要がある。具体的には、断熱層112には、光に対する透過率が60%以上となる材料を用いることが好ましい。
【0044】
断熱層112に用いる材料としては、例えば、酸化チタン、酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化ジルコニウム、窒化珪素、酸化窒化珪素等を用いることができる。断熱層112の膜厚は、材料により異なるが、10nm以上2μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、100nm以上1μm以下とする。10nm以上2μm以下の膜厚とすることにより、光を透過させつつ、熱の散逸を妨げる効果を発揮する。
【0045】
光吸収層113は照射された光を吸収して熱へと変換する層である。光吸収層113は、照射される光のピーク波長に対して、70%以下の低い反射率を有し、高い吸収率を有する材料で形成されていることが好ましい。特に、光反射層111と光吸収層113の反射率の差が大きくなる組み合わせが好ましい。また、光吸収層113は、それ自体が熱によって変化しないように、耐熱性に優れた材料で形成されていることが好ましい。光吸収層113は一層に限らず複数の層により構成されていてもよい。
【0046】
光吸収層113には、種々の材料を用いることができる。例えば、窒化チタン、窒化タンタル、窒化モリブデン、窒化タングステンなどの金属窒化物、チタン、モリブデン、タングステンなどの金属、カーボンなどを用いることができる。なお、照射される光の波長に応じて、光吸収層113に好適な材料の種類が変化することから、適宜材料を選択する必要がある。また、光吸収層113は一層に限らず複数の層により構成されていてもよい。例えば、金属と金属窒化物の積層構造としてもよい。
【0047】
光吸収層113は、種々の方法を用いて形成できる。例えば、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition)法などにより形成できる。
【0048】
光吸収層113の膜厚は、照射した光が透過しない程度の厚みであり、また、薄い方が低いエネルギー密度の光で成膜できるため、具体的には、10nm以上2μm以下の膜厚であることが好ましい。更に好ましくは10nm以上600nm以下の膜厚であるとよい。
【0049】
なお、光吸収層113上に保護膜を形成してもよい。保護膜は光照射により光吸収層113が蒸発するのを防ぐ効果がある。光吸収層113としては酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜を用いることができ、それらの積層でもよい。保護膜の膜厚は500nm以下とするのが好ましい。
【0050】
光吸収層113は、成膜材料を昇華温度まで加熱できれば、照射する光の一部が透過してもよい。ただし、一部が透過する場合には、光によって分解しない成膜材料を用いる必要がある。
【0051】
剥離層114は成膜材料との接着力が小さい表面を有する。好ましくは、剥離層114は被成膜基板の被成膜領域の表面エネルギーより小さい表面エネルギーを有する材料を用いて形成する。表面エネルギーが小さい剥離層114と成膜材料の接着力は、表面エネルギーが大きい被成膜領域と成膜材料の接着力に比べて小さいため、成膜材料は剥離層114上から被成膜領域へ転移し易い。なお、光吸収層113が剥離層114を兼ねてもよい。光吸収層113が剥離層114を兼ねれば、成膜用基板を構成する材料の種類を減らすことができ、また加工工程を短縮できるため好ましい。また、剥離層114は断熱層と同じ材料であってもよい。
【0052】
成膜材料は被成膜基板上に成膜する材料である。成膜材料は成膜用基板から被成膜基板へ成膜可能であれば有機化合物、無機化合物にかかわらず、種々の材料を用いることができる。
【0053】
成膜材料としては、例えばEL層を形成する発光性材料、キャリア輸送性材料などの有機化合物の他、EL層を構成するキャリア輸送層やキャリア注入層の他、発光素子の電極などに用いられる金属酸化物、金属窒化物、ハロゲン化金属、金属単体といった無機化合物を用いることもできる。なお、EL層を形成する蒸着可能な材料の詳細については、実施の形態5において詳述するので、それを参考にすることとし、ここでの説明は省略する。
【0054】
また、材料層160は、複数の材料を含んでいてもよい。また、材料層160は、単層でもよいし、複数の層が積層されていてもよい。
【0055】
次に、図2に示すフロー図と、図3に示す成膜用基板150の断面図を用いて、1枚の成膜用基板150上の材料層160を分配して、3枚の被成膜基板上に成膜する工程を説明する。
【0056】
まず成膜用基板成膜工程において、成膜用基板150の第1の面に材料層160を成膜する。次に、第1の成膜工程において、第1の領域151上に形成された材料層160を第1の被成膜基板210に成膜する。続いて、第2の成膜工程において、第2の領域152上に形成された材料層160を第2の被成膜基板220に成膜し、さらに第3の成膜工程において、第3の領域153上に形成された材料層160を第3の被成膜基板230に成膜する。そして第3の成膜工程を終えた成膜用基板150を再生工程にて再生を行い、再び成膜用基板成膜工程に投入する。成膜基板が再生可能な本実施の形態によれば、被成膜基板一枚あたりの成膜基板の作製コストが抑制できる。各工程の詳細を次に説明する。
【0057】
成膜用基板成膜工程は、成膜用基板150の少なくとも第1の領域、第2の領域、及び第3の領域に材料層160を成膜する工程である。本実施の形態では、成膜用基板150の第1の面の余白154にメタルマスク200を重ね合わせてマスクする。次に、メタルマスク200越しに成膜材料を成膜用基板150に成膜して、材料層160を有する成膜用基板150を作製する。この状態の断面図を図3に示す。なお、本実施の形態ではメタルマスクを併用するが、必ずしもメタルマスクを併用する必要はない。
【0058】
なお、成膜用基板150に材料層160を成膜する方法として、真空蒸着法の他に種々の方法を挙げることができる。例えば、湿式法であるスピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、又は印刷法等を用いることができる。また、乾式法であるスパッタリング法等を用いることができる。
【0059】
湿式法を用いて材料層160を形成する場合には、所望の蒸着材料を溶媒に溶解あるいは分散させ、溶液あるいは分散液を調整すればよい。溶媒は、蒸着材料を溶解あるいは分散することができ、且つ蒸着材料と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、或いはクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、或いはシクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ベンゼン、トルエン、或いはキシレンなどの芳香族系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、或いは炭酸ジエチルなどのエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、或いはジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、或いはジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド、ヘキサン、又は水等を用いることができる。また、これらの溶媒複数種を混合して用いてもよい。湿式法を用いることにより、材料の利用効率を高めることができ、製造コストを低減できる。
【0060】
成膜用基板150の第1の領域151から第1の被成膜基板210の第1の被成膜領域211に、材料層160を成膜する第1の成膜工程を、図4(A)乃至(D)を用いて説明する。
【0061】
はじめに、材料層160が成膜された成膜用基板150の第1の面と、第1の被成膜基板220の被成膜面を互いに向かい合わせて配置する。次に、成膜用基板150の第1の領域151に第1の被成膜基板210の第1の被成膜領域211の位置を合わせる。なお、第1の領域151aは第1の領域151の一部であり、第1の被成膜領域211aは第1の被成膜領域211の一部である。図4(A)は成膜用基板150と被成膜基板210の位置を合わせた状態の第1の領域151aと被成膜領域211aを示している。
【0062】
また、成膜用基板150と第1の被成膜基板210の位置を合わせるために、成膜用基板150及び被成膜基板210の少なくとも一方には、位置合わせ用のマーカを設けることが好ましい。また、位置合わせの際には、成膜用基板150及び被成膜基板210のどちらを移動しても良く、双方を移動しても良い。
【0063】
次に、第1の領域151に成膜された材料層160を第1の被成膜基板210の第1の被成膜領域211に近接させて、圧着する。この状態の断面図を図4(B)および(C)に示す。
【0064】
さらに成膜用基板150を第1の被成膜基板210から引きはがすと、第1の領域151に成膜されていた材料層160が第1の被成膜領域211に成膜され、材料層161が形成される。なお、材料層161aは材料層161の一部である。また、第1の成膜工程を終えた成膜用基板150の第1の領域151aは材料層160を失い、露出する。この状態の断面図を図4(D)に示す。
【0065】
次に、成膜用基板150の第2の領域152から、第2の被成膜基板220の第1の被成膜領域221に、材料層160を成膜する第2の成膜工程を図5(A)乃至(D)を用いて説明する。
【0066】
第1の成膜工程を終えた成膜用基板150の第1の面と、第2の被成膜基板220の被成膜面を互いに向かい合わせて配置する。次に、成膜用基板150の第2の領域152に第2の被成膜基板220の第1の被成膜領域221の位置を合わせる。なお、第2の領域152aは第2の領域152の一部であり、被成膜領域221aは第1の被成膜領域221の一部である。図5(A)は位置を合わせた状態の第2の領域152aと被成膜領域221aを示している。
【0067】
次に、第2の領域152に成膜された材料層160を第2の被成膜基板220の第1の被成膜領域221に近接させる。この時、第1の成膜工程を経て第1の領域151に成膜されていた成膜材料はすでに失われているため、第1の領域151から第2の被成膜基板220に材料層160が成膜することはない。この状態の断面図を図5(B)に示す。
【0068】
次に、成膜用基板150の第2の面の側から第1の面に向けて光を照射する。透光性の支持基板100を透過した光は第2の領域152の光吸収層113に吸収され、光吸収層113が発熱する。光吸収層113の発熱により第2の領域152上に成膜されていた材料層160が選択的に加熱され、第2の被成膜基板220の第1の被成膜領域221に材料層162が成膜される。なお、材料層162aは材料層162の一部である。この状態の断面図を図5(C)に示す。
【0069】
なお、第2の成膜工程は減圧雰囲気で行われることが好ましい。減圧雰囲気は、成膜室内を真空排気手段により真空度が1Pa以下、好ましくは10−2Pa乃至10−6Pa程度の範囲になるように真空排気することで得られる。
