説明

携帯端末装置

【課題】地図表示を連続して行い、ユーザが現在地及び進路を途切れず確認できるようにする。
【解決手段】現在地情報を取得又は割り出す現在地検出手段7と、目的地の入力を受け付ける目的地受付手段9と、所定範囲の地図データを通信回線を介して取得する地図取得手段(5,6)と、地図データを用いて現在地から目的地までのルートを案内するナビゲーション手段13とを備える携帯端末装置1において、現在地と目的地とに基づいて、現在地から目的地へ向かう移動方向を割り出す移動方向検出手段15と、現在地を含む地図データを前記地図取得手段(5,6)に取得させ、当該地図データに目的地が含まれない場合には、前記移動方向に沿った地図データを先行して取得するように前記地図取得手段(5,6)を制御するダウンロード制御手段16とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザを目的地まで案内するナビゲーション手段を備える携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているようなユーザを目的地まで案内するナビゲーション手段を備える携帯端末装置がある。この携帯端末装置は、案内に使用する地図データを基地局を介してサーバから取得している。
【0003】
また、従来、下記特許文献2に開示されているような携帯端末装置があり、この携帯端末装置は、例えばトンネルに入るために基地局との通信が不能になることが予測され且つそうなることによってコンテンツ情報の再生が中断されてしまうようなとき、コンテンツ情報の再生に必要なデータの取得をトンネルに入る前に済ませるようにしている。
【特許文献1】特開2002−31541号公報
【特許文献2】特開2004−193995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の携帯端末装置では、使用するときに地図データを取得してくるため、例えば、現在地を含む地図データを表示して案内中の場合、現在地が移動して表示中の地図の端まで来ると、そのときの現在地を中心とする地図データをそのときから取得し始めて取得完了後に表示するが、地図データの容量は大きく一瞬では取得を完了できないので、表示までに時間がかかり、このため、表示中の地図データ上に現在地が位置しない状態になってから次の地図データが表示されるまでに時間がかかってしまう。その為、ユーザが車等に乗り、速い速度で移動しているような場合、現在地及び進路を確認できない状態に陥ってしまう。
【0005】
また、従来の携帯端末装置では、基地局との通信が不能になる区間を通過することが予測されたときに、通信不能区間で取得するタイミングになるはずだった分のデータを先行して取得しておくことによって、コンテンツ情報の再生が中断されることを防ぐようにはしているが、基地局との通信状態を原因とするのではなく地図データの取得に時間がかかることを原因とする上述のような課題、即ちユーザが現在地及び進路を確認できない状態に陥るという課題は解決されていない。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、地図表示を連続して行い、ユーザが現在地及び進路を途切れず確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
本発明に係る第1の手段として、現在地情報を取得又は割り出す現在地検出手段と、目的地の入力を受け付ける目的地受付手段と、所定範囲の地図データを通信回線を介して取得する地図取得手段と、前記地図取得手段により取得された地図データを用いて前記現在地検出手段により割り出された現在地から前記目的地受付手段により受け付けられた目的地までのルートを案内するナビゲーション手段とを備える携帯端末装置において、前記現在地検出手段により割り出された現在地と前記目的地受付手段により受け付けられた目的地とに基づいて、現在地から目的地へ向かう移動方向を割り出す移動方向検出手段と、現在地を含む地図データを前記地図取得手段に取得させ、当該地図データに目的地が含まれない場合には、前記移動方向に沿った地図データを先行して取得するように前記地図取得手段を制御するダウンロード制御手段とを設けるようにした。
【0008】
また、本発明に係る第2の手段として、上記第1の手段において、経由する道路の指定情報の入力を受け付ける道路指定受付手段を更に備え、前記ダウンロード制御手段は、前記移動方向に前記指定情報を加味して取得させる地図データを決定するようにした。
【0009】
本発明に係る第3の手段として、上記第1又は2の手段において、前記ダウンロード制御手段は、現在地を含む地図データの範囲に隣接する範囲の地図データを先行して取得するように前記地図取得手段を制御するようにした。
【0010】
