説明

抗皮膚障害剤、及びこれを含有する皮膚外用剤

【課題】 紫外線暴露に起因する皮膚障害を抑制又は軽減し得る抗皮膚障害剤及び皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 ライチ種子抽出物を有効成分とし、紫外線曝露に起因する皮膚障害を抑制又は軽減する抗皮膚障害剤、及びそれを含有する皮膚外用剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線曝露に起因する皮膚障害を抑制又は軽減する新規な抗皮膚障害剤、及びこれを含有する皮膚外用剤に関する。本発明の皮膚外用剤は、光老化防止用の皮膚外用剤として特に有効である。
【背景技術】
【0002】
近年、皮膚の老化や障害等を引き起すメカニズムについての研究が活発に行われ、例えば、紫外線(例えば、太陽光)の連続的な長期間曝露は、皮膚にケミカルメディエーター、サイトカイン等による炎症を生じせしめ、シワ、タルミ、皮膚肥厚、皮膚硬化、皮膚癌、日光性弾性線維症等の皮膚障害が生じることが知られている(非特許文献1参照)。特に表皮及び真皮が肥厚することにより、皮膚の弾性、保湿性が低下し、これが皮膚老化の要因の一つとなっていると考えられている。また、紫外線照射によって、コラーゲン架橋形成が促進され、これによって、皮膚の弾力性及び柔軟性が低下し、同様に皮膚の老化の一因となると考えられている。加齢、紫外線曝露等により生じる皮膚のシワやタルミ、ハリや弾力性の低下を予防、あるいは改善するために、レチノイン酸、抗炎症薬やオウバクエキス、シラカバエキス、セージエキス、ローマカミツレエキス等、メリッサ抽出物、更に細胞外マトリックス成分の異常蓄積、皮膚肥厚、シワ等の抑制に活性型ビタミンD3の配合が報告されている。
【0003】
一方、従来、皮膚外用剤に配合可能な天然物由来の成分が種々検討されていて、例えば、ライチ種子エキスを、皮膚外用剤に配合することも検討されている(特許文献1〜3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−63926号公報
【特許文献2】特開2004−224785号公報
【特許文献3】特開2004−43420号公報
【非特許文献1】菅原努、野津敬一著「太陽紫外線と健康」裳華房(1998)、P.2〜100
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、紫外線曝露に起因する皮膚障害を抑制又は軽減する新規な抗皮膚障害剤を提供することを課題とする。また、本発明は、光老化防止効果に優れた新規な皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、ライチ種子抽出物を有効成分とし含有し、紫外線曝露に起因する皮膚障害を抑制又は軽減する抗皮膚障害剤を提供する。
本発明の一態様として、紫外線暴露に起因する皮膚障害が、皮膚細胞外マトリックス成分の異常蓄積、コラーゲン架橋形成、シワ形成、皮膚肥厚、皮膚硬化の少なくとも一つ以上である前記抗皮膚障害剤が提供される。
【0007】
前記ライチ抽出物から熱変性物質又は不溶性物質を除去すると、保存安定性がより高い抗皮膚障害剤を調製することができるので好ましく、双方を除去するのが好ましい。前記熱変性物質は、抽出液の再加熱及び/又は精密ろ過により除去でき、前記不溶性物質はウインターリングによって除去することができる。
【0008】
