説明

排水処理方法および排水処理装置

【課題】有機物を効果的に微生物によって分解することができる排水処理装置を提供する。
【解決手段】被処理水を、充填材37を有する充填材槽1から沈殿槽11に導入して、被処理水を、微生物を含む汚泥と処理水とに固液分離する。マイクロナノバブル発生槽43に、沈殿槽11からの処理水の一部を導入して、この処理水にマイクロナノバブルを含ませて、マイクロナノバブル含有水を作成する。微生物活性化槽33に、マイクロナノバブル発生槽43からのマイクロナノバブル含有水と、沈殿槽11からの汚泥とを、導入して、汚泥中の微生物に、マイクロナノバブルを付着させて、微生物をマイクロナノバブルで活性化する。充填材槽1に、微生物活性化槽33から、マイクロナノバブル含有水と汚泥とを、導入して、マイクロナノバブルで活性化した微生物を、充填材37に付着して、被処理水中の有機物を分解する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、半導体工場や液晶工場のみならず、有機物を製造または使用する工場における排水処理方法および排水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機フッ素化合物等の有機物は、化学的に安定な物質である。例えば、有機フッ素化合物は、耐熱性および耐薬品性の観点から優れた性質を有することから、界面活性剤等の用途に用いられている。
【0003】
しかしながら、有機フッ素化合物は、化学的に安定な物質であるが故に、微生物によって分解され難い。例えば、有機フッ素化合物としてのパーフルオロオクタスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)は、生態系での分解が進まないことから、生態系への影響が懸念されている。すなわち、パーフルオロオクタスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)は、化学的に安定なため、熱分解させるためには、約1000℃以上の高温を必要としていた(特開2001−302551号公報:特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−302551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明の課題は、難分解性の有機物を効果的に微生物によって分解することができる排水処理方法および排水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この発明の排水処理方法は、
有機物を含む被処理水を、充填材を有する充填材槽に、導入する工程と、
上記充填材槽の下流側に接続される固液分離槽に、上記被処理水を導入して、上記被処理水を、微生物を含む汚泥と処理水とに固液分離する工程と、
マイクロナノバブルを発生するマイクロナノバブル発生槽に、上記固液分離槽からの上記処理水の一部を導入して、この処理水にマイクロナノバブルを含ませて、マイクロナノバブル含有水を作成する工程と、
上記充填材槽に、上記マイクロナノバブル発生槽からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記固液分離槽からの上記汚泥とを、導入して、マイクロナノバブルで活性化した上記汚泥中の微生物を、上記充填材に付着して、上記被処理水中の有機物を分解する工程と
を備えることを特徴としている。
【0006】
ここで、上記マイクロナノバブルとは、10μmから数百nm前後の直径を有する気泡をいう。上記被処理水中の有機物としては、例えば、有機フッ素化合物であり、この有機フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロオクタスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)やペルフルオロ化スルホン酸アルキル類(PFAS)である。
【0007】
この発明の排水処理方法によれば、上記充填材槽に、上記マイクロナノバブル発生槽からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記固液分離槽からの上記汚泥とを、導入して、マイクロナノバブルで活性化した上記汚泥中の微生物を、上記充填材に付着して、上記被処理水中の有機物を分解する工程を備えるので、上記被処理水中の有機物を効果的に微生物によって分解することができる。また、上記マイクロナノバブルで活性化した微生物が、上記充填材に付着されているので、微生物による上記被処理水中の有機物の処理を安定化できる。
【0008】
また、この発明の排水処理方法は、
有機物を含む被処理水を、充填材を有する充填材槽に、導入する工程と、
上記充填材槽の下流側に接続される固液分離槽に、上記被処理水を導入して、上記被処理水を、微生物を含む汚泥と処理水とに固液分離する工程と、
マイクロナノバブルを発生するマイクロナノバブル発生槽に、上記固液分離槽からの上記処理水の一部を導入して、この処理水にマイクロナノバブルを含ませて、マイクロナノバブル含有水を作成する工程と、
微生物活性化槽に、上記マイクロナノバブル発生槽からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記固液分離槽からの上記汚泥とを、導入して、上記汚泥中の微生物に、マイクロナノバブルを付着させて、上記微生物をマイクロナノバブルで活性化する工程と、
上記充填材槽に、上記微生物活性化槽から、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とを、導入して、マイクロナノバブルで活性化した上記微生物を、上記充填材に付着して、上記被処理水中の有機物を分解する工程と
を備えることを特徴としている。
【0009】
ここで、上記マイクロナノバブルとは、10μmから数百nm前後の直径を有する気泡をいう。上記被処理水中の有機物としては、例えば、有機フッ素化合物であり、この有機フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロオクタスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)やペルフルオロ化スルホン酸アルキル類(PFAS)である。
【0010】
この発明の排水処理方法によれば、上記充填材槽に、上記微生物活性化槽から、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とを、導入して、マイクロナノバブルで活性化した上記微生物を、上記充填材に付着して、上記被処理水中の有機物を分解する工程を備えるので、上記被処理水中の有機物を効果的に微生物によって分解することができる。
【0011】
また、上記充填材槽に、上記微生物活性化槽から、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とを、導入するので、上記微生物活性化槽にて上記微生物を一層確実に活性化させ、この活性化した微生物を上記充填材槽の上記充填材に一層確実に付着できて、微生物による上記被処理水中の有機物の処理を一層確実に安定化できる。
【0012】
また、一実施形態の排水処理方法では、上記充填材槽では、水深の深い部分と水深の浅い部分とを交互に通る流水路に、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とを、上記被処理水とともに、通過させる。
【0013】
