説明

持続性薬物放出組成物

本発明は、1以上の医薬的活性物質を送達するための持続放出型製剤に関する。この製剤は、架橋ハイアミロース澱粉及び少なくとも一つの医薬的活性物質を含んでなり、更に小さい製剤に細分割される際に、この更に小さい製剤はそれが誘導された元の製剤と実質的に同じ持続放出特性を有する。この製剤は、少なくとも24時間までの持続放出を提供することができ、またその分割可能性は、活性物質のレシピエント又は該活性物質を投与するヒトが該活性物質の投与量を用量設定することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には持続放出型の薬物組成物に関し、更に特定すれば、より小さい用量製剤に細分割される際に、該より小さい用量製剤が、それが誘導された元の組成物と実質的に同じ薬物放出プロファイルを示す持続放出型の薬物組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、医薬的活性物質又は薬物を送達するための経口用量製剤は、消化管を通過する際に前記活性物質を放出する。前記活性物質が送達される消化管の部分は、関与する送達システムの種類に一部依存する。一定の送達システムは活性物質を迅速に放出して、例えば、最大の血中薬物濃度への迅速な上昇を導き、続いて、通常は薬物が身体から除去されるに伴って迅速な濃度減少を導く。薬物濃度が迅速に上昇及び/又は減少すれば、薬物が治療的に有効である時間ウインドウは狭くなるであろう。その結果、持続的な治療効果を得るためには、複数の薬物用量を逐次的に投与することが必要とされる。加えて、この方法において身体への薬物の放出が制御されなければ、当該薬物に伴う副作用は制御できず、薬物は治療を必要としている部位に効果的に送達されない可能性がある。
【0003】
薬物放出を制御し、それにより持続的な活性物質の放出を提供して、一つの組成物から持続的な効果を得るために、種々の組成物及び用量製剤が使用されてきた。例えば、薬物の放出を制御する周知の方法は、固体コアにコーティングを適用することである。例えば、ポリマーコーティングは、コアの表面に速度制御膜を生じさせることができる。従って、治療薬の放出速度は、該コーティングの厚さ、該コーティングを通過する治療薬の拡散、及び該コーティングの生体内分解の速度を含む複数の因子によって変化させることができる。投与の際又は投与の後に、コートされた用量製剤が破砕又は損傷を受ければ、該コーティングはもはや効果的な速度制御膜を提供せず、薬物がコアから迅速に放出されてしまう結果を生じる可能性がある。
【0004】
薬物投与計画は、それが急性であれ慢性であれ、患者毎に異なっていてよい。異なる患者は、与えられた薬物用量に対して異なる治療的応答を有し得る。更に、医者は時々、当該患者に関して、薬物の最適血中濃度に伴う副作用の頻度及び重篤度を最小化するために、推奨用量よりも小さい用量の薬物で開始し、経時的に用量を増大させて用量設定する。或いは、幾人かの患者及び/又は幾つかの薬物療法について、医者は、最大かつ迅速な治療的利益を達成するために高用量又は負荷用量の薬物で開始し、次いで、投与される用量を減少させて効果を維持する。このような薬物投与計画は、投与される用量についての正確な制御を必要とし、これは例えば、各々が当該薬物のより小さい用量を有するサブユニットに細分割され得る単一の錠剤を使用して達成することができ、ここでの各サブユニットは、それらが誘導された元の錠剤と同様に薬物を送達する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、より小さい製剤に細分割又は破砕されたる際に、元の製剤と実質的に同じ持続放出プロファイルを達成し、且つ便利に薬物投与計画の変更を可能にする医薬的活性物質の製剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、より小さい製剤に細分割することができる、固形の持続的薬物放出製剤を提供する。このより小さく細分化された用量製剤は、それらが引き起こされた元の固形製剤と実質的に同じ薬物放出動力学を提供する。本明細書において提供される製剤は、レシピエント、治療する医師又は薬物を投与するヒトが、前記レシピエントに対して適切な量の薬物をより正確且つ精密に送達するために使用できる、より小さい製剤を都合良く引き起こすことを可能にする。
【0007】
一つの側面において、本発明は、固形のモノリシックな持続放出型の医薬組成物であって:(a)溶媒がアクセス可能な表面を有し、且つ架橋ハイアミロース澱粉を含んでなる持続放出型マトリックスと;(b)前記マトリックス中に配置される有効量の少なくとも一つの医薬的活性物質とを含んでなる、前記医薬組成物を提供する。該組成物は約100Nよりも大きな、例えば約100N〜約350Nの範囲の硬度を有する。
斯かる組成物は、哺乳動物、例えばヒトへ投与される際に、最初の投与から少なくとも約1時間後〜少なくとも約24時間後、有効な血漿中濃度、例えば治療的に有効な血漿中濃度を達成する。該組成物は、溶媒がアクセス可能な表面を含んでおり、該表面は1以上の刻み目を規定してもよく、該刻み目は、当該組成物を該刻み目に沿って細分割して、各々が溶媒がアクセス可能な新たな表面を有する少なくとも二つのサブユニットを生じさせることを可能にする。得られるサブユニットの少なくとも一つは、それらが誘導された元の原型の(intact)組成物と実質的に同じ活性物質放出動力学を有する。更に、当該サブユニットの少なくとも一つ及びそれが誘導された元の組成物の溶出プロファイルは、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、及び少なくとも80%の類似率(similarity factor)を有する。
【0008】
もう一つの側面において、本発明は、固形の持続放出型の医薬組成物であって:(a)溶媒がアクセス可能な表面を有し、且つ架橋ハイアミロース澱粉を含んでなる持続放出型マトリックスと;(b)前記マトリックス中に配置される有効量の医薬的活性物質とを含んでなる、前記医薬組成物を提供する。該組成物は、(i)当該組成物を刻み目の沿って破砕し(broaken)、又は細分割して、溶媒がアクセス可能な新たな表面を形成する際に、実質的に同じ放出動力学を示し、及び/又は(ii)各サブユニットが、それらが誘導された元の組成物と実質的に同じ放出プロファイルで活性物質を放出する少なくとも二つのサブユニットに分割することができる。
該組成物は、約100Nよりも大きい硬度を有し、例えば約100N〜約350Nの硬度を有する。斯かる組成物は、本質的にモノリシック的であることができる。元の製剤を分割又は破砕することによって形成される、溶媒がアクセス可能な新たな表面は、元の原型の製剤の溶媒がアクセス可能な元の表面と同様、水性溶媒に露出される際に膜様の性質を有するバリアを形成することができる。
【0009】
少なくとも一つのサブユニット及びそれが誘導された元の組成物の溶出プロファイルは、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、及び少なくとも80%の類似率を有する。該サブユニット及びそれらが誘導された元の原型の組成物は、生物学的同等性を有するように設計することができ、また各サブユニットは、少なくとも約12時間、約18時間、又は少なくとも24時間、活性物質を放出することができる。
本明細書に記載される組成物は、約15重量%〜約60重量%の活性物質(active ingredient)及び持続放出マトリックスを規定する約15重量%〜約85重量%の放出制御性賦形剤、約20重量%〜約50重量の活性物質及び約20重量%〜約50重量%の放出制御性賦形剤、又は約35重量%〜約50重量%の活性物質及び約20重量%〜約50重量%の放出制御性賦形剤をむ。
【0010】
本発明の実施においては、多くの様々な放出制御性賦形剤が有用であることが熟慮される。該放出制御性賦形剤は、架橋ハイアミロース澱粉を含んでなるものである。一定の実施形態において、この架橋ハイアミロース澱粉はオキシ塩化リンによって架橋され、及び/又はヒドロキシプロピル側鎖を含んでなるものである。一定の他の実施形態において、この架橋ハイアミロース澱粉は、約65重量%〜約75重量%のアミロースを含有し、またオキシ塩化リンによって架橋される。本発明の実施において有用な一つの好ましい架橋ハイアミロース澱粉は、カナダ国ラーバルのラボファーム(Labopharm)社から商業的に入手可能な架橋ハイアミロース澱粉であるCONTRAMID(登録商標)として知られている。
【0011】
多くの異なる医薬的活性物質を、本発明の組成物及び製剤の中に組込むことができることが熟慮される。このような活性物質には、例えば、抗鬱剤(例えばトラゾドン)、及び鎮痛剤(例えばトラマドール及びアセトアミノフェン)又はそれらの組み合わせ)が含まれる。一つ、二つ、又は三つ以上の活性物質を、本明細書に記載される製剤の中に組み込むことができることが熟慮される。