また、別の観点から、本発明によって、前記抗皮膚障害剤を有効成分として含有する皮膚外用剤;光老化防止用である前記皮膚外用剤;ライチ種子抽出物を含有する組成物を肌に適用することによって、紫外線曝露に起因する皮膚障害を抑制又は軽減する方法;ライチ種子抽出物を含有する組成物を肌に適用することによって皮膚の光老化を防止する方法;ライチ種子の抽出物から熱変性物質を析出させる工程と、該熱変性物質を除去する工程と、熱変性物質が除去されたライチ種子の抽出物を添加する工程とを含む皮膚外用剤の製造方法;及び前記熱変性物質を除去する工程の後に、不溶性物質を除去する工程を含む前記皮膚外用剤の製造方法;が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、紫外線曝露に起因する皮膚障害を抑制又は軽減する新規な抗皮膚障害剤を提供することができる。また、本発明によれば、光老化防止効果に優れた新規な皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、ライチ種子抽出物を有効成分とする抗皮膚障害剤に関する。本発明に使用するライチ種子抽出物の調製方法については特に制限されず、一般的な抽出方法を利用できる。抽出溶媒としては、水系溶媒であっても、有機溶媒であってもよい。水系溶媒としては、純水又は弱酸性の酢酸を用いることができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル、エーテル、へキサンなどを用いることができる。また、超臨界状態の二酸化炭素などを用いることもできる。これらの溶媒は、そのまま単一溶媒として用いてもよいし、2種類以上を任意に混合して用いてもよい。
【0011】
ライチ種子は、そのままの状態で溶媒中に浸漬してもよいし、練りつぶしたり、粉砕したものを溶媒中に浸漬してエキスを抽出してもよい。抽出時には、攪拌を行ってもよい。抽出温度は、用いる溶媒が液体の状態であれば特に制限されず、用いる溶媒によって好ましい範囲が異なる。抽出効率の観点からは、加熱抽出するのが好ましく、一般的には20〜100℃程度の温度で抽出するのが好ましい。また、抽出時間についても特に制限はなく、加熱条件や溶媒の種類によってはより短時間となる可能性もあるが、約1時間程度は抽出を行うのが好ましい。
【0012】
前記抽出操作により得られた抽出液は、ろ過等によってライチ種子を除去した後、そのまま抗皮膚障害剤として用いることができる。本発明ではさらに熱変性物質を除去してから用いるのが好ましい。熱変性物質を除去することにより、保存安定性が格段に高い抗皮膚障害剤を調製することができる。前記熱変性物質は種々の方法で除去することができるが、抽出液の再加熱及び/又は精密ろ過により除去するのが好ましく、双方により精製した抽出物を用いるのが好ましい。精密ろ過には限外ろ過膜を用いるのが好ましい。
【0013】
また、本発明ではウインターリングにより不溶性物質を除去してから用いるのも好ましい。不溶性物質を除去することにより、保存安定性が格段に高い抗皮膚障害剤を調製することができる。前記不溶性物質は種々の方法で除去することができるが、抽出液を5℃に冷却し、72時間程度保持し、不溶性物質を析出させ、その後、清澄度ろ過を行うのが好ましい。清澄度ろ過にはゼータ電位による吸着ろ過能力を併せ持つろ過剤を使用するのが好ましい。熱変性物質及び又は不溶性物質を除去することにより、保存安定性が格段に高い抗皮膚障害剤を調製することができるが、双方を除去して精製した抽出物を用いるのが好ましい。その場合、熱変性物質を除去した後、不溶性物質を除去するのが好ましい。
【0014】
熱変性物質を除去した抽出物を、更に、分子量分画、溶媒分画、各種の樹脂処理(イオン交換樹脂、吸着剤等)等によって精製して用いてもよいし、凍結乾燥等の後処理を施した後に用いることができる。
【0015】
本発明の抗皮膚障害剤の形態については、前記ライチ種子抽出物を含む限り、特に制限はなく、液状、ペースト状、クリーム状、ゲル状等いずれの形態で用いることもでき、更にスプレードライ等により乾燥させて粉末として用いることもできる。
【0016】
