説明

抗真菌ペプチドまたはそれを含有するペプチド組成物とその製造方法

【課題】真菌に対して増殖抑制活性を有するペプチドを提供する。
【解決手段】下記のアミノ酸配列:
(配列番号1)Ile Arg Arg Arg Arg Pro Arg Arg
(配列番号2)Ser Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg
(配列番号3)Val Ser Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg
(配列番号4)Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg
(配列番号5)Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg、または
(配列番号6)Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg
からなるペプチド又はその塩、更にこれらの断片を有効成分として抗真菌剤を得る。又、プロタミンを加水分解することで上記ペプチドを調製する。調製したペプチド組成物は、すぐれた抗真菌活性を有し、天然物由来であるため、安全面においても優れているため、広範な用途に利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗真菌活性を有するペプチド、並びに抗真菌ペプチドを含有する抗真菌剤に関するものであり、真菌感染症の予防や治療をするための機能性食品、化粧品及び医薬品や医薬部外品等に広く利用できるものである。より詳細には、本発明は、魚類の白子から抽出されたプロタミンに由来し、抗真菌活性を示す部分ペプチド並びにこのペプチドを含有する抗真菌剤、及びそれら製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酵母および糸状菌は真核生物であり、原核生物である細菌に対して真菌と称される。これら真菌のうちある種はヒトに対して病原性を示し、真菌感染症の原因菌となっている。真菌の中でも、カンジダ属の真菌は、広くヒトの消化管に成育し、通常は病原性を示さないが、宿主生体防御能の低下に伴い、様々な感染症を引き起こすことが知られている。とくに口腔および咽頭、食道カンジダ症は、唾液分泌の低下、糖尿病、抗生物質や免疫抑制剤の長期投与、口腔衛生管理の低下等にともない好発する疾患である。
【0003】
現在、本疾患に対し、アゾール系化合物が臨床で使用されている。しかし、一時的に治癒するが多くは再発が見られることや、長期使用に伴い耐性菌が出現するなどの問題点があることから、新たな治療法の導入が求められている。また、高齢者、特に義歯装着者に見られる口腔カンジダ症などは、易感染性を引き起こす原因が取り去られない限り、一時的に効果があっても再発する疾患であり、抗真菌剤にかわる口内洗浄剤や機能性食品などの新たな予防法の開発が必要とされている(非特許文献1を参照)。
【0004】
一方、プロタミンは、魚類の精巣(白子)から得られる抗菌活性を有する塩基性タンパク質であり、天然物由来の食品保存料である(特許文献1を参照)。プロタミンの原料となる白子は、鍋物用の具材として食されるなど、古くからの食経験もあること、マウスに対する急性毒性試験やラットに対する亜慢性毒性試験等が実施され(非特許文献2を参照)、その安全性が確認されていることなどから、プロタミンは安全面において優れている抗菌剤である(非特許文献3を参照)。しかし、プロタミンは微生物の中でも、バシラス属や乳酸菌などのグラム陽性細菌に対して特に強い抗菌活性を示す(非特許文献4を参照)が、酵母や糸状菌に対する抗真菌活性は非常に弱いことが知られている(非特許文献5を参照)。
【0005】
プロタミンの部分ペプチドに関する研究は行われており、配列番号:3に記載のアミノ酸配列で示される14残基アミノ酸からなるペプチドについては、遺伝子治療のためのドラッグデリバリーシステムのDNA担体としての機能(非特許文献6)やヘパリンの特異拮抗体としての機能(非特許文献7)に関する報告事例があるが、抗真菌活性に関する事例はない。配列番号:4に記載のアミノ酸配列で示される12残基アミノ酸からなるペプチドについても、ヘパリンの特異拮抗体としての機能(非特許文献8)に関する報告事例があるが、抗真菌活性に関する事例はない。また、配列番号:1に記載のアミノ酸配列で示される8残基アミノ酸からなるペプチド、配列番号:2に記載のアミノ酸配列で示される13残基アミノ酸からなるペプチド、配列番号5に記載のアミノ酸配列で示される11残基アミノ酸からなるペプチド、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列で示される10残基アミノ酸からなるペプチドは構造新規である。
【0006】
プロタミンの加水分解物を含む抗菌剤及びその製造方法については知られているが(特許文献2を参照)、飲食物に対するプロタミンの吸着性を弱め、飲食物の保存性の低下を回避することを目的としたものであり、加水分解物のアミノ酸配列の情報や抗菌スペクトラムの増強に関する報告はない。
【非特許文献1】安部茂:マウス口腔カンジダ症モデルの開発とその応用,真菌誌 45,227-231(2004)
【非特許文献2】多田幸恵ら:天然保存料しらこたん白のラットによる亜慢性毒性試験, 東京都立衛生研究所研究年報,49,267‐276(1998)