この実施形態の排水処理方法によれば、上記充填材槽では、水深の深い部分と水深の浅い部分とを交互に通る流水路に、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とを、上記被処理水とともに、通過させるので、バブルサイズが大きいマイクロバブルやマイクロナノバブルを、微生物に利用しやすい様なサイズまで水圧で収縮できる。したがって、微生物が利用しやすいサイズのマイクロナノバブルを作成できて、微生物を一層確実に活性化できる。
【0014】
また、この発明の排水処理装置は、
有機物を含む被処理水が導入されると共に、充填材を有する充填材槽と、
上記充填材槽の下流側に接続されると共に、上記被処理水を、微生物を含む汚泥と処理水とに固液分離する固液分離槽と、
マイクロナノバブルを発生すると共に、上記固液分離槽からの上記処理水の一部が導入され、この処理水にマイクロナノバブルを含ませて、マイクロナノバブル含有水を作成するマイクロナノバブル発生槽と
を備え、
上記充填材槽には、上記マイクロナノバブル発生槽からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記固液分離槽からの上記汚泥とが、導入されて、
マイクロナノバブルで活性化した上記汚泥中の微生物が、上記充填材に付着されて、上記被処理水中の有機物を分解することを特徴としている。
【0015】
ここで、上記マイクロナノバブルとは、10μmから数百nm前後の直径を有する気泡をいう。上記被処理水中の有機物としては、例えば、有機フッ素化合物であり、この有機フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロオクタスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)やペルフルオロ化スルホン酸アルキル類(PFAS)である。
【0016】
この発明の排水処理装置によれば、上記充填材槽には、上記マイクロナノバブル発生槽からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記固液分離槽からの上記汚泥とが、導入されて、マイクロナノバブルで活性化した上記汚泥中の微生物が、上記充填材に付着されて、上記被処理水中の有機物を分解するので、上記被処理水中の有機物を効果的に微生物によって分解することができる。また、上記マイクロナノバブルで活性化した微生物が、上記充填材に付着されているので、微生物による上記被処理水中の有機物の処理を安定化できる。
【0017】
また、この発明の排水処理装置は、
有機物を含む被処理水が導入されると共に、充填材を有する充填材槽と、
上記充填材槽の下流側に接続されると共に、上記被処理水を、微生物を含む汚泥と処理水とに固液分離する固液分離槽と、
マイクロナノバブルを発生すると共に、上記固液分離槽からの上記処理水の一部が導入され、この処理水にマイクロナノバブルを含ませて、マイクロナノバブル含有水を作成するマイクロナノバブル発生槽と、
上記マイクロナノバブル発生槽からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記固液分離槽からの上記汚泥とが、導入され、上記汚泥中の微生物に、マイクロナノバブルを付着させて、上記微生物をマイクロナノバブルで活性化する微生物活性化槽と
を備え、
上記充填材槽には、上記微生物活性化槽から、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とが、導入されて、
マイクロナノバブルで活性化した上記微生物が、上記充填材に付着されて、上記被処理水中の有機物を分解することを特徴としている。
【0018】
ここで、上記マイクロナノバブルとは、10μmから数百nm前後の直径を有する気泡をいう。上記被処理水中の有機物としては、例えば、有機フッ素化合物であり、この有機フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロオクタスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)やペルフルオロ化スルホン酸アルキル類(PFAS)である。
【0019】
この発明の排水処理装置によれば、上記充填材槽には、上記微生物活性化槽から、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とが、導入されて、マイクロナノバブルで活性化した上記微生物が、上記充填材に付着されて、上記被処理水中の有機物を分解するので、上記被処理水中の有機物を効果的に微生物によって分解することができる。
【0020】
また、上記充填材槽には、上記微生物活性化槽から、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とが、導入されるので、上記微生物活性化槽にて上記微生物を一層確実に活性化させ、この活性化した微生物を上記充填材槽の上記充填材に一層確実に付着できて、微生物による上記被処理水中の有機物の処理を一層確実に安定化できる。
【0021】
また、一実施形態の排水処理装置では、上記充填材槽は、水深の深い部分と水深の浅い部分とを交互に通る流水路を有し、上記流水路には、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とが、上記被処理水とともに、通過する。
【0022】
この実施形態の排水処理装置によれば、上記充填材槽は、水深の深い部分と水深の浅い部分とを交互に通る流水路を有し、上記流水路には、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とが、上記被処理水とともに、通過するので、バブルサイズが大きいマイクロバブルやマイクロナノバブルを、微生物に利用しやすい様なサイズまで水圧で収縮できる。したがって、微生物が利用しやすいサイズのマイクロナノバブルを作成できて、微生物を一層確実に活性化できる。
【0023】
また、一実施形態の排水処理装置では、上記マイクロナノバブル発生槽には、互いに異なる大きさのマイクロナノバブルを発生する二種類のマイクロナノバブル発生機が設けられている。
【0024】
この実施形態の排水処理装置によれば、上記マイクロナノバブル発生槽には、互いに異なる大きさのマイクロナノバブルを発生する二種類のマイクロナノバブル発生機が設けられているので、二種類のマイクロナノバブル発生機で、幅広いサイズのマイクロナノバブルを発生でき、マイクロナノバブルの発生量も多くできて、マイクロナノバブルの作用を効果的に高めることができる。
【0025】
また、一実施形態の排水処理装置では、上記二種類のマイクロナノバブル発生機は、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機と非水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機とである。
【0026】
この実施形態の排水処理装置によれば、上記二種類のマイクロナノバブル発生機は、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機と非水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機とであるので、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機は、比較的サイズの大きいマイクロナノバブルを発生させることができ、非水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機は、細かいマイクロナノバブルを、発生させることができる。
【0027】
また、一実施形態の排水処理装置では、上記マイクロナノバブル発生槽に、マイクロナノバブル発生助剤が添加される。
【0028】
この実施形態の排水処理装置によれば、上記マイクロナノバブル発生槽に、マイクロナノバブル発生助剤が添加されるので、効果的に多量のマイクロナノバブルを発生させることができる。
