説明

手センサを有するステアリング・ホイール

【課題】運転者のウェル・ビーイングを評価し測定する方法及び機構を提供する。
【解決手段】ステアリング・ホイール20に取り付けられるセンサ・アセンブリ40を含むことができる車両用のステアリング・ホイールに関する。センサ・アセンブリ40は、車両の運転者の生物学的パラメータを測定するように構成される電極を含み得る。更に、ステアリング・ホイール用のセンサ・アセンブリ40は、車両の運転者の生物学的パラメータを測定するように構成される電極を含むことができる。センサ・アセンブリ40は、ステアリング・ホイール20に取り付けられるように構成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれている、2010年4月2日に出願した米国仮特許出願第61/320,591号の優先権及びその利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般に車両センサの分野に関する。より詳細には、本開示は、車両のステアリング・ホイールに連結される生物学的パラメータ・センサに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のステアリング・ホイールは、運転者のウェル・ビーイング(well being)の表示を与えることができるパラメータを測定する能力を有していない。この種のパラメータは、運転者のウェル・ビーイングや状態を判定するのに利用される、例えば心拍数、皮膚キャパシタンス、皮膚温度、呼吸数、及び他のパラメータを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転者のウェル・ビーイングを評価し測定する方法及び機構を提供することが望ましく、車両の設計に組み入れられ得るコスト的に有利な装置のような機構を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、車両用のステアリング・ホイールは、ステアリング・ホイールに取り付けられるセンサ・アセンブリを含むことができる。センサ・アセンブリは、車両の運転者の生物学的パラメータを測定するように構成される電極を含むことができる。
【0006】
ステアリング・ホイール用のセンサ・アセンブリは、車両の運転者の生物学的パラメータを測定するように構成される電極を含むことができる。センサ・アセンブリは、ステアリング・ホイールに取り付けられるように構成され得る。
【0007】
本実施形態のこれらの及び他の特徴、態様、並びに利点は、下記に簡単に説明される次の説明、添付の特許請求の範囲、及び図面に示される添付の例示的な実施形態から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一例によるセンサ・アセンブリを有するステアリング・ホイールを示す、車両コックピット内部の等角図である。
【0009】
【図2】一例によるセンサ・アセンブリを有するステアリング・ホイールの正面図である。
【0010】
【図3】一例によるステアリング・ホイールの内径に沿ったセンサ・アセンブリの側面を示す、ステアリング・ホイール用のセンサ・アセンブリの透視図である。
【0011】
【図4】一例によるステアリング・ホイールの外周に沿ったセンサ・アセンブリの側面を示す、ステアリング・ホイール用のセンサ・アセンブリの透視図である。
【0012】
【図5】一例による図3のセンサ・アセンブリの断面図である。
【0013】
【図6】一例による温度センサを含むセンサ・アセンブリを有するステアリング・ホイールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、ステアリング・ホイール20を含む車両用のコックピット内部10の例を示している。車両を運転する際に通常行われるように、運転者は、車両のホイールの向きを変え、所望の方向に操舵するようにステアリング・ホイール20を回転させることができる。
【0015】
