排ガス浄化装置
【課題】NOx、HC、H2、及びPMを十分に浄化することができる排ガス浄化装置を提供すること。
【解決手段】内燃機関の排ガス流路19の途中に設けられる排ガス浄化装置1である。
排ガス浄化装置1は、多孔質の基材2、3と、該基材2、3に担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有する。PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる。NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されている。PM燃焼触媒は、NOx還元触媒よりも排ガス流路19における上流側に配置されている。
【解決手段】内燃機関の排ガス流路19の途中に設けられる排ガス浄化装置1である。
排ガス浄化装置1は、多孔質の基材2、3と、該基材2、3に担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有する。PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる。NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されている。PM燃焼触媒は、NOx還元触媒よりも排ガス流路19における上流側に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にディーゼルエンジンに有効な自動車の排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンから排出される排ガス中には、NOx、HC、H2、PM(パティキュレート・マター)等の有害成分が含まれている。これらが大気中放出されることを回避するために、排ガス流路にはこれらを浄化するために浄化触媒が設けられている。
【0003】
例えばガソリンエンジンでは、浄化触媒として、プラチナ・パラジウム・ロジウムを用いた三元触媒が利用されている。
理論空燃比に制御された通常のガソリンエンジンにおいては、三元触媒は有効に機能し、NOxをほぼ100%浄化することが可能になる。
しかし、リーンバーンエンジン、ディーゼルエンジンの排ガス中には、O2が十分に存在するため、三元触媒によってNOxを浄化することができない。そこで、リーンエンジン、ディーゼルエンジンにおいては、NOxを浄化できる新しい浄化触媒の開発が望まれていた。
【0004】
このような触媒として、プロトン導電体とPt触媒を組み合わせた触媒が開発されている(非特許文献1参照)。
かかる触媒を用いるとリーン雰囲気でもNOxを還元することができ、90%を超えるNOx浄化率を実現することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】マコト・サイトウ(Makoto Saito)他、ハイドロジェン・セレクティブ・キャタリチック・リダクション・オブ・NOx・アシスティッド・バイ・イン・サイチュ・アンモニア・フォーメイション・オーバー・Pt・キャタリスト・サポーティッド・オン・Feドープド・ティン・フォスフェイト(Hydrogen Selective Catalytic Reduction of NOx Assisted byIn Situ Ammonia Formation over Catalyst Supported on Fe-doped Tin Phosphate)、ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters)、(日本)、ザ・ケミカル・ソサイティ・ジャパン(TheChemical Society of Japan)、2008年、第37巻(Vol.37)、第12号(No.12)p.1226−1227
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プロトン導電体とPt触媒を組み合わせた触媒は、ディーゼルエンジン等の排ガス中に含まれるPM等を除去することはできず、排ガス中の有害成分を完全に除去することはできない。
そこで、例えばPM、HC、及びH2を浄化できる三元触媒とプロトン導電体を併用する手法が考えられる。
しかし、三元触媒とプロトン導電体を組み合わせても少なくともNOxを十分に除去することが困難になる。そのため、排ガス中に含まれるNOx、HC、H2、及びPMのすべてを十分に除去することができない。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、NOx、HC、H2、及びPMを十分に浄化することができる排ガス浄化装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、内燃機関の排ガス流路の途中に設けられる排ガス浄化装置であって、
多孔質の基材と、該基材に担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有し、
上記PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなり、
上記NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなり、
上記PM燃焼触媒は、上記NOx還元触媒よりも上記排ガス流路における上流側に配置されていることを特徴とする排ガス浄化装置にある(請求項1)。
【0009】
第2の発明は、内燃機関の排ガス流路の途中に設けられる排ガス浄化装置であって、
多孔質の基材と、該基材に担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有し、
上記PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなり、
上記NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなり、
上記基材は、多孔質隔壁を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセルを形成してなるハニカム構造体からなり、各セルは、上記ハニカム構造体の上記軸方向における一方の端面において栓部により閉塞しており、
上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体内に排ガスが流入する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記PM燃焼触媒が担持されており、
上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体の外部へ排ガスが流出する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記NOx還元触媒が担持されていることを特徴とする排ガス浄化装置にある(請求項5)。
【発明の効果】
【0010】
本発明の排ガス浄化装置は、上記PM燃焼触媒と上記NOx還元触媒とを有している。そのため、上記PM燃焼触媒において排ガス中のPMを除去することができ、上記NOx還元触媒において排ガス中のNOx、HC、H2を除去することができる。
【0011】
特に、上記第1の発明の上記排ガス浄化装置においては、上記PM燃焼触媒を上記NOx還元触媒よりも上流側に配置してある。
そのため、上記PM燃焼触媒においてPMを高い浄化率で浄化することができ、さらに上記NOx還元触媒においてNOx、HC、及びH2を高い浄化率で除去することができる。
【0012】
この理由について以下説明する。
上記PM燃焼触媒は、PMを燃焼させて除去することができるが、HC及びH2をほとんど除去しない。一方、上記NOx還元触媒はNOxを還元させて浄化できるが、その浄化にはHC及びH2を必要とする。
上記排ガス浄化装置においては、上記排ガス流路の上流側に上記PM燃焼触媒を配置し、下流側に上記NOx還元触媒を配置してある。そのため、上記PM燃焼触媒においてPMが除去された排ガスは、HC及びH2を十分に含んだ状態で下流側の上記NOx還元触媒に送られる。そのため、該NOx還元触媒において、NOxを十分に還元させて浄化することができる。また、NOxの還元に伴ってHC及びH2を浄化させることができる。
【0013】
このように、上記排ガス浄化装置においては、単に上記PM燃焼触媒と上記NOx還元触媒とを組み合わせただけでなく、上記排ガス流路の上流側に上記PM燃焼触媒を配置し、下流側に上記NOx還元触媒を配置するという構成を採用してある。
そのため、上記排ガス浄化装置は、NOx、HC、H2、及びPMを十分に浄化することができる。
【0014】
また、上記PM燃焼触媒は、上記NOx還元触媒に比べると触媒活性のためにより高い温度を必要とし、この観点からも、上記PM燃焼触媒を上記NOx還元触媒よりも上流側に配置することが有効となる。
【0015】
また、上記PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる。
かかる構成の上記PM燃焼触媒は、PMに対する優れた燃焼促進作用を有する。そのため、例えば600℃未満という低温でもPMの燃焼除去が可能になる。即ち、従来の上記三元触媒に比べて低温でのPMの燃焼除去が可能になる。
また、上記PM燃焼触媒は、アルカリ金属元素及び/又はアルカリ土類金属元素の保持力が高く、水分存在下においてもアルカリ金属元素及び/又はアルカリ土類金属元素が溶出し難い。そのため、触媒性能が低下し難く、長期間安定にPMの浄化を行うことができる。
【0016】
また、上記NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなる。
かかる構成の上記NOx還元触媒は、例えば100〜200℃程度の低温でもNOxを還元することができると共に、HC及びH2を分解することができる。
上記のごとく、上記排ガス流路の上流側にPM燃焼触媒を配置し、下流側に上記NOx還元触媒を配置した構成においては、上記PM燃焼触媒を通過した排ガスの温度がさらに低下するが、上記NOx還元触媒はこのような低い温度においても触媒活性を十分に発揮することができる。
【0017】
また、上記第2の発明の排ガス浄化装置においては、上記基材として、多孔質隔壁を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセルを形成してなるハニカム構造体を有する。各セルは、上記ハニカム構造体の上記軸方向における一方の端面において栓部により閉塞している。そして、上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体内に排ガスが流入する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記PM燃焼触媒が担持されており、上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体の外部へ排ガスが流出する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記NOx還元触媒が担持されている。
【0018】
そのため、上記第2の発明の上記排ガス浄化装置においては、上記ハニカム構造体内に流入する排ガスは、まず上記PM燃焼触媒が担持された上記多孔質隔壁を通った後、上記NOx還元触媒が担持された上記多孔質隔壁が面するセルに送られる。それ故、排ガスは、まず上記PM燃焼触媒においてPMが浄化された後、HC及びH2を十分に含んだ状態で上記NOx還元触媒に送られるため、上述のごとく、該NOx還元触媒においてはNOxを十分に還元させて浄化することができる。また、NOxの還元に伴ってHC及びH2を浄化させることができる。
その他の作用効果は上記第1の発明と同様である。
【0019】
以上のように、本発明によれば、NOx、HC、H2、及びPMを十分に浄化することができる排ガス浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実験例1にかかる、各触媒種を用いて又は触媒を用いずに、カーボンブラックを燃焼させたときのDTA発熱ピーク温度を示す説明図。
【図2】実験例1にかかる、触媒を用いずにカーボンブラックを単独で燃焼させた場合における温度とTG及びDTAとの関係を示す線図。
【図3】実験例1にかかる、触媒種として貴金属系触媒を用いてカーボンブラックを燃焼させた場合における温度とTG及びDTAとの関係を示す線図。
【図4】実験例1にかかる、触媒種として炭酸カリウムを用いてカーボンブラックを燃焼させた場合における温度とTG及びDTAとの関係を示す線図。
【図5】実験例1にかかる、触媒種として排ガス浄化触媒(試料E1)を用いてカーボンブラックを燃焼させた場合における温度とTG及びDTAとの関係を示す線図。
【図6】実験例2にかかる、サンプルガスの温度とNOx還元触媒によるNOxの浄化率との関係を示す線図。
【図7】実施例1にかかる、排ガス浄化装置の構成を示す説明図。
【図8】実施例1にかかる、基材の全体構成を示す説明図。
【図9】実施例1にかかる、PM燃焼触媒を担持した基材の断面を示す説明図。
【図10】実施例1にかかる、PM燃焼触媒を担持した基材の隔壁部分における拡大断面を示す説明図。
【図11】実施例1にかかる、NOx還元触媒を担持した基材の断面を示す説明図。
【図12】実施例1にかかる、NOx還元触媒を担持した基材の隔壁部分における拡大断面を示す説明図。
【図13】実施例2にかかる、上流側にPM燃焼触媒を配置し、下流側にNOx還元触媒を配置して構成した排ガス浄化装置のNOx、H2、及びTHCに対する浄化性能を示す説明図。
【図14】実施例2にかかる、上流側に三元触媒を配置し、下流側にNOx還元触媒を配置して構成した排ガス浄化装置のNOx、H2、及びTHCに対する浄化性能を示す説明図。
【図15】実施例2にかかる、上流側にNOx還元触媒を配置し、下流側にPM燃焼触媒を配置して構成した排ガス浄化装置のNOx、H2、及びTHCに対する浄化性能を示す説明図。
【図16】その他の実施例にかかる、上流側にPM燃焼触媒を担持し、下流側にNOx還元触媒を担持した基材の断面を示す説明図。
【図17】その他の実施例にかかる、排ガスの流入側に開口するセルに面する多孔質隔壁にPM燃焼触媒を担持し、排ガスの流出側に開口するセルの隔壁に面する多孔質隔壁にNOx還元触媒を担持した基材の断面を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
上記排ガス浄化装置は、内燃機関の排ガス流路の途中に設けて用いられる。特に、ディーゼルエンジンの排ガス流路に設けることにより、上述の作用効果を顕著に発揮することができる。
【0022】
上記排ガス浄化装置は、多孔質の基材と、該基材に担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有する。
上記第1の発明の上記排ガス浄化装置においては、上記PM燃焼触媒と上記NOx還元触媒とは、それぞれ異なる少なくとも2つの上記基材に担持されており、上記PM燃焼触媒を担持した上記基材は、上記NOx還元触媒を担持した上記基材よりも上記排ガス流路における上流側に配置されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、例えばPM燃焼触媒又はNOx還元触媒を含有するスラリー中に基材を浸漬して担持させる際に、基材全体を浸漬させることができるため、担持を容易に行うことができる。また、この場合には、上記PM燃焼触媒を担持した基材と上記NOx還元触媒を担持した基材をそれぞれ別々に配置することができるため、配置構成の自由度が向上する。
【0023】
また、上記PM燃焼触媒と上記NOx還元触媒を、1つの上記基材に担持させ、上記PM燃焼触媒を上記NOx還元触媒よりも上記排ガス流路における上流側に担持させることもできる(請求項3)。
この場合には、排ガス浄化装置の全体のサイズを小さくすることが可能になる。また、両方の触媒を一つの基材に一体化させることによって装置全体としての強度が向上し、信頼性を向上させることができる。
【0024】
上記基材は、多孔質隔壁を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセルを形成してなるハニカム構造体からなることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記多孔質隔壁に上記PM燃焼触媒及び上記NOx還元触媒を担持させることができる。そして、上記セル内を通過する排ガスと上記PM燃焼触媒及び上記NOx還元触媒との接触面積を増大させることができる。
そのため、上記排ガス浄化装置のNOx、HC、H2、及びPMに対する浄化効率をより向上させることができる。
