説明

携帯情報端末およびプログラム

【課題】出先で書面の電子交付を簡易な操作で受けることのできる携帯情報端末を提供する。
【解決手段】携帯情報端末は接続機能を有しており、予め定めた操作キーの操作や携帯情報端末の電源投入やスタンバイ状態から作動状態への復帰や電源オン後における携帯電話の接続などの事象の発生に基づき、接続されている携帯電話200およびインターネット10を通じて自動で電子商取引装置100にアクセスする。さらに、自動アクセスした特定のサーバの提供するサービスに対応したメニュー画面を表示したり、電子商取引装置100から電子メール等によって受信した取引報告書等の書面を顧客が開封したり所定の確認キーを操作した際に、当該書面が開封された旨の開封通知を電子商取引装置100に送信する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話を介してコンピュータネットワークに接続し得る携帯情報端末に関する。
【0002】
【従来の技術】有価証券の取引が行われた場合、証券会社は取引報告書を作成してその取引発注者(顧客)に交付しなければならない。取引報告書の交付は、従来、郵送で行われてきたが、法律の改正により、電子メール等の電子書面で交付することが可能となった。証券会社から電子メールによって交付された取引報告書等は、顧客のメールアドレスに対応した受信メールサーバに蓄積される。顧客は、たとえば、自宅のパーソナルコンピュータ等から受信メールサーバにアクセスして取引報告書の電子メールを受け取り、その内容を見ることができる。なお、携帯電話をインターネットに接続するサービスを電話会社が提供していることから、顧客は、携帯電話から受信メールサーバにアクセスして電子メールを受け取ることも可能になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】出先では、顧客は、携帯電話から受信メールサーバにアクセスして取引報告書等の電子メールを受け取ることが可能であるが、電子メールの文字数が多かったり、アプリケーションソフトを要する添付ファイルが付されていたりする場合には、書面を見ることができなかったり見難かったりすることがある。
【0004】このため、顧客の携帯電話で電子書面を受け取り、顧客は別の情報端末で書面を見ることができると便利である。
【0005】本発明は、以上のような観点に着目してなされたもので、携帯電話を介して特定のサーバにアクセス可能な携帯情報端末およびプログラムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]携帯電話(200)を介してコンピュータネットワーク(10)に接続し得る携帯情報端末(300)であって、予め定めた操作キー(301)が操作された際に、前記携帯電話(200)および前記コンピュータネットワーク(10)を通じて特定のサーバ(100)にアクセスする接続機能を有することを特徴とする携帯情報端末(300)。
【0007】[2]携帯電話(200)を介してコンピュータネットワーク(10)に接続し得る携帯情報端末(300)であって、電源を投入した際またはスタンバイ状態から作動状態に復帰した際に、前記携帯電話(200)および前記コンピュータネットワーク(10)を通じて特定のサーバ(100)にアクセスする接続機能を有することを特徴とする携帯情報端末(300)。
【0008】[3]携帯電話(200)を介してコンピュータネットワーク(10)に接続し得る携帯情報端末(300)であって、携帯電話(200)が接続されたことを検出した際に当該携帯電話(200)および前記コンピュータネットワーク(10)を通じて特定のサーバ(100)に接続する接続機能を有することを特徴とする携帯情報端末(300)。
【0009】[4]前記特定のサーバ(100)に対応したメニュー画面(310)を表示するメニュー表示機能を有することを特徴とする[1]から[3]の何れかに記載の携帯情報端末(300)。
【0010】[5]携帯電話(200)を介してコンピュータネットワーク(10)に接続し得る携帯情報端末(300)であって、前記特定のサーバ(100)に対応したメニュー画面(310)を表示するメニュー表示機能と、前記メニュー画面(310)から所定の項目が選択された際に前記携帯電話(200)および前記コンピュータネットワーク(10)を通じて特定のサーバ(100)にアクセスする接続機能とを有することを特徴とする携帯情報端末(300)。
【0011】[6]前記特定のサーバ(100)の送信した書面を受信する受信機能と、受信した書面を顧客が開封した際に、当該書面が開封された旨の開封通知を前記サーバ(100)に送信する開封通知機能とをさらに有し、前記特定のサーバ(100)は、書面をコンピュータネットワーク(10)を通じて顧客に送信することにより交付する電子交付機能を備えたものであることを特徴とする[1]から[5]の何れかに記載の携帯情報端末(300)。
