携帯端末
【課題】GPS機能を備え、ユーザを安全かつ迅速に目的地に誘導する携帯端末を提供する。
【解決手段】ユーザを目的地に誘導するための携帯端末10であって、携帯端末10の現在地を計測するGPS11と、前記目的地を記録した目的地記憶部12と、携帯端末10の向きを計測する電子コンパス13と、前記現在地と前記目的地と地図情報とを参照して誘導方向を求める誘導方向計算部14と、前記向きと前記誘導方向とを参照してこれらの相対的な角度を計算する角度計算部15と、前記角度に応じた出力制御信号を出力する出力制御部16と、前記出力制御信号に応じて、出力方向を変化させつつ、音声、振動、光またはトルクの少なくともいずれかを出力する出力部17と、を備える。
【解決手段】ユーザを目的地に誘導するための携帯端末10であって、携帯端末10の現在地を計測するGPS11と、前記目的地を記録した目的地記憶部12と、携帯端末10の向きを計測する電子コンパス13と、前記現在地と前記目的地と地図情報とを参照して誘導方向を求める誘導方向計算部14と、前記向きと前記誘導方向とを参照してこれらの相対的な角度を計算する角度計算部15と、前記角度に応じた出力制御信号を出力する出力制御部16と、前記出力制御信号に応じて、出力方向を変化させつつ、音声、振動、光またはトルクの少なくともいずれかを出力する出力部17と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末に関し、特に、歩行者を誘導するための携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)機能を備え、歩行時にハンドヘルドで持ち歩くことのできる携帯電話、PDA等の携帯端末によって、歩行者を目的へと誘導(ナビゲーション)する場合、地図、現在地および目的地またはその方向を表示部に表示する方法が用いられている(特許文献1、2)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−164430号公報
【特許文献2】特開2006−003269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような方法に基づいて歩行者を誘導する際、歩行者が携帯端末の表示部を見ながら移動する場合には、前方に対する注意力を削がれるため、危険を伴う。
【0005】
また、安全性を考慮して表示部を見る度に立ち止まった場合には、目的地に到達するまでに時間を要するという問題もある。
【0006】
カーナビゲーションシステムにおいては、音声案内によるナビゲーションが採用されているものの、騒音のある環境下において、歩行者を誘導する場合には、音声案内のみに基づく誘導方法には限界がある。
【0007】
したがって、GPS機能を備えた携帯端末において、歩行者を安全かつ迅速に目的地に誘導する装置および方法を提供することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点に係る携帯端末は、ユーザを目的地に誘導するための携帯端末であって、前記携帯端末の現在地を計測するGPSと、前記目的地を記録した目的地記憶部と、前記携帯端末の向きを計測する電子コンパスと、前記現在地と前記目的地と地図情報とを参照して誘導方向を求める誘導方向計算部と、前記向きと前記誘導方向とを参照してこれらの相対的な角度を計算する角度計算部と、前記角度に応じた出力制御信号を出力する出力制御部と、前記出力制御信号に応じて、出力方向を変化させつつ、音声、振動、光またはトルクの少なくともいずれかを出力する出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
第1の展開形態の携帯端末は、前記出力部が、複数のバイブレータを備えるとともに前記携帯端末の中心から見て誘導方向に近いバイブレータほど振動強度を強くするように構成されたことを特徴とする。
【0010】
第2の展開形態の携帯端末は、前記出力部が、前記角度を小さくする方向にトルクをかけるメカジャイロを備えたことを特徴とする。
【0011】
第3の展開形態の携帯端末は、前記出力部が、前記誘導方向から音声が聞こえるように構成された3D音響部を備えたことを特徴とする。
【0012】
第4の展開形態の携帯端末は、前記携帯端末に加えられた加速度を検出する加速度センサをさらに備え、前記加速度が所定の値を超えた場合に誘導を開始するように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る携帯端末によって、ユーザは目的地の方向を知るために携帯端末の表示部を参照する必要がなくなるため、ユーザは安全かつ迅速に目的地へ到達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る携帯端末について図面を参照して説明する。
【0015】
図1に本発明の実施形態に係る携帯端末10の構成図を示す。
【0016】