【0025】
また、上記基材としては、全てのセルが両端面に開口した構造体を用いることもできるが、一部のセルが基材(ハニカム構造体)両端面に開口し、残りのセルは両端面に形成された栓部によって閉塞された構造体を用いることもできる。
全てのセルが両端面に開口した構造体を用いた場合には、ガソリンエンジンに好適なものになる。一方、セルの両端部のうち少なくとも一方の端部が栓部によって閉塞された構造体を、少なくとも上記PM燃焼触媒を担持させる基材として用いた場合には、ディーゼルエンジンに好適なものになる。
【0026】
次に、上記第2の発明の排ガス浄化装置においては、上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体内に排ガスが流入する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記PM燃焼触媒が担持されており、上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体の外部へ排ガスが流入する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記NOx還元触媒が担持されている。
このような排ガス浄化装置は、上記栓部を形成した上記ハニカム構造体の両端部のうち、一方の端部の開口部からスラリー状の上記PM燃焼触媒を流し込んで焼成することによりこれを担持させ、もう一方の端部の開口部からスラリー状の上記NOx還元触媒を流し込んで焼成することによりこれを担持させて作製することができる。
【0027】
また、本発明において、上記基材は、コージェライト又はSiCからなることが好ましい(請求項9)。
この場合には、上記排ガス浄化装置を排ガスの浄化用に好適にすることができる。
【0028】
次に、上記PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる。
上記混合物又はソーダライトの焼成温度が600℃未満の場合には、上記PM燃焼触媒の耐久性が劣化するおそれがある。その結果、上記PM燃焼触媒を長期間安定して使用することができなくなるおそれがある。より好ましくは、焼成温度は700℃以上がよく、さらに好ましくは800℃以上がよい。
なお、焼成温度は、上記混合物又はソーダライト自体の温度のことであり、雰囲気温度ではない。したがって、焼成時には、上記混合物又はソーダライト自体の温度が600℃以上になるように焼成を行う。また、焼成時においては、上記焼成温度の焼成を好ましくは1時間以上、より好ましくは5時間以上、さらに好ましくは10時間以上行うことがよい。
【0029】
上記PM燃焼触媒は、上記混合物又はソーダライトを上記温度600℃以上で焼成した後、上記基材に担持されていることが好ましい。
この場合には、焼成後に得られる上記PM燃焼触媒に対して、粉砕等を行うことが可能になる。この粉末状の上記PM燃焼触媒を上記基材に担持させることができるため、上記基材に上記PM燃焼触媒を担持させる面の表面積を大きくすることができる。そのため、触媒活性を向上させることができる。
したがって、上記PM燃焼触媒は、上記混合物又は上記ソーダライトの焼成後かつ上記基材への担持前に粉砕されてあることが好ましい。
また、粉砕時には、上記PM燃焼触媒のメジアン径を50μm以下に調整することがよい。メジアン径が50μmを超える場合には、上記PM燃焼触媒を上記基材にコートする際に、目詰まりが起こったり、担持量にばらつきが生じたりするおそれがある。より好ましくは、メジアン径は10μm以下であることがよい。
上記PM燃焼触媒のメジアン径は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置あるいは走査電子顕微鏡等により測定することができる。
【0030】
また、粉砕を行う場合には、上記混合物又はソーダライトの焼成時の温度は、1200℃以下であることが好ましい。上記混合物又はソーダライトを、1200℃を越える温度で焼成した場合には、一旦溶融状態を経るため、上記PM燃焼触媒が硬度の高い塊状になってしまうおそれがある。その結果この場合には、上述のごとく粉砕を行って上記PM燃焼触媒を所望の粒径に調整することが困難になるおそれがある。
【0031】
上記PM燃焼触媒は、上記混合物又はソーダライトを上記基材に担持した後に温度600℃以上で焼成されていることが好ましい。
この場合には、上記混合物又はソーダライトが温度600℃以上で焼成されてなる上記PM燃焼の生成と、上記基材への担持(焼付け)を一度の焼成で行うことが可能になる。また、この場合には、例えば1200℃を越える高温での焼成も可能になる。上述のごとく、1200℃を越える高温で焼成を行うと、一旦溶融状態を経て上記PM燃焼が硬度の高い塊状になるが、この塊状の上記PM燃焼も、低温でPMに対する燃焼促進効果を示し、また、耐久性にも優れる。
【0032】
上記PM燃焼触媒は、上述のごとく、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成して得られる。ここで、ゼオライトとしては、ソーダライトを用いることもできる。
即ち、上記PM燃焼触媒は、ゼオライト(ソーダライトを含む)とアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物を温度600℃焼成することにより得ることができ、また、ソーダライトを単独で他成分と混合することなく温度600℃以上で燃焼することによっても得ることができる。
【0033】
ソーダライトを除くゼオライトは、一般に、一般式M2/nO・Al2O3・ySiO2・zH2O(但し、Mは、Na、K、及びHから選ばれる少なくとも1種の元素、y≧2、z≧0である)で表され、本発明においても、上記一般式で表されるゼオライトを採用することができる。ゼオライトとしては、例えばLTA型、FAU(フォージャサイト)型、MOR型、LTL型、FER型、MFI型、及びBEA型等の構造のゼオライトを採用することができる。
また、ソーダライトは、一般式3(Na2O・Al2O3・2SiO2)・2NaXで表される。Xは、一価の陰イオンとなる原子又は原子団であり、例えばF、Cl、Br、I等のハロゲン、又はOH等である。
【0034】
また、上記ゼオライトは、その組成中のAl2O31モルに対するSiO2量が200モル未満であることが好ましい。
即ち、ゼオライト組成中のSiO2/Al2O3(モル比)が200未満のゼオライト、さらに換言すれば、上記一般式M2/nO・Al2O3・ySiO2・zH2Oにおけるyの値がy<200であるゼオライトを採用することが好ましい。
ゼオライト組成中のAl2O31モルに対するSiO2量が200モル以上のゼオライト、即ち、上記一般式におけるyの値がy≧200のゼオライトは、所謂ハイシリカゼオライトと呼ばれ、かかるゼオライトを用いた場合には、上記PM燃焼触媒のPMに対する燃焼促進特性の向上効果が小さくなるおそれがある。
【0035】
上記混合物におけるゼオライトとしては、ソーダライトが採用されていることが好ましい(請求項7)。
この場合には、ソーダライト中のNaと、上記アルカリ金属元素源中のアルカリ金属元素及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属元素とがPMに対する優れた燃焼促進特性を発揮することができる。
【0036】
また、上記ゼオライトとしてソーダライトを用いた場合には、上記混合物において、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記ソーダライト中のSi元素1モルに対して2.25モル以下となっていることが好ましい。
上記アルカリ金属元素と上記アルカリ土類金属元素との合計量がソーダライト中のSi元素1モルに対して2.25モルを超える場合には、上記混合物の焼成中に該混合物が溶融し易くなる。その結果、焼成後に得られる上記PM燃焼触媒は、一旦溶融状態を経るおそれがあるため、その硬度が高くなってしまうおそれがある。そのためこの場合には、上述のごとく焼成後に粉砕を行って上記PM燃焼触媒を所望の粒径に調整することが困難になるおそれがある。また、この場合には、上記PM燃焼触媒自体の触媒活性は優れていても、水分による影響を受けやすくなるおそれがある。即ち、水分による触媒活性の低下幅が大きくなるおそれがある。そのため、所定の触媒活性を長期間維持させることが困難になり、上記PM燃焼触媒の寿命に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0037】
より好ましくは、上記混合物においては、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記ソーダライト中のSi元素1モルに対して1モル以下となっていることがよい。
さらに好ましくは、上記混合物においては、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記ソーダライト中のSi元素1モルに対して0.5モル以下となっていることがよい。
【0038】
上記ゼオライトとして、ソーダライト以外のゼオライトを採用する場合には、上記混合物において、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記ゼオライト中のSi元素1モルに対して0.1モル以上かつ2.0モル以下となっていることが好ましい。
ゼオライト中のSi元素1モルに対する上記アルカリ金属元素と上記アルカリ土類金属元素との合計量が0.1モル未満の場合には、上記PM燃焼触媒の耐水性が悪くなるおそれがある。
一方2.0モルを越える場合にも、水分存在下における上記PM燃焼触媒の燃焼促進特性が低下し易くなり、その低下幅が非常に大きくなるおそれがある。またこの場合には、上記混合物の焼成中に該混合物が溶融し易くなる。したがって、上記焼成後に得られる上記PM燃焼触媒は、一旦溶融状態を経るおそれがあるため、その硬度が高くなってしまうおそれがある。その結果この場合には、焼成後に粉砕を行って上記PM燃焼触媒を所望の粒径に調整することが困難になるおそれがある。
【0039】
より好ましくは、上記混合物においては、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記アルミノケイ酸塩中のSi元素1モルに対して0.2モル以上かつ1.5モル以下となっていることがよい。
【0040】
また、上述のアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量は、ゼオライトに混合するアルカリ金属元素源中のアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属元素との合計量であり、アルカリ金属元素源及びアルカリ土類金属元素源のうちいずれか一方だけを用いた場合には、もう一方の元素の量は0モルとして算出できる。また、複数のアルカリ金属元素源、複数のアルカリ土類金属元素源を用いた場合には、それらのすべての合計量として算出できる。
【0041】
上記アルカリ金属元素源としては、例えばアルカリ金属の化合物等がある。また、上記アルカリ土類金属元素源としては、例えばアルカリ土類金属の化合物等がある。
上記混合物は、少なくとも上記アルカリ金属元素源を含有することが好ましい。
この場合には、上記PM燃焼触媒のPMに対する燃焼促進特性をより向上させることができる。
【0042】
上記アルカリ金属元素源は、アルカリ金属元素としてNa、K、Rb、及びCsから選ばれる少なくとも1種を含有し、上記アルカリ土類金属元素源は、アルカリ土類金属元素としてMg、Ca、Sr、及びBaから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい(請求項6)。
この場合にも、上記PM燃焼触媒のPMに対する燃焼促進特性をより向上させることができる。
より好ましくは、上記ゼオライトとしてソーダライトを用いた場合には、上記アルカリ土類金属元素源としてはCa、Sr、Baを含有する化合物を用いることがよく、ソーダライト以外のゼオライトを用いた場合には、上記アルカリ土類金属元素源としてはBaを含有する化合物を用いることがよい。
【0043】
また、上記アルカリ土類金属元素源は、少なくともBaを含有することが好ましい。
この場合には、Ba以外の他のアルカリ土類金属元素を含有する上記アルカリ土類金属元素源を用いた場合に比べて、上記PM燃焼触媒の燃焼促進特性をより向上させることができる。
【0044】
上記ゼオライトと上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源との混合物は、上記ゼオライトと上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とを極性溶媒中で混合し、該極性溶媒を蒸発させて得られる固形分からなることが好ましい。
この場合には、上記ゼオライトと上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源との混合を容易に行うことができ、これらが均一に混合した上記混合物を得ることができる。そのため、焼成後に得られる上記PM燃焼触媒に触媒活性の偏りが発生することを抑制することができる。
上記極性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール、及び水等を用いることができる。また、これらの混合溶媒を用いることができる。
上記極性溶媒としては、揮発し易い溶媒を用いることが好ましい。
この場合には、混合後の乾燥を容易に行うことができる。
【0045】
上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源は、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物、酸化物、又は水酸化物であることが好ましい。
この場合には、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源を容易に水等の極性溶媒に混合させることができるため、上記混合物の作製時に、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とゼオライトとを上記極性溶媒中で混合させることにより、これらが均一に分散された上記混合物を容易に得ることができる。
【0046】
より好ましくは、上記アルカリ金属元素源としてはアルカリ金属元素の塩を用い、上記アルカリ土類金属元素源としてはアルカリ土類金属元素の塩を用いることがよい。
この場合には、上記アルカリ金属元素源及び上記アルカリ土類金属元素源は、水等の極性溶媒に対して優れた溶解性で溶解できるため、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とゼオライトとの混合を水等の極性溶媒中で行う場合に、ゼオライトと、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とを簡単かつ均一に混合させることができる。
【0047】
次に、上記NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなる。具体的には、上記NOx還元触媒においては、上記プロトン導電体の粒子に、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が担持されている。
【0048】
上記NOx還元触媒における6〜11族の上記金属元素としては、貴金属元素が採用されていることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記NOx還元触媒の触媒性能をより向上させることができる。
より好ましくは、6〜11族の金属元素として少なくともPtを含有することがよい。この場合には、より低温でのNOxの浄化が可能になる。
【0049】
また、上記プロトン導電体は、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなる。
Xの範囲が0.5〜1という範囲から外れる場合には、上記NOx還元触媒の触媒性能低下するおそれがある。また、上記一般式で表される化合物においては、Xが0.5未満となるまで金属元素M2を固溶させることが困難になる。
【0050】
上記PM燃焼触媒及び上記NOx還元触媒は、上記基材に直接担持させることができる。上記PM燃焼触媒を直接担持させるための方法は例えば次のような方法がある。