【0012】[7]前記特定のサーバ(100)の送信した書面を受信する受信機能と、受信した書面の開封後に所定の確認キー(302)が操作されたとき前記書面が開封された旨の開封通知を前記サーバ(100)に送信する開封通知機能とをさらに有し、前記特定のサーバ(100)は、書面をコンピュータネットワーク(10)を通じて顧客に送信することにより交付する電子交付機能を備えたものであることを特徴とする[1]から[5]の何れかに記載の携帯情報端末(300)。
【0013】[8]接続された前記携帯電話(200)が書面の交付通知を受信して記憶している場合に顧客のメールアドレスにアクセスして書面を受信する自動受信機能と、受信した前記書面を前記携帯電話(200)から読み出した配信コードを用いて開封する自動開封機能とをさらに有し、前記特定のサーバ(100)は、開封するために少なくとも所定の配信コードの入力を要する形式で書面を顧客のメールアドレスに送信する電子交付機能と、前記書面を前記顧客に交付した旨を表す交付通知であって前記配信コードを含むものを前記顧客の携帯電話(200)に送信する通知機能とを備えたものであることを特徴とする[1]から[7]の何れかに記載の携帯情報端末(300)。
【0014】[9]前記書面の開封には、顧客ID及び/またはパスワードの入力をさらに要することを特徴とする[8]に記載の携帯情報端末(300)。
【0015】[10]前記書面は、少なくとも有価証券の取引残高報告書、取引報告書もしくは月次報告書、または投資信託の運用報告書もしくは目論見書の中の何れか1つを含むことを特徴とする[1]から[9]の何れかに記載の携帯情報端末(300)。
【0016】[11]読み込んだプログラムを実行可能な携帯情報端末(300)を、[1]から[10]の何れかに記載の携帯情報端末(300)として機能させるためのプログラム。
【0017】前記本発明は次のように作用する。携帯情報端末(300)は接続機能を有しており、顧客が予め定めた操作キー(301)を操作すると、接続されている携帯電話(200)およびコンピュータネットワーク(10)を通じて特定のサーバ(100)、たとえば、証券会社のサーバ(100)やメールサーバにアクセスするようになっている。携帯情報端末(300)の電源を投入したり、スタンバイ状態から作動状態に復帰させたりすると、携帯情報端末(300)は、接続されている携帯電話(200)およびコンピュータネットワーク(10)を通じて自動で特定のサーバ(100)にアクセスする構成としてもよい。また携帯情報端末(300)は、携帯電話(200)が接続されたことを検知すると自動で特定のサーバ(100)にアクセスする構成としてもよい。
【0018】このように、簡易な操作を行うことで特定のサーバ(100)に自動でアクセスでき、顧客は出先においても携帯情報端末(300)から携帯電話(200)を介して特定のサーバ(100)にアクセスすることが可能である。
【0019】携帯情報端末(300)は、接続機能によって自動アクセスした特定のサーバ(100)に対応したメニュー画面(310)を表示するメニュー表示機能を有しているものでは、証券会社のサーバ(100)など特定のサーバ(100)が提供する各種のサービスを利用するための操作性が向上する。
【0020】このほか、特定のサーバ(100)に対応したメニュー画面(310)の中の所定の項目が選択された際に、携帯電話(200)およびコンピュータネットワーク(10)を通じて特定のサーバ(100)に自動でアクセスするようにしてもよい。
【0021】携帯情報端末(300)は、開封通知機能を有しており、特定のサーバ(100)から電子メール等によって受信した取引報告書等の書面を顧客が開封した際に、当該書面が開封された旨の開封通知を先のサーバ(100)に送信する構成としてもよい。このように開封通知を送信元のサーバ(100)に返すことで、サーバ(100)の側で、電子交付した取引報告書等の書面が顧客によって開封されたことを認識することができ、開封状況をサーバ(100)の側で管理することができる。このように開封と同時に開封確認通知を送信するほかに、受信した書面の開封後に所定の確認キー(302)が操作された際に開封通知を送信元のサーバ(100)に返すようにしてもよい。ここでサーバ(100)から受信する書面には、好適には有価証券の取引残高報告書、取引報告書もしくは月次報告書、又は投資信託の運用報告書もしくは目論見書の中の何れか1つが含まれる。