【非特許文献3】庵原啓司,根本えりか:しらこたん白(プロタミン)の食品への利用,月刊フードケミカル4月号,24-32 (2006)
【非特許文献4】ブレチン・オブ・ザ・ジャパニーズ・ソサイアティー・オブ・サイエンティフィック・フィッシャーズ(Bulletin of the Japanese Society of Scientific Fisheries), 50, 1715(1984)
【非特許文献5】ブレチン・オブ・ザ・ジャパニーズ・ソサイアティー・オブ・サイエンティフィック・フィッシャーズ(Bulletin of the Japanese Society of Scientific Fisheries), 52, 1061(1986)
【非特許文献6】ジャーナル・オブ・ジーン・メディシン(Journal of Gene Medicine), 5(8), 700-711(2003)
【非特許文献7】バイオケミストリー(Biochemistry)(Moscow, Russian Federation), 68(1),116-120(2003)
【非特許文献8】バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーション(Biochemical and Biophysical Research Communication), 336(2),653-659(2005)
【特許文献1】特開平61-219363号公報
【特許文献2】特開平1-243976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは前記従来技術に鑑みて、プロタミンの抗菌スペクトラムの増強について鋭意研究を重ねた結果、プロタミンを加水分解して得られるプロタミン分解物が、天然のプロタミンよりも抗真菌活性に優れていることを見出し、更にその分解物に含有する抗真菌活性を有するペプチドの構造を決定し、本発明を完成した。
【0008】
本発明の第一の目的は、真菌に対して抗真菌活性を示すペプチド又はペプチド組成物、及びそれらを含む食品、医薬品、医薬部外品、化粧品を提供することであり、本発明の第二の目的は、抗真菌活性を示すペプチドの製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の発明(以下、第一発明と記載する)にかかるペプチドには以下のペプチド及びその塩が含まれる。
(1)Ile Arg Arg Arg Arg Pro Arg Argで示される配列番号:1のアミノ酸配列からなるペプチド及びその塩。
(2)Ser Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Argで示される配列番号:2のアミノ酸配列からなるペプチド及びその塩。
(3)Val Ser Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Argで示される配列番号:3のアミノ酸配列からなるペプチド及びその塩。
(4)配列番号:1のアミノ酸配列において1から6個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなるペプチド又はその塩。
(5)配列番号:3のアミノ酸配列において1から4個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなるペプチド又はその塩。
(6)配列番号:3の欠失配列が、Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg(配列番号:4)、Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg(配列番号:5)、またはArg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg(配列番号:6)で示されるアミノ酸配列からなるペプチド又はその塩。
【0010】
本発明の第二の発明(以下、第二発明と記載する)は、上記の各ペプチドの製造方法である。この製造方法は、目的とする抗真菌活性を有するアミノ酸配列をその一部に有する原料ペプチドから、目的とするアミノ酸配列からなるペプチドを分離する工程を有することを特徴とするペプチドの製造方法である。この方法における原料ペプチドとしてはプロタミンが好適に利用でき、プロタミンを加水分解し、所望のアミノ酸配列を含むペプチド断片を得ることができる。このペプチド断片が所望のアミノ酸配列からなるものであれば、これを所望の用途に利用することができる。また、プロタミンなどの原料ペプチドからの加水分解物としてのペプチドが所望のアミノ酸配列と他のアミノ酸またはアミノ酸配列とからなるものであれば、蛋白質(ペプチド)分解酵素を用いた酵素反応などを利用して他のアミノ酸またはアミノ酸配列を分離して、所望のアミノ酸配列を有するペプチドを得ることも可能である。
【0011】
本発明の第三の発明(以下、第三発明という)に以下のものが含まれる。
(1)上記のペプチド及びその塩からなる群から選択されたペプチド化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する抗真菌剤。
(2)上記のペプチド及びその塩からなる群から選択されたペプチド化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする医薬品又は医薬部外品。