【0070】
次に成膜用基板150を第2の被成膜基板220から離す。なお、第2の成膜工程を終えた成膜用基板150の第2の領域152は材料層160を失い、露出する。この状態の断面図を図5(D)に示す。
【0071】
また、第2の成膜工程で光吸収層113に照射する光源としては、種々の光源を用いることができる。例えば、レーザ光の光源としては、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。また、レーザ媒体が固体である固体レーザを用いると、メンテナンスフリーの状態を長く保てるという利点や、出力が比較的に安定している利点を有している。
【0072】
また、レーザ光以外の光源としては、キセノンランプ、メタルハライドランプのような放電灯、ハロゲンランプ、タングステンランプのような発熱灯を用いることができる。また、これらの光源をフラッシュランプ(例えば、キセノンフラッシュランプ、クリプトンフラッシュランプなど)として用いてもよい。フラッシュランプは短時間(0.1ミリ秒乃至10ミリ秒)で非常に強度の高い光を繰り返し、大面積に照射できるため、成膜用基板の面積にかかわらず、効率よく均一に加熱できる。また、発光させる時間の長さを変えることによって成膜用基板の加熱の制御もできる。また、フラッシュランプは寿命が長く、発光待機時の消費電力が低いため、ランニングコストを低く抑えることができる。
【0073】
なお、照射する光としては、赤外光(波長800nm以上)であることが好ましい。赤外光であることにより、光吸収層113を介して、蒸着材料を効率よく加熱できる。
【0074】
成膜用基板150の第3の領域153から第3の被成膜基板230の第1の被成膜領域231に材料層160を成膜する第3の成膜工程を、図6(A)乃至(D)を用いて説明する。
【0075】
第1および第2の成膜工程を終えた成膜用基板150の第1の面と、第3の被成膜基板230の被成膜面を互いに向かい合わせて配置する。次に、成膜用基板150の第3の領域153に第3の被成膜基板230の第1の被成膜領域231の位置を合わせる。なお、第3の領域153aは第3の領域153の一部であり、被成膜領域231aは第1の被成膜領域231の一部である。図6(A)は位置を合わせた状態の第3の領域153aと被成膜領域231aを示している。
【0076】
次に、第3の領域153に成膜された材料層160を第3の被成膜基板230の第1の被成膜領域231に近接させる。この時、第1の成膜工程を経て第1の領域151に成膜されていた材料層160はすでに失われているため、第1の領域151から第3の被成膜基板230に成膜材料が成膜することはない。この状態の断面図を図6(B)に示す。
【0077】
次に、成膜用基板150を第2の面の側から加熱する。成膜用基板に残っていた材料層160が加熱され、第3の被成膜基板230に材料層162が成膜される。なお、材料層162aは材料層162の一部である。この状態の断面図を図6(C)に示す。
【0078】
なお、第3の成膜工程は減圧雰囲気で行われることが好ましい。減圧雰囲気は、成膜室内を真空排気手段により真空度が5×10−3Pa以下、好ましくは10−4Pa乃至10−6Pa程度の範囲になるように真空排気することで得られる。
【0079】
さらに成膜用基板150を第3の被成膜基板230から引きはがすと、材料層163が被成膜領域231に形成された被成膜基板230が得られる。なお、第3の成膜工程を終えた成膜用基板150の第3の領域153は材料層160を失い、露出する。この状態の断面図を図6(D)に示す。
【0080】
第3の成膜工程を終えた成膜用基板150には成膜可能な材料が残っていないため、そのまま成膜用基板成膜工程に再び投入できるが、ゴミや、傷による不良の発生を防ぐために、洗浄、検査を再生工程にて実施し、その後、成膜用基板成膜工程に投入する。
【0081】
このように、成膜特性が異なる3つの領域を有する成膜用基板に材料層を形成し、3つの異なる成膜方法を用いて前記材料層を3つの被成膜基板に成膜すると、材料層の無駄を少なくできる。
【0082】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した成膜用基板を用いてフルカラー表示装置を作製する方法の一態様について図7(A)および(B)を用いて説明する。ここでは、3色の発光素子を繰り返し配置する発光装置の例を説明する。なお、本実施の形態の赤色EL層、緑色EL層および青色EL層はEL層の一態様であり、それぞれ、第1の電極層と第2の電極層の間に設けて発光素子を形成すると、赤色の発光素子、緑色の発光素子または青色の発光素子となる。また、赤色EL層、緑色EL層および青色EL層は単一の層であっても、複数の層が積層された層であってもよい。
【0083】
まず、実施の形態1で例示したものと同じ成膜用基板に、材料層として赤色EL層を形成した成膜用基板150Rを作製する。同様に、材料層として緑色EL層を形成した成膜用基板150Gと、材料層として青色EL層を形成した成膜用基板150Bを作製する。異なる材料層を有する3枚の成膜用基板を図7(A)の左側に示す。
【0084】
また、第1の電極層を設けた3枚の被成膜基板(210、220、230)を用意する。なお、第1の電極層の端部を覆う隔壁となる絶縁物を設けることが好ましい。第1電極層の端部を隔壁で覆うことにより、第1電極層と第2電極層の短絡を防止できる。また、発光領域となる領域は、第1の電極層の一部、即ち絶縁物と重ならずに露呈している領域に相当する。
【0085】
次に、第1の成膜用基板150Rから赤色EL層となる材料層を3枚の被成膜基板の第1の領域に成膜する。具体的には、実施の形態1で説明した第1の成膜工程と同様にして、第1の成膜用基板150Rの第1の領域と第1の被成膜基板210の第1の被成膜領域の位置を合わせ、圧着して第1の領域の赤色EL層となる材料層R1を第1の被成膜基板に成膜する。
【0086】
次に、実施の形態1で説明した第2の成膜工程と同様にして、第1の成膜用基板150Rの第2の領域と第2の被成膜基板220の第1の被成膜領域の位置を合わせ、第1の成膜用基板150Rの第2の面の側から第1の面に向けて光を照射し、第2の領域の赤色EL層となる材料層R2を第2の被成膜基板220に成膜する。
【0087】
さらに、実施の形態1で説明した第3の成膜工程と同様にして、第1の成膜用基板150Rの第3の領域と第3の被成膜基板230の第1の被成膜領域の位置を合わせ、第1の成膜用基板150Rの第2の面の側から加熱し、第3の領域の赤色EL層となる材料層R3を第3の被成膜基板230に成膜する。以上の工程で第1の領域に赤色の発光素子用のEL層が成膜された3枚の被成膜基板を得る。
【0088】
次に、第1の領域に赤色の発光素子用のEL層が成膜された3枚の被成膜基板の第2の領域に、第2の成膜用基板150Gから緑色EL層となる材料層を成膜する。第1の成膜用基板150Rと同様な工程を経て、第1の領域に赤色の発光素子用のEL層と、第2の領域に緑色の発光素子用のEL層が成膜された3枚の被成膜基板を得る。
【0089】
最後に、第1の領域に赤色の発光素子用のEL層と、第2の領域に緑色の発光素子用のEL層が成膜された3枚の被成膜基板の第3の領域に、第3の成膜用基板150Bから青色EL層となる材料層を成膜する。第1の成膜用基板150Rと同様な工程を経て、第1の領域に赤色の発光素子用のEL層と、第2の領域に緑色の発光素子用のEL層と、第3の領域に青色の発光素子用のEL層が成膜された被成膜基板210(R1+G1+B1)、被成膜基板220(R2+G2+B2)、被成膜基板230(R3+G3+B3)を得る。
【0090】
次に、3枚の被成膜基板の第1の電極層上に形成された赤色、緑色および青色の発光素子用のEL層の上に第2の電極層を成膜して、3色の発光素子が繰り返し配置されたフルカラー表示装置を作製する。
【0091】
なお、EL層の成膜は赤、緑、青の順番に限られず、例えば、青、赤、緑の順番であっても良い。また、EL層は図7(A)に示すように、ストライプ状に成膜してもよいし、矩形に成膜することもできる。また、EL層の形状や配列も特に限定されず、1つのEL層の形状を多角形、例えば六角形としてもよい。また、図7(B)に示すように、第1のEL層(R)160R、第2のEL層(G)160G、第3のEL層(B)160Bを配置してもよい。
【0092】
このように、成膜特性が異なる3つの領域を有する成膜用基板に材料層を形成し、3つの異なる成膜方法を用いて前記材料層を3つの被成膜基板に分配して成膜すると、材料層の無駄を少なくできる。また、発光色が異なる微細な発光素子を繰り返し配置した発光装置を形成できる。
【0093】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0094】
(実施の形態3)
本実施の形態では、発光装置の作製を可能とする成膜装置の例について説明する。本実施の形態に係る成膜装置の断面の模式図を図8、図9に示す。
【0095】
被成膜基板の成膜面が下方となるフェイスダウン方式の成膜装置の例を図8(A)及び(B)に、被成膜基板の成膜面が上方となるフェイスアップ方式の成膜装置の例を図9(A)に、基板の縦置き方式の成膜装置の例を図9(B)に示す。なお、本明細書では、基板面が水平面に対して垂直に近い角度(70度乃至110度の範囲)にすることを基板の縦置きと呼ぶ。
【0096】
なお、フェイスアップ方式の場合、撓みやすい大面積のガラス基板をフラットな台に載せる、或いは複数のピンで支持できるため、膜厚ムラの原因となる基板のたわみが生じにくく、基板全面に均一な厚みの膜を成膜できる成膜装置に適している。また、基板縦置き方式はたわみを抑制できるだけでなく、搬送が容易であり、大面積のガラス基板の搬送に適している。
【0097】
成膜室801は真空チャンバーであり、第1のゲート弁802、及び第2のゲート弁803によって他の処理室と連結している。また、成膜室801内には、成膜用基板支持手段804である成膜用基板支持機構と、被成膜基板支持手段805である被成膜基板支持機構と、光源810と、成膜用基板加熱手段806である成膜用基板加熱機構を少なくとも有している。また図8および図9には、成膜用基板807と、材料層808と、被成膜基板809を図示している。
【0098】
なお、図示しないが成膜用基板加熱手段806は可動式であり、成膜用基板807と光源810の間に挿入した状態と、取り出した状態にできる。また、図9(B)に図示した基板縦置き方式の成膜装置は、紙面の手前側にあたる成膜室の壁面に図示されていない第1のゲート弁を有し、紙面の奥側にあたる成膜室の壁面に図示されていない第2のゲート弁を有している。
【0099】
光源810は、短時間に均一な加熱を行える加熱手段であればよい。また、均一な加熱が行われるように、光源810と成膜用基板は広い面積で対向することが好ましい。例えば、レーザ発振器やランプを用いればよい。
【0100】
例えば、レーザ光の光源としては、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。また、レーザ媒体が固体である固体レーザを用いると、メンテナンスフリーの状態を長く保てるという利点や、出力が比較的に安定している利点を有している。