本発明の抗皮膚障害剤は、紫外線暴露に起因する皮膚障害、特に、皮膚細胞外マトリックス成分の異常蓄積、コラーゲン架橋形成、シワ形成、皮膚肥厚及び皮膚硬化の少なくとも一つに対して抑制及び/又は改善する作用がある。これらの皮膚障害は、コラーゲンの架橋は、皮膚の弾力性及び柔軟性を低下させ、皮膚の老化の一因となる。従って、本発明の抗皮膚障害剤を配合することにより、光老化防止効果に優れた皮膚外用剤を提供することができる。さらに、熱変性物質を除去したライチ種子抽出物を用いることにより、さらに、抗皮膚障害性に優れるとともに、経時安定性にも優れた皮膚外用剤を提供することができる。
【0017】
本発明の皮膚外用剤において、抗皮膚障害剤の含有量は、特に限定されるものではないが、皮膚外用剤中、乾燥固形物として0.0001〜10質量%(以下、単に「%」と記す)であり、好ましくは0.001〜5%、より好ましくは0.1〜3%である。この範囲であれば、上記紫外線曝露に起因する、細胞外マトリックス成分の異常蓄積、特にコラーゲンの異常産生やコラーゲン架橋形成、さらにはシワ形成、皮膚肥厚、皮膚硬化等の少なくとも一つ以上の皮膚障害の発現を抑制又はその症状を軽減する効果に優れ、経時安定性の面からも良好なものが得られる。
【0018】
本発明の抗皮膚障害剤を含有する皮膚外用剤には上記必須成分の他、化粧料や医薬部外品、外用医薬品等に通常使用される各種の成分、即ち、水、アルコール、油剤、界面活性剤、増粘剤、粉体、キレート剤、pH調整剤、美白剤、抗炎症剤、抗酸化剤、保湿剤、殺菌剤、血行促進剤等の各種薬効剤、動植物・微生物由来の抽出物、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、香料等を、本発明の効果を損なわない範囲で目的に応じて適宜加えることができる。
【0019】
また、本発明の抗皮膚障害剤を含有する皮膚外用剤としては、化粧料、医薬部外品、医薬品等が挙げられ、剤型も水性剤型、油性剤型、乳化剤型、粉末剤型、固形剤型等いずれの剤型にも配合することができる。例えば、化粧料としては、化粧水、乳液、クリーム、美容液、パック、バスソルト軟膏、ゲル剤、ファンデーション、パウダー、リップクリーム、口紅、日焼け止め製品等に用いることができる。
【実施例】
【0020】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
[製造例1:ライチ種子抽出物の調製]
ライチの種子100gに70%エタノール500mLを加え加熱抽出する。抽
後、ろ過し、得られたろ液をライチ種子エキス1として使用した。
[製造例2:ライチ種子抽出物の調製]
ライチの種子100gに、1,3−ブチレングリコール溶液(70%)を1L加え50℃で加熱抽出した。抽出後、室温でろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を再度80℃に加熱し、熱変性物質を析出させた。室温で、限外ろ過膜を用いて精密ろ過し、得られたろ液をさらに、5℃に冷却して72時間保持した。その後、ゼータ電位による吸着ろ過能力を合わせ持つろ過剤で清澄度ろ過してウインターリング処理して、得られたろ液をライチの種子エキス2として使用した。
【0021】
[製造例3:シラカバ抽出物の調製方法]
シラカバ樹皮乾燥物の破砕物100gに対して、25vol%エタノール水溶液1,000mLを加え、還流抽出を2時間行なった。これを遠心分離、加圧ろ過し、膜分離を用い、分子量5,000以下のものを採取し、抽出液660mLを得、エバポレーターで減圧濃縮し、エタノールを留去後、この液を凍結乾燥し、シラカバ抽出物を固形物として7.4gを得た。
【0022】
[実施例1:ヘアレスマウス紫外線照射による皮膚障害試験]
下記調製方法により抗皮膚障害剤を調製し、紫外線照射による皮膚肥厚、シワ形成、皮膚硬化、皮膚細胞外マトリックス成分の異常蓄積(総ヒドロキシプロリン量、デルマタン硫酸量)、コラーゲン架橋(ペプシン耐性ヒドロキシプロリン)について評価した。
【0023】
・試料(抗皮膚障害剤)の調製
製造例1で調製したライチ種子抽出物1及び製造例3のシラカバ樹皮抽出物を基剤(ポリエチレングリコール1000:エチルアルコール=1:1)にそれぞれ溶解し、5%濃度に試料を調製し、ヘアレスマスウス紫外線照射による皮膚評価試験に用いた。尚、シラカバ樹皮抽出物は陽性コントロールとして用いた。
