説明

抵抗装置

第1の好ましい実施形態において、可撓式の柔軟な導電接続手段(12,14)によって第1の電極(201)が互いに導電接続されている抵抗素子(21,22,23)を含んでなる抵抗装置が提案される。前記接続手段は互いに隣接する2個の前記抵抗素子間に位置する区域において撓みが反転変化する。第2の好ましい実施形態において、柔軟な接続手段によって互いに接続されている抵抗素子(21,22,23)を含んでなる抵抗装置が提案される。前記抵抗素子(21,22,23)にはそれぞれ溝状の窪み(221,222)が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
特許文献たるドイツ公開第3107290号[DE 3107290 A1]公報明細書から、結合剤中に分散されたPTC材料粒子を有するヒータが公知である。ドイツ登録実用新案第8309023号[DE 8309023 U1]明細書から、バンド型の柔軟なヒータが公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明が解決しようとする課題は、湾曲面への効果的な放熱または湾曲表面を有する物体の物理量の検出に適した抵抗装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1の好ましい実施形態において、それぞれ第1と第2の電極を有する抵抗素子を含んでなる抵抗装置が提案される。前記抵抗素子の前記第1の電極は、互いに隣接する2個の前記抵抗素子間に位置する区域において撓みが反転変化する少なくとも単一の柔軟な可撓式の第1の電気接続手段によって互いに導電接続されている。
【0004】
前記抵抗素子の前記第2の電極は好ましくは、互いに隣接する2個の前記抵抗素子間に位置する区域において撓みが反転変化する柔軟な可撓式の第2の電気接続手段によって互いに導電接続されている。前記接続手段は以下において給電線とも称される。
【0005】
隣接する2個の前記抵抗素子間の前記それぞれの電気接続手段の長さはこれらの抵抗素子間の最小間隔を上回っている。これにより、前記抵抗装置に曲げ荷重がかかる際に前記電気接続手段に機械的応力が発生することを防止することができる。
【0006】
前記抵抗素子は好ましくは第1の柔軟な支持フィルムと固定結合されている。これらの抵抗素子はさらに第2の柔軟な支持フィルムと固定結合されていてよい。前記抵抗素子は好ましくは前記柔軟な支持フィルムの間に配置されている。以下において一方の柔軟な支持フィルムに関連して挙げられる特徴は、好ましい実施態様において、前記双方の支持フィルムに当てはまる。
【0007】
前記柔軟な支持フィルムは金属フィルムであってよい。ただし、前記柔軟な支持フィルムはまた、可撓式導体経路の形をとるそれぞれの電気接続手段が埋め込まれた柔軟な材料からなっていてもよい。
【0008】
前記柔軟な電気接続手段の間には、横方向において前記抵抗素子間に形成された中間スペースを少なくとも部分的に満たす柔軟な絶縁層が配置されていてよい。
【0009】
前記抵抗素子と前記柔軟な電気接続手段とは有利な実施態様において柔軟な基板に埋設されており、この場合、前記両者は基板中に好ましくは流し込み成形によって埋設されている。好ましくはゴム状の前記基板はシリコンゴムを含んでいてよい。その他のゴム状の、好ましくは電気絶縁材料も前記基板の材料として思料可能である。特に、高い熱伝導率を有する材料がこれに適している。
【0010】
高い熱伝導率を達成するため、柔軟なゴム状材料には、前記柔軟なゴム状材料よりも高い熱伝導率を有する充填材が加えられてよい。好ましくは、そのため、不導電または不良導電物質たとえばSiC,MgO,セラミックまたは金属酸化化合物が使用される。
【0011】
前記抵抗素子は2枚の柔軟な基板の間に配置されていてよく、この場合、前記基板は好ましくは上述した支持フィルムに等置することができる。
【0012】
有利な実施態様において、前記抵抗素子と、前記柔軟な電気接続手段と、前記支持フィルムとは柔軟な基板に埋設され、好ましくは流し込み成形によって埋設されている。
【0013】
前記それぞれの電気接続手段は基板に組み込まれていてよい。前記接続手段は好ましくは柔軟な基板に埋め込まれた可撓式導体経路として実現されている。前記接続手段はたとえば金属編組線からなっていてよい。前記それぞれの電気接続手段は別法として、前記それぞれの柔軟な支持フィルムの表面に配置された金属コート層として実現されていてよい。前記それぞれの支持フィルムはたとえば銅コートされたポリイミド・フィルムであるかまたは導電性を有するまたは導電層を含んだその他の柔軟なフィルムであってよい。
