説明

搬送システム及び配車管理装置、並びにコンピュータプログラム

【課題】例えば半導体装置製造用の各種基板などの被搬送物を搬送するビークル等の搬送車の配車位置を調整可能な搬送システムにおいて、該配車位置を適切に調整する。
【解決手段】搬送システム(100)は、複数の搬送車(3)と、複数の集合の内部の各々で被搬送物を搬送する複数の搬送車の予定台数、及び複数の集合の内部の各々に存在する複数の搬送車の存在台数の差異を算出し、算出された差異が相対的に大きい対象過剰集合、及び差異が相対的に小さい対象不足集合を設定する集合設定手段(11,12)と、設定された対象過剰集合から、対象過剰集合及び設定された対象不足集合を相互に連絡させると共に対象過剰集合と比較して算出された差異が小さく且つ対象不足集合と比較して算出された差異が大きい集合である中間集合へ、中間集合から対象過剰集合へ複数の搬送車を移動させる制御手段(14)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体装置製造用の各種基板などの被搬送物をビークル等の搬送車により搬送可能な搬送システムに関し、特に該搬送車の配車位置或いは待機位置を調整可能な搬送システム及び配車管理装置に関する。本発明は更に、コンピュータをこのような搬送システムとして機能させるコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送システムでは、例えば、複数の作業装置から一つの製造ラインが構成されており、複数の製造ラインに対応して複数の搬送ラインが設けられ、更に複数の搬送ラインの相互間にも、搬送手段が設けられる。これらにより、搬送車が各製造ライン内のみならず、複数の製造ラインの相互間でも移動可能となる。例えば、特許文献1には、製造工程における一つの搬送を終了した搬送車が所定の待機位置に戻る時間と、搬送先で被搬送物を移載する時間とから、搬送車が走行する搬送手段の各々の移動所要時間を算出する搬送システムが開示されている。この算出された移動所要時間に基づいて、搬送車において、他の搬送手段での利用率が向上すると判定された場合に、搬送車の待機位置が、所定の待機位置から、他の搬送ラインに設定される待機位置に変更される。このように、各搬送ラインにおける搬送車の利用率に基づいて、配車が行われることで、搬送車の稼働率が向上し、全製造工程の搬送時間が短くなるとされている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−168025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の背景技術によれば、個々の搬送を終えた後に、待機位置に向かう搬送車の走行は、効率化されるが、複数の搬送ラインの各々で発生する搬送量に対応しておらず、個々の搬送を開始する前の効率化は図られていない。
【0005】
本願発明者の知るところによれば、個々の搬送を開始する前に、例えば、搬送車が過剰な一の製造ラインから、搬送車が不足する他の製造ラインへ、一の製造ラインに在る搬送車を移動することにより、配車が行われる。この際、それら一の製造ライン及び該他の製造ライン間に複数の製造ラインが配置されており、それら複数の製造ラインに対応する搬送ラインを経由しなければ該他の製造ラインへ移動できない場合に、その移動に要する時間が大幅にかかり、結果として搬送時間が延びてしまうという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、例えば搬送車の配車位置を適切に調整可能ならしめる搬送システム及び配車管理装置、並びにコンピュータをこのような搬送システムとして機能させるコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る搬送システムは上記課題を解決するために、被搬送物に対して各種処理を施す一若しくは複数の作業装置を含んで夫々構成される複数の集合の各々の内部及び該複数の集合の相互間で、前記被搬送物を搬送する搬送システムであって、前記被搬送物を夫々搭載可能であると共に、前記複数の集合の各々の内部及び該複数の集合の相互間で、夫々移動可能な複数の搬送車と、前記内部及び前記相互間で前記複数の搬送車を移動させる移動手段と、将来の一時点又は時期において前記内部の各々で前記被搬送物を搬送するために要求される予定の前記複数の搬送車の台数を予定台数として特定する予定台数特定手段と、前記内部の各々に存在する前記複数の搬送車の台数を存在台数として検知し、該検知された存在台数と前記特定された予定台数との台数の差異を算出すると共に、前記複数の集合のうち、該算出された差異が相対的に大きい集合を対象過剰集合として設定すると共に、前記算出された差異が相対的に小さい集合を対象不足集合として設定する集合設定手段と、前記一時点又は時期に先立って、前記設定された対象過剰集合から、前記設定された対象過剰集合及び対象不足集合を相互に連絡させる一又は複数の集合の各々であると共に前記設定された対象過剰集合と比較して前記算出された差異が小さく且つ前記設定された対象不足集合と比較して前記算出された差異が大きい集合である中間集合へ、前記複数の搬送車を移動させると共に、前記中間集合から、前記設定された対象不足集合へ、前記複数の搬送車を移動させるように、前記移動手段を制御する制御手段を備える。
【0008】
