接触端子付き基板、ICメモリーカード、接触端子付き基板の製造方法
【課題】ICメモリーカード用の接触端子付き基板において、接触端子の光沢の均一化を安価で簡単に実現できる技術の開発。
【解決手段】接触端子14に施した硬質電気金めっき15bの表面を梨地処理して硬質金めっき端子11を得ることを特徴とする接触端子付き基板の製造方法、接触端子付き基板、接触端子付き基板を具備してなるICメモリーカードを提供する。
【解決手段】接触端子14に施した硬質電気金めっき15bの表面を梨地処理して硬質金めっき端子11を得ることを特徴とする接触端子付き基板の製造方法、接触端子付き基板、接触端子付き基板を具備してなるICメモリーカードを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICメモリーカード用の接触端子付き基板、この接触端子付き基板を具備してなるICメモリーカード、接触端子を具備する接触端子付き基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICメモリーカードは書き込みや読み出しのための駆動装置を必要としないので低消費電力型の記憶媒体である。また軽量、薄型、小型であるため携帯用電子機器、例えばデジタルカメラ、携帯音楽プレーヤー、電子辞書、携帯電話、携帯情報端末等に広く用いられている。また、パソコン、プリンタ等の機器に、ICメモリーカードの接続用のコネクタ部を設けることも広く普及している。
ICメモリーカードとしては種々の呼称のものがあるが、いずれも半導体メモリを記憶媒体に使用したものである。これらのICメモリーカードには電子機器(例えば、既述の携帯用電子機器、パソコン、プリンタ等)との接続のために接触型の端子が複数設けられている。
例えば特許文献1にはメモリーカードの接触端子の例が開示されている。接触端子表面には接触抵抗が低く接触抵抗の変化が少ない金属である金めっき膜が施されている。ICメモリーカードは電子機器のコネクタ部に挿入して使用される。メモリーカードはコネクタ部に設けられているスロットに挿抜可能に差し込まれる。メモリーカードがスロットに差し込まれると、メモリーカードの接触端子が、スロット内に設けられている弾性片端子と接触される。これにより、電子機器内の電子回路とICメモリーカード側の配線との電気導通が確保される。
また、端子は使用者の目に触れる露出した形でICメモリーカードに設けられていることが一般的である。
【特許文献1】特開2002−26478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の通りICメモリーカードの接触端子表面には金めっきが施されている。この金めっきは、光沢剤を含むめっき浴を使用した光沢電気金めっきによって接触端子表面に施すことが一般的である。金めっきは製品の品質イメージに強い影響を与える因子の一つである。接点としての機能に問題が無くても外観が均一でないものは不良品として排除される。高価な金めっきを施した後に不良品になるので製造コストへの影響は大きい。
金めっきの外観が不均一になる原因としては、めっき前の接触端子表面のバフ研磨工程によって形成される微小な研磨筋が金めっきの表面状態に影響を与えることが挙げられる。しかしながら研磨筋の影響を解消することは容易ではない。このため、低コストで実現できる有効な対策が求められていた。
【0004】
本発明は、上述の課題に鑑みて、端子表面の外観の均一性を低コストで安定に確保できるICメモリーカード用の接触端子付き基板、この接触端子付き基板を具備してなるICメモリーカード、接触端子を具備する接触端子付き基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
第1の発明は、ICメモリーカード用の接触端子付き基板であって、配線基板に設けられた接触端子が硬質電気金めっきを表層とするめっき膜で被覆され、前記硬質電気金めっきの表面が梨地状とされていることを特徴とする接触端子付き基板を提供する。
第2の発明は、前記硬質電気金めっき表面は、該硬質電気金めっき表面に入射角45度で照射した入射光の反射光を受光器で受光して、前記入射光に対する反射角45±25度の角度範囲について反射光強度分布を解析した場合に、反射角45±25度の範囲の全受光量Aと、反射角45±3度の範囲の全受光量BとがB/A≦0.4を満たす梨地表面であることを特徴とする第1の発明の接触端子付き基板を提供する。
第3の発明は、梨地状表面を有する前記硬質電気金めっきが、光沢電気めっきによって得られた硬質電気金めっき膜の表面を、ジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理によって梨地状としたものであることを特徴とする第1又は第2の発明の接触端子付き基板を提供する。
第4の発明は、前記めっき膜が、前記接触端子の表面に形成されたニッケルめっきと、このニッケルめっきを覆うように形成された前記硬質電気金めっきとを具備する多層めっき膜であることを特徴とする第1〜3のいずれかの発明の接触端子付き基板を提供する。
第5の発明は、前記配線基板は、絶縁樹脂板の表面に、補強繊維によってメッシュ状に形成された補強材が樹脂中に埋め込まれてなる補強層を備え、パッド状の前記接触端子が前記補強層上に形成されていることを特徴とする第1〜4のいずれかの発明の接触端子付き基板を提供する。
第6の発明は、第1〜5のいずれかの発明の接触端子付き基板を具備することを特徴とするICメモリーカードを提供する。
第7の発明は、硬質電気金めっきを表層とするめっき膜で被覆された接触端子を具備する接触端子付き基板の製造方法であって、配線基板に設けられている接触端子に、硬質電気金めっきを表層とするめっき膜を形成するめっき工程と、前記硬質電気金めっきの表面を、ジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理によって梨地状とする梨地処理工程とを具備することを特徴とする接触端子付き基板の製造方法を提供する。
第8の発明は、前記めっき工程は、光沢剤を含むめっき浴を用いる光沢電気めっきによって前記接触端子に電気ニッケルめっきを施すニッケルめっき工程と、前記ニッケルめっき工程にて得た前記電気ニッケルめっきの表面に、光沢剤を含むめっき浴を用いる光沢電気めっきによって前記硬質電気金めっきを施す硬質電気金めっき工程とを具備することを特徴とする第7の発明の接触端子付き基板の製造方法を提供する。
第9の発明は、前記梨地処理工程にて、前記硬質電気金めっきに、該硬質電気金めっき表面に入射角45度で照射した入射光の反射光を受光器で受光して、前記入射光に対する反射角45±25度の角度範囲について反射光強度分布を解析した場合に、反射角45±25度の範囲の全受光量Aと、反射角45±3度の範囲の全受光量BとがB/A≦0.4を満たす梨地表面を形成することを特徴とする第7又は第8の発明の接触端子付き基板の製造方法を提供する。
第10の発明は、前記接触端子をバフ研磨する研磨工程を行ってから前記めっき工程を行うことを特徴とする第7〜9のいずれかの発明の接触端子付き基板の製造方法を提供する。
【0006】
硬質電気金めっきとしては、金以外の異種金属として、コバルト、鉄、ニッケル、インジウムから選択される1以上を微量に含むものである。硬質電気金めっき(硬質電気金めっき膜)に含まれる前記異種金属の含有量は0.05%〜1%(重量%)の範囲である。
【0007】
本発明では、接触端子に施した硬質金めっきの表面を梨地処理(例えば、ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理)して、梨地表面を有する硬質電気金めっき膜を得る。
硬質電気金めっき表面は、梨地処理前は高い光反射率を有しているが、梨地処理によって照射光の散乱率が高められる。梨地処理によって、微細な凹凸を均一に形成させた、艶消し仕上げの梨地表面が得られる。その結果、いわば半光沢の状態となる。
硬質電気金めっき表面が梨地仕上げであることによって光沢ムラが抑制され、外観の光沢が均一な端子(硬質金めっき付き接触端子)を持つ接触端子付き基板、ICメモリーカードを提供することができる。
なお、本明細書において、光沢が均一、とは、目視においてどの方向から見ても光沢ムラが殆どあるいは全く確認できない状態を指す。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外観の光沢が均一な端子(硬質金めっき付き接触端子)を持つ接触端子付き基板、ICメモリーカードを提供することができる。製造上、外観の光沢が不均一であることのみを原因とする不良品の処理数を減少させることができ、製造コストの低減を実現できる。外観の光沢が均一な端子(硬質金めっき付き接触端子)によって、ICメモリーカードの品質イメージの確保に有効に寄与する。
また、硬質電気金めっきを表層とするめっき膜で被覆された接触端子(硬質金めっき付き接触端子)であれば、目視で目立つような傷が付きにくいため、製品の搬送等における端子表面の保護を簡素化できるといった利点もある。
また、本発明によれば、硬質電気金めっきの梨地表面によって、外観の光沢の均一化を図る構成は、光沢の均一化を低コストで簡単に実現できる。硬質電気金めっき表面の梨地処理によって光沢の均一化を図る構成であれば、例えば、半光沢電気めっきのように構成が複雑で扱いが難しいめっき浴を使用して半光沢めっきを得る場合に比べて、光沢の均一化を容易に実現できる。また、低コスト化も容易に実現できる。めっき工程に特別な工夫、調整等を要することなく、手間及びコストを抑えながら光沢の均一化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施した接触端子付き基板、ICメモリーカード、接触端子付き基板の製造方法について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、接触端子付き基板1を外装ケース2内に組み込んでなるICメモリーカード3の一例を示す図、図2は接触端子付き基板1に設けられている硬質金めっき付き接触端子11(以下、硬質金めっき端子とも言う)付近を拡大して示した斜視図、図3(a)、(b)は硬質金めっき端子11付近の構造を拡大して示した断面図、図4(a)、(b)は別態様の硬質めっき端子の構造を示す断面図、図5は硬質めっき端子11の構造を示す拡大断面図である。
なお、本明細書においては、図2〜図5において、上側を上、下側を下として説明するが、これは本発明の構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に「上」、「下」を規定したものであり、本発明を実施する場合の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0011】
図1、図2に示すように、接触端子付き基板1は、硬質金めっき端子11及び配線12を具備する配線基板である。図中、符号13は電気絶縁性の絶縁樹脂板であり、硬質金めっき端子11及び配線12は絶縁樹脂板13の主面に設けられている。
【0012】
ICメモリーカード3において、接触端子付き基板1の硬質金めっき端子11は、外装ケース2に形成された窓21を介して外装ケース2の外側から目視可能になっている。
硬質金めっき端子11は、メモリーカード3を電子機器のコネクタ部のスロットに差し込んだときに、スロット内に設けられている弾性片端子と接触される。弾性片端子は、外装ケース2の窓21を介して硬質金めっき端子11と接触する。また、メモリーカード3のスロットに対する挿抜操作によって、硬質金めっき端子11が弾性片端子に対して接離する。
【0013】
接触端子付き基板1の硬質金めっき端子11は、絶縁樹脂板13上に配線12と該配線12に連続して形成されたパッド状(ランド状)の接触端子14(図3(a)、(b)参照。以下、端子部とも言う)とを有する配線基板(以下、端子部付き配線基板とも言う)の前記接触端子14に、硬質電気金めっき(図3(a)、(b)中、符号15b)を表層とするめっき膜(図3(a)、(b)中、符号15)が形成され、前記硬質電気金めっき表面が梨地状とされているものである。
【0014】
前記端子部付き配線基板は、プリント配線板の製造に適用される周知の製造方法を適用して作製できる。