【0014】
前記抵抗素子間の区域に位置する前記柔軟な電気接続手段間の最小間隔は前記抵抗素子の高さ以下であってよい。また、こうした区域における前記柔軟な電気接続手段間の間隔は前記抵抗素子の高さ以上であってもよい。
【0015】
前記抵抗素子の前記第2の電極は、任意の実施態様において、前記抵抗装置に接触するが、ただしこの抵抗装置の構成要素ではない導電面によって電気的に接続されてよい。
【0016】
前記それぞれの柔軟な支持フィルムには、抵抗素子を収容するための窪みが形成されていてよい。
【0017】
前記抵抗装置は好ましくは同等の抵抗素子を含んでなる。前記それぞれの抵抗素子の少なくとも1主面には溝状の窪みが配置されてよい。
【0018】
第2の好ましい実施形態において、柔軟な接続手段によって互いに接続された抵抗素子を含んでなる抵抗装置が提案される。前記抵抗素子にはそれぞれ少なくとも1主面に溝状の窪みが配置されている。前記溝状の窪みによって、前記抵抗素子の表面積を遥かに大きなものとすることができる。前記溝状の窪みは、有利な実施態様において、弾性材料で好ましくは完全に満たされており、これによって、前記抵抗装置の放熱が改善される。
【0019】
以下、前記双方の好ましい実施形態に当てはまる有利な実施態様の抵抗装置を説明する。
【0020】
前記抵抗装置は、少なくとも横方向の長さが好ましくは、厚さよりも遥かに−たとえば少なくとも3倍だけ−大きい面状構造物を表している。前記柔軟な接続手段は好ましくは、前記抵抗素子を担持する、面状に形成された基板である。
【0021】
前記抵抗素子は好ましくは板状ないしフラットに形成されている。前記抵抗素子は好ましくは、それぞれ好ましくは中実形成されたセラミック剛体からなるセラミック素子である。前記セラミック体の材料は好ましくはPTC特性を有し、好ましくはBaTiOを含んでいる。PTCとはPositive Temperature Coefficient[正温度係数]を表している。
【0022】
前記セラミック体は好ましくは、第1と第2の電極間に配置された抵抗層として形成されている。前記電極は好ましくは前記抵抗素子の主面に配置されている。前記第2の電極は前記第1の電極から電気的に絶縁されている。前記電極は好ましくは障壁層縮減性を有する。
【0023】
有利な実施態様において各々の抵抗素子はそれ自体として剛的であるが、抵抗装置は電気的接続手段が変形可能であることによって可撓性を有する。このことは、任意に成形された、可撓性も有する表面に前記抵抗装置を相補密接させることができるという利点を有する。
【0024】
有利な実施態様において、前記抵抗素子は発熱体として設けられている。前記抵抗装置は好ましくはヒータである。さらに別の実施態様において、前記抵抗素子はセンサ素子として設けられている。これらのセンサ素子は物理量たとえば温度の検出に適している。前記抵抗装置はこの場合、センサ装置である。
【0025】
前記抵抗装置はたとえば以下の方法で製造可能である。
電極を備えた抵抗素子が用意される。これらの抵抗素子は少なくとも1導電フィルムまたは少なくとも1金属メッシュに固定されることによって互いに接続される。導電フィルムとは金属フィルムまたは、非導電キャリア上に配置された導電層を有するフィルムとして理解される。好ましくは、前記抵抗素子の第1の主面は第1のフィルムと、第2の主面は第2のフィルムと、それぞれたとえばはんだ付けまたは接着によって結合される。
【0026】
前記抵抗素子の間に位置する中間スペースには少なくとも部分的に、硬化後も引き続き弾性変形可能(柔軟)な電気絶縁材料が充填される。加えてさらに、少なくとも1導電フィルムまたは金属メッシュ上に柔軟な基板を形成するための柔軟な材料からなる層が被着されてよい。好ましくは、前記導電フィルムと前記導電フィルムに固定された前記抵抗素子とを含んでなる集成体は前記柔軟な材料に埋め込まれる。前記柔軟な材料は好ましくは電気絶縁性を有する。
【0027】
前記導電フィルムは前記柔軟な材料に埋設される前に好ましくは、前記抵抗素子間に位置する前記電気接続手段がこれらの抵抗素子間の最小間隔に比較して長寸法となるように予備成形される。特に、前記電気接続手段は断面形状で見てその高さ位置がパターン化され、なかんずく、撓められていてよい。前記電気接続手段は段を有していてもよく、あるいはループの少なくとも一部を形成していてよい。
【0028】
