説明

携帯端末装置、携帯端末装置の水没検出方法、及び携帯端末装置の水没検出プログラム

【課題】 新たなハードウェアを設けることなく、携帯電話機の水没判定を行う。
【解決手段】 スピーカ部3から水没検出用音声を出力し、この水没検出用音声をマイクロホン部4で検出する。水没検出用音声の伝達速度は大気中と水中とでは異なる。このため、スピーカ部3から出力された水没検出用音声の信号開始時刻と、マイクロホン部4で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との間に、所定以上の時間差が生じていた場合に、水没時であると判定する。また、スピーカ部3から出力された水没検出用音声の位相と、マイクロホン部4で検出された水没検出用音声の位相との間に、所定以上の位相差が生じていた場合に、水没時であると判定する。元々設けられているスピーカ部3及びマイクロホン部4を用いてソフトウェア的に実現することができるため、新たなハードウェアを設けることなく水没判定を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ部及びマイクロホン部を有する、例えば携帯電話機、PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System)、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機、デジタルカメラ装置、デジタルビデオカメラ装置、ノート型のパーソナルコンピュータ装置等の携帯機器に設けて好適な携帯端末装置、携帯端末装置の水没検出方法、及び携帯端末装置の水没検出プログラムに関する。
特に大気中と水中とでは音声の伝達特性(伝達時間差、伝達位相差等)が変化することに鑑み、スピーカ部から出力された水没検出用音声をマイクロホン部で集音し、大気中における音声の伝達特性に対する、上記マイクロホン部で集音した水没検出用音声の伝達特性の差を検出することで携帯機器の水没を検出するようにした携帯端末装置、携帯端末装置の水没検出方法、及び携帯端末装置の水没検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002−111838号の公開特許公報(特許文献1)には、水没判定ラベルの貼り付け個所の制約や、貼り付け工数の問題で、何箇所にも貼り付けることができないことから、水没しても水没判定ラベルにより正確に水没判定が行われない不都合を防止することを目的とした携帯端末機器が開示されている。
【0003】
この携帯端末機器は、一対の電極を有しており、当該携帯端末機器が水没等により水に濡れると、各電極に対して水が橋渡し状態に付着して導通し、微弱な電流が流れる。この導通状態を電流検出記憶素子で検出し、その時の発生時刻(日時)を記録するようになっている。これにより、確実に水没を検出できると共に、その発生日時を特定可能となっている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−111838号公報(第3頁:図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている携帯端末機器は、水没を検出するために上述の「電極」を設ける必要がある。このため、「電極」というあらたな部品を必要とすることで機器がコスト高となり、また、機器サイズの大型化を招く問題がある。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、あらたな部品を設けることなく、機器の水没を検出することができ、機器が低コスト化及び機器サイズの小型化に貢献することができるような携帯端末装置、携帯端末装置の水没検出方法、及び携帯端末装置の水没検出プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る携帯端末装置は、上述の課題を解決するための手段として、
所定周波数の水没検出用音声を出力するスピーカ部と、
上記スピーカ部から出力された水没検出用音声を検出するマイクロホン部と、
大気中における、上記スピーカ部から出力した水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を示す基準時間差情報が記憶された基準情報記憶部と、
所定のタイミングで上記水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するように上記スピーカ部及びマイクロホン部を制御する制御部と、
上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を検出して時間差情報を出力する開始時間差検出部と、
上記開始時間差検出部から出力された上記時間差情報と、上記基準情報記憶部に記憶されている上記基準時間差情報とを比較し、両者の間に所定時間以上の時間差が生じていた場合に水没時であると判定する水没判定部と
を有する。
【0008】
また、本発明に係る携帯端末装置は、上述の課題を解決するための手段として、
所定周波数の水没検出用音声を出力するスピーカ部と、
上記スピーカ部から出力された水没検出用音声を検出するマイクロホン部と、
大気中において、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出される上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶された基準情報記憶部と、
所定のタイミングで上記水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するように上記スピーカ部及びマイクロホン部を制御する制御部と、
上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出された上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す位相情報を出力する位相検出部と、
上記位相検出部から出力された上記位相情報と、上記基準情報記憶部に記憶されている上記基準位相情報とを比較し、両者の間に所定以上の位相ズレが生じていた場合に水没時であると判定する水没判定部と
を有する。
【0009】
また、本発明に係る携帯端末装置は、上述の課題を解決するための手段として、
所定周波数の水没検出用音声を出力するスピーカ部と、
上記スピーカ部から出力された水没検出用音声を検出するマイクロホン部と、
