説明

振動デバイス、及び振動デバイスの製造方法

【課題】小型化・微細化や商業的生産の要求に寄与し、かつ、発振周波数の信頼性が高い振動デバイス等を提供する。
【解決手段】本発明に係る振動デバイスは、振動片が実装されたパッケージと、前記振動片をキャビティ内に収容する蓋体と、第1の融点を有し、かつ、前記パッケージと前記蓋体とを接合する接着層と、前記第1の融点よりも高い第2の融点を有し、かつ、前記パッケージ、前記接着層、及び前記蓋体を覆う金属層と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイス、及び振動デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加速度や回転角速度等の物理量の検出ができるセンサーモジュール(モーションセンサー)であって、例えばジャイロセンサー水晶振動子(ジャイロ振動辺)等のセンサー素子と、該センサー素子を駆動する半導体回路素子とがベース基板内に収容された振動デバイスが知られている(特許文献1)。このような振動デバイスの製造工程では、パッケージ内にセンサー素子や半導体回路素子を搭載した後、パッケージ内部を減圧状態又は真空状態とする処理(脱気処理)を行う封止工程が、金属製の蓋体によって行われる。
【0003】
特許文献1に開示されるように、金属製の蓋体による封止工程は、パッケージのシールリングと蓋体とを溶接することで行われる。したがって、振動デバイスに対し、レーザー溶接やシーム溶接等の高温処理(例えば1000℃以上)を行う必要がある。しかしながら、振動デバイスがこのような高温で処理されると、セラミック基板や蓋体等の構成部材が各々の熱膨張係数で熱収縮するため、部材間の接合信頼性が低下する可能性がある。蓋部とベース基板との接合信頼性が低下した場合、パッケージ内の真空度(密封度)が低下してセンサー素子のクリスタルインピーダンス(CI)が変化し、振動デバイスの発振周波数の信頼性が低下する可能性がある。
【0004】
また、近年、このような振動デバイスに対し、更なる小型化・微細化や商業的生産の要求が非常に高い。例えば、近年、目標とされる振動デバイスのデバイスサイズは、1mm×1mm程度と非常に小型化が進み、構成部材の微細化が著しい。
【0005】
このような小型化が進む振動デバイスに対し、封止工程でローラー電極を用いるシーム溶接や、レーザー光を用いるレーザー溶接等の溶接技術を採用した場合、これらの溶接を実際に適用するためには、ローラー電極のローラー幅や、レーザー光のスポット径等溶接装置が適用可能な条件を考慮して、振動デバイスのサイズ、レイアウトを設計する必要がある。また、ローラー電極を用いるシーム溶接は、溶接品質が安定しにくいことに加え、矩形以外の様々な形状の溶接に対応することが難しい。また、レーザー溶接は、設備投資のイニシャルコストが非常に高い。以上から、小型化が進む振動デバイスの製造工程において溶接技術を採用することは、振動デバイスの更なる小型化・微細化や商業的生産の妨げとなる可能性がある。
【0006】
特許文献1には、封止工程で、溶接を行わずに、はんだ等の金属ろう材を用いてもよいことが開示されている。しかしながら、このような低融点(例えば、180℃〜300℃)の接着剤を実際に用いた場合、振動デバイスのマザーボード等への二次実装時に溶融し、キャビティ内の真空度が低下する可能性がある。そのため、製造後において、振動デバイスの接着剤の耐熱性が低いため、振動デバイスの信頼性が低下する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−248113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の事情を鑑み、小型化・微細化や商業的生産の要求に寄与し、かつ、発振周波数の信頼性が高い振動デバイス、及び振動デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る振動デバイスの製造方法は、ベース基板、及び蓋体を準備する工程と、前記ベース基板に振動片を実装する工程と、第1の融点を有する接着層を介して前記ベース基板と前記蓋体とを接合し、前記振動片をキャビティ内に収容する工程と、前記キャビティ内を脱気処理する工程と、前記第1の融点よりも高い第2の融点を有する金属を用いて、前記ベース基板、前記接着層、及び前記蓋体を覆う金属層を形成する工程と、を含む。
【0010】
ここで、本発明における融点とは、標準大気圧下における融点とする。
【0011】
本発明によれば、ベース基板と蓋体とを接合し、振動片をキャビティ内に収容する工程において、溶接技術を採用せず、第1の融点まで接着層を加熱することで、ベース基板と蓋体とを接合することができる。したがって、振動デバイスの寸法やレイアウトを設計する場合に、ローラー電極のローラー幅や、レーザー光のスポット径等溶接装置固有の制約条件を考慮する必要がない。故に、振動デバイスの小型化や商業的生産の要求に寄与することができる。また、これによれば、ベース基板、接着層、及び蓋体を第1の融点よりも高い第2の融点を有する金属からなる金属層によって覆うため、製造工程後、例えば二次実装される際に加えられる温度によって接着層が溶融した場合であっても、金属層によって、ベース基板と蓋体との接合を保つことができる振動デバイスを提供することができる。以上から、このような振動デバイスの製造方法によれば、小型化・微細化や商業的生産の要求に寄与し、かつ、発振周波数の信頼性が高い振動デバイスの製造方法を提供することができる。
【0012】
本発明に係る振動デバイスの製造方法において、前記第1の融点は、350℃以下であってもよい。
【0013】
このような振動デバイスの製造方法によれば、接着層を介してベース基板と蓋体とを接合する工程においてデバイスに加えられる温度が350℃以下となるため、製造工程の低温化を図ることができる。
【0014】
本発明に係る振動デバイスの製造方法において、前記蓋体を準備する工程は、第1の面を有する第1の金属基板を準備する工程と、前記第1の金属基板の前記第1の面に、前記接着層と同じ材質からなる導電層を形成する工程と、前記第1の金属基板、及び前記導電層をエッチングする工程と、を含んでいてもよい。
【0015】
このような振動デバイスの製造方法によれば、蓋体を金属基板から形成することができる。したがって、ベース基板との接合部分の平坦度が高い蓋体を簡便に形成することができるため、ベース基板と蓋体との接合信頼性を高めることができる。
【0016】
本発明に係る振動デバイスの製造方法において、前記蓋体を準備する工程は、前記第1の金属基板から複数の前記蓋体を形成することを含んでいてもよい。
【0017】
このような振動デバイスの製造方法によれば、商業的生産の要求により寄与する振動デバイスの製造方法を提供することができる。
【0018】
本発明に係る振動デバイスの製造方法において、前記ベース基板を準備する工程は、第1の面及び、前記第1の面とは反対側の第2の面を有する第2の金属基板を準備する工程と、前記第2の金属基板を前記第1の面側からエッチングし、複数の金属突起を形成する工程と、複数の前記金属突起を覆うように絶縁層を前記第1の面側に形成する工程と、複数の前記金属突起が互いに独立するように前記第2の金属基板を前記第2の面側からエッチングし、前記金属突起からなる複数の金属部材を形成する工程と、前記絶縁層から複数の前記金属部材が露出するように、前記絶縁層を研削する工程と、前記金属部材に接続する配線パターンを形成する工程と、を含んでいてもよい。
【0019】
このような振動デバイスの製造方法によれば、商業的生産の要求により寄与する振動デバイスの製造方法を提供することができる。
【0020】
本発明に係る振動デバイスの製造方法において、前記振動片を実装する工程では、複数の前記ベース基板を含む基板に複数の前記振動片がそれぞれ実装され、前記振動片をキャビティ内に収容する工程では、複数の前記振動片を複数の前記蓋体によってそれぞれ収容し、前記金属層を形成する工程の後、前記基板を切断する工程を更に含んでいてもよい。
【0021】
