説明

搬送位置決め方法及び装置

【課題】周囲4面のうち例えば両側面が複雑な形状のワークに対して汎用性があり、両側面の形状が複雑な多くの機種のワークに対して汎用性がある搬送位置決め方法及び装置を提供すること。
【解決手段】搬送位置決め方法は、搬送されるシリンダブロック1の前方端部2を基準面41に対して当接させるステップS2と、シリンダブロックの側部5に設定された基準点6に対して計測器60のロッド62を基準面と平行に突き当てることにより原点から基準点までの距離を計測するステップS3と、シリンダブロックをカメラ70で撮影することによりシリンダブロックの機種を判別するステップS4と、計測された距離と判別された機種とによりシリンダブロックの中心位置を割り出すステップS5と、割り出されたシリンダブロックの中心位置にローダ30を移動させるステップS6と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送位置決め方法及び装置に関する。詳しくは、コンベヤにより搬送されるワークの位置決めを行う搬送位置決め方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンベヤにより搬送されるワークを例えばローダにより所定位置で吊り上げるために、ワークの位置決めを行う搬送位置決め装置がある。
例えば、コンベヤ上の所定位置にワークを停止させ、周囲四方向からワークを挟み込むことによりワークの位置を認識する装置が提案されている。
【0003】
また、次のような装置も提案されている(特許文献1参照)。すなわち、ワークを載せたパレットをコンベヤにより搬送し、所定位置でパレットの前進を停止させ、搬送方向に対してワークの左右両側を左右から挟んで固定する。ワークの搬送方向前方からロボットを移動させ、接触センサがワークを検出した位置でロボットの移動を停止させる。これにより、ロボットに対するワークの位置を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−242987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ワークを周囲四方向から挟み込む装置の場合は、ワークの周囲4面全てが平坦に近い比較的単純な形状であることが必要である。例えば1面でも凹凸のある複雑な形状のワークの場合は、その面を反対側の面に対して挟み込むことが困難であり、ワークの位置決めが困難である。
【0006】
特許文献1に記載された装置の場合は、搬送方向に対してワークの左右両側は平坦に近い比較的単純な形状であることが必要である。また、ワークの搬送方向前部も接触センサが接触するのに適した平坦に近い形状であることが要求される。したがって、周囲4面のうち例えば両側面が凹凸のある複雑な形状のワークの場合は、その両側面を左右から挟むことが困難であり、また、一方の側面を接触センサによる接触面とすることも困難である。よって、ワークの位置決めが困難である。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、周囲4面のうち例えば両側面が複雑な形状のワークに対して汎用性があり、両側面の形状が複雑な多くの機種のワークに対して汎用性がある搬送位置決め方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の搬送位置決め方法は、搬送されるワーク(例えば、後述のワークW)の搬送方向前部(例えば、後述の前方端部2)を基準面(例えば、後述の基準面41)に対して当接させる工程(例えば、後述のステップS2)と、ワークの搬送方向側部(例えば、後述の側部5)に設定された基準点(例えば、後述の基準点6)に対して計測器(例えば、後述の計測器60)の測定部(例えば、後述のロッド62)を前記基準面と平行に突き当てることにより原点から当該基準点までの距離を計測する工程(例えば、後述のステップS3)と、ワークをカメラ(例えば、後述のカメラ70)で撮影することによりワークの機種を判別する工程(例えば、後述のステップS4)と、計測された前記距離と判別された前記機種とによりワークの中心位置を割り出す工程(例えば、後述のステップS5)と、割り出されたワークの中心位置にローダ(例えば、後述のローダ30)を移動させる工程(例えば、後述のステップS6)と、を含むことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、搬送方向両側部が凹凸のある比較的複雑な形状のワークに対して汎用性がある。また、計測器による原点から基準点までの距離計測と、カメラ撮影によるワークの機種判別とによってワークの中心位置を割り出すことで、機種が異なるワークに対して汎用性がある。
【0010】