【0024】
・試料塗布法と紫外線照射法
1群8匹とし、紫外線照射90分前に上述の試料をヘアレスマウス(10週齢)の背中に0.1g塗布し、一定量の紫外線(東芝FL20S・BLBランプ)を1日2時間(5回/週)20週間照射し(総照射量:720J/cm2)、皮膚肥厚、シワ形成、及び皮膚硬化の抑制効果を調べた。
尚、これらの試料の紫外線吸収スペクトルを測定し、これらは評価試験に影響を与えないことを確認した。
【0025】
・評価法
(皮膚肥厚抑制効果)
紫外線照射前と紫外線照射20週後の皮膚の厚みをダイアル厚みゲージ(OZAK.MFG.CO.LTD.)を用い測定した。結果は、8匹の皮膚厚みの平均値、及びその20週間後の増加率で評価した。
【0026】
(シワ形成抑制効果)
紫外線照射20週後のシワ形成について、下記表4に示す「光皮膚老化グレード」に基づいてシワグレードを判定した。なお、結果は、8匹の評点の平均値で表し評価した。
【0027】
(皮膚硬化抑制効果)
ヘアレスマウス皮膚背部中央部位を摘み、復元に5秒以上を要する皮膚を皮膚硬化とし、マウス8匹中の発現率で評価した。
【0028】
(細胞外マトリックス成分の異常蓄積効果;総ヒドロキシプロリン量の定量法)
皮膚中のヒドロキシプロリンを測定し、コラーゲン異常蓄積量を評価した。
ヒドロキシプロリンの定量は、まず、ヘアレスマウス背部皮膚の凍結切片(20ミクロン)を作製し、スライドガラス上で皮膚切片を加熱処理後、0.05%アルカリ性プロテアーゼ(アクチナーゼE;科研製薬製)(500チロシナーゼ単位/mL)で酵素分解(40℃−2時間)し、可溶化した。その後、真空封印し、6N塩酸を用い加水分解後(145℃−4時間)、Woessener法にてヒドロシキプロリンを発色させ、測定した。
【0029】
(細胞外マトリックス成分の異常蓄積効果;デルマタン硫酸定量法)
コラーゲン同様、細胞外マトリックス成分であるデルマタン硫酸の異常蓄積は紫外線照射による皮膚老化指標の一つで、この成分を測定することにより皮膚老化度を評価した。ヘアレスマウス背部皮膚をホルマリン固定後、6ミクロンの皮膚切片を作製後、スライドガラス上で皮膚切片をコンドロイチナーゼABC(0.5単位/mL)及びコラーゲナーゼ(500マンデル単位/mL)で酵素分解(37℃−2時間)し、可溶化後、下記の条件のポストカラム法にてHPLC装置を用いて試料を分離し、反応試薬1及び反応試薬2と混合後、110℃−2分間チューブ内で反応させ、蛍光誘導体とし、蛍光検出器で測定した。
【0030】
(HPLC条件)
HPLCカラム:DOCOSIL(4.6i.d.×150mm:センシュー科学社製)
蛍光検出:Ex.346nm、Em.410nm
移動相:8.5%アセトニトリル−1mMテトラn−ブチルアンモニウム水素硫酸
流速:1.5mL/分
カラム温度:60℃
反応試薬1:0.3M NaOH(0.25mL/分)
反応試薬2:0.25%2−シアノアセトアミド
【0031】
(コラーゲン架橋:ペプシン耐性ヒドロキシプロリン定量法)
酸性プロテアーゼ(ペプシン;ナカライテスク社製)による分解の難易により、皮膚中のコラーゲン架橋度を評価した。
まず、上記コラーゲン定量法で作製したヘアレスマウス背部皮膚の凍結切片(20ミクロン)をスライドガラス上で0.01%ペプシン(366単位/mL)で酵素分解(40℃−2時間)し、ペプシン可溶のコラーゲンを水にて洗浄し、除去した。その後、上述した同様な方法にてペプシン耐性のコラーゲンを加熱後、アクチナーゼEを用い酵素分解し、可溶化した。次に溶液を真空封印し、6N塩酸を用い加水分解後(145℃−4時間)、Woessener法にてヒドロシキプロリンを発色させ、ペプシン耐性ヒドロキシプロリンを測定した。
【0032】
(ペプシン耐性ヒドロキシプロリン(%)算出法)
