説明

携帯通信端末および携帯通信端末の着信音量制御方法

【課題】着信音送出スピーカと通話用レシーバとが隣接して配置された携帯電話機において、着信音がユーザの聴覚に障害を与えないように、ユーザが着信音に気付くようにユーザ設定の着信音量値を調整した調整音量値を用いて、着信音の制御をする。
【解決手段】着信時に(501)折り畳み筐体が開いているときは、ユーザの設定した着信音量値と最大許容音量値を比較し(502)、ユーザ設定音量値が最大許容音量値より大きな場合には、最大許容音量値より小さくそれに近い調整音量値を用いる(505)。ユーザ設定音量値が最大許容音量値より小さな場合には、ユーザ設定音量値を調整音量値として用いる(504)。調整された音量値を用いて着信音処理手段で増幅し着信音送出スピーカから放出する。閉じた状態では、ユーザ設定の着信音量値を調整音量値とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機やPHS等の携帯通信端末に関し、特に通話用のレシーバと着信音送出用のスピーカとが互いに近接して配置され、スピーカから送出される着信音の音量値をユーザが予め設定可能な折り畳み型の携帯通信端末の着信音量制御に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やPHS等の携帯通信端末の多機能化が進み、インターネット機能やカメラ機能を有する携帯通信端末が普及している。また、文字情報や画像情報を見易く表示するために表示画面は大型化している。
【0003】
一方、筐体の小型化も進められている。その代表例が折り畳み型の携帯通信端末である。通話用のレシーバおよび着信音送出用のスピーカの小型化も図られている。
【0004】
小型化の一つとして、特開2003−143692号公報(特許文献1)は、通話用のレシーバおよび着信音送出用のスピーカを一体化したスピーカを開示している。
【0005】
一般に通話用のレシーバは携帯通信端末筐体の正面側に配置され、着信音送出用のスピーカは携帯通信端末筐体の背面側に配置される。そして、小型化のために、レシーバとスピーカとを近接して配置する構造のものが多い。
【0006】
着信を通報するための着信音は、外来雑音の多い環境でもユーザに聞こえるような大音量でスピーカから送出されるため、この種構造の携帯通信端末を使用しているとき、例えば通話時や音声メモ再生時または表示画面を見ながらのキー操作時など携帯通信端末を耳に近接させ、又は、顔の近くで保持しているときに、スピーカから着信音が突然に大音量で送出されるおそれがあり、ユーザに不快感を及ぼすだけでなく、一定の音量を超えると鼓膜に障害を与え聴覚上好ましいとはいえない。
【0007】
着信音を調整する技術として、特表2001−506458号公報(特許文献2)では、一つのスピーカを着信音送出用および通話用に共用し、スピーカの前面に開閉可能なフリップを設け、このフリップの開閉位置をスイッチにより検出し、フリップが開位置にある作動モードとフリップが閉位置にある待機モードとで音量レベルを異ならせる移動電話機を開示している。
【0008】
また、特開平8−307488号公報(特許文献3)は、折り畳み型の携帯電話機で、本体が開かれたことを検出したときに着信音を停止もしくは音量を低下させる携帯電話機を開示している。また、同公報では、着信時に一時的に機能が割り当てられるキーの操作によって、着信音を停止もしくは音量を低下させることにより、ユーザが迅速に着信音を停止もしくは低下させることができる携帯電話機を開示している。
【0009】
【特許文献1】特開2003−143692号公報
【特許文献2】特表2001−506458号公報
【特許文献3】特開平8−307488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2記載の携帯電話機では、フリップを開いた状態での到来信号は、音声信号であれ、呼出信号であれ、増幅器で増幅され、増幅されたレベルが所定レベルを超える時は増幅器出力がリミッタで抑制され同じスピーカから音を出力する。したがって、スピーカを呼出信号によって鳴動させる場合、フリップが閉じた状態で増幅して出力していた呼出信号のレベルを、フリップを開くことによって増幅出力にリミッタをかけ抑制することになる。本来、開いた状態では、初めから振幅が閉じた状態より小さくてよいものを増幅してから抑制することになるため、その分バッテリーの消費になる。
