説明

携帯デバイスを使用して建造物にアクセスするシステムおよび方法

無線デバイスアクセスシステムは、ロック解除要求を伝える前に、ユーザデバイスが建造物の近傍にあることを要求するために、短距離無線通信を用いる。このアクセスシステムは、建造物にロック解除コマンドを送信する前に、ロック解除要求および建造物に対するユーザデバイスの近接性についての認証を行う。また、無線デバイスは、動作前にユーザトークンが近くにあることを要求することができ、かつ/または、アクセスシステムは、建造物内に任意のロック解除コマンドをブロックするオーバーライドを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、無線ユーザデバイスおよび近接検証デバイスを含むアクセスシステムに関する。より詳細には、本発明は、ユーザの携帯電話からのアクセス要求を受信するアクセスシステムに関するものである。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本発明は、2009年2月10日に出願された発明の名称を“A System and Method for Accessing a Structure Using a Mobile Device”とする米国特許出願第12/368,601号の一部継続出願である。
【背景技術】
【0003】
米国だけでも、旅行者に利用可能なホテルの部屋数は450万室を超える。現在、それらホテルの部屋の稼働率は、業界全体で60%を少し超えるが、地理的地域および個々のホテルによって稼働率は大きく変化する。この稼働率は、多くの場合、ホテルまたはホテルチェーンの最終的な収益に大きな影響を及ぼす。稼働率を上げて利益を増加させるために、ホテルは、顧客を喜ばせて彼らが再び戻るように促す最大限の努力を払う。顧客を喜ばせて新たな顧客を誘い込むために、ホテルは、施設内スパ、レストラン、フィットネスセンタおよび室内コーヒーメーカーまたはミニバーのようなアメニティを絶えず追加している。
【0004】
これらの追加のアメニティに加えて、ホテルは、顧客がチェックインに要する時間を最小化するために、様々な異なるチェックイン方法を採用している。それら方法には、機械的な鍵とは対照的な電子カードキーを採用することが含まれ、それは、顧客セキュリティを向上させるとともに、ホテルが新たなルームキーに変えることを可能として、チェックアウトの際に顧客がキーをフロントデスクに返却する必要性を軽減する。しかしながら、それらの方法ですらも、ホテルにとって最も重要な顧客、ビジネス旅行者の気を散らす遅延を与える。特に、これらの頻繁に旅行する人の間の忠誠心を高めるために、主要なホテルチェーンは、多大な資産を、ヒルトンHHonors(登録商標)プログラムのような報酬プログラムの開発に使用している。それらプログラムの目標は、ホテルチェーンが旅行者の要望をより良く理解し、彼らの滞在をなるべく合理化することを可能にすることである。例えば、幾つかのホテルでは、選択したセットの顧客に対して高速チェックインを提供し、一方、その他のホテルでは、インターネットまたはホテルロビーにあるコンピュータキオスクを経由してチェックイン/チェックアウトを提供する。これらの進歩は、様々な主要なホテルチェーンの稼働率を確かに増加させているが、顧客のチェックイン/チェックアウト・プロセスを完全に自動化して、多大な時間を要する追加のステップを経ずに、顧客がホテルに到着して彼らの部屋に入ることを可能にするという課題を未だ解決するには至っていない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の原理の理解および促進のために、ここで図面に記載の実施形態を参照し、それを説明するために具体的な文言を使用することとする。言うまでもなく、それによって本発明の範囲が制限されることを意図するものではないことを理解されたい。本発明に関連する技術の当業者が通常思い付くように、記載の実施形態における任意の変更および更なる修正や、本明細書に記載の発明の原理の更なる応用が想定される。
【0006】
現在、VingCardのSignature RFID/NFCシステムのような、ユーザの携帯電話を使用してホテルの部屋へのユーザアクセスを提供するシステムが存在する。しかしながら、そのようなシステムはすべて、短距離無線技術を使用して互いに通信することができる、ホテルの部屋のドア内の専用のトランシーバと、ユーザの携帯電話とを必要とする。現在のところ、既存の携帯電話のほんの一部しか、そのようなシステムとともに使用することができず、そのような技術が普及するとしても、それまでには長い時間がかかる可能性がある。
【0007】
