説明

搬送車システム

【課題】自動倉庫等からステーションに荷物が次々と搬入される場合に、搬送の遅れを低減し、搬送効率を向上させることができる搬送車システムを提供する。
【解決手段】搬送車システムは、予め設けられた一方通行の走行経路110と、走行経路110に沿って配置され、荷物200が載置されるステーション120と、走行経路110に沿って走行することにより、ステーション120に載置された荷物200を目的地まで搬送する複数の搬送車130と、複数の搬送車130を制御する搬送車コントローラ150とを備え、搬送車コントローラ150は、ステーション120から搬送する予定の荷物の数量である搬送予定数量を取得する数量取得部と、搬送予定数量よりも一つ少ない数以上の搬送車130が、ステーション120より走行経路110の上流側の位置に待機するように複数の搬送車130を制御する制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め設けられた一方通行の走行経路に沿って走行する複数の搬送車に荷物を搬送させる搬送車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
天井、床面等に予め設けられた、一方通行の走行経路を、コンピュータ制御によって無人で搬送車を自動走行させ、荷物を搬送させる搬送車システムがある。このような搬送車システムが備える搬送車コントローラは、一般的に、走行経路に沿って配置されるステーションに載置された荷物が搬送可能な状態になったときに、その荷物を搬送する指令(搬送指令)を搬送車に割付ける。
【0003】
また、特許文献1に記載の搬送車システムは、荷物がステーションに搬入された後に必要となる処理のサイクルタイムに応じて、当該荷物の搬送指令を搬送車に割付ける。
【特許文献1】特開2001−296922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の搬送車システムは、自動倉庫等から次々と荷物が搬入されるステーションについて考慮されておらず、ステーション上の荷物の一つに対してしか搬送車に搬送指令が割付けられない。したがって、自動倉庫等からステーションに荷物が次々と搬入されても、荷物の搬入後に搬送指令が搬送車に割付けられるので、荷物の搬送が遅れるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、自動倉庫等からステーションに荷物が次々と搬入される場合に、搬送の遅れを低減し、搬送効率を向上させることができる搬送車システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る搬送車システムは、予め設けられた一方通行の走行経路と、前記走行経路に沿って配置され、荷物が載置されるステーションと、前記走行経路に沿って走行することにより、前記ステーションに載置された荷物を目的地まで搬送する複数の搬送車と、前記複数の搬送車を制御する搬送車コントローラとを備え、前記搬送車コントローラは、前記ステーションから搬送する予定の荷物の数量である搬送予定数量を取得する数量取得部と、前記数量取得部により取得された搬送予定数量よりも一つ少ない数以上の搬送車が、前記ステーションより前記走行経路の上流側の位置に待機するように前記複数の搬送車を制御する制御部とを有する。
【0007】
これにより、荷物が搬送可能となる前に、ステーションに搬入される荷物の数量に基づいて搬送車をステーションより走行経路の上流側の位置に待機させることができるので、荷物が搬送可能となってから搬送車が荷物の搬送を開始するまでの時間を短縮することができ、搬送効率を向上させることができる。あわせて、荷物が搬送可能となる前は、搬送車は待機ポイントに待機するにすぎないので渋滞の原因となることもない。
【0008】
また、前記ステーションには、自動倉庫コントローラにより制御された自動倉庫から出庫された荷物が載置され、前記自動倉庫コントローラは、出庫指令に従って前記ステーションへ荷物を出庫するように前記自動倉庫を制御し、前記数量取得部は、前記出庫指令から得られる、前記ステーションへ出庫される荷物の数量に基づいて、前記搬送予定数量を取得することが好ましい。
【0009】
これにより、搬送予定数量を自動倉庫に対する出庫指令に基づいて取得できるので、搬送予定数量を取得するための特別な情報を生成する手段を設ける必要がない。したがって、搬送効率を向上させるとともに渋滞の発生を抑制することができる搬送車システムを容易に構築することができる。
【0010】
また、前記走行経路は、複数の周回経路からなり、前記制御部は、前記数量取得部により取得された搬送予定数量に基づいて、前記複数の周回経路のそれぞれに存在する前記複数の搬送車の台数を調整することが好ましい。
【0011】