本発明の搬送システムによれば、例えば半導体装置製造の工場内において、例えばFOUP(Front Opening Unified Pod)等の被搬送物は、例えばビークル等の搬送車、及び例えばOHT(Overhead Hoist Transport)等の移動手段によって、複数の集合の各々の内部、及び複数の集合の相互間で搬送される。ここに「複数の集合」は夫々、例えばFOUP等の被搬送物に対して、成膜処理、熱処理、エッチング処理等の各種処理を施す、一又は複数の製造装置、ストッカ(或いはスタッカ)等の作業装置を含んで構成される。このような複数の集合の各々は、例えば「モジュール」と呼ばれる搬送システムにおける搬送を制御管理するための単位に対応する、一つの製造ラインに相当する。その動作時には、例えばビークル等の搬送車は、例えばビークルの推進装置、レールなどを含んでなる移動手段によって、被搬送物が搭載された又はされない状態で、上述した複数の集合の内部及び相互間で移動される。即ち、例えば同一の製造ライン内で或いは異なる製造ライン間で移動される。
【0009】
このような動作中、即ち搬送中に、例えばプロセッサ、メモリ等を備えてなる例えばOHVC(Overhead Hoist Vehicle Controller)等に設けられる予定台数特定手段によって、複数の集合の内部の各々で、要求される予定の搬送車の台数が特定される。特にここで「要求される予定の搬送車の台数」は、将来の一時点又は時期において、複数の集合の内部の各々で、要求される予定の台数であり、この際「集合の内部で要求される」とは、例えば同一集合の内部から内部へ搬送するために要求される場合と、一の集合の内部から他の集合へ搬送するために要求される場合との両者を含む。また「特定する」とは、例えば算出する、集計する、推定する、予想する、予定台数に係るデータを取得するなど、何らかの方法で、予定の台数を予め決めるという意味である。例えば、搬送ライン別に、現在実行中の搬送動作が完了した後における、将来的な要求台数が集計される。このような特定は、例えば10分間など予め設定された単位時間毎である固定の期間毎又は可変の期間毎等の、所定期間毎に実行されてもよい。
【0010】
予定台数が特定された後に、例えばOHVC等に設けられる集合設定手段によって、複数の集合の内部の各々で、存在台数が検出され、検出された存在台数と、予定台数特定手段による予定台数との台数の差異が算出される。ここで、例えば予定台数に対して3台の搬送車が過剰である場合に、差異を「+3」とし、予定台数に対して3台の搬送車が不足している場合に、差異を「−3」としてもよい。このような差異の算出により、差異が相対的に大きい対象過剰集合、及び差異が相対的に小さい対象不足集合が設定される。ここで「差異が相対的に大きい」とは、例えば対象不足集合における差異と比較して大きいという意味であり、中間集合における差異と比較しても大きいという意味であってもよい。「差異が相対的に小さい」とは、例えば対象過剰集合における差異と比較して小さいという意味であり、中間集合における差異と比較しても小さいという意味であってもよい。
【0011】
対象過剰集合及び対象不足集合が設定された後に、例えばOHVC等であって、コントローラ等を備えてなる制御手段によって、その制御下で、将来の一時点又は時期に先立って、設定された対象過剰集合から中間集合へ、その中間集合から対象不足集合へ、複数の搬送車が移動される。ここで「中間集合」は、対象過剰集合と、対象不足集合とを相互に連絡させる一又は複数の集合のうち、これら集合の各々における差異(即ち、集合設定手段による差異)が、対象過剰集合における差異より小さく且つ対象不足集合における差異より大きい集合である。
【0012】
このような中央集合を介する複数の搬送車の移動について、例えば対象過剰集合に存在する複数の搬送車が、対象過剰集合から中間集合へ移動された後に、中央集合に存在する複数の搬送車が、中間集合から対象不足集合へ移動される。このように、対象過剰集合及び中央集合間、並びに中央集合及び対象不足集合間で、複数の搬送車が、例えば対象過剰集合から対象不足集合に向かって順番に、移動されると、その結果として、相対的に存在台数が多く且つ予定台数が少ない搬送ラインである対象過剰集合から、相対的に存在台数が少なく且つ予定台数が多い搬送ラインである対象不足集合へ、複数の搬送車が移動されることになる。従って、複数の集合において、搬送すべき量に見合わない搬送車の集中や、局所的な搬送車の不足は、効果的に回避される。
【0013】
以上のように、本発明の搬送システムによれば、複数の搬送車の各々における移動時間を短縮することにより、配車に要する時間が短縮される。よって、搬送車の配車を効率よく行い、該配車位置を適切に調整することが可能となる。
【0014】
本発明に係る搬送システムの一態様では、前記集合設定手段は、前記複数の集合のうち、前記算出された差異が最も大きい集合を前記対象過剰集合として設定すると共に、前記算出された差異が最も小さい集合を前記対象不足集合として設定する。
【0015】
この態様によれば、対象過剰集合及び対象不足集合を設定する際に、集合設定手段によって、算出された差異が最も大きい集合が対象過剰集合として設定され、算出された差異が最も小さい集合が対象不足集合として設定される。これにより、搬送車が最も過剰な搬送ラインである対象過剰集合から、搬送車が最も不足する搬送ラインである対象不足集合へ、複数の搬送車が移動されることになる。従って、複数の集合において、搬送すべき量に見合わない搬送車の集中や、局所的な搬送車の不足が、より効果的に回避される。