インターネットを介してコントローラに接続された携帯電話を使用して、ユーザが遠隔位置からガレージドアのような通路の開閉状態を監視および制御することを可能にするその他の技術が存在する。しかしながら、それら技術は、安全なアクセス制御以外を目的として設計されているため、十分な安全性を提供するものではない。例えば、それらシステムは、インターネットアクセスを有する任意の位置からドアを開放するために、ユーザがコマンドを送信することを可能にする。しかしながら、それらの無制限の利用可能性は、無許可のアクセスに対する幾つかの重大な脆弱性をもたらす。そのため、従来技術には、本発明の安全なアクセスシステムによって解決される多くの問題が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係るアクセスシステムの図である。
【図2】図2は、無線デバイスおよび新規なアクセスシステムを使用してユーザが建造物にアクセスすることを可能にする際に実行される一連のステップを示すプロセスフロー図である。
【図3】図3は、無線デバイスおよび新規なアクセスシステムを使用して建造物へのアクセスをユーザに提供する際に実行される一連のステップを示すプロセスフロー図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態で使用するのに適したトークンの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、アクセスシステム20の一実施形態は、ユーザが無線デバイス24を使用して建造物(structure)40にアクセスすることを有利に可能にする。宿泊施設および職場アクセスシステムに加えて、当然のことながら、記載するアクセスシステムの同様の実施形態は、その他の建造物またはその開口部/ドアに対するアクセスを制御するシステムも包含する。図1に係る例示的な実施形態においては、記載のシステムが、無線デバイス24を使用して、ホテルの顧客が割り当てられたホテルの部屋40にアクセスすることを可能にするアクセスシステム20を含む。好ましい形態では、無線デバイスは、ユーザのBluetooth(登録商標)対応の携帯電話22またはその他の無線機器28である。そのため、当然のことながら、ホテル環境などに関する本明細書の説明の多くが例示的な目的に向けられており、本明細書の概念が、全般的な安全およびセキュリティアクセスシステムに一般に適用可能であり、ホテルの部屋のアクセスシステムのみに限定されるものではない。
【0010】
新規なアクセスシステムを適合させることができるその他の建造物には、選択的なユーザアクセスを提供することが望ましい、ホテル内のその他の部屋(すなわち、トレーニングルーム、プール、VIPラウンジ)、オフィスビル、学校/大学の建物、倉庫およびそれらの一部、イベントのチケットゲート/回転ドア、映画館、セーフティボックス、郵便箱、ロッカーまたはその他の包囲空間が含まれる。
【0011】
また、後述するように、アクセスシステム20は、ユーザに対して様々な機能を提供することもでき、それには、電子キオスクまたはユーザの無線デバイスを介した自動チェックイン/チェックアウト、会員制の専用空間またはラウンジなどへのアクセスが含まれるが、それらに限定されるものではない。アクセスシステム20のその他の機能には、様々な建造物の入場に関連する様々な活動報告を要求する能力が含まれる。実例として、アクセスシステム20の幾つかの実施形態は、特定の期間または特定のユーザについてのアクセス要求を報告する活動記録をシステムが提供することを可能にする。
【0012】
例示的な実施形態によれば、図1に示すように、アクセスシステム20が、携帯電話22または無線機器28のような1またはそれ以上の無線デバイス24と連動して、ユーザが割り当てられたホテルの部屋にアクセスすることを可能にする。携帯電話22は、基地局のネットワークを通じた携帯音声またはデータ通信に使用される携帯電話であることが好ましい。携帯電話22は、携帯電話の標準音声機能に加えて、テキストメッセージ用のSMS、電子メール、インターネット、Bluetooth(登録商標)、赤外線およびGPSへのアクセスのためのパケット交換のような多くの追加サービスおよびアクセサリをサポートすることが好ましい。
【0013】
実例として、幾つかの実施形態では、アクセスシステム20がデータネットワーク12に操作可能に接続される。データネットワーク12は、TCP/IPに基づくグローバルネットワークであるインターネットが好ましいが、本明細書中の“インターネット”という用語のユーザは、パケット交換によってデータを交換する相互接続された任意の公衆電子ネットワークの少なくとも一部を指していることを理解するであろう。
【0014】
