説明

押しボタン装置

【課題】半押し操作と全押し操作とにおいて誤操作が起こりにくい押しボタン装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る押しボタン装置900は、押圧する距離に応じて異なる操作がなされる操作部を、押圧操作することで、その押圧方向に第1の距離により移動させる第1押しボタン100と、前記第1押しボタン100と隣接した位置にあり、押圧操作することで、前記第1押しボタン100と同じ押圧方向に、前記第1の距離よりも長い距離である第2の距離により前記操作部を移動させる第2押しボタン200と、を有する。第1押しボタン100は、柱状の第1押圧体110と第1ボタン軸120とを有する。第2押しボタン200は、柱状の第2押圧体210と第2ボタン軸220とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやコンパクトカメラは、まずシャッターを半押しにして、カメラのピント等をあわせて、そのあとでシャッター全押しにして写真を撮る。
【0003】
デジタルカメラ等をスキー場等へ携帯し、雪山等の写真撮影を行う際は、スキーグローブを装着した状態でカメラのシャッターを押すことがある。ところが、スキーグローブを装着した状態では、カメラのシャッターボタンに生指が触れておらず、シャッターの半押しの感覚をつかみにくい。そのため、誤ってシャッターを全押ししてしまうことがある。
【0004】
また、最近のマリンスポーツの流行に伴い、デジタルカメラ等を防水ケースで被覆して海中へ携帯し、熱帯魚等の写真撮影を行うことがある。海中での写真撮影では、防水ケースに設けられたボタンを通して間接的にシャッターを押すが、カメラのシャッターボタンに生指が触れていないので、シャッターの半押しの感覚をつかみにくい。そのため、誤ってシャッターを全押ししてしまうことがある。
【0005】
そのため、半押し操作と全押し操作のように異なる操作間における誤操作を少なくしてシャッターを押すことができる押しボタン装置が要請される。
【0006】
誤操作を少なくしうるボタン装置としては、例えば特許文献1に開示されるボタン装置がある。このボタン装置は、押しボタンの第1の操作で第1のスイッチをオンにせしめ、該押しボタンの第2の操作で第2のスイッチをオンにせしめるものである。
【0007】
しかし、特許文献1に開示されたボタン装置では、例えばスキーグローブを装着した状態等でカメラのシャッターボタンを押すと、第1の操作と第2の操作とにおける誤操作を少なくすることは困難である。
【0008】
また、特許文献2には、第1のスイッチと第2のスイッチとを有し、異なる操作間における誤操作を少なくしうるボタン装置が開示されている。しかし、特許文献2に開示されたボタン装置は、第1のスイッチと第2のスイッチが一つのシャッターボタンを押すものではない。そのため、特許文献2に開示されたボタン装置では、カメラのシャッターボタンの半押し操作と全押し操作とにおいて誤操作を少なくすることは困難である。
【特許文献1】特開2000−123679号公報
【特許文献2】特開平6−187874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、異なる操作間につき、誤操作を起こりにくくして一つのボタンを押すことができる押しボタン装置を提供することを目的とするものである。具体的には、半押し操作及び全押し操作間において誤操作を起こりにくくして操作部を押すことができる押しボタン装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、この発明の押しボタン装置は、
押圧する距離に応じて異なる操作がなされる操作部を、押圧操作することで、その押圧方向に第1の距離により移動させる第1押しボタンと、
前記第1押しボタンと隣接した位置にあり、押圧操作することで、前記第1押しボタンと同じ押圧方向に、前記第1の距離よりも長い距離である第2の距離により前記操作部を移動させる第2押しボタンと、
を有することを特徴とする。
【0011】
また、前記第1押しボタンは、
筐体の第1開口穴に緩挿され、上面が押圧面である柱状の第1押圧体と、
前記第1押圧体の下方に設けられ、前記第1押圧体が押し下げられることにより押下方向に前記操作部を前記第1の距離により移動させる第1ボタン軸と、を有し、
前記第2押しボタンは、
筐体の第2開口穴に緩挿され、上面が押圧面である柱状の第2押圧体と、
前記第2押圧体の下方に設けられ、前記第2押圧体が押し下げられることにより押下方向に前記操作部を前記第2の距離により移動させる第2ボタン軸と、を有する、ことも可能である。
【0012】