このような振動デバイスの製造方法によれば、商業的生産の要求により寄与する振動デバイスの製造方法を提供することができる。
【0022】
本発明に係る振動デバイスは、振動片が実装されたベース基板と、前記振動片をキャビティ内に収容する蓋体と、第1の融点を有し、かつ、前記ベース基板と前記蓋体とを接合する接着層と、前記第1の融点よりも高い第2の融点を有し、かつ、前記ベース基板、前記接着層、及び前記蓋体を覆う金属層と、を含む。
【0023】
このような振動デバイスは、第1の融点を有し、かつ、ベース基板と蓋体とを接合する接着層と、第1の融点よりも高い第2の融点を有し、かつ、ベース基板、接着層、及び蓋体を覆う金属層と、を含む。これによれば、ベース基板、接着層、及び蓋体が第1の融点よりも高い第2の融点を有する金属からなる金属層によって覆われる。したがって、振動デバイスが第1の融点より高い温度環境下であっても、ベース基板と蓋体との接合を金属層により確実に保つことができる。つまりは、例えば、振動デバイスを二次実装するために、接着層が溶融する温度で熱処理を行った場合であっても、金属層により真空処理されたキャビティ内の真空度が保たれるため、振動デバイスの発振周波数の信頼性が確保される。また、これによれば、ベース基板と蓋体とが接着層により接合されている。したがって、その製造工程において溶接技術を使用する必要がなく、振動デバイスの小型化や商業的生産の要求に寄与することができる。
【0024】
以上から、このような振動デバイスによれば、小型化・微細化や商業的生産の要求に寄与し、かつ、発振周波数の信頼性が高い振動デバイスを提供することができる。
【0025】
本発明に係る振動デバイスにおいて、前記第1の融点は、350℃以下であってもよい。
【0026】
このような振動デバイスによれば、接着層を介してベース基板と蓋体とを接合するために必要な温度が350℃以下となるため、製造工程の低温化を図ることができる振動デバイスを提供することができる。
【0027】
本発明に係る振動デバイスにおいて、前記ベース基板は、複数の金属部材と、複数の前記金属部材を保持する絶縁層と、を含んでいてもよい。
【0028】
このような振動デバイスによれば、商業的生産の要求により寄与する振動デバイスを提供することができる。
【0029】
本発明に係る振動デバイスにおいて、前記金属部材、及び前記蓋体の材質は同じ金属であってもよい。
【0030】
このような振動デバイスによれば、金属部材と蓋体との熱膨張係数が同じとなるため、ベース基板と蓋体との接合信頼性がより向上した振動デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態に係る振動デバイスの要部を模式的に示す平面図と断面図。
【図2】図1(B)における破線部IIの拡大図。
【図3】本実施形態の第1変形例に係る振動デバイスの要部を模式的に示す断面図と、破線部IIIBにおける拡大図。
【図4】本実施形態の第2変形例に係る振動デバイスの要部を模式的に示す断面図と、破線部IVBにおける拡大図。
【図5】本実施形態に係る振動デバイスの製造方法を説明するフローチャート。
【図6】本実施形態に係る振動デバイスの製造方法の蓋体を準備する工程を説明するフローチャート。
【図7】本実施形態に係る振動デバイスの製造方法を模式的に説明する断面図。
【図8】本実施形態に係る振動デバイスの製造方法を模式的に説明する平面図。
【図9】本実施形態に係る振動デバイスの製造方法を模式的に説明する断面図。
【図10】本実施形態に係る振動デバイスの製造方法を模式的に説明する平面図。
【図11】本実施形態に係る振動デバイスの製造方法のベース基板を準備する工程を説明するフローチャート。
【図12】本実施形態に係る振動デバイスの製造方法を模式的に説明する断面図。
【図13】本実施形態に係る振動デバイスの製造方法を模式的に説明する平面図。
【図14】本実施形態に係る振動デバイスの製造方法を模式的に説明する断面図。
【図15】本実施形態に係る振動デバイスの製造方法を模式的に説明する断面図。
【図16】本実施形態に係る振動デバイスの製造方法を模式的に説明する断面図。
【図17】第2変形例に係る振動デバイスの製造方法を模式的に説明する断面図。
【図18】電子機器の一例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明を適用した実施形態の一例について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。本発明は、以下の実施形態及びその変形例を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0033】
1. 振動デバイス
以下、図面を参照して、本実施形態に係る振動デバイスについて説明する。
【0034】
図1は、一実施形態である本実施形態に係る振動デバイス100の構成を示す模式図である。図1(A)は、振動デバイス100の振動片70が実装される面における平面図を、蓋体30を便宜的に省略して模式的に示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)のIB−IB線における断面図であり、図1(A)は、振動デバイス100の振動片70が実装される面とは反対側の底面における平面図を、模式的に示す平面図である。図2は、図1(B)の破線部IIにおける拡大図である。
【0035】
図1(A)〜図1(C)に示すように、本実施形態に係る振動デバイス100は、振動片70が実装されたベース基板10と、振動片70をキャビティ1内に収容する蓋体30と、第1の融点を有し、かつ、ベース基板10と蓋体30とを接合する接着層20と、第1の融点よりも高い第2の融点を有し、かつ、ベース基板10、接着層20、及び蓋体30を覆う金属層40と、を含む。
【0036】
図1(A)及び図1(B)に示すように、ベース基板10は、後述される振動片70が実装される(電気的に接続される)部材であって、後述される蓋体30と接合し、振動片70をキャビティ1内に収容することができる部材である。
【0037】
キャビティ1は、ベース基板10と後述される蓋体30とによって形成される空間である。キャビティ1は、脱気処理(真空処理又は不活性ガス処理)され、減圧状態、より好適には真空状態であってもよい。また、キャビティ1は、窒素等の不活性ガス雰囲気であってもよい。したがって、図示はされないが、ベース基板10又は蓋体30には、ベース基板10と蓋体30との接合後、キャビティ1内の脱気処理を可能とし、脱気処理の後に塞がれる貫通孔が形成されていてもよい。
【0038】
ベース基板10の形状及び構成は、蓋体30と接合し、振動片70を収容することができる限り、特に限定されない。ベース基板10は、開口部を有し、該開口部から振動片70を収容する容器型の形状であってもよい(図4参照)。詳細は後述される。
【0039】
ベース基板10は、図1(B)に示すように、第1の面12(振動片70が実装される実装面)と、第1の面12とは反対側の第2の面13(外部端子が形成される底面)を有するプレート状部材であってもよい。第1の面12及び第2の面13は矩形の平坦面であってもよい。図示はされないが、第1の面12及び第2の面13は平坦面ではなく、凹部が形成されていてもよい。
【0040】
ベース基板10の材質は、例えば、金属、樹脂、単結晶シリコン、ガラス、セラミックス等から形成されたプレート状部材であってもよい。より好適には、例えば、図1(B)に示すように、ベース基板10は、複数の金属部材14(14a、14b)、及び複数の金属部材14を保持する絶縁層15から構成されることができる。
【0041】
金属部材14aは、図1(A)〜図1(C)に示すように、柱状部材(ポスト状部材)であって、ベース基板10を貫通し、第1の面12及び第2の面13において露出し、第1の面12及び第2の面13の一部を構成する。
【0042】
金属部材14aの第1の面12における露出部分は、後述される振動片70やICチップ80を実装するためのダイパッドの一部であってもよい。また、金属部材14aの第2の面13における露出部分は、振動デバイス100をマザーボード等の外部基板に接続するための外部端子の一部であってもよい。少なくとも1つの金属部材14aは、グラウンド用の貫通電極であってもよい。また、少なくとも1つの金属部材14aは、電源供給用の貫通電極であってもよい。
