説明

搬送システム

【課題】搬送システムにおいて、被搬送物を識別しつつ、効率的な搬送を行う。
【解決手段】搬送システムは、軌道部100と、軌道部100上で荷500を搬送する搬送車200と、搬送される荷500が一時的に保管される保管場所600における荷500の存否を検出可能な検出手段310と、荷500に対し所定種類の識別処理を実行可能な識別手段320と、命令に応じて存否を検出するように検出手段310を制御し、荷500が存在すると検出された場合に識別処理を実行するように識別手段320を制御する制御手段1000とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体装置製造用の各種基板等の荷を搬送する搬送車等を備えた搬送システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送システムとして、搬送車によって搬送する荷或いは被搬送物に、該荷に関する情報を記録したIDタグを設けておき、搬送時において、そのIDタグを読取ることで荷を識別して、荷を管理しつつ搬送するというものがある。
【0003】
例えば特許文献1では、荷の保管を行うストッカに荷のIDタグを読取る電子モジュールを設け、ストッカに荷を保管した際に、IDタグから荷の情報を読取るという技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−295707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような技術においては、IDタグの情報を読取ろうとした場合、荷を、電子モジュールが設けられたストッカまで搬送しなければならない。このため、どのような荷が何処にあるかを知るためには、搬送履歴を常時保管しておき、各荷の動きをフォローアップすることが要求される。しかし、停電や故障などで情報保管に異常が生じると、この方法では対応できない。この場合或いは情報保管の機能を持たない搬送システムでは、各荷の種類を認識するためには、荷を各場所へ取りに行き、更にこれを移載した後にストッカまで搬送するだけの時間や更にこれをストッカへ移載するだけの時間がかかってしまうという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、荷を識別しつつ、効率的な搬送を行うことが可能な搬送システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送システムは上記課題を解決するために、軌道部と、該軌道部上で荷を搬送する搬送車と、前記搬送される荷が一時的に保管される保管場所における、荷の存否を検出可能な検出手段と、前記荷に対し、所定種類の識別処理を実行可能な識別手段と、命令に応じて、前記存否を検出するように前記検出手段を制御し、前記荷が存在すると検出された場合に、前記識別処理を実行するように前記識別手段を制御する制御手段とを備える。
【0008】
本発明に係る搬送システムによれば、その動作時には、軌道部上を搬送車が走行することによって荷が搬送される。即ち、荷を積載した搬送車が軌道上を走行して荷を搬送する。搬送される荷は、搬送途中において一時的に保管場所に保管される。保管場所は、典型的には軌道に沿って設けられた棚やポートであるが、ここでは搬送車自身も含まれるものとする。即ち、搬送車に積載された荷も保管場所に保管されていると解する。
【0009】
ここで本発明では特に、命令に応じて、制御手段が検出手段を制御し、検出手段によって保管場所における荷の存否が検出される。尚、ここでの「命令」とは、制御手段を動作させるためのトリガであって、例えば人による操作であってもよいし、所定条件を満たすことによって自動的になされるものであってもよい。上述した検出は、例えば電磁波を利用したリモートセンシング等によって可能である。また検出動作は、典型的には搬送システムにおける全ての保管場所において行われるが、所定の保管場所においてのみ行うようにしてもよい。
【0010】
保管場所に荷が存在すると検出されると、制御手段が識別手段を制御し、検出された荷に対して、識別手段による所定種類の識別処理が実行される。尚、「識別処理」とは、荷を識別するための処理であり、例えば荷番号等を取得することによって実行される。
【0011】
上述したような動作行うことで、例えば荷の識別情報が何らかの原因で失われてしまい、保管場所における荷を識別できなくなった際において、確実に荷を識別することが可能である。よって、例えば荷を個別に管理しつつ搬送することができる。また本発明では特に、識別処理を実行する前に荷の存否を検出している。このため、存否の検出に対して比較的時間のかかる識別処理を、荷が検出された場合にのみ行うことが可能となる。従って、より速やかに荷を識別することが可能となる。