この種のステアリング・ホイール20は、運転者の手が容易に届く範囲内に設けられるスィッチやボタンの形のさまざまな調整用つまみを含むことができる。例えば、この種の調整用つまみは、車両照明(例えば、天井照明、ヘッドライト等)を制御し、電話器を制御し、又はクルーズ制御などの他の機構や装置を制御するように、車両のオーディオ・システム(例えば、ボリューム、同調、モード等)を作動させるのに使用されることもできる。オーディオ・システム、気候システム、照明システム又は他のシステムを含むシステムのための調整用つまみを含むこの種の調整用つまみは、車両の計器盤や車両のセンター・コンソール上のような車両のほかの場所に追加として設けられ得る。
【0016】
図2の例に示されるように、ステアリング・ホイール20は、1つ又はそれ以上のスポーク24によって外側リング又はリム26に連結される中央ハブ22を含むことができる。ハブ22は、順に車両10のステアリング・コラムに連結され得る。車両を運転するときに通常行われるように、運転者は、外側リム26を把持することによってステアリング・ホイール20の向きを変えることができる。
【0017】
ステアリング・ホイール20は、図2の例に示されるように4本スポークのステアリング・ホイールであることができる。もう一つの例では、ステアリング・ホイール20は、3本スポークのステアリング・ホイールであることができる。他の例では、ステアリング・ホイール20は、異なる数又は配置のスポークを有することができる。
【0018】
図1及び図2の例に示されるように、ステアリング・ホイール20は、センサ・アセンブリ40を含むことができる。例えば、ステアリング・ホイール20の外側リム26は、外側リム26に組み入れられる一対のセンサ・アセンブリ40を含むことができる。センサ・アセンブリ40は、運転者のウェル・ビーイングの表示を与えることができるパラメータを測定することができ得る。この種のパラメータは、例えば心拍数、皮膚キャパシタンス、皮膚温度、呼吸数、及び他の生物学的パラメータを含むことができる。センサ・アセンブリ40は、センサ・アセンブリがステアリング・ホイール20の外側リム26などのステアリング・ホイールに組み入れられるように、触覚的にも視覚的にも比較的目立たないように構成される。
【0019】
図3は、センサ・アセンブリ40の例を示している。センサ・アセンブリ40は、図3の例で示されるように、上側ハウジング42及び下側ハウジング44から形成されるハウジングのような本体又はハウジングを含むことができる。この種の上側及び下側ハウジングは、ステアリング・ホイール電機子の両側から互いに係合するスナップ及び設置機構によって一緒に連結され得る。上側ハウジング42及び下側ハウジング44は、(図5の例に最もよく示されている)インターロック部分41で一緒に連結されることができ、このインターロック部分41は、上側ハウジング42を下側ハウジング44に適切に位置合わせし、固定するスナップ及び設置機構を含むことができる。上側ハウジング42及び下側ハウジング44は、外側リム26の曲率半径に合致するように湾曲され得る。一緒に連結されると、上側ハウジング42及び下側ハウジング44は、外側リム26の電機子30を収容することができる中央空所又は空洞43を画定することができる。
【0020】
電機子30又は外側リム26の他の部分によって占有されない容積であり得るハウジングの内側空洞43の中空部分は、センサ・アセンブリ40をステアリング・ホイール20に固定し、設置するのを助けるように、及びステアリング・ホイール20を把持する運転者に心地よさを与えるように、ポリウレタン・フォームなどの材料で選択的に充填される場合がある。この種のポリウレタン・フォームや他の適切な材料は、振動や他の騒音を減衰させるのに使用され得る。
【0021】
上側ハウジング42及び下側ハウジング44は、例えば、センサ・アセンブリの電極を電気的に分離するように、例えばポリマー、木材、又は繊維強化ポリマーなどの複合材料のような非導電性材料から形成され得る。もう一つの例では、上側ハウジング42及び/又は下側ハウジング44は、導電性材料から形成されることができ、絶縁体が、電極とハウジング42及びハウジング44との間に、又は上側ハウジング42が下側ハウジング44に連結されるインターロック41のところに設けられ得る。
【0022】