【0011】
特許文献3は、本体を開くことによって着信音が停止または、低下するが、本体が開かれた状態で着信があるときについての言及はない。
【0012】
また、特許文献2記載の移動電話機のように、開いた状態で着信音が抑制される携帯電話機で、開いた状態で着信があると、使用される場面によっては着信音を捕え損なう場合が考えられる。特に、電話機能以外の多様な機能を有する携帯通信端末にこのような技術を適用しようとする場合、例えば、ハンヅフリー用のヘッドセットへの接続、パソコンへのPCリンクケーブルによる接続、或いは、パソコン等外部機器へのBluetooth機器やIrDA機器等のデータ転送機器による接続を行って通常の通話以外の用途で使用される場合、折り畳みが開いた状態で着信があると、着信音は抑制された音量で放出され、着信音を捕え損なう可能性がある。
【0013】
特許文献3の折り畳み型の携帯電話機についても、本体が開かれた状態では、着信音は停止もしくは音量は小さく制御されるので、開かれた状態で着信があるとユーザが着信音を捕え損なう可能性がある。
【0014】
したがって、本発明の目的は、折り畳み携帯通信端末が開かれた状態で着信があった場合の着信音制御に関し、着信音レベルが抑制されるべき場合には、調整した着信音量値を供給し、これに基づき着信音処理を行うことによってバッテリーの消費を低減できる携帯通信端末及び携帯通信端末の着信音制御方法を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、折り畳み携帯通信端末が開かれた状態における着信音の大きさがユーザに与える影響を少なくするように制御できる携帯通信端末及び携帯通信端末の着信音制御方法を提供することにある。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、外部機器或いは付属機器が接続された状態では、折り畳み携帯通信端末が開いた状態であっても着信音がユーザの設定した音量に制御される携帯通信端末及び携帯通信端末の着信音制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の携帯通信端末は、折り畳み筐体の一方の筐体に配置された通話用レシーバと、前記通話用レシーバに隣接して配置された着信音送出用スピーカと、ユーザ設定により着信音量を設定する手段と、設定された着信音量に応じ調整音量を決定する着信音量決定手段と、前記調整音量に基づき前記着信音送出スピーカから送出される着信音量を処理する着信音処理手段と、前記折り畳み筐体の開閉を検出する手段とを含む携帯通信端末であって、前記着信音量決定手段は、前開閉検出手段の検出結果に応じて前記調整音量を決定する。
【0018】
前記着信音量決定手段は、前記開閉検出手段の検出結果が開を検出した場合には、前記設定された着信音量が通常の通話状態で聴覚に悪影響与える虞のない最大許容音量を超える場合に、前記最大許容音量以下のレベルの着信音量を調整音量とする。
【0019】
前記着信音量決定手段は、設定された着信音量が前記最大許容音量以下の場合には、設定された着信音量を調整音量とする。
【0020】
本発明の携帯通信端末は、着信時に携帯通信端末が通話中であるか音声メモ再生中であるかを検出する動作状態検出手段を含み、前記着信音量決定手段は前記動作状態検出手段が通話中または音声メモ再生中を検出した場合は、通常の通話状態でユーザに不快感を与えることなく着信を通報できる第1の音量を調整音量とする。
【0021】
前記着信音量決定手段は、前記開閉検出手段が筐体開放を検出し前記動作状態検出手段が通話中または音声メモ再生中を検出しない場合は、前記ユーザ設定の音量がユーザの聴覚に障害を与える虞のない最大許容音量以下の場合に、前記設定された音量を調整音量とする。
【0022】
前記着信音量決定手段は、前記開閉検出手段が筐体開放を検出し前記動作状態検出手段が通話中または音声メモ再生中を検出しない場合で、前記設定された着信音量が通常の通話状態で聴覚に悪影響与える虞のない最大許容音量を超える場合に、前記最大許容音量以下で前記第1の音量以上のレベルの着信音量を調整音量とする。
