説明

搬送車

【課題】荷物の移送効率を低下させることなく載置された荷物が搬送中の荷物が搬送車から落下することを防止することのできる搬送車を提供する。
【解決手段】搬送車100の載置部102は、搬送対象である荷物が載置される部分であって、載置部102の側方に配置され載置部102からの荷物の落下を防止する落下防止体103と、載置部102の側方に配置される出現位置と本体部101側に配置される待避位置との間で落下防止体103を転換する転換手段104とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
移載装置などにより載置された荷物を搬送する搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物を搬送する搬送車は広く知られている。例えば、特許文献1には、無人フォークリフトを用い、搬送した荷物を配置する方法が記載されている。このフォークリフトとは、荷物を載置するための載置部として機能するフォークを備え、パレットの横孔に挿入されたフォークを上昇させることでパレット上に複数段に積み重ねられた荷物を持ち上げ、フォークに荷物を載置したままフォークを横方向に移動させることで荷物を搬送する搬送車の一つである。
【0003】
そのほかにも、移載装置により載置部に載置された荷物を目的地にまで搬送し、目的地に設けられた移載装置により荷物が搬出されるような、移載機能を持たない搬送車もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−169699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような搬送車に荷物を載置して荷物を搬送する場合、搬送車の加速や減速などにより、載置された荷物が揺れ、荷崩れや荷物が搬送車の載置部から落下するなどの不具合が発生する場合がある。
【0006】
特に、自動で荷物を搬送する無人搬送車などの場合、載置された荷物が搬送車から落下して搬送経路をふさぐような状態となると、他の無人搬送車の運行に大きく影響し工場全体の操業が滞るなどの懸念もある。
【0007】
一方、搬送車の載置部の周辺に落下防止用の壁などを設けることが考えられるが、搬送車とステーションなどとの間で荷物を移載する際に壁が邪魔になって移載効率が著しく低下する。
【0008】
本願発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、荷物の移送効率を低下させることなく載置された荷物の落下を防止することのできる搬送車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる搬送車は、本体部と搬送対象である荷物が載置される載置部とを備える搬送車であって、前記載置部の側方に配置され前記載置部からの荷物の落下を防止する落下防止体と、前記載置部の側方に配置される出現位置と前記本体部側に配置される待避位置との間で前記落下防止体を転換する転換手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
これによれば、搬送車と他の場所との間で荷物を移載する際には、落下防止体を待避位置に転換手段により配置しておくことで落下防止体が邪魔にならず高い移載効率を維持することができ、荷物を搬送する際には落下防止体を出現位置に配置しておくことで、移送中の荷物の落下を防止することが可能となる。
【0011】
さらに、前記落下防止体に設けられ、前記載置部に載置される荷物の荷崩れを検出する荷崩れ検出センサを備えてもよい。
【0012】
これによれば、荷物が落下する手前の荷崩れ状態を検出することができ、例えば、荷崩れ状態の検出をトリガーとして搬送車を停止させて、現状以上に荷崩れ状態が悪化しないような手当を別途することができる。また、他の搬送車などに荷崩れの旨を報知することで、工場内の操業を調整することが可能となる。
【0013】
さらに、周囲の障害物を検出する障害物センサであって、前記落下防止体に取り付けられ、前記本体部から前記載置部よりも遠方に配置される障害物センサを備えてもよい。
【0014】
これにより、荷物を搬送する際においても、載置された荷物が邪魔になることなく搬送車の周囲にある障害物を検出することが可能となる。
【0015】
また、前記載置部は、前記本体部の側方に配置され、前記落下防止体は、前記本体部と前記載置部との並び方向と垂直な方向に前記本体部または前記載置部を挟むように配置される2枚の板状部材であり、前記転換手段は、前記本体部と前記載置部との並び方向に前記落下防止体をスライドさせて前記落下防止体を出現位置と待避位置との間で転換するものでもよい。
【0016】
これによれば、板状の落下防止体を2枚備えていても、落下防止体を搬送車の回転半径内に配置することができ、落下防止体が待避位置にある場合でも支障なく搬送車を走行させることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本願発明によれば、移送効率の低下を抑制しつつ搬送車から荷物が落下することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、落下防止体が待避位置に配置された搬送車を示す斜示図である。
【図2】図2は、荷物を積んだ際の搬送車を示す斜示図である。
【図3】図3は、落下防止体が出現位置に配置された搬送車を示す斜示図である。
【図4】図4は、落下防止体が待避位置に配置された搬送車を示す斜示図である。
【図5】図5は、落下防止体が出現位置に配置された搬送車を示す斜示図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本願発明に係る搬送車の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係る搬送車の一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。
【0020】