より具体的には、アクセスシステム20は、携帯電話ネットワーク11およびデータネットワーク12を利用して、携帯電話22のような無線デバイス24とインターフェスをとることができる。携帯電話ネットワーク11は、様々な通信ネットワークを含むことができ、それには、ユニバーサル移動体通信システム(UTMS)、移動体通信用グローバルシステム(GSM)および符号分割多重アクセス方式(CDMA)ネットワーク、または同様の技術が含まれるが、それらに限定されるものではない。携帯電話ネットワーク11は、基地局26を利用して、データネットワーク12と携帯電話22との間に無線双方向伝送リンクを確立する。無線双方向伝送リンクには、EVDO(Evolution−Data Optimized)、EDGE(Enhanced Data rates for GSM Evolution)、3G、4G、LTE、WiMaxまたはその他の無線データ接続のような無線データリンクを含むことができる。同様に、パーム、サムソンおよびモトローラのスマートホンのようなその他の無線機器28、あるいはiPod TouchまたはマイクロソフトのZuneのようなその他のポータブル無線機器は、ユーザがホテルの部屋にアクセスすることができるように、ノード50を介してアクセスシステム20に接続するように構成することができる。
【0015】
代替的または追加的には、アクセスシステム20は、無線デバイス24と接続するために少なくとも1のアクセスノード50を利用する。アクセスノード50は、Bluetooth(登録商標)のような短距離無線規格を実装する無線ノードであり、この無線ノードは、ペアが形成されると、サーバ60に加えて、内部ネットワーク54を介して無線デバイス24に対して、インターネットおよびデータネットワーク12へのアクセスを提供する。さらに、更なる形態では、アクセスノード50は、好ましくは、無線信号をブロードキャストして、802.11a/b/g/nなどのような無線ローカルエリアネットワークを実装し、それにより、ホテルの顧客に対して、従来の無線ネットワークを介してインターネット接続性を提供する。例示的な実施形態によれば、アクセスノード50は、無線デバイス24に対して、短距離無線信号の一方または両方を介して、ユーザデバイスの位置にリンクされた情報をブロードキャストする。
【0016】
例示的な形態では、アクセスシステム20は、アクセスノード50のような複数のアクセスノードを含み、各ノードは、特定の建造物(すなわち、ホテルの部屋)の近傍に戦略的に配置される。アクセスノードは、承認MACアドレスを有すること等によって無線デバイス24に権限が与えられる場合において要求に応じて無線デバイス24がそれらとペアになるように、常に検出可能モードにあることが好ましい。更なる形態では、アクセスノードが検出可能モードにはなく、アクセスノードが無線デバイス24とペアになることが、ユーザの到着前にプログラムで行われる。実例として、幾つかの実施形態では、アクセスノード50が、無線デバイス24からの電子ロック解除要求を処理および認証するために、サーバ60に操作可能に接続される。ファイアウォール52は、サーバ60またはアクセスノード50への外部アクセスを防止するために、少なくともハードウェアまたはソフトウェア実装ファイアウォールまたはその他の選択されたセキュリティ機能を含む。
【0017】
アクセスノード50によって保持される位置情報は、ノードの現在位置/割当て位置にリンクされ、任意のロック解除要求を処理するのに使用される。例えば、シカゴの繁華街にあるホテルの4階のアクセスノードには、ホテルゾーン識別子に結合された固有のホテル識別子が割り当てられるようにしてもよい。若しくは、ノードは、単一の識別子が割り当てられて、その識別子が、その後、無線デバイス24またはサーバ60によりその位置にリンクされるものであってもよい。
【0018】
アクセスシステム20は、建造物40(部分的に示される)をロックおよびロック解除する機械的ロック34を追加的に含む。例示的な実施形態では、ユーザが、ドア32を介して建造物40へのアクセスを得る。例示的な実施形態では、機械的ロック34が機械的なドアロックであり、それは、一般的な入場または外部ロックと類似のロック機構を含むが、さらに、電子信号に応答して自己ロック解除を行うことができる。非限定の実施例においては、機械的ロック34が、カムロック、回転ラッチ、電気機械ロック、磁気ロックなどを含むことができる。好ましい形態によれば、ロック34は、アクセスノード50から送られた電気信号に応答してロックを解除する。一形態では、電気信号は、Zigbee(登録商標)接続のような、低出力のRF接続を通じて、無線で送信される。更なる好ましい形態では、ロック34が、予め設定した期間の経過の後に、あるいはロック解除信号の受信の後のユーザによるドアの開放および閉鎖により、ロック状態に戻る。幾つかの追加の形態では、ロック34またはドア40は、ロック34に関連して本明細書で説明したものに加えて、またはそのバックアップとして、機械的キースロット、カードキーまたはその他の入場許可認証手段36も含むことができる。さらに、当然のことながら、システム20は、ロック以外のアクセス制限に適用することも可能であり、それには、後述するように、例えば、制限付きのアクセスを提供するエレベータ制御システム、ガレージドアまたはその他のアクセス障壁が含まれる。