可撓式電気接続手段は、前記導電フィルムに窪みが形成されることによって達成可能である。前記窪みはそれぞれ1抵抗素子を収容するために使用可能である。また、前記抵抗素子の間に、前記抵抗装置の撓みに際して前記電気接続手段の機械的応力除去に寄与する溝状の窪みを形成することも可能である。
【0029】
前記導電フィルムまたは前記金属メッシュは−好ましくは前記柔軟な材料に埋設される前に−外部から到達可能なコネクタとはんだ付けまたは接着接合される。互いに接続された抵抗素子と前記コネクタとを含んでなる集成体は、次いで、型に入れられて、前記電気絶縁材料たとえばシリコンゴムが流し込まれる。空気の封入を回避するため、続いて、排気が行われてよい。
【0030】
前記柔軟な材料の硬化後に完成した抵抗装置は、今や、型抜きされる。前記抵抗装置は柔軟であり、特に物体の加熱に使用することができ、しかもその際、撓められた表面にも前記抵抗装置を相補密接させることが可能である。
【0031】
さらに別の方法において、撓められた導線メッシュまたはその他の構造化された導体経路が埋め込まれた、場合により未硬化のキャリア基板(たとえばシリコンフィルム)が用意される。この基板は、まだ個別化されていない抵抗素子を含んだ抵抗基材と結合される。これら両者の結合は、前記可撓式導体経路が抵抗素子として設けられた区域において前
記抵抗基材の主面と接触するようにして行われる。
【0032】
前記キャリア基板の材料の硬化後に、前記抵抗基材は切断または鋸引きによって複数の抵抗素子に分離されることができる。前記分離は、前記抵抗基材のみが切り分けられて、前記キャリア基板はその中に埋め込まれた前記導体経路が損なわれないように切り目が入れられるにすぎないようにして行われる。これは硬い支持台座を使用して実施することができる。
【0033】
こうして、片面側で互いに電気的に接続されていると共に互いに機械式結合された抵抗素子を含んでなる複合体が生ずる。前記抵抗素子を両面側で電気的に接続すると共に機械式結合することも可能である。その場合、まだ基板と結合されていない前記複合体主面が同様な方法で第2のキャリア基板と結合されるが、その際、前記第2のキャリア基板は好ましくは前記第1のキャリア基板と同じ特性を有している。
【0034】
前記第1と第2のキャリア基板間には、前記キャリア基板間の短絡を防止する空隙が設けられていてよい。ただし、前記キャリア基板と前記抵抗素子との間に位置する前記中間スペースには、導電性を有し、柔軟かつ熱伝導率の優れた材料たとえばシリコンゴムが充填されてもよい。そのため、前記抵抗素子間に形成された前記中間スペースは、好ましくは前記複合体と前記第2のキャリア基板との結合前に、前記材料で埋められる。
【0035】
前記抵抗素子はそれらの主面に配置された好ましくは溝状の窪みを有していてよい。これらの窪みは好ましくは前記抵抗素子の少なくとも1主面に配置されている。電極層はこれらの窪みの表面も覆っている。
【0036】
以下、上記提案になる抵抗装置ならびにその製造方法を、正確な縮尺ではない概略的な図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1A】1例としての抵抗素子の断面図である。
【図1B】金属コートされた支持フィルム上に配置された抵抗素子の断面図である。
【図1C】金属コートされた支持フィルム上に配置された抵抗素子の断面図である。
【図1D】基板に埋設された図1Cに示した装置の断面図である。
【図1E】弾性変形可能な基板に部分的に埋設された図1Aに示した抵抗素子を含んでなる抵抗装置を示す図である。
【図1F】弾性変形可能な2枚の基板の間に配置された図1Aに示した抵抗素子を含んでなる抵抗装置を示す図である。
【図2】抵抗素子の第1の電極同士および第2の電極同士を接触させるための電気接続手段が基板に埋設された抵抗装置の断面図である。
【図3】湾曲表面に適合された図2に示した抵抗装置の断面図である。
【図4】図5に示した抵抗装置の断面図である。
【図5】面状抵抗装置の平面図である。
【図6】溝付き抵抗素子と弾性変形可能な2枚の基板とを含んでなる抵抗装置を示す図である。
【図7A】互いに電気的に接続された溝付き抵抗素子を示す図である。
【図7B】基板に埋設された互いに電気的に接続された溝付き抵抗素子を含んでなる抵抗装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1Aには、剛体20を有し、剛体主面に電極201,202が配置された、1例としての抵抗素子21が示されている。爾後の図面に示した抵抗素子21,22,23は好ま
しくはすべて等しく形成されている。
【0039】
