接合方法
【課題】接合特性の安定性および接合歩留まりの向上を図れる接合方法を提供する。
【解決手段】接合対象物を導入した接合室内を真空排気する真空排気工程(S3)と、真空排気工程(S3)の後に接合対象物の接合部位の表面にイオンビームもしくは原子ビームもしくはプラズマを照射して接合部位の表面を活性化する表面活性化工程(S5)と、表面活性化工程(S5)の後に接合対象物の接合部位同士を接合する接合工程(S6)とを備える。真空排気工程(S3)と表面活性化工程(S5)との間に、接合対象物の接合部位を加熱する加熱工程(S4)を設け、表面活性化工程(S5)と接合工程(S6)とは、接合対象物の接合部位へのガス成分の吸着を防止するために接合対象物の接合部位を加熱した状態で行う。
【解決手段】接合対象物を導入した接合室内を真空排気する真空排気工程(S3)と、真空排気工程(S3)の後に接合対象物の接合部位の表面にイオンビームもしくは原子ビームもしくはプラズマを照射して接合部位の表面を活性化する表面活性化工程(S5)と、表面活性化工程(S5)の後に接合対象物の接合部位同士を接合する接合工程(S6)とを備える。真空排気工程(S3)と表面活性化工程(S5)との間に、接合対象物の接合部位を加熱する加熱工程(S4)を設け、表面活性化工程(S5)と接合工程(S6)とは、接合対象物の接合部位へのガス成分の吸着を防止するために接合対象物の接合部位を加熱した状態で行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合対象物同士を接合する接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からマイクロマシニング技術を利用して形成したセンサ素子としてMEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)が知られており、近年、マイクロマシニング技術およびウェハレベルパッケージング技術を利用して形成したセンサ装置が研究開発されている。
【0003】
ところで、上述のMEMSは、シリコンウェハやSOIウェハなどを用いてフレーム部および可動部を有するセンサ基板を形成することが多いので、センサ基板と同じサイズのパッケージ用基板をセンサ基板に接合することでセンサ装置を構成する場合、シリコンウェハを用いてパッケージ用基板を形成し、常温接合法(例えば、特許文献1,2参照)を利用してパッケージ用基板とセンサ基板とを接合することが考えられる。
【0004】
ここにおいて、上記特許文献1には、接合装置として、図11に示すように、接合対象のウェハWaが導入されるウェハ導入室40と、ウェハWa,Wa同士の互いの接合部位それぞれの表面を活性化してから常温下でウェハWa,Wa同士を接合する接合室60と、ウェハ導入室40と接合室60との間でウェハWa,Waや接合された2つのウェハWa,Waの積層体を搬送するロボットなどが収納された搬送室50とが別々の真空槽により構成されたものが提案されている。なお、図11に示した構成の接合装置は、ウェハ導入室40と搬送室50との間にゲートバルブ91が設けられるとともに、搬送室50と接合室60との間にゲートバルブ92が設けられている。
【0005】
上述の接合装置を用いて2つのウェハWa,Waを接合する接合方法では、ウェハ導入室40内へウェハWa,Waを導入してウェハ導入室40内を真空排気する第1の真空排気工程、搬送室50を介して接合室60内へウェハWa,Waを搬送した後で接合室60内を所望の真空度に到達するまで真空排気する第2の真空排気工程、接合室60内で2つのウェハ保持部材65,66それぞれに保持された2つのウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面に互いに異なるビーム照射装置(図示せず)から例えば不活性ガスイオンビームを照射することで接合部位の表面を活性化する表面活性化工程、上側のウェハ保持部材66を下側のウェハ保持部材65に近づける向き(図11中の矢印Eの向き)に押し下げるプッシュロッド67を駆動して常温下で両ウェハWa,Waの接合部位同士を突き合わせることで両ウェハWa,Waを接合する接合工程、が順次行われる。なお、上記特許文献1には、ウェハWa,Waの接合部位の表面を活性化する表面活性化工程において、不活性ガスイオンビームの代わりに、不活性ガス原子ビームを照射することも記載されているが、不活性ガスイオンビームや不活性ガス原子ビームを利用した技術以外に、プラズマ照射により接合部位の表面の活性化を行う技術が従来から知られている。
【0006】
上述の接合室60内においてウェハWa,Waの接合部位の表面を活性化するためには、接合室60内を高真空としてから活性化処理を行う必要があるので、図11に示した構成の接合装置では、ウェハ導入室40と接合室60とを別々の真空槽に分けることで、スループットの向上、歩留まりの向上、および接合特性の向上を図っている。
【0007】
また、上記特許文献2には、基材(例えば、チップ、ウェハ、各種回路基板など)の表面に金属材料(Au,Al,In,Snなど)からなる接合部を有する接合対象物の接合部同士を接合するにあたって、良好な接合状態を得るために、図12に示すように、接合対象物を導入した接合室内を真空排気する真空排気工程(S11)を行ってから、各接合部の表面を活性化する表面活性化工程(S12)を行い、当該表面活性化工程(S12)と接合部同士の接合を行う接合工程(S14)までの間に各接合部をヒータにより加熱する加熱工程(S13)を行うことで各接合部それぞれの表面へのガス成分や不純物の吸着を防止することが提案されている。
【特許文献1】特開平10−92702号公報
【特許文献2】特開2006−134900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2に記載の接合方法のように、接合部の表面を活性化した後に接合部を加熱しても、所定の加熱温度まで昇温される期間において温度が比較的低い期間に水分などのガス成分が接合部に吸着して接合部の表面の清浄度が低下し、接合特性の安定性や接合歩留まりが変動したり、低下してしまうという問題があった。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の接合方法により接合対象物同士を接合することによって内部が真空のパッケージを形成する場合には、接合工程を真空中で行っても、表面活性化後に接合工程が行われるまでの間に接合対象物に吸着したガス成分によりパッケージ内の真空度が低下するという問題があった。
【0010】
また、上記特許文献2に記載の接合方法により接合対象物同士を接合することによって内部に不活性ガスが封入されたパッケージを形成する場合には、表面活性化工程後で接合室内へ所定の不活性ガスを導入して接合室内の雰囲気を設計雰囲気に調整してから、接合工程を行うようにしても、表面活性化後に接合工程が行われるまでの間に接合対象物に吸着した水分などのガス成分によりパッケージ内の真空度が低下するという問題があった。
【0011】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、接合特性の安定性および接合歩留まりの向上を図れる接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、接合対象物を導入した接合室内を真空排気する真空排気工程と、真空排気工程の後に接合対象物の表面を活性化する表面活性化工程と、表面活性化工程の後に接合対象物の接合部位同士を接合する接合工程とを備え、表面活性化工程と接合工程とは、接合対象物を加熱した状態で行うことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、接合対象物を導入した接合室内を真空排気する真空排気工程を行った後に、接合対象物の表面を活性化する表面活性化工程を行ってから、接合対象物の接合部位同士を接合する接合工程を行うにあたって、表面活性化工程と接合工程とを、接合対象物を加熱した状態で行うので、接合対象物における接合部位の表面に吸着する水分などのガス成分を低減することができ、接合特性の安定性および接合歩留まりの向上を図れる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記各接合対象物それぞれが所定ガスを封入する気密パッケージの一部を構成するものであり、前記表面活性化工程と前記接合工程との間に、前記接合室内へ前記所定ガスを導入するガス導入工程を備えることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、前記接合工程において前記接合対象物同士を接合することにより、所定ガスが封入された気密パッケージを得ることが可能となる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記ガス導入工程の際もしくは前記ガス導入工程と前記接合工程との間に前記接合室内の圧力を所望の圧力に調整することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、前記接合工程において前記接合対象物同士を接合することにより、所望の圧力の所定ガスが封入された気密パッケージを得ることが可能となる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記各接合対象物それぞれが真空封止する気密パッケージの一部を構成するものであり、前記表面活性化工程と前記接合工程との間に、前記接合室内を気密パッケージ内の所望の真空度まで真空排気する接合前真空排気工程を備えることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、前記接合工程において前記接合対象物同士を接合することにより、設計真空度に応じた真空度の気密パッケージを得ることが可能となる。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、前記真空排気工程よりも前に、互いに接合される前記接合対象物の少なくとも一方における他方との対向面側にゲッタを配置することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、前記気密パッケージ内の不要な残留ガス成分を低減できる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明では、接合特性の安定性および接合歩留まりの向上を図れるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本実施形態では、本願発明に係る接合方法を利用して製造されるセンサ装置について図3〜図10を参照しながら説明した後、接合方法について説明する。
【0024】
本実施形態において例示するセンサ装置は、加速度センサであり、図3(c)および図4に示すように後述のセンシング部が形成されたセンサ基板1と、センサ基板1のセンシング部に電気的に接続される貫通孔配線24を有しセンサ基板1の一表面側(図3(c)の上面側)に封着された貫通孔配線形成基板(第1のパッケージ用基板)2と、センサ基板1の他表面側(図3(c)の下面側)に封着されたカバー基板(第2のパッケージ用基板)3とを備えている。ここにおいて、センサ基板1および貫通孔配線形成基板2およびカバー基板3の外周形状は矩形状であり、貫通孔配線形成基板2およびカバー基板3はセンサ基板1と同じ外形寸法に形成されている。
【0025】
上述のセンサ基板1は、シリコン基板からなる支持基板10a上のシリコン酸化膜からなる絶縁層(埋込酸化膜)10b上にn形のシリコン層(活性層)10cを有するSOIウェハを加工することにより形成してあり、貫通孔配線形成基板2は第1のシリコンウェハを加工することにより形成し、カバー基板3は第2のシリコンウェハを加工することにより形成してある。
【0026】
センサ基板1は、図6に示すように、枠状(図示例では、矩形枠状)のフレーム部11を備え、フレーム部11の内側に配置される重り部12が一表面側(図3(c)および図6(b)の上面側)において可撓性を有する4つの短冊状の撓み部13を介してフレーム部11に揺動自在に支持されている。言い換えれば、センサ基板1は、枠状のフレーム部11の内側に配置される重り部12が重り部12から四方へ延長された4つの撓み部13を介してフレーム部11に揺動自在に支持されている。ここで、フレーム部11は、上述のSOIウェハの支持基板10a、絶縁層10b、シリコン層10cそれぞれを利用して形成してある。これに対して、撓み部13は、上述のSOIウェハにおけるシリコン層10cを利用して形成してあり、フレーム部11よりも十分に薄肉となっている。
【0027】