端子部付き配線基板では、端子部(接触端子14)を含む配線部に銅が使用される。この配線部(配線12と接触端子14とで構成)は、例えば、銅張積層板の表層の銅箔のパターンエッチング、あるいは、絶縁樹脂板への回路パターンのパターンめっき等によって得ることができる。
【0015】
硬質金めっき端子11は、前記端子部付き配線基板の接触端子14の表面をバフ研磨(研磨工程)した後、接触端子14に、硬質電気金めっき15b(以下、硬質電気金めっき膜とも言う)を表層とするめっき膜15を形成(以下、めっき工程とも言う)し、次いで、硬質電気金めっき15bの表面を、ジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理によって梨地状とする(梨地処理。以下、梨地処理工程とも言う)ことで得られる。
なお、めっき膜15及び該めっき膜15を形成するめっき工程の詳細は後述する。
【0016】
めっき工程について図3(a)、(b)、図5を参照して説明する。
ここでは、めっき工程にて、高光反射率の光沢表面(梨地処理前の表面)を有する硬質電気金めっき15bを表層とするめっき膜15を形成する場合について説明する。
このめっき工程では、研磨工程にて表面研磨後の前記接触端子14に、光沢剤を含むめっき浴での光沢電気めっきによって電気ニッケルめっき15a(ニッケルめっき。以下、光沢電気ニッケルめっきとも言う)を施す(ニッケルめっき工程)。次いで、電気ニッケルめっき15aの表面に、光沢剤を含むめっき浴での光沢電気めっきによって硬質電気金めっき15b(以下、光沢硬質電気金めっきとも言う)を施す(硬質金めっき工程)。
【0017】
ニッケルめっき工程、硬質金めっき工程にて用いるめっき浴、光沢剤としては、電気めっき(光沢電気めっき)で使用される周知のものを採用できる。ニッケルめっき工程では例えばワット浴を採用することが好ましい。
このめっき工程により、前記接触端子14に施された電気ニッケルめっき15aと、この電気ニッケルめっき15aを覆うように施された硬質電気金めっき15bとを具備する多層のめっき膜15が形成される。以下、めっき膜15を多層めっき膜とも言う。
なお、電気ニッケルめっき15aの膜厚は1〜25μm、硬質電気金めっきの膜厚は0.2〜1.5μmであることが好ましい。
【0018】
図3(a)、(b)では、パッド状の接触端子14の端子面14a(絶縁樹脂板13とは反対側の面。上面)を含む表面全体に形成(めっき膜15で被覆)した構成の硬質金めっき端子11を例示している。硬質金めっき端子11には、接触端子14の端子面14aを被覆する硬質電気金めっき15b(硬質電気金めっき15bにおいて、接触端子14の端子面14aを被覆した部分)によって、メモリーカード3を電子機器のコネクタ部のスロットに差し込んだときにスロット内に設けられている弾性片端子と接触される、平坦な接触端子面15cが形成されている。
【0019】
但し、本発明では、図4(a)、(b)に示すように、パッド状の接触端子14の端子面14a(絶縁樹脂板13とは反対側の面。上面)のみにめっき膜15を形成(めっき膜15で被覆)した構成の硬質金めっき端子11(図中、区別のため符号11Aを付す)も可能である。接触端子14の外周の端面にはめっき膜15を形成していない。
なお、接触端子14の端子面14aのみにめっき膜15を形成した構成は、例えば、めっきレジストの使用等によって容易に得られる。
【0020】
図3(a)、(b)、図4(a)、(b)に示すように、硬質金めっき端子11は、外観パッド状に形成されており、平坦な接触端子面15cを持つ。この硬質金めっき端子11を用いて構成したICメモリーカード3においては、硬質金めっき端子11の接触端子面15cの光沢の均一性が、視覚的に、ユーザーの品質イメージに与える影響が大きい。
このため、図3(a)、(b)のように、接触端子14の外周の端面を含む表面全体を被覆するめっき膜15を形成した場合も、硬質電気金めっき15bの内、接触端子14の端子面14a上に積層(端子面14aを被覆)するように形成された部分の表面(接触端子面15c)に光沢の均一性を確保することが肝要である。めっき工程にて得た硬質電気金めっき15bに梨地表面を得るための梨地処理は、その処理対象領域に接触端子面15cを含むことを必須とし、接触端子面15cの光沢を均一化するべく実施する。
【0021】
梨地処理工程では、既述のように、ジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理を採用する。ジェットスクラブ処理および液体ホーニング処理は酸化アルミニウムや炭化ケイ素などの砥粒を水に分散させた液体を被処理物の表面に噴射させて被処理物表面に付着している異物の洗浄や被処理物表面に微細な凹凸面を与える方法である。
【0022】
ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理であれば、硬質電気金めっき15bの表面(具体的には接触端子面15c)全体の均等な梨地処理を容易に実現できる。つまり、硬質電気金めっき15b表面への砥粒の衝突により硬質電気金めっき15b表面に極めて微細な凹凸を形成するため、接触端子面15cの外周部においても、外周部よりも内側の部分と同様の処理(凹凸の形成)を行える。
【0023】
例えばバフロール研磨では一方向に方向性を持つ研磨筋が発生するが、ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理の場合は方向性の無い凹凸形成が可能である。また、バフロール研磨の場合は、接触端子面15cの外周部が接触端子面15cの中央部に比べてバフロールの接触圧が高くなる傾向が避けられず、接触端子面15c全体の均等な梨地処理を実現することは困難である。これに対して、ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理の場合は、接触端子面15cの外周部においても、外周部よりも内側の部分と同様の処理(凹凸の形成)を行えるため、接触端子面15c全体の均等な梨地処理を容易に実現できる。
【0024】
この梨地処理工程によって、硬質金めっき端子11の表層の硬質電気金めっき15bの梨地表面が得られる。
なお、ジェットスクラブや液体ホーニングは接触端子付き基板1を静止させた状態で処理することもできるが、接触端子付き基板1を搬送しながら処理する方法が生産性が高いので望ましい。
【0025】
次に、硬質金めっき端子11の表面(具体的には接触端子面15c)の光反射特性(以下、単に反射特性とも言う)について説明する。
図6は、反射特性を測定するための装置(反射特性測定装置4)を示す。
図6中、符号41は光照射器、42は受光器、43は支持台である。
支持台43には、供試品(ここでは接続端子付き基板1)を着脱可能に保持するためのホルダ(図示略)が設けられている。
【0026】
図6は、支持台43に接続端子付き基板1をセットした状態を示す。
但し、この反射特性測定装置4は、例えば、支持台43に、後述の比較例1、2の光沢硬質金めっき端子を具備する配線基板をセットすることで、光沢硬質金めっき端子の接触端子面の反射特性測定にも利用できる。
【0027】
この反射特性測定装置4を使用して硬質金めっき端子11表面(硬質電気金めっき15b表面)の反射特性を調べる反射特性測定は、光照射器41から、接触端子面15c(具体的には接触端子面15c)に入射角45度の入射光44を照射し、この入射光が硬質電気金めっき15b表面で反射した反射光45を受光器42で受光して反射光強度分布を解析する。
【0028】
入射光44の接触端子面15cに対する入射角は45度で固定する。入射光44は光照射器41から細いビーム状に出力されて硬質電気金めっき15b表面に照射される。
図6中、符号46は、硬質電気金めっき15b表面における入射光44の照射点であり、詳細には、入射光44の光軸と硬質電気金めっき15b表面(接触端子面15c)との交点である。
図中、符号47は、前記照射点46を通り接触端子面15cに垂直の仮想垂直線である。入射角45度の入射光44は、この仮想垂直線47に対する傾斜角度α(入射角)が45度である。
受光器42は、図示略の移動装置によって、前記照射点46を中心とする円周上を移動させる。受光器42が移動する円周は、仮想垂直線47及び入射光44の光軸と重なる仮想平面内にある。
【0029】
上述の反射特性測定装置4を用いた接触端子付き基板1の硬質電気金めっき15b表面の反射特性測定は、接触端子面15cに入射角45度で入射光44を照射し、受光器42を前記照射点46を中心とする円周上を移動させて、仮想垂直線47に対して例えば1度刻みで受光データ(反射光強度。受光強度)を取得し、反射角45±25度の範囲の反射光強度分布を解析する。
【0030】
ここで、反射角は、仮想垂直線47を介して入射光44とは反対の側における、前記仮想垂直線47に対する角度(照射点46を中心とする仮想垂直線47に対する角度)を指す。詳細には、仮想垂直線47及び入射光44の光軸と重なる前記仮想平面内における、前記仮想垂直線47に対する角度である。この反射角は、照射点46を中心に、仮想垂直線47と重なる所を0度とし、仮想垂直線47を介して入射光44とは反対の側、つまり、図6において仮想垂直線47から右側の角度を言う。図6中、角度γは反射角45度を示す。また、図6中、照射点46を通り仮想垂直線47に垂直の仮想面15Sの、仮想垂直線47から右側の所が反射角90度である。
また、反射角45度は換言すれば入射角45度の入射光44(詳細にはその光軸)に対する傾斜角度が90度(照射点46を中心とする角度)、反射角45±25度の角度範囲は、換言すれば、前記入射光44に対する90±25度の角度範囲(照射点46を中心とする角度範囲)を意味する。
【0031】
反射特性測定では、受光器によって取得した反射角45±25度の範囲の受光データから、反射角45±25度の範囲の反射光分布を解析する。
上述の反射特性測定装置4を用いた反射特性測定については、照射点46を中心とする円周上に移動させる受光器42によって入射光44が接触端子面15cで反射した反射光45を受光し、取得した受光データから、仮想垂直線47に対する45±25度の角度範囲について反射光強度分布を解析する。受光器42による受光データの取得は、反射角45±25度を含む角度範囲について行う。
【0032】
本発明に係る接触端子付き基板1の硬質金めっき端子11の梨地処理済みの接触端子面15cは、上述の変角反射特性測定(以下、変角反射特性測定とも言う)を行った場合、反射角45±25度の角度範囲の全受光量Aと、反射角45±3度の角度範囲の全受光量BとがB/A≦0.4を満たす梨地表面である。
なお、全受光量A、Bは、それぞれ、かかる角度範囲において受光器42によって取得した受光量の合計値であり、例えば、照射点46を中心とする円周上を移動させた受光器42によって1度刻みで受光データを取得した場合は、全受光量Aは反射角45±25度の角度範囲における受光器42による1度刻みの取得データの合計値、全受光量Bは反射角45±3度の角度範囲における受光器42による1度刻みの取得データの合計値である。
【0033】
なお、前記照射点46を中心とする円周上での受光器42の移動による受光データの取得は1度刻みに限定されず、例えば、0.5度刻み、0.2度刻み等であっても良い。
また、仮想垂直線47に対して45±25度(入射光44に対して90±25度)の角度範囲(但し、前記仮想平面における角度範囲)の反射光強度分布の解析は、前記照射点46を中心とする円周上で移動させる受光器42による受光データの取得に限定されない。例えば、反射角45±25度の角度範囲における一部又は全部の受光データの取得を、光照射器41あるいは仮想垂直線47に対して定位置に設置した受光器によって行う構成としても良い。
【0034】
B/Aが0.4以下(B/A≦0.4)であれば、研磨工程のバフ研磨にて接触端子14表面に形成される研磨筋に起因する光沢ムラを光散乱によって目立たなくする効果が充分に得られ、光沢の均一化により品質イメージの確保に有効に寄与する。
【0035】
ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理であれば、例えば、砥粒の粒径の選択、砥粒の供給量の調整、硬質電気金めっき15b表面に対する衝突速度の調整等によって、硬質金めっき15b表面に形成する凹凸の大きさや密度等を容易に調整できる。このため、B/A≦0.4の反射特性を持つ硬質電気金めっき15bの梨地表面を容易に得ることができる。
【0036】
硬質金めっき端子11の硬質電気金めっき15b表面が、ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理といった梨地処理を施して得た梨地表面である構成は、接触端子面15cの外観の光沢の均一化に有効に寄与する。
例えば、接触端子に金めっきを施した後、梨地処理を行わない場合(既述の従来技術)は、めっき前のバフ研磨工程によって接触端子に形成された微細な研磨筋が、接触端子を覆うように形成した金めっき表面状態に影響を与え、これが金めっき表面の光沢ムラの原因となる。
【0037】
これに対して、本発明では、硬質金めっき工程にて接触端子14に施した硬質電気金めっき15b(光沢硬質電気金めっき)の高光反射率を有する表面を梨地処理して光散乱率を高め、いわば半光沢の状態とする。梨地表面は、微細な凹凸を均一に形成させた、艶消し仕上げとなる。このため、照射光の散乱によって、研磨工程にて接触端子14表面(詳細には端子面14a)に形成された研磨筋に起因する光沢ムラを目立たなくする、あるいは、目視確認が困難な程度に解消することができる。その結果、接触端子面15cの光沢を均一化することができる。
【0038】
前記研磨工程では、端子部付き配線基板の端子部(接触端子14。以下も同じ)とめっき膜15との密着力の確保や端子部表面の汚染物等除去のために、端子部表面に研磨を施す。この研磨には、円盤形のバフあるいはロール形バフ(バフロール)を具備する研磨装置が使用される。そのため研磨装置のバフの回転方向に沿って端子部表面に研磨筋が形成される。
研磨筋が形成された端子部表面にニッケルめっき(電気ニッケルめっき)、次いで硬質電気金めっきを施しても、硬質電気金めっき表面に研磨筋が残るケースが生じやすい。硬質電気金めっき表面に研磨筋が残った場合、梨地処理前の硬質電気金めっき表面は、研磨筋方向と研磨筋に直角の方向とで光沢が異なるようになり、光沢が不均一となる。
【0039】
しかしながら、本発明では、硬質金めっき工程にて接触端子14に施した硬質電気金めっき15b(光沢硬質電気金めっき)表面について行う梨地処理は、ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理によって方向性の無い凹凸形成が可能であり、この梨地処理を行うことで、梨地処理前の硬質電気金めっきに存在した研磨筋の影響を殆ど無くすことができる。したがって、梨地処理の結果、研磨筋の方向に関係無く、研磨筋に起因する光沢ムラを目立たなくする、あるいは、目視確認が困難な程度に解消することができる。
その結果、研磨筋方向及び研磨筋に直角の方向のいずれについても、目視で容易に視認できるような光沢ムラを無くすことができ、硬質電気金めっき15b表面の光沢を均一化することができる。
【0040】
接触端子14と硬質電気金めっき15bとの間に光沢電気ニッケルめっき15aを介在させることは、硬質金めっき工程にて接触端子14に施した硬質電気金めっき15b(光沢硬質電気金めっき)の表面(梨地処理前の表面)の光沢、光反射率の確保に有効に寄与するものである。
また、電気ニッケルめっき15aは、接触端子14に対する硬質電気金めっき膜15bの接着性を高め、剥がれにくくする機能を果たす。
【0041】
また、光沢電気ニッケルめっき15aは、一般に、光沢剤の作用によって硬質のめっき膜が得られる。このため、硬質金めっき工程にて得た硬質電気金めっき膜15bにジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理といった梨地処理を施す際に、硬質電気金めっき膜15bに必要以上の予期しない大きい変形が生じてしまうといった不都合を防止できる。その結果、砥粒供給量等の梨地処理の処理条件の設定による硬質電気金めっき膜15b表面の反射特性の調整を精度良く行えるようになり、B/A≦0.4の反射特性を持つ梨地表面の形成を容易に得られるようになる。
【0042】
硬質のニッケルめっき15a(光沢電気ニッケルめっき)は、硬質電気金めっき15bの変形防止に有効に寄与するため、例えば、電子機器のコネクタ部の弾性片端子が硬質金めっき端子11に弾性接触することによる接触痕の発生抑制、といった効果も得られる。
硬質金めっき端子11の表層の硬質電気金めっき15bは、既述の通り、コバルト、鉄、ニッケル、インジウムといった異種金属を0.05%〜1%(重量%)の範囲で含むものであり、いわゆる純金めっき(金純度99.9%以上の電気金めっき。但し、上述の異種金属を含まない)に比べて格段に高い硬度を持つ。硬質金めっき端子11は、表層が硬質電気金めっき15bであることに加えて、硬質の電気ニッケルめっき15a(ニッケルめっき)を具備する多層めっき膜15の採用により、硬質電気金めっき15bの変形、傷付きが生じにくくなり、長期の美観維持が可能である。
【0043】
電気めっきによって形成した硬質電気金めっき15b表面の梨地処理によって、硬質電気金めっき15b表面(具体的には接触端子面15c)の光沢の均一化を図る構成であれば、例えば、接触端子に半光沢電気めっきを施す場合(特に、接触端子に形成するめっき膜の表層として半光沢電気めっきを施す場合)に比べて、めっき膜表面の光沢の均一化を低コストで簡単に実現できる。
【0044】
半光沢電気めっきは、光沢電気めっきに比べて構成が複雑なめっき浴を必要とする。電流密度等のめっき条件の調整も複雑であり、光沢電気めっきに比べて手間とコストを要する。
これに対して、接触端子14に施した硬質電気金めっき15b表面の梨地処理によって、硬質金めっき端子11表面の光沢の均一化を図る構成であれば、接触端子14に形成するめっき膜15の構成の制約が小さい。既述の多層めっき膜15のように、光沢電気めっきによって得られるめっき膜15を採用した場合でも硬質金めっき端子11表面の光沢の均一化を図ることができる。
【0045】
例えば、光沢電気ニッケルめっき用のワット浴は、通常の電気ニッケルめっき用のワット浴に光沢剤を添加することで得られることが一般的であり、半光沢電気めっきに比べてワット浴構成以外の電流密度等のめっき条件の調整も複雑では無い。
一般に光沢電気めっき用の光沢剤は、通常の電気めっき用のめっき浴に添加しても、めっき浴構成以外の電流密度等のめっき条件に大きな影響を与えない設計となっている。しかしながら、半光沢電気めっきでは、光沢剤の調整が難しく、めっき浴も特別な構成のものを必要とするため、通常の電気めっき用のめっき浴を使用できないことが一般的である。
このため、硬質電気金めっき15b表面の梨地処理によって、接触端子面15cの光沢の均一化を図る構成であれば、半光沢電気めっきを施す場合に比べて、接触端子面15cの光沢の均一化を低コストで簡単に実現できる。
【0046】
次に、実施例1、比較例1、2を用いて、硬質電気金めっき15b表面の梨地処理前、梨地処理後の反射特性の対比、梨地処理による光沢均一化の効果を検証する。
まず、比較例1、2について説明し、次いで、実施例1を説明する。
【0047】
(比較例1)
日立化成工業(株)製の樹脂層の厚さ0.2mm、銅箔の厚さ18μmの銅張積層板(商品名:E−67)を準備した。所望の個所にNCドリル加工装置を使用して貫通穴を加工し厚さ15μmの電気銅めっきを行った。次に電気銅めっきの表面をバフ研磨、酸洗浄した後、ドライフィルムタイプのエッチングレジストをラミネートし、諸物パターンを紫外線露光し、更に現像してエッチングレジストパターンを形成した。次に塩化鉄−塩酸系の銅エッチング液と接触させてエッチングレジストで覆われていない個所の銅箔を溶解除去して銅配線パターンを形成した。これにより、配線及び該配線に連続するパッド状の接触端子とを具備する端子部付き配線基板を得た。
【0048】
次にソルダーレジスト膜を形成した。但し、ソルダーレジスト膜は接触端子を避けて、接触端子の端子面14aを覆わないように形成した。
次にソルダーレジストで覆われていない接触端子表面をバフ研磨した後、接触端子に厚さ5μmの電気ニッケルめっきを施し、続いて厚さ0.5μmの硬質電気金めっきを施した。但し、電気ニッケルめっき、硬質電気金めっきは、光沢剤(有機化合物光沢剤)を含むめっき浴を用いる光沢電気めっき法を採用して、光沢電気ニッケルめっき、光沢硬質電気金めっきを施した。得られためっき付きの端子を、以下、光沢硬質金めっき端子と称して説明する。この光沢硬質金めっき端子は、表層の光沢硬質電気金めっきによって光沢表面を有する。また、この光沢硬質金めっき端子は、平坦な接触端子面を有する外観パッド状である。
【0049】
光沢硬質金めっき端子を具備する配線基板を反射特性測定装置にセットして、光沢硬質金めっき端子の接触端子面について既述の変角反射特性測定を行った。測定装置(反射特性測定装置)は(株)村上色彩技術研究所製の三次元変角光度計GP−200を使用した。光源には照射面積の小さいφ0.9mm(入射光であるレーザビームの径)のレーザ光源を使用した。入射角を45度(図6の角度α)に固定し、受光器42によって、反射角45±25度の角度範囲の受光量(受光強度。換言すれば反射光強度)を1度刻みで測定した。入射光は、光沢硬質金めっき端子の接触端子面における光沢ムラの箇所を選択して照射した。
この測定は、接触端子の端子面14a(例えば図3(a)、(b)参照)の研磨方向(研磨筋に沿った方向)と、研磨方向に対する直角方向とについてそれぞれ行った。研磨方向の測定は、入射光を、端子面14aに垂直かつ研磨筋に沿う仮想垂直面と平行となる向き(仮想垂直線47(図6参照)及び入射光44の光軸と重なる仮想平面の向きを研磨筋に揃える)で端子面14aに照射して変角反射特性測定を行うものである。研磨方向に対する直角方向の測定は、仮想垂直線47(図6参照)及び入射光44の光軸と重なる仮想平面が研磨筋に対して垂直となる向きで入射光を端子面14aに照射して変角反射特性測定を行うものである。
【0050】
測定データから、反射角45±25度の角度範囲の全受光量Aにおいて、反射角45±25度の角度範囲の全受光量Bが占める割合B/Aを求めた。図7、図8に、反射角45±25度の角度範囲の反射光強度分布を示す。図7は、研磨方向の測定結果、図8は研磨方向に対する直角方向の測定結果である。
反射角45±25度の角度範囲は、光沢硬質金めっき端子の接触端子面を基準面(図6の仮想面15Sを参照)としたときの該基準面に対する傾斜角度(以下、受光角とも言う)で表せば20〜70度の角度範囲である。図7、図8では、横軸に受光角の角度、縦軸に反射光強度を採り反射光強度分布を示した。
なお、図9〜図11についても、横軸が受光角の角度、縦軸が反射光強度である。
【0051】
また、変角反射特性測定の測定結果と、光沢硬質金めっき端子の光沢の目視確認結果を表1に記載した。なお、表1には、後述の比較例2、実施例1の端子の接触端子面の変角反射特性測定の測定結果、及び、光沢の目視確認結果も記載した。
【0052】
【表1】
【0053】
表1、図7、図8から明らかなように、比較例1では受光角20〜70度の角度範囲の全受光量Bが受光角20〜70度の角度範囲の全受光量Aに占める割合B/Aが高く、光沢表面であることが確認できた。研磨方向と研磨方向に直角の方向のいずれについても、受光角45度(図6の角度γ参照)付近をピークとする反射光強度分布が得られる。但し、研磨方向の測定結果に比べて研磨方向に直角の方向の測定結果の方が、B/Aの値がかなり大きくなっており、研磨方向の測定結果と研磨方向に直角の方向の測定結果とで反射特性に大きな差が認められた。また、研磨方向、研磨方向に対する直角方向のいずれについても、反射特性は、B/A≦0.4を満たしていなかった。
【0054】
(比較例2)
