説明

手書き筆跡入力システム

【課題】 手書き筆跡入力システムに於いて、従来の、赤外線信号を変化させて識別用信号を送信する方法は、電子ペンの基本的構造及び機能の他に識別用信号を送信する為の何らかの処理を伴う為、電子ペンの電力の消費が大きくなってしまい、連続使用時間が短くなってしまうなどの欠点があった。
【解決手段】 手書き筆跡入力システムにおいては、電子ペンは余分な機能を備えることなく、なるべく少ない部品構成にし、電子ペン以外の部分に種々の機能を備えた方がよく、本発明は、電子ペンより発信され、受信で受信された超音波信号、つまり、1つの位置座標を生成する為に発信された超音波信号の少なくとも一部を用いることで、電子ペンの消費電力を増やすことなく、電子ペンを同定したり、識別したりすることを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも赤外線信号と超音波信号を発する電子ペンと、これらを受信し、到達時間差に基づいて電子ペンの位置座標を計算する手段とを備えた手書き筆跡入力システムであって、受信した超音波信号の少なくとも一部を用いて電子ペンを同定もしくは識別する機能を持つことを特徴とする手書き筆跡入力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤外線信号もしくは超音波信号を用いた電子ペンの位置検出技術が知られている。例えば、特開昭62−175821号公報(特許文献1参照)及び米国特許第4,814,552号明細書(特許文献2参照)などに、電子ペンから超音波信号、もしくは赤外線信号と超音波信号を発し、それらの信号を受信部で受信して、超音波信号の飛行時間を元に電子ペンの位置座標を計算する技術が開示されている。
【0003】
これらの位置検出技術を利用した手書き筆跡入力システムは、例えば以下のようなものである。筆記者は、電子ペンを用いて文字や図形を筆記する。このとき、電子ペンは例えばボールペンを内蔵し、紙のような被記録媒体を被筆記面として、被記録媒体上に筆跡が記録されるようにしてもよいし、電子ペンは例えばスタイラスを内蔵し、液晶ディスプレイの表面を含む任意の面を被筆記面としてもよい。少なくとも電子ペンのペン先が被筆記面と接触している間、電子ペンから赤外線信号と超音波信号が発信され、赤外線超音波測定部が電子ペンから発信された赤外線信号と超音波信号とを受信して、赤外線信号の到達時刻と超音波信号の到達時刻の差から超音波信号の飛行時間を測定し、座標演算部が超音波信号の飛行時間から電子ペンの位置座標データを演算する。
【0004】
位置座標データから筆跡データへの変換は、位置座標データに、筆記者が筆記した筆跡であることに由来する運筆データといった特徴を表現する情報を付加したり、それらの特徴に基づいて個別の位置座標データに修正を加えたりする処理を指し、例えば、以下のような処理のうちの任意のものを含む。位置座標データにそれを受信した時刻に関する情報を付加する。位置座標データの取得間隔に基づいて、筆記速度を計算したり、一連の位置座標の集合を、筆記された順序及び速度を情報として含む一つのストロークデータと識別したりする。一つのストロークデータを構成する連続する位置座標データを、滑らかな線を描くように修正する。また、ストロークデータの外接矩形の抽出及び統合や筆記位置の制限などの条件に基づいて、ストロークデータを、やはり筆記された順序などの情報を含む文字グループデータにグループ分けする、などである。
手書き筆跡入力システムによって入力された筆跡データは、例えば電子機器の画面上に表示されたり、文字識別処理などを通じてコードデータ化して利用されたり、筆跡形状、運筆速度、止め、はね、はらいといった筆記特性を含む筆記者の文字の特徴の抽出、署名認証などの任意の目的に使用されたりする。また、筆跡データをワープロなどで使う文字データに変換する文字識別変換ソフトと組み合わせて使用することで、文字データと同時に、自筆による文字、絵や記号なども容易に入力することができる入力手段として注目されている。
【0005】
電子ペンの基本的な構成は、赤外線発光素子により赤外線を発光させる赤外線発生回路、超音波発生素子により超音波を発振させる超音波発生回路、時間を計時するタイマ、これらを制御するCPU、このCPUのプログラムやその変数を記憶しているフラッシュメモリやRAM、筆記状態と非筆記状態に対応してオン・オフするペンスイッチ、及びこれらを含む電子ペン全体に電源を供給する電池から成る。
【0006】
電子ペン内は、超音波発生回路で、トランジスタをオンするとコイルに電源が供給されて、コイルで昇圧され、昇圧された電圧がコイルから超音波発生素子であるピエゾ素子に供給されるとピエゾ素子が振動して、超音波が生成され、位置座標特定の為の超音波信号として発信される。超音波信号が受信側の超音波受信部内のピエゾ素子に到達すると、受信側のピエゾ素子が振動して、超音波の受信波形が形成される。その後、受信された超音波の最短到達波、(以下、第1波とする)の到達時間に基づいて、電子ペンの位置座標データが特定される。
【0007】
次に一般的に受信側で電子ペンを識別する方法として、各電子ペンに予め異なった識別用信号を記憶させて、また、受信側でも予め任意の電子ペンの識別用信号の管理を行い、使用時には電子ペンが位置座標信号と同時に識別用信号も発信し、受信側は電子ペンの位置座標検出と同時に識別用信号の照合を行う事で、1つの手書き筆跡入力システムの計測領域内にある複数の電子ペンを識別することが考えられる。
【0008】
これを実現するには、何らかの電子ペンから発信する信号を用いて、電子ペンを識別することが必要になる。例えば下記特許文献3には電子ペンの筆圧情報を受信側に送信する手段として、赤外線信号を変化させて送信する方法が開示されている。筆圧情報と同様の手法を用いて、識別用信号を送信することで、受信側で電子ペンの識別を行うことが可能であると予想される。いずれにしても電子ペンから何らかの情報を発信し、受信側にて照合することが必要となる。
【0009】
【特許文献1】特開昭62−175821号公報
【特許文献2】米国特許第4,814,552号
【特許文献3】特開2004−310598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の赤外線信号を変化させて、識別用信号を送信する方法は、電子ペンの基本的構造及び機能の他に識別用信号を送信する為の何らかの処理を伴う為、電子ペンの電力の消費が大きくなってしまい、連続使用時間が短くなってしまうなどの欠点があった。また、識別できる個体数を増やしたい場合は、より多くの変化を赤外線信号に加える必要がある為、位置座標計測に影響を与えないように、識別用に変化させた信号と位置座標信号を正確に区別することが要求される。
本発明は上記の問題を解決する為になされたもので、より少ない消費電力で、識別を行うことによる位置座標の誤検出もなく、電子ペンを同定したり、識別したりすることができる手書き筆跡入力システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、少なくとも、赤外線信号と超音波信号を発信する電子ペンと、これらの信号を受信する受信部と、これらの赤外線信号と超音波信号の受信到達時間差に基づいて電子ペンの位置座標を計算する手段とを備えた手書き筆跡入力システムであって、電子ペンより発信された超音波信号の少なくとも一部を用いて、前記電子ペンを同定または識別する機能を持つことを特徴とする手書き筆跡入力システムを第1の要旨とし、少なくとも、赤外線発光素子を含む赤外線発生回路と、超音波発生素子を含む超音波発生回路と、これらの回路から発信する赤外線信号及び超音波信号を制御する制御手段と、被記録媒体上に直接軌跡を残すことが可能な機能を有する筆記部と、該筆記部が筆記状態であるか否かを判別するスイッチとから成る電子ペン、並びに少なくとも、一つ以上の赤外線受光部と、二つ以上の超音波受信部を有し、前記赤外線信号と前記超音波信号の前記赤外線受光部又は前記超音波受信部への到達時間差を計測する赤外線超音波測定部、並びに該赤外線超音波測定部から得られた到達時間差及び音速を用いて前記電子ペンと前記超音波受信部との間の距離を計算し、該距離を用いて前記電子ペンの位置座標データを計算する座標演算部、並びに前記電子ペンの位置座標データを筆跡データに変換する機能を有する変換処理部とから成り、前記電子ペンより発信され、前記受信部で受信された超音波信号の少なくとも一部を用いて、前記電子ペンを同定もしくは識別する機能を持つことを特徴とする手書き筆跡入力システムを第2の要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