【0029】
また、一実施形態の排水処理装置では、
マイクロナノバブル発生助剤を有するマイクロナノバブル発生助剤タンクと、
上記マイクロナノバブル発生助剤タンクから上記マイクロナノバブル発生槽にマイクロナノバブル発生助剤を送る定量ポンプと
を有する。
【0030】
この実施形態の排水処理装置によれば、マイクロナノバブル発生助剤を有するマイクロナノバブル発生助剤タンクと、上記マイクロナノバブル発生助剤タンクから上記マイクロナノバブル発生槽にマイクロナノバブル発生助剤を送る定量ポンプとを有するので、上記マイクロナノバブル発生助剤タンクにマイクロナノバブル発生助剤を貯留しておいて、必要時に上記定量ポンプで、上記マイクロナノバブル発生槽に添加することができて、効果的に多量のマイクロナノバブルを発生させることができる。
【0031】
また、一実施形態の排水処理装置では、
上記マイクロナノバブル発生槽に設置された濁度計と、
この濁度計の信号に基づいて、上記定量ポンプを制御して、上記マイクロナノバブル発生槽への上記マイクロナノバブル発生助剤の添加量を調節する濁度調節計と
を有する。
【0032】
この実施形態の排水処理装置によれば、上記マイクロナノバブル発生槽に設置された濁度計と、この濁度計の信号に基づいて、上記定量ポンプを制御して、上記マイクロナノバブル発生槽への上記マイクロナノバブル発生助剤の添加量を調節する濁度調節計とを有するので、マイクロナノバブルの発生状態を上記濁度計で測定して、上記濁度計の信号で、上記定量ポンプを制御して、上記マイクロナノバブル発生槽に添加されるマイクロナノバブル発生助剤の添加量をコントロールすることができる。すなわち、上記濁度計の信号で、最適なマイクロナノバブルを、マイクロナノバブル発生助剤を最適量添加して作成することができる。
【0033】
また、一実施形態の排水処理装置では、上記充填材槽と上記固液分離槽との間に、曝気槽が接続されている。
【0034】
この実施形態の排水処理装置によれば、上記充填材槽と上記固液分離槽との間に、上記曝気槽が接続されているので、上記曝気槽に上記被処理水を導入して、上記被処理水をより効果的に処理することができる。
【0035】
また、一実施形態の排水処理装置では、上記曝気槽は、接触酸化槽である。
【0036】
この実施形態の排水処理装置によれば、上記曝気槽は、接触酸化槽であるので、排水処理装置の微生物処理が、上記接触酸化槽を中心とした排水処理装置の場合、前処理を確実に実施して、排水処理装置全体の処理効果を改善し、処理効果を高めることができる。
【0037】
また、一実施形態の排水処理装置では、上記曝気槽は、回転円盤槽である。
【0038】
この実施形態の排水処理装置によれば、上記曝気槽は、回転円盤槽であるので、排水処理装置の微生物処理が、上記回転円盤槽を中心とした排水処理装置の場合、前処理を確実に実施して、排水処理装置全体の処理効果を改善し、処理効果を高めることができる。
【0039】
また、一実施形態の排水処理装置では、上記曝気槽は、光触媒槽である。
【0040】
この実施形態の排水処理装置によれば、上記曝気槽は、光触媒槽であるので、排水処理装置の微生物処理が、上記光触媒槽を中心とした排水処理装置の場合、前処理を確実に実施して、排水処理装置全体の処理効果を改善し、処理効果を高めることができる。
【0041】
また、一実施形態の排水処理装置では、上記曝気槽は、窒素を処理するための、硝化槽、脱窒槽および再曝気槽である。
【0042】
この実施形態の排水処理装置によれば、上記曝気槽は、窒素を処理するための、硝化槽、脱窒槽および再曝気槽であるので、排水処理装置の微生物処理が、窒素を処理するための、硝化槽、脱窒槽および再曝気槽を中心とした排水処理装置の場合、前処理を確実に実施して、排水処理装置全体の処理効果を改善し、処理効果を高めることができる。
【0043】
また、一実施形態の排水処理装置では、上記被処理水は、界面活性剤を含んでいる。
【0044】
この実施形態の排水処理装置によれば、上記被処理水は、界面活性剤を含んでいるので、マイクロナノバブルが発生しやすい効果がある。
【0045】
また、一実施形態の排水処理装置では、上記被処理水は、生活排水である。
【0046】
この実施形態の排水処理装置によれば、上記被処理水は、生活排水であるので、生活排水を合理的にまた、処理水質を向上させて処理できる。
【0047】
また、一実施形態の排水処理装置では、上記被処理水は、下水である。
【0048】
この実施形態の排水処理装置によれば、上記被処理水は、下水であるので、下水を合理的にまた、処理水質を向上させて処理できる。
【発明の効果】
【0049】
この発明の排水処理方法によれば、上記充填材槽に、上記マイクロナノバブル発生槽からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記固液分離槽からの上記汚泥とを、導入して、マイクロナノバブルで活性化した上記汚泥中の微生物を、上記充填材に付着して、上記被処理水中の有機物を分解する工程を備えるので、上記被処理水中の難分解性の有機物を効果的に微生物によって分解することができる。
【0050】
この発明の排水処理装置によれば、上記充填材槽には、上記マイクロナノバブル発生槽からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記固液分離槽からの上記汚泥とが、導入されて、マイクロナノバブルで活性化した上記汚泥中の微生物が、上記充填材に付着されて、上記被処理水中の有機物を分解するので、上記被処理水中の難分解性の有機物を効果的に微生物によって分解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0052】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の排水処理装置の第1の実施形態である模式図を示している。この排水処理装置は、上流から下流に順に接続される、充填材37を有する充填材槽1、曝気槽6、および、固液分離槽としての沈澱槽11を有する。上記充填材槽1は、有機物を含む被処理水が導入され、上記沈殿槽11は、上記被処理水を、微生物を含む汚泥と処理水とに固液分離する。
【0053】
上記沈殿槽11には、マイクロナノバブル発生槽43が接続されている。このマイクロナノバブル発生槽43では、マイクロナノバブルを発生すると共に、上記沈殿槽11からの上記処理水の一部が導入され、この処理水にマイクロナノバブルを含ませて、マイクロナノバブル含有水を作成する。
【0054】
上記沈殿槽11および上記マイクロナノバブル発生槽43には、微生物活性化槽33が接続されている。上記微生物活性化槽33では、上記マイクロナノバブル発生槽43からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記沈殿槽11からの上記汚泥とが、導入され、上記汚泥中の微生物に、マイクロナノバブルを付着させて、上記微生物をマイクロナノバブルで活性化する。
【0055】
上記充填材槽1には、上記微生物活性化槽33から、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とが、導入されて、マイクロナノバブルで活性化した上記微生物が、上記充填材37に付着されて、上記被処理水中の有機物を分解する。
【0056】
ここで、上記被処理水とは、生活排水、工場排水や下水等であり、この排水処理装置によって、確実に処理できる。なお、上記被処理水は、界面活性剤を含んでいてもよく、マイクロナノバブルが発生しやすい効果がある。
【0057】
また、上記被処理水中の有機物としては、例えば、有機フッ素化合物であり、この有機フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロオクタスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)やペルフルオロ化スルホン酸アルキル類(PFAS)である。