【0019】
例示的な実施形態によれば、サーバ60は、内部ネットワーク54を通じてアクセスノード50からロック解除要求を受信するように動作する。一形態では、サーバ60は、予約および稼働データベースを使用して、要求またはその一部を認証するように機能し、一方、その他の形態では、アクセスノード50が認証の少なくとも一部を実行することができる。例示的な実施形態では、サーバ60が、無線デバイス24からのアクセスノード50により受信されたロック解除要求に対応する各要求を処理し、適正な認証があった際に、アクセスノード50に対する要求の許可を承認し、アクセスノードは、その後、対応するロック34のようなロックに電気信号を送信して、建造物40に対するアクセスを許容する。サーバ60をサーバであるとして記載および説明したが、当然のことながら、サーバ60を、クライアント・サーバ構成を含む任意のコンピュータとすることが可能である。サーバ60は、無線または有線の相互接続の何れかによって、アクセスノード50に接続することができる。その接続は、セキュアな接続であることが好ましい。可能性のあるインターフェースの非限定的な例のリストには、IR、光学、RF、シリアルポート、IPネットワークおよびUSBが含まれる。また、サーバ60およびアクセスノード50の機能は、1台のコンピュータシステムに統合することができる。
【0020】
一形態では、アクセスノード50が単一の位置に固定されるが、代替的な形態では、アクセスノード50が、エレベータ内に位置するように、移動可能とすることができ、フロア検出器を含み、その結果、ノードが、その現在の位置に基づいて、適当なフロアにリンクされた情報をブロードキャストすることができる。更なる形態では、アクセスノード50がエレベータ内に固定されるとともに、エレベータ制御システムに接続されて、無線デバイスがアクセスノード50にフロア認証情報を伝えることを可能にする。そのため、無線デバイス24は、ユーザがアクセスする権限が与えられているフロアにブロードキャストすることができ、その結果、ユーザはそのフロアを選択することができる。更なる形態では、アクセスノード50またはサーバ60が、ユーザをそのフロアに連れて行くように、エレベータに自動的に命令を与えることができる。このため、ユーザは、そのフロアにアクセス可能とされるか、または適正なフロアへの非接触のトリップを経験することができる。
【0021】
さらに別の実施形態では、ロック34は、アクセスを無効にする状態を有するオーバーライドスイッチ(図示省略)に動作可能に接続することができる。オーバーライドスイッチをアクティブな状態にすることにより、アクセスシステム20が対応する建造物40へのアクセスを許容することが阻止される。非限定的な一例として、顧客がホテルの部屋内でデッドボルトまたはバーラッチを係合させたときに、オーバーライドスイッチをアクティブな状態とすることができる。アクセスシステム20の幾つかの実施形態では、オーバーライドスイッチが、建造物40内のユーザがアクセスすることができる図示省略の電子制御装置に組み入れられる。
【0022】
本発明の一実施形態に係る建造物40へのアクセスに使用される無線デバイス24を構成する際に実行される一連のステップを示すフローチャートが示されている。そのプロセスは、無線デバイス24およびアクセスシステム20の様々なその他の構成要素に関与する。図1のアクセスシステム20を参照しながら、以下の説明を行う。図1に示すように、無線デバイスは携帯電話22であるが、当然のことながら、その他のネットワーク化された機器も対象とする。このプロセスは、ホテルおよびホテル客室に一般的な予約およびチェックインプロセスに関連して説明しているが、新規なアクセスシステムは、同じ所望の結果を与えるために、様々な設定の応用に適合させることができることに留意されたい。そのため、予約およびチェックインプロセスは、利用される建造物の性質に応じて、従業員認証プロセスなどに置き換えることができる。
【0023】
図2に示すように、このプロセスは、スタートポイント200から開始し、新規なサービスがユーザのためにホテル滞在の予約の確認を受け取る(ステージ202)。確認情報は、好ましくはホテルおよびユーザを特定するとともに、リクエスト/予約された部屋のタイプの詳細とともにチェックイン/チェックアウト日を含む。好ましい形態では、この確認情報は、オンライン、直に、または電話の何れかでユーザのためにホテル予約が行われた結果として、サーバ60によって受信される。