皮膚中の総ヒドロキシプロリンに対するペプシン耐性ヒドロキシプロリンの含有率を算出し、コラーゲン架橋形成の指標とした。
ペプシン耐性ヒドロキシプロリン含有率(%)=
(ペプシン耐性ヒドロキシプロリン/総ヒドロキシプロリン)×100
【0033】
皮膚肥厚、シワ形成、皮膚硬化、細胞外マトリックス成分の異常蓄積(総ヒドロキシプロリン量、デルマタン硫酸量)、コラーゲン架橋(ペプシン耐性ヒドロキシプロリン量、含有率)の評価結果をそれぞれ表1〜3に併せて示す。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
表1〜3に示す結果から明らかなように、本発明品製造例1のライチ種子抽出物は、陽性コントロールであるシラカバ樹皮抽出物と比較し、いずれも顕著な皮膚肥厚、皮膚硬化、シワ形成、細胞外マトリックス成分異常蓄積、コラーゲン架橋を抑制する効果に極めて優れたものであった。
【0039】
[実施例2:化粧水]
(成分) (%)
(1)グリセリン 5.0
(2)1,3−ブチレングリコール 6.5
(3)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
モノラウリン酸エステル
(4)エチルアルコール 12.0
(5)アスコルビン酸
パルミチン酸エステル*1 0.1
(6)アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム*2 0.5
(7)アスコルビン酸グルコシド*3 2.0
(8)乳酸 0.05
(9)乳酸ナトリウム 0.1
(10)ライチ種子抽出物*4 0.005
(11)コラーゲン 1.0
(12)防腐剤 適量
(13)香料 適量
(14)精製水 残量
*1 和光純薬社製
*2 シグマ社製
*3 林原生物化学研究所製
*4 製造例1で調製したライチ種子抽出物1
【0040】
(製法)
A.成分(3)〜(5)、および(12)、(13)を混合溶解する。
B.成分(1)、(2)、(6)〜(11)及び(14)を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にし、化粧水を得た。
【0041】
実施例2は、変色変臭、沈殿などがなく安定であり、肌に適用すると、みずみずしい保湿感があり、連続的に適用することによりシワ形成、皮膚肥厚、皮膚硬化などの皮膚障害を抑制又は軽減する効果のあるものであった。
【0042】
[実施例3:乳液]
(成分) (%)
(1)ポリオキシエチレン(10E.O.)ソルビタン 1.0
モノステアレート
(2)ポリオキシエチレン(60E.O.)ソルビット 0.5
テトラオレエート
(3)グリセリルモノステアレート 1.0
(4)ステアリン酸 0.5
(5)ベヘニルアルコール 0.5
(6)スクワラン 8.0
(7)パルミチン酸レチノール*1 0.0002
(8)エチルアルコール 5.0
(9)カンゾウ抽出物*2 0.01
(10)グリチルリチン酸ジカリウム*3 0.1
(11)ライチ種子抽出物*4 0.05
(12)精製水 残量
(13)防腐剤 0.1
(14)カルボキシビニルポリマー 0.2
(15)水酸化ナトリウム 0.1
(16)ヒアルロン酸 0.1
(17)酸化亜鉛 適量
(18)香料 3
*1 日本ロシュ社製
*2 丸善製薬社製
*3 丸善製薬社製
*4 製造例2で調製したライチ種子抽出物2
【0043】
(製法)
A.成分(12)〜(14)を加熱混合し、70℃に保つ。
B.成分(1)〜(9)を加熱混合し、70℃に保つ。
C.BにAを加えて混合し、均一に乳化する。
D.Cを冷却後(10),(11)を加え均一に混合する。
E.Dに(15)を加え、十分に攪拌し、さらに(16)〜(18)を加え、均一に混合して乳液を得た。
【0044】
実施例3は、変色変臭などがなく安定であり、肌に適用すると、滑らかなエモリエント効果が高く、連続的に適用することによりシワ形成、皮膚肥厚、皮膚硬化など皮膚障害を抑制又は軽減する効果に優れるものであった。