抵抗素子21,22,23は、たとえばポリイミドからなる支持フィルム11で形成された基板1上に固定されている。基板1は、支持フィルム上に被着された、抵抗素子に対向する金属コート−金属層12−を有している(図1B)。上記固定ははんだ付けまたは接着によって行うことができる。
【0040】
金属コートされた支持フィルム11は好ましくは、図1Cに示したように予備成形されて、抵抗素子21,22,23を収容するための窪みを有している。これらの窪みにより、金属層12には、互いに隣接する2個の抵抗素子の間に位置する撓み区域41が生ずることになる。これらの撓み区域を有する金属層12によって、可撓式の柔軟な電気接続手段が実現されている。
【0041】
撓み区域41の長さはこれらの抵抗素子間の最小間隔よりも大きい。金属コートされた支持フィルム11の上記予備成形は抵抗素子21,22,23の取り付け前または取り付け後に行うことができる。
【0042】
図1B,1Cに示した金属コートされた支持フィルム11は、基板と導電層との複合体によって置換されてもよい。金属層12,14はそれぞれ金属メッシュによって置換されてよい。重要なことは、常に、抵抗装置の撓み時に曲げ荷重下で生ずる機械的応力の発生を防止し得ることである。これは、撓みに際して、構造化された、それゆえ相対的に長い電線は真っ直ぐな電線に比較して、大幅な機械的応力除去が可能であるために、達成可能である。
【0043】
図1Dには、電気絶縁基層1aと絶縁層10との間に部分的に埋設された、図1Cに示した装置が表されている。好ましくは、層1a,10は同一の材料からなっている。これらは貼り合せ、接着されているかまたは流し込み法によって製造されていてよい。
【0044】
基層1aは設けられなくてもよい。図1E参照。図1Cに示した装置では、抵抗素子間に配置された中間スペースは部分的に絶縁材料で満たされている。抵抗素子21,22,23が部分的に埋設された弾性変形可能な基板1は、この場合、層10,11によって形成されている。
【0045】
抵抗素子が部分的に埋設されて、電気接続手段(金属層12)が組み込まれている基板1は、図Dに示した実施態様において、基層1a、支持フィルム11および絶縁層10によって形成されている。基板1はさらに、図1Fと2に示した実施態様におけると同様に、第2の支持フィルム13を含んでいてよい。支持フィルム13は好ましくは、支持フィルム11と同じ特性を有している。
【0046】
図1Eに示した装置の上面は、図1Fに示唆されているように、場合により予備成形され、金属コートされた支持フィルム13と結合されていてよい。図1Fに示した実施態様において、基板1は支持フィルム11,13および絶縁層10によって形成されている。金属コートされた支持フィルム11,13は、その間に抵抗素子が配置された2枚の弾性変形可能な基板と見なすことができる。
【0047】
すべての実施形態において、金属コートされた支持フィルム11,13に代えて、導電性弾性材料からなるフィルムを使用することが可能である。
【0048】
基板1はさらに、図2に示した実施態様と同様に、被覆層1bを含んでいてよい。
図2に示した実施態様において、抵抗素子のすべての第2の電極を相互に導電接続する
第2の電気接続手段は第2の金属層14によって実現されている。第2の金属層14は好ましくは第2の支持フィルム13の金属コートとして形成されている。この支持フィルムの金属コートつまり金属層14は内側に被着されており、したがって、抵抗素子に対向している。金属層14は抵抗素子の第2の電極を互いに接続している。
【0049】
第1の金属層12は抵抗装置の第1のコネクタ31に接続され、第2の金属層14は抵抗装置の第2のコネクタ32に接続されている。コネクタ31,32は外部から到達可能であり、たとえばプラグ継手に接続可能である。支持フィルム11および金属層12に関連した上記記載は図2,3に示した第2の支持フィルム13およびそれに被着された金属層14にも当てはまる。
【0050】
抵抗素子21,22,23とこれらの素子の電気的接続とによって形成された装置は図2において完全に基板1内に埋設されている。電位の異なる金属層12と14とが互いに接触しないように、これらの金属層の間には絶縁層10が配置されている。
【0051】
図3には、図3に不図示の湾曲表面に適合された、図2に示したヒータが示されている。
【0052】
図4において、抵抗素子21,22,23は導電接続手段たとえば予備成形された金属フィルムまたは金属編組線によって互いに導電接続されている。この場合、抵抗素子21,22,23とこれらの素子の電気的接続とによって形成された装置は基板1内に埋設されている。