本発明の搬送位置決め方法は、搬送されるワークの搬送方向前部を基準面に対して当接させる工程(例えば、後述のステップS12)と、ワークをカメラで撮影することによりワークの機種を判別する工程(例えば、後述のステップS13)と、計測器の位置が前記判別された機種のワークの搬送方向側部に設定された基準点に対応しているか否かを判定する工程(例えば、後述のステップS14)と、前記計測器の位置がワークの前記基準点に対応していない場合に当該計測器を当該基準点に対応する位置に移動させる工程(例えば、後述のステップS15)と、ワークの前記基準点に対して前記計測器の測定部を前記基準面と平行に突き当てることにより原点から当該基準点までの距離を計測する工程(例えば、後述のステップS16)と、前記機種と計測された前記距離とによりワークの中心位置を割り出す工程(例えば、後述のステップS17)と、割り出されたワークの中心位置にローダを移動させる工程(例えば、後述のステップS18)と、を含むことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、上述の効果と同様の効果がある。また、計測器の位置がワークの基準点に対応していない場合には計測器を基準点に対応する位置に移動させることにより、多くの機種のワークに対して汎用性がある。
【0012】
この場合、前記ワークはエンジンのシリンダブロック又はシリンダヘッドであることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、両側部が凹凸のある複雑な形状のシリンダブロック又はシリンダヘッドの場合でも、シリンダブロック又はシリンダヘッドの当該側部に設定された基準点を利用して原点から当該基準点までの距離を計測することにより、ワークの位置決めを行うことができる。
【0014】
本発明の搬送位置決め装置(例えば、後述の搬送位置決め装置10)は、ワークの搬送方向後部(例えば、後述の後方端部3)を押圧することにより、搬送ライン(例えば、後述のローラコンベヤ20)の所定位置に配置される基準面に対してワークの搬送方向前部を当接させる押圧部材(例えば、後述の押圧部材50)と、ワークの搬送方向側部に設定された基準点に対して測定部を前記基準面と平行に突き当てることにより原点から当該基準点までの距離を計測する計測器と、ワークを撮影するカメラと、前記カメラの撮影データに基づいてワークの機種を判別すると共に、判別したワークの機種と前記計測器により計測された距離とからワークの中心位置を割り出し、割り出されたワークの中心位置にローダを移動させる制御部(例えば、後述の制御装置80)と、を備えることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、上述の効果と同様の効果がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、周囲4面のうち例えば両側面が複雑な形状のワークに対して汎用性があり、両側面の形状が複雑な多くの機種のワークに対して汎用性があり、搬送ラインに用いる設備の汎用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る搬送位置決め装置の一実施形態を示す概略的正面図である。
【図2】図1に示す搬送位置決め装置の概略的平面図である。
【図3】ワークの一例を示すシリンダブロックの拡大図である。
【図4】制御装置のブロック図である。
【図5】本発明に係る搬送位置決め方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る搬送位置決め方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る搬送位置決め装置10は、搬送ラインとしてのローラコンベヤ20により搬送されるワークWをローダ30が掴むために、ローラコンベヤ20の所定位置にワークWを停止させ、そのワークWの中心位置にローダ30を移動させるものである。
【0019】
具体的には、ワークWは、例えばエンジンのシリンダブロック又はシリンダヘッドである。図3に示すように、シリンダブロック1の場合、両端部2、3は凹凸が少なく、平面状の部材で挟むことが容易な形状をしている。これに対し、両側部4、5は凹凸のある複雑な形状をしていて、平面状の部材で挟むことが困難である。
【0020】
シリンダブロック1の側部4又は側部5には、例えばエンジンの型番プレート等を取り付けるための平坦なプレート取り付け部位が形成されている。このプレート取り付け部位には、後述する計測器60が所定の原点からシリンダブロック1までの距離を測定する場合の基準点6が設定される。
【0021】
搬送位置決め装置10は、停止部材40及び押圧部材50と、計測器60と、カメラ70と、制御装置80とを備える。
【0022】
停止部材40は、ローラコンベヤ20の搬送路の所定位置に当該搬送路を遮るように設置されて、ローラコンベヤ20により搬送されてきたワークWを停止させる。ワークWの搬送を停止させる停止部材40の基準面41は、実質的に平面状に形成されている。
【0023】
押圧部材50は、停止部材40の基準面41よりも搬送方向手前側に設置され、図示しないソレノイドにより駆動される。押圧部材50は、通常のワーク搬送工程中はローラコンベヤ20の搬送路から退避している。ワークWが停止部材40の手前付近まで搬送されてきて押圧部材50を通過したタイミングで、押圧部材50はローラコンベヤ20の搬送路に侵入する。
【0024】
押圧部材50は、ワークWの搬送方向後部を押圧面51で搬送方向に押圧することにより、ワークWの搬送方向前部を停止部材40の基準面41に当接させる。押圧部材50の押圧面51は、実質的に平面状に形成され、停止部材40の基準面41と平行に配置される。