【0023】
本発明によれば、また、折り畳み筐体の一方の筐体に配置された通話用レシーバと、前記通話用レシーバに隣接して配置された着信音送出用スピーカと、ユーザ設定により着信音量を設定する手段と、設定された着信音量に応じて調整音量を決定する着信音量決定手段と、前記調整音量値に応じて前記着信音送出スピーカから送出される着信音量を処理する着信音処理手段と、着信時に携帯通信端末が充電中であるか否か又は外部接続機器に接続されているか否かを検出する外部機器検出手段とを含み、前記着信音量決定手段は前記動作状態検出手段の検出結果に基づき調整音量を決定することを特徴とする携帯通信端末が得られる。
【0024】
前記着信音量決定手段は、前記動作状態検出手段が充電中または外部接続機器の接続を検出した場合は、設定された着信音量を調整音量とする。
【0025】
本発明によれば、さらに、折り畳み筐体の一方の筐体に配置された通話用レシーバと、前記通話用レシーバに隣接して配置された着信音送出用スピーカと、ユーザ設定により着信音量値を設定する手段とを含む携帯通信端末の着信音量制御方法において、前記折りたたみ筐体の開閉を検出し、その検出結果によって設定された着信音量値を調整した調整音量を決定し、前記調整音量によって前記着信音送出スピーカから送出される着信音量を処理することを特徴とする携帯通信端末の着信音量制御方法が得られる。
【0026】
前記開閉検出手段の検出結果が開を検出した場合には、前記設定された着信音量が通常の通話状態で聴覚に悪影響与える虞のない最大許容音量を超える場合に、前記最大許容音量以下のレベルの着信音量を調整音量とする。
【0027】
設定された着信音量が前記最大許容音量以下の場合には、設定された着信音量を調整音量とする。
【0028】
本発明によれば、また、通話用のレシーバと、前記通話用レシーバに隣接して配置された着信音送出用スピーカと、着信音の音量を設定する手段と、設定された着信音量に応じて調整された調整音量で着信音を処理する手段とを含む折り畳み携帯通信端末の着信音量制御方法であって、着信時に携帯通信端末が充電中であるか場合又は外部接続機器に接続されている場合には、折り畳み筐体が開かれているか否かにかかわらず前記着信音量設定手段で設定された着信音量を送出することを特徴とする携帯通信端末の着信音量制御方法が得られる。
【0029】
また、本発明によれば、通話用のレシーバと、前記通話用レシーバに隣接して配置された着信音送出用スピーカと、着信音の音量値を設定する手段と、設定された着信音量に応じて調整された調整音量で着信音量を処理する手段とを含む折り畳み携帯通信端末の着信音量制御方法であって、着信時に携帯通信端末が通話中であるか音声メモ再生中である場合には、通常の通話状態でユーザに不快感を与ることなく着信を通報できる第1の音量で着信音を処理することを特徴とする折り畳み携帯通信端末の着信音量制御方法が得られる。
【0030】
また、本発明によれば、着信時に、筐体は開かれているが通話中または音声メモ再生中でない場合は、前記スピーカから送出される着信音の音量を前記第1の音量よりも大きくユーザの聴覚に障害を与える虞のない最大許容音量を超えない音量で処理する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ユーザ設定により着信音量を設定する手段と、設定された着信音量を調整し調整音量を決定する着信音量決定手段とを備え、前記着信音量決定手段は、開閉検出手段の検出結果に応じて前記調整音量を決め、その調整音量に基づき着信音送出スピーカから送出される着信音量を処理するので、調整音量で指定された音量の増幅処理をすればよく、電力消費が少なくて済む。
【0032】
本発明の実施態様によれば、着信音量決定手段は、開閉検出手段の検出結果が開を検出した場合には、設定された着信音量が通常の通話状態で聴覚に悪影響を与える虞のない最大許容音量を超える場合に、最大許容音量以下のレベルの着信音量値を調整音量とするので、ユーザによって設定された着信音量が大きな着信音量を鳴らす着信音量に設定されていても、最大許容音量以下で鳴動させられるから、聴覚への影響を軽減できる。
