説明

成膜装置及びアライメント方法

【課題】大型基板であっても、基板とマスクとを精度良くアライメントを行うことができる技術を提供する。
【解決手段】プラズマCVD装置1は、真空処理槽2内に反応ガスを導入し、サセプタ4上に配置された基板10上にマスク7を介してCVD法で成膜するもので、マスク支持機構58と、駆動部53と、CCDカメラ51と、アライメント制御部6とを備える。真空処理槽2の本体部22には、マスク支持機構58の作動部材55を真空処理槽2の外部から内部へ貫通し且つアライメントの際マスク支持機構58の作動部材55が三次元的に移動可能な形状に形成された動作用孔部23を有する。マスク7を基板10から離間させた状態で、基板10とマスク7との重なり部分の像をCCDカメラ51で取り込み、アライメント制御部6にて得られた結果に基づき駆動部53を動作させ、マスク7のアライメントを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有機ELディスプレイを製造する技術分野に関し、特にマスクを用いて基板上に膜を形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、有機EL(Electro Luminescence)表示装置は、電極に印加された電圧により有機EL薄膜が励起し、励起したエネルギーを光に変換することにより表示される装置である。有機EL薄膜自身が熱を発生しないで光を放出するのでバックライトが不用であるため、さらなる省エネ化と薄型化が実現可能であり、注目されている。
【0003】
有機EL表示装置の製造過程では、表面に配線が形成された基板が真空処理槽内に搬入され、この基板上にマスクが配置される。
そして、機械的な手法によってマスクと基板のアライメントが行われた後、プラズマCVD等により、基板上に有機層や保護層等の成膜が行われる。
しかし、近年、基板の大型化に伴い、基板の撓み量が大きくなっているため、基板とマスクとを機械的な手法によって精度良くアライメントを行うことが困難になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−31528号公報
【特許文献2】特開2007−306763号公報
【特許文献3】特開2010−86809号公報
【特許文献4】特開2009−64608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、大型基板であっても、基板とマスクとを精度良くアライメントを行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明は、真空処理槽内に反応ガスを導入し、サセプタ上に配置された成膜対象物上にマスクを介してCVD法によって成膜を行う成膜装置であって、前記マスクを移動可能な状態で支持するマスク支持機構と、前記マスク支持機構を移動するための駆動手段と、前記成膜対象物と前記マスクとの重なり部分の像を取り込むための撮像手段と、前記撮像手段において得られた像を解析する一方で、当該解析結果に基づいて前記駆動手段の動作を制御する制御手段とを備え、前記マスクを前記成膜対象物から離間させた状態で、当該成膜対象物と当該マスクとの重なり部分の像を前記撮像手段によって取り込み、前記制御手段によって得られた結果に基づいて前記駆動手段を動作させ、当該マスクのアライメントを行うように構成されたアライメント機構とを備え、前記真空処理槽は、その本体部に、前記マスク支持機構の動作部分を当該真空処理槽の外部から当該真空処理槽の内部へ貫通し且つ当該マスクのアライメントの際当該マスク支持機構の動作部分が三次元的に移動可能な形状に形成された動作用孔部を有するものである。
本発明では、前記マスク支持機構は、当該動作部分の移動によって前記真空処理槽内側の動作用孔部を塞ぐように構成された蓋部を有する場合にも効果的である。
本発明では、前記サセプタに光透過部が設けられるとともに、前記真空処理槽の本体壁部に光透過可能な窓部が設けられ、前記真空処理槽の外部に配置された前記撮像手段の撮像光路上に、前記真空処理槽の窓部、前記サセプタの光透過部、及び前記成膜対象物と前記マスクとの重なり部分が配置されるように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記真空処理槽の窓部及び(又は)前記サセプタの光透過部がサファイアガラスからなる場合にも効果的である。