【0022】特定のサーバ(100)が、開封するために少なくとも所定の配信コードの入力を要する形式で書面を顧客のメールアドレスに送信する電子交付機能と、書面を顧客に交付した旨を表す交付通知であって配信コードを含むものを顧客の携帯電話(200)に送信する通知機能とを備えたものである場合には、携帯情報端末(300)は以下のように動作する。携帯電話(200)と携帯情報端末(300)を切り離した状態において、携帯電話(200)単独で書面の交付通知を受け取る。これにより、顧客は、書面が交付されたことを知ることができる。その後、携帯電話(200)を携帯情報端末(300)に接続すると、携帯情報端末(300)は、接続された携帯電話(200)が既に交付通知を受信して記憶しているので、所定のメールアドレスにアクセスして受信メールサーバから書面を受信し、かつ受信した書面を携帯電話(200)から読み出した配信コードを用いて自動で開封して閲覧可能にする。
【0023】このように、携帯電話(200)が交付通知を既に受信している場合には、自動でメールサーバにアクセスして書面を受け取り、さらに交付通知に含まれる配信コードを自動で携帯電話(200)から読み込み、これを用いて書面を自動開封するものでは、顧客は、交付通知を受けた携帯電話(200)と携帯情報端末(300)を接続することで書面を受領して開封し閲覧することができる。なお書面の開封に、顧客ID及び/又はパスワードの入力をさらに要するように構成すれば、セキュリティを高めることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態にかかる携帯情報端末300を適用した電子商取引システムの構成を示している。証券会社の有する電子商取引装置100は、コンピュータネットワークの1つであるインターネット10に接続されている。顧客の有する携帯電話200は、発呼、着呼、通話機能など通常の携帯電話としての機能のほかに、電話会社11を介してインターネット10に接続して電子商取引装置100などのサーバにアクセスしてウェブページを閲覧したり電子メールを送受信したりする機能を有している。顧客の有する携帯情報端末300は、携帯電話200を介してインターネット10に接続可能な情報通信端末装置である。
【0025】携帯情報端末300は、CPU(中央処理装置)とROM(リード・オンリ・メモリ)とRAM(ランダム・アクセス・メモリ)を主要部とする装置であり、汎用の携帯型パーソナルコンピュータに所定のソフトウェアをインストールして構成してもよいし、専用のハードウェアおよびファームウェアからなる専用装置として構成してもよい。携帯情報端末300は、液晶ディスプレイ等の表示装置とキーボード等の入力装置と携帯電話200を接続するための接続端子等を備えている。なお、携帯情報端末300を専用装置として構成する場合には、ディスプレイの表面にタッチパネル式の操作部を設けてもよい。
【0026】電子商取引装置100は、インターネット10を通じて株や債券や投資信託などの有価証券を電子商取引するための各種機能(ホームトレード機能)を有している。また電子商取引装置100は、取引報告書などの書面をインターネット10を通じて顧客の携帯情報端末300等へ送信して電子交付したり、取引報告書等の書面を電子交付した旨の交付通知をインターネット10および電話会社11の無線通信網を通じて顧客の携帯電話200へ送信したりする機能を有している。
【0027】ここでは、携帯情報端末300への書面の電子交付は、顧客が予め指定した第1メールアドレスへ電子メールを送信することによって行い、携帯電話200への交付通知の送信は、顧客が予め指定した第2メールアドレスへ電子メールを送信することによって行うようになっている。なお、第2メールアドレスの受信メールサーバは電話会社11が管理している。第2メールアドレスに電子メールが到着すると電話会社11から顧客の携帯電話200へ発呼して当該電子メールが送信されるかまたは電子メールの到着通知が送信されるようになっている。
【0028】図2は、電子商取引装置100の構成を示している。電子商取引装置100は、サーバ110と、ホストコンピュータ150とから構成されている。サーバ110には、認証データベース141と、画面データベース142とが接続されている。ホストコンピュータ150には、顧客データベース171と、銘柄データベース172と、履歴データベース173と、取引書面データベース174とが接続されている。
【0029】サーバ110は、通信機能を備えたコンピュータ装置であり、インターネット10を通じて顧客の有するパーソナルコンピュータや携帯情報端末300や携帯電話200等の情報通信端末にHTML(HyperText Markup Language)形式や携帯情報端末に表示可能な所定の形式で記述したホームページ(ウェブページ)のデータを送信したり、顧客の携帯情報端末300や携帯電話200等から送られてくる各種のデータを受信して処理する機能を有している。