加えて、当該持続放出型の医薬組成物は、1以上の医薬添加剤を含んでいてもよい。医薬添加剤の例としては、結合剤(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、可溶化剤(例えばポビドン、又は塩化セチルピリジニウム)、酸性化剤(例えばアルギン酸)、造孔剤(pore forming agent)(例えばスクロース)、潤滑剤(例えばナトリウムステアリルフマラート)、及び流動促進剤(例えばコロイド状二酸化ケイ素)が挙げられる。
【0012】
当該持続放出型医薬組成物は、経口投与に適したタブレット及びカプレットのような種々の形状及び形態に処方することができる。一つの実施形態において、本発明はカプレットを提供する。このような錠剤及びカプレットは、片側又は両側に刻み目を入れることができ、及び/又は複数の刻み目を有することができる。
また、本明細書に記載される製剤を製造する方法、及び斯かる製剤を使用する方法も提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明は添付の図面によって例示されるが、これらに限定されるものではない。
本発明は、一部は、持続放出型組成物を細分割する、例えばサブユニット又はより小さい製剤に破砕又は分離する際に、得られたサブユニット又はより小さい製剤の少なくとも一つが、それらが誘導された元の原型の組成物と実質的に同じ薬物放出プロファイルを有するような、持続放出型組成物を処方することが可能であるという発見に基づいている。斯かる持続放出型組成物は、細分割されたものであっても或いは原型のものであっても、約12時間まで、約18時間まで、又は約24時間までの時間に亘って制御される活性物質の放出速度を提供する。斯かる持続放出型組成物を投与した後、患者の薬物血漿中濃度は、例えば12時間まで、18時間まで、及び24時間まで制御されてもよい。細分割(サブユニットに破砕又は分離される)されれば、持続放出型組成物又は制御放出型組成物は、それらの持続放出特性を喪失する可能性、即ち、サブユニットは迅速かつ制御されない方法で活性物質を放出する可能性があるので、この発見は驚くべきことであった。
【0014】
従って、一つの側面において、本発明は、固形のモノリシックな持続放出型の医薬組成物であって:(a)溶媒がアクセス可能な表面を有し、且つ架橋ハイアミロース澱粉を含んでなる持続放出型マトリックスと;(b)前記マトリックス中に配置される有効量の少なくとも一つの医薬的活性物質とを含んでなる、前記医薬組成物を提供する。該組成物は約100Nよりも大きい、例えば約100N〜約350Nの範囲の硬度を有する。
【0015】
本明細書で使用されるとおり、用語「有効量」には、治療的有効量及び用量設定レジメンに適した量等が含まれ得るが、ここでは例えば、副作用を最小化しながら最大の治療効果を達成するために、複数の錠剤又は細分割された錠剤を投与する必要がある。
用語「治療効果」は、当該技術において認識されており、動物、特に哺乳動物、更に特定すればヒトにおいて、薬理学的活性物質により生じる局部的又は全身的効果を意味する。従って、この用語は、動物又はヒトにおける病気の診断、治癒、緩和、治療又は予防において、或いは、望ましい生理学的もしくは精神的発達及び/又は状態の向上において使用することを目的とした何れかの物質を意味する。「治療的有効量」なる言い回しは、何れかの治療に適用可能な合理的な利益/リスク比で、いくらかのの望ましい局部的もしくは全身的な効果を生じるような斯かる物質の量を意味する。斯かる物質の治療的有効量は、治療される被験者及び疾患状態、当該被験者の体重及び年齢、疾患状態の重篤度、並びに投与の方法等に依存して変化するが、これは当業者が容易に決定できる。例えば、本発明の一定の組成物は、斯かる治療に適用可能な合理的な利益/リスク比の量を生じるのに充分な量で投与されてもよい。
【0016】
もう一つの側面において、本発明は、固形の持続放出型医薬組成物であって:(a)溶媒がアクセス可能な表面を有し、且つ架橋ハイアミロース澱粉を含んでなる持続放出型マトリックスと;(b)前記マトリックス中に配置される有効量の医薬的活性物質とを含んでなる、前記医薬組成物を提供する。該組成物は、(i)当該組成物を破砕し(breaking)又は破砕する(fracturing)ことにより細分割して溶媒がアクセス可能な新たな表面を形成する際に、実質的に同じ放出動力学を示し、及び/又は(ii)各サブユニットが、それらが誘導された元の組成物と実質的に同じ放出プロファイルで活性物質を放出する少なくとも二つのサブユニットに分割することができる。
これらの製剤は本質的にモノリシックであってよい。本明細書で使用される用語「モノリシック」は、当該組成物が層状にではなく実質的に均一に溶出又は崩壊しながら、活性物質を実質的に均一に放出する組成物を意味すると理解される。
【0017】
上記の組成物は、約100Nよりも大きい硬度を有する。該組成物は、典型的には、約110N〜約350Nの範囲の硬度を有する。従って、該組成物は、110N、120N、又は140N以上の硬度を有することができる。好ましい硬度は、約100N〜約180N、又は110N〜約140N、又は約140N〜約180Nに亘る。例えば、この硬度は、錠剤のサイズに応じて変化してよく、例えば小さい錠剤は約100N〜約140Nの硬度を有してよく;大きい錠剤は約220N〜260Nの硬度を有してよい。本明細書で使用されるとおり、用語「硬度」は、従来の医薬硬度試験装置によって測定する際の直径破砕強度(diametral breaking strength)を記述するために使用される。好ましくは、斯かる圧縮は単一のプロセスで行われる。
【0018】
持続放出型マトリックスには、放出制御性賦形剤が含まれる。当該組成物は、約15重量%〜約60重量%の医薬的活性物質と、約15重量%〜約85重量%の放出制御性賦形剤を含む。この放出制御性賦形剤は、哺乳動物(例えばヒト)に経口で投与される際に、最初の投与から約24時間後まで、医薬的活性物質が効果的及び/又は制御された血漿中濃度、例えば、有効血漿中濃度を達成及び/又は維持することを可能にする。斯かる放出動力学は、原型の組成物(例えば錠剤)がサブユニットに切断、分離又は細分割される際に、実質的に同じである。
【0019】
図1に示すように、例示的な固形の持続放出型組成物10は、(i)内部又はコア20及び溶媒がアクセス可能な表面30を有する持続放出性マトリックス;及び(ii)その中に配置される医薬的活性物質40を含む。該持続放出性マトリックスは、架橋ハイアミロース澱粉のような放出制御性賦形剤を含む。固形製剤のような組成物が破砕又は分割されてサブユニット60を生じる際に、各サブユニットは、溶媒がアクセス可能な元の表面30の一部と、新たに露出される溶媒がアクセス可能な表面70を含む。理論に拘束されることを望まずに、放出制御性賦形剤、例えば架橋ハイアミロース澱粉は、膜、例えば半透膜又はバリア層を形成してもよく、該膜は、例えば前記溶媒がアクセス可能な表面(30及び70)を覆っているか、或いは該表面上にあり、又は該表面の一部を構成してよい。斯かるバリアは、細分割された又は原型の製剤中の活性物質の、実質的に安定な放出動力学に寄与し得る。
【0020】
原型の固形の持続放出型組成物10は、図1に透視線で示すように、任意に1以上の刻み目50を含む。この刻み目は、原型の錠剤の細分割をガイドするために使用することができる。図1は、二つの隣接する刻み目を備えた錠剤を示しているが、しかしながら、三つ以上のサブユニットが望ましければ、該錠剤はより多くの刻み目を含むことができることが熟慮される。
従って、本発明は、固形の持続放出型製剤であって:架橋ハイアミロース澱粉及び医薬的活性物質を含み、前記固形製剤はサブユニットに分離でき、各サブユニットは原型の又は破砕されていない固形製剤と実質的に同じ持続放出特性を有する固形製剤を提供する。製剤は、例えば二つの実質的に等しい断片に二分割されてよく、或いは他の断片、例えば第三もしくは第四の断片に分割されてもよい。また、製剤は等しくない区画、例えば[3分の1/3分の2]に分割されてもよい。
【0021】