これにより、周回経路間の搬送車の台数を調整することができるので、荷物が搬送可能となってから搬送車が荷物の搬送を開始するまでの時間を短縮することができ、搬送効率を向上させることができる。
【0012】
また、さらに、前記数量取得部により取得された搬送予定数量が多いほど優先度が高くなるように、前記ステーションからの荷物の搬送の優先度を設定する優先度設定部を備え、前記制御部は、前記優先度設定部により設定された優先度が高いほど、優先して搬送するように前記搬送車を制御することが好ましい。
【0013】
これにより、搬送予定数量が多いステーションの荷物ほど搬送車に搬送されやすくなるので、一つのステーションに多くの搬送予定の荷物が滞留することを防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、搬送車システムは、ステーションからの搬送予定数量に応じて搬送車を待機させることができるので、搬送の遅れを低減し、搬送効率を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る搬送車システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る搬送車システム100の構成を示す図である。図1に示すように、搬送車システム100は、走行経路110、ステーション120、搬送車130、及び搬送車コントローラ150を備える。また、搬送車システム100は、自動倉庫コントローラ300により制御された自動倉庫310から出庫された荷物200を搬送する。さらに、搬送車システム100は、上位コントローラ400からの搬送指令に基づいて荷物200を搬送する。以下、各構成要素について説明する。
【0017】
走行経路110は、予め設けられた一方通行の走行経路である。走行経路110は、天井に予め設けられたガイドレール等により構成される。また、走行経路110は、周回経路R1、R2及びR3を含む。
【0018】
ステーション120は、走行経路110に沿って配置され、搬送車130によって搬送される荷物200が載置される。例えば、ステーション120は、載置された荷物200を移動可能なベルトコンベア等により構成され、搬送車130がつかむことができる位置に荷物200を移動させる。図1に示すように、ステーション120には、自動倉庫310から出庫された荷物200が載置される。
【0019】
搬送車130は、走行経路110に沿って走行することにより、ステーション120に載置された荷物200を目的地まで搬送する。搬送車130は、天井に設けられたガイドレールに吊り下げられた状態で走行する天井搬送車である。また、搬送車130は、ステーション120の所定位置に載置された荷物200をつかむことができる。そして、搬送車130は、搬送車コントローラ150の指令に従って、つかんだ荷物200を目的地まで搬送する。
【0020】
具体的には、ステーション120の走行経路110側の位置(図1に示す荷物F1、F5、又はF6がある位置)に荷物200が載置された場合に、搬送車130はその荷物200をつかむことができる。このように搬送車130がつかむことが可能な位置に荷物200が載置された状態を搬送可能な状態と呼ぶ。なお、搬送可能な状態には、搬送車がつかむことが可能な位置と同視できるような位置に荷物がある状態を含めてもよい。
【0021】
図1において、斜線が付されている搬送車130(搬送車V11、V21及びV22)は、搬送車コントローラ150により既に搬送すべき荷物200が決定している搬送車130であることを示す。つまり、斜線が付されている搬送車130(搬送車V11、V21及びV22)は、搬送指令が割付けられている搬送車130である。一方、斜線が付されていない搬送車130(搬送車V12、V13、V14、V31及びV32)は、空き搬送車であることを示す。ここで、空き搬送車とは、搬送車コントローラ150によりまだ搬送すべき荷物200が決定されていない搬送車130のことである。つまり、空き搬送車は、まだ搬送指令が割付けられていない搬送車130である。
【0022】
また、搬送車V12及びV13は、自動倉庫310からの荷物200が出庫されるステーション120の走行経路110の上流側に位置する待機ポイント111において待機中の搬送車130である。
【0023】
搬送車コントローラ150は、通信ネットワーク等を介して接続された上位コントローラ400からの搬送指令に従って、搬送車130に荷物200を搬送させる。さらに、搬送車コントローラ150は、上位コントローラ400からの出庫指令に従って、搬送車130を所定の待機ポイント111まで走行させ、待機させる。
【0024】
荷物200は、搬送車130がつかむことができる状態にまとめられた荷物である。つまり、一個の荷物200を一台の搬送車130が搬送する。
【0025】