大気中における、上記スピーカ部から出力した水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を示す基準時間差情報、及び大気中における、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出される上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶された基準情報記憶部と、
所定のタイミングで上記水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するように上記スピーカ部及びマイクロホン部を制御する制御部と、
上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を検出して時間差情報を出力する開始時間差検出部と、
上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出された上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す位相情報を出力する位相検出部と、
上記開始時間差検出部から出力された上記時間差情報と、上記基準情報記憶部に記憶されている上記基準時間差情報とを比較し、両者の間に所定時間以上の時間差が生じていた場合、及び/又は、上記位相検出部から出力された上記位相情報と、上記基準情報記憶部に記憶されている上記基準位相情報とを比較し、両者の間に所定以上の位相ズレが生じていた場合に水没時であると判定する水没判定部と
を有する。
【0010】
また、本発明に係る携帯端末装置の水没検出方法は、上述の課題を解決するための手段として、
制御部が、所定のタイミングで所定周波数の水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するようにスピーカ部及びマイクロホン部を制御するステップと、
開始時間差検出部が、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を検出して時間差情報を出力するステップと、
水没判定部が、上記ステップにおいて上記開始時間差検出部から出力された上記時間差情報と、大気中における、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を示す基準時間差情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準時間差情報とを比較し、両者の間に所定時間以上の時間差が生じていた場合に水没時であると判定するステップと
を有する。
【0011】
また、本発明に係る携帯端末装置の水没検出方法は、上述の課題を解決するための手段として、
制御部が、所定のタイミングで所定周波数の水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するようにスピーカ部及びマイクロホン部を制御するステップと、
位相検出部が、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出された上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す位相情報を出力するステップと、
水没判定部が、上記ステップにおいて上記位相検出部から出力された上記位相情報と、大気中において、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出される上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準位相情報とを比較し、両者の間に所定以上の位相ズレが生じていた場合に水没時であると判定するステップと
を有する。
【0012】
また、本発明に係る携帯端末装置の水没検出方法は、上述の課題を解決するための手段として、
制御部が、所定のタイミングで所定周波数の水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するようにスピーカ部及びマイクロホン部を制御するステップと、
開始時間差検出部が、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を検出して時間差情報を出力するステップと、
位相検出部が、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出された上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す位相情報を出力するステップと、
水没判定部が、上記ステップにおいて上記開始時間差検出部から出力された上記時間差情報と、大気中における、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を示す基準時間差情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準時間差情報とを比較し、両者の間に所定時間以上の時間差が生じていた場合、及び/又は、上記ステップにおいて上記位相検出部から出力された上記位相情報と、大気中において、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出される上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準位相情報とを比較し、両者の間に所定以上の位相ズレが生じていた場合に水没時であると判定するステップと
を有する。
【0013】
また、本発明に係る携帯端末装置の水没検出プログラムは、上述の課題を解決するために、
所定のタイミングで所定周波数の水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するようにスピーカ部及びマイクロホン部を制御する制御手段としてコンピュータを機能させ、
上記制御手段としてコンピュータを機能させることで、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を検出する開始時間差検出手段としてコンピュータを機能させ、
上記開始時間差検出手段としてコンピュータを機能させることで検出された上記時間差と、大気中における、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を示す基準時間差情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準時間差情報とを比較し、両者の間に所定時間以上の時間差が生じていた場合に水没時であると判定する水没判定手段としてコンピュータを機能させる。
【0014】
また、本発明に係る携帯端末装置の水没検出プログラムは、上述の課題を解決するために、