また、前記第1押圧体は、該第1押圧体の底面と前記第1開口穴の底面との間に挿入された第1弾性体により弾性的に支えられ、
前記第2押圧体は、該第2押圧体の底面と前記第2開口穴の底面との間に挿入された第2弾性体により弾性的に支えられている、ことも可能である。
【0013】
また、前記第1押圧体は、前記第1開口穴の底面から前記第1の距離について上方に離間した位置に設けられ、
前記第2押圧体は、前記第2開口穴の底面から前記第2の距離について上方に離間した位置に設けられる、ことも可能である。
【0014】
また、前記第1押しボタンは、
筐体の第1開口穴に緩挿され、上面が押圧面である柱状の第1押圧体を有し、
前記第2押しボタンは、
筐体の第2開口穴に緩挿され、上面が押圧面である柱状の第2押圧体と、
前記第2押圧体の下方に設けられ、前記第2押圧体が押し下げられることにより押下方向に前記操作部を前記第2の距離により移動させる第2ボタン軸と、を有し、
さらに、前記第1押しボタンは、前記第1押圧体の下方に設けられ、前記第1押圧体が押し下げられることにより、前記第2ボタン軸を押下方向に前記第1の距離により下方に移動させて、前記操作部を前記第1の距離により移動させる操作体を有する、ことも可能である。
【0015】
また、前記第2ボタン軸には、前記操作体が押し下げられることにより、該操作体と接触することで該第2ボタン軸を押し下げる連動体が設けられている、ことも可能である。
【0016】
また、前記操作体は、該操作体の底面と前記第1開口穴の底面との間に挿入された第1弾性体により弾性的に支えられており、
前記連動体は、該連動体の底面と前記第2開口穴の底面との間に挿入された第2弾性体により弾性的に支えられている、ことも可能である。
【0017】
また、前記操作体は、前記第1開口穴の底面から前記第1の距離について上方に離間した位置に設けられ、
前記連動体は、前記第2開口穴の底面から前記第2の距離について上方に離間した位置に設けられる、ことも可能である。
【0018】
また、シーソー台と、
前記シーソー台を、該シーソー台の中心部から一方の端部側へ所定距離離間した位置で、回動自在に支える枢軸としての支点と、
前記シーソー台の回動動作に伴い、下方向に移動することにより前記操作部を前記第1の距離及び第2の距離により移動させる、移動体と、を有し、
前記第1押しボタンは、筐体の第1開口穴に緩挿され、上面が押圧面である柱状の第1押圧体を、前記シーソー台の前記一方の端部の上方に有し、
前記第2押しボタンは、筐体の第2開口穴に緩挿され、上面が押圧面である柱状の第2押圧体を、前記シーソー台の他方の端部の上方に有し、
前記移動体は、
前記第1押圧体の押圧操作により、前記シーソー台が一方の方向に回動することで、前記操作部を前記第1の距離により移動させ、
前記第2押圧体の押圧操作により、前記シーソー台が他方の方向に回動することで、前記操作部を前記第2の距離により移動させる、ことも可能である。
【0019】
また、前記シーソー台の一方の端部の下面と前記移動体との間には下部第1弾性体が設けられ、前記下部第1弾性体は、前記シーソー台が一方の方向への回動に伴い、前記移動体を下方へ移動させ、
前記シーソー台の他方の端部の下面と前記移動体との間には下部第2弾性体が設けられ、前記下部第2弾性体は、前記シーソー台が他方の方向への回動に伴い、前記移動体を下方へ移動させる、ことも可能である。
【0020】
また、前記シーソー台の一方の端部と前記第1押圧体との間には上部第1弾性体が設けられ、前記上部第1弾性体は、前記第1押圧体が押圧操作されるに伴い、前記シーソー台を一方の方向に回動させ、
前記シーソー台の他方の端部と前記第2押圧体との間には上部第2弾性体が設けられ、前記上部第2弾性体は、前記第2押圧体が押圧操作されるに伴い、前記シーソー台を他方の方向に回動させる、ことも可能である。
【0021】
また、前記第1押圧体は、前記上部第1弾性体が該第1押圧体を上方へ付勢したとしても、該第1押圧体を筐体の外側へ突出しないように第1規制部材を有し、
前記第2押圧体は、前記上部第2弾性体が該第2押圧体を上方へ付勢したとしても、該第2押圧体を筐体の外側へ突出しないように第2規制部材を有する、ことも可能である。
【0022】
また、筐体の開口穴に緩挿されているシーソー型ボタンと、
前記シーソー型ボタンを、該シーソー型ボタンの中心部から一方の端部側へ所定距離離間した位置で、回動自在に支える枢軸としての支点と、
前記シーソー型ボタンの回動動作に伴い、下方向に移動することにより操作部を前記第1の距離及び第2の距離により移動させる、移動体と、を有し、
前記第1押しボタンは、前記シーソー型ボタンの前記一方の端部であり、
前記第2押しボタンは、前記シーソー型ボタンの他方の端部であり、
前記移動体は、