即ち、まず、上記PM燃焼触媒とシリカゾルとを含むスラリーに上記基材を浸漬し、上記基材の内部にまで上記PM燃焼触媒を進入させる。上記基材としては、例えばハニカム状又はフォーム状の多孔質体を採用することができる。次いで、エアブローにより、余分なスラリーを吹き飛ばした後、例えば温度400℃〜800℃で加熱することにより焼付けを行う。これにより、上記基材に上記PM燃焼触媒を直接接触させて担持させることができる。
また、上記PM燃焼触媒の代わりに上記NOx還元触媒を用いることにより、上記NOx還元触媒を上記基材に直接担持させることができる。
この場合には、上記PM燃焼触媒及び上記NOx還元触媒を担持した基材の気孔率を高くすることができ、PM及びNOx等に対する浄化効率を向上させることができる。
【0051】
また、上記PM燃焼触媒及び上記NOx還元触媒は、上記基材の表面に形成された担持層に担持させることができる。
この場合には、上記担持層を介して上記PM燃焼触媒及び上記NOx還元触媒が上記基材に担持され、上記PM燃焼触媒の担持を容易に行うことができる。
上記PM燃焼触媒を担持させる場合においては、具体的には、アルミナ等を含有するウォッシュコート成分と上記PM燃焼触媒とを混合し、ゾル状又はスラリー状の複合材料を作製し、該複合材料を上記基材にコートして例えば温度400℃〜600℃で加熱する。これにより、ウォッシュコート成分により担持層が形成され、該担持層に上記PM燃焼触媒を担持させることができる。
また、上記PM燃焼触媒の代わりに上記NOx還元触媒を用いることにより、上記NOx還元触媒を上記担持層に担持させることができる。
【0052】
上記担持層は、Al2O3、ZrO2、TiO2、CeO2、SiO2から選ばれる1種以上の酸化物からなることが好ましい。
この場合には、表面積の大きな上記担持層を形成することができる。その結果、上記PM燃焼触媒とPM、又は上記NOx還元触媒とNOxとが接触し易くなり、上記排ガス浄化装置はより効率よくPM、NOx等の有害物質の浄化を行うことができる。
【実施例】
【0053】
(実験例1)
本例においては、PM燃焼触媒を作製し、その触媒作用を検討する。
本例のPM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる。特に、本例においては、ゼオライトとしてソーダライトを採用し、アルカリ金属元素源として炭酸カリウムを採用した。
以下、本例のPM燃焼触媒の製造方法につき説明する。
【0054】
具体的には、まず、原料となるゼオライトとして、ソーダライト(3(Na2O・Al2O3・2SiO2)・2NaOH)の粉末を準備した。このソーダライト100重量部と炭酸カリウム5重量部とを水に投入し、水中で混合した。
次いで、混合液を温度120℃で加熱し、水分を蒸発させた。これにより、固形分(ソーダライトと炭酸カリウムとの混合物)を得た。
次に、この固形分を温度800℃で焼成した。具体的には、固形分を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度800℃(焼成温度)に達したところで10時間保持することにより焼成を行った。
次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、PM燃焼触媒を得た。これを試料E1とする。
【0055】
次に、本例において作製したPM燃焼触媒(試料E1)について、PMに対する燃焼促進特性を調べた。また、比較用として、貴金属系触媒(Pt粉末)、炭酸カリウム粉末についても燃焼促進特性を調べた。
【0056】
具体的には、まず、触媒種(試料E1、貴金属系触媒、又は炭酸カリウム粉末)200mgとカーボンブラック(CB;PMの代替として使用)20mgとをそれぞれ電子天秤にて正確に秤量した。これらをメノウ乳鉢を用いて触媒種(重量):CB(重量)=10:1となるように一定時間混合し、各触媒種とカーボンブラックとを含有する3種類の評価サンプルを得た。さらに、触媒種を用いずに、CBのみからなる評価サンプルを比較用として作製した。CB単独の評価サンプルについても、他のサンプルと同様にメノウ乳鉢を用いて一定時間混合したものを用いた。即ち、評価サンプルとしては、CB単独、貴金属系触媒とCBとの混合物、試料E1とCBとの混合物、炭酸カリウムとCBとの混合物という4種類のサンプルを作製した。
【0057】
次いで、熱分析−示差熱重量(TG−DTA)同時測定装置(理学電機社製のTG8120)用いて、各評価サンプル6mgを昇温速度10℃/minにて最高温度900℃まで加熱してCBを燃焼させると共に、このときのDTA発熱ピーク温度、及び温度とTGとの関係を測定した。なお、CB単独からなる評価サンプルについては、0.5mgを用いてDTA発熱ピーク温度の測定を行った。また、加熱は、流束50mL//minで空気を評価サンプルに流通させながら行った。各触媒種を用いたときのDTA発熱ピーク温度の結果を図1に示す。また、温度とTGとの測定結果については、CB単独を用いた結果を図2に示し、触媒種として貴金属系触媒を用いた結果を図3に示し、K2CO3を用いた結果を図4に示し、試料E1を用いた結果を図5に示す。図2〜図5の縦軸は、カーボンブラックの最大燃焼速度を示すDTA発熱ピークを用いている。
【0058】
また、触媒種(試料E1、貴金属系触媒、又は炭酸カリウム粉末)1gを水500cc中に投入し、一昼夜撹拌することにより洗浄した。次に、水洗浄処理後の触媒種をろ過し、ろ過後の触媒種にさらに1500ccの水を流通させて充分に洗浄した後、温度120℃にて乾燥させた。これらの水洗浄処理後の触媒種(試料E1及び貴金属系触媒)200mgとカーボンブラック(CB)20mgとを電子天秤にて正確に秤量した。これらをメノウ乳鉢を用いて触媒種(重量):CB(重量)=10:1となるように一定時間混合し、各触媒種とカーボンブラックとを含有する2種類の評価サンプルを得た。なお、CB単独からなる評価サンプルについては、他のサンプルと同様に洗浄及び乾燥を行い、その後メノウ乳鉢で混合したものを用いた。また、触媒種として炭酸カリウムを用いた評価サンプルは、水洗洗浄処理により水に溶解してしまったため、その後の操作を行うことができなかった。即ち、水洗後の評価サンプルとしては、CB単独、貴金属系触媒とCBとの混合物、試料E1とCBとの混合物という3種類のサンプルを作製した。これらのサンプルについて、再度熱分析−示差熱重量(TG−DTA)同時測定装置によって、DTA発熱ピーク温度の測定を行った。水洗浄処理後のDTA発熱ピーク温度の結果を図1に併記する。
【0059】
図1〜図5より知られるごとく、水洗浄前において、試料E1を用いたサンプル及び炭酸カリウム用いたサンプルは、DTA発熱ピーク温度が低く、比較的低い温度でPM(CB)を燃焼できることがわかる。なお、図1及び図5から知られるごとく、試料E1は、約400℃付近に発熱ピークを有しているが、実際にはこれよりも低い温度(例えば350℃程度)でもカーボンブラックの燃焼は開始されている。
【0060】
図1より知られるごとく、CB単独、貴金属系触媒、及び試料E1については、水洗前後でCBに対する燃焼促進特性はほとんど変化しなかった。これに対して、炭酸カリウムを用いたサンプルは、水洗後に炭酸カリウムが水に溶解し、測定が不可能であった。
【0061】
したがって、試料E1は、PMに対して優れた燃焼促進特性を有し、低温でPMを燃焼除去することができる。また、試料E1は、水分存在下においてもその優れた特性を維持できるため、長期間安定してPMの燃焼を行うことができる。したがって、試料E1は、水蒸気を多く含む排ガス中においても、PMを長期間安定して燃焼させることができる。
【0062】
上記のごとく、本例においては、ゼオライトとしてソーダライトを採用し、アルカリ金属元素源としてK源(炭酸カリウム)を採用し、これらの混合物を温度800℃で焼成して得られるPM燃焼触媒について検討を行った。本願出願人らは、本実験例の組合せ以外にも、ソーダライトを単独で焼成した場合、K以外のアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源を採用した場合、ソーダライト以外のゼオライトを採用した場合、温度条件を変更した場合等の種々の条件検討を行っている(特願2009−029194、特願2007−234748(特開2008−100216))。そして、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなるPM燃焼触媒が低温でPMを燃焼除去することができ、さらに水分存在下においても長期間安定してPMを燃焼できることを確認している。
本実験例以外の例については、本願明細書においては割愛するが、例えば特開2008−100216等を参照すれば実施することができる。
【0063】
(実験例2)
次に、本例においては、NOx還元触媒を作製し、その触媒作用を検討する。
本例のNOx還元触媒は、元素の周期表の6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなる。特に、本例においては、プロトン導電体として、Sn0.95Al0.05P2O7を採用し、6〜11族の金属元素としてPtを採用した。
以下、本例のNOx還元触媒の製造方法につき説明する。
【0064】
まず、Sn0.95Al0.05P2O7を合成した。
即ち、酸化スズ(SnO2(IV))7.159g、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)0.195g、リン酸(85wt%H3PO4)15.565gを秤量し、ビーカに入れ、純水を約80ml加えて均一に混合した。混合時の撹拌は、温度300℃で加熱しながら行い、ビーカ側面に付着した水滴がなくなるまで行った。このようにして得られたスラリーを坩堝に移し、坩堝に蓋をした。このとき、坩堝を蓋で完全に密封するのではなく、坩堝の開口部を数mm程度の幅で開口させた。
【0065】
次いで、開口部が焼成炉の取出し口側にくるように、焼成炉内に坩堝を配置し、焼成炉内で焼成を行った。焼成は、室温から650℃まで1時間30分かけて昇温させ、温度650℃で2時間30分保持し、次いで、温度650℃から室温まで1時間30分かけて降温させるという条件で行った。次に、焼成炉から坩堝を取出し、坩堝内部に付着した化合物(Sn0.95Al0.05P2O7)の粉末を削り出して回収した。このようにしてプロトン導電体を得た。
【0066】
次に、以下のようにしてプロトン導電体にPtを担持させた。
具体的には、まず、上記のようにして得られたプロトン導電体の粉末に蒸留水を加えてスラリーを得た。次いで、このスラリーにH2PtCl6水溶液と還元剤であるNaBH4水溶液を同時に滴下し、温度110℃で12時間程度攪拌した。その後、蒸発、固化させた。さらに、温度200℃で1時間Ar処理を行った。このようにして、PtがSn0.95Al0.05P2O7からなるプロトン導電体の粒子に担持されたNOx還元触媒を得た。これを試料E2とする。なお、NOx還元触媒の濃度は0.8wt%に調整した。
【0067】
また、本例においては、Sn0.95Al0.05P2O7からなるプロトン導電体にPt−Rhを担持させてなるNOx還元触媒を作製した。
具体的には、まず、上述の方法と同様にしてSn0.95Al0.05P2O7からなるプロトン導電体の粉末を作製した。
【0068】
次いで、プロトン導電体の粉末に蒸留水を加えてスラリーを得た。次いで、H2PtCl6とRhCl3との混合水溶液に、還元剤であるNaBH4水溶液を同時に滴下し、温度110℃で12時間程度攪拌した。その後、蒸発、固化させた。さらに、温度200℃で1時間Ar処理を行った。このようにして、Pt−RhがSn0.95Al0.05P2O7からなるプロトン導電体の粒子に担持されたNOx還元触媒を得た。これを試料E3とする。なお、還元触媒の濃度は0.8wt%に調整した。
【0069】
次に、本例において作製したNOx還元触媒(試料E2及び試料E3)について、NOxの浄化性能を調べた。
具体的には、各試料(試料E2及び試料E3)をガス管に入れ、このガス管に各種温度のサンプルガスを流速50ml/minで流した。サンプルガスは、NOを800ppm、H2を8400ppm、O2を5体積%含有する。
そして、ガス管内において各試料を通過したサンプルガス中に含まれるNOxの濃度を測定し、NOxの浄化率を算出した。なお、NOx濃度は、NOx分析計(堀場製作所(株)製の「PG−225」)を用いて測定した。
サンプルガスの温度と浄化率(NOx)との関係を図6に示す。
【0070】
図6より知られるごとく、本例において作製した試料E2及び試料E3は、いずれも100℃〜200℃程度の低温でも十分にNOxを浄化できることがわかる。
また、本例においては、Sn0.95Al0.05P2O7からなるプロトン導電体を用いたが、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表されるその他の組成のプロトン導電体についても、試料E2及び試料E3と同様に優れたNOxの浄化性能を示すことを確認している。その他の組成からなるプロトン導電体については、例えば上述の非特許文献1に示されている。
【0071】
このように、本例によれば、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなるNOx還元触媒は、NOxに対して優れた浄化性能を示すことがわかる。
【0072】
(実施例1)
次に、排ガス浄化装置の実施例について説明する。
本例の排ガス浄化装置1は、図7に示すごとく、内燃機関の排ガス流路19の途中に設けられる。
排ガス浄化装置1は、多孔質の基材2、3と、これに担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有する。本例において、PM燃焼触媒及びNOx還元触媒はそれぞれことなる基材2、3に担持されている。以下、適宜、PM燃焼触媒を担持する基材を第1基材2といい、NOx還元触媒を担持する基材を第2基材3という。
【0073】
以下、本例の排ガス浄化装置について詳細に説明する。
図7に示すごとく、本例の排ガス浄化装置1は、排ガス流路19を構成するための排気管の直径を拡大した筒状の捕集器10を有する。この捕集器10内にPM燃焼触媒を担持する第1基材2と、NOx還元触媒を担持する第2基材3が収容されている。
PM燃焼触媒を担持する第1基材2は、NOx還元触媒を担持する第2基材3よりも排ガス流路19の上流側に配置されている。
【0074】
第1基材2及び第2基材3は、同材質及び同形状である(図8参照)。
図8に示すごとく、第1基材2(第2基材3)は、外周壁21(31)と、この外周壁21(31)の内側においてハニカム状に設けられた隔壁22(32)と、この隔壁22(32)により仕切られた複数のセル23(33)とを有する。セル23(33)は、基材2(3)の両端面26、(36)、27(37)に部分的に開口している。即ち、各セル23(33)は、基材2(3)の一方の端面26、27(36、37)に開口し、もう一方の端面27、26(37、36)に形成された栓部25(35)によって閉塞している。
【0075】
図8、図9、及び図11に示すように、基材2(3)において、セル23(33)の両端面26(36)、27(37)における開口部24(34)と栓部25(35)とは交互に配置されており、所謂市松模様を形成している。
また、図9及び図11に示すごとく、基材2(3)においては、排ガスの入口側となる上流側端面26(36)及び排ガスの出口となる下流側端面27(37)に位置するセルの端部は、栓部25(35)が配置された部分と配置されていない部分とをそれぞれ交互に有している。多孔質体の隔壁22(32)には多数の空孔が形成され、排ガスが通過できるようになっている。
【0076】
そして、図9及び図10に示すごとく、第1基材2の外周壁21及び隔壁22には、PM燃焼触媒4が担持されている。本例において、PM燃焼触媒4としては、ソーダライトとK源(炭酸カリウム)との混合物を温度800℃で焼成してなる触媒、即ち実験例1の試料E1を採用してある。図10に示すごとく、PM燃焼触媒4は、多孔質の外周壁21及び隔壁22の細孔29内にまで担持されていると考えられる。
【0077】
また、図11及び図12に示すごとく、第2基材3の外周壁31及び隔壁32には、NOx還元触媒5が担持されている。本例において、NOx還元触媒5としては、Sn0.95Al0.05P2O7からなるプロトン導電体50に金属(Pt)51が担持された触媒、即ち、実験例2の試料E2を採用してある。図12に示すごとく、NOx還元触媒5は、多孔質の外周壁31及び隔壁32の細孔39内にまで担持されていると考えられる。
【0078】
また、本例において、基材2(3)は、直径103mm、長さ130mm、容積1.1Lの円柱状であり、セル密度400cpsi、壁厚100μmである。基材2(3)はコーディエライトからなり、そのセル23(33)は、断面が四角形状のものを採用した(図8参照)。セル23(33)は、その他にも例えば、三角形、六角形等の様々な断面形状を採用することができる。