【0043】
金属部材14bは、図1(A)〜図1(C)に示すように、複数の金属部材14aを囲む環状部材であって、ベース基板10を貫通せず、第1の面12において露出し、第1の面12の一部を構成する。金属部材14bの第1の面12における露出部分は、ベース基板10の蓋体30との接合部分であってもよい。したがって、金属部材14bの第1の面12における露出部分は、蓋体30の接合部分と対応した形状を有していてもよい。
【0044】
金属部材14a及び14bのベース基板10の厚み方向における断面形状は、第1の面12から第2の面13へ向かう方向において、その断面積(幅)が次第に小さくなるように形成されていてもよい。また、図示はされないが、金属部材14(14a、14b)は、第1の面12から第2の面13へ向かう方向において、金属部材14aの断面積(幅)が同一となるように形成されていてもよい。
【0045】
金属部材14(14a、14b)の材質は、金属である限り、特に限定されない。金属部材14には、例えば、鉄(Fe)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、酸化アルミニウム(アルミナ)、42アロイ(Fe‐Ni合金)、コバール(Fe‐Ni‐Co合金)等を用いてもよい。
【0046】
複数の金属部材14を保持する絶縁層15は、図1(B)に示すように、複数の金属部材14(14a、14b)間の空間を充填し、第1の面12及び第2の面13を構成する。絶縁層15の材質は、絶縁性を有する限り、特に限定されない。絶縁層15には、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂等公知の樹脂材料を用いてもよい。
【0047】
図1(A)〜図1(C)に示すように、ベース基板10の第1の面12及び第2の面13には、配線パターン17(17a、17b、17c、17d)が形成される。ベース基板10の第1の面12には第1の配線パターン17a、17b、17cが形成され、第2の面13には第2の配線パターン17dが形成されていてもよい。
【0048】
配線パターン17は、金属部材14aと接続する再配置配線であってもよい。第1の配線パターン17a、17b、17cの一部は、後述される振動片70やICチップ80を実装するための電極パッドであってもよい。第2の配線パターン17dの一部は、マザーボード等の外部基板に接続するための外部接続用端子であってもよい。
【0049】
図1(A)に示すように、第1の配線パターン17a、17b、17cは、金属部材14aと接続して振動片70及びICチップ80が実装される配線パターン17aと、金属部材14aと接続してICチップ80のみが実装される配線パターン17bと、金属部材14bと接続して蓋体30との接合部分に配置される配線パターン17cとを含んでいてもよい。図1(B)に示すように、第2の配線パターン17dは、金属部材14aと接続して第2の面13の四隅において外部接続用端子を形成していてもよい。
【0050】
配線パターン17の材質及び構成は、特に限定されない。配線パターン17は、単層構造であってもよいし、図示はされないが、例えば、複数の導電膜の積層構造で形成されていてもよい。
【0051】
配線パターン17は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、Ti(チタン)、W(タングステン)、クロム(Cr)、スズ(Sn)等のいずれかを含む積層構造であってもよい。配線パターン17は、より好適には、チタン/タングステン層(第1層)、銅層(第2層)、ニッケル層(第3層)、及び金層(第4層)の積層構造であってもよい。
【0052】
図1(B)に示すように、ベース基板10の第1の面12側において蓋体30とベース基板10とが接合し、振動片70をキャビティ1内に収容する。図2に示すように、蓋体30は、接着層20を介してベース基板10と接合する。
【0053】
図1(B)及び図2に示すように、接着層20は、ベース基板10と蓋体30とを接合し、キャビティ1内を封止することができる。図2に示すように、例えば、接着層20は、ベース基板10の第1の配線パターン17cと蓋体30とを接合するように設けられていてもよい。接着層20が、ベース基板10と蓋体30との間を充填することによって、脱気処理されたキャビティ1内を確実に封止することができる。
【0054】
接着層20は、350℃以下である第1の融点を有し、第1の融点以上の温度で接着性を発揮するものであれば、特に限定されない。接着層20の材質としては、例えば、Snはんだ、Auはんだ等の金属ろう材等を挙げることができる。
【0055】
蓋体30の形状及び構造は、ベース基板10と接合し、振動片70等を収容するキャビティ1を形成することができる限り、特に限定されない。例えば、図1(B)及び図2に示すように、蓋体30は開口部36を有する容器状の形状であってもよい。
【0056】
また、蓋体30は、ベース基板10が容器状の形状であった場合、プレート状の形状であってもよい(図4参照)。詳細は後述される。
【0057】
蓋体30は、図1(B)に示すように、内面31と外面32とを有していてもよい。内面31は、蓋体30のキャビティ1の壁面を構成する面であって、外面32は、反対側の大気側の面である。
【0058】
内面31は、角部を有さず、平面及び/又は曲面から構成されていてもよい。図1(B)に示すように、外面32は、ベース基板10の第1の面12と略平行関係にある上面32a、及び上面32aと連続する側面32bを有していてもよい。
【0059】
ここで、図2に示すように、内面31と側面32bとに連続する面を、接合面33とする。接合面33は、蓋体30がベース基板10と接合する面であって、平坦な面である。
【0060】
蓋体30の材質は、特に限定されない。蓋体30の材質としては、例えば、金属、樹脂、単結晶シリコン、ガラス、セラミックス等を挙げることができる。
【0061】
加工精度や加工の簡便性等の加工性の観点から、蓋体30の材質は、好適には、鉄(Fe)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、酸化アルミニウム(アルミナ)、42アロイ(Fe‐Ni合金)、コバール(Fe‐Ni‐Co合金)等の金属から選択されてもよい。
【0062】
より好適には、蓋体30の材質は、ベース基板10に使用される金属部材14と同じ金属となるように選択されてもよい。これによれば、温度変化に応じて生じる内部応力を緩和することができ、振動デバイス100の信頼性をより向上させることができる。
【0063】
図1(B)及び図2に示すように、本実施形態に係る振動デバイス100は、第1の融点よりも高い第2の融点を有し、かつ、ベース基板10、接着層20、及び蓋体30を覆う金属層40を備える。
【0064】
金属層40は、少なくとも、接着層20の外面22、外面22と連続するベース基板10の第1の面12、及び外面22と連続する蓋体30の外面32の一部を覆うように形成される。換言すれば、金属層40は、ベース基板10と蓋体30とを接合するように形成される。また、金属層40は、電解メッキ若しくは無電解メッキを用いて形成してもよい。
【0065】
ここで接着層20の外面22とは、金属層40の形成前に大気に露出している面であって、図2に示すように、接着層20のキャビティ1側の露出面である内面21とは反対側の面である。
【0066】
図1(B)に示すように、金属層40は、蓋体30を全て覆うように形成されていてもよい。これによれば、金属層40の被膜・防食効果により、蓋体30を大気中の水分から保護することができ、振動デバイス100の信頼性を向上させることができる。
【0067】
また、図2に示すように、金属層40は、ベース基板10の第1の面12の外縁部12aまで覆うように形成されていてもよい。これによれば、金属層40がより多くの面積でベース基板10と接合することができるため、より確実にベース基板10と蓋体30とを接合することができる。