【0030】電子商取引装置100のサーバ110は、通信部120と、制御部130とから構成される。通信部120は、インターネット10を通じて各種のデータを送受信するための機能を果たす部分である。制御部130は、サーバ110の動作を統括制御する部分である。制御部130は、取引報告書や目論見書などをインターネット10を通じて電子書面として顧客の電子商取引装置100へ送信することにより交付する交付手段131と、電子書面の交付通知を携帯電話200など顧客の第2情報端末へ送信する通知手段135としての機能を有している。交付する電子書面には、例えば、有価証券の取引残高報告書、取引報告書もしくは月次報告書、又は投資信託の運用報告書もしくは目論見書の中の何れかが含まれる。
【0031】交付手段131は、配信コード生成部132を有している。配信コード生成部132は、交付手段131が書面を電子交付するごとに、当該電子交付に先立って乱数を用いて例えば8桁の数字からなる配信コードを生成するものである。交付手段131は、当該配信コードを入力しなければ開封できない形式で書面を電子交付する。また通知手段135は、当該配信コードを含む交付通知を作成して送信するようになっている。
【0032】このほか制御部130は、インターネット10を通じてアクセスしてきた顧客を認証する機能を有している。サーバ110に接続されている認証データベース141は、顧客を認証し特定するための認証情報を登録したものであり、ここでは、認証情報として顧客IDとパスワードを登録してある。サーバ110は、顧客に対して顧客IDとパスワードを問い合わせる認証画面を顧客の端末装置へ送信し、当該端末装置から顧客IDとパスワードが返送されてくると、これらを認証データベース141の登録内容と照合して、顧客の認証および特定を行うようになっている。
【0033】画面データベース142は、顧客の携帯情報端末300や携帯電話200等へ送信する各種画面の表示データを登録したものである。サーバ110は、携帯情報端末300や携帯電話200からのアクセス要求に応じて該当する画面の表示データを画面データベース142から読み出し、その中に動的に作成すべき部分があれば該当部分をホストコンピュータ150と連携して作成して埋め込み、送信すべき画面の表示データを完成させる。そして、通信部120を介して当該表示データを要求元の顧客の携帯情報端末300や携帯電話200に送信する機能を有している。
【0034】ホストコンピュータ150は、有価証券等の取引に関連するすべてのデータを統括的に管理するコンピュータ装置である。ホストコンピュータ150は、所定のプログラムを実行することにより、顧客管理部151と銘柄管理部152と取引管理部153の各機能を果たす。このうち、顧客管理部151は、顧客データベース171の登録内容を管理する部分である。顧客データベース171には、各顧客の氏名、顧客ID、パスワード、生年月日、性別、住所、電話番号、第1メールアドレス、第2メールアドレス、職業、趣味、年収、取引口座等が登録される。
【0035】銘柄管理部152は、銘柄データベース172の登録内容を管理する部分である。銘柄データベース172には、電子商取引装置100で取り扱う商品としての株式や債券や投資信託についての情報が銘柄毎に登録される。たとえば、商品コード、商品の属性情報、商品案内メッセージ等が登録される。また銘柄データベース172には、目論見書等も登録される。
【0036】取引管理部153は、顧客との取引の全てを管理する機能を果たす部分であり、履歴データベース173および取引書面データベース174の登録内容を管理する。履歴データベース173は、各顧客の取引履歴を登録するものであり、顧客ID、約定日、取引された商品の商品コード、銘柄コード、取引数量等が登録される。取引書面データベース174には、取引成立の場合に作成される取引報告書等が登録される。取引報告書には、自己または委託の区別、買付け売付けの別、取引の種類、顧客名、顧客ID、約定日、銘柄、数量、単価、売買金額、手数料、取引税額等の項目があり、これらに相当するデータが取引書面データベース174に登録される。