【0079】
次に、排ガス浄化装置の製造方法について説明する。
まず、ハニカム構造の基材を作製した。
具体的には、まず、タルク、溶融シリカ、及び水酸化アルミニウムを所望のコーディエライト組成となるように秤量し、造孔剤、バインダー、水等を加え、混合機にて混合撹拌した。そして、得られた粘土質のセラミック材料を成形機にて押出成形し、ハニカム状の成形体を得た。これを乾燥した後、所望の長さに切断し、外周壁と、その内側においてハニカム状に設けられた隔壁と、隔壁により仕切られていると共に両端面に貫通してなる複数のセルとを有する成形体を作製した。次いで、この成形体を温度1400〜1450℃で2〜10時間加熱することにより仮焼して仮焼体(ハニカム構造体)を得た。
【0080】
次に、ハニカム構造体の両端面全体を覆うようにマスキングテープを貼り付けた。そして、セラミックハニカム構造体の両端面の栓詰めすべき位置に対応するマスキングテープにレーザー光を順次照射し、マスキングテープを溶融又は焼却除去して貫通穴を形成した。これにより、セルの端部における栓部により栓詰めすべき部分に貫通穴を形成した。セルの端部のその他の部分はマスキングテープで覆われている。本例においては、セルの両端面に貫通穴とマスキングテープで覆われた部分とが交互に配置するように、マスキングテープに貫通穴を形成した。本例では、マスキングテープとしては、厚さ0.1mmの樹脂フィルムを用いた。
【0081】
次に、栓部の材料である栓材の主原料となるタルク、溶融シリカ、アルミナ、及び水酸化アルミニウムを所望の組成となるように秤量し、バインダー、水等を加え、混合機にて混合撹拌し、スラリー状の栓材を作製した。このとき、必要に応じて造孔材を添加することもできる。そして、スラリー状の栓材を入れた容器を準備した後、貫通孔を部分的に形成したハニカム構造体の端面を浸漬した。これにより、マスキングテープの貫通穴からセルの端部に栓材を適量浸入させた。また、ハニカム構造体のもう一方の端面についても同様の工程を行った。このようにして、栓詰めすべきセルの開口部内に栓材が配置されたハニカム構造体を得た。
【0082】
次に、ハニカム構造体とその栓詰めすべき部分に配置した栓材とを同時に約1400〜1450℃で焼成した。これにより、マスキングテープは焼却除去され、図8に示すごとく、セル23(33)の両端に、その端部を開口する複数の開口部24(34)と、セル23(33)の端部を閉塞する複数の栓部25(35)とが形成されたセラミックハニカム構造体(基材)2(3)を作製した。本例においては、同形状、同材質の基材を2つ作製した。
【0083】
次に、実験例1で作製したPM燃焼触媒(試料E1)を、シリカゾルを5wt%配合したシリカスラリーに混合した。さらに固形分100重量部に対する水分量が400重量部となるように水を加え、スラリー状のPM燃焼触媒を得た。
次に、スラリー状のPM燃焼触媒中に基材を浸漬し、基材の多孔質の外壁21及び隔壁22等にPM燃焼触媒を含浸させた。次いで、エアーブローにより余分な水分を吹き飛ばした後、温度500℃で加熱することにより、焼き付けを行った。本例においては、PM燃焼触媒を70g/L(そのうちK濃度はK2CO3換算で約7g/L)コートした。
このようにして、図8〜図10に示すごとく、PM燃焼触媒4を基材2に担持させた。
【0084】
また、PM燃焼触媒の代わりに実験例2で作製したNOx還元触媒(試料E2)をシリカスラリーに混合し、その他は上述のPM燃焼触媒の場合と同様にしてNOx還元触媒5を基材3に担持させた(図11及び図12参照)。
【0085】
このようにして得られたPM燃焼触媒を担持した第1基材2と、NOx還元触媒5を担持した第2基材3を排ガス流路の途中に設けた捕集器10内に配置した(図7参照)。このとき、第1基材2を第2基材3よりも排ガス流路19の上流側に配置した。
以上のようにして、排ガス浄化装置1を製造した。
【0086】
次に、本例の排ガス浄化装置1の作用効果につき、説明する。
図7に示すごとく、本例の排ガス浄化装置1は、PM燃焼触媒を担持した基材2とNOx還元触媒を担持した基材3とを有している。
そのため、基材1において排ガス中のPMを除去することができ、基材2において排ガス中のNOx、HC、H2を除去することができる。
【0087】
そして、排ガス浄化装置1においては、PM燃焼触媒を担持した基材2を、NOx還元触媒を担持した基材3よりも上流側に配置してある。
そのため、図9に示すごとく、排ガス流路内を流れる排ガス71は、まず、PM燃焼触媒4を担持した第1基材2内に導入される。そして、第1基材2内においてPM燃焼触媒4によってPMが燃焼除去される。次いで、第1基材2を通過した排ガス72は、図11に示すごとく、第2基材3内導入される。そして、第2基材3内においてNOx還元触媒5によってNOx、H2、HCが除去される。
【0088】
第2基材3に担持されたNOx還元触媒5は、NOxの還元時にHC及びH2を要求する。本例のように、第1基材2を上流側に配置し、第2基材3を下流側に配置するという構成にすると、第1基材2内においては、排ガス71内のHC及びH2はほとんど浄化されないため、第2基材3内には、NOxだけでなくHC及びH2を含んだガスが導入される。そのため、第2基材3に担持されたNOx還元触媒5には、NOxだけでなく、その還元時に必要なHC及びH2が供給されるため、第2基材3においてNOxを十分に還元させて浄化することができる。また、NOxの還元に伴ってHC及びH2を浄化させることができる。
【0089】
このように、本例の排ガス浄化装置においては、単にPM燃焼触媒とNOx還元触媒とを組み合わせただけでなく、排ガス流路の上流側にPM燃焼触媒を配置し、下流側にNOx還元触媒を配置するという構成を採用してある。
そのため、排ガス浄化装置は、NOx、HC、H2、及びPMのいずれをも十分に浄化することができる。
【0090】
(実施例2)
本例は、実施例1において作製した排ガス浄化装置についてその排ガス浄化性能を評価する例である。
即ち、本例においては、実施例1において作製した排ガス浄化装置1(図7参照)に、排ガス流路の上流側から温度200℃のサンプルガスを流速50ml/minで流した。サンプルガスは、NOを800ppm、H2を8400ppm、THC(トータルハイドロカーボン)を5000ppm、O2を5体積%含有する。
そして、排ガス浄化装置を通過したサンプルガス中に含まれるNOxの濃度、H2濃度、THC濃度を測定し、これらの浄化率を算出した。なお、各ガス濃度については、NOXを上述の堀場製作所(株)製のNOX分析計を用いて測定し、その他を自動車用排ガス分析装置(堀場製作所(株)製の「MEXA−9100D」)を用いて測定した。
その結果を図13に示す。
【0091】
また、本例においては、三元触媒を担持した基材を上流側に配置し、実験例2で作製したNOx還元触媒(試料E2)を担持した基材を下流側に配置した比較用の排ガス浄化装置を作製した。
三元触媒を担持した基材は、次のようにして作製した。
【0092】
即ち、まず、セリウム−ジルコニウム固溶体(CeO2:ZrO2:Y2O3=65:30:5(モル比))75重量部と、活性アルミナ120重量部と、アルミナバインダー(アルミナ水和物3重量部と40wt%硝酸アルミナ水溶液)を、所定量の純水に混合し、ミリングしてスラリーを作製した。
次いで、実施例1と同様の基材を準備し、この基材にスラリーをウォッシュコートし、温度120℃で乾燥した後、温度650℃で3時間焼成し、基材上に触媒コート層を形成した。
【0093】
次に、触媒コート層を形成した基材を、所定濃度の硝酸ロジウム水溶液に浸漬して、基材に硝酸ロジウムを吸着させた。吸着後、基材を温度120℃で乾燥させ、温度500℃で1時間焼成した。これにより、基材の触媒コート層にRhを担持させた。
次いで、基材を所定濃度のジニトロジアンミン白金溶液に浸漬して、Ptを吸着させた。吸着後、基材を温度120℃で乾燥させ、温度500℃で1時間焼成した。これにより、基材の触媒コート層にさらにPtを担持させた。
このようにして、三元触媒を担持した基材を得た。なお、基材1Lあたりの貴金属の担持量は、Rhが0.2g/L、であり、Ptが1.0g/Lである。
【0094】
次に、三元触媒を担持した基材を上流側に配置し、NOx還元触媒(試料E2)を担持した基材を下流側に配置した点を除いては、実施例1と同様にして、比較用の排ガス浄化装置を構成した。
この比較用の排ガス浄化装置は、実施例1で作製した排ガス浄化装置におけるPM燃焼触媒を担持した基材の代わりに三元触媒を担持した基材を採用した点を除いては、実施例1の排ガス浄化装置と同様の構成を有している。
【0095】
次に、三元触媒を用いた比較用の排ガス浄化装置についても、排ガス浄化性能を評価した。評価は、本例の上述の方法に従って行った。
その結果を図14に示す。
【0096】
また、本例においては、実施例1の排ガス浄化装置におけるPM燃焼触媒を担持した基材とNOx還元触媒を担持した基材との配置を入れ替えた比較用の排ガス浄化装置を作製した。
即ち、NOx還元触媒を担持した基材を排ガス流路の上流側に配置し、PM燃焼触媒を担持した基材を排ガス流路の下流側に配置した点を除いては実施例1と同様にして排ガス浄化装置を構成した。
【0097】
この配置を入れ替えた比較用の排ガス浄化装置についても、排ガス浄化性能を評価した。評価は、本例の上述の方法に従って行った。
その結果を図15に示す。
【0098】
図13より知られるごとく、PM燃焼触媒をNOx還元触媒よりも上流側に配置して構成した排ガス浄化装置は、NOx、H2、HCを十分に浄化できることがわかる。また、PMに対する浄化性能は、実験例1に示すとおりである。
一方、図14より知られるごとく、三元触媒を上流に配置した比較用の排ガス浄化装置においては、NOxの浄化率が非常に低くなっていた。これは、上流側の三元触媒において、PMだけでなくH2及びHCが浄化されてしまい、下流のNOx還元触媒においてNOxを十分に還元できなくなったためである。
また、図15より知られるごとく、PM燃焼触媒をNOx還元触媒の下流側に配置して構成した比較用の排ガス浄化装置においては、NOx、H2、HCのいずれに対しても浄化性能が低下していた。
【0099】
このように、本例によれば、排ガス流路の上流側にPM燃焼触媒を配置し、下流側にNOx還元触媒を配置することにより、NOx、H2、及びHCを十分に浄化できる排ガス浄化装置を構成できることがわかる。
【0100】
(その他の実施例)
実施例1においては、PM燃焼触媒4とNOx還元触媒5とをそれぞれ別々の基材(第1基材2及び第2基材3)に担持させて排ガス浄化装置を構成したが(図9及び図11参照)、図16に示すごとく、PM燃焼触媒4とNOx還元触媒5とを同一の基材8に担持させることもできる。
この場合には、基材8において、排ガスの上流側26にPM燃焼触媒4を担持させ、下流側27にNOx還元触媒5を担持させる。この場合にも、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0101】
また、同一の基材8に担持させる場合であっても、隣接するセル231、232毎にPM燃焼触媒4とNOx還元触媒5とを交互に担持させることもできる(図17参照)。
例えば、同図に示すごとく、多孔質隔壁22を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセル23を形成してなるハニカム構造体からなる基材9において、各セル23のうちハニカム構造体9内に排ガスが流入する側26に開口するセル231に面する多孔質隔壁221にはPM燃焼触媒4を担持する。また、各セル23のうちハニカム構造体9の外部へ排ガスが流出する側27に開口するセル232に面する多孔質隔壁222にはNOx還元触媒5を担持する。
また、ハニカム構造体9において、各セル23は、軸方向における一方の端面において栓部95により閉塞している。本例において、隣り合うセル23は、それぞれ交互に異なる端面に栓部25を有しており、実施例1と同様の構成の基材を採用してある。
【0102】
このような構成の排ガス浄化装置においては、ハニカム構造体9内に流入する排ガスは、まずPM燃焼触媒4が担持された多孔質隔壁221を通過した後、NOx還元触媒5が担持された多孔質隔壁222が面するセル232に送られる。それ故、排ガスは、まずPM燃焼触媒4においてPMが浄化された後、HC及びH2を十分に含んだ状態でNOx還元触媒5に送られる。そのため、NOx還元触媒5においてはNOxを十分に還元させて浄化することができる。また、NOxの還元に伴ってHC及びH2を浄化させることができる。
その他の作用効果は実施例1と同様である。
【符号の説明】
【0103】
1 排ガス浄化装置
19 排ガス流路
2 基材(第1基材)
3 基材(第2基材)
4 PM燃焼触媒
5 NOx還元触媒
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にディーゼルエンジンに有効な自動車の排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンから排出される排ガス中には、NOx、HC、H2、PM(パティキュレート・マター)等の有害成分が含まれている。これらが大気中放出されることを回避するために、排ガス流路にはこれらを浄化するために浄化触媒が設けられている。
【0003】
例えばガソリンエンジンでは、浄化触媒として、プラチナ・パラジウム・ロジウムを用いた三元触媒が利用されている。
理論空燃比に制御された通常のガソリンエンジンにおいては、三元触媒は有効に機能し、NOxをほぼ100%浄化することが可能になる。
しかし、リーンバーンエンジン、ディーゼルエンジンの排ガス中には、O2が十分に存在するため、三元触媒によってNOxを浄化することができない。そこで、リーンエンジン、ディーゼルエンジンにおいては、NOxを浄化できる新しい浄化触媒の開発が望まれていた。
【0004】
このような触媒として、プロトン導電体とPt触媒を組み合わせた触媒が開発されている(非特許文献1参照)。
かかる触媒を用いるとリーン雰囲気でもNOxを還元することができ、90%を超えるNOx浄化率を実現することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】マコト・サイトウ(Makoto Saito)他、ハイドロジェン・セレクティブ・キャタリチック・リダクション・オブ・NOx・アシスティッド・バイ・イン・サイチュ・アンモニア・フォーメイション・オーバー・Pt・キャタリスト・サポーティッド・オン・Feドープド・ティン・フォスフェイト(Hydrogen Selective Catalytic Reduction of NOx Assisted byIn Situ Ammonia Formation over Catalyst Supported on Fe-doped Tin Phosphate)、ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters)、(日本)、ザ・ケミカル・ソサイティ・ジャパン(TheChemical Society of Japan)、2008年、第37巻(Vol.37)、第12号(No.12)p.1226−1227
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プロトン導電体とPt触媒を組み合わせた触媒は、ディーゼルエンジン等の排ガス中に含まれるPM等を除去することはできず、排ガス中の有害成分を完全に除去することはできない。
そこで、例えばPM、HC、及びH2を浄化できる三元触媒とプロトン導電体を併用する手法が考えられる。
しかし、三元触媒とプロトン導電体を組み合わせても少なくともNOxを十分に除去することが困難になる。そのため、排ガス中に含まれるNOx、HC、H2、及びPMのすべてを十分に除去することができない。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、NOx、HC、H2、及びPMを十分に浄化することができる排ガス浄化装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、内燃機関の排ガス流路の途中に設けられる排ガス浄化装置であって、
多孔質の基材と、該基材に担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有し、
上記PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなり、
上記NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなり、