【0101】
例えば、ランプとしては、キセノンランプ、メタルハライドランプのような放電灯、ハロゲンランプ、タングステンランプのような発熱灯を光源として用いることができる。また、これらの光源をフラッシュランプ(例えば、キセノンフラッシュランプ、クリプトンフラッシュランプなど)として用いてもよい。
【0102】
フラッシュランプは短時間(0.1ミリ秒乃至10ミリ秒)で非常に強度の高い光を繰り返し、大面積に照射できるため、成膜用基板の面積にかかわらず、効率よく均一に加熱できる。また、発光させる時間の長さを変えることによって成膜用基板の加熱の制御もできる。また、フラッシュランプは寿命が長く、発光待機時の消費電力が低いため、ランニングコストを低く抑えることができる。
【0103】
また、図8(A)では、光源810を成膜室801内に設置する例を示しているが、成膜室の内壁の一部を透光性部材として、成膜室の外側に光源810を配置してもよい。成膜室801の外側に光源810を配置すると、光源810のライトバルブの交換などのメンテナンスが容易になる。
【0104】
なお、光源810としてランプを用いて加熱する方法は、大面積のガラス基板に適している。また、待機時の光源からの成膜用基板上の材料層808への熱の影響を緩和するため、待機時(成膜処理前)は光源810と成膜用基板との間に断熱化のための開閉式のシャッターを設けてもよい。
【0105】
成膜用基板加熱手段806としては、成膜用基板807を均一に加熱する手段であればよい。例えば、熱媒を還流するもしくは、シリコンラバーヒーター等のヒーターやペルチェ素子を内蔵するなどの方法で、温度を均一に高めた金属板を成膜用基板807の第2の面に接触させても良い。
【0106】
また、光を熱に変換する基板を成膜用基板加熱手段806に用いることもできる。成膜用基板807の第2の面に光を熱に変換する基板を密着し、当該光を熱に変換する基板を光源810で加熱すれば、成膜用基板807を加熱できる。光を熱に変換する基板としては、例えば、チタンを全面に成膜したガラス基板を用いることができる。
【0107】
また、図8(B)は、被成膜基板809の温度を調節する機構を備えた成膜装置の例を示す。図8(B)において、図8(A)と共通の部分には同じ符号を用いて説明する。図8(B)では、被成膜基板支持手段805に熱媒体を流すチューブ811が設けられている。なお、チューブ811は、被成膜基板支持手段805の上下移動に追随できるような仕組みとなっている。
【0108】
チューブ811に、熱媒体として冷媒を流すことにより、被成膜基板支持手段805は、コールドプレートとすることができる。例えば、冷媒ガスや水、シリコンオイルなどの液体の冷媒を用いることができる。また、加熱するための熱媒体をチューブ811に流してもよい。なお、被成膜基板809の温度を調節する手段としてペルチェ素子やヒーターなどを被成膜基板支持手段805に設けてもよい。
【0109】
被成膜基板809の温度を調節する機構を備えた成膜装置は、異なる材料層を積層する場合に有用である。例えば、被成膜基板の昇華し易い第1の層の上に、第2の層を積層する際に、高温の成膜用基板が昇華し易い第1の層に近接すると、第1の層が昇華してしまう恐れがある。被成膜基板809の温度を調節する機構を備えた成膜装置であれば、冷却機構により昇華し易い第1の層の昇華を抑えつつ、第2の層を積層できる。また、加熱機構を用いれば、基板の反りなどを抑えることができる。
【0110】
次に、成膜装置の動作について、フェイスダウン方式の成膜装置の動作を中心に説明する。他の成膜装置はフェイスダウン方式の成膜装置と相違がある動作に関し説明を付け加える。
【0111】
本実施の形態の成膜装置に用いる成膜用基板807は、実施の形態1で例示した成膜用基板であって、第1の領域乃至第3の領域を有する。なお、成膜用基板807としては、特に形状は限定されない。
【0112】
本実施の形態では成膜用基板807と、3枚の被成膜基板(809a、809bおよび809c)を用いて成膜装置の動作を説明する。なお、成膜用基板807の第1の面には材料層808が成膜されている。材料層808の成膜方法としては、乾式法や湿式法など実施の形態1で説明した方法と同様の方法を例示することができ、特に湿式法は作製が簡便であることからが好ましい。湿式法としては例えば、スピンコート法、印刷法、またはインクジェット法などを用いることができる。
【0113】
はじめに、材料層808が成膜された面を上方に向けて、成膜用基板807を成膜室801に搬入し、成膜用基板支持機構に固定する。次いで、第1の被成膜基板809aを成膜室801に搬入し、成膜用基板807の材料層808が成膜された面と、第1の被成膜基板809aの被成膜面とが対向するように、第1の被成膜基板809aを被成膜基板支持機構に固定する。
【0114】
成膜用基板支持機構および、被成膜基板支持機構は垂直方向および同一面内方向に高い精度で移動可能な移動機構を有する。前記成膜用基板支持機構および、前記被成膜基板支持機構並びにマーカを用いて、成膜用基板807と第1の被成膜基板809aの位置を合わせる。なお、この段階で位置が合う状態とは、例えば成膜用基板の第1の領域と第1の被成膜基板809aの第1の被転写領域が重畳する状態をいう。
【0115】
次に、被成膜基板支持機構は、被成膜基板支持手段805を基板に垂直な方向に移動して、成膜用基板807と第1の被成膜基板809aの基板間隔dが距離dとなるように近づける。なお、図8では成膜用基板支持機構を固定し、被成膜基板支持機構を移動する例を示しているが、成膜用基板支持機構を移動させ、被成膜基板支持機構を固定する構成としてもよい。また、成膜用基板支持機構と被成膜基板支持機構の両方を移動しても良い。
【0116】
また、精密な位置合わせや距離dの測定を行うため、成膜室801にCCDなどのアライメント機構を設けてもよい。また、成膜室801内を測定する温度センサや、湿度センサなどを設けてもよい。
【0117】
第1の成膜工程における、距離dは成膜用基板807の第1の領域上に形成された材料層808の表面と、第1の被成膜基板809aの第1の被成膜領域の表面との距離で定義する。もちろん、第1の被成膜基板809a上に何らかの層(例えば、電極として機能する導電層や隔壁として機能する絶縁層等)が形成されている場合、距離dは、第1の成膜用基板807上の材料層808の表面と、第1の被成膜基板809a上に形成された層の表面、すなわち被成膜面との距離で定義する。
【0118】
第1の成膜工程では、昇華温度以下で第1の成膜用基板807の第1の領域に第1の被成膜基板809aの第1の被成膜領域を押しつける。その後、第1の成膜用基板807と第1の被成膜基板809aを引きはがし、第1の被成膜領域に材料層を成膜する。
【0119】
材料層が成膜された第1の被成膜基板809aは成膜室801から搬出され、第2の被成膜基板809bが成膜室801内に搬入される。
【0120】
第2の成膜工程では、成膜用基板支持機構および、被成膜基板支持機構並びにマーカを用いて、第1の成膜工程と同様に成膜用基板807と第2の被成膜基板809bの位置を合わせる。なお、この段階で位置が合う状態とは、例えば成膜用基板の第2の領域と第2の被成膜基板809bの第1の被転写領域が重畳する状態をいう。
【0121】
次に、被成膜基板支持機構は、被成膜基板支持手段805を基板に垂直な方向に移動して、成膜用基板807と第2の被成膜基板809bの基板間隔dが距離dとなるように近づける。第2の成膜工程における距離dは成膜用基板807の第2の領域上に形成された材料層808の表面と、第2の被成膜基板809bの被成膜領域の表面との距離で定義する。ここでは、距離dを、成膜用基板807の第1の領域と第2の領域の段差より大きく20μm以下、好ましくは成膜用基板807の第1の領域と第2の領域の段差より大きく10μm以下、さらに好ましくは成膜用基板807の第1の領域と第2の領域の段差より大きく5μm以下とする。
【0122】
なお、第2の被成膜基板809bが石英基板のように硬く、ほとんど変形(反り、撓みなど)しない材料であれば、成膜用基板807の第1の領域が第2の被成膜基板809bに接するときの距離を下限として近づけることができる。
【0123】
次に、成膜用基板加熱手段806を成膜用基板807と光源810の間から抜き出し、光源810から成膜用基板807の第2の面に向けて光を照射する。これにより、短時間に第1の成膜用基板807の第2の領域に成膜された材料層808を加熱して、対向して配置した第2の被成膜基板809bの被成膜面に成膜する。
【0124】
材料層が成膜された第2の被成膜基板809bは成膜室801から搬出され、第3の被成膜基板809cが成膜室801内に搬入される。
【0125】
再び、成膜用基板支持機構および、被成膜基板支持機構並びにマーカを用いて第1の成膜工程と同様に成膜用基板807と第3の被成膜基板809cとの位置を合わせる。なお、この段階で位置が合う状態とは、例えば成膜用基板の第3の領域と第3の被成膜基板809cの第1の被転写領域が重畳する状態をいう。
【0126】
次に、被成膜基板支持機構は、被成膜基板支持手段805を基板に垂直な方向に移動して、第1の成膜用基板807と第3の被成膜基板809cの基板間隔dが距離dとなるように近づける。なお、距離dは第1の成膜用基板807の第3の領域上に形成された材料層808の表面と、被成膜基板809cの被成膜領域の表面との距離で定義する。ここでは、距離dを成膜用基板807の第1の領域と第3の領域の段差より大きく20μm以下、好ましくは成膜用基板807の第1の領域と第3の領域の段差より大きく10μm以下、さらに好ましくは成膜用基板807の第1の領域と第3の領域の段差より大きく5μm以下とする。
【0127】
次に、成膜用基板加熱手段806を成膜用基板807と光源810の間に移動して、成膜用基板807の第2の面に密着する。次いで、成膜用基板加熱手段806を用いて、成膜用基板807に残った材料層808を加熱して、対向して配置した第3の被成膜基板809cの被成膜面に成膜する。
【0128】
材料層が成膜された第3の被成膜基板809cと、全ての材料層808を失った成膜用基板807を成膜室801から搬出する。
【0129】
本実施の形態によれば、従来の蒸着装置に比べ、チャンバー容量が大幅に小さい、小型の成膜装置を実現できる。また、本発明の一態様である発光装置の作製において、成膜用基板の材料層は湿式法を用いて容易に形成できる。
【0130】
また、従来の蒸着装置は被成膜基板を停止して成膜するため、基板の回転機構が不要であり、割れやすい大面積のガラス基板への成膜に適している。
【0131】
また、成膜基板上の材料層808をそのまま蒸着するため、膜厚モニターを不要にできる。よって、成膜工程を全自動化でき、スループットの向上を図ることができる。また、成膜室内壁に蒸着材料が付着することも防止でき、成膜装置のメンテナンスが簡便になる。
【0132】
また、本実施の形態に示した成膜装置を複数設け、マルチチャンバー型の成膜装置にすることができる。勿論、他の成膜方法の成膜装置との組み合わせも可能である。また、本実施の形態に示した成膜装置を直列に複数並べて、インライン型の成膜装置にすることもできる。