比較例1で作製した光沢めっき端子表面(接触端子面)について、別途、光沢ムラの個所(光沢ムラ部分。見る方向によって光反射の強さが異なって見える個所。)と、光沢ムラ部分以外の個所(光沢ムラが視認されない箇所。以下、正常部)とを選択して、比較例1と同じ方法で反射特性を測定した。光沢ムラ部分と正常部とについて、それぞれ、研磨方向に対する直角方向の反射光強度と研磨方向の反射光強度の差(ΔH)を算出した。図9に、この反射光強度差(ΔH)の、受光角20〜70度の角度範囲における分布を示す。光沢ムラ部分、正常部では、いずれも、研磨方向の測定結果、研磨方向に対する直角方向の測定結果の内、一方が他方よりも受光角20〜70度の角度範囲全体にわたって反射光強度の値が大きくなっていた。
表1および図9から明らかなように、光沢ムラの個所(図9中「光沢ムラ」のグラフ)は正常部の個所と比べて反射光強度差(ΔH)が格段に大きく、正常部の個所と比べて反射特性に大きな差が認められた。光沢硬質金めっき端子表面の場所における反射特性の差が外観の光沢ムラの原因であることが判った。
なお、光沢ムラの個所、正常部の測定データは、研磨方向、研磨方向に対する直角方向のいずれについても既述のB/Aは0.4よりも大きく、B/A≦0.4を満たしていなかった。
【0055】
(実施例1)
比較例2と同じ光沢ムラを含む光沢硬質金めっき端子表面にジェットスクラブ処理を行い、梨地表面を有する硬質金めっき端子を得た。ジェットスクラブ装置は(株)石井表記製を使用した。砥粒には粒径範囲が104μm〜50μmの商品名サクランダム#220を用いた。スプレー圧0.2MPa、搬送速度2.5m/分の条件で処理した。
比較例1と同じ条件で反射特性を測定した。得られた反射光強度分布のグラフを図10および図11に示す。図10は研磨方向の測定結果、図11は研磨方向に対する直角方向の測定結果である。
【0056】
研磨方向、研磨方向に対する直角方向のいずれについても、B/A≦0.4を満たす反射特性が得られていることを確認できた。
また、表1、図10、図11の結果から、ジェットスクラブ処理を行うことによって、比較例1、2に比べて受光角45度±3度の角度範囲の反射光強度が相対的に低下し、それ以外の角度の反射光強度が相対的に増加していることが判った。ジェットスクラブ処理前に目視で光沢ムラが観察されていた個所とそれ以外の個所との反射特性の差がほとんど認められなかった。研磨方向、研磨方向に対する直角方向のいずれについても接触端子面の光沢ムラは目視では殆ど確認できない程度であり、どの方向から見ても外観の光沢が均一であった。
【0057】
上述のように、本発明によれば、硬質金めっき端子の接触端子面を、梨地処理によって、B/A≦0.4を満たす反射特性を持つ梨地表面とすることにより、接触端子面の光沢を均一化することができる。その結果、高い品質イメージを確保できる。
【0058】
図12は、絶縁樹脂板13の表面に、補強繊維51によってメッシュ状に形成された補強材52が樹脂中に埋め込まれてなる補強層53を備え、この補強層53上にパッド状の前記接触端子14、硬質金めっき端子11が形成されている構成の接触端子付き基板を示す。補強層53は、繰り返し挿抜による基板及び硬質金めっき端子11の局所的な変形を防止するものであり、絶縁樹脂板13の表面の内、接触端子14の形成位置に設けられる。配線12の形成位置に設ける必要は無い。
この場合、補強層53の補強繊維51の存在が、接触端子14に施した硬質電気金めっき15bの梨地処理前の表面状態に影響を与えて、接触端子面15cに、補強繊維51に対応する筋状の光沢ムラが観察されるケースがある。しかしながら、本発明では、硬質電気金めっき15b表面の梨地処理によって、接触端子面15cの光沢を均一にすることができる。このため、補強層53を設けても、接触端子面15cの美観を容易に確保できる。
【0059】
硬質金めっき端子としては、必ずしも、平坦な接触端子面を持つものに限定されず、例えば図13(a)に示す硬質金めっき端子11(区別のため、図中符号11Bを付す)ように、接触端子面が湾曲面になっているものも採用可能である。
例えば、端子部付き配線基板の端子部14へのめっき膜15の形成をセミアディティブ法で行う場合、めっき条件によっては、端子部14の周囲に形成したパターンめっきレジスト16の近傍で端子部14の端子面14aの中央部に比べてめっきが析出しにくい傾向が顕著になり、端子部14の端子面14a上に、凸曲面の接触端子面15cを持つめっき膜15が形成される。端子部14の端子面14aが長方形状の場合は、端子面14a上にめっき膜15が略半割り円柱状(いわゆる蒲鉾状)に形成される。この場合、接触端子面15cのジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理は、例えば端子部付き配線基板を傾動させて、砥粒を水に分散させた液体の接触端子面に対する照射角度を変えること等によって、接触端子面全体の梨地処理を実現できる。
【0060】
図13(b)に示すように、上述の硬質金めっき端子11Bについても、図6に例示した反射特性測定装置4を用いて反射特性測定を行える。
接触端子面15cに、入射光44を照射する照射点46を設定し、該照射点46において前記接触端子面15cに垂直の仮想垂直線47に対する傾斜角度(入射角)が45度の入射光44を接触端子面15cに照射する。入射光44はその光軸を照射点46に一致させる。そして、入射光44が接触端子面15cで反射した反射光を受光器42で受光して、反射角45±25度の角度範囲の反射光強度分布を解析する。
【0061】
本発明は、上記実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。
硬質金めっき端子11の表面の光沢の要求度が低く、光沢が乏しくても良い場合には、硬質電気金めっきとして、光沢硬質電気めっきを採用する必要は無く、光沢剤を含まないめっき浴での電気めっきによって得た硬質電気金めっきを採用することも可能である。この場合でも、硬質電気金めっき表面の梨地処理が、接触端子14にバフ研磨によって形成される研磨筋や既述の補強繊維が接触端子面の表面状態、美観に影響を与えることの抑制あるいは防止に寄与することは言うまでも無い。
また、本発明では、硬質電気金めっきの梨地表面によって、硬質金めっき端子の美観確保を容易に実現できることから、硬質電気金めっきを表層とするめっき膜を形成する前の接触端子表面の研磨の精度管理を緩和できる等の利点があり、研磨時間の短縮等が可能である。また、接触端子に清浄な表面が確保されている場合は、研磨工程を省略することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る1実施形態のICメモリーカードを示す図である。
【図2】本発明に係る1実施形態の接触端子付き基板に設けられている硬質金めっき端子付近を拡大して示した斜視図である。
【図3】図2の接触端子付き基板の硬質金めっき端子付近の構造を拡大して示した断面図であり、(a)は図2のA−A線断面矢視図、(b)は図2のB−B線断面矢視図である。
【図4】(a)、(b)は別態様の硬質金めっき端子の構造を示す断面図である。
【図5】硬質金めっき端子の構造を示す拡大断面図である。
【図6】反射特性測定装置の構成を示す図である。
【図7】比較例1の光沢硬質金めっき端子の接触端子面の研磨方向における光反射特性の測定結果を示すグラフである。
【図8】比較例1の光沢硬質金めっき端子の接触端子面の研磨方向に対する直角方向における光反射特性の測定結果を示すグラフである。
【図9】比較例2の光反射特性の測定結果を示すグラフであり、光沢硬質金めっき端子の光沢ムラ部分と正常部とについて、接触端子面の研磨方向に対する直角方向における光反射特性を測定した結果を示す。
【図10】実施例1の光沢硬質金めっき端子の接触端子面の研磨方向における光反射特性の測定結果を示すグラフである。
【図11】実施例1の光沢硬質金めっき端子の接触端子面の研磨方向に対する直角方向における光反射特性の測定結果を示すグラフである。
【図12】補強繊維からなるメッシュ状の補強材が樹脂中に埋設されている補強層を具備する接触端子付き基板の例を示す断面図である。
【図13】(a)は湾曲面(凸曲面)の接触端子面を持つ硬質金めっき端子、該硬質金めっき端子を具備する接触端子付き基板の例を示す図、(b)は図13(a)の硬質金めっき端子の反射特性特性を説明する図である。形成する
【符号の説明】
【0063】
1…接触端子付き基板、11…硬質金めっき端子、12…配線、13…絶縁樹脂板、14…接触端子、14a…端子面、15…めっき膜、15a…ニッケルめっき、電気ニッケルめっき(光沢電気ニッケルめっき)、15b…硬質金めっき(光沢硬質電気金めっき)、15c…接触端子面、16…パターンめっきレジスト、2…外装ケース、21…窓、3…ICメモリーカード、4…反射特性測定装置、42…受光器、51…補強繊維、52…補強材、53…補強層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICメモリーカード用の接触端子付き基板、この接触端子付き基板を具備してなるICメモリーカード、接触端子を具備する接触端子付き基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICメモリーカードは書き込みや読み出しのための駆動装置を必要としないので低消費電力型の記憶媒体である。また軽量、薄型、小型であるため携帯用電子機器、例えばデジタルカメラ、携帯音楽プレーヤー、電子辞書、携帯電話、携帯情報端末等に広く用いられている。また、パソコン、プリンタ等の機器に、ICメモリーカードの接続用のコネクタ部を設けることも広く普及している。
ICメモリーカードとしては種々の呼称のものがあるが、いずれも半導体メモリを記憶媒体に使用したものである。これらのICメモリーカードには電子機器(例えば、既述の携帯用電子機器、パソコン、プリンタ等)との接続のために接触型の端子が複数設けられている。
例えば特許文献1にはメモリーカードの接触端子の例が開示されている。接触端子表面には接触抵抗が低く接触抵抗の変化が少ない金属である金めっき膜が施されている。ICメモリーカードは電子機器のコネクタ部に挿入して使用される。メモリーカードはコネクタ部に設けられているスロットに挿抜可能に差し込まれる。メモリーカードがスロットに差し込まれると、メモリーカードの接触端子が、スロット内に設けられている弾性片端子と接触される。これにより、電子機器内の電子回路とICメモリーカード側の配線との電気導通が確保される。
また、端子は使用者の目に触れる露出した形でICメモリーカードに設けられていることが一般的である。
【特許文献1】特開2002−26478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の通りICメモリーカードの接触端子表面には金めっきが施されている。この金めっきは、光沢剤を含むめっき浴を使用した光沢電気金めっきによって接触端子表面に施すことが一般的である。金めっきは製品の品質イメージに強い影響を与える因子の一つである。接点としての機能に問題が無くても外観が均一でないものは不良品として排除される。高価な金めっきを施した後に不良品になるので製造コストへの影響は大きい。
金めっきの外観が不均一になる原因としては、めっき前の接触端子表面のバフ研磨工程によって形成される微小な研磨筋が金めっきの表面状態に影響を与えることが挙げられる。しかしながら研磨筋の影響を解消することは容易ではない。このため、低コストで実現できる有効な対策が求められていた。
【0004】
本発明は、上述の課題に鑑みて、端子表面の外観の均一性を低コストで安定に確保できるICメモリーカード用の接触端子付き基板、この接触端子付き基板を具備してなるICメモリーカード、接触端子を具備する接触端子付き基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
第1の発明は、ICメモリーカード用の接触端子付き基板であって、配線基板に設けられた接触端子が硬質電気金めっきを表層とするめっき膜で被覆され、前記硬質電気金めっきの表面が梨地状とされていることを特徴とする接触端子付き基板を提供する。
第2の発明は、前記硬質電気金めっき表面は、該硬質電気金めっき表面に入射角45度で照射した入射光の反射光を受光器で受光して、前記入射光に対する反射角45±25度の角度範囲について反射光強度分布を解析した場合に、反射角45±25度の範囲の全受光量Aと、反射角45±3度の範囲の全受光量BとがB/A≦0.4を満たす梨地表面であることを特徴とする第1の発明の接触端子付き基板を提供する。