上記PM燃焼触媒は、上記NOx還元触媒よりも上記排ガス流路における上流側に配置されていることを特徴とする排ガス浄化装置にある(請求項1)。
【0009】
第2の発明は、内燃機関の排ガス流路の途中に設けられる排ガス浄化装置であって、
多孔質の基材と、該基材に担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有し、
上記PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなり、
上記NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなり、
上記基材は、多孔質隔壁を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセルを形成してなるハニカム構造体からなり、各セルは、上記ハニカム構造体の上記軸方向における一方の端面において栓部により閉塞しており、
上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体内に排ガスが流入する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記PM燃焼触媒が担持されており、
上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体の外部へ排ガスが流出する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記NOx還元触媒が担持されていることを特徴とする排ガス浄化装置にある(請求項5)。
【発明の効果】
【0010】
本発明の排ガス浄化装置は、上記PM燃焼触媒と上記NOx還元触媒とを有している。そのため、上記PM燃焼触媒において排ガス中のPMを除去することができ、上記NOx還元触媒において排ガス中のNOx、HC、H2を除去することができる。
【0011】
特に、上記第1の発明の上記排ガス浄化装置においては、上記PM燃焼触媒を上記NOx還元触媒よりも上流側に配置してある。
そのため、上記PM燃焼触媒においてPMを高い浄化率で浄化することができ、さらに上記NOx還元触媒においてNOx、HC、及びH2を高い浄化率で除去することができる。
【0012】
この理由について以下説明する。
上記PM燃焼触媒は、PMを燃焼させて除去することができるが、HC及びH2をほとんど除去しない。一方、上記NOx還元触媒はNOxを還元させて浄化できるが、その浄化にはHC及びH2を必要とする。
上記排ガス浄化装置においては、上記排ガス流路の上流側に上記PM燃焼触媒を配置し、下流側に上記NOx還元触媒を配置してある。そのため、上記PM燃焼触媒においてPMが除去された排ガスは、HC及びH2を十分に含んだ状態で下流側の上記NOx還元触媒に送られる。そのため、該NOx還元触媒において、NOxを十分に還元させて浄化することができる。また、NOxの還元に伴ってHC及びH2を浄化させることができる。
【0013】
このように、上記排ガス浄化装置においては、単に上記PM燃焼触媒と上記NOx還元触媒とを組み合わせただけでなく、上記排ガス流路の上流側に上記PM燃焼触媒を配置し、下流側に上記NOx還元触媒を配置するという構成を採用してある。
そのため、上記排ガス浄化装置は、NOx、HC、H2、及びPMを十分に浄化することができる。
【0014】
また、上記PM燃焼触媒は、上記NOx還元触媒に比べると触媒活性のためにより高い温度を必要とし、この観点からも、上記PM燃焼触媒を上記NOx還元触媒よりも上流側に配置することが有効となる。
【0015】
また、上記PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる。
かかる構成の上記PM燃焼触媒は、PMに対する優れた燃焼促進作用を有する。そのため、例えば600℃未満という低温でもPMの燃焼除去が可能になる。即ち、従来の上記三元触媒に比べて低温でのPMの燃焼除去が可能になる。
また、上記PM燃焼触媒は、アルカリ金属元素及び/又はアルカリ土類金属元素の保持力が高く、水分存在下においてもアルカリ金属元素及び/又はアルカリ土類金属元素が溶出し難い。そのため、触媒性能が低下し難く、長期間安定にPMの浄化を行うことができる。
【0016】
また、上記NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなる。
かかる構成の上記NOx還元触媒は、例えば100〜200℃程度の低温でもNOxを還元することができると共に、HC及びH2を分解することができる。
上記のごとく、上記排ガス流路の上流側にPM燃焼触媒を配置し、下流側に上記NOx還元触媒を配置した構成においては、上記PM燃焼触媒を通過した排ガスの温度がさらに低下するが、上記NOx還元触媒はこのような低い温度においても触媒活性を十分に発揮することができる。
【0017】
また、上記第2の発明の排ガス浄化装置においては、上記基材として、多孔質隔壁を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセルを形成してなるハニカム構造体を有する。各セルは、上記ハニカム構造体の上記軸方向における一方の端面において栓部により閉塞している。そして、上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体内に排ガスが流入する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記PM燃焼触媒が担持されており、上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体の外部へ排ガスが流出する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記NOx還元触媒が担持されている。
【0018】
そのため、上記第2の発明の上記排ガス浄化装置においては、上記ハニカム構造体内に流入する排ガスは、まず上記PM燃焼触媒が担持された上記多孔質隔壁を通った後、上記NOx還元触媒が担持された上記多孔質隔壁が面するセルに送られる。それ故、排ガスは、まず上記PM燃焼触媒においてPMが浄化された後、HC及びH2を十分に含んだ状態で上記NOx還元触媒に送られるため、上述のごとく、該NOx還元触媒においてはNOxを十分に還元させて浄化することができる。また、NOxの還元に伴ってHC及びH2を浄化させることができる。
その他の作用効果は上記第1の発明と同様である。
【0019】
以上のように、本発明によれば、NOx、HC、H2、及びPMを十分に浄化することができる排ガス浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実験例1にかかる、各触媒種を用いて又は触媒を用いずに、カーボンブラックを燃焼させたときのDTA発熱ピーク温度を示す説明図。
【図2】実験例1にかかる、触媒を用いずにカーボンブラックを単独で燃焼させた場合における温度とTG及びDTAとの関係を示す線図。
【図3】実験例1にかかる、触媒種として貴金属系触媒を用いてカーボンブラックを燃焼させた場合における温度とTG及びDTAとの関係を示す線図。
【図4】実験例1にかかる、触媒種として炭酸カリウムを用いてカーボンブラックを燃焼させた場合における温度とTG及びDTAとの関係を示す線図。
【図5】実験例1にかかる、触媒種として排ガス浄化触媒(試料E1)を用いてカーボンブラックを燃焼させた場合における温度とTG及びDTAとの関係を示す線図。
【図6】実験例2にかかる、サンプルガスの温度とNOx還元触媒によるNOxの浄化率との関係を示す線図。
【図7】実施例1にかかる、排ガス浄化装置の構成を示す説明図。
【図8】実施例1にかかる、基材の全体構成を示す説明図。
【図9】実施例1にかかる、PM燃焼触媒を担持した基材の断面を示す説明図。
【図10】実施例1にかかる、PM燃焼触媒を担持した基材の隔壁部分における拡大断面を示す説明図。
【図11】実施例1にかかる、NOx還元触媒を担持した基材の断面を示す説明図。
【図12】実施例1にかかる、NOx還元触媒を担持した基材の隔壁部分における拡大断面を示す説明図。
【図13】実施例2にかかる、上流側にPM燃焼触媒を配置し、下流側にNOx還元触媒を配置して構成した排ガス浄化装置のNOx、H2、及びTHCに対する浄化性能を示す説明図。
【図14】実施例2にかかる、上流側に三元触媒を配置し、下流側にNOx還元触媒を配置して構成した排ガス浄化装置のNOx、H2、及びTHCに対する浄化性能を示す説明図。
【図15】実施例2にかかる、上流側にNOx還元触媒を配置し、下流側にPM燃焼触媒を配置して構成した排ガス浄化装置のNOx、H2、及びTHCに対する浄化性能を示す説明図。
【図16】その他の実施例にかかる、上流側にPM燃焼触媒を担持し、下流側にNOx還元触媒を担持した基材の断面を示す説明図。
【図17】その他の実施例にかかる、排ガスの流入側に開口するセルに面する多孔質隔壁にPM燃焼触媒を担持し、排ガスの流出側に開口するセルの隔壁に面する多孔質隔壁にNOx還元触媒を担持した基材の断面を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
上記排ガス浄化装置は、内燃機関の排ガス流路の途中に設けて用いられる。特に、ディーゼルエンジンの排ガス流路に設けることにより、上述の作用効果を顕著に発揮することができる。
【0022】
上記排ガス浄化装置は、多孔質の基材と、該基材に担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有する。
上記第1の発明の上記排ガス浄化装置においては、上記PM燃焼触媒と上記NOx還元触媒とは、それぞれ異なる少なくとも2つの上記基材に担持されており、上記PM燃焼触媒を担持した上記基材は、上記NOx還元触媒を担持した上記基材よりも上記排ガス流路における上流側に配置されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、例えばPM燃焼触媒又はNOx還元触媒を含有するスラリー中に基材を浸漬して担持させる際に、基材全体を浸漬させることができるため、担持を容易に行うことができる。また、この場合には、上記PM燃焼触媒を担持した基材と上記NOx還元触媒を担持した基材をそれぞれ別々に配置することができるため、配置構成の自由度が向上する。
【0023】
また、上記PM燃焼触媒と上記NOx還元触媒を、1つの上記基材に担持させ、上記PM燃焼触媒を上記NOx還元触媒よりも上記排ガス流路における上流側に担持させることもできる(請求項3)。
この場合には、排ガス浄化装置の全体のサイズを小さくすることが可能になる。また、両方の触媒を一つの基材に一体化させることによって装置全体としての強度が向上し、信頼性を向上させることができる。
【0024】
上記基材は、多孔質隔壁を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセルを形成してなるハニカム構造体からなることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記多孔質隔壁に上記PM燃焼触媒及び上記NOx還元触媒を担持させることができる。そして、上記セル内を通過する排ガスと上記PM燃焼触媒及び上記NOx還元触媒との接触面積を増大させることができる。
そのため、上記排ガス浄化装置のNOx、HC、H2、及びPMに対する浄化効率をより向上させることができる。
【0025】
また、上記基材としては、全てのセルが両端面に開口した構造体を用いることもできるが、一部のセルが基材(ハニカム構造体)両端面に開口し、残りのセルは両端面に形成された栓部によって閉塞された構造体を用いることもできる。
全てのセルが両端面に開口した構造体を用いた場合には、ガソリンエンジンに好適なものになる。一方、セルの両端部のうち少なくとも一方の端部が栓部によって閉塞された構造体を、少なくとも上記PM燃焼触媒を担持させる基材として用いた場合には、ディーゼルエンジンに好適なものになる。
【0026】
次に、上記第2の発明の排ガス浄化装置においては、上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体内に排ガスが流入する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記PM燃焼触媒が担持されており、上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体の外部へ排ガスが流入する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記NOx還元触媒が担持されている。
このような排ガス浄化装置は、上記栓部を形成した上記ハニカム構造体の両端部のうち、一方の端部の開口部からスラリー状の上記PM燃焼触媒を流し込んで焼成することによりこれを担持させ、もう一方の端部の開口部からスラリー状の上記NOx還元触媒を流し込んで焼成することによりこれを担持させて作製することができる。
【0027】
また、本発明において、上記基材は、コージェライト又はSiCからなることが好ましい(請求項9)。
この場合には、上記排ガス浄化装置を排ガスの浄化用に好適にすることができる。
【0028】
次に、上記PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる。
上記混合物又はソーダライトの焼成温度が600℃未満の場合には、上記PM燃焼触媒の耐久性が劣化するおそれがある。その結果、上記PM燃焼触媒を長期間安定して使用することができなくなるおそれがある。より好ましくは、焼成温度は700℃以上がよく、さらに好ましくは800℃以上がよい。
なお、焼成温度は、上記混合物又はソーダライト自体の温度のことであり、雰囲気温度ではない。したがって、焼成時には、上記混合物又はソーダライト自体の温度が600℃以上になるように焼成を行う。また、焼成時においては、上記焼成温度の焼成を好ましくは1時間以上、より好ましくは5時間以上、さらに好ましくは10時間以上行うことがよい。
【0029】
上記PM燃焼触媒は、上記混合物又はソーダライトを上記温度600℃以上で焼成した後、上記基材に担持されていることが好ましい。
この場合には、焼成後に得られる上記PM燃焼触媒に対して、粉砕等を行うことが可能になる。この粉末状の上記PM燃焼触媒を上記基材に担持させることができるため、上記基材に上記PM燃焼触媒を担持させる面の表面積を大きくすることができる。そのため、触媒活性を向上させることができる。
したがって、上記PM燃焼触媒は、上記混合物又は上記ソーダライトの焼成後かつ上記基材への担持前に粉砕されてあることが好ましい。
また、粉砕時には、上記PM燃焼触媒のメジアン径を50μm以下に調整することがよい。メジアン径が50μmを超える場合には、上記PM燃焼触媒を上記基材にコートする際に、目詰まりが起こったり、担持量にばらつきが生じたりするおそれがある。より好ましくは、メジアン径は10μm以下であることがよい。
上記PM燃焼触媒のメジアン径は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置あるいは走査電子顕微鏡等により測定することができる。
【0030】
また、粉砕を行う場合には、上記混合物又はソーダライトの焼成時の温度は、1200℃以下であることが好ましい。上記混合物又はソーダライトを、1200℃を越える温度で焼成した場合には、一旦溶融状態を経るため、上記PM燃焼触媒が硬度の高い塊状になってしまうおそれがある。その結果この場合には、上述のごとく粉砕を行って上記PM燃焼触媒を所望の粒径に調整することが困難になるおそれがある。
【0031】
上記PM燃焼触媒は、上記混合物又はソーダライトを上記基材に担持した後に温度600℃以上で焼成されていることが好ましい。
この場合には、上記混合物又はソーダライトが温度600℃以上で焼成されてなる上記PM燃焼の生成と、上記基材への担持(焼付け)を一度の焼成で行うことが可能になる。また、この場合には、例えば1200℃を越える高温での焼成も可能になる。上述のごとく、1200℃を越える高温で焼成を行うと、一旦溶融状態を経て上記PM燃焼が硬度の高い塊状になるが、この塊状の上記PM燃焼も、低温でPMに対する燃焼促進効果を示し、また、耐久性にも優れる。
【0032】
上記PM燃焼触媒は、上述のごとく、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成して得られる。ここで、ゼオライトとしては、ソーダライトを用いることもできる。
即ち、上記PM燃焼触媒は、ゼオライト(ソーダライトを含む)とアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物を温度600℃焼成することにより得ることができ、また、ソーダライトを単独で他成分と混合することなく温度600℃以上で燃焼することによっても得ることができる。