所定のタイミングで所定周波数の水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するようにスピーカ部及びマイクロホン部を制御する制御手段としてコンピュータを機能させ、
上記制御手段としてコンピュータを機能させることで、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出された上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を検出する位相検出手段としてコンピュータを機能させ、
上記位相検出手段としてコンピュータを機能させることで検出された上記位相ズレ量と、大気中において、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出される上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準位相情報とを比較し、両者の間に所定以上の位相ズレが生じていた場合に水没時であると判定する水没判定手段としてコンピュータを機能させる。
【0015】
また、本発明に係る携帯端末装置の水没検出プログラムは、上述の課題を解決するために、
所定のタイミングで所定周波数の水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するようにスピーカ部及びマイクロホン部を制御する制御手段としてコンピュータを機能させ、
上記制御手段としてコンピュータを機能させることで、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を検出する開始時間差検出手段としてコンピュータを機能させ、
上記制御手段としてコンピュータを機能させることで、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出された上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を検出する位相検出手段としてコンピュータを機能させ、
上記開始時間差検出手段としてコンピュータを機能させることで検出された上記時間差と、大気中における、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を示す基準時間差情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準時間差情報とを比較し、両者の間に所定時間以上の時間差が生じていた場合、及び/又は、上記位相検出手段としてコンピュータを機能させることで検出された上記位相ズレ量と、大気中において、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出される上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準位相情報とを比較し、両者の間に所定以上の位相ズレが生じていた場合に水没時であると判定する水没判定手段としてコンピュータを機能させる。
【0016】
このような本発明は、携帯端末装置に元々設けられているスピーカ部及びマイクロホン部を用いて、大気中と水中における音声の伝達特性の差(信号開始時刻の時間差や伝達位相差(大気中と水中における音声の振幅の差を用いてもよい。))に基づく水没判定を行う。これにより、あらたな部品を設けることなく、当該携帯端末装置に元々設けられているスピーカ部及びマイクロホン部を用いてソフトウェア的に水没判定を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、携帯端末装置に元々設けられているスピーカ部及びマイクロホン部を用いてソフトウェア的に実現することができるため、あらたな部品を設けることなく、当該携帯端末装置の水没を検出することができる。このため、携帯端末装置の低コスト化及び機器サイズの小型化に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、携帯電話機に適用することができる。
【0019】
[携帯電話機の構成]
この本発明の実施の形態となる携帯電話機は、図1に示すように基地局との間で音声通話、テレビ電話通話、電子メール、Webデータ等の無線通信を行うアンテナ1及び通信回路2と、受話音声や後述する水没検出用音声等を出力するためのスピーカ部3と、送話音声や上記スピーカ部3から出力された水没検出用音声を集音するマイクロホン部4と、テレビ電話通話時に通信先から送信された相手方の動画像や所望の静止画像、或いは電子メールやメニューの文字等を表示するための表示部5と、文字の入力操作や所望のメニューの選択操作等を行うための操作部6とを有している。
【0020】
また、この携帯電話機は、発着信等を光で知らせるための発光部7(LED:Light Emitting Diode)と、所望の被写体の動画像或いは静止画像を撮像するためのカメラ部8と、時刻をカウントするタイマ10と、各種アプリケーションプログラムや、これら各アプリケーションプログラムで取り扱われる各種データ(コンテンツ)等が記憶されたメモリ11と、当該携帯電話機全体の動作を制御する制御部12と、大気中における、上記スピーカ部3から出力された水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部4で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を示す基準時間差情報、及び該水没検出用音声の基準となる位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶された基準情報メモリ13とを有している。
【0021】
メモリ11には、基地局を介した無線通信処理を行うための通信処理プログラム(コミュニケーションプログラム)の他、電子メールの作成や送受信を制御するための電子メール管理プログラムと、カメラ部8の撮像制御を行うカメラ制御プログラムと、ユーザのスケジュールが登録されたスケジュール帳の管理を行うためのスケジュール帳管理プログラムと、電話帳の管理を行うための電話帳管理プログラムと、音楽コンテンツの再生を行うための音楽プレーヤプログラムと、当該携帯電話機の水没検出制御を行うための水没検出プログラムが記憶されている。
【0022】
また、メモリ11には、ユーザの所望のスケジュールが登録されるスケジュール帳と、ユーザの知人や友人等の静止画像、電話番号、電子メールアドレス、誕生年月日等が登録された電話帳と、音楽プレーヤプログラムに基づいて再生される音楽コンテンツと、カメラ制御プログラムのビューワ機能に基づいて再生される静止画像コンテンツ及び動画像コンテンツと、送受信された電子メールコンテンツと、電話及び電子メールの発着信履歴等が記憶されている。