本明細書に記載した原型の又は分離された持続型製剤のインビトロ溶出プロファイルを、適合因子(fit factor)又は他の数学的比較(mathematical comparison)を使用して比較してもよい。斯かる適合因子は当業者に知られており、異なる製剤の生物学的同等性を予測するために使用される。適合因子f1は、二つの曲線の間の相対誤差、換言すれば、全ての測定点上での平均の相対的差を表す。適合因子f1はときどき、差因子と称される。各サンプル点についての平均相対差は、生物学的同等性については約0〜約15%であるべきである。幾つかの実施態様において、組成物及び/又は製剤は、原型の製剤と該原型の製剤のサブユニットとの間に、約15%未満、約10%未満、又は約7%未満の類似率を有する。適合性因子f2は、二つの曲線間の平均二乗差の対数変換である。適合因子f2は、時には、類似率(similarity factor)と称される。この類似率は、例えば、サブユニット製剤と原型の製剤との間で、生物学的同等性について約50%〜約100%であるべきである。幾つかの実施態様において、組成物及び/又は製剤は、原型の製剤と該原型の製剤から誘導されたサブユニットの間で、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、及び少なくとも80%の類似率を有することができる。
【0022】
本明細書に記載される製剤は、活性物質の血漿中濃度における上昇を提供することができ、その後、これは当該製剤がサブユニットに分離されたものか、又は原型の製剤であるかには関係なく、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、又は少なくとも24時間以上、比較的かつ実質的に安定なままである。1時間〜24時間の血漿中濃度は、平均血漿中濃度の約45%以内、より好ましくは平均血漿中濃度の約30%以内、最も好ましくは平均血漿中濃度の約15%以内残ってもよい。一定の製剤では、摂取後1時間以内の活性物質の初期の迅速な放出の後に、少なくとも約24時間、活性物質はほぼゼロ次速度過程(zero order kinetics)でインビボ放出されて、プラトー血漿中濃度に達する。
【0023】
特定の持続放出製剤における用量は、患者が必要とするニーズ及び治療する医師の特殊な要求に応じて、大きく変化させることができる。例えば、本発明の何れかの組成物の用量は、症状、患者の年齢及び体重、治療又は予防する疾患の性質及び重篤度、投与の経路、並びに主題組成物の形態に応じて変化する。本発明の組成物の用量は、当業者に既知の技術によって、又は本明細書に教示するようにして容易に決定し得る。所定の患者における最も効果的な治療を生じるいずれの特定の主題組成物の正確な投与時間及び量は、主題組成物の活性、薬物動態、及び生物学的利用能、患者の生理学的条件(年齢、性別、疾患の種類及びステージ、一般的身体条件、所定の用量及び薬物療法の種類に対する応答性を含む)、並びに投与経路等に依存する。本明細書で提示するガイドラインは、治療を最適化するために、例えば投与の最適な時間及び/又は量を決定するために使用することができ、それは被験者をモニターすること、並びに用量及び/又はタイミングを調節することからなるルーチンの実験を必要とするに過ぎない。
【0024】
特定の持続的用量は、本明細書に開示した製剤を、実質的に同じ持続放出プロファイルを有する、実質的に同様であるがより小さい製剤に破砕することによって、該製剤を使用して調節することができる。例えば、より小さい用量は、体重の軽い患者のため、及び/又は小児科での使用のために有用であってもよい。或いは、患者にとって更に許容可能であり得る、より小さい形態の一つの製剤が与えられてもよい。例えば、患者は、或る製剤を、該製剤の持続放出特性を維持しながら飲込むのが容易な成分に分割できるかもしれない。一つの製剤を用いて患者毎に用量を変化させる能力は、例えば医者又は薬剤師にとっても便利であろう。
【0025】
幾人かの患者にとって、典型的な推奨用量は必要とされるよりも大きく、副作用の機会を増大させる可能性がある。例えば、トラマドールを摂取している患者は、眩暈、悪心及び便秘を含む副作用を報告した。トラゾドン製剤について報告された副作用には、眩暈、ドライマウス、神経過敏及び疲労が含まれる。ベータヒスチジンを摂取している患者は、胃の不調(gastric upset)、悪心及び頭痛を報告した。
副作用を低減するための一つのアプローチは、用量漸増である。例えば、即時的な反応を必要としない患者のために、推奨される用量の約1/4から約1/2の用量を最初に投与し、次いで、例えば2〜4週間に亘って経時的に、所望の効果が得られるまで用量を漸増又は増大させてよい。急性症状の場合、漸増は数週間ではなく数日間で行うことができる。開示された製剤は、例えば、原型の形態をより小さい用量のために個別に摂取することができるサブセクションに分割し、次いでより大きな用量のためにより大きなサブセクションもしくは原型の形態で摂取することにより、このような用量漸増投与計画において使用することができる。用量漸増は、例えばオピオイドのような鎮痛薬の投与において、許容可能なレベルの副作用を維持しながら痛みの緩和を達成するために頻繁に使用される。
【0026】
この開示された製剤は、例えば推奨用量で開始した後に、患者のニーズに従って用量を低下させるような投与計画において使用されてもよい。例えば、斯かる投与計画は、本明細書に開示した原型の製剤を投与し、次いで原型の形態を、各々がより小さい用量のために個別に摂取できるサブユニットに分割することによって達成されてよい。
本発明による組成物は、通常は錠剤の形態で調製される。該錠剤は、当業者に周知の広範な形状を取ることができるが、好ましい形状はカプレットである。斯かるカプレットは、例えば、放出制御性賦形剤及び少なくとも一つの活性物質を含む組成物を用い、また当業界で知られる錠剤化機械にセットされた上部パンチ及び下部パンチ(upper and lower punches)を使用して形成してもよい。幾つかの実施態様において、錠剤はコーティング、例えば着色剤を含む不活性コーティングを含んでいてもよい。適切なコーティングには、例えば、ポリビニルアルコール、タルク、及びマクロゲル(macrogel)など、並びにこれらの混合物のような水性フィルムコーティングポリマーが含まれる。適切な着色剤には、例えば、酸化鉄、レーキ、天然色素、及び当業者に既知の他の着色剤が含まれる。好ましくは、斯かるコーティングは、放出動力学、例えば、原型の状態又は細分割される際の製剤の溶出特性に影響しない。
【0027】
幾つかの実施態様において、製剤、例えば錠剤には刻み目が付されていてもよい。好ましくは、刻み目を付した錠剤又は刻み目を付さない錠剤は、高い破砕精度で破砕され、それにより、得られた各細分割物からのマッチングした又は比例した放出プロファイルを保証する。破砕精度は、例えば、同じ錠剤の分離された(例えば二分割された)部分の質量の均一性を評価することによって決定してもよい。錠剤の質量均一性は、均一性のU.S.P.試験限界(6%未満のRSD)を使用して、錠剤の切断された部分(section)の平均質量からの相対標準偏差(RSD)によって決定してもよい。図5は、以下の実施例2に記載した例示的製剤について、斯かる製剤に関して、6%未満のRSDの質量均一性のために必要とされる最小の錠剤硬度が約110Nであることを示す。
刻み目は、種々の深さ、例えば錠剤カップ深さの約0%(例えば刻み目なし)から約95%までの、種々の深さを有していてもよい。各錠剤は、一つ、二つ、又は更に多くの刻み目を有していてもよく、及び/又は錠剤の片側もしくは両側に刻み目を有していてもよい。以下の実施例1に見られるように、刻み目は、原型のときの錠剤又は刻み目に沿って破砕される際の錠剤の放出プロファイルには実質的に影響しない。
【0028】
当該製剤は、下記の実施例に記載したインビトロプロファイルを有していてもよい。このインビトロ放出プロファイルは、U.S.P.パドル法(U.S.P.XXVIに記載された装置タイプII(apparatus type II))を使用して、150回転/分、37±0.5℃の温度において、900mLのヒドロクロリド/塩化ナトリウムpH1.2溶液中で(酸段階)、続いて1時間後には、900mLのリン酸ナトリウム一塩基性バッファーpH6.0中(緩衝液段階)で測定することができる。幾つかの実施態様において、製剤は放出動力学を有し、それによって前記方法により試験される際に、活性物質の約30%以下が実験の開始後1時間までに放出され、活性物質の約35%〜55%が6時間までに放出され、活性物質の約80%以下が12時間までに放出され、及び/又は、活性物質の約80%以上が24時間までに放出される。
本明細書で熟慮される製剤は、例えば平均で、正規母集団内において、約4回目の投与の後に定常状態に達し得る。定常状態において斯かる製剤により生じるピーク−トラフの比率は、約60%〜約100%であってもよい。
【0029】
本明細書に記載される製剤は、医薬的活性物質及びその誘導体の送達において特に有用である。誘導体には、医薬的に許容可能なプロドラッグ、代謝物、塩及びエステルなどが含まれる。例えば、用語「医薬的に許容可能な塩」は、当該技術において認識されており、比較的無毒の、当該化合物の無機及び有機の酸付加塩を意味し、例えば、本発明の組成物に含まれるものが含まれる。