(3)上記のペプチド及びその塩からなる群から選択されたペプチド化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする化粧品。
【0012】
また、本発明の第四の発明(以下、第四発明と記載する)は、上記のペプチド及びその塩からなる群から選択されたペプチド化合物の少なくとも1種を有効成分として含む抗真菌剤を製剤する工程を有することを特徴とする抗真菌剤の製造方法である。
【0013】
この製造方法には、目的とするアミノ酸配列をその一部に有する原料ペプチドから目的とするアミノ酸配列からなる抗真菌活性を有するペプチドを分離する工程と、分離された抗真菌活性を有するペプチドを有効成分として用いて抗真菌剤を製剤する工程とを有する製造方法が好適に利用できる。また、この抗真菌活性を有するペプチドの取得には、プロタミンを加水分解することにより所望のアミノ酸配列を含むペプチド断片を得る工程を有する方法が好適に利用できる。
【発明の効果】
【0014】
このプロタミン由来のペプチドを抗真菌剤として用いることで、耐性菌の出現の問題も回避でき、極めて安全な真菌症予防剤として利用できると考えられる。優れた抗真菌活性を有し、天然物由来成分で安全面においても優れている為、真菌症に対する予防剤として、広範な用途に利用できる。食品保存料の既存添加物リストに収載されていることから、口内洗浄剤や健康食品、特定保健用食品等の機能性食品として利用も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明について詳細に記載する。第一発明に係るペプチドには先に記載した(1)〜(6)の各ペプチド及びその塩が含まれる。なお、本発明において「ペプチド」とは、ペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチドに含まれるアミノ酸残基の数は2以上であれば限定されず、蛋白質まで含むものである。なお、上記の第一発明にかかる(4)及び(5)の各ペプチドは、配列番号:1または3の配列から所定数のアミノ酸を欠失させて得られる各アミノ酸配列について抗真菌活性を後述する方法により測定し、抗真菌活性があると判定されたものを選択することにより得ることができる。
【0016】
第一発明に係るペプチド化合物は、当該化合物と同じアミノ酸配列を有する原料蛋白質から加水分解処理により得ることができる。すなわち、第二発明としてのペプチドの製造方法は、目的とする抗真菌活性を有するアミノ酸配列をその一部に有する原料ペプチドから、目的とするアミノ酸配列からなるペプチドを分離する工程を有することを特徴とするものであり、この分離工程は、原料ペプチドを加水分解して目的とする抗真菌活性を得るためのアミノ酸配列を含むペプチド断片を得る工程を含む。
【0017】
更に、これらのペプチドは、アミノ酸を段階的に導入する一般的な有機化学的液相又は固相法によるペプチド合成や遺伝子工学手法等によっても得る事ができる。すなわち、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することもできる。
【0018】
液相又は固相合成法による合成には、従来公知の方法を採用してよい。アミノ基の保護基としてBoc (t-butyloxycarbonyl)、或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。本発明の抗真菌性ペプチドは、市販のペプチド合成機(例えば、Applied Biosystems社等から入手可能)を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列を有するペプチド鎖として合成することができる。
【0019】
更に、遺伝子工学的手法に基づいて本発明の抗真菌性ペプチドを生合成により作製してもよい。この手法は、比較的鎖長の長い抗真菌性ペプチドを製造する場合に好適である。すなわち、所望する抗真菌性ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む)のDNAを合成する。そして、このDNAと該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節因子(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、動物(哺乳類)細胞) に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とする抗真菌性ペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)から抗真菌性ペプチドを単離し、精製することによって、目的の抗真菌性ペプチドを得ることができる。
【0020】
第一発明に係るペプチドは必要に応じて無機酸若しくは有機酸との塩や無機塩基若しくは有機塩基との塩を形成させる事ができる。酸や塩基としては、塩の用途に応じて選択できるが、食品、化粧品、医薬品などへの用途を考慮すると、以下に挙げる薬学的に許容される塩が好ましい。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、更にはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、またはフマル酸等のジカルボン酸との塩、更に、酢酸、プロピオン酸、または酪酸等のモノカルボン酸との塩等を挙げる事ができる。又、本発明で得られるペプチド化合物の塩の形成に適した無機塩基は、例えば、アンモニア、ナトリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩等である。有機塩基との塩としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミンの様なモノ− 、ジ− 及びトリ− アルキルアミン塩、モノ− 、ジ− 及びトリ− ヒドロキシアルキルアミン塩、グアニジン塩、N−メチルグルコサミン塩等を挙げる事ができる。