【0025】
具体的には、ワークWがエンジンのシリンダブロック1の場合、端部2が搬送方向前方を向き、端部3が搬送方向後方を向く姿勢を保ってローラコンベヤ20により搬送される。このシリンダブロック1の後方端部3を押圧部材50の押圧面51が搬送方向に押圧して、シリンダブロック1の前方端部2を停止部材40の基準面41に当接させる。これにより、シリンダブロック1の前方端部2の向きは停止部材40の基準面41と平行になり、シリンダブロック1の後方端部3の向きは押圧部材50の押圧面51と平行になる。
【0026】
停止部材40の基準面41と、押圧部材50の押圧面51とに挟まれる領域には、ローラコンベヤ20のローラの間隙を通って搬送路から上昇可能なリフト45が設置される。リフト45は、後述するワークWの位置決め終了後に図示しないソレノイドにより駆動され、ローダ30がワークWを掴みやすいようにワークWを上昇させる。
【0027】
ローラコンベヤ20から離れた側方には、ロボット65が設置される。ロボット65は、停止部材40の基準面41と直交してローラコンベヤ20の搬送方向と平行に延びるX軸と、停止部材40の基準面41と平行に延びるY軸と、鉛直方向に延びるZ軸とを有する直交座標系ロボットである。
【0028】
ロボット65は、床面に据え付けられたZ軸支柱66と、Z軸支柱66に沿って昇降可能なX軸アーム67と、X軸アーム67に沿って移動可能なY軸アーム68とを備える。Y軸アーム68には、Y軸に沿って停止部材40の基準面41と平行に延びる計測器60が取り付けられる。
【0029】
これにより、ワークWの搬送方向先端から基準点としての所定部位までのX軸方向長さが機種により変動しても、同様に、ローラコンベヤ20の搬送面からワークWの所定部位までのZ軸方向高さが機種により変動しても、常に、計測器60の位置をワークWの所定部位に対応する位置に設定することができる。
【0030】
具体的には、ワークWがエンジンのシリンダブロック1の場合、シリンダブロック1の前方端部2から、側部5に設定される基準点6までのX軸方向長さが機種により変動しても、それに応じてY軸アーム68をX軸アーム67に沿って移動させることにより、計測器60の位置をシリンダブロック1の基準点6までのX軸方向長さに対応する位置に設定することができる。
【0031】
同様に、ローラコンベヤ20の搬送面からシリンダブロック1の基準点6までのZ軸方向高さが機種により変動しても、それに応じてY軸アーム68をZ軸支柱66に沿って昇降させることにより、計測器60の位置をシリンダブロック1の基準点6までのZ軸方向高さに対応する位置に設定することができる。
【0032】
計測器60は、例えば、MR素子(磁気抵抗素子)を利用して、シリンダ61に収容された測定部としてのロッド62の移動量を検出する。ロボット65のY軸アーム68にY軸に沿って取り付けられた計測器60のロッド62の先端をワークWの所定部位に突き当てると、ロボット65の座標原点からワークWの所定部位までのY軸方向の距離が判明する。
【0033】
すなわち、ロボット65の座標原点からY軸アーム68に取り付けられた計測器60の基準位置までのY軸方向長さと、計測器60の基準位置からロッド62の先端までの計測値との和が、ロボット65の座標原点からワークWの所定部位までの距離になる。
【0034】
具体的には、ワークWがエンジンのシリンダブロック1の場合、計測器60は、シリンダブロック1の側部5に設定された基準点6に対してロッド62を基準面41と平行に突き当てることにより、計測器60の基準位置からシリンダブロック1の基準点6までの距離を計測する。計測された距離データは制御装置80に入力される。
【0035】
停止部材40と押圧部材50とに挟まれる領域の近傍には、ワークWを撮影するカメラ70が設置される。カメラ70は、ワークWに表示されたバーコードを撮影して読み取るバーコード読み取りカメラである。
【0036】
具体的には、ワークWがエンジンのシリンダブロック1の場合、シリンダブロック1の例えば側部5にはエンジンの機種を表す所定のバーコードが貼付される。カメラ70は、シリンダブロック1のバーコードの読み取りに適した位置に設置される。シリンダブロック1のバーコードの読み取りデータを含むカメラ70の撮影データは、制御装置80に入力される。
【0037】
図4に示すように、制御装置80は、ワーク搬送位置判定部81と、押圧部材作動指示部82と、ワーク機種判別部83と、計測器位置判定部84と、ロボットXZ軸作動指示部85と、ワーク距離計測部86と、ワーク中心位置割り出し部87と、ローダ作動指示部88と、記憶部89とを備える。記憶部89には、ワークWの機種データ及び、ロボット65の座標原点と停止部材40の基準面41とのX軸方向偏倚が記憶されている。
【0038】
ワーク搬送位置判定部81は、ローラコンベヤ20の搬送路に設置された図示しないセンサからの入力により、ワークWが所定位置まで搬送されたか否かを判定する。このセンサは、例えば、ワークWが停止部材40の手前付近まで搬送されてきて押圧部材50を通過する位置に設置することができる。
【0039】