【0024】
確認情報を受信した後、確認メッセージがユーザの無線デバイス24に送信される(ステージ204)。好ましくは、ユーザの無線デバイスに対応する電話番号または電子メールアドレスが、予約情報とともに提出される。確認メッセージは、電子メール、SMS、テキストメッセージなどの形態で、データネットワーク12を通じて送信することができる。確認メッセージは、ホテル識別子、ユーザ識別子およびアクセス文字列を含む。例示的な実施形態では、確認メッセージは、ユーザの無線デバイス24上のインストール可能なアプリケーションによって扱われ、そのアプリケーションは、ホテルのウェブサイト、第三者のウェブサイト、その他のアプリケーションソース、または確認メッセージに示されるダウンロードソース等を介してユーザにインストールするために利用可能なものとなっている。好ましくは、そのアプリケーションは、マイクロソフト・モバイル、シンビアンOS、パームOS、webOS、モバイルLinux、アップルOSX(iPhone)およびMXIを含む様々なモバイル用のオペレーションシステム上での動作に適したものとなっている。その他の形態では、無線デバイス24によって使用されるアプリケーションは、幾つかの非限定的な例を挙げると、ブラウザベースのソフトウェアおよび/または組み込みソフトウェアとすることができる。
【0025】
ホテル識別子の受信の結果として、アプリケーションは、無線デバイス24が到着の際に適切なホテルのアクセスノードと自動的にペアを形成することを可能にするアクセスコードを取り出すことができるようになる。好ましくは、それらのアクセスコードは、権限の無いアクセスを防止するために、予定到着日またはその少し前の日にしか利用可能にはならない。更なる形態では、ユーザおよびデバイス24がホテルに到着する前に、ペアリングが自動的に確立されるものであってもよい。ユーザが部屋にアクセスすることを可能にするために、特定の部屋をユーザに割り当てなければならない。従来は、チェックインの日か、チェックインプロセス中に、これが行われている。しかしながら、例示的な形態では、ユーザは、ホテルに到着する前に、または到着すると同時に、特定の部屋が自動的に割り当てられる。一形態では、ユーザと関連する無線デバイス24が無線ノード50にチェックイン要求を送信した結果として、これが行われる。チェックイン要求は、その後、サーバ60に送信される(ステージ206)。チェックイン要求は、好ましくは、チェックイン/チェックアウト日により指定される時間枠中に確認メッセージのホテル識別子により指定されるホテル内のアクセスノード50にユーザの無線デバイス24が接続することにより、もたらされる。若しくは、チェックイン要求は、ホテルロビー内の電子キオスクを介して、またはデータネットワーク12を通じてユーザデバイス24を介して送信されるものであっても、ホテルの代表者により入力される実際の直接的なチェックインであってもよい。チェックイン要求は、ネットワーク54を通じてサーバ60に送信されるようにするのが好ましい。代替的な形態では、チェックイン要求は、ユーザがホテルに姿を現すことなく、インターネットを通じてサーバ60に送信されるものであってもよい。
【0026】
チェックイン要求を受け取ると、アクセスノード50は、サーバ60と通信して、無線デバイス24によって与えられた日付およびアクセス文字列を確認するとともに、ユーザの予約に適合する部屋を割り当てる(ステージ208)。好ましい形態では、これはサーバ60によって実行され、サーバは、ホテルの管理システムと通信して、サーバ60がアクセス可能な電子データベース中に、適切なアクセス認証情報を格納する。また、サーバ60は、ユーザの確認メッセージと一致するキーコードを、割り当てた部屋と関連付ける。代替的な形態では、ステップ208が省略されて、アクセスシステム20が、ホテルでユーザの存在の兆候等がないときに、チェックインの日に、ステップ208に関して上述したように、単に、ユーザに部屋を自動的に割り当てるものであってもよい。
【0027】
その後、割り当てられた部屋の詳細(部屋番号および位置を含む)は、アクセスノード50を介してサーバ60によりユーザ無線デバイス24に、返信メッセージで送信される(ステージ210)。これにより、ユーザは、無線デバイス24を使用して、アクセスノード50に、ホテルの部屋へのアクセスの電子要求を送信することができる。一形態では、無線デバイス24のMACアドレスがアクセス要求とともに送信され、このMACアドレスは、割り当てられた部屋と関連させて、電子データベースに同様に格納される。このプロセスは、エンドポイント212で終了する。なお、このプロセスは、例えば、2の無線デバイスが同じホテルの部屋に入る権限を与えたり、あるいは別の無線デバイスが残りの滞在の任意の部分についてホテルの部屋にアクセスする権限を現在の顧客が与えることができるようにして、一部屋につき1以上の承認されたホテル顧客を受け入れるように変更するようにしてもよい。