【0021】
第一発明に係るペプチド化合物は、少なくとも一種の真菌に対して高い抗真菌活性を有するものであり、特に真菌感染症の原因菌となっているカンジダ(Candida)属の真菌が対象として好ましい。ペプチドは、薬剤耐性菌が出現し難いと考えられていることから、真菌症予防剤の主成分としてとして好適に用いられる。また、抗真菌ペプチド化合物は、抗真菌剤の有効成分として、食品、医薬品、医薬部外品、化粧品に含有させることで、真菌感染症の予防、緩和あるいは治療等の効果を得ることが出来る。
【0022】
第三発明にかかる抗真菌剤は、抗真菌ペプチド化合物の少なくとも1種を用い、必要に応じて、担体、希釈剤、各種添加剤などの副次的成分から選択された成分とともに組成物として提供することもできる。抗真菌ペプチド化合物の他、抗真菌剤に含まれる担体又は副次的成分(典型的には用途に応じて薬学的に許容され得るもの) としては、抗真菌剤の用途や形態に応じて適宜異なり得るが、水、種々の有機溶媒、種々の緩衝液その他充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、賦形剤、色素、香料等が挙げられる。
【0023】
抗真菌剤の形態に関して特に限定はない。例えば、内用剤若しくは外用剤の典型的な形態として、軟膏、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセルが挙げられる。また、注射等に用いるため、使用直前に生理食塩水又は適当な緩衝液(例えばPBS) 等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。抗真菌剤に含まれる担体は、抗真菌剤の形態に応じて異なる。なお、抗真菌ペプチド化合物(主成分)及び種々の担体(副成分)を材料にして種々の形態の薬剤(組成物)を調製する製剤プロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製剤方法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。処方に関する詳細な情報源として、例えばComprehensive Medicinal Chemistry, CorwinHansch 監修, Pergamon Press刊(1990)が挙げられる。また、抗真菌剤中での抗真菌ペプチド化合物の含有量は、その目的用途に応じて適宜選択されるが、例えば抗真菌剤全量に対して少なくとも0.001〜90質量%程度とすることができる。
【0024】
本発明によって提供される抗真菌剤は、その形態及び目的に応じた方法や用量で使用することができる。例えば、本発明によって提供される抗真菌剤は、液剤として、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射或いは灌腸によって患者に投与することができる。或いは、錠剤等の固体形態のものは経口投与することができる。また、衛生陶器表面の消毒(殺菌)や食品の防腐目的に使用する場合は、比較的多量(例えば1〜100mg/ml)の抗真菌ペプチド化合物を含有する液剤を対象物の表面に直接スプレーするか、或いは、当該液剤で濡れた布や紙で対象物の表面を拭くとよい。これらは例示にすぎず、従来のペプチド系抗生物質やペプチドを構成成分とする農薬、医薬部外品等と同じ形態、使用方法を適用することができる。例えば、放射線治療を受けているガン患者やエイズ患者にとって、微生物による感染症の予防及び治療は重大な関心事である。ここで開示される抗真菌ペプチドは、感染症の原因たる真菌(例えば、カンジダ属の真菌)に対して高い抗真菌作用を示し得る。このため、本発明の抗真菌ペプチド化合物は、抗真菌剤の主成分として有用である。
【0025】
第三発明に係る真菌感染症の予防、緩和あるいは治療等を行う手段として、食品の場合は、ガム、顆粒菓、錠菓などの形態が考えられ、上記の様な作用を有する健康食品、特定保健用食品、機能性食品としての利用が可能である。医薬品としては、口腔又は歯科衛生用器具、義歯洗浄剤や義歯安定剤組成物への添加、医薬部外品としては、うがい剤、口腔洗浄剤、薬用歯磨き粉などの形態を挙げることができる。また、化粧品の場合は、ローション、クリーム、パウダー、乳液などの各種形態を挙げることができる。
【0026】
一方、第二発明には、プロタミンを加水分解して得ることを特徴とする抗真菌活性ペプチドの製造法が含まれる。加水分解方法としては、酸、アルカリ、蛋白質分解酵素を用いることができ、又それらの組合せによる分解も利用できるが、蛋白質分解酵素を用いることが望ましい。より詳細には次の通りである。プロタミンに脱イオン水を加え、水酸化ナトリウム又は塩酸を加えてpHを酵素の至適pHに調整する。酵素の至適温度に加温した後、酵素を添加して、攪拌しながら酵素反応を行う。反応終了後、反応液を80〜100℃に加温して5〜60分間加熱失活させpHを中性域となるように調整後、反応液を凍結乾燥し、プロタミン分解物を得ることができる。