また、携帯端末10は、自身の現在地を計測するGPS11と、自身の向きを検出する電子コンパス13とを備える。
【0017】
携帯端末10は、目的地を記録した目的地記憶部12を備え、GPSによって計測された現在地と目的地から、目的地の方向を計算する誘導方向計算部14を備える。
【0018】
さらに、計算した誘導方向と検出された携帯端末の向きとの成す角を計算する角度計算部15を備える。
【0019】
携帯端末10は、計算された角度に応じて出力制御信号を出力する出力制御部16と、出力制御信号に応じて、音声、振動、光またはトルクの少なくともいずれかを出力する出力部17とを備える。
【0020】
ユーザは、目的地に向う経路の途中において、分岐点にさしかかった場合、携帯端末10を様々な方向へ向かって振り動かす。
【0021】
図2(A)を参照すると、誘導方向へより近い向きに携帯端末10を動かした場合、携帯端末10に備えた出力部(スピーカ)17から、その方向が正しいことを知らせる第1の音を鳴らして、ユーザに通知する。
【0022】
逆に、誘導方向からはずれた向きに携帯端末10を動かした場合、その方向が間違っている事を第2の音によって知らせる。
【0023】
また、目的地周辺に到達した場合、さらに、第3の音を鳴らして目的地が近いことを知らせる。
【0024】
この手段により、ユーザが目的地に移動する途中で、携帯端末10の表示部を見る必要がなくなる。すなわち、ユーザは前を向いたまま移動し続けることができるため、安全に移動することができ、かつ、移動時間も短縮することができる。
【0025】
なお、音による誘導の代わりに、出力部17としてバイブレータを備え、振動モードや強度を変化させることによる誘導も可能である。例えば、5種類の振動モードとして、ブ(短い振動)、ブー(長い振動)、ブーブー(長い振動を2度繰り返す)、ブブ(短い振動を2度繰り返す)、ブブー(短い振動後、間隔をあけて長い振動)等を、音声の代わりに利用することができる。バイブレータ振動による判別は、一般に、音声による判別より難しいものの、十分に実用性がある。
【0026】
次に、図2(B)および図3を参照して、本発明の実施の形態に係る携帯端末10の動作フローを説明する。
【0027】
ユーザが目的地に向う途中、分かれ道に差しかかった場合、携帯端末10を任意の向きへ動かすことによって、誘導が開始される。ユーザが携帯端末10を動かしたか否かについては、例えば、加速度センサ(非図示)によって検出することができる(ステップS1)。
【0028】
はじめに、GPS11と誘導方向計算部14とによって誘導方向を決定し、電子コンパス13によって携帯端末10の向きを検出する(ステップS2)。
【0029】
角度計算部によって、図2(B)のPOQ、QOR、ROS、SOPのいずれの向きへ携帯端末10が動かされたかを、決定する(ステップS3、S9)。出力制御部16は、これらの4方向のいずれの方向にユーザが携帯端末10を動かしたかにより、異なる制御信号を出力部17に出力し、出力部(例えば、スピーカ)17は、出力制御信号に応じた音声を発する(ステップS4、S10またはS11)。
【0030】
誘導方向が携帯端末10の向きと最も近い1/4区画(SOP)に含まれる場合において、さらに正確な方向を知らせるために、再度、電子コンパスによる携帯端末10の向きの検出を行い(ステップS5)、最も近い1/8区画(S’OP’)に含まれるか否かを判定し(ステップS6)、含まれる場合に第4の音を出力し(ステップS7)、含まれない場合には、第5の音を出力(ステップS8)してもよい。
【実施例1】
【0031】
次に、本発明の第1の実施例について、図面を参照して説明する。
【0032】
携帯端末10の出力部17としてバイブレータを複数(好ましくは4つ以上)備える。
【0033】
図4(A)、(B)には、4つのバイブレータ1ないし4を備えた場合を示す。
【0034】
ユーザが目的地に向う途上で、分岐点に差しかかった場合に、例えば、ユーザが誘導開始ボタンを押下した際に、正しい向きを知らせるバイブレータが稼動するようにしてもよい。また、ユーザが所定の開始ボタンを押下する代わりに、携帯端末10に加速度センサを備え、ユーザが携帯端末10を振り動かした場合に、誘導機能が作動するようにしてもよい。
【0035】
図4(B)および図5を参照して、バイブレータ17による誘導方法について説明する。
【0036】
はじめに、GPS11と誘導方向計算部14とによって誘導方向を決定し、電子コンパス13によって携帯端末10の向きを検出する(ステップS12)。
【0037】
次に、角度計算部15によって、携帯端末10の中心からみて、誘導方向に最も近いバイブレータ(図4(B)のバイブレータ1)の方向と誘導方向とのなす角αを計算する(ステップS13)。
【0038】
さらに、携帯端末10の中心から見て、誘導方向に最も近い2個のバイブレータ(図4(B)のバイブレータ1、4)を振動させる。このとき、バイブレータ1および4の振動強度を、(90°−α):αとすることが好ましい(ステップS14)。