本発明では、前記真空処理槽に複数の本体部が設けられ、当該本体部に前記動作用孔部をそれぞれ有するとともに、当該真空処理槽の本体壁部に複数の窓部を有し、複数の前記アライメント機構によって前記マスクのアライメントを行うように構成されている場合にも効果的である。
一方、本発明は、上述したいずれかの成膜装置において、前記マスクのアライメントを行う方法であって、前記成膜対象物にアライメントマークを設ける一方で、前記マスクには前記アライメントマークに対応するアライメント用孔部を設け、前記サセプタ上に当該成膜対象物を配置するとともに前記マスクを前記成膜対象物から離間させた状態で、当該成膜対象物のアライメントマークと当該マスクのアライメント用孔部との重なり部分の像を前記撮像手段によって取り込み、前記制御手段によって得られた解析結果に基づいて前記駆動手段を動作させ、当該マスクを移動させてアライメントを行うアライメント方法である。
【0007】
本発明の場合、アライメント機構が、マスクを成膜対象物から離間させた状態で、成膜対象物とマスクとの重なり部分の像を撮像手段によって取り込み、制御手段によって得られた結果に基づいて駆動手段を動作させてマスクのアライメントを行うように構成され、さらに、真空処理槽の本体部に、マスク支持機構の動作部分を当該真空処理槽の外部から真空処理槽の内部へ貫通し且つマスクのアライメントの際マスク支持機構の動作部分が三次元的に移動可能な形状に形成された動作用孔部を有していることから、成膜対象物が大型化した場合であっても、その撓み量に応じて成膜対象物とマスクとのアライメントを円滑に行うことができ、これにより従来技術の機械的手法に比べてアライメントの精度を向上させることができる。
本発明において、マスク支持機構の動作部分の移動によって真空処理槽内側の動作用孔部を塞ぐように構成された蓋部を設ければ、CVD法による成膜の際にマスク支持機構の動作部分が反応ガスに曝されることなく、また動作用孔部を介して反応ガスが流れ出すことがないので真空排気時のコンダクタンス量の調整を容易に行うことができる。
本発明において、サセプタに光透過部が設けられるとともに、真空処理槽の本体壁部に光透過可能な窓部が設けられ、真空処理槽の外部に配置された撮像手段の撮像光路上に、真空処理槽の窓部、サセプタの光透過部、及び成膜対象物とマスクとの重なり部分が配置されるように構成されている場合には、撮像手段が反応ガスに曝されることがなく、長期間にわたって高精度のマスクアライメントを行うことができる。
本発明において、真空処理槽の窓部及び(又は)サセプタの光透過部がサファイアガラスからなる場合には、反応ガス等による真空処理槽の窓部やサセプタの光透過部の透光性劣化を防止することができ、長期間にわたって高精度のアライメントを行うことができる。
本発明において、真空処理槽の本体部に複数の孔部を有するとともに、真空処理槽の本体壁部に複数の窓部を有し、複数のアライメント機構によってマスクのアライメントを行うように真空処理槽に複数の本体部が設けられ、これら本体部に前述の動作用孔部をそれぞれ有するとともに、真空処理槽の本体壁部に複数の窓部を有し、複数のアライメント機構によってマスクのアライメントを行うように構成されているので、より高精度のマスクアライメントを行うことができる。
一方、上述した本発明において、成膜対象物にアライメントマークを設ける一方で、マスクにはアライメントマークに対応するアライメント用孔部を設け、サセプタ上に成膜対象物を配置するとともにマスクを成膜対象物から離間させた状態で、成膜対象物とマスクとの重なり部分の像を撮像手段によって取り込み、制御手段によって得られた解析結果に基づいて駆動手段を動作させ、マスクを移動させてアライメントを行うことにより、成膜対象物が大型化した場合であっても、また成膜対象物の大きさにかかわらず、簡易な方法で高精度のマスクアライメントを行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来技術の機械的手法に比べてアライメントの精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を実施するためのプラズマCVD装置の内部構成を示す部分断面図
【図2】同実施の形態に用いられるマスク装置を示す平面図
【図3】同実施の形態におけるアライメント機構の構成を示す部分断面図