【0016】
本発明に係る搬送システムの他の態様では、前記制御手段は、前記複数の集合のうち、前記中間集合を設定する際の指標となる評価値を、前記内部の各々について算出する評価値算出手段と、前記算出された評価値に基づいて、前記中間集合を一又は複数設定すると共に、該設定された一又は複数の中間集合を含んで構成され且つ前記設定された対象過剰集合から対象不足集合へ到る集合列を決定する列決定手段とを含み、前記一時点又は時期に先立って、前記決定された集合列に沿って、前記複数の搬送車を順繰りに移動させるように、前記移動手段を制御する。
【0017】
この態様によれば、対象過剰集合及び対象不足集合が設定された後に、例えばOHVC等に設けられる評価値算出手段によって、複数の集合の各々について評価値が算出される。ここで「指標」とは、例えば複数の集合のうち、中間集合と設定され得る集合を選定、判定或いは評価するための数値、状態或いは状況等を意味する。このような指標となる「評価値」とは、例えば一又は複数の事項について、複数の集合の各々の状態或いは状況を、数値或いは段階に換算した値等であってもよい。典型的には、例えば、FOUP等の被搬送物を積載していない空荷の搬送車の台数等であってもよい。
【0018】
評価値が算出された後に、例えばOHVC等に設けられる列決定手段によって、算出された評価値に基づいて、一又は複数の中間集合が設定され、集合列が決定される。ここで「集合列」とは、例えば列の始点となる対象過剰集合、一又は複数の中間集合、及び列の終点となる対象不足集合が順番に連なる列であってもよい。
【0019】
集合列が決定された後に、制御手段の制御下で、将来の一時点又は時期に先立って、決定された集合列に沿って、複数の搬送車が順繰りに移動される。ここで「集合列に沿って順繰りに移動される」とは、例えば一の中間集合が設定された場合に、設定された対象過剰集合に在る一の搬送車が対象過剰集合から一の中間集合へ移動され、その後に、一の中央集合に在る他の搬送車が中間集合から対象不足集合へ移動されることであってもよい。また、例えば2つの中央集合(即ち、一の中央集合及び二の中央集合)が設定され、これら2つの中央集合のうち、集合列上の対象過剰集合側に一の中間集合が配置されており、集合列上の対象不足集合側に二の中間集合が配置されているとする。この場合に、対象過剰集合から一の中間集合への移動、一の中間集合から二の中央集合への移動、及び二の中央集合から対象不足集合への移動が、同時に行われてもよい。このように、集合列を構成する複数の集合の各々において、一又は複数の搬送車が順序を追って移動される。尚、移動される一又は複数の搬送車の台数は、例えば複数の集合の各々における差異に対応する台数であってもよい。具体的には、例えば対象過剰集合側に配置されている集合から移動される搬送車の台数より、対象不足集合側に配置されている集合へ移動される搬送車の台数が多くてもよい。
【0020】
以上のように、調整列に沿って複数の搬送車を順繰りに移動させ、それら複数の搬送車の各々における移動時間を短縮することにより、配車に要する時間が短縮される。よって、搬送車の配車をより効率よく行い、該配車位置を適切に調整することが可能となる。
【0021】
この態様によれば、前記評価値は、前記設定された対象過剰集合と前記設定された対象不足集合との間に設定された前記一又は複数の中間集合の総数、前記一又は複数の中間集合の内部の各々で前記算出された差異の総数、前記一又は複数の中間集合の内部の各々に存在する前記複数の搬送車のうち空荷の搬送車の台数の総数、及び前記一又は複数の中間集合のうち前記算出された差異が零より大きい集合の総数のうち、少なくとも一つに基づいて決定されてもよい。
【0022】
このように構成すれば、例えば対象過剰集合と対象不足集合との間に設定された中間集合の総数が「2」、その2つの中間集合の内部の各々で算出された差異の総数が「5」、その2つの中間集合の内部の各々における空荷の搬送車の台数の総数が「7」、及びその差異が零より大きい過剰集合の総数が「2」である場合に、評価値算出手段によって、例えば評価値が「9」に決定される。ここに「決定する」とは、例えば所定の関数等を用いて算出する、特定する、設定する等、何らかの方法で、評価値を決めるという意味である。具体的には、決定された評価値は、例えば中間集合の総数が少ない程、小さかったり、差異の総数又は空荷の搬送車の台数の総数が多い程、小さくてもよい。このように、複数の集合の各々について、多角的又は単一的な評価を行い、中間集合を任意に設定することもできる。
【0023】
この態様によれば、前記列決定手段は、前記集合列を決定する際に、前記複数の集合のうち、前記設定された対象過剰集合に隣接する複数の集合の各々について算出された評価値のうち、最も小さい評価値が算出された一の集合を、前記設定された対象過剰集合に連なる第1中間集合として決定すると共に、前記設定された対象過剰集合を前記集合列の構成要素として登録し、該決定された第1中央集合に隣接する前記複数の集合のうち、前記登録された対象過剰集合を除く複数の集合の各々について算出された評価値のうち、最も小さい評価値が算出された二の集合を、前記決定された第1中間集合に連なる第2中間集合として決定すると共に、前記決定された第1中間集合を前記集合列の構成要素として登録してもよい。
【0024】