【0012】
以上説明したように、本発明に係る搬送システムによれば、速やかに荷を識別することが可能となる。従って、効率的な荷の搬送を行うことが可能である。
【0013】
本発明の搬送システムの一態様では、前記識別手段は、前記搬送車に設けられており、前記荷が前記搬送車に積載された際に前記識別処理を実行可能であり、前記制御手段は、前記荷が存在すると検出された場合に、前記荷を積載するように前記搬送車を制御し、続いて、前記識別処理を実行するように前記識別手段を制御する。
【0014】
この態様によれば、識別手段は搬送車に設けられており、荷が搬送車に積載された際に識別処理を実行可能とされている。即ち、識別手段は、保管場所には設けられていない。ここで、検出手段によって荷が存在すると検出された場合には、制御手段によって、先ず搬送車が荷を積載するように制御され、続いて、識別手段が識別処理を実行するように制御される。
【0015】
上述した制御によって、検出された荷に対して確実に識別処理を実行することが可能となる。しかも、全保管場所の各々について、荷を搬送車に移載する作業を行おうとする必要はなく、即ち、搬送車を全保管場所に一々立ち寄らせる必要はない。逆に、荷の存在が確認された保管場所のみへ搬送車を立ち寄らせて、荷の移載作業を行うだけでよい。また、積載することにより識別処理が実行可能となるため、例えば所定の位置まで搬送して識別処理を実行する場合と比較して、より迅速に識別処理を実行することができる。従って、より効率的な荷の搬送を行うことが可能となる。
【0016】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記荷を前記搬送車によって荷上げ可能な位置に敷設されており、前記荷上げされた荷を保管可能な保管棚を更に備え、前記識別手段は、前記保管棚に設けられており、前記荷が前記保管棚に荷上げされた際に前記識別処理を実行可能であり、前記制御手段は、前記荷が存在すると検出された場合に、前記荷を前記保管棚に荷上げするように前記搬送車を制御し、続いて、前記識別処理を実行するように前記識別手段を制御する。
【0017】
この態様によれば、搬送車によって荷上げ可能な位置に保管棚が敷設されており、保管棚は荷上げされた荷を保管可能である。また、識別手段は保管棚に設けられており、荷が保管棚に荷上げされた際に識別処理を実行可能とされている。即ち、識別手段は、搬送車には設けられていない。ここで、検出手段によって荷が存在すると検出された場合には、制御手段によって、先ず搬送車が荷を保管棚へ荷上げするように制御され、続いて、識別手段が識別処理を実行するように制御される。尚、搬送車による荷上げ動作には、保管棚に荷上げ可能な位置までの搬送動作も含まれる。
【0018】
尚、上述したように荷を保管棚へ荷上げして識別する動作には比較的時間がかかってしまうが、本態様では、検出手段によって荷が検出された場合に、識別処理を実行するようにしているため、より速やかに荷の識別を行うことができる。即ち、全保管場所の各々から荷を保管棚まで搬送し、更に保管棚へ荷上げする作業を行う必要はない。逆に、荷の存在が確認された保管場所のみから荷を搬送し、これを保管棚へ荷揚するだけでよい。
【0019】
上述した制御によって、検出された荷に対して確実に識別処理を実行することが可能となる。従って、より効率的な荷の搬送を行うことが可能となる。
【0020】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記保管場所は、前記軌道部に沿って複数敷設されており、各々で前記荷を荷下ろし及び荷上げ可能な複数の一時保管用棚部である。
【0021】
この態様によれば、軌道部に沿って複数の一時保管用棚部が敷設されている。一時保管用棚部は、例えばOHB(Over Head Buffer)であり、各々で荷を荷下ろし荷上げ可能とすることで、搬送の効率を向上させている。
【0022】
ここで仮に、一時保管用棚部に保管された荷が検出及び識別されていない状態となってしまうと、搬送の効率は極めて低下する。より具体的には、一時保管用棚部のどの位置にどのような荷が保管されているかが分からなければ、効率的な搬送を行うことができなくなるおそれがある。
【0023】
しかるに本発明では特に、上述したように、検出及び識別処理を実行することで、確実に保管場所における荷を識別することができる。また一時保管用棚部は、各々で荷を荷下ろし荷上げ可能な位置に設けられているため、検出や識別処理を容易に実行することが可能である。例えば、保管された荷に対して、積載動作等の比較的時間のかかる動作を行わずとも荷の存否を検出可能であり、また積載による識別処理等も速やかに行える。
【0024】
