説明

携帯型表示装置

【課題】
本発明は、画像を表示する表示装置に係り、装置全体の薄型化及び表示部の大画面化を実現する。
【解決手段】
本発明は、第一筐体と、第二筐体と、前記第一筐体と前記第二筐体とを折畳み可能に連結する連結部と、前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態における前記第一筐体の内面と前記第二筐体の内面となる2つの面に亘り、連続して配される可撓性の表示部と、前記第一筐体若しくは前記第二筐体の前記連結部側端部の少なくともいずれか一方に、筐体の開閉軸方向に亘って形成される凹部と、を備え、前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記連結部近傍の固定されていない前記表示部が撓むことで可変部が形成し、当該可変部が前記凹部に収納されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する表示装置に係り、特に携帯電話や携帯ゲーム機などの携帯型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの携帯電子機器は、性能の向上及び表示部の拡大化に伴い、デジタル放送によるテレビ放送や外部ネットワークから取得した映像データである動画を視聴することが可能となった。しかし、携帯電子機器の携帯性の向上に伴う小型化に伴い、ディスプレイの大きさにも限界がある。そこで、複数の表示画面を開閉自在に連結しそれら複数の表示画面全体に1つの画像を表示させることにより、大画面化を実現した携帯用通信機器が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、近年では有機EL(Organic Electro Luminescnece)等の可撓性の表示部材が登場し、その表示部材を開閉可能な枠体の内側に連続して配置することで、携帯性と大画面化の両方を実現する画面表示装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−184026号公報
【特許文献2】特開2006−72115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成においては、複数の表示画面を連結するため、表示画面の境界部分の表示が欠ける部分が生じ、一体化した画面として見にくいという問題が生じる。
【0006】
また、特許文献2の構成においては、表示部が枠体内面の中心部及び両端部のみにおいて固定されており、枠体を折り畳むと表示部の固定されていない部分が内側に湾曲して枠体内部の隙間部分に収納されるため、装置全体が大型化するという問題が生じる。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置全体の薄型化及び表示部の大画面化を実現した携帯型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第一筐体と、第二筐体と、前記第一筐体と前記第二筐体とを折畳み可能に連結する連結部と、前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態における前記第一筐体の内面と前記第二筐体の内面となる2つの面に亘り、連続して配される可撓性の表示部と、前記第一筐体若しくは前記第二筐体の前記連結部側端部の少なくともいずれか一方に、筐体の開閉軸方向に亘って形成される凹部と、を備え、前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記連結部近傍の固定されていない前記表示部が撓むことで可変部を形成し、当該可変部が前記凹部に収納されることを特徴とする。
【0009】
また、前記凹部は、前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記第一筐体と前記第二筐体との間隔よりも広い間隔の空洞を前記連結部に形成されることが好ましい。
【0010】
さらに、前記凹部は、弾性部材が前記空洞内に充填されることが好ましい。
【0011】
さらに、前記第一筐体の前記連結部側端部には、凹部が、前記第二筐体の前記連結部側端部には、傾斜部が、それぞれ形成されており、前記凹部及び前記傾斜部は、前記表示部の前記連結部近傍の裏面を支持し、前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記可変部が筒形状になるように支持することが好ましい