【0033】
また、この場合の調整音量を最大許容音量にしておけば、携帯通信端末を顔の前で操作したり、表示画面を見ていても、聴覚への影響は軽減でき、携帯通信端末が、ユーザの手元から離れた場所にあっても着信音を聞き損なう程度を少なくできる。
【0034】
本発明の別の実施態様によれば、着信時に携帯通信端末が通話中であるか音声メモ再生中であるかを検出する動作状態検出手段を含み、着信音量決定手段は動作状態検出手段が通話中または音声メモ再生中を検出した場合は、通常の通話状態でユーザに不快感を与ることなく着信を通報できる第1の音量を調整音量とするので、通話用レシーバを耳の近くで保持しても、着信音がユーザに与える不快感或いは聴覚に与える影響を軽減できる。
【0035】
本発明のさらに別の態様によれば、通話用のレシーバおよび着信音送出用のスピーカが互いに近接して配置され着信音の音量をユーザが予め設定可能な折り畳み型の携帯通信端末において、着信時に携帯通信端末が充電中であるか又は外部接続機器に接続されているか否かを検出し、充電中又は外部接続機器に接続されている場合は、着信音の音量をユーザ設定の音量に設定することにより、筐体の開閉位置に関係なく、ユーザが気付きやすい着信音量を設定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に本発明について図面を参照して説明する。
【0037】
図1は本発明の一実施形態に係る折り畳み型携帯電話機を示すブロック図である。
【0038】
図1において、基地局との送受信を行う無線部1と、各種文字や画像を表示する表示部2と、ユーザが操作するキースイッチからなる操作部3と、プログラムや各種データを保存するメモリ部4と、通話用のレシーバ5と、着信音送出用のスピーカ6と、携帯電話機の筐体が開かれているか否かを検出する開閉検出手段7と、携帯電話機の状態を監視すると共にユーザにより操作される操作部3の指示に応じて処理し各部を制御する制御部8とを有している。
【0039】
開閉検出手段7は、折り畳み型携帯電話機の筐体の開閉に伴って作動するスイッチや光センサ等の既知の手段により構成できる。
【0040】
制御部8は、受信音声信号をアナログ信号に変換して増幅しレシーバ5へ出力する受信音声処理手段82と、着信時に着信音のメロディーデータをメモリ部4から読み出してアナログ信号に変換し指定の着信音量値になるように増幅してスピーカ6へ送出する着信音処理手段84と、着信時に開閉検出手段7の検出結果に応じて着信音量値を調整する着信音量決定手段85とを有している。また、携帯電話機には、ユーザによる着信音量値を設定する手段があり、ユーザが、着信音送出用スピーカから送出される音量を意味するメニュー画面に表示された指標を指定して入力する。通常、ユーザは着信音量値を携帯電話機が位置している環境に応じて設定する。
【0041】
なお、着信音処理手段84は、ユーザが着信応答操作あるいは着信音停止操作を行ったときに、スピーカ6への着信音信号の送出を停止する。
【0042】
図2は本発明の一実施形態に係る折り畳み型携帯電話機の外観を示す正面図(同図(a))および背面図(同図(b))である。
【0043】
ここでは、ヒンジ部13により回転自在に連結された折り畳み型携帯電話機の第1の筐体11および第2の筐体12が展開された状態を示し、図2(a)は第1および第2の筐体の正面側を、図2(b)は第1および第2の筐体の背面側を示している。
【0044】
第1の筐体11の正面側には表示部2、レシーバ5が配置され、第2の筐体12の正面側には操作部3のキースイッチが配置されている。第1の筐体11の背面側にはスピーカ6が設けられている。
【0045】
図3は、折り畳み型携帯電話機の筐体が閉じられた(折り畳まれた)状態におけるレシーバ5とスピーカ6の配置を示す断面図である。スピーカ6とレシーバ5とが互いにその背面を隣接して配置されている。したがって、図4に模式的に示したように、折り畳みを開いてレシーバ5を耳に近づけた状態で着信があると、レシーバの真後ろにあるスピーカからメロデー着信音として流れ、その音量によっては使用者は不快を感じる。
【0046】