【0068】
金属層40の材質及び構造は、第1の融点(350℃)よりも高い第2の融点を有する金属である限り、特に限定されない。より好適には、第2の融点は、例えば、900℃であることができる。金属層40は、単層構造であってもよい。また、図示はされないが、金属層40は、複数の金属層の積層構造であってもよい。
【0069】
金属層40には、例えば、鉄(Fe)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タングステン(W)、42アロイ(Fe‐Ni合金)、コバール(Fe‐Ni‐Co合金)等を用いてもよい。
【0070】
より好適には、金属層40の材質は、蓋体30に使用される金属と同じ金属となるように選択されてもよい。これによれば、温度変化に応じて生じる内部応力を緩和することができ、振動デバイス100の信頼性をより向上させることができる。
【0071】
キャビティ1内に収容される振動片70は、どのような態様の振動片であってもよい。振動片70の態様としては、AT振動片、音叉型振動片、SAW振動片、ウォーク型振動片などを例示することができる。また、振動片70は、それ自体が水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料で形成されてもよいし、圧電性を有さない材料で形成されてもよい。振動片70が圧電性を有さない材料で形成された場合は、たとえば、さらに圧電素子を振動片70の構成に含んでもよい。
【0072】
本実施形態では、振動片70が水晶で形成された音叉型振動片である場合を例示する。振動片70は、キャビティ1内の壁面(図示の例では、第1の面12)に、例えば、導電性接着剤、導電性ペースト、ロウ材等の導電性の支持部材76によって支持されることができる。図1(A)に示すように、振動片70は、配線パターン17上の支持部材76によって支持されている。本実施形態の振動片70は、2本の振動碗71を有し、片持ち梁状に基部72によって支持されている。基部72から延出する振動碗71は、キャビティ1内で屈曲振動することができる。図示はされないが、振動碗71および基部72には、少なくとも振動碗71を屈曲振動させるための複数の電極が備えられる。
【0073】
図1(A)及び図1(B)に示すように、キャビティ1内にはベース基板10に実装されたICチップ80が収容されていてもよい。ICチップ80は、図1(B)に示すように、ベース基板10の第1の面12に、例えば、ろう材81によって実装され、配線パターン17と電気的に接続されている。ICチップ80は、発振回路部品であって、振動片70を駆動振動させるための駆動回路と、角速度が加わったときに振動片70に生じる検出振動を検出する検出回路と、を有することができる。
【0074】
以上のいずれかの構成でもって、本実施形態に係る振動デバイス100を構成することができる。
【0075】
本実施形態に係る振動デバイス100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0076】
本実施形態に係る振動デバイス100によれば、第1の融点を有し、かつ、ベース基板10と蓋体30とを接合する接着層20と、第1の融点よりも高い第2の融点を有し、かつ、ベース基板10、接着層20、及び蓋体30を覆う金属層40と、を含む。
【0077】
これによれば、ベース基板10、接着層20、及び蓋体30が第1の融点よりも高い第2の融点を有する金属からなる金属層40によって覆われる。したがって、振動デバイス100が第1の融点周辺、若しくは第1の融点よりも高い温度環境下であっても、ベース基板10と蓋体30との接合を金属層40により確実に保つことができる。例えば、振動デバイス100を二次実装するために、接着層20が溶融する温度で熱処理を行った場合であっても、金属層40によりキャビティ1内の真空度が保たれるため、振動デバイス100の発振周波数の信頼性が確保される。
【0078】
また、これによれば、ベース基板10と蓋体30とが溶接によらず接着層20により接合されている。したがって、その製造工程において溶接技術を使用する必要がなく、振動デバイスの小型化や商業的生産の要求に寄与することができる。
【0079】
以上から、このような振動デバイス100によれば、小型化・微細化や商業的生産の要求に寄与し、かつ発振周波数の信頼性が高い振動デバイスを提供することができる。
【0080】
(第1変形例)
次に、本実施形態に係る振動デバイス100の変形例について、図面を参照しながら説明する。
【0081】
図3は、第1変形例に係る振動デバイス101の構成を示す模式図である。図3(A)は、振動デバイス101の断面図であり、断面箇所は、図1(A)のIB−IB線に対応する。図3(B)は、図3(A)の破線部IIIBにおける拡大図である。
【0082】
なお、振動デバイス101は、蓋体30の構成のみにおいて振動デバイス100と異なる。以下、振動デバイス101の説明において、振動デバイス100と実質的に同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0083】
図3(A)及び図3(B)に示すように、蓋体130は、開口部136を有する容器状の形状であって、内面131と外面132とを有する。内面131は、蓋体130のキャビティ1の壁面を構成する面であって、外面132は、反対側の大気側の面である。
【0084】
内面131は、角部を有さず、平面及び/又は曲面から構成されていてもよい。図3(A)及び図3(B)に示すように、外面132は、ベース基板10の第1の面12と略平行関係にある上面132a、上面132aと連続する第1の側面132b、及び第1の側面132bと連続する第2の側面132cを有する。
【0085】
ここで、図3(B)に示すように、内面131と第2の側面132cとに連続する面を、接合面133とする。接合面133は、蓋体130がベース基板10と接合する面であって、平坦な面である。図3(A)及び図3(B)に示すように、第1の側面132bはテーパー面であり、かつ、ベース基板10側に凸な曲面である。また、図3(B)に示すように、第2の側面132cは第1の面12と略直角関係にある平面である。
【0086】
図3(A)及び図3(B)に示すように、蓋体130は、第1の側面132bの一部、第2の側面132c、及び接合面133の一部から構成される外延部134を有する。外延部134は、蓋体130の開口部136において、外側(キャビティ1側とは反対側)方向へ延びる部分である。
【0087】
変形例に係る振動デバイス101によれば、振動デバイス100と同様の特徴に加えて、例えば、以下の特徴をさらに有する。
【0088】
振動デバイス101は、蓋体130が、ベース基板10との接合部分において外延部134を備えている。これによれば、接合部分の面積をより多くとることができ、接着層20によるベース基板10と蓋体130との接合信頼性を向上させることができる。
【0089】
また、接合部分の面積がより大きくなったことで、接着層20の内面21と外面22との距離をより多くとることができる。これによれば、接着層20が溶融した場合であっても、内面21から外面22まで貫通する流路が形成されにくく、より真空度が低下しにくい構造とすることができる。したがって、より振動デバイスの信頼性を向上させることができる。
【0090】
(第2変形例)
図4は、第2変形例に係る振動デバイス200の構成を示す模式図である。図4(A)は、振動デバイス200の断面図であり、図4(B)は、図4(A)の破線部IVBにおける拡大図である。
【0091】
なお、振動デバイス200は、ベース基板10及び蓋体30の構成において振動デバイス100と異なる。以下、振動デバイス200の説明において、振動デバイス100と実質的に同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0092】
図4(A)及び図4(B)に示すように、ベース基板210は、開口部216を有する容器状の形状であって、蓋体230は、プレート状の部材である。
【0093】