さらに、前記第一筐体は、前記第一筐体の内面において、前記第一筐体に配される前記表示部を前記第一筐体に対して厚さ方向への移動を規制する第1ガイド部をさらに備え、前記第二筐体は、前記第二筐体の内面において、前記第二筐体に配される前記表示部を前記第二筐体に対して厚さ方向への移動を規制する第2ガイド部をさらに備え、前記第一筐体及び前記第二筐体に配されない前記連結部近傍の前記表示部は、前記第一筐体と前記第二筐体とが開閉する際、前記第一筐体若しくは前記第二筐体に対して厚さ方向へ移動することが好ましい。
【0012】
さらに、前記第1ガイド部は、前記連結部近傍において、前記傾斜部に対向して形成され、前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記連結部近傍における前記表示部の表面を支持することが好ましい。
【0013】
さらに、前記第一筐体は、前記第一筐体に配される前記表示部を前記第一筐体に対して長手方向及び短手方向への移動を規制する第1固定部材をさらに備え、前記第二筐体は、前記第二筐体に配される前記表示部を前記第二筐体に対して長手方向及び短手方向への移動を規制する第2固定部材をさらに備えることが好ましい。
【0014】
さらに、前記第1固定部材と前記第2固定部材は、前記第一筐体及び前記第二筐体よりそれぞれ厚さ方向へ突出する弾性を有する材料を含んで形成され、前記第1固定部材は、前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記第2固定部材と対向し、当接することが好ましい。
【0015】
さらに、前記第一筐体と前記第二筐体のいずれか一方は、前記表示部を制御する制御部と、前記表示部に電力を供給するバッテリーと、前記制御部からの信号及び前記バッテリーからの給電を受け、前記表示部に接続する接続部と、をさらに備えることが好ましい。
【0016】
さらに、前記制御部と、前記バッテリーと、前記接続部と、を備える前記一方の筐体は、前記一方の筐体に配される表示部に重畳されるタッチセンサをさらに備えることが好ましい。
【0017】
上記課題を解決するために本発明に係る携帯型表示装置は、第一筐体と、第二筐体と、前記第一筐体と前記第二筐体とを折畳み可能に連結する連結部と、前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記前記第一筐体の内面である第1面と前記第二筐体の内面である第2面と、に連続して配される可撓性の表示部と、を備え、当該表示部は、前記第1面に配される第一部分と、前記第2面に配される第二部分と、前記第一部分と前記第二部分に連続し、前記連結部近傍に位置する変形可能な第三部分と、から形成され、前記連結部は、前記第三部分より筐体の開閉軸方向の幅が大きい凹部を有し、前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記第一部分と前記第二部分とが対向し、前記第三部分は変形して前記凹部に収納されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、装置全体の薄型化及び表示部の大画面化を実現した携帯型表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における携帯電話機100の開状態の正面図である。
【図2】図1に係る携帯電話機100のディスプレイ(表示部)160を除いた正面図である。
【図3】図1に係る携帯電話機100の開状態におけるA−A´断面図である。
【図4】図1に係る携帯電話機100の開状態におけるB−B´断面図である。
【図5】図1に係る携帯電話機100の閉状態におけるA−A´断面図である。
【図6】図3におけるヒンジ(連結部)170近傍の拡大図である。
【図7】図5におけるヒンジ(連結部)170近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、携帯電話機100を例に説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態における携帯電話機100の開状態の正面図を示し、図2は図1に示す開状態の携帯電話機100におけるディスプレイ(表示部)160を除いた正面図を示す。
【0022】
この携帯電話機100は、図1及び図2に示すように第一筐体110と第二筐体120とがヒンジ(連結部)170により開閉可能に連結された筐体構造を有している。
【0023】
図1に示すように、この携帯電話機100には、第一筐体110及び第二筐体120の各筺体に亘って連続して配されるディスプレイ160と、各筐体の側面部と平行に形成された各リブ(第一リブ(第一ガイド部)111、第二リブ(第二ガイド部)121)と、各筐体に2つずつ設けられた各固定ピン(第一固定ピン(第一固定部材)112、第二固定ピン(第二固定部材)122)と、がそれぞれ設けられている。
【0024】
そして、ディスプレイ160は、第一筐体110と第二筐体120とが閉じられた状態でそれぞれが対向する面、つまり閉状態で内側となるそれぞれの筐体における内面に亘って連続して配される。