【0058】
また、上記マイクロナノバブルとは、10μmから数百nm前後の直径を有する気泡をいう。なお、通常のバブル(気泡)は、水の中を上昇して、ついには表面でパンとはじけて消滅する。また、マイクロバブルとは、10μm〜数十μmの気泡径を有する気泡をいい、水中で縮小していき、ついには消滅(完全溶解)してしまう。また、ナノバブルとは、数百nm以下の直径を有する気泡をいい、いつまでも水の中に存在できる。そして、マイクロナノバブルは、マイクロバブルとナノバブルとが混合したバブルであるといえる。
【0059】
上記充填材槽1は、水深の深い部分と水深の浅い部分とを交互に通る流水路を有し、上記流水路には、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とが、上記被処理水とともに、通過する。
【0060】
上記流水路は、上記充填材槽1を5枚の仕切り壁2で区分して形成される6つの小水槽から構成される。そして、上記被処理水は、6つの小水槽について、順次、上部(水深の浅い部分)から下部(水深の深い部分)に自然と流れ、上記充填材槽1全体を通過して、最も下流の小水槽に到達するように、構成されている。
【0061】
より具体的には、最上流の小水槽の隣の小水槽への開口部が、下に開いており、次の小水槽では、開口部が上部、その次の小水槽では、開口部が下部、その次の小水槽では、開口部が上部となるように、工夫され、上記被処理水は、自然と上部から下部、また下部から上部へと、繰り返して移動している。
【0062】
また、上記被処理水は、上記充填材槽1に導入されるが、仕切り壁2で小分割した小水槽で、被処理水が下部から上部に上昇する小水槽のみに、散気管42が設置され、被処理水への酸素供給と空気撹拌を行っている。
【0063】
また、散気管42から吐出する空気は、上昇水流を発生させている。散気管42は、空気配管4によって、ブロワー5と接続しており、ブロワー5から吐出される空気を、上記充填材槽1に供給している。そのため、散気管42が設置されている小水槽では、好気性微生物が繁殖している。上記充填材槽1では、2つの散気管42が設置されている。
【0064】
上記充填材槽1には、上記微生物活性化槽33から汚泥中の微生物にマイクロナノバブルが付着した状態で、この汚泥と被処理水が、導入される。
【0065】
上記充填材槽1の水深は、7m以上あるので、微生物に付着したマイクロナノバブルと微生物に付着していない大きめのマイクロバブルは、水圧によって収縮して、微生物に付着しやすいマイクロナノバブルに変化する。
【0066】
水圧によって変化した微生物に付着しやすいより多くのマイクロナノバブルは、微生物のみならず、ポリ塩化ビニリデン充填材などの充填材37にも、付着しやすい状態に変化して、充填材37に多量に付着して、マイクロナノバブルによって活性化した微生物の有機物処理の安定化に有効となる。
【0067】
そして、被処理水中の有機物に対して、有効的に前処理された被処理水は、上記充填材槽1からポンプ3によって曝気槽6に導入される。
【0068】
曝気槽6には、ラインミキサー型散気装置7が、設置され、ラインミキサー型散気装置7の下部には、空気供給部35が、設置されて、空気を吐出している。
【0069】
ラインミキサー型散気装置7は、内部に旋回流を起こす部位と、気液混相流を微細に破壊する数多くの突起(キノコ状カッターと称している。)のある部位とを有する。
【0070】
ラインミキサー型散気装置7に空気供給部35から空気を供給すると、ラインミキサー型散気装置7の上部からは、比較的バブルサイズが大きいすなわち荒い超微細空気が発生する。微細空気であるが故、酸素の溶解効率は、通常の散気管と比較して、格段に良い。
【0071】
なお、曝気槽6の容量は、上記充填材槽1での被処理水中の有機物に対する前処理での状況で決定するが、従来の排水処理装置では、単に、水量や水質を時間的に調整する調整槽であり、本発明の様に、上記充填材槽1で、活性化した微生物を安定的に付着繁殖させているので、前処理を確実にできて、曝気槽6の容量を小さくできる効果がある。すなわち、イニシャルコストの低減効果である。また、曝気槽6の容量を小さくできるので、ブロワー5の規模も小さくでき省エネ運転を達成できる。
【0072】
曝気槽6を出た被処理水は、沈澱槽11に導入されて、微生物を含む汚泥と上澄液としての処理水とに、固液分離される。沈澱槽11には、レーキ13を駆動させる為のレーキ駆動部12が設置されて、汚泥を沈澱槽11の中心部に掻き寄せるため、ゆっくり回転している。
【0073】
マイクロナノバブルによる微生物を活性化しての微生物処理は、通常の微生物処理の状況と異なる現象が出てくる。すなわち、沈澱槽11に導入した被処理水は、汚泥と上澄液との分離がよく、すなわち、汚泥の沈降性が良い。また上澄液としての処理水の化学的酸素要求量や生物学的酸素要求量や浮遊物質などの項目において、水質もよい。また、曝気槽6での発泡も少なく、また臭気の発生もなく、生物処理としては、理想的な内容となる。
【0074】
また、沈澱槽11には、汚泥ポンプ10と処理水ポンプ14が設置されている。汚泥ポンプ10は、沈澱槽11で沈澱した微生物汚泥を汚泥配管9を通じて、微生物活性化槽33に汚泥を導入している。
【0075】
排水処理装置の系内で発生した余剰汚泥は、バルブ44を操作することによって、余剰汚泥槽45に引き抜かれる。
【0076】
一方、処理水ポンプ14は、沈澱槽11での一部の処理水としての上澄液を、マイクロナノバブル発生槽43に移送している。残りの処理水は、排水処理装置の系外に排出される。
【0077】
マイクロナノバブル発生槽43は、各種材質から成る水槽であり、水槽の材質は、プラスチック、ステンレスや塩化ビニル等で、被処理水の性質によって、選定すれば良い。
【0078】
マイクロナノバブル発生槽43には、互いに異なる大きさのマイクロナノバブルを発生する二種類のマイクロナノバブル発生機が設けられている。二種類のマイクロナノバブル発生機は、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機24と非水中ポンプ型(旋回流型)マイクロナノバブル発生機28とであり、それぞれ水流23と水流27を発生している。
【0079】
上記マイクロナノバブル発生槽43に、マイクロナノバブル発生助剤が添加される。つまり、マイクロナノバブル発生助剤を有するマイクロナノバブル発生助剤タンク16と、上記マイクロナノバブル発生助剤タンク16から上記マイクロナノバブル発生槽43にマイクロナノバブル発生助剤を送る定量ポンプ17とが、設置されている。
【0080】
上記マイクロナノバブル発生槽43に設置された濁度計25と、この濁度計25の信号に基づいて、上記定量ポンプ17を制御して、上記マイクロナノバブル発生槽43への上記マイクロナノバブル発生助剤の添加量を調節する濁度調節計19とが、設置されている。
【0081】
上記濁度計25は、マイクロナノバブルの発生状況を測定する。すなわち、マイクロナノバブルが多く発生すると、白く濁り濁度が上昇する傾向がある。よって、濁度計25が高い値を示す。一方、マイクロナノバブルが充分発生していないと、濁度が低下する傾向がある。よって濁度計は低い値を示すことになる。
【0082】
そして、沈澱槽11からの処理水は、処理水配管15および流入管21より、マイクロナノバブル発生槽43に流入する。
【0083】