電子ペンは書くという基本動作において、通常使用するペンと同等の大きさ、重さをしていることが理想的である。つまり、手書き筆跡入力システムにおいては、電子ペンは余分な機能を備えることなく、なるべく少ない部品構成にし、電子ペン以外の部分に種々の機能を備えた方がよい。
本発明は、電子ペンより発信され、受信で受信された超音波信号、つまり、1つの位置座標を生成する為に発信された超音波信号の少なくとも一部を用いることで、電子ペンの消費電力を増やすことなく、電子ペンを同定したり、識別したりすることを可能とした。
【0013】
本発明の手書き筆跡入力システムを使用することで、例えば入学試験などの試験場のように近くで同時に複数台使用する場合、つまり1つの手書き筆跡入力システムの計測領域内に複数の電子ペンが存在する場合は、座標演算部及び/又は変換処理部は任意の電子ペンが発信する位置座標信号を同定でき、他の電子ペンが発信する位置座標信号と混信を起こさずに、筆記者の文字を正確に入力することができるシステムを実現することができる。
また、本発明の手書き筆跡入力システムを使用することで、座標演算部及び/又は変換処理部は、複数の電子ペンの超音波信号を識別することができるので、複数の電子ペンをそれぞれ異なる電子ペンとして識別し、複数の電子ペンの筆跡データとして記録することができる。
【0014】
超音波受信部で計測された超音波信号は、その到達した瞬間の時間が位置座標の計算に使われており、到達した時間が分かれば、それ以外に超音波信号は利用されていない。つまり、電子ペンの同定もしくは識別に超音波信号を利用した本発明は、位置座標を計算した後の超音波信号を利用しているので、識別を行うことによる位置座標の誤検出は起こりにくい。
超音波信号を用いて、特定の電子ペンを同定したり、複数の電子ペンを識別したりする方法としては、種々のものが可能である。計測波形を整流し、平滑化した後、その包絡線の形状から同定または識別する方法は、計測波形をそのまま計測するよりも、計測する間隔を長くすることができ、計測量が少なくても照合できる。また、計測波形の繰り返し間隔から電子ペンを同定または識別する方法は、繰り返し間隔の時間を記憶するだけで、特別な計算処理をする必要がなく照合できる。これらの方法は、比較的容易に電子ペンの同定もしくは識別を行う事ができる。
また一般的に、ノイズは高い周波数成分に発生することが知られている。超音波受信部の計測波形をフーリエ変換することで、電子ペンを識別する際に照合する周波数帯をノイズが含まない周波数帯に設定することができるため、ノイズと電子ペンから発信された超音波信号とを分離し、識別精度を上げることができる。
【0015】
電子ペンの超音波発生回路を制御する制御手段を変更することで、超音波の波形に変化を加える事ができる。つまり、電子ペンに筆記者が任意に波形を変化できる切り換え機能を設け、また、予め受信側に計測波形に対応した筆跡データの変換方法を記憶することで、筆記者が1本の電子ペンで例えば筆跡データの色を変えたり、線の太さを変えるなどの筆記具としての機能を選択する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
超音波信号の少なくとも一部を用いて複数の電子ペンの同定もしくは識別のための手法については、使用される超音波発生素子の周波数帯やその制御方法に応じて適宜選択可能であり、同定や識別の方法についても、手書き筆跡入力システムの構成、性能、及び機能に応じて、識別精度のレベルを適宜選択することが可能であり、以下の段落に示すような方法が挙げられる。また、本発明に係る電子ペンの同定もしくは識別方法は、それぞれ個別に使用してもかまわないし、または組み合わせることで、例えば波形の形状と整流し平滑後の包絡線の形状の2通りで同時に識別したり、従来知られている他の電子ペンから別途に識別用信号を発信させて識別する方法などの識別方法と組み合わせることによって、より識別精度を向上させたり、識別できる内容を多様化させたりすることも可能である。
【0017】
特定の電子ペンを同定したり、複数の電子ペンを個々の電子ペンとして識別したりするための第1の方法として、座標演算部及び/又は変換処理部で受信された超音波信号の計測波形の形状を計測し、それを予め受信側に記憶させた識別対象の形状と照合する、といった方法が考えられる。
電子ペンの超音波発生素子であるピエゾ素子やコイルといった回路要素のバラツキや取り付け方、歪みなどが、電子ペンごとに異なった波形の超音波信号を発生させ、超音波受信部において電子ペンごとに異なった波形として計測される。この波形の形状から、電子ペンを同定したり識別したりすることができる。
【0018】
電子ペンを同定したり識別したりするには、例えば、電源投入後に初めて受信した電子ペンの超音波信号の計測波形、または筆記状態になって最初に受信した電子ペンの超音波信号の計測波形を座標演算部及び/又は変換処理部等に記憶させておいて、次に受信した超音波信号の計測波形を記憶させておいた値と照合を行えばよい。
電子ペンの超音波信号の計測波形を座標演算部及び/又は変換処理部等に記憶させるには、例えば座標演算部及び/又は変換処理部に波形登録用のボタンを設け、該ボタンが押下されている間に受信した超音波信号の計測波形を記憶させるようにしてもよい。
【0019】
また、照合する部分は超音波信号の計測波形の全体でも良いし、任意の部分を選択することもできる。例えば第1波を正確に受信する為に、超音波受信部で信号増幅処理が行われていて、最初の数波長分の信号が識別に使えない場合や、第1波の到達時刻の検出に伴う超音波の飛行時間の計算処理などにより他の処理ができない場合などは、第1波から数波長分経過した時刻から波形の計測を始め、その結果を照合に用いてもよい。また、計測は、少なくとも電子ペンから次の赤外線もしくは超音波が発信されるよりも以前に終了させる。例えば入力領域が略A4サイズで、超音波の周波数が80kHz付近であり、電子ペンが赤外線と超音波を100回/秒発信する場合には、発信の間隔は10m秒であり、超音波の最長飛行時間は約1m秒であって、計測期間としては少なくとも数m秒を使用できることになり、一方で超音波の周期は計算上では約12.5μ秒であるから、照合するのに十分な量の情報を得ることができる。
【0020】
超音波信号の波形の大きさは、電子ペンの電池電圧が低下すると小さくなったり、また電子ペンと受信部の距離が近いと大きく、遠いと小さくなったりと、全体的に変化する。このため、計測した波形と記憶した波形との照合は、前以て両者の波形をその最大値で正規化するなどの手法によって、波形全体の大きさの差異が問題とならないようにした上で行う。電子ペンより発信される超音波の周波数は、20kHzから100MHz程度の範囲から、入力領域の大きさや分解能に応じて適宜選択されるが、特に個々の波形を計測する場合は、計測間隔を短くし、正確に超音波の波形の形状を計測する必要があり、超音波信号としては100kHz程度以下の周波数を選択するのが好ましい。
【0021】
電子ペンの同定または識別の判断は、座標演算部で行ってもよいし、超音波信号の計測値を外部の変換処理部に送信し、変換処理部上で行ってもよい。前者の場合、識別対象の電子ペンの位置座標データのみを外部に送信することができる。後者の場合、電子ペンの識別は変換処理部が行い、変換処理部が識別対象以外の電子ペンの位置座標データを廃棄するなどする。計算負荷を座標演算部に負わせないので、処理が遅くなったり、座標演算部に高価なCPUを選択しなければならないなどの問題は発生しない。