用語「医薬的活性物質」は、被験者において局部的又は全身的に作用する生物学的、生理学的又は薬理学的に活性な物質である何れかの化学的成分を意味する。本明細書において「薬物」とも称する医薬的活性物質の例は、周知の参照文献、例えば「メルクインデックス」、「医師のデスク参考書(the Physicians Desk Reference)」、「治療学の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」に記載されており、限定されるものではないが、それらには医薬;ビタミン;ミネラルサプリメント;疾患又は病気の治療、予防、診断、治癒もしくは緩和のために使用される物質;身体の構造もしくは機能に影響する物質;又は生理学的環境におかれた後に生物学的に活性に、又はより活性になるプロドラッグが含まれる。
【0030】
本明細書で熟慮される組成物及び製剤は、1以上の医薬的活性物質を含んでいてよい。例えば、組成物は二つ、又は三つ以上の異なる医薬的活性物質を含んでいてもよい。
本発明の医薬的活性物質は、当該組成物の目的と共に広範に変化することができる。一つ又は複数の異なる医薬的活性物質が、本明細書に記載される製剤中に含められることが熟慮される。有用な医薬的活性物質の広範なカテゴリーの非限定的な例には、以下の治療的カテゴリーが含まれる:同化剤、制酸剤、抗喘息剤、抗コレステロール血症剤及び抗脂質剤、抗凝固剤、抗痙攣剤、抗下痢剤、制吐剤、抗感染剤、抗炎症剤、抗躁剤、抗悪心剤、抗腫瘍剤、抗肥満剤、解熱剤及び鎮痛剤、抗痙攣剤、抗血栓剤、抗尿毒症剤(anti-uricemic agent)、抗狭心症剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、食欲抑制剤、生物製剤、脳血管拡張剤、冠動脈拡張剤、鬱血除去剤、利尿剤、診断薬、赤血球生成剤、去痰剤、胃腸鎮静剤、血糖上昇剤、催眠剤、血糖降下剤、イオン交換樹脂、緩下剤、ミネラルサプリメント、粘液溶解剤、神経筋作用薬、抹消血管拡張剤、向精神剤、鎮静剤、刺激薬、甲状腺剤及び抗甲状腺剤、子宮弛緩剤、ビタミン、及びプロドラッグ。
【0031】
より詳細に言えば、有用な医薬的活性物質の非限定的例には以下の治療カテゴリーが含まれる:鎮痛剤、例えば非ステロイド系抗炎症薬、オピエートアゴニスト、及びサリチラート;抗ヒスタミン剤、例えばH1ブロッカー及びH2ブロッカー;抗感染剤、例えば駆虫薬、抗嫌気性菌剤、抗生物質、アミノグリコシド抗生物質、抗真菌性抗生物質、セファロスポリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質、種々のβラクタム系抗生物質、ペニシリン系抗生物質、キノロン系抗生物質、スルホンアミド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、抗マイコバクテリア剤、抗結核性抗マイコバクテリア剤、抗原虫剤、抗マラリア性抗原虫剤、抗ウイルス剤、抗レトロウイルス剤、抗疥癬虫薬、及び抗尿路感染薬;抗腫瘍剤、例えばアルキル化剤、ナイトロジェンマスタードアルキル化剤、ニトロソ尿素アルキル化剤、代謝拮抗剤、プリン類似体代謝拮抗剤、ピリミジン類似体代謝拮抗剤、ホルモン系抗腫瘍剤、天然抗腫瘍剤、抗生物質系天然抗腫瘍剤、ビンカアルカロイド系天然抗腫瘍剤;自律神経作動薬、例えば抗コリン作動薬、抗ムスカリン性抗コリン作動薬、麦角アルカロイド、副交感神経作動薬、コリン作動性アゴニスト系副交感神経作動薬、コリンエステラーゼ阻害剤系副交感神経作動薬、交感神経遮断薬、αブロッカー系交感神経遮断薬、βブロッカー系交感神経遮断薬、交感神経作動薬、及びアドレナリン作動性アゴニスト系交感神経作動薬;心血管作動薬、例えば抗狭心症剤、βブロッカー系抗狭心症剤、カルシウムチャンネルブロッカー系抗狭心症剤、ニトラート系抗狭心症剤、抗不整脈剤、強心剤グリコシド系抗不整脈剤、クラスI抗不整脈剤、クラスII抗不整脈剤、クラスIII抗不整脈剤、クラスIV抗不整脈剤、抗高血圧剤、αブロッカー系降圧剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)系降圧剤、βブロッカー系降圧剤、カルシウムチャンネルブロッカー系降圧剤、中枢作用アドレナリン作動性降圧剤、利尿性降圧剤、抹消血管拡張剤系降圧剤、抗脂血症剤、胆汁酸金属イオン封鎖剤系抗脂血症剤、HMG−COAレダクターゼ阻害剤、抗脂血症剤、強心剤(inotrope)、強心配糖体強心剤(cardiac glycoside inotrope)、及び血栓溶解剤;皮膚科学薬剤、例えば抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、コルチコステロイド系抗炎症剤;電解質剤(electrolytic agent)及び腎臓作用薬、例えば酸性化剤、アルカリ性化剤、利尿剤、炭酸アンヒドラーゼ阻害剤系利尿剤、ループ利尿剤、浸透圧利尿剤、カリウム保持性利尿剤、チアジド系利尿剤、電解質置換剤(electrolyte replacement agent)、及び尿酸排泄剤;酵素、例えば膵臓酵素、及び血栓溶解酵素;消化管作用薬、例えば止痢薬、制吐剤、消化管抗炎症剤、サリチラート系消化管抗炎症剤、制酸性抗潰瘍剤、胃酸ポンプ阻害剤系抗潰瘍剤、胃粘膜抗潰瘍剤、H2ブロッカー抗潰瘍剤、胆石溶解剤、消化薬、催吐薬、緩下薬、及び便軟化剤、消化管運動賦活薬;血液作用薬、例えば抗貧血剤、造血性抗貧血剤、凝血剤、抗凝血剤、止血性凝固剤、血小板阻害剤凝血剤、血栓溶解酵素凝血剤、及び血漿容積増量剤;ホルモン及びホルモン修飾剤、例えば堕胎薬、副腎作用薬、副腎皮質ステロイド剤、アンドロゲン、抗アンドロゲン、抗糖尿病剤、スルホニル尿素抗糖尿病剤、抗低血糖剤、経口避妊薬、プロゲスチン避妊薬、エストロゲン、妊娠促進薬、分娩促進剤、副甲状腺作用薬(parathyroid agent)、下垂体ホルモン、プロゲスチン、抗甲状腺剤、甲状腺ホルモン、及び子宮収縮抑制剤;免疫生物学的薬剤、例えば免疫グロブリン、免疫抑制剤、トキソイド、及びワクチン;局所麻酔剤、例えばアミド局所麻酔剤及びエステル局所麻酔剤;筋骨格作用薬、例えば、抗痛風抗炎症剤、副腎皮質系抗炎症剤、金化合物系抗炎症剤、免疫抑制性抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、サリチラート系抗炎症剤、骨格筋弛緩薬、神経筋ブロッカー系骨格筋弛緩薬、及び逆神経筋ブロッカー系骨格筋弛緩薬(reverse neuromuscular blocker skeletal muscle relaxant);神経学的薬剤、例えば抗痙攣剤、バルビツラート抗痙攣剤、ベンゾジアゼピン抗痙攣剤、抗偏頭痛剤、抗パーキンソン薬、抗眩暈剤、オピアートアゴニスト、及びオピアートアンタゴニスト;向精神剤、例えば抗鬱剤、ヘテロ環抗鬱剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗鬱剤、抗躁病剤、抗精神病薬、フェノチアジン系抗精神病薬、抗不安薬、鎮静剤、及び催眠剤、バルビツラート系鎮静剤及び催眠剤、ベンゾジアゼピン系抗不安剤、鎮静剤及び催眠剤、及び覚醒剤;呼吸器系薬剤、例えば鎮咳薬、気管支拡張剤、アドレナリン作動性アゴニスト系気管支拡張剤、抗ムスカリン系気管支拡張剤、去痰剤、粘膜溶解剤、呼吸器抗炎症剤、及び呼吸器副腎皮質ステロイド系抗炎症剤;毒物学的薬剤、例えば解毒剤、重金属アンタゴニスト/キレート化剤、物質濫用剤(substance abuse agent)、物質濫用抑制剤(diterrent substance abuse agent)、及び物質濫用離脱剤(withdrawal substance abuse agent);ミネラル;並びにビタミン、例えばビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、及びビタミンK。
【0032】