図4(A)に示すように、ベース基板210は、振動片70を開口部216から収容することができる形状を有する。ベース基板210は、一部材から形状加工されていてもよいし、図4(A)に示すように、振動片70等が実装されるベース基板211及び、振動片70を収容する壁部212によって構成されていてもよい。
【0094】
図4(A)に示すように、蓋体230は、プレート状の部材であって、ベース基板210の開口部216を封止する。ここで、図4(B)に示すように、ベース基板210と蓋体230とは、接着層20により接合され、かつ、ベース基板210、接着層20、及び蓋体230を覆うように金属層40が形成される。具体的には、ベース基板210の壁部212の開口部216を形成する面212aの上において、接着層20を介して蓋体230が接合する。
【0095】
図4(B)に示すように、金属層40は、ベース基板210(面212a)、接着層20、及び蓋体230を覆うことができる。
【0096】
変形例に係る振動デバイス200によれば、振動デバイス100と同様の特徴を有することができる。
【0097】
2. 振動デバイスの製造方法
以下、図面を参照して、本実施形態に係る振動デバイスの製造方法について説明する。図5〜図17は、本実施形態に係る振動デバイスの製造方法を説明する模式図である。
【0098】
図5に示すように、振動デバイスを製造する工程は、ベース基板10及び蓋体30を準備する工程(S1)と、ベース基板10に振動片70を実装する工程(S2)と、第1の融点を有する接着層20を介してベース基板10と蓋体30とを接合し、振動片70をキャビティ1内に収容する工程(S4)と、キャビティ1内を脱気処理する工程(S4)と、第1の融点よりも高い第2の融点を有する金属を用いて、ベース基板10、接着層20、及び蓋体30を覆う金属層を形成するメッキ工程(S5)と、を含む。
【0099】
以下の本実施形態に係る振動デバイスの製造方法に係る説明では、まず、図6〜図10を参照しながら、蓋体30(130)を準備する工程(S11〜S14)を説明する。次に、図11〜図14を参照しながら、ベース基板10を準備する工程(S21〜S28)を説明した後、本実施形態に係る振動デバイスの製造方法の全体(S1〜S7)を説明する。
【0100】
2.1 蓋体の準備(S11〜S14)
図6に示すように、蓋体30を準備する工程は、金属基板を準備する工程(S11)と、接着層と同じ材質からなる導電層を形成する工程(S12)と、金属基板及び導電層をエッチングする工程(S13、S14)と、を含む。また、蓋体30を準備する工程は、パターニングされた金属基板30´を個片化し、同時に複数の蓋体30を形成することを含んでいてもよい(S15)。
【0101】
[金属基板の準備(S11)]
まず、金属基板30´を準備する。金属基板30´は、蓋体30となる部材であって、図7(A)に示すように、第1の面30aと、第1の面30aとは反対側の第2の面30bとを有する基板である。したがって、金属基板30´の材質は、蓋体30の材質から選択される。
【0102】
金属基板30´は、複数の第1の領域Aと、第1の領域Aを囲む第2の領域Bが設けられていてもよい。第1の領域Aは、蓋体30となる領域であり、第2の領域Bは、個片化する工程において切断される領域(ダイシングライン)であってもよい。
【0103】
[導電層形成(S12)]
次に、図7(A)に示すように、例えば電解メッキにより、第1の面30aの全面に、導電層20aを形成する。導電層20aは、接着層20となる導電層である。したがって、導電層20aは、第1の融点を有する金属材料から形成される。
【0104】
[レジストパターン形成(S13)]
次に、図7(B)に示すように、公知のフォトリソグラフィー技術によって、導電層20aの上に所望のパターニングを有するレジストパターン50aを形成する。また、第2の面30bにおいても全面を覆うようにレジストパターン50bを形成してもよい。
【0105】
[金属基板及び導電層のエッチング(S14)]
次に、図7(C)に示すように、導電層20a及び金属基板30´を第1の面30a側からのみパターニングする。パターニングする方法は、特に限定されず、ウェットエッチングやドライエッチング等の公知のエッチング技術、サンドブラスト処理や切削工具を用いた物理的処理等を用いることができる。
【0106】
好適には、ディップ式やスプレー式のウェットエッチングを採用することができる。例えば、導電層20aが、スズ(Sn)である場合、導電層20aのエッチング液には塩化第二鉄溶液を使用することができる。また、金属基板30´が42アロイ合金である場合、金属基板30´のエッチング液には塩化第二鉄溶液を使用することができる。
【0107】
金属基板30´のエッチング工程(S14)では、複数の凹部37(37a、37b)を形成するように金属基板30´をハーフエッチングする。凹部37aは、第1の領域Aに形成される凹部であり、凹部37bは、ダイシングラインである第2の領域Bに沿って形成される凹部である。図7(C)に示すように、これによって、複数の金属突出38を形成することができる。また、複数の凹部37(37a、37b)の形状は、スプレー式のウェットエッチングにおいてエッチングの所要時間を制御することで、所望の形状とすることができる。これにより、図8に示すように、金属基板30´のそれぞれの第1の領域Aにおいて、先端部に接着層20が形成された、環状の金属突出38を形成することができる。なお、図示はされないが、金属基板及び導電層のエッチング工程の後、レジストパターン50(50a、50b)は適宜除去される。
【0108】
[個片化(S15)]
次に、パターニングされた金属基板30´をダイシングラインである第2の領域Bに沿って切断し、複数の第1の領域Aを個片化する。これにより、接着層20を備えた蓋体30を同時に、かつ、複数形成することができる。切断方法は、特に限定されず、公知のダイシング方法を用いることができる。
【0109】
図7(E)に示すように、以上の工程から内面31、外面32(上面32a、側面32b)、及び接合面33を有する蓋体30を形成することができる。
【0110】
以上の蓋体30の製造方法によれば、化学エッチングなどの加工精度が高い方法で外形を加工することができる金属基板30´を用いるため、所望の外形の蓋体30を高い寸法精度で準備することが可能となる。
【0111】
また、厚みが実質的に均一な金属基板30´を加工することで、図7(E)に示すように、蓋体30の開口部36周縁部において、上面32aと接合面33間の幅W1を容易に均一にすることができる。換言すれば、厚みが実質的に均一な金属基板30´を用いることで、接合面33の高い平坦度を容易に担保することができる。
【0112】
また、複数の蓋体30が、共通の金属基板30´から加工されるため、蓋体30の寸法での品質のバラつきが低減し、形状品質が向上する。したがって、蓋体30の製造工程における加工精度不良によって、ベース基板10との接合不良が発生する可能性を低減することができる。
【0113】
以上から、金属基板30´を用いた蓋体30の製造方法によれば、高いスループットで、外形品質の高い蓋体30を商業的に製造することができ、ベース基板10との接合信頼性も向上させることができる。
【0114】
(第1変形例)
ここで、図9及び図10を参照して、第1変形例に係る振動デバイス101の蓋体130の製造方法を以下に説明する。
【0115】
第1変形例に係る振動デバイス101の蓋体130を準備する工程においても、金属基板を準備する工程(S11)と、接着層と同じ材質からなる導電層を形成する工程(S12)と、金属基板及び導電層をエッチングする工程(S13、S14)と、を含む。以下においては、蓋体130を準備する工程において、蓋体30を準備する工程と異なる工程のみを説明する。
【0116】
[レジストパターン形成(S13)]
図9(A)及び図9(B)に示すように、導電層20aが形成された金属基板30´において、公知のフォトリソグラフィー技術によって、レジストパターン50a及びレジストパターン50bを形成する。蓋体130の準備工程においては、第1の面30a及び第2の面30bの両面において、所望のパターニングを有するレジストパターン50a及びレジストパターン50bが形成される。