【0022】
ここで、図1は、受信した超音波信号の計測波形の概念図である。
図1は計測波形であり、xは照合に用いる部分の波形の計測時間である。計測開始時間a、計測終了時間bは任意に設定してよい。このとき計測時間xの期間が短いときは、照合する情報量が少なくなる為、同定または識別精度が悪くなる。
【0023】
特定の電子ペンを同定したり、複数の電子ペンを個々の電子ペンとして識別したりするための第2の方法として、超音波信号の波形を整流し平滑化することによって包絡線を求め、その包絡線を計測して照合する、といった方法が考えられる。
超音波信号の計測波形の整流を行うと、図2の(a)のような波形に変換される。ここでは、全波整流を行ったが半波整流を行っても良い。この波形を平滑化することで、図2の(b)のような、より直線的な波形に変換される。
本方法は、第1の方法に比べて、形状の変化が遅い為、超音波の計測間隔を短くする必要が無く、超音波信号としては1MHz以下程度の周波数まで選択できるという特徴がある。同定または識別対象の電子ペンを受信側に記憶させる方法や、照合方法については、第1の方法において説明したものを応用可能である。
【0024】
特定の電子ペンを同定したり、複数の電子ペンを個々の電子ペンとして識別したりするための第3の方法として、超音波受信部の計測波形の繰り返し間隔を用いる方法が考えられる。繰り返し間隔とは、図3で示しているような、超音波受信部での計測波形のうち、a1、a2、a3、a4、a5、b1、b2、b3、c1、c2等で表される様な、任意の所定の間隔であり、同定や識別にはこれらの1つ又は複数の間隔を用いることが出来る。また、これらの複数の間隔の平均値などを用いて、異なる電子ペンを同定したり識別したりすることも可能である。電子ペンの超音波発生素子であるピエゾ素子やコイルといった回路要素のバラツキや取り付け方、歪みなどが電子ペン毎に異なったa1、a2、a3等の繰り返し間隔になる。したがって、超音波受信部の計測波形の繰り返し間隔を計測することによって、電子ペンを同定したり識別したりすることができる。
【0025】
繰り返し間隔を計測する方法として、例えば超音波信号が超音波を受信していないときの中心電圧、例えば0Vを交叉する時間を測定するゼロクロス検出回路を用いたり、計測波形のピークからピークまでの時間を計測したりするとよい。図4はゼロクロス検出手段を使い、その計測値をグラフ化した概念図である。横軸はゼロクロスとなる間隔を現し、縦軸はゼロクロスした経過時間を現している。グラフのTはt1からt7までの平均を表している。つまり、t1からt7の時間で照合してもよいし、Tの値で照合してもよい。
座標演算部及び/又は変換処理部には、予め、識別対象の電子ペンの繰り返し間隔の時間を計測して記憶させておく。同定または識別対象の電子ペンを座標演算部及び/又は変換処理部に記憶させる方法や、照合方法については、第1の方法において説明したものを応用可能である。
【0026】
特定の電子ペンを同定したり、複数の電子ペンを個々の電子ペンとして識別したりするための第4の方法として、座標演算部及び/又は変換処理部で超音波信号の少なくとも一部をフーリエ変換処理した結果を用いる方法が考えられる。
電子ペンの超音波発生素子であるピエゾ素子やコイルといった回路要素のバラツキや取り付け方、歪みなどが電子ペンごとに異なった超音波信号の強度の周波数分布や位相などになる。これにより、電子ペンを同定したり識別したりすることができる。電子ペンの超音波信号の計測波形等をフーリエ変換して得られた値としては、例えばパワースペクトルを用いることができる。パワースペクトルとはフーリエ変換した値の絶対値を二乗することで、得られる信号の強さの周波数分布を指す。図5は超音波信号の計測波形をフーリエ変換した結果、得られたパワースペクトルをグラフ化した概念図である。横軸は周波数を表し、縦軸は信号の強度を表している。強度とは、各々の周波数成分がどの程度含まれているかという相対的な値である。パワースペクトル以外にも、位相に関する情報を用いてもよいし、パワースペクトルと位相の情報を組み合わせればより識別精度が上がる。同定または識別対象の電子ペンを受信側に記憶させる方法や、照合方法については、第1の方法において説明したものを応用可能である。
【0027】
また、座標演算部及び/又は変換処理部に記憶させておいた識別対象の電子ペンのパワースペクトルから、特徴的なピークが現れている周波数を少なくとも一つ、好ましくは数個選択しておき、受信した超音波信号が同じ周波数にピークを持つかどうかを調べることによって照合してもよく、その際、例えば値の大きい方から5つの周波数を選択したり、ピークの大きさなどから照合するとよい。フーリエ変換及び電子ペンの識別は、座標演算部で行ってもよいし、超音波信号の計測値を外部の変換処理部に送信し、変換処理部上で行ってもよい。
【0028】
特定の電子ペンを同定したり、複数の電子ペンを個々の電子ペンとして識別したりするための第5の方法として、電子ペンの超音波信号を制御する制御手段によって変化された超音波信号を座標演算部及び/又は変換処理部で認識し、電子ペンを同定または識別するといった方法が考えられる。超音波信号の波形を変化させるには、例えば、電子ペンの超音波発生回路内のコイルをピエゾ素子に接続したり切断したりするスイッチを設け、コイルで昇圧された電圧をピエゾ素子に供給して少なくとも第1波を生成した後、前記スイッチを切断したり接続したりする。
受信側は、例えば、波形の振幅が所定の閾値よりも大きい、もしくは相対的に大きい領域をオン状態、それ以外の領域をオフ状態と認識する。これにより、電子ペンの識別用の情報を2進数に変換して、その2進数情報を、超音波信号の波形にオンとオフを組み合わせることによって表現し、受信側がオンとオフの組み合わせを認識して、識別用の情報をデコードするようなデジタル通信の手法を採用することが出来るため、個々の電子ペンの識別精度を格段に高めることが出来る。また、オン及び/又はオフの時間を何段階かに変化させた上で組み合わせることにより、同様の効果が得られる。
【0029】
本方法においては、電子ペンに予め識別用の情報を設定する。例えば、製造時にシリアル番号をオンとオフの長さに変換して記憶させてもよいし、電子ペンと受信側に、相互のデジタル通信によって電子ペンに任意の番号を設定できる機能を持たせるようにしてもよいし、電子ペンにスイッチやダイアルを設けていくつかの組み合わせの中から選択できるようにしてもよい。一方、受信側に識別対象の電子ペンの識別用の情報を記憶させるには、第1の方法において説明したものを応用可能であるし、受信側が電子ペンに番号を設定できるようにした場合はその番号を用いればよく、電子ペンにスイッチやダイアルを設けた場合は、受信側に同様のスイッチやダイアルを設けるようにしてもよい。
【実施例】
【0030】
以下の実施例においては、電子ペンAは、図6(a)に示す波形の超音波信号を発信し、超音波受信部で図6(b)に示す波形が計測される。同様に電子ペンBは、図7(a)に示す波形の超音波信号を発信し、超音波受信部で図7(b)に示す波形が計測され、電子ペンCは、図8(a)に示す波形の超音波信号を発信し、超音波受信部で図8(b)に示す波形が計測される。
電子ペンの超音波発生回路は、80kHzで超音波信号を発信する構成になっているが、超音波発生素子であるピエゾフィルムや超音波発生回路のコイルなどの個体差、及びピエゾフィルムの組み付け方によって、それぞれの電子ペンが僅かに異なる超音波信号を発信する。
【0031】
(実施例1)
以下、実施例及び比較例により、本発明を説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものでなく、本発明の技術範囲において、種々の変形例を含むものである。