【0033】
ソーダライトを除くゼオライトは、一般に、一般式M2/nO・Al2O3・ySiO2・zH2O(但し、Mは、Na、K、及びHから選ばれる少なくとも1種の元素、y≧2、z≧0である)で表され、本発明においても、上記一般式で表されるゼオライトを採用することができる。ゼオライトとしては、例えばLTA型、FAU(フォージャサイト)型、MOR型、LTL型、FER型、MFI型、及びBEA型等の構造のゼオライトを採用することができる。
また、ソーダライトは、一般式3(Na2O・Al2O3・2SiO2)・2NaXで表される。Xは、一価の陰イオンとなる原子又は原子団であり、例えばF、Cl、Br、I等のハロゲン、又はOH等である。
【0034】
また、上記ゼオライトは、その組成中のAl2O31モルに対するSiO2量が200モル未満であることが好ましい。
即ち、ゼオライト組成中のSiO2/Al2O3(モル比)が200未満のゼオライト、さらに換言すれば、上記一般式M2/nO・Al2O3・ySiO2・zH2Oにおけるyの値がy<200であるゼオライトを採用することが好ましい。
ゼオライト組成中のAl2O31モルに対するSiO2量が200モル以上のゼオライト、即ち、上記一般式におけるyの値がy≧200のゼオライトは、所謂ハイシリカゼオライトと呼ばれ、かかるゼオライトを用いた場合には、上記PM燃焼触媒のPMに対する燃焼促進特性の向上効果が小さくなるおそれがある。
【0035】
上記混合物におけるゼオライトとしては、ソーダライトが採用されていることが好ましい(請求項7)。
この場合には、ソーダライト中のNaと、上記アルカリ金属元素源中のアルカリ金属元素及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属元素とがPMに対する優れた燃焼促進特性を発揮することができる。
【0036】
また、上記ゼオライトとしてソーダライトを用いた場合には、上記混合物において、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記ソーダライト中のSi元素1モルに対して2.25モル以下となっていることが好ましい。
上記アルカリ金属元素と上記アルカリ土類金属元素との合計量がソーダライト中のSi元素1モルに対して2.25モルを超える場合には、上記混合物の焼成中に該混合物が溶融し易くなる。その結果、焼成後に得られる上記PM燃焼触媒は、一旦溶融状態を経るおそれがあるため、その硬度が高くなってしまうおそれがある。そのためこの場合には、上述のごとく焼成後に粉砕を行って上記PM燃焼触媒を所望の粒径に調整することが困難になるおそれがある。また、この場合には、上記PM燃焼触媒自体の触媒活性は優れていても、水分による影響を受けやすくなるおそれがある。即ち、水分による触媒活性の低下幅が大きくなるおそれがある。そのため、所定の触媒活性を長期間維持させることが困難になり、上記PM燃焼触媒の寿命に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0037】
より好ましくは、上記混合物においては、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記ソーダライト中のSi元素1モルに対して1モル以下となっていることがよい。
さらに好ましくは、上記混合物においては、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記ソーダライト中のSi元素1モルに対して0.5モル以下となっていることがよい。
【0038】
上記ゼオライトとして、ソーダライト以外のゼオライトを採用する場合には、上記混合物において、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記ゼオライト中のSi元素1モルに対して0.1モル以上かつ2.0モル以下となっていることが好ましい。
ゼオライト中のSi元素1モルに対する上記アルカリ金属元素と上記アルカリ土類金属元素との合計量が0.1モル未満の場合には、上記PM燃焼触媒の耐水性が悪くなるおそれがある。
一方2.0モルを越える場合にも、水分存在下における上記PM燃焼触媒の燃焼促進特性が低下し易くなり、その低下幅が非常に大きくなるおそれがある。またこの場合には、上記混合物の焼成中に該混合物が溶融し易くなる。したがって、上記焼成後に得られる上記PM燃焼触媒は、一旦溶融状態を経るおそれがあるため、その硬度が高くなってしまうおそれがある。その結果この場合には、焼成後に粉砕を行って上記PM燃焼触媒を所望の粒径に調整することが困難になるおそれがある。
【0039】
より好ましくは、上記混合物においては、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記アルミノケイ酸塩中のSi元素1モルに対して0.2モル以上かつ1.5モル以下となっていることがよい。
【0040】
また、上述のアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量は、ゼオライトに混合するアルカリ金属元素源中のアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属元素との合計量であり、アルカリ金属元素源及びアルカリ土類金属元素源のうちいずれか一方だけを用いた場合には、もう一方の元素の量は0モルとして算出できる。また、複数のアルカリ金属元素源、複数のアルカリ土類金属元素源を用いた場合には、それらのすべての合計量として算出できる。
【0041】
上記アルカリ金属元素源としては、例えばアルカリ金属の化合物等がある。また、上記アルカリ土類金属元素源としては、例えばアルカリ土類金属の化合物等がある。
上記混合物は、少なくとも上記アルカリ金属元素源を含有することが好ましい。
この場合には、上記PM燃焼触媒のPMに対する燃焼促進特性をより向上させることができる。
【0042】
上記アルカリ金属元素源は、アルカリ金属元素としてNa、K、Rb、及びCsから選ばれる少なくとも1種を含有し、上記アルカリ土類金属元素源は、アルカリ土類金属元素としてMg、Ca、Sr、及びBaから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい(請求項6)。
この場合にも、上記PM燃焼触媒のPMに対する燃焼促進特性をより向上させることができる。
より好ましくは、上記ゼオライトとしてソーダライトを用いた場合には、上記アルカリ土類金属元素源としてはCa、Sr、Baを含有する化合物を用いることがよく、ソーダライト以外のゼオライトを用いた場合には、上記アルカリ土類金属元素源としてはBaを含有する化合物を用いることがよい。
【0043】
また、上記アルカリ土類金属元素源は、少なくともBaを含有することが好ましい。
この場合には、Ba以外の他のアルカリ土類金属元素を含有する上記アルカリ土類金属元素源を用いた場合に比べて、上記PM燃焼触媒の燃焼促進特性をより向上させることができる。
【0044】
上記ゼオライトと上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源との混合物は、上記ゼオライトと上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とを極性溶媒中で混合し、該極性溶媒を蒸発させて得られる固形分からなることが好ましい。
この場合には、上記ゼオライトと上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源との混合を容易に行うことができ、これらが均一に混合した上記混合物を得ることができる。そのため、焼成後に得られる上記PM燃焼触媒に触媒活性の偏りが発生することを抑制することができる。
上記極性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール、及び水等を用いることができる。また、これらの混合溶媒を用いることができる。
上記極性溶媒としては、揮発し易い溶媒を用いることが好ましい。
この場合には、混合後の乾燥を容易に行うことができる。
【0045】
上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源は、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物、酸化物、又は水酸化物であることが好ましい。
この場合には、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源を容易に水等の極性溶媒に混合させることができるため、上記混合物の作製時に、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とゼオライトとを上記極性溶媒中で混合させることにより、これらが均一に分散された上記混合物を容易に得ることができる。
【0046】
より好ましくは、上記アルカリ金属元素源としてはアルカリ金属元素の塩を用い、上記アルカリ土類金属元素源としてはアルカリ土類金属元素の塩を用いることがよい。
この場合には、上記アルカリ金属元素源及び上記アルカリ土類金属元素源は、水等の極性溶媒に対して優れた溶解性で溶解できるため、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とゼオライトとの混合を水等の極性溶媒中で行う場合に、ゼオライトと、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とを簡単かつ均一に混合させることができる。
【0047】
次に、上記NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなる。具体的には、上記NOx還元触媒においては、上記プロトン導電体の粒子に、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が担持されている。
【0048】
上記NOx還元触媒における6〜11族の上記金属元素としては、貴金属元素が採用されていることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記NOx還元触媒の触媒性能をより向上させることができる。
より好ましくは、6〜11族の金属元素として少なくともPtを含有することがよい。この場合には、より低温でのNOxの浄化が可能になる。
【0049】
また、上記プロトン導電体は、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなる。
Xの範囲が0.5〜1という範囲から外れる場合には、上記NOx還元触媒の触媒性能低下するおそれがある。また、上記一般式で表される化合物においては、Xが0.5未満となるまで金属元素M2を固溶させることが困難になる。
【0050】
上記PM燃焼触媒及び上記NOx還元触媒は、上記基材に直接担持させることができる。上記PM燃焼触媒を直接担持させるための方法は例えば次のような方法がある。
即ち、まず、上記PM燃焼触媒とシリカゾルとを含むスラリーに上記基材を浸漬し、上記基材の内部にまで上記PM燃焼触媒を進入させる。上記基材としては、例えばハニカム状又はフォーム状の多孔質体を採用することができる。次いで、エアブローにより、余分なスラリーを吹き飛ばした後、例えば温度400℃〜800℃で加熱することにより焼付けを行う。これにより、上記基材に上記PM燃焼触媒を直接接触させて担持させることができる。
また、上記PM燃焼触媒の代わりに上記NOx還元触媒を用いることにより、上記NOx還元触媒を上記基材に直接担持させることができる。
この場合には、上記PM燃焼触媒及び上記NOx還元触媒を担持した基材の気孔率を高くすることができ、PM及びNOx等に対する浄化効率を向上させることができる。
【0051】
また、上記PM燃焼触媒及び上記NOx還元触媒は、上記基材の表面に形成された担持層に担持させることができる。
この場合には、上記担持層を介して上記PM燃焼触媒及び上記NOx還元触媒が上記基材に担持され、上記PM燃焼触媒の担持を容易に行うことができる。
上記PM燃焼触媒を担持させる場合においては、具体的には、アルミナ等を含有するウォッシュコート成分と上記PM燃焼触媒とを混合し、ゾル状又はスラリー状の複合材料を作製し、該複合材料を上記基材にコートして例えば温度400℃〜600℃で加熱する。これにより、ウォッシュコート成分により担持層が形成され、該担持層に上記PM燃焼触媒を担持させることができる。
また、上記PM燃焼触媒の代わりに上記NOx還元触媒を用いることにより、上記NOx還元触媒を上記担持層に担持させることができる。
【0052】
上記担持層は、Al2O3、ZrO2、TiO2、CeO2、SiO2から選ばれる1種以上の酸化物からなることが好ましい。
この場合には、表面積の大きな上記担持層を形成することができる。その結果、上記PM燃焼触媒とPM、又は上記NOx還元触媒とNOxとが接触し易くなり、上記排ガス浄化装置はより効率よくPM、NOx等の有害物質の浄化を行うことができる。
【実施例】
【0053】
(実験例1)
本例においては、PM燃焼触媒を作製し、その触媒作用を検討する。
本例のPM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる。特に、本例においては、ゼオライトとしてソーダライトを採用し、アルカリ金属元素源として炭酸カリウムを採用した。
以下、本例のPM燃焼触媒の製造方法につき説明する。
【0054】
具体的には、まず、原料となるゼオライトとして、ソーダライト(3(Na2O・Al2O3・2SiO2)・2NaOH)の粉末を準備した。このソーダライト100重量部と炭酸カリウム5重量部とを水に投入し、水中で混合した。
次いで、混合液を温度120℃で加熱し、水分を蒸発させた。これにより、固形分(ソーダライトと炭酸カリウムとの混合物)を得た。
次に、この固形分を温度800℃で焼成した。具体的には、固形分を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度800℃(焼成温度)に達したところで10時間保持することにより焼成を行った。
次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、PM燃焼触媒を得た。これを試料E1とする。
【0055】
次に、本例において作製したPM燃焼触媒(試料E1)について、PMに対する燃焼促進特性を調べた。また、比較用として、貴金属系触媒(Pt粉末)、炭酸カリウム粉末についても燃焼促進特性を調べた。
【0056】
具体的には、まず、触媒種(試料E1、貴金属系触媒、又は炭酸カリウム粉末)200mgとカーボンブラック(CB;PMの代替として使用)20mgとをそれぞれ電子天秤にて正確に秤量した。これらをメノウ乳鉢を用いて触媒種(重量):CB(重量)=10:1となるように一定時間混合し、各触媒種とカーボンブラックとを含有する3種類の評価サンプルを得た。さらに、触媒種を用いずに、CBのみからなる評価サンプルを比較用として作製した。CB単独の評価サンプルについても、他のサンプルと同様にメノウ乳鉢を用いて一定時間混合したものを用いた。即ち、評価サンプルとしては、CB単独、貴金属系触媒とCBとの混合物、試料E1とCBとの混合物、炭酸カリウムとCBとの混合物という4種類のサンプルを作製した。
【0057】
次いで、熱分析−示差熱重量(TG−DTA)同時測定装置(理学電機社製のTG8120)用いて、各評価サンプル6mgを昇温速度10℃/minにて最高温度900℃まで加熱してCBを燃焼させると共に、このときのDTA発熱ピーク温度、及び温度とTGとの関係を測定した。なお、CB単独からなる評価サンプルについては、0.5mgを用いてDTA発熱ピーク温度の測定を行った。また、加熱は、流束50mL//minで空気を評価サンプルに流通させながら行った。各触媒種を用いたときのDTA発熱ピーク温度の結果を図1に示す。また、温度とTGとの測定結果については、CB単独を用いた結果を図2に示し、触媒種として貴金属系触媒を用いた結果を図3に示し、K2CO3を用いた結果を図4に示し、試料E1を用いた結果を図5に示す。図2〜図5の縦軸は、カーボンブラックの最大燃焼速度を示すDTA発熱ピークを用いている。
【0058】