重り部12は、上述の4つの撓み部13を介してフレーム部11に支持された直方体状のコア部12aと、センサ基板1の上記一表面側から見てコア部12aの四隅それぞれに連続一体に連結された直方体状の4つの付随部12bとを有している。言い換えれば、重り部12は、フレーム部11の内側面に一端部が連結された各撓み部13の他端部が外側面に連結されたコア部12aと、コア部12aと一体に形成されコア部12aとフレーム部11との間の空間に配置される4つの付随部12bとを有している。つまり、各付随部12bは、センサ基板1の上記一表面側から見て、フレーム部11とコア部12aと互いに直交する方向に延長された2つの撓み部13,13とで囲まれる空間に配置されており、各付随部12bそれぞれとフレーム部11との間にはスリット14が形成され、撓み部13を挟んで隣り合う付随部12b間の間隔が撓み部13の幅寸法よりも長くなっている。ここにおいて、コア部12aは、上述のSOIウェハの支持基板10a、絶縁層10b、シリコン層10cそれぞれを利用して形成し、各付随部12bは、SOIウェハの支持基板10aを利用して形成してある。しかして、センサ基板1の上記一表面側において各付随部12bの表面は、コア部12aの表面を含む平面からセンサ基板1の上記他表面側(図3(c)および図6(b)の下面側)へ離間して位置している。なお、センサ基板1の上述のフレーム部11、重り部12、各撓み部13は、リソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成すればよい。
【0028】
ところで、図6(a),(b)それぞれの右下に示したように、センサ基板1の上記一表面に平行な面内でフレーム部11の一辺に沿った一方向をx軸の正方向、この一辺に直交する辺に沿った一方向をy軸の正方向、センサ基板1の厚み方向の一方向をz軸の正方向と規定すれば、重り部12は、x軸方向に延長されてコア部12aを挟む2つ1組の撓み部13,13と、y軸方向に延長されてコア部12aを挟む2つ1組の撓み部13,13とを介してフレーム部11に支持されていることになる。なお、上述のx軸、y軸、z軸の3軸により規定した直交座標では、センサ基板1において上述のシリコン層10cにより形成された部分の表面における重り部12の中心位置を原点としている。
【0029】
重り部12のコア部12aからx軸の正方向に延長された撓み部13(図6(a)の右側の撓み部13)は、コア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Rx2,Rx4が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのピエゾ抵抗Rz2が形成されている。一方、重り部12のコア部12aからx軸の負方向に延長された撓み部13(図6(a)の左側の撓み部13)は、コア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Rx1,Rx3が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのピエゾ抵抗Rz3が形成されている。ここに、コア部12a近傍に形成された4つのピエゾ抵抗Rx1,Rx2,Rx3,Rx4は、x軸方向の加速度を検出するために形成されたもので、平面形状が細長の長方形状であって、長手方向が撓み部13の長手方向に一致するように形成してあり、図7における左側のブリッジ回路Bxを構成するように配線(センサ基板1に形成されている拡散層配線、金属配線17など)によって接続されている。なお、ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4は、x軸方向の加速度がかかったときに撓み部13において応力が集中する応力集中領域に形成されている。
【0030】
また、重り部12のコア部12aからy軸の正方向に延長された撓み部13(図6(a)の上側の撓み部13)はコア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Ry1,Ry3が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのピエゾ抵抗Rz1が形成されている。一方、重り部12のコア部12aからy軸の負方向に延長された撓み部13(図6(a)の下側の撓み部13)はコア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Ry2,Ry4が形成されるとともに、フレーム部11側の端部に1つのピエゾ抵抗Rz4が形成されている。ここに、コア部12a近傍に形成された4つのピエゾ抵抗Ry1,Ry2,Ry3,Ry4は、y軸方向の加速度を検出するために形成されたもので、平面形状が細長の長方形状であって、長手方向が撓み部13の長手方向に一致するように形成してあり、図7における中央のブリッジ回路Byを構成するように配線(センサ基板1に形成されている拡散層配線、金属配線17など)によって接続されている。なお、ピエゾ抵抗Ry1〜Ry4は、y軸方向の加速度がかかったときに撓み部13において応力が集中する応力集中領域に形成されている。
【0031】
また、フレーム部11近傍に形成された4つのピエゾ抵抗Rz1,Rz2,Rz3,Rz4は、z軸方向の加速度を検出するために形成されたものであり、図7における右側のブリッジ回路Bzを構成するように配線(センサ基板1に形成されている拡散層配線、金属配線17など)によって接続されている。ただし、2つ1組となる撓み部13,13のうち一方の組の撓み部13,13に形成したピエゾ抵抗Rz1,Rz4は長手方向が撓み部13,13の長手方向と一致するように形成されているのに対して、他方の組の撓み部13,13に形成したピエゾ抵抗Rz2,Rz3は長手方向が撓み部13,13の幅方向(短手方向)と一致するように形成されている。なお、図3〜図6では、センサ基板1における金属配線17のうち第1の接続用接合金属層19近傍の部位のみを図示してあり、拡散層配線の図示は省略してある。
【0032】
上述のセンサ基板1は、各ブリッジ回路Bx〜Bzそれぞれの出力電圧の変化を検出することにより、当該センサ基板1に作用したx軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれの加速度を検出することができる。また、上述のセンサ基板1では、重り部12と各撓み部13とで可動部を構成しており、各ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4それぞれが、センサ基板1におけるセンシング部を構成している。
【0033】
ところで、センサ基板1は、図7に示すように、上述の3つのブリッジ回路Bx,By,Bzに共通の2つの入力端子VDD,GNDと、ブリッジ回路Bxの2つの出力端子X1,X2と、ブリッジ回路Byの2つの出力端子Y1,Y2と、ブリッジ回路Bzの2つの出力端子Z1,Z2とを備えており、これらの各入力端子VDD,GNDおよび各出力端子X1,X2,Y1,Y2,Z1,Z2が、上記一表面側(つまり、貫通孔配線形成基板2側)に第1の接続用接合金属層19として設けられており、貫通孔配線形成基板2に形成された貫通孔配線24と電気的に接続されている。すなわち、センサ基板1には、8つの接続用接合金属層19が形成され、貫通孔配線形成基板2には、8つの貫通孔配線24が形成されている。
【0034】
また、センサ基板1のフレーム部11上には、フレーム部11よりも開口面積が大きな枠状(矩形枠状)の第1の封止用接合金属層18が形成されており、上述の8つの接続用接合金属層19は、フレーム部11において第1の封止用接合金属層18よりも内側に配置されている。なお、センサ基板1は、上記一表面側において上記シリコン層10c上にシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜からなる絶縁膜16が形成されており、第1の接続用接合金属層19および第1の封止用接合金属層18および金属配線17は絶縁膜16上に形成されている。
【0035】
また、第1の封止用接合金属層18および第1の接続用接合金属層19は、接合用のAu膜と絶縁膜16との間に密着性改善用のTi膜を介在させてある。言い換えれば、第1の封止用接合金属層18および第1の接続用接合金属層19は、絶縁膜16上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されている。
【0036】
上述の各ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4および上記各拡散層配線は、上記シリコン層10cにおけるそれぞれの形成部位に適宜濃度のp形不純物をドーピングすることにより形成されており、上述の金属配線17は、絶縁膜16上にスパッタ法や蒸着法などにより成膜した金属膜(例えば、Al膜、Al合金膜など)をリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングすることにより形成されており、金属配線17は絶縁膜16に設けたコンタクトホールを通して拡散層配線と電気的に接続されている。また、第1の接続用接合金属層19と金属配線17とは、第1の接続用接合金属層19における金属配線17との接続部位19b(図5(b)参照)が、貫通孔配線形成基板2におけるセンサ基板1との対向面に形成された後述の変位空間形成用凹部21内に位置する形で電気的に接続されている。
【0037】
貫通孔配線形成基板2は、図8および図9に示すように、センサ基板1側(図3(c)における下面側)の表面に、センサ基板1の重り部12と各撓み部13とで構成される可動部の変位空間を確保する上述の変位空間形成用凹部21が形成されるとともに、変位空間形成用凹部21の周部に厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、8つ)の貫通孔22が形成されており、厚み方向の両面および貫通孔22の内面とに跨って熱絶縁膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜23が形成され、貫通孔配線24と貫通孔22の内面との間に絶縁膜23の一部が介在している。なお、貫通孔配線24の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
【0038】
また、貫通孔配線形成基板2は、センサ基板1側の表面において変位空間形成用凹部21の周部に、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数(本実施形態では、8つ)の第2の接続用接合金属層29が形成されている。貫通孔配線形成基板2は、センサ基板1側の表面の周部には、全周に亘って枠状(矩形枠状)の第2の封止用接合金属層28が形成されており、上述の8つの第2の接続用接合金属層29は、外周形状が細長の長方形状であり、第2の封止用接合金属層28よりも内側に配置されている。ここにおいて、第2の接続用接合金属層29は、長手方向の一端部が貫通孔配線24と接合されており、他端側の部位がセンサ基板1の金属配線17よりも外側でセンサ基板1の第1の接続用接合金属層19と接合されて電気的に接続されるように配置してある。
【0039】
また、第2の封止用接合金属層28および第2の接続用接合金属層29は、接合用のAu膜と絶縁膜23との間に密着性改善用のTi膜を介在させてある。言い換えれば、第2の封止用接合金属層28および第2の接続用接合金属層29は、絶縁膜23上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されている。
【0040】
また、貫通孔配線形成基板2におけるセンサ基板1側とは反対側の表面には、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数の外部接続用電極25が形成されている。なお、各外部接続用電極25の外周形状は矩形状となっている。
【0041】
カバー基板3は、図10に示すように、センサ基板1との対向面に、重り部12の変位空間を形成する所定深さ(例えば、5μm〜10μm程度)の凹部31を形成してある。ここにおいて、凹部31は、リソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成してある。なお、本実施形態では、カバー基板3におけるセンサ基板1との対向面に、重り部12の変位空間を形成する凹部31を形成してあるが、重り部12のコア部12aおよび各付随部12bのうち支持基板10aを利用して形成されている部分の厚さを、フレーム部11において支持基板10aを利用して形成されている部分の厚さに比べて、センサ基板1の厚み方向への重り部12の許容変位量分だけ薄くするようにすれば、カバー基板3に凹部31を形成しなくても、センサ基板1の上記他表面側には上記他表面に交差する方向への重り部12の変位を可能とする隙間が重り部12とカバー基板3との間に形成される。
【0042】