【0025】
また、各リブ(第一リブ(第一ガイド部)111、第二リブ(第二ガイド部)121)は、各筐体の内面上に筐体と一体形成され、ディスプレイ160の浮きや撓みを防止する。
【0026】
さらに、各固定ピン(第一固定ピン(第一固定部材)112、第二固定ピン(第二固定部材)122)は、各リブの位置する各筐体端部近傍に、各筐体に2つずつ、所定の間隔をおいて設けられている。それによって、ディスプレイ160が各筐体の筐体内面の特に開閉軸と垂直な方向(筐体長手方向)へ相対的に移動することを規制する。
【0027】
ヒンジ(連結部)170は、第一筐体110の両側面に設けられた第一ヒンジ113と第二筐体120の両側面に設けられた第2ヒンジ123とがお互いに結合することで第一筐体110と第二筐体120とを相対的に回転可能としている。
【0028】
さらに、第二筐体120の両側面に設けられた第2ヒンジ123は、第一筐体110の両側面に設けられた第1ヒンジ113より開閉軸方向の外側に形成され、それに伴い、筐体の短手方向において、第一筐体120の幅は第2ヒンジ123の筐体の開閉軸方向と平行な方向(筐体短手方向)の幅だけ第二筐体120より大きく形成されている。
【0029】
図2に示すように、第1ヒンジ113は第1筐体110の連結端に形成され、外観凸形状に形成される。また、第2ヒンジ123は第2筐体120の連結端に形成され、凸形状の第1ヒンジ113が入り込む外観凹形状に形成されている。そして、第1ヒンジ113と第2ヒンジ123とが筐体の開閉軸により回動可能に軸支されてヒンジ170が構成され、このヒンジ170の回動により一方がもう一方の筐体に対して相対的に自由な回転を実現することができる。
【0030】
各筐体において、第一筐体110に一体形成された第1リブ(第一ガイド部)111と、第二筐体120に一体形成された第2リブ(第二ガイド部)121とをそれぞれ有する。
【0031】
第1リブ111及び第2リブ121の各リブは、筐体内面における両側面近傍に、長手方向に連続形成されるレール状の部材を含む。さらに各リブ111,121は、それぞれの筐体において、一方の筐体における両側面近傍に設けられる2つのレール状の部材が筐体の先端部分で繋がり、筐体内面上に、全体でもコ字状となるように連続形成されて、リブ111,121が構成されている。また、各リブ111,121の断面は、ディスプレイ160の外側から表示面側周縁部を覆う略コ字状の断面、つまりディスプレイ160を受け入れる開放形状を有して連続形成されている。そして、筐体内面のヒンジ側端部の領域にはリブは設けられず、リブのヒンジ側、終端部分においては、その略コ字状断面の開放形状が維持されたまま構成されている。
【0032】
各リブ(第1リブ(第1ガイド部)111,第2リブ(第一ガイド部)121)の高さは、携帯電話機100の組み立て時に、ディスプレイ160先端をヒンジ170側端部から挿入できるように、断面の開放形状の高さがディスプレイ160の厚さと等しいか若しくはそれより少し大きめになるように構成されている。これにより、各リブ111,121に挿入されたディスプレイ160は、筐体の長手方向及び短手方向に対して容易に移動できないようになっている。図1において、各リブに挿入されたディスプレイ160は点線枠内に示されている。また、ディスプレイ160の長手方向及び開閉軸方向の一端部は各リブ111,121によって覆われており、それ以外のディスプレイ160は、直線状の矩形で示されている。これにより、ディスプレイ160を各筐体内面に接着したりせずとも、ディスプレイ160が、開閉軸と平行な方向への移動をすること、及び各筐体の内面に垂直な方向への筐体からの離脱することを防止することができる。
【0033】
ディスプレイ160は、各リブ111,121により固定されている各筐体の中心部近傍において、筐体の厚さ方向への移動が規制されるが、各リブ111,121により固定されていないヒンジ170近傍において、筺体の開閉に応じて略半円領域において厚さ方向への移動が可能である。図1において、ディスプレイ160の各リブにより固定されていない部分(可変部161)は、枠内の斜線部で示される。
【0034】
可変部161は、後述するが、ディスプレイ160の素材が柔軟な素材で構成されているため、筐体の開閉に応じて折り曲げ等の変形が可能である。
【0035】
各筐体のリブの終端部分において、第一筐体側に第1固定ピン(第一固定部材)112と、第二筐体側に第2固定ピン(第二固定部材)122と、がそれぞれ設けられている。
【0036】
各筐体には、各固定ピン(第1固定ピン112、第2固定ピン122)が2つずつ設けられ、互いに各筐体の短手方向と平行に所定の間隔を空けて位置している。
【0037】