【0037】次に作用について説明する。まず、図3に基づき、電子商取引装置100が書面の電子交付を行う際の処理の流れを説明する。顧客から請けた取引注文に応じて取引が成立すると、ホストコンピュータ150の顧客管理部151は、当該取引に対応する取引報告書を作成する(ステップS401)。取引報告書を作成した顧客管理部151は、サーバ110の交付手段131に対して当該取引報告書の電子交付を依頼する。当該依頼を受けた交付手段131は、配信コード生成部132によって8桁の配信コードを生成し(ステップS402)、開封に当該配信コードの入力を要する所定の形式で該当の取引報告書を封印する(ステップS403)。この封印では、例えば配信コードによる取引報告書等の書面の暗号化を行い、顧客の携帯情報端末300又は携帯電話200に配信コード等が入力されると書面の復号化が行われるようにしてもよい。また配信コードおよび今回送付する取引報告書の概要を含む交付通知としてのメッセージを作成する(ステップS404)。
【0038】次に、当該顧客の第1メールアドレスと第2メールアドレスを顧客データベース171から読み出し、封印した取引報告書のデータを第1メールアドレスに送信し(ステップS405)、交付通知を第2メールアドレスに送信する(ステップS406)。
【0039】第1メールアドレスに送信された取引報告書は、所定のインターネットプロバイダのメールサーバ内の該当メールボックスに蓄積される。第2メールアドレスに送信された交付通知は、電話会社11のメールサーバ内の該当メールボックスに蓄積される。電話会社11は、メールボックスに交付通知が到着すると、当該メールボックスに対応付けられている携帯電話200に発呼し、新着の電子メールである交付通知を当該携帯電話200へ送信する。携帯電話200が着呼して当該電子メールを受信すると、たとえば、図4に示すようなメッセージが携帯電話200の表示画面210に表示される。なお、受信した交付通知は携帯電話200のメモリに記憶され、あとから呼び出して見ることが可能になっている。
【0040】このように、取引報告書が第1メールアドレスに送信され交付された旨を表す交付通知を、取引報告書の交付とほぼ同時に顧客の携帯電話200へ送信するので、顧客は、注文した取引が成立したことを取引成立後、直ちに知ることができる。また電話会社11から顧客の携帯電話200へ発呼して交付通知の到着を積極的に知らせるので、顧客の側からメールサーバにアクセスして証券会社からの電子メールの到着の有無を何度も確認する必要がなく、利便性が向上する。また出先においても取引報告書が交付されたことを容易に確認することができる。
【0041】次に、携帯情報端末300の動作を説明する。顧客は携帯情報端末300に携帯電話200を接続することにより、電子商取引装置100へアクセスしたり電子商取引装置100から第1メールアドレスに送信された取引報告書等の電子メールをメールサーバから受け取って開封して閲覧したりすることができる。携帯情報端末300は、取引報告書の受取りや電子商取引装置100へのアクセスが容易になるように顧客を支援する各種の機能を有している。
【0042】たとえば、図1に示す簡易接続キー301を押下すると、携帯電話200およびインターネット10を通じて電子商取引装置100に自動でアクセスするようになっている。すなわち、簡易接続キー301が押下されると携帯情報端末300は、インターネット10に接続するための所定の電話番号に発呼して電子商取引装置100へアクセスする旨のコマンドを携帯電話200へ送る。また電源が投入されたり、スタンバイ状態から復帰した際に、携帯電話200およびインターネット10を通じて電子商取引装置100に自動でアクセスするように構成してもよい。
【0043】携帯情報端末300は、電子商取引装置100の提供するサービスに対応した図5に示すようなメニュー画面310を表示するようになっている。これにより、操作が判りやすくなり、利用者は目的のサービスを容易に受けることができる。なお、図5に示したメニュー画面は、図示したものをトップ画面として階層的に構成されており、下位の階層に移動するに従って細部の項目を選択し得るように構成されている。また、電源を投入した段階では電子商取引装置100に接続することなくメニュー画面310を表示し、メニュー画面310の中の所定の項目が選択された際に、携帯電話200およびインターネット10を介して電子商取引装置100にアクセスするように構成してもよい。
【0044】図6は、スタンバイ状態から復帰する場合における携帯情報端末300の動作の一例を示している。携帯情報端末300は、たとえばディスプレイ部分を閉じたり、所定のスタンバイスイッチを押下することにより、実行中のジョブを中断してスタンバイ状態に移行する。またディスプレイを開いたり、スタンバイスイッチをもう一度押下することによりスタンバイ状態から作動状態へ復帰するようになっている。スタンバイ状態から復帰するとき、携帯情報端末300のOS(オペレーティングシステム)は、復帰先のジョブが証券のトレードに関するジョブであるか他のジョブであるかを調べ、復帰先のジョブが証券のトレードに関するものであれば(ステップS601;Y)、スタンバイ前のジョブにそのまま復帰する(ステップS609)。