前記第1押しボタンを押圧することで、前記シーソー型ボタンが一方の方向に回動して、前記操作部を前記第1の距離により移動させ、
前記第2押しボタンを押圧することで、前記シーソー型ボタンが他方の方向に回動して、前記操作部を前記第2の距離により移動させる、ことも可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る押しボタン装置によれば、異なる操作間につき、誤操作を起こりにくくして一つのボタンを押すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施形態1)
実施形態1に係る押しボタン装置900は、図1(a)に示すように、例えばカメラの防水ケースの筐体600に適用される。図1(b)に示されるように、防水ケースの筐体600の中にはカメラ700が封入されている。カメラ700には操作部としてのシャッターボタン300が設けられている。押しボタン装置900は、第1押しボタン100と第2押しボタン200とを有する。第1押しボタン100は、カメラのシャッターボタン300を半押しする。第2押しボタン200は、シャッターボタン300を全押しする。第2押しボタン200は、第1押しボタン100と隣接する位置にある。ここで、第2押しボタン200が第1押しボタン100と隣接する位置にあるとは、指の腹及び該指の先部分で操作可能な範囲に位置すること、若しくは、指及び該指の隣にある指で操作可能な範囲に位置すること、である。若しくは、第1押しボタン100の押圧面の中心部と第2押しボタン200の押圧面の中心部との距離が0.5cm以上4cm以下である位置にあること、である。
【0025】
実施形態1に係る押しボタン装置900の具体的な構造が図2に示される。防水ケースの筐体600には、第1開口穴610と第2開口穴620とが設けられている。第2開口穴620は第1開口穴610の隣接する位置に設けられている。第1押しボタン100は、第1開口穴610に緩挿されている。第2押しボタン200は、第2開口穴620に緩挿されている。第1押しボタン100は、上面が押圧面である円柱形状の第1押圧体110を有する。第2押しボタン200は、上面が押圧面である円柱形状の第2押圧体210を有する。
【0026】
第1押圧体110の下には第1ボタン軸120が設けられる。第1ボタン軸120は、第1押圧体110が下方向に押し下げられることにより、下方向に所定の距離である第1の距離を移動してシャッターボタン300と当接可能である。第2押圧体210の下には第2ボタン軸220が設けられる。第2ボタン軸220は、第2押圧体210が下方向に押し下げられることにより、下方向に第1の距離よりも長い距離である第2の距離を移動してシャッターボタン300と当接可能である。
【0027】
第1押圧体110の底面111と第1開口穴610の底面611との間には、第1弾性体130が挿入されている。この第1弾性体130は、図2に示されるようにバネである。第1押圧体110は第1弾性体130により弾性的に支えられている。また、第2押圧体210の底面211と第1開口穴620の底面621との間には、第2弾性体230が挿入されている。この第2弾性体230は、図2に示されるようにバネである。第2押圧体210は第2弾性体230により弾性的に支えられている。
【0028】
第1押圧体110は、第1開口穴610の底面611から第1の距離について上方に離間した位置に設けられる。また、第2押圧体210は、第2開口穴620の底面621から第2の距離について上方に離間した位置に設けられる。
【0029】
シャッターボタン300を半押ししたい場合は、例えば人差し指の先端で第1押しボタン100を押す。そうすると、第1押圧体110及び第1ボタン軸120が第1の距離について筐体下方に移動する。これによりシャッターボタン300が、露出及びフォーカス等の確定を行う半押し状態となる。そして引き続きシャッターボタン300を全押ししたい場合は、人差し指の腹で第2押しボタン200を押す。そうすると、第2押圧体210及び第1ボタン軸220が第2の距離について筐体下方に移動する。これによりシャッターボタン300が、画像の記録を行う全押し状態となる。ゆえに、半押し操作のわかりにくいような状況においても、カメラのシャッターボタン300の半押し操作と全押し操作とを、第1押しボタン100と第2押しボタン200とで明確に区別して操作することができるから誤操作が起こりにくい。さらに、第2押しボタン200は、第1押しボタン100と隣接した位置に設けられている。そのため、このように同一の指で一連の流れによりシャッターボタン300をスムーズに半押し操作から全押し操作することができる。
【0030】