【0039】
最後に、ユーザが終了ボタンを押下するなどして、誘導終了を検出した場合には誘導を終了し、さもなければ再度ステップS12に戻る(ステップS15)。
【実施例2】
【0040】
次に、本発明の第2の実施例について、図面を参照して説明する。
【0041】
携帯端末10の出力部17として3D音響を備える(図6(A))。
【0042】
携帯端末10に3D音響効果を動作させるソフトウェア環境を備えるとともに、スピーカは2つ以上あることが望ましい(非図示)。
【0043】
ユーザが分岐点に到達した場合に、携帯端末10の揺動や誘導開始ボタンによる信号により、携帯端末10が稼動し、誘導方向を示すようにすることが好ましい。
【0044】
図6(B)および図7を参照して、3D音響による誘導方法について説明する。
【0045】
はじめに、GPS11と誘導方向計算部14とによって誘導方向を決定し、電子コンパス13によって携帯端末10の向きを検出する(ステップS16)。
【0046】
次に、角度計算部15によって、携帯端末10の向きと誘導方向とのなす角βを計算する(ステップS17)。
【0047】
さらに、出力制御部16によって、誘導方向から音声が聞こえるように出力制御信号を出力し、出力部17として備えた3D音響によってユーザを誘導する(ステップS18)。
【0048】
最後に、ユーザが終了ボタンを押下するなどして、誘導終了を検出した場合には誘導を終了し、さもなければ再度ステップS16に戻る(ステップS19)。
【実施例3】
【0049】
次に、本発明の第3の実施例について、図面を参照して説明する。
【0050】
携帯端末10の出力部17として光源(サーチライト)を備える(図8(A))。
【0051】
サーチライトは、例えば、携帯端末10の前方(図8(A))に備えることが好ましい。
【0052】
ユーザが分岐点に到達した場合に、例えば、携帯端末10の揺動や誘導開始ボタンによる信号に基づいて携帯端末10の誘導機能が稼動するようにしてもよい。
【0053】
図8(B)および図9を参照して、サーチライトによる誘導方法について説明する。
【0054】
はじめに、GPS11と誘導方向計算部14とによって誘導方向を決定し、電子コンパス13によって携帯端末10の向きを検出する(ステップS20)。
【0055】
次に、角度計算部15によって、携帯端末10の向きと誘導方向とのなす角γを計算する(ステップS21)。
【0056】
さらに、出力制御部16によって、サーチライトの光強度を調整する出力制御信号を出力し、サーチライトは、角度γに応じて、例えば、(1−γ/180°)に比例する強度の光を出射する(ステップS22)。
【0057】
これによって、携帯端末10の方向が誘導方向から外れるにしたがって光強度が弱まることになり、ユーザは誘導方向を光の強弱によって知覚することができる。
【0058】
最後に、ユーザが終了ボタンを押下するなどして、誘導終了を検出した場合には誘導を終了し、さもなければ再度ステップS20に戻る(ステップS23)。
【実施例4】
【0059】
次に、本発明の第4の実施例について、図面を参照して説明する。
【0060】
携帯端末10の出力部17としてメカジャイロを備え、携帯端末10にトルクを作用させる(図10(A))。
【0061】
ユーザが分岐点に到達した場合に、例えば、携帯端末10の揺動や誘導開始ボタンによる信号に基づいて携帯端末10の誘導機能が稼動し、携帯端末10が誘導方向を向くようにしてもよい。
【0062】
図10(B)および図11を参照して、メカジャイロによる誘導方法について説明する。
【0063】
はじめに、GPS11と誘導方向計算部14とによって誘導方向を決定し、電子コンパス13によって携帯端末10の向きを検出する(ステップS24)。
【0064】
次に、角度計算部15によって、携帯端末10の向きと誘導方向とのなす角ηを計算する(ステップS25)。
【0065】
さらに、出力制御部16によって、メカジャイロを制御する出力制御信号を出力し、メカジャイロは、角度ηに応じて、携帯端末10を誘導方向へ向けるトルクがかかるように作動する(ステップS26)。具体的な方法として、メカジャイロ以外にバイブレータを2個備えることにより、2軸の回転が作成可能である。回転方向を変えることにより、逆向きの力をかけることも可能である。
【0066】
ユーザは誘導方向を携帯端末10にかかるトルクによって知覚することができる。
【0067】
最後に、ユーザが終了ボタンを押下するなどして、誘導終了を検出した場合には誘導を終了し、さもなければ再度ステップS24に戻る(ステップS27)。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯端末の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯端末の動作を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に係る携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施例に係る携帯端末の構成図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施例に係る携帯端末の構成図である。