【0133】
また、本実施の形態で示した作製方法を適用することで、発光素子を構成する発光層を容易に形成することができ、当該発光素子を有する発光装置の製造も簡便になる。また、本発明の一態様である成膜用基板を適用することで、発光層のパターン形成が容易となるため、発光装置の製造も簡便となる。また、微細なパターン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得ることができる。また、本発明を適用することにより、光源として、レーザ光だけでなく、安価で熱量の大きなランプヒーター等を用いることができる。さらに、一枚の成膜用基板から三枚の被成膜基板に材料層を無駄なく分配できるため、材料層の利用効率を向上できる。よって、発光装置の作製コストを削減できる。
【0134】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0135】
(実施の形態4)
本実施の形態では、発光装置の作製を可能とする成膜装置の一態様として、レーザを用いて成膜用基板の光吸収層を加熱する成膜装置について説明する。
【0136】
被成膜基板の成膜面が上方となるフェイスアップ方式の成膜装置に、レーザを光源として搭載した装置の一態様を図10(A)および(B)に示す。
【0137】
図10(B)に示す通り、レーザ光はレーザ発振装置1103(YAGレーザ装置、エキシマレーザ装置など)から出力され、ビーム形状を矩形状とするための第1の光学系1104と、整形するための第2の光学系1105と、平行光線にするための第3の光学系1106とを通過し、反射ミラー1107で光路が成膜用基板807に対して垂直となる方向に曲げられる。その後、前記レーザビームを成膜用基板807の第2の面に照射する。
【0138】
なお、位置アライメント機構1108は、成膜用基板807と被成膜基板809の位置合わせを行う。
【0139】
また、成膜用基板807に照射するレーザスポットの形状は、矩形状または線状とすることが好ましく、具体的には、短辺が1mm〜5mm、且つ長辺が10mm〜50mmの矩形状とすればよい。また、大面積基板を用いる場合には、処理時間を短縮するため、レーザスポットの長辺を20cm〜100cmとすることが好ましい。また、図10に示すレーザ発振装置及び光学系を複数設置して大面積の基板を短時間に処理してもよい。具体的には、複数のレーザ発振装置からレーザビームをそれぞれ照射して基板1枚における処理面積を分担してもよい。
【0140】
なお、図10は一例であり、レーザ光の光路に配置する各光学系や電気光学素子の位置関係は特に限定されない。例えば、レーザ発振装置1103を成膜用基板807の上方に配置し、レーザ発振装置1103から射出するレーザ光が成膜用基板807の主平面に垂直な方向となるように配置すれば、反射ミラーを用いずともよい。また、光学系は、集光レンズ、ビームエキスパンダ、ホモジナイザ、または偏光子などを用いればよく、これらを組み合わせてもよい。また、光学系としてスリットを組み合わせてもよい。なお、図10(B)に示す構成を全て真空チャンバー内に設置してもよい。
【0141】
レーザビームの照射領域を2次元的に、適宜、走査して、成膜用基板807の広い面積に照射を行う。走査するために、レーザビームの照射領域と基板とを相対的に移動させる。本実施の形態では、送り機構1109と連結した反射ミラー1107を用いて走査を行う。また、制御装置1117は、送り機構1109とレーザ発振装置1103を同期して制御することが好ましい。
【0142】
本実施の形態の成膜装置を用いて、1枚の成膜用基板807から3枚の被成膜基板(809a、809b、809c)に材料層を成膜する方法について説明する。なお、本実施の形態では、はじめに第2の領域の材料層を成膜し、次に第1の領域の材料層を成膜し、最後に第3の領域の成膜材料を成膜する方法について説明するが、はじめに第1の領域の材料層を成膜し、次に第2の領域の材料層を成膜し、最後に第3の領域の成膜材料を成膜する方法であってもよい。
【0143】
はじめに、材料層808が成膜された面を下方に向けて、成膜用基板807を成膜室801に搬入し、成膜用基板支持機構に固定する。次いで、第1の被成膜基板809aを成膜室801に搬入し、成膜用基板807の材料層808が成膜された面と、第1の被成膜基板809aの被成膜面とが対向するように、第1の被成膜基板809aを被成膜基板支持機構に固定する。なお、成膜用基板807は、実施の形態1で説明した第1の領域乃至第3の領域を有し、光吸収層および光反射層はレーザ光が照射されても耐えうる材料を用いる。
【0144】
成膜用基板支持機構および、被成膜基板支持機構は垂直方向および同一面内方向に高い精度で移動可能な移動機構を有する。前記成膜用基板支持機構および、前記被成膜基板支持機構並びにマーカを用いて、成膜用基板807と第1の被成膜基板809aの位置を合わせる。なお、この段階で位置が合う状態とは、例えば成膜用基板の第2の領域と第2の被成膜基板809aの第1の被転写領域が重畳する状態をいう。
【0145】
次に、被成膜基板支持機構は、被成膜基板支持手段805を基板に垂直な方向に移動して、成膜用基板807と第1の被成膜基板809aの基板間隔dが距離dとなるように近づける。第2の成膜工程における距離dは成膜用基板807の第2の領域上に形成された材料層808の表面と、第1の被成膜基板809aの被成膜領域の表面との距離で定義する。ここでは、距離dを、成膜用基板807の第1の領域と第2の領域の段差より大きく20μm以下、好ましくは成膜用基板807の第1の領域と第2の領域の段差より大きく10μm以下、さらに好ましくは成膜用基板807の第1の領域と第2の領域の段差より大きく5μm以下とする。なお本実施の形態においては、第1の領域に材料層808が成膜されたままの状態で第2の領域を第1の被成膜基板809aに近づけるため、距離dの範囲は第1の領域上の材料層808が第1の被成膜基板809aに接触しない範囲であるとする。
【0146】
次に、材料層808が成膜されていない成膜用基板807の第2の面に向けてレーザ発振装置1103から成膜用基板807の第2の面に向けて光を照射する。これにより、短時間に成膜用基板807の第2の領域に成膜された材料層808を加熱して、対向して配置した第2の被成膜基板809aの被成膜面に成膜する。なお、レーザ発振装置1103から光を照射する際は、成膜用基板加熱手段806を図10(A)に示すように移動して、レーザ光の光路から待避させておく。
【0147】
材料層808が成膜された第1の被成膜基板809aは成膜室801から搬出され、第2の被成膜基板809bが搬入される。
【0148】
第2の成膜工程では、成膜用基板支持機構および、被成膜基板支持機構並びにマーカを用いて、第1の成膜工程と同様に成膜用基板807と第2の被成膜基板809bの位置を合わせる。なお、この段階で位置が合う状態とは、例えば成膜用基板の第1の領域と第2の被成膜基板809bの第1の被転写領域が重畳する状態をいう。
【0149】
次に、被成膜基板支持機構は、被成膜基板支持手段805を基板に垂直な方向に移動して、成膜用基板807と第2の被成膜基板809bの基板間隔を近づける。次に、成膜用基板807の第1の領域に、第2の被成膜基板809bの第1の被成膜領域を押しつける。その後、成膜用基板807と第1の被成膜基板809bを引きはがし、第2の被成膜基板809bの第1の被成膜領域に成膜する。なお、成膜用基板807が圧力により変形すると、均一な成膜が困難になるため、成膜用基板807の第2の面と光源810の間に成膜用基板加熱手段806を挿入して、成膜用基板807を第2の面から支えてもよい。
【0150】
材料層808が成膜された第2の被成膜基板809bは成膜室801から搬出され、第3の被成膜基板809cが搬入される。
【0151】
再び、成膜用基板支持機構および、被成膜基板支持機構並びにマーカを用いて第1の成膜工程と同様に成膜用基板807と第3の被成膜基板809cとの位置を合わせる。なお、この段階で位置が合う状態とは、例えば成膜用基板の第3の領域と第3の被成膜基板809cの第1の被転写領域が重畳する状態をいう。
【0152】
次に、被成膜基板支持機構は、被成膜基板支持手段805を基板に垂直な方向に移動して、第1の成膜用基板807と第3の被成膜基板809cの基板間隔dが距離dとなるように近づける。なお、距離dは第1の成膜用基板807の第3の領域上に形成された材料層808の表面と、被成膜基板809cの被成膜領域の表面との距離で定義する。ここでは、距離dを成膜用基板807の第1の領域と第3の領域の段差より大きく20μm以下、好ましくは成膜用基板807の第1の領域と第3の領域の段差より大きく10μm以下、さらに好ましくは成膜用基板807の第1の領域と第3の領域の段差より大きく5μm以下とする。
【0153】
次に、成膜用基板加熱手段806を成膜用基板807と光源810の間に移動して、成膜用基板807の第2の面に密着する。次いで、成膜用基板加熱手段806を用いて、成膜用基板807に残った材料層808を加熱して、対向して配置した第3の被成膜基板809cの被成膜面に成膜する。
【0154】
材料層が成膜された第3の被成膜基板809cと、全ての材料層808を失った成膜用基板807を成膜室801から搬出する。
【0155】
なお、図10に示す製造装置は、被成膜基板の成膜面が上を向いた、所謂フェイスアップ方式の成膜装置の例を示しているが、フェイスダウン方式の成膜装置とすることもできる。また、被成膜基板が大面積基板である場合、基板の自重により基板の中心が撓んでしまうことを抑えるために、所謂縦置き方式の装置とすることもできる。
【0156】
また、被成膜基板を冷却する冷却手段をさらに設けることで、プラスチック基板などの可撓性基板を被成膜基板に用いることができる。
【0157】
また、本実施の形態に示した成膜装置を複数設け、マルチチャンバー型の成膜装置にすることができる。勿論、他の成膜方法の成膜装置との組み合わせも可能である。また、本実施の形態に示した成膜装置を直列に複数並べて、インライン型の成膜装置にすることもできる。
【0158】
本実施の形態で用いる成膜用基板の材料層は湿式法で容易に形成できる。また、本実施の形態の成膜用基板を用いれば、膜厚モニターを用いることなく被成膜基板に成膜ができるため、成膜工程の自動化が容易になり、スループットの向上を図ることができる。また、成膜室内壁に蒸着材料が付着することも防止でき、成膜装置のメンテナンスを簡便にできる。
【0159】
また、発光素子を構成する発光層が、本発明の一態様である成膜用基板を用いて容易に形成できるため、当該発光素子を有する発光装置の製造も簡便になる。また、微細なパターンを有する発光層の形成が可能となるため、高精細な発光装置の作製が容易になる。さらに、1枚の成膜用基板から3枚の被成膜基板に材料層を成膜できるため、材料層の利用効率を向上できる。その結果、発光装置の作製コストを削減できる。
【0160】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0161】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の成膜用基板を用いて発光素子および発光装置を作製する方法について説明する。