本発明に係る第4の手段として、上記第1又は2の手段において、前記ダウンロード制御手段は、現在地から目的地までの地図データを一度に取得するように前記地図取得手段を制御するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現在地から目的地へ向かう移動方向を得て、この移動方向に沿って地図データを先行して取得して次に使う地図データとすることができるので、次の地図が必要になったときに待ち時間なしですぐに表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における携帯電話1(携帯端末装置)の構成の概略を示すブロック図である。この図に示すように、携帯電話1は、主制御部2、主記憶部3、入出力部4、送受信部5、地図データ記憶部6、現在地検出部7(現在地検出手段)を備えている。
入出力部4は、マイク8、操作ボタン9(目的地受付手段及び道路指定受付手段)、ディスプレイ10、スピーカ11を備えている。主記憶部3には、ユーザ設定記憶部12が設けられている。主制御部2は、ナビゲーション処理部13(ナビゲーション手段)と、最適方式判定処理部14と、移動方向計算処理部15(移動方向検出手段)と、取得地図計算処理部16(ダウンロード制御手段)とを備えている。
【0013】
主制御部2は、主記憶部3に記憶された制御プログラム及び操作ボタン9から入力された操作情報等に基づいて上記各構成要素を統括的に制御するものである。主記憶部3は、上記制御プログラムを記憶すると共に、主制御部2が各構成要素を制御するために行う制御演算の結果等を一時的に記憶する。
入出力部4は、操作ボタン9により受け付けた操作情報を主制御部2に出力し、主制御部2による制御の下に各種情報をディスプレイ10の画面に表示或いはスピーカ11から発音する。
送受信部5は、主制御部2による制御の下に基地局と通話等に関する無線通信を行うものである。マイク8が取り込んだ通話者の音声は、送受信部5を介して基地局に送信され、送受信部5が基地局から受信した通話相手の音声は、スピーカ11に出力されて発音される。
【0014】
地図データ記憶部6は、主制御部2による制御の下に基地局を介して地図サーバから送受信部5が受信した地図データを記憶する。本実施形態では、送受信部5及び地図データ記憶部6により地図取得手段が構成されている。現在地検出部7は、基地局から受信した現在地情報に基づいて、携帯電話1の現在地を取得又は割り出す。現在地情報は、GPS衛星からの情報を直接受信し、この情報を基に割り出しても構わない。
ユーザ設定記憶部12は、ユーザが操作ボタン9を用いて行う各種設定を記憶する。ユーザ設定記憶部12が記憶する設定としては、例えば、目的地、高速道路等の経由する道路の指定情報、更に、先行ダウンロードを行うか否かの設定等がある。
ナビゲーション処理部13は、ユーザ設定記憶部12が記憶する各種設定と、現在地検出部7が割り出す現在地と、地図データ記憶部6が記憶する地図データとを用いて、目的地までのルートを検索し、ユーザに案内する。
移動方向計算処理部15は、現在地と目的地とに基づいて、現在地から目的地へ向かう移動方向を算出する。
【0015】
図2〜図4を用いて、ナビゲーション機能を起動したときの先行ダウンロードについて説明する。まず、図2は、最適方式判定処理部14により行われるダウンロード方式決定処理の流れの概略を示すフローチャートである。最適方式判定処理部14は、ユーザ設定記憶部12を参照し、ここに記憶された設定に基づいて(ST1)、携帯電話1が地図データを取得する際の方式を、取得地図計算処理部16により行われる先行ダウンロード(ST2)か、通常のダウンロード(ST3)かに切り替える。通常のダウンロードとは、ユーザの求めがあったときに現在地をほぼ中心とした所定範囲の地図を取得する方式である。
【0016】
図3は、取得地図計算処理部16により行われる先行ダウンロードの流れの概略を示すフローチャートである。図4及び図5は、本実施形態における携帯電話1の現在地から目的地までの移動経路及び取得する地図データの範囲を示す模式図である。
まず、操作ボタン9の操作によりナビゲーション機能を起動し、通常のダウンロード方法と同様に地図を取得する。即ち、現在地情報を取得すると共に、当該現在地情報に基づいて地図データサーバより現在地を含む所定領域の地図データを取得してディスプレイ10の画面に現在地と共に地図を表示する。
ユーザが目的地へ向けて移動している中で、取得地図計算処理部16は、現在地検出部7が割り出した現在地が、地図データ記憶部6が記憶している地図データの範囲内において地図データの範囲外との境界から所定の距離の位置に達したことを検出すると(ST11のY)、先行ダウンロードの処理を進める。
ユーザ設定記憶部12に経由する道路の指定情報が記憶されていない場合(ST12の無)、取得地図計算処理部16は、移動方向計算処理部15によって算出された図4に破線で示す移動方向に基づいて、取得する地図データの範囲を図4にAとして示す領域に決定し(ST13)、地図データを取得するように制御する(ST14)。
ST12において、ユーザ設定記憶部12に経由する道路の指定情報が記憶されている場合(ST12の有)、取得地図計算処理部16は、移動方向計算処理部15によって算出された図5に破線で示す移動方向に、太線で示す指定道路を加味して、取得する地図データの範囲を増減する。つまり、図5にBとして示す指定道路にかかる領域を追加し、Cとして示す指定道路から外れる領域の取得をとりやめる。