図1は、落下防止体が待避位置に配置された搬送車を示す斜示図である。
【0021】
図2は、荷物を積んだ際の搬送車を示す斜示図である。
【0022】
図3は、落下防止体が出現位置に配置された搬送車を示す斜示図である。
【0023】
これらの図に示すように、搬送車100は、載置された荷物200を水平方向(XY面内)に搬送することのできる車であって、本体部101と、載置部102と、落下防止体103と、転換手段104と、荷崩れ検出センサ105と、障害物センサ106とを備えている。
【0024】
本実施の形態の場合、搬送車100は、フォークリフトを備えた無人搬送車である。搬送車100の本体部101は、搬送車100全体を水平方向に移動させるための部分であって、本体部101の下部には、駆動輪や補助輪(図示せず)が備えられ、また、本体部101の内部には、駆動輪を駆動するための駆動装置(図示せず)や、自立走行等をするための制御装置(図示せず)や、中央制御システム(図示せず)と通信するための通信装置(図示せず)などが備えられている。
【0025】
搬送車100の載置部102は、搬送対象である荷物200が載置される部分であって、本実施の形態の場合、本体部101の側方(Y軸方向)に配置され、パレット201に挿入して荷物200を持ち上げて載置するY軸方向に延びて配置される2本のフォーク121、フォーク121を上下方向(Z軸方向)に自在に駆動するリフト駆動源122、フォーク121を上下方向(Z軸方向)に案内する上下方向に延びて配置される2本のフォークガイド123をX軸方向に並んで備えている。
【0026】
以上のように、搬送車100は、フォーク121の上下動と搬送車100自身の水平方向の動きにより、荷物200を移載することができるとともに、荷物200を搬送することができるものとなっている。
【0027】
落下防止体103は、載置部102の側方に配置され、載置部102からの荷物200の落下を防止する部材である。
【0028】
本実施の形態の場合、落下防止体103は、本体部101と本体部101のY軸方向の側方にある載置部102との並び方向(Y軸方向)と水平面において垂直な方向(X軸方向)の両側に本体部101または載置部102を挟むように配置される2枚の板部材131で構成されている。また、落下防止体103は、2枚の板部材131の上部に架橋状に取り付けられる補強部材132を備えている。補強部材132は、落下防止体103の剛性、特に、荷物200が崩れる際に発生する力に抗するための剛性の向上に寄与している。また、落下防止体103は、転換手段104を介して本体部101にスライド自在に取り付けられている。
【0029】
なお、落下防止体103は、板状の部材ばかりでなく、網状の部材や、格子状の部材、またはこれらを組み合わせて構成されるものでも良い。また、板部材131は、軽量化のために孔を設けてもよい。
【0030】
また、補強部材132は、複数本の棒状の部材ばかりでなく、落下防止体103の上面を覆う板状の部材でもかまわない。
【0031】
転換手段104は、載置部102の側方に配置される出現位置と本体部101側に配置される待避位置との間で落下防止体103を転換する装置である。
【0032】
本実施の形態の場合、転換手段104は、本体部101と載置部102との並び方向(Y軸方向)に落下防止体103をスライドさせて落下防止体103を出現位置と待避位置とを転換する装置であり、本体部101に取り付けられている第一レール141(図3参照)と、落下防止体103に取り付けられている第二レール142(図3参照)と、第一レール141に対して第二レール142をスライドさせる駆動手段(図示せず)とを備えている。また、転換手段104は、第一レール141と第二レール142との組であるスライド手段を1枚の板部材131につき2本備えている。これにより、板部材131の取り付け強度が向上して重い荷物200が崩れた場合にも十分抗することが可能となる。また、落下防止体103を待避位置と出現位置との間でスライドにより転換する動作をスムーズにすることができる。
【0033】
荷崩れ検出センサ105は、落下防止体103に設けられ、載置部102に載置される荷物200の荷崩れを検出するセンサである。本実施の形態の場合、荷崩れ検出センサ105は、棒状の接触センサで構成されており、板部材131の内側に上下方向(Z軸方向)に延びて取り付けられている。また、荷崩れ検出センサ105である棒状の接触センサは、一枚の板部材131に3本取り付けられている。これは、荷物200の一部に荷崩れが発生した場合でも有効に検出するためである。
【0034】
また、本実施の形態の場合、荷崩れ検出センサ105が検出した信号は、本体部101に備えられる制御装置が取得し、制御装置が前記信号に基づき荷崩れが発生したと判断した場合は、搬送車100のすべての物理的動作、例えば、搬送車100の走行動作やフォーク121を上下させる動作などを停止する。これにより、荷物200が搬送車100から落下する手前の状態で搬送車100の動作を停止することができるため、荷物200が搬送車100から落下することが無く、落下した荷物200によって他の搬送車に影響を与えることなどを回避できる。
【0035】
なお、荷崩れ検出センサ105は、接触センサばかりでなく、光や超音波を用いた非接触センサ等でも良い。
【0036】
障害物センサ106は、搬送車100の周囲に出現する障害物を検出するセンサであって、落下防止体103に取り付けられ、本体部101から載置部102よりも遠方に配置されるセンサである。
【0037】
本実施の形態の場合、障害物センサ106は、落下防止体103の補強部材132の中間部に取り付けられている。これにより、荷物200を搬送する際において、落下防止体103を出現位置に転換することで、障害物センサ106が載置される荷物200よりも遠方に配置されることとなる。従って、落下防止体103載置された荷物200が邪魔になることなく搬送車100の周囲にある障害物を検出することが可能となる。
【0038】
なお、障害物センサ106の取り付け位置は、補強部材132に限定されるわけではなく、落下防止体103の任意の場所に取り付けても良い。また、複数の障害物センサ106を取り付けてもかまわない。