【0027】
第二発明における原料ペプチドとしてのプロタミンは、サケ、ニシン、マス等魚類の精子核中にデオキシリボ核酸と結合したヌクレオプロタミンとして存在する強塩基性蛋白質であり、原料の違いによって、例えばサルミン(サケ)、クルペイン(ニシン)等と称され、それぞれ若干構造も異なるが、第一発明の抗真菌ペプチドの配列を含むものであれば、何れのプロタミンも使用可能である。
【0028】
第二発明において加水分解に用いることのできる蛋白質分解酵素としては、例えばバシラス(Bacillus)属(例えばバシラス・サチリス(Bacillus subtilis), バシラス・サーモプロテオティカス(Bacillus thermoproteolyticus), バシラス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)等の産生する酵素、アスペルギルス(Aspergillus)属(例えばアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae), アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger), アルペルギルス・メレンス(Aspergillus mellens)等)の産生する酵素、リゾパス(Rhizopus)属(例えばリゾパス・ニベウス(Rhizopus niveus), リゾパス・デレマー(Rhizopus delemar)等)の産生する酵素、ペプシン、パンクレアチン、パパイン等が挙げられる。これらの酵素は単独、又は2種以上を組み合わせても良い。また、蛋白質分解酵素は、蛋白質の内部配列を特異的に認識して切断するエンドペプチダーゼと、末端から1〜2アミノ酸残基ずつ切断するエキソペプチダーゼに分類される。従って、必要に応じて、エンドペプチダーゼとエキソペプチダーゼの組合せにより、様々なペプチド鎖を生成させることが可能である。酵素により加水分解する場合には、基質に対して、酵素0.001〜10%を添加し、溶液を使用される酵素の至適pHとして加水分解する。
【実施例】
【0029】
次に実施例を示して本発明を実施するための最良の形態について、詳細に記載するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(プロタミンの酵素分解によるペプチド混合物の調製)
シロサケ(オンコリンカス・ケタ(Oncorhynchus keta))の白子由来のプロタミン(プロザーブ;(株)ニチロ製)50gに脱イオン水80mLを加え、水酸化ナトリウムを加えてpH8.0に
調整した。65℃に加温した後、サーモライシン(ナカライテスク(株)製, バシラス・サーモプロテオティカス(Bacillus thermoproteolyticus )由来)1.5mgを添加して、2時間攪拌しながら酵素反応を行った。反応終了後、反応液を95℃に加温して30分間加熱失活させpHを8.5に調整した。その後、反応液を凍結乾燥し、プロタミン分解物(ペプチド混合物)を得た。
【0030】
(実施例2)
(抗真菌活性評価)
供試菌として、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans) NBRC1594を用いた。評価試料として、プロタミン(プロザーブ;(株)ニチロ製)、サーモライシン分解物(実施例1
で調製したペプチド混合物)を用いた。
【0031】
抗真菌活性評価の試験フローを図1に示す。供試菌は、YM液体培地3mL(グルコース1%, ペプトン0.5%, 酵母エキス0.3%, 麦芽エキス0.3%, pH 6.5)にて25℃で24時間培養して得られた培養液を用いた。培養液を2倍濃度のトリプトソイブイヨン培地(BBL社製,トリプティケース・ソイ・ブロース)を用いて1000倍希釈し、菌濃度が約105CFU/mLとなるように調整した。なお、実際の試験菌数については、別途寒天混釈法により菌液中のコロニー数を測定して算出した。一方、抗真菌剤については、試験設定濃度(100ppm)の2倍濃度となるようにイオン交換水にて溶解後、孔径0.20μmセルロースアセテート メンブランフィルター(ADVANTEC社製,DISMIC-13cp)を用いてろ過滅菌を行った。次に、調製した菌液50μLと抗真菌剤水溶液50μLを96穴マイクロプレート(Corning社製,96Well Clear Round Bottom TC-Treated Microplate,Product#3799)に入れ、25℃で20時間振とう培養(アズワン社製,Micro plate mixer NS-P)を行った。培養終了後、マイクロプレートリーダー(テカン社製,GENiosPro)を用いて、660nmの吸光度を測定した。なお、生育阻止率は下記の計算式で算出した。
【0032】
【数1】

【0033】
抗真菌活性評価結果(抗真菌剤濃度100ppm,培養時間12時間)を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
(実施例3)
(活性ペプチド画分の分取)