【0023】
また、メモリ11には、ユーザにより設定された水没検出動作の是非(ON/OFF)を示す情報である水没検出設定情報と、ユーザにより設定された水没検出動作を実行する時間的な間隔を示す割り込み間隔時間設定情報が記憶されている。
【0024】
[水没検出動作]
次に、図2のフローチャートに、このような携帯電話機の水没検出動作の流れを示す。まず、この実施の形態の携帯電話機の場合、上述のように水没検出動作を実行するか否かはユーザが任意に設定可能となっており、ユーザにより設定された水没検出動作の是非(ON/OFF)を示す水没検出設定情報はメモリ11に記憶されている。このため、制御部12は、当該携帯電話機のメイン電源の投入時にメモリ11に記憶されている水没検出設定情報を読み込み、この水没検出設定情報が水没検出動作の実行を許可するものであった場合に、メモリ11に記憶されている水没検出プログラムに基づいて、この図2のフローチャートに示す処理をスタートさせる。
【0025】
ステップS1では、制御部12が、メモリ11に記憶されている割り込み間隔時間設定情報を読み込むと共に、タイマ10でカウントされている時刻情報の取り込みを開始し、水没検出動作の実行を開始する時刻となったか否かを判別する。そして、水没検出動作の実行を開始する時刻となったものと判別したタイミングで処理をステップS2に進める。
【0026】
具体的には、この実施の形態の携帯電話機の場合、当該携帯電話機の防水性を保証する防水保証時間内において、水没検出動作を実行する間隔をユーザが任意に設定可能となっている。例えば、当該携帯電話機の防水保証時間が3時間であった場合、「5分間隔」、「10分間隔」、「20分間隔」、「30分間隔」、「1時間間隔」、「2時間間隔」のうち、いずれかの間隔で水没検出動作の実行を設定可能となっている。同様に、当該携帯電話機の防水保証時間が6時間であった場合、「5分間隔」、「10分間隔」、「20分間隔」、「30分間隔」、「1時間間隔」、「2時間間隔」、「3時間間隔」、「6時間間隔」、「10時間間隔」のうち、いずれかの間隔で水没検出動作の実行を設定可能となっている。
【0027】
ユーザにより所望の間隔が選択されると、制御部12は、このユーザにより選択された間隔を示す割り込み間隔時間設定情報をメモリ11に記憶制御する。そして、上記ステップS1に処理を進めたタイミングでタイマ10でカウントされている時刻情報の取り込みを開始し、水没検出動作の実行を開始する時刻となった際に処理をステップS2に進める。これにより、例えば「30分間隔」、「2時間間隔」等のユーザにより設定された間隔で、以下に説明する水没検出動作が繰り返し実行されることとなる。
【0028】
次にステップS2に処理を進めると、制御部12は、可聴周波数以外の超音波音声である水没検出用音声を、スピーカ部3を介して出力制御すると共に、ステップS3において、このスピーカ部3を介して出力された水没検出用音声を集音するようにマイクロホン部4を制御する。なお、この例では、制御部12は、上記水没検出用音声として超音波音声を発生制御することとしたが、可聴周波数の水没検出用音声を発生制御してもよい。
【0029】
次に、制御部12は、ステップS4において、スピーカ部3を介して出力された水没検出用音声の信号開始時刻と、マイクロホン部4で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を検出すると共に、この検出した時間差と、基準情報メモリ13に記憶されている大気中における水没検出用音声の基準となる時間差を示す基準時間差情報とを比較し、両者の差が所定時間以上であるか否かを判別する。
【0030】
また、制御部12は、ステップS5において、スピーカ部3を介して出力された水没検出用音声の位相と、マイクロホン部4で検出された水没検出用音声の位相の位相ズレ量を検出すると共に、この検出した位相ズレ量と、基準情報メモリ13に記憶されている大気中における水没検出用音声の基準となる位相ズレ量を示す基準位相情報とを比較し、両者の差が所定の位相ズレ量以上であるか否かを判別する。
【0031】
このようなステップS2〜ステップS5の動作を詳しく説明すると、まず、ステップS2では、制御部12が、図3に示すようなサイン波の水没検出用音声の出力及び非出力を交互、かつ、定期的に繰り返すように上記スピーカ部3を制御する。これにより、出力区間及び無音区間を交互、かつ、定期的に繰り返すように水没検出用音声が出力されることとなる。
【0032】
この水没検出用音声を発生するスピーカ部3としては、図4に示すように着信音等を出力するための着信音用スピーカ部3aを用いてもよいし、或いは通話音声を出力するための通話音声用スピーカ部3bを用いてもよい。このスピーカ部3から出力された水没検出用音声は、ステップS3において、図4に示すように通話音声用のマイクロホン部4で集音される。
【0033】
なお、この例では、制御部12は、水没検出用音声の出力及び非出力を交互、かつ、定期的に繰り返すように上記スピーカ部3を制御することとしたが、単発的に水没検出用音声を出力するようにスピーカ部3を制御してもよい。
【0034】
図5に示すように大気中における音速は約340m/sであり、水中における音速は約1435m/sである。この実施の形態の携帯電話機のスピーカ部3とマイクロホン部4の距離が例えば10cmだとすると、この10cmの距離を水没検出用音声が伝達するのに、大気中では約294.1μs、水中では約69.7μsの時間を要する。
【0035】
このようなことから、図6(a)に示すスピーカ部3から出力される各出力区間における水没検出用音声の信号開始時刻と、図6(b)に示すマイクロホン部4で検出される上記各出力区間に対応する水没検出用音声の信号開始時刻との間には、双方の信号開始時刻に時間的なズレが発生する。同様の理由から、図7(a)に示すスピーカ部3から出力される水没検出用音声の位相と、図7(b)に示すマイクロホン部4で検出される水没検出用音声の位相との間には、位相ズレが発生する。そして、このような信号開始時刻の時間的なズレの量や位相のズレの量は、当該携帯電話機が大気中に存在する場合と水中に存在する場合とで異なる。
【0036】
このため、制御部12は、上記ステップS4において、いくつかの出力区間における、「スピーカ部3から発生された水没検出用音声の信号開始時刻」及び「マイクロホン部4で検出された水没検出用音声の信号開始時刻」の平均的なズレ量を検出する。図1に示す基準情報メモリ13には、大気中における上記信号開始時刻の平均的なズレ量を示す基準時間差情報が記憶されている。制御部12は、この基準時間差情報で示される信号開始時刻の平均的なズレ量と、上記検出した信号開始時刻の平均的なズレ量とを比較し、両者の差が所定の閾値以上であった場合、処理をステップS6に進め、当該携帯電話機は現在、水没しているものと判定する。