上記カテゴリーに由来する有用な医薬的活性物質の好ましい分類には、下記のものが含まれる:(1)非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)系鎮痛剤、例えばジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、及びナプロキセン;(2)オピアートアゴニスト系鎮痛剤、例えばコデイン、フェンタニル、トラマドール、ヒドロモルホン、及びモルヒネ;(3)サリチラート系鎮痛剤、例えばアスピリン;(4)H1ブロッカー系抗ヒスタミン剤、例えばクレマスチン及びテルフェナジン;(5)H2ブロッカー系抗ヒスタミン剤、例えばシメチジン、ファモチジン、ニザジン、及びラニチジン;(6)抗感染症剤、例えばムピロシン;(7)抗嫌気性抗感染症剤、例えばクロラムフェニコール及びクリンダマイシン;(8)抗真菌性抗生物質系抗感染症剤、例えばアンホテリシンb、クロトリマゾール、フルコナゾール、及びケトコナゾール;(9)マクロライド抗生物質系抗感染症剤、例えばアジスロマイシン及びエリスロマイシン;(10)種々のβラクタム抗生物質系抗感染症剤、例えばアズトレオナム及びイミペネム;(11)ペニシリン抗生物質系抗感染症剤、例えばナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、及びペニシリンV;(12)キノロン抗生物質系抗感染症剤、例えばシプロフロキサシン、及びノルフロキサシン;(13)テトラサイクリン抗生物質系抗感染症剤、例えばドキシサイクリン、ミノサイクリン、及びテトラサイクリン;(14)抗結核性抗マイコバクテリア系抗感染症剤、例えばイソニアジド(INH)、及びリファンピン;(15)抗原虫性抗感染症剤、例えばアトバクオン及びダプソン;(16)抗マラリア抗原虫性抗感染症剤、例えばクロロキン及びピリメタミン;(17)抗レトロウイルス抗感染症剤、例えばリトナビル及びジドブジン;(18)抗ウイルス性抗感染症剤、例えばアシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロンα、及びリマンタジン;(19)アルキル化抗腫瘍剤、例えばカルボプラチン及びシスプラチン;(20)ニトロソ尿素アルキル化抗腫瘍剤、例えばカルムスチン(BCNU);(21)代謝拮抗剤系抗腫瘍剤、例えばメトトレキサート;(22)ピリミジン類似体抗代謝物系抗腫瘍剤、例えばフルオロウラシル(5−FU)及びゲムシタビン;(23)ホルモン系抗腫瘍剤、例えばゴセレリン、ロイプロリド及びタモキシフェン;(24)天然抗腫瘍剤、例えばアルデスロイキン、インターロイキン2、ドセタキセル、エトポシド(VP−16)、インターフェロンα、パクリタキセル、及びトレチノイン(ATRA);(25)抗生物質系天然抗腫瘍剤、例えばブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、及びマイトマイシン;(26)ビンカアルカロイド系天然抗腫瘍剤、例えばビンブラスチン及びビンクリスチン;(27)自律神経作用薬、例えばニコチン;(28)抗コリン作動性自律神経作用薬、例えばベンズトロピン及びトリヘキシフェニジル;(29)抗ムスカリン性抗コリン作動性自律神経作用薬、例えばアトロピン及びオキシブチニン;(30)麦角アルカロイド自律神経作用薬、例えばブロモクリプチン;(31)コリン作動性アゴニスト副交感神経作動薬、例えばピロカルピン;(32)コリンエステラーゼ阻害剤系副交感神経作動薬、例えばピリドスチグミン;(33)αブロッカー系交感神経遮断薬、例えばパラゾシン;(34)βブロッカー系交感神経遮断薬、例えばアテノロール;(35)アドレナリン作動性アゴニスト系交感神経作動薬、例えばアルブテロール及びドブタミン;(36)心血管作用薬、例えばアスピリン;(37)iブロッカー系抗狭心症薬、例えばアテノロール及びプロプラノロール;(38)カルシウムチャンネルブロッカー系抗狭心症薬、例えばニフェジピン及びベラパミル;(39)ニトラート系抗狭心症薬、例えばイソソルビドジニトラート(ISDN);(40)強心配糖体抗不整脈剤、例えばジゴキシン;(41)クラスI抗不整脈剤、例えばリドカイン、メキシレチン、フェニトイン、プロカインアミド、及びキニジン;(42)クラスII抗不整脈剤、例えばアテノロール、メトプロロール、プロプラノロール、及びチモロール;(43)クラスIII抗不整脈剤、例えばアミオダロン;(44)クラスIV抗不整脈剤、例えばジルチアゼム及びベラパミル;(45)αブロッカー系降圧剤、例えばプラゾシン;(46)アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)系降圧剤、例えばカプトプリル及びエナラプリル;(47)βブロッカー系降圧剤、例えばアテノロール、メトプロロール、ナドロール、及びプロプラノロール;(48)カルシウムチャンネルブロッカー系降圧剤、例えばジルチアゼム及びニフェジピン;(49)中枢作用アドレナリン作動性降圧剤、例えばクロニジン及びメチルドパ;(50)利尿性降圧剤、例えばアミロライド、フロセミド、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)、及びスピロノラクトン;(51)抹消血管拡張偉材系降圧剤、例えばヒドララジン及びミノキシジル;(52)抗高脂血症剤、例えばゲムフィブロジル及びプロブコール;(53)胆汁酸金属イオン封鎖剤系抗高脂血症剤、例えばコレスチラミン;(54)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤抗高脂血症剤、例えばロバスタチン及びプラバスタチン;(55)強心剤、例えばアムリノン、ドブタミン、及びドパミン;(56)強心配糖体強心剤、例えばジゴキシン;(57)血栓溶解剤、例えばアルテプラーゼ(TPA)、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ、及びウロキナーゼ;(58)皮膚科学薬剤、例えばコルヒチン、イソトレチノイン、メトトレキサート、ミノキシジル、トレチノイン(ATRA);(59)皮膚科学副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、例えばベタメタゾン、及びデキサメタゾン;(60)抗真菌剤系抗感染症剤、例えばアンホテリシンB、クロトリマゾール、ミコナゾール、及びニスタチン;(61)抗ウイルス剤系抗感染症剤、例えばアシクロビル;(62)抗腫瘍剤、例えばフルオロウラシル(5−FU);(63)電解質剤(electrolytic agene)及び腎臓作用薬(renal agent)、例えばラクツロース;(64)ループ利尿剤、例えばフロセミド;(65)カリウム保持性利尿薬、例えばトリアムテレン;(66)チアジド利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジド(HCTZ);(67)尿酸排泄剤、例えばプロベネシド;(68)RNase及びDNaseのような酵素;(69)血栓溶解酵素、例えばアルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼ;(70)制吐剤、例えばプロクロルペラジン;(71)サリチラート系消化管抗炎症剤、例えばスルファサラジン;(72)胃酸ポンプ阻害剤系抗潰瘍剤、例えばオメプラゾール;(73)H2ブロッカー系抗潰瘍剤、例えばシメチジン、ファモチジン、ニザチジン、及びラニチジン;(74)消化剤、例えばパンクレリパーゼ;(75)消化管運動賦活薬、例えばエリスロマイシン;(76)フェンタニル;(77)造血性抗貧血剤、例えばエリスロポエチン、フィルグラスチム(G−CSF)、及びサルグラモスチム(GM−CSF);(78)凝血剤、例えば抗血友病因子1〜10(AHF1〜10);(79)抗凝血剤、例えばワルファリン;(80)血栓溶解酵素系凝血剤、例えばアルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼ;(81)ホルモン及びホルモン修飾剤、例えばブロモクリプチン;(82)堕胎薬、例えばメトトレキサート;(83)抗糖尿病剤、例えばインスリン;(84)経口避妊薬、例えばエストロゲン及びプロゲスチン;(85)プロゲスチン系避妊薬、例えばレボノルゲストレル及びノルゲストレル;(86)エストロゲン剤、例えば結合型エストロゲン、ジエチルスチルベストロール(DES)、エストロゲン(エストラジオール、エストロン、及びエストロピペート(estropipate));(87)妊娠促進薬、例えばクロミフェン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、及びメノトロピン;(88)副甲状腺作用薬、例えばカルシトニン;(89)下垂体ホルモン、例えばデスモプレシン、ゴセレリン、オキシトシン、及びバソプレシン(ADH);(90)プロゲスチン、例えばメドロキシプロゲステロン、ノルエチンドロン、及びプロゲステロン;(91)甲状腺ホルモン、例えばレボチロキシン;(92)免疫生物学剤、例えばインターフェロンβ−1b、及びインターフェロンγ−1b;(93)免疫グロブリン、例えば免疫グロブリンIM、IMIG、IGIM及び免疫グロブリンIV、IVIG、IGIV;(94)アミド局所麻酔剤、例えばリドカイン;(95)エステル局所麻酔剤、例えばベンゾカイン及びプロカイン;(96)筋骨格副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、例えばベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、及びプレドニゾン;(97)筋骨格抗炎症性免疫抑制剤、例えばアザチオプリン、シクロホスファミド、及びメトトレキサート;(98)筋骨格非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、例えばジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラック、及びナプロキセン;(99)骨格筋弛緩薬、例えばバクロフェン、シクロベンザプリン、及びジアゼパム;(100)逆神経筋ブロッカー系骨格筋弛緩薬(reverse