【図4】同実施の形態におけるアライメント時の動作を示す部分断面図
【図5】同実施の形態における成膜時の動作を示す部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明を実施するためのプラズマCVD装置の内部構成を示す部分断面図、図2は、本実施の形態に用いられるマスク装置を示す平面図、図3は、本実施の形態におけるアライメント機構の構成を示す部分断面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態のプラズマCVD装置(成膜装置)1は、図示しない真空排気系に接続され接地された真空処理槽2を有し、この真空処理槽2の上部に、シャワーヘッド3が設けられている。
シャワーヘッド3の真空処理槽2に対して外側部分(図1中上側部分)には、図示しないRF電源に接続されたカソード電極30を有している。
【0012】
さらに、シャワーヘッド3の真空処理槽2の室内側部分(図1中下側部分)には、複数の孔部31を有するシャワープレート32が設けられている。
そして、これらカソード電極30とシャワープレート32との間には空間33が設けられ、この空間33内に原料ガスが導入されるように構成されている(詳細図示せず)。
真空処理槽2内には、基板(成膜対象物)10を載置するための例えば平板状のサセプタ4が設けられている。このサセプタ4内には図示しないヒーターが設けられている。
【0013】
本実施の形態の場合、サセプタ4と真空処理槽2の内壁との間には均一のクリアランスが設けられており、これにより反応ガスがサセプタ4の上方から下方の真空排気口(図示せず)に向って均一に流れるように構成されている。
サセプタ4の例えば下部には駆動部40が設けられており、この駆動部40を、真空処理槽2外部に設けられた昇降機構(図示せず)によって上下動させることにより、サセプタ4が上下方向に移動するように構成されている。
【0014】
本実施の形態の場合、サセプタ4には、複数個(例えば、4〜6個)の光透過部41が例えば鉛直方向(Y軸方向)に延びサセプタ4を貫通するように設けられている。
これら光透過部41は、光を透過可能な材料で、かつ、熱及びプラズマに対する耐性(劣化しにくい)を有する材料、例えばサファイアガラスからなるものを好適に用いることができる。
【0015】
また、真空処理槽2の底壁部(壁部)20には、上記サセプタ4の各光透過部41の直下の部位に、複数個の窓部21が設けられている。
これらの窓部21は、サセプタ4の光透過部41と同様に、光を透過可能な材料で、かつ、熱及びプラズマに対する耐性を有する材料、例えばサファイアガラスからなるものを好適に用いることができる。
【0016】
本実施の形態においては、後述するように、複数のアライメント(位置合わせ)手段5が設けられている。なお、本実施の形態では、各アライメント手段5の構成は同一のものとし、図1及び図3を参照してアライメント手段5の構成を説明する。
【0017】
本実施の形態のアライメント手段5は、例えば真空処理槽2外部の下方に設けられた基台50をそれぞれ有している。
この基台50は、その上面が平面状に形成され、この基台50の上面に、CCDカメラ(撮像手段)51が設けられている。
このCCDカメラ51は、鉛直上方に延びる本体部51aを有し、この本体部51aの先端部に撮像部51bが設けられている。
【0018】
本実施の形態では、CCDカメラ51の撮像部51bが、上述した真空処理槽2底部の窓部21に近接するように配置構成され、この窓部21及びサセプタ4の光透過部41を介して光透過部41上の像を取り込むようにその光路が設定されている。
そして、CCDカメラ51は、アライメント制御部(制御手段)6に電気的に接続されている。このアライメント制御部6は、コンピュータ等を有し、CCDカメラ51によって取り込んだ画像を処理して解析する機能を有している。
【0019】
図2に示すように、本実施の形態に用いるマスク7は、例えば、二酸化アルミニウム(Al23)からなる矩形リング形状の枠体70を有し、この枠体70の内縁部を掛け渡すように、例えば金属又は耐熱性樹脂からなるテープ状のシャドーマスク72が所定の間隔をおいて複数設けられている。
【0020】
本例では、この枠体70の内側の各隅部にアライメント部70aが突出形成されており、各アライメント部70aの所定の位置には、例えば真円形状のアライメント用孔部71がアライメント部70aを貫通するように設けられている。