水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機24は、空気配管22により連結しているブロワー20より空気を供給されている。ブロワー20より供給された空気を、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機24は、高速回転することよって、空気を切断してマイクロバブルを発生し、その後、一部のマイクロバブルは、時間の経過と共に収縮してナノバブルとなる。そして、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機24からマイクロナノバブルを吐出することによって、水流23を発生している。
【0084】
また、濁度計25からの信号を、信号線26で濁度調節計19に伝送し、濁度調節計19の信号により、信号線18を介して、定量ポンプ17のインバータ制御により、マイクロナノバブル発生助剤のマイクロナノバブル発生槽43への添加量を制御し、最適な添加量としている。最適なマイクロナノバブル発生助剤の添加量で、最適なマイクロナノバブルが発生する。
【0085】
より具体的には、濁度計25の値が低い場合、マイクロナノバブルの発生量が少ないので、定量ポンプ17のインバータ制御により、電動機回転数を多くして、マイクロナノバブル発生助剤を多く添加して、マイクロナノバブルを多く発生させて、濁度計25の数値が高くなる様制御している。
【0086】
一方、マイクロナノバブル発生槽43での濁度計25の数値が高い場合、マイクロナノバブルは、充分発生しているので、定量ポンプ17のインバータ制御により、電動機回転数を少なくして、マイクロナノバブル発生助剤の添加量を少なくし、かつマイクロナノバブルも充分発生した状態で稼動していることになる。このことは、ランニングコストの低減に役立つ。なお、マイクロナノバブル発生助剤としては、各種微生物分解性の良い界面活性剤や各種アルコール類などがあるが、目的によって、選定すれば良い。
【0087】
一方、非水中ポンプ型(旋回流型)マイクロナノバブル発生機28は、配管によって、循環ポンプ31と連携しており、マイクロナノバブル発生機28への高圧の循環水の供給は、循環ポンプ31で実施される。
【0088】
また、マイクロナノバブル発生機28には、空気を引き込む為の空気引き込み管30と、空気量を調整する為のニードルバルブ29とが設置されている。
【0089】
そして、マイクロナノバブル発生槽43で、処理水に充分マイクロナノバブルが含有されて、その後、流出管32により、マイクロナノバブル含有水は、次工程である微生物活性化槽33に導入される。
【0090】
微生物活性化槽33においては、求めるサイズであり、かつ、多量に含有しているマイクロナノバブル含有水と、沈澱槽11からの沈澱汚泥とが、空気供給部35を有するラインミキサー型散気装置34によって、マイクロバブルが多量吐出することによって、強力に混合撹拌される。すなわち、沈殿槽11からの汚泥中の微生物に、マイクロナノバブル発生槽43からのマイクロナノバブルが付着して、微生物を活性化する。また、マイクロナノバブルは、活性化した微生物に付着するものの、微生物に付着しないサイズの大きいマイクロバブルも存在する。
【0091】
そして、ラインミキサー型散気装置34によっても、多量のサイズの比較的大きいマイクロバブルも発生して、マイクロナノバブルが付着した微生物、微生物に付着していないマイクロナノバブル、および、ラインミキサー型散気装置34によって発生したサイズの大きいマイクロバブルは、排水配管36を介して、微生物活性化槽33から充填材槽1に導入され、充填材槽1の水深は、7m以上であるから、底部では水圧によって、マイクロナノバブルやラインミキサー型散気装置34由来のマイクロバブルが収縮して、充填材37に付着しやすいサイズになり、微生物にも付着することのみならず、充填材37にも多く付着して、微生物の活性化や安定化に有効となる。
【0092】
なお、非水中ポンプ型(旋回流型)マイクロナノバブル発生機28から発生するマイクロナノバブルが、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機24から発生するマイクロナノバブルよりも、小さいことが、知られている。
【0093】
よって、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機24で、まず少し大きめのマイクロナノバブルを作製して、その後、その少し大きめのマイクロナノバブルを含有している液体を非水中ポンプ型(旋回流型)マイクロナノバブル発生機28に導入することにより、マイクロナノバブルのうちナノバブルを多く発生させている。バブルは、より超微細な方が、液体中に長く持続するし、微生物に対する作用も効果的である。
【0094】
なお、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機24は、市販されているものならば、メーカーを限定するものではなく、具体的には、野村電子工業株式会社のものを採用した。非水中ポンプ型(旋回流型)マイクロナノバブル発生機28は、ナノプラネット研究所の製品を採用した。他の商品としては、他メーカーの商品も数多く販売されているが、目的に従って選定すれば良い。
【0095】
次に、上記構成の排水処理装置を用いて、排水を処理する方法を説明する。
【0096】
有機物を含む被処理水を、充填材37を有する充填材槽1に、導入する。上記充填材槽1の下流側に接続される沈殿槽11に、上記被処理水を導入して、上記被処理水を、微生物を含む汚泥と処理水とに固液分離する。
【0097】
マイクロナノバブルを発生するマイクロナノバブル発生槽43に、上記沈殿槽11からの上記処理水の一部を導入して、この処理水にマイクロナノバブルを含ませて、マイクロナノバブル含有水を作成する。
【0098】
微生物活性化槽33に、上記マイクロナノバブル発生槽43からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記沈殿槽11からの上記汚泥とを、導入して、上記汚泥中の微生物に、マイクロナノバブルを付着させて、上記微生物をマイクロナノバブルで活性化する。
【0099】
上記充填材槽1に、上記微生物活性化槽33から、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とを、導入して、マイクロナノバブルで活性化した上記微生物を、上記充填材37に付着して、上記被処理水中の有機物を分解する。
【0100】
上記充填材槽1では、水深の深い部分と水深の浅い部分とを交互に通る流水路に、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とを、上記被処理水とともに、通過させる。
【0101】
上記構成の排水処理装置によれば、上記充填材槽1には、上記微生物活性化槽33から、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とが、導入されて、マイクロナノバブルで活性化した上記微生物が、上記充填材37に付着されて、上記被処理水中の有機物を分解するので、上記被処理水中の有機物を効果的に微生物によって分解することができる。
【0102】
また、上記充填材槽1には、上記微生物活性化槽33から、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とが、導入されるので、上記微生物活性化槽33にて上記微生物を一層確実に活性化させ、この活性化した微生物を上記充填材槽1の上記充填材37に一層確実に付着できて、微生物による上記被処理水中の有機物の処理を一層確実に安定化できる。
【0103】
また、上記充填材槽1は、水深の深い部分と水深の浅い部分とを交互に通る流水路を有し、上記流水路には、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とが、上記被処理水とともに、通過するので、バブルサイズが大きいマイクロバブルやマイクロナノバブルを、微生物に利用しやすい様なサイズまで水圧で収縮できる。したがって、微生物が利用しやすいサイズのマイクロナノバブルを作成できて、微生物を一層確実に活性化できる。
