説明

扉装置

【課題】 補助枠の強度の向上、安全性の向上及び防塵性の向上が図れる扉装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも上枠2a及び左右の縦枠2c,2dからなる開口枠2と、該開口枠2内に開閉可能に設けられる扉3とを備え、扉3は上框8a、下框8b及び左右の縦框8c,8dからなる框枠8内に面板9を設けてなり、扉3の吊り元側縦框8dを断面略円形に形成し、吊り元側縦枠2cに見込み寸法の大きい補助枠19を設け、該補助枠19はその室内外両側面19a,19bから吊り元側縦框8dに向って見込み寸法が減少するように傾斜した傾斜面20を有し、補助枠19と吊り元側縦框8d間の隙間sに防塵材21を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗やビル等の出入り口に取付けられる扉装置に係り、特に扉の吊り元側縦框と縦枠間に配置される補助枠の構造を改良した扉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の扉装置としては、上枠及び左右の縦枠からなる開口枠と、該開口枠内に開閉可能に設けられる扉とを備え、扉は上框、下框及び左右の縦框からなる框枠内に面板を設けてなり、扉の吊り元側縦框は回動軸として断面略円形に形成され、吊り元側縦枠に補助枠としての桟部材を設けたもの(出入り口の開き扉)が知られている(例えば特開平9−273361号公報参照)。扉の吊り元側縦框を断面略円形に形成することにより、吊り元側縦框と桟部材との間の隙間が一定に保持され、扉の開け閉めに際して子供や清掃員等が手指を挟むなどの事故を防止している。
【0003】
前記桟部材は、吊り元側縦框に臨んで開放された断面コ字状ないし溝形状に形成され、その溝底部が縦枠にネジで固定され、その室内外両側縁部には吊り元側縦框の外形に対応して内側に折り曲げられた一対のリップ片が形成されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−273361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記扉装置においては、桟部材が吊り元側縦框に臨んで開放された断面コ字状に形成されているため、その自由端となった室内外両側面が変形し易く、強度的に弱いという問題があると共に、その室内外両側面のうち少なくとも一方が変形した場合、その側縁部と吊り元側縦框との間の隙間が広がって手指を挟み易くなることが考えられる。
【0006】
また、桟部材と吊り元側縦框との間は常時隙間が開いているため、塵や埃が室内(屋内)に侵入し易く、防塵性に欠ける。
【0007】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、補助枠の強度の向上、安全性の向上及び防塵性の向上が図れる扉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも上枠及び左右の縦枠からなる開口枠と、該開口枠内に開閉可能に設けられる扉とを備え、扉は上框、下框及び左右の縦框からなる框枠内に面板を設けてなり、扉の吊り元側縦框を断面略円形に形成し、吊り元側縦枠に見込み寸法の大きい補助枠を設け、該補助枠はその室内外両側面から吊り元側縦框に向って見込み寸法が減少するように傾斜した傾斜面を有し、補助枠と吊り元側縦框間の隙間に防塵材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、少なくとも上枠及び左右の縦枠からなる開口枠と、該開口枠内に開閉可能に設けられる扉とを備え、扉は上框、下框及び左右の縦框からなる框枠内に面板を設けてなり、扉の吊り元側縦框を断面略円形に形成し、吊り元側縦枠に見込み寸法の大きい補助枠を設け、該補助枠はその室内外両側面から吊り元側縦框に向って見込み寸法が減少するように傾斜した傾斜面を有し、補助枠と吊り元側縦框間の隙間に防塵材を設けているため、補助枠の強度の向上、安全性の向上及び防塵性の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を基に詳述する。図1は本発明の実施の形態に係る扉装置の概略構成を示す室内側正面図、図2は同縦断面図、図3は同横断面図、図4は扉を室外側に全開させた状態の要部断面図である。
【0011】
これらの図において、1は扉装置で、この扉装置1は、建物の開口に設けられる少なくとも上枠2a及び左右の縦枠2b,2cからなる開口枠2と、該開口枠2内に開閉可能に設けられる扉3とを備えている。上枠2a及び両縦枠2b,2cは、例えばアルミ押出形材からなり、両縦枠2b,2cの上端部間に上枠2aが掛け渡されてネジ止めにより組み付けられている。なお、縦枠2b,2cは、例えば図6に示すように、欄間26付き扉装置の縦枠としても使用できるように、欄間用の面板例えばガラスパネル4を装着するための溝部5を有している(図3参照)。縦枠2b,2cには溝部5を塞ぐ溝蓋6が着脱可能に嵌着され、吊り元側縦枠2cの溝蓋6は縦枠2cに対して固着具例えばネジ7で固定されている。なお、図3において、27は錠受け固定用のネジである。