上側ハウジング42及び下側ハウジング44は、センサ・アセンブリ40がステアリング・ホイール20の外側リム26などのステアリング・ホイール20に目立たないように組み入れられるようになっているさまざまな構成を与える。従って、センサ・アセンブリ40は、センサ構成要素を取り付けるための構造物であることができ、センサ・アセンブリのセンサの配線は、ユニットに内蔵されるようになっており、ユニットは、低コストで、皮革被覆ステアリング・ホイールなどのステアリング・ホイールに継ぎ目のないように組み入れられるようになっている。
【0023】
センサ・アセンブリ40は、上側電極46及び下側電極48を含むことができる。この種の上側及び下側電極46、48は、図3の例に示されるように、センサ・アセンブリ40の両側に取り付けられ得る。一対の電極46、48は、例えば運転者の手のそれぞれが同時に電極46、48の両方を把持することによって一対の電極46、48を把持するように、センサ・アセンブリ40のそれぞれに設けられ得る。センサ・アセンブリ40のハウジングは、センサ構成要素を取り付けるための構造物を形成することができ、電極46、48の配線は、内蔵されるようになっており、ユニットは、皮革ステアリング・ホイールを含むステアリング・ホイールに継ぎ目のないように組み入れられ得る。
【0024】
電極46及び電極48は、例えばスナップ機構によって(車両の内部及び車両の運転者に面する)ハウジング42及びハウジング44の外表面に連結され得る。もう一つの例では、電極46及び電極48は、機械的固締具、接着剤等のような他の方法を介してハウジング42及びハウジング44に連結され得る。
【0025】
ワイヤ又は他の導電性部材(図面に示されていない)は、電極46及び電極48の裏面(例えば、ハウジング42及びハウジング44に隣接しこれに面する側面)に連結され得る。次いで、ワイヤは、図3及び図4の例に示されるように、上側ハウジング42及び/又は下側ハウジング44の表面に形成される溝45を通過することができる。この種のワイヤ溝45は、例えば、トラフ、窪み、又はスロットから成ることができる。ワイヤ溝45により、ワイヤ、及びセンサ・アセンブリの他の構成がセンサ・アセンブリの比較的滑らかで特徴のない輪郭を損なわないように、ワイヤが窪みに納められたままであるようになっており、それによって、これらは、ステアリング・ホイール20の外側リム26などの、ステアリング・ホイール20によりよく組み入れられるようになっている。更に、知覚アセンブリ40が、センサ、及び配線などの接続部を含む低コストのユニットを可能にし、これは、ステアリング・ホイールに一層容易に組み入れられ得る。このような滑らかで特徴のない輪郭を有する知覚アセンブリ40を可能にすることによって、知覚アセンブリ40は、低コストで現存の車両に組み入れられ得るモジュラー・ユニットとして提供され得る。
【0026】
もう一つの例では、センサ・アセンブリ40は、上側ハウジング42及び下側ハウジング44を含まない場合があり、知覚アセンブリ40の電極は、ステアリング・ホイール20の外側リム26に直接連結され又はこれに形成されることがある。例えば、電極46及び電極48は、電機子30を取り囲むポリウレタン・フォームに組み入れられ得る。もう一つの例示的な実施形態では、電極46及び電極48は、ステアリング・ホイール20の表皮32に縫い付けられ又は別様に連結される導電性織物のような可撓性の本体である場合がある。いずれの例示的な実施形態においても、電極46及び電極48、並びに周囲の構成要素は、電流が電極46と電極48との間を直接流れることができないように上側電極46が下側電極48から分離されるように、配置される。
【0027】
一例によれば、上側電極46及び下側電極48は、少なくとも部分的に低抵抗を有する導電性材料で形成される。例えば、上側電極46及び下側電極48は、クロムメッキ、金属外被、金属塗料、金属被覆した織物、又は金属被覆した皮革によって形成される導電性表面を有することができる。他の例では、金属織物及び皮革は、上側電極46及び下側電極48に使用されることもできる。もう一つの例によれば、ステンレス鋼も電極に使用され得る。
【0028】