押圧部材作動指示部82は、押圧部材50を作動させる。すなわち、所定位置まで搬送されてきたワークWの搬送方向前部を基準面41に対して当接させるように、押圧部材50はワークWの搬送方向後部を搬送方向に押圧させる。
【0040】
ワーク機種判別部83は、カメラ70に撮影信号を出力してワークWを撮影させる。カメラ70から入力される撮影データに基づいてワークWの機種を判別する。すなわち、撮影データに含まれるバーコードに表示されている機種データを、記憶部89に記憶されている機種データと照合してワークWの機種を判別する。
【0041】
計測器位置判定部84は、記憶部89に記憶されている機種データに含まれる基準点の位置データと、計測器60の位置とが対応しているか否かを判定する。
【0042】
ロボットXZ軸作動指示部85は、ワークWに設定された基準点の位置データと計測器60の位置とが対応していない場合に、ロボット65のX軸又はZ軸を作動させて計測器60をワークWの基準点に対応する位置へ移動させる。
【0043】
ワーク距離計測部86は、ロボット65のY軸を作動させて、ワークWに設定された基準点に対して計測器60のロッド62を基準面41と平行に突き当てることにより、ロボット65の座標原点からワークWの基準点までの距離を計測する。
【0044】
ワーク中心位置割り出し部87は、記憶部89に記憶されている機種データに含まれる各機種別の中心位置データと、ワーク機種判別部83により判別した機種及びワーク距離計測部86により計測した距離とから、ワークWの中心位置を割り出す。
【0045】
ローダ作動指示部88は、ワーク中心位置割り出し部87で割り出したワークWの中心位置データをローダ30へ送信し、ローダ30を作動させてワークWの中心位置へ移動させる。
【0046】
次に、図5及び図6を参照して、制御装置80の動作について説明する。図5は、本発明に係る搬送位置決め方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
【0047】
まず、ステップS1では、制御装置80によりワークWが所定位置まで搬送されたか否かを判定する。具体的には、シリンダブロック1がローラコンベヤ20により押圧部材50を通過する位置まで搬送されたか否かを判定する。
この判定がYESの場合は、ステップS2に移り、NOの場合は、ステップS1に戻る。
【0048】
ステップS2では、制御装置80により、押圧部材50を作動させてワークWの搬送方向前部を基準面41に対して当接させる。具体的には、シリンダブロック1の後方端部3を押圧部材50が搬送方向に押圧してシリンダブロック1の前方端部2を停止部材40の基準面41に当接させる。
【0049】
ステップS3では、制御装置80によりワークWの基準点までの距離を計測する。具体的には、ロボット65のY軸を作動させて、シリンダブロック1の側部5に設定された基準点6に対して計測器60のロッド62を基準面41と平行に突き当てることにより、ロボット65の座標原点からシリンダブロック1の基準点6までの距離を計測する。
【0050】
ステップS4では、制御装置80によりワークWの機種を判別する。具体的には、カメラ70に撮影信号を出力してシリンダブロック1を撮影させ、カメラ70から入力される撮影データに基づいてシリンダブロック1の機種を判別する。すなわち、撮影データに含まれるバーコードに表示されている機種データを、記憶部89に記憶されている機種データと照合してシリンダブロックの機種を判別する。
【0051】
ステップS5では、制御装置80により距離と機種とからワークWの中心位置を割り出す。具体的には、記憶部89に記憶されている機種データに含まれる各機種別の中心位置データと、ステップS3で計測した距離及びステップS4で判別した機種とから、シリンダブロック1の中心位置を割り出す。
【0052】
ステップS6では、制御装置80により、ワークWの中心位置にローダ30を移動させる。具体的には、ステップS5で割り出したシリンダブロック1の中心位置データをローダ30へ送信し、ローダ30を作動させてシリンダブロック1の中心位置へ移動させる。
【0053】
ローダ30がシリンダブロック1の中心位置に到達したら、ローダ30がシリンダブロック1を掴みやすい高さまでリフト45がシリンダブロック1を上昇させる。続いてローダ30がシリンダブロック1を掴む。そして、ローダ30がシリンダブロック1を懸吊して次工程まで搬送する。
【0054】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)搬送方向両側部4、5が凹凸のある複雑な形状のシリンダブロック1に対して汎用性がある。したがって、周囲4面のうち両側2面が複雑な形状のワークWに対して汎用性がある。
(2)計測器60による原点から基準点6までの距離計測と、カメラ70の撮影によるワークの機種判別とによってシリンダブロック1の中心位置を割り出すことで、機種が異なるシリンダブロック1に対して汎用性がある。したがって、両側面の形状が複雑で機種が異なるワークWに対して汎用性がある。
(3)後述する搬送位置決め方法の第2実施形態の場合のように、図6に示すフローチャートのステップS14、S15を必要としない。そのため、制御装置80には計測器位置判定部84及びロボットXZ軸作動指示部85が不要であり、制御装置80の構成を簡略化することができる。