図面を参照して説明する。図9は本発明の電子ペン1と受信機2からなる手書き筆跡入力システムを示す斜視図である。また、図10は電子ペン1の内部のブロック図である。
電子ペン1には、ペン先筆記部3が被記録媒体4に接触しながら文字や図を描いたときの筆記状態と非筆記状態に対応してオン・オフするスイッチ5が載置されている。スイッチ5がオンになれば、電子ペン内の赤外線発生回路9と超音波発生回路10を制御する制御手段8に電源が供給され、赤外線信号と超音波信号が発信される。発信された赤外線信号と超音波信号は受信機2で受信され、到達時間差を利用して、電子ペン1の位置を計測する。
受信機2は、電源ボタン6、波形登録用ボタン7が載置されており、受信機2の内部構成は、一つ以上の赤外線受光部と、二つ以上の超音波受信部を有し、前記赤外線信号と前記超音波信号の前記赤外線受光部又は前記超音波受信部への到達時間差を計測する赤外線超音波測定部、並びに該赤外線超音波測定部から得られた到達時間差及び音速を用いて前記電子ペンと前記超音波受信部との間の距離を計算し、該距離を用いて前記電子ペンの位置座標データを計算する座標演算部、並びに前記電子ペンの位置座標データを筆跡データに変換する機能を有する変換処理部とから成る。但し、電子ペンの位置座標データを筆跡データに変換する機能を有する変換処理部は、この受信機の構成部分であっても良いし、別途ホストコンピュータにあっても良い。
【0032】
ここで、電子ペン1の赤外線発生回路9は、トランジスタと抵抗と赤外線LEDから構成されている(図示せず)。赤外線を発信させるときには、制御手段8より信号発信の命令がきたら、赤外線発生回路9の内部のトランジスタを介して増幅し、赤外線LEDを駆動する、赤外線を発信する。トランジスタの代わりにFETを使用することも可能である。
また、図11に示す電子ペン1の超音波発生回路10は、コイル12、昇圧用トランジスタ13、ダイオード14、抵抗12、15、16及び超音波発生素子であるピエゾ素子11から構成されている。制御手段4より信号発信の命令がきたら、超音波を発生させるために2つの工程が行われる。第1の工程は、超音波発生回路10の内部の昇圧用トランジスタ13をオンにし、コイル12を昇圧させる工程である。第2の工程は、第1の工程の超音波発生回路10の内部の昇圧用トランジスタ13をオフにし、コイル12に逆起電力を発生させ、この逆起電力によって、コイル12とピエゾ素子11に自己発振を起こし、ピエゾ素子11より超音波信号を発信させる工程である。上記2工程を実施して超音波を発信する。
【0033】
受信機2の内部のブロック図12について説明する。
受信機2は、CPU102、タイマ103、フラッシュメモリ104、RAM105から成る座標演算部101と、赤外線受信部109、超音波受信部110、超音波受信部111、ADC106、ADC107、ADC108から成る赤外線超音波測定部116と、CPU113、RAM114からなる変換処理部112を搭載している。
受信機2は、波形登録用ボタン7を押している期間の最初に受信した10個の計測波形を先頭から約250μ秒の間だけ、100Mサンプル/秒でサンプリングする。次にサンプリングした10個の計測波形を平均した波形を同定すべき電子ペンのものとし、受信機2のフラッシュメモリ104に記憶させる。このとき最大電圧は電子ペンと受信機2の距離によって変化するため、計測波形の最大電圧で正規化して保存する。10個の計測波形のばらつきが大きい場合には、筆記をやり直させるようにする。この際にエラーランプ等を点灯させても良い。
【0034】
次に、筆記時の受信機2の動作を説明する。赤外線受信部109は、赤外線を受信し、ADC106に出力する。また、超音波受信部110は、超音波を受信し、ADC107に出力する。同様に、超音波受信部111は、超音波を受信し、ADC108に出力する。CPU102は、電子ペン1からの赤外線信号を赤外線受信部109を介してADC106にて計測し、特定の閾値以上の信号を受信したときには、タイマ103より現在の時間を読み込み、この時間を赤外線の到達時間としてRAM105に保存し、その後、電子ペンからの超音波信号を2箇所の超音波受信部110、111を介して、ADC107、108にて超音波の波形を計測し、特定の閾値以上の信号を受信したときには、タイマ103より現在の時間を読み込み、この時間を超音波の到達時間としてRAM105に保存する。CPU102は、これによりRAM105に保存している2箇所の超音波受信部110、111における超音波の到達時間と、赤外線受光部109における赤外線の到達時間の到達時間差を計測する。そして、2つの到達時間差と超音波受信部110、111間の距離によって、電子ペン1の位置座標を計算する。
また、CPU102は超音波受信部110の超音波の到達後、ADC107の出力を計測波形の先頭から約250μ秒の間だけ1Mサンプル/秒で計測波形をサンプリングし、RAM105に保存する。このとき計測波形は最大電圧で正規化して保存する。次にこの正規化された計測波形の最大振幅の位置を、受信機のフラッシュメモリ104に記憶している計測波形と合わせてから、両者の差分を計算し、所定の誤差内で一致すれば、その超音波信号を同定すべきペンから発信された超音波信号であるとして有効な信号とし、一致しない場合は、その超音波信号を同定すべきペンから発信された超音波信号ではないとして排除する。
【0035】
上記構成を用い、次のような試験を行った。予め受信機2に電子ペンAを記憶した。次に、電子ペンAを使用して連続筆記を行った。電子ペンAの筆記中に10cm程度離れた所で同時に、電子ペンBを筆記し両電子ペンから超音波信号を発信させた。このようにした結果、受信機は電子ペンAから発信された超音波信号を同定することができ、混信を起こさずに電子ペンAのみの描いた筆跡を記録することができた。
【0036】
(実施例2)
手書き筆跡入力システムや電子ペン1、受信機2は、実施例1と同じとする。
受信機2には、電子ペンA、電子ペンB及び電子ペンCを記憶させる。記憶方法は、波形登録用ボタン7を押している期間の最初に受信した10個の計測波形を先頭から31.25μ秒後から約200μ秒の間だけ、100Mサンプル/秒でサンプリングする。次にサンプリングした10個の計測波形を平均した波形を識別すべき電子ペンのものとし、受信機2のフラッシュメモリ104に記憶させる。このとき計測波形を最大電圧で正規化して保存する。
次に、電子ペンAを使用して連続筆記を行った。電子ペンAの筆記中に、10cm程度離れた所で同時に、電子ペンB及び電子ペンCを筆記し、これらの電子ペンから超音波信号を発信させた。受信機2のCPU102は超音波受信部110の超音波の到達後、ADC107の出力を計測波形の先頭から31.25μ秒後から約200μ秒の間だけ、100Mサンプル/秒で計測波形をサンプリングし、RAM105に保存する。このとき計測波形は最大電圧で正規化して保存する。次にこの正規化された計測波形の最大振幅の位置を、受信機のフラッシュメモリ104に記憶している計測波形と合わせてから、両者の差分を計算し、所定の誤差内で一致すれば、その超音波信号をそれぞれの電子ペンから発信された超音波信号であると識別してそれぞれの電子ペンに対応する位置座標データとする。
このようにした結果、受信機は、電子ペンA、電子ペンB及び電子ペンCから発信された超音波信号を識別することができ、電子ペンA、電子ペンB及び電子ペンCの描いたそれぞれの筆跡を記録することができた。
【0037】
(実施例3)
手書き筆跡入力システムや電子ペン1は、実施例1と同じとする。
受信機2は、図13に示す様にCPU202、タイマ203、フラッシュメモリ204、RAM205、整流平滑化回路215から成る座標演算部201と、赤外線受信部209、超音波受信部210、超音波受信部211、ADC206、ADC207、ADC208、から成る赤外線超音波測定部216と、CPU213、RAM214からなる変換処理部212を搭載している。