次に携帯電話機に着信があった場合の動作について図を参照して説明する。
【0047】
図5は、第1の実施例のフローチャートであり、図1に示した制御部8の着信音量決定手段85を中心とする動作を示している。
【0048】
着信があると(ステップ501)、開閉検出手段7の検出結果により筐体が折り畳まれているか否かをチェックし(ステップ502)、折り畳まれている場合には、着信音量決定手段は85は、ユーザ設定音量値を調整音量値に設定する(ステップ504)。したがって、着信音処理手段84は、この調整音量値をセットして着信音送出用スピーカからその音量値が意味するレベルでメロデーを流す。
【0049】
折り畳み筐体が開かれ場合には、着信音量決定手段は、ユーザ設定の音量値と、最大許容音量値との大小を判定する(ステップ503)。最大許容音量値は、通常の通話状態で聴覚に悪影響を与える虞のない最大の許容される音量を意味する。本発明では、スピーカとレシーバとが隣接しているので、最大許容音量値を基準にして、調整音量値を決める。なお、最大許容音量値は鼓膜を保護する観点から、スピーカでの着信音の音圧レベルが120dBSPL(Sound Pressure Level:音圧レベル)となる音量値が使用される。
【0050】
ユーザ設定音量値が最大許容音量値以下であれば、ユーザ設定音量値を調整音量値とする(ステップ503,504)。ユーザ設定音量値が最大許容音量値を超えれば、最大許容音量値より小さな最大許容音量値に近い音量値を調整音量値とする(ステップ503,505)。
【0051】
このようにして、この実施例では、折り畳み筐体が開いている状態での着信音量は、ユーザが最大許容音量値より低く設定している場合にはユーザ設定値を、最大許容音量値より大きく設定している場合には、それ以下でその値に近い音量値を調整音量値とすることによって、筐体が開いた状態で着信音が聴覚に悪影響を与えずにできるだけ大きくなるよう制御できる。
【0052】
図6は、本発明の第2の実施例を示すブロック図である。
【0053】
同図において、制御部に8に動作状態検出手段81、音声メモ再生手段83が含まれている点が、図1に示した第1の実施例との相違点である。この相違にともない着信音量決定手段の動作にも違いが生ずる。図1と同じ構成要素についてはその説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0054】
音声メモ再生手段83は、携帯電話機を使用して通話中に録音した音声を再生する手段で、再生した音声は、通常レシーバに送られる。動作状態検出手段は81は音声メモ再生中か否かを検出する。また、通話中であるか否かの検出も行うことができる。携帯電話では、通話中であっても、運用事業者の提供するサービスによっては、着信音が鳴る。着信音量決定手段85は、開閉検出手段7、動作状態検出手段81からの検出結果を受け、調整着信音量値を決める。
【0055】
図7に示すフローチャートを併せて参照し、動作について説明する。
【0056】
着信があると(ステップ701)、着信音量決定手段85は、開閉検出手段7の検出結果により、筐体が折り畳まれているか(閉られているか)否かをチェックする(ステップ702)。
【0057】
筐体が折り畳まれている(閉じている)場合は、携帯電話機が所在する位置又は場所の環境に応じてユーザが予め設定したユーザ設定音量値を調整音量値とする(ステップ704)。この状態は、一般に携帯電話機が使用されていない状態である。
【0058】
ステップ702において、筐体が開かれている場合は、動作状態検出手段81の検出結果が通話中であるのか(ステップ703)、音声メモ再生中であるのか(ステップ704)をチェックする。
【0059】
ステップ703で、通話中、またはステップ704で音声メモ再生中である場合は、ユーザが携帯電話機のレシーバを耳に当てている可能性が高い。この場合は、通常の通話状態で着信音がユーザに不快感を与ることなく且つ聴覚に障害を与ることなく着信を通報できる第1の音量値を調整音量値とする(ステップ707)。望ましくは、第1の音量値は、通常の通話状態における耳元でのレシーバでの通話音量と同程度またはこれらをある程度上回るレベルの着信音とする。
【0060】