ところで、上述の加速度センサにおけるセンサ基板1と貫通孔配線形成基板2とは、第1の封止用接合金属層18と第2の封止用接合金属層28とが接合されるとともに、第1の接続用接合金属層19と第2の接続用接合金属層29とが接合され、センサ基板1とカバー基板3とは、互いの対向面の周部同士が接合されている。また、上述の加速度センサは、図3(a),(b)に示すように、上述のSOIウェハにセンサ基板1を複数形成したセンサウェハ10と、上述の第1のシリコンウェハに貫通孔配線形成基板2を複数形成した第1のパッケージウェハ20と、上述の第2のシリコンウェハにカバー基板3を複数形成した第2のパッケージウェハ30とを、図2に示す構成の接合装置を用いてウェハレベルで接合することでウェハレベルパッケージ構造体100を形成してから、個々の加速度センサに分割する分割工程(ダイシング工程)により個々の加速度センサに分割されている(なお、図3(c)は図3(a)に示すウェハレベルパッケージ構造体100のうち丸Aで囲んだ部分の概略断面図である)。したがって、貫通孔配線形成基板2とカバー基板3とがセンサ基板1と同じ外形サイズとなり、小型のチップサイズパッケージを実現できるとともに、製造が容易になる。ここで、上述の加速度センサでは、センサ基板1のフレーム部11と第1のパッケージ用基板である貫通孔配線形成基板2と第2のパッケージ用基板であるカバー基板3とで気密パッケージを構成しており、当該気密パッケージ内で重り部12と各撓み部13とで構成される可動部が変位可能となっている。なお、図1中のセンサ基板1、第1のパッケージ用基板である貫通孔配線形成基板2、第2のパッケージ用基板であるカバー基板3はそれぞれ、センサウェハ10、第1のパッケージウェハ20、第2のパッケージウェハ30の一部である。
【0043】
以下、上述の接合装置について図2を参照しながら説明するが、上述のセンサウェハ10、第1のパッケージウェハ20、第2のパッケージウェハ30などを接合対象物であるウェハWaとして説明する。
【0044】
接合装置は、接合対象物であるウェハWaが導入される接合対象物導入室40と、ウェハWa,Wa同士の互いの接合部位それぞれの表面を活性化してからウェハWa,Wa同士を接合する接合室60と、接合対象物導入室40と接合室60との間および接合対象物導入室40と後述の脱ガス室70との間で接合前のウェハWa,Waを搬送するとともに接合室60にて接合された2つのウェハWa,Waの積層体を接合室60と接合対象物導入室40との間で搬送する搬送手段(図示せず)が収納された搬送室50と、接合対象物導入室40内に導入されたウェハWaを接合室60内へ搬送する前にウェハWaに吸着しているガス成分を除去する脱ガス手段としての赤外線ランプ75が設けられた脱ガス室70とが別々の真空槽により構成されており、接合対象物導入室40と搬送室50との間にゲートバルブ91が設けられるとともに、搬送室50と接合室60との間にゲートバルブ92が設けられ、搬送室50と脱ガス室70との間にゲートバルブ93が設けられている。
【0045】
接合対象物導入室40は、接合室60を大気開放することなく、ウェハWaの導入を行うために設けたものであり、接合室60とは独立して大気開放および真空排気が可能となっている。すなわち、接合対象物導入室40には、図示しない真空排気ポンプなどを含む第1の真空排気系や、大気開放用のガス(例えば、窒素ガスなど)を導入するためのガス配管系が接続されている。なお、接合対象物導入室40は、比較的低真空(例えば、10Pa程度の真空度)でも許容されるので、接合対象物導入室40の真空排気に用いる真空排気ポンプとしては、ロータリポンプやドライポンプを用いてもよいが、これらに限らず、他の真空排気ポンプを用いてもよい。また、接合対象物導入室40は、ウェハWaを導入した後、上記第1の真空排気系により10Pa以下の真空度となるように真空排気すればよいが、真空排気ポンプとしてロータリポンプなどの低真空用のポンプとターボ分子ポンプなどの高真空用のポンプとを用いて0.1Pa以下に真空排気することが望ましい。また、大気開放用のガスは窒素ガスに限らず、他のガスを用いてもよい。
【0046】
ところで、接合対象物導入室40内に、ウェハWaの搬送時にウェハWaが破損するのを防止するためのウェハホルダを収納しておき、上記搬送手段ではウェハWaを保持したウェハホルダを搬送するようにしてもよい。特に、ウェハWaが上述のセンサウェハ10などのようにマイクロマシニング技術により形成された3次元構造体(センサ基板1)を含むウェハである場合や薄型化されたウェハである場合には、搬送中にウェハWaが破損するのを防止するためにウェハホルダを用いることが好ましい。要するに、ウェハWaが上述のセンサウェハ10やパッケージウェハ20,30などのMEMS用ウェハである場合には、上述のウェハホルダを用いることが好ましい。なお、このウェハホルダとしては、上記接合機構を構成するウェハ保持部材65,66を兼用して上記搬送手段により搬送するようにしてもよい。
【0047】
搬送室50は、上記搬送手段として1つもしくは2つのウェハWaを搬送するロボットや冶具が収納されており、他の真空槽(接合対象物導入室40、脱ガス室70、接合室60)とは別に独立して真空排気が可能となっている。すなわち、搬送室50には、図示しない真空排気ポンプなどを含む第2の真空排気系が接続されている。なお、図2に示した例では、接合対象物導入室40と搬送室50との間に、ゲートバルブ91を設けてあるが、接合装置の簡略化および低コスト化のためにゲートバルブ91を省略して上記第1の真空排気系により真空排気するようにしてもよいが、ゲートバルブ91を設けた場合、ウェハWaの導入時には接合対象物導入室40のみを大気開放すればよいので、ウェハWaを接合対象物導入室40内に導入した後の真空排気に必要な時間が短くなるという利点がある。
【0048】
脱ガス室70は、接合前のウェハWaに吸着している水分などのガス成分を除去する脱ガス処理を行うために設けたものであり、当該脱ガス室70には、図示しない真空排気ポンプなどを含む第3の真空排気系が接続されているが、脱ガス室70に第3の真空排気系を接続せずに、上述の第1の真空排気系や第2の真空排気系を通じて脱ガス室70内の真空排気を行うようにしてもよい。要するに、図2に示した例では、ウェハWaから脱離したガス成分が搬送室50や接合室60へ拡散するのを防止するために、脱ガス室70と搬送室50との間にゲートバルブ93を設け、脱ガス室70に脱ガス室70内を真空排気する第3の真空排気系を接続してあるが、接合装置の簡略化および低コスト化のためにゲートバルブ93を省略してもよい。
【0049】
ところで、上述の接合装置では、脱ガス手段として上述の赤外線ランプ75を設けてあり、赤外線ランプ75からウェハWaに赤外線を照射することによりウェハWaを加熱してウェハWaに吸着している水分などのガス成分を放出(脱離)させる脱ガス工程を行うことでガス成分を除去する(脱ガスを行う)ようにしてある。ここにおいて、脱ガス工程では、ウェハWaの加熱温度が高い方ほど脱ガス速度が速くなるが、本実施形態では、ウェハWaへの熱ダメージを回避するために加熱温度を100〜200℃の温度範囲内で設定してある。なお、脱ガス工程での加熱温度は、上記温度範囲に限らず、デバイスの仕様や接合装置の仕様などに応じて適宜設定すればよい。
【0050】
また、上述の接合装置では、赤外線ランプ75が第1の加熱装置を構成しているが、第1の加熱装置は、赤外線ランプ75に限らず、ヒータなどを採用してもよく、脱ガス手段として、ウェハWaを加熱する第1の加熱装置を用いることにより、ウェハWaに吸着している水分などのガス成分を効果的に除去することができる。ただし、第1の加熱装置としては、赤外線ランプ75のようにウェハWaに赤外線を照射することでウェハWaを加熱したり、ウェハWaに電子ビームを照射することでウェハWaを加熱したり、ウェハWaにレーザ光を照射することでウェハWaを加熱したりするような、照射加熱装置を用いることが望ましく、第1の加熱装置として照射加熱装置を採用することにより、ウェハWaの表面(接合部位の表面を含む)に吸着している水分などのガス成分(吸着ガス分子)を効率的に放出させることができる。
【0051】
また、上述の接合装置では、接合室60内にて接合したウェハWa,Wa同士の積層体からなるウェハWaをウェハ導入室40内から取り出すように積層体からなるウェハWaの搬送経路が設定され、脱ガス手段は、積層体からなるウェハWaの接合対象物導入室40内への搬送経路外に設けられているので、接合後の積層体からなるウェハWaの搬送中にも、接合室60へ搬送する接合前のウェハWaに吸着しているガス成分を脱ガス手段により除去することができる(つまり、脱ガス処理を施すことができる)ので、脱ガス手段が積層体からなるウェハWaの接合対象物導入室40内への搬送経路内に設けられている場合に比べて、スループットを向上させることができる。なお、図2中に破線で示した矢印は、接合前のウェハWa,Waの搬送経路もしくは積層体からなるウェハWaの搬送経路を示している。
【0052】
接合室60には、2つのウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面を活性化する表面活性化装置(図示せず)、2つのウェハWa,Waそれぞれを保持するウェハ保持部材65,66が収納されており、接合室60内で一方のウェハ保持部材65の上方に位置する他方のウェハ保持部材66を上記一方のウェハ保持部材65に近づける向き(図2中の矢印Eの向き)へ押し下げるプッシュロッド67が設けられるとともに、他の真空槽(接合対象物導入室40、搬送室50、脱ガス室70)とは別に独立して真空排気を可能とするための真空排気ポンプを含む第4の真空排気系や、所定ガス(例えば、不活性ガス、O2ガス、O2ガスとN2ガスとの混合ガスなど)を導入可能とするための所定ガス導入用ガス配管系が接続されている。
【0053】
ここにおいて、表面活性化装置としては、ウェハWa,Waそれぞれにイオンビームを照射するイオンビーム照射装置や、ウェハWa,Waそれぞれに原子ビームを照射する原子ビーム照射装置や、ウェハWa,Waにプラズマを照射するプラズマ照射装置などを用いることができ、製造するデバイス(上述の例では、加速度センサ)や要求仕様などにより適宜選択すればよい。なお、本実施形態では、2つのウェハ保持部材65,66とプッシュロッド67とで2つのウェハWa,Waを接合するための接合機構を構成している。また、本実施形態では、ウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面を活性化した後で速やかにウェハWa,Wa同士を接合することができるようにウェハWa,Waを上記接合機構のウェハ保持部材65,66に保持した状態で接合部位の表面の活性化を行なっている。
【0054】
ところで、上述の接合装置は、接合室60内の所定位置に配置されたウェハWa,Waを加熱するヒータからなる第2の加熱装置(図示せず)をウェハ保持部材65,66に設けてあり、脱ガス手段により脱ガス処理を施したウェハWaを接合室60内へ導入して、その後、接合室60内において所定位置に配置されたウェハWa,Waの接合部位へのガス成分の吸着を防止するためにウェハWa,Waの接合部位を上記第2の加熱装置により加熱した状態で接合部位の表面にイオンビームもしくは原子ビームもしくはプラズマを照射して接合部位の表面を活性化する表面活性化工程を行うようにしてある。なお、第2の加熱装置は、ヒータに限らず、例えば、上述の第1の加熱装置と同様、赤外線ランプなどの照射加熱装置などを用いてもよい。
【0055】
その後、上述の接合装置では、上記第2の加熱装置によりウェハWa,Waが加熱された状態でウェハWa,Wa同士の接合工程を行うようにしてある。なお、上述の接合装置は、上記各真空排気系、上記ガス配管系、各ゲートバルブ91〜93、上記搬送手段、上記第1の加熱装置、上記第2の加熱装置、上記表面活性化装置、上記接合機構、上記所定ガス導入用ガス配管系などの動作を制御するプログラムが搭載されたコンピュータからなる制御装置(図示せず)を備えている。
【0056】
以下、上述の接合装置を用いた接合方法について図1および図2を参照しながら説明する。
【0057】
まず、接合対象物導入室40を大気開放して接合対象物のウェハWaを接合対象物導入室40内へ導入してから接合対象物導入室40内が所定真空度以下になるように接合対象物導入室40内を上述の第1の真空排気系により真空排気する予備排気工程(S1)を行う。なお、所定真空度は、例えば、10Pa程度の真空度に設定すればよいが、0.1Pa以下に設定することが望ましく、所定真空度を0.1Pa以下の真空度に設定する場合には、第1の真空排気系の真空排気ポンプとして例えばロータリポンプとターボ分子ポンプとを設ければよい。
【0058】