【0055】
図6は、本発明に係る搬送位置決め方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
ステップS11、S12、S13は、図5に示すフローチャートのステップS1、S2、S4とそれぞれ同様のものであるので、説明を省略する。
【0056】
ステップS14では、制御装置80により、計測器60の位置は該当機種の基準点に対応しているか否かを判定する。すなわち、記憶部89に記憶されている機種データに含まれる基準点の位置データと、計測器60の位置とが対応しているか否かを判定する。
この判定がNOの場合は、ステップS15に移り、YESの場合は、ステップS16に移る。
【0057】
ステップS15では、計測器60をワークWの基準点に対応する位置へ移動させる。具体的には、ロボット65のX軸又はZ軸を作動させることにより計測器60をシリンダブロック1の基準点6に対応する位置へ移動させる。
【0058】
ステップS16、S17、S18は、図5に示すフローチャートのステップS3、S5、ステップS6とそれぞれ同様のものであるので、説明を省略する。
【0059】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(4)計測器60の位置がシリンダブロック1の基準点6に対応していない場合には計測器60を基準点6に対応する位置に移動させることにより、多くの機種のシリンダブロック1に対して汎用性がある。したがって、両側面の形状が複雑な多くの機種のワークWに対して汎用性があり、搬送ラインに用いる設備の汎用性を向上させることができる。
【0060】
なお、図2に鎖線で示すように、ローラコンベヤ20のフレームに計測器60と同様の計測器60vを取り付ける。そして、この計測器60vを用いて停止部材40の基準面41から押圧部材50の押圧面51までのX軸方向距離を求めることで、シリンダブロック1の両端部2、3間の長さを計測することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…シリンダブロック
2…前方端部(搬送方向前部)
3…後方端部(搬送方向後部)
4,5…側部(搬送方向側部)
6…突き当て部位(基準点)
10…搬送位置決め装置
20…ローラコンベヤ(搬送ライン)
30…ローダ
41…基準面
50…押圧部材
60…計測器
62…ロッド(測定部)
70…カメラ
80…制御装置(制御部)
W…ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるワークの搬送方向前部を基準面に対して当接させる工程と、
ワークの搬送方向側部に設定された基準点に対して計測器の測定部を前記基準面と平行に突き当てることにより原点から当該基準点までの距離を計測する工程と、
ワークをカメラで撮影することによりワークの機種を判別する工程と、
計測された前記距離と判別された前記機種とによりワークの中心位置を割り出す工程と、
割り出されたワークの中心位置にローダを移動させる工程と、
を含むことを特徴とする搬送位置決め方法。
【請求項2】
搬送されるワークの搬送方向前部を基準面に対して当接させる工程と、
ワークをカメラで撮影することによりワークの機種を判別する工程と、
計測器の位置が前記判別された機種のワークの搬送方向側部に設定された基準点に対応しているか否かを判定する工程と、
前記計測器の位置がワークの前記基準点に対応していない場合に当該計測器を当該基準点に対応する位置に移動させる工程と、
ワークの前記基準点に対して前記計測器の測定部を前記基準面と平行に突き当てることにより原点から当該基準点までの距離を計測する工程と、
前記機種と計測された前記距離とによりワークの中心位置を割り出す工程と、
割り出されたワークの中心位置にローダを移動させる工程と、
を含むことを特徴とする搬送位置決め方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の搬送位置決め方法において、
前記ワークはエンジンのシリンダブロック又はシリンダヘッドであることを特徴とする搬送位置決め方法。
【請求項4】
ワークの搬送方向後部を押圧することにより、搬送ラインの所定位置に配置される基準面に対してワークの搬送方向前部を当接させる押圧部材と、
ワークの搬送方向側部に設定された基準点に対して測定部を前記基準面と平行に突き当てることにより原点から当該基準点までの距離を計測する計測器と、
ワークを撮影するカメラと、
前記カメラの撮影データに基づいてワークの機種を判別すると共に、判別したワークの機種と前記計測器により計測された距離とからワークの中心位置を割り出し、割り出されたワークの中心位置にローダを移動させる制御部と、
を備えることを特徴とする搬送位置決め装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−228899(P2010−228899A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80920(P2009−80920)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】