【0104】
また、上記マイクロナノバブル発生槽43には、互いに異なる大きさのマイクロナノバブルを発生する二種類のマイクロナノバブル発生機24,28が設けられているので、二種類のマイクロナノバブル発生機24,28で、幅広いサイズのマイクロナノバブルを発生でき、マイクロナノバブルの発生量も多くできて、マイクロナノバブルの作用を効果的に高めることができる。
【0105】
また、上記二種類のマイクロナノバブル発生機24,28は、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機24と非水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機28とであるので、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機24は、比較的サイズの大きいマイクロナノバブルを発生させることができ、非水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機28は、細かいマイクロナノバブルを、発生させることができる。
【0106】
また、上記マイクロナノバブル発生槽43に、マイクロナノバブル発生助剤が添加されるので、効果的に多量のマイクロナノバブルを発生させることができる。
【0107】
また、マイクロナノバブル発生助剤を有するマイクロナノバブル発生助剤タンク16と、上記マイクロナノバブル発生助剤タンク16から上記マイクロナノバブル発生槽43にマイクロナノバブル発生助剤を送る定量ポンプ17とを有するので、上記マイクロナノバブル発生助剤タンク16にマイクロナノバブル発生助剤を貯留しておいて、必要時に上記定量ポンプ17で、上記マイクロナノバブル発生槽43に添加することができて、効果的に多量のマイクロナノバブルを発生させることができる。
【0108】
また、上記マイクロナノバブル発生槽43に設置された濁度計25と、この濁度計25の信号に基づいて、上記定量ポンプ17を制御して、上記マイクロナノバブル発生槽43への上記マイクロナノバブル発生助剤の添加量を調節する濁度調節計19とを有するので、マイクロナノバブルの発生状態を上記濁度計25で測定して、上記濁度計25の信号で、上記定量ポンプ17を制御して、上記マイクロナノバブル発生槽43に添加されるマイクロナノバブル発生助剤の添加量をコントロールすることができる。すなわち、上記濁度計25の信号で、最適なマイクロナノバブルを、マイクロナノバブル発生助剤を最適量添加して作成することができる。
【0109】
また、上記充填材槽1と上記沈殿槽11との間に、上記曝気槽6が接続されているので、上記曝気槽6に上記被処理水を導入して、上記被処理水をより効果的に処理することができる。
【0110】
(第2の実施形態)
図2は、この発明の排水処理装置の第2の実施形態を示している。図1に示す上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第2の実施形態では、微生物活性化槽33では、ラインミキサー型散気装置34の代わりに、散気管42が、設置されている。なお、この第2の実施形態において、上記第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0111】
したがって、この第2の実施形態では、ラインミキサー型散気装置34から吐出する超微細なマイクロバブルではなく、従来から存在する散気管42から吐出する空気によって、微生物を含む汚泥とマイクロナノバブル含有水が、混合撹拌される。
【0112】
散気管42から吐出する空気は、水圧がかかっても、マイクロナノバブルとはならないので、第1実施形態ほど微生物の活性化はできないので、充填材槽1での被処理水の有機物に対する前処理が、さほど期待できない。但し、ラインミキサー型散気装置34を使用しないので、第1の実施形態と比較して、イニシャルコストの低減に有効である。
【0113】
(第3の実施形態)
図3は、この発明の排水処理装置の第3の実施形態を示している。図1に示す上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第3の実施形態では、曝気槽6内に、充填材37が、設置されている。なお、この第3の実施形態において、上記第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0114】
したがって、曝気槽6内に、設置されている充填材37に、活性化した微生物が付着して繁殖し、第1の実施形態と比較して、より安定的に被処理水を処理することとなる。
【0115】
特に、マイクロナノバブル含有被処理水は、長時間マイクロナノバブルが持続するので、微生物活性化槽33で、マイクロナノバブルが付着した微生物は、当然大部分が、充填材槽1の充填材37に付着するものの、一部のマイクロナノバブルが付着した微生物は、曝気槽6にも流入して、曝気槽6の充填材37に付着して、微生物処理の安定化と処理能力の向上に有効となる。
【0116】
(第4の実施形態)
図4は、この発明の排水処理装置の第4の実施形態を示している。図1に示す上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第4の実施形態では、微生物活性化槽33が省略されている。なお、この第4の実施形態において、上記第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0117】
つまり、上記マイクロナノバブル発生槽43からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記沈殿槽11からの上記汚泥とが、上記被処理水とともに、上記充填材槽1に、直接に導入されている。
【0118】
したがって、微生物活性化槽33を設置していないので、イニシャルコストの削減には、有効であるが、第1の実施形態と比較して、汚泥中の微生物にマイクロナノバブルが付着する確立が低い。その分性能は期待できないが、イニシャルコストの低減には有効なシステムである。
【0119】
マイクロナノバブル含有水は、被処理水や、沈殿槽11からの微生物を含有する汚泥と共に、充填材槽1に導入され、そこで弱い混合があり、汚泥中の微生物にもマイクロナノバブルが付着して、微生物を活性化する。活性化した微生物は、第1の実施形態と同様、充填材37に付着して安定的に繁殖し、微生物処理が有効となる。
【0120】
(第5の実施形態)
図5は、この発明の排水処理装置の第5の実施形態を示している。図1に示す上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第5の実施形態では、充填材槽1に設置されていた仕切り壁2が、5枚とも全て撤去されている。なお、この第5の実施形態において、上記第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0121】
したがって、上記充填材槽1には、仕切り壁2がないので、槽内の有効な撹拌状態を維持するには、2つの散気管42から吐出する空気によって、撹拌する必要がある。但し、通常の排水処理装置では、仕切り壁2を設置している場合の方が稀であるので、仕切り壁2が無くても、ある程度の微生物処理は可能である。すなわち、被処理水中の有機物処理に代表される微生物処理は可能となる。
【0122】
(第6の実施形態)