このように構成すれば、集合列が決定される際には、列決定手段によって、例えば、先ず対象過剰集合に隣接する2つの集合の各々について算出された2つの評価値が比較され、評価値がより小さい一の集合が第1中間集合に決定される。また、その決定により、対象過剰集合が登録される。続いて、第1中間集合に隣接する3つの集合のうち、登録された対象過剰集合を除いた2つの集合の各々について算出された2つの評価値が比較され、評価値がより小さい二の集合が第2中間集合に決定される。その決定により、第1中間集合が登録される。この後、対象不足集合へ向かう中間集合が全て決定及び登録された後に最終的に、対象不足集合が登録されることにより、列が決定される。このように、中間集合を段階的に設定することにより、例えば空荷の搬送車の台数が最も少ない集合の組み合わせを、中間集合として設定することもできる。
【0025】
本発明の搬送システムの配車管理装置は上記課題を解決するために、被搬送物に対して各種処理を施す一又は複数の作業装置を含んで夫々構成される複数の集合の各々の内部及び該複数の集合の相互間で、前記被搬送物を搬送する搬送システムにおいて、配車を管理する配車管理装置であって、前記被搬送物を夫々搭載可能であると共に、前記複数の集合の各々の内部及び該複数の集合の相互間で、夫々移動可能な複数の搬送車と、前記内部及び前記相互間で前記複数の搬送車を移動させる移動手段と、将来の一時点又は時期において前記内部の各々で前記被搬送物を搬送するために要求される予定の前記複数の搬送車の台数を予定台数として特定する予定台数特定手段と、前記内部の各々に存在する前記複数の搬送車の台数を存在台数として検知し、該検知された存在台数と前記特定された予定台数との台数の差異を算出すると共に、前記複数の集合のうち、該算出された差異が相対的に大きい集合を対象過剰集合として設定すると共に、前記算出された差異が相対的に小さい集合を対象不足集合として設定する集合設定手段と、前記一時点又は時期に先立って、前記設定された対象過剰集合から、前記設定された対象過剰集合及び対象不足集合を相互に連絡させる一又は複数の集合の各々であると共に前記設定された対象過剰集合と比較して前記算出された差異が小さく且つ前記設定された対象不足集合と比較して前記算出された差異が大きい集合である中間集合へ、前記複数の搬送車を移動させると共に、前記中間集合から、前記設定された対象不足集合へ、前記複数の搬送車を移動させるように、前記移動手段を制御する制御手段とを備える。
【0026】
本発明の搬送システムの配車管理装置によれば、上述した本発明に係る搬送システムの場合と同様に、複数の搬送車の各々における移動時間を短縮することにより、配車に要する時間が短縮される。よって、搬送車の配車を効率よく行い、該配車位置を適切に調整することが可能となる。
【0027】
尚、本発明の搬送システムの配車管理装置においても、上述した本発明の搬送システムにおける各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0028】
本発明のコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、被搬送物を夫々搭載可能であると共に、該被搬送物に対して各種処理を施す一又は複数の作業装置を含んで夫々構成される複数の集合の各々の内部及び該複数の集合の相互間で夫々移動可能な複数の搬送車、並びに前記内部及び前記相互間で前記複数の搬送車を移動させる移動手段により前記被搬送物を搬送する搬送システムに備えられるコンピュータを、将来の一時点又は時期において前記内部の各々で前記被搬送物を搬送するために要求される予定の前記複数の搬送車の台数を予定台数として特定する予定台数特定手段と、前記内部の各々に存在する前記複数の搬送車の台数を存在台数として検知し、該検知された存在台数と前記特定された予定台数との台数の差異を算出すると共に、前記複数の集合のうち、該算出された差異が相対的に大きい集合を対象過剰集合として設定すると共に、前記算出された差異が相対的に小さい集合を対象不足集合として設定する集合設定手段と、前記一時点又は時期に先立って、前記設定された対象過剰集合から、前記設定された対象過剰集合及び対象不足集合を相互に連絡させる一又は複数の集合の各々であると共に前記設定された対象過剰集合と比較して前記算出された差異が小さく且つ前記設定された対象不足集合と比較して前記算出された差異が大きい集合である中間集合へ、前記複数の搬送車を移動させると共に、前記中間集合から、前記設定された対象不足集合へ、前記複数の搬送車を移動させるように、前記移動手段を制御する制御手段ととして機能させる。
【0029】
本発明のコンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを格納するCD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムを、搬送システムに備えられたコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを通信手段を介してダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明に係る配車管理装置を比較的簡単に構築できる。これにより、上述した本発明に係る搬送システムの場合と同様に、複数の搬送車の各々における移動時間を短縮することにより、配車に要する時間が短縮される。よって、搬送車の配車を効率よく行い、該配車位置を適切に調整することが可能となる。