受信機2は、波形登録用ボタン7を押している期間の最初に受信した10個の計測波形を整流平滑化回路215を用いて整流し、平滑化する。平滑化した後の包絡線を先頭から約250μ秒の間だけ、100Kサンプル/秒でサンプリングする。次にサンプリングした10個の包絡線を平均した波形を識別すべき電子ペンのものとし、受信機2のフラッシュメモリ204に記憶させる。このとき最大電圧は電子ペンと受信機2の距離によって変化するため、包絡線の最大電圧で正規化して保存する。10個の計測波形のばらつきが大きい場合には、筆記をやり直させるようにする。この際にエラーランプ等を点灯させても良い。波形登録用ボタン7を押すたびに、異なる電子ペンから超音波信号を発信させることで、それぞれ識別したい複数の電子ペンを記録することができる。
【0038】
次に、筆記時の受信機2の動作を説明する。赤外線受光部209は、赤外線を受信し、ADC206に出力する。また、超音波受信部210は、超音波を受信し、ADC207に出力する。同様に、超音波受信部211は、超音波を受信し、ADC208に出力する。CPU202は、電子ペン1からの赤外線信号を赤外線受信部209を介してADC206にて計測し、特定の閾値以上の信号を受信したときには、タイマ203より現在の時間を読み込み、この時間を赤外線の到達時間としてRAM205に保存し、その後、電子ペンからの超音波信号を2箇所の超音波受信部210、211を介して、ADC207、208にて超音波の波形を計測し、特定の閾値以上の信号を受信したときには、タイマ203より現在の時間を読み込み、この時間を超音波の到達時間としてRAM205に保存する。CPU202は、これによりRAM205に保存している2箇所の超音波受信部210、211における超音波の到達時間と、赤外線受光部209における赤外線の到達時間の到達時間差を計測する。そして、2つの到達時間差と超音波受信部210、211間の距離によって、電子ペン1の位置座標を計算する。
また、CPU202は超音波受信部210の超音波の到達後、ADC207の出力を整流平滑化回路215を用い、整流及び平滑化した後の包絡線を求め、先頭から約250μ秒の間だけ100Kサンプル/秒で包絡線をサンプリングし、RAM205に保存する。このとき包絡線の最大電圧で正規化して保存する。次にこの正規化された包絡線の最大振幅の位置を、受信機のフラッシュメモリ204に記憶している包絡線と合わせてから、両者の差分を計算し、フラッシュメモリ204に予め記憶している電子ペンの超音波信号の包絡線と所定の誤差内で一致すれば、その超音波信号を、それぞれの電子ペンから発信された超音波信号であると識別してそれぞれの電子ペンに対応する位置座標データとする。
【0039】
上記構成を用い、次のような試験を行った。予め受信機2に電子ペンAと電子ペンBを記憶した。次に、電子ペンAを使用して連続筆記を行った。電子ペンAの筆記中に、10cm程度離れた所で同時に、電子ペンBを筆記し、両電子ペンから超音波信号を発信させた。このようにした結果、受信機は、電子ペンA及び電子ペンBから発信された超音波信号を識別することができ、電子ペンA及び電子ペンBの描いたそれぞれの筆跡を記録することができた。
【0040】
(実施例4)
手書き筆跡入力システムや電子ペン1、受信機2は、実施例3と同じとする。
受信機2には、電子ペンA、電子ペンB及び電子ペンCを記憶させる。記憶方法は、波形登録用ボタン7を押している期間の最初に受信した10個の計測波形を整流平滑化回路215を用いて整流し、平滑化する。平滑化した後の包絡線の先頭から31.25μ秒後から約200μ秒の間だけ、100Kサンプル/秒でサンプリングする。次にサンプリングした10個の包絡線を平均した波形を識別すべき電子ペンのものとし、受信機2のフラッシュメモリ204に記憶させる。このとき包絡線の計測値を最大電圧で正規化して保存する。
【0041】
次に、電子ペンAを使用して連続筆記を行った。電子ペンAの筆記中に、10cm程度離れた所で同時に、電子ペンB及び電子ペンCを筆記し、これらの電子ペンから超音波信号を発信させた。受信機2のCPU202は超音波受信部210の超音波の到達後、ADC207の出力を整流平滑化回路215を用い、整流及び平滑化した後の包絡線を求め、先頭から31.25μ秒後から約200μ秒の間だけ、100Kサンプル/秒で包絡線をサンプリングし、RAM205に保存する。このとき包絡線の計測値を最大電圧で正規化して保存する。次にこの正規化された包絡線の最大振幅の位置を、受信機のフラッシュメモリ204に記憶している包絡線と合わせてから、両者の差分を計算し、フラッシュメモリ204に予め記憶している電子ペンの超音波信号の包絡線と所定の誤差内で一致すれば、その超音波信号を、それぞれの電子ペンから発信された超音波信号であると識別してそれぞれの電子ペンに対応する位置座標データとする。
このようにした結果、受信機は、電子ペンA、電子ペンB及び電子ペンCから発信された超音波信号を識別することができ、電子ペンA、電子ペンB及び電子ペンCの描いたそれぞれの筆跡を記録することができた。
【0042】
(実施例5)
手書き筆跡入力システムや電子ペン1は、実施例1と同じとする。
受信機2は、図14に示す様にCPU302、タイマ303、フラッシュメモリ304、RAM305、ゼロクロス検出手段315から成る座標演算部301と、赤外線受信部309、超音波受信部310、超音波受信部311、ADC306、ADC307、ADC308、から成る赤外線超音波測定部316と、CPU313、RAM314からなる変換処理部312を搭載している。
受信機2は、波形登録用ボタン7を押している期間の最初に受信した10個の計測波形をゼロクロス検出手段315を用いて計測し、繰返し間隔を最初から5箇所をサンプリングする。次にサンプリングした10個の計測波形の繰返し間隔を平均した間隔を、識別すべき電子ペンのものとし、受信機2のフラッシュメモリ304に記憶させる。10個の計測波形のばらつきが大きい場合には、筆記をやり直させるようにする。この際にエラーランプ等を点灯させても良い。波形登録用ボタン7を押すたびに、異なる電子ペンから超音波信号を発信させることで、それぞれ識別したい複数の電子ペンを記憶することができる。
【0043】
次に、筆記時の受信機2の動作を説明する。赤外線受光部309は赤外線を受信してADC306に出力する。また、超音波受信部310は、超音波を受信して出力する。同様に、超音波受信部311は、超音波を受信してADC308に出力する。CPU302は、電子ペン1からの赤外線信号を赤外線受信部309を介してADC306にて計測し、特定の閾値以上の信号を受信したときには、タイマ303より現在の時間を読み込み、この時間を赤外線の到達時間としてRAM305に保存し、その後、電子ペンからの超音波信号を2箇所の超音波受信部310、311を介して、ADC307、308にて超音波の波形を計測し、特定の閾値以上の信号を受信したときには、タイマ303より現在の時間を読み込み、この時間を超音波の到達時間としてRAM305に保存する。CPU302は、これによりRAM305に保存している2箇所の超音波受信部310、311における超音波の到達時間と、赤外線受光部309における赤外線の到達時間の到達時間差を計測する。そして、2つの到達時間差と超音波受信部310、311間の距離によって、電子ペン1の位置座標を計算する。
また、CPU202は超音波受信部210の超音波の到達後、ADC207の出力をゼロクロス検出手段315を用い、超音波受信部310に到達した超音波信号が超音波を受信していないときの信号レベルに交叉する時間の計測を行い、繰返し間隔を最初から5箇所計測しRAM305に保存する。使用している電子ペン1を、フラッシュメモリ304に予め記憶している電子ペン1の超音波信号の繰り返し間隔と所定の誤差内で一致すれば、その超音波信号を、それぞれの電子ペンから発信された超音波信号であると識別してそれぞれの電子ペンに対応する位置座標データとする。
【0044】