そして、これらアライメント用孔部71は、アライメントの対象となる基板10に設けたアライメントマーク11と対応する位置に設けられている。
【0021】
一方、基台50上には、アライメント機構52が設けられている。
このアライメント機構52は、例えば鉛直方向に延びる軸状の駆動部(駆動手段)53を有し、この駆動部53を、三次元的、すなわち、水平(X軸、Y軸)方向へ所定量移動可能な機能と、鉛直(Z軸)方向へ所定量移動可能な機能と、水平方向に関して所定角度(θ)回転可能な機能とを有している。
【0022】
アライメント機構52の駆動部53の上端部には、マスク支持機構58が設けられている。このマスク支持機構58は、アライメント機構52の駆動部53の上端部に固定された水平方向に延びる例えば平板状の連結部材54を有し、さらに、この連結部材54上には、アライメント機構52の駆動部53の回転軸に対してずらせた位置に、鉛直方向に延びる例えば棒状の作動部材(動作部分)55が固定されている。
【0023】
本実施の形態の場合は、真空処理槽2内の下側の例えば隅部に設けた本体部22に、作動部材55より若干大きい内径を有する動作用孔部23が本体部22を鉛直方向に貫通するように形成され、この本体部22より長さが長い作動部材55を動作用孔部23内に挿入することにより、作動部材55の先端部(上端部)が真空処理槽2内部の成膜室2a内に位置するように構成されている。
さらに、作動部材55の先端部には、蓋部である例えば平板状の支持蓋部材56が水平方向に向けて固定され、この支持蓋部材56の真空処理槽2内方側の端部によってマスク7の縁部を支持するように構成されている。
【0024】
本発明の場合、蓋部である支持蓋部材56の形状及び大きさは特に限定されることはないが、CVD法による成膜の際に作動部材55が反応ガスに曝されること及び動作用孔部23を介して反応ガスが流れ出すことを防止する観点からは、支持蓋部材56の下面が本体部22の上面22aと密着して動作用孔部23のを塞ぐ形状及び大きさに設定することが好ましい。
【0025】
なお、真空処理槽2の本体部22の動作用孔部23は、真空処理槽2の外部側において、作動部材55の周囲にベローズ57が設けられ、これにより真空状態を保持しつつアライメント機構52を動作させることができるようになっている。
アライメント機構52は、アライメント制御部6に電気的に接続され、アライメント制御部6からの出力情報に基づいて動作するように構成されている。
【0026】
図4は、本実施の形態におけるアライメント時の動作を示す部分断面図、図5は、本実施の形態における成膜時の動作を示す部分断面図である。
図4に示すように、本実施の形態においてマスク7のアライメントを行う場合には、図示しない搬送ロボットによって基板10をサセプタ4上に載置し、アライメントマーク11がサセプタ4の光透過部41上に配置されるようにする。これにより、サセプタ4の光透過部41の表面は、基板10によって覆われる。
【0027】
一方、各アライメント機構52の支持蓋部材56によってマスク7を支持し、マスク7を基板10から離間させた状態で、基板10のアライメントマーク11とマスク7のアライメント用孔部71との重なり部分の像をCCDカメラ51によって取り込み、この像をアライメント制御部6によって解析する。
【0028】
この場合、例えば基板10のアライメントマーク11とマスク7のアライメント用孔部71の中心点の距離をそれぞれ測定し、得られた各データに基づいてアライメント機構52を動作させ、マスク7を三次元的に移動させて基板10とマスク7とのアライメントを行う。
このアライメント作業が終了した後、図5に示すように、サセプタ4を上昇させてマスク7を基板10上に載置して所定の成膜位置まで移動させる。
【0029】
その一方、アライメント機構52を動作させて支持蓋部材56を下降させ、真空処理槽2の本体部22の上面22aに密着させる。これにより、真空処理槽2内側の動作用孔部23が支持蓋部材56によって塞がれる。
そして、この状態で、プラズマCVDによる所定の成膜工程を行う。
【0030】