また、触媒種(試料E1、貴金属系触媒、又は炭酸カリウム粉末)1gを水500cc中に投入し、一昼夜撹拌することにより洗浄した。次に、水洗浄処理後の触媒種をろ過し、ろ過後の触媒種にさらに1500ccの水を流通させて充分に洗浄した後、温度120℃にて乾燥させた。これらの水洗浄処理後の触媒種(試料E1及び貴金属系触媒)200mgとカーボンブラック(CB)20mgとを電子天秤にて正確に秤量した。これらをメノウ乳鉢を用いて触媒種(重量):CB(重量)=10:1となるように一定時間混合し、各触媒種とカーボンブラックとを含有する2種類の評価サンプルを得た。なお、CB単独からなる評価サンプルについては、他のサンプルと同様に洗浄及び乾燥を行い、その後メノウ乳鉢で混合したものを用いた。また、触媒種として炭酸カリウムを用いた評価サンプルは、水洗洗浄処理により水に溶解してしまったため、その後の操作を行うことができなかった。即ち、水洗後の評価サンプルとしては、CB単独、貴金属系触媒とCBとの混合物、試料E1とCBとの混合物という3種類のサンプルを作製した。これらのサンプルについて、再度熱分析−示差熱重量(TG−DTA)同時測定装置によって、DTA発熱ピーク温度の測定を行った。水洗浄処理後のDTA発熱ピーク温度の結果を図1に併記する。
【0059】
図1〜図5より知られるごとく、水洗浄前において、試料E1を用いたサンプル及び炭酸カリウム用いたサンプルは、DTA発熱ピーク温度が低く、比較的低い温度でPM(CB)を燃焼できることがわかる。なお、図1及び図5から知られるごとく、試料E1は、約400℃付近に発熱ピークを有しているが、実際にはこれよりも低い温度(例えば350℃程度)でもカーボンブラックの燃焼は開始されている。
【0060】
図1より知られるごとく、CB単独、貴金属系触媒、及び試料E1については、水洗前後でCBに対する燃焼促進特性はほとんど変化しなかった。これに対して、炭酸カリウムを用いたサンプルは、水洗後に炭酸カリウムが水に溶解し、測定が不可能であった。
【0061】
したがって、試料E1は、PMに対して優れた燃焼促進特性を有し、低温でPMを燃焼除去することができる。また、試料E1は、水分存在下においてもその優れた特性を維持できるため、長期間安定してPMの燃焼を行うことができる。したがって、試料E1は、水蒸気を多く含む排ガス中においても、PMを長期間安定して燃焼させることができる。
【0062】
上記のごとく、本例においては、ゼオライトとしてソーダライトを採用し、アルカリ金属元素源としてK源(炭酸カリウム)を採用し、これらの混合物を温度800℃で焼成して得られるPM燃焼触媒について検討を行った。本願出願人らは、本実験例の組合せ以外にも、ソーダライトを単独で焼成した場合、K以外のアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源を採用した場合、ソーダライト以外のゼオライトを採用した場合、温度条件を変更した場合等の種々の条件検討を行っている(特願2009−029194、特願2007−234748(特開2008−100216))。そして、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなるPM燃焼触媒が低温でPMを燃焼除去することができ、さらに水分存在下においても長期間安定してPMを燃焼できることを確認している。
本実験例以外の例については、本願明細書においては割愛するが、例えば特開2008−100216等を参照すれば実施することができる。
【0063】
(実験例2)
次に、本例においては、NOx還元触媒を作製し、その触媒作用を検討する。
本例のNOx還元触媒は、元素の周期表の6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなる。特に、本例においては、プロトン導電体として、Sn0.95Al0.05P2O7を採用し、6〜11族の金属元素としてPtを採用した。
以下、本例のNOx還元触媒の製造方法につき説明する。
【0064】
まず、Sn0.95Al0.05P2O7を合成した。
即ち、酸化スズ(SnO2(IV))7.159g、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)0.195g、リン酸(85wt%H3PO4)15.565gを秤量し、ビーカに入れ、純水を約80ml加えて均一に混合した。混合時の撹拌は、温度300℃で加熱しながら行い、ビーカ側面に付着した水滴がなくなるまで行った。このようにして得られたスラリーを坩堝に移し、坩堝に蓋をした。このとき、坩堝を蓋で完全に密封するのではなく、坩堝の開口部を数mm程度の幅で開口させた。
【0065】
次いで、開口部が焼成炉の取出し口側にくるように、焼成炉内に坩堝を配置し、焼成炉内で焼成を行った。焼成は、室温から650℃まで1時間30分かけて昇温させ、温度650℃で2時間30分保持し、次いで、温度650℃から室温まで1時間30分かけて降温させるという条件で行った。次に、焼成炉から坩堝を取出し、坩堝内部に付着した化合物(Sn0.95Al0.05P2O7)の粉末を削り出して回収した。このようにしてプロトン導電体を得た。
【0066】
次に、以下のようにしてプロトン導電体にPtを担持させた。
具体的には、まず、上記のようにして得られたプロトン導電体の粉末に蒸留水を加えてスラリーを得た。次いで、このスラリーにH2PtCl6水溶液と還元剤であるNaBH4水溶液を同時に滴下し、温度110℃で12時間程度攪拌した。その後、蒸発、固化させた。さらに、温度200℃で1時間Ar処理を行った。このようにして、PtがSn0.95Al0.05P2O7からなるプロトン導電体の粒子に担持されたNOx還元触媒を得た。これを試料E2とする。なお、NOx還元触媒の濃度は0.8wt%に調整した。
【0067】
また、本例においては、Sn0.95Al0.05P2O7からなるプロトン導電体にPt−Rhを担持させてなるNOx還元触媒を作製した。
具体的には、まず、上述の方法と同様にしてSn0.95Al0.05P2O7からなるプロトン導電体の粉末を作製した。
【0068】
次いで、プロトン導電体の粉末に蒸留水を加えてスラリーを得た。次いで、H2PtCl6とRhCl3との混合水溶液に、還元剤であるNaBH4水溶液を同時に滴下し、温度110℃で12時間程度攪拌した。その後、蒸発、固化させた。さらに、温度200℃で1時間Ar処理を行った。このようにして、Pt−RhがSn0.95Al0.05P2O7からなるプロトン導電体の粒子に担持されたNOx還元触媒を得た。これを試料E3とする。なお、還元触媒の濃度は0.8wt%に調整した。
【0069】
次に、本例において作製したNOx還元触媒(試料E2及び試料E3)について、NOxの浄化性能を調べた。
具体的には、各試料(試料E2及び試料E3)をガス管に入れ、このガス管に各種温度のサンプルガスを流速50ml/minで流した。サンプルガスは、NOを800ppm、H2を8400ppm、O2を5体積%含有する。
そして、ガス管内において各試料を通過したサンプルガス中に含まれるNOxの濃度を測定し、NOxの浄化率を算出した。なお、NOx濃度は、NOx分析計(堀場製作所(株)製の「PG−225」)を用いて測定した。
サンプルガスの温度と浄化率(NOx)との関係を図6に示す。
【0070】
図6より知られるごとく、本例において作製した試料E2及び試料E3は、いずれも100℃〜200℃程度の低温でも十分にNOxを浄化できることがわかる。
また、本例においては、Sn0.95Al0.05P2O7からなるプロトン導電体を用いたが、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表されるその他の組成のプロトン導電体についても、試料E2及び試料E3と同様に優れたNOxの浄化性能を示すことを確認している。その他の組成からなるプロトン導電体については、例えば上述の非特許文献1に示されている。
【0071】
このように、本例によれば、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなるNOx還元触媒は、NOxに対して優れた浄化性能を示すことがわかる。
【0072】
(実施例1)
次に、排ガス浄化装置の実施例について説明する。
本例の排ガス浄化装置1は、図7に示すごとく、内燃機関の排ガス流路19の途中に設けられる。
排ガス浄化装置1は、多孔質の基材2、3と、これに担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有する。本例において、PM燃焼触媒及びNOx還元触媒はそれぞれことなる基材2、3に担持されている。以下、適宜、PM燃焼触媒を担持する基材を第1基材2といい、NOx還元触媒を担持する基材を第2基材3という。
【0073】
以下、本例の排ガス浄化装置について詳細に説明する。
図7に示すごとく、本例の排ガス浄化装置1は、排ガス流路19を構成するための排気管の直径を拡大した筒状の捕集器10を有する。この捕集器10内にPM燃焼触媒を担持する第1基材2と、NOx還元触媒を担持する第2基材3が収容されている。
PM燃焼触媒を担持する第1基材2は、NOx還元触媒を担持する第2基材3よりも排ガス流路19の上流側に配置されている。
【0074】
第1基材2及び第2基材3は、同材質及び同形状である(図8参照)。
図8に示すごとく、第1基材2(第2基材3)は、外周壁21(31)と、この外周壁21(31)の内側においてハニカム状に設けられた隔壁22(32)と、この隔壁22(32)により仕切られた複数のセル23(33)とを有する。セル23(33)は、基材2(3)の両端面26、(36)、27(37)に部分的に開口している。即ち、各セル23(33)は、基材2(3)の一方の端面26、27(36、37)に開口し、もう一方の端面27、26(37、36)に形成された栓部25(35)によって閉塞している。
【0075】
図8、図9、及び図11に示すように、基材2(3)において、セル23(33)の両端面26(36)、27(37)における開口部24(34)と栓部25(35)とは交互に配置されており、所謂市松模様を形成している。
また、図9及び図11に示すごとく、基材2(3)においては、排ガスの入口側となる上流側端面26(36)及び排ガスの出口となる下流側端面27(37)に位置するセルの端部は、栓部25(35)が配置された部分と配置されていない部分とをそれぞれ交互に有している。多孔質体の隔壁22(32)には多数の空孔が形成され、排ガスが通過できるようになっている。
【0076】
そして、図9及び図10に示すごとく、第1基材2の外周壁21及び隔壁22には、PM燃焼触媒4が担持されている。本例において、PM燃焼触媒4としては、ソーダライトとK源(炭酸カリウム)との混合物を温度800℃で焼成してなる触媒、即ち実験例1の試料E1を採用してある。図10に示すごとく、PM燃焼触媒4は、多孔質の外周壁21及び隔壁22の細孔29内にまで担持されていると考えられる。
【0077】
また、図11及び図12に示すごとく、第2基材3の外周壁31及び隔壁32には、NOx還元触媒5が担持されている。本例において、NOx還元触媒5としては、Sn0.95Al0.05P2O7からなるプロトン導電体50に金属(Pt)51が担持された触媒、即ち、実験例2の試料E2を採用してある。図12に示すごとく、NOx還元触媒5は、多孔質の外周壁31及び隔壁32の細孔39内にまで担持されていると考えられる。
【0078】
また、本例において、基材2(3)は、直径103mm、長さ130mm、容積1.1Lの円柱状であり、セル密度400cpsi、壁厚100μmである。基材2(3)はコーディエライトからなり、そのセル23(33)は、断面が四角形状のものを採用した(図8参照)。セル23(33)は、その他にも例えば、三角形、六角形等の様々な断面形状を採用することができる。
【0079】
次に、排ガス浄化装置の製造方法について説明する。
まず、ハニカム構造の基材を作製した。
具体的には、まず、タルク、溶融シリカ、及び水酸化アルミニウムを所望のコーディエライト組成となるように秤量し、造孔剤、バインダー、水等を加え、混合機にて混合撹拌した。そして、得られた粘土質のセラミック材料を成形機にて押出成形し、ハニカム状の成形体を得た。これを乾燥した後、所望の長さに切断し、外周壁と、その内側においてハニカム状に設けられた隔壁と、隔壁により仕切られていると共に両端面に貫通してなる複数のセルとを有する成形体を作製した。次いで、この成形体を温度1400〜1450℃で2〜10時間加熱することにより仮焼して仮焼体(ハニカム構造体)を得た。
【0080】
次に、ハニカム構造体の両端面全体を覆うようにマスキングテープを貼り付けた。そして、セラミックハニカム構造体の両端面の栓詰めすべき位置に対応するマスキングテープにレーザー光を順次照射し、マスキングテープを溶融又は焼却除去して貫通穴を形成した。これにより、セルの端部における栓部により栓詰めすべき部分に貫通穴を形成した。セルの端部のその他の部分はマスキングテープで覆われている。本例においては、セルの両端面に貫通穴とマスキングテープで覆われた部分とが交互に配置するように、マスキングテープに貫通穴を形成した。本例では、マスキングテープとしては、厚さ0.1mmの樹脂フィルムを用いた。
【0081】
次に、栓部の材料である栓材の主原料となるタルク、溶融シリカ、アルミナ、及び水酸化アルミニウムを所望の組成となるように秤量し、バインダー、水等を加え、混合機にて混合撹拌し、スラリー状の栓材を作製した。このとき、必要に応じて造孔材を添加することもできる。そして、スラリー状の栓材を入れた容器を準備した後、貫通孔を部分的に形成したハニカム構造体の端面を浸漬した。これにより、マスキングテープの貫通穴からセルの端部に栓材を適量浸入させた。また、ハニカム構造体のもう一方の端面についても同様の工程を行った。このようにして、栓詰めすべきセルの開口部内に栓材が配置されたハニカム構造体を得た。
【0082】
次に、ハニカム構造体とその栓詰めすべき部分に配置した栓材とを同時に約1400〜1450℃で焼成した。これにより、マスキングテープは焼却除去され、図8に示すごとく、セル23(33)の両端に、その端部を開口する複数の開口部24(34)と、セル23(33)の端部を閉塞する複数の栓部25(35)とが形成されたセラミックハニカム構造体(基材)2(3)を作製した。本例においては、同形状、同材質の基材を2つ作製した。
【0083】
次に、実験例1で作製したPM燃焼触媒(試料E1)を、シリカゾルを5wt%配合したシリカスラリーに混合した。さらに固形分100重量部に対する水分量が400重量部となるように水を加え、スラリー状のPM燃焼触媒を得た。
次に、スラリー状のPM燃焼触媒中に基材を浸漬し、基材の多孔質の外壁21及び隔壁22等にPM燃焼触媒を含浸させた。次いで、エアーブローにより余分な水分を吹き飛ばした後、温度500℃で加熱することにより、焼き付けを行った。本例においては、PM燃焼触媒を70g/L(そのうちK濃度はK2CO3換算で約7g/L)コートした。
このようにして、図8〜図10に示すごとく、PM燃焼触媒4を基材2に担持させた。
【0084】
また、PM燃焼触媒の代わりに実験例2で作製したNOx還元触媒(試料E2)をシリカスラリーに混合し、その他は上述のPM燃焼触媒の場合と同様にしてNOx還元触媒5を基材3に担持させた(図11及び図12参照)。
【0085】
このようにして得られたPM燃焼触媒を担持した第1基材2と、NOx還元触媒5を担持した第2基材3を排ガス流路の途中に設けた捕集器10内に配置した(図7参照)。このとき、第1基材2を第2基材3よりも排ガス流路19の上流側に配置した。
以上のようにして、排ガス浄化装置1を製造した。
【0086】
次に、本例の排ガス浄化装置1の作用効果につき、説明する。
図7に示すごとく、本例の排ガス浄化装置1は、PM燃焼触媒を担持した基材2とNOx還元触媒を担持した基材3とを有している。
そのため、基材1において排ガス中のPMを除去することができ、基材2において排ガス中のNOx、HC、H2を除去することができる。
【0087】
そして、排ガス浄化装置1においては、PM燃焼触媒を担持した基材2を、NOx還元触媒を担持した基材3よりも上流側に配置してある。
そのため、図9に示すごとく、排ガス流路内を流れる排ガス71は、まず、PM燃焼触媒4を担持した第1基材2内に導入される。そして、第1基材2内においてPM燃焼触媒4によってPMが燃焼除去される。次いで、第1基材2を通過した排ガス72は、図11に示すごとく、第2基材3内導入される。そして、第2基材3内においてNOx還元触媒5によってNOx、H2、HCが除去される。
【0088】
第2基材3に担持されたNOx還元触媒5は、NOxの還元時にHC及びH2を要求する。本例のように、第1基材2を上流側に配置し、第2基材3を下流側に配置するという構成にすると、第1基材2内においては、排ガス71内のHC及びH2はほとんど浄化されないため、第2基材3内には、NOxだけでなくHC及びH2を含んだガスが導入される。そのため、第2基材3に担持されたNOx還元触媒5には、NOxだけでなく、その還元時に必要なHC及びH2が供給されるため、第2基材3においてNOxを十分に還元させて浄化することができる。また、NOxの還元に伴ってHC及びH2を浄化させることができる。