評価試料として、サーモライシン分解物(実施例1で調製したペプチド混合物)を試料として用いた。脱イオン水を用いて50,000ppmの溶液を調製後、孔径0.45μmセルロースアセテートメンブランフィルター(ADVANTEC社製,DISMIC-13cp)を用いてろ過したものを試料液として用いた。上記調製した試料液100μLをInertsil ODS-2 カラム(ジーエルサイエンス製) に供し、下記の分離条件でHPLCを用いて各画分を分取した(Li-Chien Chang, et al., AAPS Pharmsci., 3(2), article17, (2001))。分析結果を図2に示す。次に、各画分(分画液各2mLを遠心エバポレーターにて溶媒を除去したもの)について、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans) NBRC1594を用いて抗真菌活性を評価し、活性画分を得た。
<HPLC分析条件>
・HPLCシステム:(株)島津製作所製 Prominenceシリーズ(システムコントローラー:CBM-20A、オートサンプラー:SIL-10AF、送液ポンプ:LC-8A×2台、カラムオーブン:CTO-20A、PDA検出器:SPD-M20A(測定波長190〜400nm))
・流速:1.0 mL/ min
・移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸
・移動相B:アセトニトリル
・カラム:Inertsil ODS-2 5μm 4.6mm×250mm(ジーエルサイエンス製)
・グラジエント:0〜60分にかけてB液0容量%からB液15容量%へのリニアグラジエント。
・検出波長:214nm。
【0036】
(実施例4)
(LCMS-IT-TOF解析による活性ペプチドの解析)
Atlantis HILIC Silicaカラム (Waters) に供し、下記の分離条件で分析した。
<HPLC分析条件>
・HPLCシステム:(株)島津製作所製 Prominenceシリーズ(システムコントローラー:CBM-20A、オートサンプラー:SIL-20A、送液ポンプ:LC-20AB Binary pump、カラムオーブン:CTO-20A、PDA検出器:SPD-M20A(測定波長190〜400nm))
・流速:0.2 mL/ min
・移動相A:0.1%ギ酸(関東化学製,LC-MS用)
・移動相B:アセトニトリル(関東化学製,LC-MS用)
・カラム:Atlantis HILIC Silica, 3μm Column (Waters製)
・グラジエント:0〜30分にかけてB液60容量%からB液0容量%へのリニアグラジエント。
・注入量:10μL
<IT-TOFMS検出条件>
・システム:(株)島津製作所製 LCMS-IT-TOF(イオン化モード:ESI-、霧化ガス流量:1.5 L/min、Drying gas圧 0.15Mpa、印加電圧 4.5kV、CDL温度:200℃、BH温度:200℃、測定範囲 MS:m/z 500〜2,000)。
【0037】
活性画分のLCMS-IT-TOF解析(図3、図4及び図5を参照のこと)より、以下に示す3つのペプチドの構造を決定した。
(I)Ile Arg Arg Arg Arg Pro Arg Arg (8残基;分子量1164.7541)
(II)Ser Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg (13残基;分子量1780.0966)
(III)Val Ser Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg (14残基;分子量1879.1650)。
【0038】
(実施例5)
(ペプチドの合成)
サンプルI〜XIの11種類のペプチドを後述するペプチド合成機を用いて製造した。下記に、これらペプチドのアミノ酸配列を列挙する。
(I)Ile Arg Arg Arg Arg Pro Arg Arg (8残基;分子量1164.7541)
(II)Ser Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg (13残基;分子量1780.0966)
(III)Val Ser Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg (14残基;分子量1879.1650)
(IV)Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg (12残基;分子量1693.0646)
(V) Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg (11残基;分子量1536.9635)
(VI) Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg (10残基;分子量1380.8624)
(VII) Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg (8残基;分子量1068.6602)
(VII) Arg Arg Gly Gly Arg Arg (6残基;分子量756.4579)
(IX) Arg Gly Gly Arg (4残基;分子量444.2557)
(X) Ser Arg Arg Arg Arg Arg Arg (7残基;分子量1041.6493)
(XI) Gly Arg Arg Arg Arg (5残基;分子量699.4365)
<ペプチド合成機による合成>
・合成装置:Applied Biosystems社製 Peptide Synthesizer Model 433A
・合成メソッド:0.25 mol FastMoc法(HBTUによる活性化)による固相合成