予備排気工程(S1)の後、接合対象物導入室40と搬送室50との間のゲートバルブ91を開いて上記搬送手段によりウェハWaを搬送室50内に搬送してゲートバルブ91を閉じてから、搬送室50と脱ガス室70との間のゲートバルブ93を開いて上記搬送手段によりウェハWaを脱ガス室70へ搬送し、ゲートバルブ93を閉じてから、上述の脱ガス手段である赤外線ランプ75からウェハWaに赤外線を照射してウェハWaを加熱することでウェハWaに吸着しているガス成分を除去する脱ガス工程(S2)を行う。
【0059】
脱ガス工程(S2)の後、ゲートバルブ93を開いてウェハWaを搬送室50内に搬送してからゲートバルブ93を閉じ、その後、ゲートバルブ92を開いてウェハWaを接合室40内に搬送してからゲートバルブ92を閉じ、続いて、接合室60内を所望の真空度以下となるように真空排気する真空排気工程(S3)を行う。なお、所望の真空度は、ウェハWaの材料、デバイスの仕様などにもよるが、本実施形態では、1×10−4Pa以下の真空度が望ましく、1×10−5Pa以下の真空度がより望ましい。
【0060】
そして、真空排気工程(S3)の後、接合室40内のウェハ保持部材65,66に保持されて所定位置に配置されたウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面に水分などのガス成分が吸着するのを防止するためにウェハWa,Wa(つまり、ウェハWa,Waの接合部位)を上記第2の加熱装置により加熱する加熱工程(S4)を行う。ここで、加熱工程(S4)における加熱温度は、例えば、ウェハWaの接合部位の表面の清浄度を維持するために100℃以上に設定することが望ましく、200℃以上に設定することで、接合部位の表面の清浄度をより高めることができる。また、加熱温度まで昇温した後の当該加熱温度での加熱時間は、温度の面内均一性、再現性などの観点から、2〜10分程度の範囲で適宜設定すればよいが、特に限定するものではない。また、加熱温度までの昇温速度は、ウェハWaが熱ダメージを受けたり損傷しないように適宜設定すればよい。なお、昇温速度、加熱温度、加熱時間は、ウェハWaに形成するデバイスの仕様や接合装置の仕様などに応じて適宜設定すればよい。
【0061】
そして、上記第2の加熱装置によりウェハWa,Waの接合部位を上記加熱温度に加熱した状態を維持したままウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面に対して活性化処理を施す表面活性化工程(S5)を行う。ここにおいて、表面活性化工程(S5)では、各ウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面に、不活性ガスのイオンビームもしくは原子ビームもしくはプラズマを照射することにより、各ウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面を活性化する。本実施形態では、表面活性化工程(S5)において、不活性ガス(例えば、アルゴン)のイオンビームを各接合部位の表面に対して照射するようにしているが、表面活性化工程(S5)において照射するのは、イオンビームに限らず、原子ビームやプラズマを照射するようにしてもよく、イオンビーム、原子ビーム、プラズマのうちのどれを照射するかはウェハWa,Waの材料やデバイスの仕様に応じて適宜選択すればよい。ここで、表面活性化工程(S5)において用いるガスはアルゴンに限らず、窒素、ヘリウムなどの不活性ガスや、酸素ガスなどを用いてもよいが、これらに限らない。また、表面活性化工程(S5)では、イオンビーム照射、原子ビーム照射、プラズマ照射以外による活性化処理を行うようにしてもよい。なお、本実施形態の接合方法では、上述の所望の真空度を1×10−4Paに設定してある。
【0062】
表面活性化工程(S5)の後、上記第2の加熱装置によりウェハWa,Waの接合部位を上記加熱温度に加熱した状態を維持したまま接合室60内においてウェハWa,Wa同士を接触させて接合する接合工程(S6)を行う。なお、接合工程(S6)では、プッシュロッド67を図2中の矢印Eの向きに押し下げてウェハWa,Wa同士を接触させ必要に応じて適宜の荷重を印加してウェハWa,Wa同士を接合する。ここにおいて、接合工程(S6)にて印加する荷重は、ウェハWa,Waの材料や接合性能の仕様などにより適宜設定すればよい。
【0063】
接合工程(S6)が終了した後、2つのウェハWa,Waの積層体からなるウェハWaを接合対象物導入室40まで搬送する際には、ゲートバルブ92を開いて搬送室50内へ搬送してからゲートバルブ92を閉じ、続いて、ゲートバルブ91を開いて接合対象物導入室41内へ搬送してゲートバルブ91を閉じればよく、接合対象物導入室40まで搬送した後、接合対象物導入室40内を大気圧まで戻し、接合対象物導入室40から取り出せばよい。
【0064】
ところで、上述のウェハレベルパッケージ構造体100の製造にあたっては、まず、センサウェハ10と第2のパッケージウェハ30とを接合対象物の2つのウェハWa,Waとして上記接合装置を用いて接合する第1の表面活性化接合工程を行い、その後、センサウェハ10と第2のパッケージウェハ30との積層体からなるウェハと第1のパッケージウェハ20とを接合対象物の2つのウェハWa,Waとして上記接合装置を用いて接合する第2の表面活性化接合工程を行う。ここにおいて、各表面活性化接合工程は、上述の予備排気工程(S1)から接合工程(S6)までの全ての工程を含んでいる。
【0065】
以上説明した接合方法によれば、ウェハWa,Waを導入した接合室60内を真空排気する真空排気工程(S3)を行った後に、ウェハWa,Waの接合部位の表面にイオンビームもしくは原子ビームもしくはプラズマを照射して接合部位の表面を活性化する表面活性化工程(S5)を行ってから、ウェハWa,Waの接合部位同士を接合する接合工程(S6)を行うにあたって、表面活性化工程(S5)と接合工程(S6)とを、ウェハWa,Waの接合部位へのガス成分の吸着を防止するためにウェハWa,Waの接合部位を加熱した状態で行うので、表面活性化工程(S5)中や表面活性化工程(S5)後にウェハWa,Waにおける接合部位の表面に吸着する水分などのガス成分を低減することができ、接合特性の安定性および接合歩留まりの向上を図れる。また、表面活性化工程(S5)後であって接合工程(S6)前にウェハWa,Wa同士の相対位置をアライメントする工程が必要な場合には、アライメント工程中もウェハWa,Waの加熱状態を維持することで、アライメント工程中にウェハWa,Waの接合部位にガス成分が吸着するのを防止することができる。また、予備排気工程(S1)と真空排気工程(S3)との間に、ウェハWaに吸着しているガス成分を除去する脱ガス工程(S2)が設けられているので、ウェハWaを接合室60内へ搬送する前にウェハWaに吸着している水分などのガス成分を低減でき、真空排気工程(S3)において接合室60内が所望の真空度に到達するまでの時間の短縮を図れる。なお、上述の接合装置では、接合対象物導入室40、脱ガス室70、搬送室50を備えているが、これらは必ずしも備えている必要はなく、予備排気工程および脱ガス工程を省略してもよい。
【0066】
ところで、各接合対象物それぞれが所定ガス(例えば、不活性ガス、O2ガス、O2ガスとN2ガスとの混合ガスなど)を封入する気密パッケージの一部を構成するものである場合には、表面活性化工程(S5)と接合工程(S6)との間に、接合室60内へ所定ガスを導入するガス導入工程(S7)を設ければ、接合工程(S6)において接合対象物同士を接合することにより、所定ガスが封入された気密パッケージを得ることが可能となる(要するに、所定ガスを封入した気密封止デバイスを得ることが可能となる)。また、ガス導入工程(S7)と接合工程(S6)との間に接合室60内の圧力を気密パッケージ内の所望の圧力に調整する圧力調整工程(S8)を設ければ、接合工程(S6)により接合対象物同士を接合することにより、所望の圧力の所定ガスが封入された気密パッケージを得ることが可能となり、気密パッケージ内の真空度などによりセンサ特性が変動するセンサ装置のセンサ特性のセンサ装置ごとのばらつきやロット間のばらつきを低減でき、製造歩留まりを高めることができるとともに製品間のセンサ特性のばらつきを低減可能となる。ここにおいて、上述の加速度センサの製造方法に上記接合方法を適用する場合には、ダンピング効果により加速度センサの周波数特性および耐衝撃性を向上するために、圧力調整工程(S8)において接合室60内の圧力を大気圧に調整すればよい。なお、ガス導入工程(S7)の際に、接合室60内の圧力を調整するようにすれば、別途に圧力調整工程(S8)を設ける必要はない。また、表面活性化工程(S5)の後、ガス導入工程(S7)を行うことなく圧力調整工程(S8)にて接合室60内の圧力を調整するようにしてもよい。
【0067】
また、各接合対象物それぞれが真空封止する気密パッケージの一部を構成するものである場合には、表面活性化工程(S5)と接合工程(S6)との間に、接合室60内を気密パッケージ内の設計真空度に基づいた所望の真空度まで真空排気する接合前真空排気工程(S9)を設ければ、接合工程(S6)において接合対象物同士を接合することにより、設計真空度に応じた真空度の気密パッケージを得ることが可能となる(要するに、真空封止デバイスを得ることが可能となる)。この場合、真空排気工程(S3)よりも前に、互いに接合される接合対象物の少なくとも一方における他方との対向面側にゲッタを配置するようにすれば、気密パッケージ内の不要な残留ガス成分を低減できるから、気密パッケージ内の真空度および当該真空度の安定性を高めることができ、センサ装置などの気密パッケージ内をより高真空にすることが可能となるので、感度を高めるために気密パッケージ内を高真空とすることが望ましいセンサ装置(例えば、ジャイロセンサなど)の高感度化を図れる。また、ゲッタにより吸着する不要な残留ガス成分の量を低減できるので、ゲッタの小型化を図ることも可能となる。なお、ゲッタは、真空封止デバイスに限らず、上述の気密封止デバイスの場合にも、真空排気工程(S3)よりも前に、互いに接合される接合対象物の少なくとも一方における他方との対向面側に配置するようにしてもよい。
【0068】
なお、上述の接合方法を利用して製造するデバイスは、加速度センサ、ジャイロセンサ、赤外線センサなどのセンサ装置に限らず、例えば、集積回路装置などの電子デバイスなどでもよい。また、接合対象物は、ウェハの状態のものに限らず、例えば、チップの状態のものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施形態における接合方法の説明図である。
【図2】同上における接合装置の概略構成図である。
【図3】同上におけるウェハレベルパッケージ構造体を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略側面図、(c)は要部概略断面図である。
【図4】同上における加速度センサの概略平面図である。
【図5】同上における加速度センサを示し、(a)は図3(c)の要部拡大図、(b)は図4のC−C’概略断面図である。
【図6】同上におけるセンサ基板を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のB−B’概略断面図である。
【図7】同上におけるセンサ基板の回路図である。
【図8】同上における貫通孔配線形成基板を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のD−D’概略断面図である。
【図9】同上における貫通孔配線形成基板の下面図である。
【図10】同上におけるカバー基板を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のD−D’概略断面図である。
【図11】従来の接合装置の概略構成図である。
【図12】従来の接合方法の説明図である。
【符号の説明】
【0070】
40 接合対象物導入室
50 搬送室
60 接合室
65 ウェハ保持部材
66 ウェハ保持部材
67 プッシュロッド
Wa ウェハ(接合対象物)
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合対象物同士を接合する接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からマイクロマシニング技術を利用して形成したセンサ素子としてMEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)が知られており、近年、マイクロマシニング技術およびウェハレベルパッケージング技術を利用して形成したセンサ装置が研究開発されている。
【0003】
ところで、上述のMEMSは、シリコンウェハやSOIウェハなどを用いてフレーム部および可動部を有するセンサ基板を形成することが多いので、センサ基板と同じサイズのパッケージ用基板をセンサ基板に接合することでセンサ装置を構成する場合、シリコンウェハを用いてパッケージ用基板を形成し、常温接合法(例えば、特許文献1,2参照)を利用してパッケージ用基板とセンサ基板とを接合することが考えられる。