以上述べたように本実施の形態においては、アライメント機構52が、マスク7を基板10から離間させた状態で、基板10とマスク7との重なり部分の像をCCDカメラ51によって取り込み、アライメント制御部6によって得られた結果に基づいて駆動手段を動作させてマスク7のアライメントを行うように構成され、さらに、真空処理槽2の本体部22に、マスク支持機構58の作動部材55を真空処理槽2の外部から真空処理槽2の内部へ貫通し且つマスク7のアライメントの際作動部材55が三次元的に移動可能な形状に形成された動作用孔部23を有していることから、基板10が大型化した場合であっても、その撓み量に応じて基板10とマスク7とのアライメントを円滑に行うことができ、これにより従来技術の機械的手法に比べてアライメントの精度を向上させることができる。
【0031】
また、成膜の際にはサセプタ4の光透過部41上に基板10が配置され、光透過部41が露出しないので、成膜の際に光透過部41上には成膜されず汚染されることがない。
また、本実施の形態では、真空処理槽2の本体部22に、マスク支持機構58の作動部材55を真空処理槽2の外部から真空処理槽2の内部へ貫通し且つマスク7のアライメントの際作動部材55が三次元的に移動可能な形状に形成された動作用孔部23が設けられるとともに、マスク支持機構58の作動部材55の移動によって真空処理槽2内側の動作用孔部23を塞ぐように構成された支持蓋部材56が設けれているので、CVD法による成膜の際にマスク支持機構58の作動部材55が反応ガスに曝されることなく、また動作用孔部23を介して反応ガスが流れ出すことがない。
【0032】
さらに、マスク支持機構58の作動部材55が、サセプタ4の周囲に配置されていないので、サセプタ4の周囲のガス流路を妨げることがなく、成膜される膜の分布に影響を与えることがなく、またプラズマの発生に影響を与えることもない。
さらにまた、サセプタ4と真空処理槽2の内壁との間には均一のクリアランスが設けられており、これにより反応ガスがサセプタ4の上方から下方の真空排気口に向って均一に流れることから、成膜の際にコンダクタンスを均一にすることができる。
【0033】
さらに、本実施の形態では、サセプタ4に光透過部41が設けられるとともに、真空処理槽2の本体壁部に光透過可能な窓部21が設けられ、真空処理槽2の外部に配置されたCCDカメラ51の撮像光路上に、真空処理槽2の窓部21、サセプタ4の光透過部41、及び基板10とマスク7との重なり部分が配置されるように構成されていることから、CCDカメラ51が反応ガスに曝されることがなく、長期間にわたって高精度のマスクアライメントを行うことができる。
【0034】
さらにまた、本実施の形態では、真空処理槽2の窓部21及びサセプタ4の光透過部41がサファイアガラスからなるため、反応ガス等による真空処理槽2の窓部21やサセプタ4の光透過部41の透光性劣化を防止することができ、長期間にわたって高精度のアライメントを行うことができる。
加えて、本実施の形態では、真空処理槽2の本体部22に複数のアライメント用孔部71を有するとともに、真空処理槽2の底壁部20に複数の窓部21を有し、複数のアライメント機構52によってマスク7のアライメントを行うように構成すれば、より高精度のマスクアライメントを行うことができる。
【0035】
一方、本実施の形態では、基板10にアライメントマーク11を設ける一方で、マスク7にはアライメントマーク11に対応するアライメント用孔部71を設け、サセプタ4上に基板10を配置するとともにマスク7を基板10から離間させた状態で、基板10のアライメントマーク11とマスク7のアライメント用孔部71との重なり部分の像をCCDカメラ51によって取り込み、アライメント制御部6によって得られた結果に基づいてアライメント制御部6を動作させ、マスク7を移動させてアライメントを行うことから、基板10が大型化した場合であっても、また基板10の大きさにかかわらず、簡易な方法で高精度のマスクアライメントを行うことができる。
【0036】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施の形態では、撮像手段としてCCDカメラを用いたが、本発明はこれに限られず、CMOSセンサからなるものを用いることもできる。
また、マスクとしては、上述したシャドーマスク72を有するもののほか、種々のマスクを用いることができる。
【0037】
さらに、上記実施の形態では、マスク7に突出形成したアライメント部70aにアライメント用孔部71を設けるようにしたが、本発明はこれに限られず、マスク7の枠体70自体にアライメント用孔部71を直接設けることもできる。