・操作:C-末端アルギニンは、1mmolのFmoc−Arg(Pmc)を用いた。1mmol Fmoc−Arg(Pmc)をベッセルに加え、1mmol の各アミノ酸パックをセットし、FastMoc0.25MonPrevPKにて合成した。得られたペプチド-レジンを減圧下で乾燥し、ペプチドレジン体を得た。
【0039】
<ペプチドレジンのクリベージ反応>
クリベージミックスチャーを調製した(0.75g結晶フェノール、0.25mL EDT、0.5mLチオアニソール、0.5mL蒸留水、10mL TFA)。次に、乾燥したペプチド-レジン体 200mgをベッセルに入れ、クリベージミックスチャーを2mL加えた後、室温で1.5時間スターラーを用いて攪拌した。ろ過(アシストNo. CC-07)によりレジンを除去した後、15mLのMTBE(methyl t-butyl ether)を加えて攪拌した。遠心分離後(3,000rpm, 10min, 4℃)沈殿物を回収し、減圧下で乾燥させた。
【0040】
<合成ペプチドの精製>
クリベージ反応後のサンプル0.1gを1mLのメタノール:0.1%TFA(トリフルオロ酢酸)=10:90に溶解後、シリカゲルクロマトグラフィー(Sep-Pak Vac 6cc, 1g, C18 cartridges (Waters))にて精製した(メタノール:0.1%TFA=10:90で溶出)。溶出画分をエバポレーターで濃縮後、減圧下で乾燥させて目的ペプチドを得た。LCMS-IT-TOF解析の結果、得られた合成ペプチドは、実施例3で取得した活性画分に含まれるペプチドと同一のペプチドであった(図4及び図5を参照のこと)。
【0041】
(実施例6)
(ペプチドの抗真菌活性評価)
供試菌として、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans) NBRC1594を用い、評価試料として、プロタミン(プロザーブ;(株)ニチロ製)、サーモライシン分解物(実施例1で
調製したペプチド混合物)、実施例5で合成したペプチド(サンプルI〜XI)を用いた。基本的な操作は、実施例2及び図1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
(実施例7)
(合成ペプチドの抗菌スペクトラム測定)
被検菌として、11菌株(グラム陽性細菌6株;Bacillus subtilis IAM1069,Bacillus cereus IFO13494,Staphylococcus aureus FDA209p,Streptococcus lactis IAM1249,Streptococcus mutans IFO13955, Lactobacillus plantarum IAM1041、グラム陰性細菌2株;Escherichia coli ATCC25922,Salmonella typhimurium IFO12529、真菌(酵母)3株;Saccharomyces cerevisiae IFO1234,Hansenula anomalas IFO0146,Candida albicans NBRC 1594)を用いた。評価試料として、プロタミン(プロザーブ;(株)ニチロ製)、サ
ーモライシン分解物(実施例1で調製したペプチド混合物)、実施例6で合成したペプチド(サンプルI〜III)を用い、基本的な操作は実施例2及び図1と同様の方法で行った。各被検菌に対する抗菌力試験結果(評価濃度100ppm, 培養時間20時間)を表3に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
(実施例8)
(製剤の調製)
(1)本発明抗真菌薬(軟膏剤)
・本発明ペプチド 10mg
・モノステアリン酸ソルビタン 7mg
・モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 7mg
・パルミチン酸イソプロピル 37mg
・ワセリン 37mg
・流動パラフィン 37mg
・セタノール 50mg
・グリセリン 70mg
・ステアリン酸マグネシウム 2mg
上記成分に精製水を加えて、1gのクリームとした。
(2)本発明抗真菌薬(錠剤)
・本発明ペプチド 100mg
・乳糖 670mg
・バレイショデンプン 150mg
・結晶セルロース 60mg
・軽質無水ケイ酸 50mg
上記成分を混合し、ヒドロキシプロピルセルロース30mgをメタノールに溶解した溶液(ヒドロキシプロピルセルロース10重量%)を加えて混練したのち造粒した。これを径0.8mmのスクリーンで押し出して顆粒状にし、乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム15mgを加え200mgずつ打錠して錠剤を得た。
(3)本発明真菌感染症治療剤(カプセル剤)
・本発明ペプチド 100mg
・乳糖 80mg
上記成分を均一に混合し、硬カプセルに充填してカプセル剤を得た。
(4)本発明真菌感染症治療剤(注射剤)
・本発明ペプチド 30mg
上記成分を5%マンニトール水溶液2mLに溶解し、これを無菌濾過した後、アンプルに入れて密封した。
(5)本発明義歯洗浄剤(錠剤)
・本発明ペプチド 1重量%
・モノ過硫酸水素カリウム 20重量%
・過ホウ酸ナトリウム 30重量%
・炭酸水素ナトリウム 20重量%
・無水クエン酸 10重量%
・トリポリリン酸ナトリウム 15重量%
・ポリビニルピロリドン 2重量%
・ラウリル硫酸ナトリウム 2重量%