【0162】
本実施の形態で説明する発光素子の構造を図11(A)および(B)に例示する。図11(A)に示す発光素子は、基板300上に第1の電極層302、発光層304として機能するEL層308、第2の電極層306が順に積層して設けられている。第1の電極層302及び第2の電極層306のいずれか一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。陽極から注入される正孔及び陰極から注入される電子が発光層304で再結合して、発光が得られる。本実施の形態において、第1の電極層302は陽極として機能する電極であり、第2の電極層306は陰極として機能する電極であるとする。
【0163】
また、発光素子の別な構成としては、上述の構成に加えて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層が設けられている。正孔輸送層は、陽極と発光層の間に設けられる。また、正孔注入層は陽極と発光層との間、或いは陽極と正孔輸送層との間に設けられる。一方、電子輸送層は、陰極と発光層との間に設けられる。電子注入層は陰極と発光層との間、或いは陰極と電子輸送層との間に設けられる。なお、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層は全ての層を設ける必要はなく、適宜求める機能等に応じて選択して設ければよい。
【0164】
具体的には、基板300上に、陽極として機能する第1の電極層302、正孔注入層322、正孔輸送層324、発光層304、電子輸送層326、電子注入層328、及び陰極として機能する第2の電極層306を順に積層して設けた発光素子の構成を図11(B)に示す
【0165】
なお、EL層308は、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等を含む層と、発光層とを適宜組み合わせて構成すればよい。
【0166】
基板300は、絶縁表面を有する基板または絶縁基板を適用する。具体的には、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板又はサファイヤ基板等を用いることができる。
【0167】
第1の電極層302又は第2の電極層306は、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成できる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成できる。
【0168】
この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。また、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、アルミニウムを含む合金(AlSi)等を用いることができる。
【0169】
また、仕事関数の小さい材料である、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(アルミニウム、マグネシウムと銀との合金、アルミニウムとリチウムの合金)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等を用いることもできる。
【0170】
アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成できる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング法により形成することも可能である。また、銀ペーストなどをインクジェット法などにより成膜することも可能である。また、第1の電極層302および第2の電極層306は、単層膜に限らず、積層膜で形成することもできる。
【0171】
なお、発光層304で発光する光を外部に取り出すため、第1の電極層302又は第2の電極層306のいずれか一方或いは両方を、発光層304からの発光を通過するように形成する。第1の電極層302のみが透光性を有する電極である場合、光は第1の電極層302を通って基板300側から取り出される。また、第2の電極層306のみが透光性を有する電極である場合、光は第2の電極層306を通って基板300と逆側から取り出される。第1の電極層302および第2の電極層306がいずれも透光性を有する電極である場合、光は第1の電極層302および第2の電極層306を通って、基板300側および基板300側と逆側の両方から取り出される。
【0172】
透光性を有する電極は、例えば、インジウム錫酸化物等の導電材料を用いて形成するか、或いは、銀、アルミニウム等を数nm乃至数十nmの厚さとなるように形成する。また、膜厚を薄くした銀、アルミニウムなどの金属薄膜と、ITO膜等の透光性を有する導電材料を用いた薄膜との積層構造とすることもできる。なお、第1の電極層302又は第2の電極層306は、種々の方法を用いて形成できる。
【0173】
発光層304は発光性の物質を含む。発光性の物質としては、例えば、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0174】
発光層に用いることのできる燐光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(3’,5’ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))などが挙げられる。また、橙色系の発光材料として、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)(acac))などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナート)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。また、トリス(アセチルアセトナート)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であるため、燐光性化合物として用いることができる。
【0175】
発光層に用いることのできる蛍光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,13−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0176】
また、発光層304は、発光性の物質をホスト材料に分散して形成できる。発光性の物質をホスト材料に分散して発光層304を形成すると、発光物質同士が消光反応を引き起こす濃度消光現象や、結晶化現象を抑制できる。
【0177】
発光性の物質が蛍光性化合物の場合には、ホスト材料に蛍光性化合物よりも一重項励起エネルギー(基底状態と一重項励起状態とのエネルギー差)が大きい物質を用いることが好ましい。また、燐光性化合物の場合には、ホスト材料に燐光性化合物よりも三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)が大きい物質を用いることが好ましい。
【0178】
発光層304に用いるホスト材料としては、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)などの他、4,4’−ジ(9−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)などが挙げられる。
【0179】
また、ホスト材料に分散する発光性の物質としては、上述した燐光性化合物や蛍光性化合物を用いることができる。
【0180】
発光性の物質をホスト材料に分散した層を発光層304に用いる場合、本発明の一態様の成膜用基板に成膜する材料層に、発光性の物質とホスト材料を混合した層を用いればよい。なお、発光層として、2種類以上のホスト材料と発光性の物質を用いてもよいし、2種類以上の発光性の物質とホスト材料を用いてもよい。また、2種類以上のホスト材料及び2種類以上の発光性の物質を用いてもよい。
【0181】
例えば、正孔注入層322としては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層を形成できる。
【0182】
また、正孔注入層322として、正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質を含む層を用いることができる。正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質とを含む層は、キャリア密度が高く、正孔注入性に優れている。また、正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質とを含む層を、陽極として機能する電極に接する正孔注入層として用いることにより、陽極として機能する電極材料の仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。
【0183】
正孔注入層に用いる電子受容性を示す物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0184】
正孔注入層に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、正孔注入層に用いる正孔輸送性の高い物質としては、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、正孔注入層に用いることのできる正孔の輸送性の高い物質を具体的に列挙する。
【0185】
正孔注入層に用いることのできる芳香族アミン化合物としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等を用いることができる。また、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0186】
正孔注入層に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0187】
また、正孔注入層に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0188】
また、正孔注入層に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチル−アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0189】
なお、正孔注入層に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0190】
また、正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質とを含む層は、正孔注入性だけでなく、正孔輸送性も優れているため、上述した正孔注入層を正孔輸送層として用いてもよい。
【0191】