【0030】
尚、本発明のコンピュータプログラムにおいても、上述した本発明の搬送システムにおける各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0031】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0033】
先ず、本実施形態に係る搬送システムの構成について説明する。ここに図1は、実施形態に係る搬送システムの機能を示し、図2は、図1の搬送手段が走行される複数の集合を示す。
【0034】
図1において、本実施形態に係る搬送システム100は、経路1、移動装置2、複数のビークル3、搬送コントローラ10、及び製造指示部20を備える。製造指示部20は、搬送コントローラ10と有線により接続されており、半導体素子製造工程に従って、不図示のFOUPの搬送或いは移載を搬送コントローラ10に指示する。
【0035】
移動装置2は、本発明に係る「移動手段」の一例として、経路1に沿って設けられており、リニアモータの制御ライン及び電源装置として機能する。移動装置2は、複数のビークル3を不図示の作業装置へ走行可能に構成されている。移動装置2は、6つのモジュールM1〜M6を接続している。移動装置2は、搬送コントローラ10により制御され、6つのモジュールM1〜M6の内部の各々、及び6つのモジュールM1〜M6の相互間で各ビークル3を走行させる。図2において、6つのモジュールM1〜M6の各々は、本発明に係る「集合」の一例として、2つ以上のモジュールと相互に隣り合って配置されている。
【0036】
図1において、複数のビークル3の各々は、本発明に係る「搬送車」の一例として、FOUPを積載可能であって、リニアモータにより、経路1に沿って、6つのモジュールM1〜M6の各々の内部、及びこれらモジュールM1〜M6の相互間を走行する。各ビークル3は、搬送コントローラ10により制御され、各モジュールM1〜M6に設けられた不図示の作業装置にFOUPを搬送する、又は作業装置間でFOUPを移載する。各ビークル3は、制御部4を備える。
【0037】
制御部4は、ビークル3の各部を制御し、FOUPの搬送及び移載を実行させる。制御部4は、後述する配車調整処理の際に、搬送コントローラ10からのコマンドに従って、ビークル3の走行を制御する。
【0038】
搬送コントローラ10は、製造指示部20からの指示に基づいて、所定の単位時間単位で構成される搬送スケジュールを作成し、作成された搬送スケジュールに従って、移動装置2及び複数のビークル3を総括的に制御する。搬送コントローラ10は、移動装置2と有線により接続され、複数のビークル3と無線により接続されている。本実施形態では、搬送コントローラ10は、予定台数特定部11、モジュール設定部12、モジュール評価部13、及び配置位置制御部14を備える。
【0039】
予定台数特定部11は、本発明に係る「予定台数特定手段」の一例として、搬送スケジュールに基づいて、各モジュールM1〜M6の内部で、ビークル3がFOUPを搬送するために要求される予定のビークル3の台数を予定台数として特定する。
【0040】
モジュール設定部12は、本発明に係る「集合設定手段」の一例として、各モジュールM1〜M6における予定台数と、各モジュールM1〜M6の内部に存在するビークル3の存在台数との過不足台数(本発明に係る「差異」の一例)を算出する。モジュール設定部12は、算出した過不足台数に基づいて、各モジュールM1〜M6のステイタスを設定する。ステイタスは、「余剰モジュール」、「不足モジュール」、「対象余剰モジュール」(本発明に係る「対象過剰集合」の一例)、「対象不足モジュール」(本発明に係る「対象不足集合」の一例)、及び「中間モジュール」がある。モジュール設定部12は、予定台数に対し、存在台数が過剰である(即ち、過不足台数が「+」の値で示される)モジュールを「余剰モジュール」として設定し、存在台数が不足する(即ち、過不足台数が「−」の値で示される)モジュールを「不足モジュール」として設定する。また、余剰モジュールのうち、存在台数が最も過剰であるモジュールを「対象余剰モジュール」として設定し、不足モジュールのうち、存在台数が最も不足するモジュールを「対象不足モジュール」として設定する。
【0041】
モジュール評価部13は、本発明に係る「評価値算出手段」の一例として、対象となるモジュールについて、評価値を算出する。評価値は、対象余剰モジュールとの間にある一又は複数の後述する中間モジュールの総数、対象余剰モジュール及びそれに続く一又は複数の中間モジュールの各々で算出された過不足台数の和、並びに対象余剰モジュールとの間にある一又は複数の中間モジュールのうち、一又は複数の余剰モジュールの総数の総和である。
【0042】
配車位置制御部14は、搬送スケジュールに応じて、ビークル3の配車位置を制御する。配車位置制御部14は、本発明に係る「列決定手段」の一例として、モジュール評価部13による評価値に基づいて、対象余剰モジュール及び対象不足モジュールを除いた4つのモジュールのうち、対象余剰モジュール及び対象不足モジュールを連絡する少なくとも2つのモジュールを「中間モジュール」として設定する。配車位置制御部14は、その設定の際に、後述する中間集合設定処理を実行する。
【0043】