また、第1押しボタン100が、第1押圧体110と、該第1押圧体110の下に設けられる第1ボタン軸120と、を有して構成される。そして、第2押しボタン200が、第2押圧体210と、該第2押圧体210の下に設けられる第2ボタン軸220と、を有して構成される。そのため、第1押圧体110に加えられる下方向への力を、第1ボタン軸120でそのまま下方向にあるシャッターボタン300に伝えることができる。また、第2押圧体210に加えられる下方向への力を、第2ボタン軸220でそのまま下方向にあるシャッターボタン300に伝えることができる。そのため、第1押圧体110や第2押圧体210に加えられる力をスムーズにシャッターボタン300に伝達することができる。
【0031】
また、第1押圧体110が第1弾性体130により弾性的に支えられているから、第1開口穴610に緩挿されている第1押しボタン100を繰り返してON・OFF操作することができる。第2押圧体210が第2弾性体230により弾性的に支えられているから、第2開口穴620に緩挿されている第2押しボタン200を繰り返してON・OFF操作することができる。
【0032】
また、第1押圧体110が、第1開口穴610の底面611から第1の距離について上方に離間した位置に設けられているから、第1押圧体110を第1開口穴610の底面611まで押し込むことで、半押し操作を簡易に行うことができる。第2押圧体210が、第2開口穴620の底面621から第2の距離について上方に離間した位置に設けられているから、第2押圧体210を第2開口穴620の底面621まで押し込むことで、全押し操作を簡易に行うことができる。
【0033】
(実施形態2)
実施形態2に係る押しボタン装置は、実施形態1に係る押しボタン装置と異なり、図3に示すように、第2ボタン軸220には連動体250が固定されている。また、第1押圧体110の下には操作体140が設けられている。操作体140は略直方体であり、操作体140の左側部は、第1押圧体110の下に固定されている。操作体140は、第1開口穴610と第2開口穴620とを貫通する貫通孔を通して、第1開口穴610と第2開口穴620とにわたり設けられている。操作体140の右側部には、穴部142が設けられており、第2ボタン軸220は、該穴部142を貫通している。操作体140の右側部の下方には、円柱形状の連動体250が第2ボタン軸220に設けられている。連動体250と操作体140とはほぼ密着して設けてある。
【0034】
操作体140は、該操作体140の底面141と第1開口穴610の底面611との間に挿入された第1弾性体130により弾性的に支えられている。第1弾性体130はバネである。連動体250は、該連動体250の底面251と第2開口穴620の底面621との間に挿入された第2弾性体230により弾性的に支えられている。第2弾性体230はバネである。操作体140は、第1開口穴610の底面611から第1の距離について上方に離間した位置に設けられている。連動体250は、第2開口穴620の底面621から第2の距離について上方に離間した位置に設けられている。
【0035】
半押し操作をする場合は、第1押しボタン100の第1押圧体110を押す。第1押圧体110が第1の距離について下方に移動する。第1押圧体の下方に設けられた操作体140も第1の距離について下方に移動する。操作体140の右側部が連動体250を下方に移動させる。連動体250は第2ボタン軸220に固定されているから、連動体250の下方への移動に伴い、第2ボタン軸220も下方へ移動する。そのため、第1の距離について第2ボタン軸220が下方へ移動して半押し操作を行うことができる。
続いて全押し操作をする場合は、引き続き第2押しボタン200の第2押圧体210を押す。第2押圧体210が下方へ全押し操作に必要な距離である第2の距離を移動し、そして第2ボタン軸220も下方へ移動する。このようにして全押し操作を行うことができる。なお、操作体140の右側部に設けられた穴部142を第2ボタン軸220が貫通しているから、全押し操作をするに際し、操作体140を移動させることはない。また、第2押圧体210の下面と操作体140の右側上面との間の距離は、操作体140の底面141と第1開口穴610の底面611との間の距離よりも、十分大きい。また、連動体250の下面と第2開口穴620の底面621との間の距離も、操作体140の底面141と第1開口穴610の底面611との間の距離よりも、十分大きい
【0036】
実施形態2に係る構成によれば、単一のボタン軸によりカメラのシャッターボタン300を押すことができる。そのため、第2ボタン軸220の下側端部がシャッターボタン300の中央部分を押すように設定することができ、シャッターボタン300の半押し操作及び全押し操作を確実に行うことができる。
【0037】