第3の発明は、梨地状表面を有する前記硬質電気金めっきが、光沢電気めっきによって得られた硬質電気金めっき膜の表面を、ジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理によって梨地状としたものであることを特徴とする第1又は第2の発明の接触端子付き基板を提供する。
第4の発明は、前記めっき膜が、前記接触端子の表面に形成されたニッケルめっきと、このニッケルめっきを覆うように形成された前記硬質電気金めっきとを具備する多層めっき膜であることを特徴とする第1〜3のいずれかの発明の接触端子付き基板を提供する。
第5の発明は、前記配線基板は、絶縁樹脂板の表面に、補強繊維によってメッシュ状に形成された補強材が樹脂中に埋め込まれてなる補強層を備え、パッド状の前記接触端子が前記補強層上に形成されていることを特徴とする第1〜4のいずれかの発明の接触端子付き基板を提供する。
第6の発明は、第1〜5のいずれかの発明の接触端子付き基板を具備することを特徴とするICメモリーカードを提供する。
第7の発明は、硬質電気金めっきを表層とするめっき膜で被覆された接触端子を具備する接触端子付き基板の製造方法であって、配線基板に設けられている接触端子に、硬質電気金めっきを表層とするめっき膜を形成するめっき工程と、前記硬質電気金めっきの表面を、ジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理によって梨地状とする梨地処理工程とを具備することを特徴とする接触端子付き基板の製造方法を提供する。
第8の発明は、前記めっき工程は、光沢剤を含むめっき浴を用いる光沢電気めっきによって前記接触端子に電気ニッケルめっきを施すニッケルめっき工程と、前記ニッケルめっき工程にて得た前記電気ニッケルめっきの表面に、光沢剤を含むめっき浴を用いる光沢電気めっきによって前記硬質電気金めっきを施す硬質電気金めっき工程とを具備することを特徴とする第7の発明の接触端子付き基板の製造方法を提供する。
第9の発明は、前記梨地処理工程にて、前記硬質電気金めっきに、該硬質電気金めっき表面に入射角45度で照射した入射光の反射光を受光器で受光して、前記入射光に対する反射角45±25度の角度範囲について反射光強度分布を解析した場合に、反射角45±25度の範囲の全受光量Aと、反射角45±3度の範囲の全受光量BとがB/A≦0.4を満たす梨地表面を形成することを特徴とする第7又は第8の発明の接触端子付き基板の製造方法を提供する。
第10の発明は、前記接触端子をバフ研磨する研磨工程を行ってから前記めっき工程を行うことを特徴とする第7〜9のいずれかの発明の接触端子付き基板の製造方法を提供する。
【0006】
硬質電気金めっきとしては、金以外の異種金属として、コバルト、鉄、ニッケル、インジウムから選択される1以上を微量に含むものである。硬質電気金めっき(硬質電気金めっき膜)に含まれる前記異種金属の含有量は0.05%〜1%(重量%)の範囲である。
【0007】
本発明では、接触端子に施した硬質金めっきの表面を梨地処理(例えば、ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理)して、梨地表面を有する硬質電気金めっき膜を得る。
硬質電気金めっき表面は、梨地処理前は高い光反射率を有しているが、梨地処理によって照射光の散乱率が高められる。梨地処理によって、微細な凹凸を均一に形成させた、艶消し仕上げの梨地表面が得られる。その結果、いわば半光沢の状態となる。
硬質電気金めっき表面が梨地仕上げであることによって光沢ムラが抑制され、外観の光沢が均一な端子(硬質金めっき付き接触端子)を持つ接触端子付き基板、ICメモリーカードを提供することができる。
なお、本明細書において、光沢が均一、とは、目視においてどの方向から見ても光沢ムラが殆どあるいは全く確認できない状態を指す。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外観の光沢が均一な端子(硬質金めっき付き接触端子)を持つ接触端子付き基板、ICメモリーカードを提供することができる。製造上、外観の光沢が不均一であることのみを原因とする不良品の処理数を減少させることができ、製造コストの低減を実現できる。外観の光沢が均一な端子(硬質金めっき付き接触端子)によって、ICメモリーカードの品質イメージの確保に有効に寄与する。
また、硬質電気金めっきを表層とするめっき膜で被覆された接触端子(硬質金めっき付き接触端子)であれば、目視で目立つような傷が付きにくいため、製品の搬送等における端子表面の保護を簡素化できるといった利点もある。
また、本発明によれば、硬質電気金めっきの梨地表面によって、外観の光沢の均一化を図る構成は、光沢の均一化を低コストで簡単に実現できる。硬質電気金めっき表面の梨地処理によって光沢の均一化を図る構成であれば、例えば、半光沢電気めっきのように構成が複雑で扱いが難しいめっき浴を使用して半光沢めっきを得る場合に比べて、光沢の均一化を容易に実現できる。また、低コスト化も容易に実現できる。めっき工程に特別な工夫、調整等を要することなく、手間及びコストを抑えながら光沢の均一化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施した接触端子付き基板、ICメモリーカード、接触端子付き基板の製造方法について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、接触端子付き基板1を外装ケース2内に組み込んでなるICメモリーカード3の一例を示す図、図2は接触端子付き基板1に設けられている硬質金めっき付き接触端子11(以下、硬質金めっき端子とも言う)付近を拡大して示した斜視図、図3(a)、(b)は硬質金めっき端子11付近の構造を拡大して示した断面図、図4(a)、(b)は別態様の硬質めっき端子の構造を示す断面図、図5は硬質めっき端子11の構造を示す拡大断面図である。
なお、本明細書においては、図2〜図5において、上側を上、下側を下として説明するが、これは本発明の構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に「上」、「下」を規定したものであり、本発明を実施する場合の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0011】
図1、図2に示すように、接触端子付き基板1は、硬質金めっき端子11及び配線12を具備する配線基板である。図中、符号13は電気絶縁性の絶縁樹脂板であり、硬質金めっき端子11及び配線12は絶縁樹脂板13の主面に設けられている。
【0012】
ICメモリーカード3において、接触端子付き基板1の硬質金めっき端子11は、外装ケース2に形成された窓21を介して外装ケース2の外側から目視可能になっている。
硬質金めっき端子11は、メモリーカード3を電子機器のコネクタ部のスロットに差し込んだときに、スロット内に設けられている弾性片端子と接触される。弾性片端子は、外装ケース2の窓21を介して硬質金めっき端子11と接触する。また、メモリーカード3のスロットに対する挿抜操作によって、硬質金めっき端子11が弾性片端子に対して接離する。
【0013】
接触端子付き基板1の硬質金めっき端子11は、絶縁樹脂板13上に配線12と該配線12に連続して形成されたパッド状(ランド状)の接触端子14(図3(a)、(b)参照。以下、端子部とも言う)とを有する配線基板(以下、端子部付き配線基板とも言う)の前記接触端子14に、硬質電気金めっき(図3(a)、(b)中、符号15b)を表層とするめっき膜(図3(a)、(b)中、符号15)が形成され、前記硬質電気金めっき表面が梨地状とされているものである。
【0014】
前記端子部付き配線基板は、プリント配線板の製造に適用される周知の製造方法を適用して作製できる。
端子部付き配線基板では、端子部(接触端子14)を含む配線部に銅が使用される。この配線部(配線12と接触端子14とで構成)は、例えば、銅張積層板の表層の銅箔のパターンエッチング、あるいは、絶縁樹脂板への回路パターンのパターンめっき等によって得ることができる。
【0015】
硬質金めっき端子11は、前記端子部付き配線基板の接触端子14の表面をバフ研磨(研磨工程)した後、接触端子14に、硬質電気金めっき15b(以下、硬質電気金めっき膜とも言う)を表層とするめっき膜15を形成(以下、めっき工程とも言う)し、次いで、硬質電気金めっき15bの表面を、ジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理によって梨地状とする(梨地処理。以下、梨地処理工程とも言う)ことで得られる。
なお、めっき膜15及び該めっき膜15を形成するめっき工程の詳細は後述する。
【0016】
めっき工程について図3(a)、(b)、図5を参照して説明する。
ここでは、めっき工程にて、高光反射率の光沢表面(梨地処理前の表面)を有する硬質電気金めっき15bを表層とするめっき膜15を形成する場合について説明する。
このめっき工程では、研磨工程にて表面研磨後の前記接触端子14に、光沢剤を含むめっき浴での光沢電気めっきによって電気ニッケルめっき15a(ニッケルめっき。以下、光沢電気ニッケルめっきとも言う)を施す(ニッケルめっき工程)。次いで、電気ニッケルめっき15aの表面に、光沢剤を含むめっき浴での光沢電気めっきによって硬質電気金めっき15b(以下、光沢硬質電気金めっきとも言う)を施す(硬質金めっき工程)。
【0017】
ニッケルめっき工程、硬質金めっき工程にて用いるめっき浴、光沢剤としては、電気めっき(光沢電気めっき)で使用される周知のものを採用できる。ニッケルめっき工程では例えばワット浴を採用することが好ましい。
このめっき工程により、前記接触端子14に施された電気ニッケルめっき15aと、この電気ニッケルめっき15aを覆うように施された硬質電気金めっき15bとを具備する多層のめっき膜15が形成される。以下、めっき膜15を多層めっき膜とも言う。
なお、電気ニッケルめっき15aの膜厚は1〜25μm、硬質電気金めっきの膜厚は0.2〜1.5μmであることが好ましい。
【0018】
図3(a)、(b)では、パッド状の接触端子14の端子面14a(絶縁樹脂板13とは反対側の面。上面)を含む表面全体に形成(めっき膜15で被覆)した構成の硬質金めっき端子11を例示している。硬質金めっき端子11には、接触端子14の端子面14aを被覆する硬質電気金めっき15b(硬質電気金めっき15bにおいて、接触端子14の端子面14aを被覆した部分)によって、メモリーカード3を電子機器のコネクタ部のスロットに差し込んだときにスロット内に設けられている弾性片端子と接触される、平坦な接触端子面15cが形成されている。
【0019】
但し、本発明では、図4(a)、(b)に示すように、パッド状の接触端子14の端子面14a(絶縁樹脂板13とは反対側の面。上面)のみにめっき膜15を形成(めっき膜15で被覆)した構成の硬質金めっき端子11(図中、区別のため符号11Aを付す)も可能である。接触端子14の外周の端面にはめっき膜15を形成していない。
なお、接触端子14の端子面14aのみにめっき膜15を形成した構成は、例えば、めっきレジストの使用等によって容易に得られる。
【0020】
図3(a)、(b)、図4(a)、(b)に示すように、硬質金めっき端子11は、外観パッド状に形成されており、平坦な接触端子面15cを持つ。この硬質金めっき端子11を用いて構成したICメモリーカード3においては、硬質金めっき端子11の接触端子面15cの光沢の均一性が、視覚的に、ユーザーの品質イメージに与える影響が大きい。
このため、図3(a)、(b)のように、接触端子14の外周の端面を含む表面全体を被覆するめっき膜15を形成した場合も、硬質電気金めっき15bの内、接触端子14の端子面14a上に積層(端子面14aを被覆)するように形成された部分の表面(接触端子面15c)に光沢の均一性を確保することが肝要である。めっき工程にて得た硬質電気金めっき15bに梨地表面を得るための梨地処理は、その処理対象領域に接触端子面15cを含むことを必須とし、接触端子面15cの光沢を均一化するべく実施する。