自動倉庫コントローラ300は、通信ネットワーク等を介して接続された上位コントローラ400からの出庫指令に従って、自動倉庫310に収納された荷物200をステーション120へ出庫させる。
【0026】
自動倉庫310は、スタッカークレーン等を用いて、ラックに収納された荷物200をステーション120に出庫する。
【0027】
上位コントローラ400は、自動倉庫コントローラ300及び搬送車コントローラ150に対して、自動倉庫310から所定のステーション120へ出庫すべき荷物200の情報を含む出庫指令を送信する。また、上位コントローラ400は、搬送車コントローラ150に対して、所定のステーション120から目的地まで荷物200を搬送することを指示する搬送指令を送信する。
【0028】
図2は、搬送車コントローラ150の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、搬送車コントローラ150は、入力部151、表示部152、通信部153、数量取得部154、優先度設定部155、及び制御部156を備える。
【0029】
入力部151は、例えばキーボード、マウス等からなり、ユーザによる各種操作が入力される。
【0030】
表示部152は、例えば液晶ディスプレー等からなり、搬送車130の情報を表示したり、入力部141に入力された情報を表示したりする。
【0031】
通信部153は、他の装置等と通信を行う処理部であり、通信ネットワークを介して上位コントローラ400から出庫指令及び搬送指令を受信する。また、通信部153は、無線通信ネットワークを介して、搬送車130に情報を送信する。
【0032】
数量取得部154は、ステーション120から搬送する予定の荷物200の数量である搬送予定数量を取得する。具体的には、数量取得部154は、出庫指令から得られる、ステーション120へ出庫される荷物200の数量に基づいて、搬送予定数量を取得する。つまり、数量取得部154は、既に取得した出庫指令に係る荷物200のうちまだ搬送車130に搬送されていない荷物200の数量を搬送予定数量として取得する。
【0033】
優先度設定部155は、数量取得部154により取得された搬送予定数量が多いほど優先度が高くなるように、ステーション120からの荷物200の搬送の優先度を設定する。
【0034】
制御部156は、数量取得部154により取得された搬送予定数量よりも一つ少ない数以上の搬送車130が、ステーション120より走行経路110の上流側の位置に待機するように搬送車130を制御する。
【0035】
また、制御部156は、数量取得部154により取得された搬送予定数量に基づいて、複数の周回経路のそれぞれに存在する搬送車130の台数を調整する。具体的には、制御部156は、複数の周回経路のいずれかの周回経路において荷物200を搬送するための搬送車130が不足した場合に、搬送予定数量よりも空き搬送車の台数の多い他の周回経路があるときは、その周回経路の空き搬送車に荷物を搬送させる。
【0036】
次に、以上のように構成された本実施の形態における搬送車システム100の基本的な動作について説明する。
【0037】
図3は、搬送車コントローラ150、自動倉庫コントローラ300及び上位コントローラ400間の情報の流れを示すシーケンス図である。
【0038】
まず、上位コントローラ400は、自動倉庫コントローラ300及び搬送車コントローラ150に対して、出庫する荷物200の情報を含む出庫指令を送信する。そして、搬送車コントローラ150は、上位コントローラ400から受信した出庫指令に基づいて、搬送車130を待機ポイント111に待機させる(ステップS101)。
【0039】
一方、自動倉庫コントローラ300は、上位コントローラ400から受信した出庫指令に基づいて、自動倉庫310が備えるスタッカークレーンに、ラックに収納された荷物200をステーション120へ出庫させる(ステップS102)。そして、自動倉庫コントローラ300は、出庫指令に基づく荷物200の出庫が完了した後、荷物200の出庫が完了したことを示す出庫完了報告を上位コントローラ400へ送信する。つまり、自動倉庫コントローラ300は、荷物200が搬送可能となったときに、出庫完了報告を上位コントローラ400へ送信する。
【0040】
続いて、上位コントローラ400は、自動倉庫コントローラ300からの出庫完了報告を受信すると、出庫完了報告に係る荷物200をステーション120から目的地に搬送することを示す搬送指令を搬送車コントローラ150へ送信する。そして、搬送車コントローラ150は、その搬送指令を搬送車130に割付ける(ステップS103)。そして、搬送車コントローラ150は、搬送指令が割付けられた搬送車130に当該搬送指令に係る荷物200を搬送させる(ステップS104)。そして、搬送車コントローラ150は、搬送車130が荷物200を目的地まで搬送した後、搬送指令の遂行が完了したことを示す搬送完了報告を上位コントローラ400へ送信する。