また、一時保管用棚部が備えられることにより、システム全体における保管場所の数も多くなり、検出動作を行う回数も多くなる。これに対し、本態様では検出動作を速やかに行うことが可能であるので、検出動作の増加による一連の処理の遅延を抑制することが可能である。
【0025】
以上説明したように、一時保管用棚部が敷設されているシステムにおいては、効率的な荷の搬送を行うことが可能であるという効果を、より顕著に発揮させることが可能である。
【0026】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記搬送車は、前記軌道部上に複数存在し、前記検出手段は、前記複数の搬送車に夫々設けられている。
【0027】
この態様によれば、搬送車は軌道部上に複数存在している。即ち、複数の搬送車が夫々独立して或いは連携して軌道部上を走行することによって荷が搬送される。そして、複数の搬送車には、夫々検出手段が設けられている。尚、検出手段が設けられていない搬送車が存在するようにしてもよい。
【0028】
搬送車に夫々検出手段が設けられていることにより、例えば搬送車に積載(即ち、保管)された荷を、より速やかに識別することが可能である。即ち、積載動作等の比較的時間のかかる動作を行わずとも荷の存否を検出可能である。また、搬送車以外の保管場所に保管されている荷についても、搬送車を荷下ろし及び荷上げ可能な位置に移動させることで、検出を行うことが可能となる。更に、荷の存否を検出した後に、速やかに積載動作に移ることができるため、識別処理をより迅速に行うことが可能とある。
【0029】
以上説明したように、複数の搬送車に夫々検出手段が設けられていれば、より速やかに荷を識別することが可能となる。従って、効率的な荷の搬送を行うことが可能である。
【0030】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記命令は、当該搬送システムが停止状態から復帰した際に、前記制御手段に対して与えられる。
【0031】
この態様によれば、搬送システムが停止状態から復帰した際に、制御手段への命令が与えられる。尚、ここでの「停止状態」とは、システムが停止することによって、搬送途中の荷の位置情報や識別情報等が失われてしまうような状態であり、例えば、停電や故障等によってシステムが緊急停止した場合に、このような状態となる。
【0032】
システムが停止状態から復帰した際には、上述したように、搬送途中の荷の位置情報や識別情報等が失われているため、どの種類の荷が何処にあるかを調べるのに非常に手間がかかる。例えば、荷を識別手段が設けられた保管棚まで搬送し、更に保管棚に移載し、識別処理を行う動作を、全ての荷に対して一つ一つ行えば、どの種類の荷がどこにあるかをフォローアップできる。しかしながら、この一連の処理には膨大な時間と手間とがかかる。
【0033】
しかるに上述した本発明の如き荷の存否の検出及びこれに続く識別処理を実行すれば、システムが停止する前の状態(即ち、荷の位置情報や識別情報等が取得されている状態)へと戻すことが非常に容易にして或いは迅速にして可能である。
【0034】
以上説明したように、本態様に係る搬送システムによれば、システムが停止状態となった場合であっても、速やかに効率的な荷の搬送を行える状態へと回復させることができる。
【0035】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記荷には、前記識別処理を実行するための情報が記録されたタグが付加されており、前記識別手段は、前記記録された情報を読み取り、前記読み取られた情報に基づいて、前記識別処理を行う。
【0036】
この態様によれば、搬送される荷には、識別処理を実行するための情報が記録されたタグが付加されている。タグは、例えばRFID(Radio Frequency IDentification)タグやバーコード等であり、荷番号や荷の種類等を示す情報が記録される。そして、識別手段は、付加されたタグの情報を読取り、読取られた情報に基づいて識別処理を行う。
【0037】
上述したように、タグが荷に付加されていることで、識別手段による識別処理を、より確実に実行することができる。
【0038】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0040】
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態に係る搬送システムの構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、第1実施形態に係る搬送システムの全体構成を示す概略図である。
【0041】