上記構成を用い、次のような試験を行った。予め受信機2には電源投入時に電子ペンA、電子ペンB及び電子ペンCを記憶した。次に、電子ペンAを使用して連続筆記を行った。電子ペンAの筆記中に10cm程度離れた所で同時に、電子ペンB及び電子ペンCを筆記し、これらの電子ペンから超音波信号を発信させた。このようにした結果、受信機は電子ペンA、電子ペンB及び電子ペンCから発信された超音波信号を識別することができ、電子ペンA、電子ペンB及び電子ペンCの描いたそれぞれの筆跡を記録することができた。
【0045】
(実施例6)
手書き筆跡入力システムや電子ペン1は、実施例1と同じとする。
受信機2は、図15に示す様にCPU402、タイマ403、フラッシュメモリ404、RAM405から成る座標演算部401と赤外線受信部409、超音波受信部410、超音波受信部411、ADC406、ADC407、ADC408から成る赤外線超音波測定部416とCPU413、RAM414からなる変換処理部412を搭載している。
受信機2は、波形登録用ボタン7を押している期間の最初に受信した10個の計測波形を先頭から約250μ秒の部分をフーリエ変換して、計算したパワースペクトルの大きい3つのピークの周波数をサンプリングする。次にサンプリングした10個の計測波形の3つのピークの周波数を平均した値を同定すべき電子ペンのものとし、受信機2のフラッシュメモリ404に記憶させる。10個の計測波形のばらつきが大きい場合には、筆記をやり直させるようにする。この際にエラーランプ等を点灯させても良い。
【0046】
次に、筆記時の受信機2の動作を説明する。赤外線受信部409は、赤外線を受信し、ADC406に出力する。また、超音波受信部410は、超音波を受信し、ADC407に出力する。同様に、超音波受信部411は、超音波を受信し、ADC408に出力する。CPU402は、電子ペン1からの赤外線信号を赤外線受信部409を介してADC406にて計測し、特定の閾値以上の信号を受信したときには、タイマ403より現在の時間を読み込み、この時間を赤外線の到達時間としてRAM405に保存し、その後、電子ペンからの超音波信号を2箇所の超音波受信部410、411を介して、ADC407、408にて超音波の波形を計測し、特定の閾値以上の信号を受信したときには、タイマ403より現在の時間を読み込み、この時間を超音波の到達時間としてRAM405に保存する。CPU402は、これによりRAM405に保存している2箇所の超音波受信部410、411における超音波の到達時間と、赤外線受光部409における赤外線の到達時間の到達時間差を計測する。そして、2つの到達時間差と超音波受信部410、411間の距離によって、電子ペン1の位置座標を計算する。
また、CPU402は超音波受信部410の超音波の到達後、ADC407の出力を計測波形の先頭から約250μ秒の間だけ、1Mサンプル/秒で計測波形をサンプリングし、サンプリングした計測波形をフーリエ変換する。そしてフーリエ変換した結果からパワースペクトルを求め、数値が最も大きいものから3つピークを探索し、その結果をRAM405に保存する。使用している電子ペン1の3つのピークの周波数が、フラッシュメモリ104に記憶させたものと所定の誤差内で一致すれば、その超音波信号を、電子ペンAから発信された超音波信号であるとして有効な信号とし、一致しない場合は、その超音波信号を、電子ペンAから発信された超音波信号ではないとして排除する。
【0047】
上記構成を用い、次のような試験を行った。予め受信機2に電子ペンAを記憶した。次に、電子ペンAを使用して連続筆記を行った。電子ペンAの筆記中に10cm程度離れた所で同時に、電子ペンBを筆記し、両電子ペンから超音波信号を発信させた。このようにした結果、受信機は、電子ペンAから発信された超音波信号を同定することができ、混信を起こさずに電子ペンAのみの描いた筆跡を記録することができた。
【0048】
(実施例7)
図面を参照して説明する。図16は本発明のスタイラス20を内蔵した電子ペン17と受信機18、ディスプレイ19からなる手書き筆跡入力システムを示す斜視図である。電子ペン17には、スタイラス20がディスプレイ19に接触しながら文字や図を描いたとき、筆記状態と非筆記状態に対応してオン・オフするスイッチ21が載置されている。スイッチ21がオンになれば、電子ペン内の赤外線発生回路5と超音波発生回路6を制御する制御手段4に電源が供給され、赤外線信号と超音波信号が発信される。発信された赤外線信号と超音波信号は受信機18で受信され、到達時間差を利用して、電子ペン17の位置を計測して、ディスプレイ19上に筆跡データを表示する。
電子ペン17、受信部18の構成は、実施例4の電子ペン1、受信部2と同じとする。
予め受信機18には電子ペンAと電子ペンBを登録した。次に、電子ペンAを使用して連続筆記を行った。電子ペンAの筆記中に10cm程度離れた所で同時に、電子ペンBを筆記し、両電子ペンから超音波信号を発信させた。このようにした結果、受信機18は、電子ペンA及び電子ペンBから発信された超音波信号を識別することができ、電子ペンA及び電子ペンBの描いたそれぞれの筆跡をディスプレイ上に表示することができた。
【0049】
(実施例8)
手書き筆跡入力システムや電子ペン1は、実施例1と同じとする。
ただし、電子ペン1の超音波発信回路10の制御手段8には、超音波を発振させる第1の工程と第2の工程の後に、再び第1の工程と第2の工程を繰り返すことによって、超音波信号を変化させることができ、電子ペンの識別情報を発信させる。
本実施例では、電子ペンD、電子ペンE、電子ペンFを使用する。電子ペンDは図17(a)のように2度目の第1の工程と第2の工程の期間がdになるようなシーケンスで昇圧トランジスタ13を制御しており、図17(b)のような超音波を発信する。同様に電子ペンEは図18(a)のように2度目の第1の工程と第2の工程の期間がeになるようなシーケンスで昇圧トランジスタ13を制御しており、図18(b)のような超音波を発信する。同様に電子ペンFは図19(a)のように2度目の第1の工程と第2の工程の期間がfになるようなシーケンスで昇圧トランジスタ13を制御しており、図19(b)のような超音波を発信する。
【0050】
本実施例における受信機2の内部ブロック図を図20に示す。
受信機2は、CPU502、タイマ503、フラッシュメモリ504、RAM505から成る座標演算部501と、赤外線受信部509、超音波受信部510、超音波受信部511、ADC506、ADC507、ADC508から成る赤外線超音波測定部516と、CPU513、RAM514からなる変換処理部512を搭載している。
受信機2は、波形登録用ボタン7を押している期間の最初に受信した10個の計測波形の振幅が所定の閾値よりも大きい領域をオン状態、それ以外の領域をオフ状態と認識し、オンとオフの組み合わせをサンプリングする。次にサンプリングした10個の組み合わせ信号を平均した組み合わせ信号を識別すべき電子ペンのものとし、受信機2のフラッシュメモリ504に記憶させる。10個の計測波形のばらつきが大きい場合には、筆記をやり直させるようにする。この際にエラーランプ等を点灯させても良い。波形登録用ボタン7を押すたびに、異なる電子ペンから超音波信号を発信させることで、それぞれ識別したい複数の電子ペンを記憶することができる。
【0051】
次に、筆記時の受信機2の動作を説明する。赤外線受信部509は、赤外線を受信し、ADC506に出力する。また、超音波受信部510は、超音波を受信し、ADC507に出力する。同様に、超音波受信部511は、超音波を受信し、ADC508に出力する。CPU502は、電子ペン1からの赤外線信号を赤外線受信部509を介してADC506にて計測し、特定の閾値以上の信号を受信したときには、タイマ503より現在の時間を読み込み、この時間を赤外線の到達時間としてRAM505に保存し、その後、電子ペンからの超音波信号を2箇所の超音波受信部510、511を介して、ADC507、508にて超音波の波形を計測し、特定の閾値以上の信号を受信したときには、タイマ503より現在の時間を読み込み、この時間を超音波の到達時間としてRAM505に保存する。CPU502は、これによりRAM505に保存している2箇所の超音波受信部510、511における超音波の到達時間と、赤外線受光部509における赤外線の到達時間の到達時間差を計測する。そして、2つの到達時間差と超音波受信部510、511間の距離によって、電子ペン1の位置座標を計算する。