【0028】
図2に関して記載した実施形態の説明を続けると、無線デバイス24およびアクセスシステム20の様々なその他の構成要素を使用してユーザが建造物40にアクセスすることを可能にする際に実行される一連のステップを示すフローチャートが示されている。図1のアクセスシステム20および図2に付随する記載を参照しながら、以下の説明を行う。
【0029】
図3に示すように、このプロセスは、スタートポイント300から開始し、無線デバイス24が、ユーザおよび無線デバイス24の現在位置にリンクされた位置情報をアクセスノード50から受信する(ステージ302)。一形態では、この位置情報は、ユーザに割り当てられた部屋(建造物40によって表される)の近傍に位置するアクセスノード50から、無線デバイス24により受信または測定される。好ましい形態では、アクセスノード50が、ホテル識別子と、ホテル内のゾーンの識別子またはフロア、ウィングまたはその一部のような複数のゾーンに対応する空間の識別子とをブロードキャストする。代替的な形態では、アクセスノード50により受信されたロック解除要求とともに、固有の識別子が送信され、それが、無線デバイス24またはサーバ60により、位置テーブルのルックアップとして後に使用される。その結果、サーバ60により追加のセキュリティのレベルが提供され、サーバは、アクセスノード50(ロック解除が要求されるドアの範囲内のアクセスノード)からの要求に対してのみ権限を与えるように構成されて、その後に、受信したそれらロック解除要求の正当性を認証して、要求している無線デバイス24に権限が与えられていることを確認する。
【0030】
用途に応じて、建造物40は、アクセスノード50のブロードキャストの範囲内にあってもよく、あるいはノード50は、主エレベータ、階段、玄関またはその他の実質的な通路の近くのように、近傍に位置するだけであってもよい。無線デバイス24がアクセスノード50の範囲内に入ってアクセスノード50に接続されると、無線デバイス24が、ロック解除要求を送信し、これが、アクセスノード50に受信されて、サーバ60に伝えられる(ステージ304)。また、アクセスノード50は、アクセスが要求されるドアのすぐ近傍にユーザがいることを保証するために、発行されるロック解除要求を許容する前に、予め設定された信号強度を要求するように構成することもできる。例示的な実施形態では、この要求が内部ネットワーク54を介して送信されるが、そのメッセージが、当然のことながら、802.11または別の同様の技術のような別の無線ネットワークを介して送信されるものであってもよい。ロック解除要求は、ホテルID、部屋番号、位置情報、ユーザ名、予約番号、チェックイン/チェックアウト日の何れかを含むものであってもよい。また、要求にその他の情報が含まれるものであってもよい。
【0031】
更なる形態では、ノード50が、信号強度測定を使用して、当該ノードと無線デバイス24間の大凡の距離を求める。その後、割り当てられた建造物40の近傍にあってその近さが条件を満たすときに、無線デバイス24を有するユーザのノード50からの距離を定義するゾーンを設定(距離最小または最小/最大範囲を含む)することができる。この測定した距離がオペレータにより設定された距離と一致しない場合には、ロック解除要求は許可されることはない。
【0032】
サーバ60によりロック解除要求が受信されると、サーバ60は、無線デバイスのMACアドレスの正当性を、現在の予約の有効性とともに認証し、アクセスノード50で要求を確認する。この確認を受信すると、アクセスノード50は、Zigbee(登録商標)接続を使用して、適切なロック34にロック解除コマンドを送信する(ステップ306)。ロック解除要求を受信すると、ロックは建造物のロックを解除して、ユーザ操作無線デバイス24が入ることを可能にする。このプロセスは、エンドポイント308で終了する。
【0033】
図4を参照すると、本発明の更なる実施形態で使用するに適したユーザノードが示されている。ユーザトークン150は、無線デバイス24による問い合わせを受けるのに適したデバイスである。トークン150は、任意には、承認中にホテルまたは建造物によってユーザに提供される。トークン150は、符号化された固有の識別子またはその他の検証可能なデータを含むことができる。ロック解除要求のような任意の要求を送信する前に、無線デバイス24は、任意には、その存在の範囲内で、トークン150の存在について問い合わせるようにプログラム化されるものであってもよい。証明可能なデータを有するトークン150が見付からない場合には、要求が阻止される。しかしながら、無線デバイス24の近接位置内にトークン150がある場合には、要求が送信されるようにしてもよい。このため、権限を有するユーザが存在するときに、無線デバイス24がアクセスシステム20とともに単に機能することを保証するために、ユーザにトークン150を持つことを要求するようにしてもよい。この実施形態によれば、トークン150は、受動的なBluetooth(登録商標)ノードであるが、RFIDなどのようなその他の短距離無線デバイスであってもよい。トークン150は、自身の電源を必要としないことが望ましい。