【0117】
[金属基板及び導電層のエッチング(S14)]
次に、図9(C)に示すように、導電層20a及び金属基板30´を第1の面30a及び第2の面30b側の両面からエッチングする。導電層20a及び金属基板30´のエッチング工程においては、蓋体30の準備工程と同様に、ディップ式やスプレー式のウェットエッチングを好適に採用することができる。
【0118】
金属基板及び導電層のエッチング工程(S14)では、複数の凹部137(137a、137b)を形成するように金属基板30´をハーフエッチングする。凹部137aは、第1の面30a側から第1の領域Aに形成される凹部であり、凹部37bは、第2の面30b側からダイシングラインである第2の領域Bに沿って形成される凹部である。これによれば、図9(C)に示すように、複数のアーチ部138を形成することができる。これにより、図9(C)及び図10に示すように、金属基板30´のそれぞれの第1の領域Aの周縁部および第2の領域Bにおいて、先端部に接着層20が形成された、格子状のアーチ部138を形成することができる。
【0119】
[個片化(S15)]
次に、パターニングされた金属基板30´をダイシングラインである第2の領域Bに沿って切断し、複数の第1の領域Aを個片化する。個片化工程では、アーチ部138の中央部分を切断する。これにより、図9(D)に示すように、外延部134を有する蓋体130を形成することができる。
【0120】
2.2 ベース基板の準備(S21〜S29)
次に、図11〜図14を参照しながら、ベース基板10を準備する工程(S21〜S29)を説明する。
【0121】
図11に示すように、ベース基板10を準備する工程は、金属基板を準備する工程(S21)と、金属基板をエッチングし、複数の金属突起を形成する工程(S22〜S25)と、複数の金属突起を覆うように絶縁層を形成する工程(S26)と、複数の金属突起が互いに独立するように金属基板をエッチングし、金属突起からなる複数の金属部材を形成する工程(S27)と、絶縁層から複数の金属部材が露出するように、絶縁層を研削する工程(S28)と、金属部材に接続する配線パターンを形成する工程(S29)と、を含む。
【0122】
[金属基板の準備(S21)]
まず、金属基板10´を準備する。金属基板10´は、ベース基板10の金属部材14(14a及び14b)となる部材であって、図12(A)に示すように、第1の面10aと、第1の面10aとは反対側の第2の面10bとを有する基板である。ここで、第1の面10aは、ベース基板10の第2の面13側となる面であり、第2の面10bは、ベース基板10の第1の面12側となる面であり、かつ、金属基板10´の材質は、金属部材14の材質から選択される。また、金属基板10´は、ベース基板10の設計上の厚みよりも厚い厚みを有する。
【0123】
金属基板10´は、複数の第1の領域A´と、第1の領域A´を囲む第2の領域B´が設けられていてもよい。第1の領域A´は、ベース基板10となる領域であり、第2の領域B´は、個片化する工程において切断される領域(ダイシングライン)であってもよい。
【0124】
次に、金属基板10´を第1の面10a側からエッチングし、複数の金属突起14´を形成する。複数の金属突起14´を形成する工程(S22〜S25)の一例を以下に説明する。
【0125】
[第1レジストパターン形成(S22)]
まず、図12(A)に示すように、公知のフォトレジスト技術により、第1の面10aに第1レジストパターン51aを形成する。第1レジストパターン51aは、第1の領域A´内において、金属突起14´を形成する領域であって、金属部材14aを形成する領域に設ける。したがって、第1の領域A´内において、ベース基板10の金属部材14aの数に対応して第1レジストパターン51aを形成することができる。
【0126】
[第1エッチング(S23)]
第1エッチング工程(S23)では、金属基板10´の第1の面10a側からエッチングを行う。本エッチング工程では、ディップ式やスプレー式のウェットエッチングを採用することができる。例えば、金属基板10´が42アロイ合金である場合、金属基板10´のエッチング液には塩化第二鉄溶液を使用することができる。
【0127】
第1エッチング工程(S23)では、複数の凹部10cを形成するように金属基板10´をハーフエッチングする。複数の凹部10cは、少なくとも第1の深さD1(第1の面10aを基準とする深さ)を有していればよく、互いに同じ深さであってもよいし、互いに異なる深さであってもよい。
【0128】
[第2レジストパターン形成(S24)]
次に、図12(B)に示すように、公知のフォトレジスト技術により、ハーフエッチングされた第1の面10a側の面に、第2レジストパターン51bを形成する。第2レジストパターン51bは、第1の領域A´内において、金属突起14´を形成する領域であって、金属部材14bを形成する領域に設ける。
【0129】
[第2エッチング(S25)]
次に、第2エッチング工程(S24)では、金属基板10´の第1の面10a側から更にエッチングを行う。本エッチング工程では、ディップ式やスプレー式のウェットエッチングを採用することができる。
【0130】
第2エッチング工程(S25)では、複数の凹部10dを形成するように金属基板10´を更にハーフエッチングする。複数の凹部10dは、少なくとも第2の深さD2(第1の面10aを基準とする深さであって、D1<D2)を有していればよく、互いに同じ深さであってもよいし、互いに異なる深さであってもよい。ここで、第2の深さD2は、ベース基板10の設計上の厚みと等しい深さである。
【0131】
以上S22〜S25の工程により、図12(C)及び図13に示すように、金属基板10´を第1の面10a側からエッチングし、複数の金属突起14´を形成することができる。図12(C)及び図13に示すように、第1の領域A´中央領域には、複数のポスト状(略円柱状)の金属突起14a´が形成され、中央領域を囲むように、環状の金属突起14b´が形成されていてもよい。
【0132】
なお、図示はされないが、第2エッチング工程の後、第1レジストパターン51a及び第2レジストパターン51bは適宜除去されてもよいし、後述される研削工程(S28)にて除去されてもよい。
【0133】
[絶縁材料充填・固化(S26)]
次に、図14(A)に示すように、複数の金属突起14´(14a´、14b´)を覆うように絶縁材料を充填して固化させ、絶縁層15aを第1の面10a側に形成する。例えば、常温で流動性を有する熱硬化性樹脂材料等の絶縁材料を凹部10dに充填し、かつ、金属突起14´を覆う。その後、充填した絶縁材料を焼成して絶縁層15aを形成する。ここで、図14(A)に示すように、絶縁層15aの上面を上面15bとする。また、第2の領域B´における絶縁層を絶縁層15cとする。
【0134】
また、本工程後、絶縁層15aと金属基板10´とを合わせた最大の厚みをT1(上面15bと第2の面10bの間の厚み)とするとき、T1が、ベース基板10の設計上の厚みD2よりも厚くなるように絶縁層15aを形成する。
【0135】
[第3エッチング(S27)]
次に、第3エッチング工程(S27)において、複数の金属突起14´が互いに独立するように金属基板10´を第2の面10b側からエッチングし、金属突起14´からなる複数の金属部材14(14a、14b)を形成する。ここで、複数の金属突起14´が互いに独立する状態とは、それぞれの金属突起14´が互いに離間し、電気的に接続されない状態を意味する。本工程において、第2の面10b側において、絶縁層15bが露出する。
【0136】
本工程後の絶縁層15aと金属基板10´とを合わせた最大の厚みをT2とするとき、T2が、ベース基板10の設計上の厚みD2よりも厚くなるように、第3エッチングを行う。
【0137】
なお、本エッチング工程では、ディップ式やスプレー式のウェットエッチング又はドライエッチング等の公知のエッチング技術を採用することができる。
【0138】
[研削(S28)]