【0004】
ここにおいて、上記特許文献1には、接合装置として、図11に示すように、接合対象のウェハWaが導入されるウェハ導入室40と、ウェハWa,Wa同士の互いの接合部位それぞれの表面を活性化してから常温下でウェハWa,Wa同士を接合する接合室60と、ウェハ導入室40と接合室60との間でウェハWa,Waや接合された2つのウェハWa,Waの積層体を搬送するロボットなどが収納された搬送室50とが別々の真空槽により構成されたものが提案されている。なお、図11に示した構成の接合装置は、ウェハ導入室40と搬送室50との間にゲートバルブ91が設けられるとともに、搬送室50と接合室60との間にゲートバルブ92が設けられている。
【0005】
上述の接合装置を用いて2つのウェハWa,Waを接合する接合方法では、ウェハ導入室40内へウェハWa,Waを導入してウェハ導入室40内を真空排気する第1の真空排気工程、搬送室50を介して接合室60内へウェハWa,Waを搬送した後で接合室60内を所望の真空度に到達するまで真空排気する第2の真空排気工程、接合室60内で2つのウェハ保持部材65,66それぞれに保持された2つのウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面に互いに異なるビーム照射装置(図示せず)から例えば不活性ガスイオンビームを照射することで接合部位の表面を活性化する表面活性化工程、上側のウェハ保持部材66を下側のウェハ保持部材65に近づける向き(図11中の矢印Eの向き)に押し下げるプッシュロッド67を駆動して常温下で両ウェハWa,Waの接合部位同士を突き合わせることで両ウェハWa,Waを接合する接合工程、が順次行われる。なお、上記特許文献1には、ウェハWa,Waの接合部位の表面を活性化する表面活性化工程において、不活性ガスイオンビームの代わりに、不活性ガス原子ビームを照射することも記載されているが、不活性ガスイオンビームや不活性ガス原子ビームを利用した技術以外に、プラズマ照射により接合部位の表面の活性化を行う技術が従来から知られている。
【0006】
上述の接合室60内においてウェハWa,Waの接合部位の表面を活性化するためには、接合室60内を高真空としてから活性化処理を行う必要があるので、図11に示した構成の接合装置では、ウェハ導入室40と接合室60とを別々の真空槽に分けることで、スループットの向上、歩留まりの向上、および接合特性の向上を図っている。
【0007】
また、上記特許文献2には、基材(例えば、チップ、ウェハ、各種回路基板など)の表面に金属材料(Au,Al,In,Snなど)からなる接合部を有する接合対象物の接合部同士を接合するにあたって、良好な接合状態を得るために、図12に示すように、接合対象物を導入した接合室内を真空排気する真空排気工程(S11)を行ってから、各接合部の表面を活性化する表面活性化工程(S12)を行い、当該表面活性化工程(S12)と接合部同士の接合を行う接合工程(S14)までの間に各接合部をヒータにより加熱する加熱工程(S13)を行うことで各接合部それぞれの表面へのガス成分や不純物の吸着を防止することが提案されている。
【特許文献1】特開平10−92702号公報
【特許文献2】特開2006−134900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2に記載の接合方法のように、接合部の表面を活性化した後に接合部を加熱しても、所定の加熱温度まで昇温される期間において温度が比較的低い期間に水分などのガス成分が接合部に吸着して接合部の表面の清浄度が低下し、接合特性の安定性や接合歩留まりが変動したり、低下してしまうという問題があった。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の接合方法により接合対象物同士を接合することによって内部が真空のパッケージを形成する場合には、接合工程を真空中で行っても、表面活性化後に接合工程が行われるまでの間に接合対象物に吸着したガス成分によりパッケージ内の真空度が低下するという問題があった。
【0010】
また、上記特許文献2に記載の接合方法により接合対象物同士を接合することによって内部に不活性ガスが封入されたパッケージを形成する場合には、表面活性化工程後で接合室内へ所定の不活性ガスを導入して接合室内の雰囲気を設計雰囲気に調整してから、接合工程を行うようにしても、表面活性化後に接合工程が行われるまでの間に接合対象物に吸着した水分などのガス成分によりパッケージ内の真空度が低下するという問題があった。
【0011】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、接合特性の安定性および接合歩留まりの向上を図れる接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、接合対象物を導入した接合室内を真空排気する真空排気工程と、真空排気工程の後に接合対象物の表面を活性化する表面活性化工程と、表面活性化工程の後に接合対象物の接合部位同士を接合する接合工程とを備え、表面活性化工程と接合工程とは、接合対象物を加熱した状態で行うことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、接合対象物を導入した接合室内を真空排気する真空排気工程を行った後に、接合対象物の表面を活性化する表面活性化工程を行ってから、接合対象物の接合部位同士を接合する接合工程を行うにあたって、表面活性化工程と接合工程とを、接合対象物を加熱した状態で行うので、接合対象物における接合部位の表面に吸着する水分などのガス成分を低減することができ、接合特性の安定性および接合歩留まりの向上を図れる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記各接合対象物それぞれが所定ガスを封入する気密パッケージの一部を構成するものであり、前記表面活性化工程と前記接合工程との間に、前記接合室内へ前記所定ガスを導入するガス導入工程を備えることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、前記接合工程において前記接合対象物同士を接合することにより、所定ガスが封入された気密パッケージを得ることが可能となる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記ガス導入工程の際もしくは前記ガス導入工程と前記接合工程との間に前記接合室内の圧力を所望の圧力に調整することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、前記接合工程において前記接合対象物同士を接合することにより、所望の圧力の所定ガスが封入された気密パッケージを得ることが可能となる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記各接合対象物それぞれが真空封止する気密パッケージの一部を構成するものであり、前記表面活性化工程と前記接合工程との間に、前記接合室内を気密パッケージ内の所望の真空度まで真空排気する接合前真空排気工程を備えることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、前記接合工程において前記接合対象物同士を接合することにより、設計真空度に応じた真空度の気密パッケージを得ることが可能となる。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、前記真空排気工程よりも前に、互いに接合される前記接合対象物の少なくとも一方における他方との対向面側にゲッタを配置することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、前記気密パッケージ内の不要な残留ガス成分を低減できる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明では、接合特性の安定性および接合歩留まりの向上を図れるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本実施形態では、本願発明に係る接合方法を利用して製造されるセンサ装置について図3〜図10を参照しながら説明した後、接合方法について説明する。
【0024】
本実施形態において例示するセンサ装置は、加速度センサであり、図3(c)および図4に示すように後述のセンシング部が形成されたセンサ基板1と、センサ基板1のセンシング部に電気的に接続される貫通孔配線24を有しセンサ基板1の一表面側(図3(c)の上面側)に封着された貫通孔配線形成基板(第1のパッケージ用基板)2と、センサ基板1の他表面側(図3(c)の下面側)に封着されたカバー基板(第2のパッケージ用基板)3とを備えている。ここにおいて、センサ基板1および貫通孔配線形成基板2およびカバー基板3の外周形状は矩形状であり、貫通孔配線形成基板2およびカバー基板3はセンサ基板1と同じ外形寸法に形成されている。
【0025】
上述のセンサ基板1は、シリコン基板からなる支持基板10a上のシリコン酸化膜からなる絶縁層(埋込酸化膜)10b上にn形のシリコン層(活性層)10cを有するSOIウェハを加工することにより形成してあり、貫通孔配線形成基板2は第1のシリコンウェハを加工することにより形成し、カバー基板3は第2のシリコンウェハを加工することにより形成してある。
【0026】
センサ基板1は、図6に示すように、枠状(図示例では、矩形枠状)のフレーム部11を備え、フレーム部11の内側に配置される重り部12が一表面側(図3(c)および図6(b)の上面側)において可撓性を有する4つの短冊状の撓み部13を介してフレーム部11に揺動自在に支持されている。言い換えれば、センサ基板1は、枠状のフレーム部11の内側に配置される重り部12が重り部12から四方へ延長された4つの撓み部13を介してフレーム部11に揺動自在に支持されている。ここで、フレーム部11は、上述のSOIウェハの支持基板10a、絶縁層10b、シリコン層10cそれぞれを利用して形成してある。これに対して、撓み部13は、上述のSOIウェハにおけるシリコン層10cを利用して形成してあり、フレーム部11よりも十分に薄肉となっている。
【0027】
重り部12は、上述の4つの撓み部13を介してフレーム部11に支持された直方体状のコア部12aと、センサ基板1の上記一表面側から見てコア部12aの四隅それぞれに連続一体に連結された直方体状の4つの付随部12bとを有している。言い換えれば、重り部12は、フレーム部11の内側面に一端部が連結された各撓み部13の他端部が外側面に連結されたコア部12aと、コア部12aと一体に形成されコア部12aとフレーム部11との間の空間に配置される4つの付随部12bとを有している。つまり、各付随部12bは、センサ基板1の上記一表面側から見て、フレーム部11とコア部12aと互いに直交する方向に延長された2つの撓み部13,13とで囲まれる空間に配置されており、各付随部12bそれぞれとフレーム部11との間にはスリット14が形成され、撓み部13を挟んで隣り合う付随部12b間の間隔が撓み部13の幅寸法よりも長くなっている。ここにおいて、コア部12aは、上述のSOIウェハの支持基板10a、絶縁層10b、シリコン層10cそれぞれを利用して形成し、各付随部12bは、SOIウェハの支持基板10aを利用して形成してある。しかして、センサ基板1の上記一表面側において各付随部12bの表面は、コア部12aの表面を含む平面からセンサ基板1の上記他表面側(図3(c)および図6(b)の下面側)へ離間して位置している。なお、センサ基板1の上述のフレーム部11、重り部12、各撓み部13は、リソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成すればよい。
【0028】
ところで、図6(a),(b)それぞれの右下に示したように、センサ基板1の上記一表面に平行な面内でフレーム部11の一辺に沿った一方向をx軸の正方向、この一辺に直交する辺に沿った一方向をy軸の正方向、センサ基板1の厚み方向の一方向をz軸の正方向と規定すれば、重り部12は、x軸方向に延長されてコア部12aを挟む2つ1組の撓み部13,13と、y軸方向に延長されてコア部12aを挟む2つ1組の撓み部13,13とを介してフレーム部11に支持されていることになる。なお、上述のx軸、y軸、z軸の3軸により規定した直交座標では、センサ基板1において上述のシリコン層10cにより形成された部分の表面における重り部12の中心位置を原点としている。
【0029】