電極46、48は、外側リム26の曲率半径に合致するように湾曲されることができ、電極46、48が上側ハウジング42及び下側ハウジング44と共に組み立てられる場合、電極46、48は、外側リム26の横断面の直径及び形状に実質的に等しいセンサ・アセンブリ40の直径を形成することができる。電極は、低抵抗を有する導電性材料で形成されることが好ましく、互いから分離される。
【0029】
上側電極46及び下側電極48の導電性表面の仕上げ及び色は、車両の美的要件に合致するように選択され得る。例えば、電極46、48の表面は、車両内部のインテリアの他のトリム部品に合致し又はこれを補完するように設計され、選択され得る。
【0030】
カバー又は表皮32は、ステアリング・ホイール20について審美的に心地よい外面を提供するように構成される。表皮32は、運転者の心地よさを改善するようにステアリング・ホイール20の外側に人間工学的に心地よい層を加えるように構成される。一例によれば、表皮32は、射出成形されたポリウレタン材料から形成され得る。他の例によれば、表皮32は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TEOs)、熱可塑性オレフィン(TPOs)、ゴム、又は任意の他の適切な材料などの多種多様な他の成形材料から形成され得る。他の例によれば、表皮32は、皮革、織物、ポリマー材料などの、電機子の周りに包まれるフィルム又はシートであることができる。もう一つの例では、表皮32は、木材、炭素繊維複合材料等のようなほぼ剛性の材料から形成される積層物のシェルであることができる。フォームなどの下敷き材は、運転者の人間工学的な心地よさを更に増大するように表皮32の下に設けられ得る。
【0031】
ステアリング・ホイール20のカバー又は表皮32は、上側ハウジング42及び下側ハウジング44の周りに包まれ得る。カバー又は表皮32は、例えば、皮革、TPO、及び当分野で用いられる他のカバーであることができる。カバー32は、電極46、48がステアリング・ホイール20を把持する運転者の手と接触できるように、電極46及び電極48がカバー32を通して突出するようになっている開口を含むことができる。例えば、表皮32は、センサ・アセンブリのハウジングの周りに包まれ、電極が表皮32の頂上に位置することになるように膠によって本来のところに固定され得る。
【0032】
電極46、48の表面は、これらが概ね連続した表面を形成し、運転者がステアリング・ホイール20を把持するときに不愉快でないように、表皮32の表面と同一平面にあることができる。結果として、センサ・アセンブリは、センサ・アセンブリの比較的滑らかで特徴のない輪郭を損なわず、それによって、アセンブリを、低コストで車両のステアリング・ホイールによりよく組み入れることができる。
【0033】
表皮32の縁部は、図3、図4、及び図5の例で示されるように、電極46及び電極48の周囲の周りに溝49によって収容され得る。この種の溝49は、例えばスロット、空所、窪み、又は空洞であることができる。電極46及び電極48がハウジング42及びハウジング44に連結されると、表皮32の縁部は、溝49に閉じ込められ、又は圧縮されることができ、従って、センサ・アセンブリ40に、及びステアリング・ホイール20の電機子30などのステアリング・ホイール20に表皮32を固定する。もう一つの例によれば、表皮32は、接着剤、縫合、及び他のカバーや当分野で用いられる表皮固締手段のような、他の固締手段の使用によって更に固定され得る。
【0034】
図5の例で示されるように、ステアリング・ホイール20の外側リム26は、電機子30を含むことができる。電機子30は、金属(例えば、鋼、マグネシウム、又はアルミニウム等)、ポリマー、木材、或いは強化ポリマー(例えば、繊維強化ポリマー、粒子強化ポリマー等)などの複合材料のような剛性材料から形成され得る。この種の電機子30は、例えば、フレーム、シェル、ベース、又は当分野で用いられる他の形態の形で設けられ得る。
【0035】
電機子30は、ステアリング・ホイール20の強度及び形状を与えることができる。電機子30が中空本体である場合、これは、ポリウレタン・フォーム又は他の適切な材料のような消音材料で充填され得る。電機子30は、ポリマー、フォーム、木材等のような外側リム26の本体を作るもう一つの材料で取り囲まれ得る。電機子30は、少なくとも部分的に電機子30を被覆する表皮32で被覆され得る。ステアリング・ホイール20は、(皮革や木材などの)材料から形成されるアップリケ、別個の後部カバー、スイッチ、ベーゼル等のような、これに連結される更なる構成要素を有することができる。