【0039】
また、障害物センサ106としては、レーザ光を水平面内で回転させ、その反射光の有無や強弱により障害物の有無や位置を検出するセンサや、画像を取得して、画像解析により障害物の有無や位置を判断するセンサを例示できる。
【0040】
以上の搬送車100によれば、図1に示すように、落下防止体103を本体部101の側方近傍である待避位置に転換しておくことにより、フォーク121をパレット201に挿入する作業(図1に示す状態から図2に示す状態にする作業)や、パレット201からフォーク121を抜出する作業(図2に示す状態から図1に示す状態にする作業)を落下防止体103が邪魔になることなく実行可能となる。従って、荷物の移載効率の低下を可及的に抑制することが可能となる。また、荷物200を載置した状態で搬送車100を移動させて荷物200を搬送する際には、落下防止体103を載置部102の側方である出現位置(図3に示す状態)に転換することにより、荷物200が荷崩れした場合でも、荷物200を搬送車100から落下させることなく保持することが可能となる。また、荷崩れ検出センサ105により、荷崩れを検出して搬送車100の動作を停止させることができる。従って、落下した荷物200が床面に散乱して他の搬送車の通行の妨げになるなど工場の操業に影響を与えることを可及的に回避することが可能となる。
【0041】
また、荷物200を搬送する際には、障害物センサ106が荷物200よりも前方に配置されるため、荷物200が邪魔になることなく広範囲に障害物を検出することが可能となる。
【0042】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【0043】
例えば、搬送車100は、上記実施の形態のように、移載装置と載置部102とを兼ね備えたようなフォークリフトを備える必要はなく、図4、図5に示すような、本体部101の上方に載置部102が設けられ、他の移載装置によって載置部102に荷物200が移載されるものでも良い。
【0044】
この場合、搬送車100は、搬送車100全体を水平方向(XY面内)に移動させるための本体部101と、本体部101の上部に配置される載置部102と、載置部102の周囲を囲う落下防止体103とを備え、さらに、図示しない転換手段と、荷崩れ検出センサとを備えている。また、搬送車100は、落下防止体103の上部に取り付けられ、本体部101から載置部102よりも遠方に配置される障害物センサ106を備えている。
【0045】
落下防止体103は、載置部102の側方に配置され、載置部102からの荷物200の落下を防止する部材であり、本体部101と載置部102との並び方向(Z軸方向)に出没できるように、転換手段を介して本体部101にスライド自在に取り付けられている。
【0046】
なお、落下防止体103の待避位置は、本体部101の内部であり(図5参照)、本体部101の内部に設けられた転換手段により出現位置(図4参照)との間で転換するものとなっている。
【0047】
この場合、荷崩れ検出センサは、落下防止体103と転換手段104との間に設けられ、荷崩れを起こした荷物200が落下防止体103に寄りかかった際の落下防止体103の傾動を検出するセンサである。
【0048】
障害物センサ106は、荷物200を搬送する際において、落下防止体103を上昇させて出現位置に転換することで、障害物センサ106が載置される荷物200よりも上方に配置することが可能である。従って、広範囲(例えば搬送車100の周囲全体)にある障害物を少数(例えば1台)の障害物センサ106で検出することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本願発明は、荷物を搬送する搬送車、特に無人倉庫内で稼働する無人搬送車に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
100 搬送車
101 本体部
102 載置部
103 落下防止体
104 転換手段
105 検出センサ
106 障害物センサ
121 フォーク
122 リフト駆動源
123 フォークガイド
131 板部材
132 補強部材
141 第一レール
142 第二レール
200 荷物
201 パレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と搬送対象である荷物が載置される載置部とを備える搬送車であって、
前記載置部の側方に配置され前記載置部からの荷物の落下を防止する落下防止体と、
前記載置部の側方に配置される出現位置と前記本体部側に配置される待避位置との間で前記落下防止体を転換する転換手段と
を備える搬送車。
【請求項2】
さらに、
前記落下防止体に設けられ、前記載置部に載置される荷物の荷崩れを検出する荷崩れ検出センサ
を備える請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
さらに、
周囲の障害物を検出する障害物センサであって、
前記落下防止体に取り付けられ、前記本体部から前記載置部よりも遠方に配置される障害物センサを備える
請求項1または請求項2に記載の搬送車。
【請求項4】
前記載置部は、前記本体部の側方に配置され、
前記落下防止体は、前記本体部と前記載置部との並び方向と垂直な方向に前記本体部または前記載置部を挟むように配置される2枚の板状部材であり、
前記転換手段は、前記本体部と前記載置部との並び方向に前記落下防止体をスライドさせて前記落下防止体を出現位置と待避位置との間で転換する
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−158445(P2012−158445A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20243(P2011−20243)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】