説明

携帯型ナビゲーション装置

【課題】平面地図と立体地図の切り替えを行えるナビゲーション装置において、案内を分かり易くするとともに、操作性を向上させる。
【解決手段】地図を表示する表示手段(5)と、表示された地図を操作する操作手段(1)と、携帯型ナビゲーション装置の傾きを検知する傾斜角検知手段(2)と、検知した傾斜角に基づいて地図の表示形式を選択する選択手段(6a)と、選択された表示形式の地図を表示する制御手段(6c)とを備え、前記制御手段は、2次元表示形式が選択されたとき平面地図を表示し、3次元表示形式が選択されたとき立体地図を表示すると共に、2次元表示形式の場合とは異なるように操作手段による操作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平面地図か立体地図かを選択して表示可能な携帯型ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯型のナビゲーション装置において、視認性を向上させるために、表示する地図の表示形式を装置の角度に応じて変更するものがあり、具体的には、装置を水平に持っているときには平面地図を表示し、装置を垂直に持っているときは立体地図を表示するものが提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【特許文献1】特開2006−133454号公報
【特許文献1】特開2004−151752号公報
【特許文献1】特開2003−223095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記提案の携帯型ナビゲーション装置では、平面地図と立体地図の切り替えを直感的に行うことが可能で地図の視認性も良いが、単に地図の表示状態を変化させるだけであるため、ナビゲーションの案内の分かり易さ、地図の操作性等の点で十分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、平面地図と立体地図の切り替えを行える携帯型ナビゲーション装置において、案内を分かり易くするとともに、操作性を向上させることを目的とする。
本発明は、地図を表示する表示手段と、表示された地図を操作する操作手段と、携帯型ナビゲーション装置の傾きを検知する傾斜角検知手段と、検知した傾斜角に基づいて地図の表示形式を選択する選択手段と、選択された表示形式の地図を表示する制御手段とを備え、前記制御手段は、2次元表示形式が選択されたとき平面地図を表示し、3次元表示形式が選択されたとき立体地図を表示すると共に、2次元表示形式の場合とは異なるように操作手段による操作を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、2次元表示形式が選択されたとき平面地図を表示し、3次元表示形式が選択されたとき立体地図を表示することで案内を分かり易くし、さらに平面地図のスクロールや立体地図の回転を簡単に行うことが可能で操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施形態に係る携帯型ナビゲーション装置の例を示すブロック図である。タッチパネルのタッチスイッチ、押しボタン、入力用のキーボード等からなる操作装置1、ジャイロセンサ等からなり、携帯型ナビゲーション装置の保持している角度を検出する角度センサ2、現在地位置を検出するためのGPS(Gloval Positioning System )センサ3、2次元表示形式の地図データ、3次元表示形式の地図データ、各種ナビゲーション用のデータ等を格納した情報記憶装置4、平面地図や立体地図を表示する表示装置5、角度センサ2により携帯型ナビゲーション装置本体の角度が水平か垂直かに応じて2次元表示形式か3次元表示形式かを選択する選択手段6a、GPSセンサ3で検出した現在位置から操作装置1より入力された目的地までの経路を探索する経路探索手段6b、選択手段6aで選択された表示形式の地図、即ち平面地図または立体地図を表示装置5へ出力すると共に、表示形式に応じた地図のスクロールや回転を制御する制御手段6を備えている。なお、装置本体の角度が水平か垂直かは、実際には所定角度、例えば45°以上か否かにより判断する。また、操作装置1がタッチパネルの場合には、実際には表示装置5の前面位置に配置されたパネルでの操作となる。
【0007】
図2は平面地図と立体地図を切り替えて表示する例を説明する図で、図2(a)は装置本体を水平に持っている場合、図2(b)は装置本体を垂直に立てて持っている場合である。
図示するように、装置本体10を水平に持っている場合には平面地図を表示し、垂直に持っている場合には、立体地図を表示し、例えば、地図縮尺を大きくして立体地図を拡大(詳細)表示する。この例では、平面地図には方位指示マーク11、現在位置マーク12、案内経路13、表示縮尺14が表示され、立体地図には、案内経路上の分岐点や注意点等の案内対象地点における進行方向21、進行方位(図では西)22、表示縮尺23が表示されている。なお、平面地図の場合には目的地を表示してもよく、立体地図の場合には、ユーザが見ている風景を切り取ったイメージが表示され、どちらへ行けばよいか経路を詳細に確認できるように表示が行われる。また、立体表示される建物を半透過性に表示することにより、目的地が建物内にある場合に、どのフロアーのどこにあるかまで確認できるようにすることが可能である。
【0008】
図3は地図のスクロールや回転について説明する図である。
ここではタッチパネルのタッチ位置により地図のスクロール、地図の回転を行う例について説明するが、押しボタン等の他の操作手段を用いて地図のスクロール、地図の回転を行うようにしてもよい。
平面地図の場合、例えば、画面の左側部分30にタッチすると(図3(a))、表示縮尺はそのままで表示地図は左方向にスクロールされる(図3(b))。立体地図の場合、例えば、画面前方が西の方位を示しているときに画面の左側部分40にタッチすると(図3(c))、表示縮尺はそのままで表示地図は左に90°回転し(図3(d))、画面前方は南の方位を示すことになる。
【0009】
次に、タッチ位置とスクロール方向、回転方向について図4、図5により説明する。
図4(a)の平面地図、図4(b)の立体地図の表示画面を図4(c)に示すように対角線で4つの領域(上部、下部、左部、右部)に分け、どの領域にタッチしたかでスクロール方向、回転方向を変更する。
図5に示すように、平面地図の場合、画面上部にタッチすると画面上方へ地図をスクロール、画面下部にタッチすると画面下方へ地図をスクロール、画面左部にタッチすると画面左へ地図をスクロール、画面右部にタッチすると画面右へ地図をスクロールする。