また、正孔輸送層324は、正孔輸送性の高い物質を含む層であり、正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0192】
電子輸送層326は、電子輸送性の高い物質を含む層であり、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ01)バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0193】
また、電子注入層328としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属化合物、又はアルカリ土類金属化合物を用いることができる。さらに、電子輸送性を有する物質とアルカリ金属又はアルカリ土類金属が組み合わされた層も使用できる。例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたものを用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質とアルカリ金属又はアルカリ土類金属を組み合わせた層を用いることは、第2の電極層306からの電子注入が効率良く起こるためより好ましい。
【0194】
なお、図11では、陽極として機能する第1の電極層302を基板300側に設けた構成について示したが、図12(A)に示すように、基板300上に、陰極として機能する第2の電極層306、EL層308、陽極として機能する第1の電極層302とが順に積層された構成としてもよい。また、図12(B)に示すように、基板300上に、陰極として機能する第2の電極層306、電子注入層328、電子輸送層326、発光層304、正孔輸送層324、正孔注入層322、陽極として機能する第1の電極層302とが順に積層された構成としても良い。
【0195】
以上で説明した発光層304、正孔注入層322、正孔輸送層324、電子輸送層326、電子注入層328、第2の電極層306およびEL層308は、上記実施の形態1または実施の形態2で示した成膜方法を適用して形成できる。
【0196】
図11(A)に示す発光素子を形成する場合、あらかじめ第1の電極層302を設けた基板300を被成膜基板とし、前記被成膜基板に発光層304を形成すればよい。
【0197】
具体的には、発光層304となる材料層が成膜された成膜用基板と、被成膜基板として第1の電極層302を設けた基板300を3枚用意する。次に、実施の形態1または実施の形態2で説明した方法と同様にして、発光層304を成膜用基板から3枚の被成膜基板の第1の電極層302上に成膜する。そして、それぞれの発光層304上に第2の電極層306を蒸着法やスパッタリング法を用いて形成し、目的の発光素子を得る。
【0198】
また、図11(B)の発光素子を形成する場合は、あらかじめ第1の電極層302を設けた基板300を被成膜基板とし、各機能層を形成する手順を順に繰り返せばよい。
【0199】
具体的には、正孔注入層322となる材料層が成膜された第1の成膜用基板と、正孔輸送層324となる材料層が成膜された第2の成膜用基板と、発光層304となる材料層が成膜された第3の成膜用基板と、電子輸送層326となる材料層が成膜された第4の成膜用基板と、電子注入層328となる材料層が成膜された第5の成膜用基板を用意する。また、被成膜基板として第1の電極層302を設けた基板300を3枚用意する。
【0200】
次に、実施の形態1または実施の形態2で説明した方法と同様にして、第1の成膜用基板から正孔注入層322を3枚の被成膜基板の第1の電極層302上に成膜する。次に、第2の成膜用基板から正孔輸送層324を前記正孔注入層322上に成膜する。次に、第3の成膜用基板から発光層304を前記正孔輸送層324上に成膜する。次に、第4の成膜用基板から電子輸送層326を前記発光層304上に成膜する。次に、第5の成膜用基板から電子注入層328を前記電子輸送層326上に成膜する。そして、第2の電極層306を蒸着法やスパッタリング法を用いて前記電子注入層328上に形成し、3枚の被成膜基板上に目的の発光素子を形成する。
【0201】
なお、正孔注入層322、正孔輸送層324、電子輸送層326または、電子注入層328は、種々の材料を用いて形成すればよい。各層を形成する材料は1種類としてもよいし、複数種類の複合材料としてもよい。複合材料を用いて形成する場合は、上述したように、複数の材料を含む材料層を形成すればよい。
【0202】
また、正孔注入層322、正孔輸送層324、電子輸送層326又は電子注入層328は、それぞれ単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。例えば、正孔輸送層324を、第1の正孔輸送層及び第2の正孔輸送層からなる積層構造としてもよい。また、電極層についても実施の形態1または実施の形態2で示した成膜方法を適用できる。
【0203】
また、実施の形態1または実施の形態2に例示した成膜方法だけを用いる必要はなく、実施の形態1または実施の形態2に例示した成膜方法と他の成膜方法を組み合わせて発光素子を形成しても構わない。他の成膜方法としては、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法等の乾式法や、インクジェット法またはスピンコート法等の湿式法が挙げられる。
【0204】
本実施の形態によれば、実施の形態1または実施の形態2で説明した成膜用基板を用いて、発光層をはじめとする各種機能層を容易に形成することができ、発光素子を作製できる。また、前記発光素子をマトリクス状に配置して発光装置を作製できる。
【0205】
次に、上記実施の形態で説明した成膜用基板を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置の例を図13、図14、及び図15を用いて説明する。
【0206】
パッシブマトリクス型(単純マトリクス型ともいう)発光装置は、ストライプ状(帯状)に並列された複数の陽極と、ストライプ状に並列された複数の陰極とが互いに直交するように設けられており、その交差部にEL層が挟まれた構造となっている。従って、選択された(電圧が印加された)陽極と選択された陰極との交点にあたる画素が点灯することになる。
【0207】
図13(A)は、封止前における画素部の上面図を示す図であり、図13(A)中の鎖線A−A’で切断した断面図が図13(B)であり、鎖線B−B’で切断した断面図が図13(C)である。
【0208】
基板1501上には、下地絶縁層として絶縁層1504を形成する。なお、下地絶縁層が必要でなければ特に形成しなくともよい。絶縁層1504上には、ストライプ状に複数の第1の電極層1513が等間隔で配置されている。また、第1の電極層1513上には、各画素に対応する開口部を有する隔壁1514が設けられ、開口部を有する隔壁1514は絶縁材料(感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはSOG膜(例えば、アルキル基を含む酸化珪素膜))で構成されている。なお、各画素に対応する開口部が発光領域1521となる。
【0209】
開口部を有する隔壁1514上に、第1の電極層1513と交差する互いに平行な複数の逆テーパ状の隔壁1522が設けられる。逆テーパ状の隔壁1522はフォトリソグラフィ法に従い、未露光部分がパターンとして残るポジ型感光性樹脂を用い、パターンの下部がより多くエッチングされるように露光量または現像時間を調節することによって形成する。
【0210】
また、平行な複数の逆テーパ状の隔壁1522を形成した直後における斜視図を図14に示す。なお、図13と同一の部分には同一の符号を用いている。
【0211】
開口部を有する隔壁1514及び逆テーパ状の隔壁1522を合わせた高さは、発光層を含むEL層及び第2の電極層となる導電層の膜厚より大きくなるように設定する。図14に示す構成を有する基板に対して発光層を含むEL層と、導電層とを積層形成すると、図13に示すように複数の領域に分離された、発光層を含むEL層1515R、EL層1515G、EL層1515Bと、第2の電極層1516とが形成される。なお、複数に分離された領域は、それぞれ電気的に独立している。第2の電極層1516は、第1の電極層1513と交差する方向に伸長する互いに平行なストライプ状の電極である。なお、逆テーパ状の隔壁1522上にも発光層を含むEL層及び導電層が形成されるが、発光層を含むEL層1515R、1515G、1515B及び第2の電極層1516とは分断されている。なお、本実施の形態において、EL層とは少なくとも発光層を含む層であって、該発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、又は電子注入層等を含んでいてもよい。
【0212】
ここでは、発光層を含むEL層1515R、1515G、1515Bを選択的に形成し、3種類(R、G、B)の発光が得られるフルカラー表示可能な発光装置を形成する例を示している。発光層を含むEL層1515R、1515G、1515Bはそれぞれ互いに平行なストライプパターンで形成されている。これらのEL層を形成するには、上記実施の形態1または実施の形態2に示す成膜方法を適用すればよい。例えば、赤色発光層となる材料層を形成した第1の成膜用基板、緑色発光層となる材料層を形成した第2の成膜用基板、青色発光層となる材料層を形成した第3の成膜用基板をそれぞれ準備する。また、被成膜基板として第1の電極層1513が設けられた基板を準備する。そして、第1乃至第3の成膜用基板を、被成膜基板と適宜対向して配置し、成膜用基板に形成された材料層を実施の形態1または実施の形態2で説明した方法で被成膜基板に成膜して、発光層を含むEL層を形成する。
【0213】
また、必要であれば、封止缶や封止のためのガラス基板などの封止材を用いて封止する。ここでは、封止基板としてガラス基板を用い、シール材などの接着材を用いて基板と封止基板とを貼り合わせ、シール材などの接着材で囲まれた空間を密閉なものとしている。密閉された空間には、充填材や、乾燥した不活性ガスを充填する。また、発光装置の信頼性を向上するために、基板と封止材との間に乾燥材などを封入してもよい。乾燥材によって微量な水分が除去され、十分乾燥される。また、乾燥材としては、酸化カルシウムや酸化バリウムなどのようなアルカリ土類金属の酸化物のような化学吸着によって水分を吸収する物質を用いることが可能である。なお、他の乾燥材として、ゼオライトやシリカゲル等の物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。
【0214】
ただし、発光素子を覆って接する封止材が設けられ、十分に外気と遮断されている場合には、乾燥材は、特に設けなくともよい。
【0215】
次いで、FPCなどを実装した発光モジュールの上面図を図15に示す。
【0216】
図15に示すように画像表示を構成する画素部1601は、走査線群とデータ線群が互いに直交するように交差している。
【0217】
図13における第1の電極層1513が図15の走査線1603に相当し、第2の電極層1516がデータ線1602に相当し、逆テーパ状の隔壁1522が隔壁1604に相当する。データ線1602と走査線1603の間には発光層を含むEL層が挟まれており、領域1605で示される交差部が画素1つ分となる。