【0012】
扉3は上框8a、下框8b及び左右の縦框8c,8dからなる框枠8内に面板例えばガラスパネル9を設けて構成されている。上框8a、下框8b及び左右の縦框8c,8dは、例えばアルミ押出形材からなり、ネジ止めにより方形枠状に組み付けられている。扉3の吊り元側縦框8dは扉3の回動軸(回動中心)とされると共に断面略円形に形成されている。この吊り元側縦框8dを回動軸として扉3を室内外方向に回動可能に支持するために、床面10下にはフロアヒンジ11が設けられ、上枠2aにはトップヒンジ12が設けられている。
【0013】
フロアヒンジ11は、床面10より吊り元側縦框8dの軸心に向って上方に突出した駆動軸11aと、扉3の下框8bに設けられ駆動軸11aが嵌合して一体的に回動する受部11bとから構成されている。フロアヒンジ11には、駆動軸11aを介して扉3を閉鎖位置に付勢する図示しない付勢機構が内蔵されている。トップヒンジ12は、扉3の吊り元側縦框8dの上端部から上方に突出する状態で設けられた支軸12aと、上枠2aに設けられて該支軸12aを回動可能に支持する軸受部12bとから構成されている。
【0014】
前記扉3の吊り元側縦框8dは、中空の断面略円形に形成されていることが好ましい。更に具体的には、吊り元側縦框8dの一側部には、ガラスパネル9の周縁部を押える押縁13を取付けるための押縁取付部14が形成され、該押縁取付部14に押縁13が取付けられている。また、吊り元側縦框8dの他側部には、略扁平な端面部16が形成され、この端面部16には上框や下框を組み付けるためのネジ15を回すネジ回しを挿入するための孔部(図示省略)が形成されている。また、端面部16には吊り元側縦框8dと同一曲面の断面円弧状のキャップ17がネジ18で着脱可能に取付けられている。
【0015】
吊り元側縦枠2cには、見込み寸法(室内外方向の幅寸法)の大きい補助枠(アタッチメント)19が設けられ、該補助枠19はその室内外両側面19a,19bから吊り元側縦框8dに向って見込み寸法が減少するように傾斜した傾斜面(テーパ)20を有している。補助枠19は、例えばアルミ押出形材からなり、吊り元側縦枠2cに臨んで開放した断面略C字状に形成されている。この補助枠19は、前記吊り元側縦枠2cの溝部5の溝幅よりも広い見込み寸法とされると共に、吊り元側縦框8dに臨む側が閉じられている(開放されていない)ことにより、強度の向上が図られている。補助枠19は、その両側縁部が縦枠2cの面に当接されて固定端となるため、変形し難い。
【0016】
この補助枠19の室内外両側面19a,19bの左右方向略中間位置から吊り元側縦框8dに近接する先端部19cに向って見込み寸法が減少するように傾斜した傾斜面(テーパ)20が形成されている。この補助枠19の先端部19cは、吊り元側縦框8dの曲面状の外面と対応するように略凹面状に形成されていることが好ましい。補助枠19は前記溝蓋6に対してネジ24で着脱可能に取付けられている。なお、補助枠19は、長いネジによって吊り元側縦枠2cに直接取付けられていても良い。この場合、溝蓋6は取付けられていなくても良い。
【0017】
補助枠19と吊り元側縦框8dとの間の隙間sには、室外側から室内側に塵や埃の侵入を防止するための防塵材21が設けられている。実施例では、吊り元側縦框8dに防塵材21が設けられている。具体的には、キャップ17に防塵材21が取付けられている。扉3が閉鎖位置にある時、防塵材21の先端は補助枠19の凹面状の先端部19cに接している。防塵材21は、例えば基材に繊維を植毛したモヘアからなっており、吊り元側縦框8dの長手方向全長に設けられている。前記キャップ17にはモヘアの基板を嵌合するための嵌合溝22が長手方向に沿って形成されている。
【0018】
扉3の閉鎖位置からの開き角度θは、90°よりも大きい例えば125°(フロアヒンジの限界開き角度)とされている。因みに、扉3が吊り元側縦枠2cに接するまでの開き角度は135°である。一方、扉3の吊り先(戸先)側縦框8cには扉3を閉鎖位置に施錠するための錠装置23が設けられている。また、吊り先側縦框8cには扉3を開閉操作するための把手が設けられている(図示省略)。
【0019】