【0053】
基板1の少なくとも1主面はフラットであれば有利である。好ましくは、基板1の両側主面はフラットに形成されている。
【0054】
図1A〜4に示した抵抗装置は、抵抗素子21,22,23が一次元配置された柔軟なバンド型であってよい。
【0055】
図5には、面状抵抗装置、つまり、抵抗素子が二次元配置された抵抗装置が示されている。この種の装置は、さしあたり個別化されていない抵抗素子21,22,23を含んだ抵抗基材を切り分けた後に生ずるが、この場合、キャリア基板1は切り離されない。
【0056】
上記説明した図中に示した抵抗素子は図6〜8と同様に形成されていてよい。
図6には、主面に配置された窪み221,222を有する抵抗素子を含んでなる抵抗装置が示されている。第1の窪み221は抵抗素子の第1の主面(上面)に配置され、第2の窪み222は抵抗素子の第2の主面(下面)に配置されている。電極層201,202はこれらの窪みの表面も覆っている。
【0057】
窪み221,222は好ましくは、抵抗素子のセラミック体よりも優れた熱伝導率を有する充填材8で満たされている。2個の抵抗素子の間の中間スペース7は好ましくはまた、弾性変形可能な充填材で満たされている。
【0058】
第2の窪み222は第1の窪み221に対して横方向に変位させられている。窪みの深さはセラミック体の厚さの約半分であるかまたは半分以上である。
【0059】
抵抗素子は弾性変形可能な基板81,82によって互いに機械式結合されている。基板81,82はいずれも絶縁層811,821を有している。さらに、基板81,82はいずれも、絶縁層811,821上にたとえば金属コートとして被着されて抵抗素子に対向した導電層812,822を有している。抵抗素子の第1の電極層201は導電層812
によって互いに導電接続され、抵抗素子の第2の電極層202は導電層822によって互いに導電接続されている。これらの層812,822は、好ましくは金属層12,14と同様に柔軟かつ可撓式に形成された電気接続手段である。これらの層812,822は好ましくは予備成形された金属メッシュまたは金属フィルムであってよい。
【0060】
図7Aは、第1の電極層201が電気接続手段91によって、第2の電極層202が電気接続手段92によってそれぞれ互いに電気的に接続された抵抗素子からなる装置を示している。
【0061】
接続手段91,92は、好ましくは、これら接続手段の長さが互いに接続されるべき抵抗素子間の間隔よりも長寸法に予備成形された金属メッシュまたは金属フィルムであってよい。第1の電極層201は外部から到達可能なコネクタ31に導電接続されている。第2の電極層202は同じく外部から到達可能なコネクタ32に導電接続されている。図7Bには、基板81に埋設された、図7Aに示したヒータが紹介されている。
【符号の説明】
【0062】
1,81 柔軟な基板
1a 基層
1b 被覆層
10 絶縁層
11,13 支持フィルム
12,14 金属層
20 本体
201,202 抵抗素子の電極
21,22,23 抵抗素子
221,222 窪み
31,32 コネクタ
41 金属層12の撓み区域
7 中間スペース
8 充填コンパウンド
81,82 弾性変形可能な基板
812,822 導電層
811,821 絶縁層
91,92 電気接続手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ第1の電極(201)と第2の電極(202)とを有する抵抗素子(21,22,23)を含んでなり、前記第1の電極(201)は互いに隣接する2個の前記抵抗素子(21,22,23)間に位置する区域において撓みが反転変化する柔軟な可撓式の第1の電気接続手段(12,812,91)によって互いに導電接続されているように構成した抵抗装置。
【請求項2】
前記抵抗素子(21,22,23)は第1の柔軟な支持フィルム(11)に固定結合されている請求項1記載の抵抗装置。
【請求項3】
前記第2の電極(202)は互いに隣接する2個の前記抵抗素子(21,22,23)間に位置する区域において撓みが反転変化する柔軟な可撓式の第2の電気接続手段(14,822,92)によって互いに導電接続されている請求項1または2記載の抵抗装置。
【請求項4】
前記柔軟な電気接続手段(12,14,812,822,91,92)の間に柔軟な絶縁層(10)が配置されている請求項3記載の抵抗装置。
【請求項5】
前記抵抗素子(21,22,23)は第2の柔軟な支持フィルム(13)に固定結合されている請求項3または4記載の抵抗装置。
【請求項6】