【0036】
一例によれば、電極46、48は、運転者の心拍数及び運転者の手の皮膚キャパシタンスなどのさまざまな生物学的パラメータを測定するのに使用され得る。
【0037】
ステアリング・ホイールを彼又は彼女の手で把持する運転者の心拍数は、センサ・アセンブリによって感知され得る。例えば、センサ・アセンブリ40は、(上側電極46及び下側電極48のような)2つの電極がステアリング・ホイールの両側でそれぞれの手に用意されるように、ステアリング・ホイールの左側及び右側に取り付けられ得る。
【0038】
もう一つの例では、ステアリング・ホイールの左側及び右側に配置されるセンサ・アセンブリの、上側左手の電極及び上側右手の電極並びに下側左手の電極及び下側右手の電極は、連結されることができ、電極により記録されるデータが、運転者の心拍数応答を決定するように比較され得る。例えば、ワイヤは、2つのセンサ・アセンブリ40の上側電極46と一緒に接続するのに、及び2つのセンサ・アセンブリ40の下側電極48と一緒に接続するのに使用され得る。従って、運転者が車両を運転しながら彼又は彼女の手でステアリング・ホイールを単純に把持することによって、ステアリング・ホイールに取り付けられるセンサ・アセンブリの電極46、48は、運転者のウェル・ビーイングを判定するように、運転者の心拍数及び他の生物学的パラメータを測定することができる。
【0039】
皮膚キャパシタンスは、センサ・アセンブリの上側電極と下側電極との間のコンダクタンスを監視することによって測定され得る。皮膚キャパシタンスは、運転者の手や電気皮膚反応から生じる発汗の程度又は量を表示するように測定されることができ、これは、順にセンサ・アセンブリの電極によって測定されるコンダクタンスに影響を及ぼすことになる。例えば、皮膚キャパシタンスは、ステアリング・ホイールの左側及び右側のセンサ・アセンブリによって測定されることができ、その結果は皮膚キャパシタンスを与えるように平均され得る。
【0040】
皮膚温度は、センサ・アセンブリに含まれる温度センサを用いて測定され得る。温度センサは、例えば、ステアリング・ホイールのリムなどのステアリング・ホイールに取り付けられる赤外線(IR)センサであることができる。例えば、温度センサ50は、図4及び図6の例で示されるように、センサ・アセンブリ40のハウジング内に収容され得る。この種の温度センサ50は、温度センサが運転者の皮膚に接触し、又は運転者の皮膚の近くにあるように、センサ・アセンブリ40の電極46と電極48との間でステアリング・ホイールのリムの外部に配置され得る。運転者の皮膚の温度は、1つ又はそれ以上のセンサ・アセンブリ40の電極を介して心拍数及び/又は皮膚キャパシタンス値を測定するのと同時に測定され得る。例えば、ステアリング・ホイールの外側リム26の外周に沿って温度センサ50を配置することによって、手の表面(例えば、手のひら)との接触が一層得やすい。温度センサ50は、上側ハウジング42及び/又は下側ハウジング44の本体の窪みに収められ或いはこの本体に隠されるワイヤ又は他の導電性パスを通して、電極46及び電極48に或いは信号処理ユニット60などの他の構成要素に接続され得る。
【0041】
センサ・アセンブリ40の温度センサ50は、ステアリング・ホイールの皮革や外部ガーニッシュ・エレメントなどの表皮又はカバー32、及びセンサの後側に配線されるセンサによって取り囲まれ得る。温度センサ50の表面は、温度センサ50が運転者によって触覚的に目立たないように、且つ、センサ・アセンブリ40がステアリング・ホイールに容易に組み入れられ得るようにセンサ・アセンブリ40の滑らかな表面が維持されるように、表皮又はカバー32の表面と同一平面にあることができる。
【0042】