重り部12のコア部12aからx軸の正方向に延長された撓み部13(図6(a)の右側の撓み部13)は、コア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Rx2,Rx4が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのピエゾ抵抗Rz2が形成されている。一方、重り部12のコア部12aからx軸の負方向に延長された撓み部13(図6(a)の左側の撓み部13)は、コア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Rx1,Rx3が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのピエゾ抵抗Rz3が形成されている。ここに、コア部12a近傍に形成された4つのピエゾ抵抗Rx1,Rx2,Rx3,Rx4は、x軸方向の加速度を検出するために形成されたもので、平面形状が細長の長方形状であって、長手方向が撓み部13の長手方向に一致するように形成してあり、図7における左側のブリッジ回路Bxを構成するように配線(センサ基板1に形成されている拡散層配線、金属配線17など)によって接続されている。なお、ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4は、x軸方向の加速度がかかったときに撓み部13において応力が集中する応力集中領域に形成されている。
【0030】
また、重り部12のコア部12aからy軸の正方向に延長された撓み部13(図6(a)の上側の撓み部13)はコア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Ry1,Ry3が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのピエゾ抵抗Rz1が形成されている。一方、重り部12のコア部12aからy軸の負方向に延長された撓み部13(図6(a)の下側の撓み部13)はコア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Ry2,Ry4が形成されるとともに、フレーム部11側の端部に1つのピエゾ抵抗Rz4が形成されている。ここに、コア部12a近傍に形成された4つのピエゾ抵抗Ry1,Ry2,Ry3,Ry4は、y軸方向の加速度を検出するために形成されたもので、平面形状が細長の長方形状であって、長手方向が撓み部13の長手方向に一致するように形成してあり、図7における中央のブリッジ回路Byを構成するように配線(センサ基板1に形成されている拡散層配線、金属配線17など)によって接続されている。なお、ピエゾ抵抗Ry1〜Ry4は、y軸方向の加速度がかかったときに撓み部13において応力が集中する応力集中領域に形成されている。
【0031】
また、フレーム部11近傍に形成された4つのピエゾ抵抗Rz1,Rz2,Rz3,Rz4は、z軸方向の加速度を検出するために形成されたものであり、図7における右側のブリッジ回路Bzを構成するように配線(センサ基板1に形成されている拡散層配線、金属配線17など)によって接続されている。ただし、2つ1組となる撓み部13,13のうち一方の組の撓み部13,13に形成したピエゾ抵抗Rz1,Rz4は長手方向が撓み部13,13の長手方向と一致するように形成されているのに対して、他方の組の撓み部13,13に形成したピエゾ抵抗Rz2,Rz3は長手方向が撓み部13,13の幅方向(短手方向)と一致するように形成されている。なお、図3〜図6では、センサ基板1における金属配線17のうち第1の接続用接合金属層19近傍の部位のみを図示してあり、拡散層配線の図示は省略してある。
【0032】
上述のセンサ基板1は、各ブリッジ回路Bx〜Bzそれぞれの出力電圧の変化を検出することにより、当該センサ基板1に作用したx軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれの加速度を検出することができる。また、上述のセンサ基板1では、重り部12と各撓み部13とで可動部を構成しており、各ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4それぞれが、センサ基板1におけるセンシング部を構成している。
【0033】
ところで、センサ基板1は、図7に示すように、上述の3つのブリッジ回路Bx,By,Bzに共通の2つの入力端子VDD,GNDと、ブリッジ回路Bxの2つの出力端子X1,X2と、ブリッジ回路Byの2つの出力端子Y1,Y2と、ブリッジ回路Bzの2つの出力端子Z1,Z2とを備えており、これらの各入力端子VDD,GNDおよび各出力端子X1,X2,Y1,Y2,Z1,Z2が、上記一表面側(つまり、貫通孔配線形成基板2側)に第1の接続用接合金属層19として設けられており、貫通孔配線形成基板2に形成された貫通孔配線24と電気的に接続されている。すなわち、センサ基板1には、8つの接続用接合金属層19が形成され、貫通孔配線形成基板2には、8つの貫通孔配線24が形成されている。
【0034】
また、センサ基板1のフレーム部11上には、フレーム部11よりも開口面積が大きな枠状(矩形枠状)の第1の封止用接合金属層18が形成されており、上述の8つの接続用接合金属層19は、フレーム部11において第1の封止用接合金属層18よりも内側に配置されている。なお、センサ基板1は、上記一表面側において上記シリコン層10c上にシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜からなる絶縁膜16が形成されており、第1の接続用接合金属層19および第1の封止用接合金属層18および金属配線17は絶縁膜16上に形成されている。
【0035】
また、第1の封止用接合金属層18および第1の接続用接合金属層19は、接合用のAu膜と絶縁膜16との間に密着性改善用のTi膜を介在させてある。言い換えれば、第1の封止用接合金属層18および第1の接続用接合金属層19は、絶縁膜16上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されている。
【0036】
上述の各ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4および上記各拡散層配線は、上記シリコン層10cにおけるそれぞれの形成部位に適宜濃度のp形不純物をドーピングすることにより形成されており、上述の金属配線17は、絶縁膜16上にスパッタ法や蒸着法などにより成膜した金属膜(例えば、Al膜、Al合金膜など)をリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングすることにより形成されており、金属配線17は絶縁膜16に設けたコンタクトホールを通して拡散層配線と電気的に接続されている。また、第1の接続用接合金属層19と金属配線17とは、第1の接続用接合金属層19における金属配線17との接続部位19b(図5(b)参照)が、貫通孔配線形成基板2におけるセンサ基板1との対向面に形成された後述の変位空間形成用凹部21内に位置する形で電気的に接続されている。
【0037】
貫通孔配線形成基板2は、図8および図9に示すように、センサ基板1側(図3(c)における下面側)の表面に、センサ基板1の重り部12と各撓み部13とで構成される可動部の変位空間を確保する上述の変位空間形成用凹部21が形成されるとともに、変位空間形成用凹部21の周部に厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、8つ)の貫通孔22が形成されており、厚み方向の両面および貫通孔22の内面とに跨って熱絶縁膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜23が形成され、貫通孔配線24と貫通孔22の内面との間に絶縁膜23の一部が介在している。なお、貫通孔配線24の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
【0038】
また、貫通孔配線形成基板2は、センサ基板1側の表面において変位空間形成用凹部21の周部に、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数(本実施形態では、8つ)の第2の接続用接合金属層29が形成されている。貫通孔配線形成基板2は、センサ基板1側の表面の周部には、全周に亘って枠状(矩形枠状)の第2の封止用接合金属層28が形成されており、上述の8つの第2の接続用接合金属層29は、外周形状が細長の長方形状であり、第2の封止用接合金属層28よりも内側に配置されている。ここにおいて、第2の接続用接合金属層29は、長手方向の一端部が貫通孔配線24と接合されており、他端側の部位がセンサ基板1の金属配線17よりも外側でセンサ基板1の第1の接続用接合金属層19と接合されて電気的に接続されるように配置してある。
【0039】
また、第2の封止用接合金属層28および第2の接続用接合金属層29は、接合用のAu膜と絶縁膜23との間に密着性改善用のTi膜を介在させてある。言い換えれば、第2の封止用接合金属層28および第2の接続用接合金属層29は、絶縁膜23上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されている。
【0040】
また、貫通孔配線形成基板2におけるセンサ基板1側とは反対側の表面には、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数の外部接続用電極25が形成されている。なお、各外部接続用電極25の外周形状は矩形状となっている。
【0041】
カバー基板3は、図10に示すように、センサ基板1との対向面に、重り部12の変位空間を形成する所定深さ(例えば、5μm〜10μm程度)の凹部31を形成してある。ここにおいて、凹部31は、リソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成してある。なお、本実施形態では、カバー基板3におけるセンサ基板1との対向面に、重り部12の変位空間を形成する凹部31を形成してあるが、重り部12のコア部12aおよび各付随部12bのうち支持基板10aを利用して形成されている部分の厚さを、フレーム部11において支持基板10aを利用して形成されている部分の厚さに比べて、センサ基板1の厚み方向への重り部12の許容変位量分だけ薄くするようにすれば、カバー基板3に凹部31を形成しなくても、センサ基板1の上記他表面側には上記他表面に交差する方向への重り部12の変位を可能とする隙間が重り部12とカバー基板3との間に形成される。
【0042】
ところで、上述の加速度センサにおけるセンサ基板1と貫通孔配線形成基板2とは、第1の封止用接合金属層18と第2の封止用接合金属層28とが接合されるとともに、第1の接続用接合金属層19と第2の接続用接合金属層29とが接合され、センサ基板1とカバー基板3とは、互いの対向面の周部同士が接合されている。また、上述の加速度センサは、図3(a),(b)に示すように、上述のSOIウェハにセンサ基板1を複数形成したセンサウェハ10と、上述の第1のシリコンウェハに貫通孔配線形成基板2を複数形成した第1のパッケージウェハ20と、上述の第2のシリコンウェハにカバー基板3を複数形成した第2のパッケージウェハ30とを、図2に示す構成の接合装置を用いてウェハレベルで接合することでウェハレベルパッケージ構造体100を形成してから、個々の加速度センサに分割する分割工程(ダイシング工程)により個々の加速度センサに分割されている(なお、図3(c)は図3(a)に示すウェハレベルパッケージ構造体100のうち丸Aで囲んだ部分の概略断面図である)。したがって、貫通孔配線形成基板2とカバー基板3とがセンサ基板1と同じ外形サイズとなり、小型のチップサイズパッケージを実現できるとともに、製造が容易になる。ここで、上述の加速度センサでは、センサ基板1のフレーム部11と第1のパッケージ用基板である貫通孔配線形成基板2と第2のパッケージ用基板であるカバー基板3とで気密パッケージを構成しており、当該気密パッケージ内で重り部12と各撓み部13とで構成される可動部が変位可能となっている。なお、図1中のセンサ基板1、第1のパッケージ用基板である貫通孔配線形成基板2、第2のパッケージ用基板であるカバー基板3はそれぞれ、センサウェハ10、第1のパッケージウェハ20、第2のパッケージウェハ30の一部である。
【0043】
以下、上述の接合装置について図2を参照しながら説明するが、上述のセンサウェハ10、第1のパッケージウェハ20、第2のパッケージウェハ30などを接合対象物であるウェハWaとして説明する。
【0044】