【0021】
梨地処理工程では、既述のように、ジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理を採用する。ジェットスクラブ処理および液体ホーニング処理は酸化アルミニウムや炭化ケイ素などの砥粒を水に分散させた液体を被処理物の表面に噴射させて被処理物表面に付着している異物の洗浄や被処理物表面に微細な凹凸面を与える方法である。
【0022】
ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理であれば、硬質電気金めっき15bの表面(具体的には接触端子面15c)全体の均等な梨地処理を容易に実現できる。つまり、硬質電気金めっき15b表面への砥粒の衝突により硬質電気金めっき15b表面に極めて微細な凹凸を形成するため、接触端子面15cの外周部においても、外周部よりも内側の部分と同様の処理(凹凸の形成)を行える。
【0023】
例えばバフロール研磨では一方向に方向性を持つ研磨筋が発生するが、ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理の場合は方向性の無い凹凸形成が可能である。また、バフロール研磨の場合は、接触端子面15cの外周部が接触端子面15cの中央部に比べてバフロールの接触圧が高くなる傾向が避けられず、接触端子面15c全体の均等な梨地処理を実現することは困難である。これに対して、ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理の場合は、接触端子面15cの外周部においても、外周部よりも内側の部分と同様の処理(凹凸の形成)を行えるため、接触端子面15c全体の均等な梨地処理を容易に実現できる。
【0024】
この梨地処理工程によって、硬質金めっき端子11の表層の硬質電気金めっき15bの梨地表面が得られる。
なお、ジェットスクラブや液体ホーニングは接触端子付き基板1を静止させた状態で処理することもできるが、接触端子付き基板1を搬送しながら処理する方法が生産性が高いので望ましい。
【0025】
次に、硬質金めっき端子11の表面(具体的には接触端子面15c)の光反射特性(以下、単に反射特性とも言う)について説明する。
図6は、反射特性を測定するための装置(反射特性測定装置4)を示す。
図6中、符号41は光照射器、42は受光器、43は支持台である。
支持台43には、供試品(ここでは接続端子付き基板1)を着脱可能に保持するためのホルダ(図示略)が設けられている。
【0026】
図6は、支持台43に接続端子付き基板1をセットした状態を示す。
但し、この反射特性測定装置4は、例えば、支持台43に、後述の比較例1、2の光沢硬質金めっき端子を具備する配線基板をセットすることで、光沢硬質金めっき端子の接触端子面の反射特性測定にも利用できる。
【0027】
この反射特性測定装置4を使用して硬質金めっき端子11表面(硬質電気金めっき15b表面)の反射特性を調べる反射特性測定は、光照射器41から、接触端子面15c(具体的には接触端子面15c)に入射角45度の入射光44を照射し、この入射光が硬質電気金めっき15b表面で反射した反射光45を受光器42で受光して反射光強度分布を解析する。
【0028】
入射光44の接触端子面15cに対する入射角は45度で固定する。入射光44は光照射器41から細いビーム状に出力されて硬質電気金めっき15b表面に照射される。
図6中、符号46は、硬質電気金めっき15b表面における入射光44の照射点であり、詳細には、入射光44の光軸と硬質電気金めっき15b表面(接触端子面15c)との交点である。
図中、符号47は、前記照射点46を通り接触端子面15cに垂直の仮想垂直線である。入射角45度の入射光44は、この仮想垂直線47に対する傾斜角度α(入射角)が45度である。
受光器42は、図示略の移動装置によって、前記照射点46を中心とする円周上を移動させる。受光器42が移動する円周は、仮想垂直線47及び入射光44の光軸と重なる仮想平面内にある。
【0029】
上述の反射特性測定装置4を用いた接触端子付き基板1の硬質電気金めっき15b表面の反射特性測定は、接触端子面15cに入射角45度で入射光44を照射し、受光器42を前記照射点46を中心とする円周上を移動させて、仮想垂直線47に対して例えば1度刻みで受光データ(反射光強度。受光強度)を取得し、反射角45±25度の範囲の反射光強度分布を解析する。
【0030】
ここで、反射角は、仮想垂直線47を介して入射光44とは反対の側における、前記仮想垂直線47に対する角度(照射点46を中心とする仮想垂直線47に対する角度)を指す。詳細には、仮想垂直線47及び入射光44の光軸と重なる前記仮想平面内における、前記仮想垂直線47に対する角度である。この反射角は、照射点46を中心に、仮想垂直線47と重なる所を0度とし、仮想垂直線47を介して入射光44とは反対の側、つまり、図6において仮想垂直線47から右側の角度を言う。図6中、角度γは反射角45度を示す。また、図6中、照射点46を通り仮想垂直線47に垂直の仮想面15Sの、仮想垂直線47から右側の所が反射角90度である。
また、反射角45度は換言すれば入射角45度の入射光44(詳細にはその光軸)に対する傾斜角度が90度(照射点46を中心とする角度)、反射角45±25度の角度範囲は、換言すれば、前記入射光44に対する90±25度の角度範囲(照射点46を中心とする角度範囲)を意味する。
【0031】
反射特性測定では、受光器によって取得した反射角45±25度の範囲の受光データから、反射角45±25度の範囲の反射光分布を解析する。
上述の反射特性測定装置4を用いた反射特性測定については、照射点46を中心とする円周上に移動させる受光器42によって入射光44が接触端子面15cで反射した反射光45を受光し、取得した受光データから、仮想垂直線47に対する45±25度の角度範囲について反射光強度分布を解析する。受光器42による受光データの取得は、反射角45±25度を含む角度範囲について行う。
【0032】
本発明に係る接触端子付き基板1の硬質金めっき端子11の梨地処理済みの接触端子面15cは、上述の変角反射特性測定(以下、変角反射特性測定とも言う)を行った場合、反射角45±25度の角度範囲の全受光量Aと、反射角45±3度の角度範囲の全受光量BとがB/A≦0.4を満たす梨地表面である。
なお、全受光量A、Bは、それぞれ、かかる角度範囲において受光器42によって取得した受光量の合計値であり、例えば、照射点46を中心とする円周上を移動させた受光器42によって1度刻みで受光データを取得した場合は、全受光量Aは反射角45±25度の角度範囲における受光器42による1度刻みの取得データの合計値、全受光量Bは反射角45±3度の角度範囲における受光器42による1度刻みの取得データの合計値である。
【0033】
なお、前記照射点46を中心とする円周上での受光器42の移動による受光データの取得は1度刻みに限定されず、例えば、0.5度刻み、0.2度刻み等であっても良い。
また、仮想垂直線47に対して45±25度(入射光44に対して90±25度)の角度範囲(但し、前記仮想平面における角度範囲)の反射光強度分布の解析は、前記照射点46を中心とする円周上で移動させる受光器42による受光データの取得に限定されない。例えば、反射角45±25度の角度範囲における一部又は全部の受光データの取得を、光照射器41あるいは仮想垂直線47に対して定位置に設置した受光器によって行う構成としても良い。
【0034】
B/Aが0.4以下(B/A≦0.4)であれば、研磨工程のバフ研磨にて接触端子14表面に形成される研磨筋に起因する光沢ムラを光散乱によって目立たなくする効果が充分に得られ、光沢の均一化により品質イメージの確保に有効に寄与する。
【0035】
ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理であれば、例えば、砥粒の粒径の選択、砥粒の供給量の調整、硬質電気金めっき15b表面に対する衝突速度の調整等によって、硬質金めっき15b表面に形成する凹凸の大きさや密度等を容易に調整できる。このため、B/A≦0.4の反射特性を持つ硬質電気金めっき15bの梨地表面を容易に得ることができる。
【0036】
硬質金めっき端子11の硬質電気金めっき15b表面が、ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理といった梨地処理を施して得た梨地表面である構成は、接触端子面15cの外観の光沢の均一化に有効に寄与する。
例えば、接触端子に金めっきを施した後、梨地処理を行わない場合(既述の従来技術)は、めっき前のバフ研磨工程によって接触端子に形成された微細な研磨筋が、接触端子を覆うように形成した金めっき表面状態に影響を与え、これが金めっき表面の光沢ムラの原因となる。
【0037】
これに対して、本発明では、硬質金めっき工程にて接触端子14に施した硬質電気金めっき15b(光沢硬質電気金めっき)の高光反射率を有する表面を梨地処理して光散乱率を高め、いわば半光沢の状態とする。梨地表面は、微細な凹凸を均一に形成させた、艶消し仕上げとなる。このため、照射光の散乱によって、研磨工程にて接触端子14表面(詳細には端子面14a)に形成された研磨筋に起因する光沢ムラを目立たなくする、あるいは、目視確認が困難な程度に解消することができる。その結果、接触端子面15cの光沢を均一化することができる。
【0038】
前記研磨工程では、端子部付き配線基板の端子部(接触端子14。以下も同じ)とめっき膜15との密着力の確保や端子部表面の汚染物等除去のために、端子部表面に研磨を施す。この研磨には、円盤形のバフあるいはロール形バフ(バフロール)を具備する研磨装置が使用される。そのため研磨装置のバフの回転方向に沿って端子部表面に研磨筋が形成される。
研磨筋が形成された端子部表面にニッケルめっき(電気ニッケルめっき)、次いで硬質電気金めっきを施しても、硬質電気金めっき表面に研磨筋が残るケースが生じやすい。硬質電気金めっき表面に研磨筋が残った場合、梨地処理前の硬質電気金めっき表面は、研磨筋方向と研磨筋に直角の方向とで光沢が異なるようになり、光沢が不均一となる。
【0039】
しかしながら、本発明では、硬質金めっき工程にて接触端子14に施した硬質電気金めっき15b(光沢硬質電気金めっき)表面について行う梨地処理は、ジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理によって方向性の無い凹凸形成が可能であり、この梨地処理を行うことで、梨地処理前の硬質電気金めっきに存在した研磨筋の影響を殆ど無くすことができる。したがって、梨地処理の結果、研磨筋の方向に関係無く、研磨筋に起因する光沢ムラを目立たなくする、あるいは、目視確認が困難な程度に解消することができる。
その結果、研磨筋方向及び研磨筋に直角の方向のいずれについても、目視で容易に視認できるような光沢ムラを無くすことができ、硬質電気金めっき15b表面の光沢を均一化することができる。
【0040】
接触端子14と硬質電気金めっき15bとの間に光沢電気ニッケルめっき15aを介在させることは、硬質金めっき工程にて接触端子14に施した硬質電気金めっき15b(光沢硬質電気金めっき)の表面(梨地処理前の表面)の光沢、光反射率の確保に有効に寄与するものである。
また、電気ニッケルめっき15aは、接触端子14に対する硬質電気金めっき膜15bの接着性を高め、剥がれにくくする機能を果たす。
【0041】
また、光沢電気ニッケルめっき15aは、一般に、光沢剤の作用によって硬質のめっき膜が得られる。このため、硬質金めっき工程にて得た硬質電気金めっき膜15bにジェットスクラブ処理、液体ホーニング処理といった梨地処理を施す際に、硬質電気金めっき膜15bに必要以上の予期しない大きい変形が生じてしまうといった不都合を防止できる。その結果、砥粒供給量等の梨地処理の処理条件の設定による硬質電気金めっき膜15b表面の反射特性の調整を精度良く行えるようになり、B/A≦0.4の反射特性を持つ梨地表面の形成を容易に得られるようになる。
【0042】
硬質のニッケルめっき15a(光沢電気ニッケルめっき)は、硬質電気金めっき15bの変形防止に有効に寄与するため、例えば、電子機器のコネクタ部の弾性片端子が硬質金めっき端子11に弾性接触することによる接触痕の発生抑制、といった効果も得られる。