【0034】
別の形態では、アクセスシステム20が、駐車場または建造物(図示省略)へのアクセスを選択的に許容するロック制御ユニット42に接続されたガレージドアまたは駐車場ゲートのような駐車場アクセスデバイス(図示省略)をさらに備える。この例示的な実施形態では、ユーザは、ガレージドアまたは駐車場ゲートを介して駐車スペースにアクセスすることができる。好ましい形態によれば、駐車場アクセスデバイスは、制御デバイスから送信される電気信号に応答して、ユーザの自動車が駐車スペースに入るのを許容する。一形態では、電気信号が無線で送信される。
【0035】
更なるシステムでは、ノード50に類似する近傍のノードは、無線デバイスに送信される確認情報または本明細書に記載のその他の情報に基づいてホテル駐車場ゲートのような建造物にユーザがアクセスするのを許容するために、その他の空間に含まれるものであってもよい。それにより、ユーザの駐車期間を容易に計算することができ、その費用をホテルの請求書に加えることができる。
【0036】
更なるシステムでは、ホテルの現在の顧客がホテルを出発したことを検知したときに、ホスピタリティおよび清掃サービスの要求が生成されるように、通知プロセスがサーバ60により実行される。一形態では、サーバ60は、ユーザに割り当てられた部屋の近傍に位置するアクセスノードおよびホテルの様々な出口の一つにある別のアクセスノードを通る際にユーザの無線デバイスから送信されるメッセージとして、ホテルの顧客の出発を検知することができる。代替的には、ユーザが無線デバイスを使用して駐車場ガレージの出口を開けたときに、そのような通知をもたらすものであってもよい。
【0037】
さらに別のシステムでは、無線デバイスが、アクセスノードを通過したときに、ホテルまたは割り当てられたホテルの部屋の空間にユーザが入場したことを示す情報を、サーバ60に送信することができる。この情報は、発明の名称を“Personalized Smart Room”とするSunyichに付与された米国特許出願第10/126,486号に記載されているように、ユーザ特有のレベルまたは標準レベルに室内温度を上げる動作、または照明を点灯させる動作を開始させるものであってもよい。上記出願は、矛盾を生じない範囲で、引用により本明細書に援用されるものである。
【0038】
本発明を図面および上記記載において詳細に説明および開示してきたが、それは、例示的なものとみなされるべきものであり、特徴において制限的なものではなく、また、好ましい実施形態のみが開示および記載されており、本明細書および/または以下の請求項に記載の発明の趣旨に含まれるすべての均等物、変更および修正が保護されるべきである。
【0039】
したがって、本発明の適切な範囲は、図面に描かれて明細書に記載されたものに相当するすべての関係と同様に、すべてのそのような変形を包含するように、添付の請求の範囲の広い解釈のみによって決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ユーザデバイスを用いてユーザが建造物にアクセスすることを可能にするアクセスシステムであって、
前記建造物にアクセスする権限が与えられた少なくとも1の無線ユーザデバイスと、前記建造物へのアクセスを許容する権限が与えられた1のアクセスノードとを識別するアクセス許可を格納するデータベースと、
前記建造物のドアを固定する機械的ロック装置であって、ロック解除コマンドを受信するとともに、前記ドアのロックを解除することにより応答するのに適した短距離無線受信機を有する機械的ロック装置と、
前記建造物の近傍に配置されるアクセスノードであって、無線ユーザデバイスから無線アクセス要求を直接受信する第1短距離無線機と、承認要求の受信に応答して、ロック解除コマンドを前記機械的ロック装置に送信して前記建造物へのアクセスを許容する第2短距離無線機とを有するアクセスノードと、
前記アクセスノードの前記第1短距離無線機から無線ユーザデバイスおよび建造物に関連するロック解除要求を受信して、前記データベースを使用して前記ロック解除要求を承認する際に、承認要求を前記アクセスノードに送信するように機能するサーバとを備え、