立体地図の場合、画面上部にタッチすると表示地図前方へスクロール、或いは、経路上の次の案内対象地点へジャンプし、画面下部にタッチすると表示地図後方へスクロール、或いは経路上の前の案内対象地点へジャンプし、画面左部にタッチすると地図を左に方向転換(回転)し、画面右部にタッチすると地図を右に方向転換(回転)する。
【0010】
図6は本実施形態の地図表示処理、地図スクロール処理、地図回転処理のフローを示す図である。
まず、端末(装置本体)の角度が所定角度以上か否か判断する(ステップS1)。このステップは、端末を水平に保持しているか、垂直に保持しているかを判別する処理であり、実際には水平、垂直と言っても角度を有しているので、所定角度、例えば45°以上の角度で保持している場合は垂直、45°より小さい角度で保持している場合は水平と見なすようにする。所定角度に満たない場合は平面地図が表示される(ステップS2)。次いで、立体地図→平面地図への切り替えがあったか否か判断し(ステップS3)、切り替えがあった場合には地図縮尺を「広域」に変更し(ステップS4)、切り替えがなかった場合には地図縮尺は変更しない(ステップS5)。この処理では、既に平面地図が表示されている状態か、端末の角度の変更で立体地図→平面地図へ切り替わった状態かを判別して地図縮尺の変更、或いは無変更を行っている。次いで、タッチ操作があるか否か判断し(ステップS6)、タッチ操作があればその方向へ表示画面をスクロールし(ステップS7)、タッチ操作がなければ処理は終了する。
【0011】
ステップS1において、端末が所定角度以上で保持されている場合は、立体地図が表示される(ステップS8)。次いで、平面地図→立体地図への切り替えがあったか否か判断し(ステップS9)、切り替えがあった場合には地図縮尺を「詳細」に変更し(ステップS10)、切り替えがなかった場合には地図縮尺は変更しない(ステップS11)。この処理では、既に立体地図が表示されている状態か、端末の角度の変更で平面地図→立体地図へ切り替わった状態かを判別して地図縮尺の変更、或いは無変更を行っている。次いで、左右にタッチ操作があるか否か判断し(ステップS12)、タッチ操作があればその方向へ表示画面を回転する(ステップS13)。ステップS12で左右へのタッチ操作がなければ回転処理を行わない。次いで、上下にタッチ操作があるか否か判断し(ステップS14)、画面の上下にタッチ操作があると、タッチ位置が上部、下部のいずれかに応じて表示画面を前方または後方へスクロールする(ステップS15)。上下にタッチ操作がなければスクロールは行われない。次いで、表示地図中に案内対象地点があるか否か判断し(ステップS16)、案内対象地点がある場合には経路の進行方向を表示し(ステップS17)、処理を終了する。
【0012】
なお、上記処理において、左右のタッチ操作の処理後に、上下のタッチ操作を行うようにしたが、この順序は逆であってもよく、また、タッチ操作はボタン操作であってもよい。また、ステップS15において、前方/後方へスクロールしているが、経路上の前後の案内対象地点に遷移して表示するようにしてもよく、その場合にはステップS16の処理は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る携帯型ナビゲーション装置の例を示すブロック図である。
【図2】平面地図と立体地図を切り替えて表示する例を説明する図である。
【図3】地図のスクロールや回転について説明する図である。
【図4】タッチ位置とスクロール方向、回転方向について説明する図である。
【図5】タッチ位置とスクロール方向、回転方向について説明する図である。
【図6】地図表示処理、スクロール処理、回転処理のフローを示す図である。
【符号の説明】
【0014】
1…操作装置、2…角度センサ、3…GPSセンサ、4…情報記憶装置、5…表示装置、6…制御装置、6a…選択手段、6b…経路探索手段、6c…制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を表示する表示手段と、
表示された地図を操作する操作手段と、
携帯型ナビゲーション装置の傾きを検知する傾斜角検知手段と、
検知した傾斜角に基づいて地図の表示形式を選択する選択手段と、
選択された表示形式の地図を表示する制御手段とを備え、
前記制御手段は、2次元表示形式が選択されたとき平面地図を表示し、3次元表示形式が選択されたとき立体地図を表示すると共に、2次元表示形式の場合とは異なるように操作手段による操作を制御することを特徴とする携帯型ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、平面地図が表示されているとき、前記操作手段による操作に応じた方向へ地図をスクロールし、立体地図が表示されているとき、前記操作手段による操作に応じた方向へ地図を回転する請求項1記載の携帯型ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、立体地図が表示されているとき、前記操作手段による左右方向の操作により左右方向へ地図を回転し、前記操作手段による上下方向の操作により表示地図を経路方向前方または後方へスクロールする請求項2記載の携帯型ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記操作手段による経路方向前方または後方へのスクロールにより、表示されている位置から次の分岐点または前の分岐点へ遷移させる請求項3記載の携帯型ナビゲーション装置。
【請求項5】
携帯型ナビゲーション装置の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
操作手段により入力された目的地までの経路を探索する経路探索手段を備え、
前記制御手段は、平面地図が表示されているとき、前記現在位置から前記目的地までの経路を表示可能な縮尺で地図及び経路を表示し、立体地図が表示されているとき、案内対象地点の拡大図及び案内対象地点における進行方向を表示する請求項2記載の携帯型ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記制御手段は、立体地図が表示されているとき、表示される建物を半透過に表示して建物内の目的地を判別可能にした請求項5記載の携帯型ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−107199(P2010−107199A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276297(P2008−276297)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】