硬質金めっき端子11の表層の硬質電気金めっき15bは、既述の通り、コバルト、鉄、ニッケル、インジウムといった異種金属を0.05%〜1%(重量%)の範囲で含むものであり、いわゆる純金めっき(金純度99.9%以上の電気金めっき。但し、上述の異種金属を含まない)に比べて格段に高い硬度を持つ。硬質金めっき端子11は、表層が硬質電気金めっき15bであることに加えて、硬質の電気ニッケルめっき15a(ニッケルめっき)を具備する多層めっき膜15の採用により、硬質電気金めっき15bの変形、傷付きが生じにくくなり、長期の美観維持が可能である。
【0043】
電気めっきによって形成した硬質電気金めっき15b表面の梨地処理によって、硬質電気金めっき15b表面(具体的には接触端子面15c)の光沢の均一化を図る構成であれば、例えば、接触端子に半光沢電気めっきを施す場合(特に、接触端子に形成するめっき膜の表層として半光沢電気めっきを施す場合)に比べて、めっき膜表面の光沢の均一化を低コストで簡単に実現できる。
【0044】
半光沢電気めっきは、光沢電気めっきに比べて構成が複雑なめっき浴を必要とする。電流密度等のめっき条件の調整も複雑であり、光沢電気めっきに比べて手間とコストを要する。
これに対して、接触端子14に施した硬質電気金めっき15b表面の梨地処理によって、硬質金めっき端子11表面の光沢の均一化を図る構成であれば、接触端子14に形成するめっき膜15の構成の制約が小さい。既述の多層めっき膜15のように、光沢電気めっきによって得られるめっき膜15を採用した場合でも硬質金めっき端子11表面の光沢の均一化を図ることができる。
【0045】
例えば、光沢電気ニッケルめっき用のワット浴は、通常の電気ニッケルめっき用のワット浴に光沢剤を添加することで得られることが一般的であり、半光沢電気めっきに比べてワット浴構成以外の電流密度等のめっき条件の調整も複雑では無い。
一般に光沢電気めっき用の光沢剤は、通常の電気めっき用のめっき浴に添加しても、めっき浴構成以外の電流密度等のめっき条件に大きな影響を与えない設計となっている。しかしながら、半光沢電気めっきでは、光沢剤の調整が難しく、めっき浴も特別な構成のものを必要とするため、通常の電気めっき用のめっき浴を使用できないことが一般的である。
このため、硬質電気金めっき15b表面の梨地処理によって、接触端子面15cの光沢の均一化を図る構成であれば、半光沢電気めっきを施す場合に比べて、接触端子面15cの光沢の均一化を低コストで簡単に実現できる。
【0046】
次に、実施例1、比較例1、2を用いて、硬質電気金めっき15b表面の梨地処理前、梨地処理後の反射特性の対比、梨地処理による光沢均一化の効果を検証する。
まず、比較例1、2について説明し、次いで、実施例1を説明する。
【0047】
(比較例1)
日立化成工業(株)製の樹脂層の厚さ0.2mm、銅箔の厚さ18μmの銅張積層板(商品名:E−67)を準備した。所望の個所にNCドリル加工装置を使用して貫通穴を加工し厚さ15μmの電気銅めっきを行った。次に電気銅めっきの表面をバフ研磨、酸洗浄した後、ドライフィルムタイプのエッチングレジストをラミネートし、諸物パターンを紫外線露光し、更に現像してエッチングレジストパターンを形成した。次に塩化鉄−塩酸系の銅エッチング液と接触させてエッチングレジストで覆われていない個所の銅箔を溶解除去して銅配線パターンを形成した。これにより、配線及び該配線に連続するパッド状の接触端子とを具備する端子部付き配線基板を得た。
【0048】
次にソルダーレジスト膜を形成した。但し、ソルダーレジスト膜は接触端子を避けて、接触端子の端子面14aを覆わないように形成した。
次にソルダーレジストで覆われていない接触端子表面をバフ研磨した後、接触端子に厚さ5μmの電気ニッケルめっきを施し、続いて厚さ0.5μmの硬質電気金めっきを施した。但し、電気ニッケルめっき、硬質電気金めっきは、光沢剤(有機化合物光沢剤)を含むめっき浴を用いる光沢電気めっき法を採用して、光沢電気ニッケルめっき、光沢硬質電気金めっきを施した。得られためっき付きの端子を、以下、光沢硬質金めっき端子と称して説明する。この光沢硬質金めっき端子は、表層の光沢硬質電気金めっきによって光沢表面を有する。また、この光沢硬質金めっき端子は、平坦な接触端子面を有する外観パッド状である。
【0049】
光沢硬質金めっき端子を具備する配線基板を反射特性測定装置にセットして、光沢硬質金めっき端子の接触端子面について既述の変角反射特性測定を行った。測定装置(反射特性測定装置)は(株)村上色彩技術研究所製の三次元変角光度計GP−200を使用した。光源には照射面積の小さいφ0.9mm(入射光であるレーザビームの径)のレーザ光源を使用した。入射角を45度(図6の角度α)に固定し、受光器42によって、反射角45±25度の角度範囲の受光量(受光強度。換言すれば反射光強度)を1度刻みで測定した。入射光は、光沢硬質金めっき端子の接触端子面における光沢ムラの箇所を選択して照射した。
この測定は、接触端子の端子面14a(例えば図3(a)、(b)参照)の研磨方向(研磨筋に沿った方向)と、研磨方向に対する直角方向とについてそれぞれ行った。研磨方向の測定は、入射光を、端子面14aに垂直かつ研磨筋に沿う仮想垂直面と平行となる向き(仮想垂直線47(図6参照)及び入射光44の光軸と重なる仮想平面の向きを研磨筋に揃える)で端子面14aに照射して変角反射特性測定を行うものである。研磨方向に対する直角方向の測定は、仮想垂直線47(図6参照)及び入射光44の光軸と重なる仮想平面が研磨筋に対して垂直となる向きで入射光を端子面14aに照射して変角反射特性測定を行うものである。
【0050】
測定データから、反射角45±25度の角度範囲の全受光量Aにおいて、反射角45±25度の角度範囲の全受光量Bが占める割合B/Aを求めた。図7、図8に、反射角45±25度の角度範囲の反射光強度分布を示す。図7は、研磨方向の測定結果、図8は研磨方向に対する直角方向の測定結果である。
反射角45±25度の角度範囲は、光沢硬質金めっき端子の接触端子面を基準面(図6の仮想面15Sを参照)としたときの該基準面に対する傾斜角度(以下、受光角とも言う)で表せば20〜70度の角度範囲である。図7、図8では、横軸に受光角の角度、縦軸に反射光強度を採り反射光強度分布を示した。
なお、図9〜図11についても、横軸が受光角の角度、縦軸が反射光強度である。
【0051】
また、変角反射特性測定の測定結果と、光沢硬質金めっき端子の光沢の目視確認結果を表1に記載した。なお、表1には、後述の比較例2、実施例1の端子の接触端子面の変角反射特性測定の測定結果、及び、光沢の目視確認結果も記載した。
【0052】
【表1】
【0053】
表1、図7、図8から明らかなように、比較例1では受光角20〜70度の角度範囲の全受光量Bが受光角20〜70度の角度範囲の全受光量Aに占める割合B/Aが高く、光沢表面であることが確認できた。研磨方向と研磨方向に直角の方向のいずれについても、受光角45度(図6の角度γ参照)付近をピークとする反射光強度分布が得られる。但し、研磨方向の測定結果に比べて研磨方向に直角の方向の測定結果の方が、B/Aの値がかなり大きくなっており、研磨方向の測定結果と研磨方向に直角の方向の測定結果とで反射特性に大きな差が認められた。また、研磨方向、研磨方向に対する直角方向のいずれについても、反射特性は、B/A≦0.4を満たしていなかった。
【0054】
(比較例2)
比較例1で作製した光沢めっき端子表面(接触端子面)について、別途、光沢ムラの個所(光沢ムラ部分。見る方向によって光反射の強さが異なって見える個所。)と、光沢ムラ部分以外の個所(光沢ムラが視認されない箇所。以下、正常部)とを選択して、比較例1と同じ方法で反射特性を測定した。光沢ムラ部分と正常部とについて、それぞれ、研磨方向に対する直角方向の反射光強度と研磨方向の反射光強度の差(ΔH)を算出した。図9に、この反射光強度差(ΔH)の、受光角20〜70度の角度範囲における分布を示す。光沢ムラ部分、正常部では、いずれも、研磨方向の測定結果、研磨方向に対する直角方向の測定結果の内、一方が他方よりも受光角20〜70度の角度範囲全体にわたって反射光強度の値が大きくなっていた。
表1および図9から明らかなように、光沢ムラの個所(図9中「光沢ムラ」のグラフ)は正常部の個所と比べて反射光強度差(ΔH)が格段に大きく、正常部の個所と比べて反射特性に大きな差が認められた。光沢硬質金めっき端子表面の場所における反射特性の差が外観の光沢ムラの原因であることが判った。
なお、光沢ムラの個所、正常部の測定データは、研磨方向、研磨方向に対する直角方向のいずれについても既述のB/Aは0.4よりも大きく、B/A≦0.4を満たしていなかった。
【0055】
(実施例1)
比較例2と同じ光沢ムラを含む光沢硬質金めっき端子表面にジェットスクラブ処理を行い、梨地表面を有する硬質金めっき端子を得た。ジェットスクラブ装置は(株)石井表記製を使用した。砥粒には粒径範囲が104μm〜50μmの商品名サクランダム#220を用いた。スプレー圧0.2MPa、搬送速度2.5m/分の条件で処理した。
比較例1と同じ条件で反射特性を測定した。得られた反射光強度分布のグラフを図10および図11に示す。図10は研磨方向の測定結果、図11は研磨方向に対する直角方向の測定結果である。
【0056】
研磨方向、研磨方向に対する直角方向のいずれについても、B/A≦0.4を満たす反射特性が得られていることを確認できた。
また、表1、図10、図11の結果から、ジェットスクラブ処理を行うことによって、比較例1、2に比べて受光角45度±3度の角度範囲の反射光強度が相対的に低下し、それ以外の角度の反射光強度が相対的に増加していることが判った。ジェットスクラブ処理前に目視で光沢ムラが観察されていた個所とそれ以外の個所との反射特性の差がほとんど認められなかった。研磨方向、研磨方向に対する直角方向のいずれについても接触端子面の光沢ムラは目視では殆ど確認できない程度であり、どの方向から見ても外観の光沢が均一であった。
【0057】
上述のように、本発明によれば、硬質金めっき端子の接触端子面を、梨地処理によって、B/A≦0.4を満たす反射特性を持つ梨地表面とすることにより、接触端子面の光沢を均一化することができる。その結果、高い品質イメージを確保できる。
【0058】
図12は、絶縁樹脂板13の表面に、補強繊維51によってメッシュ状に形成された補強材52が樹脂中に埋め込まれてなる補強層53を備え、この補強層53上にパッド状の前記接触端子14、硬質金めっき端子11が形成されている構成の接触端子付き基板を示す。補強層53は、繰り返し挿抜による基板及び硬質金めっき端子11の局所的な変形を防止するものであり、絶縁樹脂板13の表面の内、接触端子14の形成位置に設けられる。配線12の形成位置に設ける必要は無い。
この場合、補強層53の補強繊維51の存在が、接触端子14に施した硬質電気金めっき15bの梨地処理前の表面状態に影響を与えて、接触端子面15cに、補強繊維51に対応する筋状の光沢ムラが観察されるケースがある。しかしながら、本発明では、硬質電気金めっき15b表面の梨地処理によって、接触端子面15cの光沢を均一にすることができる。このため、補強層53を設けても、接触端子面15cの美観を容易に確保できる。
【0059】
硬質金めっき端子としては、必ずしも、平坦な接触端子面を持つものに限定されず、例えば図13(a)に示す硬質金めっき端子11(区別のため、図中符号11Bを付す)ように、接触端子面が湾曲面になっているものも採用可能である。
例えば、端子部付き配線基板の端子部14へのめっき膜15の形成をセミアディティブ法で行う場合、めっき条件によっては、端子部14の周囲に形成したパターンめっきレジスト16の近傍で端子部14の端子面14aの中央部に比べてめっきが析出しにくい傾向が顕著になり、端子部14の端子面14a上に、凸曲面の接触端子面15cを持つめっき膜15が形成される。端子部14の端子面14aが長方形状の場合は、端子面14a上にめっき膜15が略半割り円柱状(いわゆる蒲鉾状)に形成される。この場合、接触端子面15cのジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理は、例えば端子部付き配線基板を傾動させて、砥粒を水に分散させた液体の接触端子面に対する照射角度を変えること等によって、接触端子面全体の梨地処理を実現できる。