【0045】
[実施例4:クリーム]
(成分) (%)
(1)セトステアリルアルコール 3.0
(2)グリセリン脂肪酸エステル 2.0
(3)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1.0
(4)モノステアリン酸ソルビタン 1.0
(5)N−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム 0.5
(6)ワセリン 5.0
(7)メチルポリシロキサン(100mm2/s) 3.0
(8)トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 20.0
(9)dl−α―トコフェロール*1 1.0
(10)エラグ酸*2 0.05
(11)乳酸(50%水溶液) 1.0
(12)ジプロピレングリコール 10.0
(13)アルブチン*3 3.0
(14)クエン酸ナトリウム 0.5
(15)ライチ種子抽出物*4 0.02
(16)L−アスコルビン酸
リン酸エステルマグネシウム塩*5 0.1
(17)酸化チタン 0.1
(18)香料 適量
(19)エデト酸2ナトリウム 0.03
(20)防腐剤 適量
(21)精製水 残量
*1 エーザイ社製
*2 シグマ社製
*3 和光純薬社製
*4 製造例1で調製したライチ抽出物1
*5 和光純薬社製
【0046】
(製法)
A.成分(1)〜(10)を加熱混合し、70℃に保つ。
B.成分(11)〜(16)および(19)〜(21)を加熱混合し、70℃に保つ。
C.BにAを加えて混合し、均一に乳化する。
D.Cを冷却後(17)、(18)を加え均一に混合してクリームを得た。
【0047】
実施例4は、変色変臭、分離などがなく安定であり、肌に適用すると、滑らかな保湿感があり、連続的に適用することによりシワ形成、皮膚肥厚、皮膚硬化などの皮膚障害を抑制又は軽減する効果のあるものであった。
【0048】
[実施例5:パック]
(成分) (%)
(1)ポリビニルアルコール 15.0
(2)無水ケイ酸 0.5
(3)ポリエチレングリコール 0.5
(4)ポリオキシプロピレンメチルグルコシド 5.0
(5)グリセリン 5.0
(6)精製水 残量
(7)エチルアルコール 10.0
(8)防腐剤 適量
(9)ライチ種子抽出物*1 0.05
(10)香料 適量
*1 製造例2で調製したライチ抽出物2
【0049】
(製法)
A.成分(1)〜(6)を混合し、70℃に加熱して溶解する。
B.成分(7)〜(8)を混合して溶解する。
C.Bを先のAに加え、混合した後、冷却して(9)、(10)を均一に分散してパックを得た。
【0050】
実施例5は、変色変臭、分離などがなく安定であり、肌に適用すると、適度な緊張感があり、パックを剥がしたが後の肌は潤い感が高く、シワ形成、皮膚肥厚、皮膚硬化など皮膚障害を抑制又は軽減する効果に優れるものであった。
【0051】
[実施例6:リキッドファンデーション]
(成分) (%)
(1)ジペンタエリトリットテトラ12ヒドロキシステアリン酸
セスキステアリン酸ヘミロジンエステル 2.0
(2)流動パラフィン 5.0
(3)ステアリン酸 2.0
(4)セタノール 1.0
(5)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 1.0
(6)パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 8.0
(7)ライチ種子抽出物*1 0.01
(8)防腐剤 適量
(9)グリセリン 5.0
(10)トリエタノールアミン 1.0
(11)カルボキシメチルセルロース 0.2
(12)ベントナイト 0.5
(13)精製水 残量
(14)酸化チタン 6.0
(15)微粒子酸化チタン 2.0
(16)微粒子酸化亜鉛 5.0
(17)マイカ 2.0