また、第1ボタン100が第1弾性体130により弾性的に支えられているから、該第1押しボタン100を繰り返してON・OFF操作することができる。また、第2ボタン200が第2弾性体230により弾性的に支えられているから、第2押しボタン200を繰り返してON・OFF操作することができる。
【0038】
また、操作体140が、第1開口穴610の底面611から第1の距離について上方に離間した位置に設けられているから、操作体140を第1開口穴610の底面611まで押し込むことで、半押し操作を簡易に行うことができる。連動体250が、第2開口穴620の底面621から第2の距離について上方に離間した位置に設けられているから、第2押圧体210を下方へ押し、連動体250を第2開口穴620の底面621まで押し込むことで、全押し操作を簡易に行うことができる。
【0039】
(実施形態3)
実施形態3に係る押しボタン装置は、実施形態1に係る押しボタン装置と異なり、図4に示すように、シーソー台410と、該シーソー台410を回動自在に支える支点420と、シーソー台410の回動動作に伴い、下方向に移動することによりシャッターボタン300を半押し及び全押しすることが可能な、移動体430と、を有する。
【0040】
支点420は、シーソー台410の中心部419から、図4の右側へ所定距離離間した位置にあり、支点420は回動自在に該シーソー台410を支える。シーソー台410の下方には、移動体430が設けられている。移動体430は略直方体であり、移動体430の下には円柱の操作軸431が設けられている。操作軸431の下端は、シャッターボタン300と当接可能である。
【0041】
シーソー台410の右側端部の下方には、シーソー台410が時計回りに回動する場合に、移動体430が第1の距離以上に下方に移動しないようにするための停止台690が設けられている。
【0042】
シーソー台410の一方の端部411の下面と移動体430との間には下部第1弾性体441が設けられる。下部第1弾性体441はバネである。シーソー台410の他方の端部412の下面と移動体430との間には下部第2弾性体451が設けられる。下部第2弾性体451はバネである。
【0043】
シーソー台410の一方の端部411と第1押圧体110との間には上部第1弾性体442が設けられる。上部第1弾性体442はバネである。シーソー台410の他方の端部412と第2押圧体210との間には上部第2弾性体452が設けられる。上部第2弾性体452はバネである。
【0044】
第1押圧体110には、上部第1弾性体442が該第1押圧体110を上方へ付勢することにより、該第1押圧体110を防水ケースの筐体600の外側へ突出しないようにするために第1規制部材190が設けられている。第1規制部材190は、図4に示されるように、断面が直角三角形である。また、第2押圧体210にも、該第2押圧体210を防水ケースの筐体600の外側へ突出しないようにするための第2規制部材290が設けられている。第2規制部材290は、断面が直角三角形である。
【0045】
図5(a)に示すように、半押し操作をする場合は、第1押しボタン100の第1押圧体110を押す。第1押圧体110が下方に移動することで、上部第1弾性体442がシーソー台410を時計回りに回動させる。シーソー台410の図面右側端部は、停止台690と当接する。これによりシーソー台410は回動操作を停止する。シーソー台410が時計回りに回動することにより、下部第1弾性体441が、半押し操作に必要な距離である第1の距離について移動体430を下方向へ移動する。移動体430が下方向へ移動することにより、移動体430の下に設けられた移動軸431がシャッターボタン300を半押しする。なお、たとえ第1押しボタン100が押圧状態から開放されても、カメラに内蔵されているコンピュータが半押し状態が入力されたことを記憶している。
続いて全押し操作をする場合は、図5(b)に示すように、一度第1押しボタン100を放し、それから第2押しボタン200の第2押圧体210を押す。第2押圧体210が下方に移動することで、上部第2弾性体452がシーソー台410を半時計回りに回動させる。シーソー台410が半時計回りに回動することにより、下部第2弾性体451が移動体430を下方向へ全押し操作に必要な距離である第2の距離について移動させる。移動体430が下方向へ移動することにより、移動体430の下に設けられた移動軸431がシャッターボタン300を全押しする。
【0046】
このように、第1押圧体110若しくは第2押圧体210の下方向への移動をシーソー台410を経由してシャッターボタン300に伝える構成によれば、第1押圧体110と第2押圧体210のいずれか一方のみが下方へ移動するから、半押し操作と全押し操作との間における誤操作が起こりにくい。