【0017】
なお、本実施形態では、図3のST14で、現在地から目的地までの地図データを一度に取得するようにしているが、実施にあたっては、例えば、地図データ記憶部6の記憶容量を考慮し、現在地から所定枚数の地図データを取得するようにしてもよい。この場合は、図3のST14の後に「目的地に到達したか?」という判断のステップを加入し、目的地に到達した場合は「エンド」へ、目的地へ到達していない場合はST11へ戻るようにする。
このようにすることによって、地図データ記憶部6の記憶容量が、目的地までに表示する必要がある全ての地図データを記憶するに十分でなくても、記憶可能な容量の所定枚数ずつ取得することができる。
【0018】
また、本実施形態では、図3のST11で、地図の境界から所定距離の地点に達したか否かを先行ダウンロード開始の判断としているが、実施にあたっては、所定距離は予め定められた値でなく、例えば、『その時々の移動速度×地図データの取得に要する時間』で算出される値とし、その時々の移動速度に基づいて割り出される地図の境界までの到達時間が、地図データの取得に要する時間と同じになった時点で取得し始めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態における携帯端末装置の構成の概略を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるダウンロード方式決定処理の流れの概略を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態における先行ダウンロードの流れの概略を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態における携帯端末装置の現在地から目的地までの移動経路及び取得する地図データの範囲を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施形態における携帯端末装置の現在地から目的地までの移動経路及び取得する地図データの範囲を示す模式図である。
【符号の説明】
【0020】
1…携帯電話(携帯端末装置)、 2…主制御部、 3…主記憶部、 4…入出力部、 5…送受信部(地図取得手段の一部)、 6…地図データ記憶部(地図取得手段の一部)、 7…現在地検出部(現在地検出手段)、 8…マイク、 9…操作ボタン(目的地受付手段及び道路指定受付手段)、 10…ディスプレイ、 11…スピーカ、 12…ユーザ設定記憶部、 13…ナビゲーション処理部(ナビゲーション手段)、 14…最適方式判定処理部、 15…移動方向計算処理部(移動方向検出手段)、 16…取得地図計算処理部(ダウンロード制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地情報を取得又は割り出す現在地検出手段と、目的地の入力を受け付ける目的地受付手段と、所定範囲の地図データを通信回線を介して取得する地図取得手段と、前記地図取得手段により取得された地図データを用いて前記現在地検出手段により割り出された現在地から前記目的地受付手段により受け付けられた目的地までのルートを案内するナビゲーション手段とを備える携帯端末装置において、
前記現在地検出手段により割り出された現在地と前記目的地受付手段により受け付けられた目的地とに基づいて、現在地から目的地へ向かう移動方向を割り出す移動方向検出手段と、
現在地を含む地図データを前記地図取得手段に取得させ、当該地図データに目的地が含まれない場合には、前記移動方向に沿った地図データを先行して取得するように前記地図取得手段を制御するダウンロード制御手段と
を設けることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
経由する道路の指定情報の入力を受け付ける道路指定受付手段を更に備え、
前記ダウンロード制御手段は、前記移動方向に前記指定情報を加味して取得させる地図データを決定することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記ダウンロード制御手段は、現在地を含む地図データの範囲に隣接する範囲の地図データを先行して取得するように前記地図取得手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記ダウンロード制御手段は、現在地から目的地までの地図データを一度に取得するように前記地図取得手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−121153(P2007−121153A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315193(P2005−315193)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】