【0045】一方、復帰先のジョブが証券のトレードに関するものでない場合には(ステップS601;N)、使用者にメニュー画面310へ移行するか否かを問い合わせるための所定の画面を表示する(ステップS602)。使用者がトレードメニューへの移行を拒否する回答を入力した場合には(ステップS603;N)、スタンバイ前のジョブにそのまま復帰する(ステップS609)。使用者がトレードメニューへの移行を承諾した場合には(ステップS603;Y)、メニュー画面310を表示する(ステップS604)。
【0046】その後メニュー画面310で所定の項目が選択されると(ステップS605;Y)、携帯電話200が携帯情報端末300に接続されているか否かを調べ、接続されている場合には(ステップS606;Y)、該当のサーバへアクセスする(ステップS608)。たとえば、メニュー画面310内の[1]取引報告書の確認の項目が選択された場合には、メールサーバへアクセスし、それ以外の項目が選択された場合には証券会社の管理する電子商取引装置100のサーバにアクセスする等である。なお、携帯電話200が携帯情報端末300に接続されていない場合には、携帯電話200の接続を促す案内表示を行った後(ステップS607)、メニュー画面310へ戻るようになっている(ステップS604)。
【0047】このようにスタンバイ状態から復帰した際に、メニュー画面310へ移行するように誘導したり、自動的に発呼して証券会社のサーバに接続したりするので、顧客は容易に証券会社のサービスを利用したり、取引を行うことができる。
【0048】次に、携帯情報端末300の電源を投入した際の処理について説明する。電源が投入されると携帯情報端末300は、まず、顧客IDとパスワードの入力画面を表示し、これらの入力を使用者に求める(ステップS701)。顧客IDとパスワードの認証が完了すると(ステップS702;Y)、携帯電話200が接続されているか否かを調べ、接続されているときは(ステップS703;Y)、当該携帯電話200のメモリに電子商取引装置100からの交付通知が記録されているか否かを調べる(ステップS704)。
【0049】交付通知が記録されている場合には(ステップS704;Y)、所定のメールサーバにアクセスして取引報告書の電子メールを受け取る(ステップS705)。さらに携帯電話200から交付通知に含まれている配信コードを読み出し(ステップS706)、当該配信コードを用いて取引報告書を開封して表示する(ステップS707)。取引報告書を開封して表示した後、電子商取引装置100へ開封確認通知を送信する(ステップS708)。開封確認通知には、顧客IDのほか携帯電話200から読み出した交付通知の内容が含まれる。
【0050】開封確認通知を送信した後、および携帯電話200が接続されていない場合(ステップS703;N)と携帯電話200に交付通知が記録されていない場合(ステップS704;N)には、メニュー画面310を表示する(ステップS709)。その後メニュー画面310で所定の項目が選択されると(ステップS710;Y)、携帯電話200が携帯情報端末300に接続されているか否かを調べ、接続されている場合には(ステップS711;Y)、該当のサーバへアクセスする(ステップS712)。携帯電話200が携帯情報端末300に接続されていない場合には、携帯電話200の接続を促す案内表示を行った後(ステップS713)、メニュー画面310へ戻る(ステップS709)。
【0051】このように電源投入後に、自動的に取引報告書等を受信して開封したり、メニュー画面310へ移行するように誘導したり、自動的に発呼して証券会社のサーバに接続したりするので、顧客は容易に取引報告書の閲覧等を行うことができる。なお、取引報告書等の電子書面を開封した後、自動的に開封確認通知を送信するようにしたが、図1の開封確認キー302の押下を待って開封確認通知を送信するように構成してもよい。
【0052】また2以上の交付通知が携帯電話200に記録されている場合には、メールサーバから受け取った複数の電子メールとそれらの開封に用いる配信コードとの対応関係を認識するために、たとえば、交付通知の中の日時を利用したり、交付通知毎に、配信コードとは別に固有の通知番号を割り振るようにするとよい。