前記柔軟な電気接続手段(12,14,812,822,91,92)は柔軟な基板(1,81)に埋設され、前記抵抗素子(21,22,23)は少なくとも部分的に前記柔軟な基板(1,81)に埋設されている請求項3〜5のいずれか1項記載の抵抗装置。
【請求項7】
前記抵抗素子(21,22,23)と、前記柔軟な電気接続手段(12,14,812,822,91,92)と、前記支持フィルム(11,13)とは柔軟な基板(1,81)に埋設されている請求項5記載の抵抗装置。
【請求項8】
前記抵抗素子(21,22,23)間の区域に位置する前記柔軟な電気接続手段(12,14,812,822,91,92)間の間隔は前記抵抗素子(21,22,23)の高さよりも小さい請求項3〜7のいずれか1項記載の抵抗装置。
【請求項9】
前記抵抗素子(21,22,23)間の区域に位置する前記柔軟な電気接続手段(12,14,812,822,91,92)間の間隔は前記抵抗素子(21,22,23)の高さよりも大きい請求項3〜7のいずれか1項記載の抵抗装置。
【請求項10】
前記第1の柔軟な支持フィルム(11)上にコートされた金属層が配置され、前記金属層により前記第1の柔軟な電気接続手段(12,812,91)が形成されている請求項2〜9のいずれか1項記載の抵抗装置。
【請求項11】
前記第1の柔軟な支持フィルム(11)に抵抗素子(21,22,23)を収容するための窪みが形成されている請求項2〜10のいずれか1項記載の抵抗装置。
【請求項12】
前記第2の柔軟な支持フィルム(13)上にコートされた金属層が配置され、前記金属層により前記第2の柔軟な電気接続手段(14,822,92)が形成されている請求項5〜11のいずれか1項記載の抵抗装置。
【請求項13】
前記第1の柔軟な電気接続手段(12,812,91)は金属編組線からなる請求項1〜9のいずれか1項記載の抵抗装置。
【請求項14】
前記第2の柔軟な電気接続手段(14,822,92)は金属編組線からなる請求項5〜9のいずれか1項記載の抵抗装置。
【請求項15】
前記柔軟な電気接続手段(12,14,812,822,91,92)はそれぞれ前記柔軟な基板(1)に埋め込まれた可撓式導体経路として実現されている請求項6〜9のいずれか1項記載の抵抗装置。
【請求項16】
前記それぞれの抵抗素子(21,22,23)の少なくとも1主面には溝状の窪み(221,222)が配置されている請求項1〜15のいずれか1項記載の抵抗装置。
【請求項17】
柔軟な接続手段によって互いに接続された抵抗素子(21,22,23)を含んでなり、前記抵抗素子(21,22,23)にはそれぞれ溝状の窪み(221,222)が配置されているように構成した抵抗装置。
【請求項18】
前記溝状の窪み(221,222)は前記抵抗素子の熱伝導率を上回る熱伝導率を有する充填材(8)で満たされている請求項16または17記載の抵抗装置。
【請求項19】
以下のステップつまり、
A)まだ個別化されていない抵抗素子を含んだ抵抗基材が可撓式導体経路の埋め込まれた柔軟な材料からなる層と、しかも前記可撓式導体経路が抵抗素子として設けられた区域において前記抵抗基材の主面と接触するようにして、結合されるステップと、
B)前記ステップA)で生じた複合体に切り込みが入れられて前記抵抗基材のみが切り分けられて、前記柔軟な材料からなる層によって互いに機械式結合されていると共に前記可撓式導体経路によって互いに電気的に接続された複数の抵抗素子が生ずるステップとを含んでなる抵抗装置製造方法。
【請求項20】
以下のステップつまり、
A)抵抗素子の少なくとも片側面が柔軟な導電性フィルムと固定結合されて複合体が形成されるステップと、
B)前記導電性フィルムが予備成形されるステップと、
C)前記複合体が柔軟な材料中に少なくとも部分的に埋設されるステップとを含んでなる抵抗装置製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2009−544123(P2009−544123A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519792(P2009−519792)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際出願番号】PCT/DE2007/001295
【国際公開番号】WO2008/009282
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS  AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】