図6は、この発明の排水処理装置の第6の実施形態を示している。図1に示す上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第6の実施形態では、マイクロナノバブル発生槽43には、微生物活性化槽33に加えて、曝気槽6が接続されている。マイクロナノバブル発生槽43と微生物活性化槽33との間、および、マイクロナノバブル発生槽43と曝気槽6との間には、それぞれ、バルブ38が設けられている。なお、この第6の実施形態において、上記第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0123】
そして、マイクロナノバブル発生槽43の出口配管32からのマイクロナノバブル含有水を、2つのバルブ38によって、微生物活性化槽33または曝気槽6の少なくとも一方に、選択的に必要量導入することができる。
【0124】
したがって、曝気槽6にマイクロナノバブル含有水を導入した場合、マイクロナノバブル量が、全体的に増加するので、曝気槽6に繁殖していた微生物をマイクロナノバブルで活性化でき、曝気槽6での有機物処理能力が向上する。また、沈澱槽11での微生物汚泥の沈降性が改善でき、汚泥の沈降性がより向上し、安定的に処理水を確保できる。
【0125】
(第7の実施形態)
図7は、この発明の排水処理装置の第7の実施形態を示している。図1に示す上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第7の実施形態では、曝気槽6および沈澱槽11に代えて、液中膜40を内蔵した液中膜槽46を設けている。ここで、液中膜とは、液体の中に存在する膜をいい、フィルターとして機能する。なお、この第7の実施形態において、上記第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0126】
そして、固液分離を、沈澱槽11ではなく、液中膜40で、安定的にまた、確実に実施できる。よって、生物処理につきものの微生物のバルキングトラブルが皆無となる。
【0127】
また、液中膜槽46には、槽内を撹拌するための空気供給部35を下部に有するラインミキサー型散気装置7と、液中膜40の下部に液中膜40を微細空気で空気洗浄するための空気供給部35を下部に有するラインミキサー型散気装置7とが、設置されている。
【0128】
液中膜槽46は、槽内の両端のそれぞれに設置された、2つの空気供給部35を下部に有するラインミキサー型散気装置7で、効率的に撹拌と溶存酸素が供給され、微生物処理することができる。
【0129】
なお、2つの空気供給部35への空気の供給は、ブロワー5から吐出供給される。また、微生物活性化槽33への微生物汚泥の供給は、汚泥ポンプ41によって、おこなわれる。また、液中膜40からの処理水は、液中膜ポンプ39で引き抜かれ、処理水となるが、一部の処理水は、2つのバルブ38でマイクロナノバブル発生槽43の流入管21より、マイクロナノバブル発生槽43に導入されて、再利用される。
【0130】
(第8の実施形態)
図8は、この発明の排水処理装置の第8の実施形態を示している。図7に示す上記第7の実施形態と相違する点を説明すると、この第8の実施形態では、液中膜槽46に、充填材37が設置されている。なお、この第8の実施形態において、上記第7の実施形態と同一の部分には、同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0131】
したがって、液中膜槽46内部に設置されている(ポリ塩化ビニリデン充填材等の)充填材37に、活性化した微生物が付着して繁殖し、第7の実施形態と比較して、より安定的に被処理水を処理することとなる。
【0132】
特に、マイクロナノバブル含有水は、長時間マイクロナノバブルが持続するので、微生物活性化槽33で、マイクロナノバブルが付着した微生物は、当然大部分が、充填材槽1の充填材37に付着するものの、一部のマイクロナノバブルが付着した微生物は、液中膜槽46にも流入して、液中膜槽46の充填材37に付着して、微生物処理の安定化と処理能力の向上に有効となる。
【0133】
(実験例)
図1の第1の実施形態に対応する実験装置を製作した。この実験装置において、マイクロナノバブル発生槽43の容量を0.2mとし、微生物活性化槽33の容量を0.1mとし、充填材槽1の容量を4mとし、曝気槽6の容量を4mとし、沈澱槽11の容量を2mとして、充填材槽1に、被処理水としての生活排水を導入して、約3ヶ月間試運転をしたところ、沈澱槽11から安定した水質の処理水を確保することができた。
【0134】
具体的に述べると、被処理水と処理水とを各項目で分析して、除去率を求めたところ、BOD(Biological Oxygen Demand 生物学的酸素要求量)およびCOD(Chemical Oxygen Demand 化学的酸素要求量)とも、除去率は85%以上で、かつ曝気槽6からの発泡もなく、汚泥の沈降性もよく、処理水の透視度も50cm以上であった。
【0135】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、上記曝気槽6は、接触酸化槽や、回転円盤槽や、光触媒槽や、窒素を処理するための、硝化槽、脱窒槽および再曝気槽であってもよく、排水処理装置の微生物処理が、上記各種曝気槽を中心とした排水処理装置の場合、前処理を確実に実施して、排水処理装置全体の処理効果を改善し、処理効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の排水処理装置の第1実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明の排水処理装置の第2実施形態を示す模式図である。
【図3】本発明の排水処理装置の第3実施形態を示す模式図である。
【図4】本発明の排水処理装置の第4実施形態を示す模式図である。
【図5】本発明の排水処理装置の第5実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明の排水処理装置の第6実施形態を示す模式図である。
【図7】本発明の排水処理装置の第7実施形態を示す模式図である。
【図8】本発明の排水処理装置の第8実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0137】
1 充填材槽
2 仕切り壁
3 ポンプ
4 空気配管
5 ブロワー
6 曝気槽
7 ラインミキサー型散気装置
9 汚泥配管
10 汚泥ポンプ
11 沈澱槽(固液分離槽)
12 レーキ駆動部
13 レーキ
14 処理水ポンプ
15 処理水配管
16 マイクロナノバブル発生助剤タンク
17 定量ポンプ
18 信号線
19 濁度調節計
20 ブロワー
21 流入管
22 空気配管
23 水流
24 水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機
25 濁度計
26 信号線
27 水流
28 非水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機
29 ニードルバルブ
30 空気吸込み管
31 循環ポンプ
32 出口配管
33 微生物活性化槽
34 ラインミキサー型散気装置
35 空気供給部
36 排水配管
37 充填材
38 バルブ
39 液中膜ポンプ
40 液中膜
41 汚泥ポンプ
42 散気管
43 マイクロナノバブル発生槽
44 バルブ
45 余剰汚泥槽
46 液中膜槽(固液分離槽)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を含む被処理水を、充填材を有する充填材槽に、導入する工程と、
上記充填材槽の下流側に接続される固液分離槽に、上記被処理水を導入して、上記被処理水を、微生物を含む汚泥と処理水とに固液分離する工程と、
マイクロナノバブルを発生するマイクロナノバブル発生槽に、上記固液分離槽からの上記処理水の一部を導入して、この処理水にマイクロナノバブルを含ませて、マイクロナノバブル含有水を作成する工程と、