センサ・アセンブリの電極46及び電極48を含むセンサ・アセンブリ40は、車両の信号処理ユニット60に接続され得る。この種の信号処理ユニット60は、図1の例で示されるように、車両の計器盤内のような車両のほかの場所に配置され得る。運転者の手が2つのセンサ・アセンブリ40のそれぞれの電極46及び電極48に接触するように、運転者がステアリング・ホイール20の上に両手を置くと、運転者の心拍数は、1つ又はそれ以上のセンサ・アセンブリの電極46及び電極48、並びに信号処理ユニット60を用いて、運転者の心電図記録(EKG)信号を監視することによって測定され得る。もう一つの例では、皮膚キャパシタンス(例えば、蒸れ)は、左側及び右側のセンサ・アセンブリ40について上側電極46と下側電極48との間のコンダクタンスを監視し、信号処理ユニット60でこの結果を平均することによって測定され得る。信号処理ユニット60は、電極46、48及び/又は温度センサ50からの心拍数及び/又は皮膚キャパシタンス信号などの、温度センサ50からの信号を処理するのに、並びに1つ又はそれ以上のセンサ・アセンブリ40の1つ又はそれ以上のセンサからの信号を処理するのに使用され得る。
【0043】
測定された心拍数及び/又は信号処理ユニット60によって計算された皮膚キャパシタンスは、格納され、リモート又はローカル・データベースに送信されることができ、且つ/又は車両の計器盤やヘッドアップ・ディスプレイ上のモニタやディスプレイなどの上に運転者のために表示され得る。
【0044】
心拍数、皮膚キャパシタンス、及び/又は皮膚温度などの運転者の測定された生物学的パラメータは、車両の運転者がストレス状態にあるか、又は他の状態に苦しめられているかどうかを判定するように、信号処理ユニット60や他のCPUなどの車両コントローラによって使用され得る。例えば、車両は、車両内部の温度が快適なレベルにあるが、運転者の皮膚が汗まみれで、運転者の心拍数が比較的高いレベルにあること、又は運転者の皮膚温度が異常に高いことを判定することもできる。次いで、この種の情報は、例えば、運転者のストレス・レベルに影響を及ぼすように例えば車両の空気調和や照明によって車両環境を変えるように、或いは、例えば自動化された問い合わせによって、又は携帯電話に基づく車両顧客サービスなどのリモート・サービスに接続することによって、運転者が大丈夫であるかどうかを問い合わせるように使用されることもできる。
【0045】
他の実施形態では、センサ・アセンブリは、一般に、ステアリング・ホイールの外側リム26に組み入れられるとして議論されるが、センサ・アセンブリ40の新規な特徴は、例えばステアリング・ホイールのスポーク24やハブ22内のような、ステアリング・ホイール20の他の部分にセンサ・アセンブリ40を組み込むように使用され得る。上記の感知要素のすべて又はいくつかは、1つのユニット又はセンサ・アセンブリにパッケージされ得る。センサ・アセンブリは、センサ・アセンブリが触覚的に滑らかな表面を有するように、ステアリング・ホイールの残部との継ぎ目のない組み込みのためにワイヤ・チャンネル、皮革タック、仕上げ溝などの機構を設けることができる。
【0046】
本明細書において使用されるように、用語「およそ(approximately)」、「およそ(about)」、「実質的に(substantially)」、及び類似する用語は、本開示の主題が属する当業者による共通し且つ許容される語法と調和して広い意味を有するように意図される。本開示を検討する当業者は、これらの用語が、与えられた通りの数値範囲によってこれらの特徴の範囲を限定することなく説明され主張される一定の特徴を説明できるように意図されることを理解すべきである。従って、これらの用語は、説明され主張される主題の実質のない、又は瑣末な改変や変更が、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲の範囲内にあると考えられることを示すものとして解釈されるべきである。
【0047】
本明細書においてさまざまな実施形態を説明するのに使用されるように、用語「例示的な(exemplary)」は、このような実施形態が、可能な実施形態についての可能な例、表現、及び/又は例示であることを示すように意図される(且つ、このような用語は、このような実施形態が必然的に異例なものであり又は最上の例であることを内包するように意図されていない)ことに留意されたい。
【0048】