【0041】
図4は、搬送車コントローラ150が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【0042】
まず、通信部153は上位コントローラ400から情報を受信する(ステップS201)。そして、通信部153は、受信した情報が出庫指令であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0043】
ここで、受信した情報が出庫指令であると判定された場合(ステップS202のYes)、数量取得部154は、今までに受信した出庫指令に係る荷物200のうちまだ搬送されていない荷物200の数量を搬送予定数量として取得する(ステップS203)。次に、制御部156は、搬送予定数量よりも一つ少ない台数以上の搬送車130が、待機ポイント111に待機するように搬送車130を制御する(ステップS204)。そして、搬送車コントローラ150は処理を終了する。
【0044】
例えば、図1において、出庫指令により出庫するように指示され、かつ、まだ搬送されていない荷物200が、荷物F1、F2、F3及びF4であったとする。そして、荷物F1は搬送可能な状態であり、通信部153は、既に荷物F1に対する搬送指令を上位コントローラ400から受信していたとする。この場合、搬送予定数量は「4」となる。そして、制御部156は、搬送予定数量より一つ少ない数である三台の搬送車130が待機ポイント111に待機するように、搬送車130を制御する。つまり、制御部156は、搬送指令を既に受信している荷物F1を除く荷物F2、F3及びF4を搬送するために必要となる台数の搬送車を待機ポイント111に待機させる。具体的には、既に二台の搬送車V12及びV13が待機ポイント111に待機しているので、制御部156は、一台の空き搬送車V14を待機ポイント111に向かって走行させる。なお、例えば、荷物F1に係る搬送指令をまだ受信していない場合には、制御部156は、搬送予定数量と同数である四台の搬送車130が待機ポイント111に待機するように複数の搬送車130を制御してもよい。
【0045】
一方、受信した情報が出庫指令でないと判定された場合(ステップS202のNo)、通信部153は、受信した情報が搬送指令であるか否かを判定する(ステップS205)。ここで、受信した情報が搬送指令でないと判定された場合(ステップS205のNo)、搬送車コントローラ150は処理を終了する。一方、受信した情報が搬送指令であると判定された場合(ステップS205のYes)、搬送車コントローラ150は、搬送指令を搬送車130に割付ける(ステップS206)。なお、ステップS206の詳細については、図5を用いて後述する。
【0046】
次に、制御部156は、搬送指令が割付けられた搬送車130に荷物200を搬送させる(ステップS207)。次に、搬送車130が目的地まで荷物200を搬送した後に、通信部153は、搬送指令の遂行が完了したことを示す搬送完了報告を上位コントローラ400へ送信する(ステップS208)。そして、搬送車コントローラ150は処理を終了する。
【0047】
図5は、図4に示すステップS206の処理の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。つまり、図5は、制御部156による搬送車130の割付に関する処理の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
まず、制御部156は、搬送指令に係る荷物200が存在する周回経路に空き搬送車が存在するか否かを判定する(ステップS301)。
【0049】
ここで、空き搬送車が存在する場合(ステップS301のYes)、制御部156は、最も早くステーション120に到着することが可能な空き搬送車に搬送指令を割付ける(ステップS302)。
【0050】
例えば、図1において、荷物F1が搬送された後、通信部153が荷物F2の搬送指令を受信した場合、制御部156は、荷物F2が載置されているステーション120の近傍の待機ポイント111に待機する搬送車V12に搬送指令を割付ける。また、例えば、通信部153が荷物F5の搬送指令を受信した場合、荷物F5が載置されているステーション120の近傍に位置する搬送車V14に搬送指令を割付ける。なお、搬送車V14が待機ポイント111で待機するために走行中であったとしても、搬送車V14は未割付の搬送車130であるので、制御部156は、搬送車V14に搬送指令を割付けることができる。
【0051】
一方、空き搬送車が存在しない場合(ステップS301のNo)、制御部156は、他の周回経路に空き搬送車が存在するか否かを判定する(ステップS303)。
【0052】
ここで、他の周回経路に空き搬送車が存在する場合(ステップS303のYes)、搬送予定数量より空き搬送車の台数が多い周回経路の空き搬送車に搬送指令を優先して割付ける(ステップS304)。