neuromuscular blocker skeletal muscle relaxant)、例えばピリドスチグミン;(101)神経学的薬剤、例えばニモジピン、リルゾール、タクリン、トラゾドン、及びチクロピジン;抗痙攣剤、例えばカルバマゼピン、ギャバペンチン、ラモトリジン、フェニトイン、及びバルプロ酸;(103)バルビツラート抗痙攣剤、例えばフェノバルビタール及びプリミドン;(104)ベンゾジアゼピン抗痙攣剤、例えばクロナゼパム、ジアゼパム、及びロラゼパム;(105)抗パーキンソン薬、例えばブロモクリプチン、レボドパ、カルビドパ、及びペルゴリド;(106)抗眩暈剤、例えばメクリジン;(107)オピアートアゴニスト、例えばコデイン、フェンタニル、ヒドロモルホン、メサドン、トラマドール、及びモルヒネ;(108)オピアートアンタゴニスト、例えばナロキソン;(109)βブロッカー系抗緑内障剤、例えばチモロール;(110)縮瞳性抗緑内障剤、例えばピロカルピン;(111)眼科用アミノグリコシド抗感染症剤、例えばゲンタマイシン、ネオマイシン、及びトブラマイシン;(112)眼科用キノロン抗感染症剤、例えばシプロフロキサシン、ノルフロキサシン、及びオフロキサシン;(113)眼科用副腎皮質ステロイド抗炎症剤、例えばデキサメタゾン、及びプレドニゾロン;(114)眼科用非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えばジクロフェナク;(115)抗精神病薬、例えばクロザピン、ハロペリドール、及びリスペリドン;(116)ベンゾジアゼピン系抗不安剤、鎮静剤及び催眠剤、例えばクロナゼパム、ジアゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、及びプラゼパム;(117)覚醒剤、例えばメチルフェニデート及びペモリン;(118)鎮咳薬、例えばコデイン;(119)気管支拡張剤、例えばテオフィリン;(120)アドレナリン作動性アゴニスト系気管支拡張剤、例えばアルブテロール;(121)呼吸器用副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、例えばデキサメタゾン;(122)解毒剤、例えばフルマゼニル及びナロキソン;(123)重金属アンタゴニスト/キレート化剤、例えばペニシラミン;(124)物質濫用抑制剤(diterrent substance abuse agent)、例えばジスルフィラム、ナルトレキソン、及びニコチン;(125)物質濫用離脱剤(withdrawal substance abuse agent)、例えばブロモクリプチン;(126)ミネラル、例えば鉄、カルシウム、及びマグネシウム;(127)ビタミンB化合物、例えばシアノコバラミン(ビタミンB12)及びナイアシン(ビタミンB3);(128)ビタミンC化合物、例えばアスコルビン酸;(129)ビタミンD化合物、例えばカルシトリオール;及び(130)ヒスチアミン型薬物、例えば塩酸ベタヒスチン。
【0033】
幾つかの実施態様において、本明細書に開示される組成物は、約15重量%以上、例えば約15重量%〜約60重量%、又は約20重量%〜約60重量%、又は約20重量%〜約55重量%の医薬的活性物質を含んでいてもよい。他の実施態様において、本明細書で熟慮される組成物は、約15重量%以上の架橋ハイアミロース澱粉のような放出制御性賦形剤、例えば、約15重量%〜約85重量%、又は約20重量%〜約85重量%、又は約20重量%〜約60重量%、又は約20重量%〜約50重量%、又は約30重量%〜約50重量%のハイアミロース澱粉を含んでいてもよい。本発明の組成物は、好ましくは、約15重量%〜約50重量%、より好ましくは約25重量%〜約50重量%の活性物質、及び約20重量%〜約60重量%、より好ましくは約25重量%〜約50重量%の放出制御性賦形剤を含む。特定の実施態様において、本発明は、約5重量%〜約50重量%の活性物質、及び約30重量%〜約50重量%の架橋ハイアミロース澱粉を含む組成物に向けられる。
【0034】
本明細書で熟慮される放出制御性賦形剤は、賦形剤を含む製剤が本明細書に開示される放出特性及び/又は治療的作用を有することを条件として、当業者に周知のように大きな範囲で変化してよい。放出制御性賦形剤は、架橋澱粉、ヒドロゲル、セルロース、及び/又はポリマー、並びに当業者に知られる他の放出制御性賦形剤を含んでいてもよい。
【0035】
一つの実施態様において、放出制御性賦形剤は、好ましくは、例えば架橋ハイアミロース澱粉を含み、例えば、ここでの架橋ハイアミロース澱粉はオキシ塩化リンによって架橋され、及び/又はヒドロキシプロピル側鎖を含む。適切な賦形剤は、カナダ国ラーバルのラボファーム(Labopharm)社によって開発されており、CONTRAMID(登録商標)の商標名の下で同社から商業的に入手可能である。CONTRAMID(登録商標)賦形剤の合成は、例えば、その内容を全ての目的のために本明細書の一部として参照によって取り込む米国特許第6,607,748号に記載される。本明細書で熟慮される組成物は、1以上の追加の放出制御性賦形剤と共に、架橋ハイアミロース澱粉を含んでいてもよい。
【0036】
澱粉の架橋は、澱粉を修飾するための強力な方法である。通常、澱粉顆粒は、剪断又は熱に対するペーストの抵抗性を増大させるために架橋される。このような化学的架橋澱粉は、望ましい滑らかなテクスチャーを提供し、また処理操作及び通常の貯蔵寿命の期間に亘って粘度安定性を有する。幾つかの実施態様において、本明細書で熟慮される架橋ハイアミロース澱粉は、架橋の後にゼラチン化されてもよい。好ましい実施態様において、架橋ハイアミロース澱粉は、ゼラチン化の前に追加の化学修飾(例えばヒドロキシプロピル化)を含んでいてもよい。
【0037】
ハイアミロース澱粉の架橋は、当業界において記述される手順に従って実現されてもよい。例えば、アミロースの架橋は、Mateescu(BIOCHEMIE 60:535-537(1978))に記載される方法で、アミロースをアルカリ性媒体中でエピクロロヒドリンと反応させることによって実施することができる。同様にして、澱粉は、エピクロロヒドリン、無水アジピン酸、ナトリウムトリメタホスファート、及びオキシ塩化リンからなる群から選択される試薬、又は他の架橋剤を用いて架橋することができ、該他の架橋剤には、2,3−ジブロモプロパノール、酢酸と二塩基カルボン酸もしくは三塩基カルボン酸との直鎖状混合無水物(linear mixed anhydride)、ビニルスルホン、ジエポキシド、塩化シアヌル(cyanuric chloride)、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリスアクリロイル−s−トリアジン、ヘキサメチレンジイソシアナート、トルエン2,4−ジイソシアナート、N,N−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−ビス(ヒドロキシメチル)エチレン尿素、炭酸−カルボン酸混合無水物、炭酸及び多塩基カルボン酸のイミダゾリド、多塩基カルボン酸のイミダゾリウム、及びポリカルボン酸のグアニジン誘導体が含まれるが、これらに限定されない。採用される反応条件は、使用される架橋剤の種類及び量、並びに塩基濃度、澱粉の量及び種類と共に様々である。
【0038】
約40%w/w超のアミロースを含む澱粉、例えばエンドウ豆澱粉及び皺付きエンドウ豆の澱粉(wrinkled pea starch)、豆澱粉(bean starch)、雑種もしくは遺伝的に修飾されたタピオカ澱粉もしくはジャガイモ澱粉、又は何れか他の根、塊茎又は穀物澱粉を、架橋ハイアミロース澱粉を形成するために使用できることが熟慮される。好ましくは、約70%w/wのアミロースを含むハイアミロース澱粉が基本材料として使用される。例えば、ハイアミロース澱粉であるセレスタール・アミロゲル(Cerestar AmyloGel)03003[Cerestar U.S.A. Inc.]を使用してよい。一定の製剤において、該賦形剤は、約65重量%〜約75重量%のオキシ塩化リンによって架橋されたアミロースを含んでなる架橋ハイアミロース澱粉を含む。
【0039】
本発明の医薬組成物はまた、医薬的に許容可能な添加剤を含むこともできる。このような添加剤の例としては、ラクトース、グルコース及びスクロースのような糖;他の澱粉、例えばトウモロコシ澱粉及びジャガイモ澱粉;セルロース及びその誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及びセルロースアセタート;粉末トラガント;麦芽;ゼラチン;タルク;グリコール、例えばプロピレングリコール;ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;エステル、例えばエチルオレアート及びエチルラウラート;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;並びに医薬製剤で採用される他の無毒の適合性物質を含むことができる。斯かる添加剤にはまた、着色剤及び/又は味マスキング添加剤が含まれていてもよい。