ステップ703及び704においてそれぞれ通話中及び音声メモ再生中でない場合には、ステップ705へ進む。ステップ705で、ユーザ設定音量値を、最大許容音量値と比較する。ユーザ設定音量値のほうが小さければ、ユーザ設定値を調整音量値として利用する(ステップ704)。ユーザ設定音量値が最大許容音量値を超えれば、最大許容音量値より小さく第1の音量値より大きな音量となる値に調整音量値を決める(ステップ706)。通話中や、音声メモ再生中ではない状態で筐体が開いた状態なので、最大許容音量値に近い音量値を調整音量値とするのが着信を気付きやすいようにするのには都合がよい。
【0061】
このようにして、着信時に、携帯通信端末が通話中なのか音声メモ再生中なのかを検出すると共に携帯通信端末筐体の開閉を検出し、これら検出結果に基づき調整音量値をセットすることにより、ユーザに不快感を与えたり聴覚に障害を与えたりしないように、また、着信音がユーザに気付かれ易いように着信音量を制御できる。
【0062】
図8は、本発明の第3の実施例を示す携帯電話機のブロック図である。第3の実施例の図1に示した第1の実施例との相違は、制御部に8に外部機器検出手段87を含む点である。外部機器検出手段の検出結果に応じて着信音量決定手段85の動作にも違いが生ずる。図1と同じ構成要素についてはその説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0063】
外部機器検出手段87は、充電器が接続されてバッテリーを充電中か否かを検出する。また、外部機器検出手段87は、ハンヅフリー用のヘッドセットへの接続、パソコンへのPCリンクケーブルによる接続、或いは、パソコン等外部機器へのBluetooth機器やIrDA機器等のデータ転送機器による接続を検出する。
【0064】
図9のフローチャートを参照して、第3の実施例の動作について説明する。
【0065】
着信があると(ステップ901)、着信音量決定手段85は、外部機器検出手段の検出結果が充電中であるか否かをチェックする(ステップ906)。また、外部機器検出手段87は、上述の外部機器が接続されているか否かを検出する(ステップ908)。
【0066】
ステップ906において充電中であり、または、ステップ908において外部接続機器が接続されている場合は、開閉検出手段7の検出結果に関係なく、着信音量決定手段は、ユーザが予め設定したユーザ設定音量値を調整音量値として設定する(ステップ904)。充電中の場合や外部接続機器が接続されている場合は、一般に携帯電話機はユーザの手元から離れた位置又は場所にある場合が多く、その位置又は場所に応じた環境で着信音が聞こえるようユーザによって予め音量値が設定される。
【0067】
また、着信音量決定手段85は、ステップ906で充電中でない場合で、ステップ908で外部接続機器が接続されていない場合は、ステップ902へ進む。ステップ902から先の動作は、第1の実施例における図5のステップ502から先の動作と同様である。
【0068】
即ち、開閉検出手段7の検出結果により、筐体が折り畳まれているか否かをチェックし(ステップ902)、折り畳まれている場合には、着信音量決定手段は85は、ユーザ設定音量値を調整音量値に設定する(ステップ904)。したがって、着信音処理手段は、この調整音量値をセットして着信音送出用スピーカからその音量値が意味するレベルでメロデーを流す。
【0069】
折り畳み筐体が開かれている場合には、着信音量決定手段85は、ユーザ設定の音量値と、最大許容音量値との大小を判定する(ステップ903)。最大許容音量値は、通常の通話状態で聴覚に悪影響を与える虞のない最大の許容される音量を意味する。本発明では、スピーカとレシーバとが隣接しているので、最大許容音量値を基準にして、調整音量値を決める。なお、最大許容音量値は鼓膜を保護する観点から、スピーカでの着信音の音圧レベルが120dBSPL(Sound Pressure Level:音圧レベル)となる音量値が使用される。
【0070】
ユーザ設定音量値が最大許容音量値以下であれば、ユーザ設定音量値を調整音量値とする(ステップ903,904)。ユーザ設定音量値が最大許容音量値を超えれば、最大許容音量値より小さな最大許容音量値に近い音量値を調整音量値とする(ステップ903,905)。