配車位置制御部14は、設定した中間モジュールを含んで構成され、且つ対象余剰モジュール及び対象不足モジュールを連絡する調整列(本発明に係る「集合列」の一例)を決定する。配車位置制御部14は、本発明に係る「制御手段」の一例として、決定した調整列に沿った隣り合う2つのモジュール間で、所定台数のビークル3を移動させることで、ビークル3の配車位置を調整する。配車位置制御部14は、その調整の際に、所定台数のビークル3を移動させるためのコマンドを生成し、生成されたコマンドを所定のビークル3に送信する。尚、移動させるビークル3の台数は、モジュール設定部12による過不足台数に対応する。
【0044】
次に、配車位置制御部14による配車位置の調整方法について図2及び図3を参照して説明する。ここに図3は、図2の複数の集合に対する調整列の一例、及び該調整列の一例に対応するコマンドを示す。
【0045】
図2において、モジュールM1のステイタスを「対象余剰モジュール」、モジュールM3及びM5のステイタスを「中間モジュール」、並びにモジュールM6のステイタスが「対象不足モジュール」と設定する。この場合に、図3において、テーブル20は、「調整列構成モジュール」及び「コマンド」の2つの項目を示す。「調整列構成モジュール」は、調整列を構成する複数のモジュールを列順に示す。「コマンド」は、調整列を構成する複数のモジュールの内部の各々で実行される制御指令を示す。「コマンド」は、「ビークルNo.」及び「追い出しモジュール」の2つの項目を含んでいる。「ビークルNo.」は、配置位置を調整すべきビークル3の識別番号である。「追い出しモジュール」は、「ビークルNo.」により識別されるビークル3が存在するモジュールの推移を示す。即ち、識別されるビークル3を、矢印の左方に示されるモジュールから、矢印の右方に示されるモジュールに追い出す旨を示す。本実施形態では、調整列が、モジュール「M1」、「M3」、「M5」及び「M6」の順番に一列構成されている。その構成に対応して、モジュール「M1」において、ビークルNo.「B4−B7」とする4台のビークル3を、モジュール「M1」から「M3」へ追い出すコマンド(即ち、追い出しモジュール「M1→M3」)が設定されている。モジュール「M3」において、ビークルNo.「B30、B33」とする2台のビークル3を、モジュール「M3」から「M5」へ追い出すコマンド(即ち、追い出しモジュール「M3→M5」)が設定されている。モジュール「M5」において、ビークルNo.「B10−B13」とする4台のビークル3を、モジュール「M5」から「M6」へ追い出すコマンド(即ち、追い出しモジュール「M5→M6」)が設定されている。
(中間集合設定処理)
【0046】
次に、モジュール設定部12による中間集合設定処理について図4を参照して説明する。ここに図4は、本実施形態に係る中間集合設定処理による中間集合の設定手順を説明する。
【0047】
図4において、各モジュールを示す枠内には、左上部に、6つのモジュールを識別するための符号M1,M2,…,M6が示されている。また、中央部の3段のうちの上段には、「登録」又は「未登録」が示され、中段には、モジュールのステイタス(即ち、「対象余剰モジュール」、「対象不足モジュール」、「余剰モジュール」、「不足モジュール」、又は「中間モジュール」のいずれか)が示され、下段には、ビークル3の過不足台数が示されている。「登録」は、調整列の構成要素として登録されている旨を示す。
【0048】
図4(a)において、先ず、6つのモジュールM1〜M6のうち、最も多い過不足台数「+8」を有するモジュールM1が対象余剰モジュールとして設定される。それと同時に、最も少ない過不足台数「−4」を有するモジュールM6が対象不足モジュールとして設定される。
【0049】
続いて、図4(b)において、設定された対象余剰モジュールM1に隣接する不足モジュールM2、及び余剰モジュールM3について、評価値が算出される。過不足台数「−2」を有する不足モジュールM2が評価値「11」をとり、過不足台数「+3」を有する余剰モジュールM3が評価値「6」をとる。この場合に、評価値がより少ない余剰モジュールM3が中間モジュールとして設定される。その設定の前後に、対象余剰モジュールM1が登録される。
【0050】
続いて、図4(c)において、設定された中間モジュールM3に隣接する余剰モジュールM4、及び余剰モジュールM5について、評価値が算出される。過不足台数「+4」を有する余剰モジュールM4が評価値「13」をとり、過不足台数「+6」を有する不足モジュールM5が評価値「11」をとる。この場合に、評価値がより少ない不足モジュールM5が中間モジュールとして設定される。その設定に伴って、中間モジュールM3が登録される。
【0051】
続いて、図4(d)において、設定された中間モジュールM5には、対象余剰モジュールM6のみ隣接している。これにより、中間モジュールM5及び対象余剰モジュールM6が登録され、対象余剰モジュールM1から始まり、中間モジュールM3及びM5を経て、対象不足モジュールM6で終わる調整列が構成される。
(配車調整処理)
【0052】
次に、実施形態に係る搬送システムによる配車調整処理について、図5を参照して説明する。ここに図5は、実施形態に係る配車調整処理を示すフローチャートである。本実施形態では、該配車調整処理は、搬送スケジュールに従って、単位時間毎に実行されるものとする。
【0053】