【0047】
また、第1規制部材190が設けられているから、シーソー台410が反時計回りに回動動作をする場合においても、第1押圧体110を防水ケースの筐体600の外側へ突出させることを防止することできる。第2規制部材290が設けられているから、シーソー台410が時計回りに回動動作をする場合においても、第2押圧体210を防水ケースの筐体600の外側へ突出させることを防止することできる。ゆえに、第1押圧体110や第2押圧体210が防水ケースの筐体600から外れることを防止することができる。
【0048】
(実施形態4)
実施形態4に係る押しボタン装置は実施形態3に係る押しボタン装置と異なり、図6に示すように、第1押圧体110、第2押圧体210、上部第1弾性体442、上部第2弾性体452は設けられていない。
実施形態4に係る押しボタン装置は、第1押圧体110及び第2押圧体210で操作するのではなく、シーソー型ボタン418で操作する。半押し操作をする場合は、シーソー型ボタン418の一方の端部411(シーソー型ボタン418の右側端部)の上部を押す。そうすると、シーソー型ボタン418が時計回りに回動動作をし、シーソー型ボタン418の一方の端部411の下部が停止台690に当接して、シーソー型ボタン418の回動動作が停止する。下部第1弾性体441が、半押し操作に必要な距離である第1の距離について移動体430を下方向へ移動させる。移動体430が下方向へ移動することにより、移動体430の下に設けられた移動軸431がシャッターボタン300を半押しする。
続いて全押し操作をする場合は、一度、シーソー型ボタン418から指を放し、それからシーソー型ボタン418の他方の端部412(シーソー型ボタン418の左側端部)の上部を押す。そうすると、シーソー型ボタン418が反時計回りに回動動作をし、下部第2弾性体451が縮み、下部第2弾性体451が移動体430を下方向へ全押し操作に必要な距離である第2の距離について移動させる。移動体430が下方向へ移動することにより、移動体430の下に設けられた移動軸431がシャッターボタン300を全押しする。
【0049】
このように、半押し操作及び全押し操作を、単一のボタンの一方の端部と他方の端部とを押し分けることにより、誤操作を少なくして行うことができる。
【0050】
(その他の実施形態)
【0051】
操作部を半押しするとは、操作部が一定量(第1の距離を移動)押された状態で、所定の第1の処理の実行を指示する状態である。
また、操作部を全押しするとは、操作部が半押し状態より大きく押された状態(該一定量よりも大きい量、若しくは、第1の距離よりも大きい第2の距離を移動)で、前記第1の処理とは異なる第2の処理の実行を指示する状態である。
【0052】
また、上述の実施の形態では、本発明に係る押しボタン装置をカメラの防水ケースに適用した例について記載したが、かかる場合に限定されない。例えば、本発明に係る押しボタン装置をデジタルカメラのシャッターボタンに直接設けることも可能である。
【0053】
また、上述の実施の形態では、操作部はカメラのシャッターボタン300であり、第1押しボタン100は半押し操作を行い、第2押しボタン200は全押し操作を行うものであった。しかし、かかる実施形態に限定されず、第1押しボタン100と第2押しボタン200とはそれぞれ異なるデータ入力操作を行うものでもよい。
【0054】
さらに、上述の実施の形態では、カメラの場合にける半押し状態とは、露出及びフォーカス等の確定を行う状態であり、全押し状態とは画像の記録を行う状態であるが、かかる場合に限定されない。例えば、カメラの場合にける半押し状態には、シャッタースピードの確定を行う場合も含まれる。
【0055】
また、第1押圧体110の押圧面、第2押圧体210の押圧面に、それぞれ異なる模様のレリーフを有する識別部を設けることもできる。例えば第1押圧体110の押圧面には、丸形状のレリーフである第1識別部を設けて、第2押圧体210の押圧面には正三角形状のレリーフである第2識別部を設けることができる。このように構成することにより、指先で第1押しボタン100と第2押しボタン200を認識しうるので、第1押しボタン100と第2押しボタン200とを取り間違えて誤操作を行うおそれを少なくさせることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る押しボタン装置900を有する防水ケースの筐体600には、例えば、薄型カードサイズボディに光学3倍ズーム装備を搭載したスタイリッシュなデジタルカメラを内蔵することができる。また、本実施形態に係る押しボタン装置900を有する防水ケースの筐体600には、ダイビング等による水中撮影を可能とするべく、例えば40m防水機能を有することが可能である。