また、CPU502は超音波受信部510の超音波の到達後、ADC507の出力を、波形の振幅が所定の閾値よりも大きい領域をオン状態、それ以外の領域をオフ状態と認識し、オンとオフの組み合わせをRAM505に保存する。次にこのオンとオフの組み合わせを、受信機のフラッシュメモリ504に予め記憶している電子ペンの超音波信号のオンとオフの組み合わせと所定の誤差内で一致すれば、その超音波信号を、それぞれの電子ペンから発信された超音波信号であると識別してそれぞれの電子ペンに対応する位置座標データとする。
【0052】
上記構成を用い、次のような試験を行った。予め受信機2に電子ペンD、電子ペンE及び電子ペンF記憶を記憶した。次に、電子ペンDを使用して連続筆記を行った。電子ペンDの筆記中に、10cm程度離れた所で同時に、電子ペンE及び電子ペンFを筆記し、これらの電子ペンから超音波信号を発信させた。このようにした結果、受信機は、電子ペンD及び電子ペンEから発信された超音波信号を識別することができ、電子ペンD、電子ペンE及び電子ペンFの描いたそれぞれの筆跡を識別して記録することができた。
【0053】
(実施例9)
手書き筆跡入力システムや受信機2の説明は、実施例8と同じとする。
本実施例の電子ペン1の超音波発生回路を図21に示す。超音波発生回路22は、コイル12、昇圧用トランジスタ13、降圧用トランジスタ23、ダイオード14、抵抗15、16、24、25、26及び超音波発生素子であるピエゾ素子11から構成されている。実施例8との違いは、超音波を発生させるための2つの工程が行われた後、超音波を変化させる為に、第3の工程、第4の工程が行われる。第3の工程は、超音波発生回路22の内部の降圧用トランジスタ23をオンにし、第2の工程で発振しているコイル12とピエゾ素子11の発振を停止させる工程である。第4の工程は、超音波発生回路22の内部の降圧用トランジスタ23をオフにし、超音波の振幅を抑制し、超音波発生回路22を初期状態にする工程である。第3と第4の工程期間の長さを変更したり、繰り返したりすることで、電子ペンの識別用情報に対応した超音波を出力することができる。つまり、電子ペンの制御手段8に、予め電子ペンの識別情報を記憶させ、電子ペンの識別情報を発信するときは第3の工程と第4の工程を用いて、超音波の信号のオン/オフ及び/又はオン時間の長さに変換して、超音波を発信する。 ここで、昇圧用トランジスタ23は、超音波の出力に寄与するものがよく、また、降圧用トランジスタ23は、振幅を抑制した超音波信号により次回の超音波の出力までに、現在の超音波の出力を停止させることができるものが良い。
【0054】
本実施例では、電子ペンG、電子ペンH、電子ペンIを使用する。電子ペンGは図22(a)のようなシーケンスで昇圧トランジスタ13、降圧用トランジスタ23を制御しており、図22(b)のような超音波信号を発信する。同様に電子ペンHは図23(a)のようなシーケンスで昇圧トランジスタ13、降圧用トランジスタ23を制御しており、図23(b)のような超音波信号を発信する。電子ペンIは図24(a)のようなシーケンスで昇圧トランジスタ13、降圧用トランジスタ23を制御しており、図24(b)のような超音波信号を発信する。
受信機2には、電子ペンG、電子ペンH及び電子ペンIを記憶させる。記憶方法は、波形登録用ボタン7を押している期間の最初に受信した10個の計測波形の先頭から12.5μ秒間隔に計測波形の振幅の最大値を計測し、その最大値の平均値を計算する。この平均値を閾値として12.5μ秒単位の振幅の最大値と比較し、振幅が閾値よりも大きければ、その12.5μ秒単位の領域をオン状態、それ以外の領域をオフ状態と認識し、オンとオフの組み合わせをサンプリングする。次にサンプリングした10個の組み合わせ信号を平均した組み合わせ信号を識別すべき電子ペンのものとし、受信機2のフラッシュメモリ504に記憶させる。
【0055】
次に、電子ペンGを使用して連続筆記を行った。電子ペンGの筆記中に、10cm程度離れた所で同時に、電子ペンH及び電子ペンIを筆記し、これらの電子ペンから超音波信号を発信させた。受信機2のCPU502は超音波受信部510の超音波の到達後、ADC507の出力を計測波形の先頭から12.5μ秒間隔に計測波形の振幅の最大値を計測し、その最大値の平均値を計算する。この平均値を閾値として、12.5μ秒単位の振幅の最大値と比較し、振幅が閾値よりも大きい大きければ、その12.5μ秒単位の領域をオン状態、それ以外の領域をオフ状態と認識し、オンとオフの組み合わせをサンプリングし、RAM505に保存する。次にこのオンとオフの組み合わせを、受信機のフラッシュメモリ504に予め記憶している電子ペンの超音波信号のオンとオフの組み合わせと所定の誤差内で一致すれば、その超音波信号を、それぞれの電子ペンから発信された超音波信号であると識別してそれぞれの電子ペンに対応する位置座標データとする。
このようにした結果、受信機は、電子ペンG、電子ペンH及び電子ペンIから発信された超音波信号を識別することができ、電子ペンG、電子ペンH及び電子ペンIの描いたそれぞれの筆跡を記録することができた。
【0056】
(実施例10)
手書き筆跡入力システムや電子ペン1は実施例8、受信機2は実施例1と同じとする。
本実施例では、電子ペンD、電子ペンE、電子ペンFを使用する。
受信機2には、電子ペンD、電子ペンE及び電子ペンFを記憶させる。記憶方法は、波形登録用ボタン7を押している期間の最初に受信した10個の計測波形を先頭から31.25μ秒後から約200μ秒の間だけ、100Mサンプル/秒でサンプリングする。次にサンプリングした10個の計測波形を平均した波形を識別すべき電子ペンのものとし、受信機2のフラッシュメモリ104に記憶させる。このとき波形の形状の計測値を最大電圧で正規化して保存する。
次に、電子ペンDを使用して連続筆記を行った。電子ペンDの筆記中に、10cm程度離れた所で同時に、電子ペンE及び電子ペンFを筆記し、これらの電子ペンから超音波信号を発信させた。受信機2のCPU102は超音波受信部110の超音波の到達後、ADC107の出力を計測波形の先頭から31.25μ秒後から約200μ秒の間だけ、1Mサンプル/秒で計測波形をサンプリングし、RAM105に保存する。このとき計測波形は最大電圧で正規化して保存する。次にこの正規化された計測波形の最大振幅の位置を、受信機のフラッシュメモリ104に記憶している計測波形と合わせてから、両者の差分を計算し、フラッシュメモリ104に予め記憶している電子ペンの超音波信号の計測波形と所定の誤差内で一致すれば、その超音波信号を、それぞれの電子ペンから発信された超音波信号であると識別してそれぞれの電子ペンに対応する位置座標データとする。
このようにした結果、受信機は、電子ペンD、電子ペンE及び電子ペンFから発信された超音波信号を識別することができ、電子ペンD、電子ペンE及び電子ペンFの描いたそれぞれの筆跡を記録することができた。
【0057】
(比較例)
電子ペンを識別する方法として、電子ペンから位置座標用とは別に識別用として赤外線信号を発信させる。つまり1つの座標を発信するのに、赤外線の発信を2回行う。図25に示す赤外線の位置座標信号から識別用信号までの時間をjとした電子ペンを電子ペンJと称し、同様に図26示す赤外線の位置座標信号から識別用信号までの時間をkとした電子ペンを電子ペンK、図27に示す赤外線の位置座標信号から識別用信号までの時間をmとした電子ペンを電子ペンMと称す。電子ペンJ、電子ペンK及び電子ペンMから発信される赤外線の位置座標信号から識別用信号までの時間間隔j、k及びmを、予めフラッシュメモリに記憶させておく。使用時に計測した電子ペンから発信された赤外線の位置座標信号から識別用信号までの時間を受信機のフラッシュメモリに記憶している時間間隔と照合を行い、電子ペンを識別する。