接合装置は、接合対象物であるウェハWaが導入される接合対象物導入室40と、ウェハWa,Wa同士の互いの接合部位それぞれの表面を活性化してからウェハWa,Wa同士を接合する接合室60と、接合対象物導入室40と接合室60との間および接合対象物導入室40と後述の脱ガス室70との間で接合前のウェハWa,Waを搬送するとともに接合室60にて接合された2つのウェハWa,Waの積層体を接合室60と接合対象物導入室40との間で搬送する搬送手段(図示せず)が収納された搬送室50と、接合対象物導入室40内に導入されたウェハWaを接合室60内へ搬送する前にウェハWaに吸着しているガス成分を除去する脱ガス手段としての赤外線ランプ75が設けられた脱ガス室70とが別々の真空槽により構成されており、接合対象物導入室40と搬送室50との間にゲートバルブ91が設けられるとともに、搬送室50と接合室60との間にゲートバルブ92が設けられ、搬送室50と脱ガス室70との間にゲートバルブ93が設けられている。
【0045】
接合対象物導入室40は、接合室60を大気開放することなく、ウェハWaの導入を行うために設けたものであり、接合室60とは独立して大気開放および真空排気が可能となっている。すなわち、接合対象物導入室40には、図示しない真空排気ポンプなどを含む第1の真空排気系や、大気開放用のガス(例えば、窒素ガスなど)を導入するためのガス配管系が接続されている。なお、接合対象物導入室40は、比較的低真空(例えば、10Pa程度の真空度)でも許容されるので、接合対象物導入室40の真空排気に用いる真空排気ポンプとしては、ロータリポンプやドライポンプを用いてもよいが、これらに限らず、他の真空排気ポンプを用いてもよい。また、接合対象物導入室40は、ウェハWaを導入した後、上記第1の真空排気系により10Pa以下の真空度となるように真空排気すればよいが、真空排気ポンプとしてロータリポンプなどの低真空用のポンプとターボ分子ポンプなどの高真空用のポンプとを用いて0.1Pa以下に真空排気することが望ましい。また、大気開放用のガスは窒素ガスに限らず、他のガスを用いてもよい。
【0046】
ところで、接合対象物導入室40内に、ウェハWaの搬送時にウェハWaが破損するのを防止するためのウェハホルダを収納しておき、上記搬送手段ではウェハWaを保持したウェハホルダを搬送するようにしてもよい。特に、ウェハWaが上述のセンサウェハ10などのようにマイクロマシニング技術により形成された3次元構造体(センサ基板1)を含むウェハである場合や薄型化されたウェハである場合には、搬送中にウェハWaが破損するのを防止するためにウェハホルダを用いることが好ましい。要するに、ウェハWaが上述のセンサウェハ10やパッケージウェハ20,30などのMEMS用ウェハである場合には、上述のウェハホルダを用いることが好ましい。なお、このウェハホルダとしては、上記接合機構を構成するウェハ保持部材65,66を兼用して上記搬送手段により搬送するようにしてもよい。
【0047】
搬送室50は、上記搬送手段として1つもしくは2つのウェハWaを搬送するロボットや冶具が収納されており、他の真空槽(接合対象物導入室40、脱ガス室70、接合室60)とは別に独立して真空排気が可能となっている。すなわち、搬送室50には、図示しない真空排気ポンプなどを含む第2の真空排気系が接続されている。なお、図2に示した例では、接合対象物導入室40と搬送室50との間に、ゲートバルブ91を設けてあるが、接合装置の簡略化および低コスト化のためにゲートバルブ91を省略して上記第1の真空排気系により真空排気するようにしてもよいが、ゲートバルブ91を設けた場合、ウェハWaの導入時には接合対象物導入室40のみを大気開放すればよいので、ウェハWaを接合対象物導入室40内に導入した後の真空排気に必要な時間が短くなるという利点がある。
【0048】
脱ガス室70は、接合前のウェハWaに吸着している水分などのガス成分を除去する脱ガス処理を行うために設けたものであり、当該脱ガス室70には、図示しない真空排気ポンプなどを含む第3の真空排気系が接続されているが、脱ガス室70に第3の真空排気系を接続せずに、上述の第1の真空排気系や第2の真空排気系を通じて脱ガス室70内の真空排気を行うようにしてもよい。要するに、図2に示した例では、ウェハWaから脱離したガス成分が搬送室50や接合室60へ拡散するのを防止するために、脱ガス室70と搬送室50との間にゲートバルブ93を設け、脱ガス室70に脱ガス室70内を真空排気する第3の真空排気系を接続してあるが、接合装置の簡略化および低コスト化のためにゲートバルブ93を省略してもよい。
【0049】
ところで、上述の接合装置では、脱ガス手段として上述の赤外線ランプ75を設けてあり、赤外線ランプ75からウェハWaに赤外線を照射することによりウェハWaを加熱してウェハWaに吸着している水分などのガス成分を放出(脱離)させる脱ガス工程を行うことでガス成分を除去する(脱ガスを行う)ようにしてある。ここにおいて、脱ガス工程では、ウェハWaの加熱温度が高い方ほど脱ガス速度が速くなるが、本実施形態では、ウェハWaへの熱ダメージを回避するために加熱温度を100〜200℃の温度範囲内で設定してある。なお、脱ガス工程での加熱温度は、上記温度範囲に限らず、デバイスの仕様や接合装置の仕様などに応じて適宜設定すればよい。
【0050】
また、上述の接合装置では、赤外線ランプ75が第1の加熱装置を構成しているが、第1の加熱装置は、赤外線ランプ75に限らず、ヒータなどを採用してもよく、脱ガス手段として、ウェハWaを加熱する第1の加熱装置を用いることにより、ウェハWaに吸着している水分などのガス成分を効果的に除去することができる。ただし、第1の加熱装置としては、赤外線ランプ75のようにウェハWaに赤外線を照射することでウェハWaを加熱したり、ウェハWaに電子ビームを照射することでウェハWaを加熱したり、ウェハWaにレーザ光を照射することでウェハWaを加熱したりするような、照射加熱装置を用いることが望ましく、第1の加熱装置として照射加熱装置を採用することにより、ウェハWaの表面(接合部位の表面を含む)に吸着している水分などのガス成分(吸着ガス分子)を効率的に放出させることができる。
【0051】
また、上述の接合装置では、接合室60内にて接合したウェハWa,Wa同士の積層体からなるウェハWaをウェハ導入室40内から取り出すように積層体からなるウェハWaの搬送経路が設定され、脱ガス手段は、積層体からなるウェハWaの接合対象物導入室40内への搬送経路外に設けられているので、接合後の積層体からなるウェハWaの搬送中にも、接合室60へ搬送する接合前のウェハWaに吸着しているガス成分を脱ガス手段により除去することができる(つまり、脱ガス処理を施すことができる)ので、脱ガス手段が積層体からなるウェハWaの接合対象物導入室40内への搬送経路内に設けられている場合に比べて、スループットを向上させることができる。なお、図2中に破線で示した矢印は、接合前のウェハWa,Waの搬送経路もしくは積層体からなるウェハWaの搬送経路を示している。
【0052】
接合室60には、2つのウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面を活性化する表面活性化装置(図示せず)、2つのウェハWa,Waそれぞれを保持するウェハ保持部材65,66が収納されており、接合室60内で一方のウェハ保持部材65の上方に位置する他方のウェハ保持部材66を上記一方のウェハ保持部材65に近づける向き(図2中の矢印Eの向き)へ押し下げるプッシュロッド67が設けられるとともに、他の真空槽(接合対象物導入室40、搬送室50、脱ガス室70)とは別に独立して真空排気を可能とするための真空排気ポンプを含む第4の真空排気系や、所定ガス(例えば、不活性ガス、O2ガス、O2ガスとN2ガスとの混合ガスなど)を導入可能とするための所定ガス導入用ガス配管系が接続されている。
【0053】
ここにおいて、表面活性化装置としては、ウェハWa,Waそれぞれにイオンビームを照射するイオンビーム照射装置や、ウェハWa,Waそれぞれに原子ビームを照射する原子ビーム照射装置や、ウェハWa,Waにプラズマを照射するプラズマ照射装置などを用いることができ、製造するデバイス(上述の例では、加速度センサ)や要求仕様などにより適宜選択すればよい。なお、本実施形態では、2つのウェハ保持部材65,66とプッシュロッド67とで2つのウェハWa,Waを接合するための接合機構を構成している。また、本実施形態では、ウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面を活性化した後で速やかにウェハWa,Wa同士を接合することができるようにウェハWa,Waを上記接合機構のウェハ保持部材65,66に保持した状態で接合部位の表面の活性化を行なっている。
【0054】
ところで、上述の接合装置は、接合室60内の所定位置に配置されたウェハWa,Waを加熱するヒータからなる第2の加熱装置(図示せず)をウェハ保持部材65,66に設けてあり、脱ガス手段により脱ガス処理を施したウェハWaを接合室60内へ導入して、その後、接合室60内において所定位置に配置されたウェハWa,Waの接合部位へのガス成分の吸着を防止するためにウェハWa,Waの接合部位を上記第2の加熱装置により加熱した状態で接合部位の表面にイオンビームもしくは原子ビームもしくはプラズマを照射して接合部位の表面を活性化する表面活性化工程を行うようにしてある。なお、第2の加熱装置は、ヒータに限らず、例えば、上述の第1の加熱装置と同様、赤外線ランプなどの照射加熱装置などを用いてもよい。
【0055】
その後、上述の接合装置では、上記第2の加熱装置によりウェハWa,Waが加熱された状態でウェハWa,Wa同士の接合工程を行うようにしてある。なお、上述の接合装置は、上記各真空排気系、上記ガス配管系、各ゲートバルブ91〜93、上記搬送手段、上記第1の加熱装置、上記第2の加熱装置、上記表面活性化装置、上記接合機構、上記所定ガス導入用ガス配管系などの動作を制御するプログラムが搭載されたコンピュータからなる制御装置(図示せず)を備えている。
【0056】
以下、上述の接合装置を用いた接合方法について図1および図2を参照しながら説明する。
【0057】
まず、接合対象物導入室40を大気開放して接合対象物のウェハWaを接合対象物導入室40内へ導入してから接合対象物導入室40内が所定真空度以下になるように接合対象物導入室40内を上述の第1の真空排気系により真空排気する予備排気工程(S1)を行う。なお、所定真空度は、例えば、10Pa程度の真空度に設定すればよいが、0.1Pa以下に設定することが望ましく、所定真空度を0.1Pa以下の真空度に設定する場合には、第1の真空排気系の真空排気ポンプとして例えばロータリポンプとターボ分子ポンプとを設ければよい。
【0058】
予備排気工程(S1)の後、接合対象物導入室40と搬送室50との間のゲートバルブ91を開いて上記搬送手段によりウェハWaを搬送室50内に搬送してゲートバルブ91を閉じてから、搬送室50と脱ガス室70との間のゲートバルブ93を開いて上記搬送手段によりウェハWaを脱ガス室70へ搬送し、ゲートバルブ93を閉じてから、上述の脱ガス手段である赤外線ランプ75からウェハWaに赤外線を照射してウェハWaを加熱することでウェハWaに吸着しているガス成分を除去する脱ガス工程(S2)を行う。
【0059】
脱ガス工程(S2)の後、ゲートバルブ93を開いてウェハWaを搬送室50内に搬送してからゲートバルブ93を閉じ、その後、ゲートバルブ92を開いてウェハWaを接合室40内に搬送してからゲートバルブ92を閉じ、続いて、接合室60内を所望の真空度以下となるように真空排気する真空排気工程(S3)を行う。なお、所望の真空度は、ウェハWaの材料、デバイスの仕様などにもよるが、本実施形態では、1×10−4Pa以下の真空度が望ましく、1×10−5Pa以下の真空度がより望ましい。
【0060】
そして、真空排気工程(S3)の後、接合室40内のウェハ保持部材65,66に保持されて所定位置に配置されたウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面に水分などのガス成分が吸着するのを防止するためにウェハWa,Wa(つまり、ウェハWa,Waの接合部位)を上記第2の加熱装置により加熱する加熱工程(S4)を行う。ここで、加熱工程(S4)における加熱温度は、例えば、ウェハWaの接合部位の表面の清浄度を維持するために100℃以上に設定することが望ましく、200℃以上に設定することで、接合部位の表面の清浄度をより高めることができる。また、加熱温度まで昇温した後の当該加熱温度での加熱時間は、温度の面内均一性、再現性などの観点から、2〜10分程度の範囲で適宜設定すればよいが、特に限定するものではない。また、加熱温度までの昇温速度は、ウェハWaが熱ダメージを受けたり損傷しないように適宜設定すればよい。なお、昇温速度、加熱温度、加熱時間は、ウェハWaに形成するデバイスの仕様や接合装置の仕様などに応じて適宜設定すればよい。
【0061】