以上の構成からなる扉装置によれば、少なくとも上枠2a及び左右の縦枠2c,2dからなる開口枠2と、該開口枠2内に開閉可能に設けられる扉3とを備え、扉3は上框8a、下框8b及び左右の縦框8c,8dからなる框枠8内に面板であるガラスパネル9を設けてなり、扉3の吊り元側縦框8dを断面略円形に形成し、吊り元側縦枠2cに見込み寸法の大きい補助枠19を設け、該補助枠19はその室内外両側面19a,19bから吊り元側縦框8dに向って見込み寸法が減少するように傾斜した傾斜面20を有し、補助枠19と吊り元側縦框8d間の隙間sに防塵材21を設けているため、補助枠19の強度の向上、安全性の向上及び防塵性の向上が図れる。
【0020】
すなわち、上記補助枠19は、見込み寸法の大きい幅広で縦枠2cの面(取付面)に対して安定性があり、且つ吊り元側縦框8dに近接する側の先端部19cが閉じられているため、外力によって変形し難く、高い強度を確保することができる。また、補助枠19が変形して吊り元側縦框8dとの間の隙間sが広がる恐れはなく、しかも、補助枠19の先端部19c側には室内外両側面19a,19bのその左右方向中間位置から先端側に向って漸次見込み寸法が減少するように傾斜した傾斜面20が形成されているため、扉3の開閉時に吊り元側縦框8dと補助枠19との間に手指を挟み込んだり、手指が巻き込まれたりし難く、安全性の向上が図れる。上記傾斜面20によって吊り元側縦框8dの曲面と補助枠19の傾斜面20との間が大きく開いているため、手指を巻き込まれにくく、手指を容易に逃がすことができる。
【0021】
また、補助枠19と吊り元側縦框8d間の隙間sに防塵材21が設けられているため、塵や埃の侵入を防止でき、防塵性の向上が図れる。特に、実施例では吊り元側縦框8dに防塵材21が設けられており、補助枠19側は凹面状の先端部19cという限られた範囲にしか防塵材21が接しないため、防塵材21が扉開閉時の摩擦抵抗になるのを極力防止でき、開閉操作性の向上が図れる。
【0022】
図5は扉装置の変形例を示す部分的横断面図である。図5の実施例において、図3の実施例と同一部分は同一参照符号を付して説明を省略する。図5の実施例では、扉3の吊り先側縦框8cの先端部には軟質樹脂製ないしゴム製のクッション性を有するパッキン部材25が設けられ、これにより吊り先側縦框8cと縦枠2bとの間で手指を挟む事故を防止し、安全性の向上が図られている。
【0023】
以上、本発明の実施の形態ないし実施例を図面により詳述してきたが、本発明は前記実施の形態ないし実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。例えば、本発明は、片開き式の扉装置に限定されず、図6に示すように2枚の扉を有する両開き式の扉装置にも適用することができ、また、欄間26を有するものであっても良い。欄間26は、左右の縦枠2b、2cと、欄間用の上枠26aと、開口枠用の上枠2aと、これらによって区画形成された欄間用の開口に装着されるガラスパネル4とから構成されている。
【0024】
本発明における防塵材は、吊り元側縦框と補助枠の何れか一方に設けられていれば良い。防塵材としては軟質樹脂製ないしゴム製のヒレ状で気密性を有する気密材が用いられていても良い。開口枠としては、下枠を有していても良い。補助枠の断面形状としては、側方に開放されていないホロー(中空)形状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る扉装置の概略構成を示す室内側正面図である。
【図2】同縦断面図である。
【図3】同横断面図である。
【図4】扉を室外側に全開させた状態の要部断面図である。
【図5】扉装置の変形例を示す部分的横断面図である。
【図6】扉装置の変形例を示す室内側正面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 扉装置
2 開口枠
2a 上枠
2b、2c 縦枠
3 扉
8 框枠
8a 上框
8b 下框
8c、8d 縦框
19 補助枠
19a.19b 室内外両側面
20 傾斜面
s 隙間
21 防塵材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上枠及び左右の縦枠からなる開口枠と、該開口枠内に開閉可能に設けられる扉とを備え、扉は上框、下框及び左右の縦框からなる框枠内に面板を設けてなり、扉の吊り元側縦框を断面略円形に形成し、吊り元側縦枠に見込み寸法の大きい補助枠を設け、該補助枠はその室内外両側面から吊り元側縦框に向って見込み寸法が減少するように傾斜した傾斜面を有し、補助枠と吊り元側縦框間の隙間に防塵材を設けたことを特徴とする扉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−316510(P2006−316510A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140524(P2005−140524)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】