【図7】本発明の第2の実施例に係る携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施例に係る携帯端末の構成図である。
【図9】本発明の第3の実施例に係る携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施例に係る携帯端末の構成図である。
【図11】本発明の第4の実施例に係る携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
10 携帯端末
11 GPS
12 目的地記憶部
13 電子コンパス
14 誘導方向計算部
15 角度検出部
16 出力制御部
17 出力部(バイブレータ、メカジャイロ、3D音響部または光源)
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末に関し、特に、歩行者を誘導するための携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)機能を備え、歩行時にハンドヘルドで持ち歩くことのできる携帯電話、PDA等の携帯端末によって、歩行者を目的へと誘導(ナビゲーション)する場合、地図、現在地および目的地またはその方向を表示部に表示する方法が用いられている(特許文献1、2)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−164430号公報
【特許文献2】特開2006−003269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような方法に基づいて歩行者を誘導する際、歩行者が携帯端末の表示部を見ながら移動する場合には、前方に対する注意力を削がれるため、危険を伴う。
【0005】
また、安全性を考慮して表示部を見る度に立ち止まった場合には、目的地に到達するまでに時間を要するという問題もある。
【0006】
カーナビゲーションシステムにおいては、音声案内によるナビゲーションが採用されているものの、騒音のある環境下において、歩行者を誘導する場合には、音声案内のみに基づく誘導方法には限界がある。
【0007】
したがって、GPS機能を備えた携帯端末において、歩行者を安全かつ迅速に目的地に誘導する装置および方法を提供することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点に係る携帯端末は、ユーザを目的地に誘導するための携帯端末であって、前記携帯端末の現在地を計測するGPSと、前記目的地を記録した目的地記憶部と、前記携帯端末の向きを計測する電子コンパスと、前記現在地と前記目的地と地図情報とを参照して誘導方向を求める誘導方向計算部と、前記向きと前記誘導方向とを参照してこれらの相対的な角度を計算する角度計算部と、前記角度に応じた出力制御信号を出力する出力制御部と、前記出力制御信号に応じて、出力方向を変化させつつ、音声、振動、光またはトルクの少なくともいずれかを出力する出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
第1の展開形態の携帯端末は、前記出力部が、複数のバイブレータを備えるとともに前記携帯端末の中心から見て誘導方向に近いバイブレータほど振動強度を強くするように構成されたことを特徴とする。
【0010】
第2の展開形態の携帯端末は、前記出力部が、前記角度を小さくする方向にトルクをかけるメカジャイロを備えたことを特徴とする。
【0011】
第3の展開形態の携帯端末は、前記出力部が、前記誘導方向から音声が聞こえるように構成された3D音響部を備えたことを特徴とする。
【0012】
第4の展開形態の携帯端末は、前記携帯端末に加えられた加速度を検出する加速度センサをさらに備え、前記加速度が所定の値を超えた場合に誘導を開始するように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る携帯端末によって、ユーザは目的地の方向を知るために携帯端末の表示部を参照する必要がなくなるため、ユーザは安全かつ迅速に目的地へ到達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る携帯端末について図面を参照して説明する。
【0015】
図1に本発明の実施形態に係る携帯端末10の構成図を示す。
【0016】
また、携帯端末10は、自身の現在地を計測するGPS11と、自身の向きを検出する電子コンパス13とを備える。