ディスプレイ160は、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display)や電子ペーパー等の可撓性表示部材(フレキシブルディスプレイ)から成る。上記の構成からディスプレイ160は、折り曲げ等の変形が可能であり、容易に断裂することがないように形成されている。なお、ディスプレイ160は折り曲げ可能であればどのような材質のものを用いてもよく、上述の材質のディスプレイには限定されない。
【0038】
ディスプレイ160は、第二筐体120の第2固定ピン122側端部の裏面に接続部162が形成されている。接続部162は、後述するが、第二筐体120内部に設けられた回路基板130及びバッテリー150とディスプレイ160とを供給線を介して接続する。上記の構成によって、第一筐体110及び第二筐体120に亘って配置されるディスプレイ160は、第二筐体120側に設けられた接続部162を介して、回路基板130及びバッテリー150から給電を受ける。
【0039】
接続部162は、短手方向における幅が第2リブ121の終端部分より短くディスプレイ160裏面に形成されているため、図2に示すように、第2リブ121によって全面を覆われ、外部に露出しない。
【0040】
なお、図1において、ディスプレイ160は、点線枠内で示され、各リブ111,121によって覆われず、外部に露出される部分は直線枠内で示されている。
【0041】
また、ディスプレイ160は、図1に示すように第一筐体110と第二筐体120の閉状態における内面のほぼ全面に配される大きさでなくとも、第一筐体110及び第二筐体120のヒンジ170側に連続して設けられる大きさならばよい。また、ディスプレイ160の長手方向及び短手方向の幅の変化に伴って、各リブの長手方向の長さ及び短手方向における位置を変えてもよい。
【0042】
また、第一筐体110内面のヒンジ連結端には、図2に示すように、筐体が閉状態において、ディスプレイ160の可変部161が変形した状態で収納される収納部(凹部)114と、収納部(凹部)114の中に充填されているスポンジ(弾性部材)115と、が設けられている。
【0043】
収納部(凹部)114は、第一筐体110内面のヒンジ連結端に設けられており、第一筐体の長手方向へ開口する構成を有する。また、収納部(凹部)114の短手方向の幅は、ディスプレイ160の短手方向の幅と等しいか若しくはそれより大きく設けられている。上記の構成を有するために、筐体が閉状態においてディスプレイ160の可変部161が折り畳まれ、収納部(凹部)114に収納される。また、可変部161の収納部(凹部)114への収納状態についての詳細は図5において後述する。
【0044】
スポンジ(弾性部材)115は、前述の収納部(凹部)114の中に充填されていると共に、一部の面が外部に露出されている。スポンジ(弾性部材)115の露出面は、図2において斜線部で示した。
【0045】
スポンジ(弾性部材)115は、筐体が開状態において、ディスプレイの可変部161の裏面が露出面において接触した状態で筐体の開方向へ支持する。また、筐体が閉状態においても、ディスプレイ160の可変部161が変形して収納部(凹部)114に収納される際にディスプレイ160の可変部161の裏面に接触した状態で筐体の開方向へ支持する。
【0046】
また、スポンジ(弾性部材)115の詳細についても後述する。
【0047】
次に、図3は図1に係る携帯電話機100の開状態におけるA−A´断面図である。
【0048】
図3に示すように、前述した各固定ピン(第1固定ピン112、第2固定ピン122)は、外観凸形状に形成されている。第1固定ピン112は、携帯電話機100の組み立て時に、第1リブ111に挿入されたディスプレイ160の一部分を貫通し、第一筐体110の厚さ方向に垂直形成された第1孔116に挿通される。また、第2固定ピン122も前述の第1固定ピン112と同様に、第2リブ121に挿入されたディスプレイ160の一部分を貫通し、第二筐体120の厚さ方向に垂直形成された第2孔125に挿通される。
【0049】
上記の構成によって、ディスプレイ160は、第一筐体110と第二筐体120に対して長手方向、短手方向への移動が規制される。さらに、各リブの構成も合わせると、ディスプレイ160は、可変部161以外において、筐体に対する各方向への移動は規制される。そのため、ディスプレイ160の可変部161以外での折れ曲がりや歪み等の発生を防止できる。
【0050】
また、図3に示すように、第一筐体110側内面に形成される収納部(凹部)114は、長手方向へ開口する開口構造を有し、その開口構造は携帯電話機100を側面側から見て断面コ字状となっている。この収納部114は、厚さ方向における天面が第一筐体内面に対して傾斜しており、その傾斜面はディスプレイ160の可変部161の裏面の一部を筐体の開方向へ支持している。上述の構成により、ディスプレイ160の可変部161が第二筐体120に配されるディスプレイ160に対して略平行であるため、折り目が生じない。