上記成分を打錠し、錠剤状の義歯洗浄剤を調製した。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】液体培地法による抗真菌活性評価法の操作を示す図である。
【図2】サーモライシン分解物のHPLCクロマトグラムの結果を示す図である。
【図3】活性画分のLCMS-IT-TOF解析(トータルイオンクロマトグラム)の結果を示す図である。
【図4】活性画分ピーク1及び合成ペプチド(8残基ペプチド)のLCMS-IT-TOF解析(マススペクトル)の結果を示す図である。
【図5】活性画分ピーク2及び合成ペプチド(13及び14残基ペプチド)のLCMS-IT-TOF解析(マススペクトル)の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ile Arg Arg Arg Arg Pro Arg Argで示される配列番号:1のアミノ酸配列からなるペプチド又はその塩。
【請求項2】
Ser Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Argで示される配列番号:2のアミノ酸配列からなるペプチド又はその塩。
【請求項3】
Val Ser Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Argで示される配列番号:3のアミノ酸配列からなるペプチド又はその塩。
【請求項4】
Ile Arg Arg Arg Arg Pro Arg Argで示される配列番号:1のアミノ酸配列において1から6個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなるペプチド又はその塩。
【請求項5】
Val Ser Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Argで示される配列番号:3のアミノ酸配列において1から4個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなるペプチド又はその塩。
【請求項6】
前記アミノ酸が欠失したアミノ酸配列が、Arg Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg(配列番号:4)、Arg Arg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg(配列番号:5)、またはArg Arg Arg Arg Gly Gly Arg Arg Arg Arg(配列番号:6)で示されるアミノ酸配列からなる請求項5に記載のペプチド又はその塩。
【請求項7】
請求項1〜6に記載のペプチド及びその塩からなる群から選択されたペプチド化合物の少なくとも1種を有効成分として含むことを特徴とする抗真菌剤。
【請求項8】
請求項1〜6に記載のペプチド及びその塩からなる群から選択されたペプチド化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする食品。
【請求項9】
請求項1〜6に記載のペプチド及びその塩からなる群から選択されたペプチド化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする医薬品又は医薬部外品。
【請求項10】
請求項1〜6に記載のペプチド及びその塩からなる群から選択されたペプチド化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする化粧品。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれかに記載のペプチドの製造法であって、
目的とする抗真菌活性を有するアミノ酸配列をその一部に有する原料ペプチドから、目的とするアミノ酸配列からなるペプチドを分離する工程を有することを特徴とするペプチドの製造方法。
【請求項12】
前記原料ペプチドがプロタミンであり、プロタミンを加水分解し、所望のアミノ酸配列を含むペプチド断片を得る工程を有する請求項11に記載のペプチドの製造方法。
【請求項13】
有効成分としての請求項1〜6に記載のペプチド及びその塩から選択されたペプチド化合物の少なくとも1種を有効成分として含む抗真菌剤を製剤化する工程を有することを特徴とする抗真菌剤の製造方法。
【請求項14】
目的とするアミノ酸配列をその一部に有する原料ペプチドから目的とするアミノ酸配列からなる抗真菌活性を有するペプチドを分離する工程と、
分離された抗真菌活性を有するペプチドを有効成分として用いて抗真菌剤を製剤する工程とを有する請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記抗真菌活性を有するペプチドが、プロタミンを加水分解することにより所望のアミノ酸配列を含むペプチド断片を得る工程を有する方法により得られたものである請求項14に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−133253(P2008−133253A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77770(P2007−77770)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000233620)株式会社ニチロ (34)
【Fターム(参考)】