【0017】
携帯端末10は、目的地を記録した目的地記憶部12を備え、GPSによって計測された現在地と目的地から、目的地の方向を計算する誘導方向計算部14を備える。
【0018】
さらに、計算した誘導方向と検出された携帯端末の向きとの成す角を計算する角度計算部15を備える。
【0019】
携帯端末10は、計算された角度に応じて出力制御信号を出力する出力制御部16と、出力制御信号に応じて、音声、振動、光またはトルクの少なくともいずれかを出力する出力部17とを備える。
【0020】
ユーザは、目的地に向う経路の途中において、分岐点にさしかかった場合、携帯端末10を様々な方向へ向かって振り動かす。
【0021】
図2(A)を参照すると、誘導方向へより近い向きに携帯端末10を動かした場合、携帯端末10に備えた出力部(スピーカ)17から、その方向が正しいことを知らせる第1の音を鳴らして、ユーザに通知する。
【0022】
逆に、誘導方向からはずれた向きに携帯端末10を動かした場合、その方向が間違っている事を第2の音によって知らせる。
【0023】
また、目的地周辺に到達した場合、さらに、第3の音を鳴らして目的地が近いことを知らせる。
【0024】
この手段により、ユーザが目的地に移動する途中で、携帯端末10の表示部を見る必要がなくなる。すなわち、ユーザは前を向いたまま移動し続けることができるため、安全に移動することができ、かつ、移動時間も短縮することができる。
【0025】
なお、音による誘導の代わりに、出力部17としてバイブレータを備え、振動モードや強度を変化させることによる誘導も可能である。例えば、5種類の振動モードとして、ブ(短い振動)、ブー(長い振動)、ブーブー(長い振動を2度繰り返す)、ブブ(短い振動を2度繰り返す)、ブブー(短い振動後、間隔をあけて長い振動)等を、音声の代わりに利用することができる。バイブレータ振動による判別は、一般に、音声による判別より難しいものの、十分に実用性がある。
【0026】
次に、図2(B)および図3を参照して、本発明の実施の形態に係る携帯端末10の動作フローを説明する。
【0027】
ユーザが目的地に向う途中、分かれ道に差しかかった場合、携帯端末10を任意の向きへ動かすことによって、誘導が開始される。ユーザが携帯端末10を動かしたか否かについては、例えば、加速度センサ(非図示)によって検出することができる(ステップS1)。
【0028】
はじめに、GPS11と誘導方向計算部14とによって誘導方向を決定し、電子コンパス13によって携帯端末10の向きを検出する(ステップS2)。
【0029】
角度計算部によって、図2(B)のPOQ、QOR、ROS、SOPのいずれの向きへ携帯端末10が動かされたかを、決定する(ステップS3、S9)。出力制御部16は、これらの4方向のいずれの方向にユーザが携帯端末10を動かしたかにより、異なる制御信号を出力部17に出力し、出力部(例えば、スピーカ)17は、出力制御信号に応じた音声を発する(ステップS4、S10またはS11)。
【0030】
誘導方向が携帯端末10の向きと最も近い1/4区画(SOP)に含まれる場合において、さらに正確な方向を知らせるために、再度、電子コンパスによる携帯端末10の向きの検出を行い(ステップS5)、最も近い1/8区画(S’OP’)に含まれるか否かを判定し(ステップS6)、含まれる場合に第4の音を出力し(ステップS7)、含まれない場合には、第5の音を出力(ステップS8)してもよい。
【実施例1】
【0031】
次に、本発明の第1の実施例について、図面を参照して説明する。
【0032】
携帯端末10の出力部17としてバイブレータを複数(好ましくは4つ以上)備える。
【0033】
図4(A)、(B)には、4つのバイブレータ1ないし4を備えた場合を示す。
【0034】
ユーザが目的地に向う途上で、分岐点に差しかかった場合に、例えば、ユーザが誘導開始ボタンを押下した際に、正しい向きを知らせるバイブレータが稼動するようにしてもよい。また、ユーザが所定の開始ボタンを押下する代わりに、携帯端末10に加速度センサを備え、ユーザが携帯端末10を振り動かした場合に、誘導機能が作動するようにしてもよい。
【0035】
図4(B)および図5を参照して、バイブレータ17による誘導方法について説明する。
【0036】
はじめに、GPS11と誘導方向計算部14とによって誘導方向を決定し、電子コンパス13によって携帯端末10の向きを検出する(ステップS12)。
【0037】
次に、角度計算部15によって、携帯端末10の中心からみて、誘導方向に最も近いバイブレータ(図4(B)のバイブレータ1)の方向と誘導方向とのなす角αを計算する(ステップS13)。
【0038】
さらに、携帯端末10の中心から見て、誘導方向に最も近い2個のバイブレータ(図4(B)のバイブレータ1、4)を振動させる。このとき、バイブレータ1および4の振動強度を、(90°−α):αとすることが好ましい(ステップS14)。
【0039】