【0053】次に、電源投入後に、携帯電話200が接続された場合の処理について説明する。電源が投入された状態で携帯電話200が接続されると、携帯電話200の接続有無を監視するデバイスから割り込みが入る。図8は、その割り込み処理の内容を示している。携帯電話200の接続に基づく割り込みが入ると、使用者に携帯電話200の接続が、証券会社へのアクセスなどトレード関連処理を目的としたものであるか否かを問い合わせる(ステップS801)。当該問合せに対する回答がトレード関連の処理を目的とする旨である場合には(ステップS802;Y)、図7に示したステップS704へ移行して処理を継続する(ステップS803)。これにより、携帯電話200に交付通知が記録されていれば、自動でメールサーバから電子メールを受け取り、これを配信コードを用いて開封して表示する処理や、メニュー画面310を表示する処理等が行われる。一方、問合せに対する回答がトレード関連の処理を目的としない旨である場合には(ステップS802;N)、割り込み前のジョブにそのまま復帰して(ステップS804)、割り込み処理を終了する。
【0054】上記の処理により、電源投入後に携帯電話200が接続された場合であっても、自動的に必要な処理が実行され、顧客に高い利便性を提供することができる。
【0055】以上説明した実施の形態では、電子商取引装置100が電子交付する書面の対象を、有価証券の取引残高報告書、取引報告書もしくは月次報告書、又は投資信託の運用報告書もしくは目論見書等としたが、これらに限定されるものではない。また実施の形態では、取引報告書を作成した時点ですぐに電子交付したが、予め定めた時刻が到来した際に取引報告書の電子交付を行うように構成してもよい。また、本日電子交付した書面がない旨の無交付通知を所定の時刻等に送信するように構成してもよい。
【0056】
【発明の効果】本発明にかかる携帯情報端末およびプログラムによれば、予め定めた操作キーの操作や携帯情報端末の電源投入やスタンバイ状態から作動状態への復帰や電源オン後における携帯電話の接続などの事象の発生に基づき、自動で特定のサーバにアクセスするので、携帯情報端末から携帯電話を介して特定のサーバにアクセスすることができる。例えば顧客は出先においても携帯情報端末及び携帯電話により特定のサーバにアクセスすることができる。
【0057】アクセスした特定のサーバの提供するサービスに対応したメニュー画面を表示する機能を有するものでは、特定のサーバが提供する各種のサービスを利用するための操作性を向上することができる。
【0058】また、特定のサーバから電子メール等によって受信した取引報告書等の書面を顧客が開封したり所定の確認キーを操作した際に、当該書面が開封された旨の開封通知を先のサーバに送信するものでは、電子交付した書面の開封状況をサーバ側で管理することができる。
【0059】また、携帯電話が交付通知を既に受信している場合には、自動でメールサーバにアクセスして書面を受け取り、さらに交付通知に含まれる配信コードを自動で携帯電話から読み込み、これを用いて書面を自動開封するものでは、顧客は、交付通知を受けた携帯電話と携帯情報端末を接続することで、書面を受領して開封し閲覧することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末を適用した電子商取引システムを示す説明図である。
【図2】電子商取引装置の構成を示すブロック図である。
【図3】電子商取引装置が取引報告書を電子交付する際の処理を示す流れ図である。
【図4】携帯電話に表示される交付通知の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末に表示されるメニュー画面の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末がスタンバイ状態から復帰した際に行う処理を示す流れ図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末が電源投入後に行う処理を示す流れ図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末が電源投入後に携帯電話が接続された際に行う割り込み処理を示す流れ図である。
【符号の説明】
10…インターネット
11…電話会社
100…電子商取引装置
110…サーバ
120…通信部
130…制御部
131…交付手段
132…配信コード生成部
135…通知手段
141…認証データベース
142…画面データベース
150…ホストコンピュータ
151…顧客管理部
152…銘柄管理部
153…取引管理部
171…顧客データベース
172…銘柄データベース
173…履歴データベース
174…取引書面データベース
200…携帯電話
300…携帯情報端末
301…簡易接続キー
302…開封確認キー