さらには、本実施形態に係る押しボタン装置900を有する防水ケースの筐体600には、ストラップを付けることが可能であり、ストラップを付けることにより軽快に持ち歩くことが可能である。本実施形態に係る押しボタン装置900を有する防水ケースの筐体600は、スキューバダイビングに留まらず、キャンプやフィッシングを始め、スキーやスノーボードなど、様々なアウトドアシーンやスポーツシーンで使うことができ、デジタルカメラのフィールドを大きく広げる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】(a)は、実施形態1に係る押しボタン装置を有する防水ケースの筐体を説明する図であり、(b)は断面図である。
【図2】実施形態1に係る押しボタン装置を断面で説明する図であり、第1押圧体の下には第1ボタン軸が設けられ、第2押圧体の下には第2ボタン軸が設けられる。
【図3】実施形態2に係る押しボタン装置を断面で説明する図であり、第1押圧体の下には操作体が設けられ、第2押圧体の下には連動体が設けられる。
【図4】実施形態3に係る押しボタン装置を断面で説明する図であり、第1押しボタン及び第2押しボタンの下にシーソー台が設けられる。
【図5】実施形態3に係る押しボタン装置を断面で説明する図であり、そのうち(a)は半押し状態であり、(b)は全押し状態である。
【図6】実施形態4に係る押しボタン装置を断面で説明する図であり、シーソー型ボタンが設けられる。
【符号の説明】
【0058】
100…第1押しボタン、110…第1押圧体、120…第1ボタン軸、130…第1弾性体、140…操作体、190…第1規制部材、200…第2押しボタン、210…第2押圧体、220…第2ボタン軸、230…第2弾性体、250…連動体、290…第2規制部材、300…シャッターボタン、410…シーソー台、418…シーソー型ボタン、420…支点、430…移動体、431…移動軸、441…下部第1弾性体、442…上部第1弾性体、451…下部第2弾性体、452…上部第2弾性体、600…防水ケースの筐体、610…第1開口穴、620…第2開口穴、690…停止台、700…カメラ、900…押しボタン装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧する距離に応じて異なる操作がなされる操作部を、押圧操作することで、その押圧方向に第1の距離により移動させる第1押しボタンと、
前記第1押しボタンと隣接した位置にあり、押圧操作することで、前記第1押しボタンと同じ押圧方向に、前記第1の距離よりも長い距離である第2の距離により前記操作部を移動させる第2押しボタンと、
を有することを特徴とする押しボタン装置。
【請求項2】
前記第1押しボタンは、
筐体の第1開口穴に緩挿され、上面が押圧面である柱状の第1押圧体と、
前記第1押圧体の下方に設けられ、前記第1押圧体が押し下げられることにより押下方向に前記操作部を前記第1の距離により移動させる第1ボタン軸と、を有し、
前記第2押しボタンは、
筐体の第2開口穴に緩挿され、上面が押圧面である柱状の第2押圧体と、
前記第2押圧体の下方に設けられ、前記第2押圧体が押し下げられることにより押下方向に前記操作部を前記第2の距離により移動させる第2ボタン軸と、を有する、
ことを特徴とする請求項1記載の押しボタン装置。
【請求項3】
前記第1押圧体は、該第1押圧体の底面と前記第1開口穴の底面との間に挿入された第1弾性体により弾性的に支えられ、
前記第2押圧体は、該第2押圧体の底面と前記第2開口穴の底面との間に挿入された第2弾性体により弾性的に支えられている、
ことを特徴とする請求項2記載の押しボタン装置。
【請求項4】
前記第1押圧体は、前記第1開口穴の底面から前記第1の距離について上方に離間した位置に設けられ、
前記第2押圧体は、前記第2開口穴の底面から前記第2の距離について上方に離間した位置に設けられる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の押しボタン装置。
【請求項5】
前記第1押しボタンは、
筐体の第1開口穴に緩挿され、上面が押圧面である柱状の第1押圧体を有し、
前記第2押しボタンは、
筐体の第2開口穴に緩挿され、上面が押圧面である柱状の第2押圧体と、
前記第2押圧体の下方に設けられ、前記第2押圧体が押し下げられることにより押下方向に前記操作部を前記第2の距離により移動させる第2ボタン軸と、を有し、
さらに、前記第1押しボタンは、前記第1押圧体の下方に設けられ、前記第1押圧体が押し下げられることにより、前記第2ボタン軸を押下方向に前記第1の距離により下方に移動させて、前記操作部を前記第1の距離により移動させる操作体を有する、