【0051】
収納部(凹部)114の中に収納されたスポンジ(弾性部材)115は、第一筐体110内面に対して約30度の傾斜面を有する台形柱の形状で構成され、その傾斜面は筐体の長手方向へ向けて外側に露出し、収納部(凹部)114に収納されている。
【0052】
なお、スポンジ115の傾斜面の角度は、収納部114の厚さ方向における天面の傾斜面と略等しい角度で形成されるため、上述以外の角度でもよい。
【0053】
また、スポンジ(弾性部材)115は、容易に折り曲げることや収縮可能なクッション性があり、ディスプレイ160の可変部161より小さい応力のゴム等の材質で形成されている。よって、スポンジ(弾性部材)115は、携帯電話機100の組み立て時に、押圧することで形状を縮小させ、収納部114の厚さ方向の上端と下端で挟み込むことで、収納部(凹部)114の中に隙間なく充填される。上述の構成によって収納部(凹部)114内にごみやほこりが浸入することを防止することができる。
【0054】
また、スポンジ(弾性部材)115は、ディスプレイ160を可変部161の裏面に接触した状態で、筐体の開方向へ支持する。そのため、筐体が開状態で維持され、不意の衝撃によって筐体の開方向への力が加わっても、容易に筐体が閉じられることを防止することができる。
【0055】
次に、第二筐体120には、第2ヒンジ123側端部において、第一筐体110と対向して傾斜面124が形成されている。傾斜面124は、ディスプレイ160の可変部161の裏面を筐体の開方向へ支持している。
【0056】
ヒンジ170は、第一筐体110の収納部114の両側面のディスプレイ160側に形成されている。そのため、第一筐体110と第二筐体120とが開状態において、第一筐体110外面の第1ヒンジ側端部の一部が第二筐体120に対して落ち込む。また、筐体が閉状態から各筐体が回転し、互いの筐体が形成する角度αが一定以上になると、第一筐体110の第1ヒンジ113側端部が第二筐体120の第2ヒンジ側端部に接触して、それ以上の各筐体の回転が規制される。それによって、上記の構成の開閉機構を構成するヒンジ170は、一定角度以上の各筐体の回転によって、ディスプレイ160の断裂若しくは亀裂が発生することを防止する。
【0057】
但し、各筐体110,120の開状態の角度は、図3に示す角度αに限定される訳ではなく、上記のヒンジ170の構成を変えることで、第1筐体100と第二筐体120とが開く角度を調整し、ディスプレイが全体としてより平面になる開状態の角度を実現することが可能である。
【0058】
また、図3に示すように、第二筐体120の内部には、ディスプレイ160に重畳されるタッチセンサ140と、回路基板130と、バッテリー150と、が設置されている。
【0059】
さらに、前述したが、ディスプレイ160には、回路基板(制御部)130やバッテリー150から信号や給電を受ける接続部162が設けられている。図には示していないが、回路基板130及びバッテリー150と接続部162との間をつないでいる供給線は、第二筐体120の第2孔125近傍に設けられた穴を通してディスプレイ160の接続部162に接続されている。また、供給線は第二筐体120内部の回路基板等の隙間に配されている。したがって、ディスプレイ160の接続部162を第二筐体側に設置することで、回路基板130、バッテリー150及び供給線が第二筐体120内部に集中させ、ヒンジ170や第一筐体110には供給線を通すための構造を設ける必要がなくなる。それによって、ヒンジ170及び第一筐体110の内部構造は簡素化され、厚さが小さくなることで、携帯電話機100全体の薄型化が可能となる。
【0060】
タッチセンサ140は、第二筐体120表面のディスプレイ160側の第二筐体120内部に回路基板130及びバッテリー150と隣接して設けられている。タッチセンサ140による表示画面の表示制御については、まず、ディスプレイ160への指やタッチペンの接触を検知すると、タッチセンサ140から指の検知信号が回路基板130内の制御回路に送信され、制御回路から検知信号に対応した画像制御信号を接続部120からディスプレイ160に送信されることでタッチセンサ140の検出に対応した表示画面がディスプレイ160に表示される。例えば、第二筐体120側のディスプレイ160には文字や数字のキーなどが表示され、第一筐体110側のディスプレイ160にはアプリケーションなどの表示画面が表示され、第二筐体120側に表示された文字や数字のキーを指でタッチすると、タッチセンサ140が指の接触を検知し、その操作に応じて第一筐体110側のディスプレイ160に表示された画面が変化する。
【0061】