310…メニュー画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】携帯電話を介してコンピュータネットワークに接続し得る携帯情報端末であって、予め定めた操作キーが操作された際に、前記携帯電話および前記コンピュータネットワークを通じて特定のサーバにアクセスする接続機能を有することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】携帯電話を介してコンピュータネットワークに接続し得る携帯情報端末であって、電源を投入した際またはスタンバイ状態から作動状態に復帰した際に、前記携帯電話および前記コンピュータネットワークを通じて特定のサーバにアクセスする接続機能を有することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項3】携帯電話を介してコンピュータネットワークに接続し得る携帯情報端末であって、携帯電話が接続されたことを検出した際に当該携帯電話および前記コンピュータネットワークを通じて特定のサーバに接続する接続機能を有することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項4】前記特定のサーバに対応したメニュー画面を表示するメニュー表示機能を有することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の携帯情報端末。
【請求項5】携帯電話を介してコンピュータネットワークに接続し得る携帯情報端末であって、前記特定のサーバに対応したメニュー画面を表示するメニュー表示機能と、前記メニュー画面から所定の項目が選択された際に前記携帯電話および前記コンピュータネットワークを通じて特定のサーバにアクセスする接続機能とを有することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項6】前記特定のサーバの送信した書面を受信する受信機能と、受信した書面を顧客が開封した際に、当該書面が開封された旨の開封通知を前記サーバに送信する開封通知機能とをさらに有し、前記特定のサーバは、書面をコンピュータネットワークを通じて顧客に送信することにより交付する電子交付機能を備えたものであることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の携帯情報端末。
【請求項7】前記特定のサーバの送信した書面を受信する受信機能と、受信した書面の開封後に所定の確認キーが操作されたとき前記書面が開封された旨の開封通知を前記サーバに送信する開封通知機能とをさらに有し、前記特定のサーバは、書面をコンピュータネットワークを通じて顧客に送信することにより交付する電子交付機能を備えたものであることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の携帯情報端末。
【請求項8】接続された前記携帯電話が書面の交付通知を受信して記憶している場合に顧客のメールアドレスにアクセスして書面を受信する自動受信機能と、受信した前記書面を前記携帯電話から読み出した配信コードを用いて開封する自動開封機能とをさらに有し、前記特定のサーバは、開封するために少なくとも所定の配信コードの入力を要する形式で書面を顧客のメールアドレスに送信する電子交付機能と、前記書面を前記顧客に交付した旨を表す交付通知であって前記配信コードを含むものを前記顧客の携帯電話に送信する通知機能とを備えたものであることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の携帯情報端末。
【請求項9】前記書面の開封には、顧客ID及び/又はパスワードの入力をさらに要することを特徴とする請求項8に記載の携帯情報端末。
【請求項10】前記書面は、少なくとも有価証券の取引残高報告書、取引報告書もしくは月次報告書、または投資信託の運用報告書もしくは目論見書の中の何れか1つを含むことを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の携帯情報端末。
【請求項11】読み込んだプログラムを実行可能な携帯情報端末を、請求項1から10の何れかに記載の携帯情報端末として機能させるためのプログラム。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2003−8771(P2003−8771A)
【公開日】平成15年1月10日(2003.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−185828(P2001−185828)
【出願日】平成13年6月20日(2001.6.20)
【出願人】(399100673)株式会社大和証券グループ本社 (139)
【Fターム(参考)】