上記充填材槽に、上記マイクロナノバブル発生槽からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記固液分離槽からの上記汚泥とを、導入して、マイクロナノバブルで活性化した上記汚泥中の微生物を、上記充填材に付着して、上記被処理水中の有機物を分解する工程と
を備えることを特徴とする排水処理方法。
【請求項2】
有機物を含む被処理水を、充填材を有する充填材槽に、導入する工程と、
上記充填材槽の下流側に接続される固液分離槽に、上記被処理水を導入して、上記被処理水を、微生物を含む汚泥と処理水とに固液分離する工程と、
マイクロナノバブルを発生するマイクロナノバブル発生槽に、上記固液分離槽からの上記処理水の一部を導入して、この処理水にマイクロナノバブルを含ませて、マイクロナノバブル含有水を作成する工程と、
微生物活性化槽に、上記マイクロナノバブル発生槽からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記固液分離槽からの上記汚泥とを、導入して、上記汚泥中の微生物に、マイクロナノバブルを付着させて、上記微生物をマイクロナノバブルで活性化する工程と、
上記充填材槽に、上記微生物活性化槽から、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とを、導入して、マイクロナノバブルで活性化した上記微生物を、上記充填材に付着して、上記被処理水中の有機物を分解する工程と
を備えることを特徴とする排水処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の排水処理方法において、
上記充填材槽では、水深の深い部分と水深の浅い部分とを交互に通る流水路に、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とを、上記被処理水とともに、通過させることを特徴とする排水処理方法。
【請求項4】
有機物を含む被処理水が導入されると共に、充填材を有する充填材槽と、
上記充填材槽の下流側に接続されると共に、上記被処理水を、微生物を含む汚泥と処理水とに固液分離する固液分離槽と、
マイクロナノバブルを発生すると共に、上記固液分離槽からの上記処理水の一部が導入され、この処理水にマイクロナノバブルを含ませて、マイクロナノバブル含有水を作成するマイクロナノバブル発生槽と
を備え、
上記充填材槽には、上記マイクロナノバブル発生槽からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記固液分離槽からの上記汚泥とが、導入されて、
マイクロナノバブルで活性化した上記汚泥中の微生物が、上記充填材に付着されて、上記被処理水中の有機物を分解することを特徴とする排水処理装置。
【請求項5】
有機物を含む被処理水が導入されると共に、充填材を有する充填材槽と、
上記充填材槽の下流側に接続されると共に、上記被処理水を、微生物を含む汚泥と処理水とに固液分離する固液分離槽と、
マイクロナノバブルを発生すると共に、上記固液分離槽からの上記処理水の一部が導入され、この処理水にマイクロナノバブルを含ませて、マイクロナノバブル含有水を作成するマイクロナノバブル発生槽と、
上記マイクロナノバブル発生槽からの上記マイクロナノバブル含有水と、上記固液分離槽からの上記汚泥とが、導入され、上記汚泥中の微生物に、マイクロナノバブルを付着させて、上記微生物をマイクロナノバブルで活性化する微生物活性化槽と
を備え、
上記充填材槽には、上記微生物活性化槽から、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とが、導入されて、
マイクロナノバブルで活性化した上記微生物が、上記充填材に付着されて、上記被処理水中の有機物を分解することを特徴とする排水処理装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の排水処理装置において、
上記充填材槽は、水深の深い部分と水深の浅い部分とを交互に通る流水路を有し、
上記流水路には、上記マイクロナノバブル含有水と上記汚泥とが、上記被処理水とともに、通過することを特徴とする排水処理装置。
【請求項7】
請求項4または5に記載の排水処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生槽には、互いに異なる大きさのマイクロナノバブルを発生する二種類のマイクロナノバブル発生機が設けられていることを特徴とする排水処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の排水処理装置において、
上記二種類のマイクロナノバブル発生機は、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機と非水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機とであることを特徴とする排水処理装置。
【請求項9】
請求項4または5に記載の排水処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生槽に、マイクロナノバブル発生助剤が添加されることを特徴とする排水処理装置。
【請求項10】
請求項4または5に記載の排水処理装置において、
マイクロナノバブル発生助剤を有するマイクロナノバブル発生助剤タンクと、
上記マイクロナノバブル発生助剤タンクから上記マイクロナノバブル発生槽にマイクロナノバブル発生助剤を送る定量ポンプと
を有することを特徴とする排水処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の排水処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生槽に設置された濁度計と、
この濁度計の信号に基づいて、上記定量ポンプを制御して、上記マイクロナノバブル発生槽への上記マイクロナノバブル発生助剤の添加量を調節する濁度調節計と
を有することを特徴とする排水処理装置。
【請求項12】
請求項4または5に記載の排水処理装置において、
上記充填材槽と上記固液分離槽との間に、曝気槽が接続されていることを特徴とする排水処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の排水処理装置において、
上記曝気槽は、接触酸化槽であることを特徴とする排水処理装置。
【請求項14】
請求項12に記載の排水処理装置において、
上記曝気槽は、回転円盤槽であることを特徴とする排水処理装置。
【請求項15】
請求項12に記載の排水処理装置において、
上記曝気槽は、光触媒槽であることを特徴とする排水処理装置。
【請求項16】
請求項12に記載の排水処理装置において、
上記曝気槽は、窒素を処理するための、硝化槽、脱窒槽および再曝気槽であることを特徴とする排水処理装置。
【請求項17】
請求項4または5に記載の排水処理装置において、
上記被処理水は、界面活性剤を含んでいることを特徴とする排水処理装置。
【請求項18】
請求項4または5に記載の排水処理装置において、
上記被処理水は、生活排水であることを特徴とする排水処理装置。
【請求項19】
請求項4または5に記載の排水処理装置において、
上記被処理水は、下水であることを特徴とする排水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−80258(P2008−80258A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263888(P2006−263888)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】