このようにした結果、受信機は、電子ペンJ、電子ペンK及び電子ペンMから発信された超音波信号を識別することができ、電子ペンJ、電子ペンK及び電子ペンMの描いたそれぞれの筆跡を記録することができた。
【0058】
上記のように、実施例1から実施例10、また比較例、いずれも問題なく電子ペンの同定または識別することが出来た。しかし、電子ペンの連続使用可能時間を比較すると、実施例1から実施例7では約90時間程度連続使用できた。また、実施例9では約80時間程度連続使用でき、実施例7と実施例10では約75時間程度連続使用できた。しかし、比較例では50時間しか連続使用できなかった。これは、比較例の場合、実施例1から実施例10に比べて1つの座標データを得るための信号を発信するのに、識別用に赤外線信号を1回多く発信していることから、電子ペンの電力の消費量が大きくなったことに由来する。よって、電子ペンの消費電力の面から実施例1から実施例10は有効であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】計測波形の概念図
【図2】整流後平滑化したときの概念図
【図3】繰返し間隔の概念図
【図4】超音波信号のゼロクロスを測定した概念図
【図5】パワースペクトルの概念図
【図6】電子ペンAのタイミングチャート
【図7】電子ペンBのタイミングチャート
【図8】電子ペンCのタイミングチャート
【図9】電子ペンと受信機からなる手書き筆跡入力システムの斜視図
【図10】電子ペンのブロック図
【図11】電子ペンの超音波発生回路の内部ブロック図
【図12】実施例1における受信機のブロック図
【図13】実施例3における受信機のブロック図
【図14】実施例5における受信機のブロック図
【図15】実施例6における受信機のブロック図
【図16】実施例7における手書き筆跡入力システムの斜視図
【図17】電子ペンDのタイミングチャート
【図18】電子ペンEのタイミングチャート
【図19】電子ペンFのタイミングチャート
【図20】実施例8における受信機のブロック図
【図21】実施例9超音波発振回路図
【図22】電子ペンGのタイミングチャート
【図23】電子ペンHのタイミングチャート
【図24】電子ペンIのタイミングチャート
【図25】電子ペンJのタイミングチャート
【図26】電子ペンKのタイミングチャート
【図27】電子ペンMのタイミングチャート
【符号の説明】
【0060】
1 電子ペン
2 受信機
3 ペン先筆記部
4 被記録媒体
5 スイッチ
6 電源ボタン
7 波形登録用ボタン
8 制御手段
9 赤外線発生回路
10 超音波発生回路
11 ピエゾ素子
12 コイル
13 昇圧用トランジスタ
14 ダイオード
15 抵抗
16 抵抗
17 電子ペン
18 受信機
19 ディスプレイ
20 スタイラス
21 スイッチ
22 超音波発生回路
23 降圧用トランジスタ
24 抵抗
25 抵抗
26 抵抗
101 座標演算部
102 CPU
103 タイマ
104 フラッシュメモリ
105 RAM
106 ADC
107 ADC
108 ADC
109 赤外線受光部
110 超音波受信部
111 超音波受信部
112 変換処理部
113 CPU
114 RAM
116 赤外線超音波測定部
201 座標演算部
202 CPU
203 タイマ
204 フラッシュメモリ
205 RAM
206 ADC
207 ADC
208 ADC
209 赤外線受光部
210 超音波受信部
211 超音波受信部
212 変換処理部
213 CPU
214 RAM
215 整流平滑化回路
216 赤外線超音波測定部
301 座標演算部
302 CPU
303 タイマ
304 フラッシュメモリ
305 RAM
306 ADC
307 ADC
308 ADC
309 赤外線受光部
310 超音波受信部
311 超音波受信部
312 変換処理部
313 CPU
314 RAM
315 ゼロクロス検出手段
316 赤外線超音波測定部
401 座標演算部
402 CPU
403 タイマ
404 フラッシュメモリ
405 RAM
406 ADC
407 ADC
408 ADC
409 赤外線受光部
410 超音波受信部
411 超音波受信部
412 変換処理部
413 CPU
414 RAM
416 赤外線超音波測定部
501 座標演算部
502 CPU
503 タイマ
504 フラッシュメモリ
505 RAM
506 ADC
507 ADC
508 ADC
509 赤外線受光部
510 超音波受信部
511 超音波受信部
512 変換処理部
513 CPU
514 RAM
516 赤外線超音波測定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、赤外線信号と超音波信号を発信する電子ペンと、これらの信号を受信する受信部と、これらの赤外線信号と超音波信号の受信到達時間差に基づいて電子ペンの位置座標を計算する手段とを備えた手書き筆跡入力システムであって、電子ペンより発信された超音波信号の少なくとも一部を用いて、前記電子ペンを同定または識別する機能を持つことを特徴とする手書き筆跡入力システム。
【請求項2】
少なくとも、赤外線発光素子を含む赤外線発生回路と、超音波発生素子を含む超音波発生回路と、これらの回路から発信する赤外線信号及び超音波信号を制御する制御手段と、被記録媒体上に直接軌跡を残すことが可能な機能を有する筆記部と、該筆記部が筆記状態であるか否かを判別するスイッチとから成る電子ペン、並びに少なくとも、一つ以上の赤外線受光部と、二つ以上の超音波受信部を有し、前記赤外線信号と前記超音波信号の前記赤外線受光部又は前記超音波受信部への到達時間差を計測する赤外線超音波測定部、並びに該赤外線超音波測定部から得られた到達時間差及び音速を用いて前記電子ペンと前記超音波受信部との間の距離を計算し、該距離を用いて前記電子ペンの位置座標データを計算する座標演算部、並びに前記電子ペンの位置座標データを筆跡データに変換する機能を有する変換処理部とから成り、前記電子ペンより発信され、前記受信部で受信された超音波信号の少なくとも一部を用いて、前記電子ペンを同定もしくは識別する機能を持つことを特徴とする手書き筆跡入力システム。
【請求項3】
前記電子ペンより発信され、前記受信部で受信された超音波信号の少なくとも一部の波形の形状を用いて、前記電子ペンを同定もしくは識別することを特徴とする請求項1及び2記載の手書き筆跡入力システム。
【請求項4】
前記電子ペンより発信され、前記受信部で受信された超音波信号の少なくとも一部を整流し、平滑化した後、その包絡線の形状を用いて、前記電子ペンを同定もしくは識別することを特徴とする請求項1及び2記載の手書き筆跡入力システム。
【請求項5】
前記電子ペンより発信され、前記受信部で受信された超音波信号の少なくとも一部の繰り返し間隔を測定し、その結果を用いて、前記電子ペンを同定もしくは識別することを特徴とする請求項1及び2記載の手書き筆跡入力システム。
【請求項6】
前記電子ペンより発信され、前記受信部で受信された超音波信号の少なくとも一部をフーリエ変換処理した結果を用いて、前記電子ペンを同定もしくは識別することを特徴とする請求項1及び2記載の手書き筆跡入力システム。
【請求項7】
前記電子ペンより発信される超音波信号を、前記電子ペンの制御手段によって変化させて、該変化させた信号を用いて、前記電子ペンを同定もしくは識別することを特徴とする請求項1乃至6記載の手書き筆跡入力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−33895(P2008−33895A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145818(P2007−145818)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】