【0071】
このようにして、この実施例では、充電中又は外部接続機器が接続されている時は、耳の近くにレシーバやスピーカが位置しない状態で使用されるから、折り畳み筐体の開閉にかかわらず、ユーザ設定音量値で着信音を鳴らす。折り畳み筐体が開いている状態での着信音量は、ユーザが最大許容音量値より低く設定している場合にはユーザ設定値を、最大許容音量値より大きく設定している場合にはそれ以下でその値に近い音量値を調整音量値とすることによって、筐体が開いた状態で着信音が聴覚に悪影響を与えずにできるだけ大きくなるよう制御できる。
【0072】
なお、上記各実施例において、着信音を送出後、一定時間が経過しても着信応答操作がなされないときは、ユーザが設定した着信音量の設定値が使用環境に適合していない判断し、ユーザが着信音に気付かせるように着信音量を経過時間に応じて順次増大させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施例に係る折り畳み型携帯電話機を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る折り畳み型携帯電話機の外観を示す正面図および背面図である。
【図3】図2に示した携帯電話機の筐体が閉じられた状態を示す断面図ある。
【図4】本発明の折り畳み携帯電話機を開いてユーザの頭部に接近させた状態での着信音送出スピーカ及びレシーバと頭部との位置関係を示す模式図である。
【図5】本発明の第1の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施例の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
2 表示部
3 操作部
4 メモリ部
5 レシーバ
6 スピーカ
7 開閉検出手段
8 制御部
11,12 筐体
81 動作状態検出手段
82 受信音声処理手段
83 音声メモ再生手段
84 着信音処理手段
85 着信音量決定手段
87 外部機器検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み筐体の一方の筐体に配置された通話用レシーバと、前記通話用レシーバに隣接して配置された着信音送出用スピーカと、ユーザ設定により着信音量を設定する手段と、設定された着信音量に応じ調整音量を決定する着信音量決定手段と、前記調整音量に基づき前記着信音送出スピーカから送出される着信音量を処理する着信音処理手段と、前記折り畳み筐体の開閉を検出する手段とを含む携帯通信端末であって、前記着信音量決定手段は、前開閉検出手段の検出結果に応じて前記調整音量を決定することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記着信音量決定手段は、前記開閉検出手段の検出結果が開を検出した場合には、前記設定された着信音量が通常の通話状態で聴覚に悪影響与える虞のない最大許容音量を超える場合に、前記最大許容音量以下のレベルの着信音量を調整音量とすることを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記着信音量決定手段は、設定された着信音量が前記最大許容音量以下の場合には、設定された着信音量を調整音量とすることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯電話端末。
【請求項4】
着信時に携帯通信端末が通話中であるか音声メモ再生中であるかを検出する動作状態検出手段を含み、前記着信音量決定手段は前記動作状態検出手段が通話中または音声メモ再生中を検出した場合は、通常の通話状態でユーザに不快感を与えることなく着信を通報できる第1の音量を調整音量とすることを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記着信音量決定手段は、前記開閉検出手段が筐体開放を検出し前記動作状態検出手段が通話中または音声メモ再生中を検出しない場合は、前記ユーザ設定の音量がユーザの聴覚に障害を与える虞のない最大許容音量以下の場合に、前記設定された音量を調整音量とすることを特徴とする請求項4記載の携帯通信端末。