(18)タルク 4.0
(19)着色顔料 4.0
(20)香料 適量
*1 製造例1で調製したライチ抽出物1
【0052】
(製法)
A.成分(1)〜(6)を加熱し混合溶解する。
B.Aに成分(14)〜(19)を加え、均一に混合し、70℃に保つ。
C.成分(8)〜(13)を均一に溶解し、70℃に保つ。
D.CにBを添加して、均一に乳化する。
E.Dを冷却後、成分(7)、(20)を添加してリキッドファンデーションを得た。
【0053】
実施例6は、変臭、分離などがなく安定であり、肌に適用すると、潤い感のあるメイク効果に優れ、日中の紫外線からも適度に肌を守り、シワ、皮膚肥厚、皮膚硬化など皮膚障害を抑制又は軽減する効果に優れるものであった。
【0054】
[実施例7:日焼け止め乳液]
(成分) (%)
(1)ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン 1.0
(2)ジメチルポリシロキサン 5.0
(3)オクタメチルシクロテトラシロキサン 20.0
(4)イソノナン酸イソトリデシル 5.0
(5)パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 5.0
(6)微粒子酸化チタン 10.0
(7)微粒子酸化亜鉛 10.0
(8)酸化ジルコニウム 5.0
(9)ポリスチレン末 3.0
(10)トリメチルシロキシケイ酸 0.5
(11)防腐剤 適量
(12)ジプロピレングリコール 3.0
(13)エチルアルコール 10.0
(14)精製水 残量
(15)食塩 0.2
(16)ライチ種子抽出物*1 0.2
(17)香料 適量
*1 製造例2で調製したライチ抽出物2
【0055】
(製法)
A.成分(1)〜(10)を混合分散する。
B.成分(11)〜(15)を混合溶解する。
C.AにBを添加して、均一に乳化する。
D.Cに成分(16)、(17)を添加して日焼け止め乳液を得た。
【0056】
実施例7は、変臭、分離などがなく安定であり、肌に適用すると、さっぱりとしたエモリエント効果があり、日中の紫外線から肌を守り、シワ形成、皮膚肥厚、皮膚硬化など皮膚障害を抑制又は軽減する効果に優れるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の抗皮膚障害剤及びこれを有効成分として含有する皮膚外用剤は、紫外線暴露に起因する、皮膚細胞外マトリックス成分の異常蓄積、コラーゲン架橋形成、シワ形成、皮膚肥厚及び皮膚硬化等の皮膚障害を抑制又は軽減する効果を奏するので、化粧料等に利用することにより、光老化を効果的に防止する剤となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライチ種子抽出物を有効成分とし、紫外線曝露に起因する皮膚障害を抑制又は軽減する抗皮膚障害剤。
【請求項2】
紫外線暴露に起因する皮膚障害が、皮膚細胞外マトリックス成分の異常蓄積、コラーゲン架橋形成、シワ形成、皮膚肥厚及び皮膚硬化の少なくとも一つである請求項1に記載の抗皮膚障害剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の抗皮膚障害剤を有効成分として含有する皮膚外用剤。
【請求項4】
光老化防止用である請求項3に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2006−225341(P2006−225341A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−42384(P2005−42384)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(594045089)オリザ油化株式会社 (96)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】