【0037】
なお、一例ではあるが、この例の場合、上記閾値は、大気中における信号開始時刻の平均的なズレ量と、水中における信号開始時刻のズレ量との略中間の値に設定されており、制御部12は、上記両者の差が、この略中間の値以上であった場合に当該携帯電話機は現在、水没しているものと判定する。
【0038】
これに対して、上記両者の信号開始時刻のズレ量の差が所定よりも少なかった場合、制御部12は処理をステップS5に進める。ステップS5では、制御部12が、上記いくつかの出力区間における、「スピーカ部3から発生された水没検出用音声の位相」及び「マイクロホン部4で検出された水没検出用音声の位相」の平均的なズレ量を検出する。図1に示す基準情報メモリ13には、大気中における上記各水没検出用音声の平均的な位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶されている。制御部12は、この基準位相情報で示される平均的な位相のズレ量と、上記検出した平均的な位相のズレ量とを比較し、両者の差が所定以上であった場合、処理をステップS6に進め、当該携帯電話機は現在、水没しているものと判定する。
【0039】
すなわち、制御部12は、
1.上記両者の信号開始時刻のズレ量が所定以上の場合に当該携帯電話機は現在、水没しているものと判定し、
2.上記両者の信号開始時刻のズレ量が所定よりも少ない場合であっても、上記両者の位相ズレ量が所定以上の場合に当該携帯電話機は現在、水没しているものと判定する。
【0040】
なお、この例では、「信号開始時刻に基づく水没判定」と「位相ズレに基づく水没判定」を併用することとしているが、いずれか一方の判定方法を用いて水没判定を行ってもよい。また、上記各水没判定は、いくつかの出力区間の水没検出用音声の平均値を用いることとしたが、これは一つの出力区間の水没検出用音声に基づく値を用いて上記各水没判定を行ってもよい。
【0041】
次に、制御部12は、ステップS6において、当該携帯電話機は現在、水没しているものと判定すると、処理をステップS7に進め、タイマ10でカウントされている時刻情報の取り込みを開始し、上記水没時と判定してから、当該携帯電話機に対して定められている水没保証時間が経過したか否かを判別する。
【0042】
すなわち、当該携帯電話機の場合、水没してから例えば1時間は機器内部に対する浸水を防止する防水機能を有しており、この水没保証時間を示す情報がメモリ13に記憶されている。このため、制御部12は、タイマ10でカウントされている時刻情報に基づいて、水没時と判定してから上記水没保証時間が経過したか否かを判別し、該水没保証時間の経過を検出しない間は処理をステップS1に戻して上述の各ステップS1〜ステップS7の処理を繰り返し実行し、水没保証時間の経過を検出したタイミングで、当該携帯電話機の全ての回路に対する電源供給を強制的にオフ制御して、この図2のフローチャートに示す全処理を終了する。水没保証時間の経過を検出したタイミングで、当該携帯電話機の全ての回路に対する電源供給を強制的にオフ制御することで、当該携帯電話機内に浸水したとしても、全ての回路に対する電源供給がオフ制御されている状態で該浸水することとなるため、当該携帯電話機の各回路や不揮発性メモリ内のデータ等の破損を大幅に低減することができる。
【0043】
〔基準伝達時間情報の補正動作〕
ここで、上述のように、基準情報メモリ13には、大気中における上記信号開始時刻の平均的なズレ量を示す基準時間差情報が記憶されており、制御部12は、この基準時間差情報に基づいて水没判定を行うのであるが、この基準時間差情報は、ユーザが当該携帯電話機を使用する使用環境下、スピーカ部3やマイクロホン部4の経年変化、当該携帯電話機の組み立て誤差等に対応した値とすることが好ましい。
【0044】
このため、制御部12は、上記ステップS4及びステップS5で、上記両者の信号開始時刻及び位相の各ズレ量が所定よりも少なかった場合に、ステップS8に処理を進め、基準情報メモリ13に記憶されている基準時間差情報を、この水没判定の際に検出した信号開始時刻の平均的なズレ量を示す時間差情報に補正処理(更新処理)する。
【0045】
すなわち、上記ステップS4及びステップS5で、上記両者の信号開始時刻及び位相の各ズレ量が所定よりも少ないと判定されるということは、当該携帯電話機が大気中に存在していることを意味している。そして、当該携帯電話機が大気中に存在いているときに検出された上記両者の信号開始時刻のズレ量は、ユーザが当該携帯電話機を使用する使用環境下、スピーカ部3やマイクロホン部4の経年変化、当該携帯電話機の組み立て誤差等に対応した上記ズレ量を示すものとなっている。このため、制御部12は、上述のように当該携帯電話機が大気中に存在するものと判定いた際に用いた時間差情報を、基準時間差情報として基準情報メモリ13に記憶制御する。
【0046】
これにより、水没判定に用いる基準時間差情報を、常に各携帯電話機の現状に対応した値とすることができ、より正確な水没判定を行うことを可能とすることができる。
【0047】
〔水没検出用音声の周波数の補正動作〕
次に、水没判定の際にスピーカ部3から出力制御する水没検出用音声の周波数は所定の周波数の定められているのであるが、この水没検出用音声の周波数もユーザが当該携帯電話機を使用する使用環境下、スピーカ部3やマイクロホン部4の経年変化、当該携帯電話機の組み立て誤差等に対応した周波数とすることが好ましい。
【0048】
このため、制御部12は、上記ステップS4及びステップS5で、上記両者の信号開始時刻及び位相の各ズレ量が所定よりも少なかった場合に、ステップS8に処理を進め、スピーカ部3から出力される水没検出用音声の位相と、マイクロホン部4で検出される水没検出用音声の位相の平均的な位相ズレ量が同相(或いは逆相でもよい。)に近づくように、上記スピーカ部を介して出力される水没検出用音声の周波数を補正する。
【0049】
これにより、上記スピーカ部3を介して水没検出用音声を出力する際に、上記補正された周波数の水没検出用音声を出力することができ、常に各携帯電話機の現状に対応した周波数の水没検出用音声を用いて、より正確な水没判定を行うことを可能とすることができる。
【0050】
[実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、この実施の形態の携帯電話機は、スピーカ部3から出力された水没検出用音声の信号開始時刻及び位相と、マイクロホン部4で検出された水没検出用音声の信号開始時刻及び位相とのズレに基づいて水没判定を行う。