【請求項6】
前記着信音量決定手段は、前記開閉検出手段が筐体開放を検出し前記動作状態検出手段が通話中または音声メモ再生中を検出しない場合で、前記設定された着信音量が通常の通話状態で聴覚に悪影響与える虞のない最大許容音量を超える場合に、前記最大許容音量以下で前記第1の音量以上のレベルの着信音量を調整音量とすることを特徴とする請求項4記載の携帯通信端末。
【請求項7】
折り畳み筐体の一方の筐体に配置された通話用レシーバと、前記通話用レシーバに隣接して配置された着信音送出用スピーカと、ユーザ設定により着信音量を設定する手段と、設定された着信音量に応じて調整音量を決定する着信音量決定手段と、前記調整音量値に応じて前記着信音送出スピーカから送出される着信音量を処理する着信音処理手段と、着信時に携帯通信端末が充電中であるか否か又は外部接続機器に接続されているか否かを検出する外部機器検出手段とを含み、前記着信音量決定手段は前記動作状態検出手段の検出結果に基づき調整音量を決定することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項8】
前記着信音量決定手段は、前記動作状態検出手段が充電中または外部接続機器の接続を検出した場合は、設定された着信音量を調整音量とすることを特徴とする請求項7記載の携帯通信端末。
【請求項9】
折り畳み筐体の一方の筐体に配置された通話用レシーバと、前記通話用レシーバに隣接して配置された着信音送出用スピーカと、ユーザ設定により着信音量値を設定する手段とを含む携帯通信端末の着信音量制御方法において、前記折り畳み筐体の開閉を検出し、その検出結果によって設定された着信音量値を調整した調整音量を決定し、前記調整音量によって前記着信音送出スピーカから送出される着信音量を処理することを特徴とする携帯通信端末の着信音量制御方法。
【請求項10】
前記開閉検出手段の検出結果が開を検出した場合には、前記設定された着信音量が通常の通話状態で聴覚に悪影響与える虞のない最大許容音量を超える場合に、前記最大許容音量以下のレベルの着信音量を調整音量とすることを特徴とする請求項9記載の携帯通信端末の着信音量制御方法。
【請求項11】
設定された着信音量が前記最大許容音量以下の場合には、設定された着信音量を調整音量とすることを特徴とする請求項10記載の携帯電話端末の着信音量制御方法。
【請求項12】
通話用のレシーバと、前記通話用レシーバに隣接して配置された着信音送出用スピーカと、着信音の音量を設定する手段と、設定された着信音量に応じて調整された調整音量で着信音を処理する手段とを含む折り畳み携帯通信端末の着信音量制御方法であって、着信時に携帯通信端末が充電中であるか場合又は外部接続機器に接続されている場合には、折り畳み筐体が開かれているか否かにかかわらず前記着信音量設定手段で設定された着信音量を送出することを特徴とする携帯通信端末の着信音量制御方法。
【請求項13】
通話用のレシーバと、前記通話用レシーバに隣接して配置された着信音送出用スピーカと、着信音の音量値を設定する手段と、設定された着信音量に応じて調整された調整音量で着信音量を処理する手段とを含む折り畳み携帯通信端末の着信音量制御方法であって、着信時に携帯通信端末が通話中であるか音声メモ再生中である場合には、通常の通話状態でユーザに不快感を与ることなく着信を通報できる第1の音量で着信音を処理することを特徴とする折り畳み携帯通信端末の着信音量制御方法。
【請求項14】
着信時に、筐体は開かれているが通話中または音声メモ再生中でない場合は、前記スピーカから送出される着信音の音量を前記第1の音量よりも大きくユーザの聴覚に障害を与える虞のない最大許容音量を超えない音量で処理することを特徴とする請求項14記載の携帯通信端末の着信音量制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−42077(P2006−42077A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220866(P2004−220866)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】