回路基板130は、メモリ、CPU等の様々な回路部品が組み込まれた制御回路を有しており、ディスプレイ160の画像表示制御やバッテリーの給電制御等を実現する。また、回路基板130は、前述したように、第二筐体120内部に設置され、供給線を介してディスプレイの接続部162と接続してディスプレイ160に信号を供給する。
【0062】
さらに、回路基板130には、電話機能を実現するための小型のマイクロホンや小型の発音体および回路駆動用のバッテリー150が組み込まれている。
【0063】
バッテリー150は、第二筐体120の内部に設置され、回路基板130、タッチセンサ140、ディスプレイ160と供給線を介して接続されている。また、バッテリー150の外装にはエラストマー等の他の部材を傷つけにくいものを用いることで、隣接する回路基板130や第二筐体120の内部面を傷つけることを防止できる。
【0064】
なお、図には示していないが、第二筐体120の外面及び側面には、バッテリー150を収納するバッテリー収納部と、筐体外部へバッテリーを取り外すための電池蓋と、が形成されている。
【0065】
次に、図4は、図1に係る携帯電話器100の開状態におけるB−B´断面図である。
【0066】
図4に示すように、第一筺体110の側面には、筐体の短手方向内側へ第1リブ111が延設されている。第1リブ111は、内側面において、ディスプレイ160の天面の一部及び側面において接触しており、筺体の内側にディスプレイ160の移動する隙間が生じないように形成されている。そのため、ディスプレイ160は、第1リブ111によって厚さ方向及び筐体の短手方向への移動が規制され、撓みや歪みの発生を防止することができる。
【0067】
次に、図5は図1の携帯電話機100の閉状態におけるA−A´断面図である。
【0068】
図5に示すように、第二筐体120のヒンジ側端部に構成される傾斜面(傾斜部)124は、第一筐体110の収納部(凹部)に収納されているスポンジ(弾性部材)115の露出面に対向して形成されている。
【0069】
第1固定ピン112及び第2固定ピン122は、第一筐体110及び第二筐体120の内面から突出して、弾性を有するダンパーゴム(弾性を有する材料)が形成されている。筐体が閉状態において、第1固定ピン112と第2固定ピン122とが対向すると、ダンパーゴム(弾性を有する材料)が接触する。上記の構成によって、第一筐体110と第二筐体120の内面若しくは各筐体に配されたディスプレイ160同士を互いに接触させることを防ぎ、各筐体に生じる衝撃を減少させる。
【0070】
ディスプレイ160の可変部161は、筐体の開状態から筐体の角度αが減少するにつれて中央部が筐体のヒンジ170側長手方向へ突出するように少しずつ撓んでゆく。撓んだ可変部161は、中央部近傍部分から収納部114に収納されると共に、収納されているスポンジ(弾性部材)115を押圧し、変形する。筐体の角度αが零になり、完全に筐体が閉状態になると、可変部161は、筒状形状に撓み、ほぼ全てが収納部114に収納されると共に、スポンジ115を押圧することで半分以下の大きさに縮小させる。
【0071】
なお、筐体が閉状態において、ディスプレイ160の可変部161が筒形状に撓むことによって生じる撓み応力や、ディスプレイ160の可変部161によりスポンジ(弾性部材)が変形することによって生じる弾性応力が筐体の開方向へ発生する。そのため、図には示していないが、上述の応力により筐体が自動的に開状態へ移行するのを防止するために、各固定ピン(第1固定ピン112,第2固定ピン122)に、前述のダンパーゴムに加えてさらに互いに異なる極性の磁石等を設けてもよい。
【0072】
次に、図6は図3のヒンジ170近傍の拡大図で、図7は図5のヒンジ近傍の拡大図である。
【0073】
図6に示すように、第二筐体120における傾斜面124は、第1傾斜面124a及び第2傾斜面124bの2つの傾斜面から構成されている。第1傾斜面124aは、第2傾斜面124bよりヒンジ170近傍に位置し、第二筐体120の傾斜面以外の面に対する角度が小さく形成されている。
【0074】
第1リブ111は、収納部114近傍において、厚さ方向へ円弧状に高くなり、ヒンジ側170端部が最も高くなるように形成されている。また、第1リブ111は、収納部114近傍において、第1リブ111は、スポンジ115の露出面と対向して形成されているため、ディスプレイ160の可変部161は、表面が第1リブ111によって支持され、裏面はスポンジ115及び収納部114の傾斜によって支持されている。したがって、可変部161は、第一筐体110側において、折れ曲がりの発生や収納部114及びスポンジ115に対しての離間を防止することができる。
【0075】
また、第一筐体110は、ディスプレイ160が配される内面において、対向する第1リブ111の形状に合わせて、窪みが形成されている。
【0076】
また、第2リブ121は、第1傾斜面124a近傍において、第1傾斜面124aに対向して傾斜が形成されている。