次に、図14(C)に示すように、絶縁層15aから複数の金属部材14(14a)が露出するように、絶縁層15aを研削する。研削工程には公知の研削器具を用いることができる。例えば、高速回転する円盤型研削体によって研削加工を行ってもよい。
【0139】
ここで、図14(C)に示すように、第1の面10a及び第2の面10bの両面において研削加工を行ってもよい。また、絶縁層15aから複数の金属部材14aを露出させた後、更に金属部材14a及び絶縁層15aを研削してもよい。これによれば、確実に金属部材14aを露出させることができる。
【0140】
本工程において、被研削体の厚みが、実質的にベース基板10の設計上の厚みD2となるように研削を行う。これにより、図14(C)に示すように、所望の厚みを有する金属部材14(14a、14b)及び絶縁層15を形成することができる。また、平坦な第1の面12及び第2の面13を有するベース基板10(ベース基板10)を製造することができるため、蓋体30との接合信頼性を向上させることができる。
【0141】
[配線パターン形成(S29)]
次に、図14(D)に示すように、金属部材14に接続する配線パターン17(17a、17b、17c、17d)を第1の面12及び第2の面13に形成する。配線パターン17を形成する工程は、公知の成膜技術を用いることができる。配線パターン17は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット法、等により形成されてもよいし、CVD法、スパッタ法などを用いて配線パターン17と同じ材質の金属からなる層を形成した後、フォトリソグラフィ法で当該層をパターニングすることで配線パターン17を形成してもよい。
【0142】
図14(D)に示すように、以上の工程から、複数の第1の領域A´において複数のベース基板10が形成され、第1の領域A´を囲む第2の領域B´に絶縁層15cが形成される。ここで、切断領域である第2の領域B´の絶縁層15cを切断することで除去し、ベース基板10を個片化してもよいし、個片化を行わず、複数のベース基板10が絶縁層15cで連続した状態のプレート状部材を、基板2と称してもよい。
【0143】
2.3 振動デバイスの製造(S1〜S7)
次に、図5、図15、及び図16を参照しながら、振動デバイス100の製造工程(S1〜S7)を説明する。
【0144】
[ベース基板・蓋体の準備(S1)]
図5に示すように、本実施形態に係る振動デバイス100の製造工程のうち、ベース基板10及び蓋体30を準備する工程は、上述の説明の通りである。
【0145】
ベース基板10を準備する工程では、図15(A)に示すように、複数のベース基板10が絶縁層15cで連続したプレート状の基板2を準備してもよい。また、図示されないが、絶縁層15cにおいて切断され、個片化されたベース基板10を準備してもよい。好適には、本工程において、ベース基板10として、基板2を準備することで、複数のベース基板10の取り扱い性が向上し、商業的生産性が向上する。
【0146】
[振動片・ICチップ実装(S2)]
次に、図5に示すように、振動片70・ICチップ80を実装(電気的に接続し固定する)する。本工程で、振動片70及びICチップ80を実装(ダイアタッチ)する順序は特に限定されない。例えば、図15(B)及び図15(C)に示すように、ICチップ80を配線パターン17(17a、17b)に実装した後、振動片70を配線パターン17aに実装してもよい。これにより、振動片70とICチップ80の9集積回路とが電気的に接続される。また、振動片70が、例えば、片持ち梁となるように保持されてもよい。
【0147】
また、図15(C)に示されるように、基板2の複数のベース基板10に振動片70及びICチップ80をそれぞれ実装してもよい。
【0148】
[周波数調整(S3)]
次に、図5に示すように、振動片70の周波数調整を行う。周波数調整方法は、特に限定されず、例えば、振動片70の電極の一部をレザートリミングにより除去して質量を減少させたり、蒸着やスパッタリングなどにより質量を付加させたりしてもよい。または、ICチップ80のデータを書き換えることにより周波数調整を行ってもよい。
【0149】
[封止(S4)]
次に、図16(A)に示すように、振動片70及びICチップ80を覆うように蓋体30をベース基板10に接合し、振動片70及びICチップ80をキャビティ1内の空間に封止する。このとき、キャビティ1内を脱気しながら封止をしたり、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを注入しながら封止をしたりすることで、キャビティ1内の真空度を高めながら封止することができる。
【0150】
キャビティ1内の真空度を高く保つことで、振動片70のクリスタルインピーダンス(CI)を一定に保ち、振動デバイスの発振周波数の信頼性を確保することができる。
【0151】
本工程では、ベース基板10と蓋体30との接合は、蓋体30に設けられた接着層20を介して行われる。接着層20は、第1の融点を有する金属から構成されるため、接着層20が溶融し、接着性を発揮する第1の融点まで接着層20を加熱することで、ベース基板10と蓋体30とを接合することができる。
【0152】
[シールめっき(S5)]
次に、図16(B)に示すように、複数の蓋体30が接合した基板2の表面に対して、シールメッキ処理を行い、金属層40を形成する。金属層40は、複数の蓋体30、接着層20の外面22、第1の領域A´における第1の面12(ベース基板10)、及び基板2の第2の領域B´における絶縁層15cを覆うように形成される。金属層40は、上述したシールメッキ処理のようにメッキ法を用いることが好ましい。メッキ法としては無電解メッキが好ましいが、電解メッキでもよい。また、金属層40はメッキ法に限られず、別の公知の成膜技術を用いて形成してもよい。
【0153】
ここで、複数のユニットが封止された基板2に対し、一体的にシールめっき処理を行うことで、メッキ品質の均一化を図ることができる。したがって、均一な膜厚の金属層40が形成された複数の振動デバイス100を一度のシールめっき工程で形成することができる。
【0154】
[個片化(S6)]
次に、図16(C)に示すように、第2の領域B´に沿ってダイシングすることで、基板2に複数形成された振動デバイス100を個片化することができる。
【0155】
ここで、基板2を用いてシールめっき工程(S5)を行った後、本工程を行うことで、金属層40が、ベース基板10の第1の面12の外縁部12aまで確実に覆う振動デバイス100を製造することができる(図2参照)。
【0156】
[特性検査(S7)]
個片化された振動デバイス100の製造方法は、電気的特性等の特性を検査する工程を含んでいてもよい。
【0157】
以上の工程でもって、本実施形態に係る振動デバイス100の製造方法を構成することができる。
【0158】
本実施形態に係る振動デバイス100の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0159】
本実施形態に係る振動デバイス100の製造方法によれば、第1の融点を有する接着層20を介してベース基板10と蓋体30とを接合し、かつ、第1の融点よりも高い第2の融点を有する金属を用いて、ベース基板10、接着20層、及び蓋体30を覆う金属層40を形成する工程を含む。
【0160】
これによれば、ベース基板10と蓋体30とを接合し、振動片70をキャビティ1内に収容する封止工程(S4)において、溶接技術を採用せず、第1の融点まで接着層20を加熱することで、ベース基板10と蓋体30とを接合することができる。したがって、振動デバイス100の寸法やレイアウトを設計する場合に、ローラー電極のローラー幅や、レーザー光のスポット径等溶接装置固有の制約条件を考慮する必要がない。故に、振動デバイス100の小型化や商業的生産の要求に寄与することができる。
【0161】
また、これによれば、ベース基板10、接着層20、及び蓋体30を第1の融点よりも高い第2の融点を有する金属からなる金属層40によって覆うため、製造工程後、例えば二次実装される際に加えられる温度によって接着層20が溶融した場合であっても、金属層40によって、ベース基板10と蓋体30との接合を保つことができる振動デバイス100を提供することができる。