【0051】
この水没判定は、当該携帯電話機に元々設けられているスピーカ部3及びマイクロホン部4を用いてソフトウェア的に実現することができるため、あらたな部品を設けることなく水没判定を行うことができる。このため、携帯端末装置の低コスト化及び機器サイズの小型化に貢献することができる。
【0052】
[変形例]
上述の実施の形態の説明では、本発明を携帯電話機に適用することとしたが、本発明は、この他、スピーカ部及びマイクロホン部を有する、例えばPHS電話機(PHS:Personal Handyphone System)、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機、デジタルカメラ装置、デジタルビデオカメラ装置、ノート型のパーソナルコンピュータ装置等の携帯機器に適用してもよい。そして、いずれの場合でも、上述と同様の効果を得ることができる。
【0053】
最後に、本発明は、本発明の一例として開示したに過ぎない上述の実施の形態に限定されることはない。このため、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施の形態以外であっても設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を適用した実施の形態となる携帯電話機のブロック図である。
【図2】実施の形態となる携帯電話機の水没判定動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】実施の形態となる携帯電話機の水没判定動作時にスピーカ部から出力される水没検出用音声を説明するための図である。
【図4】実施の形態となる携帯電話機の水没判定動作時にスピーカ部から出力された水没検出用音声がマイクロホン部で検出される様子を示す模式図である。
【図5】大気中及び水中における水没検出用音声の伝達特性を説明するための図である。
【図6】実施の形態となる携帯電話機の水没判定動作時にスピーカ部から出力された水没検出用音声の信号開始時刻と、マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との間に発生する時間差を説明するための図である。
【図7】実施の形態となる携帯電話機の水没判定動作時にスピーカ部から出力された水没検出用音声の位相と、マイクロホン部で検出された水没検出用音声の位相との間に発生する位相ズレを説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
1 アンテナ、2 通信回路、3 スピーカ部、3a 着信音用のスピーカ部、3b 通話音声用のスピーカ部、4 マイクロホン部、5 表示部、6 操作部、7 発光部(LED)、8 カメラ部、9 バイブレーションユニット、10 タイマ、11 メモリ、12 制御部、13 基準情報メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周波数の水没検出用音声を出力するスピーカ部と、
上記スピーカ部から出力された水没検出用音声を検出するマイクロホン部と、
大気中における、上記スピーカ部から出力した水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を示す基準時間差情報が記憶された基準情報記憶部と、
所定のタイミングで上記水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するように上記スピーカ部及びマイクロホン部を制御する制御部と、
上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を検出して時間差情報を出力する開始時間差検出部と、
上記開始時間差検出部から出力された上記時間差情報と、上記基準情報記憶部に記憶されている上記基準時間差情報とを比較し、両者の間に所定時間以上の時間差が生じていた場合に水没時であると判定する水没判定部と
を有する携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置であって、
上記基準情報記憶部には、大気中における平均的な上記時間差を示す基準時間差情報が記憶されており、
上記制御部は、水没検出用音声の出力及び非出力を交互、かつ、定期的に繰り返すように上記スピーカ部を制御し、
上記開始時間差検出部は、上記水没検出用音声の各出力区間における、上記スピーカ部を介した水没検出用音声の各信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出される上記各出力区間における水没検出用音声の各信号開始時刻との平均的な時間差を示す時間差情報を出力し、
上記水没判定部は、上記開始時間差検出部からの上記平均的な時間差を示す上記時間差情報と、上記基準情報記憶部に記憶されている大気中における平均的な上記時間差を示す基準時間差情報とを比較し、両者の間に所定時間以上の時間差が生じていた場合に水没時であると判定すること
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の携帯端末装置であって、
上記水没判定部において、上記両者の間に上記所定時間よりも小さな時間差が検出されることで大気中であると判定された際に、上記開始時間差検出部で検出された上記時間差情報を、上記基準時間差情報として上記基準情報記憶部に記憶制御する基準時間差情報補正部を有すること
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
所定周波数の水没検出用音声を出力するスピーカ部と、
上記スピーカ部から出力された水没検出用音声を検出するマイクロホン部と、
大気中において、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出される上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶された基準情報記憶部と、
所定のタイミングで上記水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するように上記スピーカ部及びマイクロホン部を制御する制御部と、
上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出された上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す位相情報を出力する位相検出部と、