最後に、ユーザが終了ボタンを押下するなどして、誘導終了を検出した場合には誘導を終了し、さもなければ再度ステップS12に戻る(ステップS15)。
【実施例2】
【0040】
次に、本発明の第2の実施例について、図面を参照して説明する。
【0041】
携帯端末10の出力部17として3D音響を備える(図6(A))。
【0042】
携帯端末10に3D音響効果を動作させるソフトウェア環境を備えるとともに、スピーカは2つ以上あることが望ましい(非図示)。
【0043】
ユーザが分岐点に到達した場合に、携帯端末10の揺動や誘導開始ボタンによる信号により、携帯端末10が稼動し、誘導方向を示すようにすることが好ましい。
【0044】
図6(B)および図7を参照して、3D音響による誘導方法について説明する。
【0045】
はじめに、GPS11と誘導方向計算部14とによって誘導方向を決定し、電子コンパス13によって携帯端末10の向きを検出する(ステップS16)。
【0046】
次に、角度計算部15によって、携帯端末10の向きと誘導方向とのなす角βを計算する(ステップS17)。
【0047】
さらに、出力制御部16によって、誘導方向から音声が聞こえるように出力制御信号を出力し、出力部17として備えた3D音響によってユーザを誘導する(ステップS18)。
【0048】
最後に、ユーザが終了ボタンを押下するなどして、誘導終了を検出した場合には誘導を終了し、さもなければ再度ステップS16に戻る(ステップS19)。
【実施例3】
【0049】
次に、本発明の第3の実施例について、図面を参照して説明する。
【0050】
携帯端末10の出力部17として光源(サーチライト)を備える(図8(A))。
【0051】
サーチライトは、例えば、携帯端末10の前方(図8(A))に備えることが好ましい。
【0052】
ユーザが分岐点に到達した場合に、例えば、携帯端末10の揺動や誘導開始ボタンによる信号に基づいて携帯端末10の誘導機能が稼動するようにしてもよい。
【0053】
図8(B)および図9を参照して、サーチライトによる誘導方法について説明する。
【0054】
はじめに、GPS11と誘導方向計算部14とによって誘導方向を決定し、電子コンパス13によって携帯端末10の向きを検出する(ステップS20)。
【0055】
次に、角度計算部15によって、携帯端末10の向きと誘導方向とのなす角γを計算する(ステップS21)。
【0056】
さらに、出力制御部16によって、サーチライトの光強度を調整する出力制御信号を出力し、サーチライトは、角度γに応じて、例えば、(1−γ/180°)に比例する強度の光を出射する(ステップS22)。
【0057】
これによって、携帯端末10の方向が誘導方向から外れるにしたがって光強度が弱まることになり、ユーザは誘導方向を光の強弱によって知覚することができる。
【0058】
最後に、ユーザが終了ボタンを押下するなどして、誘導終了を検出した場合には誘導を終了し、さもなければ再度ステップS20に戻る(ステップS23)。
【実施例4】
【0059】
次に、本発明の第4の実施例について、図面を参照して説明する。
【0060】
携帯端末10の出力部17としてメカジャイロを備え、携帯端末10にトルクを作用させる(図10(A))。
【0061】
ユーザが分岐点に到達した場合に、例えば、携帯端末10の揺動や誘導開始ボタンによる信号に基づいて携帯端末10の誘導機能が稼動し、携帯端末10が誘導方向を向くようにしてもよい。
【0062】
図10(B)および図11を参照して、メカジャイロによる誘導方法について説明する。
【0063】
はじめに、GPS11と誘導方向計算部14とによって誘導方向を決定し、電子コンパス13によって携帯端末10の向きを検出する(ステップS24)。
【0064】
次に、角度計算部15によって、携帯端末10の向きと誘導方向とのなす角ηを計算する(ステップS25)。
【0065】
さらに、出力制御部16によって、メカジャイロを制御する出力制御信号を出力し、メカジャイロは、角度ηに応じて、携帯端末10を誘導方向へ向けるトルクがかかるように作動する(ステップS26)。具体的な方法として、メカジャイロ以外にバイブレータを2個備えることにより、2軸の回転が作成可能である。回転方向を変えることにより、逆向きの力をかけることも可能である。
【0066】
ユーザは誘導方向を携帯端末10にかかるトルクによって知覚することができる。
【0067】
最後に、ユーザが終了ボタンを押下するなどして、誘導終了を検出した場合には誘導を終了し、さもなければ再度ステップS24に戻る(ステップS27)。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯端末の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯端末の動作を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に係る携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施例に係る携帯端末の構成図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施例に係る携帯端末の構成図である。