前記ロック解除要求は、前記建造物へのアクセスを許容する権限を受けたアクセスノードにおいて受信されたもので、かつ前記建造物にアクセスする権限が与えられた無線ユーザデバイスから発せられたものである場合にのみ、承認が与えられることを特徴とするアクセスシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のアクセスシステムにおいて、
前記第1短距離無線機がBluetooth(登録商標)対応無線機であることを特徴とするアクセスシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のアクセスシステムにおいて、
前記無線携帯デバイスが、少なくとも1のアクセスノードとペアリングするための少なくとも1のアクセスコードを含むことを特徴とするアクセスシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のアクセスシステムにおいて、
前記第1短距離無線機が802.11対応無線機であることを特徴とするアクセスシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のアクセスシステムにおいて、
前記第2短距離無線機がZigBee(登録商標)対応無線機であることを特徴とするアクセスシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のアクセスシステムにおいて、
前記短距離無線受信機がZigBee(登録商標)対応受信機であることを特徴とするアクセスシステム。
【請求項7】
請求項2に記載のアクセスシステムにおいて、
前記第2短距離無線機がZigBee(登録商標)対応無線機であることを特徴とするアクセスシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のアクセスシステムにおいて、
前記機械的ロック装置が、前記第2短距離無線機の送信範囲内に位置することを特徴とするアクセスシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のアクセスシステムにおいて、
前記機械的ロック装置が、前記第1短距離無線機の送信範囲内に位置することを特徴とするアクセスシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のアクセスシステムにおいて、
前記無線ユーザデバイスが携帯電話であることを特徴とするアクセスシステム。
【請求項11】
請求項2に記載のアクセスシステムにおいて、
前記無線ユーザデバイスが携帯電話であることを特徴とするアクセスシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のアクセスシステムにおいて、
前記無線ユーザデバイスがBluetooth(登録商標)対応無線機を含むことを特徴とするアクセスシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のアクセスシステムにおいて、
前記無線ユーザデバイスが携帯情報端末(PDA)であることを特徴とするアクセスシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のアクセスシステムにおいて、
前記建造物がホテルの部屋であることを特徴とするアクセスシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のアクセスシステムにおいて、
前記無線アクセス要求が無線ユーザデバイスのMACアドレスを含むことを特徴とするアクセスシステム。
【請求項16】
請求項1に記載のアクセスシステムにおいて、
前記ロック解除要求は、前記建造物へのアクセスを許容する権限を受けたアクセスノードが、無線アクセス要求の受信時付近で、前記ユーザデバイスから、前記建造物に関連する予め設定された範囲に入る信号強度を検出した場合にのみ、承認が与えられることを特徴とするアクセスシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−517541(P2012−517541A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549173(P2011−549173)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/021403
【国際公開番号】WO2010/093499
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Linux
【出願人】(511190524)ヤイクス コーポレイション (1)
【氏名又は名称原語表記】YIKES CORPORATION
【Fターム(参考)】