上記位相検出部から出力された上記位相情報と、上記基準情報記憶部に記憶されている上記基準位相情報とを比較し、両者の間に所定以上の位相ズレが生じていた場合に水没時であると判定する水没判定部と
を有する携帯端末装置。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯端末装置であって、
上記基準情報記憶部には、大気中における、上記スピーカ部を介して出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で集音され上記位相検出部で検出された上記水没検出用音声の位相との平均的な位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶されており、
上記制御部は、水没検出用音声の出力及び非出力を交互、かつ、定期的に繰り返すように上記スピーカ部を制御し、
上記位相検出部は、上記水没検出用音声の各出力区間における、上記スピーカ部を介して出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で集音された上記各出力区間における上記水没検出用音声の位相との平均的な位相ズレ量を算出し、この算出した平均的な位相ズレ量を示す位相情報を出力し、
上記水没判定部は、上記位相検出部からの上記平均的な位相ズレ量を示す上記位相情報と、上記基準情報記憶部に記憶されている上記大気中における平均的な位相ズレ量を示す基準位相情報とを比較し、両者の間に所定以上の位相ズレが生じていた場合に水没時であると判定すること
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯端末装置であって、
上記水没判定部において、上記両者の間に上記所定よりも小さな位相ズレが検出されることで大気中であると判定された際に、上記位相検出部で検出される上記両者の平均的な位相ズレ量が同相或いは逆相に近づくように、上記スピーカ部を介して出力される水没検出用音声の周波数を補正する周波数補正部を有し、
上記制御部は、上記スピーカ部を介して水没検出用音声を出力制御する際に、上記周波数補正部で補正された周波数の水没検出用音声を出力制御すること
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
所定周波数の水没検出用音声を出力するスピーカ部と、
上記スピーカ部から出力された水没検出用音声を検出するマイクロホン部と、
大気中における、上記スピーカ部から出力した水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を示す基準時間差情報、及び大気中における、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出される上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶された基準情報記憶部と、
所定のタイミングで上記水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するように上記スピーカ部及びマイクロホン部を制御する制御部と、
上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を検出して時間差情報を出力する開始時間差検出部と、
上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出された上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す位相情報を出力する位相検出部と、
上記開始時間差検出部から出力された上記時間差情報と、上記基準情報記憶部に記憶されている上記基準時間差情報とを比較し、両者の間に所定時間以上の時間差が生じていた場合、及び/又は、上記位相検出部から出力された上記位相情報と、上記基準情報記憶部に記憶されている上記基準位相情報とを比較し、両者の間に所定以上の位相ズレが生じていた場合に水没時であると判定する水没判定部と
を有する携帯端末装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうち、いずれか一項に記載の携帯端末装置であって、
上記制御部は、上記水没検出用音声として、可聴周波数よりも高い周波数の超音波音声を出力制御すること
と特徴とする携帯端末装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうち、いずれか一項に記載の携帯端末装置であって、
上記制御部は、上記水没判定部で水没時であると判定された際に電源をオフ制御し、或いは上記水没判定部で水没時であると判定されてから、当該携帯端末装置の水没保証時間を経過したタイミングで電源をオフ制御すること
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項10】
制御部が、所定のタイミングで所定周波数の水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するようにスピーカ部及びマイクロホン部を制御するステップと、
開始時間差検出部が、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を検出して時間差情報を出力するステップと、
水没判定部が、上記ステップにおいて上記開始時間差検出部から出力された上記時間差情報と、大気中における、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を示す基準時間差情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準時間差情報とを比較し、両者の間に所定時間以上の時間差が生じていた場合に水没時であると判定するステップと
を有する携帯端末装置の水没検出方法。
【請求項11】
制御部が、所定のタイミングで所定周波数の水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するようにスピーカ部及びマイクロホン部を制御するステップと、
位相検出部が、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出された上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す位相情報を出力するステップと、
水没判定部が、上記ステップにおいて上記位相検出部から出力された上記位相情報と、大気中において、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出される上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準位相情報とを比較し、両者の間に所定以上の位相ズレが生じていた場合に水没時であると判定するステップと