図1において、本実施形態に係る搬送システムは、軌道部100と、本発明の「検出手段」の一例である検出部310を有する搬送車200と、本発明の「識別手段」の一例である識別部320を有するストッカ400と、本発明の「保管場所」の一例であるOHB600と、本発明の「制御手段」の一例であるコントローラ1000とを備えて構成されている。
【0042】
軌道部100は、例えば天井に敷設されており、アルミニウムやステンレス等の金属から構成される。
【0043】
搬送車200は、走行ローラ215を有する走行部210と、固定部220と、移動部230と、昇降ベルト240と、グリップ部250と、落下防止部260と、検出部310とを備えて構成されている。尚、ここでは説明の便宜上1台の搬送車200を図示しているが、典型的には軌道部100上に複数の搬送車が備えられている。
【0044】
走行部210は、例えばリニアモータの推進原理で走行ローラ215を回転させて走行する。固定部220は走行部210に吊り下がる形で取り付けられている。固定部220の下面には移動部230が設けられている。移動部230は、例えば固定部220に対して水平方向(即ち、図の左右方向)に移動することが可能であり、これにより軌道部100からそれた位置にある荷を積載することができる。移動部230には、昇降ベルト240を介してグリップ部250が取り付けられている。昇降ベルト240は、巻き出し及び巻き取りによって、グリップ部250を移動部230に対して昇降(即ち、図の上下方向の移動)可能である。これにより、グリップ部250は、様々な高さに置かれた荷500を把持することができる。落下防止部260は、積載した荷下側から支持し、落下を防止する。尚、荷500の積載を行う場合には、積載動作の妨げとならないように縮小させる、或いは移動部230の内部に収納させることが可能である。
【0045】
搬送車200には更に、検出部310が備えられており、積載した荷500や積載可能な位置にある荷の存否を検出する。検出部310は、例えば反射式の光学センサ等である。
【0046】
ストッカ400は、軌道部100に沿った位置に設けられており、搬送車200が搬送してきた荷500を保管する。またストッカ400には、識別部320が設けられており、ストッカ400に保管された荷500に付加されたタグ510を読取ることが可能である。タグ510は、例えばRFIDタグやバーコード等である。尚、このようなストッカ400は、システム内に複数設けられてもよい。
【0047】
OHB600は、搬送車200が搬送してきた荷を一時的に保管する棚であり、軌道部100の下方に、軌道部100に沿うような形で設けられている。OHB600は、典型的には連続して複数設けられるため、システム全体で見ればOHB600には非常に多く(例えば、数百又は数千)の荷500を保管することができる。また、OHB600には、上述した検出部310から出射される光を反射するリフレクタ610が設けられている。
【0048】
コントローラ1000は、例えばメモリや演算回路等を含んで構成されており、入力された情報に演算処理を施して出力することで、検出部310や識別部320等、システムにおける各部位の制御を行う。
【0049】
次に、第1実施形態に係る搬送システムの動作について、図2から図4を参照して説明する。ここに図2は、第1実施形態に係る搬送システムの動作を示すフローチャートである。また図3及び図4は夫々、検出部による荷の検出動作を示す側面図である。
【0050】
図2において、本実施形態に係る搬送システムの動作が開始されると、先ず搬送車200による通常搬送を行う(ステップS1)。即ち、荷500を積載した搬送車200が軌道部100上を走行することで、荷500が搬送される。この際、荷500のシステム内における位置情報や識別情報等はコントローラ1000によって管理されている。
【0051】
上述したような搬送中に、例えば停電や故障等が発生してしまうと、搬送システムは停止状態となる。そして、停止状態から復帰した際には、管理されていた荷500に関する位置情報や識別情報等が失われている可能性が高い。このような場合、例えば操作者による操作により、或いは自動的にシステムに対する命令が与えられる(ステップS2:YES)。
【0052】
命令が与えられると、先ずコントローラ1000により搬送車200が制御され、搬送車200が所定の位置まで移動する(ステップS3)。即ち、搬送車200は後述する検出部310による検出が可能となるように、荷500が存在する可能性のある位置(例えばOHB600の上など)に移動する。
【0053】
搬送車200が移動されると、検出部310による荷500の存否の検出を行う(ステップS4)。以下に、荷500の検出について詳細に説明する。
【0054】