【0077】
筐体が開状態において、第二筐体120の内面に対する、第1リブ111のヒンジ170側端部の角度と、第2リブ121の第1傾斜面124aの角度と、スポンジ(弾性部材)115の露出面の角度と、収納部114の傾斜の角度と、が全て略等しくなるように構成されている。そのため、ディスプレイ160の可変部161近傍は、略平面となり、折り曲がり等が生じないため、画面の視聴においてユーザに不快が生じることを防止できる。
【0078】
次に、図7に示すように、筐体が閉状態において、第一筐体110と第二筐体120とが対向すると共に、第1リブ111及び第2リブ121は一定の隙間を有して対向している。この時、前述の第1固定ピン112及び第2固定ピン122に備えられたダンパーゴムが互いに接触するため、第一筐体110及び第二筐体120や、第1リブ111及び第2リブ121が互いに接触せず、厚さ方向に一定の隙間が生じる。
【0079】
また、第2リブ121は、第1傾斜面124aの中間部近傍までを端部として形成されている。そのため、筐体が閉状態において、第1リブ111と第2リブ121とが直接、接触することを防止でき、第1リブ111は、ディスプレイ160の可変部161を第2傾斜部124bが可変部161を支持する方向とは逆方向へ支持する。したがって、筐体が閉状態において、可変部161を筒形状に維持でき、急角度で折れ曲がることを防止できる。
【0080】
また、第1傾斜面124aは、前述の第一筐体110内面の窪みに対して平行に形成されており、ディスプレイ160の可変部161を第二筐体120内面に対して斜めに向けることで、対称的な筒形状を実現し、急角度の折れ曲がりが生じるのを防止できる。
【0081】
ディスプレイ160の可変部161は、スポンジ(弾性部材)115を押圧による変形をさせて、収納部(凹部)114に収納されている。収納部(凹部)114は、可変部161より厚さ方向の大きい幅で形成されているので、可変部161が収納部(凹部)114と接触することによる折れ曲がりの発生を防止できる。
【0082】
上述した実施形態においては、第二筐体120側に接続部162、回路基板130、バッテリー150やタッチセンサ140が備えられていたが、これらは第一筐体110側に全て備えられていてもよい。また、各筐体(第一筐体110及び第二筐体120)の形態は、本実施形態に限定されるものでは無く、例えば、各筐体の内面は、表示部全面が配される大きさならば、長手方向及び短手方向の幅や厚さは特に制限されない。
【0083】
上述した実施形態においては、携帯電話機100を例に挙げて説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものでは無く、例えば、スピーカーやマイク、通信部、操作部のうちのいずれかを備えていない、例えば携帯型テレビ、携帯型カーナビゲーション装置、電子辞書、携帯型ゲーム機などの携帯型表示装置全般において利用可能である。
【0084】
なお、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、適宜要素の追加や変更、設計変更等をして構わないのはもちろんである。
【符号の説明】
【0085】
携帯電話機100
第一筐体 110
第1リブ(第1ガイド部) 111
第1固定ピン(第1固定部材) 112
第1ヒンジ 113
収納部(凹部) 114
スポンジ(弾性部材) 115
第1孔 116
第二筐体 120
第2リブ(第2ガイド部) 121
第2固定ピン(第2固定部材) 122
第2ヒンジ 123
傾斜面(傾斜部) 124
第1傾斜面 124a
第2傾斜面 124b
第2孔 125
回路基板(制御部) 130
タッチセンサ 140
バッテリー 150
ディスプレイ(表示部) 160
可変部 161
接続部 162
ヒンジ(連結部) 170


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一筐体と、
第二筐体と、
前記第一筐体と前記第二筐体とを折畳み可能に連結する連結部と、
前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態における前記第一筐体の内面と前記第二筐体の内面となる2つの面に亘り、連続して配される可撓性の表示部と、
前記第一筐体若しくは前記第二筐体の前記連結部側端部の少なくともいずれか一方に、筐体の開閉軸方向に亘って形成される凹部と、を備え、
前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記連結部近傍の固定されていない前記表示部が撓むことで可変部を形成し、当該可変部が前記凹部に収納されることを特徴とする携帯型表示装置。
【請求項2】