【0040】
例えば、本明細書に開示される組成物は、当業者に周知のように、結合剤、可溶化剤、酸性化剤、造孔剤(pore forming agent)、潤滑剤、流動促進剤の混合物のいずれの一つを含んでいてもよい。本発明の組成物を提供するために使用される好ましい医薬添加剤には、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、リン酸二カルシウム、リン酸カルシウム、微結晶セルロース、スタート(start)等の結合剤;可溶化剤、例えばポビドン、塩化セチルピリジニウム等;酸性化剤、例えばアルギン酸、クエン酸、コハク酸、胆汁酸等;造孔剤、例えばスクロース、ラクトース、マンニトール等;潤滑剤、例えばナトリウムステアリルフマラート、マグネシウムステアラート、カルシウムステアラート、ステアリン酸、硬化植物油(hydrogentated vegetable oil)等;及び/又は流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素、タルク等が含まれていてもよい。勿論、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、当業者に周知の他の添加剤を本発明による組成物の中に含めてもよい。
【0041】
例えば、一つの実施態様において、当該組成物は約10重量%〜50重量%の活性物質、例えばトラマドール、アセトアミノフェン、ベタヒスチン、約20重量%〜60重量%の架橋ハイアミロース澱粉(例えば、CONTRAMID(登録商標)架橋ハイアミロース澱粉)、約10重量%〜25重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、約1重量%〜5重量%のナトリウムステアリルフマラート、及び約1重量%までののコロイド状二酸化炭素を含んでいてもよい。
【0042】
トラゾドン、CONTRAMID(登録商標)賦形剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トラゾドンHCl及びナトリウムステアリルフマラートを含む例示的持続放出型製剤の5kgバッチを製造するための例示的な処方プロトコールにおいて、トラゾドンHCl及びナトリウムステアリルフマラートを個別に計量し、30メッシュのフィルタを通して移す。コロイド状二酸化ケイ素を計量し、CONTRAMID(登録商標)と予備混合し、30メッシュのフィルタを通して移し、10秒間〜30秒間、例えば15秒間混合して予備ブレンドを製造する。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トラゾドン及びContramid(登録商標)−コロイド状二酸化ケイ素予備ブレンドを合体し、5分間〜10分間、例えば7分間混合してバルクブレンドを製造する。得られたバルクブレンドの小部分をナトリウムステアリルフマラートと混合し、20秒間〜60秒間、例えば30秒間ブレンドする。得られたナトリウムステアリルフマラートブレンドを残りのバルクブレンドと合体し、得られた混合物を約2分間〜6分間、例えば4分間ブレンドする。この最終ブレンドを、27kNの圧縮圧を使用して錠剤に圧縮する。カプレットは、カプレット標準凹型パンチを使用して形成する
次に、以下の実施例によって本発明を例示するが、これは説明のみの目的で与えられるものであり、本発明の範囲を限定する如何なる意図も含まない。
【実施例】
【0043】
実施例1
表1に記載の組成を有する、300mgのトラゾドンを含む持続放出型製剤(製剤1という)を調製した。
【表1】

【0044】
製剤1を錠剤に圧縮し、分析した。原型の製剤、及び該原型の製剤を二つに破砕させることにより作製した、細分割(二分割)製剤のインビトロ放出動力学を以下のように測定した。
簡単に言えば、製剤1のインビトロ放出動力学を、U.S.P.パドル法(U.S.P.XXVIに記載される装置タイプII)を、1分当り150回転、37±0.5℃において、900mLのヒドロクロリド/塩化ナトリウムpH1.2溶液(酸段階)中に続き、1時間後に900mLのリン酸ナトリウム一塩基バッファーpH6.0(緩衝液段階)中で使用して測定した。図2に示すインビトロ溶出プロファイルは、この製剤において、原型の錠剤及び二分割錠剤の両方の放出プロファイルが、73.9の類似因子及び6.1の差因子を有することを示す。
加えて、放出動力学に対する異なる刻み目深さの影響を測定した。23%刻み目及び95%刻み目を有する二つの形態の錠剤のインビトロ放出動力学を、それぞれ図3及び図4に示す。図3及び図4は、この製剤のインビトロ放出プロファイル(原型の錠剤、又は該原型の錠剤を刻み目に沿って破砕することにより作製した細分割された錠剤の何れも)が、刻み目深さによって実質的に影響されないことを示す。
【0045】
実施例2
表2に記載の組成を有する、150mgのトラゾドンを含む持続放出型製剤(製剤2という)を調製した。
【表2】

【0046】
製剤2を錠剤に圧縮し、分析した。6%未満のRSDを達成する均一性のU.S.P.試験限界を使用したこの製剤に対する質量均一性は、質量均一性を達成するために必要とされる最小錠剤硬度が約110Nであることを示す(図5参照)。
原型の製剤、及び該原型の製剤を二つに破砕することにより作製した細分割(二分割)製剤のインビトロ放出動力学を、実施例1に記載したように測定した。図6に示したインビトロ放出プロファイルは、この製剤において、原型の錠剤及び二分割錠剤の両方の放出プロファイルが、73.4の類似因子及び6.4の差因子を有することをす。
【0047】
実施例3
表3に記載の組成を有する、150mgトラゾドンを含む持続放出型製剤(製剤3という)を調製した。
【表3】

【0048】
上記製剤を錠剤に圧縮した。原型の製剤、及び該原型の製剤を二つに破砕することにより作製した細分割(二分割)製剤のインビトロ放出動力学を、次のように測定した。簡単に言えば、原型の錠剤及び二分割錠剤のインビトロ放出動力学は、U.S.P.バスケット法(U.S.P.XXVIに記載される装置タイプI)を、1分当り100回転、37±0.5℃において、900mLのリン酸ナトリウム一塩基バッファーpH6.0(緩衝液段階)中で使用して測定した。図7に示すインビトロ溶出プロファイルは、この製剤において、原型の錠剤及び二分割錠剤の両方の放出プロファイルが、58.3の類似因子及び14.2の差因子を有することを示す。
【0049】
実施例4
表4に記載の組成を有する、300mgのアセトアミノフェンを含む持続放出型製剤(製剤4という)を調製した。
【表4】

この製剤を用いれば、錠剤に圧縮される際に、原型の製剤及び二分割製剤は実質的に類似のインビトロ放出動力学を示すことが熟慮される。
【0050】
実施例5
表5に記載の組成を有する、48mgのベタヒスチンを含む持続放出型製剤(製剤5という)を調製した。
【表5】

【0051】
この製剤を用いれば、錠剤に圧縮される際に、原型の製剤及び二分割製剤は実質的に類似のインビトロ放出動力学を示すことが熟慮される。
【0052】
本発明を、その好ましい実施態様により説明してきたが、本発明は、特許請求の範囲において規定される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、その広い側面をカバーするものであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の例示的製剤の概略図である。
【図2】図2は、トラゾドンの例示的な300mg製剤の二分割錠剤(○)と比較した、原型の錠剤(▲)のインビトロ溶出プロファイルを示すグラフである。
【図3】図3は、錠剤カップ深さの23%の深さの二分割刻み目を供える300mgのトラゾドンを含む例示的な製剤の原型の錠剤(●)、及び同じ刻み目を備える原型の錠剤から誘導された細分割錠剤(○)の、インビトロ溶出プロファイルを示すグラフである。
【図4】図3は、錠剤カップ深さの95%の深さの二分割刻み目を供える300mgのトラゾドンを含む例示的な製剤の原型の錠剤(●)、及び同じ刻み目を備える原型の錠剤から誘導された細分割錠剤(○)の、インビトロ溶出プロファイルを示すグラフである。
【図5】図5は、150mgのトラゾドンを含む例示的錠剤製剤に関する質量の均一性についての試験を示すグラフであり、ここでは、U.S.P.によって要求される6%未満の相対的標準偏差(RSD)を達成するために、111Nの硬度が必要とされる。