図3において、検出部310はOHB600に設けられたリフレクタ610に向けて光を出射する(図中の矢印参照)。図に示すように、荷500が存在する際は、検出部310から出射された光が荷500によって反射され、検出部310に入射する。或いは、検出部310に入射しないような角度で反射されたり、反射されずに吸収されたりする。
【0055】
図4において、荷500がOHB600上に存在しない場合は、検出部310から出射された光がリフレクタ610によって、検出部310に向かって反射される。ここでリフレクタ610は、例えば光学補償板であり、光を反射する際に位相を反転させて反射する。このため、検出部310には位相が反転した光が入射する。
【0056】
検出部310は、上述したような光の挙動に基づいて、位相が反転された光が入射した場合は荷500が存在しないと判定し(ステップS5:NO)、位相が判定されない光が入射したり、光が入射されない場合は、荷500が存在すると判定する(ステップS5:YES)。尚、検出部310は、荷500の存否を検出できるようなものであれば、上述したような反射式の光学センサでなくともよい。
【0057】
図2に戻り、荷500が検出されない場合は、搬送車200が別の保管場所に移動され、上述した検出動作が繰り返される。荷500が検出された場合は、この荷500に対する識別処理を実行するために、搬送車200が荷500をストッカ400に搬送する(ステップS6)。即ち、搬送車は検出した荷500を積載した後、ストッカ400に荷500を荷上げできるような位置に移動する。そして、ストッカ400に積載した荷500を荷上げする。
【0058】
ストッカ400に荷上げされた荷500は、図1に示すような位置に配置され、識別部320によってタグ510に記録された情報が読取られる。読取られた情報はコントローラ1000に送られ、コントローラ1000は、読取られた情報に基づいて荷500を識別する(ステップS7)。荷500が識別されることにより、上述した通常搬送(ステップS1参照)を行うことが可能となる。
【0059】
上述した一連の処理は、典型的には、全ての保管場所についての検出が終わるまで、或いは全ての荷が検出されるまで行われる。尚、処理を行う搬送車200は複数の搬送車のうち所定の搬送車であってもよい。即ち、検出等の処理を行う搬送車200と通常搬送を行う搬送車200とが混在していてもよい。このような場合には、例えば検出動作を行う搬送車200が通常搬送を行っている搬送車200の走行を妨げないように連携して動作させることにより、より効率的な搬送を行うことが可能である。
【0060】
以上説明したように、第1実施形態に係る搬送システムによれば、停電や故障等の理由により荷500の識別情報等が失われた際に、速やかに荷500を識別することができる。特に、荷500の存在が確認された後にのみ、荷500の搬送、移載及び識別処理を逐次行うので、荷500が存在しない場合に無駄な処理や動作を行うことを極力避けることが可能となる。このように、より効率的な荷500の搬送を行うことが可能である。
【0061】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る搬送システムについて、図5及び図6を参照して説明する。ここに図5は、第2実施形態に係る搬送車の構成を示す側面図であり、図6は、第2実施形態に係る搬送システムの動作を示すフローチャートである。尚、第2実施形態は、上述の第1実施形態と比べて、識別部320が搬送車200に設けられている点で異なり、その他については概ね同様である。このため第2実施形態では、識別処理について詳細に説明し、第1実施形態と重複する構成及び動作については適宜説明を省略する。
【0062】
図5において、第2実施形態に係る搬送システムにおいては、識別部320が搬送車220における移動部230に設けられている。より具体的には、識別部320は、図に示すように搬送車220に積載された荷500のタグ510を読取ることが可能な位置に設けられている。
【0063】
図6において、第2実施形態に係る搬送システムの動作が開始されると、上述した第1実施形態と同様に、ステップS1からステップS5までの処理が行われる。
【0064】
ステップS5の処理において、検出部310により荷500が存在すると検出されると、コントローラ1000によって、搬送車200が荷500を積載するように制御される(ステップS6a)。搬送車200は、図5に示すように、荷500を積載する。そして識別部320が、積載された荷500に付加されたタグ510に記録された情報を読取る。
【0065】
第2実施形態では特に、第1実施形態と比べて、荷500を搬送しなくとも識別処理を実行することができる。即ち、荷500を搬送車200に積載した時点で識別処理を実行できる。これにより、識別処理にかかる時間は短縮される。従って、より速やかに荷500を識別することが可能である。