本明細書において使用されるように、用語「連結された(coupled)」、「連結された(connected)」等は、2つの部材を直接に、又は互いに対して間接的に接合することを意味している。このような接合は、動かない(例えば、永続する)、或いは、動かせる(例えば、移動できる又は解放できる)場合がある。このような接合は、2つの部材によって、又は2つの部材と互いに単一の本体部品として一体形に形成される任意の追加の中間部材とによって、或いは、2つの部材によって、又は2つの部材と互いに取り付けられる任意の追加の中間部材とによって実現され得る。
【0049】
本明細書において要素の位置の参照(例えば、「上部の(upper)」、「下部の(lower)」、「上に(above)」、「下に(below)」等)は、単に、図(FIGURES)においてさまざまな要素の方向付けを説明するのに使用されている。さまざまな要素の方向付けは、他の例示的な実施形態により異なる場合があり、このような変化は本開示によって包含されるように意図されることに留意されたい。
【0050】
手センサを有するステアリング・ホイールの構成及び配置、並びにさまざまな例示的な実施形態に示されるような運転者を監視する方法は、例示に過ぎないことに留意することが重要である。いくつかの実施形態だけが本開示で詳細に説明されたが、本開示を検討する当業者は、多くの改変(例えば、さまざまな要素のサイズ、寸法、構造、形状、及び割合、パラメータの値、取付け配置、材料の使用法、色、方向付け等の変化)が本明細書において説明された主題の新規な教示及び利点から著しく逸脱することなく可能であることを容易に理解するであろう。例えば、一体形に形成されるとして示される要素は、複数の部品や要素で構成されることができ、要素の位置は、逆にされ又は他の状態に変化されることができ、別々の要素の種類や数、又は位置は、変更され又は変化され得る。任意のプロセスや方法のステップの順序又はシーケンスは、他の実施形態により変化され又は再配列され得る。他の置換、改変、変化、及び省略が、本実施形態の範囲から逸脱することなくさまざまな例示的な実施形態の設計、運転状態、及び配置について行われ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のステアリング・ホイールであって、
ステアリング・ホイールに取り付けられるセンサ・アセンブリを備え、
センサ・アセンブリが、車両の運転者の生物学的パラメータを測定するように構成される電極を含むステアリング・ホイール。
【請求項2】
センサ・アセンブリが、ステアリング・ホイールのリムに取り付けられる、請求項1に記載のステアリング・アセンブリ。
【請求項3】
ステアリング・ホイール・カバーを更に備え、
ステアリング・ホイール・カバーの表面及び電極の表面は、ステアリング・ホイールが触覚的に滑らかな表面を有するように互いに実質的に同一平面にある、請求項1に記載のステアリング・アセンブリ。
【請求項4】
センサ・アセンブリが、運転者の心拍数を測定するように構成される、請求項1に記載のステアリング・アセンブリ。
【請求項5】
センサ・アセンブリが、運転者の皮膚キャパシタンスを測定するように構成される、請求項1に記載のステアリング・アセンブリ。
【請求項6】
センサ・アセンブリは、電極の表面が互いに接触していないように互いから分離される2つの電極を含む、請求項1に記載のステアリング・アセンブリ。
【請求項7】
運転者の皮膚温度を測定する温度センサを更に備える、請求項1に記載のステアリング・アセンブリ。
【請求項8】
ステアリング・ホイール用のセンサ・アセンブリであって、
車両の運転者の生物学的パラメータを測定するように構成される電極を備え、ステアリング・ホイールに取り付けられるように構成されるセンサ・アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−219084(P2011−219084A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−82148(P2011−82148)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(506166778)ティーケー ホールディングス,インコーポレーテッド (34)
【Fターム(参考)】