【図6】図6は、トラゾドンの例示的な150mg製剤の、二分割錠剤(○)と比較した原型の錠剤(▲)のインビトロ溶出プロファイルを示すグラフである。
【図7】図7は、トラマドールの例示的な300mg製剤の、二分割錠剤(○)と比較した原型の錠剤(▲)のインビトロ溶出プロファイルを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形のモノリシックな持続放出型の医薬組成物であって:
a.溶媒がアクセス可能な表面を有し、且つ架橋ハイアミロース澱粉を含んでなる持続放出型マトリックスと;
b.前記マトリックス中に配置される有効量の少なくとも一つの医薬的活性物質
とを含んでなり、
約100Nよりも大きい硬度を有する、前記組成物。
【請求項2】
前記硬度が約100N〜約350Nの範囲にある、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
哺乳動物に投与される際に、最初の投与から少なくとも約1時間後〜少なくとも約24時間後に、前記活性物質の有効血漿中濃度を達成する、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
前記溶媒がアクセス可能な表面が刻み目を規定し、前記刻み目が、前記組成物を前記刻み目に沿って破砕させて各々が溶媒がアクセス可能な新たな表面を有する少なくとも二つのサブユニットを生じさせることを可能にする、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記サブユニットの少なくとも一つが、それが誘導された元の原型の組成物と実質的に同じ前記活性物質の放出動力学を有する、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記サブユニットの少なくとも一つ及びそれが誘導された元の組成物の溶出プロファイルが、少なくとも50%の類似率を有する、請求項4又は5記載の組成物。
【請求項7】
前記類似率が少なくとも55%である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
固形の持続放出型の医薬組成物であって:
a.溶媒がアクセス可能な表面を有し、且つ架橋ハイアミロース澱粉を含んでなる持続放出型マトリックスと;
b.前記マトリックス中に配置される有効量の一つの医薬的活性物質
とを含んでなり、
前記組成物が破砕されて、溶媒がアクセス可能な新たな表面が形成される際に、実質的に同じ放出動力学を示す、前記組成物。
【請求項9】
固形の持続放出型の医薬組成物であって:
a.架橋ハイアミロース澱粉を含んでなる持続放出型マトリックスと;
b.前記マトリックス中に配置される有効量の医薬的活性物質
とを含んでなり、
前記組成物は少なくとも二つのサブユニットに分割することができ、ここでの各サブユニットが、それらが誘導された元の組成物と実質的に同じ放出プロファイルで前記活性物質を放出する、前記組成物。
【請求項10】
又は約100Nよりも大きい硬度を有する、請求項8又は9記載の組成物。
【請求項11】
約100N〜約180Nの範囲の硬度を有する、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
モノリシックである、請求項8〜11のいずれか1項記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも一つのサブユニット及びそれが誘導された元の組成物の溶出プロファイルが、少なくとも50%の類似率を有する、請求項9〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
前記類似率が少なくとも55%である、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記溶媒がアクセス可能な新たな表面が、溶媒と接触する際にバリアを形成することができる、請求項4〜8のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
前記サブユニット及びそれらが誘導された元の原型の組成物が生物学的に同等である、請求項4〜8のいずれか1項記載の組成物。
【請求項17】
架橋ハイアミロース澱粉及び該澱粉内に配置される少なくとも一つの医薬的活性物質を含有してなる持続放出型の固形製剤であって、前記固形製剤はサブユニットに細分割することができ、各サブユニットは、原型の固形製剤と実質的に同じ放出特性を有する、前記持続放出型固形製剤。
【請求項18】
各サブユニットが少なくとも約12時間、前記活性物質を放出する、請求項17記載の持続放出型固形製剤。
【請求項19】
各サブユニットが少なくとも約18時間、前記活性物質を放出する、請求項18記載の持続放出型固形製剤。
【請求項20】
各サブユニットが少なくとも約24時間、前記活性物質を放出する、請求項18記載の持続放出型固形製剤。
【請求項21】
前記固形製剤が約100Nよりも大きい硬度を有する、請求項17〜20のいずれか1項記載の持続放出型固形製剤。
【請求項22】
各サブユニットが原型の製剤に対して生物学的に同等である、請求項17〜21のいずれか1項記載の持続放出型固形製剤。
【請求項23】
約15重量%〜約60重量の活性物質物質及び約15重量%〜約85重量%の澱粉を含む、請求項1〜22のいずれか1項記載の組成物。
【請求項24】
約20重量%〜約50重量の活性物質物質及び約20重量%〜約50重量%の澱粉を含む、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
約35重量%〜約50重量%の活性物質物質及び約20重量%〜約50重量%の澱粉を含む、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
前記澱粉がオキシ塩化リンによって架橋される、請求項1〜25のいずれか1項記載の組成物。
【請求項27】
前記澱粉がヒドロキシプロピル側鎖を含んでなる、請求項1〜26のいずれか1項記載の組成物。
【請求項28】
前記活性物質が抗鬱剤又は鎮痛剤からなる群から選択される、請求項1〜27のいずれか1項記載の組成物。
【請求項29】
前記抗鬱剤がトラゾドンである、請求項28記載の組成物。
【請求項30】
前記鎮痛剤がトラマドール、アセトアミノフェン又はそれらの組み合わせである、請求項28記載の組成物。
【請求項31】
医薬的添加剤をさらに含有してなる、請求項1〜30のいずれか1項記載の組成物。
【請求項32】
前記医薬的添加剤が、結合剤、可溶化剤、酸性化剤、造孔剤、潤滑剤、及び流動促進剤からなる群から選択される、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
前記結合剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
前記潤滑剤がナトリウムステアリルフマラートである、請求項32記載の組成物。
【請求項35】
前記流動促進剤がコロイド状二酸化ケイ素である、請求項32記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物が錠剤の形態である、請求項1〜35のいずれか1項記載の組成物。
【請求項37】
前記錠剤が刻み目を有する、請求項36記載の組成物。
【請求項38】
前記組成物がカプレットの形態である、請求項1〜35のいずれか1項記載の組成物。
【請求項39】
前記カプレットが刻み目を有する、請求項38記載の組成物。
【請求項40】
又は、前記刻み目に沿って破砕される際に、溶媒がアクセス可能な新たな表面を形成する、請求項37又は39記載の組成物。
【請求項41】
請求項1〜40のいずれか1項記載の組成物を製造する方法。
【請求項42】
哺乳動物を治療する方法であって、請求項1〜40のいずれか1項記載の組成物を前記哺乳動物に投与することを含んでなる、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−507047(P2009−507047A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529430(P2008−529430)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001483
【国際公開番号】WO2007/048219
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(507176404)ラボファーム インコーポレイテッド (8)
【出願人】(507175050)ラボファーム ユーロープ リミテッド (8)
【出願人】(507175142)ラボファーム (バルバドス) リミテッド (6)
【Fターム(参考)】