さらにまた、貫通孔からなるアライメント孔のみならず、マスク7に切り欠き状のアライメント部を設けることもできる。
さらにまた、本発明はプラズマCVD装置のみならず、種々のCVD装置に適用することができるものである。
【符号の説明】
【0038】
1…プラズマCVD装置(成膜装置)
2…真空処理槽
3…シャワーヘッド
4…サセプタ
5…アライメント手段
6…アライメント制御部(制御手段)
7…マスク
10…基板(成膜対象物)
20…底壁部(壁部)
21…窓部
22…本体部
23…動作用孔部
41…光透過部
50…基台
51…CCDカメラ(撮像手段)
52…アライメント機構
53…駆動部(駆動手段)
55…作動部材(動作部分)
56…支持蓋部材(蓋部)
58…マスク支持機構
70…枠体
70a…アライメント部
71…アライメント用孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空処理槽内に反応ガスを導入し、サセプタ上に配置された成膜対象物上にマスクを介してCVD法によって成膜を行う成膜装置であって、
前記マスクを移動可能な状態で支持するマスク支持機構と、
前記マスク支持機構を移動するための駆動手段と、
前記成膜対象物と前記マスクとの重なり部分の像を取り込むための撮像手段と、
前記撮像手段において得られた像を解析する一方で、当該解析結果に基づいて前記駆動手段の動作を制御する制御手段と、
前記マスクを前記成膜対象物から離間させた状態で、当該成膜対象物と当該マスクとの重なり部分の像を前記撮像手段によって取り込み、前記制御手段によって得られた結果に基づいて前記駆動手段を動作させ、当該マスクのアライメントを行うように構成されたアライメント機構とを備え、
前記真空処理槽は、その本体部に、前記マスク支持機構の動作部分を当該真空処理槽の外部から当該真空処理槽の内部へ貫通し且つ当該マスクのアライメントの際当該マスク支持機構の動作部分が三次元的に移動可能な形状に形成された動作用孔部を有する成膜装置。
【請求項2】
前記マスク支持機構は、当該動作部分の移動によって前記真空処理槽内側の動作用孔部を塞ぐように構成された蓋部を有する請求項1記載の成膜装置。
【請求項3】
前記サセプタに光透過部が設けられるとともに、前記真空処理槽の本体壁部に光透過可能な窓部が設けられ、前記真空処理槽の外部に配置された前記撮像手段の撮像光路上に、前記真空処理槽の窓部、前記サセプタの光透過部、及び前記成膜対象物と前記マスクとの重なり部分が配置されるように構成されている請求項1又は2のいずれか1項記載の成膜装置。
【請求項4】
前記真空処理槽の窓部及び(又は)前記サセプタの光透過部がサファイアガラスからなる請求項1乃至3のいずれか1項記載の成膜装置。
【請求項5】
前記真空処理槽に複数の本体部が設けられ、当該本体部に前記動作用孔部をそれぞれ有するとともに、当該真空処理槽の本体壁部に複数の窓部を有し、複数の前記アライメント機構によって前記マスクのアライメントを行うように構成されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の成膜装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の成膜装置において、前記マスクのアライメントを行う方法であって、
前記成膜対象物にアライメントマークを設ける一方で、前記マスクには前記アライメントマークに対応するアライメント用孔部を設け、前記サセプタ上に当該成膜対象物を配置するとともに前記マスクを前記成膜対象物から離間させた状態で、当該成膜対象物のアライメントマークと当該マスクのアライメント用孔部との重なり部分の像を前記撮像手段によって取り込み、前記制御手段によって得られた解析結果に基づいて前記駆動手段を動作させ、当該マスクを移動させてアライメントを行うアライメント方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−231384(P2011−231384A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104407(P2010−104407)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】