そして、上記第2の加熱装置によりウェハWa,Waの接合部位を上記加熱温度に加熱した状態を維持したままウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面に対して活性化処理を施す表面活性化工程(S5)を行う。ここにおいて、表面活性化工程(S5)では、各ウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面に、不活性ガスのイオンビームもしくは原子ビームもしくはプラズマを照射することにより、各ウェハWa,Waそれぞれの接合部位の表面を活性化する。本実施形態では、表面活性化工程(S5)において、不活性ガス(例えば、アルゴン)のイオンビームを各接合部位の表面に対して照射するようにしているが、表面活性化工程(S5)において照射するのは、イオンビームに限らず、原子ビームやプラズマを照射するようにしてもよく、イオンビーム、原子ビーム、プラズマのうちのどれを照射するかはウェハWa,Waの材料やデバイスの仕様に応じて適宜選択すればよい。ここで、表面活性化工程(S5)において用いるガスはアルゴンに限らず、窒素、ヘリウムなどの不活性ガスや、酸素ガスなどを用いてもよいが、これらに限らない。また、表面活性化工程(S5)では、イオンビーム照射、原子ビーム照射、プラズマ照射以外による活性化処理を行うようにしてもよい。なお、本実施形態の接合方法では、上述の所望の真空度を1×10−4Paに設定してある。
【0062】
表面活性化工程(S5)の後、上記第2の加熱装置によりウェハWa,Waの接合部位を上記加熱温度に加熱した状態を維持したまま接合室60内においてウェハWa,Wa同士を接触させて接合する接合工程(S6)を行う。なお、接合工程(S6)では、プッシュロッド67を図2中の矢印Eの向きに押し下げてウェハWa,Wa同士を接触させ必要に応じて適宜の荷重を印加してウェハWa,Wa同士を接合する。ここにおいて、接合工程(S6)にて印加する荷重は、ウェハWa,Waの材料や接合性能の仕様などにより適宜設定すればよい。
【0063】
接合工程(S6)が終了した後、2つのウェハWa,Waの積層体からなるウェハWaを接合対象物導入室40まで搬送する際には、ゲートバルブ92を開いて搬送室50内へ搬送してからゲートバルブ92を閉じ、続いて、ゲートバルブ91を開いて接合対象物導入室41内へ搬送してゲートバルブ91を閉じればよく、接合対象物導入室40まで搬送した後、接合対象物導入室40内を大気圧まで戻し、接合対象物導入室40から取り出せばよい。
【0064】
ところで、上述のウェハレベルパッケージ構造体100の製造にあたっては、まず、センサウェハ10と第2のパッケージウェハ30とを接合対象物の2つのウェハWa,Waとして上記接合装置を用いて接合する第1の表面活性化接合工程を行い、その後、センサウェハ10と第2のパッケージウェハ30との積層体からなるウェハと第1のパッケージウェハ20とを接合対象物の2つのウェハWa,Waとして上記接合装置を用いて接合する第2の表面活性化接合工程を行う。ここにおいて、各表面活性化接合工程は、上述の予備排気工程(S1)から接合工程(S6)までの全ての工程を含んでいる。
【0065】
以上説明した接合方法によれば、ウェハWa,Waを導入した接合室60内を真空排気する真空排気工程(S3)を行った後に、ウェハWa,Waの接合部位の表面にイオンビームもしくは原子ビームもしくはプラズマを照射して接合部位の表面を活性化する表面活性化工程(S5)を行ってから、ウェハWa,Waの接合部位同士を接合する接合工程(S6)を行うにあたって、表面活性化工程(S5)と接合工程(S6)とを、ウェハWa,Waの接合部位へのガス成分の吸着を防止するためにウェハWa,Waの接合部位を加熱した状態で行うので、表面活性化工程(S5)中や表面活性化工程(S5)後にウェハWa,Waにおける接合部位の表面に吸着する水分などのガス成分を低減することができ、接合特性の安定性および接合歩留まりの向上を図れる。また、表面活性化工程(S5)後であって接合工程(S6)前にウェハWa,Wa同士の相対位置をアライメントする工程が必要な場合には、アライメント工程中もウェハWa,Waの加熱状態を維持することで、アライメント工程中にウェハWa,Waの接合部位にガス成分が吸着するのを防止することができる。また、予備排気工程(S1)と真空排気工程(S3)との間に、ウェハWaに吸着しているガス成分を除去する脱ガス工程(S2)が設けられているので、ウェハWaを接合室60内へ搬送する前にウェハWaに吸着している水分などのガス成分を低減でき、真空排気工程(S3)において接合室60内が所望の真空度に到達するまでの時間の短縮を図れる。なお、上述の接合装置では、接合対象物導入室40、脱ガス室70、搬送室50を備えているが、これらは必ずしも備えている必要はなく、予備排気工程および脱ガス工程を省略してもよい。
【0066】
ところで、各接合対象物それぞれが所定ガス(例えば、不活性ガス、O2ガス、O2ガスとN2ガスとの混合ガスなど)を封入する気密パッケージの一部を構成するものである場合には、表面活性化工程(S5)と接合工程(S6)との間に、接合室60内へ所定ガスを導入するガス導入工程(S7)を設ければ、接合工程(S6)において接合対象物同士を接合することにより、所定ガスが封入された気密パッケージを得ることが可能となる(要するに、所定ガスを封入した気密封止デバイスを得ることが可能となる)。また、ガス導入工程(S7)と接合工程(S6)との間に接合室60内の圧力を気密パッケージ内の所望の圧力に調整する圧力調整工程(S8)を設ければ、接合工程(S6)により接合対象物同士を接合することにより、所望の圧力の所定ガスが封入された気密パッケージを得ることが可能となり、気密パッケージ内の真空度などによりセンサ特性が変動するセンサ装置のセンサ特性のセンサ装置ごとのばらつきやロット間のばらつきを低減でき、製造歩留まりを高めることができるとともに製品間のセンサ特性のばらつきを低減可能となる。ここにおいて、上述の加速度センサの製造方法に上記接合方法を適用する場合には、ダンピング効果により加速度センサの周波数特性および耐衝撃性を向上するために、圧力調整工程(S8)において接合室60内の圧力を大気圧に調整すればよい。なお、ガス導入工程(S7)の際に、接合室60内の圧力を調整するようにすれば、別途に圧力調整工程(S8)を設ける必要はない。また、表面活性化工程(S5)の後、ガス導入工程(S7)を行うことなく圧力調整工程(S8)にて接合室60内の圧力を調整するようにしてもよい。
【0067】
また、各接合対象物それぞれが真空封止する気密パッケージの一部を構成するものである場合には、表面活性化工程(S5)と接合工程(S6)との間に、接合室60内を気密パッケージ内の設計真空度に基づいた所望の真空度まで真空排気する接合前真空排気工程(S9)を設ければ、接合工程(S6)において接合対象物同士を接合することにより、設計真空度に応じた真空度の気密パッケージを得ることが可能となる(要するに、真空封止デバイスを得ることが可能となる)。この場合、真空排気工程(S3)よりも前に、互いに接合される接合対象物の少なくとも一方における他方との対向面側にゲッタを配置するようにすれば、気密パッケージ内の不要な残留ガス成分を低減できるから、気密パッケージ内の真空度および当該真空度の安定性を高めることができ、センサ装置などの気密パッケージ内をより高真空にすることが可能となるので、感度を高めるために気密パッケージ内を高真空とすることが望ましいセンサ装置(例えば、ジャイロセンサなど)の高感度化を図れる。また、ゲッタにより吸着する不要な残留ガス成分の量を低減できるので、ゲッタの小型化を図ることも可能となる。なお、ゲッタは、真空封止デバイスに限らず、上述の気密封止デバイスの場合にも、真空排気工程(S3)よりも前に、互いに接合される接合対象物の少なくとも一方における他方との対向面側に配置するようにしてもよい。
【0068】
なお、上述の接合方法を利用して製造するデバイスは、加速度センサ、ジャイロセンサ、赤外線センサなどのセンサ装置に限らず、例えば、集積回路装置などの電子デバイスなどでもよい。また、接合対象物は、ウェハの状態のものに限らず、例えば、チップの状態のものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施形態における接合方法の説明図である。
【図2】同上における接合装置の概略構成図である。
【図3】同上におけるウェハレベルパッケージ構造体を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略側面図、(c)は要部概略断面図である。
【図4】同上における加速度センサの概略平面図である。
【図5】同上における加速度センサを示し、(a)は図3(c)の要部拡大図、(b)は図4のC−C’概略断面図である。
【図6】同上におけるセンサ基板を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のB−B’概略断面図である。
【図7】同上におけるセンサ基板の回路図である。
【図8】同上における貫通孔配線形成基板を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のD−D’概略断面図である。
【図9】同上における貫通孔配線形成基板の下面図である。
【図10】同上におけるカバー基板を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のD−D’概略断面図である。
【図11】従来の接合装置の概略構成図である。
【図12】従来の接合方法の説明図である。
【符号の説明】
【0070】
40 接合対象物導入室
50 搬送室
60 接合室
65 ウェハ保持部材
66 ウェハ保持部材
67 プッシュロッド
Wa ウェハ(接合対象物)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合対象物を導入した接合室内を真空排気する真空排気工程と、真空排気工程の後に接合対象物の表面を活性化する表面活性化工程と、表面活性化工程の後に接合対象物の接合部位同士を接合する接合工程とを備え、表面活性化工程と接合工程とは、接合対象物を加熱した状態で行うことを特徴とする接合方法。
【請求項2】
前記各接合対象物それぞれが所定ガスを封入する気密パッケージの一部を構成するものであり、前記表面活性化工程と前記接合工程との間に、前記接合室内へ前記所定ガスを導入するガス導入工程を備えることを特徴とする請求項1記載の接合方法。
【請求項3】
前記ガス導入工程の際もしくは前記ガス導入工程と前記接合工程との間に前記接合室内の圧力を所望の圧力に調整することを特徴とする請求項2記載の接合方法。
【請求項4】
前記各接合対象物それぞれが真空封止する気密パッケージの一部を構成するものであり、前記表面活性化工程と前記接合工程との間に、前記接合室内を気密パッケージ内の所望の真空度まで真空排気する接合前真空排気工程を備えることを特徴とする請求項1記載の接合方法。
【請求項5】
前記真空排気工程よりも前に、互いに接合される前記接合対象物の少なくとも一方における他方との対向面側にゲッタを配置することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項1】
接合対象物を導入した接合室内を真空排気する真空排気工程と、真空排気工程の後に接合対象物の表面を活性化する表面活性化工程と、表面活性化工程の後に接合対象物の接合部位同士を接合する接合工程とを備え、表面活性化工程と接合工程とは、接合対象物を加熱した状態で行うことを特徴とする接合方法。
【請求項2】
前記各接合対象物それぞれが所定ガスを封入する気密パッケージの一部を構成するものであり、前記表面活性化工程と前記接合工程との間に、前記接合室内へ前記所定ガスを導入するガス導入工程を備えることを特徴とする請求項1記載の接合方法。
【請求項3】
前記ガス導入工程の際もしくは前記ガス導入工程と前記接合工程との間に前記接合室内の圧力を所望の圧力に調整することを特徴とする請求項2記載の接合方法。
【請求項4】
前記各接合対象物それぞれが真空封止する気密パッケージの一部を構成するものであり、前記表面活性化工程と前記接合工程との間に、前記接合室内を気密パッケージ内の所望の真空度まで真空排気する接合前真空排気工程を備えることを特徴とする請求項1記載の接合方法。
【請求項5】
前記真空排気工程よりも前に、互いに接合される前記接合対象物の少なくとも一方における他方との対向面側にゲッタを配置することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−155245(P2008−155245A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346536(P2006−346536)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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