【0053】
例えば、図1において搬送指令に係る荷物200が荷物F6である場合、制御部156は、空き搬送車の台数が二台であり、かつ、搬送予定数量が0個である周回経路R3に存在する搬送車V31に搬送指令を割付ける。つまり、制御部156は、空き搬送車の台数が三台であり、かつ、搬送予定数量が四個である周回経路R1に存在する搬送車V12、V13及びV14に搬送指令を割付けない。
【0054】
一方、他の周回経路に空き搬送車が存在しない場合(ステップS303のNo)、優先度設定部155は、ステーション120からの荷物200の搬送予定数量が多いほど又は搬送待ち時間が長いほど優先度が高くなるように、当該ステーション120から荷物200を搬送する搬送指令の優先度を設定する(ステップS305)。なお、周回経路に複数の自動倉庫が存在する場合は、優先度設定部155は、それらの複数の自動倉庫からの荷物の搬送予定数量を合算した数を用いて、優先度を設定してもよい。
【0055】
そして、空き搬送車が発生したときに、制御部156は、優先度が高い搬送指令を優先して搬送車130に割付ける(ステップS306)。
【0056】
以上のように、本実施の形態に係る搬送車システム100では、荷物200が搬送可能となる前に、ステーション120に搬入される荷物200の数量に基づいて搬送車130がステーション120より走行経路110の上流側の位置に待機するので、荷物200が搬送可能となってから搬送車130が荷物200の搬送を開始するまでの時間の短縮が可能となる。つまり、本実施の形態に係る搬送車システム100は、搬送効率を向上させることができる。
【0057】
また、荷物200が搬送可能となる前は、搬送車130は待機ポイントに待機するにすぎないので、他の搬送車130の走行を妨げるときには搬送車130は待機ポイントから一旦離れることもできる。したがって、本実施の形態に係る搬送車システム100は、渋滞の原因を増加させることもない。
【0058】
さらに、必要に応じて待機ポイントに待機中又は走行中の搬送車130に他の搬送指令を割付けることもできるので、本実施の形態に係る搬送車システム100は、搬送車130を有効に活用することも可能である。
【0059】
また、本実施の形態に係る搬送車システム100は、搬送予定数量を出庫指令に基づいて取得できるので、搬送予定数量を取得するための特別な情報を生成する手段を設ける必要がない。したがって、本実施の形態に係る搬送車システム100を比較的容易に構築することができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る搬送車システム100は、空き搬送車が存在しない場合に、搬送予定数量が多いほど優先度が高くなるように、搬送指令の優先度を設定するので、一つのステーションに多くの搬送予定の荷物が滞留することを防ぐことも可能となる。
【0061】
以上、本発明に係る搬送車システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも、本発明の範囲内に含まれる。
【0062】
例えば、上記実施の形態において、搬送車システムは、一つの搬送車コントローラを備えていたが、複数の搬送車コントローラを備えてもよい。その場合、各搬送車コントローラは、予め定められた管理エリアに属する搬送車を管理する。そして、このように搬送車システムが複数の搬送車コントローラを備えることにより、多数の搬送車、多数の周回経路及び多数のステーションを備える複雑な搬送車システムであっても、搬送車システムは、搬送車を制御することが可能となる。
【0063】
また、上記実施の形態において、優先度設定部は、ステーションからの荷物の搬送予定数量が多いほど又は搬送待ち時間が長いほど優先度が高くなるように、当該ステーションに係る搬送指令の優先度を設定していたが、ステーションから搬送される予定の荷物の優先度が高いほど優先度が高くなるように、搬送指令の優先度を設定してもよい。これにより、優先度の高い荷物が他の荷物の後に控えている場合に、早くその優先度の高い荷物を搬送することが可能となる。
【0064】
また、上記実施の形態において、優先度設定部は搬送指令に対してのみ優先度を設定していたが、搬送車を待機ポイントに待機させるための指令(待機指令)に対しても優先度を設定してもよい。その場合、優先度設定部は、ステーションからの荷物の搬送予定数量が多いほど、搬送待ち時間が長いほど、又はステーションから搬送される予定の荷物の優先度が高いほど、優先度が高くなるように待機指令に対して優先度を設定することができる。また、優先度設定部は、第一番目に待機する搬送車に対する搬送指令か、又は第二番目以降に待機する搬送車に対する搬送指令かに応じて、待機指令に対して優先度を設定してもよい。
【0065】