ことを特徴とする請求項1記載の押しボタン装置。
【請求項6】
前記第2ボタン軸には、前記操作体が押し下げられることにより、該操作体と接触することで該第2ボタン軸を押し下げる連動体が設けられている、
ことを特徴とする請求項5記載の押しボタン装置。
【請求項7】
前記操作体は、該操作体の底面と前記第1開口穴の底面との間に挿入された第1弾性体により弾性的に支えられており、
前記連動体は、該連動体の底面と前記第2開口穴の底面との間に挿入された第2弾性体により弾性的に支えられている、
ことを特徴とする請求項6記載の押しボタン装置。
【請求項8】
前記操作体は、前記第1開口穴の底面から前記第1の距離について上方に離間した位置に設けられ、
前記連動体は、前記第2開口穴の底面から前記第2の距離について上方に離間した位置に設けられる、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の押しボタン装置。
【請求項9】
シーソー台と、
前記シーソー台を、該シーソー台の中心部から一方の端部側へ所定距離離間した位置で、回動自在に支える枢軸としての支点と、
前記シーソー台の回動動作に伴い、下方向に移動することにより前記操作部を前記第1の距離及び第2の距離により移動させる、移動体と、を有し、
前記第1押しボタンは、筐体の第1開口穴に緩挿され、上面が押圧面である柱状の第1押圧体を、前記シーソー台の前記一方の端部の上方に有し、
前記第2押しボタンは、筐体の第2開口穴に緩挿され、上面が押圧面である柱状の第2押圧体を、前記シーソー台の他方の端部の上方に有し、
前記移動体は、
前記第1押圧体の押圧操作により、前記シーソー台が一方の方向に回動することで、前記操作部を前記第1の距離により移動させ、
前記第2押圧体の押圧操作により、前記シーソー台が他方の方向に回動することで、前記操作部を前記第2の距離により移動させる、
ことを特徴とする請求項1記載の押しボタン装置。
【請求項10】
前記シーソー台の一方の端部の下面と前記移動体との間には下部第1弾性体が設けられ、前記下部第1弾性体は、前記シーソー台が一方の方向への回動に伴い、前記移動体を下方へ移動させ、
前記シーソー台の他方の端部の下面と前記移動体との間には下部第2弾性体が設けられ、前記下部第2弾性体は、前記シーソー台が他方の方向への回動に伴い、前記移動体を下方へ移動させる、
ことを特徴とする請求項9記載の押しボタン装置。
【請求項11】
前記シーソー台の一方の端部と前記第1押圧体との間には上部第1弾性体が設けられ、前記上部第1弾性体は、前記第1押圧体が押圧操作されるに伴い、前記シーソー台を一方の方向に回動させ、
前記シーソー台の他方の端部と前記第2押圧体との間には上部第2弾性体が設けられ、前記上部第2弾性体は、前記第2押圧体が押圧操作されるに伴い、前記シーソー台を他方の方向に回動させる、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の押しボタン装置。
【請求項12】
前記第1押圧体は、前記上部第1弾性体が該第1押圧体を上方へ付勢したとしても、該第1押圧体を筐体の外側へ突出しないようにする第1規制部材を有し、
前記第2押圧体は、前記上部第2弾性体が該第2押圧体を上方へ付勢したとしても、該第2押圧体を筐体の外側へ突出しないようにする第2規制部材を有する、
ことを特徴とする請求項11に記載の押しボタン装置。
【請求項13】
筐体の開口穴に緩挿されているシーソー型ボタンと、
前記シーソー型ボタンを、該シーソー型ボタンの中心部から一方の端部側へ所定距離離間した位置で、回動自在に支える枢軸としての支点と、
前記シーソー型ボタンの回動動作に伴い、下方向に移動することにより操作部を前記第1の距離及び第2の距離により移動させる、移動体と、を有し、
前記第1押しボタンは、前記シーソー型ボタンの前記一方の端部であり、
前記第2押しボタンは、前記シーソー型ボタンの他方の端部であり、
前記移動体は、
前記第1押しボタンを押圧することで、前記シーソー型ボタンが一方の方向に回動して、前記操作部を前記第1の距離により移動させ、
前記第2押しボタンを押圧することで、前記シーソー型ボタンが他方の方向に回動して、前記操作部を前記第2の距離により移動させる、
ことを特徴とする押しボタン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−26683(P2009−26683A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190684(P2007−190684)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】