図5において、先ず予定台数特定部11によって、複数のモジュールの各々について、予定台数が特定され、モジュール設定部12によって、予定台数に対する過不足台数が算出される。すると、算出された過不足台数が最も多いモジュールが対象余剰モジュールとして設定され、最も少ないモジュールが対象不足モジュールとして設定される(ステップS41)。すると、設定された対象余剰モジュールが調整列の構成モジュールとして登録される(ステップS42)。すると、対象不足モジュールが調整列の構成モジュールとして登録されたか否かが判定される(ステップS43)。この判定の結果、未だ登録されていない場合に(ステップS43:NO)、モジュール評価部13によって、最近設定されたモジュール(初回は、対象余剰モジュール、2回目以降は、最近に設定された中間モジュール)に隣接する一又は複数の未設定モジュールの各々における評価値が算出される(ステップS44)。すると、一又は複数の未設定モジュールのうち、最も小さい評価値をとったモジュールが中間モジュールとして設定される(ステップS45)。すると、ステップS43の処理を再度行う。
【0054】
一方、ステップS43の判定の結果、対象不足モジュールが調整列の構成モジュールとして登録された、即ち、対象余剰モジュール及び対象不足モジュールを連絡する一又は複数の中間モジュールが設定された場合に(ステップS43:YES)、配車位置制御部14によって、設定された中間モジュールの組み合わせにより調整列が構成される(ステップS46)。すると、構成された調整列に対応するコマンドが生成され(ステップS47)、生成されたコマンドが実行される(ステップS48)。この実行により、調整列を構成する複数のモジュールの各々において、所定台数のビークル3が、調整列上の対象不足モジュール側に在るモジュールへ順繰りに移動される。これにより、一連の配車調整処理が終了する。
【0055】
このように、本実施形態の配車調整処理によれば、調整列に沿って複数のビークル3を順繰りに移動させ、該複数のビークル3の各々における該移動時間を短縮することにより、配車に要する時間が短縮される。よって、ビークル3の配車を効率よく行い、該配車位置を適切に調整することが可能となる。
【0056】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う搬送システム及び配車管理装置、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態に係る搬送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る複数の集合の一例を示す平面図である。
【図3】図2の複数の集合に対する調整列及びコマンドの一例を示すテーブルである。
【図4】図2の複数の集合に対する中間集合設定処理の一例を示す説明図である。
【図5】実施形態に係る配車調整処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
3…ビークル、10…搬送コントローラ、11…予定台数特定部、12…モジュール設定部、13…モジュール評価部、14…配車位置制御部、100…搬送システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物に対して各種処理を施す一又は複数の作業装置を含んで夫々構成される複数の集合の各々の内部及び該複数の集合の相互間で、前記被搬送物を搬送する搬送システムであって、
前記被搬送物を夫々搭載可能であると共に、前記複数の集合の各々の内部及び該複数の集合の相互間で、夫々移動可能な複数の搬送車と、
前記内部及び前記相互間で前記複数の搬送車を移動させる移動手段と、
将来の一時点又は時期において前記内部の各々で前記被搬送物を搬送するために要求される予定の前記複数の搬送車の台数を予定台数として特定する予定台数特定手段と、
前記内部の各々に存在する前記複数の搬送車の台数を存在台数として検知し、該検知された存在台数と前記特定された予定台数との台数の差異を算出すると共に、前記複数の集合のうち、該算出された差異が相対的に大きい集合を対象過剰集合として設定すると共に、前記算出された差異が相対的に小さい集合を対象不足集合として設定する集合設定手段と、
前記一時点又は時期に先立って、前記設定された対象過剰集合から、前記設定された対象過剰集合及び対象不足集合を相互に連絡させる一又は複数の集合の各々であると共に前記設定された対象過剰集合と比較して前記算出された差異が小さく且つ前記設定された対象不足集合と比較して前記算出された差異が大きい集合である中間集合へ、前記複数の搬送車を移動させると共に、前記中間集合から、前記設定された対象不足集合へ、前記複数の搬送車を移動させるように、前記移動手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記集合設定手段は、前記複数の集合のうち、前記算出された差異が最も大きい集合を前記対象過剰集合として設定すると共に、前記算出された差異が最も小さい集合を前記対象不足集合として設定することを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記複数の集合のうち、前記中間集合を設定する際の指標となる評価値を、前記内部の各々について算出する評価値算出手段と、
前記算出された評価値に基づいて、前記中間集合を一又は複数設定すると共に、該設定された一又は複数の中間集合を含んで構成され且つ前記設定された対象過剰集合から対象不足集合へ到る集合列を決定する列決定手段と