また、上記実施の形態において、搬送車コントローラは、出庫指令を上位コントローラから受信していたが、必ずしも出庫指令そのものを受信する必要はない。例えば、搬送車コントローラは、まだ出庫が完了していない荷物の数量を上位コントローラから受信してもよい。この場合、数量取得部は、受信した数量を搬送予定数量として取得する。
【0066】
また、上記実施の形態において、搬送車は、天井に設けられたガイドレールに沿って走行する天井搬送車であったが、床面に設けられた軌道に沿って走行する搬送車であってもよい。その場合、走行経路は、床面に設けられた軌道によって構成される。
【0067】
また、本発明は、このような搬送車システムの搬送車コントローラが備える特徴的な処理部をステップとする搬送車制御方法として実現したり、そのような特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)等の記録媒体又はインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る搬送車システムは、搬送効率を向上させるとともに渋滞の発生を抑制することができる搬送車システムとして、例えば、天井に設けられたガイドレールに吊り下げられた状態で荷物を搬送する搬送車を備える天井搬送車システムとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態に係る搬送車システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る搬送車コントローラの機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る搬送車コントローラ、並びに、自動倉庫コントローラ及び上位コントローラ間の情報の流れを示すシーケンス図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る搬送車コントローラが行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図4に示すステップS206の処理の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
100 搬送車システム
110 走行経路
111 待機ポイント
120 ステーション
130 搬送車
150 搬送車コントローラ
151 入力部
152 表示部
153 通信部
154 数量取得部
155 優先度設定部
156 制御部
200 荷物
300 自動倉庫コントローラ
310 自動倉庫
400 上位コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設けられた一方通行の走行経路と、
前記走行経路に沿って配置され、荷物が載置されるステーションと、
前記走行経路に沿って走行することにより、前記ステーションに載置された荷物を目的地まで搬送する複数の搬送車と、
前記複数の搬送車を制御する搬送車コントローラとを備え、
前記搬送車コントローラは、
前記ステーションから搬送する予定の荷物の数量である搬送予定数量を取得する数量取得部と、
前記数量取得部により取得された搬送予定数量よりも一つ少ない数以上の搬送車が、前記ステーションより前記走行経路の上流側の位置に待機するように前記複数の搬送車を制御する制御部とを有する
搬送車システム。
【請求項2】
前記ステーションには、自動倉庫コントローラにより制御された自動倉庫から出庫された荷物が載置され、
前記自動倉庫コントローラは、出庫指令に従って前記ステーションへ荷物を出庫するように前記自動倉庫を制御し、
前記数量取得部は、前記出庫指令から得られる、前記ステーションへ出庫される荷物の数量に基づいて、前記搬送予定数量を取得する
請求項1に記載の搬送車システム。
【請求項3】
前記走行経路は、複数の周回経路からなり、
前記制御部は、前記数量取得部により取得された搬送予定数量に基づいて、前記複数の周回経路のそれぞれに存在する前記複数の搬送車の台数を調整する
請求項1に記載の搬送車システム。
【請求項4】
さらに、前記数量取得部により取得された搬送予定数量が多いほど優先度が高くなるように、前記ステーションからの荷物の搬送の優先度を設定する優先度設定部を備え、
前記制御部は、前記優先度設定部により設定された優先度が高いほど、優先して搬送するように前記搬送車を制御する
請求項1に記載の搬送車システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−102590(P2010−102590A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274838(P2008−274838)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】