を有する携帯端末装置の水没検出方法。
【請求項12】
制御部が、所定のタイミングで所定周波数の水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するようにスピーカ部及びマイクロホン部を制御するステップと、
開始時間差検出部が、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を検出して時間差情報を出力するステップと、
位相検出部が、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出された上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す位相情報を出力するステップと、
水没判定部が、上記ステップにおいて上記開始時間差検出部から出力された上記時間差情報と、大気中における、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を示す基準時間差情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準時間差情報とを比較し、両者の間に所定時間以上の時間差が生じていた場合、及び/又は、上記ステップにおいて上記位相検出部から出力された上記位相情報と、大気中において、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出される上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準位相情報とを比較し、両者の間に所定以上の位相ズレが生じていた場合に水没時であると判定するステップと
を有する携帯端末装置の水没検出方法。
【請求項13】
所定のタイミングで所定周波数の水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するようにスピーカ部及びマイクロホン部を制御する制御手段としてコンピュータを機能させ、
上記制御手段としてコンピュータを機能させることで、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を検出する開始時間差検出手段としてコンピュータを機能させ、
上記開始時間差検出手段としてコンピュータを機能させることで検出された上記時間差と、大気中における、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を示す基準時間差情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準時間差情報とを比較し、両者の間に所定時間以上の時間差が生じていた場合に水没時であると判定する水没判定手段としてコンピュータを機能させること
を特徴とする携帯端末装置の水没検出プログラム。
【請求項14】
所定のタイミングで所定周波数の水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するようにスピーカ部及びマイクロホン部を制御する制御手段としてコンピュータを機能させ、
上記制御手段としてコンピュータを機能させることで、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出された上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を検出する位相検出手段としてコンピュータを機能させ、
上記位相検出手段としてコンピュータを機能させることで検出された上記位相ズレ量と、大気中において、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出される上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準位相情報とを比較し、両者の間に所定以上の位相ズレが生じていた場合に水没時であると判定する水没判定手段としてコンピュータを機能させること
を特徴とする携帯端末装置の水没検出プログラム。
【請求項15】
所定のタイミングで所定周波数の水没検出用音声を出力し、この出力された水没検出用音声を検出するようにスピーカ部及びマイクロホン部を制御する制御手段としてコンピュータを機能させ、
上記制御手段としてコンピュータを機能させることで、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を検出する開始時間差検出手段としてコンピュータを機能させ、
上記制御手段としてコンピュータを機能させることで、上記スピーカ部から出力された上記水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出された上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を検出する位相検出手段としてコンピュータを機能させ、
上記開始時間差検出手段としてコンピュータを機能させることで検出された上記時間差と、大気中における、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の信号開始時刻と、上記マイクロホン部で検出された水没検出用音声の信号開始時刻との時間差を示す基準時間差情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準時間差情報とを比較し、両者の間に所定時間以上の時間差が生じていた場合、及び/又は、上記位相検出手段としてコンピュータを機能させることで検出された上記位相ズレ量と、大気中において、上記スピーカ部から出力された水没検出用音声の位相と、上記マイクロホン部で検出される上記水没検出用音声の位相の位相ズレ量を示す基準位相情報が記憶された基準情報記憶部に記憶されている該基準位相情報とを比較し、両者の間に所定以上の位相ズレが生じていた場合に水没時であると判定する水没判定手段としてコンピュータを機能させること
を特徴とする携帯端末装置の水没検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−199412(P2008−199412A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33987(P2007−33987)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】