を含み、
前記一時点又は時期に先立って、前記決定された集合列に沿って、前記複数の搬送車を順繰りに移動させるように、前記移動手段を制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記評価値は、前記設定された対象過剰集合と前記設定された対象不足集合との間に設定された前記一又は複数の中間集合の総数、前記一又は複数の中間集合の内部の各々で前記算出された差異の総数、前記一又は複数の中間集合の内部の各々に存在する前記複数の搬送車のうち空荷の搬送車の台数の総数、及び前記一又は複数の中間集合のうち前記算出された差異が零より大きい集合の総数のうち、少なくとも一つに基づいて決定されることを特徴とする請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記列決定手段は、
前記集合列を決定する際に、前記複数の集合のうち、前記設定された対象過剰集合に隣接する複数の集合の各々で算出された評価値のうち、最も小さい評価値が算出された一の集合を、前記設定された対象過剰集合に連なる第1中間集合として決定すると共に、前記設定された対象過剰集合を前記集合列の構成要素として登録し、
該決定された第1中央集合に隣接する前記複数の集合のうち、前記登録された対象過剰集合を除く複数の集合の各々で算出された評価値のうち、最も小さい評価値が算出された二の集合を、前記決定された第1中間集合に連なる第2中間集合として決定すると共に、前記決定された第1中間集合を前記集合列の構成要素として登録する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の搬送システム。
【請求項6】
被搬送物に対して各種処理を施す一又は複数の作業装置を含んで夫々構成される複数の集合の各々の内部及び該複数の集合の相互間で、前記被搬送物を搬送する搬送システムにおいて、配車を管理する配車管理装置であって、
前記被搬送物を夫々搭載可能であると共に、前記複数の集合の各々の内部及び該複数の集合の相互間で、夫々移動可能な複数の搬送車と、
前記内部及び前記相互間で前記複数の搬送車を移動させる移動手段と、
将来の一時点又は時期において前記内部の各々で前記被搬送物を搬送するために要求される予定の前記複数の搬送車の台数を予定台数として特定する予定台数特定手段と、
前記内部の各々に存在する前記複数の搬送車の台数を存在台数として検知し、該検知された存在台数と前記特定された予定台数との台数の差異を算出すると共に、前記複数の集合のうち、該算出された差異が相対的に大きい集合を対象過剰集合として設定すると共に、前記算出された差異が相対的に小さい集合を対象不足集合として設定する集合設定手段と、
前記一時点又は時期に先立って、前記設定された対象過剰集合から、前記設定された対象過剰集合及び対象不足集合を相互に連絡させる一又は複数の集合の各々であると共に前記設定された対象過剰集合と比較して前記算出された差異が小さく且つ前記設定された対象不足集合と比較して前記算出された差異が大きい集合である中間集合へ、前記複数の搬送車を移動させると共に、前記中間集合から、前記設定された対象不足集合へ、前記複数の搬送車を移動させるように、前記移動手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする搬送システムの配車管理装置。
【請求項7】
被搬送物を夫々搭載可能であると共に、該被搬送物に対して各種処理を施す一又は複数の作業装置を含んで夫々構成される複数の集合の各々の内部及び該複数の集合の相互間で夫々移動可能な複数の搬送車、並びに前記内部及び前記相互間で前記複数の搬送車を移動させる移動手段により前記被搬送物を搬送する搬送システムに備えられるコンピュータを、
将来の一時点又は時期において前記内部の各々で前記被搬送物を搬送するために要求される予定の前記複数の搬送車の台数を予定台数として特定する予定台数特定手段と、
前記内部の各々に存在する前記複数の搬送車の台数を存在台数として検知し、該検知された存在台数と前記特定された予定台数との台数の差異を算出すると共に、前記複数の集合のうち、該算出された差異が相対的に大きい集合を対象過剰集合として設定すると共に、前記算出された差異が相対的に小さい集合を対象不足集合として設定する集合設定手段と、
前記一時点又は時期に先立って、前記設定された対象過剰集合から、前記設定された対象過剰集合及び対象不足集合を相互に連絡させる一又は複数の集合の各々であると共に前記設定された対象過剰集合と比較して前記算出された差異が小さく且つ前記設定された対象不足集合と比較して前記算出された差異が大きい集合である中間集合へ、前記複数の搬送車を移動させると共に、前記中間集合から、前記設定された対象不足集合へ、前記複数の搬送車を移動させるように、前記移動手段を制御する制御手段と
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−67027(P2010−67027A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233062(P2008−233062)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(309031466)ムラテックオートメーション株式会社 (52)
【Fターム(参考)】