【0089】
このように、本例の排ガス浄化装置においては、単にPM燃焼触媒とNOx還元触媒とを組み合わせただけでなく、排ガス流路の上流側にPM燃焼触媒を配置し、下流側にNOx還元触媒を配置するという構成を採用してある。
そのため、排ガス浄化装置は、NOx、HC、H2、及びPMのいずれをも十分に浄化することができる。
【0090】
(実施例2)
本例は、実施例1において作製した排ガス浄化装置についてその排ガス浄化性能を評価する例である。
即ち、本例においては、実施例1において作製した排ガス浄化装置1(図7参照)に、排ガス流路の上流側から温度200℃のサンプルガスを流速50ml/minで流した。サンプルガスは、NOを800ppm、H2を8400ppm、THC(トータルハイドロカーボン)を5000ppm、O2を5体積%含有する。
そして、排ガス浄化装置を通過したサンプルガス中に含まれるNOxの濃度、H2濃度、THC濃度を測定し、これらの浄化率を算出した。なお、各ガス濃度については、NOXを上述の堀場製作所(株)製のNOX分析計を用いて測定し、その他を自動車用排ガス分析装置(堀場製作所(株)製の「MEXA−9100D」)を用いて測定した。
その結果を図13に示す。
【0091】
また、本例においては、三元触媒を担持した基材を上流側に配置し、実験例2で作製したNOx還元触媒(試料E2)を担持した基材を下流側に配置した比較用の排ガス浄化装置を作製した。
三元触媒を担持した基材は、次のようにして作製した。
【0092】
即ち、まず、セリウム−ジルコニウム固溶体(CeO2:ZrO2:Y2O3=65:30:5(モル比))75重量部と、活性アルミナ120重量部と、アルミナバインダー(アルミナ水和物3重量部と40wt%硝酸アルミナ水溶液)を、所定量の純水に混合し、ミリングしてスラリーを作製した。
次いで、実施例1と同様の基材を準備し、この基材にスラリーをウォッシュコートし、温度120℃で乾燥した後、温度650℃で3時間焼成し、基材上に触媒コート層を形成した。
【0093】
次に、触媒コート層を形成した基材を、所定濃度の硝酸ロジウム水溶液に浸漬して、基材に硝酸ロジウムを吸着させた。吸着後、基材を温度120℃で乾燥させ、温度500℃で1時間焼成した。これにより、基材の触媒コート層にRhを担持させた。
次いで、基材を所定濃度のジニトロジアンミン白金溶液に浸漬して、Ptを吸着させた。吸着後、基材を温度120℃で乾燥させ、温度500℃で1時間焼成した。これにより、基材の触媒コート層にさらにPtを担持させた。
このようにして、三元触媒を担持した基材を得た。なお、基材1Lあたりの貴金属の担持量は、Rhが0.2g/L、であり、Ptが1.0g/Lである。
【0094】
次に、三元触媒を担持した基材を上流側に配置し、NOx還元触媒(試料E2)を担持した基材を下流側に配置した点を除いては、実施例1と同様にして、比較用の排ガス浄化装置を構成した。
この比較用の排ガス浄化装置は、実施例1で作製した排ガス浄化装置におけるPM燃焼触媒を担持した基材の代わりに三元触媒を担持した基材を採用した点を除いては、実施例1の排ガス浄化装置と同様の構成を有している。
【0095】
次に、三元触媒を用いた比較用の排ガス浄化装置についても、排ガス浄化性能を評価した。評価は、本例の上述の方法に従って行った。
その結果を図14に示す。
【0096】
また、本例においては、実施例1の排ガス浄化装置におけるPM燃焼触媒を担持した基材とNOx還元触媒を担持した基材との配置を入れ替えた比較用の排ガス浄化装置を作製した。
即ち、NOx還元触媒を担持した基材を排ガス流路の上流側に配置し、PM燃焼触媒を担持した基材を排ガス流路の下流側に配置した点を除いては実施例1と同様にして排ガス浄化装置を構成した。
【0097】
この配置を入れ替えた比較用の排ガス浄化装置についても、排ガス浄化性能を評価した。評価は、本例の上述の方法に従って行った。
その結果を図15に示す。
【0098】
図13より知られるごとく、PM燃焼触媒をNOx還元触媒よりも上流側に配置して構成した排ガス浄化装置は、NOx、H2、HCを十分に浄化できることがわかる。また、PMに対する浄化性能は、実験例1に示すとおりである。
一方、図14より知られるごとく、三元触媒を上流に配置した比較用の排ガス浄化装置においては、NOxの浄化率が非常に低くなっていた。これは、上流側の三元触媒において、PMだけでなくH2及びHCが浄化されてしまい、下流のNOx還元触媒においてNOxを十分に還元できなくなったためである。
また、図15より知られるごとく、PM燃焼触媒をNOx還元触媒の下流側に配置して構成した比較用の排ガス浄化装置においては、NOx、H2、HCのいずれに対しても浄化性能が低下していた。
【0099】
このように、本例によれば、排ガス流路の上流側にPM燃焼触媒を配置し、下流側にNOx還元触媒を配置することにより、NOx、H2、及びHCを十分に浄化できる排ガス浄化装置を構成できることがわかる。
【0100】
(その他の実施例)
実施例1においては、PM燃焼触媒4とNOx還元触媒5とをそれぞれ別々の基材(第1基材2及び第2基材3)に担持させて排ガス浄化装置を構成したが(図9及び図11参照)、図16に示すごとく、PM燃焼触媒4とNOx還元触媒5とを同一の基材8に担持させることもできる。
この場合には、基材8において、排ガスの上流側26にPM燃焼触媒4を担持させ、下流側27にNOx還元触媒5を担持させる。この場合にも、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0101】
また、同一の基材8に担持させる場合であっても、隣接するセル231、232毎にPM燃焼触媒4とNOx還元触媒5とを交互に担持させることもできる(図17参照)。
例えば、同図に示すごとく、多孔質隔壁22を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセル23を形成してなるハニカム構造体からなる基材9において、各セル23のうちハニカム構造体9内に排ガスが流入する側26に開口するセル231に面する多孔質隔壁221にはPM燃焼触媒4を担持する。また、各セル23のうちハニカム構造体9の外部へ排ガスが流出する側27に開口するセル232に面する多孔質隔壁222にはNOx還元触媒5を担持する。
また、ハニカム構造体9において、各セル23は、軸方向における一方の端面において栓部95により閉塞している。本例において、隣り合うセル23は、それぞれ交互に異なる端面に栓部25を有しており、実施例1と同様の構成の基材を採用してある。
【0102】
このような構成の排ガス浄化装置においては、ハニカム構造体9内に流入する排ガスは、まずPM燃焼触媒4が担持された多孔質隔壁221を通過した後、NOx還元触媒5が担持された多孔質隔壁222が面するセル232に送られる。それ故、排ガスは、まずPM燃焼触媒4においてPMが浄化された後、HC及びH2を十分に含んだ状態でNOx還元触媒5に送られる。そのため、NOx還元触媒5においてはNOxを十分に還元させて浄化することができる。また、NOxの還元に伴ってHC及びH2を浄化させることができる。
その他の作用効果は実施例1と同様である。
【符号の説明】
【0103】
1 排ガス浄化装置
19 排ガス流路
2 基材(第1基材)
3 基材(第2基材)
4 PM燃焼触媒
5 NOx還元触媒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排ガス流路の途中に設けられる排ガス浄化装置であって、
多孔質の基材と、該基材に担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有し、
上記PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなり、
上記NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなり、
上記PM燃焼触媒は、上記NOx還元触媒よりも上記排ガス流路における上流側に配置されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排ガス浄化装置において、上記PM燃焼触媒と上記NOx還元触媒とは、それぞれ異なる少なくとも2つの上記基材に担持されており、上記PM燃焼触媒を担持した上記基材は、上記NOx還元触媒を担持した上記基材よりも上記排ガス流路における上流側に配置されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項3】
請求項1に記載の排ガス浄化装置において、上記PM燃焼触媒と上記NOx還元触媒は1つの上記基材に担持されており、上記PM燃焼触媒は上記NOx還元触媒よりも上記排ガス流路における上流側に担持されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置において、上記基材は、多孔質隔壁を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセルを形成してなるハニカム構造体からなることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項5】
内燃機関の排ガス流路の途中に設けられる排ガス浄化装置であって、
多孔質の基材と、該基材に担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有し、
上記PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなり、
上記NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなり、
上記基材は、多孔質隔壁を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセルを形成してなるハニカム構造体からなり、各セルは、上記ハニカム構造体の上記軸方向における一方の端面において栓部により閉塞しており、
上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体内に排ガスが流入する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記PM燃焼触媒が担持されており、
上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体の外部へ排ガスが流出する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記NOx還元触媒が担持されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置において、上記アルカリ金属元素源は、アルカリ金属元素としてNa、K、Rb、及びCsから選ばれる少なくとも1種を含有し、上記アルカリ土類金属元素源は、アルカリ土類金属元素としてMg、Ca、Sr、及びBaから選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする排ガス触媒装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置において、上記ゼオライトとしてはソーダライトが採用されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置において、上記NOx還元触媒における6〜11族の上記金属元素としては、貴金属元素が採用されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置において、上記基材は、コージェライト又はSiCからなることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項1】
内燃機関の排ガス流路の途中に設けられる排ガス浄化装置であって、
多孔質の基材と、該基材に担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有し、
上記PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなり、
上記NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなり、
上記PM燃焼触媒は、上記NOx還元触媒よりも上記排ガス流路における上流側に配置されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排ガス浄化装置において、上記PM燃焼触媒と上記NOx還元触媒とは、それぞれ異なる少なくとも2つの上記基材に担持されており、上記PM燃焼触媒を担持した上記基材は、上記NOx還元触媒を担持した上記基材よりも上記排ガス流路における上流側に配置されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項3】
請求項1に記載の排ガス浄化装置において、上記PM燃焼触媒と上記NOx還元触媒は1つの上記基材に担持されており、上記PM燃焼触媒は上記NOx還元触媒よりも上記排ガス流路における上流側に担持されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置において、上記基材は、多孔質隔壁を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセルを形成してなるハニカム構造体からなることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項5】
内燃機関の排ガス流路の途中に設けられる排ガス浄化装置であって、
多孔質の基材と、該基材に担持されたPM燃焼触媒及びNOx還元触媒を有し、
上記PM燃焼触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなり、
上記NOx還元触媒は、6〜11族の金属元素又は該金属元素を含む金属化合物が、一般式:M1X・M21-XP2O7(M1は4価の金属元素、M2は3価の金属元素、0.5≦X≦1)で表される化合物からなるプロトン導電体に担持されてなり、
上記基材は、多孔質隔壁を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセルを形成してなるハニカム構造体からなり、各セルは、上記ハニカム構造体の上記軸方向における一方の端面において栓部により閉塞しており、
上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体内に排ガスが流入する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記PM燃焼触媒が担持されており、
上記ハニカム構造体の各セルのうち上記ハニカム構造体の外部へ排ガスが流出する側に開口する上記セルに面する上記多孔質隔壁には上記NOx還元触媒が担持されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置において、上記アルカリ金属元素源は、アルカリ金属元素としてNa、K、Rb、及びCsから選ばれる少なくとも1種を含有し、上記アルカリ土類金属元素源は、アルカリ土類金属元素としてMg、Ca、Sr、及びBaから選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする排ガス触媒装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置において、上記ゼオライトとしてはソーダライトが採用されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置において、上記NOx還元触媒における6〜11族の上記金属元素としては、貴金属元素が採用されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置において、上記基材は、コージェライト又はSiCからなることを特徴とする排ガス浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−74882(P2011−74882A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229231(P2009−229231)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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