【図7】本発明の第2の実施例に係る携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施例に係る携帯端末の構成図である。
【図9】本発明の第3の実施例に係る携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施例に係る携帯端末の構成図である。
【図11】本発明の第4の実施例に係る携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
10 携帯端末
11 GPS
12 目的地記憶部
13 電子コンパス
14 誘導方向計算部
15 角度検出部
16 出力制御部
17 出力部(バイブレータ、メカジャイロ、3D音響部または光源)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを目的地に誘導するための携帯端末であって、
前記携帯端末の現在地を計測するGPSと、
前記目的地を記録した目的地記憶部と、
前記携帯端末の向きを計測する電子コンパスと、
前記現在地と前記目的地と地図情報とを参照して誘導方向を求める誘導方向計算部と、
前記向きと前記誘導方向とを参照してこれらの相対的な角度を計算する角度計算部と、
前記角度に応じた出力制御信号を出力する出力制御部と、
前記出力制御信号に応じて、出力方向を変化させつつ、音声、振動、光またはトルクの少なくともいずれかを出力する出力部と、を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記出力部が、複数のバイブレータを備えるとともに前記携帯端末の中心から見て誘導方向に近いバイブレータほど振動強度を強くするように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記出力部が、前記角度を小さくする方向にトルクをかけるメカジャイロを備えたことを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記出力部が、前記誘導方向から音声が聞こえるように構成された3D音響部を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記携帯端末に加えられた加速度を検出する加速度センサをさらに備え、
前記加速度が所定の値を超えた場合に誘導を開始するように構成されたことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項1】
ユーザを目的地に誘導するための携帯端末であって、
前記携帯端末の現在地を計測するGPSと、
前記目的地を記録した目的地記憶部と、
前記携帯端末の向きを計測する電子コンパスと、
前記現在地と前記目的地と地図情報とを参照して誘導方向を求める誘導方向計算部と、
前記向きと前記誘導方向とを参照してこれらの相対的な角度を計算する角度計算部と、
前記角度に応じた出力制御信号を出力する出力制御部と、
前記出力制御信号に応じて、出力方向を変化させつつ、音声、振動、光またはトルクの少なくともいずれかを出力する出力部と、を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記出力部が、複数のバイブレータを備えるとともに前記携帯端末の中心から見て誘導方向に近いバイブレータほど振動強度を強くするように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記出力部が、前記角度を小さくする方向にトルクをかけるメカジャイロを備えたことを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記出力部が、前記誘導方向から音声が聞こえるように構成された3D音響部を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記携帯端末に加えられた加速度を検出する加速度センサをさらに備え、
前記加速度が所定の値を超えた場合に誘導を開始するように構成されたことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−209137(P2008−209137A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44050(P2007−44050)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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