【0218】
なお、走査線1603は配線端で接続配線1608と電気的に接続され、接続配線1608が入力端子1607を介してFPC1609bに接続される。また、データ線は入力端子1606を介してFPC1609aに接続される。
【0219】
また、必要であれば、射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0220】
以上でパッシブマトリクス型の発光装置を作製できる。上記実施の形態で説明した成膜用基板を適用することで、発光素子を構成するEL層を容易に形成することができ、当該発光素子を有する発光装置の製造も簡便になる。また、ホスト材料にゲスト材料が分散された発光層を形成する場合、共蒸着を適用する場合と比べ複雑な制御を必要としない。さらに、ゲスト材料の添加量等も制御し易いため、容易に精度良く成膜でき、所望の発光色も得られやすくなる。また、蒸着材料の利用効率も向上できるため、コスト削減を図ることもできる。
【0221】
また、上記実施の形態で説明した成膜用基板を適用することで、発光層のパターン形成が容易となるため、発光装置の製造も簡便となる。また、微細なパターン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得ることができる。また、上記実施の形態で説明した成膜用基板を適用することにより、光源として、レーザ光だけでなく、安価ではあるが熱量の大きなランプヒーター等を用いることができる。よって、発光装置の作製コストを削減できる。
【0222】
また、図15では、駆動回路を基板上に設けていない例を示したが、特に限定されず、基板に駆動回路を有するICチップを実装してもよい。
【0223】
ICチップを実装する場合、画素部の周辺(外側)の領域に、画素部へ各信号を伝送する駆動回路が形成されたデータ線側IC、走査線側ICをCOG方式によりそれぞれ実装する。COG方式以外の実装技術としてTCPやワイヤボンディング方式を用いて実装してもよい。TCPはTABテープにICを実装したものであり、TABテープを素子形成基板上の配線に接続してICを実装する。データ線側IC、および走査線側ICは、シリコン基板を用いたものであってもよいし、ガラス基板、石英基板もしくはプラスチック基板上にTFTで駆動回路を形成したものであってもよい。また、片側に一つのICを設けた例を説明しているが、片側に複数個に分割して設けても構わない。
【0224】
次に、上記実施の形態で例示した成膜用基板を適用して作製したアクティブマトリクス型の発光装置の例について、図16を用いて説明する。なお、図16(A)は発光装置を示す上面図であり、図16(B)は図16(A)を鎖線A−A’で切断した断面図である。本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、素子基板1710上に設けられた画素部1702と、駆動回路部(ソース側駆動回路)1701と、駆動回路部(ゲート側駆動回路)1703と、を有する。画素部1702、駆動回路部1701、及び駆動回路部1703は、シール材1705によって、素子基板1710と封止基板1704との間に封止されている。
【0225】
また、素子基板1710上には、駆動回路部1701、及び駆動回路部1703に外部からの信号(例えば、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線1708が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC(フレキシブルプリントサーキット)1709を設ける例を示している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0226】
次に、断面構造について図16(B)を用いて説明する。素子基板1710上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、ソース側駆動回路である駆動回路部1701と、画素部1702が示されている。
【0227】
駆動回路部1701はnチャネル型TFT1723とpチャネル型TFT1724とを組み合わせたCMOS回路が形成される例を示している。なお、駆動回路部を形成する回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に駆動回路を形成することもできる。
【0228】
また、画素部1702はスイッチング用TFT1711と、電流制御用TFT1712と当該電流制御用TFT1712の配線(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続された第1の電極層1713とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極層1713の端部を覆って絶縁物1714が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂を用いて形成する。
【0229】
また、上層に積層形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物1714の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、絶縁物1714の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物1714の上端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物1714として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができ、有機化合物に限らず無機化合物(例えば、酸化珪素、酸化窒化珪素等)の両者を使用できる。
【0230】
第1の電極層1713上には、発光層を含むEL層1700及び第2の電極層1716が積層形成されている。第1の電極層1713は上述の第1の電極層302に相当し、第2の電極層1716は第2の電極層306に相当する。なお、第1の電極層1713をITO膜とし、第1の電極層1713と接続する電流制御用TFT1712の配線として窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層膜、或いは窒化チタン膜、アルミニウムを主成分とする膜、窒化チタン膜との積層膜を適用すると、配線としての抵抗も低く、ITO膜との良好なオーミックコンタクトがとれる。なお、ここでは図示しないが、第2の電極層1716は外部入力端子であるFPC1709に電気的に接続されている。
【0231】
EL層1700は、少なくとも発光層が設けられており、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層又は電子注入層を適宜設ける構成とする。第1の電極層1713、EL層1700及び第2の電極層1716との積層構造で、発光素子1715が形成されている。
【0232】
また、図16(B)に示す断面図では発光素子1715を1つのみ図示しているが、画素部1702において、複数の発光素子がマトリクス状に配置されているものとする。画素部1702には、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成できる。また、カラーフィルタと組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
【0233】
さらにシール材1705で封止基板1704を素子基板1710と貼り合わせることにより、素子基板1710、封止基板1704、およびシール材1705で囲まれた空間1707に発光素子1715が備えられた構造になっている。なお、空間1707には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材1705で充填される構成も含むものとする。
【0234】
なお、シール材1705にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板1704に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0235】
以上のようにして、本発明の一態様である発光装置の作製方法を適用することで、発光素子を形成する際の材料のロスを大幅に削減することが可能である。よって、コスト削減を図ることができる。
【0236】
また、上記実施の形態で説明した成膜用基板を適用することで、発光素子を構成するEL層を容易に形成することができ、当該発光素子を有する発光装置の製造も簡便になる。また、上記実施の形態で説明した成膜用基板を適用することで、発光層のパターン形成が容易となるため、発光装置の製造も簡便となる。また、微細なパターン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得ることができる。また、光源として、レーザ光だけでなく、安価ではあるが熱量の大きなランプヒーター等を用いることができる。よって、発光装置の作製コストを削減できる。
【0237】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0238】
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した発光装置を用いて完成させた様々な電子機器について、図17、図18を用いて説明する。
【0239】
発光装置を適用した電子機器として、テレビジョン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)、照明器具などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図17、図18に示す。
【0240】
図17(A)は表示装置であり、筐体8001、支持台8002、表示部8003、スピーカ部8004、ビデオ入力端子8005等を含む。上記実施の形態で説明した成膜用基板を用いて形成される発光装置をその表示部8003に有する。なお、表示装置は、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用装置を含む。
【0241】
図17(B)はコンピュータであり、本体8101、筐体8102、表示部8103、キーボード8104、外部接続ポート8105、マウス8106等を含む。本発明の一態様である成膜装置を用いて形成された発光素子を有する発光装置をその表示部8103に有する。
【0242】
図17(C)はビデオカメラであり、本体8201、表示部8202、筐体8203、外部接続ポート8204、リモコン受信部8205、受像部8206、バッテリー8207、音声入力部8208、操作キー8209、接眼部8210等を含む。上記実施の形態で説明した成膜装置を用いて形成された発光素子を有する発光装置をその表示部8202に有する。
【0243】