前記凹部は、前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記第一筐体と前記第二筐体との間隔よりも広い間隔の空洞を前記連結部に形成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯型表示装置。
【請求項3】
前記凹部は、弾性部材が前記空洞内に充填されることを特徴とする請求項2に記載の携帯型表示装置。
【請求項4】
前記第一筐体の前記連結部側端部には、凹部が、
前記第二筐体の前記連結部側端部には、傾斜部が、それぞれ形成されており、
前記凹部及び前記傾斜部は、
前記表示部の前記連結部近傍の裏面を支持し、
前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記可変部が筒形状になるように支持することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の携帯型表示装置。
【請求項5】
前記第一筐体は、
前記第一筐体の内面において、前記第一筐体に配される前記表示部を前記第一筐体に対して厚さ方向への移動を規制する第1ガイド部をさらに備え、
前記第二筐体は、
前記第二筐体の内面において、前記第二筐体に配される前記表示部を前記第二筐体に対して厚さ方向への移動を規制する第2ガイド部をさらに備え、
前記第一筐体及び前記第二筐体に配されない前記連結部近傍の前記表示部は、前記第一筐体と前記第二筐体とが開閉する際、前記第一筐体若しくは前記第二筐体に対して厚さ方向へ移動することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の携帯型表示装置。
【請求項6】
前記第1ガイド部は、
前記連結部近傍において、前記傾斜部に対向して形成され、
前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記連結部近傍における前記表示部の表面を支持することを特徴とする請求項5に記載の携帯型表示装置。
【請求項7】
前記第一筐体は、
前記第一筐体に配される前記表示部を前記第一筐体の長手方向及び短手方向への移動を規制する第1固定部材をさらに備え、
前記第二筐体は、
前記第二筐体に配される前記表示部を前記第二筐体の長手方向及び短手方向への移動を規制する第2固定部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の携帯型表示装置。
【請求項8】
前記第1固定部材及び前記第2固定部材は、前記第一筐体及び前記第二筐体の内面から厚さ方向へ突出する位置に、弾性を有する材料を含んで形成され、
前記第1固定部材は、前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記第2固定部材と対向し、当接することを特徴とする請求項7に記載の携帯型表示装置。
【請求項9】
前記第一筐体と前記第二筐体のいずれか一方は、
前記表示部を制御する制御部と、
前記表示部に電力を供給するバッテリーと、
前記制御部からの信号及び前記バッテリーからの給電を受け、前記表示部に接続する接続部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の携帯型表示装置。
【請求項10】
前記制御部と、前記バッテリーと、前記接続部と、を備える前記一方の筐体は、
前記一方の筐体に配される表示部に重畳されるタッチセンサをさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の携帯型表示装置。
【請求項11】
第一筐体と、
第二筐体と、
前記第一筐体と前記第二筐体とを折畳み可能に連結する連結部と、
前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記前記第一筐体の内面である第1面と前記第二筐体の内面である第2面と、に連続して配される可撓性の表示部と、を備え、
当該表示部は、
前記第1面に配される第一部分と、前記第2面に配される第二部分と、前記第一部分と前記第二部分に連続し、前記連結部近傍に位置する変形可能な第三部分と、から形成され、
前記連結部は、
前記第三部分より筐体の開閉軸方向の幅が大きい凹部を有し、
前記第一筐体と前記第二筐体とが閉状態において、前記第一部分と前記第二部分とが対向し、前記第三部分は変形して前記凹部に収納されることを特徴とする携帯型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−112891(P2011−112891A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269566(P2009−269566)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】