【0066】
識別処理を実行した後、荷500を積載した搬送車200は、荷500をOHB600に戻してもよいが、そのまま積載した荷500を搬送することもできる。即ち、通常搬送へと速やかに移行することができるため、より効率的な搬送を行うことが可能である。
【0067】
以上説明したように、第2実施形態に係る搬送システムによれば、上述の第1実施形態において説明した効果に加えて、識別処理にかかる時間を短縮することで、より効率的な搬送を行うことが可能である。
【0068】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う搬送システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1実施形態に係る搬送システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】第1実施形態に係る搬送システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】検出部による荷の検出動作を示す側面図(その1)である。
【図4】検出部による荷の検出動作を示す側面図(その2)である。
【図5】第2実施形態に係る搬送車の構成を示す側面図である。
【図6】第2実施形態に係る搬送システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
100…軌道部、200…搬送車、210…走行部、215…走行ローラ、220…固定部、230…移動部、240…昇降ベルト、250…グリップ部、260…落下防止部、310…検出部、320…識別部、400…ストッカ、500…荷、510…タグ、600…OHB、610…リフレクタ、1000…コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道部と、
該軌道部上で荷を搬送する搬送車と、
前記搬送される荷が一時的に保管される保管場所における、荷の存否を検出可能な検出手段と、
前記荷に対し、所定種類の識別処理を実行可能な識別手段と、
命令に応じて、前記存否を検出するように前記検出手段を制御し、前記荷が存在すると検出された場合に、前記識別処理を実行するように前記識別手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記識別手段は、前記搬送車に設けられており、前記荷が前記搬送車に積載された際に前記識別処理を実行可能であり、
前記制御手段は、前記荷が存在すると検出された場合に、前記荷を積載するように前記搬送車を制御し、続いて、前記識別処理を実行するように前記識別手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記荷を前記搬送車によって荷上げ可能な位置に敷設されており、前記荷上げされた荷を保管可能な保管棚を更に備え、
前記識別手段は、前記保管棚に設けられており、前記に荷が前記保管棚に荷上げされた際に前記識別処理を実行可能であり、
前記制御手段は、前記荷が存在すると検出された場合に、前記荷を前記保管棚に荷上げするように前記搬送車を制御し、続いて、前記識別処理を実行するように前記識別手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記保管場所は、前記軌道部に沿って複数敷設されており、各々で前記荷を荷下ろし及び荷上げ可能な複数の一時保管用棚部であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記搬送車は、前記軌道部上に複数存在し、
前記検出手段は、前記複数の搬送車に夫々設けられている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記命令は、当該搬送システムが停止状態から復帰した際に、前記制御手段に対して与えられることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記荷には、前記識別処理を実行するための情報が記録されたタグが付加されており、
前記識別手段は、前記記録された情報を読み取り、前記読み取られた情報に基づいて、前記識別処理を行う
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−51623(P2009−51623A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220107(P2007−220107)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】