【0060】
図13(b)に示すように、上述の硬質金めっき端子11Bについても、図6に例示した反射特性測定装置4を用いて反射特性測定を行える。
接触端子面15cに、入射光44を照射する照射点46を設定し、該照射点46において前記接触端子面15cに垂直の仮想垂直線47に対する傾斜角度(入射角)が45度の入射光44を接触端子面15cに照射する。入射光44はその光軸を照射点46に一致させる。そして、入射光44が接触端子面15cで反射した反射光を受光器42で受光して、反射角45±25度の角度範囲の反射光強度分布を解析する。
【0061】
本発明は、上記実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。
硬質金めっき端子11の表面の光沢の要求度が低く、光沢が乏しくても良い場合には、硬質電気金めっきとして、光沢硬質電気めっきを採用する必要は無く、光沢剤を含まないめっき浴での電気めっきによって得た硬質電気金めっきを採用することも可能である。この場合でも、硬質電気金めっき表面の梨地処理が、接触端子14にバフ研磨によって形成される研磨筋や既述の補強繊維が接触端子面の表面状態、美観に影響を与えることの抑制あるいは防止に寄与することは言うまでも無い。
また、本発明では、硬質電気金めっきの梨地表面によって、硬質金めっき端子の美観確保を容易に実現できることから、硬質電気金めっきを表層とするめっき膜を形成する前の接触端子表面の研磨の精度管理を緩和できる等の利点があり、研磨時間の短縮等が可能である。また、接触端子に清浄な表面が確保されている場合は、研磨工程を省略することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る1実施形態のICメモリーカードを示す図である。
【図2】本発明に係る1実施形態の接触端子付き基板に設けられている硬質金めっき端子付近を拡大して示した斜視図である。
【図3】図2の接触端子付き基板の硬質金めっき端子付近の構造を拡大して示した断面図であり、(a)は図2のA−A線断面矢視図、(b)は図2のB−B線断面矢視図である。
【図4】(a)、(b)は別態様の硬質金めっき端子の構造を示す断面図である。
【図5】硬質金めっき端子の構造を示す拡大断面図である。
【図6】反射特性測定装置の構成を示す図である。
【図7】比較例1の光沢硬質金めっき端子の接触端子面の研磨方向における光反射特性の測定結果を示すグラフである。
【図8】比較例1の光沢硬質金めっき端子の接触端子面の研磨方向に対する直角方向における光反射特性の測定結果を示すグラフである。
【図9】比較例2の光反射特性の測定結果を示すグラフであり、光沢硬質金めっき端子の光沢ムラ部分と正常部とについて、接触端子面の研磨方向に対する直角方向における光反射特性を測定した結果を示す。
【図10】実施例1の光沢硬質金めっき端子の接触端子面の研磨方向における光反射特性の測定結果を示すグラフである。
【図11】実施例1の光沢硬質金めっき端子の接触端子面の研磨方向に対する直角方向における光反射特性の測定結果を示すグラフである。
【図12】補強繊維からなるメッシュ状の補強材が樹脂中に埋設されている補強層を具備する接触端子付き基板の例を示す断面図である。
【図13】(a)は湾曲面(凸曲面)の接触端子面を持つ硬質金めっき端子、該硬質金めっき端子を具備する接触端子付き基板の例を示す図、(b)は図13(a)の硬質金めっき端子の反射特性特性を説明する図である。形成する
【符号の説明】
【0063】
1…接触端子付き基板、11…硬質金めっき端子、12…配線、13…絶縁樹脂板、14…接触端子、14a…端子面、15…めっき膜、15a…ニッケルめっき、電気ニッケルめっき(光沢電気ニッケルめっき)、15b…硬質金めっき(光沢硬質電気金めっき)、15c…接触端子面、16…パターンめっきレジスト、2…外装ケース、21…窓、3…ICメモリーカード、4…反射特性測定装置、42…受光器、51…補強繊維、52…補強材、53…補強層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICメモリーカード用の接触端子付き基板であって、
配線基板に設けられた接触端子が硬質電気金めっきを表層とするめっき膜で被覆され、前記硬質電気金めっきの表面が梨地状とされていることを特徴とする接触端子付き基板。
【請求項2】
前記硬質電気金めっき表面は、該硬質電気金めっき表面に入射角45度で照射した入射光の反射光を受光器で受光して、前記入射光に対する反射角45±25度の角度範囲について反射光強度分布を解析した場合に、反射角45±25度の範囲の全受光量Aと、反射角45±3度の範囲の全受光量BとがB/A≦0.4を満たす梨地表面であることを特徴とする請求項1記載の接触端子付き基板。
【請求項3】
梨地状表面を有する前記硬質電気金めっきが、光沢電気めっきによって得られた硬質電気金めっき膜の表面を、ジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理によって梨地状としたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の接触端子付き基板。
【請求項4】
前記めっき膜が、前記接触端子の表面に形成されたニッケルめっきと、このニッケルめっきを覆うように形成された前記硬質電気金めっきとを具備する多層めっき膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の接触端子付き基板。
【請求項5】
前記配線基板は、絶縁樹脂板の表面に、補強繊維によってメッシュ状に形成された補強材が樹脂中に埋め込まれてなる補強層を備え、パッド状の前記接触端子が前記補強層上に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の接触端子付き基板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の接触端子付き基板を具備することを特徴とするICメモリーカード。
【請求項7】
硬質電気金めっきを表層とするめっき膜で被覆された接触端子を具備する接触端子付き基板の製造方法であって、
配線基板に設けられている接触端子に、硬質電気金めっきを表層とするめっき膜を形成するめっき工程と、前記硬質電気金めっきの表面を、ジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理によって梨地状とする梨地処理工程とを具備することを特徴とする接触端子付き基板の製造方法。
【請求項8】
前記めっき工程は、光沢剤を含むめっき浴を用いる光沢電気めっきによって前記接触端子に電気ニッケルめっきを施すニッケルめっき工程と、前記ニッケルめっき工程にて得た前記電気ニッケルめっきの表面に、光沢剤を含むめっき浴を用いる光沢電気めっきによって前記硬質電気金めっきを施す硬質金めっき工程とを具備することを特徴とする請求項7記載の接触端子付き基板の製造方法。
【請求項9】
前記梨地処理工程にて、前記硬質電気金めっきに、該硬質電気金めっき表面に入射角45度で照射した入射光の反射光を受光器で受光して、前記入射光に対する反射角45±25度の角度範囲について反射光強度分布を解析した場合に、反射角45±25度の範囲の全受光量Aと、反射角45±3度の範囲の全受光量BとがB/A≦0.4を満たす梨地表面を形成することを特徴とする請求項7又は8記載の接触端子付き基板の製造方法。
【請求項10】
前記接触端子をバフ研磨する研磨工程を行ってから前記めっき工程を行うことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の接触端子付き基板の製造方法。
【請求項1】
ICメモリーカード用の接触端子付き基板であって、
配線基板に設けられた接触端子が硬質電気金めっきを表層とするめっき膜で被覆され、前記硬質電気金めっきの表面が梨地状とされていることを特徴とする接触端子付き基板。
【請求項2】
前記硬質電気金めっき表面は、該硬質電気金めっき表面に入射角45度で照射した入射光の反射光を受光器で受光して、前記入射光に対する反射角45±25度の角度範囲について反射光強度分布を解析した場合に、反射角45±25度の範囲の全受光量Aと、反射角45±3度の範囲の全受光量BとがB/A≦0.4を満たす梨地表面であることを特徴とする請求項1記載の接触端子付き基板。
【請求項3】
梨地状表面を有する前記硬質電気金めっきが、光沢電気めっきによって得られた硬質電気金めっき膜の表面を、ジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理によって梨地状としたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の接触端子付き基板。
【請求項4】
前記めっき膜が、前記接触端子の表面に形成されたニッケルめっきと、このニッケルめっきを覆うように形成された前記硬質電気金めっきとを具備する多層めっき膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の接触端子付き基板。
【請求項5】
前記配線基板は、絶縁樹脂板の表面に、補強繊維によってメッシュ状に形成された補強材が樹脂中に埋め込まれてなる補強層を備え、パッド状の前記接触端子が前記補強層上に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の接触端子付き基板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の接触端子付き基板を具備することを特徴とするICメモリーカード。
【請求項7】
硬質電気金めっきを表層とするめっき膜で被覆された接触端子を具備する接触端子付き基板の製造方法であって、
配線基板に設けられている接触端子に、硬質電気金めっきを表層とするめっき膜を形成するめっき工程と、前記硬質電気金めっきの表面を、ジェットスクラブ処理又は液体ホーニング処理によって梨地状とする梨地処理工程とを具備することを特徴とする接触端子付き基板の製造方法。
【請求項8】
前記めっき工程は、光沢剤を含むめっき浴を用いる光沢電気めっきによって前記接触端子に電気ニッケルめっきを施すニッケルめっき工程と、前記ニッケルめっき工程にて得た前記電気ニッケルめっきの表面に、光沢剤を含むめっき浴を用いる光沢電気めっきによって前記硬質電気金めっきを施す硬質金めっき工程とを具備することを特徴とする請求項7記載の接触端子付き基板の製造方法。
【請求項9】
前記梨地処理工程にて、前記硬質電気金めっきに、該硬質電気金めっき表面に入射角45度で照射した入射光の反射光を受光器で受光して、前記入射光に対する反射角45±25度の角度範囲について反射光強度分布を解析した場合に、反射角45±25度の範囲の全受光量Aと、反射角45±3度の範囲の全受光量BとがB/A≦0.4を満たす梨地表面を形成することを特徴とする請求項7又は8記載の接触端子付き基板の製造方法。
【請求項10】
前記接触端子をバフ研磨する研磨工程を行ってから前記めっき工程を行うことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の接触端子付き基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−200236(P2009−200236A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40050(P2008−40050)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(597079681)株式会社 大昌電子 (42)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(597079681)株式会社 大昌電子 (42)
【Fターム(参考)】
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