図17(D)は卓上照明器具であり、照明部8301、傘8302、可変アーム8303、支柱8304、台8305、電源スイッチ8306を含む。上記実施の形態で説明した成膜装置を用いて形成される発光装置を照明部8301に有する。なお、照明器具には天井固定型の照明器具または壁掛け型の照明器具なども含まれる。
【0244】
ここで、図17(E)は携帯電話であり、本体8401、筐体8402、表示部8403、音声入力部8404、音声出力部8405、操作キー8406、外部接続ポート8407、アンテナ8408等を含む。上記実施の形態で説明した成膜装置を用いて形成された発光素子を有する発光装置をその表示部8403に有する。
【0245】
また、図18は携帯電話8500の構成の別の一例であり、図18(A)が正面図、図18(B)が背面図、図18(C)が展開図である。携帯電話8500は、電話と携帯情報端末の双方の機能を備えており、コンピュータを内蔵し、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能な所謂スマートフォンである。
【0246】
携帯電話8500は、筐体8501及び8502二つの筐体で構成されている。筐体8501には、表示部8511、スピーカ8512、マイクロフォン8513、操作キー8514、ポインティングデバイス8515、カメラ用レンズ8516、外部接続端子8517、イヤホン端子8518等を備え、筐体8502には、キーボード8521、外部メモリスロット8522、カメラ用レンズ8523、ライト8524等を備えている。また、アンテナは筐体8501内部に内蔵されている。携帯電話8500は、上記実施の形態で説明した成膜装置を用いて形成された発光素子を有する発光装置を表示部8511に用いている。
【0247】
また、上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置等を内蔵していてもよい。
【0248】
表示部8511には、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。表示部8511と同一面上にカメラ用レンズ8516を備えているため、テレビ電話が可能である。また、表示部8511をファインダーとしカメラ用レンズ8523及びライト8524で静止画及び動画の撮影が可能である。スピーカ8512及びマイクロフォン8513は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生等が可能である。操作キー8514では、電話の発着信、電子メール等の簡単な情報入力、画面のスクロール、カーソル移動等が可能である。更に、重なり合った筐体8501と筐体8502(図18(A))は、スライドし図18(C)のように展開し、携帯情報端末として使用できる。この場合、キーボード8521、ポインティングデバイス8515を用い円滑な操作が可能である。外部接続端子8517はACアダプタ及びUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータ等とのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット8522に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応できる。
【0249】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能等を備えたものであってもよい。
【0250】
以上の実施の形態で説明した成膜用基板および成膜方法を適用して作製した表示装置を搭載した電子機器は、特に大型基板に発光層を形成する際のパターン形成の精度が高くなるため表示品位の高い電子機器を提供できる。また、スループットが向上し、表示装置および照明装置の製造における生産性が向上し、搭載した電子機器および照明機器を安価に提供できる。また、表示装置および照明装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価な表示装置を提供できる。
【0251】
以上のようにして、上記実施の形態で説明した発光装置を適用して電子機器や照明器具を得ることができる。この発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0252】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0253】
100 基板
111 光反射層
112 断熱層
113 光吸収層
114 剥離層
150 成膜用基板
150B 成膜用基板
150G 成膜用基板
150R 成膜用基板
151 領域
151a 領域
152 領域
152a 領域
153 領域
153a 領域
154 余白
160 材料層
160B EL層(B)
160G EL層(G)
160R EL層(R)
161 材料層
161a 材料層
162 材料層
162a 材料層
163 材料層
200 メタルマスク
210 被成膜基板
211 被成膜領域
211a 被成膜領域
220 被成膜基板
221 被成膜領域
221a 被成膜領域
230 被成膜基板
231 被成膜領域
231a 被成膜領域
300 基板
302 電極層
304 発光層
306 電極層
308 EL層
322 正孔注入層
324 正孔輸送層
326 電子輸送層
328 電子注入層
801 成膜室
802 ゲート弁
803 ゲート弁
804 成膜用基板支持手段
805 被成膜基板支持手段
806 成膜用基板加熱手段
807 成膜用基板
808 材料層
809 被成膜基板
809a 被成膜基板
809b 被成膜基板
809c 被成膜基板
810 光源
811 チューブ
1103 レーザ発振装置
1104 光学系
1105 光学系
1106 光学系
1107 反射ミラー
1108 位置アライメント機構
1109 機構
1117 制御装置
1501 基板
1504 絶縁層
1513 電極層
1514 隔壁
1515B EL層
1515G EL層
1515R EL層
1516 電極層
1521 発光領域
1522 隔壁
1601 画素部
1602 データ線
1603 走査線
1604 隔壁
1605 領域
1606 入力端子
1607 入力端子
1608 接続配線
1609a FPC
1609b FPC
1700 EL層
1701 駆動回路部
1702 画素部
1703 駆動回路部
1704 封止基板
1705 シール材
1707 空間
1708 配線
1709 FPC
1710 素子基板
1711 スイッチング用TFT
1712 電流制御用TFT
1713 電極層
1714 絶縁物
1715 発光素子
1716 電極層
1723 nチャネル型TFT
1724 pチャネル型TFT
8001 筐体
8002 支持台
8003 表示部
8004 スピーカ部
8005 ビデオ入力端子
8101 本体
8102 筐体
8103 表示部
8104 キーボード
8105 外部接続ポート
8106 マウス
8201 本体
8202 表示部
8203 筐体
8204 外部接続ポート
8205 リモコン受信部
8206 受像部
8207 バッテリー
8208 音声入力部
8209 操作キー
8210 接眼部
8301 照明部
8302 傘
8303 可変アーム
8304 支柱
8305 台
8306 電源スイッチ
8401 本体
8402 筐体
8403 表示部
8404 音声入力部
8405 音声出力部
8406 操作キー
8407 外部接続ポート
8408 アンテナ
8500 携帯電話
8501 筐体
8502 筐体
8511 表示部
8512 スピーカ
8513 マイクロフォン
8514 操作キー
8515 ポインティングデバイス
8516 カメラ用レンズ
8517 外部接続端子
8518 イヤホン端子
8521 キーボード
8522 外部メモリスロット
8523 カメラ用レンズ
8524 ライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1の面に、
互いに独立した第1の領域と、第2の領域と、第3の領域を少なくとも有し、
前記第1の領域は他の領域より凸であり、
前記第2の領域は第2の面から照射した光を吸収する光吸収層を有し、
前記第3の領域は光反射層と重畳する成膜用基板。
【請求項2】
第1の領域が光反射層と重畳する請求項1記載の成膜用基板。
【請求項3】
光反射層上に光吸収層を積層してなる第1の領域を有する請求項1記載の成膜用基板。
【請求項4】
基板より低い熱伝導率を有し、照射した光を透過する断熱層上に光吸収層を積層してなる第2の領域を有する請求項1記載の成膜用基板。
【請求項5】
基板の第1の面に、互いに独立した第1の領域と、第2の領域と、第3の領域を少なくとも有し、
前記第1の領域は他の領域より凸であり、
前記第2の領域は第2の面から照射した光を吸収する光吸収層を有し、
前記第3の領域は光反射層と重畳する成膜用基板の第1の面に成膜可能な成膜材料を成膜し、
前記成膜材料が成膜された前記成膜用基板の第1の面と第1の被成膜基板の被成膜面を互いに向かい合わせて圧着し、前記成膜用基板と前記第1の被成膜基板を引きはがして、前記第1の領域に成膜された前記成膜材料を前記第1の被成膜基板に成膜し、
前記成膜用基板の第1の面と第2の被成膜基板の被成膜面を互いに向かい合わせて近接して配置した状態で、前記成膜用基板の第2の面の側から光を照射し、前記第2の領域に成膜された前記成膜材料を前記第2の被成膜基板に成膜し、
前記成膜用基板の第1の面と第3の被成膜基板の被成膜面を互いに向かい合わせて近接して配置した状態で、前記成膜用基板を加熱し、前記第3の領域に成膜された前記成膜材料を前記第3の被成膜基板に成膜する成膜方法。
【請求項6】
基板の第1の面に、互いに独立した第1の領域と、第2の領域と、第3の領域を少なくとも有し、
前記第1の領域は他の領域より凸であり、
前記第2の領域は第2の面から照射した光を吸収する光吸収層を有し、
前記第3の領域は光反射層と重畳する成膜用基板の第1の面に成膜可能な成膜材料を成膜し、
前記成膜材料が成膜された前記成膜用基板の第1の面と第2の被成膜基板の被成膜面を互いに向かい合わせて近接して配置した状態で、前記成膜用基板の第2の面の側から光を照射し、前記第2の領域に成膜された前記成膜材料を前記第2の被成膜基板に成膜し、
前記成膜用基板の第1の面と第1の被成膜基板の被成膜面を互いに向かい合わせて圧着し、前記成膜用基板と前記第1の被成膜基板を引きはがして、前記第1の領域に成膜された前記成膜材料を前記第1の被成膜基板に成膜し、
前記成膜用基板の第1の面と第3の被成膜基板の被成膜面を互いに向かい合わせて近接して配置した状態で、前記成膜用基板を加熱し、前記第3の領域に成膜された前記成膜材料を前記第3の被成膜基板に成膜する成膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−251144(P2010−251144A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99803(P2009−99803)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】