【0162】
以上から、このような振動デバイスの製造方法によれば、小型化・微細化や商業的生産の要求に寄与し、かつ、発振周波数の信頼性が高い振動デバイス100の製造方法を提供することができる。
【0163】
(第1変形例)
次に、第1変形例に係る振動デバイス101及び第2変形例に係る振動デバイス200の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0164】
第1変形例に係る振動デバイス101の製造方法は、振動デバイス100の製造方法のベース基板・蓋体の準備固工程(S1)において、蓋体130を準備することで、振動デバイス101を製造することができる(図9及び図10参照)。
【0165】
(第2変形例)
図17は、第2変形例に係る振動デバイス200の製造方法の一例を模式的に示す図である。以下の説明では、振動デバイス200のベース基板230がセラミックである場合について述べる。
【0166】
先ず、図17(A)に示すように、セラミックグリーンシートの状態のベース基板211を準備する。図示はしないが、ベース基板211の所定の位置に、脱気用のスルーホール等を形成してもよい。スルーホールの形成は、たとえば、機械的な切削や、マスクを用いたエッチングにより行うことができる。
【0167】
次に、図17(A)に示すように、ベース基板211両面に配線パターン17を形成する。本工程は、例えば、導体ペーストをインクとして、スクリーン印刷、インクジェット方式などの印刷法を用いて塗布し、焼成することにより行ってもよい(金属メタライズ)。また、本工程は、一般的な成膜およびパターニングによって行ってもよい。
【0168】
次に、図17(B)に示すように、開口部216を有する壁部212をベース基板211に積層する。壁部212は、セラミックグリーンシートの状態のものを用いてもよい。ベース基板211および壁部212を積層した後、焼成することによって、図17(C)に示すように、一体化したセラミックのベース基板210を形成することができる。
【0169】
次に、図17(C)に示すように、開口部216から振動片70等をベース基板210内に収容し、キャビティ1内を脱気処理しながら、蓋体230で振動片70を封止する。蓋体230とベース基板210とは、接着層20により接合される。
【0170】
次に、図17(D)に示すように、シールめっき工程を行い、ベース基板210(壁部212)、接着層20、及び蓋体230を覆う金属層40を形成する。
【0171】
以上の工程により第2変形例に係る振動デバイス200を製造することができる。
【0172】
3. 電子機器
次に、本発明に係る振動デバイス100(101、200)が適用される電子機器1000について説明する。本発明に係る振動デバイス100(101、200)が適用される電子機器1000は、例えば、携帯電話、自動車、デジタルカメラ、プロジェクター、携帯電話基地局、デジタルTV、デジタルビデオカメラ、時計、携帯型デジタル音楽プレーヤー、PDA、パソコン、プリンター等の電子機器であってもよい。例えば、図18に示すように、電子機器1000が、携帯電話の場合、無線回路やGPS回路の温度補償水晶発振器として、本発明に係る振動デバイス100を使用することができる。またカメラの手ぶれ検出機能等モーションセンシングのために本発明に係る振動デバイス100(101、200)を使用することができる。またワンセグ放送受信のための電圧補償型水晶発振器として、本発明に係る振動デバイス100を使用することができる。
【0173】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0174】
1 キャビティ、2 基板、10、210、211 ベース基板、12 第1の面、
13 第2の面、14 金属部材、15 絶縁層、17 配線パターン、
20 接着層、21 内面、22 外面、30、130、230 蓋体、31 内面、
32 外面、33 接合面、36 開口部、40 金属層、
50(50a、50b) レジストパターン、51a 第1レジストパターン、
52a 第2レジストパターン、70 振動片、71 振動碗、72 基部、
76 支持部材、80 ICチップ、81 ろう材、
100、101、200 振動デバイス、1000 電子機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板、及び蓋体を準備する工程と、
前記ベース基板に振動片を実装する工程と、
第1の融点を有する接着層を介して前記ベース基板と前記蓋体とを接合し、前記振動片をキャビティ内に収容する工程と、
前記キャビティ内を脱気処理する工程と、
前記第1の融点よりも高い第2の融点を有する金属を用いて、前記ベース基板、前記接着層、及び前記蓋体を覆う金属層を形成する工程と、
を含む、振動デバイスの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の融点は、350℃以下である、振動デバイスの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記蓋体を準備する工程は、
第1の面を有する第1の金属基板を準備する工程と、
前記第1の金属基板の前記第1の面に、前記接着層と同じ材質からなる導電層を形成する工程と、
前記第1の金属基板、及び前記導電層をエッチングする工程と、
を含む、振動デバイスの製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記蓋体を準備する工程は、前記第1の金属基板から複数の前記蓋体を形成することを含む、振動デバイスの製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項において、
前記ベース基板を準備する工程は、
第1の面及び、前記第1の面とは反対側の第2の面を有する第2の金属基板を準備する工程と、
前記第2の金属基板を前記第1の面側からエッチングし、複数の金属突起を形成する工程と、
複数の前記金属突起を覆うように絶縁層を前記第1の面側に形成する工程と、
複数の前記金属突起が互いに独立するように前記第2の金属基板を前記第2の面側からエッチングし、前記金属突起からなる複数の金属部材を形成する工程と、
前記絶縁層から複数の前記金属部材が露出するように、前記絶縁層を研削する工程と、
前記金属部材に接続する配線パターンを形成する工程と、
を含む、振動デバイスの製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項において、
前記振動片を実装する工程では、複数の前記ベース基板を含む基板に複数の前記振動片がそれぞれ実装され、
前記振動片をキャビティ内に収容する工程では、複数の前記振動片を複数の前記蓋体によってそれぞれ収容し、
前記金属層を形成する工程の後、前記基板を切断する工程を更に含む、振動デバイスの製造方法。
【請求項7】
振動片が実装されたベース基板と、
前記振動片をキャビティ内に収容する蓋体と、
第1の融点を有し、かつ、前記ベース基板と前記蓋体とを接合する接着層と、
前記第1の融点よりも高い第2の融点を有し、かつ、前記ベース基板、前記接着層、及び前記蓋体を覆う金属層と、
を含む、振動デバイス。
【請求項8】
請求項7において、
前記第1の融点は、350℃以下である、振動デバイス。
【請求項9】
請求項7または8において、
前記ベース基板は、複数の金属部材と、複数の前記金属部材を保持する絶縁層と、を含む、振動デバイス。
【請求項10】
請求項9において、
前記金属部材、及び前記蓋体の材質は同じ金属である、振動デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−46167(P2013−46167A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181802(P2011−181802)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】